(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】配車計画装置、配車計画方法、配車システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0834 20230101AFI20250430BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
G06Q10/0834
B65G61/00 542
(21)【出願番号】P 2020174340
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-04-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【氏名又は名称】渥美 元幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126538
【氏名又は名称】嶺 直道
(72)【発明者】
【氏名】西村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 健一
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165510(JP,A)
【文献】特開2002-324117(JP,A)
【文献】特開2005-022802(JP,A)
【文献】特開2003-081437(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110782208(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、
荷物の集荷を含む前記作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、
を実行するよう構成された処理装置を備え、
前記第2生成処理は、
前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく前記作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されており、
前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含み、
前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両である
配車計画装置。
【請求項2】
荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、
荷物の集荷を含む前記作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、
を実行するよう構成された処理装置を備え、
前記第2生成処理は、
前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく前記作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されており、
前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含み、
前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両であり、かつ、前記リクエストに基づく前記作業が割り当てられると、前記未完了である前記配送の再実施に支障が生じると判定された車両である
配車計画装置。
【請求項3】
荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、
荷物の集荷を含む前記作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、
を実行するよう構成された処理装置を備え、
前記第2生成処理は、
前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく前記作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されており、
前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含み、
前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両であり、かつ、前記未完了である前記配送が完了したことを示す完了通知を未送信である端末に対応する車両である
配車計画装置。
【請求項4】
前記第1配車計画又は前記第2配車計画における前記作業は、前記集荷及び前記配送を含み、
前記第1配車計画及び前記第2配車計画は、前記複数の車両それぞれの積載重量が、前記複数の車両それぞれの積載重量制約を満たすように生成されており、
前記処理装置は、前記未完了通知を受信すると、制約判定処理を更に実行するよう構成され、
前記制約判定処理は、
前記未完了通知を送信した前記端末に対応する前記車両において、完了できなかった前記配送があることで前記積載重量制約を満たさなくなる前記作業の有無を判定し、
前記積載重量制約を満たさなくなる前記作業が有る場合、前記積載重量制約を満たさなくなる前記作業に関する情報を、前記未完了通知を送信した前記端末に送信することを含む
請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の配車計画装置。
【請求項5】
前記第1配車計画又は前記第2配車計画における前記作業は、前記集荷及び前記配送を含み、
前記第1配車計画及び前記第2配車計画は、前記複数の車両それぞれの積載重量が、前記複数の車両それぞれの積載重量制約を満たすように生成されており、
前記処理装置は、前記未完了通知を受信すると、制約判定処理を更に実行するよう構成され、
前記制約判定処理は、前記未完了通知を送信した前記端末に対応する前記車両において、完了できなかった前記配送があることで前記積載重量制約を満たさなくなる前記作業の有無を判定することを含み、
前記処理装置は、前記積載重量制約を満たさなくなる前記作業が有る場合、第3配車計画を生成する第3生成処理を更に実行するよう構成され、
前記第3配車計画は、前記未完了通知を送信した前記端末に対応する前記車両が前記積載重量制約を満たすように生成される
請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の配車計画装置。
【請求項6】
前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含み、
前記処理装置は、未完了である前記配送についての再配送リクエストを受信すると、前記再配送リクエストに基づく再配送が追加された第4配車計画を生成する第4生成処理を更に実行するよう構成され、
前記再配送リクエストは、再配送条件を含み、
前記第4配車計画は、前記再配送条件に従って生成され、
前記第4生成処理は、前記再配送条件に従った前記第4配車計画を生成できない場合、前記再配送条件に従った再配送ができないことを示す再配送不可通知を、前記再配送リクエストの送信元へ送信することを含む
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の配車計画装置。
【請求項7】
前記再配送不可通知は、前記再配送条件とは異なる他の再配送条件を含む再配送リクエストの送信を促すよう構成され、
前記第4生成処理は、前記再配送条件に従った前記第4配車計画を生成できない場合、前記他の再配送条件に従った前記第4配車計画が生成できるまで、前記再配送不可通知の送信及び前記他の再配送条件に従った前記第4配車計画の生成を繰り返すよう構成されている
請求項
6に記載の配車計画装置。
【請求項8】
配車計画装置が、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する工程と、
配車計画装置が、荷物の集荷を含む前記作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する工程と、
を備え、
前記第2配車計画は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく前記作業を割り当てることで生成され、
前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含み、
前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、
前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両である
配車計画方法。
【請求項9】
配車計画装置と、
荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両それぞれに対応付けられた複数の端末と、
を備え、
前記配車計画装置は、
前記複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、
荷物の集荷を含む前記作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、
を実行するよう構成された処理装置を備え、
前記第2生成処理は、
前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく前記作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成され、
前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含み、
前記端末は、前記配車計画装置から前記第1配車計画及び前記第2配車計画を受信するよう構成されており、
前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、
前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両である
配車システム。
【請求項10】
コンピュータに、
荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、
荷物の集荷を含む前記作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、
を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記第2生成処理は、
前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく前記作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されており、
前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含み、
前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、
前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両である
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配車計画装置、配車計画方法、配車システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、荷物の配送地点の巡回に適したルートを探索し、探索されたルートをドライバに案内するナビゲーション装置を開示している。特許文献1では、荷物の配送先が不在であるために配送できなかった場合に、荷物を再配送するためのルートが再探索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷物の配送又は集荷を行う車両は、特許文献1のように、配車計画に従って運行される。配車計画は、1日の間における複数の車両それぞれの運行スケジュールを示す。配車計画は、例えば、一日の営業開始時点で生成される。ドライバは、生成された配車計画を取得し、車両の拠点を出発する。ドライバは、取得した配車計画に従って、荷物の集荷又は配送を実施する。
【0005】
生成された配車計画は、車両の運行中に更新されることがある。配車計画の更新は、荷物の集荷又は配送を希望するユーザからのリクエストに基づいてなされる。配車計画の生成後に、当日中の集荷及び配送を希望するユーザからの新たなリクエストを受け付けた場合、その集荷及び配送は、いずれかの車両に追加で割り当てられる必要がある。
【0006】
新たなリクエストは、現在の配車計画に基づいて、適切な車両に割り当てられるべきである。適切な車両は、例えば、新たなリクエストに基づく集荷及び配送を効率的に対処できる車両である。
【0007】
しかし、現在の配車計画に基づくと、新たなリクエストに基づく作業(集荷又は配送)を効率的に対処できる車両であっても、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられるべき車両として適切であるとは限らない。新たなリクエストに基づく作業が割り当てられた車両に支障が生じることがある。
【0008】
例えば、配送地点が不在であるために配送できなかった荷物を搭載している車両は、配車計画に未だ含まれていない再配送の必要性が生じている。そのような車両に、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられると、再配送が遅れるなどの支障が生じる。また、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられることにより生じる支障は、再配送の遅れに限られない。他の事由により、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられるべきでない車両が存在することがある。
【0009】
したがって、新たなリクエストに基づく作業が、不適切な車両に割り当てられるのを防止することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のある側面は、配車計画装置である。開示の配車計画装置は、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、荷物の集荷を含む作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、を実行するよう構成された処理装置を備え、前記第2生成処理は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されている。
【0011】
本開示の他の側面は、配車計画方法である。開示の配車計画方法は、配車計画装置が、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する工程と、配車計画装置が、荷物の集荷を含む作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する工程と、を備え、前記第2配車計画は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく作業を割り当てることで生成される。
【0012】
本開示の他の側面は、配車システムである。開示の配車システムは、配車計画装置と、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両それぞれに対応付けられた複数の端末と、を備え、前記配車計画装置は、前記複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、荷物の集荷を含む作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、を実行するよう構成された処理装置を備え、前記第2生成処理は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成され、前記端末は、前記配車計画装置から前記第1配車計画及び前記第2配車計画を受信するよう構成されている。
【0013】
本開示の他の側面は、コンピュータプログラムである。開示のコンピュータプログラムは、コンピュータに、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、荷物の集荷を含む作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記第2生成処理は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されている。
【0014】
本開示の他の実施形態に係るコンピュータプログラムは、配車計画装置から、荷物の配送を含む作業を行うための配車計画を受信するよう構成されたコンピュータに、配送未完了処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記配車計画は、前記コンピュータに対応する車両に積載される荷物の重量が、前記車両の積載重量制約を満たすように生成されており、前記配送未完了処理は、前記配車計画に含まれる前記配送を完了できなかったことを示す操作を前記コンピュータがユーザから受け付けると、前記配車計画に含まれる作業のうち、完了できなかった前記配送があることで前記積載重量制約を満たさなくなる作業を、前記配車計画に含まれる他の作業とは区別して、前記コンピュータにおいて表示することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図2は、配車計画装置及びドライバ端末の構成図である。
【
図4】
図4は、第1生成処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1生成処理に関するデータフロー図である。
【
図7】
図7は、配車計画の表示画面を示す図である。
【
図8】
図8は、配車計画装置における不在処理(配送未完了処理)を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、再配送完了処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2生成処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2生成処理に関するデータフロー図である。
【
図13】
図13は、制約判定処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、ドライバ端末における不在処理(配送未完了処理)を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、積載重量超過の地点が強調表示された配車計画の表示画面を示す図である。
【
図16】
図16は、制約判定処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[本開示の実施形態の説明]
【0017】
(1)実施形態に係る配車計画装置は、処理装置を備える。処理装置は、第1生成処理と、第2生成処理と、を実行する。第1生成処理は、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する。第2生成処理は、荷物の集荷を含む前記作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する。前記第2生成処理は、1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく前記作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されている。1又は複数の対象車両は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除いたものである。この場合、新たなリクエストに基づく作業が、非対象車両に割り当てられるのを防止することができる。
【0018】
(2)前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含むことができる。前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両であるのが好ましい。この場合、未完了である配送の再実施が必要な車両が非対象車両になるため、配送の再実施の遅れが生じるおそれを低減できる。
【0019】
(3)前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含むことができる。前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両であるのが好ましい。前記非対象車両は、さらに、前記リクエストに基づく前記作業が割り当てられると、前記未完了である前記配送の再実施に支障が生じると判定された車両であるのが好ましい。この場合、未完了である配送の再実施に支障が生じる車両が非対象車両になるため、配送の再実施の遅れを確実に防止できる。
【0020】
(4)前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含むことができる。前記非対象車両は、前記複数の車両のうち、前記配送が未完了であることを示す未完了通知を送信した端末に対応する車両であるのが好ましい。前記非対象車両は、さらに、未完了である前記配送が完了したことを示す完了通知を未送信である端末に対応する車両であるのが好ましい。この場合、配送の再実施が未完了である車両が非対象車両になる。
【0021】
(5)前記第1配車計画又は前記第2配車計画における前記作業は、前記集荷及び前記配送を含むことができる。前記第1配車計画及び前記第2配車計画は、前記複数の車両それぞれの積載重量が、前記複数の車両それぞれの積載重量制約を満たすように生成されているのが好ましい。前記処理装置は、前記未完了通知を受信すると、制約判定処理を更に実行するよう構成されているのが好ましい。前記制約判定処理は、前記未完了通知を送信した前記端末に対応する前記車両において、完了できなかった前記配送があることで前記積載重量制約を満たさなくなる作業の有無を判定する。前記制約判定処理は、前記積載重量制約を満たさなくなる作業が有る場合、前記積載重量制約を満たさなくなる前記作業に関する情報を、前記未完了通知を送信した前記端末に送信することを含むのが好ましい。この場合、端末は、積載重量制約を満たさなくなることを把握できる。
【0022】
(6)前記第1配車計画又は前記第2配車計画における前記作業は、前記集荷及び前記配送を含むことができる。前記第1配車計画及び第2配車計画は、前記複数の車両それぞれの積載重量が、前記複数の車両それぞれの積載重量制約を満たすように生成されているのが好ましい。前記処理装置は、前記未完了通知を受信すると、制約判定処理を更に実行するよう構成されているのが好ましい。前記制約判定処理は、前記未完了通知を送信した前記端末に対応する前記車両において、完了できなかった前記配送があることで前記積載重量制約を満たさなくなる作業の有無を判定することを含むのが好ましい。前記処理装置は、前記積載重量制約を満たさなくなる作業が有る場合、第3配車計画を生成する第3生成処理を更に実行するよう構成されているのが好ましい。前記第3配車計画は、前記未完了通知を送信した前記端末に対応する前記車両が前記積載重量制約を満たすように生成されるのが好ましい。この場合、積載重量制約を満たさなくなっても、当該制約を満たす第3配車計画が生成される。
【0023】
(7)前記第1配車計画又は前記第2配車計画に含まれる前記作業は、前記配送を含むのが好ましい。前記処理装置は、未完了である配送についての再配送リクエストを受信すると、前記再配送リクエストに基づく再配送が追加された第4配車計画を生成する第4生成処理を更に実行するよう構成されているのが好ましい。前記再配送リクエストは、再配送条件を含むことができる。前記第4配車計画は、前記再配送条件に従って生成されるのが好ましい。前記第4生成処理は、前記再配送条件に従った前記第4配車計画を生成できない場合、前記再配送条件に従った再配送ができないことを示す再配送不可通知を、前記再配送リクエストの送信元へ送信することを含むのが好ましい。この場合、再配送リクエストの送信元は、再配送条件に従った再配送ができないことを把握できる。
【0024】
(8)前記再配送不可通知は、前記再配送条件とは異なる他の再配送条件を含む再配送リクエストの送信を促すよう構成されているのが好ましい。前記第4生成処理は、前記再配送条件に従った前記第4配車計画を生成できない場合、前記他の再配送条件に従った前記第4配車計画が生成できるまで、再配送不可通知の送信及び前記他の再配送条件に従った前記第4配車計画の生成を繰り返すよう構成されているのが好ましい。この場合、適切な第4配車計画が生成される。
【0025】
(9)実施形態に係る配車計画方法は、配車計画装置が、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する工程と、配車計画装置が、荷物の集荷を含む作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する工程と、を備える。前記第2配車計画は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく作業を割り当てることで生成される。この場合、新たなリクエストに基づく作業が、非対象車両に割り当てられるのを防止することができる。
【0026】
(10)実施形態に係る配車システムは、配車計画装置と、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両それぞれに対応付けられた複数の端末と、を備える。前記配車計画装置は、前記複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、荷物の集荷を含む作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、を実行するよう構成された処理装置を備える。前記第2生成処理は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されている。前記端末は、前記配車計画装置から前記第1配車計画及び前記第2配車計画を受信するよう構成されている。この場合、新たなリクエストに基づく作業が、非対象車両に割り当てられるのを防止することができる。
【0027】
(11)実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、荷物の集荷及び配送の少なくともいずれか一方の作業を行う複数の車両のための第1配車計画を生成する第1生成処理と、荷物の集荷を含む作業についての新たなリクエストを受信すると、前記リクエストに基づく前記作業が追加された第2配車計画を生成する第2生成処理と、を実行させるためのコンピュータプログラムである。前記第2生成処理は、前記複数の車両のうち、前記リクエストに基づく前記作業の割り当てが禁止された非対象車両を除く1又は複数の対象車両のいずれかに対して、前記リクエストに基づく作業を割り当てることで、前記第2配車計画を生成するよう構成されている。この場合、新たなリクエストに基づく作業が、非対象車両に割り当てられるのを防止することができる。
【0028】
(12)実施形態に係る他のコンピュータプログラムは、配車計画装置から、荷物の配送を含む作業を行うための配車計画を受信するよう構成されたコンピュータに、配送未完了処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。前記配車計画は、前記コンピュータに対応する車両に積載される荷物の重量が、前記車両の積載重量制約を満たすように生成されている。前記配送未完了処理は、前記配車計画に含まれる前記配送を完了できなかったことを示す操作を前記コンピュータがユーザから受け付けると、前記配車計画に含まれる作業のうち、完了できなかった前記配送があることで前記積載重量制約を満たさなくなる作業を、前記配車計画に含まれる他の作業とは区別して、前記コンピュータにおいて表示することを含む。この場合、積載重量制約を満たさない作業の認識が容易になる。
【0029】
前述のコンピュータプログラムそれぞれは、コンピュータ読み取り可能な、非一時的な記憶媒体に格納される。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
【0031】
図1は、荷物の集荷及び配送を行う車両のための配車システム1を示している。車両は、集荷及び配送のいずれか一方だけを行ってもよい。集荷は、荷物を預かることである。配送は、荷物を配送先へ届けることである。集荷すると荷物が車両に積載される。配送すると荷物が車両から降ろされる。以下では、集荷及び配送は、総称して、「集配」という。実施形態に係る配車システム1は、配車計画装置10と、複数のドライバ端末40A,40B,40Cと、を備える。配車計画装置10は、ネットワーク70を介して、ドライバ端末40A,40B,40Cと接続されている。ネットワーク70は、例えば、無線ネットワークである。
【0032】
ドライバ端末40A,40B,40Cは、複数の車両31,32,33それぞれのドライバによって保有されている。ドライバ端末40A,40B,40Cは、例えば、スマートフォン又はタブレット端末によって構成されている。ドライバ端末40A,40B,40Cは、配車計画装置10から配車計画を受信し、受信した配車計画を表示する。
【0033】
配車計画装置10において、ドライバ端末40A,40B,40Cそれぞれは、いずれかの車両31,32,33に対応付けられている。実施形態において、複数の車両31,32,33は、第1車両31、第2車両32、及び第3車両33を含む。第1ドライバ端末40Aは、第1車両31のドライバによって保持されており、第1車両31に対応付けられている。同様に、第2ドライバ端末40Bは、第2車両32のドライバによって保持されており、第2車両32に対応付けられている。第3ドライバ端末40Cは、第3車両33のドライバによって保持されており、第3車両33に対応付けられている。なお、ドライバ端末40A,40B,40Cは、車両31,32,33に搭載された車載端末であってもよい。なお、配車システム1に含まれるドライバ端末及び車両の数は特に限定されない。
【0034】
実施形態の配車システム1は、複数のユーザ端末60A,60B,60Cを更に備える。ユーザは、例えば、荷物の集荷又は配送を依頼する顧客である。ユーザ端末60A,60B,60Cは、荷物の集配リクエストを配車計画装置10へ送信する。
【0035】
実施形態において、複数のユーザ端末60A,60B,60Cは、第1ユーザ51に保有される第1ユーザ端末60A、第2ユーザ52に保有される第2ユーザ端末60B、及び第3ユーザ53に保有される第3ユーザ端末60Cを含む。複数のユーザ端末60A,60B,60Cそれぞれは、ネットワーク70を介して、配車計画装置10に接続される。なお、配車システム1に含まれるユーザ端末の数は特に限定されない。
【0036】
図2に示すように、配車計画装置10は、処理装置11と、処理装置11に接続された記憶装置12と、を備えるコンピュータによって構成されている。配車計画装置10を構成するコンピュータは、通信インタフェース15を更に備える。
【0037】
処理装置11は、例えば、CPUを有する。記憶装置12は、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を有する。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。通信インタフェース15は、外部機器との間の通信に用いられる。外部機器は、例えば、ドライバ端末40A,40B,40C又はユーザ端末60A,60B,60Cである。
【0038】
処理装置11は、配車管理処理100を実行するよう構成されている。また、処理装置11は、配車計画エンジン110として機能するよう構成されている。記憶装置12は、コンピュータを、配車計画装置10として動作させるためのコンピュータプログラム14を記憶している。コンピュータプログラム14は、配車管理処理100を処理装置11に実行させるためのプログラムコードを備える。また、コンピュータプログラム14は、配車計画エンジン110としての動作を処理装置11に実行させるためのプログラムコードを備える。処理装置11は、記憶装置12からコンピュータプログラム14を読み出して実行する。
【0039】
配車管理処理100は、第1生成処理101、第2生成処理102、不在処理103、再配送完了処理104、及び再配送処理105を含む。これらの処理101,102,103,104,105は、後述される。配車管理処理100は、ドライバ端末40A,40B,40C及びユーザ端末60A,60B,60Cのためのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)としての機能も有する。すなわち、配車管理処理100は、ドライバ端末40A,40B,40C及びユーザ端末60A,60B,60Cとの間の通信を担う。
【0040】
配車計画エンジン110は、配車管理処理100において用いられる。配車計画エンジン110は、配車計画を生成するソフトウェアモジュールである。配車計画エンジン110は、1又は複数の集配リクエストに基づいて、配車計画を生成する。配車計画は、所定の制約条件を満たし、各車両が効率よく走行できる経路を探索することによって生成される。所定の制約条件は、例えば、車両の積載重量制約、車両が車両拠点を出発する時刻、車両が車両拠点へ帰着する時刻、集配リクエストにおいて指定された荷物の集荷希望時刻、及び集配リクエストにおいて指定された配送希望時刻である。
【0041】
配車計画では、複数の車両それぞれに、集配すべき荷物が割り当てられている。また、配車計画では、荷物の集配のための巡回順序が定められている。配車計画は、複数の車両それぞれのための集配計画といってもよい。配車計画は、集配地点の予定到着時刻、予定出発時刻、及び出発時の車両の積載重量などの情報を含む(
図6参照)。配車計画の詳細は、後述される。
【0042】
なお、配車管理処理100は、第1コンピュータによって実行され、配車計画エンジン110は、第1コンピュータにネットワークを介して接続された第2コンピュータによって接続されてもよい。すなわち、配車計画装置10は、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。
【0043】
配車計画装置10の記憶装置12は、荷物の集荷又は配送に用いられる複数の車両31,32,33に関する車両データが登録された車両データベース210を有する。車両データベース210に含まれる車両データは、配車計画生成に用いられる。
【0044】
図3は、車両データベース210の一例を示している。車両データベース210は、例えば、各車両の車両ID、車両名、積載重量制約、及び対象車両フラグを有する。車両IDは、各車両の識別子を示す。車両名は、車両の名称を示す。積載重量制約は、車両に積むことができる荷物の最大の重さを示す。対象車両フラグは、各車両が対象車両であるか否かを示す。対象車両フラグは、後述の第2生成処理102等において、作業が割り当てられる車両を判別するために用いられる。「対象車両」は、配車計画の生成において、集荷又は配送の作業が割り当て可能な車両をいう。車両データベース210において、対象車両は対象車両フラグがセットされている。ここで、セットとは、対象車両フラグに値「1」が割り当てられていることをいう。また、車両データベース210において、非対象車両は対象車両フラグがリセットされている。ここで、リセットとは、対象車両フラグに値「0」が割り当てられていることをいう。非対象車両には、例えば、新たな作業の割り当てが禁止される。なお、実施形態において、対象車両フラグの初期値は、「1」とする。
【0045】
例えば、第1車両31は、
図3の車両データベース210において、車両IDがC0001であって、車両名がV1である。第1車両31は、積載重量制約(最大積載量)が350kgであり、荷物を350kgまで搭載できる。第1車両31は、対象車両フラグがセットされているため、対象車両である。第2車両32は、車両IDがC0002であり、車両名がV2である。第2車両32は、積載重量制約が350kgであり、対象車両フラグがリセットされているため、非対象車両である。
【0046】
図2に戻り、記憶装置12は、リクエストデータベース220を有する。リクエストデータベース220は、配車計画装置10が複数のユーザ端末60A,60B、60Cから受信した複数のリクエストを保存する。リクエストは、例えば、荷物を集荷して配送先に届けてほしいユーザからの集配リクエスト、配送先となるユーザからの配送リクエスト、又は、不在であった配送先ユーザからの再配送リクエストである。
【0047】
集配リクエストは、例えば、荷物の重量、集荷地点、集荷希望時間帯、集荷地点の連絡先、配送地点、配送希望時間帯及び配送地点の連絡先などの情報を含む。配送リクエストは、例えば、配送地点、配送希望時間帯及び配送地点の連絡先などの情報を含む。再配送リクエストは、例えば、配送地点、再配送希望時間帯及び配送地点の連絡先などの情報を含む。
【0048】
記憶装置12は、配車計画データベース230を有する。配車計画データベース230は、配車計画装置10の配車計画エンジン110が生成した配車計画を保存する。
【0049】
第1ドライバ端末40Aは、処理装置41と、処理装置41に接続された記憶装置42と、を備えるコンピュータによって構成されている。ドライバ端末40Aを構成するコンピュータは、通信インタフェース45及びディスプレイ46を更に備える。他のドライバ端末40B,40Cの構成は、第1ドライバ端末40Aの構成と同様である。ドライバ端末40A,40B,40Cを構成するコンピュータは、前述のように、例えば、スマートフォン又はタブレット端末である。
【0050】
処理装置41は、例えば、CPUを有する。記憶装置42は、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を有する。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。通信インタフェース45は、外部機器との間の通信に用いられる。外部機器は、例えば、配車計画装置10又はユーザ端末60A,60B,60Cである。
【0051】
処理装置41は、配車計画装置10から配車計画を取得し、取得した配車計画を表示する処理を実行するよう構成されている。処理装置41が実行する処理は、後述の不在処理400(配送未完了処理)を含む。記憶装置42は、コンピュータを、ドライバ端末40Aとして動作させるためのコンピュータプログラム44を記憶している。コンピュータプログラム44は、必要な処理を処理装置41に実行させるためのプログラムコードを備える。処理装置41は、記憶装置42からコンピュータプログラム44を読み出して実行する。
【0052】
第1ユーザ端末60Aは、ドライバ端末40A,40B,40Cと同様に、スマートフォン又はタブレット端末などのコンピュータによって構成されている。第1ユーザ端末60Aは、配車計画装置10に接続して使用される専用アプリケーションプログラム又は、配車計画装置10に接続するためのブラウザを有する。専用アプリケーションプログラム又はブラウザは、ユーザに対して、必要な表示及び操作、並びに配車計画装置10との間の通信を実現するための環境を提供する。他のユーザ端末60B,60Cの構成は、第1ユーザ端末60Aの構成と同様である。
【0053】
図4及び
図5は、配車計画装置10によって実行される第1生成処理101を示している。第1生成処理101では、配車計画エンジン110を用いて、例えば、
図6に示すような第1配車計画230Aが生成される。
【0054】
図4に示すように、第1生成処理101では、所定時刻Tになった場合(ステップS11)に、第1配車計画が生成される。所定時刻Tは、例えば、1日の営業開始時刻前の時刻であり、例えば、8:30である。第1配車計画では、例えば、その日の間に、複数の車両31,32,33それぞれが行うべき集配のための巡回順序が定められる。
【0055】
第1生成処理101を実行する処理装置11は、所定時刻Tになった場合、所定時刻Tまでに配車計画装置10に集まった集配リクエスト等のリクエストを、リクエストデータベース220から取得する(ステップS12)。所定時刻Tまでに集まったリクエストは、第1生成処理101から配車計画エンジン110に与えられる。また、配車計画エンジン110には、車両データベース210に含まれる全ての車両データが、集配作業が割り当てられる対象車両データとして、与えられる。また、配車計画エンジン110は、リクエストに含まれる制約条件以外の他の制約条件が与えられる。
【0056】
配車計画エンジン110は、所定の制約条件を満たすよう配車計画を生成する(ステップS12)。配車計画エンジン110は、全車両を割り当ての対象車両とし、所定時刻Tまでに集まったリクエストに対処するための第1配車計画を生成する。所定時刻Tまでに集まったリクエストに基づく集配作業は、複数の対象車両のいずれかに割り当てられる。生成された第1配車計画は、配車計画データベース230に格納される。
【0057】
配車計画を生成する際の制約条件は、前述のように、車両の積載重量制約、車両が車両拠点を出発する時刻、車両が車両拠点へ帰着する時刻、集配リクエストにおいて指定された荷物の集荷希望時刻、及び集配リクエストにおいて指定された配送希望時刻を含む。これらの制約条件のうち、車両の積載重量制約は、対象車両データに含まれる。また、集荷希望時刻及び配送希望時刻は、集配リクエストに含まれる。車両が車両拠点を出発する時刻及び車両が車両拠点へ帰着する時刻は、他の制約条件として、第1生成処理101から配車計画エンジン110に与えられる。
【0058】
1日の営業開始時刻付近において、各ドライバは、ドライバ端末40A,40B,40Cを操作することで計画取得リクエストを送信し、その日の初期計画である第1配車計画を、配車計画装置10から取得する。処理装置11は、ドライバ端末40A,40B,40Cから計画取得リクエストを受信すると、第1配車計画を、ドライバ端末40A,40B,40Cへ送信する(ステップS14)。
【0059】
図6は、生成された第1配車計画230Aの例を示している。
図6に示す第1配車計画230Aは、第1車両31(車両名:V1)と第2車両32(車両名:V2)のための計画を含む。第1配車計画230Aは、他の車両の計画を含んでもよい。処理装置11は、第1配車計画のうち、第1車両31(車両名:V1)のための計画を示すデータを、第1車両31に対応するドライバ端末40Aへ送信する。また、処理装置11は、第1配車計画のうち、第2車両32(車両名:V2)のための計画を示すデータを、第2車両32に対応するドライバ端末40Bへ送信する。
【0060】
図6に示す第1車両31(車両名:V1)のための計画では、第1車両31には、荷物B1,B2,B3の集配が割り当てられている。この計画において、第1車両31は、車両拠点である地点P0を9:00に出発し、地点P1、地点P2、地点P3、地点P4、地点P5,地点P6を、この順番で巡回し、その後、車両拠点である地点P0に帰着する予定になっている。帰着時刻の予定は、11:40である。各地点P1,P2,P3,P4の到着時刻と出発時刻の予定は、
図6に示されるとおりである。
【0061】
第1配車計画230Aにおいて、車両拠点である地点P0を出発するときの第1車両31の積載重量は0kgである。地点P1では、100kgの荷物B1が集荷される。したがって、地点P1を出発するときの積載重量は100kgである。地点P2では、100kgの荷物B2が集荷される。したがって、地点P2を出発するときの積載重量は200kgである。地点P3では、100kgの荷物B1が配送される。したがって、地点P3を出発するときの積載重量は100kgである。地点P4では、100kgの荷物B3が集荷される。したがって、地点P4を出発するときの積載重量は200kgである。地点P5では、100kgの荷物B3が配送される。したがって、地点P5を出発するときの積載重量は100kgである。地点P6では、100kgの荷物が配送される。したがって、地点P6を出発する時の積載重量は0kgである。
【0062】
図6に示す第2車両32(車両名:V2)のための計画では、第2車両32には、荷物B4,B5の集配が割り当てられている。この計画において、第2車両32は、車両拠点である地点P0を9:00に出発し、地点P7、地点P8、地点P9、地点P10を、この順番で巡回し、その後、車両拠点である地点P0に帰着する予定になっている。帰着時刻の予定は、12:00である。各地点P7,P8,P9,P10の到着時刻と出発時刻の予定は、
図6に示されるとおりである。
【0063】
第1配車計画230Aにおいて、車両拠点である地点P0を出発するときの第2車両32の積載重量は0kgである。地点P7では、150kgの荷物B4が集荷される。したがって、地点P7を出発するときの積載重量は150kgである。地点P8では、150kgの荷物B5が集荷される。したがって、地点P8を出発するときの積載重量は300kgである。地点P9では、150kgの荷物B4が配送される。したがって、地点P9を出発するときの積載重量は150kgである。地点P10では、150kgの荷物が配送される。したがって、地点P10を出発する時の積載重量は0kgである。
【0064】
図3に示すように、第1車両31(車両名:V1)及び第2車両32(車両名:V2)それぞれ積載重量制約は350kgである。第1配車計画230Aにおいて、いずれの地点の出発時積載重量も、積載重量制約を超えていない。したがって、第1配車計画230Aは、第1車両31及び第2車両32それぞれの積載重量制約を満たすように生成されている。
【0065】
図7は、第1ドライバ端末40Aに送信された第1配車計画の表示画面を示している。この表示画面は、第1ドライバ端末40Aは、第1配車計画を配車計画装置10から受信すると、その第1配車計画をドライバ端末40Aのディスプレイ46に表示する。第1ドライバ端末40Aを保有するドライバは、ディスプレイ46に表示された配車計画に従って、荷物の集荷及び配送を実施する。他のドライバ端末40B,40Cにおいても、同様に配車計画が表示される。
【0066】
図7に示す配車計画表示画面では、地点及びその住所表示、種別、荷物、到着時刻、出発時刻、出発時積重量、状態が表示される。地点及びその住所表示、種別、荷物、到着時刻、出発時刻、出発時積重量は、ドライバ端末40Aが受信した配車計画に含まれる情報にしたがって表示される。配車計画表示画面に含まれる「状態」は、各地点における作業が完了したか否かを示す。
図7では、地点P0,P1,P2についての「状態」は、「完了」であり、地点P0を出発し、地点P2における集荷までが配車計画とおりに完了したことを示す。また、地点P4以降の集配作業は未完了であることを示す。各時点についての「状態」の更新は、ドライバによるドライバ端末40Aの操作によって行われる。各地点の作業が完了したことが、ドライバ端末40Aの操作によって入力されると、その地点の「状態」は、「完了」を示す表示に更新される。また、各地点の作業が完了したことの通知が、ドライバ端末40Aから配車計画装置10に送信される。
【0067】
ある地点において配送先が不在であった場合、ドライバによるドライバ端末40Aの操作によって、「状態」が「不在」に更新される。また、その地点が不在であったことを示す不在情報が、ドライバ端末40Aから配車計画装置10に送信される。不在情報は、その地点へ荷物を配送できなかったことを示す配送未完了通知でもある。不在時においてドライバ端末40Aにより実行される処理(不在処理400;配送未完了処理)は、後述される。
【0068】
不在であった地点への再配送が完了した場合、ドライバによるドライバ端末40Aの操作によって、「状態」が「不在」から「完了」に更新される。また、再配送が完了したことを示す再配送完了通知が、ドライバ端末40Aから配車計画装置10に送信される。
【0069】
図8は、配車計画装置10において実行される不在処理103(配送未完了処理)を示している。配車計画装置10の処理装置11は、複数のドライバ端末40A,40B,40Cのいずれかから不在情報(配送未完了通知)を受信する(ステップS21)。ここでは、処理装置11は、第2車両32に対応する第2ドライバ端末40Bから不在情報を受信するものとする。
【0070】
不在処理103を実行する処理装置11は、第2ドライバ端末40Bから不在情報を受信すると、車両データベース210において、第2ドライバ端末40Bに対応する第2車両32(車両名:V2)の対象車両フラグをリセットする(ステップS22)。
図3に示す車両データベース210は、第2車両32(車両名:V2)の対象車両フラグがリセットされた状態を示している。対象車両フラグがリセットされることで、第2車両32は、その後に実行される配車計画の生成処理において、非対象車両として扱われる。非対象車両には、新たなリクエストに基づく作業の割り当てが禁止される。この点についての詳細は、後述される。
【0071】
続いて、処理装置11は、制約判定処理103Aを実行する。制約判定処理103Aは、不在により荷物を配送できなかった場合に、現在の配車計画が積載重量制約を満たすか否かの判定である。制約判定処理103Aについての詳細は、後述される。
【0072】
処理装置11は、不在であった配送地点の連絡先(例えば、配送地点のユーザが保有するユーザ端末)へ、不在通知を送信する(ステップS24)。不在通知を受信したユーザは、荷物が届けられなかったことを把握できる。不在通知は、再配送の希望時間帯を含む再配送リクエストの送信をユーザに促すものであるのが好ましい。
【0073】
図9は、配車計画装置10において実行される再配送完了処理104を示している。前述のように、不在であった配送先への再配送が完了すると、ドライバ端末40Bから配車計画装置10へ、再配送完了通知が送信される。
【0074】
再配送完了処理104を実行する処理装置11は、第2ドライバ端末40Bから再配送完了通知を受信する(ステップS31)。すると、処理装置11は、車両データベース210において、第2ドライバ端末40Bに対応する第2車両32(車両名:V2)の対象車両フラグをセットする(ステップS32)。対象車両フラグがセットされることで、第2車両32は、その後に実行される配車計画の生成処理において、対象車両として扱われる。対象車両は、新たなリクエストに基づく作業の割り当て候補になる。この点についての詳細は、後述される。
【0075】
図10及び
図11は、配車計画装置10によって実行される第2生成処理102を示している。第2生成処理102では、第2配車計画が生成される。第2配車計画は、ユーザからの集配リクエスト等のリクエストが、第1配車計画230Aを生成した後に生じた場合に、生成される。第2配車計画は、新たなリクエストに基づく作業が追加されるよう第1配車計画を更新することで生成される。
【0076】
図10及び
図11に示すように、第2生成処理102を実行する処理装置11は、例えば第3ユーザ端末60Cから、新たな荷物の集配リクエストを受信する(ステップS41)。この場合、集配中の車両又は現在未稼働の車両に、新たな集配リクエストに基づく集荷又は配送が割り当てられる。ただし、本実施形態においては、車両データベース210の対象車両フラグがリセットされている非対象車両には、新たな集配リクエストに基づく集荷又は配送は割り当てられない。
【0077】
具体的には、処理装置11は、車両データベース210の対象車両フラグを参照し、複数の車両それぞれが対象車両であるか非対象車両であるかを判別する(ステップS42)。ここで、対象車両は、対象車両フラグがセットされている車両であり、非対象車両は、対象車両フラグがリセットされている車両である。
図3に示す車両データベース210では、一例として、第2車両(車両名:V2)が非対象車両であり、他の車両は全て対象車両である。
【0078】
続いて、処理装置11は、非対象車両である第2車両32を除く車両(対象車両)のいずれかに、新たな集配リクエストを割り当てる第2配車計画を、配車計画エンジン110を用いて生成する(ステップS43)。すなわち、新たな集配リクエストに基づく集配作業が追加されるよう第1配車計画が更新される。生成された第2配車計画は、配車計画データベース230に格納される。
【0079】
第2生成処理102では、新たな集配リクエストと、非対象車両である第2車両32を除く対象車両データが、配車計画エンジン110に与えられる。配車計画エンジン110は、例えば、複数の対象車両のうち、新たな集配リクエストに基づく集配作業を最も効率的に行える車両に、新たな集配リクエストに基づく集配作業を割り当てる。本実施形態では、新たなリクエストに基づく作業は、非対象車両を除く対象車両に割り当てられる。新たなリクエストに基づく作業は、例えば、対象車両である第1車両31に割り当てられる。
【0080】
図12は、第1車両31のための第2配車計画230Bの例を示している。
図12では、地点P11における新たな荷物B6の集荷作業が、第1配車計画における地点P4と地点P5との間に追加されている。また、
図12では、地点P12における新たな荷物B6の配送作業が、第1配車計画における地点P6と地点P0との間に追加されている。また、荷物B6の集配作業の追加に伴い、地点P11に続く地点P5以降の到着時刻及び出発時刻が、第1配車計画から変更されている。
【0081】
本実施形態によれば、第2車両32等の非対象車両に、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられるのを防止できる。つまり、本実施形態では、各車両に対して、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられるか否かをコントロールすることが、可能になっている。この結果、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられると支障が生じる車両へ、作業が割り当てられることを防止できる。
【0082】
例えば、元の第1配車計画によれば、新たな集配リクエストに基づく集配作業は、第1車両31よりも第2車両32に割り当てた方が、効率的である場合がある。この場合において、各車両に対して、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられるか否かをコントロールできないと、配車計画エンジン110は、新たな集配リクエストに基づく集配作業を第2車両32に割り当ててしまう可能性がある。しかし、第2車両32は、不在により配送ができなかった荷物を有しており、再配送が必要な状況にある。このように、第2車両32は、元の第1配車計画とは異なる作業が必要な状況にある。このような第2車両32に新たなリクエストに基づく作業が割り当てられると、再配送が遅れるなどの支障が生じることがある。
【0083】
なお、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられると支障が生じる他のケースとしては、渋滞により元の配車計画よりも実際の車両運行が遅延している場合が挙げられる。このような場合も、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられると、車両運行が更に遅延するおそれがある。配車計画装置10は、このような車両も、非対象車両として扱うことができる。
【0084】
本実施形態の車両データベース210において、対象車両フラグは、再配送が完了するとリセットされる。このため、本実施形態では、不在情報(配送未完了通知)を配車計画装置10へ送信したドライバ端末に対応する車両であっても、再配送完了通知を配車計画装置10へ送信済のドライバ端末に対応する車両は、非対象車両から対象車両に復帰する。
【0085】
したがって、本実施形態において、非対象車両は、複数の車両31,32,33のうち、不在情報(配送未完了通知)を配車計画装置10へ送信したドライバ端末に対応する車両である。しかも、非対象車両は、完了できなかった配送が完了したことを示す再配送完了通知を配車計画装置10へ未送信であるドライバ端末に対応する車両である。換言すると、本実施形態において、各車両が、非対象車両となるのは、車両に対応するドライバ端末が不在情報を送信してから、再配送完了通知を送信するまで、である。
【0086】
また、非対象車両は、車両データベース210において、対象車両フラグがリセットされている1又は複数の車両全てであってもよいが、それに限られない。すなわち、車両データベース210において、対象車両フラグがリセットされている車両であっても、所定の条件を満たす車両は、非対象車両から除外されてもよい。例えば、配車計画装置10は、対象車両フラグがリセットされている車両に対して、新たな集配リクエストに基づく集配作業を、試行的に割り当てる。そして、配車計画装置10は、新たな集配作業が割り当てられると、再配送(不在により完了できなかった配送の再実施)に支障が生じると判定した車両を、非対象車両として扱うことができる。再配送に支障が生じるか否かの判定の基準は、例えば、再配送が、所定時刻よりも遅れるか否かである。
【0087】
さて、処理装置11は、新たなリクエストに基づく作業を含む第2配車計画230Bを生成すると、新たなリクエストに基づく作業が割り当てられた第1車両31に対応する第1ドライバ端末40Aへ、その第2配車計画230Bを送信する(ステップS44)。第1車両31のドライバは、新たな第2配車計画230Bに従って、集荷及び配送を実施する。
【0088】
図13は、
図8に示す制約判定処理103Aの手順を示している。前述のように、制約判定処理103Aは、配車計画装置10が不在情報(配送未完了通知)を受信したときに実行される。不在情報は、ドライバが、配車計画にしたがって配送作業を実施中に、配送地点が不在で配送できない荷物が発生した場合に、ドライバ端末から配車計画装置10へ送信される。不在情報は、不在情報が送信された時刻、不在であった地点、不在のため配送できなかった荷物の情報を含む。
【0089】
配送地点が不在であると、配送に伴い車両から降ろされるべきであった荷物は、車両に搭載されたままになる。このため、元の配車計画(第1配車計画)が、車両の積載重量制約を満たすものであっても、不在である配送地点が生じた後は、積載重量制約を満たすかどうかの保証がなくなる。制約判定処理103Aは、不在である配送地点が生じた場合に、積載重量制約を満たすか否かを判定する。
【0090】
制約判定処理103Aを実行する処理装置11は、不在が原因で積載重量制約を満たさなくなる作業(その作業が行われる地点)の有無を判定する(ステップS51)。積載重量制約を満たさなくなる作業が有る場合、処理装置11は、積載重量制約を満たさなくなる作業に関する情報(制約情報)を含むリプライを生成する(ステップS52)。制約情報は、例えば、配車計画に含まれる作業のうち、積載重量制約を満たさなくなる作業を示す。ここでのリプライは、ドライバ端末から送信された不在情報(配送未完了通知)に対するリプライである。積載重量制約を満たさなくなる作業が無い場合、処理装置11は、通常のリプライを生成する(ステップS53)。通常のリプライは、ドライバ端末から送信された不在情報(配送未完了通知)に対するリプライであって、前述の制約情報を含まない。
【0091】
そして、処理装置11は、ステップS52又はステップS53で生成されたリプライを、不在情報を送信したドライバ端末へ送信する。
【0092】
図14は、ドライバ端末40A,40B,40Cにおける不在処理400(配送未完了処理)の手順を示している。不在処理400は、ドライバが、配車計画に従った配送作業の実施中に、配送地点が不在で配送できない荷物が発生した場合に、ドライバの不在操作によって実行開始される。ドライバがドライバ端末40A,40B,40Cに対して不在操作を行うと(ステップS61)、ドライバ端末40A,40B,40Cは、その不在操作を受け付ける。不在操作を付けつけたドライバ端末40A,40B,40Cは、配車計画装置10へ不在情報(配送未完了通知)を送信する(ステップS62)。不在情報を受信した配車計画装置10は、制約判定処理103A(
図13参照)において、ドライバ端末40A,40B,40Cへのリプライを生成、送信する。
【0093】
不在情報を送信したドライバ端末40A,40B,40Cは、リプライを配車計画装置10から受信する(ステップS63)。受信したリプライが、積載重量制約を満たさなくなる作業に関する制約情報を含んでいる場合(ステップS64)、リプライを受信したドライバ端末40A,40B,40Cは、所定の強調表示をする(ステップS65)。所定の強調表示は、ディスプレイ46に表示された配車計画に含まれる作業のうち、積載重量制約を満たさなくなる作業を、他の作業とは区別されるよう表示することである。なお、前述の説明では、不在情報を送信したドライバ端末40A,40B,40Cに対応する車両が、積載重量制約を満たすか否かの判定は、配車計画装置10が行ったが、ドライバ端末40A,40B,40Cが行ってもよい。
【0094】
図15は、第1車両31において、地点P3における配送が不在のために実施できなかった場合に、第1車両31に対応する第1ドライバ端末40Aのディスプレイ46に表示される配車計画表示画面の例を示している。ここで、第1車両31に対応するドライバ端末40Aは、
図12に示す第2配車計画230Bを受信しているものとする。
図15は、第1車両31のドライバは、第2配車計画に従って集配作業を実施したが、地点P3の不在であったことを示す。地点P3が不在であったため、地点P3で卸すべき荷物は第1車両31に積載されたままである。したがって、地点P3の出発時の積載重量は、第2配車計画(又は第1配車計画)における100kgではなく、200kgに更新される。また、地点P3以降の出発時積載重量も100kgずつ増加する。このため、地点P11における出発時積載重量は、第1車両31の積載重量制約である350kg(
図3参照)を超過した400kgになる。
図15では、地点P11における集荷作業を示す部分が強調表示されている。強調表示は、例えば、他の地点における作業とは、異なる色で示される表示である。
【0095】
図15のような表示は、ドライバに対して、積載重量に対する注意を促すために有用である。
【0096】
図16は、
図8に示す制約判定処理103Aの他の例を示している。
図16に示す制約判定処理103Aでは、不在により積載重量制約を満たさなくなる不適作業が有る場合、積載重量制約を満たすよう第3配車計画が生成される。
【0097】
図16に示す制約判定処理103Aを実行する処理装置11は、不在が原因で積載重量制約を満たさなくなる不適作業(その作業が行われる地点)の有無を判定する(ステップS81)。積載重量制約を満たさなくなる不適作業が有る場合、処理装置11は、車両データベース210の対象車両フラグを参照し、複数の車両それぞれが対象車両であるか非対象車両であるかを判別する(ステップS82)。
【0098】
続いて、処理装置11は、非対象車両である第2車両32、及び、積載重量を満たさない第1車両31を除く複数の車両(対象車両)のいずれかに、不適作業を割り当てる第3配車計画を、配車計画エンジン110を用いて生成する(ステップS83)。すなわち、不適作業が、対象車両のいずれかに割り当てられるよう現在の配車計画(第1配車計画又は第2配車計画)が更新されることで第3配車計画が生成される。ステップS83は、
図1に示す第3生成処理103Bに対応する。生成された第3配車計画は、配車計画データベース230に格納される。不適作業は、例えば、第3車両33に割り当てられる。
【0099】
処理装置11は、第3配車計画を、第3車両33に対応する第3ドライバ端末40Cへ送信する(ステップS84)。また、処理装置11は、不在情報を送信した第1ドライバ端末40Aへ不在情報のリプライを送信する(ステップS85)。
【0100】
図17は、配車計画装置10において実行される再配送処理105(
図1参照)を示している。再配送処理105では、不在により配送できなかった荷物の再配送のための第4配車計画が生成される。再配送処理105を実行する処理装置11は、不在であった配送先ユーザのユーザ端末60A,60B,60Cから再配送リクエストを受信する(ステップS71)。すると、処理装置11は、再配送すべき荷物を積載している車両に、再配送を割り当てた第4配車計画を生成する(ステップS72)。再配送リクエストは、配車計画装置10から送信された不在通知(
図8のステップS24参照)への応答として、ユーザ端末60A,60B,60Cから配車計画装置10へ送信される。再配送リクエストは、再配送すべき荷物を識別する情報を含み、再配送地点及び再配送希望時間帯などの再配送条件を含むことができる。再配送地点は、元の配送地点とは異なっていてもよい。
【0101】
第4配車計画は、再配送すべき荷物を積載している車両のための現在の配車計画に、再配送作業を割り当てることによって生成される。第4配車計画は、再配送条件に従って、配車計画エンジン110を用いて生成される。
【0102】
配車計画エンジン110は、再配送すべき車両が次に訪問すべき地点から帰着地点までの間に、再配送地点を訪問するよう第4配車計画を生成する。配車計画エンジン110は、再配送リクエストに含まれる再配送希望時間帯、未実施の集荷及び配送の希望時間帯、及び車両拠点への帰着時刻の制約条件を満たすように、再配送地点を訪問する第4配車計画を生成する(ステップS72)。すなわち、再配送が割り当てられるように、現在の配車計画(第1配車計画、第2配車計画又は第3配車計画)が更新されることで第4配車計画が生成される。制約条件を満たす第4配車計画の候補が複数生成される場合には、車両の帰着時刻が最も早い計画が第4配車計画として出力される。なお、ステップS72は、
図1に示す第4生成処理105Aに対応する。生成された第4配車計画は、配車計画データベース230に格納される。
【0103】
ただし、再配送希望時間帯によっては、再配送条件を含む制約条件を満たす第4配車計画が生成できない場合がある。そこで、ステップS73において、処理装置11は、制約条件を満たす第4配車計画が生成できたか否かを判定する。第4配車計画を生成できなかった場合、処理装置11は、再配送不可通知を、再配送リクエストの送信元のユーザ端末へ送信する(ステップS74)。再配送不可通知は、再配送条件に従った再配送ができないことをユーザに知らせるための通知である。再配送不可通知は、他の再配送希望時間帯の入力または選択を促す通知であってもよい。再配送不可通知は、ユーザが選択可能な1又は複数の再配送可能時間帯を含んでもよい。
【0104】
再配送不可通知を受信したユーザは、ユーザ端末を操作して、再度、他の再配送希望時間帯等の他の再配送条件を含む再配送リクエストを送信することができる。
【0105】
実施形態に係る配車計画装置10は、再配送条件に従った第4配車計画を生成できない場合、他の再配送条件に従った第4配車計画が生成できるまで、ステップS74及びステップS72を繰り返すよう構成されている。ステップS74は、再配送不可通知の送信であり、ステップS72は、他の再配送条件に従った第4配車計画の生成である。したがって、ユーザの希望に即した再配送が可能になるまで第4配車計画の生成が繰り返される。
【0106】
処理装置11は、再配送条件に従った第4配車計画を生成できた場合、その第4配車計画を、再配送を担う車両に対応するドライバ端末へ送信する(ステップS75)。本実施形態によれば、再配送リクエストが、直接、ドライバ端末へ送信されることが防止されている。その代わりに、再配送条件に従った第4配車計画が生成された場合に、その第4配車計画が、ドライバ端末へ送信される。生成された第4配車計画は、未実施の集荷及び配送の希望時間帯、及び車両拠点への帰着時刻の制約条件を満たすものであるため、ドライバが無理なく実施可能なものである。このように、本実施形態によれば、ドライバにとって実施困難な再配送条件を含む再配送リクエストが、ドライバ端末へ送信されるのを防止できる。
【0107】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1 :配車システム
10 :配車計画装置
11 :処理装置
12 :記憶装置
14 :コンピュータプログラム
15 :通信インタフェース
31 :第1車両
32 :第2車両
33 :第3車両
40A :第1ドライバ端末
40B :第2ドライバ端末
40C :第3ドライバ端末
41 :処理装置
42 :記憶装置
44 :コンピュータプログラム
45 :通信インタフェース
46 :ディスプレイ
51 :第1ユーザ
52 :第2ユーザ
53 :第3ユーザ
60A :第1ユーザ端末
60B :第2ユーザ端末
60C :第3ユーザ端末
70 :ネットワーク
100 :配車管理処理
101 :第1生成処理
102 :第2生成処理
103 :不在処理
103A :制約判定処理
103B :第3生成処理
104 :再配送完了処理
105 :再配送処理
105A :第4生成処理
110 :配車計画エンジン
210 :車両データベース
220 :リクエストデータベース
230 :配車計画データベース
230A :第1配車計画
230B :第2配車計画
400 :不在処理
B1 :荷物
B2 :荷物
B3 :荷物
B4 :荷物
B5 :荷物
B6 :荷物
P0 :地点
P1 :地点
P10 :地点
P11 :地点
P12 :地点
P2 :地点
P3 :地点
P4 :地点
P5 :地点
P6 :地点
P7 :地点
P8 :地点
P9 :地点