(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-25
(45)【発行日】2025-05-08
(54)【発明の名称】商用電力システム偽造検出のためのEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正
(51)【国際特許分類】
H04B 17/21 20150101AFI20250428BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20250428BHJP
H04B 17/26 20150101ALI20250428BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20250428BHJP
【FI】
H04B17/21
H04B1/16 Z
H04B17/26
G01R31/28 L
(21)【出願番号】P 2022556163
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2021015359
(87)【国際公開番号】W WO2021188206
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-12-13
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェザービー,エドワード・アール
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】デイリンガー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,グアン・シィ
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ケニー・シィ
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107181543(CN,A)
【文献】特開2001-237771(JP,A)
【文献】特開平09-312584(JP,A)
【文献】特表2016-509801(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192493(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/21
H04B 1/16
H04B 17/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集するステップと、
前記収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定するステップと、
前記1つまたは複数のピーク周波数帯域と前記地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断するステップと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す前記較正状態信号に応答して、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を許可するステップと、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す前記較正状態信号に応答して、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用した前記ターゲットデバイスの前記EMIフィンガープリントスキャンの開始を阻止するステップとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを実行して、前記ターゲットユーティリティデバイスのためのEMIフィンガープリントを生成するステップと、
前記収集された電磁周波数、前記割り当てられた無線局周波数および前記較正状態信号から前記EMIフィンガープリントスキャンの較正証明を生成するステップと、
前記EMIフィンガープリントとともに前記較正証明を含めるステップとをさらに備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す前記較正
状態信号に応答して、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正を補正するための再較正プロセスを開始するステップをさらに備え、前記再較正プロセスは、
前記割り当てられた無線局周波数のうちの前記1つまたは複数および前記収集された電磁信号における前記ピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定するステップと、
少なくとも前記誤差から補正係数を導き出すステップと、
前記補正係数
を無線受信機に適用して、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正するステップとを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のピーク周波数帯域の前記比較は、
前記地理的位置付近の無線局についての無線局周波数情報を周波数データサービスから要求するステップと、
前記周波数データサービスからの応答を構文解析して、ローカル無線局周波数のリストを決定するステップと、
前記1つまたは複数のピーク周波数帯域のいずれかが前記リストに含まれるか否かを判断するステップとをさらに備え、ピーク周波数帯域が前記リストに含まれない場合には不一致信号が生成され、ピーク周波数帯域が前記リストに含まれる場合には一致信号が生成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数のピーク周波数帯域の前記比較は、前記1つまたは複数のピーク周波数帯域のうちの少なくとも1つのピーク周波数帯域について、
前記1つのピーク周波数帯域で放送する前記地理的位置付近の無線局についての無線局識別情報を周波数データサービスから要求するステップと、
前記1つのピーク周波数帯域が無線局に割り当てられるか否かを判断するために前記周波数データサービスからの応答を構文解析するステップとをさらに備え、前記応答が前記1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含まない場合には不一致信号が生成され、前記応答が前記1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含む場合には一致信号が生成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す前記較正状態信号に応答して、前記スキャニング装置のグラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正確認を表示するステップと、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す前記較正状態信号に応答して、前記スキャニング装置の前記グラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正警告を表示するステップとをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するためのコンピュータによって実行可能な命令を格納するプログラムであって、前記命令は、少なくとも前記EMIフィンガープリントスキャニング装置のプロセッサによって実行されると、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集し、
前記収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定し、
前記1つまたは複数のピーク周波数帯域と前記地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断し、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成するようにさせる、プログラム。
【請求項9】
前記命令はさらに、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す前記較正状態信号に応答して、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを開始するようにさせる、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す前記較正
状態信号に応答して、前記命令はさらに、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、
前記割り当てられた無線局周波数のうちの前記1つまたは複数および前記収集された電磁信号における前記ピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定し、
少なくとも前記誤差から補正係数を導き出し、
前記補正係数
を無線受信機に適用して、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正するようにさせる、請求項8または9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記命令はさらに、前記1つまたは複数のピーク周波数帯域の前記比較のために、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、
前記地理的位置付近の無線局についての情報を周波数データサービスから要求し、
前記周波数データサービスによって返された情報の少なくとも一部を使用して、一致信号を生成するか不一致信号を生成するかを判断するようにさせる、請求項8~10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサに作動的に接続されたメモリと、
前記プロセッサおよびメモリに作動的に接続された無線受信機と、
電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するためのコンピュータによって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能媒体とを備え、前記命令は、少なくとも前記プロセッサによって実行されると、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集し、
前記収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定し、
前記1つまたは複数のピーク周波数帯域と前記地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断し、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成するようにさせる、EMIフィンガープリントスキャニング装置。
【請求項13】
前記命令はさらに、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す前記較正状態信号に応答して、
前記スキャニング装置のグラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正確認を表示し、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を許可し、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す前記較正状態信号に応答して、
前記スキャニング装置の前記グラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正警告を表示し、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用した前記ターゲットデバイスの前記EMIフィンガープリントスキャンの開始を阻止し、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正を補正するための再較正プロセスを開始するようにさせる、請求項12に記載のEMIフィンガープリントスキャニング装置。
【請求項14】
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す前記較正
状態信号に応答して、前記命令はさらに、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、
前記割り当てられた無線局周波数のうちの前記1つまたは複数および前記収集された電磁信号における前記ピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定し、
少なくとも前記誤差から補正係数を導き出し、
前記補正係数を前記無線受信機に適用して、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正するようにさせる、請求項12または13に記載のEMIフィンガープリントスキャニング装置。
【請求項15】
前記命令はさらに、前記1つまたは複数のピーク周波数帯域の前記比較のために、前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、
前記EMIフィンガープリントスキャニング装置に関連付けられたグローバルポジショニングシステム(GPS)受信機から緯度および経度座標を前記地理的位置として受け付け、
前記地理的位置付近の無線局についての情報を周波数データサービスから要求し、
前記周波数データサービスによって返された情報の少なくとも一部を使用して、一致信号を生成するか不一致信号を生成するかを判断するようにさせる、請求項12~14のいずれか一項に記載のEMIフィンガープリントスキャニング装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
国際的サプライチェーンにおける偽造電子部品は、エレクトロニクスを使用する全ての業界全体(情報技術分野、医療分野、軍事分野、ゲーム分野、輸送分野および公益事業分野を含む)で年間2200億ドルにおよぶと推定されている。偽造のシステム(または、偽造部品を含むシステム)は、サービスエンジニアが簡単な目視検査によってそれらを真正なシステムと区別できないほどにリアルに見えることが多い。しかし、偽造のシステムは、多くの場合、廃棄されたシステムからのスクラップ部品、安価に製造された部品、または真正なシステムのように見えるようにパッケージングし直された、リサイクルされたビンテージシステムからの古い部品を含んでいる。
【0002】
偽造のシステムまたは偽造部品を含むシステム(「偽造のシステム」)は、その後、ブローカーチャネルを経由してサプライチェーンに組み込まれる。偽造のシステムが顧客に出荷されると、それらは到着時に故障しているか、または非常に短期間で故障することが多く、大きな保証損失、平均故障間隔の短縮、および顧客の不満を生じさせる。状況によっては、偽造のシステムは、偽造のシステムに対する不正アクセスまたは制御を許可する可能性がある「スパイチップ」または「モッドチップ」さえも含んでおり、インフラストラクチャに重大なリスクを及ぼす。公益事業分野では、偽造電子部品の使用は、費用のかかる厄介なものどころではなく、大きな安全上の懸案事項である。ユーティリティ部品の故障は、停電および火災などの生命を脅かす状況を生じさせる可能性がある。
【0003】
北米電力信頼度協議会(北米公益事業規制機関(NERC))および米国連邦エネルギ信頼度委員会(FERC)は、大規模電気システムの確実な動作に対するリスクを軽減するためのサプライチェーンリスク管理規則(No.CIP-013-1)を発行した。この規則は、2020年7月までに北米大陸の全ての公益事業が発電設備、監視制御およびデータ取得(SCADA)サブシステム、ならびに配電網アセットで使用される全ての電力システムアセットについて偽造部品を検出するための技術を実装しなければならないことを義務づけている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
一実施形態において、電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、上記方法は、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集するステップと、上記収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定するステップと、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域と上記地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断するステップと、上記比較に少なくとも部分的に基づいて、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成するステップとを備える。
【0005】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、上記方法は、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す上記較正状態信号に応答して、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を許可するステップと、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す上記較正状態信号に応答して、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用した上記ターゲットデバイスの上記EMIフィンガープリントスキャンの開始を阻止するステップとをさらに備える。
【0006】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、上記方法は、ターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを実行して、上記ターゲットユーティリティデバイスのためのEMIフィンガープリントを生成するステップと、上記収集された電磁周波数、上記割り当てられた無線局周波数および上記較正状態信号から上記EMIフィンガープリントスキャンの較正証明を生成するステップと、上記EMIフィンガープリントとともに上記較正証明を含めるステップとをさらに備える。
【0007】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、上記方法は、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す上記較正検証信号に応答して、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正を補正するための再較正プロセスを開始するステップをさらに備え、上記再較正プロセスは、上記割り当てられた無線局周波数のうちの上記1つまたは複数および上記収集された電磁信号における上記ピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定するステップと、少なくとも上記誤差から補正係数を導き出すステップと、上記補正係数を上記無線受信機に適用して、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正するステップとを備える。
【0008】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域の上記比較は、上記地理的位置付近の無線局についての無線局周波数情報を周波数データサービスから要求するステップと、上記周波数データサービスからの応答を構文解析して、ローカル無線局周波数のリストを決定するステップと、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域のいずれかが上記リストに含まれるか否かを判断するステップとをさらに備え、ピーク周波数帯域が上記リストに含まれない場合には不一致信号が生成され、ピーク周波数帯域が上記リストに含まれる場合には一致信号が生成される。
【0009】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域の上記比較は、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域のうちの少なくとも1つのピーク周波数帯域について、上記1つのピーク周波数帯域で放送する上記地理的位置付近の無線局についての無線局識別情報を周波数データサービスから要求するステップと、上記1つのピーク周波数帯域が無線局に割り当てられるか否かを判断するために上記周波数データサービスからの応答を構文解析するステップとをさらに備え、上記応答が上記1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含まない場合には不一致信号が生成され、上記応答が上記1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含む場合には一致信号が生成される。
【0010】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するための方法であって、上記方法は、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す上記較正状態信号に応答して、上記スキャニング装置のグラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正確認を表示するステップと、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す上記較正状態信号に応答して、上記スキャニング装置の上記グラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正警告を表示するステップとをさらに備える。
【0011】
一実施形態において、電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するためのコンピュータによって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記命令は、少なくとも上記EMIフィンガープリントスキャニング装置のプロセッサによって実行されると、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集し、上記収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定し、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域と上記地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断し、上記比較に少なくとも部分的に基づいて、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成するようにさせる。
【0012】
一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記命令はさらに、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す上記較正状態信号に応答して、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを開始するようにさせる。
【0013】
一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す上記較正検証信号に応答して、上記命令はさらに、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記割り当てられた無線局周波数のうちの上記1つまたは複数および上記収集された電磁信号における上記ピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定し、少なくとも上記誤差から補正係数を導き出し、上記補正係数を上記無線受信機に適用して、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正するようにさせる。
【0014】
一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記命令はさらに、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域の上記比較のために、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記地理的位置付近の無線局についての情報を周波数データサービスから要求し、上記周波数データサービスによって返された情報の少なくとも一部を使用して、一致信号を生成するか不一致信号を生成するかを判断するようにさせる。
【0015】
一実施形態において、電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置であって、プロセッサと、上記プロセッサに作動的に接続されたメモリと、上記プロセッサおよびメモリに作動的に接続された無線受信機と、電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング装置の較正状態を検出するためのコンピュータによって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能媒体とを備え、上記命令は、少なくとも上記プロセッサによって実行されると、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集し、上記収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定し、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域と上記地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断し、上記比較に少なくとも部分的に基づいて、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成するようにさせる。
【0016】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置であって、上記命令はさらに、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す上記較正状態信号に応答して、上記スキャニング装置のグラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正確認を表示し、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を許可し、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す上記較正状態信号に応答して、上記スキャニング装置の上記グラフィカルユーザインターフェイス上に視覚的に較正警告を表示し、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用した上記ターゲットデバイスの上記EMIフィンガープリントスキャンの開始を阻止し、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正を補正するための再較正プロセスを開始するようにさせる。
【0017】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置であって、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す上記較正検証信号に応答して、上記命令はさらに、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記割り当てられた無線局周波数のうちの上記1つまたは複数および上記収集された電磁信号における上記ピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定し、少なくとも上記誤差から補正係数を導き出し、上記補正係数を上記無線受信機に適用して、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正するようにさせる。
【0018】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置であって、上記命令はさらに、上記1つまたは複数のピーク周波数帯域の上記比較のために、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に、上記EMIフィンガープリントスキャニング装置に関連付けられたグローバルポジショニングシステム(GPS)受信機から緯度および経度座標を上記地理的位置として受け付け、上記地理的位置付近の無線局についての情報を周波数データサービスから要求し、上記周波数データサービスによって返された情報の少なくとも一部を使用して、一致信号を生成するか不一致信号を生成するかを判断するようにさせる。
【0019】
明細書に組み入れられて明細書の一部を構成している添付の図面は、さまざまなシステム、方法および本開示の他の実施形態を示している。図面に示されている要素境界(たとえば、囲い枠、囲い枠群、または他の形状)は境界の一実施形態を表している、ということが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、1つの要素が複数の要素として実現されてもよく、または当該複数の要素が1つの要素として実現されてもよい。いくつかの実施形態では、別の要素の内部構成要素として示されている要素は外部構成要素として実現されてもよく、逆の場合も同様である。さらに、要素は一定の縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】商用電力システム偽造検出のためのEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置の一実施形態を示す図である。
【
図2】EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用してターゲットユーティリティデバイスからのEMI信号を検出する環境におけるEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置の一実施形態を示す図である。
【
図3】EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正のために無線局からのEM信号を検出する環境におけるEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置の一実施形態を示す図である。
【
図4】EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置を較正する環境の一実施形態を示す図である。
【
図5】EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置の一実施形態によってニューハンプシャー州ヒルズボロ郡付近で収集された無線放送周波数帯域の例示的なヒートマップを示す図である。
【
図6】EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置の一実施形態によってカリフォルニア州サンマテオ郡付近で収集された無線放送周波数帯域の例示的なヒートマップを示す図である。
【
図7】EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。
【
図8A】EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正においてピーク周波数帯域と割り当てられた無線局周波数とを比較することに関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。
【
図8B】EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正においてピーク周波数帯域と割り当てられた無線局周波数とを比較することに関連付けられた方法の別の実施形態を示す図である。
【
図9】EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。
【
図10A】EMIフィンガープリントスキャニング装置が適切に較正されることをEMIフィンガープリントスキャニング装置のユーザに通知することに関連付けられたグラフィカルユーザインターフェイスの一実施形態を示す図である。
【
図10B】EMIフィンガープリントスキャニング装置が適切に較正されないことをEMIフィンガープリントスキャニング装置のユーザに警告することに関連付けられたグラフィカルユーザインターフェイスの一実施形態を示す図である。
【
図11】正確に較正されたEMIフィンガープリントスキャニング装置によってターゲットデバイスのEMIフィンガープリントが作成されたことを示すための較正証明を生成することに関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。
【
図12】適切に較正されないEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動再較正に関連つけられた方法の一実施形態を示す図である。
【
図13】本明細書に開示されている例示的なシステム、方法および/もしくは特別目的機器ならびに/または等価物のうちの1つまたは複数で構成および/またはプログラムされたコンピューティングデバイスの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
商用電力システム偽造検出のための電磁干渉(EMI)フィンガープリントスキャニング器械の自動較正を提供するシステムおよび方法が本明細書に記載されている。電力ユーティリティデバイスは、電力ユーティリティデバイスによって生成されたEMI信号をスキャンすることによって、全体が真正な部品で構成されている、または一部もしくは全体が偽造部品で構成されていると非侵襲的に判断されることができる。しかし、電磁信号を検出するためのシステムは、較正からずれる可能性があり、偽造判断の精度に影響を及ぼすであろう。
【0022】
EMI信号は、動作中に、変圧器、発電機、インバータ、計器、リレーまたは他の配電網システムなどの電力ユーティリティデバイスによって生成される。これらのEMI信号は、一般にノイズとみなされるが、これらのEMI信号は、ユーティリティデバイスのための固有のEMIフィンガープリントを生成するのに使用することができる情報を運ぶこともできる。たとえば、未知の部品構成を有するターゲットユーティリティデバイスによって発せられたEMIは、スキャンされて、ターゲットユーティリティデバイスのためのターゲットEMIフィンガープリントを生成することができる。生成されたターゲットEMIフィンガープリントは、既知の構成の基準ユーティリティデバイスの基準EMIフィンガープリントと比較されて、ターゲットユーティリティデバイスが既知の型、モデルおよび構成のユーティリティデバイスであることを確認することができ、または、ターゲットユーティリティデバイスが既知の型、モデルおよび構成のユーティリティデバイスでないため、1つもしくは複数の偽造が疑われる部品を含んでいる可能性がある、もしくは完全に偽造であることが疑われ得ることを通知することができる。(便宜上、本明細書では、デバイスが多くの本物の部品を含み得るとしても、1つまたは複数の偽造部品を含むユーティリティデバイスは「偽造」と称され得る。)
この偽造検出技術は「受動的」である。なぜなら、それは、目視検査または写真検査などの内部検査を実行するためにターゲットユーティリティデバイスの電力システム電子機器を分解することを必要としないからである。なお、分解を必要とする偽造検出技術は、効果的ではなく、たとえそれらが偽造部品を検出しなくても、後になって、検査されたユーティリティデバイスに問題を生じさせることが多い。これに対して、この受動的な技術は、(i)サプライチェーンの中のチェックポイントにおいて、(ii)部品もしくは組み立てられた/一体化されたシステムが国境を越えて輸送される場合には入国/出国港において、または(iii)送電網もしくは発電設備への配備前に行われるパワーオンセルフテスト(POST)動作中にシステムが公益事業顧客によって初期セットアップ準備の一部として受け入れられるときに、電力システムデバイスを定期的に検査することを実用化する。したがって、この新たな技術は、部品製造と「組み立て工場」との間に、または組み立て工場とユーティリティシステムとの間の移行時に、偽造部品または「スパイチップ」または「モッドチップ」が電力システム電子機器に組み込まれないようにするのに役立つ。さらに、この新たな技術は、商用電力システムにおけるハードウェア変更を必要としないため、公益事業によってよく使用されているレガシー電力システムと後方互換性がある。
【0023】
EMIフィンガープリント偽造検出の有用性をさらに向上させるために、実施形態は、スキャン対象のターゲットデバイスが偽造部品を含んでおらず、本物もしくは真正なデバイスであることを示す単純な「オールクリア」決定をユーザに提示するか、または、スキャン対象のターゲットデバイスの全部もしくは一部が偽造であることが疑われるというアラーム、アラートもしくは警告を生成する。これにより、非熟練スタッフがスキャニング手順を使用できるようになり、非熟練スタッフは、EMI放射科学、データサイエンス、機械学習または偽造検出技術における訓練なしに結果を理解することができる。このスキャニング手順は、自律的な態様での偽造の厳密な検出および特定を可能にし、そのため、(i)サプライチェーンからの部品のユーティリティ受け入れテストに関与するスタッフならびに(ii)出荷されたシステムを入国港および他の国内外国境で調べることに関与するスタッフは、内部偽造部品を含むユーティリティデバイスを素早く特定することができ、またはユーティリティデバイスが全て真正な部品を有していることを証明することができる。
【0024】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング器械(本明細書では、EMIフィンガープリントスキャニング装置とも称される)は、ターゲットユーティリティデバイスのスキャンを実行するように構成されている。しかし、較正は、全ての批判的解析の前および/または後に(言い換えれば、全ての批判的解析とほぼ同時に)なされる必要があるだろう。なぜなら、器械が較正からずれる可能性があるからである。特に、EMIの検出に使用されるEMIフィンガープリントスキャニング装置の部品は、時間、温度または多種多様な他の要因に起因して較正からのずれの影響を受けやすい。EMIフィンガープリントスキャニング装置の不適切な較正は、ターゲットデバイスが偽造であるか否かに関して誤アラート(タイプIエラー)またはアラート失敗(タイプIIエラー)を生じさせる可能性がある。
【0025】
いずれの場合にも、エラーは費用がかかる。たとえば、ターゲットデバイスが、1つまたは複数の偽造部品を含む偽造が疑われるデバイスとして検出されると、このデバイスは、より高度な訓練を受けたスタッフによるその後の分解および詳細な内部検査およびテストのために脇に置かれ得る。分解、検査およびテストは、ターゲットデバイスを損傷したり、後になってデバイスに性能問題を生じさせたりする可能性がある。したがって、1つまたは複数の偽造部品を含むものとしてのターゲットデバイスのタイプIフォールスポジティブ検出では、内部検査時にリソースが浪費され、ターゲットデバイス自体が損傷のリスクにさらされる。1つまたは複数の偽造部品を含むものとしてのターゲットデバイスのタイプII検出失敗では、偽造デバイスが使用に供されて、偽造デバイスが組み込まれた送電網または他のシステムをより高い故障のリスクにさらすことになる。したがって、特にスキャンの目標が「準拠」対「非準拠」評価である場合には、全てのスキャンまたは一連のスキャンの前にEMIフィンガープリントスキャニング器械が正確に較正されているようにすることが非常に重要である。
【0026】
非熟練スタッフが使用できるようにするために偽造スキャニング手順が単純化されるのと同様に、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、人間からの注意または対話をほとんど必要とせず、スキャンを実行するスタッフの訓練が最小限で済む自動較正手順を提供する。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、一般人スタッフが、スキャンを実行するスタッフに必要とされるさらなる努力または訓練が最小限である状態で、EMIフィンガープリントスキャンを毎回自律的に十分に較正することを可能にする完全に自律的な較正手順を提供する。この較正手順は、EMIフィンガープリントスキャニング装置の無線周波数検出器械の周波数、振幅およびゲインが新たなスキャンの実行前に較正からずれていないことを保証する。
【0027】
較正は、通常、かさばる上に高価な基準ソースへのアクセスを必要とする。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、この要件を無くす。一実施形態において、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、米国連邦通信委員会(FCC)によってメンテナンスされるデータベースなどの周波数データサービスから公的に入手可能な情報と組み合わせて、至る所に存在する公共のAM(振幅変調)およびFM(周波数変調)無線信号を活用して、基準ソースを合成する。FCC.govを介してアクセス可能なFCCデータベース(および他の周波数データサービス)は、検索時に地理的位置を送信して、最寄りのAMおよびFM無線局をそれらの割り当てられた放送周波数とともに検索する機能を提供する。したがって、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、EMIフィンガープリントスキャニング装置の現在位置を用いて周波数データサービスに照会し、ローカルAMおよびFM無線局ならびにそれらの固定放送周波数のフォーマット済みリストを受信するように構成されたソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアモジュールまたは他のロジックを含み得る。そして、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、それらの固定周波数のサブセット、たとえば「トップ10」リスト(近接性ごと、または放送電力ごと)を、基準ソースとして機能するように選択することができる。EMIフィンガープリントスキャニング装置は、EMIフィンガープリント器械の自律型較正検証のために、EMIフィンガープリントスキャニング装置によって検出された電磁信号に対してこれらの既知の固定基準ソースを評価することができる。これは、ロバストで単純明快で確実な較正プロセスをもたらす。
【0028】
したがって、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正に追加の機器は不要である。また、EMIフィンガープリントスキャニング装置のオペレータが較正を実行するのに特別なスキルまたは知識は不要である。この較正プロセスでは、オペレータの参加は最小限にされる。
【0029】
さらに、現在では、モバイルデバイスは、通常、内蔵された低コストのグローバルポジショニングシステム(GPS)受信機チップを使用して位置を検出する機能を有している。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、EMIフィンガープリントスキャニング装置の位置を検出するためのこの同一のGPSチップを組み入れており、ユーザが位置情報を提供することを要求することなく、EMIフィンガープリントスキャニング装置がそれ自体の位置を検出して周波数データサービスに送信することを可能にする。したがって、EMIフィンガープリントスキャニング装置のオペレータの参加を較正プロセスから実質的に排除することができる。
【0030】
-例示的なEMIフィンガープリントスキャニング装置-
図1は、商用電力システム偽造検出のためのEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置100の一実施形態を示す図である。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ターゲットユーティリティデバイスのEMI放出を検知して、検知されたEMI放出に基づいてEMIフィンガープリントを、認証済みの真正な基準ユーティリティデバイスからの基準EMIフィンガープリントと比較するのに使用され得る。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、プロセッサ105と、ローカルデータストレージ110と、ディスプレイ120と、入力デバイス125と、ネットワークインターフェイス130と、アンテナ135と、電磁信号145を検知するための無線受信機140と、スキャナ制御ロジック150と、GPS受信機155とを含み、これらの各々は、たとえば1つまたは複数のバスによって作動的に相互接続されている。
【0031】
一実施形態において、プロセッサ105は、本明細書に記載されている方法の1つまたは複数のステップを実行するように構成されている。プロセッサ105は、たとえば、EMIフィンガープリントスキャニング装置100に関連付けられた中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、コントローラ、モバイルデバイスプロセッサまたは特別目的プロセッサであってもよい。
【0032】
一実施形態において、ローカルデータストレージ110は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100に組み込まれた揮発性メモリハードウェアおよび/または不揮発性メモリハードウェアを含み得る。メモリハードウェアは、プロセッサ105によって実行されるストレージ管理ソフトウェアによって操作され得る。ローカルデータストレージ110は、1つまたは複数のデータ構造を使用してメモリハードウェア内の他のコンポーネントによって収集または生成された情報を格納する。
【0033】
一実施形態において、ディスプレイ120は、LEDディスプレイまたはLCDディスプレイなどのディスプレイデバイスと、ディスプレイデバイスを管理するための関連付けられたグラフィックスハードウェアとを含み得る。ディスプレイ120は、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を表示するように構成され得る。一実施形態において、入力デバイス125は、カーソルコントローラ、ディスプレイ120と一体化されたタッチスクリーン、ハードウェアキーボードもしくはキーパッド、ソフトウェアキーボードもしくはキーパッド、音声をテキストに変換するソフトウェアを有するマイクおよび音声処理、ならびに/または、構成可能なもしくは専用の特別目的ボタンを含む1つまたは複数の入力デバイスを含み得る。
【0034】
一実施形態において、ネットワークインターフェイス130は、イーサネット(登録商標)またはブルートゥース(登録商標)送受信機などのワイヤレスネットワークインターフェイスデバイスであってもよい。一実施形態において、ネットワークインターフェイス130は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100がコンピューティングネットワークを介して他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にするように構成されている。
【0035】
一実施形態において、アンテナ135は、電磁信号145を検知して、検知された信号をアンテナ135に結合された無線受信機140に適用するように構成されている。アンテナ135および無線受信機140の構成に応じて、EMI信号は、広範な周波数スペクトルにわたって、たとえば約500キロヘルツから約4ギガヘルツまで検知される。他の範囲も妥当であり得て、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100が利用できる周波数の範囲は、アンテナ135と無線受信機140との組み合わせによって決定され得る。一般に、アンテナ135と無線受信機140との組み合わせによって検知される周波数の範囲は、放送AM無線機、放送FM無線機または放送テレビに割り当てられた電磁周波数の一部または全部を包含する周波数の範囲を含むべきである。
【0036】
一実施形態において、アンテナ135は、ダイポールアンテナ、八木・宇田アンテナ、ループアンテナ、電気的短絡アンテナ(たとえば、四分の一波長未満の長さを有するオープンエンドワイヤ)、フラクタルアンテナ、パラボラアンテナ、マイクロストリップアンテナ、クワッドアンテナ、ランダムワイヤアンテナ(たとえば、一波長よりも大きな長さを有するオープンエンドワイヤ)、ビバレージアンテナ、ヘリカルアンテナ、フェーズドアレイアンテナ、および現在公知のまたは後に開発されるその他のタイプのアンテナを含み得る。1つの単純かつ安価な実施形態では、アンテナ135は、固定長の絶縁体が剥がされた絶縁ワイヤであってもよい。一実施形態において、アンテナのタイプおよび長さは、最適な識別感度およびロバスト性を実現するように選択することができる。
【0037】
一実施形態において、無線受信機140は、ソフトウェア定義無線受信機または送受信機である。無線受信機140は、ローカル発振器170(水晶発振器など)と、周波数シンセサイザ175(位相ロックループ周波数シンセサイザなど)と、他の無線フロントエンドコンポーネントとを含み得る。なお、周波数シンセサイザ175によって生成された周波数信号は、ローカル発振器170によって生成された安定した周波数の倍数である。水晶発振器は、非常に安定した周波数を生成するが、時間(水晶の年数)、温度、湿度、動作電圧または他の要因が、水晶発振器によって生成された周波数を所望の周波数からずれさせる可能性がある。合成された周波数は、ローカル発振器170によって生成された周波数の倍数であるので、このずれは、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が誤った周波数で電磁スペクトルを検知するようにさせる。他の要因もこのずれの一因となり得る。
【0038】
一実施形態において、スキャナ制御ロジックは、較正ロジック160および/またはフィンガープリントロジック165を実行するための命令で特別に構成されたロジックコンポーネントである。一実施形態において、スキャナ制御ロジック160は、EPROMまたは同様の特別目的ロジックチップである。一実施形態において、スキャナ制御ロジック160は、較正ロジック160および/またはフィンガープリントロジック165を実行するための命令で構成されたプロセッサ105などのプロセッサである。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられた本明細書に記載されている方法の1つまたは複数のステップを実行するための命令を含む。フィンガープリントロジック165は、商用電力システムにおける偽造部品の検出および特定に関連付けられた本明細書に記載されている方法の1つまたは複数のステップを実行するための命令を含む。
【0039】
一実施形態において、GPS受信機155は、航法衛星からの電磁時間信号を検知して、検知された信号から経度、緯度および高度を計算するように構成されたグローバルポジショニングシステム(GPS)(または、Galileo、GLONASSまたはBeiDouなどの他の衛星無線ナビゲーションシステム)である。
【0040】
図2は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100を使用してターゲットユーティリティデバイス210からEMI信号205を検出する環境200におけるEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置100の一実施形態を示す図である。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置110は、無線受信機140およびアンテナ135に結合されたモバイルデバイス(図示せず)またはコンピュータ215である。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、無線受信機を含む特別目的ユニットである。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャンは、アンテナおよびソフトウェア定義無線機(SDR)、またはアンテナとSDRとの挿入可能なデバイス組み合わせを備える手持ち式ワンドまたはマグマウント小型デバイスを用いて行われる。
【0041】
ターゲットユーティリティデバイス210からのEMI信号205の検出は、本明細書では、ターゲットユーティリティデバイス210の「スキャン」と称され得る。ターゲットユーティリティデバイス210をスキャンするために、アンテナ135は、ターゲットユーティリティデバイス210に近接して、またはターゲットユーティリティデバイス210から離れて位置決めされ得る。アンテナ135においてよりよい感度を実現するため、したがってEMIフィンガープリント偽造スキャナ100においてより高い信号対雑音比(SNR)を実現するために、ターゲットユーティリティデバイス210とアンテナ135との間の距離が小さいことが好ましい。距離に加えて、アンテナ135の感度は、ターゲットユーティリティデバイス210に対するその向きによっても影響を受ける可能性がある。
【0042】
一実施形態において、アンテナ135は、スキャン中にターゲットユーティリティデバイス210に対して予め定められた距離および向きで位置決めされる。この予め定められた距離および向きは、ターゲットユーティリティデバイス210と同一の型およびモデルの基準ユーティリティデバイスから基準EMI信号を検出するのに使用される距離および向きと同一であってもよい。スキャン対象のユーティリティデバイスに対するアンテナ配置の一貫性は、ターゲットEMIフィンガープリントを基準EMIフィンガープリントとマッチングさせてターゲットEMIフィンガープリントを基準EMIフィンガープリントから区別するEMIフィンガープリント偽造スキャナ100の能力を向上させることができる。
【0043】
一実施形態において、アンテナ135は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100に取り付けられてもよい。一実施形態において、アンテナ135は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によるターゲットユーティリティデバイス210のスキャン中は、ターゲットユーティリティデバイス210に対して固定された位置(距離および向き)にあり得る。たとえば、アンテナ135は、ターゲットユーティリティデバイス210に近接した場所に設置されて、スキャン中は移動されないであろう。アンテナ135は、ターゲットユーティリティデバイス210のハウジングに取り付けられてもよく、またはターゲットユーティリティデバイス210のハウジング内に取り付けられてもよい。アンテナ135は、ボルト、ねじもしくはクリップなどによって機械的に、磁気的に、またはセンサワックスなどの接着剤によって取り付けられてもよい。一実施形態において、複数のアンテナおよび/または無線機(図示せず)がスキャン中にターゲットユーティリティデバイス210に対してさまざまな場所および向きに位置決めされてもよく、これらの複数のアンテナおよび/または無線機から得られた測定値は併合されてもよい。一実施形態において、アンテナ135は、スキャン中にターゲットユーティリティデバイス210に対して複数の異なる場所および向きに移動される。これらのさまざまなアンテナ位置および構成、ならびに他の位置および構成の実現例は、ターゲットユーティリティデバイス210全体について検出されたEMI信号の信号対雑音比(SNR)を向上させるのに望ましいように、またはターゲットユーティリティデバイス210の特定の部品によって発せられるEMI信号を強調するのに望ましいように選択され得る。
【0044】
一実施形態において、無線受信機140は、アンテナ135によって検知されたEMI信号を受信し、フィンガープリントロジック165は、受信されたEMI信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、規定の時間間隔でこれらの信号の電力振幅および周波数を記録するように構成されている。一実施形態において、フィンガープリントロジック165は、記録された信号をデータ構造としてローカルデータストレージ110に格納し、および/または、それらを基準EMIフィンガープリントと比較するように構成されている。一実施形態において、信号は、時間、周波数および電力振幅値(t,f,p)のタプルとして格納される。一実施形態において、信号は、周波数の列と観察値(時間)の行と各行-列項目に電力振幅値とを有するフラットファイルデータセットに格納される。一実施形態において、システムは、たとえば収集されたターゲットEMI信号に対して高速フーリエ変換(FFT)または他の適切な変換を実行することによって、ターゲットEMI信号を時間領域から周波数領域に変換する。一実施形態において、観察速度は、毎秒1回の観察であってもよいが、テストシーケンスにおける移行のペースに基づいてより速い速度またはよりゆっくりとした速度が選択されてもよい。一実施形態において、約500キロヘルツから約4ギガヘルツの範囲などの、アンテナ115および無線機120によって検知された周波数の全範囲にわたるEMI信号が格納される。
【0045】
図3は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が較正のために無線局320から電磁信号305,310,315を検出する環境300におけるEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置100の一実施形態を示す図である。
【0046】
一実施形態において、電磁信号305,310,315は、それぞれ、ローカル無線局325,330および335からの放送AMまたはFM無線信号である。一実施形態において、無線受信機140は、アンテナ135によって検知された無線信号305,310,315を受信し、較正ロジックは、受信された無線信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、規定の時間間隔でこれらの信号の電力振幅および周波数を記録するように構成されている。一実施形態において、これは、上記の
図2を参照して説明した検知されたEMI信号を参照して説明した態様と同様の態様で行われる。しかし、観察頻度は大幅に高くてもよく、たとえば値は10分の1秒ごとに記録される。さらに、検出可能な信号の全範囲を記録しなくてもよく、記録は、AMまたはFM(または、テレビ)放送のために確保された周波数のサブセットに限定されてもよい。たとえば、米国では、AM無線帯域は、535~1605kHzの周波数範囲内である。540~1600kHzのAM無線局搬送周波数が10kHz間隔で割り当てられる。米国では、FM無線帯域は、88~108MHzの周波数範囲内である。FM無線局は、88.1MHzから始まる200kHz毎に中心周波数を割り当てられ、中心周波数からの最大偏差は75kHzである。したがって、記録のための検知された周波数の範囲は、AMおよび/またはFM無線帯域を包含する範囲に限定され得る。電磁信号305,310,315は、それぞれ、ローカル無線局325,330および335からの放送AMまたはFM無線信号であり、この範囲をカバーする記録によって取り込まれるであろう。
【0047】
図4は、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置100を較正する環境400の一実施形態を示す図である。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ソフトウェア定義無線受信機(無線受信機140など)およびアンテナ(アンテナ135など)に結合されたモバイルデバイス405またはコンピューティングデバイス410である。一実施形態において、ネットワークインターフェイス130は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が通信ネットワーク415を介して1つまたは複数のリモートコンピュータと対話することを可能にするように構成されている。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、周波数データサービス425のウェブインターフェイスサーバ420などのウェブサーバに要求を送信してウェブサーバから応答を受信し得る。一実施形態において、これらの通信は、たとえばデータ交換フォーマットとしてJavaScript(登録商標)オブジェクト表記法(JSON)を使用するリモート・リプリゼンテーショナル・ステート・トランスファ(REST)要求の形態をとってもよく、または別の例では、XMLサーバへのおよびXMLサーバからのシンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル(SOAP)要求の形態をとってもよい。別の実施形態では、これらの通信は、ウェブページ上でのHTML/JavaScript形式との対話およびこれらの対話に応答して提供されるウェブページの構文解析の形態をとってもよい。
【0048】
一実施形態において、周波数データサービス425は、ウェブインターフェイスサーバ420に加えて、周波数情報検索システム430、およびデータ記憶装置上の1つまたは複数のデータストア435も含む。ウェブインターフェイスサーバ420、周波数情報検索システム430およびデータストア435は、ローカルネットワーク440によって相互接続されている。一実施形態において、周波数データサービス425は、ウェブインターフェイスサーバ420を介して受信された要求に応答して、割り当てられた無線周波数についての情報を提供するように構成されている。データストア435は、地理的位置と、地理的領域内の各無線(または、テレビ)局の放送周波数とを含む情報を含む1つまたは複数のデータベースを含む。周波数情報検索システムは、ウェブインターフェイスサーバ420を介して受信された要求を構文解析して、データストア435におけるデータベースに対する照会を構成して、要求された情報を用いてこれらの要求に応答する。ウェブインターフェイスサーバは、検索された情報をネットワーク415を介して要求元EMIフィンガープリントスキャニング装置100に提供する適切にフォーマットされた応答を構成する。
【0049】
一実施形態において、周波数データサービス425は、公的にアクセス可能な連邦通信委員会ウェブサイトFCC.govである。FCCは、地理的位置と米国内の全ての放送AM局、FM局およびテレビ局についての割り当てられた搬送周波数(AM)/中心周波数(FM)(またはより一般的には、放送周波数帯域)とを含む公的にアクセス可能なデータベースをメンテナンスする。これらの放送周波数は変化せず、一定のままである。データベースは、コールサインおよび放送電力などの、無線局についての他の情報も含む。FCCウェブサイトは、(i)緯度および経度座標に基づく所与の位置からの半径、(ii)郵便番号に基づく所与の位置からの半径、(iii)都市/州名に基づく所与の位置からの半径、および(iv)割り当てられた放送周波数、またはそれらの組み合わせに基づいて局を検索するための照会を含む、このデータベースに対する照会を可能にする。一実施形態において、結果は、検索された位置からの距離の昇順に返される。他のものが同様の機能を提供してもよい。一実施形態において、これらの照会は、FCCウェブサイトの適切なページで照会を実行することによって実行されてもよい。EMIフィンガープリントスキャナは、照会の結果を含むウェブページをスクレイピングと構文解析することによって、返された情報を収集し得る。一実施形態において、FCCウェブサイト(または、他の周波数データサービス)は、このような照会をたとえばREST要求として受け付けて照会結果を返すためのAPIを公開し得る。
【0050】
-基準ソースとしてのローカル無線放送周波数-
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正動作において、観察された放送周波数との比較を行うために、周波数データサービスによって提供される特定の位置についてのローカル放送周波数が基準ソースとして当該特定の位置で使用され得る。
【0051】
図5は、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置の一実施形態によってニューハンプシャー州ヒルズボロ郡付近で収集された無線放送周波数帯域の例示的なヒートマップ500を示す図である。ヒートマップ500は、ニューハンプシャー州ヒルズボロ郡のエリアコード03052に含まれる地理的位置で動作するEMIフィンガープリントスキャニング装置によって収集された期間tにわたる所与の周波数範囲における信号の存在を示している。一実施形態において、t=5秒である。ヒートマップ500は、所与の周波数において一定の信号では一定の周波数帯域(または、周波数線)を示している。ヒートマップ500は、EMIフィンガープリントスキャニング装置付近の複数の無線局の各々について一定の周波数帯域/線を含んでいる。fcc.govを介してFCC周波数情報データベースに照会するのに郵便番号03052が使用され、結果として得られる無線局が収集されて、それらのそれぞれの放送周波数帯域、コールサインおよび局位置が周波数帯域/線に隣接して表記されている。郵便番号03052および近傍における放送周波数帯域は、EMIフィンガープリントスキャニング装置によって生成されたヒートマップ500に正確に取り込まれている。
【0052】
特に、ラベル510に示されるように、周波数帯域505は、88.3MHzに表示され、ニューハンプシャー州ナシュアから放送する無線局WEVSに関連付けられている。ラベル520に示されるように、周波数帯域515は、92.1MHzに表示され、ニューハンプシャー州ピーターバラから放送する無線局WDER-FMに関連付けられている。ラベル530に示されるように、周波数帯域525は、91.4MHzに表示され、ニューハンプシャー州マンチェスターから放送する無線局W231BRに関連付けられている。ラベル540に示されるように、周波数帯域535は、95.7MHzに表示され、ニューハンプシャー州マンチェスターから放送する無線局WZIDに関連付けられている。ラベル550に示されるように、周波数帯域545は、96.5MHzに表示され、ニューハンプシャー州ベッドフォードから放送する無線局WMLLに関連付けられている。ラベル560に示されるように、周波通帯域555は、98.9MHzに表示され、ニューハンプシャー州セーラムから放送する無線局W255DAに関連付けられている。ラベル570に示されるように、周波数帯域565は、101.1MHzに表示され、ニューハンプシャー州マンチェスターから放送する無線局WGIR-FMに関連付けられている。
【0053】
なお、たとえば周波数帯域575など、全ての周波数帯域が無線局情報を用いてラベル付けされるわけではない。これらの周波数は、無線局に関連付けられてもよいが、FCCデータベースに対する照会によって返される上位N個の無線局の中の無線局ではないかもしれない。この例では、返された結果から要求または選択されたのは、上位7個の無線局(ラベル510,520,530,540,550,560および570で示される)のみであろう。または、この例では、郵便番号03052の予め定められた半径以内で放送する無線局は7個だけであろう。したがって、周波数帯域575などの他の周波数帯域は、さらに遠方であるか、またはそれほど強力でない局によって発せられたものであり得る。
【0054】
または、周波数帯域575などの他のラベル付けされていない周波数帯域は、たとえば当該周波数でEMIを生成する近傍の非遮蔽受電デバイスであるEMIフィンガープリントスキャニング装置によって検出されるEMI干渉の永続的なソースを表し得る。
【0055】
図6は、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられたEMIフィンガープリントスキャニング装置の一実施形態によるカリフォルニア州サンマテオ郡付近で収集された無線放送周波数帯域の例示的なヒートマップ600を示す図である。ヒートマップ600は、カリフォルニア州サンマテオ郡の郵便番号94065に含まれる地理的位置で動作するEMIフィンガープリントスキャニング装置によって収集された期間tにわたる所与の周波数における信号の存在を示している。一実施形態において、t=5秒である。ヒートマップ600は、所与の周波数において一定の信号では一定の周波数帯域(または、周波数線)を示している。ヒートマップ600は、EMIフィンガープリントスキャニング装置付近の複数の無線局の各々について一定の周波数帯域/線を含んでいる。fcc.govを介してFCC周波数情報データベースに照会するのに郵便番号94065が使用され、結果として得られる無線局が収集されて、それらのそれぞれの放送周波数帯域、コールサインおよび局位置が周波数帯域/線に隣接して表記されている。エリアコード94065および近傍における放送周波数帯域は、EMIフィンガープリントスキャニング装置によって生成されたヒートマップ600に正確に取り込まれている。
【0056】
特に、ラベル610に示されるように、周波数帯域605は、88.5MHzに表示され、サンフランシスコから放送する無線局KQED-FMに関連付けられている。ラベル620に示されるように、周波数帯域615は、91.1MHzに表示され、カリフォルニア州サンマテオから放送する無線局KCSMに関連付けられている。ラベル630に示されるように、周波数帯域625は、93.3MHzに表示され、カリフォルニア州サンフランシスコから放送する無線局KRZZに関連付けられている。ラベル640に示されるように、周波数帯域635は、94.1MHzに表示され、カリフォルニア州バークレーから放送する無線局KPFAに関連付けられている。ラベル650に示されるように、周波数帯域645は、94.9MHzに表示され、カリフォルニア州サンマテオから放送する無線局KYLDに関連付けられている。ラベル660に示されるように、周波数帯域655は、95.7MHzに表示され、カリフォルニア州サンフランシスコから放送する無線局KGMZに関連付けられている。ラベル670に示されるように、周波数帯域665は、96.5MHzに表示され、カリフォルニア州サンフランシスコから放送する無線局KOITに関連付けられている。ラベル680に示されるように、周波数帯域675は、97.3MHzに表示され、カリフォルニア州サンフランシスコから放送する無線局KLLCに関連付けられている。
【0057】
図5と同様に、たとえば周波数帯域685など、
図6に示される全ての周波数帯域が無線局情報を用いてラベル付けされるわけではなく、
図5に関して説明したのと同様の理由でラベル付けされない。ヒートマップ(ヒートマップ500および600など)は、FMまたはAM無線機に割り当てられた電磁スペクトルの全体をカバーし得るが、必ずしもカバーしなくてもよい、ということにも留意されたい。その代わりに、ヒートマップは、
図5および
図6に示されるように、割り当てられたスペクトルのサブセットのみをカバーしてもよい。
【0058】
図5および
図6の各々は、ローカル無線局放送信号を、それらの放送信号についての割り当てられた放送周波数を示す情報とともに、EMIフィンガープリントスキャニング装置の自動較正のための基準ソースとして使用できることを実証している。ある地理的位置で検出された1つまたは複数の放送信号帯域と当該地理的位置付近の無線局に割り当てられた1つまたは複数のローカル放送周波数との間の整列は、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを意味する。一実施形態において、公開されたUS FCC周波数の1%以内の整列が最適であると考えられる。
図5および
図6に示されるものと同様のヒートマップおよび割り当てられた放送周波数の識別は、米国内の(および、放送周波数が無線局に割り当てられる他の領域内の)いかなる地理的位置についても準備することができる。したがって、EMIフィンガープリントスキャニング装置のユーザは、EMIフィンガープリント偽造スキャンを行う前に手動較正を行う必要はない。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、「緑色光」較正確認もラベル付けされた二次元ヒートマップもグラフィカルユーザインターフェイスに表示するように構成され得るので、EMIフィンガープリントスキャニング装置が最寄りの無線信号をそれらの正確な周波数帯域において正確に「認識する」ことを証明し、それによって、ソフトウェア定義無線機(SDR)無線周波数(RF)回路および高速フーリエ変換(FFT)処理が実際に正確な周波数スペクトルを認識していることを裏付ける。
【0059】
-例示的な自動較正方法-
一実施形態において、本明細書に記載されているコンピュータによって実行される方法の各ステップは、(i)メモリ(
図13を参照して示され、説明されるメモリ1315および/または他のコンピューティングデバイスコンポーネントなど)にアクセスし、(ii)方法のステップをシステムに実行させるためのロジック(
図13を参照して示され、説明される商用電力システムEMIフィンガープリントスキャニング器械自動較正ロジック1330など)で構成された1つまたは複数のコンピューティングデバイスのプロセッサ(
図13を参照して示され、説明されるプロセッサ1310など)によって実行され得る。たとえば、プロセッサは、メモリにアクセスして、メモリに対して読み書きを行って、本明細書に記載されているコンピュータによって実行される方法のステップを実行する。これらのステップは、(i)任意の必要な情報を検索するステップと、(ii)任意のデータを計算、決定、生成、分類または作成するステップと、(iii)計算、決定、生成、分類または作成された任意のデータを格納するステップとを含み得る。ストレージまたは格納への言及は、コンピューティングデバイスのメモリまたはストレージ/ディスク(
図13を参照して示され、説明されるコンピューティングデバイス1305のメモリ1315もしくはストレージ/ディスク1335、またはリモートコンピュータ1365など)へのデータ構造としての格納を意味する。
【0060】
一実施形態において、方法の各後続ステップは、少なくとも後続のステップが開始するのに必要な程度まで前のステップが実行されたことを示す受信信号または検索された格納データの構文解析に応答して、開始する。一般に、受信信号または検索された格納データは、前のステップの完了を示す。
【0061】
図7は、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられた方法700の一実施形態を示す図である。一実施形態において、方法700のステップは、EMIフィンガープリントスキャナ100(
図1~
図4を参照して示され、説明される)によって実行される。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャナ100は、商用電力システムEMIフィンガープリントスキャニング器械自動較正ロジック1330で構成された特別目的コンピューティングデバイス(コンピューティングデバイス1305など)である。
【0062】
方法700は、(i)EMIフィンガープリントスキャナ100のユーザ(または、管理者)が方法700を開始したこと、(ii)当該方法700が規定の時間または時間間隔で開始されるようにスケジューリングされていること、(iii)EMIフィンガープリントスキャナ100のユーザ(または、管理者)がターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリント偽造スキャンを開始したこと、または(iv)EMIフィンガープリントスキャナ100がターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを完了したことを示す信号をネットワークを介して受信する、または格納データを構文解析するなどのさまざまなトリガに基づいて開始され得る。方法700は、受信信号または検索された格納データを構文解析して、方法700が開始すべきであることを信号または格納データが示しているとの判断に応答して開始ブロック705から開始する。処理はプロセスブロック710に進む。
【0063】
プロセスブロック710において、プロセッサは、EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集する。
【0064】
一実施形態において、信号の収集のためのテスト期間は、EMIフィンガープリントスキャニング装置110のプロセッサ105によって特定される。同様に、収集された信号を記録するための観察間隔は、プロセッサ105によって特定される。たとえば、テスト期間および観察間隔の値は、ローカルデータストレージ110におけるそれぞれの位置から検索されるか、または較正ロジック160にハードコードされる予め定められた期間であってもよい。一実施形態において、テスト期間は、5秒などの1秒~15秒の期間であり、サンプリング間隔は、0.01秒などの0.001秒~0.1秒である。代替的に、EMIフィンガープリントスキャニング装置110のオペレータは、テスト期間および観察間隔のこれらのデフォルト値を入力または変更するオプションを提示されてもよい。テスト期間の期間中、プロセッサは、AMおよび/またはFM無線帯域内でアンテナ135によって検知されて無線受信機140によって収集された電磁信号を受け付けて、これらの信号のデジタル値を各観察間隔で記録する。AMおよび/またはFM無線帯域外の観察された信号は、無視されて記録されなくてもよい。一実施形態において、観察された信号は、観察時間、周波数および電力振幅値(t,f,p)のタプルとしてローカルデータストレージ110に格納される。一実施形態において、これらの信号は、周波数の列と観察値(時間)の行と各行-列項目に電力振幅値とを有するフラットファイルデータセットに格納される。
【0065】
一実施形態において、プロセスブロック710は、較正プロセス中に検出されたノイズを低減するためにEMIフィンガープリントスキャニング装置100に近接したユーティリティデバイスがオフにされている間に実行される。一実施形態において、プロセスブロック710は、較正プロセス中に検出されたノイズを低減するために相当な量のEMIを生成するシステムからEMIフィンガープリントスキャニング装置100が離れている間に実行される。一実施形態において、プロセスブロック710は、較正プロセス中に検出されたノイズを低減するためにEMIフィンガープリントスキャニング装置100が部分ファラデーケージ内に設置されている間に実行される。
【0066】
このようにプロセッサが、EMIフィンガープリントスキャニング装置を用いて、ある地理的位置でテスト期間にわたって電磁信号を収集することを完了すると、プロセスブロック710における処理は完了して、処理はプロセスブロック715に進む。
【0067】
プロセスブロック715において、プロセッサは、収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定する。
【0068】
一実施形態において、プロセッサは、(i)テスト期間にわたって一定の信号を有し、(ii)隣接する周波数よりも大きな電力スペクトル密度(PSD)を有する周波数を特定する。これらの周波数は、AM無線局のための割り当てられた搬送周波数またはFM無線局のための割り当てられた中心周波数である可能性が最も高い。一実施形態において、システムは、たとえば観察された無線信号に対して高速フーリエ変換(FFT)または他の適切な変換を実行することによって、当該テスト期間にわたって記録された観察された無線信号を時間領域から周波数領域に変換する。次いで、システムは、各周波数についてテスト期間にわたって観察された信号について電力スペクトル密度を計算し、電力スペクトル密度の値を、PSD値を周波数に関連付けるデータ構造でローカルデータストレージ110に記録する。次いで、システムは、各周波数についてPSD値を分析して、隣接する周波数の群の中で最も高いPSD値に基づいて、近傍の周波数の中の「ピーク」周波数を検出する。テスト期間にわたる電力スペクトル密度値に基づいて「ピーク」周波数として特定された周波数は、ローカル無線局についての割り当てられた搬送/中心周波数を含んでいるものと思われる。検出されたピーク周波数帯域のリストは、その後の検索および処理のために、データ構造としてローカルデータストレージ110に格納される。
【0069】
このようにプロセッサが、収集された電磁信号において1つまたは複数のピーク周波数帯域を特定することを完了すると、プロセスブロック715における処理は完了して、処理はプロセスブロック720に進む。
【0070】
プロセスブロック720において、プロセッサは、1つまたは複数のピーク周波数帯域と当該地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断する。一実施形態において、「一致」は、測定された周波数が、US FCCによって公開された周波数の1%以内に入る場合であると考えられる。
【0071】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャナ100の地理的位置は、EMIフィンガープリントデバイスの地理的位置が周波数データサービス425の照会を行うために必要であるという表示に応答して検索され得る。一実施形態において、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントの地理的位置がEMIフィンガープリントスキャナ100のオペレータから要求されるようにさせ得る。たとえば、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、地理的位置を入力するためのプロンプトをEMIフィンガープリントスキャニング装置100のグラフィカルユーザインターフェイス(ディスプレイ120によって表示される)に表示し得る。たとえば、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ユーザが郵便番号、都市および/もしくは州、または経度および緯度を入力することを要求する、ユーザの入力を受け付けるためのフィールドを含むフォームを生成して、当該フォームをディスプレイ120に表示し得る。次いで、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が地理的位置としてのプロンプトに応答してユーザ入力を受け付けるようにさせ得る。たとえば、較正ロジック160は、ユーザがフォーム上で「サブミット」または「受付」ボタンを選択したことを検出し得る。サブミットボタンの選択の検出に応答して、較正ロジック160は、フォームのフィールド内のユーザによって入力されたデータが、有効性を確認され、次いでEMIフィンガープリントスキャニング装置100の地理的位置を示すデータ構造でローカルデータストレージ110に格納されるようにさせる。地理的位置は、必要に応じてローカルデータストレージ110から検索され得る。
【0072】
一実施形態において、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントの地理的位置がGPS受信機155から要求されるようにさせ得る。較正ロジック160は、GPS受信機155から現在の緯度および経度を収集するための命令を生成する。GPS受信機155から現在の緯度および経度の収集に応答して、較正ロジック160は、現在の緯度および経度がEMIフィンガープリントスキャニング装置100の地理的位置を示すデータ構造で格納されるようにさせる。地理的位置は、必要に応じてローカルデータストレージ110から検索され得る。
【0073】
なお、緯度および経度情報は、GPS受信機155によって十進経緯度形式で提供されて、周波数データサービスの照会に使用する前に度・分・秒形式への変換を必要とする場合もあり、またはその逆の場合もある。較正ロジック160は、適用可能な変換式を適用することによってこれらの変換を行い得る。また、郵便番号(または、都市/州)情報が緯度および経度形式に変換されることが求められる場合もある。較正ロジック160は、郵便番号(または、都市/州)の代表的な緯度および経度のテーブルにおいて郵便番号(または、都市/州)を検索することによってこれらの変換を行い得る。
【0074】
一実施形態において、プロセッサは、たとえば地理的位置の特定の半径以内に位置しているとして特定されることによって、地理的位置にローカルであるとして特定された無線局についての情報を検索する。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、地理的位置付近の無線局についての情報を周波数データサービスから要求する。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、周波数データサービスによって返された情報の少なくとも一部を使用して、一致信号を生成するか不一致信号を生成するかを判断する。たとえば、無線局について返された情報を使用して、リスト内のピーク周波数のうちの1つまたは複数がローカル無線局によって放送されるか否かを判断し、リスト内のピーク周波数のうちの1つまたは複数がローカル無線局によって放送される場合(一実施形態では、ローカル放送周波数の1%以内)、一致信号が生成される。比較およびマッチングについては、
図8Aおよび
図8Bを参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0075】
このようにプロセッサが、1つまたは複数のピーク周波数帯域と当該地理的位置における割り当てられた無線局周波数とを比較して、一致が見つかるか否かを判断することを完了すると、プロセスブロック720における処理は完了して、処理はプロセスブロック725に進む。
【0076】
プロセスブロック725において、プロセッサは、比較に少なくとも部分的に基づいて、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成する。
【0077】
一実施形態において、少なくとも1つの一致が見つかることを示す比較に応答して、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100の較正状態が「較正される」と判断する。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャナが、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が「較正される」ことを示すデータ値を生成し、この値をローカルデータストレージ110内のデータ構造に書き込むようにさせる。格納されたデータ値は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が較正されることを示す信号として機能する。
【0078】
一実施形態において、一致が見つからないことを示す比較に応答して、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100の較正状態が「較正されない」と判断する。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャナが、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が「較正されない」ことを示すデータ値を生成し、この値をローカルデータストレージ110内のデータ構造に書き込むようにさせる。格納されたデータ値は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が較正されないことを示す信号として機能する。
【0079】
このようにプロセッサが、比較に少なくとも部分的に基づいて、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されるか否かを示す較正状態信号を生成することを完了すると、プロセスブロック725における処理は完了して、処理は終了ブロック730に進み、プロセス700は終了する。
【0080】
-例示的な割り当てられた周波数との比較方法-
再びプロセスブロック720を参照して、1つまたは複数のピーク周波数帯域を当該地理的位置における割り当てられた無線局周波数と比較して、一致が見つかるか否かを判断することができる方法は複数ある、ということに留意されたい。2つの例示的な方法について以下で説明する。
【0081】
一実施形態において、比較は、ローカル無線局に割り当てられた周波数のリストの検索に応答してEMIフィンガープリントスキャニング装置100上でローカルに行われる。
図8Aは、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正においてピーク周波数帯域と割り当てられた無線局周波数とを比較することに関連付けられた方法800の一実施形態を示す図である。一実施形態において、方法800は、方法700の一部として、特にプロセスブロック720の一部として実行される。一実施形態において、方法800は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100によって実行される。方法800は、方法800が開始すべきであること、たとえば方法700におけるプロセスブロック720の開始を示す受信信号または検索された格納データの構文解析に応答して、開始ブロック805から開始する。処理はプロセスブロック810に進む。
【0082】
プロセスブロック810において、プロセッサは、地理的位置付近の無線局についての無線局周波数情報を周波数データサービスから要求する。一実施形態において、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、周波数データサービス425からの、当該地理的位置の特定の半径(たとえば、100キロメートル)以内の全ての無線局の少なくとも周波数、コールサインおよび局位置を求める要求を構成するようにさせる。たとえば、この要求は、REST要求であってもよい。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、当該要求をネットワークインターフェイス130からネットワーク415を介して、この要求を処理する周波数データサービス425のウェブインターフェイスサーバ420に送信する。このようにプロセッサが、地理的位置付近の無線局についての無線局周波数情報を周波数データサービスから要求することを完了すると、プロセスブロック810における処理は完了して、処理はプロセスブロック815に進む。
【0083】
プロセスブロック815において、プロセッサは、周波数データサービスからの応答を構文解析して、ローカル無線局周波数のリストを決定する。一実施形態において、周波数情報検索システム430は、要求された情報をデータストア435内のデータベースから検索する。ウェブインターフェイスサーバは、ウェブページまたはREST要求などの応答を生成して、それをネットワーク415を介してEMIフィンガープリントスキャニング装置100のネットワークインターフェイス130に送信する。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、この応答を構文解析して、ローカル無線局周波数のリストならびにそれらの関連付けられたコールサインおよび局位置を抽出するようにさせる。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、当該リストをデータ構造としてローカルデータストレージ110に格納するようにさせる。このようにプロセッサが、周波数データサービスからの応答を構文解析して、ローカル無線局周波数のリストを決定することを完了すると、プロセスブロック815における処理は完了して、処理は判断ブロック820に進む。
【0084】
判断ブロック820において、プロセッサは、1つまたは複数のピーク周波数帯域のいずれかがリストに含まれているか否かを判断する。一実施形態において、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、(i)ローカル無線局周波数のリストならびにそれらの関連付けられたコールサインおよび局位置と、(ii)上記の方法700のプロセスブロック715において生成された検出されたピーク周波数帯域のリストとを検索するようにさせる。次いで、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、少なくとも1つのピーク周波数帯域が割り当てられた周波数のリストに含まれている(一実施形態では、割り当てられた周波数の1%以内)ことが分かるまで、またはピーク周波数帯域が割り当てられた周波数のリストに含まれていないと判断されるまで、検出されたピーク周波数帯域の各々とローカル無線局に割り当てられた周波数のリストとを比較するようにさせる。いずれかのピーク周波数帯域がリストに含まれている場合(YES)、判断ブロック820における処理は完了して、処理はプロセスブロック825に進む。ピーク周波数帯域がリストに含まれていない場合(NO)、判断ブロック820における処理は完了して、処理はプロセスブロック830に進む。
【0085】
プロセスブロック825において、ピーク周波数帯域がリストに含まれていたので、プロセッサは一致信号を生成する。一実施形態において、検出されたピーク周波数帯域とローカル無線局に割り当てられた周波数との間の少なくとも1つの一致の発見に応答して、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置が、一致が見つかったというデータ値を生成して、当該値をローカルデータストレージ110内のデータ構造に書き込むようにさせる。一実施形態において、このデータ値は、検出されたピーク周波数帯域(それらの周波数によって特定される)に一致する1つまたは複数の割り当てられた無線周波数のリスト(および、関連付けられたコールサインおよび位置)である。このようにプロセッサが一致信号を生成することを完了すると、プロセスブロック825における処理は完了して、処理は終了ブロック835に進み、プロセス800は終了する。
【0086】
プロセスブロック830において、ピーク周波数帯域がリストに含まれていなかったので、プロセッサはプロセッサは不一致信号を生成する。一実施形態において、検出されたピーク周波数帯域とローカル無線局に割り当てられた周波数との間の不一致の発見に応答して、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置が、一致が見つからなかったというデータ値を生成して、当該値をローカルデータストレージ110内のデータ構造に書き込むようにさせる。一実施形態において、このデータ値は、一致する局および周波数帯域のセットがヌルまたは空のセットであることを示す。格納されたデータ値は、一致信号として機能する。このようにプロセッサが不一致信号を生成することを完了すると、プロセスブロック830における処理は完了して、処理は終了ブロック835に進み、方法800は完了する。
【0087】
別の実施形態において、比較は、周波数データサービス425に対する1つまたは複数の要求の付随的特徴として、リモートで行われる。
図8Bは、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正においてピーク周波数帯域と割り当てられた無線局周波数とを比較することに関連付けられた方法850の別の実施形態を示す図である。一実施形態において、方法850は、方法700の一部として、特にプロセスブロック720の一部として実行される。一実施形態において、方法850は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100によって実行される。方法850は、方法850が開始すべきであること、たとえば方法700におけるプロセスブロック720の開始を示す受信信号または検索された格納データの構文解析に応答して、開始ブロック855から開始する。処理は、プロセスブロック860に進む。
【0088】
プロセスブロック860において、プロセッサは、1つのピーク周波数帯域で放送する地理的位置付近の無線局についての無線局識別情報を周波数データサービスから要求する。一実施形態において、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、周波数データサービス425からの、1つのピーク周波数帯域で放送している地理的位置の特定の半径(たとえば、100キロメートル)以内の全ての無線局の少なくともコールサインおよび局位置を求める要求を構成するようにさせる。たとえば、この要求は、REST要求であってもよい。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、この要求をネットワークインターフェイス130からネットワーク415を介して、この要求を処理する周波数データサービス425のウェブインターフェイスサーバ420に送信する。このようにプロセッサが、1つのピーク周波数帯域で放送する地理的位置付近の無線局についての無線局識別情報を周波数データサービスから要求することを完了すると、プロセスブロック860における処理は完了して、処理は判断ブロック865に進む。
【0089】
判断ブロック865において、プロセッサは、1つのピーク周波数帯域が無線局に割り当てられるか否かを判断するために周波数データサービスからの応答を構文解析する。一実施形態において、
一実施形態において、周波数情報検索システム430は、要求された情報をデータストア435内のデータベースから検索する。ウェブインターフェイスサーバは、ウェブページまたはREST要求などの応答を生成して、それをネットワーク415を介してEMIフィンガープリントスキャニング装置100のネットワークインターフェイス130に送信する。1つのピーク周波数帯域で放送するように割り当てられた無線局が半径以内にある場合、応答は、当該無線局についてのコールサインおよび位置情報を含む。1つのピーク周波数帯域で放送するように割り当てられた無線局が半径以内にない場合、応答は、ヌル、空、またはいかなるコールサインもしくは位置情報も含まない。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、応答を構文解析して、無線局が特定されるか否かを判断するようにさせる。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、割り当てられた周波数、コールサインおよび局情報(もしあれば)をローカルデータストレージ110内の一致のリストに追加するようにさせる。
【0090】
したがって、1つのピーク周波数帯域についての照会に応答して局情報(コールサイン、位置など)を返すことは、特定された局との一致を意味し、1つのピーク周波数についての照会に応答して局情報が無いことは、無線局との不一致を意味する。応答が1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含む場合(YES)、判断ブロック865における処理は完了して、処理はプロセスブロック870に進む。応答が1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含まない場合(NO)、判断ブロック865における処理は完了して、処理はプロセスブロック875に進む。
【0091】
プロセスブロック870において、応答が1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含んでいたので、プロセッサは一致信号を生成する。この一致信号は、上記のプロセスブロック825を参照して説明したように生成される。プロセスブロック870における処理は完了して、処理は終了ブロック880に進み、プロセス850は終了する。
【0092】
プロセスブロック875において、応答が1つのピーク周波数帯域についての無線局識別を含んでいなかったので、プロセッサは不一致信号を生成する。この不一致信号は、上記のプロセスブロック830を参照して説明したように生成される。プロセスブロック875における処理は完了して、処理は終了ブロック880に進み、方法850は完了する。
【0093】
-さらなる例示的な自動較正方法-
図9は、EMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正に関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。一実施形態において、方法900は、方法700の続きとして、特にプロセスブロック725において生成された較正状態信号に応答して実行される。一実施形態において、方法900のステップは、EMIフィンガープリントスキャニング装置100によって実行される。方法900は、方法900が開始すべきであること、たとえば方法700におけるプロセスブロック725の完了を示す受信信号または検索された格納データの構文解析に応答して、開始ブロック805から開始する。処理は判断ブロック910に進む。
【0094】
判断ブロック910において、プロセッサは、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを較正状態信号が示しているか否かを判断する。一実施形態において、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、較正状態信号をローカルデータストレージ110から検索するようにさせる。較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、較正状態信号の値を構文解析して、それが「較正される」ことを示しているか「較正されない」ことを示しているかを判断するようにさせる。EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることをEMIフィンガープリントスキャニング装置が示すことを較正状態信号が示している場合(YES)、処理はプロセスブロック915および920のうちの1つまたは複数に進む。EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことをEMIフィンガープリントスキャニング装置が示すことを較正状態信号が示している場合(NO)、処理はプロセスブロック925,930および935のうちの1つまたは複数に進む。
【0095】
たとえばプロセスブロック915および925によって示される一実施形態において、ターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの実行に進むことは、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されると判断されるか否かに基づいて許可または阻止され得る。プロセスブロック915において、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す較正状態信号に応答して、プロセッサは、EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を許可する。たとえば、この許可は、「スキャン開始」ボタンまたは同様のスキャン開始オプションをイネーブルにするか、またはEMIフィンガープリントスキャニング装置100のオペレータがアクセスできるようにすることによって行われる。たとえば、このボタンは、それが以前は隠されていた場合にはGUIに現れるようにされ、またはボタンが以前はそのようにイネーブルにされていなかった場合にはターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを開始するようにイネーブルにされ得る。次いで、スキャン開始ボタンの選択が検出され、ターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンがフィンガープリントロジック165によって開始され得る。次いで、プロセスブロック915における処理は完了して、処理は終了ブロック940に進み、方法900は完了する。
【0096】
逆に、プロセスブロック925において、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す較正状態信号に応答して、プロセッサは、EMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を阻止する。たとえば、この阻止は、「スキャン開始」ボタンまたは同様のスキャン開始オプションをディスエーブルにするか、またはEMIフィンガープリントスキャニング装置100のオペレータがアクセスできないようにすることによって行われる。たとえば、このボタンは、隠されている場合もあれば、GUIにおいて見えないようにされている場合もある。または、「スキャン開始」ボタンは、ディスエーブルにされる場合もあり、スキャン開始ボタンの選択は、ターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を引き起こさないであろう。次いで、プロセスブロック915における処理は完了して、処理は終了ブロック940に進み、方法900は完了する。プロセスブロック915における処理は完了して、処理は終了ブロック940に進み、方法900は完了する。
【0097】
たとえばプロセスブロック920および930によって示される一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置の較正状態を表す視覚的表示またはアイコンがグラフィカルユーザインターフェイスに表示され得る。有利なことに、これは、方法700などの較正プロセスの結果の解釈を簡単にする。プロセスブロック920において、プロセッサは、EMIフィンガープリントスキャニング装置のディスプレイが、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す較正状態信号に応答して視覚的較正確認をスキャニング装置のグラフィカルユーザインターフェイスに表示するようにさせる。一実施形態において、プロセッサは、視覚的較正確認を含むGUIを生成する。次いで、プロセッサは、このGUIをディスプレイ120に送信する。ディスプレイ120は、視覚的較正確認を示すGUIを表示する。
【0098】
ここで
図10Aを参照して、
図10Aは、EMIフィンガープリントスキャニング装置が適切に較正されることをEMIフィンガープリントスキャニング装置のユーザに通知することに関連付けられたグラフィカルユーザインターフェイス1000の一実施形態を示す図である。一実施形態において、視覚的較正確認は、「較正確認」アイコン1005の形態をとってもよい。アイコン1005は、EMIフィンガープリントスキャンに進むための「緑色光」を送出するために緑色であってもよい。一実施形態において、「詳細」グラフィカルボタン1010は、較正が確認される理由についての追加情報をGUIに表示させるように選択され得る。たとえば、ボタン1010の選択により、一致するローカル無線周波数でラベル付けされた較正ヒートマップがGUIに表示され得る。一実施形態において、「EMIフィンガープリントスキャン開始」グラフィカルボタン1015が表示される。このボタンの選択により、EMIフィンガープリントスキャニング装置100がフィンガープリントロジック165に従ってEMIフィンガープリントスキャンを開始する。
【0099】
再び
図9を参照して、次いで、プロセスブロック920における処理は完了して、処理は終了ブロック940に進み、方法900は完了する。
【0100】
プロセスブロック930において、プロセッサは、EMIフィンガープリントスキャニング装置のディスプレイが、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す較正状態信号に応答して視覚的較正警告をスキャニング装置のグラフィカルユーザインターフェイスに表示するようにさせる。一実施形態において、プロセッサは、視覚的較正警告を含むGUIを生成する。次いで、プロセッサは、このGUIをディスプレイ120に送信する。ディスプレイ120は、視覚的較正警告を示すGUIを表示する。
【0101】
ここで
図10Bを参照して、
図10Bは、EMIフィンガープリントスキャニング装置が適切に較正されないことをEMIフィンガープリントスキャニング装置のユーザに警告することに関連付けられたグラフィカルユーザインターフェイス1050の一実施形態を示す図である。一実施形態において、視覚的較正警告は、「較正警告」アイコン1055の形態をとってもよい。アイコン1055は、ユーザがEMIフィンガープリントスキャンに進むことができないことを示唆するために、停止サインの色および形状を示唆するような赤色の八角形であってもよい。一実施形態において、「詳細」グラフィカルボタン1060は、較正が確認されないまたは失敗した理由についての追加情報をGUIに表示させるように選択され得る。たとえば、ボタン1060の選択により、ローカル無線周波数(観察された周波数帯域と整列しない)でラベル付けされた較正ヒートマップがGUIに表示され得る。一実施形態において、「再較正開始」グラフィカルボタン1065が表示される。このボタンの選択により、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が較正ロジック160に従って自己再較正プロセス(
図12を参照して示され、説明されたものなど)を開始する。
【0102】
再び
図9を参照して、次いで、プロセスブロック930における処理は完了して、処理は終了ブロック940に進み、方法900は完了する。
【0103】
上記のように、一実施形態において、自己再較正プロセスは、たとえばプロセスブロック935に示されるように、較正の範囲外であると判断されるEMIフィンガープリントスキャニング装置によって実行され得る。プロセスブロック935において、プロセッサは、EMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す較正検証信号に応答して、再較正プロセスを開始してEMIフィンガープリントスキャニング装置の較正を補正する。一実施形態において、較正ロジック160は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が、再較正プロセスをローカルデータストレージ110からロードして、再較正プロセスの実行を開始するようにさせる。このように再較正プロセスが開始されると、プロセスブロック935における処理は完了して、処理は終了ブロックに進み、方法900は完了する。
【0104】
-EMIフィンガープリントのための較正証明-
図11は、ターゲットデバイスのEMIフィンガープリントが、正しく較正されたEMIフィンガープリントスキャニング装置によって作成されたことを示すための較正証明を生成することに関連付けられた方法1100の一実施形態を示す図である。一実施形態において、方法1100のステップは、較正ロジック160およびフィンガープリントロジック165に従ってEMIフィンガープリントスキャニング装置100によって実行される実行される。一実施形態において、方法1100は、方法900のプロセスブロック915を参照して示され、説明されたようなEMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されることを示す較正状態信号に応答してEMIフィンガープリントスキャニング装置を使用したターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの開始を許可することに続くものであり得る。方法1100は、方法1100が開始すべきであることを示す受信信号または検索された格納データ、たとえばターゲットデバイスのEMIフィンガープリントスキャンが開始されたという表示の構文解析に応答して、開始ブロック1105から開始する。処理は、プロセスブロック1110に進む。
【0105】
プロセスブロック1110において、プロセッサは、ターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを実行して、ターゲットユーティリティデバイスのためのEMIフィンガープリントを生成する。
【0106】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、フィンガープリントロジック165に従ってスキャンを実行する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、テスト動作のシーケンスにさらされるターゲットユーティリティデバイス(または、「テスト対象ユニット」(UUT))によって発せられたターゲットEMI信号を収集する。一実施形態において、テスト動作のシーケンスは、名目上10分間続き、これら10分間にわたってスキャンが実行される。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、収集されたターゲットEMI信号からターゲットデバイスのためのターゲットEMIフィンガープリントを生成する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ターゲットEMIフィンガープリントと、ターゲットユーティリティデバイスと同一タイプの本物のデバイス(または、「ゴールデンシステム」(GS))であることが確認された基準ユーティリティデバイスの基準EMIフィンガープリントとを比較する。EMIフィンガープリントスキャニング装置は、比較の結果に基づいて、ターゲットユーティリティデバイスが本物であるか、1つまたは複数の偽造電子部品を含んでいるかを判断する。EMIフィンガープリントスキャナは、ターゲットEMIフィンガープリントおよび本物か偽造かの判断をローカルデータストア110に格納する。
【0107】
一実施形態において、収集されたターゲットEMI信号および基準EMIフィンガープリントにおける基準EMI信号は、高速フーリエ変換(FFT)動作にかけられて、EMI信号のそれぞれのセットを時間領域表現から周波数領域表現に変換する。変換された(周波数領域)基準EMI信号を使用して、多変量状態推定技術(MSET)モデルなどの非線形ノンパラメトリック回帰モデルが訓練される。訓練されたMSETモデルは、変換された(周波数領域)ターゲットEMI信号を入力として提供されて、ターゲットEMI信号の推定値を生成する。基準EMI信号とターゲットEMI信号との比較は、これらの推定値に少なくとも部分的に基づく。
【0108】
このようにプロセッサが、ターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリントスキャンを実行して、ターゲットユーティリティデバイスのためのEMIフィンガープリントを生成することを完了すると、プロセスブロック1110における処理は完了して、処理はプロセスブロック1115に進む。
【0109】
プロセスブロック1115において、プロセッサは、収集された電磁周波数、割り当てられた無線局周波数および較正状態信号からEMIフィンガープリントスキャンの較正証明を生成する。
【0110】
一実施形態において、
図700を参照して示され、説明されたようにプロセスブロック710においてテスト期間にわたって生成されたフラットファイルデータセットは、現在の地理的位置におけるEMIフィンガープリントスキャニング装置についてのテスト期間にわたって観察された信号のヒートマップの根拠として機能する。生成されたヒートマップは、例示的なヒートマップ500および600と同様である。テスト期間にわたるヒートマップは、観察された電力振幅値に従って変化する彩度の強さを有する点を用いて、観察された電力振幅値を周波数および時間に対してプロットすることによって、生成することができる。たとえば、例示的なヒートマップ500および600では、電力振幅値は高くなるほど暗い色調の灰色でプロットされており、最も高い値は黒色に近いのに対して、電力振幅値は低くなるほど白色に近い明るい色調の灰色でプロットされている。黒色および白色以外の色がグラフィカルユーザインターフェイスに適しているであろう。割り当てられたローカル無線局周波数(さらに、望ましい場合には、コールサインおよび位置)を示すラベルは、プロセスブロック720において検索された地理的に近接する無線局の割り当てられた周波数帯域に基づいて、周波数軸上の対応する周波数値に適用することができる。ヒートマップへのラベルの適用は、EMIフィンガープリントスキャニング装置100が較正されるか較正されないかというEMIフィンガープリントスキャニング装置の判断の視覚的な裏付けとして機能する。較正証明の目的で、ラベルは、観察された周波数帯域と整列すべきである。ラベルが整列する場合、ラベル付けされたヒートマップは較正の証明に寄与する。ラベルが観察された周波数帯域と整列しない場合、ラベル付けされたヒートマップは誤較正の証明に寄与する。
【0111】
一実施形態において、較正証明は、較正プロセスでの較正状態信号の値と、較正プロセスでのヒートマップ情報と、較正プロセス中にFCCデータベースなどの周波数データプロバイダから検索された割り当てられたローカル無線局周波数、コールサインおよび放送位置で構成されたヒートマップのラベルとを含むデータ構造である。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ヒートマップの生成に使用されるデータ、すなわちテスト期間中に生成されたフラットファイルデータセットを、較正証明データ構造の一部としてローカルデータストレージ110に格納する。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ヒートマップ上のラベルの生成に使用されるデータ、すなわち割り当てられたローカル無線局周波数、コールサインおよび放送位置を、較正証明データ構造の一部としてローカルデータストレージ110に格納する。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、較正状態信号の値を較正証明データ構造の一部としてローカルデータストレージ110に格納する。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ラベルが適用されたヒートマップの画像を生成し、それを較正証明データ構造の一部としてローカルデータストレージ110に格納する。一実施形態において、ヒートマップの画像は、「較正される」もしくは「較正されない」ことを示すテキストなどの較正状態信号の値を含み得て、または、それぞれ「較正確認」アイコン1005もしくは「較正警告」アイコン1055などの視覚的較正確認もしくは警告が画像に含まれ得る。
【0112】
一実施形態では、較正証明データ構造に画像は含まれない。画像は、較正証明データ構造に含まれる他のデータ、すなわち較正状態信号、フラットファイルデータセットおよび割り当てられた無線周波数ラベル、からの較正証明データ構造の読み取りの後で構築され得る。別の実施形態では、較正証明データ構造に画像は含まれるが、基本的な較正状態信号、フラットファイルデータセットおよび割り当てられた無線周波数ラベルは含まれない。この構成は、もっぱら較正状態の視覚的確認に使用され得る。別の実施形態では、画像も基本的なデータも較正証明データ構造に含まれる。
【0113】
このようにプロセッサが、収集された電磁周波数、割り当てられた無線局周波数および較正状態信号からEMIフィンガープリントスキャンの較正証明を生成することを完了すると、プロセスブロック1115における処理は完了し、処理はプロセスブロック1120に進む。
【0114】
プロセスブロック1120において、プロセッサは、EMIフィンガープリントとともに較正証明を含める。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ターゲットEMIフィンガープリント、本物か偽造かの判断、および較正証明データ構造の各々をローカルデータストア110から検索する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ターゲットEMIフィンガープリント、本物か偽造かの判断、および較正証明データ構造の各々を含む組み合わせデータ構造をローカルデータストア110内に作成する。EMIフィンガープリントを求める要求に応答して、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、この組み合わせデータ構造を返す。このようにプロセッサがEMIフィンガープリントとともに較正証明を含めることを完了すると、プロセスブロック1120における処理は完了して、処理は終了ブロック1125に進み、方法1100は終了する。
【0115】
一実施形態において、
図7および
図11を参照して示され、説明された較正手順は、ユーザに対する表示なしに自動的に実行される。たとえば、この較正手順は、スキャナオペレータにとって非常にトランスペアレントであるように自動化されるため、ターゲットユーティリティアセットがスキャンされてターゲットEMIフィンガープリントが保存される前、後、または前後に、自動較正手順が実行されて、公式のEMIフィンガープリントスキャンとともに較正ヒートマップ画像(および/または、他の較正確認情報)が保存される。通常、この較正手順は10秒を切るため、10分以上かかるスキャンを実行する人間オペレータにとってそれほど目立つものではない。この前/後取り込み、および、ターゲットユーティリティアセットのあらゆるEMIフィンガープリントスキャン中に器械が十分に較正されたという認定は、較正証明がターゲットユーティリティアセットのためのデジタル化されたEMIフィンガープリントとともに保存されることと合わせて、偽造が無いことの認定に対する非常に貴重な付加価値である。それは、認定が正確であることを裏付けて、サプライチェーンにおいて検出された偽造に対して措置を講じるための定量的な証拠を提供する。たとえば、偽造が入国/出国港で検出される場合、誤った特定は非常にコストがかかる可能性がある。誤較正に起因するタイプI誤アラートエラーは、積み荷の大量出荷を不必要に止める可能性がある。誤較正に起因するタイプIIアラート失敗エラーは、偽造部品を有する多数のデバイスを、それらが全て1ヶ所にある間にサプライチェーンから除去する機会を無視する可能性がある。
【0116】
-周波数自己再較正-
図12は、適切に較正されないEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動再較正に関連付けられた方法1200の一実施形態を示す図である。一実施形態において、方法1200のステップは、較正ロジック160に従ってEMIフィンガープリントスキャニング装置100によって実行される実行される。一実施形態において、方法1200は、方法900のプロセスブロック935を参照して示され、説明されたようなEMIフィンガープリントスキャニング装置が較正されないことを示す較正状態信号に応答した再較正プロセスの開始に続くものであり得る。方法1200は、方法1200が開始すべきであることを示す受信信号または検索された格納データ、たとえば再較正プロセスが開始されたという表示の構文解析に応答して、開始ブロック1205から開始する。処理はプロセスブロック1210に進む。
【0117】
プロセスブロック1210において、プロセッサは、割り当てられた無線局周波数のうちの1つまたは複数および収集された電磁信号におけるピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定する。
【0118】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、地理的位置における割り当てられた無線局周波数のうちの少なくとも2つとはそれぞれ異なる、収集された電磁信号における少なくとも2つのピーク周波数帯域を共通のスカラ誤差によって特定する。このスカラ誤差は、一対のピーク周波数および割り当てられた局周波数から特定され得るが、二対のピーク周波数および割り当てられた無線局周波数に対する同一のスカラ誤差(または、誤差係数)の存在は、ピーク周波数が割り当てられた無線局と正確に対にされていることを裏付けるのに役立つ。これは、正確なスカラ誤差が特定されたことを裏付ける。さらなるピーク周波数-割り当てられた無線局周波数対を同一のスカラ誤差によって特定することは、さらに、検出されたピーク周波数が実際の無線局放送の周波数からずれていることをスカラ誤差によって裏付ける。一実施形態において、一対の観察されたピーク周波数および割り当てられた無線局周波数に対するスカラ誤差(または、誤差係数)は、観察されたピーク周波数と割り当てられた無線局周波数との間の差を求めて、この差を割り当てられた無線局周波数で除算することによって、計算することができる。なお、各対について計算される誤差係数の間には小さな相違がある場合がある。したがって、誤差係数は、それらが許容可能な公差の範囲内でのみ異なっている場合に「同一」であると考えることができる。一実施形態において、全ての誤差係数の平均が誤差係数の「実際の」値であると判断される。
【0119】
したがって、一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、割り当てられたローカル無線局周波数とは異なる、収集された電磁信号における複数のピーク周波数帯域を同一の係数によって特定する。たとえば、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、ピーク周波数帯域と割り当てられた無線局周波数との各組み合わせの間の誤差係数を特定する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、許容可能な公差の範囲内でのみ異なっている係数を有するそれらの対の係数を選択する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、選択された係数の平均を求めて、この平均をスカラ誤差(誤差係数)の値としてデータ構造としてローカルデータストレージ110に記録する。
【0120】
このようにプロセッサが、割り当てられた無線局周波数のうちの1つまたは複数および収集された電磁信号におけるピーク周波数帯域のうちの1つまたは複数、のうちの1つまたは複数の間の差に少なくとも基づいて誤差を特定することを完了すると、プロセスブロック1210における処理は完了して、処理はプロセスブロック1215に進む。
【0121】
プロセスブロック1215において、プロセッサは、少なくとも誤差から補正係数を導き出す。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、誤差係数の値をローカルデータストレージ100から検索する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、誤差係数の逆数(1/N)を求めて、補正係数を作成する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、補正係数の値をデータ構造としてローカルデータストレージ110に格納する。このようにプロセッサが少なくとも誤差から補正係数を導き出すことを完了すると、プロセスブロック1215における処理は完了して、処理はプロセスブロック1220に進む。
【0122】
プロセスブロック1220において、プロセッサは、補正係数を無線受信機に適用して、EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正する。
【0123】
一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、補正係数をEMIフィンガープリントスキャニング装置100の無線受信機140のローカル発振器170の出力に適用して、周波数シンセサイザ175によって合成された周波数を補正する。補正された合成された周波数は、観察された電磁信号をそれらの正確な波長に関連付けるようにさせる(または、それらの正確な波長で「見られる」ようにさせる)。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、このように再較正される。一実施形態において、EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、補正係数の値をローカルデータストレージ110から検索する。EMIフィンガープリントスキャニング装置100は、(i)ローカル発振器周波数または(ii)合成された周波数のいずれかに補正係数を乗算して、EMIフィンガープリントスキャニング装置100の較正を補正する。
【0124】
このようにプロセッサが、補正係数を無線受信機に適用して、EMIフィンガープリントスキャニング装置を再較正することを完了すると、プロセスブロック1220における処理は完了して、処理は終了ブロック1225に進み、方法1200は完了する。
【0125】
一実施形態において、再較正プロセスが依然としてEMIフィンガープリントスキャニング装置100の較正誤差を完全に補正しない場合、EMIフィンガープリントスキャニング装置は、較正がこのフィールドでは補正可能でないことを示すさらなる較正警告をディスプレイ140に表示し得て、EMIフィンガープリントスキャニング装置100の1つまたは複数の部品のための機器修理または交換を要求し得る。
【0126】
-選択された利点-
本明細書に記載されている自律型EMIフィンガープリント較正システムおよび方法は、不可欠なユーティリティアセットのためのEMIフィンガープリント偽造検出手順における複雑さを実質的に無くす。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、較正検証を目立たないようにかつ非熟練スタッフが実行しやすくする。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、EMI信号の基準ソースを使用してEMIフィンガープリントスキャニング装置100を較正することを不要にする。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、ターゲットユーティリティデバイスが本物であるか1つまたは複数の偽造部品を含んでいるかというEMIフィンガープリントスキャニング装置による判断をサポートするのに必要とされる較正の証明または認定を提供する。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、非熟練スタッフが、EMIフィンガープリントスキャニング装置100の較正ずれを特定して補正することを可能にし、装置によって実行されるEMIフィンガープリントスキャンの精度を向上させる。システムおよび方法によって可能にされる他の利点は、本明細書の中の他の箇所に記載されている。これらの利点の各々は、EMIフィンガープリンティング技術、電磁スキャニング装置較正技術または他の技術分野に対する改良を示す。したがって、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、改良された動作を実行するために実際に適用される。
【0127】
-ソフトウェアモジュールの実施形態-
一般に、ソフトウェア命令は、好適にプログラムされたプロセッサによって実行されるように設計されている。これらのソフトウェア命令は、たとえばコンピュータによって実行可能なコードにコンパイルされ得るコンピュータによって実行可能なコードおよびソースコードを含み得る。これらのソフトウェア命令は、スクリプト言語などの解釈プログラミング言語で書かれた命令も含み得る。
【0128】
複雑なシステムでは、このような命令は、典型的にはプログラムモジュールに配置され、各々のこのようなモジュールが特定のタスク、プロセス、機能または動作を実行する。モジュールのセット全体は、オペレーティングシステム(OS)または他の形態の組織プラットフォームによって動作時に制御または連係され得る。
【0129】
一実施形態において、本明細書に記載されている構成要素、機能、方法またはプロセスのうちの1つまたは複数は、非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されたモジュールとして構成されている。これらのモジュールは、格納されたソフトウェア命令で構成されており、これらの格納されたソフトウェア命令は、少なくともメモリまたはストレージにアクセスするプロセッサによって実行されると、コンピューティングデバイスに、本明細書に記載されている対応する機能を実行させる。
【0130】
-コンピューティングデバイスの実施形態-
図13は、本明細書に開示されている例示的なシステム、方法および/もしくは特別目的機器ならびに/または等価物のうちの1つまたは複数で構成および/またはプログラムされたコンピューティングデバイス1300の一実施形態を示す図である。例示的なコンピューティングデバイス1300は、バス1325によって作動的に接続されたプロセッサ1310、メモリ1315および入力/出力ポート1320を含むコンピュータ1305であり得る。一例において、コンピュータ1305は、
図1~
図12に示されるロジックおよびシステムと同様の商用電力システム偽造検出のためのEMIフィンガープリントスキャニング器械の自動較正を容易にするように構成された商用電力システムEMIフィンガープリントスキャニング器械自動較正ロジック1330を含み得る。異なる例では、ロジック1330は、ハードウェア、格納された命令を有する非一時的なコンピュータ読取可能媒体、ファームウェアおよび/またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。ロジック1330は、バス1325に取り付けられたハードウェアコンポーネントとして示されているが、他の実施形態では、ロジック1330は、プロセッサ1310において実行されてもよく、メモリ1315に格納されてもよく、またはディスク1335に格納されてもよい、ということが理解されるべきである。
【0131】
一実施形態において、ロジック1330またはコンピュータは、記載されているアクションを実行するための手段(たとえば、構造:ハードウェア、非一時的なコンピュータ読取可能媒体、ファームウェア)である。いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングシステムで動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャで構成されたサーバ、スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピューティングデバイスなどであってもよい。
【0132】
上記手段は、たとえば、EMI周波数キビアット管を使用した商用電力システムにおける偽造部品の高感度検出および特定用にプログラムされたASICとして実現されてもよい。また、上記手段は、メモリ1315に一時的に格納されてからプロセッサ1310によって実行されるデータ1340としてコンピュータ1305に提供される格納されたコンピュータによって実行可能な命令として実現されてもよい。
【0133】
ロジック1330は、EMI周波数キビアット管を使用した商用電力システムにおける偽造部品の高感度検出および特定を実行するための手段(たとえば、ハードウェア、実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能媒体、ファームウェア)も提供し得る。
【0134】
コンピュータ1305の例示的な構成について大まかに説明すると、プロセッサ1310は、デュアルマイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサアーキテクチャを含む種々のさまざまなプロセッサであり得る。メモリ1315は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、たとえば、ROM、PROMなどを含み得る。揮発性メモリは、たとえば、RAM、SRAM、DRAMなどを含み得る。
【0135】
ストレージディスク1335は、たとえば入力/出力(I/O)インターフェイス(たとえば、カード、デバイス)1345および入力/出力ポート1320を介してコンピュータ1300に作動的に接続され得る。ディスク1335は、たとえば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、ジップドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティックなどであってもよい。さらに、ディスク1335は、CD-ROMドライブ、CD-Rドライブ、CD-RWドライブ、DVD ROMなどであってもよい。メモリ1315は、たとえばプロセス1350および/またはデータ1340を格納することができる。ディスク1335および/またはメモリ1315は、コンピュータ1305のリソースを制御して割り当てるオペレーティングシステムを格納することができる。
【0136】
コンピュータ1305は、I/Oインターフェイス1345および入力/出力ポート1320を介して入力/出力(I/O)デバイスと対話し得る。入力/出力デバイスは、たとえば、キーボード1380、マイク1384、ポインティングおよび選択デバイス1382、カメラ1386、ビデオカード、ディスプレイ1370、スキャナ1388、プリンタ1372、スピーカ1374、ディスク1335、ネットワークデバイス1355などであってもよい。入力/出力ポート1320は、たとえば、シリアルポート、パラレルポートおよびUSBポートを含み得る。入力/出力デバイスは、広範なスペクトル(または、他のスペクトル)の無線受信機1390および関連付けられたアンテナ1392を含み得る。
【0137】
コンピュータ1305は、ネットワーク環境で動作することができ、そのため、I/Oインターフェイス1345および/またはI/Oポート1320を介してネットワークデバイス1355に接続され得る。ネットワークデバイス1355を介して、コンピュータ1305はネットワーク1360と対話し得る。ネットワーク1360を介して、コンピュータ1305はリモートコンピュータ1365に論理的に接続され得る。コンピュータ1305が対話し得るネットワークは、LAN、WANおよび他のネットワークを含むが、それらに限定されるものではない。
【0138】
-定義および他の実施形態-
別の実施形態では、記載されている方法および/またはそれらの等価物は、コンピュータによって実行可能な命令で実現されてもよい。したがって、一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能/記憶媒体は、マシンによって実行されるとマシン(および/または、関連付けられた構成要素)に方法を実行させるアルゴリズム/実行可能なアプリケーションの格納されたコンピュータによって実行可能な命令で構成されている。例示的なマシンは、プロセッサ、コンピュータ、クラウドコンピューティングシステムで動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャで構成されたサーバ、スマートフォンなどを含むが、それらに限定されるものではない。一実施形態において、コンピューティングデバイスは、開示されている方法のうちのいずれかを実行するように構成された1つまたは複数の実行可能なアルゴリズムで実現される。
【0139】
1つまたは複数の実施形態において、開示されている方法またはそれらの等価物は、方法を実行するように構成されたコンピュータハードウェア、または、非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されたモジュールにおいて具体化されるコンピュータ命令のいずれかによって実行され、これらの命令は、少なくともコンピューティングデバイスのプロセッサによって実行されると方法を実行するように構成された実行可能なアルゴリズムとして構成されている。
【0140】
説明を簡単にするために、図面に示されている手法は、アルゴリズムの一連のブロックとして示され、説明されているが、これらの手法はブロックの順序によって限定されるものではないということが理解されるべきである。いくつかのブロックは、異なる順序で行われてもよく、および/または、示され、説明されているブロック以外のブロックと同時に行われてもよい。さらに、示されている全てのブロックよりも少ないブロックを使用して例示的な手法を実現してもよい。ブロックは、組み合わせられてもよく、または複数のアクション/構成要素に分離されてもよい。さらに、さらに他のおよび/または代替的な手法は、ブロックに示されていないさらに他のアクションを用いてもよい。
【0141】
以下は、本明細書で用いられる選択された用語の定義を含む。これらの定義は、用語の範囲内に含まれる、実現のために使用され得る構成要素のさまざまな例および/または形態を含む。これらの例は、限定的であるよう意図されるものではない。用語の単数形も複数形も定義の範囲内である。
【0142】
「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、「例」などへの言及は、そのように記載された実施形態または例が特定の特徴、構造、特性、性質、要素または制約を含み得るが、全ての実施形態または例が必ずしも当該特定の特徴、構造、特性、性質、要素または制約を含むものではないということを意味する。さらに、「一実施形態において」というフレーズの反復使用は、同一の実施形態を指す場合もあるが、必ずしもそうではない。
【0143】
ASIC:特定用途向け集積回路
CD:コンパクトディスク
CD-R:記録可能なCD
CD-RW:書換可能なCD
DVD:デジタル多用途ディスクおよび/またはデジタルビデオディスク
LAN:ローカルエリアネットワーク
RAM:ランダムアクセスメモリ
DRAM:ダイナミックRAM
SRAM:同期RAM
ROM:リードオンリメモリ
PROM:プログラム可能なROM
EPROM:消去可能なPROM
EEPROM:電気的に消去可能なPROM
USB:ユニバーサルシリアルバス
XML:拡張可能マークアップ言語
WAN:ワイドエリアネットワーク
本明細書で用いられる「データ構造」は、メモリ、ストレージデバイスまたは他のコンピュータ化されたシステムに格納される、コンピューティングシステムにおけるデータの編成である。データ構造は、たとえばデータフィールド、データファイル、データアレイ、データレコード、データベース、データテーブル、グラフ、ツリー、リンク付きリストなどのうちのいずれかであってもよい。データ構造は、多くの他のデータ構造から形成され、多くの他のデータ構造を含んでもよい(たとえば、データベースは多くのデータレコードを含む)。他の実施形態に従って、データ構造の他の例も可能である。
【0144】
本明細書で用いられる「コンピュータ読取可能媒体」または「コンピュータ記憶媒体」は、実行されると開示されている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成された命令および/またはデータを格納する非一時的な媒体を指す。いくつかの実施形態において、データは命令として機能し得る。コンピュータ読取可能媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含むがそれらに限定されない形態をとり得る。不揮発性媒体は、たとえば光ディスク、磁気ディスクなどを含み得る。揮発性媒体は、たとえば半導体メモリ、ダイナミックメモリなどを含み得る。コンピュータ読取可能媒体の一般的な形態は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、コンパクトディスク(CD)、他の光媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、メモリチップもしくはカード、メモリスティック、ソリッドステートストレージデバイス(SSD)、フラッシュドライブ、および、コンピュータ、プロセッサもしくは他の電子デバイスが一緒に機能することができる他の媒体を含み得るが、それらに限定されるものではない。各タイプの媒体は、一実施形態において実現のために選択される場合、開示および/またはクレームされている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成されたアルゴリズムの格納された命令を含み得る。
【0145】
本明細書で用いられる「ロジック」は、コンピュータもしくは電気ハードウェア、実行可能なアプリケーションもしくはプログラムモジュールの格納された命令を有する非一時的な媒体、および/または、それらの組み合わせで実現されて、本明細書に開示されている機能もしくはアクションのうちのいずれかを実行し、および/または、別のロジック、方法および/もしくはシステムからの機能もしくはアクションを本明細書に開示されているように実行させる構成要素を表す。等価のロジックは、ファームウェア、アルゴリズムでプログラムされたマイクロプロセッサ、ディスクリートロジック(たとえば、ASIC)、少なくとも1つの回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされたロジックデバイス、アルゴリズムの命令を含むメモリデバイスなどを含み得て、それらはいずれも開示されている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。一実施形態において、ロジックは、開示されている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成された1つまたは複数のゲート、ゲートの組み合わせ、または他の回路構成要素を含み得る。複数のロジックが記載されている場合には、これら複数のロジックを1つのロジックに組み込むことが可能であろう。同様に、単一のロジックが記載されている場合には、当該単一のロジックを複数のロジックに分配することが可能であろう。一実施形態において、これらのロジックのうちの1つまたは複数は、開示および/またはクレームされている機能を実行することに関連付けられた対応する構造である。どのタイプのロジックを実現するかの選択は、所望のシステム条件または仕様に基づき得る。たとえば、高速化が検討事項である場合には、機能を実現するためにハードウェアが選択されるであろう。低コスト化が検討事項である場合には、機能を実現するために格納された命令/実行可能なアプリケーションが選択されるであろう。
【0146】
「作動的な接続」またはエンティティが「作動的に接続される」接続は、信号、物理的通信および/または論理的通信が送信および/または受信され得るものである。作動的な接続は、物理インターフェイス、電気的インターフェイスおよび/またはデータインターフェイスを含み得る。作動的な接続は、作動的な制御を可能にするのに十分なインターフェイスおよび/または接続のさまざまな組み合わせを含み得る。たとえば、2つのエンティティは、直接的にまたは1つもしくは複数の中間エンティティ(たとえば、プロセッサ、オペレーティングシステム、ロジック、非一時的なコンピュータ読取可能媒体)を介して互いに信号を通信するように作動的に接続されることができる。論理的および/または物理的通信チャネルを使用して作動的な接続を作成することができる。
【0147】
本明細書で用いられる「ユーザ」は、1つまたは複数の人、コンピュータもしくは他のデバイス、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。
【0148】
開示されている実施形態を相当詳細に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限またはいかようにも限定することを意図しているわけではない。当然のことながら、主題のさまざまな局面を説明することを目的として構成要素または手法の考えられる全ての組み合わせを説明することは不可能である。そのため、本開示は、示され、記載されている具体的な詳細または例示的な例に限定されるものではない。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる修正例、変形例および変更例を包含するよう意図されている。
【0149】
「含む(includes)」または「含んでいる(including)」という用語は、詳細な説明または特許請求の範囲で用いられる限りにおいて、当該用語が請求項で移行語として用いられる場合に解釈されるように、「備えている(comprising)」という用語と同様に包含的であるよう意図されている。
【0150】
「または」という用語は、詳細な説明または特許請求の範囲で用いられる(たとえば、AまたはB)限りにおいて、「AまたはBまたはそれら両方」を意味するよう意図されている。出願人が「AのみまたはBのみであって、両方ではない」ことを示したい場合には、「AのみまたはBのみであって、両方ではない」というフレーズが使用されるであろう。したがって、本明細書における「または」という用語の使用は、包含的使用であって排他的使用ではない。