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  • 特許-ヒンジキャップ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-25
(45)【発行日】2025-05-08
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20250428BHJP
【FI】
B65D47/08 120
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021192848
(22)【出願日】2021-11-29
(65)【公開番号】P2023079390
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-083445(JP,A)
【文献】特開2020-033090(JP,A)
【文献】特開2019-038607(JP,A)
【文献】特開2020-033089(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03728001(DE,A1)
【文献】特開2018-193115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0072231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06 - 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ部を介して取り付けられる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、容器本体の口筒部開口を封鎖する隔壁と、隔壁に開口される吐出開口と、吐出開口から下方に設けられる流量調整部材と、吐出開口から立設される円筒体とを備え、
流量調整部材は、吐出開口から下方に垂設される側壁部と、側壁部の下端部を閉塞する底部と、底部から上方に立設され、上端が隔壁よりも上方に突出する突出部とを備え、
蓋体は、頂壁と、頂壁から垂設され、閉蓋時に流量調整部材の突出部を密封する第1内筒と、頂壁から垂設され、閉蓋時に円筒体を密封する第2内筒とを備えることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
第2内筒は、閉蓋時に、円筒体の内周および外周を挟持して密封することを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
キャップ本体は、隔壁の外縁から立設される注出筒を備え、
蓋体は、頂壁から垂設され、閉蓋時に注出筒を密封する密封筒を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口筒部に装着されるヒンジキャップに関し、とくに炭酸ガスを含有する内容液を充填した容器本体に適するヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体の口筒部に装着されるキャップ本体と、ヒンジ部を介してキャップ本体に開閉可能に取り付けられる蓋体とを備えるヒンジキャップにおいて、容器本体内の密閉性を確保するために、キャップ本体の開口予定部にプルリングなどを形成した除去部を有する隔壁を設けていた。
しかし、除去部を開口するために、蓋体を開けた後、プルリングなどを引っ張って除去部を除去する抜栓作業が必要となり、面倒であるとともに力の弱い利用者にとっては抜栓に苦労するという問題があった。
【0003】
上記課題を解決するために、プルリングを用いない抜栓レスタイプのヒンジキャップとして、キャップ本体は、容器本体の口筒部開口を封鎖する隔壁と、隔壁に開口される注出口と、注出口から立設される注出筒と、注出口から下方に設けられる有底の整流筒体とを備え、整流筒体は、注出口から下方に垂設される側壁部と、側壁部の下端部を閉塞する底部と、底部から上方に立設される突出部とを備え、蓋体は、頂壁と、頂壁の周縁部から垂設される側周壁と、頂壁の裏面から垂設されるシール筒とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-083445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のヒンジキャップは、注出口(吐出開口)の口径を小さくすることができるものの、炭酸ガスを含有する内容液を充填した容器本体の口筒部に装着すると、注出口の口径によっては、容器本体を倒立させて内容液を吐出させた際に、注出口全体が液面に埋まってしまい、吐出できなくなるという、不具合があった。
さらに、炭酸ガスを含有する内容液を充填した容器本体の口筒部に装着したヒンジキャップでは、内容液のガス圧によって蓋体が持ち上がってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、炭酸ガスを含有する内容液であっても、容器本体から内容液を安定して吐出できるとともに、閉蓋中にガス圧により蓋体が持ち上がるのを抑制できるヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器本体の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ部を介して取り付けられる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、キャップ本体は、容器本体の口筒部開口を封鎖する隔壁と、隔壁に開口される吐出開口と、吐出開口から下方に設けられる流量調整部材と、吐出開口から立設される円筒体とを備え、流量調整部材は、吐出開口から下方に垂設される側壁部と、側壁部の下端部を閉塞する底部と、底部から上方に立設され、上端が隔壁よりも上方に突出する突出部とを備え、蓋体は、頂壁と、頂壁から垂設され、閉蓋時に流量調整部材の突出部を密封する第1内筒と、頂壁から垂設され、閉蓋時に円筒体を密封する第2内筒とを備えることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ヒンジキャップの実施形態として、第2内筒は、閉蓋時に、円筒体の内周および外周を挟持して密封することを特徴とする構成を採用し、また、キャップ本体は、隔壁の外縁から立設される注出筒を備え、蓋体は、頂壁から垂設され、閉蓋時に注出筒を密封する密封筒を備えることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、炭酸ガスを含有する内容液であっても、使用時に、容器を傾け、倒立させても安定して吐出させることができるとともに、閉蓋時に、内容液により内圧が高くなっても、蓋体を押し上げて開蓋してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例である容器本体に装着されたヒンジキャップの閉蓋状態を示す側面断面図である。
図2】本発明の実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す説明図で、(a)は、上面図であり、(b)は、側面断面図である。
図3】本発明の実施例である容器本体に装着されたヒンジキャップの開蓋時の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のヒンジキャップについて、実施例を示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図1でみて、上下方向を「軸線方向」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とし、左方向を「正面側(ヒンジ部と反対側)」とし、右方向を「背面側(ヒンジ部側)」とする。
【実施例
【0012】
図1において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着されるキャップ本体、Cはキャップ本体Bの背面側に設けられるヒンジ部、Dはキャップ本体Bにヒンジ部Cを介して開閉可能に取り付けられる蓋体である。
容器本体Aは、ガラスびんであり、上部に口筒部1を有し、口筒部1の外周には、上部にキャップ本体Bの装着時に嵌合する嵌合部2と、その下方にキャップ本体Bを螺合するねじ部(雄ねじ)3とが設けられている。
【0013】
キャップ本体Bは、図1および図2に示すように、容器本体Aに装着され、内周が口筒部1の外周と螺合するとともに、外周の所定の位置にヒンジ部Cが連設される外筒5と、外筒5の内周上端から内方に延設され、口筒部1の上面と当接するリング状の上壁6と、上壁6の内縁から立設される注出筒7と、上壁6の内縁から垂設され、外周が口筒部1の内周に挿入される内筒8と、上壁6の内縁から内方に延設され、口筒部1の開口を封鎖する隔壁9と、隔壁9の中央を貫通する口径w1の吐出開口10と、隔壁9の吐出開口10の内縁から立設される円筒体11と、吐出開口10の内縁から下方に設けられる有底の流量調整部材Eとを備えている。
なお、本実施例では、流量調整部材Eは、キャップ本体Bと一体化されているが、流量調整部材Eは、キャップ本体Bと別体で成形した後、キャップ本体Bにセットするものであっても構わない。
【0014】
外筒5の内周には、容器本体Aのねじ部3に螺合するねじ部(雌ねじ)12が設けられている。
上壁6には、上面外縁から蓋体Dと係合して閉蓋する蓋係合部13を立設し、下面から容器本体Aへの装着時に、内周が口筒部1の嵌合部2外周に嵌合する嵌合筒14が垂設されている。
キャップ本体Bは、容器本体Aに装着時、内筒8の外周と嵌合筒14の内周と上壁6の下面とによって口筒部1の上部を狭持するとともに、外筒5の内周と口筒部1の外周と螺合して装着される。
なお、外筒5の内周と口筒部1の外周は、アンダーカット嵌合させてもよい。
【0015】
流量調整部材Eは、吐出開口10の下端(隔壁9の下面)から下方に高さh1で垂設される円筒状の側壁部15と、側壁部15の下端部を閉塞するように、内方に延設されるリング状の底部16と、底部16の中央から上方に向け、先端が隔壁9の上面から高さh2で立設され、外径w2で形成される中空の突出部17とから構成されている。
側壁部15には、正面側および両側の3箇所に形成される吐出口18と、背面側に形成される空気置換口19とが、側壁部15の上端から底部16の一部を含め所定の幅で切り欠かれている。
なお、少なくとも吐出口18が正面側に、空気置換口19が背面側に設けられていればよく、吐出口18と空気置換口19の個数と配置は、適宜設定できる。
本実施例では、吐出口18と空気置換口19との幅は、同等に形成されているが、これに限らず、吐出口18の幅を空気置換口19の幅より大きくしてもよい。
【0016】
突出部17は、底部16の中央部から上方に立設される筒壁20と、筒壁20の上端を閉塞する天壁21とから構成されている。
また、突出部17の内周側には、底部16から開口した空洞が天壁21まで形成されているが、空洞は、成形可能な構造であればどのような形態でも構わないし、天壁21付近の高さまで達する必要もないし、さらに、空洞自体を無くして底部16中央から突出する中実の突出部17としてもよい。
【0017】
本実施例においては、キャップ本体Bの注出筒7内方の隔壁9は、容器本体Aの口筒部1の開口を塞ぐものであり、隔壁9中央の吐出開口10の口径w1は、口筒部1の内径より小さくなるものである。
また、吐出開口10内では、中央に流量調整部材Eの突出部17が突出されるので、吐出開口10の開口面積sは、口径w1の面積-外径w2の面積となる。
【0018】
蓋体Dは、円板状の頂壁25と、頂壁25の周縁部から垂設され、外周下端部にヒンジ部Cが連設される側周壁26とを備え、頂壁25の裏面には、外側から中央に向かって順に、閉蓋時に外周下部がキャップ本体Bの注出筒7内周上部に挿入され密封する密封筒27と、円筒体11の上部と係合して密封する外側内筒(第2内筒)28と、内周下部に流量調整部材Eの突出部17の外周上部が挿入されて密封する内側内筒(第1内筒)29とが垂設されている。
【0019】
側周壁26の内周下部には、キャップ本体Bの蓋係合部13の上面および外側面と係合して閉蓋状態を維持する係合凹部30が設けられ、さらに、側周壁26の外周下部の正面側には、把手部31が設けられている。
【0020】
外側内筒28には、下端部に外周側から天面32aと外向き面32bとからなる係合段部32が凹設され、また、外周の所定の位置には、先端が天面32aより下方になる高さで径方向に形成される係合リブ33が複数配設され、閉蓋時に、天面32aが円筒体11の上面と当接し、外向き面32bが円筒体11の内周に挿入されて密封するとともに、係合リブ33の先端部内向き面が円筒体11の外周に係合し、外側内筒28が内側に変形することを防止している。
なお、外側内筒28は、閉蓋時に、キャップ本体Bの円筒体11の内周および外周を挟持して密封するものであれば、本実施例の複数の係合リブ33に代えて筒状の部材としても構わない。
【0021】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、図2に示すように開蓋した状態で一体成形し、蓋体Dをヒンジ部Cを介して回動し、キャップ本体Bに被せ、閉蓋する。
【0022】
その際、蓋体Dの密封筒27の外周下部が、キャップ本体Bの注出筒7の内周上部に密着して、シールされるとともに、外側内筒28の係合段部32が円筒体11の上面および内周上部と密着して、シールされる。
また、蓋体Dの側周壁26の係合凹部30とキャップ本体Bの蓋係合部13とが係合するとともに、内側内筒29の内周下部に流量調整部材Eの突出部17の外周上部が挿入されて係合し、閉蓋状態が維持される。
【0023】
次に、閉蓋したヒンジキャップは、図1に示すように、内容液が充填された容器本体Aの口筒部1の外周にキャップ本体Bの外筒5の内周を螺合させるとともに、口筒部1の上部を内筒8の外周と嵌合筒14の内周と上壁6の下面とによって狭持させることで、出荷時に、ヒンジキャップを装着した容器としてもよいし、あるいは、出荷時は、内容液が充填された容器本体Aの口筒部1を王冠で密封し、使用時に、容器本体Aの口筒部1にヒンジキャップを装着する容器としてもよい。
なお、本実施例のヒンジキャップでは、容器の使用時に、容器本体Aの口筒部1から王冠を外し、ヒンジキャップを装着するために、容器本体Aの口筒部1外周のねじ部3とキャップ本体Bの外筒5内周のねじ部12とが螺合するようにしているが、出荷時に、ヒンジキャップを装着した容器とする場合には、それぞれのねじ部の代わりに嵌合凸部と凹部を設け、嵌合して装着するようにしても構わない。
【0024】
本実施例のヒンジキャップは、閉蓋状態で、蓋体Dの側周壁26の係合凹部30とキャップ本体Bの蓋係合部13とが係合して閉蓋状態を維持するとともに、内側内筒29の内周下部に流量調整部材Eの突出部17の外周上部が挿入されて係合し、さらに、密封筒27の外周下部と注出筒7の内周上部、および外側内筒28と円筒体11とが密着するので、閉蓋状態を維持する力が強くなる。
【0025】
また、容器本体Aの内容液は、炭酸ガスを含有しているため、容器本体A内のガス圧が高まり、口筒部1の開口から、キャップ本体Bの隔壁9下面に当たり、流量調整部材Eの吐出口18および空気置換口19から流量調整部材E内に入り、吐出開口10から蓋体Dを下から押し上げることになる。
しかしながら、蓋体Dの内側内筒29の内周下部と流量調整部材Eの突出部17の外周上部との係合により、蓋体Dを下から押し上げるガス圧が、内側内筒29外方のみに掛かるとともに、円筒体11の内周上部と蓋体Dの外側内筒28の外周下部とが係合しているので、蓋体Dを下から押し上げる力が開口面積sの上方のみに限定され、他の部分にはガス圧が掛からず、蓋体Dとキャップ本体Bとの閉蓋が維持されるので、ガス圧により開蓋してしまうことが防止される。
【0026】
本実施例のヒンジキャップは、閉蓋した状態で、落下等の衝撃により、蓋体Dに上側から押圧力が加えられると、蓋体Dがキャップ本体Bに対して押し込まれるが、蓋体Dの外側内筒28の係合段部32の天面32aがキャップ本体Bの円筒体11の上面と当接し、さらに、外向き面32bと係合リブ33の先端部で円筒体11の上部を狭持してずれないようにしているので、蓋体Dの頂壁25が押し潰されることを防止でき、閉蓋状態を安定して維持するとともに、シールも維持することができる。
【0027】
キャップ本体Bの吐出開口10には、流量調整部材Eが設けられているため、ヒンジキャップの閉蓋時に容器を落下させてしまい、容器本体A内の内容液が激しく揺れても、内容液は、流量調整部材Eの底部16に当たって勢いが抑えられ、また、吐出口18から侵入した内容液も突出部17の外周に当たって勢いが押さえられるので、内容液が蓋体Dの頂壁25を勢いよく押し上げ、開蓋させてしまうことがない。
【0028】
容器本体A内の内容液を使用するためには、把手部31に手指を掛け、蓋体Dをヒンジ部Cを回動中心としてキャップ本体Bに対して開蓋する。
その際、図3に示すように、蓋体Dはヒンジ部Cを支点に正面側から持ち上げられていき、正面側の蓋体Dの係合凹部30とキャップ本体Bの蓋係合部13の係合が外れるとともに、密封筒27の外周下部と注出筒7の内周上部との係合が、次いで、外側内筒28下部と円筒体11上部との係合が正面側から離れ、隙間を作りながら、開蓋していく。
【0029】
本実施例のヒンジキャップは、炭酸ガスを含有する内容液であるため、吐出開口10から蓋体Dの外側内筒28と内側内筒29の間のみにガス圧が作用する。
開蓋の際に、まず、外側内筒28下部と円筒体11上部との係合に正面側から隙間ができるので、ガス圧がその隙間から注出筒7の内方に噴出され、圧力が注出筒7内で弱くなり、次いで、密封筒27の外周下部と注出筒7の内周上部との係合に正面側にできる隙間から蓋体Dの側周壁26内に噴出され、側周壁26内でさらにガス圧が弱くなるようなガス抜きができるので、蓋体Dが急に開蓋されても、炭酸ガスとともに内容液を噴出して周りを汚してしまうことを防止することができる。
【0030】
開蓋した容器本体Aを正面側に傾けると、容器本体A内の内容液が流量調整部材Eの正面側に接触し、さらに容器を傾けると、内容液が流量調整部材Eの吐出口18を通って流量調整部材E内に流れ込み、吐出開口10から円筒体11に流れ、注出筒7内面を伝い、注出筒7の正面側先端から吐出される。
【0031】
本実施例のヒンジキャップは、流量調整部材Eの底部16から突出部17が立設されているので、容器を大きく傾けてしまい、吐出口18から内方に内容液が大量に勢いよく流入してきても、突出部17の筒壁20外周に当たって、勢いが押さえられ、注出筒7から整流された内容液を吐出することができる。
【0032】
本実施例において、吐出開口10の口径w1と、突出部17の外径w2と、流量調整部材Eの高さh1と、突出部17の高さh2との設定による効果を確認するために、口径w1、外径w2、高さh1および高さh2をそれぞれ変更したヒンジキャップについて、炭酸ガスを含有する飲料(炭酸飲料)の吐出具合を比較する実験を行った。
なお、実験に用いた炭酸飲料は、炭酸水であり、容器本体Aは、容量が350mlのガラスびんであり、ヒンジキャップは、口筒部1の内径が15mmのガラスびん用で、材質は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)樹脂である。
【0033】
最初に、吐出開口10の口径w1を7mm、突出部17の外径w2を3mm、流量調整部材Eの高さh1を6mmに設定すると、突出部17の上端が隔壁9の上面と同じ高さ(高さh2=0mm)である場合、容器本体Aを傾けると、炭酸水が吐出開口10に充満して吐出できないが、突出部17の先端が隔壁9の上面より3mm高い位置(高さh2が3mm)であれば、容器本体Aを傾けると、突出部17の効果で吐出開口10に充満した炭酸水のバランスを崩して吐出できるが、容器本体Aを倒立させると、吐出が困難になったので、流量調整部材Eの高さh1を7mmにすると、吐出できるようになった。
【0034】
次に、吐出開口10の口径w1を8.2mm、突出部17の外径w2を3mm、突出部17の隔壁9上面からの高さh2を3mmに設定すると、流量調整部材Eの高さh1が6mmである場合、容器本体Aを傾けると、突出部17の効果で炭酸水を吐出できるが、容器本体Aを倒立させると、吐出が困難になった。
しかし、流量調整部材Eの高さh1が7mmであれば、容器本体Aを傾けると、突出部17の効果で炭酸水を吐出できるとともに、容器本体Aを倒立させても吐出を続けることができ、さらに、流量調整部材Eの高さh1が15mmであっても、容器本体Aを傾けると、突出部17の効果で炭酸水を吐出できるとともに、容器本体Aを倒立させても吐出を続けることができた。
【0035】
次に、吐出開口10の口径w1を12mm、流量調整部材Eの高さh1が11mm、突出部17の隔壁9上面からの高さh2を3mmに設定すると、突出部17の外径w2が3mmである場合、容器本体Aを傾けると、突出部17の効果で炭酸水を吐出できるとともに、容器本体Aを倒立させても吐出を続けることができ、さらに、突出部17の外径w2が5mmであっても、容器本体Aを傾けると、突出部17の効果で炭酸水を吐出できるとともに、容器本体Aを倒立させても吐出を続けることができた。
【0036】
以上の実験結果から、ヒンジキャップが装着された容器本体Aを傾けた時はもちろん、さらに倒立させても炭酸水を吐出させるには、ヒンジキャップとして、吐出開口10の口径w1が7~12mm、突出部17の外径w2が3~5mm、流量調整部材Eの高さh1が7~15mm、突出部17の先端の隔壁9の上面からの高さh2が3~7mm(3mm以上あればよいが、蓋体Dの高さを考慮して上限を7mmとした)の範囲に設定されることが好ましい。
さらに、本実施例では、内容液が炭酸ガスを含有する内容液であるため、ガス圧により蓋体Dが開蓋しないように、開口面積sおよび吐出開口10の口径w1をできるだけ小さくすることが望ましいので、本実施例の流量調整部材Eとして、吐出開口10の口径w1が8.2mm、突出部17の外径w2が3mm、流量調整部材Eの高さh1が11mm、突出部17の隔壁9上面からの高さh2が3mmに設定されることがより好ましい。
【0037】
次に、内容液の使用が終わると、容器の傾きを直すことで、注出筒7内に残留する内容液は、円筒体11の外周側を除き、流量調整部材E内に流れ落ち、吐出口18および空気置換口19から容器本体A内に回収できる。
その後、蓋体Dを再び閉蓋すると、蓋体Dの密封筒27の外周下部と、キャップ本体Bの注出筒7上部内周とが密着してシールされるとともに、外側内筒28の係合段部32が円筒体11の上面および内周上部と密着するとともに、内側内筒29の内周下部が流量調整部材Eの突出部17の外周上部と密着し、再度容器本体A内が密封状態とされ、ヒンジキャップは、繰り返し蓋体Dを開閉して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のヒンジキャップは、炭酸ガスを含有する内容液であっても、使用時に、容器を傾け、倒立させても安定して吐出できるとともに、内容液により内圧が高くなっても、蓋体が開蓋してしまうことを抑制でき、とくに、吐出開口の口径が小さい炭酸ガスを含有する内容液のための、プルリングによる抜栓作業を必要としない抜栓レスタイプのヒンジキャップとして好適である。
【符号の説明】
【0039】
A 容器本体
B キャップ本体
C ヒンジ部
D 蓋体
E 流量調整部材
h1、h2 高さ
w1 口径
w2 外径
s 開口面積
1 口筒部
2 嵌合部
3、12 ねじ部
5 外筒
6 上壁
7 注出筒
8 内筒
9 隔壁
10 吐出開口
11 円筒体
13 蓋係合部
14 嵌合筒
15 側壁部
16 底部
17 突出部
18 吐出口
19 空気置換口
20 筒壁
21 天壁
25 頂壁
26 側周壁
27 密封筒
28 外側内筒(第2内筒)
29 内側内筒(第1内筒)
30 係合凹部
31 把手部
32 係合段部
32a 天面
32b 外向き面
33 係合リブ
図1
図2
図3