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特許7673072車両の車台を所要の垂直位置まで下降させるための改善された方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-25
(45)【発行日】2025-05-08
(54)【発明の名称】車両の車台を所要の垂直位置まで下降させるための改善された方法
(51)【国際特許分類】
   B60G 3/20 20060101AFI20250428BHJP
【FI】
B60G3/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022542017
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 FR2021050006
(87)【国際公開番号】W WO2021140293
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】2000125
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・セルヴァント
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/106110(WO,A1)
【文献】特開平07-237530(JP,A)
【文献】特開昭60-082419(JP,A)
【文献】特開昭47-032514(JP,A)
【文献】特開平07-215186(JP,A)
【文献】特開2001-121938(JP,A)
【文献】特表2003-529487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能な垂直位置を用いて車両の車台(2)を下降させるための方法であって、前記車両(1)は、前記車台(2)が高い走行位置と前記車台が地面(4)で支持される低位置との間を移動し得るように設計され、前記車両はまた複数の車輪(R1~R4)を含み、各車輪に関連して、
前記車台(2)上に枢動可能に搭載された、車輪を担持する懸架アーム(28)と、
前記懸架アーム(28)と前記車台(2)との間に配置され、前記車台の前記垂直位置を変動させるために前記車台に対する前記懸架アームの角度位置を制御することを可能にする、懸架アームアクチュエータ(32)とを含み、
前記車両は、2つの走行装置、すなわち前走行装置(8)および後走行装置(10)のみを含み、前記走行装置の各車輪は駐車ブレーキに関連付けられ、方法は以下の順番の一連のステップ
前記車台(2)が前記高い走行位置にあるとき、前記2つの走行装置のうちの一方(10)の前記車輪(R3、R4)のすべてに対してのみ前記駐車ブレーキを作動させるステップと、
前記車台(2)を前記地面(4)で支持される低位置まで下降させるステップと、
前記2つの走行装置のうちの他方(8)の前記車輪(R1、R2)のすべてに対して前記駐車ブレーキを作動させるステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記前走行装置(8)の前記車輪(R1、R2)の操舵角を検出するステップを含むこと、および前記車台(2)を下降させる前記ステップは、前記検出された操舵角が安全値以下である場合にのみ遂行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出された操舵角が前記安全値より大きいとき、前記前走行装置(8)の前記車輪(R1、R2)の方向を修正する、手動または自動のステップが遂行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車台(2)が前記地面で支持される低位置まで下降させられた後、タイヤが無負荷にならないようにタイヤに負荷をかけるステップが遂行されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記車台(2)が前記高い走行位置にあるとき、その走行装置の前記車輪(R3、R4)がそれらの駐車ブレーキを作動されている、前記2つの走行装置のうちの前記一方(10)が、前記後走行装置に対応することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
安全デバイス(40)は各車輪に関連付けられ、前記車台(2)が誤って下降することを制限することができ、前記安全デバイスは、一方で前記車台の前記下降につながる第1の方向(S1)において前記懸架アーム(28)の回転をこのアームの安全位置に制限することを可能にする活性状態と、他方で前記安全位置を超えて前記第1の方向(S1)においてこのアーム(28)の回転を可能にする不活性状態とを取ることが可能であること、および前記方法は、前記車台(2)を下降させる前記ステップの前に、前記安全デバイス(40)を前記活性状態から前記不活性状態に切り替えるステップを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
各車輪(R1~R4)は、懸架アーム(28)の回転を防止するためのデバイス(98)に関連付けられること、および前記方法は、前記車台(2)を下降させる前記ステップの後に、前記車両の前記車輪(R1~R4)の各々に関連付けられた前記懸架アーム(28)の回転を防止するためのデバイス(98)を活性化するステップを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記車台(2)上に搭載されたシリンダ(48)および前記懸架アーム(28)上に搭載されたピストン(50)、またはその逆を有するジャッキ(46)を含む各安全デバイス(40)を用いて実施され、前記ジャッキは前記シリンダ(48)を通して第1の流体通路(62)および第2の流体通路(64)と連通する第1のチャンバ(54)を画定し、前記第1の流体通路(62)および前記第2の流体通路(64)は前記シリンダ内の前記ピストンの滑動方向(66)に互いに離隔され、それにより前記第2の流体通路(64)は前記シリンダによって画定される前記第1のチャンバの底(58)にできるだけ近く位置し、前記第2の流体通路(64)は安全弁(72)を設けられた第1の流体ダクト(68)と連通し、前記安全弁(72)は、
前記懸架アーム(28)が前記車台の下降につながる第1の方向(S1)に回転することに起因して前記ピストン(50)が前記第1のチャンバの前記底(58)の方に移動するとき、流体が前記第2の流体通路(64)を通って前記第1のチャンバ(54)から排出されることを可能にするために、前記安全デバイス(40)の不活性状態にある開位置と、
前記懸架アーム(28)が前記第1の方向(S1)に回転することに起因して前記ピストン(50)が前記第1のチャンバの前記底(58)の方に移動するとき、前記ピストン(50)が前記第1のチャンバの前記底(58)から少し離れた安全位置にロックされ、その位置において前記流体がピストンヘッド(52)と前記安全弁(72)との間で圧縮されるように、前記安全デバイス(40)の活性状態にある閉位置とを取ることを特徴とする、請求項6と組み合わされた請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車台が、高い走行位置と車台が地面で支持される低位置との間を移動できるように車台が制御可能である車両の分野に関する。
【0002】
本発明は、好ましくは、貨物積載空間を有する配送車両に関し、より一層好ましくは、都会の配送トラックに関する。
【背景技術】
【0003】
このタイプの車両について、車台を下降させることが可能であるという特徴は、貨物積み込み積み下ろし作業を容易にすることを可能にする。実際、車台が地面で支持されるその低位置を取るとき、貨物積載空間は、可能な限り地面の近くに設置される。貨物の取り扱い、特にその配送に必要な取り扱いは、有利に簡素化される。
【0004】
そのような車両は複数の車輪を有し、各車輪に関連して、枢動する車輪懸架アームを車台上に有する。懸架アームアクチュエータが、同じく、各車輪に関連付けられ、懸架アームと車台との間に配置される。アクチュエータは、車台の垂直位置を変動させるために、車台に対するアームの角度位置を制御することを可能にする。
【0005】
車両が前走行装置および後走行装置を有するとき、懸架アームの運動学は、これらの2つの走行装置の各々において必ずしも同じであるとは限らない。その上、下降は、特に車両が傾斜した道路上に駐車されるときに車両が不必要に移動することを防止するために、駐車ブレーキが車両の車輪の各々に対して作動される状態で遂行されることが、一般的に推奨される。
【0006】
それゆえ、駐車ブレーキが車両の各車輪に対して作動されている状態で車台が下降させられるとき、回転懸架アームに関連付けられる異なる運動学に起因して、高い応力が走行装置内にもたらされる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、特に、下降中に走行装置において観察される機械的応力を低減するために、車両の車台を下降させるための方法を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この必要性に少なくとも部分的に対応するために、本発明は、制御可能な垂直位置を用いて車両の車台を下降させるための方法に関し、車両はその車台が、高い走行位置と車台が地面で支持される低位置との間を移動し得るように設計され、車両はまた複数の車輪を含み、各車輪に関連して、
- 車台上に枢動可能に搭載された車輪を担持する懸架アームと、
- 懸架アームと車台との間に配置され、車台の垂直位置を変動させるために、車台に対するアームの角度位置を制御することを可能にする、懸架アームアクチュエータとを含み、
車両は、2つの走行装置、すなわち前走行装置および後走行装置のみを含み、走行装置の各車輪は駐車ブレーキに関連付けられ、方法は以下の一連のステップを含む。
- 車台が高い走行位置にあるとき、2つの走行装置のうちの一方の車輪のすべてに対してのみ駐車ブレーキを作動させるステップ、
- 車台を地面で支持されるその低位置まで下降させるステップ、および
- 2つの走行装置のうちの他方の車輪のすべてに対して駐車ブレーキを作動させるステップ。
【0009】
本発明に特有のこの方法は、車輪に対する駐車ブレーキの一連の管理によって走行装置内に応力を発生することなく、地面で支持されるその低位置まで車台を下降させることを可能にする。したがって、車台を下降させることは、懸架アームの各々に関連付けられた運動学にかかわらず、駐車ブレーキがこの下降の間に2つの走行装置のうちの一方の車輪に加えられることによって、車両が動かないままであることを保証しながら、応力なしに遂行され得る。
【0010】
本発明は、好ましくは、個別にまたは組合せで取られる以下のオプションの特徴のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
好ましくは、方法は、前走行装置の車輪の操舵角を検出するステップを含み、車台を下降させる前記ステップは、検出された操舵角が安全値以下である場合にのみ遂行される。
【0012】
これに関して、検出された操舵角が安全値より大きいとき、前走行装置の車輪の方向を修正する、手動または自動のステップが遂行される。
【0013】
好ましくは、車台が地面で支持されるその低位置まで下降させられた後、安全にタイヤに負荷をかけるステップが遂行される。
【0014】
好ましくは、車台が高い走行位置にあるとき、その走行装置の車輪がそれらの駐車ブレーキを作動されている、2つの走行装置のうちの前記一方は、後走行装置に対応する。代替的に、本発明の範囲を逸脱することなく、それは前走行装置であり得る。
【0015】
好ましくは、安全デバイスは各車輪に関連付けられ、車台が誤って下降することを制限することができ、デバイスは、一方で車台の下降につながる第1の方向において懸架アームの回転をこのアームの安全位置に制限することを可能にする活性状態と、他方で安全位置を超えて第1の方向においてこのアームの回転を可能にする不活性状態とを取ることが可能であり、方法は、車台を下降させるステップの前に、安全デバイスを活性状態から不活性状態に切り替えるステップを含む。
【0016】
好ましくは、各車輪は、その懸架アームの回転を防止するためのデバイスに関連付けられ、方法は、車台を下降させるステップの後に、車両の車輪の各々に関連付けられた懸架アーム(28)の回転を防止するためのデバイスを活性化するステップを含む。
【0017】
安全デバイスは、好ましくは、車台上に搭載されたシリンダおよび懸架アーム上に搭載されたピストン、またはその逆を有するジャッキを含み、ジャッキは、シリンダを通して第1および第2の流体通路と連通する第1のチャンバを画定し、第1の通路および第2の通路はシリンダ内のピストンの滑動方向に互いに離隔され、それにより第2の通路はシリンダによって画定される第1のチャンバの底にできるだけ近く位置し、第2の通路は安全弁を設けられた第1の流体ダクトと連通し、安全弁は、
- 懸架アームが前記第1の方向に回転することに起因してピストンが第1のチャンバの底の方に移動するとき、流体が第2の通路を通って第1のチャンバから排出されることを可能にするために、安全デバイスの不活性状態にある開位置と、
- 懸架アームが前記第1の方向に回転することに起因してピストンが第1のチャンバの底の方に移動するとき、ピストンが第1のチャンバの底から少し離れた安全位置にロックされ、その位置において流体がピストンヘッドと安全弁との間で圧縮されるように、安全デバイスの活性状態にある閉位置とを取る。
【0018】
本発明による方法で使用される安全デバイスのこの設計によって、簡単で信頼できるコンパクトな解決策が取得され、それは、車台が誤って地面に下降するのを防止することを可能にする。実際に、車輪のうちの1つに関連付けられたアクチュエータの故障が生じた場合、車台の重量および車両の負荷が、懸架アームを第1の方向に回転させる。懸架アームの意図しない回転が、安全デバイスのピストンをジャッキの第1のチャンバの底の方に移動させる。ピストンヘッドがシリンダを通して形成される第1の流体通路に到達したとき、第2の流体通路に関連付けられた安全弁は安全デバイスの活性状態を反映して閉位置にあるので、流体はジャッキの第1のチャンバからもはや出ることはできない。これは、第1のチャンバの底から少し離れた安全位置にピストンをロックさせ、そのロックは、懸架アームが誤って回転するのを止める。次いで、懸架アームは、有利には、安全位置に保持されたままであり、安全デバイスのピストンヘッドと閉位置にある安全弁との間の流体の圧力によって、車台と地面との間の接触を防止する。最後に、この設計は同時に、安全デバイスが、たとえば、車台を下降させる手順を容易にするために運転席から遠隔制御され得るという点で有利であることに留意されたい。
【0019】
本発明の他の利点および特徴は、以下の非限定的な詳細な説明の中に現れる。
【0020】
この発明を実施するための形態は、添付された図を参照しながら提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】その車台が高い走行位置にある車両の概略側面図である。
図2】車台が地面で支持される低位置にある、前の図と同様の図である。
図3図1および図2に示す車両を下から見た図である。
図4】第1の好ましい実施形態における、車台が高い走行位置にある車両の一部のより詳細な側面図である。
図5】車台が誤って地面に下降するリスクを防止するための安全デバイスであって、図4に示す車輪に関連付けられ、車台が図4の高い走行位置にある状態で取られる活性状態にあることを示す、安全デバイスの図である。
図6】車輪懸架アームが安全位置にある、図4と同様の図である。図6’は、車両の後輪のうちの1つに関連付けられたアクチュエータが故障した場合の、車両の概略側面図である。
図7】安全デバイスが、懸架アームが図6のその安全位置を占めるときに取られる活性状態にあることを示す、図5と同様の図である。
図8】車台が地面で支持されるその低位置にある、図6と同様の図である。
図9】安全デバイスが、車台が図8のその低い支持された位置を占めるときに取られる不活性状態にあることを示す、図7と同様の図である。
図10】車両が第2の好ましい実施形態によるものである、図4と同様の図である。
図11図10に示す車輪に関連付けられた安全デバイスであって、車台が図10の高い走行位置にある状態で取られる活性状態にあることを示す、安全デバイスを示す図である。
図12】ロール止め機能を確保するために、車両の車輪に関連付けられた安全デバイスが互いに協働する別の実施形態の概略図である。
図13】安全デバイスが衝撃吸収機能も一体化する、図12と同様の概略図である。
図14】安全デバイスおよびアクチュエータが同じアセンブリ内に一体化され、アクチュエータもまた緩衝器を一体化することができる、図4と同様の図である。
図15】改善された実施形態による、車両の車輪のうちの1つの斜視図である。
図16】安全デバイスが車輪懸架アームの回転を防止する追加の機能を一体化する、図5と同様の図である。
図16a】安全デバイスが代替形態によって提示される、図16と同様の図である。
図17】低位置にあるその車台が凸面の地面で支持される車両を示す図である。
図18】安全デバイスが車輪懸架アームの回転を防止する追加の機能を一体化する、図12と同様の図である。
図19】その車台が高い走行位置にある車両の概略側面図である。
図20】本発明の好ましい実施形態の形で前の図に示す、車台を下降させるための方法の様々なステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
最初に図1図3を参照すると、制御可能な垂直位置を有する車台2を含むタイプの車両1が示される。この場合は都会の配送トラックであることが好ましい車両1は、実際には、図1に示すように高い走行位置まで持ち上げられ、図2に示すように地面4で支持される低位置まで下降させられ得る車台2を有する。それにもかかわらず、車両1は、他の車両、好ましくは道路輸送車両を含んでもよい。
【0023】
「本体」ともばれる、車台2は、貨物積載空間6を支持するかまたは区切る。たとえば、この空間6は、その底において車台2によって、低い支持された車台の位置においてできるだけ地面に近くなるように区切られる。
【0024】
高い走行位置において、貨物を積み下ろすために取られる、地面で支持される低位置に到達するために必要な垂直移動距離を制限するために、車台2の地上高G1は中程度にとどまる。典型的には、この地上高G1は500mm未満であり、好ましくは、150mmと500mmとの間である。
【0025】
車両1は、2つの走行装置、すなわち前走行装置8および後走行装置10のみを含む。2つの装置の各々は、2つの単一車輪アセンブリだけを装備され、車輪の各々は、以下で説明する懸架アームによって車台2上に個別に関節接合される。それにもかかわらず、各車輪が、この場合に単一の懸架アームに関連付けられるならば、設計はより複雑になり得る。実際、たとえば、2つの車輪が同じ車軸上にあり、車軸自体は、一般に一車輪あたり2つの「押される」または「引っ張られる」懸架アームによって関節接合され、平行四辺形運動学を生成するように車軸の上部と底部に搭載される、前装置があり得る。したがって、車輪の各々は、「押される」または「引っ張られる」構成における少なくとも1つの懸架アームによって車台2上に、個別にまたはペアで関節接合され得る。
【0026】
したがって、前装置8は左前輪R1および右前輪R2を含む一方で、後装置10は左後輪R3および右後輪R4を含む。
【0027】
積載空間6は、拡張された後片持ち領域を有する。実際、これは、図3に示すように、積載された車両の重心12の垂直方向の投影が、前輪および後輪R1~R4のトレッド20の中心16を接続する2つの対角線間の交差14の後ろに位置することの観察につながる。言い換えれば、積載された車両の重心12は、2つの走行装置8、10の間の軸距の中点の後ろに位置する。この場合、「積載された車両」という用語は、積載空間6が、すべてが単位面積当たり同じ重量を有する貨物で全体的に占められることを意味する。
【0028】
対角線の間の交差14に対応する軸距の中点に対する重心12の長手方向距離は、およそ50cm~1mであり、2mまでであり得る。これに関して、車両1は、図中の「L」で参照される長手方向、ならびに「T」で参照される横方向を有することに留意されたい。次に図4を参照すると、車両の車輪のうちの1つと車台2との間のアセンブリが示される。この場合、アセンブリは左後輪R3であるが、アセンブリは、4つの車輪R1~R4の各々に対して同一または同様であることは理解されよう。したがって、車輪R3のアセンブリだけについて、以下で説明する。
【0029】
車輪R3は、リム22、ならびにリムの回りに配置されたタイヤ24を有することに最初に留意されたい。トレッド20を画定するのはタイヤ24である。リム22は、一般に長方形の形状を有する懸架アーム28上の車輪回転軸26回りに関節接合される。車輪R3は、アーム28の頂点のうちの1つにおいて関節接合される。アーム28は、車輪回転軸26に平行または実質的に平行なアーム回転軸30回りに、車台2上の頂点のうちの別の頂点に枢動可能に搭載される。
【0030】
懸架アーム28の第3の頂点において、懸架アームのアクチュエータ32の一端が関節接合される。この関節接合は、軸26、30に平行なアクチュエータ回転軸34回りに形成される。その反対の長手方向端部において、アクチュエータ32は、車台2上に担持されるか、または車台2上で同様に関節接合される。このアクチュエータ32は、車台の垂直位置を要望通りに変動させるために、車台2に対する懸架アーム28の角度位置を制御することを可能にする。
【0031】
アクチュエータ32は、この場合はエアバッグタイプである。アーム28と車台2との間のその長手方向間隔を調整することを可能にするのは、その内部圧力の制御であり、その間隔はアーム28の角度位置を決定する。この圧力は、車両の制御ユニット33によって調節され、そのユニットは、4つの車輪に対して共通であり得るが、車輪に従って異なる制御信号を供給することができる。
【0032】
図4では、懸架アーム28の角度位置は、それが車台2に対する角度A1を形成するようなものであり、この角度A1は、車台に対する垂線または垂直線と、2つの軸26、30を接続する仮想線との間で、側面図において決定される。車両の走行中に取られる角度A1は、たとえば、およそ90°であるが、それは、言うまでもなく、より小さくてもより大きくてもよい。加えて、懸架アーム28は緩衝されることが好ましいので、角度A1の値は、走行中に遭遇する緩衝段階の間に変動する。
【0033】
懸架アーム28のこの緩衝を達成するために、当業者に知られている任意の設計の緩衝器36が提供される。緩衝器36の両端は、同様に軸26、30および34に平行な軸回りに、アーム28および車台2上で関節接合される。
【0034】
最後に、アセンブリは、図4の40で参照される、安全デバイスによって完成される。この安全デバイスは、図4において時計回り方向に対応する第1の回転方向S1において懸架アームが軸30回りに回転するのを安全デバイスが制限する活性状態を取ることによって、車台2が誤って地面4に下降するのを制限することができる。アーム28が車台2を地面4の方に下降させるのは、実質的にこの回転方向である。
【0035】
図4に概略的にのみ示す安全デバイス40は、同じく、軸26、30および34に平行な回転軸42、44回りに、車台2上のおよび懸架アーム28上の2つの対向する端部において関節接合される。この場合、安全デバイス40は緩衝器36とは異なるが、機器のこれら2つの品目は、有利には、以下で説明するように統合され得る。
【0036】
次に図5を参照すると、安全デバイス40がより詳細に示されるが、依然として、その活性状態が、車台が誤って地面に下降することを防止する。安全デバイス40は、回転軸42回りに懸架アーム28上に関節接合されたシリンダ48と、軸44回りに車台2上に関節接合されたピストン50とを有するか、またはその逆を有する油圧ジャッキ46を含む。ピストンヘッド52は、その左右に、第1のオイルチャンバ54と第2のオイルチャンバ56とを区切る。第1のチャンバ54は、同じく、第1のチャンバの底58によって画定される一方で、第2のチャンバ56も、ピストン50のロッドが通過する第2のチャンバの底60によって画定される。
【0037】
第1のチャンバ54は、シリンダ48を通して横方向に作成された第1のオイル通路62と連通する。第1のチャンバ54はまた、シリンダ48を通して作成された第2のオイル通路64と連通し、この第2の通路は、第1のチャンバの底58の近くに位置し、いずれにしても第1の通路62よりもこの底48に近い。実際、2つの通路62、64は、シリンダ内のピストンの滑動方向66において互いに離隔される。第2の通路64は、第1のオイルダクト68と連通する一方で、第1の通路62は、第1のダクト68の端部に接続された第2のオイルダクト70と連通する。この接続の上流において、第1のダクト68は安全弁72を装備され、この弁は手動が可能であるが、制御ユニット33によって制御されるソレノイド弁であることが好ましい。
【0038】
第2のチャンバ56は、その一部に対して、シリンダ48を通して横方向に作成された第3のオイル通路74と連通し、この第3の通路は、第2のチャンバの底60の近くに配置されることが好ましい。第3の通路74は、以下で説明する流体回路78に属する第3のオイルダクト76の端部と連通する。実際、第2の通路64からこの安全弁72に進むオイルの流れの方向における安全弁72の下流において、第1の流体ダクトは、第1の通路62に接続された第2のダクト70と連通するばかりでなく、流体回路78に属する第3のオイルダクト76の他端とも連通する。流体回路78は、第3のダクト76の両端の間にある、第3のダクト76上のタップによって完成し、そのタップは、エアリザーブ82をその上部に備えるオイルタンク80につながる。
【0039】
図5に示す安全デバイス40の活性状態において、弁72は、閉位置に保持される。この状態では、オイルは、弁72が閉じているため、第2の通路64を通過できない。しかしながら、オイルは、第1の開口62、第2のダクト70、第3のダクト76および第3の通路74を介して2つのチャンバ54、56の間を自由に循環し得る。それゆえ、ピストン50は、第1および第3の通路62、74の間のピストンヘッド52の移動によって、走行中に緩衝器の運動を伴い得る。特に、安全デバイス40のこの活性状態において、ピストン50は、車台が過度に下がることを防止するために、およびしたがって、走行中に車台が地面に意図せずに衝突することを防止するために、方向66におけるその移動を停止することができる。より具体的には、車輪R3に関連するアクチュエータが故障した場合、車台2の重量および車両の負荷が、懸架アーム28を、図6の矢印で概略的に表す第1の方向S1に軸30回りに回転させる。懸架アーム28の意図しない回転は、ピストンヘッド52を底58の方に移動させ、オイルを、第1の通路62を介して第1のチャンバ54から、ダクト70、76および第3の通路74を介して第2のチャンバ56の方に排出する。
【0040】
ピストンヘッド52が、シリンダ48を通して形成された第1の通路62に到達すると、オイルが、安全弁72の閉止によって第2の通路64を通って漏れ出ることができないのと同様に、オイルは、ピストンヘッドが通路62を遮断するためにこの同じ通路62を通って第1のチャンバ54から漏れ出ることはもはやできない。したがって、ピストン50は、図7に示すように、ピストンヘッド52と弁72との間のオイルの加圧によって、底58から少し離れた安全位置にロックされる。
【0041】
安全位置におけるピストン50のこのロックは、有利には、懸架アーム28が、車台2に対して方向S1に誤って回転することを停止する。次いで、このアーム28は、図6に示す安全位置に保持され、それは、誤って地面と接触することを防止するために、非ゼロ地上高G2を局所的に与える。アーム28のこの角度位置において、アーム28は、車台2に対する垂線とこの角度A2を形成し、この角度A2は、明らかに、図4に関して上記で説明した角度A1より小さい。
【0042】
後輪R3のうちの1つに関連付けられたアクチュエータが故障した場合、車台2は、図6’に概略的に示すように、地面4に対して傾く傾向を有することに留意されたい。後部片持ち部も、地面4と接触することを回避しなければならない。それゆえ、その安全デバイスによって後輪R3において局所的に与えられる地上高G2は、車両の後部片持ち部の後端において非ゼロ地上高G3を維持するのに十分でなければならない。加えて、非ゼロ地上高G3を維持するためのG2の理論値は、実際には、後輪のアクチュエータのそのような故障の条件のもとで走行中の車両の動的運動を考慮に入れるために増加され得る。たとえば、G2の理論値は、10、40または60%だけ増加されてよく、したがって、この増加は、車輪に関連付けられた安全デバイスの設計において考慮に入れられる。同様の論理的思考が、前輪に関連付けられたアクチュエータが故障している間に車両の前部片持ち部が地面と接触するリスクを防止するために適用される。
【0043】
安全デバイス40は、代替的に、弁72が開位置にある、図8および図9に示す不活性状態を取ってもよい。車台2を意図的に地面まで下降させるために取られるこの状態において、ピストンヘッドが第1の通路62を通過した後でも、底58の近くに位置する第2の通路64を介して第1のチャンバ54からオイルが抽出され得る。
【0044】
これは、第1の通路62を超えるピストン50の付加的な移動距離が、アーム28の付加的な回転を伴うことを可能にし、車台2が地面4に至ることを可能にする。
【0045】
車台2が地面に到達すると、アーム28は、車台2に対する垂線と角度A3を形成するような角度位置になり、図8に示すこの角度A3は、明らかに、図6に関して上記で説明した角度A2より小さい。
【0046】
次に図10および図11を参照すると、安全デバイス40が緩衝器36内に、またはその逆に一体化される第2の好ましい実施形態が示される。言い換えれば、単一のアセンブリが安全と緩衝の両機能を満足し、このアセンブリは、2点におけるその端部において、懸架アーム28および車台2の上に、それぞれ軸42および44回りに関節接合される。2つの機能を満足するこのアセンブリを取得するために、緩衝器のジャッキが安全デバイス40のジャッキ46によって、またはその逆に形成される。
【0047】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同じ特徴を使用し、それに対して、機器が流体回路78内に追加される。実際、この回路の第3のダクト76は、タンク80のタップと第3の通路74へのダクト76の接続部との間に配置されたループ84を装備される。このループ84は、緩衝機能を満足させるための要素を一体化する。このために、ループ84は、メインダクト90a内に、圧縮流体貫通開口88aに関連付けられた第1の逆止弁86aを一体化する。ループはまた、圧縮流体貫通開口88aをバイパスするためのダクト90bを有し、このダクト90bは、膨張流体貫通開口88bに関連付けられた第2の逆止弁86bを装備される。
【0048】
この配置によって、第2の逆止弁86bは、第1の逆止弁86aと反対方向のオイルの流れを可能にする。それゆえ、緩衝段階の間に、オイルがメインダクト90aを通過する一方で、反発段階の間に、オイルがバイパスダクト90bを通過する。圧縮段階の間に、オイルは、圧縮流体貫通開口88aを通過し、圧縮流体貫通開口88aは、エネルギーの消散とオイルのワイヤドローイング(wire-drawing)による緩衝とを確実にするために調整される。同様に、膨張において、緩衝は、他の貫通開口88bを通るオイルの通路によって決定される。その結果として、2つの開口88a、88bが異なる流れ断面を有することを確実にすることによって、圧縮および反発において分化した緩衝が取得される。
【0049】
図12に示す別の実施形態によれば、車両の異なる車輪の安全デバイス40が、ロール止め機能を与えるためにペアで協働することができる。図12は、後走行装置の2つの車輪R3、R4に対するデバイス40の協働を示すが、同一のまたは同様の協働が、前走行装置の2つの車輪に対して採用され得る。
【0050】
より具体的には、左後輪R3に関連付けられた安全デバイス40の第3のダクト76の端部は、このデバイス40のジャッキ46の第3の通路74とはもはや連通せず、第3のダクト76の端部は、左後輪R3と横方向に対向する右後輪R4に関連付けられた安全デバイス40に属するジャッキ46の第3の通路74と連通する。それゆえ、右後輪R4のピストン50が、この車輪R4の懸架アームの回転に従ってそのシリンダ48の中に降下するとき、車輪R4に関連付けられたジャッキの第1のチャンバ54のオイルは、他方の車輪R3に関連付けられたジャッキの第2のチャンバ56の方に放出される。同時に、車輪R3に関連付けられたジャッキの第1のチャンバ54のオイルは、車輪R4に関連付けられたジャッキの第2のチャンバ56の方に放出される。それゆえ、車輪R3に関連付けられたジャッキのピストン50もまた降下し、車両の不必要なローリング運動を防止または制限する。
【0051】
そのような機能は、図13に示すように安全デバイス40が、同じく緩衝機能を一体化するとき、より一層重要である。説明したすべてのモードおよびすべての実施形態に適用可能な、図14に示す代替実施形態によれば、エアバッグの形態のアクチュエータ32が、安全デバイス40を組み込むアセンブリ内に一体化され、安全デバイス40は、同じく、図10および図11に関して説明した意味において、緩衝機能を組み込むことができる。
【0052】
これを実施するために、エアバッグの縦軸92が、安全デバイス40のジャッキ46の軸と融合する。加えて、エアバッグ32の長手方向の端部が、シリンダ48に固定される一方で、その対向する長手方向の端部が、回転軸44回りに車台2上に枢動可能に搭載される。次いで、ピストン50のロッドが、回転軸42回りに懸架アーム28上に枢動可能に搭載される。この特定の配置によって、エアバッグ32の担持面は、恒久的に、シリンダ48に、より具体的にはジャッキの第2のチャンバの底60に、中心を置かれたままである。したがって、エアバッグ32は、恒久的に、ジャッキ46と整列されたままであり、それは、懸架アーム28の角度位置にかかわらず、車台2と懸架アーム28との間の機械力の最適な伝達を確実にする。
【0053】
次に図15を参照すると、車輪のうちの1つの改善された実施形態が示される。それは車輪R3であるが、車両の車輪のすべてが、この方法で作成され得る。この車輪R3は、リム22とトレッド20を画定するタイヤ24とに加えて、リム回りに半径方向に配置される補強96を含む。補強96は、圧力が失われた場合にタイヤのトレッド20の内部と接し、その結果、タイヤ24とリム22との間で直接接触することを防止することが意図される。補強96は、車両の重量のもとで崩壊しないように堅固に設計され、したがって、たとえば、パンクに起因してタイヤの圧力が失われた場合に、車台が誤って地面に下降するリスクを防止するのを助ける。
【0054】
好ましくは、安全デバイス40の設計において、タイヤの圧力の損失によって生じる車台の崩壊の可能性も考慮に入れることができる。したがって、その安全デバイスによって車輪において局所的に与えられる地上高G2は、空気漏れ(deflation)またはパンクに起因し得るタイヤの圧力損失に続く車輪の崩壊の最大振幅より大きいことが好ましい。同様に、図6’に関して上記で規定した原理が、同じく、車輪のうちの1つに関連付けられたアクチュエータの故障の累積する状況に適用可能であり、この車輪における圧力の損失は、補強96上のローリングにつながる。言い換えれば、その原理は、タイヤの圧力の損失に続く車輪の崩壊の最大振幅の値から引かれる、その安全デバイスによって後輪R3において局所的に与えられる地上高G2の値が、車両の後部片持ち部の後端において非ゼロ地上高G3を維持するのに十分であることを確実にする。この場合、再び、同様の条件が前輪に対して提示される。
【0055】
図16を参照すると、第3の好ましい実施形態が示され、各車輪は、車輪懸架アームの回転を防止するためのデバイスに関連付けられ、回転を防止するためのこのデバイスは、この場合は、安全デバイス40と一体化される。デバイスは、遮断弁98の、好ましくは制御ユニットによって制御されるソレノイド弁の形を取る。手動で作動される遮断弁も、本発明の範囲を逸脱することなく想定され得る。遮断弁98は、第1および第2のダクト68、70との接続部の近くの第3のダクト76上で、流体回路78内に配置される。
【0056】
遮断弁98が遮断位置にあり、安全弁72もその閉位置を取るとき、ジャッキ46の2つのチャンバ54、56の間を流体が連通することはできない。その結果として、これらの2つの弁72、98が閉じられると、ピストン50は、シリンダ48内のその位置にロックされたままである。言い換えれば、ピストン50は、移動の方向にかかわらず、滑動方向66に動くことはもはやできない。ピストン50の位置のロックは、懸架アームが車台に対して両回転方向に回転するのを防止する。この機能は、車台2が平坦でない地面4で支持されるその低位置にあるときに、特に有利である。そのような状況は図17において概略的に示しており、車台2の前部が地面と接触する一方で、車台2の後部が道路の凸特性に起因して地面から少し離れたままであることを示している。この状況では、たとえば、貨物が積み下ろされるにつれて、車両の重心が移動するリスクがある。重心のこの移動は、車台2が意図せずに傾くこと、たとえば、車台2と凸状の道路4との間の初期の間隔Jが減少することを生じる場合がある。そのような不必要な傾きは、たとえば、地面と地面に接近する車台のこの前部との間で足が押しつぶされるリスクなど、車両の車台の前部の近くに位置する人々に対するリスクを提示する。
【0057】
しかしながら、好ましくは車輪の各々の安全デバイス40内に設けられた遮断弁98によって、車両の近くに位置する人々に対するそのようなリスクが回避される。
【0058】
遮断弁98は、第3のダクト76上の別のロケーションに、たとえば、図16aに示すように、シリンダ48を通る第3のオイル通路74の近くに配置され得ることに留意されたい。
【0059】
その上、懸架アームの回転を防止するために遮断弁98を配置するこの原理は、安全デバイス40が図11に関して説明した緩衝機能を一体化する場合にも適用される。この場合には、遮断弁98は、本発明の範囲を逸脱することなく、ループ84の上流または下流に配置され得る。
【0060】
懸架アームの回転を防止するために遮断弁98を配置するこの原理は、安全デバイス40が、図18に概略的に示すように、ロール止め機能を一体化する場合にも適用可能である。
【0061】
一例として、各車輪に関連付けられた安全デバイスが、上記で説明した複数の追加の機能、またはさらにはそれらのすべて、すなわち、緩衝機能、ロール止め機能、アクチュエータを一体化する機能、およびピストンの並進運動を防止することによって懸架アームの回転を防止する機能を一体化する、少なくとも1つの実施形態が提供される。
【0062】
その上、車両の車台を下降させるための方法に関する本発明の文脈では、上記で開示された安全デバイスはオプションのままであり、さらに、そのような安全デバイスが車両の1つまたは複数の車輪に設けられるとき、その設計は、上記で説明した様々な実施形態において開示された設計と異なる場合があることに留意されたい。特に、安全デバイスは、必ずしもジャッキを一体化するとは限らない。
【0063】
他の好ましい特徴について以下で説明し、それらは明確に、上記で説明した特徴と組み合わされ得る。
【0064】
最初に、図19を参照すると、走行構成にある、すなわち高い走行位置にあるその車台2が地上高G1を画定する車両1が示される。ここで、車両の独自性は、4つの車輪の各々に関連する運動学は同一であるという事実にある。より具体的には、これらの同一の運動学は、車台が下降させられているとき、地面4に対する車台2の、同一のまたは実質的に同一の長手方向のオフセットを可能にする。
【0065】
この設計によって、地面で支持されるその低位置まで車台を下降させることが、この下降の間に車輪のすべてが駐車ブレーキによってロックされているときでも、走行装置8、10において応力を発生しない。
【0066】
4つの車輪R1~R4(2つの車輪R1およびR3だけが、図19の側面図に見られる)の各々に対して、車台の高い走行位置において、以下の特徴が観察される。
- 懸架アーム28は、2つの回転軸26、30の間で画定されるアーム長さ「LB」を有する、
- アーム回転軸30は、地面に対する第1の垂直距離「DV1」を有する、
- 車輪回転軸26は、第1の垂直距離より小さい、地面に対する第2の垂直距離「DV2」を有する、
- 車輪は、車輪直径「D」を有するトレッド20を含む。
【0067】
したがって、車台が下降させられているときに走行装置8、10内に応力をもたらすことを回避するために、以下の指示が、4つの車輪に対して適用される。
- アーム回転軸30は、本発明の範囲を逸脱することなく、反対に「引っ張られる」アーム構成も想定され得る場合でも、同じ方向に、この場合は「押される」アーム構成につながる後方に、車輪回転軸26から長手方向にオフセットされる、
- アーム長さLBは、同じまたは実質的に同じである、
- 地面に対する第1の垂直距離DV1は、同じまたは実質的に同じである、
- 地面に対する第2の垂直距離DV2は、同じまたは実質的に同じである、
- 車輪直径Dは、同じまたは実質的に同じである。
【0068】
これらの値のすべてが厳密に同一でないとき、許容される偏差は、それらが組み合わされたとき、4つの車輪の間の最低のオフセットと最高のオフセットとの間で車台に与えられる長手方向のオフセットにおける差が、5cmを超えない、さらには2または3cmを超えない程度である。
【0069】
実際、この低いオフセットの偏差は、4つの車輪が駐車ブレーキによってロックされる場合でも、走行装置に有害な応力をもたらすことなく、下降中に地面の上のタイヤの適度な滑動によって吸収され得る。
【0070】
それにもかかわらず、4つの車輪に関連付けられた運動学が必ずしもすべてが同一であるとは限らない、たとえば前輪に関連付けられた運動学が後輪に関連付けられた運動学と異なる、様々な設計が観察され得る。この後者の場合、異なる運動学は、不等な長手方向のオフセットを生み出し、車台が下降させられているときに、走行装置内にかなりの機械的応力を生じるリスクを提示する。
【0071】
この問題を解決するために、本発明は、上記で説明した車両のすべてに適用可能な、車台を下降させるための方法を提案する。
【0072】
図20は、図19に関して説明したモードとは違って、車輪のすべてが下降中に同じ動きの運動学を有しないときに特に好適な、車両の車台2を下降させるためのそのような方法の様々なステップを概略的に示す。それにもかかわらず、方法は、本発明の範囲を逸脱することなく、このモードにも適用可能である。
【0073】
方法は、車台を下降させる指令を受信するために待機しているステップE1で始まる。この指令は、オペレータによって、たとえば、専用のダッシュボードボタン、または車両の制御ユニット33にリンクされた任意の他のボタンを介してトリガされ得る。
【0074】
そのような下降指令が受信されると、ステップE2は、前装置の車輪が過度の操舵角を有しないことを確認することで構成される。なぜならば、操舵角が過度であると、これは、車台を下降させる間に車両の枢動を生じる場合があるからである。したがって、操舵角が安全値より大きい場合、ステップE’2が、適切な操舵角が取得されるまで方向を修正するために実施される。このステップE’2は、パワーステアリングシステムによって自動的に、またはオペレータが車両の操舵輪を直接操作することによって手動で遂行され得る。
【0075】
操舵角が安全値より低くなると、ステップE3が実施され得、前記ステップは、後走行装置の車輪R3、R4に対してのみ駐車ブレーキを作動させるステップから成る。これに関して、駐車ブレーキは示されないが、それは、当業者に知られている任意の従来の構成を有することに留意されたい。
【0076】
この駐車ブレーキが後走行装置に対して活性化され、前走行装置に対して不活性が保持されると、ステップE4は、安全デバイス40を不活性状態に設定するために、安全弁72のすべてをそれらの閉位置からそれらの開位置に切り替ることを伴う。次いで、ステップE5は、常に車両のユニット33を介してアクチュエータ32を制御することによって車台2を下降させることから成る。加えて、このユニット33は、この方法のステップのすべてを自動的に、すなわちオペレータによる介入なしに、逐次的に実施するようにプログラムされ得る。
【0077】
下降ステップE5は、車台2がその低い支持された位置において地面4に載るまで継続する。車台が地面で支持される低位置にあるとき、地面上の車両の過度に弱いグリップを回避するために、車輪のタイヤに安全な負荷をかけるステップE6が遂行され得る。このオプションのステップは、車台が地面で支持された後、タイヤが完全に無負荷にならないことを確実にすることを狙いとする。このステップは、たとえば、車台と各車輪の回転軸との間にわずかな相対的垂直移動を生み出すために、アクチュエータ32を介して車台2の持ち上げ制御を行うことによって実施される。この垂直移動は、車台2と地面4との間の接触が失われることを回避するために、通常、数ミリメートルを超えることはない。それにもかかわらず、地面上のタイヤの負荷は、車台の低い支持された位置における車両の全体的グリップを補強する。車両が滑動するリスクが低減され、それは、車台が傾斜地の上に下降させられるときに特に有利である。
【0078】
下降が遂行されると、ステップE7が実施され得、前記ステップは、前走行装置の車輪R1、R2に対して駐車ブレーキを作動させることから成り、駐車ブレーキは、後装置の車輪に対して活性化されたままである。この駐車ブレーキが前走行装置に対して活性化されると、最終ステップE8は、貨物の積み込み/積み下ろし動作の間に、車台の不必要な移動のリスクを回避するために、車輪懸架アーム28の回転を防止するためのデバイス98を活性化することを伴う。
【0079】
これらのステップのうちのいくつかの順序は、それにもかかわらず、逆にされてもよい。たとえば、前走行装置の車輪R1、R2に対して駐車ブレーキを作動させるステップE7は、本発明の範囲を逸脱することなく、車輪懸架アーム28の回転を防止するためにデバイス98を活性化するステップE8の後に遂行されてもよい。同じことが、ステップE3およびE4に、またはステップE2~E’2およびE3に適用される。
【0080】
当然ながら、様々な修正形態が、当業者によって、単に非限定的な例として上記で説明した本発明に対して作成され得、その範囲は添付の特許請求の範囲によって定められる。特に、様々なモードならびに様々な実施形態および代替形態の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0081】
1 車両
2 車台
4 地面
6 貨物積載空間
8 前走行装置
10 後走行装置
12 重心
14 交差
16 中心
20 トレッド
22 リム
24 タイヤ
26 車輪回転軸
28 懸架アーム
30 アーム回転軸
32 アクチュエータ、エアバッグ
33 制御ユニット
34 アクチュエータ回転軸
36 緩衝器
40 安全デバイス
42 回転軸
44 回転軸
46 油圧ジャッキ
48 シリンダ、底
50 ピストン
52 ピストンヘッド
54 第1のオイルチャンバ
56 第2のオイルチャンバ
58 第1のチャンバの底
60 第2のチャンバの底
62 第1のオイル通路
64 第2のオイル通路
66 滑動方向
68 第1のオイルダクト
70 第2のオイルダクト
72 安全弁
74 第3のオイル通路
76 第3のオイルダクト
78 流体回路
80 オイルタンク
82 エアリザーブ
84 ループ
86a 第1の逆止弁
86b 第2の逆止弁
88a 圧縮流体貫通開口
88b 膨張流体貫通開口
90a メインダクト
90b ダクト
92 縦軸
96 補強
98 遮断弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6-1】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図16a
図17
図18
図19
図20