(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ
(51)【国際特許分類】
E01B 3/38 20060101AFI20250430BHJP
【FI】
E01B3/38
(21)【出願番号】P 2020029249
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2022-09-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】599032349
【氏名又は名称】株式会社テス
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勉
(72)【発明者】
【氏名】池田 学
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 潔
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】有家 秀郎
【審判官】立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-214402号公報(JP,A)
【文献】特開2011-80294(JP,A)
【文献】特開2012-136854号公報(JP,A)
【文献】特開2013-36193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B1/00-26/00
E04B1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に伸びる一対のレールの下方にそれぞれ平行に配置され、前記第1方向に伸びる一対の縦梁と、
前記一対の縦梁の前記第1方向の両端部近傍のみから、上下方向および前記第1方向に交差する第2方向に突出する突起と、を有し、
前記突起は、前記一対の縦梁の前記第2方向の内側および外側の
両方に突出し、
複数の前記突起の前記第2方向の長さの和は、前記一対の縦梁の間隔の2倍より大きい、
バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ。
【請求項2】
前記一対の縦梁の上面における前記第2方向の両端角部に面取りが形成され、
前記突起は、前記面取りの下端部の位置以下に配置される、
請求項
1に記載のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ。
【請求項3】
前記一対の縦梁の前記第2方向の内側に配置され、前記一対の縦梁を前記第2方向に結合する継材を有し、
前記継材は、棒鋼で形成される、
請求項1
または2に記載のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ。
【請求項4】
前記突起の基端部における前記第1方向の長さは、前記突起の先端部における前記第1方向の長さと同等である、
請求項1から
3のいずれか1項に記載のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ。
【請求項5】
前記突起の基端部における前記第1方向の長さは、前記突起の先端部における前記第1方向の長さより大きい、
請求項1から
3のいずれか1項に記載のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギに関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト軌道の保守省力化等を目的として、バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギが実用化されている。ラダーマクラギとは、プレストレストコンクリート(PC)製の長尺な縦梁をレールに沿って配置し、一対の縦梁を鋼製の継材で繋いだ、はしご状のマクラギである。
【0003】
バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの縦梁の端部は、鉄道車両の輪重によりバラスト道床に沈下しやすい。そのため、ラダーマクラギの端部には、端部閉合梁が設けられている。端部閉合梁は、一対の縦梁に跨って配置される。端部閉合梁は、バラストに対するラダーマクラギの受圧面積を増やして、縦梁の端部の沈下を抑制する。
【0004】
端部閉合梁の基本構造は鉄筋コンクリート構造である。ただし、端部閉合梁のひび割れを防止するため、補助的にアンボンドPC鋼材によりプレストレス(ポストテンション式)が与えられている。端部閉合梁に関する施工方法は以下の通りである。最初に、同部位の型枠を組み立てて鉄筋を配置する。次に、表面をアンボンド処理したPC鋼材を所定位置に配置する。次に、PC鋼材を一次緊張させて弛みをとる。次に、コンクリートを打設して硬化させ、縦梁にプレストレスを付与する。次に、PC鋼材を二次緊張させ、端部閉合梁にプレストレスを付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、端部閉合梁にプレストレスを与える工程は煩雑であり、生産性が悪い。すなわち、ラダーマクラギの製造工数が多くなり、製造時間が長くなる。
端部閉合梁にプレストレスを与えても、端部閉合梁にひび割れが生じる場合がある。例えば、一対の縦梁に対して不均等な輪重が作用する場合に、端部閉合梁に過大な張力が作用して、ひび割れが生じる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ひび割れの発生を抑制することが可能であり、生産性を向上させることが可能な、バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギは、第1方向に伸びる一対のレールの下方に配置され、第1方向に伸びる一対の縦梁と、一対の縦梁の第1方向の端部近傍から、上下方向および第1方向に交差する第2方向に突出する突起と、を有する。突起は、一対の縦梁の第2方向の内側および外側のうち少なくとも一方に突出する。
突起は、一対の縦梁の間に跨って配置されない。そのため、一対の縦梁に対して不均等に輪重が作用しても、突起に過大な張力が作用しない。したがって、ひび割れの発生を抑制することができる。これに伴って、突起には一般的な鉄筋コンクリート構造が採用可能である。したがって、生産性を向上させることができる。
【0009】
突起は、一対の縦梁の第2方向の内側および外側の両方に突出してもよい。
これにより、ラダーマクラギの第1方向の端部におけるバラスト道床からの受圧面積が拡大される。そのため、突起の第2方向の突出量を大きくする必要がない。したがって、突起のひび割れが抑制される。
【0010】
突起は、一対の縦梁の第2方向の内側および外側のうち一方のみに突出してもよい。突起は、第1方向の長さが第2方向の長さより大きくてもよい。
これにより、一対の縦梁の第2方向の内側および外側のうち他方にスペースを設けることができる。また、ラダーマクラギの第1方向の端部におけるバラスト道床からの受圧面積が確保される。
【0011】
一対の縦梁の上面における第2方向の両端角部に面取りが形成されてもよい。突起は、面取りの下端部の位置以下に配置されてもよい。
これにより、突起の形成位置においても、縦梁の角部に面取りが形成される。したがって、縦梁の角部の欠けが抑制される。
【0012】
一対の縦梁の第2方向の内側に配置され、一対の縦梁を第2方向に結合する継材を有する。継材は、棒鋼で形成されてもよい。
棒鋼は安価であるため、ラダーマクラギの製造コストが抑制される。
【0013】
突起の基端部における第1方向の長さは、突起の先端部における第1方向の長さと同等であってもよい。
これにより、突起の第1方向の端面は、第1方向に対して垂直に配置される。そのため、突起は、縦梁に作用する第1方向の力に対して、縦抵抗力を発揮する。これにより、ラダーマクラギが第1方向にずれるのを抑制することができる。
【0014】
突起の基端部における第1方向の長さは、突起の先端部における第1方向の長さより大きくてもよい。
これにより、突起の基端部における断面係数が大きくなる。突起は片持ち梁であるが、基端部の断面係数が大きいので、ひび割れが抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明におけるバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギは、一対の縦梁の第2方向の内側および外側のうち少なくとも一方に突出する突起を有する。突起は、一対の縦梁の間に跨って配置されない。これにより、ひび割れの発生を抑制することができる。突起には一般的な鉄筋コンクリート構造が採用可能であり、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施形態のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの平面図。
【
図4】バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの正面図。
【
図5】実施形態の第1変形例のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの部分平面図。
【
図6】実施形態の第2変形例のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギを、図面を参照して説明する。
図1は、バラスト・ラダー軌道の斜視図である。バラスト・ラダー軌道1は、バラスト道床3の上に、バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ(以下、単に「ラダーマクラギ」と言う場合がある。)10を敷設した軌道である。ラダーマクラギ10は、レール5の直下に配置した、はしご状の縦マクラギである。レール5は、締結装置6によりラダーマクラギ10に固定される。
【0018】
本願において、直交座標系のZ方向、X方向およびY方向が以下のように定義される。Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。X方向(第1方向)は、レール5が伸びる方向である。Y方向(第2方向)は、Z方向およびX方向に直交する方向である。X方向およびY方向は、水平方向である。
【0019】
図2は、実施形態のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの平面図である。ラダーマクラギ10は、縦梁12と、継材14と、突起20と、を有する。ラダーマクラギ10は、一対の縦梁12a,12bを複数の継材14で剛結合することにより、はしご状に形成される。
【0020】
縦梁12は、X方向に伸びる。縦梁12は、プレストレストコンクリート(PC)により形成される。PCは、PC鋼材によりプレストレスを与えられたコンクリートである。一対の縦梁12a,12bが、Y方向に間隔を置いて平行に配置される。縦梁12の上面には、締結装置6(
図2参照)を取り付けるための取付穴16が形成される。取付穴16は、レール5(
図2参照)のY方向の両側に相当する位置に配置される。複数の取付穴16が、X方向に沿って等間隔で配置される。X方向における締結装置6および取付穴16の個数は、各図の例に限定されない。
【0021】
継材14は、鋼管や鋼棒等の鋼製部材等により形成される。例えば、継材14は、Y方向に伸びる直線状の異形棒鋼により形成される。例えば、異形棒鋼は、公称直径が41mmのD41である。継材14は、一対の縦梁12a,12bの間に配置される。継材14のY方向の両端部は、一対の縦梁12a,12bの内部に埋め込まれる。複数(
図2の例では3本)の継材14が、X方向に間隔を置いて平行に配置される。例えば、縦梁12のX方向の両端部の間に、複数の継材14が等間隔で配置される。継材14は、内部にモルタルを充填した鋼管により形成されてもよい。
【0022】
突起20は、縦梁12のX方向の端部において、バラスト道床3からの受圧面積を拡大する。突起20は、縦梁12のX方向の端部がバラスト道床3に沈下するのを抑制する。突起20は、沈下抑制部、張出部、拡幅部または突部などと称されてもよい。
突起20は、縦梁12のX方向の両端部の近傍に配置される。突起20は、縦梁12からY方向に突出する。突起20は、一対の縦梁12a,12bのY方向の内側および外側の両方に突出する。
【0023】
鉄道車両がバラスト・ラダー軌道1を走行するとき、縦梁12にZ方向の力(輪重)が作用する。従来の端部閉合梁90は、一対の縦梁12a,12bの間に跨って配置される。これに対して、突起20は、一対の縦梁12a,12bの間に跨って配置されない。そのため、一対の縦梁12a,12bに対して不均等にZ方向の力が作用する場合でも、突起20に対して過大な張力が作用しない。したがって、突起20にはひび割れが発生しにくい。これに伴って、ラダーマクラギ10の敷設後の保守管理が容易になる。
【0024】
図3は、
図2のP部の平面断面図である。突起20は、縦梁12からY方向に突出量Pyだけ突出する。例えば、突出量Pyは200mm程度である。突起20は片持ち梁であるが、突出量Pyが小さいため、ひび割れが発生しにくい。一対の縦梁12a,12bのY方向の外側に突出する一対の突起20の先端部間の距離が、ラダーマクラギ10の幅W(
図2参照)に相当する。ラダーマクラギ10の幅Wは、従来の横マクラギの長さと同等である。したがって、従来のバラスト道床3に対して、ラダーマクラギ10を敷設することができる。
【0025】
このように、突起20にはひび割れが発生しにくい。従来の端部閉合梁90にはプレストレスが与えられるのに対して、突起20は一般的な鉄筋コンクリート(RC)構造である。従来の端部閉合梁90の製造工程に必要であったPC鋼材の一次緊張および二次緊張の作業が、突起20の製造工程では不要である。したがって、ラダーマクラギ10の生産性が向上する。
【0026】
縦梁12の芯には、主筋12mおよびスターラップ12sが配置される。主筋12mは、PC鋼材で形成され、X方向に伸びる。スターラップ12sは、複数の主筋12mを囲むように配置される。縦梁12のX方向の端部には、スターラップ12sが高密度に配置される。
【0027】
突起20の配筋は、縦梁12のX方向端部の配筋との関係で制約を受ける。縦梁12のX方向の端部から突起20までの距離Eは、突起20の配筋が可能な範囲内での最短距離である。これにより、縦梁12のX方向の端部がバラスト道床3に沈下するのを抑制することができる。
【0028】
前述したように、鉄道車両がバラスト・ラダー軌道1を走行するとき、縦梁12にZ方向の力が作用する。縦梁12に作用するZ方向の力は、締結装置6が配置される取付穴16の位置において大きくなる。突起20は、縦梁12のX方向の端部における取付穴16の近傍に配置される。これにより、縦梁12のX方向の端部がバラスト道床3に沈下するのを抑制することができる。
【0029】
突起20のX方向の幅Pxは、突出量Pyと同等である。突出量Pyと幅Pxとの積が、突起20の底面の受圧面積である。突起20の突出量Pyおよび幅Pxが小さいので、1個の突起20の平面積は小さい。ラダーマクラギ10の敷設後にバラスト道床3のつき固め作業を行う場合でも、突起20はつき固め作業の妨げになりにくい。
【0030】
突起20の幅Pxは、端部閉合梁90の幅と同等である。ラダーマクラギ10が有する複数の突起20の受圧面積の和は、端部閉合梁90の受圧面積の和より大きい。これにより、縦梁12のX方向の端部がバラスト道床3に沈下するのを抑制することができる。これに伴って、突起20のY方向の突出量Pyを大きくする必要がないので、突起20のひび割れの発生が抑制される。
【0031】
突起20の基端部(縦梁12との接続部)におけるX方向の幅Px2は、突起20の先端部におけるX方向の幅Px1と同等である。突起20は、平面視において正方形状または長方形状である。突起20のX方向の端面22は、X方向に対して垂直に配置される。ラダーマクラギ10が有する複数の突起20のY方向長さの和は、端部閉合梁90のY方向長さの和より大きい。
【0032】
鉄道車両がバラスト・ラダー軌道1を走行するとき、縦梁12にはX方向の力も作用する。縦梁12にX方向の力が作用すると、ラダーマクラギ10がX方向にずれる可能性がある。突起20のX方向の端面22は、X方向に対して垂直に配置される。突起20のX方向の端面22は、縦梁12に作用するX方向の力に対して、縦抵抗力を発揮する。これにより、ラダーマクラギ10がX方向にずれるのを抑制することができる。
【0033】
図4は、バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの正面図である。縦梁12の上面におけるY方向の両端角部には、面取り13が形成される。面取り13により、縦梁12の角部の欠けが抑制される。突起20は、縦梁12の面取り13の下端部の位置以下に配置される。これにより、突起20の形成位置においても、縦梁12の角部に面取り13が形成される。突起20のZ方向の高さPzは、縦梁12のZ方向の高さBzより小さい。突起20の上面におけるY方向の先端角部にも、面取り23が形成される。
【0034】
以上に詳述されたように、実施形態のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ10は、一対の縦梁12a,12bと、突起20と、を有する。一対の縦梁12a,12bは、X方向に伸びる一対のレール5の下方に配置され、X方向に伸びる。突起20は、一対の縦梁12a,12bのX方向の端部近傍から、Y方向に突出する。突起20は、一対の縦梁12a,12bのY方向の内側および外側のうち少なくとも一方に突出する。
【0035】
突起20は、一対の縦梁12a,12bの間に跨って配置されない。一対の縦梁12a,12bに対して不均等にZ方向の力が作用する場合でも、突起20に過大な張力が作用しない。したがって、ひび割れの発生を抑制することができる。これに伴って、突起20には一般的な鉄筋コンクリート(RC)構造が採用可能である。したがって、生産性を向上させることができる。
【0036】
突起20は、一対の縦梁12a,12bのY方向の内側および外側の両方に突出する。
これにより、縦梁12のX方向の端部におけるバラスト道床3からの受圧面積が拡大される。そのため、突起20のY方向の突出量Pyを大きくする必要がない。したがって、突起20のひび割れの発生が抑制される。
【0037】
一対の縦梁12a,12bの上面におけるY方向の両端角部に面取り13が形成される。突起20は、面取り13の下端部の位置以下に配置される。
これにより、突起20の形成位置においても、縦梁12の角部に面取り13が形成される。したがって、縦梁12の角部の欠けが抑制される。
【0038】
一対の縦梁12a,12bのY方向の内側に配置され、一対の縦梁12a,12bをY方向に結合する継材14を有する。継材14は、棒鋼で形成される。
棒鋼は安価であるため、ラダーマクラギ10の製造コストが抑制される。
【0039】
突起20の基端部におけるX方向の幅Px2は、突起20の先端部におけるX方向の幅Px1と同等である。
これにより、突起20のX方向の端面22は、X方向に対して垂直に配置される。突起20のX方向の端面22は、縦梁12に作用するX方向の力に対して、縦抵抗力を発揮する。これにより、ラダーマクラギ10がX方向にずれるのを抑制することができる。
【0040】
(第1変形例)
図5は、実施形態の第1変形例のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの部分平面図である。第1変形例は、一対の縦梁12a,12bのY方向の外側のみに突起20Bが配置される点で、実施形態と相違する。実施形態と同様である点についての第1変形例の説明は省略される。
【0041】
突起20Bは、一対の縦梁12a,12bのY方向の外側のみに突出する。これにより、一対の縦梁12a,12bのY方向の内側にスペースを設けることができる。例えば、一対の縦梁12a,12bのY方向の内側でバラストのつき固め作業を行う場合に、突起20Bがつき固め作業の妨げにならない。
【0042】
突起20BのY方向の突出量Pyは、前述した実施形態と同等である。突起20のX方向の幅Pxは、突出量Pyより大きい。例えば、突起20の幅Pxは、突出量Pyの2倍程度である。突出量Pyと幅Pxとの積が、突起20の底面の受圧面積である。ラダーマクラギ10Bが有する複数の突起20Bの受圧面積の和は、前述した実施形態と同等である。これにより、実施形態と同様に、縦梁12のX方向の端部がバラスト道床3に沈下するのを抑制することができる。
【0043】
第1変形例の突起20Bは、一対の縦梁12a,12bのY方向の外側のみに突出する。これに対して、突起は、一対の縦梁12a,12bのY方向の内側のみに突出してもよい。この場合には、一対の縦梁12a,12bのY方向の外側にスペースを設けることができる。バラスト道床3のY方向の幅に制約がある場合でも、バラスト道床3に対してラダーマクラギを敷設しやすい。
【0044】
(第2変形例)
図6は、実施形態の第2変形例のバラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギの部分平面図である。第2変形例は、突起20Cの基端部におけるX方向の幅Px2が、突起20Cの先端部におけるX方向の幅Px1より大きい点で、実施形態と相違する。実施形態と同様である点についての第2変形例の説明は省略される。
【0045】
突起20Cの基端部におけるX方向の幅Px2が、突起20Cの先端部におけるX方向の幅Px1より大きい。突起20は、平面視において台形状である。これにより、突起20Cの基端部における断面係数が大きくなる。突起20Cは片持ち梁であるが、基端部の断面係数が大きいので、ひび割れが発生しにくい。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
X…第1方向、Y…第2方向、Z…上下方向、1…バラスト・ラダー軌道、5…レール、10…バラスト・ラダー軌道用ラダーマクラギ、12,12a,12b…縦梁、13…面取り、14…継材、20,20B,20C…突起。