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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20250430BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20250430BHJP
   H01M 4/64 20060101ALI20250430BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
H01M4/64 A
H01M4/66 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021083991
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177606
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田崎 智之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 剛司
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-181688(JP,A)
【文献】特開2019-087343(JP,A)
【文献】特開2018-147807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01M 4/64- 4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロール、第2ロール、第3ロール、及び第4ロールを用いて帯状の金属箔の第1面側に電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む第1湿潤粉体を押し付けることにより第1電極層を成形し、且つ前記金属箔の第2面側に電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む第2湿潤粉体を押し付けることにより第2電極層を成形する電極の製造方法であって、
前記第2面に結着剤及び導電助剤を主成分とする結着層を成形する第1工程と、
前記第2ロールに前記結着層が接触した状態で、前記第2ロールの回転により前記金属箔が前記第1ロールと前記第2ロールとの間を通過し、前記第1ロールと前記第2ロールとの間で前記第1面側に前記第1電極層を成形する第2工程と、
前記第2工程後に前記第1電極層が前記第3ロールに接触した状態で、前記第3ロールの回転により前記金属箔及び前記第1電極層が前記第3ロールと前記第4ロールとの間を通過し、前記第3ロールと前記第4ロールとの間で前記結着層上に前記第2電極層を成形する第3工程と、を有し、
前記第1湿潤粉体に含まれる電極活物質は正極活物質及び負極活物質のいずれか一方であり、
前記第2湿潤粉体に含まれる電極活物質は正極活物質及び負極活物質のいずれか他方であることを特徴とする電極の製造方法。
【請求項2】
前記第3工程は、前記第2ロールの回転により搬送された前記金属箔に成形された前記第1電極層が前記第3ロールに接触した状態で実施することを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項3】
前記第1ロール、前記第2ロール、前記第3ロール、及び前記第4ロールは、金属製であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載される塗膜物の製造装置において、第一ロールと、第一ロールの回転と反対方向に回転する第二ロールとの間を被塗布物が通過する。被塗布物は、第二ロールの回転に応じた向きに搬送される。第一ロールと第二ロールとの間には、塗料供給ホッパーから合剤塗料が供給される。被塗布物に合剤塗料が塗膜状に塗布されることで塗膜物が製造される。第一ロール及び第二ロールの材料には金属が採用される。特許文献1に記載される塗膜物の製造装置によって、負極板を製造する場合、被塗布物としての銅箔に対し、負極活物質、結着剤、及び溶剤を含む負極合剤塗料が塗膜状に塗布されることで負極板が製造される。
【0003】
特許文献2には、金属箔に正極活物質層及び負極活物質層が成形されるバイポーラ電極が開示されている。負極活物質層は、金属箔の第1面に成形されている。正極活物質層は、金属箔の第2面に成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-164717号公報
【文献】特開2012-234823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、バイポーラ電極を上記の塗膜物の製造装置と同様の手法で成形することが検討されている。ところが、被塗布物が金属箔である場合、金属箔に合剤塗料を最初に塗布するときに金属箔がロールに接触する。このため、金属箔又はロールの摩耗が発生する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電極の製造方法は、第1ロール、第2ロール、第3ロール、及び第4ロールを用いて帯状の金属箔の第1面側に電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む第1湿潤粉体を押し付けることにより第1電極層を成形し、且つ前記金属箔の第2面側に電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む第2湿潤粉体を押し付けることにより第2電極層を成形する電極の製造方法であって、前記第2面に結着剤及び導電助剤を主成分とする結着層を成形する第1工程と、前記第2ロールに前記結着層が接触した状態で、前記第2ロールの回転により前記金属箔が前記第1ロールと前記第2ロールとの間を通過し、前記第1ロールと前記第2ロールとの間で前記第1面側に前記第1電極層を成形する第2工程と、前記第2工程後に前記第1電極層が前記第3ロールに接触した状態で、前記第3ロールの回転により前記金属箔及び前記第1電極層が前記第3ロールと前記第4ロールとの間を通過し、前記第3ロールと前記第4ロールとの間で前記結着層上に前記第2電極層を成形する第3工程と、を有し、前記第1湿潤粉体に含まれる電極活物質は正極活物質及び負極活物質のいずれか一方であり、前記第2湿潤粉体に含まれる電極活物質は正極活物質及び負極活物質のいずれか他方である
【0007】
これによれば、第2工程において金属箔に第1電極層を成形するとき、第1工程で成形した結着層が第2ロールに接触する。このため、金属箔又は第2ロールの摩耗を抑制できる。同様に、第3工程において金属箔に第2電極層を成形するとき、第1電極層が第3ロールに接触するため、金属箔又は第3ロールの摩耗を抑制できる。したがって、金属箔又はロールの摩耗を抑制できる。
【0009】
上記の電極の製造方法において、前記第3工程は、前記第2ロールの回転により搬送された前記金属箔に成形された前記第1電極層を前記第3ロールに接触した状態で実施するとよい。
【0010】
これによれば、連続して搬送される金属箔に対して第2工程と第3工程を行うことができるため、金属箔に第1電極層及び第2電極層を連続して成形できる。第2工程後の金属箔を一度巻き取って搬送を止めた後に、その巻き取った金属箔を再び搬送させて第3工程を実施する場合と比較して、効率よく電極を製造できる。
【0011】
上記の電極の製造方法において、前記第1ロール、前記第2ロール、前記第3ロール、及び前記第4ロールは、金属製であるとよい。
これによれば、第1ロール、第2ロール、第3ロール、及び第4ロールは、樹脂等と比較して硬質である金属製であるため、4つのロールの摩耗を抑制し易くなる。また、4つのロールが金属製であることにより4つのロールの剛性を確保できる。このため、第2工程及び第3工程を実施するときのロールの変形が抑制できる。よって、金属箔に成形される第1電極層及び第2電極層の厚さのばらつきを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、金属箔又はロールの摩耗を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電極製造装置の概略図。
図2】結着層を金属箔の第2面に成形するときの断面斜視図。
図3】第1電極層を金属箔の第1面に成形するときの断面斜視図。
図4】第2電極層を金属箔の第2面側に成形するときの断面斜視図。
図5図1の5-5線で切断したときの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電極の製造方法を具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。なお、電極の製造方法の説明にあたり、電極製造装置の構成についても説明する。
図1に示すように、電極製造装置1は、長尺帯状の金属箔50の第1面S1に第1湿潤粉体P1を押し付けることにより第1電極層61を成形し、且つ金属箔50の第2面S2側に第2湿潤粉体P2を押し付けることにより第2電極層62を成形する装置である。電極製造装置1では、金属箔50が連続して搬送されている。電極製造装置1は、連続して搬送される金属箔50に対して第1電極層61及び第2電極層62を連続して成形する装置である。
【0015】
<電極の構成>
図1に示すように、電極70は、金属箔50、第1電極層61、第2電極層62、及び結着層63を備えている。
【0016】
金属箔50は、長尺帯状の銅箔51と、長尺帯状のアルミニウム箔52とを貼り合わせて形成されている。金属箔50は、厚さ1mm以下である。金属箔50の幅及び長さは、厚さよりも大きい。金属箔50の第1面S1は、銅箔51の厚さ方向の両面のうちアルミニウム箔52に貼り合わされた面の反対面である。金属箔50の第2面S2は、アルミニウム箔52の厚さ方向の両面のうち銅箔51に貼り合わされた面の反対面である。金属箔50は、アルミニウム箔52の一方の面に銅メッキを施したものであってもよい。金属箔50は、1種類の金属材料で1枚をなすように形成されていてもよい。なお、図1に記載される金属箔50、第1電極層61、第2電極層62、及び結着層63の厚さは、誇張して記載している。
【0017】
結着層63は、金属箔50の第2面S2に設けられている。第2電極層62は、結着層63上に成形されている。結着層63は、第2電極層62を金属箔50の第2面S2に結着している。第2電極層62は、結着層63を基準として金属箔50とは反対に成形されている。このため、第2電極層62は、金属箔50の第2面S2側に成形されているといえる。結着層63は、結着剤及び導電助剤を主成分とする。結着層63は、結着剤及び導電助剤を主成分としていればよく、その他の材料を含み得る。
【0018】
結着剤は、金属箔50と第2電極層62とを結着する機能を有するものであればよく、その種類は特に限定されない。結着剤としては、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を例示できる。結着剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸やメタクリル酸等のモノマー単位を含むアクリル系樹脂を例示できる。結着剤としては、親水基を有するポリマーが採用されてもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。
【0019】
親水基を有するポリマーの具体例としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。親水基を有するポリマーの具体例としては、ポリメタクリル酸等の分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p-スチレンスルホン酸)等のスルホ基を含むポリマーが挙げられる。親水基を有するポリマーの具体的としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールが挙げられる。ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体等、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。
【0020】
親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。なお、結着剤としては、上記の各種の結着剤を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0021】
導電助剤は、化学的に不活性な電子高伝導体であればよい。導電助剤としては、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維、カーボンナノチューブ、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独又は二種以上組み合わせて電極材料に添加できる。
【0022】
<第1湿潤粉体及び第2湿潤粉体の構成>
第1湿潤粉体P1及び第2湿潤粉体P2は、電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む流動性が乏しい材料である。第1湿潤粉体P1及び第2湿潤粉体P2は、溶剤中に固形分が60質量%~90質量%の範囲で分散されている材料である。固形分は、第1湿潤粉体P1及び第2湿潤粉体P2から溶剤を乾燥等により分離した後に残存するものである。固形分は、電極活物質及び結着剤を含む電極材料である。
【0023】
第1湿潤粉体P1に含まれる電極活物質は、負極活物質である。負極活物質としては、電荷担体を吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。負極活物質は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。例えば、負極活物質としては、リチウム、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫等の14族元素、アルミニウム、インジウム等の13族元素をそれぞれ単体で採用してもよい。また、負極活物質としては、亜鉛、カドミウム等の12族元素、アンチモン、ビスマス等の15族元素、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、銀、金等の11族元素をそれぞれ単体で採用してもよい。合金の具体例としては、Ag-Sn合金、Cu-Sn合金、Co-Sn合金等の錫系材料が挙げられる。化合物の具体例としては、各種黒鉛等の炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)等のケイ素系材料が挙げられる。化合物の具体例としては、ケイ素単体もしくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。負極活物質として、Nb、TiO、LiTi12、WO、MoO、Fe等の酸化物、又は、Li-xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用できる。
【0024】
第2湿潤粉体P2に含まれる電極活物質は、正極活物質である。正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、1.7≦f≦3、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1つの元素)で表されるリチウム複合金属酸化物、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質としては、LiMn等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)等で表されるポリアニオン系化合物が挙げられる。正極活物質としては、LiFePOF等のLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO等のLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物が挙げられる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
【0025】
第1湿潤粉体P1及び第2湿潤粉体P2に含まれる結着剤としては、結着層63に含まれる結着剤として例示したものの中から一種以上を適宜選択すればよい。第1湿潤粉体P1及び第2湿潤粉体P2に含まれる結着剤は、結着層63に含まれる結着剤と同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。なお、本実施形態において、第2湿潤粉体P2に含まれる結着剤、及び結着層63に含まれる結着剤は、同じ溶剤に溶解するものであることが好ましい。
【0026】
固形分を分散する溶剤としては、特に限定されないが、水、N-メチル-2-ピロリドン、アルコール等が採用される。後述するように第1湿潤粉体P1及び第2湿潤粉体P2をロールプレスにより金属箔50に押し付ける場合、溶剤には、ロールの加圧面での圧縮時における潤滑性に優れるN-メチル-2-ピロリドンが含まれることが好ましい。なお、溶剤は、その一部又は全部に電極材料に分類される材料を採用することもできる。また、溶剤は、固形分の一部又は全部を溶解できるものであってもよい。
【0027】
<電極製造装置の構成>
図1に示すように、電極製造装置1は、第1ロール11と、第2ロール12と、第3ロール13と、第4ロール14とを備えている。第1ロール11、第2ロール12、第3ロール13、及び第4ロール14は、金属製である。第1ロール11、第2ロール12、第3ロール13、及び第4ロール14それぞれの直径は、全て同じである。第1ロール11、第2ロール12、第3ロール13、及び第4ロール14それぞれの軸線は、互いに平行となるように同じ方向に延びている。第1ロール11のロール面及び第4ロール14のロール面は、フッ素樹脂コートされている。なお、第1ロール11、第2ロール12、第3ロール13、及び第4ロール14は、樹脂製であってもよい。
【0028】
第2ロール12は、第1ロール11に対して所定の第1距離をおいた位置に配置されている。第3ロール13は、第2ロール12における第1ロール11とは反対側に配置されている。第3ロール13は、第2ロール12に対して所定の第2距離をおいた位置に配置されている。第4ロール14は、第3ロール13における第2ロール12とは反対側に配置されている。第4ロール14は、第3ロール13に対して所定の第3距離をおいた位置に配置されている。4つのロール11,12,13,14の軸線が延びる方向を軸線方向とする。4つのロール11,12,13,14を軸線方向の外方から見たとき、4つのロール11,12,13,14は、重力方向Aにおいて同じ高さに配置されている。図示しないが、4つのロール11,12,13,14を重力方向Aの上方から見たとき、軸線方向における4つのロール11,12,13,14の第1端は、水平方向Bで一列に配置される。同様に、図示しないが、4つのロール11,12,13,14を重力方向Aの上方から見たとき、軸線方向における4つのロール11,12,13,14の第2端は、水平方向Bで一列に配置される。なお、第2距離は、第1距離及び第3距離よりも十分に大きい。第1距離は、第3距離よりも若干小さい。
【0029】
電極製造装置1は、第1ガイドロール21、第2ガイドロール22、第3ガイドロール23、及び第4ガイドロール24を備えている。第1ガイドロール21、第2ガイドロール22、第3ガイドロール23、及び第4ガイドロール24は、円柱状をなしている。第1ガイドロール21、第2ガイドロール22、第3ガイドロール23、及び第4ガイドロール24それぞれの直径は、全て同じである。第1ガイドロール21、第2ガイドロール22、第3ガイドロール23、及び第4ガイドロール24それぞれの軸線は、互いに平行となるように同じ方向に延びている。4つのガイドロール21,22,23,24それぞれの軸線が延びる方向は、4つのロール11,12,13,14それぞれの軸線が延びる方向と同じである。
【0030】
第1ガイドロール21を軸線方向の外方から見たとき、第1ガイドロール21は、重力方向Aにおいて第2ロール12よりも上方に配置されている。第1ガイドロール21を軸線方向の外方から見たとき、第1ガイドロール21は、水平方向Bにおいて第3ロール13よりも第2ロール12寄りに配置されている。
【0031】
第2ガイドロール22を軸線方向の外方から見たとき、第2ガイドロール22は、重力方向Aにおいて第2ロール12よりも下方に配置されている。第2ガイドロール22を軸線方向の外方から見たとき、第2ガイドロール22は、水平方向Bにおいて第1ロール11よりも第2ロール12寄りに配置されている。第3ガイドロール23を軸線方向の外方から見たとき、第3ガイドロール23は、重力方向Aにおいて第3ロール13よりも下方に配置されている。第3ガイドロール23を軸線方向の外方から見たとき、第3ガイドロール23は、水平方向Bにおいて第2ロール12よりも第3ロール13寄りに配置されている。第4ガイドロール24を軸線方向の外方から見たとき、第4ガイドロール24は、重力方向Aにおいて第4ロール14よりも下方に配置されている。第4ガイドロール24を軸線方向の外方から見たとき、第4ガイドロール24は、水平方向Bにおいて第3ロール13よりも第4ロール14寄りに配置されている。
【0032】
電極製造装置1は、第1動力部31と、第2動力部32と、制御部33とを備えている。第1動力部31は、第2ロール12を軸線回りに回転させる。第2動力部32は、第3ロール13を軸線回りに回転させる。第1動力部31及び第2動力部32は、例えば電動モータである。制御部33は、プロセッサと、記憶部と、を備えている。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random access memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部33は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部33は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。制御部33は、第1動力部31と第2動力部32とを制御することにより第2ロール12の回転する速度、及び第3ロール13の回転する速度を制御する。
【0033】
第1ロール11と第2ロール12とは、図示しない第1動力伝達機構により接続されている。第2ロール12が回転すると、第1動力伝達機構により第1ロール11は、第2ロール12の回転する方向とは反対の方向に回転される。第1動力伝達機構は、所定のギヤ比が設定された歯車機構である。第1動力伝達機構のギヤ比は、第1ロール11の回転する速度が、第2ロール12の回転する速度よりも若干遅くなるように設定されている。第3ロール13と第4ロール14とは、図示しない第2動力伝達機構により接続されている。第3ロール13が回転すると、第2動力伝達機構により第4ロール14は、第3ロール13の回転する方向とは反対の方向に回転される。第2動力伝達機構は、所定のギヤ比が設定された歯車機構である。第2動力伝達部のギヤ比は、第4ロール14の回転する速度が、第3ロール13の回転する速度よりも若干遅くなるように設定されている。
【0034】
金属箔50は、図示しない供給ロールに巻かれている。供給ロールは、第1ガイドロール21の上方に配置されている。図示しない巻取ロールは、第4ガイドロール24の側方に配置されている。供給ロールから繰り出された金属箔50は、電極製造装置1を通過して巻取ロールに巻き取られるようになっている。具体的には、供給ロールから下方へ繰り出された金属箔50は、第1ガイドロール21によって第2ロール12に向かうように向きが変更されて水平方向Bに搬送される。第1ガイドロール21によって向きが変更された金属箔50は、第2ロール12に巻き掛けられている。金属箔50は、第1ロール11と第2ロール12との間を通過した後、第2ガイドロール22によって第3ガイドロール23に向かうように向きが変更されて水平方向Bに搬送される。金属箔50は、第3ガイドロール23によって重力方向Aの上方に向かうように向きが変更されて重力方向Aに搬送される。第3ガイドロール23によって向きが変更された金属箔50は、第3ロール13に巻き掛けられている。金属箔50は、第3ロール13と第4ロール14との間を通過した後、第4ガイドロール24によって巻取ロールに向かうように向きが変更されて水平方向Bに搬送される。その後、金属箔50は、巻取ロールに巻き取られる。なお、金属箔50を搬送する方向を搬送方向Dとすると、金属箔50を搬送方向Dに搬送する動力は、第2ロール12の回転力及び第3ロール13の回転力である。また、搬送方向Dは、長尺帯状の金属箔50の長手方向に一致している。
【0035】
電極製造装置1は、第1湿潤粉体供給装置41と、第2湿潤粉体供給装置42とを備えている。第1湿潤粉体供給装置41には、第1湿潤粉体P1が充填されている。第1湿潤粉体供給装置41は、第1ロール11及び第2ロール12の上方に配置されている。第1湿潤粉体供給装置41の下部は、第1ロール11と第2ロール12との間に挿入されている。第1湿潤粉体供給装置41は、第2ロール12よりも第1ロール11寄りに配置されている。第1湿潤粉体供給装置41の供給口41aは、第1ロール11と第2ロール12との間において、第2ロール12よりも第1ロール11寄りに設けられている。
【0036】
第2湿潤粉体供給装置42には、第2湿潤粉体P2が充填されている。第2湿潤粉体供給装置42は、第3ロール13及び第4ロール14の上方に配置されている。第2湿潤粉体供給装置42の下部は、第3ロール13と第4ロール14との間に挿入されている。第2湿潤粉体供給装置42は、第3ロール13よりも第4ロール14寄りに配置されている。第2湿潤粉体供給装置42の供給口42aは、第3ロール13と第4ロール14との間において、第3ロール13よりも第4ロール14寄りに設けられている。
【0037】
電極製造装置1は、乾燥装置80を備えている。乾燥装置80としては、熱風乾燥炉、IR乾燥炉、ホットプレート、及びヒートロールが例示される。乾燥装置80は、第2ロール12の下方に配置されている。
【0038】
上記の電極製造装置1において、搬送方向Dにおける上流から下流に向けての金属箔50の流れ、及び第1電極層61及び第2電極層62の成形順を含め電極70の製造方法について以下説明する。
【0039】
<電極の製造方法>
電極70の製造方法は、第1工程Pr1、第2工程Pr2、第3工程Pr3、及び乾燥工程Prdを有している。第1工程Pr1は、金属箔50の第2面S2に結着層63を成形する工程である。
【0040】
図1及び図2に示すように、第1工程Pr1を詳細に説明する。第1工程Pr1では、結着剤及び導電助剤を主成分とする塗料を金属箔50の第2面S2に押し付けることにより結着層63を成形する。本実施形態の第1工程Pr1において、結着層63は、図示しない乾燥装置により十分に乾燥させられている。金属箔50の長手方向に直交し、且つ金属箔50の厚さ方向に直交する方向を金属箔50の幅方向Cとする。幅方向Cは、搬送方向Dに直交している。第1工程Pr1において、結着層63の幅方向Cにおける塗布幅W3は、金属箔50の幅方向Cの幅W1よりも狭く設定されている。結着層63は、幅方向Cにおいて、金属箔50の幅方向Cの両側に結着層63が塗布されていない未塗工部を形成するようにプレスされる。
【0041】
次に、第2工程Pr2について説明する。第2工程Pr2は、第1工程Pr1後に行われる。第2工程Pr2は、第1ロール11と第2ロール12との間で第1面S1に第1電極層61を成形する工程である。第2工程Pr2では、第2ロール12に結着層63が接触した状態で、第2ロール12の回転により金属箔50が第1ロール11と第2ロール12との間を通過する。
【0042】
図1に示すように、第2工程Pr2を詳細に説明する。電極製造装置1を通過する金属箔50の第1面S1が第1ガイドロール21に接触している。第2ロール12の回転により金属箔50及び結着層63が第1ロール11と第2ロール12との間を通過する。金属箔50の第1面S1と、第1ロール11とは接触していない。
【0043】
第1ロール11と第2ロール12との間を金属箔50が通過した状態で、第1湿潤粉体供給装置41の供給口41aから第1湿潤粉体P1が連続供給される。第1ロール11の回転により第1湿潤粉体P1が金属箔50の第1面S1に向けて押し付けられる。第1湿潤粉体P1は、第1ロール11及び第2ロール12により金属箔50の厚さ方向にプレスされる。金属箔50の第1面S1に第1湿潤粉体P1が押し付けられることにより金属箔50の第1面S1に第1電極層61が成形される。ここで、上述した第1距離は、金属箔50の第1面S1に成形される第1電極層61が所定の厚さとなるように設定されている。なお、第1ロール11と第2ロール12との間を通過した直後の第1電極層61は、第1湿潤粉体P1に含まれる溶剤が除去されていない。第1ロール11と第2ロール12との間を通過した直後の第1電極層61は、負極活物質層の前駆体である。
【0044】
図3に示すように、第2工程Pr2において、第1湿潤粉体P1の幅方向Cにおける塗布幅W2は、金属箔50の幅方向Cにおける幅W1よりも狭く設定されている。第1湿潤粉体P1は、金属箔50の幅方向Cの両側に第1湿潤粉体P1が押し付けられていない未塗工部を形成するようにプレスされている。
【0045】
図2図3、及び図5に示すように、第2工程Pr2における第1湿潤粉体P1の塗布幅W2は、第1工程Pr1における結着層63の塗布幅W3よりも広く設定されている。金属箔50の厚さ方向において、結着層63は第1電極層61が設けられる範囲内に位置している。なお、金属箔50の厚さ方向において、結着層63の厚さは、第1電極層61の厚さ、及び第2電極層62の厚さに対して十分に薄く、第2工程Pr2に影響を及ぼさない程度に設定されている。
【0046】
次に、乾燥工程Prdについて説明する。乾燥工程Prdは、第1電極層61が乾燥装置80により乾燥させられる工程である。乾燥工程Prdでは、第1電極層61の乾燥は、第2ロール12と第3ロール13との間を搬送される間に行われる。
【0047】
図1に示すように、第1電極層61が成形された直後の金属箔50は、第2ガイドロール22に結着層63が接触した状態で、乾燥装置80に向けて搬送される。乾燥装置80により第1電極層61が乾燥させられる。乾燥後の第1電極層61は、第1湿潤粉体P1から溶剤が除去された負極活物質層である。
【0048】
次に、第3工程Pr3について説明する。第3工程Pr3は、第2工程Pr2後に行われる。第3工程Pr3は、第3ロール13と第4ロール14との間で金属箔50の第2面S2側に第2電極層62を成形する工程である。第3工程Pr3では、第1電極層61が第3ロール13に接触した状態で、第3ロール13の回転により金属箔50及び第1電極層61が第3ロール13と第4ロール14との間を通過する。
【0049】
詳細に説明すると、乾燥装置80を通過した金属箔50に成形された結着層63は、第3ガイドロール23に接触している。第3ロール13の回転により第1電極層61が成形された金属箔50が第3ロール13と第4ロール14との間を通過する。金属箔50に成形された結着層63と、第4ロール14とは接触していない。
【0050】
第3ロール13と第4ロール14との間に第1電極層61及び金属箔50が通過した状態で、第2湿潤粉体供給装置42の供給口42aから第2湿潤粉体P2が連続供給される。第4ロール14の回転により第2湿潤粉体P2が結着層63に押し付けられる。第2湿潤粉体P2は、第3ロール13及び第4ロール14により金属箔50の厚さ方向にプレスされる。結着層63に第2湿潤粉体P2が押し付けられることにより金属箔50の第2面S2側に第2電極層62が成形される。ここで、上述した第3距離は、金属箔50の第2面S2側に成形される第2電極層62が所定の厚さとなるように設定されている。なお、第3ロール13と第4ロール14との間を通過した直後の第2電極層62は、第2湿潤粉体P2に含まれる溶剤が除去されていない。第3ロール13と第4ロール14との間を通過した直後の第2電極層62は、正極活物質層の前駆体である。
【0051】
図4に示すように、第3工程Pr3において、第2湿潤粉体P2の幅方向Cにおける塗布幅W3は、結着層63の塗布幅W3と同じである。
図4及び図5に示すように、金属箔50の厚さ方向において、第2電極層62は、結着層63が設けられている位置と同じ位置に成形されている。金属箔50の厚さ方向において、第2電極層62は、第1電極層61が設けられる範囲内に位置している。
【0052】
図1に示すように、第2電極層62が成形された直後の金属箔50は、第4ガイドロール24に乾燥前の第2電極層62を接触させた状態で、搬送方向Dの下流に搬送される。第2電極層62は、搬送方向Dにおける第4ガイドロール24よりも下流に配置される図示しない乾燥装置で適宜乾燥させられる。第2電極層62の乾燥が完了すると電極70が完成する。電極製造装置1により製造された電極70は、銅箔51とアルミニウム箔52とを一つの金属箔50とみなした疑似的なバイポーラ電極である。電極70には、金属箔50の搬送方向Dの全長に亘って第1電極層61及び第2電極層62が成形される。電極70の製造方法は、4つのロール11,12,13,14を用いて帯状の金属箔50に第1電極層61及び第2電極層62を成形する製造方法であって、第1工程Pr1と、第2工程Pr2と、第3工程Pr3と、乾燥工程Prdとを有している。
【0053】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
第2工程Pr2において金属箔50の第1面S1に第1電極層61を成形するとき、第1工程Pr1で金属箔50の第2面S2に成形した結着層63が第2ロール12に接触する。また、第2工程Pr2において金属箔50に第1電極層61を成形するとき、金属箔50の第面Sと第1ロール11とは接触しない。同様に第3工程Pr3において金属箔50の第2面S2側に第2電極層62を成形するとき、第2工程Pr2で金属箔50の第1面S1に成形した第1電極層61が第3ロール13に接触する。また、第3工程Pr3において金属箔50の第2面S2側に第2電極層62を成形するとき、金属箔50に成形された結着層63と第4ロール14とは接触しない。すなわち、電極70を製造するにあたり、金属箔50の両面S1,S2と4つのロール11,12,13,14は接触しない。
【0054】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)金属箔50は、駆動力を有する金属箔50を搬送する第2ロール12及び第3ロール13に接触しないため、第2ロール12と金属箔50、及び第3ロール13と金属箔50との摩耗を抑制できる。さらに、金属箔50の両面S1,S2と4つのロール11,12,13,14とが接触しないため、金属箔50又は4つのロール11,12,13,14との摩耗を抑制できる。また、摩耗粉の電極70への混入が低減できる。
【0055】
(2)第2湿潤粉体P2に含まれる結着剤及び溶剤が例えば水系である場合、第2電極層62は水系の正極活物質層となる。第2電極層62が水系の正極活物質層であると、第2電極層62は金属箔50に密着し難くなる虞がある。その点、本実施形態では、第2湿潤粉体P2に含まれる電極活物質を正極活物質とし、第2電極層62を結着層63上に成形する。このため、第2電極層62が水系の正極活物質層であっても結着層63を介して第2電極層62を金属箔50に密着させることができる。
【0056】
(3)連続して搬送される金属箔50に対して第2工程Pr2と第3工程Pr3を行うことができるため、金属箔50に第1電極層61及び第2電極層62を連続して成形できる。第2工程Pr2後の金属箔50を一度巻き取って搬送を止めた後に、その巻き取った金属箔50を再び搬送させて第3工程Pr3を実施する場合と比較して、効率よく電極70を製造できる。
【0057】
(4)第1ロール11、第2ロール12、第3ロール13、及び第4ロール14は、樹脂等と比較して硬質である金属製であるため、4つのロール11,12,13,14の摩耗を抑制し易くなる。また、4つのロール11,12,13,14が金属製であることにより4つのロール11,12,13,14の剛性を確保できる。このため、第2工程Pr2及び第3工程Pr3を実施するときの4つのロール11,12,13,14の変形が抑制できる。よって、金属箔50に成形される第1電極層61及び第2電極層62の厚さのばらつきを抑制できる。
【0058】
(5)乾燥装置80により第1電極層61をなす第1湿潤粉体P1の溶剤を除去できる。第3工程Pr3で第1電極層61が第3ロール13に貼り付き難くできる。
(6)第1ロール11のロール面及び第4ロール14のロール面がフッ素樹脂コートされている。このため、第1湿潤粉体P1を第1ロール11によって金属箔50の第1面S1に押し付けるとき、第1ロール11から第1湿潤粉体P1を離型し易くできる。また、第2湿潤粉体P2を第4ロール14によって結着層63に押し付けるとき、第4ロール14から第2湿潤粉体P2を離型し易くできる。
【0059】
<変更例>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0060】
○ 第3工程Pr3は、第2ロール12の回転により搬送された金属箔50に成形された第1電極層61が第3ロール13に接触した状態で実施されたが、これに限らない。例えば、第2工程Pr2後の金属箔50を一度巻き取った後、巻き取った金属箔50を使用して第3工程Pr3を実施してもよい。
【0061】
○ 金属箔50の第1面S1にも結着層63を設けてもよい。この場合、金属箔50の第1面S1に成形された結着層63上に第1電極層61が成形される。すなわち、金属箔50の第1面S1側に第1電極層61が成形される。
【0062】
○ 第1湿潤粉体P1に含まれる電極活物質を正極活物質に変更し、且つ第2湿潤粉体P2に含まれる電極活物質を負極活物質に変更してもよい。この場合、金属箔50のアルミニウム箔52における銅箔51とは反対に位置する面を第1面S1とし、金属箔50の銅箔51におけるアルミニウム箔52とは反対に位置する面を第2面S2とする。また、第2湿潤粉体P2の塗布幅W3を第1湿潤粉体P1の塗布幅W2よりも広く設定する。同様に、結着層63の幅方向Cにおける塗布幅を、塗布幅W2と同じに設定する。
【0063】
○ 第1ロール11のロール面及び第4ロール14のロール面には、フッ素樹脂コート以外の表面処理を実施してもよい。第1ロール11から第1湿潤粉体P1を離型し易くでき、且つ第4ロール14から第2湿潤粉体P2を離型し易くできればよい。なお、第1ロール11のロール面及び第4ロール14のロール面のフッ素樹脂コートを割愛し、表面処理を実施しなくてもよい。
【0064】
○ 第1ロール11、第2ロール12、第3ロール13、及び第4ロール14それぞれの直径は異なっていてもよい。
○ 第1ロール11、第2ロール12、第3ロール13、及び第4ロール14の重力方向A及び水平方向Bにおける配置は適宜変更してもよい。
【0065】
○ 電極製造装置1において、第2ガイドロール22及び第3ガイドロール23を割愛してもよい。この場合、第2ロール12により搬送された金属箔50が第3ロール13に直接搬送されるように変更する。なお、電極製造装置1において、第1ガイドロール21及び第4ガイドロール24も割愛してもよい。
【0066】
○ 第1ロール11及び第4ロール14は、独立して回転するロールに変更してもよい。この場合、第1ロール11及び第4ロール14それぞれを回転させる動力部を設け、当該動力部を制御部33により制御するとよい。
【0067】
○ 搬送方向Dにおける第4ガイドロール24よりも上流に第2電極層62を乾燥させる乾燥装置を設けてもよい。
○ 乾燥装置80を第3ロール13及び第4ロール14よりも搬送方向Dの下流に設けるように変更してもよい。この場合、乾燥装置80により第1電極層61及び第2電極層62を同時に乾燥させてもよい。
【0068】
○ 第1工程Pr1において、結着層63は、図示しない乾燥装置により十分に乾燥させられていたが、乾燥させられなくてもよい。結着層63は、第1電極層61とともに乾燥装置80で乾燥させられてもよい。また、上記の変更例と同様に、結着層63は、第1電極層61及び第2電極層62とともに乾燥させられてもよい。
【0069】
○ 乾燥装置80を割愛してもよい。すなわち、電極70の製造方法から乾燥工程Prdを割愛してもよい。このように変更する場合、第1湿潤粉体P1に含まれる溶剤に、N-メチル-2-ピロリドンが含まれることが好ましい。
【符号の説明】
【0070】
1…電極製造装置、11…第1ロール、12…第2ロール、13…第3ロール、14…第4ロール、21…第1ガイドロール、22…第2ガイドロール、23…第3ガイドロール、24…第4ガイドロール、31…第1動力部、32…第2動力部、33…制御部、41…第1湿潤粉体供給装置、41a…供給口、42…第2湿潤粉体供給装置、42a…供給口、50…金属箔、51…銅箔、52…アルミニウム箔、61…第1電極層、62…第2電極層、63…結着層、70…電極、80…乾燥装置、S1…第1面、S2…第2面、P1…第1湿潤粉体、P2…第2湿潤粉体、W2…第1湿潤粉体の塗布幅、W3…第2湿潤粉体の塗布幅、A…重力方向、B…水平方向、C…幅方向、D…搬送方向、Pr1…第1工程、Pr2…第2工程、Pr3…第3工程、Prd…乾燥工程。
図1
図2
図3
図4
図5