(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-25
(45)【発行日】2025-05-08
(54)【発明の名称】弁
(51)【国際特許分類】
F16K 1/42 20060101AFI20250428BHJP
F16K 1/36 20060101ALI20250428BHJP
【FI】
F16K1/42 G
F16K1/36 K
(21)【出願番号】P 2022541462
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2021027769
(87)【国際公開番号】W WO2022030313
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020132386
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】神崎 敏智
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渉
(72)【発明者】
【氏名】葉山 真弘
(72)【発明者】
【氏名】福留 康平
(72)【発明者】
【氏名】白藤 啓吾
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103492773(CN,A)
【文献】特開2017-180525(JP,A)
【文献】特開平08-159320(JP,A)
【文献】特開2018-135954(JP,A)
【文献】特開2003-314745(JP,A)
【文献】特開2019-167982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/42
F16K 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入ポートおよび流出ポートが形成されたバルブハウジングと、
駆動源により駆動される弁体と、
前記弁体を前記駆動源による駆動方向と反対方向に付勢するスプリングと、
貫通流路の縁に形成された弁座と前記弁体とにより構成されるポペット弁とを備え、前記弁体の移動により流量を制御する弁であって、
前記ポペット弁の下流側の流路には、下流側へ行くにしたがって流路断面積が減少傾向となる減少領域が設けられており、
前記ポペット弁は、断面傾斜形状の前記弁座と、該弁座に当接する断面曲面形状の当接部を有する前記弁体により構成されて
おり、
前記弁体の外周面と前記バルブハウジングの内周面とは、平行且つ前記弁体の駆動方向に延びる一対の平行面を有しており、
前記減少領域は、下流側に行くにしたがって流路断面積が減少する第1減少領域と、該第1減少領域よりも下流側において、一対の前記平行面によって前記弁体のストロークに係らず最小流路断面積が一定に維持される第2減少領域と、を含んでいる弁。
【請求項2】
前記
第1減少領域は、流路断面積が連続的に減少する請求項
1に記載の弁。
【請求項3】
前記断面傾斜形状は、直線状である請求項1に記載の弁。
【請求項4】
前記弁座を構成する傾斜面は、前記
第1減少領域を構成する傾斜面と連続している請求項1ないし
3のいずれかに記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体を可変制御する弁に関し、例えば、自動車の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機の吐出量を圧力に応じて制御する弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機は、エンジンにより回転駆動される回転軸、回転軸に対して傾斜角度を可変に連結された斜板、斜板に連結された圧縮用のピストン等を備えている。容量可変型圧縮機は、斜板の傾斜角度を変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて流体の吐出量を制御するものである。この斜板の傾斜角度は、電磁力により開閉駆動される容量制御弁を用いて、流体を吸入する吸入室の吸入圧力Ps、ピストンにより加圧された流体を吐出する吐出室の吐出圧力Pd、斜板を収容した制御室の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室内の圧力を適宜制御することで連続的に変化させ得るようになっている。
【0003】
容量可変型圧縮機の連続駆動時において、容量制御弁は、制御コンピュータにより通電制御され、ソレノイドで発生する電磁力により弁体を軸方向に移動させ、吐出圧力Pdの吐出流体が通過する吐出ポートと制御圧力Pcの制御流体が通過する制御ポートとの間に設けられる弁を開閉して容量可変型圧縮機の制御室の制御圧力Pcを調整する通常制御を行っている。
【0004】
容量制御弁の通常制御時においては、容量可変型圧縮機における制御室の圧力が適宜制御されており、回転軸に対する斜板の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて吐出室に対する流体の吐出量を制御し、空調システムが目標の冷却能力となるように調整している。
【0005】
また、容量制御弁には、制御ポートと吸入ポートとの間に設けられるポペット弁を開閉して制御ポートから吸入ポートに流れる流体の流量を制御するものもある(特許文献1参照)。このような容量制御弁は、制御圧力Pcと該制御圧力Pcよりも圧力が低い吸入圧力Psとの圧力差を利用して容量可変型圧縮機の制御室の制御圧力Pcを制御している。尚、容量可変型圧縮機の制御室は、オリフィスを介して容量可変型圧縮機の吐出室と連通されており、高圧の吐出圧力Pdがオリフィスを通って制御室に常時供給されることにより制御圧力Pcが調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-075054号公報(第8頁~第10頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の容量制御弁は、ポペット弁の開閉により流体の流量を制御する対象として、吐出圧力Pdよりも圧力が低い制御圧力Pcと吸入圧力Psの圧力差を利用するものであることから、ポペット弁を通過する流体の流量を少なくすることができるが、制御圧力Pcの調整のためにオリフィスを通って常時供給される吐出圧力Pdに影響されてソレノイドに予め設定された電流を入力しても弁体のストロークにばらつきが生じ、弁の開度が目標値からずれてしまうことがあった。発明者らの研究から、ポペット弁を音速に近い流速の冷媒を通過させることで弁体のストロークに影響を与え、これを利用することで上記ばらつきを抑制できることが判明した。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、制御性が高い弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の弁は、
流入ポートおよび流出ポートが形成されたバルブハウジングと、
駆動源により駆動される弁体と、
前記弁体を前記駆動源による駆動方向と反対方向に付勢するスプリングと、
貫通流路の縁に形成された弁座と前記弁体とにより構成されるポペット弁とを備え、前記弁体の移動により流量を制御する弁であって、
前記ポペット弁の下流側の流路には、下流側へ行くにしたがって流路断面積が減少傾向となる減少領域が設けられている。
これによれば、ポペット弁を通過する流体が超音速流れであるとき、ポペット弁の下流側の流路における減少領域を通過した流体は、流速が低下し、ポペット弁の下流圧が上昇する。これにより、弁体には閉弁方向の力が作用し、閉弁特性が向上し、小さい電流値でポペット弁を閉塞することができる。また、ポペット弁を通過する流体が亜音速流れであるとき、ポペット弁の下流側の流路で減少領域を通過した流体は、流速が上昇し、下流圧が低下する。これにより、弁体には開弁方向の力が作用し、弁体に作用する背圧による力に対する上流側の流体の圧力の影響を抑えることができ、ソレノイドに入力される電流値に対する弁体のストロークのばらつきが抑制される。これらにより、ポペット弁の開度を精度よく調整することができる。
【0010】
前記減少領域は、前記弁体のストロークに係らず最小流路断面積が一定であってもよい。
これによれば、減少領域を通過した後の弁室内における流体の圧力を常に安定させることができる。
【0011】
前記減少領域は、流路断面積が連続的に減少してもよい。
これによれば、ポペット弁の下流側の流路で減少領域を通過する流体の流れを安定させて淀みをなくすことができる。
【0012】
前記ポペット弁は、断面傾斜形状の前記弁座と、断面曲面形状の前記弁体により構成されていてもよい。
これによれば、弁体の閉弁位置もしくは絞り位置においてポペット弁を通過する流体の流れを接線方向に向けて安定させることができる。
【0013】
前記傾斜形状は、直線状であってもよい。
これによれば、弁体の閉弁位置もしくは絞り位置においてポペット弁を通過する流体の流れを接線方向に向けてより安定させることができる。
【0014】
前記弁座を構成する傾斜面は、前記減少領域を構成する傾斜面と連続していてもよい。
これによれば、減少領域の上流側における流路断面積を大きく形成しやすい。
【0015】
前記弁座を構成する傾斜面は、前記バルブハウジングと別体の弁座部材に形成され、前記減少領域を構成する傾斜面は、前記バルブハウジングに形成されていてもよい。
これによれば、流路断面積の設定を行いやすく、減少領域を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る実施例1の容量制御弁の非通電状態においてCS弁が開放された様子を示す断面図である。
【
図2】実施例1の容量制御弁のバルブハウジングに弁座部材が圧入される様子を示す断面図である。
【
図3】実施例1の容量制御弁の通電状態(通常制御時)においてCS弁の下流側の流路における減少領域を示す拡大断面図である。
【
図4】(a)流路断面積が減少傾向となっている実施例1の容量制御弁の超音速流れにおける閉弁特性を模式的に示す図であり、(b)は流路断面積が一定となっている比較例の閉弁特性を模式的に示す図である。
【
図5】(a)流路断面積が減少傾向となっている実施例1の容量制御弁の亜音速流れにおける閉弁特性を模式的に示す図であり、(b)は流路断面積が一定となっている比較例の閉弁特性を模式的に示す図である。
【
図6】本発明に係る実施例2の容量制御弁の非通電状態においてCS弁が開放された様子を示す断面図である。
【
図7】実施例2の容量制御弁のバルブハウジングに弁座部材が圧入される様子を示す断面図である。
【
図8】実施例2の容量制御弁の通電状態(通常制御時)においてCS弁の下流側の流路における減少領域を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。尚、実施例は容量制御弁を例にして説明するが、その他の用途にも適用可能である。
【実施例1】
【0018】
実施例1に係る容量制御弁につき、
図1から
図3を参照して説明する。以下、
図1の正面側から見て左右側を容量制御弁の左右側として説明する。詳しくは、バルブハウジング10が配置される紙面左側を容量制御弁の左側、ソレノイド80が配置される紙面右側を容量制御弁の右側として説明する。
【0019】
本発明の容量制御弁は、自動車等の空調システムに用いられる図示しない容量可変型圧縮機に組み込まれ、冷媒である作動流体(以下、単に「流体」と表記する。)の圧力を可変制御することにより、容量可変型圧縮機の吐出量を制御し空調システムを目標の冷却能力となるように調整している。
【0020】
先ず、容量可変型圧縮機について説明する。容量可変型圧縮機は、吐出室と、吸入室と、制御室と、複数のシリンダと、を備えるケーシングを有している。尚、容量可変型圧縮機には、吐出室と制御室とを直接連通する連通路が設けられており、この連通路には吐出室と制御室との圧力を平衡調整させるための固定オリフィス9が設けられている(
図1参照)。
【0021】
また、容量可変型圧縮機は、回転軸と、斜板と、複数のピストンと、を備えている。回転軸は、ケーシングの外部に設置される図示しないエンジンにより回転駆動されている。斜板は、制御室内において回転軸に対してヒンジ機構により傾斜可能に連結されている。複数のピストンは、斜板に連結され各々のシリンダ内において往復動自在に嵌合されている。電磁力により開閉駆動される容量制御弁V1を用いて、流体を吸入する吸入室の吸入圧力Ps、ピストンにより加圧された流体を吐出する吐出室の吐出圧力Pd、斜板を収容した制御室の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室内の圧力を適宜制御することで斜板の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて流体の吐出量を制御している。
【0022】
図1に示されるように、容量可変型圧縮機に組み込まれる本実施例1の容量制御弁V1は、駆動源としてのソレノイド80を構成するコイル86に通電する電流を調整し、容量制御弁V1におけるポペット弁としてのCS弁50の開閉制御を行っている。これにより、制御室から吸入室に流出する流体を制御することで制御室内の制御圧力Pcを可変制御している。尚、吐出室の吐出圧力Pdの吐出流体が固定オリフィス9を介して制御室に常時供給されており、容量制御弁V1におけるCS弁50を閉塞させることにより制御室内の制御圧力Pcを上昇させられるようになっている。
【0023】
本実施例1の容量制御弁V1において、CS弁50は、弁体としてのCS弁体51と、弁座としてのCS弁座40aとにより構成されている。CS弁座40aは、バルブハウジング10の凹部10aに圧入固定される筒状の弁座部材40に形成されている。CS弁50は、CS弁体51の軸方向左端に形成される当接部51aがCS弁座40aに軸方向に接離することで、開閉するようになっている。
【0024】
次いで、容量制御弁V1の構造について説明する。
図1に示されるように、容量制御弁V1は、バルブハウジング10および弁座部材40と、CS弁体51と、ソレノイド80と、から主に構成されている。バルブハウジング10および弁座部材40は、金属材料により形成されている。CS弁体51は、バルブハウジング10内に軸方向に往復動自在に配置されている。ソレノイド80は、バルブハウジング10に接続されCS弁体51に駆動力を及ぼしている。
【0025】
図1に示されるように、CS弁体51は、金属材料または樹脂材料により形成されている。また、CS弁体51は、大径部51bと、小径部51cと、から構成されている。大径部51bは、断面一定の柱状体である。小径部51cは、大径部51bの軸方向右端の内径側から軸方向右方に延出している。また、CS弁体51は、ソレノイド80のコイル86に対して貫通配置されるロッドを兼ねている。
【0026】
CS弁体51の軸方向左側の端面、すなわち大径部51bの軸方向左側の端面には、CS弁座40aに向けて膨出する断面曲面形状の当接部51aが形成されている。詳しくは、当接部51aの曲面形状は、一定の曲率半径を持つ球面の一部により形成されている。尚、当接部51aは、CS弁座40aに着座可能な曲面形状であれば、一定の曲率半径を持つ球面の一部により形成されていなくてもよい。
【0027】
図1に示されるように、ソレノイド80は、ケーシング81と、センタポスト82と、CS弁体51と、可動鉄心84と、コイルスプリング85と、励磁用のコイル86と、から主に構成されている。ケーシング81は、軸方向左方に開放する開口部81aを有している。センタポスト82は、ケーシング81の開口部81aに対して軸方向左方から挿入されケーシング81の内径側とバルブハウジング10の内径側との間に配置され、略円筒形状をなしている。CS弁体51は、センタポスト82に挿通され軸方向に往復動自在、かつその軸方向左端部がバルブハウジング10内に配置されている。可動鉄心84は、CS弁体51の軸方向右端部が挿嵌・固定されている。コイルスプリング85は、センタポスト82と可動鉄心84との間に設けられ可動鉄心84をCS弁50の開弁方向である軸方向右方に付勢している。コイル86は、センタポスト82の外側にボビンを介して巻き付けられている。
【0028】
センタポスト82は、円筒部82bと、環状のフランジ部82dと、を備えている。円筒部82bは、鉄やケイ素鋼等の磁性材料である剛体から形成され、軸方向に延びCS弁体51が挿通される挿通孔82cが形成されている。フランジ部82dは、円筒部82bの軸方向左端部の外周面から外径方向に延びている。
【0029】
図1に示されるように、バルブハウジング10には、流出ポートとしてのPsポート11が形成されている。Psポート11は、径方向に貫通し容量可変型圧縮機の吸入室と連通している。また、バルブハウジング10の軸方向左側には、凹部10aが形成されている。凹部10aには、筒状の弁座部材40が軸方向左方から圧入されている。尚、バルブハウジング10には、流入ポートとしてのPcポートが形成されている。Pcポートは、凹部10aに弁座部材40が圧入固定されることにより、弁座部材40を軸方向に貫通する貫通孔40bにより容量可変型圧縮機の制御室と連通させている。
【0030】
バルブハウジング10の内部には、弁室20が形成され、弁室20内にはCS弁体51の当接部51aが軸方向に往復動自在に配置される。また、Psポート11は、バルブハウジング10の外周面から内径方向に延びて弁室20と連通している。
【0031】
このように、バルブハウジング10の内部には、弁座部材40の貫通孔40b、弁室20、Psポート11により、容量可変型圧縮機の制御室と吸入室とを連通する流路が形成されている。
【0032】
また、バルブハウジング10の内周面には、ガイド孔10cが形成されている。ガイド孔10cは、弁室20よりもソレノイド80が取り付けられる軸方向右側にCS弁体51の大径部51bの外周面51d(
図3参照)が摺動可能となっている。尚、ガイド孔10cの内周面とCS弁体51の大径部51bの外周面51dとの間は、径方向に僅かに離間することにより微小な隙間が形成されており、CS弁体51は、バルブハウジング10に対して軸方向に円滑に相対移動可能となっている。
【0033】
図2に示されるように、バルブハウジング10の凹部10aは、その内径R1が弁室20の内径R2よりも大きく(R1>R2)形成されることにより、凹部10aの底面が弁座部材40の軸方向右側の平坦面40cと当接可能な受け部10bを構成している。
【0034】
図1に示されるように、バルブハウジング10は、軸方向右側に軸方向左方に凹む凹部10dが形成されており、センタポスト82のフランジ部82dが軸方向右方から略密封状に挿嵌・固定される。さらにその軸方向右方からケーシング81が略密封状に挿嵌・固定されることにより一体に接続されている。
【0035】
このように、バルブハウジング10、センタポスト82、ケーシング81が一体に接続された状態では、ケーシング81の軸方向左側に形成される凹部81bの底面にバルブハウジング10の軸方向右側の端面とセンタポスト82のフランジ部82dの軸方向右側の側面がそれぞれ当接する。また、バルブハウジング10の凹部10dの底面とセンタポスト82の軸方向左側の端面とは軸方向に離間して隙間が形成されている。
【0036】
また、バルブハウジング10には、貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、バルブハウジング10の軸方向左側の端面と凹部10dの底部との間に軸方向に延びている。貫通孔21は、小径孔部211と、大径孔部212と、から構成されている。小径孔部211は、軸方向左端が容量可変型圧縮機の制御室に連通している。大径孔部212は、小径孔部211の軸方向右端から連続して延びており該小径孔部211よりも大径となっている。大径孔部212の軸方向右端は、凹部10dの底面とセンタポスト82の軸方向左側の端面との間に形成される隙間に開放している。尚、貫通孔21の小径孔部211内と、弁座部材40の貫通孔40bには、容量可変型圧縮機の制御室から制御圧力Pcの制御流体が供給されている。
【0037】
貫通孔21の大径孔部212には、ボール状の作動弁体31と、軸方向右端がセンタポスト82の軸方向左側の端面に固定され、軸方向左端が作動弁体31に軸方向右方から当接する復帰バネ32と、が配置されている。作動弁体31は復帰バネ32により軸方向左方に付勢されている。これら作動弁体31および復帰バネ32は、貫通孔21において容量可変型圧縮機の制御室とケーシング81内部の空間Sとの連通を制御する圧力作動弁30を構成している。
【0038】
説明の便宜上、図示を省略するが、制御圧力Pcが高い場合には、圧力作動弁30の作動弁体31が復帰バネ32の付勢力およびケーシング81内部の空間Sの流体の圧力に抗して軸方向右方に移動し、貫通孔21の小径孔部211の軸方向右端と大径孔部212の軸方向左端との接続部分に形成される断面傾斜形状の弁座213から離間することで圧力作動弁30が開放される。これにより、容量可変型圧縮機の制御室とケーシング81内部の空間Sとが貫通孔21を介して連通し、容量可変型圧縮機の制御室から貫通孔21を通ってケーシング81内部の空間Sに制御圧力Pcの制御流体が供給され、ケーシング81内部の空間Sの流体の圧力と弁座部材40の貫通孔40b内の制御流体の圧力の差が小さくなり、CS弁体51を軸方向左方、すなわち閉弁方向にスムーズに動作させることができ、容量可変型圧縮機の高出力時の制御に対する応答性を高めることができる。
【0039】
尚、バルブハウジング10においては、ガイド孔10cの内周面とCS弁体51の大径部51bの外周面との間の微小な隙間が絞りとして機能することにより、ケーシング81内部の空間Sの流体をPsポート11に緩やかに逃がすことができ、長時間不使用時には弁室20内の流体の圧力とケーシング81内部の空間Sの流体の圧力との圧力差が小さい状態が維持される。
【0040】
ここで、弁座部材40について説明する。
図2に示されるように、弁座部材40は、バルブハウジング10に使用される金属材料よりも硬い金属材料により形成されている。さらに、弁座部材40は、CS弁体51とは異なる素材により形成されている。
【0041】
また、弁座部材40は、軸方向に貫通する貫通孔40bが形成されて筒状を成している。弁座部材40の軸方向右端部には、外径側から内径側に、環状の平坦面40cと平坦面40cに内径側から連なり軸方向左方へ向けて漸次縮径する断面傾斜形状のCS弁座40aが形成されている。すなわち、CS弁座40aは、貫通流路としての貫通孔40bの縁に形成され、断面直線状の傾斜面が周方向に延びるテーパ面により構成されている。
【0042】
また、弁座部材40の軸方向右側の平坦面40cを凹部10aの底面により形成される受け部10bに軸方向に当接させる(
図3参照)ことにより、凹部10aに対する弁座部材40の挿入進度を規定することができるとともに、バルブハウジング10と弁座部材40との間のシール性を高めることができる。このとき、CS弁座40aを構成するテーパ面の外径端は、バルブハウジング10の弁室20における内周面10eの軸方向左端と連なるように配置される。
【0043】
これにより、弁座部材40のCS弁座40aを構成するテーパ面とCS弁体51の当接部51aとの間に形成される流路C1と、CS弁座40aを構成するテーパ面とCS弁体51の大径部51bの外周面51dおよびバルブハウジング10の内周面10eとCS弁体51の大径部51bの外周面51dとの間に形成される流路C2とによりPsポート11の弁室20側の開口まで延びるCS弁50の下流側の流路が形成される(
図3参照)。尚、
図3は、容量制御弁V1の通常制御時において、CS弁体51を閉塞位置近傍の絞り位置までストロークさせた状態を示している。
【0044】
本実施例1において、流路C1は、CS弁座40aを構成するテーパ面における内径端とCS弁体51の当接部51aとの間の流路断面積A1よりもCS弁座40aを構成するテーパ面とCS弁体51の当接部51aの外径端との間の流路断面積A2が小さく(A1>A2)、流路断面積が下流側へ行くにしたがって減少傾向(dA<0)となる減少領域を構成している。また、流路C2は、バルブハウジング10の内周面10eとCS弁体51の外周面51dとが平行に配置されることにより流路断面積A3が一定となっている。尚、容量制御弁V1の通常制御時において、CS弁体51を絞り位置までストロークさせた
図3の状態では、流路C1の下流側の流路断面積A2と流路C2の流路断面積A3が同じ(A2=A3)になっているが、これに限らず、流路C1の下流側の流路断面積A2よりも流路C2における上流側の流路断面積A3が小さく(A2>A3)なっていてもよい。
【0045】
尚、減少領域は、CS弁50の下流側の流路においてCS弁体51の当接部51aのストローク範囲内に形成されるものである。
【0046】
また、流路C1の流路断面積は、下流側へ行くにしたがって連続的に減少している。
【0047】
次いで、CS弁50の下流側の流路C1,C2を通過する流体の流速と圧力の変化について説明する。尚、制御圧力Pcは、上述した圧力作動弁30の閉塞が維持される範囲に制御されるものとして説明する。等エントロピー流れにおける面積変化の影響について、断面積・圧力の関係式を下記に示す。
【0048】
【0049】
p:圧力
γ:比熱比
M:マッハ数
A:面積
【0050】
この断面積・圧力の関係式に基づき、弁座部材40の貫通孔40b内における制御圧力PcとPsポート11内の吸入圧力Psとの圧力差、すなわちPc-Ps差圧が大きくCS弁50を通過する流体が超音速流れ(M>1)であるとき、CS弁50の下流側の流路で流路断面積が下流側へ行くにしたがって減少傾向(dA<0)となる減少領域を構成する流路C1を通過する流体は、流速が低下し、圧力が上昇する。また、流路C1の下流に連続し流路断面積が一定となる流路C2を通過することにより、流速と圧力を略変化させることなく安定して流れ、Psポート11内へ流入する(
図3参照)。
【0051】
一方、Pc-Ps差圧が小さくCS弁50を通過する流体が亜音速流れ(M<1)であるとき、CS弁50の下流側の流路で減少領域を構成する流路C1を通過する流体は、流速が上昇し、圧力が低下する。また、流路C1の下流に連続し流路断面積が一定となる流路C2を通過することにより、流速と圧力を略変化させることなく安定して流れ、Psポート11内へ流入する(
図3参照)。
【0052】
尚、CS弁50の下流圧、すなわち弁室20内の流体の圧力は、容量可変型圧縮機の制御室内の制御圧力Pcを調整するために固定オリフィス9(
図1参照)を介して常時供給される吐出圧力Pdの影響を受けやすいことから、Psポート11内と比べて圧力が低下し難くなっている。
【0053】
本実施例1においては、上述したように流体が超音速流れで減少領域を通過することにより、吐出圧力Pdの影響に加えて、CS弁50の下流圧を上昇させることができるため、弁室20内の流体の圧力との圧力差に基づいて変化するケーシング81内部の空間S(
図1参照)の流体の圧力、すなわちCS弁体51に作用する背圧による力を一層大きくすることができる。また、流体が亜音速流れで減少領域を通過することにより、CS弁50の下流圧を低下させることができるため、弁室20内の流体の圧力との圧力差に基づいて変化するケーシング81内部の空間Sの流体の圧力、すなわちCS弁体51に作用する背圧による力に対する吐出圧力Pdの影響を抑えることができる。
【0054】
以上、説明したように、本実施例1の容量制御弁V1において、CS弁50の下流側の流路には、下流側へ行くにしたがって流路断面積が減少傾向(dA<0)となる減少領域としての流路C1が設けられている。CS弁50を通過する流体が超音速流れ(M>1)であるとき、流路C1を通過する流体は、流速が低下し、圧力が上昇し、CS弁体51には閉弁方向の力が作用する。また、吐出圧力Pdに影響されるCS弁体51に作用する背圧による力を一層大きくすることができる。
図4(a)に示されるように、CS弁50の閉弁特性が向上し、小さい電流値でCS弁50を閉塞することができる。なお、
図4(b)における流路断面積(dA=一定)が一定の流路の特性を示す参考図においては、吐出圧力Pdが高いときには閉弁できない、言い換えると閉弁には大電流を要する。
【0055】
また、CS弁50を通過する流体が亜音速流れ(M<1)であるとき、流路C1を通過する流体は、流速が上昇し、圧力が低下し、CS弁体51には開弁方向の力が作用する。これにより、
図5(a)に示されるように、CS弁50の下流圧に対するCS弁50の上流側の流体の圧力、本実施例では吐出圧力Pdの影響を抑えることができる。なお、
図5(b)における流路断面積(dA=一定)が一定の流路の特性を示す参考図においては、駆動電流のばらつきが大きくなっている。このように、CS弁体51に作用する背圧による力に対する吐出圧力Pdの影響を抑えることができ、ソレノイド80に入力される電流値に対するCS弁体51のストロークのばらつきが抑制され、CS弁50の開度を精度よく調整することができる。
【0056】
このように、CS弁50の下流側の流路に流路断面積が下流側へ行くにしたがって減少傾向(dA<0)となる減少領域である流路C1を設け、CS弁50を通過する流体の流速に応じてCS弁50の下流圧を適宜制御することにより、CS弁50の制御性を高めることができる。
【0057】
また、減少領域としての流路C1は、流路断面積が下流側へ行くにしたがって連続的に減少することにより、流体の流れを安定させて淀みをなくすことができる。また、流路C1を通過する流体の流速や圧力を加速的に変化させることができる。
【0058】
また、CS弁50は、断面傾斜形状のCS弁座40aと、断面曲面形状のCS弁体51の当接部51aにより構成されており、CS弁座40aを構成するテーパ面とCS弁体51の当接部51aとの間に減少領域としての流路C1が形成されるため、CS弁体51の閉弁位置もしくは絞り位置においてCS弁50を通過する流体の流れを接線方向(
図3の実線矢印参照)に向けて安定させることができる。
【0059】
また、CS弁座40aは、断面直線状の傾斜面が周方向に延びるテーパ面により構成されており、CS弁体51の閉弁位置もしくは絞り位置においてCS弁50を通過する流体の流れ、詳しくは流路C1における流体の流れを接線方向に向けて安定させるとともに、傾斜面に沿って流体の流れをガイドすることができるため、流体の流れを下流に連続する流路C2まで安定させることができる。
【0060】
また、CS弁座40aを構成するテーパ面は、CS弁体51の当接部51aの法線に沿った下流に存在するとよく、これにより、減少領域を通過した流体が直線的に進むこととなるため、音速に近い流体の流速を妨げ難い。
【0061】
また、流路C2においては、Psポート11の弁室20側の開口まで流路断面積が一定となっており、通過する流体の流速と圧力を略変化させることなく流体の流れを安定させることができるため、弁室20内の流体の圧力が安定しやすい。
【0062】
また、流路C1は、ポペット弁としてのCS弁50におけるCS弁座40aを構成するテーパ面とCS弁体51の当接部51aを利用して減少領域を形成することができるため、容量制御弁V1の構造を簡素化できる。
【0063】
また、CS弁座40aは、バルブハウジング10と別体の弁座部材40に形成されているため、減少領域を形成するためのテーパ面の加工精度を高めることができる。
【0064】
尚、本実施例1においては、流路C1の下流に連続する流路C2は、バルブハウジング10の内周面10eとCS弁体51の外周面51dとが平行に配置されることにより流路断面積が一定となる態様について説明したが、これに限らず、流路C2においても流路断面積が下流側へ行くにしたがって減少傾向(dA<0)となる減少領域を連続的に構成するようにバルブハウジング10の内周面10eやCS弁体51の外周面51dの形状を変更してもよい。
【実施例2】
【0065】
実施例2に係る容量制御弁につき、
図6から
図8を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0066】
図6に示されるように、本実施例2の容量制御弁V2において、バルブハウジング110には、径方向に貫通し容量可変型圧縮機の吸入室と連通する流出ポートとしてのPsポート111が形成されている。
【0067】
また、バルブハウジング110の軸方向左側には、凹部110aが形成されている。凹部110aは、筒状の弁座部材40が軸方向左方から圧入されるようになっている。尚、バルブハウジング110には、凹部110aに弁座部材140が圧入固定されることにより、弁座部材140を軸方向に貫通する貫通孔140bにより容量可変型圧縮機の制御室と連通する流入ポートとしてのPcポートが形成される。
【0068】
バルブハウジング110の内部には、弁室120が形成され、弁室120内にはCS弁体51の当接部51aが軸方向に往復動自在に配置される。また、Psポート111は、バルブハウジング110の外周面から内径方向に延びて弁室120と連通している。また、弁室120には、Psポート111の弁室120側の開口の軸方向左端に連なり軸方向左方へ向けて漸次拡径するテーパ面110eが形成されている(
図7参照)。
【0069】
図7に示されるように、バルブハウジング110の凹部110aは、その内径R11が弁室120を構成するテーパ面110eの軸方向左端における内径R12よりも大きく(R11>R12)形成されることにより、凹部110aの底面が弁座部材140の軸方向右側の平坦面140cと当接可能な受け部110bを構成している。
【0070】
図7に示されるように、弁座部材140は、軸方向に貫通する貫通孔140bが形成されて筒状を成している。弁座部材140の軸方向右端部には、外径側から内径側に、環状の平坦面140cと平坦面140cに内径側から連なり軸方向左方へ向けて漸次縮径する断面傾斜形状の弁座としてのCS弁座140aが形成されている。すなわち、CS弁座140aは、貫通流路としての貫通孔140bの縁に形成され、断面直線状の傾斜面が周方向に延びるテーパ面により構成されている。
【0071】
また、弁座部材140の軸方向右側の平坦面140cを凹部110aの底面により形成される受け部110bに軸方向に当接させる(
図8参照)ことにより、凹部110aに対する弁座部材140の挿入進度を規定することができるとともに、バルブハウジング110と弁座部材140との間のシール性を高めることができる。このとき、CS弁座40aを構成するテーパ面の外径端は、バルブハウジング110の弁室120におけるテーパ面110eの軸方向左端と連なるように配置される。
【0072】
これにより、弁座部材140のCS弁座140aを構成するテーパ面とCS弁体51の当接部51aとの間に形成される流路C101と、弁座部材140のCS弁座140aを構成するテーパ面とCS弁体51の大径部51bの外周面51dおよびバルブハウジング110のテーパ面110eとCS弁体51の大径部51bの外周面51dとの間に形成される流路C102とによりPsポート111の弁室120側の開口まで延びるCS弁50の下流側の流路が形成される(
図8参照)。尚、
図8は、容量制御弁V2の通常制御時において、CS弁体51を閉塞位置近傍の絞り位置までストロークさせた状態を示している。
【0073】
本実施例2において、流路C101は、CS弁座140aを構成するテーパ面における内径端とCS弁体51の当接部51aとの間の流路断面積A101とCS弁座140aを構成するテーパ面とCS弁体51の当接部51aの外径端との間の流路断面積A102が略同一(A101=A102)であり、流路断面積が略一定となっている。また、流路C102は、バルブハウジング110のテーパ面110eとCS弁体51の当接部51aとの間における上流側の流路断面積A103よりも下流側の流路断面積A104が小さく(A103>A104)、流路断面積が下流側へ行くにしたがって減少傾向(dA<0)となる減少領域を構成している。
【0074】
また、流路C102の流路断面積は、下流側へ行くにしたがって連続的に減少しており、減少領域においてCS弁体51のストロークに係らず流路断面積A104、すなわち最小流路断面積が一定となっている。
【0075】
これによれば、本実施例2の容量制御弁V2において、CS弁50の下流側の流路には、下流側へ行くにしたがって流路断面積が減少傾向(dA>0)となる減少領域としての流路C102が設けられている。CS弁50を通過する流体が超音速流れ(M>1)であるとき、流路C102を通過する流体は、流速が低下し、圧力が上昇し、CS弁体51には閉弁方向の力が作用する。また、吐出圧力Pdに影響されるCS弁体51に作用する背圧による力を一層大きくすることができる。これにより、CS弁50の閉弁特性が向上し、小さい電流値でCS弁50を閉塞することができる。
【0076】
また、CS弁50を通過する流体が亜音速流れ(M<1)であるとき、流路C102を通過する流体は、流速が上昇し、圧力が低下し、CS弁体51には開弁方向の力が作用する。これにより、CS弁50の下流圧に対する吐出圧力Pdの影響を抑えることができる。このように、CS弁体51に作用する背圧による力に対する吐出圧力Pdの影響を抑えることができ、ソレノイド80に入力される電流値に対するCS弁体51のストロークのばらつきが抑制され、CS弁50の開度を精度よく調整することができる。
【0077】
このように、CS弁50の下流側の流路に流路断面積が下流側へ行くにしたがって減少傾向(dA<0)となる減少領域である流路C102を設け、CS弁50を通過する流体の流速に応じてCS弁50の下流圧を適宜制御することにより、CS弁50の制御性を高めることができる。
【0078】
また、減少領域としての流路C102は、CS弁体51のストロークに係らず最小流路断面積が一定であるため、減少領域を通過した後の弁室120内における流体の圧力を常に安定させることができる。
【0079】
また、流路C102を構成するバルブハウジング110のテーパ面110eは、Psポート111の弁室120側の開口の軸方向左端に連なるように直線状に延びるテーパ面として構成されているため、Psポート111内まで流体の流速や圧力を加速的に変化させながら誘導しやすくなっている。これにより、CS弁50の下流側の流路における流体の流れを安定させて淀みをなくすことができ、CS弁50の下流圧、すなわち弁室120内の流体の圧力をより安定させることができる。
【0080】
また、CS弁50を構成するCS弁座40aを構成するテーパ面とCS弁体51の当接部51aとの間に流路断面積が一定の流路C101が形成されるため、CS弁体51の閉弁位置もしくは絞り位置においてCS弁50を通過する流体の流速と圧力を略変化させることなく、その流れを接線方向(
図8の実線矢印参照)に向けて安定させることができる。
【0081】
また、CS弁座40aを構成するテーパ面は、減少領域である流路C102を構成するバルブハウジング110のテーパ面110eと連続しているため、流路C101,C102の連続部分、すなわち減少領域である流路C102の上流側における流路断面積を大きく形成しやすい。
【0082】
また、CS弁座140aは、バルブハウジング110と別体の弁座部材140に形成され、減少領域を構成するテーパ面110eは、バルブハウジング110に形成されているため、流路C101,C102における流路断面積の設定を行いやすく、減少領域を容易に形成することができる。
【0083】
尚、本実施例2においては、減少領域である流路C102の上流に形成される流路C101の流路断面積が一定である構成について説明したが、これに限らず、流路C101の流路断面積は下流側へ行くにしたがって増加傾向となっていてもよい。
【0084】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0085】
例えば、前記実施例では、バルブハウジングおよび弁座部材は、金属材料により構成されるものとして説明したが、これに限らず、弁座部材がバルブハウジングの流路内側の硬さよりも硬いものであれば、樹脂材料等により形成されてもよい。また、この場合にも、弁座部材は弁体と異なる素材から形成されることが好ましい。
【0086】
また、CS弁体は、CS弁座との当接部が断面曲面形状に形成されていなくてもよい。
【0087】
また、CS弁座を構成するテーパ面は、直線状のものに限らず円弧状であってもよい。
【0088】
また、減少領域は、テーパ面により流路断面積が連続的に減少するものに限らず、段状の面により流路断面積が段階的に減少する減少傾向となるものであってもよい。
【0089】
また、前記実施例の容量制御弁は、ポペット弁としてのCS弁を例に説明したが、ポペット弁は、流入ポートとしてのPdポートと流出ポートとしてのPcポートとの間の流路を開閉するDC弁であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
9 固定オリフィス
10 バルブハウジング
10a 凹部
10b 受け部
10c ガイド孔
10d 凹部
10e 内周面
11 Psポート(流出ポート)
20 弁室
21 貫通孔
30 圧力作動弁
40 弁座部材
40a CS弁座(弁座)
40b 貫通孔(貫通流路、流入ポート)
40c 平坦面
50 CS弁(ポペット弁)
51 CS弁体(弁体)
51a 当接部
51d 外周面
80 ソレノイド(駆動源)
110 バルブハウジング
110e テーパ面
111 Psポート(流出ポート)
120 弁室
140 弁座部材
140a CS弁座(弁座)
140b 貫通孔(貫通流路、流入ポート)
140c 平坦面
C1,C102 流路(減少領域、下流側の流路)
C2,C101 流路(下流側の流路)
S 空間
V1,V2 容量制御弁(弁)