(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-25
(45)【発行日】2025-05-08
(54)【発明の名称】吸引可能な媒体の発生
(51)【国際特許分類】
A24F 40/30 20200101AFI20250428BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20250428BHJP
A24F 40/485 20200101ALI20250428BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/42
A24F40/485
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023092633
(22)【出願日】2023-06-05
(62)【分割の表示】P 2021504755の分割
【原出願日】2019-07-25
【審査請求日】2023-06-30
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ウッドコック、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】イルマズ、ウグルハン
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ、デヴィッド
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02989912(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0106936(US,A1)
【文献】国際公開第2017/055584(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/020599(WO,A1)
【文献】特表2018-512118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持するための容器と、
容器に保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
第1および第2チェンバーと、
出口とを含む吸引可能な媒体の発生装置であって、
前記装置は、使用時に、蒸気および/またはエアロゾルの形態で揮発させた液体を含む吸引可能な媒体が、第1および/または第2チェンバーを通過しさらに出口を通過して出るように構成され、かつ、第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が受動的手段を介して使用中に変化するように構成されて
おり、第1チェンバーを流れる流れに対する抵抗が、蒸気および/またはエアロゾルに晒された結果として変化して、前記第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が使用中に変化する、吸引可能な媒体の発生装置。
【請求項2】
第2チェンバーを通る流体の初期の流量は実質的にゼロであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
第1チェンバーを通る流体の最終的な流量は実質的にゼロであることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
初期には第2チェンバーを流れる流体をブロックする分解可能な材料をさらに含み、この分解可能な材料はそれが使用中に崩壊するように選択されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
メッシュが第1および/または第2チェンバーの少なくとも1つに設けられ、そのチェンバー内の吸引抵抗を調節するように配置されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
第1チェンバーは第1の組成物を含み、第2チェンバーは第2の組成物を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
第1の組成物の初期の平均粒径は第2の組成物の初期の平均粒径より大きいことを特徴とする請求
項6記載の装置。
【請求項8】
第1の容器に入った蒸気および/またはエアロゾルを形成するための揮発性の液体と、第1チェンバーに入った第1の組成物と、第2チェンバーに入った第2の組成物とを含む吸引可能な媒体の発生装置に使用するカートリッジであって、カートリッジは装置での使用時に第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が受動的手段を介して徐々に変化するように構成されており、第1チェンバーを流れる流れに対する抵抗が、蒸気および/またはエアロゾルに晒された結果として変化して、前記第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が使用中に変化する、カートリッジ。
【請求項9】
使用時に、ヒーターによって揮発させた液体を含む吸引可能な媒体が、蒸気および/またはエアロゾルの少なくとも一方の形態で、第1および/または第2チェンバーを通過しさらに出口を通過して出るように構成され、第1および第2チェンバーを通る蒸気および/またはエアロゾルの少なくとも1つの相対流量は使用中に変化することを特徴とする請求項8記載のカートリッジ。
【請求項10】
使用時第2チェンバーを通る流体の初期の流量は実質的にゼロであり、および/または第1チェンバーを通る流体の最終的な流量は実質的にゼロであることを特徴とする請求項8または9記載のカートリッジ。
【請求項11】
初期には第2チェンバーを流れる流体をブロックする分解可能な材料をさらに含み、この分解可能な材料はそれが使用中に崩壊するように選択されることを特徴とする請求項8乃至10いずれか1項記載のカートリッジ。
【請求項12】
第1チェンバー内の組成物の初期の平均粒径は第2チェンバー内の組成物の初期の平均粒径より大きいことを特徴とする請求項8乃至11いずれか1項記載のカートリッジ。
【請求項13】
メッシュがチェンバーの少なくとも1つに設けられ、そのチェンバー内の吸引抵抗を調節することを特徴とする請求項8乃至12いずれか1項記載のカートリッジ。
【請求項14】
第1チェンバーに入った第1の組成物と第2チェンバーに入った第2の組成物を含むポッドであって、
請求項1乃至7いずれか1項記載の装置に使用するために構成されているポッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸引可能な媒体の発生装置、吸引可能な媒体の発生装置に使用するカートリッジ、吸引媒体を発生させる方法、キットおよびタバコ組成物ポッドに関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。これらの種の喫煙品の代替え品に吸引可能な媒体を形成するために燃焼せずに化合物を放出するものがある。
【0003】
そのような製品としては電子タバコハイブリッド装置としても知られている電子タバコ/非燃焼加熱ハイブリッド装置が挙げられる。これらのハイブリッド装置は加熱することによって気化されて吸引可能な蒸気またはエアロゾルを製する液体を含む。この液体はグリセリンおよび場合によってはニコチンなどの香味料および/またはエアロゾル発生物質を含んでもよい。蒸気またはエアロゾルは装置内の材料を通過し、基材の1つ以上の成分を同伴し、吸引可能な媒体を製する。基材は、例えばタバコ、非タバコ製品またはニコチンを含むまたは含まないブレンドミックスなどの混合物であってもよい。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で説明する一部の実施態様では本発明は、吸引可能な媒体の発生装置を提供し、この装置は、
液体を保持するための容器と、
容器に保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
第1タバコ組成物を含む第1チェンバーと、
第2タバコ組成物を含む第2チェンバーと、
出口とを含み、
前記装置は、(i)蒸気および/またはエアロゾルの形体の揮発させた液体と(ii)前記タバコ組成物の内の少なくとも1つの1つ以上の成分とを含む吸引可能な媒体が、使用時に出口を通過して出るように構成され、かつ、第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が使用中に変化するように構成されている。
【0005】
本明細書で説明する装置は電子タバコハイブリッド装置と言ってもよい。
【0006】
また本発明は第1の容器に入った揮発性の液体と、第1チェンバーに入った第1のタバコ組成物と、第2チェンバーに入った第2のタバコ組成物とを含む吸引可能な媒体の発生装置に使用するカートリッジを提供し、このカートリッジは装置での使用時に第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が徐々に変化するように構成されている。
【0007】
好適にはカートリッジは、本明細書で説明する吸引可能な媒体の発生装置の使用に適している。
【0008】
また本発明は第1チェンバーに入った第1のタバコ組成物と第2チェンバーに入った第2のタバコ組成物を含むタバコ組成物ポッドも提供し、
タバコ組成物ポッドは、吸引可能な媒体の発生装置に使用するために構成され、装置は第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が使用中に変化するようになっている。
【0009】
場合によってはポッドは装置に装着された際に第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が使用中に変化するように構成されている。
【0010】
好適にはタバコ組成物ポッドは、本明細書で説明する吸引可能な媒体の発生装置に使用するようになっている。
【0011】
また本発明はキットを提供し、このキットは、
(i) 揮発性の液体を含む液体ポッドと、
(ii) 第1チェンバーに入った第1タバコ組成物と第2チェンバーに入った第2タバコ
組成物を含むタバコ組成物ポッドとを含み、
液体およびタバコ組成物ポッドは吸引可能な媒体の発生装置に使用するように構成され、装置は使用時に吸引可能な媒体が発生するようになっており、媒体は(i)蒸気および/またはエアロゾルの形体で液体ポッドから揮発した液体と(ii)タバコ組成物の1つ以上の成分を含み、装置は第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が使用中に変化するようになっている。
【0012】
また本発明は、液体を保持する容器と、液体を揮発させるためのヒーターと、第1タバコ組成物を含む第1チェンバーと、第2タバコ組成物を含む第2チェンバーと、出口とを含む装置を使用する吸引可能な媒体の発生方法を提供し、この方法は、
容器に保持された液体を揮発させることと、
(a)蒸気またはエアロゾルの少なくとも一方の形体で揮発させた液体と(b)タバコ組成物の少なくとも1つの1つ以上の成分とを含む吸引可能な媒体を形成することと、
この吸引可能な媒体を出口から通して出すこととを含み、
前記方法はさらに使用時に第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量を変えることを含む。
【0013】
また本発明は吸引可能な媒体の発生装置からニコチンを持続放出する方法を提供し、この装置は、
液体を保持するための容器と、
容器に保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
第1タバコ組成物を含む第1チェンバーと、
第2タバコ組成物を含む第2チェンバーと、
出口とを含み、
前記装置は、(i)蒸気および/またはエアロゾルの形体の揮発させた液体と(ii)前記タバコ組成物の内の少なくとも1つの1つ以上の成分とを含む吸引可能な媒体が使用時に出口を通過して出るように構成され、かつ、第1および第2チェンバーを流れる流体の相対流量が使用中に変化するように構成されている。
【0014】
場合によっては装置、カートリッジまたはタバコ組成物ポッドは、使用時にヒーターによって揮発させた液体が蒸気またはエアロゾルの少なくとも一方の形体でタバコ組成物を通過して、これによりタバコ組成物から1つ以上の成分を同伴して、出口を通過して出る吸引可能な媒体を製するように構成され、第1および第2チェンバーを通る蒸気および/またはエアロゾルの少なくとも1つの相対的な流量は使用中に変化する。
【0015】
互換性があるという範囲内で本発明の一態様に関して説明した特徴はありとあらゆる他の態様と組み合わせて明確に開示されている。例えば、装置、カートリッジ、タバコ組成物ポッドまたはキットに関して説明した特徴は、装置、カートリッジ、タバコ組成物ポッドおよびキットのそれ以外の他方のそれぞれと組み合わせて明確に開示されている。具体的にはタバコ組成物、揮発性の液体および本明細書で説明した使用時に第1および第2チェンバーを通過する際の相対的な流量を変える機構は、本発明の装置、カートリッジ、タバコポッドおよびキットの実施態様と組み合わせて明確に開示されている。同様に装置に関して説明する特徴は本発明の方法の態様と組み合わせておよびその逆と組み合わせて明確に開示されている。
【0016】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して単に一例として挙げられる本発明の好ましい実施態様の以下の説明から明らかになる。
【0017】
本発明による吸引可能な媒体の発生装置、カートリッジの例を添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】吸引可能な媒体の発生装置に使用するタバコ組成物ポッドの一例の略式断面図である。
【
図1B】吸引可能な媒体の発生装置に使用した後の同じ例のタバコ組成物ポッドの略式断面図である。
【
図1C】吸引可能な媒体の発生装置の例の略式長手方向断面図である。
【
図2】吸引可能な媒体の発生装置の別の例の略式長手方向断面図である。
【
図3】吸引可能な媒体の発生装置の別の例の略式長手方向断面図である。
【
図4】液体容器および固体材料用の一体容器を有するカートリッジの一例の略式長手方向断面図である。
【
図5】液体容器および固形材料用の取り外し可能な容器を有するカートリッジの一例の略式長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、パフ毎にハイブリッド装置からのニコチン送出特性を向上させることに関する。本発明者は従来の装置でニコチンを消費期間の初期に急速に揮発させることを成し遂げ、ニコチンの大部分が消費期間において早期にユーザーに送出され、パフ毎にニコチンが著しく減少することが観察されている。特にpH処理されたニコチンを従来の装置に含ませてもよく(pH処理はニコチン塩を形成する)、pH処理はニコチンを加熱によってより簡単に揮発させるようにニコチンを遊離させる。しかしながら、このようなpH処理されたタバコは特に急速に揮発化しやすく、結果としてパフ毎に特にニコチン送出量が大幅に減少することになる。
【0020】
本発明はより一定したニコチン送出量特性を提供する。特に本発明はニコチンがpH処理されたより一定したニコチン送出特性を提供する。
【0021】
本発明者等はハイブリッド装置に少なくとも2つのタバコ組成物を供することで、一様のニコチン送出が受動的または能動的手段を介して使用時に各タバコ組成物を通過する流れの流体流量を変えることによって達成することができることを発見した。ニコチンなどの揮発性タバコ成分は使用時に通過する流体に同伴され、初期の相対的流体流量が速いほうの第1タバコ組成物からの揮発性物質が最初にユーザーへ送出され、第2タバコ組成物からの揮発性物質の減少が制限される。従って、第2タバコ組成物からの揮発性物質は保持され、後でユーザーへ送出され、流体の相対流量が変化すると、送出される揮発性物質がより大きな割合で第2タバコ組成物から発生する。
【0022】
場合によっては本発明の装置は、2つ超のチェンバーを含んでもよく、それぞれがタバコ組成物を含む。例えば、本発明の装置は3つのチェンバー、4つのチェンバーまたは5つのチェンバーを含んでもよい。それぞれのチェンバーを流れる流体の相対流量は使用中変化する。
【0023】
場合によっては第2チェンバーを通る流体の初期の流量は実質的にゼロである。場合によっては第1チェンバーを流れる流体の最終的な流量は実質的にゼロである。
【0024】
場合によっては本発明の装置(またはカートリッジまたはタバコ組成物ポッド)は、第1または第2チェンバーを流れる流体を案内するように動作するバルブを含む。場合によってはバルブは第1チェンバーから第2チェンバーへと流れを迂回させるためにユーザーによって手動で作動させてもよい。場合によってはバルブは第1チェンバーから第2チェンバーへと流れを迂回させるために所定の時間が経過した後始動させてもよい。例えば、この所定の時間は加熱開始後の期間または最初のパフが始まった後の期間であってもよい。場合によってはバルブは第1チェンバーから第2チェンバーへと流れを迂回させるために所定の回数のパフの後始動させてもよい。
【0025】
場合によっては本発明の装置(またはカートリッジまたはタバコ組成物ポッド)は、初期には第2チェンバーを流れる流体をブロックする分解可能な材料を含み、この分解可能な材料はそれが使用中に崩壊するように選択される。例えば、分解可能な材料はそれが使用中に晒される熱および/または湿度条件に応じて崩壊してもよい。例えば、その放出が温度で開始される場合、分解可能な材料は室温を超えるが使用時に到達する最高温度またはそれ以下で溶ける、溶解する、分解する、反応する、劣化する、膨張するまたは変形するものであってもよい。その放出が湿気条件によって開始される(例えば、揮発性液から形成される蒸気またはエアロゾルとの接触によって)場合、その放出は蒸気/エアロゾルと分解可能な材料との物理的および/または化学的反応によって行われてもよい。好適な分解可能な材料としては多糖類、セルロース系材料、ゼラチン類、ゴム、ゲル、ワックスおよびそれらの混合物が挙げられる。場合によっては分解可能な材料は、スクロース、アルギン酸塩類、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル類、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、アカシアゴム、グアーゴム、マルメロ種子ゴム、キサンタンガゴム、寒天ゲル、アガロースゲル、カラギーナン、フロイダン、ファーセレラン、メンソールおよびカルナウバワックスの内の1つ以上から選択される。分解可能な材料は、例えば50℃超、好適には60℃、70℃、80℃または90℃超で分解してもよい。この分解可能な材料は好適には室温または周囲温度超で分解してもよい。
【0026】
場合によっては本発明の装置(またはカートリッジまたはタバコ組成物ポッド)は、第1チェンバーに入った第1タバコ組成物と第2チェンバーに入った第2タバコ組成物とを含み、第1チェンバー内のタバコ組成物の初期の平均粒径は第2チェンバー内のタバコ組成物の初期の平均粒径より大きい。そのような場合には、吸引の際、蒸気/気体/エアロゾルの大半は、吸引抵抗の小さい場所がある第1チェンバー(大きな粒子を含む)を介して最初に引き込まれる。時間が経つにつれて大きな粒子が縮合物(水などの)を吸収し、そして膨張し、徐々に流れ抵抗を大きくし、その結果第2チェンバーを通過する蒸気/気体/エアロゾルの割合を大きくする。最終的には大きな粒子は第2チェンバー(小さいタバコ粒子を含む)の流れ抵抗が小さくなり、吸引されるタバコ成分の大半が第2タバコ組成物から派生する程度に膨らむ。
【0027】
場合によっては本発明の装置(またはカートリッジまたはタバコ組成物ポッド)は、チェンバーの少なくとも1つにメッシュを含み、このメッシュはそのチェンバー内の吸引抵抗を調節する。
【0028】
例えば場合によってはそのメッシュの大きさは、そのチェンバーを通る初期吸引抵抗がメッシュによって設定され、他のチェンバーを通る際の初期吸引抵抗より大きくなるように選択される。そのような場合には、吸入時に蒸気/気体/エアロゾルは流れ抵抗が小さい場所がある第1チェンバーを介して最初に引き込まれる。時間が経つにつれてタバコ粒子がその第1チェンバーで水分を吸収し、そして膨張し、徐々に流れ抵抗を大きくし、その結果、第2チェンバーを通過する蒸気/気体/エアロゾルの割合を大きくする。最終的には粒子は第2チェンバーの流れ抵抗が小さくなり、吸引されるタバコ成分の大半が第2タバコ組成物から派生する程度に膨らむ。
【0029】
別の例ではメッシュの大きさは、そのチェンバー内のタバコ粒子が縮合物(水分などの)を吸収し、膨張した際にメッシュが塞がれるように選択してもよい。これにより流れ抵抗を大きくし、結果的に他のチェンバーを通過する蒸気/気体/エアロゾルの割合を大きくする。
【0030】
場合によっては本発明の装置は、独立した流体流路を含んでもよく、それぞれが容器からタバコ組成物を含むチェンバーへと続いている。流体はチェンバーから芯によって各流路内を通り、芯を通過する流体の相対的流量は時間が経つにつれて変化し、これにより対応するチェンバーを通過する流体の流量を変化させる。例えば、第1の芯は第2の芯より早い初期流量を有するが、第2の芯はそれが使用時により長く液体と芯接触するように容器内に位置する。
【0031】
場合によっては本発明の装置は液体を含む2つ以上の容器を含んでもよい。各容器はタバコ組成物を含む単独の容器に個別に接続されてもよく、所定の時間の後、第1容器からの液体の揮発を終わらせ、第2容器からの液体の揮発を開始してもよい。これは第1チェンバーからの流体の流れを第2チェンバーへと変える。そのような場合には、揮発性の液体はそれぞれの容器で異なってもよく、同じであってもよい。液体は同じ加熱手段または異なる加熱手段で加熱してもよい。
【0032】
タバコ組成物を含むチェンバーは、あらゆる好適な構造に構成してもよい。例えば、チェンバーは並列構成に配置してもよい。別の例では第1チェンバーは、その外側周囲に第2チェンバーが配置された中央チェンバーであってもよい。
【0033】
場合によっては第1および第2チェンバー内のタバコ組成物は、実質的に同じ組成を有してもよい。別の場合では第1および第2チェンバー内のタバコ組成物は、異なる組成を有してもよい。場合によっては第1および第2チェンバー内のタバコ組成物は、実質的に同じ化学組成を有してもよい。別の場合では、第1および第2チェンバー内のタバコ組成物は異なる化学組成を有してもよい。これらの組成物は、例えば風味または強度が時間が経つにつれて変化する所望のパフ特性を供するために異なってもよい。
【0034】
場合によってはタバコ組成物の少なくとも1つは、pH処理されたタバコ組成物であってもよい。pH処理はニコチンを遊離させるために塩基で処理することを含む。場合によっては第1および第2タバコ組成物は、pH処理されたタバコ組成物である。
【0035】
場合によってはタバコ組成物は、エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物を通過できるように多孔質であってもよい。従って、タバコ組成物の成分は、エアロゾル/蒸気がタバコ組成物を通過する際にエアロゾル/蒸気に効率よく同伴される。
【0036】
各タバコ組成物は1つ以上のタバコ材を含んでもよい。本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は、粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しタバコ、タバコ葉柄、再生タバコ、凝集タバコ、球形化タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0037】
タバコ材を製するために使用されるタバコは、ヴァージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエンタルを含む単独グレードまたはブレンド、刻まれたクズまたは葉全体などのあらゆる好適なタバコであってもよい。またタバコ粒子「微粉末」またはダスト、膨張タバコ、葉柄、膨張葉柄および裁断圧延葉柄などの他の処理された葉柄材であってもよい。タバコ材は粉タバコまたは再生タバコ材であってもよい。再生タバコ材はタバコ繊維であってもよく、キャスティング、タバコ抽出物を後で追加するフォードリニア系製紙法または押し出しによって形成してもよい。
【0038】
各タバコ組成物は追加で香味料および/またはエアロゾル発生剤を含んでもよい。
【0039】
各タバコ組成物は、追加で転化糖、糖蜜、甘蔗糖、蜂蜜、ココア、甘草、グリセリンおよびプロピレングリコールなどのポリオールおよびリンゴ酸などの酸類などの1つ以上のケーシングを含む。
【0040】
本発明の装置は揮発性の液体を保持するための容器を含む。場合によっては本発明の装置は揮発性の液体を保持する容器を含む。好適な液体は電子タバコに従来から使用されているものが挙げられる。場合によっては揮発性の液体は、ニコチンおよび/または香味料および/またはプロピレングリコールおよび/またはグリセリンなどのエアロゾル発生剤を含んでもよい。液体は通常約150~250℃で蒸発する。
【0041】
本発明の一部の例による装置は、使用時にヒーターによって揮発させた液体が蒸気またはエアロゾルの少なくとも一方の形体でタバコ組成物を通過し、これによりタバコ組成物からの1つ以上の成分を同伴し、吸引可能な媒体を製し、これは出口を通って出る。
【0042】
他の例では、液体容器から流れ経路は、吸引可能な媒体を形成するためにタバコ組成物から延びた別の流れ経路と組み合わされてもよい。言い換えれば一部の装置では揮発した液体はタバコ組成物を保持したチェンバーを通過しない。
【0043】
場合によっては本発明の装置は、タバコの成分を揮発させて第1のエアロゾルおよび/または蒸気を形成するためにタバコ組成物を加熱するための手段を含む。液体は第2の蒸気および/またはエアロゾルを形成するために揮発させてもよく、これは吸引可能な媒体を形成するために第1のエアロゾルおよび/または蒸気と組み合わせてもよい。場合によっては1つのヒーターが液体とタバコ組成物の両方を加熱してもよい。場合によっては本発明の装置は、ヒーターが液体組成物だけを直接加熱し、タバコ組成物は揮発した液体から形成された蒸気/エアロゾルに伴われる暖かさによって加熱されるように(これにより次に蒸気/エアロゾル流に同伴されるタバコ組成物の成分を揮発させる)構成してもよい。
【0044】
ある実施態様では本発明の装置はヒーターの下流であってチェンバーの上流にクーラーまたは冷却領域を含んでもよく、このクーラーまたは冷却領域は揮発した液体を冷まして液滴からなるエアロゾルを形成するために配置され、このエアロゾルは使用時にチェンバー内のタバコ組成物を通過する。クーラーは実際に熱交換器として作用するように構成され、蒸気からの熱を回収することができる。回収された熱は、例えばタバコ組成物を予備加熱するおよび/または液体の加熱の補助に使用することができる。
【0045】
ある実施態様では本発明の装置はチェンバー内のタバコ組成物を加熱するための第2ヒーターを含んでもよい。これによりタバコ組成物がヒーターによって加熱することができ、タバコ組成物からの成分の放出を促進させ、任意に加熱された液体に使用される温度を低くすることができる。
【0046】
ある実施態様では本発明の装置はバッテリーで作動する。
【0047】
ある実施態様では該または各ヒーターは電気抵抗性ヒーターである。
【0048】
ある実施態様では液体容器は取り外し可能である。液体容器はポット(一部の実施態様では例えば環状であってもよい)などおよび/または脱脂綿の形状であってもよい。液体を含む容器全体を実際には使用後に全体的に交換される使い捨て物品としてもよい。別例として、ユーザーが装置から液体容器を取り外し、使用済みの液体を交換するまたは容器に液体をつぎ足す、そして容器を装置に戻すような構成であってもよい。
【0049】
場合によっては液体容器は装置から取り外しできなくてもよい。このような実施態様ではユーザーは使用後必要に応じて単に使用済みの液体を交換するまたは容器に液体をつぎ足すだけでもよい。
【0050】
場合によっては液体容器とチェンバーは一体ユニットである。場合によってはこの一体ユニットは装置から取り外せるカートリッジである。
【0051】
場合によってはチェンバーは装置から取り外せる。チェンバーは、例えば使用前にタバコ組成物を含むカートリッジまたはポッドの形体であってもよい。タバコ組成物を含むチェンバーは、実際には使用後に全体的に交換される使い捨て物品であってもよい。別例として、ユーザーが一方または両方のチェンバーを装置から取り外し、一方または両方のチェンバーの使用済み材料を交換し、次に一方または両方のチェンバーを装置に戻すように構成してもよい。
【0052】
本発明の一部の実施態様による吸引可能な媒体を発生させるカートリッジ、タバコ組成物および装置を添付図面を参照して説明する。
【0053】
図1Aおよび1Bを参照すると吸引可能な媒体の発生装置に使用するためのタバコ組成物ポッドの一例が示されている。ポッドは2つのチェンバー13a、13bを含み、それぞれがタバコ組成物14a、14bを含む。最初に第1チェンバー13a内のタバコ組成物14aは、第2チェンバー13b内の第2タバコ組成物14bより大きな平均粒径を有する。その結果として、第1チェンバー13aの初期の吸引抵抗(RTD)は、第2チェンバー13bより小さく、従って、第1チェンバー13aを通る最初の流体流A1は、第2チェンバー内の流れA2より多く流れる。
図1Bに示すように時間が経つにつれてタバコ組成物粒子は膨らみ、
図1Bでは第1チェンバー13aのタバコ組成物14aが第1チェンバー13aのRTDが第2チェンバー13bより大きくなる程度に膨らんでおり、従って、流体は第2チェンバー13bを通って多く流れる(A2>A1)。
【0054】
図1Cを参照すると
図1Aおよび1Bに示した型のタバコ組成物ポッドが組み込まれた吸引可能な媒体の発生装置1の例が示されている。大筋において、装置1は液体を揮発させ、蒸気またはエアロゾルを形成し、これは材料を通過してその材料から派生する1つ以上の成分を含有する吸引可能な媒体を製する。
【0055】
この点に関し、第1に注目すべきことは一般に蒸気はその臨界温度より低い温度で、気相の物質であり、これは例えば蒸気はその温度を下げずに圧力を上げることによって凝縮されて液体になり得ることを意味する。一方、一般にエアロゾルは、空気または別の気体中で微細固体粒子または液滴のコロイドである。「コロイド」は微視的に分散した不溶粒子が別の物質の全体に懸濁されている物質である。
【0056】
再度
図1を参照するとこの例の装置1は、ほぼ中空の円筒状の外方ハウジング2を有する。ハウジング2は開口端部3を有する。この例では管状のマウスピース4が開口端部3に設けられている。この例のマウスピース4は、ユーザーがハウジング2から取り外すことができる。O-リングまたは他のシール部材5がハウジング2内でのマウスピース4の封止の補助をしている。ハウジング2の他端6または他端の方にあるのは以下にさらに述べるように装置1の種々の部材に給電するためのバッテリー7である。バッテリー7は充電可能なバッテリーまたは使い捨てバッテリーであってもよい。またコントローラー8がハウジング2に以下にさらに述べるように装置1の種々の部材の稼働を制御するために設けられている。
【0057】
ハウジング2は液体10を保持するまたは含むための容器9を有する。種々の異なる形体を容器9に使用してもよい。
図1の例では容器9は開口端部3と他端6の間でハウジング2に設けられた環状のチェンバー9の形体である。この特定の例ではハウジング2は2つの部分、即ち開口端部3の方にある第1部分2aと他端6の方にある第2端部2bからなる。ハウジング2の第1および第2部分2a、2bは、ねじ山、バイオネット嵌めなどによって互いに接続してもよい。使用の際、ユーザーはハウジング2の第1および第2部分2a、2bを離して、必要に応じて液体10を補充または交換できる。これとは別にマウスピース4を外して容器に触れられるようにすることも可能である。しかしながら、当然のことながら他の構成も可能である。例えば、液体10をハウジング2から全体的に取り外すことができる個別の環状のポット状容器に設けてもよい。このような個別の容器は、ユーザーが液体10を含む新しい容器をハウジング2に嵌めることで液体10を交換できるように使い捨てであってもよい。あるいはこのような容器を再使用可能にしてもよい。このような場合ユーザーは、容器がハウジング2から取り外されている間に容器内の液体10を補充または交換して、この補充された容器をハウジングに戻してもよい。当然のことながらハウジング2は、2つの部分から構成される必要はなく、ユーザーが触れることができるようにする他の構成、例えばその場で補充できるようにしてもよい。
【0058】
ヒーター11はハウジング2のほぼ中央、即ちこの例ではハウジングの長さと幅に沿って中央に設けられている。この例ではヒーター11は、バッテリー7によって給電され、従ってバッテリー7に電気的に接続されている。ヒーター11は、例えばニクロム抵抗性ヒーター、セラミックヒーターなどを含む電気抵抗性ヒーターであってもよい。ヒーター11は、例えばコイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、同様に多層構造であってもよい)、フィルムヒーターなどであってもよい。非電気的加熱装置などの他の加熱装置を使用してもよい。
【0059】
ヒーター11は液体10を揮発させるために設けられている。図示の例では環状の芯12がヒーター11を囲み、ヒーター11と(熱的に)接触している。環状の芯12の最外面は、液体容器9に含まれる液体10と接触する。芯12は一般的に吸収材であり、毛管作用により液体容器9から液体10を吸い込むように作用する。芯12は、好ましくは不織であり、例えばコットンまたはウール材料等または例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレンなどの合成材料であってもよい。これとは別に芯はセラミックまたは金属材料であってもよい。これについては後でより詳しく説明するが、ここで注目すべきは使用の際、芯によって吸い込まれる液体10は、ヒーター11によって加熱されるということである。液体10は、揮発させて液滴のエアロゾルを製してもよく、充分に加熱して蒸気を製してもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯12を出て、ユーザーのマウスピース4での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース4の方に移動する。ヒーター11と芯12は、単独の効果的に一体化された場合によっては「アトマイザー」と称されるアイテムとして供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0060】
ハウジング2は、装置1内にタバコ組成物14a、14bを保持するまたは含む2つのチェンバー13a、13bをさらに含む。使用時にはユーザーは、マウスピース4を取り外すおよび/またはハウジング2の2つの部分2a、2bを離すことによってハウジング2の開口端部3を介してタバコ組成物14a、14bを交換または補充するためにチェンバー13a、13bに触れることができる。種々の異なる形状をチェンバー13a、13bに使用してもよい。例えば、チェンバー13a、13bは、それぞれ両端が完全に開口し、タバコ組成物14a、14bを含む管であってもよい。別の例としてチェンバー13a、13bは、それぞれ蒸気またはエアロゾルが通過できる孔を有する1つ以上の端部壁を有する(
図1Aおよび1Bに示すように)管であってもよい。チェンバー13a、13bは、ユーザーがタバコ組成物14a、14bを取り除き、交換する間、ハウジング2内のその位置に留まってもよい。これとは別にタバコ組成物14a、14bを含むチェンバー13a、13bは、使用時にはハウジング2にまとめて挿入され、ハウジングから取り外される別々の物であってもよい。この種の取り外し可能なチェンバー13a、13bは、ユーザーが新鮮なタバコ組成物を含む新しいチェンバー13a、13bをハウジング2に嵌めることによってタバコ組成物14a、14bを交換できるように使い捨てであってもよい。別例としてチェンバー13a、13bは、繰り返し使用してもよい。このような場合ユーザーはチェンバーをハウジング2から取り外している間にチェンバー13a、13bのタバコ組成物14a、14bを交換して、次にその充填されたチェンバー13をハウジング2に戻してもよい。さらに別の例ではチェンバー13a、13bはハウジング2の内部に設けられ、タバコ組成物を所定の位置に保持するクリップまたはそのようなものを含んでもよい。一部の例ではタバコ組成物は単にそれらの対応するチェンバー13a、13b内に滑り嵌めされる。さらに別の例として液体10を含む容器9は、それ自体がタバコ組成物14a、14bを支持または支えるために配置されてもよい。例えば、容器9はタバコ組成物14a、14bを所定の位置に収容および保持するための1つ以上のクリップまたは管を有してもよい。液体10を含むそしてタバコ組成物を収容するためのこのような2つの機能を有する容器9/チェンバーまたは受け部13a、13bは、カートリッジまたはそのようなものの形状であってもよく、使い捨ての物品であってもよく、繰り返し使用してもよく、液体10とタバコ組成物14a、14bは、ユーザーによって必要に応じて交換または継ぎ足される。場合によってはそれは充分な液体が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々タバコ組成物14a、14bを継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。液体10が消費されると、ユーザーはその2つの機能を有する容器9/受け部13a、13bを廃棄し、新しい物を使用する。同様に充分なタバコ組成物が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々液体10を継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。タバコ組成物が消費されると、ユーザーはその2つの機能を有する容器9/受け部13a、13bを廃棄し、新しい物を使用する。2つの機能を持った容器9/受け部の具体例については以下に述べる。
【0061】
タバコ組成物14a、14bは、エアロゾルまたは蒸気が液体10から製せられる所の下流でかつハウジング2の開口端部3とマウスピース4の上流でハウジング2内に位置する。この特定の例ではタバコ組成物14a、14bはハウジング2の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体10から製せられるエアロゾルまたは蒸気は芯12を出て矢印Aで示すようにマウスピースでのユーザーの吸い込みの作用によってタバコ組成物14a、14bの方へと移動する。この特定の実施態様ではタバコ組成物は、エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物を通過し、次にハウジング2の開口端部3およびマウスピース4を通過するように多孔質である。エアロゾルまたは蒸気によって搬送される熱によってタバコ組成物からのニコチンおよび他の揮発性物質の揮発を増進させ、これらは通過するエアロゾル/蒸気に同伴される。タバコ組成物14a、14bを通る流れの相対流量は使用時に変化し、これは上記
図1Aおよび1Bに関して説明し、例示したもののような本明細書中で説明したいずれかの機構によるものであってもよい。
【0062】
一部の実施態様ではタバコ組成物14a、14bおよび/またはそれらのチェンバー13a、13bは、エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物全体を通って流れるようにタバコ組成物/チェンバーとハウジング2の内部との間に空隙ができないように配置される。
【0063】
好適には液体10は、装置1の電力消費を抑えるのに役立つように妥当な温度、好ましくは100~300℃の範囲、より好ましくは約150~250℃で揮発可能な液体である。好適な材料は電子タバコ装置に従来から使用されている、例えばプロピレングリコールおよびグリセロール(グリセリンとして知られている)などがある。
【0064】
タバコ組成物14a、14bは、液体10から製せられたエアロゾルまたは蒸気がそれら組成物を通過する際にエアロゾルまたは蒸気に風味を付与する。エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物14a、14b内および上を通過する際、熱くなったエアロゾルまたは蒸気はタバコにその感覚刺激特性を与える材料から有機物および他の化合物または成分を同伴し、よってエアロゾルまたは蒸気がマウスピース4へと移動する際にそれらに風味を付与する。
【0065】
装置1はユーザーにニコチンを提供する。ニコチンは液体で提供されてもよく、タバコ組成物から得られたものであってもよく、タバコ組成物のコーティングまたはそのようなものとして提供されてもよく、これらのあらゆる組み合わせとして提供されてもよい。同様に香味料をタバコ組成物および/または液体に添加してもよい。
【0066】
図1Cに示す例ではタバコ組成物から有機物および他の化合物または成分を発生させるために必要とされる装置1内のタバコ組成物14a、14bを加熱するための唯一の熱源は、液体10の加熱から製せられる熱いエアロゾルまたは蒸気である。
【0067】
図2を参照すると 吸引可能な媒体の発生装置の別の例が示されている。次の説明およ
び
図2では
図1A~1Cを参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが200が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。当然のことながら
図1A~1Cの例に関して上述した構成および別例などは
図2の例にも当てはまる。ここでも大筋において
図2の装置201は液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、これはタバコ組成物214a、214bを通過してタバコ組成物から派生する1つ以上の成分を含む吸引可能な媒体を製する。
【0068】
この例の装置201は、開口端部203と管状のマウスピース204を有するほぼ中空の円筒状の外方ハウジング202を有する。この例のマウスピース204はユーザーがハウジング202から取り外すことができ、O-リングまたは他のシール部材205がハウジング202内でのマウスピース204の封止の補助をしている。装置201の種々の部材に給電するためのバッテリー207とコントローラー208がハウジング202の他端206または他端の方に設けられている。この例のハウジング202は2つの部分からなり、第1部分202aは開口端部203の方であり、第2部分202bは他端206の方である。
【0069】
ハウジング202は液体210を保持するまたは含むための容器209を有する。容器209は
図1Cの例に関して上述した型のいずれであってもよい。ヒーター211が液体210を揮発させるためにハウジング202のほぼ中央(長手方向および幅方向において)に設けられている。この例ではヒーター211はバッテリー207によって給電され、従って、バッテリー207に電気的に接続されている。ヒーター211は電気抵抗性ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。ヒーター211は、例えばコイル状のワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、同様に多層構造であってもよい)、フィルムヒーターなどであってもよい。誘導加熱装置または非電気加熱装置などの他の加熱装置も使用してもよい。環状の芯212がヒーター211を囲み、ヒーター211と(熱)接触している。環状の芯212の最外面は液体容器209内の液体210と接触している。液体210は加熱され、液滴のエアロゾルを製するか、蒸気を製するために充分に加熱されてもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯212を出て、ユーザーのマウスピース204での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース204の方に移動する。ヒーター211と芯212は、単独の効果的に一体化されたアイテムとして供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0070】
ハウジング202は、2つのチェンバー213a、213bをさらに含み、これらは装置201内でタバコ組成物214a、214bを保持するまたは含む。チェンバー213a、213bは、
図1Cの例に関して上述した型のいずれであってもよい。タバコ組成物214a、214bは、エアロゾルまたは蒸気が液体210から製せられる所の下流でかつハウジング202の開口端部203とマウスピース204の上流でハウジング202内に位置する。この特定の例ではタバコ組成物214a、214bは、ハウジング202の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体210から製せられるエアロゾルまたは蒸気は芯212を出て矢印Aで示すようにマウスピース204でのユーザーの吸い込みの作用によってタバコ組成物の方へと移動する。特定の実施態様ではタバコ組成物214a、214bは、エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物を通過し、次にハウジング202の開口端部203およびマウスピース204を通過するように多孔質である。エアロゾルまたは蒸気によって搬送される熱によってタバコ組成物からのニコチンおよび他の揮発性物質を揮発させ、これらは通過するエアロゾル/蒸気に同伴される。タバコ組成物214a、214bを通る流れの相対流量は使用時に変化し、これは上記
図1Aおよび1Bに関して説明し、例示したもののような本明細書中で説明したいずれかの機構によるものであってもよい。
【0071】
一部の実施態様ではタバコ組成物214a、214bおよび/またはそれらのチェンバー213a、213bは、エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物全体を通って流れるようにタバコ組成物/チェンバーとハウジング202の内部との間に空隙ができないように配置される。エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物214a、214b内および上を通過する際、熱くなったエアロゾルまたは蒸気はタバコにその感覚刺激特性を与える材料から有機物および他の化合物または成分を同伴し、よってエアロゾルまたは蒸気がマウスピース204へと移動する際にそれらに風味を付与する。
【0072】
図2の例の装置201ではオーブンヒーターなどの第2ヒーター215がタバコ組成物214a、214bに熱接触した状態で設けられ、タバコ組成物を予備加熱するおよび/または装置201を使用している間タバコ組成物を付加的に加熱する。これは使用の際、蒸気またはエアロゾルがタバコ組成物を通過する際にタバコ組成物からの成分の放出を促進させる。タバコ組成物の望ましい加熱を達成するために加熱される液体の量は少なくなる。第2ヒーター215は、例えばバッテリー207によって給電される電気抵抗ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。ヒーター215は、例えばコイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、同様に多層構造であってもよい)、フィルムヒーターなどであってもよい。第2ヒーター215は、例えばバッテリー207によって給電される誘導ヒーターであってもよい。タバコ組成物214a、214bは、誘導加熱されやすい材料を含んでもよい。非電気的加熱装置などの他の加熱装置を第2ヒーター215に使用してもよい。
【0073】
ヒーター215はタバコ組成物214a、214bからニコチンまたは他の揮発性物質を揮発させてもよい。
【0074】
図2の装置201の例ではタバコ組成物を加熱するためのヒーター215は、タバコ組成物の外部に設けられ、タバコ組成物をタバコ組成物の外部からの熱伝導によって加熱する。この例のヒーター215は、ほぼ円筒状である。ヒーター215は、実際には装置201の一体部品であり、ハウジング202の一部として設けてもよい。これとは別にヒーター215は、タバコ組成物214a、214bを保持するまたは含むチェンバー213a、213bと一体に設けてもよい。この別例ではチェンバー213a、213bが使い捨ての場合、ヒーター215は、新鮮なタバコを有する新しいチェンバーがユーザーによって装置201に装填される際に交換される。
【0075】
ここで
図3を参照すると吸引可能な媒体の発生装置の別の例が示されている。次の説明および
図3では
図1Cを参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類
似する部品および特徴は、同じ符号を有するが300が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。当然のことながら
図1Cおよび
図2の例に関し上述した構成および代替えなどは
図3の例にも適用可能である。ここでも大筋において
図3の装置301は液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、これはタバコ組成物314a、314bを通過してタバコ組成物から派生する1つ以上の成分を含む吸引可能な媒体を製する。
【0076】
この例の装置301も開口端部303と管状のマウスピース304を有するほぼ中空の円筒状の外方ハウジング302を有する。O-リングまたは他のシール部材305がハウジング302内でのマウスピース304の封止の補助をしている。装置301の種々の部材に給電するためのバッテリー307とコントローラー308がハウジング302の他端306または他端の方に設けられている。この例のハウジング302は2つの部分からなり、第1部分302aは開口端部303の方であり、第2部分302bは他端306の方である。
【0077】
ハウジング302は液体310を保持するまたは含むための容器309を有する。容器309は
図1および2の例に関して上述した型のいずれであってもよい。ヒーター311が液体310を揮発させるためにハウジング302のほぼ中央に設けられている。ヒーター311は上述の型のいずれのものであってもよい。この例ではヒーター311は、バッテリー307によって給電され、従って、バッテリー307に電気的に接続されている。環状の芯312がヒーター311を囲み、ヒーター311と(熱)接触している。環状の芯312の最外面は液体容器309内の液体310と接触している。液体310は加熱され、液滴のエアロゾルを製するか、蒸気を製するために充分に加熱されてもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯312を出て、ユーザーのマウスピース304での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース304の方に移動する。ヒーター311と芯312は、単独の効果的に一体化されたアイテムとして供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0078】
ハウジング302は2つのチェンバー313a、313bをさらに含み、これらは装置301内でタバコ組成物314a、314bを保持するまたは含む。チェンバーは
図1Cおよび2の例に関して上述した型のいずれであってもよい。(
図3に示す例ではチェンバー313a、313bは端壁316を有する管の形状であり、この端壁は貫通孔317を有し、そこを蒸気またはエアロゾルが通過することができ、これは上記で一選択肢として言及している。)タバコ組成物314a、314bは、エアロゾルまたは蒸気が液体310から製せられる所の下流でかつハウジング302の開口端部303とマウスピース304の上流でハウジング302内に位置する。この特定の例では再び、タバコ組成物はハウジング302の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体310から製せられるエアロゾルまたは蒸気は、芯312を出て矢印Aで示すようにマウスピース304でのユーザーの吸い込みの作用によってタバコ組成物の方へと移動する。特定の実施態様ではタバコ組成物314a、314bはエアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物を通過し、次にハウジング302の開口端部303およびマウスピース304を通過するように多孔質である。エアロゾルまたは蒸気によって搬送される熱によってタバコ組成物からのニコチンおよび他の揮発性物質を揮発させ、これらは通過するエアロゾル/蒸気に同伴される。タバコ組成物314a、314bを通る流れの相対流量は使用時に変化し、これは上記
図1Aおよび1Bに関して説明し、例示したもののような本明細書中で説明したいずれかの機構によるものであってもよい。
【0079】
一部の実施態様では タバコ組成物および/またはそれらのチェンバーは、エアロゾル
または蒸気がタバコ組成物全体を通って流れるようにタバコ組成物/チェンバーとハウジング302の内部との間に空隙ができないように配置される。エアロゾルまたは蒸気がタバコ組成物内および上を通過する際、熱くなったエアロゾルまたは蒸気はタバコにその感覚刺激特性を与える材料から有機物および他の化合物または成分を同伴し、よってエアロゾルまたは蒸気がマウスピース304へと移動する際にそれらに風味を付与する。液体310を含む容器309は、それ自体がタバコ組成物を支持または支えるために配置されてもよい。
【0080】
図3の装置301の例では第2ヒーター318がタバコ組成物314a、314bを加熱するためにタバコ組成物に熱接触した状態で設けられ、使用の際に蒸気またはエアロゾルがタバコ組成物を通過する際にタバコ組成物から成分の放出を促進させる。第2ヒーター318は、例えばバッテリー307によって給電される電気抵抗ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。非電気加熱装置などの他の加熱装置を第2ヒーター318に使用してもよい。
【0081】
図3の例の装置301ではタバコ組成物314a、314bを加熱するためのヒーター318がタバコ組成物の内部に設けられており、タバコ組成物の内部からの熱伝導によってタバコ組成物を加熱する。この例のヒーター318は、一般にタバコ組成物の中央長手方向軸に沿って位置する円筒状ロッドの形体である。他の構成ではヒーター318は、コイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、同様に多層構造であってもよい)、フィルムヒーターなどであってもよい。タバコ組成物は、ほぼ管状であり、そうでなければヒーター318を受けるための内部開口部を有する。ヒーター318は、実際には装置301の一体部品であり、ハウジング302の一部として設けてもよい。この場合タバコ組成物314a、314bが装置301内に充填される際(例えば、タバコ組成物を含むチェンバー313a、313bが装置301に装填される際)、タバコ組成物は第2ヒーター318を囲む。これとは別にヒーター318はチェンバー313a、313bと一体に設けてもよい。この別例ではチェンバーが使い捨ての場合、ヒーター318は、新鮮な材料を有する新しいチェンバーがユーザーによって装置301に装填される際に交換される。
【0082】
別の例では複数の内部ヒーター318を設けてタバコ組成物をより効率的に加熱するようにしてもよい。別の例ではタバコ組成物は、1つ以上の外部ヒーター(
図2の例の第2ヒーター215のような)と1つ以上の内部ヒーター(
図3の例の第2ヒーター318のような)によって加熱してもよい。
【0083】
タバコ組成物を加熱するように構成された1つ以上のヒーター318は、タバコ組成物からニコチンまたは他の揮発性物質を揮発させてもよい。
【0084】
ここで
図4を参照すると液体602を含むための液体容器601とタバコ組成物604a、604b用の容器603a、603bを有するカートリッジ600の例の長手方向の断面が略式に示されている。この例では液体容器601とタバコ組成物容器603は、最初から一体に形成されるか、あるいは最初は2つまたは3つの部品で形成し、その後実質的に永久的に組み立てられるかのいずれかによって1つの一体部材として提供される。カートリッジ600は、液体602が液滴のエアロゾルを製するために揮発されるまたは蒸気を製するために充分に加熱されると、エアロゾルまたは蒸気の少なくとも一部、好ましくは全てまたはほぼ全てがタバコ組成物604a、604bを通過してこれらタバコ組成物から風味を捕捉するように構成されている。
【0085】
図4の例では液体容器601はカートリッジ600のほぼ中央に設けられている。図示の例の液体容器601は円錐台形状であるが、円錐状、円筒状などの異なる形状であってもよい。液体容器601は外方シェル605に囲まれており、このシェルは液体容器601の長さ方向外側で環状の流路606を画定し、液体容器601の一端から他端へと延びている。外方シェル605は、液体容器601の第1端部壁607を越えて延び、液体容器601の第1端部壁607を越えてチェンバー608を画定する。環状の流路606およびチェンバー608は、凹部をタバコ組成物604a、604bを含む2つの容器603a、603bに分割するように仕切られている。他の例では、タバコ組成物は容器603a、603bから仕切られているチェンバー608のみに設けられてもよく、環状の流路606は空である。チェンバー608は液体容器601の端部壁607から離れて位置する端部壁609によって閉じられている。端部壁609は外方シェル605の一部であってもよく、あるいは別個のプラスチックまたはゴム製キャップなどであってもよい。さらに別の例では環状の流路606は容器603a、603bを形成するための仕切られてもよく、タバコ組成物は流路606に設けられ、チェンバー608に含まれる材料はなく、よって、チェンバー608は省略してもよく、流路606は端部壁609で効果的に終結する。流路606および/またはチェンバー608は完全にタバコ組成物で満たされてもよく、あるいは材料の一部または一塊だけを含んでもよい。端部壁609は、多孔性であるおよび/またはユーザーによって吸引されるようにカートリッジ600からエアロゾルまたは蒸気が出られるようにする1つ以上の貫通孔610を有する。液体容器601と固体チェンバー603a、603bは、それぞれ硬質、水密かつ気密の材料、例えば金属、好適なプラスチックなどで形成してもよい。
【0086】
図4に示すカートリッジ600の例は、ヒーター611およびヒーター611と(熱)接触している芯612が設けられている。この例ではヒーター611と芯612は場合によっては「アトマイザー」と称される単独のユニットとして供される。この場合カートリッジ600がアトマイザーを含むと、そのようなカートリッジは「カトマイザー」と称される場合もある。ヒーター611の向きが略式に示されており、例えば、ヒーター611は、
図4に示すようにカートリッジ600の長手方向軸に平行ではなく、直行する長手方向軸を有するコイルを有してもよい。
【0087】
芯612は液体602と接触している。これは例えば芯612が液体容器601の第2端部壁613の貫通穴(図示せず)に挿入されることによって行ってもよい。これとは別にまたはこれに加えて第2端部壁613は、液体が液体容器を通過できるようにする多孔質部材(
図4に破線で略式に示すように)であってもよく、芯612は多孔性第2端部壁613と接触してもよい。第2端部壁613は、例えば多孔性セラミックディスクの形状であってもよい。この種の多孔性第2端部壁613は芯612への液体の流れを制御する役割を果たす。芯612は一般に吸収剤であり、毛管作用によって液体容器601から液体602を引き込む作用をする。芯612は好ましくは不織であり、例えばコットンまたはウールなどまたは例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレンなどを含む合成材料であってもよい。
【0088】
使用時、カートリッジ600はユーザーによって装置(図示せず)のバッテリーセクションに連結され、ヒーター611が給電できるようになっている。アトマイザーのヒーター611が給電されると(例えば、装置全体のボタンを操作することによってまたはそれ自体は知られている装置全体のパフ検知器によって引き起こされてもよい)、芯612によって液体容器601から引き込まれる液体602はヒーター611によって加熱されて液体を揮発させるまたは気化させる。ユーザー全体装置のマウスピースで吸い込みを行うと、蒸気またはエアロゾルが矢印Aで示すように液体容器601の長さの外側周囲の環状流路606とチェンバー608内に移動する。蒸気またはエアロゾルはタバコ組成物604a、604bから風味を捕捉する。タバコ組成物604a、604bを通る流れの相対流量は使用時に変化し、これは上記
図1Aおよび1Bに関して説明し、例示したもののような本明細書中で説明したいずれかの機構によるものであってもよい。
【0089】
エアロゾルまたは蒸気によって搬送される熱によってタバコ組成物からのニコチンおよび他の揮発性物質を揮発させ、これらは通過するエアロゾル/蒸気に同伴される。蒸気またはエアロゾルは、次に矢印Bで示すように端部壁609を介してカートリッジ600から出ることができる。任意に一方向バルブ614を設けて、蒸気またはエアロゾルがカートリッジから出るだけしかできず、ヒーター611または装置全体としての電子部品にバックフローできないようにしてもよい。
【0090】
ここで
図5を参照すると、カートリッジ700の別の例の略式長手方向断面図が示されており、これは液体702を含む液体容器701および仕切られたチェンバー708を画定する2つの容器703a、703bを有する。容器は、それぞれタバコ組成物704a、704bを保持する。次の説明および
図5において、
図4を参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが100が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。
【0091】
この例ではカートリッジ700の液体容器701とタバコ組成物容器703a、703bは別個の部品として提供され、これらは使用時に取り外し自在に互いに接続される。液体容器701とタバコ組成物容器703a、703bは、例えばクリップ留めまたは互いに取り外し自在に固定されてもよく、または例えばタバコ組成物容器は液体容器701に単に載せるまたは密な摩擦嵌めしてもよい。カートリッジ700は、液体702が液滴のエアロゾルを製するために揮発されるまたは蒸気を製するために充分に加熱されると、エアロゾルまたは蒸気の少なくとも一部、好ましくは全てまたはほぼ全てがタバコ組成物704a、704bを通過してこれらタバコ組成物から風味を捕捉するように構成されている。タバコ組成物704a、704bを通る流れの相対流量は使用時に変化し、これは上記
図1Aおよび1Bに関して説明し、例示したもののような本明細書中で説明したいずれかの機構によるものであってもよい。
【0092】
この例では液体容器701は外方シェル705に囲まれており、このシェルは液体容器701の長さ方向外側で環状の流路706を画定し、液体容器701の一端から他端へと延びている。外方シェル705は、液体容器701の第1端部壁707を越えて延び、端部壁709で終結する。端部壁709は別個のプラスチックまたはゴム製キャップなどであってもよい。端部壁709は多孔性でありおよび/または1つ以上の貫通孔710を有し、エアロゾルまたは蒸気が環状の流路706から出られるようになっている。一方向バルブ714を端部壁709の内側に設けて、蒸気またはエアロゾルがヒーター711および芯712から離れた端部で環状流路706から出るだけしかできず、ヒーター711または装置全体としての電子部品にバックフローできないようにしてもよい。タバコ組成物容器703a、703bは使用の際端部壁709に亘って配置され、端部壁709から出た蒸気またはエアロゾルがタバコ組成物容器内に移動するようになっている。タバコ組成物容器は出口開口部および/または多孔質端部壁715を有し、エアロゾルまたは蒸気がカートリッジ700を出て、ユーザーに吸引されるようになっている。
【0093】
使用時、カートリッジ700はユーザーによって装置(図示せず)のバッテリーセクションに連結され、ヒーター711が給電できるようになっている。アトマイザーのヒーター711が給電されると(例えば、装置全体のボタンを操作することによってまたはそれ自体は知られている装置全体のパフ検知器によって引き起こされてもよい)、芯712によって液体容器701から端部壁713を介して引き込まれる液体702がヒーター711によって加熱され、液体を揮発させるまたは蒸発させる。ユーザーが全体装置のマウスピースで吸い込みを行うと、蒸気またはエアロゾルが矢印Aで示すように液体容器701の長さの外側周囲の環状流路706内へ外方シェル705の端部壁709の方へと移動する。蒸気またはエアロゾルは、それから端部壁709を介して(一方向バルブがある場合それを介して)タバコ組成物容器703a、703bに移動し、そこでタバコ組成物704a、704bから風味を捕捉する。エアロゾルまたは蒸気によって搬送される熱によってタバコ組成物からのニコチンおよび他の揮発性物質を揮発させ、これらは通過するエアロゾル/蒸気に同伴される。蒸気またはエアロゾルは、次に矢印Bで示すようにタバコ組成物容器の端部壁715を介してカートリッジ700から出ることができる。
【0094】
図4および5に示す例は、特にカトマイザーがバッテリーセクション(図示せず)に典型的にはねじ山、バイオネット嵌めなどによって嵌装されるいわゆるモジュラーまたは「電子作動(e-go)」製品に使用するのに適している。カトマイザーは、全体的に通常は使用後に廃棄され、新しい交換用のカトマイザーが使用される。別例として必要に応じて時々ユーザーが液体を補充し、および/または固形材料を交換することも可能である。
【0095】
図4および5に示した例は、それ自体は知られている他の型の電子タバコハイブリッド装置との使用に簡単に適合される。例えば、一般に小型で従来の紙巻きタバコに類似する形状および外観を有するいわゆる「類似電子タバコ」または「紙巻きタバコ似」なる装置がある。このような装置では液体容器は、通常液体を保持するための例えばコットンからなるなんらかの詰め物材を含む。このような従来の装置のカートリッジまたはカトマイザーは、通常全体的に使い捨てであるが、本発明の実施態様を使用する例において液体を補充するおよび/または固体材料を交換することが可能になる。別例として一般に比較的多量の液体を保持するための大きな液体容器を有し、装置の多くの点でユーザーが調整できる進んだ機能を供するいわゆるタンク装置またはパーソナル気化器なるものがある。
【0096】
上述のカトマイザー装置のいずれかの別例として液体用のアトマイザー(即ち、ヒーターと芯)を液体および材料容器と別個に設けてもよい。アトマイザーは、例えばカートリッジが使用時ユーザーによって取り外し自在に嵌められる装置全体のバッテリーセクションの一部として供されてもよい。
【0097】
図4および5に関して上述した例のいずれかにおいて、タバコ組成物を「予備加熱」するためのタバコ組成物用ヒーターを設けてもよい。このヒーターはカートリッジの一部またはカートリッジが使用の際に嵌められる装置のバッテリーセクションの一部として設けてもよい。このタバコ組成物用のヒーターは、タバコ組成物のニコチンおよび他の揮発性物質を揮発させ、次にこれらは通過する蒸気/エアロゾルに同伴される。
【0098】
本明細書中では「エアロゾル発生剤」は、エアロゾルの発生を促進させる化合物または混合物である。エアロゾル発生剤は、気体の初期の気化および/または吸引可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。
【0099】
本明細書中では「吸引抵抗」は、22℃、101キロパスカル(760トール)で1秒当たり17.5ミリメートルの流量の試験のもと物体の全長に亘って空気を強制的に通過させるために必要とされる圧力を言う。吸引抵抗は、ISO 6565:201 1に従って測定される。
【0100】
本明細書中ではタバコチェンバーを通過する「流体」は、任意の液体および/または気体であってもよい。場合によっては流体はチェンバーを介して引き込まれ、次に揮発性液から発生したエアロゾルおよび/または蒸気と混ざる空気であってもよい。場合によっては流体は揮発性液から発生したエアロゾルおよび/または蒸気を含んでもよい。
【0101】
一般にあらゆる好適な1つ以上のエアロゾル発生剤を本発明のエアロゾル発生材に含有させてもよい。好適なエアロゾル発生剤としては、ソルビトール、グリセリンおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテト
ラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
本明細書中では「風味」および「香味料」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形態であってもよい。
【0103】
誤解を避けるために、本明細書で「含む(comprises)」が本発明または本発明の特徴
の定義に使用される場合、本発明または特徴が「含む(comprises)」の代わりに「から
実質的になる(consists essentially of)」または「からなる(consists of)」を使用して定義することができる実施態様も開示される。
【0104】
誤解を避けるために、本明細書で「第1」および「第2」なる用語が組成物/チェンバーに使用された場合、使用の順番の明確な開示はない。「第1」および「第2」は、単に異なる組成物またはチェンバーを表す手段として単に使用されている。1つのチェンバーまたは組成物に関して考察される特徴は、適宜各チェンバーまたは組成物に関して明確に開示されているものとする。
【0105】
上記の実施態様は本発明の説明に役立つ実例として理解されたい。本発明のさらなる実施態様が想定される。当然のことながら任意の1つの実施態様について説明したあらゆる特徴は単独または説明された他の特徴と組み合わせて使用してもよく、他の実施態様のいずれかの1つ以上の特徴または他の実施態様のいずれかのあらゆる組み合わせと組み合わせて使用してもよい。さらに上記で説明されていない同等物および修飾物も添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲を逸脱することなく採用することも可能である。
【0106】
ここで説明した種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。