(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-25
(45)【発行日】2025-05-08
(54)【発明の名称】ガス式衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/32 20200101AFI20250428BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20250428BHJP
【FI】
D06F58/32
D06F58/02 C
(21)【出願番号】P 2019187664
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】溝内 勇人
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】米倉 秀明
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-51591(JP,A)
【文献】特開2016-75365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00 - 58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥しようとする衣類が収容される収容室と、燃料ガスが充填されたガスボンベから供給される前記燃料ガスを燃焼させることによって空気を加熱するガスバーナと、前記ガスバーナに供給される前記燃料ガスのガス流量を制御するガス流量制御弁とを備え、前記加熱された空気を前記収容室に供給することによって前記収容室内の衣類を乾燥させるガス式衣類乾燥機において、
前記ガスボンベは、所定の充填ガス量の前記燃料ガスが充填された状態で前記ガス式衣類乾燥機に取り付けられており、
前記ガスバーナに供給された前記燃料ガスのガス流量を累積することによって、前記燃料ガスの累積使用量を算出する累積使用量算出手段と、
前記ガスボンベの前記充填ガス量から、前記燃料ガスの累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出するガス残量算出手段と、
前記充填ガス残量が所定のガス残量まで減少したことを検知して、検知結果を報知する報知手段と、
運転回数を累積することによって累積運転回数を取得する運転回数累積手段と、
前記燃料ガスの累積使用量を前記累積運転回数で除算することによって、運転1回あたりに使用する前記燃料ガスの平均使用量を算出する平均使用量算出手段と、
前記充填ガス残量と前記平均使用量とに基づいて、運転可能と予測される運転可能予測回数を算出する運転可能予測回数算出手段と
を備え、
前記報知手段は、前記運転可能予測回数も報知可能となっている
ことを特徴とするガス式衣類乾燥機
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥しようとする衣類が収容された収容室に、燃料ガスを燃焼させて加熱した空気を供給することによって、収容室内の衣類を乾燥させるガス式衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類を収容した回転ドラムを回転させながら、回転ドラム内に加熱した空気を供給することによって衣類を乾燥させる衣類乾燥機が知られており、いわゆるコインランドリや一般家庭などで広く使用されている。この衣類乾燥機には、電気を用いて空気を加熱する方式の衣類乾燥機(特許文献1)や、燃料ガスを燃焼させることによって空気を加熱する方式の衣類乾燥機(特許文献2)が知られているが、ガス配管をすることなく設置可能な手軽さから、電気を用いて空気を加熱する方式の衣類乾燥機(以下、電気式衣類乾燥機と称する)が広く使用されている。
【0003】
もっとも、電気式衣類乾燥機は、衣類を乾燥させる能力が必ずしも十分とは言えないため、衣類の乾燥に長い時間を要するという欠点がある。これに対して、燃料ガスを燃焼させることによって空気を加熱する方式の衣類乾燥機(以下、ガス式衣類乾燥機と称する)は、衣類を乾燥させる能力が高く、短時間で衣類を乾燥させることが可能である。このため、一旦は電気式衣類乾燥機を設置したものの、ガス式衣類乾燥機に買い換えられることもしばしば発生する。この場合、電気式衣類乾燥機が設置されていた箇所にはガス配管が来ていないことが多いので、燃料ガス(たとえばプロパンガス)が充填されたガスボンベをガス式衣類乾燥機と一緒に設置して、ガスボンベの燃料ガスを供給することによってガス式衣類乾燥機を動作させることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-261703号公報
【文献】特開平6-319898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ガスボンベからの燃料ガスを用いて動作するガス式衣類乾燥機は、(一般的なガス器具の場合とは異なり)ガスボンベ内の燃料ガスが無くなって動作できなくなる事態が発生し易いという問題があった。この理由は、次のようなものである。先ず、一般的なガス器具をガスボンベの燃料ガスで動作させる場合には、一日あたりの平均的な燃料ガスの使用量に基づいて、ガスボンベに充填した燃料ガスが空になるまでの日数を予測して、その日数よりも早めのタイミングで定期的に新しいガスボンベを配達して貰うことができる。ところが、ガス式衣類乾燥機の場合は、雨天か否かによって燃料ガスの使用量が大きく変動するので、ガスボンベに充填した燃料ガスが空になるまでの日数を正確に予測することが難しく、ガスボンベが空になる前に新しいガスボンベを配達して貰うことができない事態が発生し易いためである。特に、初めに電気式衣類乾燥機が設置されていたケースでは、ガスボンベを設置するためのスペースが考慮されていないので、電気式衣類乾燥機をガス式衣類乾燥機に交換した時にガスボンベを設置するためのスペースが不足する結果、小さなガスボンベが使用されることになり易い。このため、雨天の日が続くと、直ぐにガスボンベが空になってしまうという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するために成されたものであり、ガスボンベ内の燃料ガスが無くなって動作できなくなる事態を回避することが可能なガス式衣類乾燥機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の第1のガス式衣類乾燥機は次の構成を採用した。すなわち、
乾燥しようとする衣類が収容される収容室と、燃料ガスが充填されたガスボンベから供給される前記燃料ガスを燃焼させることによって空気を加熱するガスバーナと、前記ガスバーナに供給される前記燃料ガスのガス流量を制御するガス流量制御弁とを備え、前記加熱された空気を前記収容室に供給することによって前記収容室内の衣類を乾燥させるガス式衣類乾燥機において、
前記ガスボンベは、所定の充填ガス量の前記燃料ガスが充填された状態で前記ガス式衣類乾燥機に取り付けられており、
前記ガスバーナに供給された前記燃料ガスのガス流量を累積することによって、前記燃料ガスの累積使用量を算出する累積使用量算出手段と、
前記ガスボンベの前記充填ガス量から、前記燃料ガスの累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出するガス残量算出手段と、
前記充填ガス残量が所定のガス残量まで減少したことを検知して、検知結果を報知する報知手段と、
運転回数を累積することによって累積運転回数を取得する運転回数累積手段と、
前記燃料ガスの累積使用量を前記累積運転回数で除算することによって、運転1回あたりに使用する前記燃料ガスの平均使用量を算出する平均使用量算出手段と、
前記充填ガス残量と前記平均使用量とに基づいて、運転可能と予測される運転可能予測回数を算出する運転可能予測回数算出手段と
を備え、
前記報知手段は、前記運転可能予測回数も報知可能となっている
ことを特徴とする。
【0008】
かかる本発明の第1のガス式衣類乾燥機においては、ガスバーナに供給された燃料ガスのガス流量を累積することによって累積使用量を算出し、ガスボンベの充填ガス量から累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出する。そして、充填ガス残量が、予め設定されているガス残量まで減少すると、そのことを報知する。このため、ガスボンベから燃料ガスを供給する場合でも、ガスボンベ内の燃料ガスが無くなる前の適切なタイミングで、燃料ガスが残り少ないことを報知することができる。その結果、ガスボンベ内の燃料ガスが無くなって、ガス式衣類乾燥機を動作させることが出来なくなる事態を回避することが可能となる。これに加えて、上述したガス式衣類乾燥機は、乾燥運転の運転回数を累積することによって累積運転回数を取得して、燃料ガスの累積使用量を累積運転回数で除算することによって、運転1回あたりに使用する燃料ガスの平均使用量を算出する。そして、ガスボンベの充填ガス量から累積使用量を減算して得られる充電ガス残量と平均使用量とに基づいて、運転可能と予測される運転可能予測回数を算出する。こうして得られた運転可能予測回数も報知する。このため、燃料ガスの累積使用量が充填ガス量に達する大まかな時期(すなわち、ガスボンベの燃料ガスが無くなる時期)が分かるので、ユーザは、交換用のガスボンベの準備が必要なことを心積もりしておくことが可能となる。特に、充填ガス残量が所定のガス残量まで減少した後にも運転可能な回数が予測できるので、ユーザは(不急の運転を避けるなど)計画的にガス式衣類乾燥機を使用することが可能となる。
【0009】
あるいは、上述した課題を解決するために、本発明の第2のガス式衣類乾燥機は次の構成を採用した。すなわち、
乾燥しようとする衣類が収容される収容室と、燃料ガスが充填されたガスボンベから供給される前記燃料ガスを燃焼させることによって空気を加熱するガスバーナと、前記ガスバーナに供給される前記燃料ガスのガス流量を制御するガス流量制御弁とを備え、前記加熱された空気を前記収容室に供給することによって前記収容室内の衣類を乾燥させるガス式衣類乾燥機において、
前記ガスボンベは、所定の充填ガス量の前記燃料ガスが充填された状態で前記ガス式衣類乾燥機に取り付けられており、
前記ガスバーナに供給された前記燃料ガスのガス流量を累積することによって、前記燃料ガスの累積使用量を算出する累積使用量算出手段と、
前記ガスボンベの前記充填ガス量から、前記燃料ガスの累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出するガス残量算出手段と、
前記充填ガス残量が所定のガス残量まで減少したことを検知して、検知結果を報知する報知手段と、
前記ガスバーナでの前記燃料ガスの燃焼時間を累積することによって累積燃焼時間を取得する燃焼時間累積手段と、
前記燃料ガスの累積使用量を前記累積燃焼時間で除算することによって、前記燃料ガスの平均ガス流量を算出する平均ガス流量算出手段と、
前記充填ガス残量と前記平均ガス流量とに基づいて、運転可能と予測される運転可能予測時間を算出する運転可能予測時間算出手段と
を備え、
前記報知手段は、前記運転可能予測時間も報知可能となっている
ことを特徴とする。
【0010】
かかる本発明の第2のガス式衣類乾燥機においても、ガスバーナに供給された燃料ガスのガス流量を累積することによって累積使用量を算出し、ガスボンベの充填ガス量から累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出する。そして、充填ガス残量が、予め設定されているガス残量まで減少すると、そのことを報知する。このため、ガスボンベから燃料ガスを供給する場合でも、ガスボンベ内の燃料ガスが無くなる前の適切なタイミングで、燃料ガスが残り少ないことを報知することができる。その結果、ガスボンベ内の燃料ガスが無くなって、ガス式衣類乾燥機を動作させることが出来なくなる事態を回避することが可能となる。
【0011】
加えて、上述した第2のガス式衣類乾燥機は、ガスバーナでの燃料ガスの燃焼時間を累積することによって累積燃焼時間を取得して、燃料ガスの累積使用量を累積燃焼時間で除算することによって、燃料ガスの平均ガス流量を算出する。そして、ガスボンベの充填ガス量から累積使用量を減算して得られる充電ガス残量と平均ガス流量とに基づいて、運転可能と予測される運転可能予測時間を算出する。こうして得られた運転可能予測時間を報知する。
【0012】
こうすれば、燃料ガスの累積使用量が充填ガス量に達する大まかな時期(すなわち、ガスボンベの燃料ガスが無くなる時期)が分かるので、ユーザは、交換用のガスボンベの準備が必要なことを心積もりしておくことが可能となる。特に、充填ガス残量が所定のガス残量まで減少した後にも運転可能な時間が予測できるので、ユーザは(不急の運転を避けるなど)計画的にガス式衣類乾燥機を使用することが可能となる。また、いわゆるコインランドリなどに設置されるガス式衣類乾燥機はタイマを設定して運転されることが多いが、タイマを設定して乾燥運転している途中で燃料ガスが無くなってしまうと、乾燥中の衣類が生乾きとなる事態が発生する。しかし、運転可能な残り時間が分かれば、こうした事態が発生することを防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施例のガス式衣類乾燥機10の外観形状を示した説明図である。
【
図2】本実施例のガス式衣類乾燥機10の内部構造を示す断面図である。
【
図3】本実施例のガス式衣類乾燥機10に搭載された操作パネル12についての説明図である。
【
図4】本実施例のガス式衣類乾燥機10に搭載されたコントローラ180の内部構造についての説明図である。
【
図5】本実施例のコントローラ180が実施する燃料ガス残量監視処理の前半部分のフローチャートである。
【
図6】本実施例のコントローラ180が実施する燃料ガス残量監視処理の後半部分のフローチャートである。
【
図7】変形例のコントローラ180の内部構造についての説明図である。
【
図8】変形例のコントローラ180が実施する燃料ガス残量監視処理の前半部分のフローチャートである。
【
図9】変形例のコントローラ180が実施する燃料ガス残量監視処理の後半部分のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.本実施例 :
A-1.本実施例の装置構成 :
図1は、本実施例のガス式衣類乾燥機10の外観形状を示した説明図である。図示されるように、ガス式衣類乾燥機10は、外観形状が直方体形状となっており、金属製のラック14の上に据え付けられている。ガス式衣類乾燥機10の前面側には開閉扉11が取り付けられており、開閉扉11の右端には引手11kが設けられ、開閉扉11の左端は図示しないヒンジで軸支されている。引手11kを引いて開閉扉11を手前に開くと衣類投入口11iが現れて、乾燥しようとする衣類を衣類投入口11iから投入することが可能となる。また、開閉扉11の前面側には操作パネル12が取り付けられており、ガス式衣類乾燥機10のユーザは、操作パネル12を用いて各種の設定や乾燥運転の開始などを、ガス式衣類乾燥機10に対して行うようになっている。
【0023】
また、本実施例のガス式衣類乾燥機10は、燃料ガスを燃焼させて生成した温風を用いて衣類を乾燥させている。このため、ラック14内の空間には、燃料ガスが充填されたガスボンベ20が収納されており、ガスボンベ20からガスチューブ20tを介してガス式衣類乾燥機10に燃料ガスが供給されるようになっている。また、本実施例のガス式衣類乾燥機10は、ガスボンベ20から燃料ガスの供給を受けているため、ガスボンベ20内の燃料ガスが無くなると、衣類を乾燥させることができなくなる。そこで、本実施例のガス式衣類乾燥機10には、開閉扉11の下方の位置に、ガスボンベ20内の燃料ガスが残り少なくなったことを報知する報知ランプ13が設けられている。
【0024】
更に、本実施例のガス式衣類乾燥機10は、有線あるいは無線によって、いわゆるインターネットや携帯電話回線網などの公衆通信網2に接続可能となっている。そして、公衆通信網2を経由して、ガスボンベの配達会社3や、スマートフォンなどの携帯情報端末4に接続可能となっている。ガスボンベの配達会社3や携帯情報端末4などの接続先は、ガス式衣類乾燥機10のユーザによって予め登録されている。
【0025】
図2は、本実施例のガス式衣類乾燥機10の内部構造を示す断面図である。本実施例のガス式衣類乾燥機10は、直方体形状の本体ケース100の内部に、円筒形状の回転ドラム110が搭載された構造となっている。回転ドラム110の一端側は大きく開口しており、その開口端には、円環形状のリング板120が嵌め込まれている。また、リング板120の内周側は曲げ加工されることによってバーリング形状に形成されており、バーリング形状の内周面には、一端側がフランジ状に拡径した大径の円筒パイプ121が組み付けられている。更に、円筒パイプ121は、拡径したフランジ部分で本体ケース100に組み付けられている。リング板120は円筒パイプ121を介して本体ケース100に固定されているが、回転ドラム110はリング板120に対して回転可能となっており、更に、回転ドラム110の他端側は、支持軸130によって軸支されている。このため回転ドラム110は、一端側がリング板120によって支えられ、他端側が支持軸130によって軸支されることによって、回転可能となっている。円筒パイプ121の内側は衣類投入口11iを形成しており、通常状態では衣類投入口11iは開閉扉11によって塞がれているが、開閉扉11を開くと衣類投入口11iから回転ドラム110内に衣類を投入可能となる。回転ドラム110の下方には電動モータ140が搭載されており、電動モータ140を回転させると、その回転トルクが伝動ベルト141によって回転ドラム110に伝わって、回転ドラム110が回転するようになっている。尚、本実施例では、回転ドラム110が本発明における「収容室」に対応する。
【0026】
また、衣類投入口11iから見て、回転ドラム110の奥側の端面には複数の通風口112が形成されており、それら通風口112の向こう側には排気ダクト151が形成されている。排気ダクト151内には送風ファン150が収納されており、送風ファン150は、伝動ベルト142を介して電動モータ140によって回転するようになっている。また、排気ダクト151は、本体ケース100の上面に開口することによって、排気口102を形成している。更に、排気ダクト151には、排気ダクト151から排出される排気温度を検出するための排気温センサ103が取り付けられている。
【0027】
回転ドラム110の下方には、燃料ガスを燃焼させるガスバーナ160や、ガスバーナ160に燃料ガスを供給するためのガスパイプ171も搭載されている。ガスパイプ171の一端側は、図示しないレギュレータを介してガスボンベ20(
図1参照)に接続されており、ガスパイプ171の他端側には噴射ノズル172が取り付けられている。噴射ノズル172は、ガスバーナ160の混合通路の開口端を臨む位置に設けられている。更に、ガスパイプ171の途中には、ガス流量制御弁170が搭載されている。また、ガスバーナ160の上方には温風通路161が形成されており、温風通路161はリング板120に形成された温風流入口111に接続されている。
【0028】
排気ダクト151内の送風ファン150を回転させると、回転ドラム110に形成された複数の通風口112から回転ドラム110内の空気が吸い出され、これに伴って、温風流入口111からは、回転ドラム110内に空気が流入する。また、本体ケース100の底面には複数の空気取入口101が形成されており、空気取入口101から本体ケース100内に流入した空気が、温風通路161を通って温風流入口111から回転ドラム110内に供給されるようになっている。
【0029】
このように送風ファン150を回転させた状態で、噴射ノズル172から燃料ガスを噴射すると、噴射された燃料ガスは周囲の空気と一緒にガスバーナ160の混合通路に流入して、燃料ガスと空気との混合ガスを形成し、その混合ガスに図示しない点火プラグで点火することによって、ガスバーナ160での燃焼が開始される。そして、ガスバーナ160で生じた燃焼ガスは、本体ケース100の底面の空気取入口101から流入した空気と共に温風通路161内に流入し、温風通路161内で空気と混合して温風となった後、温風流入口111から回転ドラム110内に流入する。そして回転ドラム110内を旋回した後、回転ドラム110の奥側に形成された通風口112から流出して、排気ダクト151を通過し、排気口102から排出される。このため、衣類投入口11iから回転ドラム110内に衣類を投入しておき、送風ファン150および回転ドラム110を回転させながら、ガスバーナ160で燃料ガスを燃焼させれば、回転ドラム110内の衣類を乾燥させることが可能となる。
【0030】
また、本体ケース100内にはコントローラ180も搭載されている。コントローラ180は、主にマイクロコンピュータによって構成されており、電動モータ140やガス流量制御弁170の動作はコントローラ180によって制御されている。更に、排気温センサ103などの各種のセンサの出力もコントローラ180に入力されている。また、コントローラ180は、開閉扉11の前面側に搭載された操作パネル12や、報知ランプ13にも接続されている。ガス式衣類乾燥機10のユーザは、操作パネル12を操作することによって、ガス式衣類乾燥機10の動作内容を設定するようになっている。尚、本実施例では、操作パネル12が本発明における「操作部」に対応する。
【0031】
図3は、本実施例のガス式衣類乾燥機10に搭載された操作パネル12についての説明図である。図示されるように、操作パネル12の中央には液晶画面12pが設けられており、液晶画面12pの下方には、電源ボタン12aや、一時停止ボタン12bや、モード選択ボタン12cや、カーソルボタン12dや、タイマ設定ボタン12eや、入力ボタン12fなどが設けられている。
【0032】
電源ボタン12aは、ガス式衣類乾燥機10の電源を投入したり、電源を切断したりするために押されるボタンであり、ガス式衣類乾燥機10の電源が投入されると、コントローラ180が動作を開始するようになっている。また、一時停止ボタン12bは、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転を一時的に停止するために押されるボタンであり、たとえば乾燥運転中に衣類を追加で投入する場合などに使用される。モード選択ボタン12cは、ガス式衣類乾燥機10に対して乾燥運転の運転モードを設定するために押されるボタンである。モード選択ボタン12cを押すと、予め設定されている複数種類の運転モードが液晶画面12pに表示され、カーソルボタン12dを操作して所望の運転モードを選択した後、入力ボタン12fを押すことによって、コントローラ180に運転モードを設定することができる。タイマ設定ボタン12eは、ガス式衣類乾燥機10にタイマを設定するためのボタンである。タイマ設定ボタン12eを押すと、液晶画面12pにタイマ設定用の数字が表示されるので、カーソルボタン12dを操作して数字を増減させることによってタイマ用の時間を表示した後、入力ボタン12fを押すことによって、コントローラ180にタイマ用の時間を設定することができる。
【0033】
更に、本実施例のガス式衣類乾燥機10は、衣類を乾燥させるための温風を、燃料ガスを燃焼させることによって生成しており、燃料ガスはガスボンベ20から供給している。このため、ガスボンベ20に充填されている燃料ガスが無くなると、衣類を乾燥させることができなくなるので、こうした事態を避けるため、液晶画面12pには、ガスボンベ20内の燃料ガスの残量に関する各種の情報も表示されるようになっている。この点については、後ほど詳しく説明する。
【0034】
図4は、本実施例のガス式衣類乾燥機10に搭載されたコントローラ180の内部構造についての説明図である。図示されるように、コントローラ180は、運転制御部181や、計時部182、累積使用量算出部183、累積使用量記憶部184、ガス量記憶部185、ガス残量算出部186、報知部187、外部通信部188、運転回数累積部189、平均使用量算出部190、運転可能予測回数算出部191を備えている。尚、これらの「部」は、本実施例のコントローラ180が、ガスボンベ20内の燃料ガスの残量を監視するために備える機能を便宜的に分類したものであり、コントローラ180の内部がこれらの「部」に物理的に分割されていることを示すものではない。これらの「部」は、コンピュータが実行するプログラムとして実現することもできるし、基板に搭載された集積回路として実現することもできるし、プログラムと集積回路とを組み合わせることによって実現することもできる。
【0035】
運転制御部181は、操作パネル12や、ガス流量制御弁170、電動モータ140、排気温センサ103などに接続されており、ユーザが操作パネル12に設定した内容に従って、ガス流量制御弁170や電動モータ140の動作を制御する。また、排気温センサ103を用いて検出した排気の温度や、図示しない各種のセンサの出力に基づいて、ガス流量制御弁170の弁開度を制御することによって、ガスバーナ160に供給する燃料ガスのガス流量を制御したり、電動モータ140の回転速度を制御したりする。また、計時部182は、運転制御部181からの指令を受けると経過時間の計測を開始したり、所定時間が経過する度に割り込み信号を出力したりすることができる。更に、計時部182は、現在時刻や日付を取得するなどの時計機能も有している。
【0036】
累積使用量算出部183は、所定時間(たとえば1秒)が経過する度に計時部182から割り込み信号を受け取ると、ガスバーナ160に供給される燃料ガスのガス流量を運転制御部181から取得して、そのガス流量を累積することによって、燃料ガスの累積使用量を算出する。そして、ガス式衣類乾燥機10での乾燥運転が終了した旨を運転制御部181から受け取ると、その時点で得られていた累積使用量を累積使用量記憶部184に記憶しておき、次回に乾燥運転が開始された際には、累積使用量記憶部184に記憶されている累積使用量を読み出して、その累積使用量に対して燃料ガスのガス流量を累積する。尚、本実施例の累積使用量算出部183は、本発明における「累積使用量算出手段」に対応する。
【0037】
累積使用量記憶部184には、上述したように、累積使用量算出部183で得られた燃料ガスの累積使用量が記憶されている。この累積使用量は、ガス式衣類乾燥機10で乾燥運転を行うことによって単調に増加していくが、操作パネル12の各種の操作ボタン(
図3参照)を特別な態様で操作(たとえば、タイマ設定ボタン12eと入力ボタン12fとを同時に所定時間以上、長押し)すると、累積使用量の値を0に初期化することが可能となっている。尚、累積使用量を初期化するためには、操作パネル12の各種の操作ボタンを特別な態様で操作することが必要となっている理由については後述する。
【0038】
ガス量記憶部185には、所定の報知ガス量と、ガスボンベ20の充填ガス量とが記憶されている。詳細には後述するが、報知ガス量は、ガスボンベ20内の燃料ガスが残り少なくなったことを報知するために用いられる値であり、ガスボンベ20に充填されている燃料ガスの充填ガス量に対して若干の余裕を持たせた少なめの値に設定されている。また、この報知ガス量および充填ガス量も、操作パネル12の各種の操作ボタンを特別な態様で操作することによって変更することが可能となっている。本実施例では、2つのカーソルボタン12dを同時に所定時間以上、長押しすると、現在の報知ガス量および充填ガス量が液晶画面12pに表示されるので、その状態でカーソルボタン12dを操作することによって、報知ガス量または充填ガス量を選択した後、入力ボタン12fを押すことによって選択を決定する。そして、カーソルボタン12dを操作することによって、選択した報知ガス量または充填ガス量の値を変更した後、入力ボタン12fを押すと、選択した報知ガス量または充填ガス量の値が新たな値に変更されて、ガス量記憶部185に記憶されるようになっている。尚、報知ガス量や充填ガス量を変更するためには、操作パネル12の各種の操作ボタンを特別な態様で操作することが必要となっている理由についても後述する。
【0039】
ガス残量算出部186は、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転が終了する度に、その時点での燃料ガスの累積使用量を累積使用量算出部183から取得すると共に、ガス量記憶部185に記憶されている報知ガス量および充填ガス量を取得する。そして、報知ガス量から累積使用量を減算することによって、報知ガス残量を算出した後、報知ガス残量が負の値になっていた場合は、その旨の情報を報知部187に出力する。更に、充填ガス量から累積使用量を減算することによって、充填ガス残量を算出した後、得られた充填ガス残量の値を、運転可能予測回数算出部191に出力する。
【0040】
報知部187は、報知ガス残量が負の値になっている旨の情報をガス残量算出部186から受け取ると、操作パネル12の液晶画面12p(
図3参照)に、交換用のガスボンベ20の手配を要する旨の警告を表示して報知すると共に、報知ランプ13を点灯させることによっても、その旨を報知する。また、外部通信部188は、携帯情報端末4やガスボンベ20の配達会社3などの予め登録されている接続先に、公衆通信網2を介して接続することが可能となっている。そして、ユーザによって予め設定されている場合には、報知部187が操作パネル12や報知ランプ13を用いて、ガスボンベ20の手配を要する旨を報知する際に、外部通信部188から公衆通信網2を介して、携帯情報端末4や配達会社3に接続することによって、交換用のガスボンベ20を手配することも可能となっている。尚、本実施例の報知部187は、本発明における「報知手段」に対応する。
【0041】
また、運転可能予測回数算出部191は、ガス残量算出部186から充填ガス残量を受け取ると、運転可能予測回数を算出して、報知部187に出力する。すると、報知部187は、受け取った運転可能予測回数を操作パネル12の液晶画面12p(
図3参照)に表示する。ここで、運転可能予測回数とは、ガスボンベ20内に残っている燃料ガスで乾燥運転が可能と予測される運転回数である。運転可能予測回数は、次のようにして算出される。
【0042】
先ず、運転回数累積部189は、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転が開始される度に、乾燥運転の運転回数に1を加算することによって運転回数を累積している。また、平均使用量算出部190は、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転が終了する度に、その時点での燃料ガスの累積使用量を累積使用量算出部183から取得すると共に、運転回数累積部189からは運転回数の累積値を取得する。そして、燃料ガスの累積使用量を、運転回数の累積値で除算することによって、1回の乾燥運転で使用する燃料ガス量(すなわち、平均使用量)を算出して、得られた平均使用量を運転可能予測回数算出部191に出力する。運転可能予測回数算出部191は、ガス残量算出部186から充填ガス残量(すなわち、ガスボンベ20の充填ガス量から累積使用量を減算した値)を受け取ると、平均使用量算出部190から受け取った平均使用量で充填ガス残量を除算することによって、運転可能予測回数を算出する。
【0043】
このように、運転可能予測回数算出部191は、乾燥運転が終了した時の累積使用量が報知ガス量に達しているか否かに拘わらず、ガスボンベ20内に残った燃料ガス量(すなわち、充填ガス残量)で運転可能な予測回数を算出して、報知部187に出力する。報知部187は、こうして受け取った運転可能予測回数を操作パネル12の液晶画面12pに表示する。このため、ガス式衣類乾燥機10のユーザは、交換用のガスボンベ20の準備が必要となる大まかな時期を予測することが可能となる。その結果、ガスボンベ20内の燃料ガスが無くなって、衣類を乾燥させることが出来なくなる事態を回避することが可能となる。尚、本実施例の運転回数累積部189は、本発明における「運転回数累積手段」に対応し、本実施例の平均使用量算出部190は、本発明における「平均使用量算出手段」に対応する。また、本実施例の運転可能予測回数算出部191は、本発明における「運転可能予測回数算出手段」に対応する。
【0044】
A-2.本実施例の燃料ガス残量監視処理 :
図5および
図6は、上述した本実施例のコントローラ180が実施する燃料ガス残量監視処理のフローチャートである。燃料ガス残量監視処理では、先ず初めに、乾燥運転を開始するか否かを判断する(STEP10)。ガス式衣類乾燥機10のユーザは、乾燥運転を開始するために操作パネル12を操作するので、コントローラ180は、ユーザによる操作パネル12の操作内容を取得することによって、乾燥運転を開始するか否かを判断することができる。その結果、乾燥運転を開始しないと判断した場合は(STEP10:no)、同じ判断を繰り返すことによって、乾燥運転を開始するまで待機状態となる。
【0045】
これに対して、乾燥運転を開始すると判断した場合は(STEP10:yes)、ユーザが操作パネル12を用いて設定した設定内容に従って乾燥運転を開始する(STEP11)。乾燥運転は、回転ドラム110および送風ファン150を回転させながら、ガス流量制御弁170を開いてガスバーナ160に燃料ガスを供給し、図示しない点火プラグで点火することによって開始することができる。
【0046】
続いて、乾燥運転の運転回数に1を加算した後(STEP12)、図示しない不揮発性メモリに記憶されていた累積使用量を読み出す(STEP13)。ここで、累積使用量とは、ガスボンベ20の交換後に使用した燃料ガスの総量である。ガスボンベ20を交換する際に累積使用量を0に初期化しておき、ガスバーナ160で燃料ガスを燃焼させている間は、所定時間が経過する度に、ガスバーナ160に供給される燃料ガスのガス流量を累積することによって、累積使用量を算出することができる。また、累積使用量の初期化は、操作パネル12の各種のボタン(
図3参照)を用いて行われるが、ユーザが操作パネル12を誤って操作して累積使用量が初期化されてしまうと、ガスボンベ20の交換後に使用した燃料ガスの総量(すなわち、累積使用量)を正しく求めることができなくなる。そこで、累積使用量を初期化するためには、操作パネル12の各種のボタンを特別な態様で操作(本実施例では、タイマ設定ボタン12eと入力ボタン12fとを同時に所定時間以上、長押し)するようになっている。このような操作は、意図しなければ行われることがないので、ユーザが誤って累積使用量を初期化してしまう虞を防止することが可能となる。尚、本実施例では、累積使用量が初期化されると、乾燥運転の運転回数の累積値も自動的に初期化されるようになっている。
【0047】
燃料ガスの累積使用量を読み出したら、今度は、ガスバーナ160に供給する燃料ガスのガス流量を取得する(STEP14)。コントローラ180は、ガス流量制御弁170の弁開度を調節することによって燃料ガスのガス流量を制御しているから、ガス流量は容易に取得することができる。そして、取得したガス流量を累積使用量に加算する(STEP15)。その後、乾燥運転の終了条件が成立したか否かを判断する(STEP16)。乾燥運転の終了条件には種々の条件を設定し得るが、ここでは予め設定しておいた乾燥時間の経過が、終了条件として設定されているものとする。
【0048】
その結果、乾燥運転の経過時間が成立していない場合は(STEP16:no)、所定の累積時間が経過したか否かを判断する(STEP17)。前述したように、本実施例のガス式衣類乾燥機10は所定の時間間隔(たとえば1秒間隔)でガス流量を累積するが、累積時間とは、ガス流量を累積するその時間間隔のことである。そして、累積時間が経過していない場合は(STEP17:no)、再び乾燥運転の終了条件が成立したか否かを判断し(STEP16)、終了条件が成立していない場合は(STEP16:no)、所定の累積時間が経過したか否かを判断する(STEP17)。このような動作を繰り返しているうちに、やがて累積時間が経過したと判断したら(STEP17:yes)、今度はSTEP14に戻って、燃料ガスのガス流量を取得した後、取得したガス流量を累積使用量に加算する(STEP15)。このような動作を繰り返すことによって、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転中は、所定の累積時間が経過する度に、累積使用量のガス流量が累積されていく。
【0049】
そして、やがては、乾燥運転の終了条件が成立したと判断されるので(STEP16:yes)、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転を停止した後(STEP18)、その時点で得られている累積使用量を、図示しない不揮発性メモリに記憶する(
図6のSTEP19)。そして、次回に乾燥運転を開始する際には、
図5のSTEP13では、こうして記憶しておいた累積使用量が読み出されることになる。
【0050】
続いて、充填ガス量から累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出する(STEP20)。
図4を用いて前述したように、充填ガス量は、ガスボンベ20の販売業者から配達されるガスボンベ20に充填されている燃料ガス量を示す値であり、ガスボンベ20を交換する際に、ガスボンベ20を配達してきた販売業者によって設定されている。従って、ガスボンベ20を交換してからの燃料ガスの使用量が充填ガス量に達した場合は、使用中のガスボンベ20には燃料ガスが残っていないと判断することができる。
【0051】
尚、交換する新たなガスボンベ20の充填ガス量が、それまで使用していたガスボンベ20の充填ガス量と同じであれば、既に設定されている充填ガス量を変更する必要は無いが、ガスボンベ20の充填ガス量が変わる場合は、設定されている充填ガス量の値を変更する必要が生じる。そこで、本実施例のガス式衣類乾燥機10は、操作パネル12の各種の操作ボタンを特別な態様で操作することによって、充填ガス量を変更することが可能となっている。また、ガス式衣類乾燥機10のユーザが、操作パネル12を操作しているうちに、誤って充填ガス量を変更してしまうと、ガスボンベ20の燃料ガスが無くなるタイミングが分からなくなり、乾燥運転中に燃料ガスが無くなる事態が発生し得る。そこで、充填ガス量を変更するためには、操作パネル12の2つのカーソルボタン12dを同時に所定時間以上、長押しすることによって、充填ガス量(および報知ガス量)を液晶画面12pに表示させる。そして、充填ガス量を選択した後、カーソルボタン12dを操作して充填ガス量の値を増減させることによって、充填ガス量を変更するようになっている。このような操作は、意図しなければ行われることがないので、ユーザが誤って充填ガス量を変更してしまう虞を防止することが可能となる。
【0052】
以上のようにして充填ガス残量を算出したら(STEP20)、得られた充填ガス残量の値が負の値か否かを判断する(STEP21)。その結果、充填ガス残量の値が負の値であった場合は(STEP21:yes)、ガスボンベ20の燃料ガスが空になっていると考えられるので、ガスボンベ20の燃料ガスが無い旨を報知して(STEP22)、
図5および
図6の燃料ガス残量監視処理を終了する。燃料ガスが無い旨の報知は、操作パネル12の液晶画面12pに所定の画像を表示すると共に、報知ランプ13を点滅させることによって行う。
【0053】
これに対して、充填ガス残量の値が負の値ではなかった場合は(STEP21:no)、今度は、報知ガス量から累積使用量を減算することによって報知ガス残量を算出する(STEP23)。ここで、報知ガス量も、前述した充填ガス量と同様に、ガスボンベ20を交換する際に、ガスボンベ20を配達してきた販売業者によって設定される値である。報知ガス量は、ガスボンベ20の充填ガス量に対して若干の余裕を持たせた少なめの値に設定されている。このため、ガスボンベ20を交換してからの燃料ガスの使用量が報知ガス量に達したら、新たなガスボンベ20を準備する必要があると判断することができる。
【0054】
尚、交換する新たなガスボンベ20の充填ガス量が、それまで使用していたガスボンベ20の充填ガス量と同じであれば、既に設定されている報知ガス量をそのまま使用することができるが、ガスボンベ20の充填ガス量が変わる場合は、報知ガス量の値を変更する必要が生じる。そこで、本実施例のガス式衣類乾燥機10は、操作パネル12の各種の操作ボタンを特別な態様で操作することによって、報知ガス量を変更することが可能となっている。また、ガス式衣類乾燥機10のユーザが、操作パネル12を操作しているうちに、誤って報知ガス量を変更してしまうと、交換用のガスボンベ20を準備するタイミングが分からなくなってしまう。そこで、報知ガス量を変更するためには、操作パネル12の2つのカーソルボタン12dを同時に所定時間以上、長押しすることによって報知ガス量および充填ガス量を液晶画面12pに表示させ、報知ガス量を選択した後、その値を、カーソルボタン12dを操作して増減させることによって、報知ガス量を変更するようになっている。このような操作は、意図しなければ行われることがないので、ユーザが誤って報知ガス量を変更してしまう虞を防止することが可能となる。
【0055】
以上のようにして報知ガス残量を算出したら(STEP23)、得られた報知ガス残量の値が負の値か否かを判断する(STEP24)。その結果、報知ガス残量の値が負の値であった場合は(STEP24:yes)、燃料ガスの累積使用量が報知ガス量を超えてしまっていることになるので、ガスボンベ20の交換が必要である旨を報知する(STEP25)。報知は、操作パネル12の液晶画面12pに所定の画像を表示すると共に、報知ランプ13を点滅させることによって行う。また、ユーザの設定によっては、予め登録されている携帯情報端末4に通知を送信することによって報知したり、更には、予め登録されている配達会社3に新たなガスボンベ20の配達を依頼したりすることも可能である。これに対して、報知ガス残量の値が負の値では無かった場合は(STEP24:no)、まだガスボンベ20の交換は不要と考えられるので、STEP25の報知は行わない。
【0056】
こうして報知ガス残量の正負に応じて、ガスボンベ20の交換の要否を報知したら(STEP25)、今度は、乾燥運転の運転回数の累積値を読み出す(STEP26)。運転回数の累積値は、乾燥運転を開始する度に、
図5のSTEP12で運転回数に1を加算することによって算出されている。続いて、乾燥運転1回あたりの燃料ガスの平均使用量を算出する(STEP27)。燃料ガスの平均使用量は、燃料ガスの累積使用量を、運転回数の累積値で除算することによって求めることができる。そして、STEP20で算出しておいた充填ガス残量を、平均使用量で除算することによって、運転可能予測回数を算出する(STEP28)。運転可能予測回数とは、ガスボンベ20の燃料ガスが無くなるまでに実行可能と予測される乾燥運転の回数を表している。
【0057】
こうして運転可能予測回数が得られたら、操作パネル12の液晶画面12pに表示することによって運転可能予測回数を報知する(STEP29)。また、ユーザの設定によっては、予め登録されている携帯情報端末4に通知を送信することによって、運転可能予測回数を報知してもよい。その後、処理の先頭に戻って、再び、乾燥運転を開始するか否かを判断する(
図5のSTEP10)。
【0058】
本実施例のガス式衣類乾燥機10では、以上のような燃料ガス残量監視処理が行われている。このため、ガス式衣類乾燥機10のユーザは、ガスボンベ20を交換してからの燃料ガスの使用量が報知ガス量に達した時点で(すなわち、ガスボンベ20の燃料ガスが空になる前に)、交換用のガスボンベ20の準備が必要であることを認識することができる。その結果、ガスボンベ20内の燃料ガスが無くなって、衣類を乾燥させることが出来なくなる事態を回避することが可能となる。また、ガスボンベ20の燃料ガスで運転可能な乾燥運転の回数を予測することができるので、交換用のガスボンベ20の準備を心積もりしておいたり、不急の乾燥運転を避けるなど、計画的に乾燥運転したりすることが可能となる。
【0059】
B.変形例 :
B-1.変形例の装置構成 :
上述した本実施例のガス式衣類乾燥機10では、ガスボンベ20の交換が必要である旨を報知すると共に、ガスボンベ20に残った燃料ガスで実行可能と予測される乾燥運転の回数(運転可能予測回数)を表示するものとして説明した。しかし、運転可能と予測される回数ではなく、運転可能と予測される運転時間を表示するようにしても良い。以下では、このような変形例について説明する。尚、変形例は、本実施例との共通点が多いので、共通点については最小限の説明に留めて、本実施例との相違点を中心として説明することにする。
【0060】
図7は、変形例のコントローラ180の内部構造についての説明図である。
図4を用いて前述した本実施例と比べると、変形例のコントローラ180は本実施例のコントローラ180に対して、運転回数累積部189が燃焼時間累積部192に変更されており、平均使用量算出部190が平均ガス流量算出部193に変更されており、運転可能予測回数算出部191が運転可能予測時間算出部194に変更されている点が異なっているが、その他の点については本実施例と同様である。
【0061】
図7に示した変形例でも、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転中は、累積使用量算出部183が所定の時間間隔で燃料ガスのガス流量を累積しており、乾燥運転が終了すると、ガス残量算出部186が、報知ガス量から累積使用量を減算することによって報知ガス残量を算出し、充填ガス量から累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出する。そして、報知ガス残量が負の値であった場合は、交換用のガスボンベ20を準備する必要がある旨を、報知部187が操作パネル12の液晶画面12pや報知ランプ13を用いて報知する。また、ガス残量算出部186は、算出した充填ガス残量を、後述する運転可能予測時間算出部194に出力する。
【0062】
更に、変形例のコントローラ180では、運転可能予測時間算出部194が、運転可能予測時間を算出して報知部187に出力するようになっている。ここで、運転可能予測時間とは、ガスボンベ20の燃料ガスが無くなるまでの間に、乾燥運転で燃料ガスを燃焼させることが可能と予測される時間である。また、運転可能予測時間は、次のようにして算出される。
【0063】
先ず、変形例のコントローラ180は燃焼時間累積部192を備えており、燃焼時間累積部192は、運転制御部181と計時部182とに接続されている。そして、ガスバーナ160で燃料ガスの燃焼を開始した旨の情報を運転制御部181から受けると、計時部182を用いて経過時間を計測することによって、燃料ガスの燃焼時間を累積する。
【0064】
また、変形例の累積使用量算出部183は、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転が終了する度に、その時点での燃料ガスの累積使用量を平均ガス流量算出部193に出力しており、平均ガス流量算出部193は燃料ガスの累積使用量を受け取ると、燃焼時間累積部192で累積していた燃焼時間(累積燃焼時間)を受け取る。そして、累積使用量を累積燃焼時間で除算することによって、単位時間あたりに燃焼させる燃料ガス量(すなわち、平均ガス流量)を算出した後、運転可能予測時間算出部194に出力する。
【0065】
また、運転可能予測時間算出部194は、ガス残量算出部186で算出した充填ガス残量(すなわち、充填ガス量から累積使用量を減算した値)を受け取ると、平均ガス流量算出部193から平均ガス流量を取得する。そして、充填ガス残量を平均ガス流量で除算することによって、運転可能予測時間を算出する。そして、こうして求めた運転可能予測時間を報知部187に出力すると、その運転可能予測時間を、報知部187が操作パネル12の液晶画面12pに表示する。このため、変形例の場合も、ガス式衣類乾燥機10のユーザは、ガスボンベ20の燃料ガスが無くなるまでに運転可能な大まかな運転時間を知ることが可能となる。尚、本実施例の燃焼時間累積部192は、本発明における「燃焼時間累積手段」に対応し、本実施例の平均ガス流量算出部193は、本発明における「平均ガス流量算出手段」に対応する。また、本実施例の運転可能予測時間算出部194は、本発明における「運転可能予測時間算出手段」に対応する。
【0066】
B-2.変形例の燃料ガス残量監視処理 :
図8および
図9は、上述した変形例のコントローラ180が実施する燃料ガス残量監視処理のフローチャートである。変形例の燃料ガス残量監視処理は、
図5および
図6を用いて前述した本実施例の燃料ガス残量監視処理に対して、運転可能予測回数の代わりに、運転可能予測時間を報知する点が大きく異なるが、その他の点についてはほぼ同様である。以下では、前述した本実施例の燃料ガス残量監視処理との相違点を中心として、変形例の燃料ガス残量監視処理に付いて説明する。
【0067】
図8に示すように、変形例の燃料ガス残量監視処理でも、前述した本実施例の処理と同様に、先ず初めに、乾燥運転を開始するか否かを判断する(STEP50)。そして、乾燥運転を開始しないと判断した場合は(STEP50:no)、同じ判断を繰り返すことによって、乾燥運転を開始するまで待機状態となるが、乾燥運転を開始すると判断した場合は(STEP50:yes)、ユーザが操作パネル12を用いて設定した設定内容に従って乾燥運転を開始する(STEP51)。
【0068】
続いて、図示しない不揮発性メモリに記憶されている累積使用量を読み出した後(STEP52)、同じく不揮発性メモリに記憶されている累積燃焼時間も読み出す(STEP53)。ここで、累積燃焼時間とは、ガスボンベ20を交換した以降での、ガスバーナ160の燃焼時間を累積した時間である。累積燃焼時間は、ガスボンベ20の交換に伴って累積使用量を初期化すると、累積燃焼時間も自動的に初期化されるようになっている。
【0069】
その後、ガスバーナ160に供給する燃料ガスのガス流量を取得して(STEP54)、取得したガス流量を累積使用量に加算する(STEP55)。続いて、乾燥運転の終了条件が成立したか否かを判断する(STEP56)。その結果、乾燥運転の経過時間が成立していない場合は(STEP56:no)、所定の累積時間が経過したか否かを判断する(STEP57)。前述したように、累積時間とは、ガス流量を累積する時間間隔のことである。そして、累積時間が経過していない場合は(STEP57:no)、再び乾燥運転の終了条件が成立したか否かを判断し(STEP56)、終了条件が成立していない場合は(STEP56:no)、累積時間が経過したか否かを判断する(STEP57)。このような動作を繰り返しているうちに、やがて累積時間が経過したと判断したら(STEP57:yes)、累積燃焼時間に累積時間を加算した後(STEP58)、STEP54に戻って、再び、燃料ガスのガス流量を取得する。そして、取得したガス流量を累積使用量に加算する(STEP55)。このような動作を繰り返すことによって、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転中は、所定の累積時間が経過する度に、累積使用量および累積燃焼時間が累積されていく。
【0070】
そして、やがては、乾燥運転の終了条件が成立したと判断されるので(STEP56:yes)、ガス式衣類乾燥機10の乾燥運転を停止した後(
図9のSTEP59)、その時点で得られている累積燃焼時間および累積使用量を、図示しない不揮発性メモリに記憶する(STEP60)。そして、次回に乾燥運転を開始する際には、こうして記憶しておいた累積使用量および累積燃焼時間が読み出されることになる。
【0071】
続いて、充填ガス量から累積使用量を減算することによって充填ガス残量を算出して(STEP61)、充填ガス残量の値が負の値か否かを判断する(STEP62)。その結果、充填ガス残量の値が負の値であった場合は(STEP62:yes)、ガスボンベ20の燃料ガスが無い旨を報知して(STEP63)、
図8および
図9の燃料ガス残量監視処理を終了する。これに対して、充填ガス残量の値が負の値ではなかった場合は(STEP62:no)、今度は、報知ガス量から累積使用量を減算することによって報知ガス残量を算出して(STEP64)、報知ガス残量が負の値か否かを判断する(STEP65)。その結果、報知ガス残量が負の値であった場合は(STEP65:yes)、燃料ガスの累積使用量が、ガスボンベ20の報知ガス量を超えていることになるので、ガスボンベ20の交換が必要である旨を報知する(STEP66)。これに対して、報知ガス残量が負の値では無かった場合は(STEP65:no)、ガスボンベ20の交換が必要である旨の報知は不要となる。
【0072】
こうして報知ガス残量の正負に応じて、ガスボンベ20の交換の要否を報知したら(STEP66)、今度は、その時点で得られていた累積使用量を累積燃焼時間で除算することによって、平均ガス流量を算出する(STEP67)。そして、STEP61で求めておいた充填ガス残量を、平均ガス流量で除算することによって、運転可能予測時間を算出する(STEP68)。前述したように、運転可能予測時間とは、ガスボンベ20の燃料ガスが空になるまでの間に、乾燥運転で燃料ガスを燃焼させることが可能と予測される時間である。そして、こうして得られた運転可能予測時間を、操作パネル12の液晶画面12pに表示することによって運転可能予測回数を報知する(STEP69)。その後、処理の先頭に戻って、乾燥運転を開始するか否かを判断する(
図8のSTEP50)。
【0073】
変形例のガス式衣類乾燥機10でも、以上のような燃料ガス残量監視処理が行われるので、ユーザは、ガスボンベ20の燃料ガスが空になる前の適切なタイミングで、交換用のガスボンベ20の準備が必要であることを認識することができる。また、ガスボンベ20の燃料ガスで乾燥運転が可能な大まかな運転時間を予測することができるので、交換用のガスボンベ20の準備が必要となる大まかな時期を認識したり、ガスボンベ20に残った燃料ガス量に応じて、不急の乾燥運転を避けるなど、計画的に乾燥運転したりすることが可能となる。
【0074】
以上、本実施例および変形例のガス式衣類乾燥機10について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
2…公衆通信網、 3…配達会社、 4…携帯情報端末、
10…ガス式衣類乾燥機、 11…開閉扉、 11i…衣類投入口、
11k…引手、 12…操作パネル、 12a…電源ボタン、
12b…一時停止ボタン、 12c…モード選択ボタン、
12d…カーソルボタン、 12e…タイマ設定ボタン、
12f…入力ボタン、 12p…液晶画面、 13…報知ランプ、
14…ラック、 20…ガスボンベ、 20t…ガスチューブ、
100…本体ケース、 101…空気取入口、 102…排気口、
103…排気温センサ、 110…回転ドラム、 111…温風流入口、
112…通風口、 120…リング板、 121…円筒パイプ、
130…支持軸、 140…電動モータ、 141…伝動ベルト、
142…伝動ベルト、 150…送風ファン、 151…排気ダクト、
160…ガスバーナ、 161…温風通路、 170…ガス流量制御弁、
171…ガスパイプ、 172…噴射ノズル、 180…コントローラ、
181…運転制御部、 182…計時部、 183…累積使用量算出部、
184…累積使用量記憶部、 185…ガス量記憶部、
186…ガス残量算出部、 187…報知部、 188…外部通信部、
189…運転回数累積部、 190…平均使用量算出部、
191…運転可能予測回数算出部、 192…燃焼時間累積部、
193…平均ガス流量算出部、 194…運転可能予測時間算出部。