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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/215 20160101AFI20250430BHJP
   H02K 29/08 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K29/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022007239
(22)【出願日】2022-01-20
(65)【公開番号】P2023106099
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2024-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 遼
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-115164(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123880(WO,A1)
【文献】特開2021-065011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0083510(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0298196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/215
H02K 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象と、
前記検出対象を収容する筐体と、
前記筐体の外側に取り付けられた基板と、
前記基板における前記筐体の側に取り付けられ、前記検出対象を検出するように構成されたセンサと、
前記基板の厚み方向から見て前記センサと重なる位置に形成された前記筐体の孔と、
前記基板と前記筐体との間に充填されたゲルと、
前記厚み方向から見て前記筐体の孔の周囲に位置する、前記基板の孔と、
前記筐体のうち、前記厚み方向から見て前記筐体の孔の周囲の部分に形成され、前記基板の方向に突出する突出部と、
を備え
前記厚み方向から見たとき、前記基板の孔のうち、前記筐体の孔の側の部分は、前記突出部と重なる位置にある、
検出装置。
【請求項2】
検出対象と、
前記検出対象を収容する筐体と、
前記筐体の外側に取り付けられた基板と、
前記基板における前記筐体の側に取り付けられ、前記検出対象を検出するように構成されたセンサと、
前記基板の厚み方向から見て前記センサと重なる位置に形成された前記筐体の孔と、
前記基板と前記筐体との間に充填されたゲルと、
前記厚み方向から見て前記筐体の孔の周囲に位置する、前記基板の孔と、
を備え、
前記基板の孔の形状は円形であり
前記基板の孔として、第1の径を有する第1の孔と、前記第1の径よりも大きい第2の径を有する第2の孔とを備え、
前記厚み方向から見たとき、前記第1の孔は、前記第2の孔を挟むように配置されている、
検出装置。
【請求項3】
検出対象と、
前記検出対象を収容する筐体と、
前記筐体の外側に取り付けられた基板と、
前記基板における前記筐体の側に取り付けられ、前記検出対象を検出するように構成されたセンサと、
前記基板の厚み方向から見て前記センサと重なる位置に形成された前記筐体の孔と、
前記基板と前記筐体との間に充填されたゲルと、
前記厚み方向から見て前記筐体の孔の周囲に位置する、前記基板の孔と、
を備え、
前記基板の孔の径は、前記厚み方向に沿って前記筐体の側へ進むほど大きい、
検出装置。
【請求項4】
検出対象と、
前記検出対象を収容する筐体と、
前記筐体の外側に取り付けられた基板と、
前記基板における前記筐体の側に取り付けられ、前記検出対象を検出するように構成されたセンサと、
前記基板の厚み方向から見て前記センサと重なる位置に形成された前記筐体の孔と、
前記基板と前記筐体との間に充填されたゲルと、
前記厚み方向から見て前記筐体の孔の周囲に位置する、前記基板の孔と、
前記筐体のうち、前記厚み方向から見て、前記基板の孔を経て前記筐体の孔へ向かう経路を挟む部分に形成され、前記基板の方向に突出するガイド部と、
を備える検出装置。
【請求項5】
請求項に記載の検出装置であって、
前記基板の孔を複数備え、
前記ガイド部は、複数の前記基板の孔のそれぞれに対応して形成されている、
検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に機電一体型モータが開示されている。機電一体型モータは、センサマグネットと、筐体と、基板と、センサとを備える。筐体はセンサマグネットを収容する。基板は、筐体の外側に取り付けられている。センサは、基板における筐体の側に取り付けられている。センサは、センサマグネットからの磁束を検出する。基板と筐体との間に放熱ゲルが充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-065011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機電一体型モータでは、一般的に、センサとセンサマグネットとのギャップを小さくするため、筐体に孔が形成される。センサは、筐体の孔の中に配置される。放熱ゲルが、筐体の孔の中に入り込み、センサマグネットの上に落下するおそれがある。放熱ゲルの落下を抑制するため、特許文献1に開示されているように、高透磁率材料により筐体の孔を塞ぐことが考えられる。
【0005】
しかしながら、高透磁率材料を適切な位置に取り付ける工程は困難である。本開示の1つの局面では、必ずしも筐体の孔を塞がなくても、放熱ゲル等のゲルが検出対象の上に落下することを抑制できる検出装置を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面は、検出対象と、前記検出対象を収容する筐体と、前記筐体の外側に取り付けられた基板と、前記基板における前記筐体の側に取り付けられ、前記検出対象を検出するように構成されたセンサと、前記基板の厚み方向から見て前記センサと重なる位置に形成された前記筐体の孔と、前記基板と前記筐体との間に充填されたゲルと、前記厚み方向から見て前記筐体の孔の周囲に位置する、前記基板の孔と、を備える検出装置である。
【0007】
本開示の1つの局面である検出装置は、必ずしも筐体の孔を塞がなくても、放熱ゲル等のゲルが検出対象の上に落下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】機電一体型モータを回路基板が設けられた後方側から見た平面図である。
図2図1示す機電一体型モータにおいて回路基板を取り外した状態を表す平面図である。図2には、回路基板の第2面と、第2面に取り付けられた構成とを併せて示す。
図3】磁気センサとセンサマグネットとの位置関係を表す説明図である。
図4】3つの磁気センサから得られる回転検出信号を表す説明図である。
図5】第1実施形態における磁気センサの周辺の構成を表す説明図である。
図6図5におけるVI-VI断面を表す断面図である。
図7図5におけるVII-VII断面を表す断面図である。
図8】第2実施形態における磁気センサの周辺の構成を表す説明図である。
図9図8におけるIX-IX断面を表す断面図である。
図10図8におけるX-X断面を表す断面図である。
図11】第3実施形態における磁気センサの周辺の構成を表す説明図である。
図12図11におけるXII-XII断面を表す断面図である。
図13図11におけるXIII-XIII断面を表す断面図である。
図14】第4実施形態における磁気センサの周辺の構成を表す説明図である。
図15図14におけるXV-XV断面を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.機電一体型モータ2の全体構成
機電一体型モータ2の全体構成を、図1図7に基づき説明する。機電一体型モータ2は検出装置に対応する。
【0010】
図1に示すように、機電一体型モータ2は、筐体4と、回路基板10とを備える。筐体4は、モータと、図2に示すセンサマグネット30とを収容している。センサマグネット30は検出対象に対応する。
【0011】
回路基板10は、筐体4の外側に取り付けられている。回路基板10は、筐体4の一部であるベース部分に固定されている。ベース部分は、モータの回転軸を回転可能に支持する。ベース部は、アルミダイカストにより構成されている。アルミダイカストは非磁性材料である。回路基板10には、モータ駆動用の回路部品が実装されている。
【0012】
図1に示すように、回路基板10のうち、筐体4とは反対側の第1面11に、コイル12やコンデンサ14等が実装されている。コイル12やコンデンサ14は、モータの駆動回路の一部を構成する。
【0013】
図2に示すように、回路基板10のうち、第1面11とは反対側の第2面13には、6個のスイッチング素子22と、3個の磁気センサ24A、24B、24Cとが実装されている。スイッチング素子22は、モータへの通電経路を切り替える。磁気センサ24A、24B、24Cは、モータの回転位置を検出するために使用される。
【0014】
6個のスイッチング素子22は、3個のペアを含む。各ペアは、2個のスイッチング素子22を含む。2個のスイッチング素子22のうちの一方はハイサイドスイッチとして機能し、他方はローサイドスイッチとして機能する。それぞれのペアは、モータの1個の端子に割り当てられている。それぞれのペアは、モータの端子に対し、正又は負の電源電圧を選択的に印加する。
【0015】
図1に示すように、回路基板10には、コネクタ16及び端子台18が固定されている。コネクタ16は、外部の直流電源や制御装置と回路基板10とを接続する。端子台18は、駆動回路とモータとを接続する。
【0016】
機電一体型モータ2は、図示しない防水用のカバーを備える。防水用のカバーは、回路基板10を外側から覆う。防水用のカバーは、回路基板10と、筐体4の内部とを保護する。防水用のカバーは、筐体4に固定されている。
【0017】
筐体4の内部に収納されたモータは、3相ブラシレスモータである。端子台18は、3つの接続端子を備える。3つの接続端子は、それぞれ、モータの3個の端子のうちの1個に接続する。
【0018】
3個の磁気センサ24A、24B、24Cは、それぞれ、センサマグネット30からの磁束を検出する。図2図3に示すように、センサマグネット30の形状は円環形状である。センサマグネット30はロータに固定されている。センサマグネット30の円環の中心は、モータの回転中心軸と一致する。センサマグネット30の厚み方向は、回路基板10の厚み方向(以下では方向Xとする)と平行である。
【0019】
センサマグネット30は、永久磁石により構成される。図3に示すように、センサマグネット30の円環上を周方向に進むとき、回転角θが45度増すごとに、永久磁石の極性が反転する。回転角45度は、電気角180度に対応する。
【0020】
なお、図3に示すように、円環上の任意の点Pの周方向における位置は、回転角θにより表せる。点Pと、円環の中心Oとを結ぶ線分をLとする。中心Oを通る固定された直線をLとする。LとLとが成す角度が、周方向における点Pの位置を表す回転角θである。
【0021】
図2図3に示すように、方向Xから見たとき、3個の磁気センサ24A、24B、24Cは、それぞれ、センサマグネット30と重なる位置にある。3個の磁気センサ24A、24B、24Cは、センサマグネット30の周方向において、磁気センサ24A、24B、24Cの順番で並んでいる。磁気センサ24Aの回転角θと、磁気センサ24Bの回転角θとの差分ΔθABは30度である。また、磁気センサ24Bの回転角θと、磁気センサ24Cの回転角θとの差分ΔθBCは30度である。回転角30度は電気角120度に対応する。
【0022】
モータの回転に伴いセンサマグネット30が回転するとき、3個の磁気センサ24A、24B、24Cは、それぞれ、正弦波を出力する。磁気センサ24Aが出力する正弦波と、磁気センサ24Bが出力する正弦波とは、電気角120度の位相差を有する。磁気センサ24Bが出力する正弦波と、磁気センサ24Cが出力する正弦波とは、電気角120度の位相差を有する。
【0023】
3個の磁気センサ24A、24B、24Cが出力する正弦波を波形整形することで、図4に示す検出信号が得られる。検出信号から、モータの回転位置を特定することができる。検出信号の変化パターンは、モータの正回転時と逆回転時とでは異なる。そのため、検出信号の変化パターンから、モータの回転方向を特定することができる。
【0024】
図2に示すように、筐体4には、3個の孔25A、25B、25Cが形成されている。孔25A、25B、25Cは筐体4を貫通している。方向Xから見たとき、孔25Aは磁気センサ24Aと重なる位置にある。方向Xから見たとき、孔25Bは磁気センサ24Bと重なる位置にある。方向Xから見たとき、孔25Cは磁気センサ24Cと重なる位置にある。
【0025】
孔25Aが存在することにより、磁気センサ24Aと筐体4とが干渉しない。孔25Bが存在することにより、磁気センサ24Bと筐体4とが干渉しない。孔25Cが存在することにより、磁気センサ24Cと筐体4とが干渉しない。
【0026】
図2図6に示すように、回路基板10と筐体4との間に放熱ゲル26が充填されている。放熱ゲル26は、スイッチング素子22等の電子部品が発生した熱を放熱する。図2に示すように、方向Xから見たとき、放熱ゲル26は、孔25Aを基準として、方向YAの側にある。方向Xから見たとき、放熱ゲル26は、孔25Bを基準として、方向YBの側にある。方向Xから見たとき、放熱ゲル26は、孔25Cを基準として、方向YCの側にある。
【0027】
2.磁気センサ24Bの周辺の構成
磁気センサ24Bの周辺の構成を、図5図7に基づき説明する。図5及び図6に示すように、筐体4は、突出部29を備える。突出部29は、筐体4のうち、方向Xから見て、筐体4の孔25Bの周囲の部分に形成されている。突出部29は、回路基板10の方向に突出している。突出部29が存在する部分では、突出部29が存在しない部分に比べて、回路基板10と筐体4との間隔が小さい。
【0028】
図5に示すように、回路基板10は、複数の孔31を備える。複数の孔31は、方向Xから見て、筐体4の孔25Bの周囲に位置する。複数の孔31は、孔25Bを基準として、方向YBの側にある。図6に示すように、複数の孔31は、それぞれ、回路基板10を、方向Xにおいて貫通している。図5に示すように、方向Xから見て、複数の孔31の形状はそれぞれ円形である。複数の孔31は、ハニカムのパターンに配置されている。すなわち、ハニカムのパターンを想定したときに、複数の孔31は、それぞれ、ハニカムの構成単位の位置にある。
【0029】
図6に示すように、方向Xから見たとき、孔25Bに隣接した孔31のうち、孔25Bの側の部分は、突出部29と重なる位置にある。孔31の径は、方向Xに沿って筐体4の側へ進むほど大きい。
【0030】
図5及び図7に示すように、筐体4はガイド部33を備える。ガイド部33は、回路基板10の方向に突出する部分である。ガイド部33が存在する部分では、ガイド部33が存在しない部分に比べて、回路基板10と筐体4との間隔が小さい。図5に示すように、方向Xから見て、ガイド部33は、経路35を挟む部分に形成されている。経路35とは、方向YBの側から、孔31を経て孔25Bへ向かう、放熱ゲル26の経路である。方向Xから見て、ガイド部33は、複数の孔31を挟むように形成されている。
【0031】
磁気センサ24Aの周辺、及び磁気センサ24Cの周辺も、磁気センサ24Bの周辺と同様の構成を有する。磁気センサ24Aの周辺では、複数の孔31は、孔25Aを基準として、方向YAの側にある。磁気センサ24Cの周辺では、複数の孔31は、孔25Cを基準として、方向YCの側にある。
【0032】
3.機電一体型モータ2が奏する効果
(1A)機電一体型モータ2は、孔31を備える。放熱ゲル26が図5に示す経路35に沿って孔25Bの方向へ進むとき、図6に示すように、放熱ゲル26の少なくとも一部は、孔31に誘導される。そのため、必ずしも孔25Bを塞がなくても、放熱ゲル26がセンサマグネット30の上に落下することを抑制できる。孔25A、25Cの周囲に形成された孔31も同様の効果を奏する。
【0033】
また、機電一体型モータ2は、孔25A、25B、25Cの周囲に突出部29を備える。突出部29は、回路基板10と筐体4との間隔を小さくする。突出部29が存在することにより、放熱ゲル26は、孔25A、25B、25Cの方向に一層進み難く、孔31に一層誘導され易い。その結果、放熱ゲル26がセンサマグネット30の上に落下することを一層抑制できる。
【0034】
(1B)孔31の形状は円形である。そのため、孔31が存在しても、回路基板10の剛性や耐振性が低下し難い。
(1C)図6に示すように、方向Xから見たとき、孔31のうち、孔25Bの側の部分は、突出部29と重なる位置にある。そのため、突出部29は、放熱ゲル26を持ち上げて孔31に誘導する作用を奏する。そのことにより、放熱ゲル26は、孔31に一層誘導され易い。その結果、放熱ゲル26がセンサマグネット30の上に落下することを一層抑制できる。孔25A、25Cの周囲に形成された突出部29も同様の効果を奏する。
【0035】
(1D)図6に示すように、孔31の径は、方向Xに沿って筐体4の側へ進むほど大きい。そのため、第2面13における孔31の径は大きい。その結果、放熱ゲル26は、孔31に一層誘導され易い。
【0036】
また、第1面11における孔31の径は小さい。そのため、回路基板10の剛性が低下し難い。また、第1面11のうち、電子部品や配線を配置できる部分の面積を大きくすることができる。
【0037】
(1E)機電一体型モータ2は、ガイド部33を備える。ガイド部33は、放熱ゲル26を孔31の方向に誘導する。その結果、放熱ゲル26がセンサマグネット30の上に落下することを一層抑制できる。
【0038】
(1F)複数の孔31は、ハニカムのパターンで配置されている。そのことにより、孔31の1個当たりの径を小さくすることができる。その結果、回路基板10の剛性が低下し難い。さらに、第1面11のうち、電子部品や配線を配置できる部分の面積を大きくすることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0039】
前述した第1実施形態では、方向Xから見たとき、孔31は、ハニカムのパターンに配置されていた。これに対し、第2実施形態では、図8に示すように、方向Xから見たとき、複数の孔31が、孔25Bの縁に沿って一列に並んでいるという点で相違する。また、第2実施形態では、孔31として、第1の径を有する第1の孔31Sと、第1の径よりも大きい第2の径を有する第2の孔31Lとを備える。方向Xから見たとき、第1の孔31Sは、第2の孔31Lを挟むように配置されている。
【0040】
図9に示すように、方向Xから見たとき、第2の孔31Lのうち、孔25Bの側の部分は、突出部29と重なる位置にある。第2の孔31Lの径は、方向Xに沿って筐体4の側へ進むほど大きい。
【0041】
また、方向Xから見たとき、第1の孔31Sのうち、孔25Bの側の部分は、突出部29と重なる位置にある。第1の孔31Sの径は、方向Xに沿って筐体4の側へ進むほど大きい。
【0042】
図8及び図10に示すように、筐体4はガイド部33を備える。ガイド部33は、回路基板10の方向に突出する部分である。ガイド部33が存在する部分では、ガイド部33が存在しない部分に比べて、回路基板10と筐体4との間隔が小さい。図8に示すように、方向Xから見て、ガイド部33は、経路35を挟む部分に形成されている。経路35とは、方向YBの側から、第1の孔31S又は第2の孔31Lを経て孔25Bへ向かう、放熱ゲル26の経路である。ガイド部33は、第1の孔31S及び第2の孔31Lのそれぞれに対応して形成されている。
【0043】
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1A)~(1E)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
(2A)放熱ゲル26は、主として、方向Xから見たときに中央にある第2の孔31Lに向かう。第2の孔31Lの径は大きいので、放熱ゲル26を第2の孔31Lに誘導することが容易である。
【0044】
また、第1の孔31Sの径は小さいので、回路基板10の剛性が低下し難い。さらに、第1面11のうち、電子部品や配線を配置できる部分の面積を大きくすることができる。
(2B)回路基板10は孔31を複数備える。ガイド部33は、第1の孔31S及び第2の孔31Lのそれぞれに対応して形成されている。そのため、前記(1E)の効果が一層顕著である。
<第3実施形態>
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0045】
前述した第1実施形態では、方向Xから見たとき、回路基板10のうち、磁気センサ24Aの周囲と、磁気センサ24Bの周囲と、磁気センサ24Cの周囲とに、それぞれ、複数の円形の孔31が形成されていた。これに対し、第3実施形態では、方向Xから見たとき、磁気センサ24Aの周囲と、磁気センサ24Bの周囲と、磁気センサ24Cの周囲とに、それぞれ、1個の孔31が存在するという点で相違する。図11は、磁気センサ24Bの周囲に存在する孔31を示す。方向Xから見たとき、孔31の形状は、孔25Bの縁に沿って弧を描いて延びるスリット形状である。
【0046】
図12に示すように、方向Xから見たとき、孔31のうち、孔25Bの側の部分は、突出部29と重なる位置にある。図12に示すように、スリット形状の孔31を横切る断面で見たとき、孔31の径は、方向Xに沿って筐体4の側へ進むほど大きい。
【0047】
図11及び図13に示すように、筐体4はガイド部33を備える。ガイド部33は、回路基板10の方向に突出する部分である。ガイド部33が存在する部分では、ガイド部33が存在しない部分に比べて、回路基板10と筐体4との間隔が小さい。図11に示すように、方向Xから見て、ガイド部33は、経路35を挟む部分に形成されている。経路35とは、方向YBの側から、孔31を経て孔25Bへ向かう、放熱ゲル26の経路である。方向Xから見て、ガイド部33は、孔31を挟むように形成されている。磁気センサ24Aの周囲と、磁気センサ24Cの周囲も、同様の構成を有する。
【0048】
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1A)~(1E)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
(3A)孔31の形状はスリット形状である。そのため、孔31は、経路35を広範囲にわたって遮る。その結果、放熱ゲル26は、孔31に一層誘導され易く、孔25A、25B、25Cの方向に一層進み難い。
<第4実施形態>
第4実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0049】
前述した第1実施形態では、方向Xから見たとき、回路基板10のうち、磁気センサ24Aの周囲と、磁気センサ24Bの周囲と、磁気センサ24Cの周囲とに、それぞれ、複数の円形の孔31が形成されていた。これに対し、第4実施形態では、図14に示すように、方向Xから見たとき、磁気センサ24A、24B、24Cの全てに対応する1つの孔31が形成されているという点で、第1実施形態と相違する。
【0050】
孔31の形状は、1本のスリットの形状である。方向Xから見たとき、孔31のうち、孔25Aの側の部分は、孔25Aの周囲に形成された突出部29と重なる位置にある。方向Xから見たとき、孔31のうち、孔25Bの側の部分は、孔25Bの周囲に形成された突出部29と重なる位置にある。方向Xから見たとき、孔31のうち、孔25Cの側の部分は、孔25Cの周囲に形成された突出部29と重なる位置にある。
【0051】
図15に示すように、スリット形状の孔31を横切る断面で見たとき、孔31の径は、方向Xに沿って筐体4の側へ進むほど大きい。筐体4はガイド部33を備えない。
以上詳述した第4実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1A)~(1D)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0052】
(4A)孔31の形状はスリット形状である。そのため、孔31は、経路35を広範囲にわたって遮る。その結果、放熱ゲル26は、孔31に一層誘導され易く、孔25A、25B、25Cの方向に一層進み難い。
【0053】
(4B)孔31は、磁気センサ24Aの周囲と、磁気センサ24Bの周囲と、磁気センサ24Cの周囲とをカバーする。そのため、前記(4A)の効果が一層顕著である。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0054】
(1)本開示の検出装置は、機電一体型モータ2以外の装置であってもよい。本開示の検出装置は、磁気センサ24A、24B、24C以外のセンサを備えていてもよい。本開示の検出装置は、センサマグネット30以外の検出対象を備えていてもよい。
【0055】
(2)孔31の形状は、円形、及びスリット形状以外の形状であってもよい。
(3)本開示の検出装置は、放熱ゲル26以外のゲルを備えていてもよい。
(4)第1~第4実施形態において、孔31の径は、方向Xにおけるどの位置でも一定であってもよい。
【0056】
(5)第1~第4実施形態において、機電一体型モータ2は、突出部29を備えなくてもよい。また、第1~第4実施形態において、方向Xから見たとき、孔31のうち、孔25A、25B、25Cの側の部分は、突出部29と重ならない位置にあってもよい。
【0057】
(6)第1~第3実施形態において、機電一体型モータ2は、ガイド部33を備えなくてもよい。
(7)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0058】
(8)上述した検出装置の他、当該検出装置を構成要素とするシステム、検出装置の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0059】
2…機電一体型モータ、4…筐体、10…回路基板、11…第1面、12…コイル、13…第2面、14…コンデンサ、16…コネクタ、18…端子台、22…スイッチング素子、24A、24B、24C…磁気センサ、25A、25B、25C…孔、26…放熱ゲル、29…突出部、30…センサマグネット、31…孔、31L…第2の孔、31S…第1の孔、33…ガイド部、35…経路
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