(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】液滴吐出装置及び送液方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/19 20060101AFI20250430BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20250430BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
B41J2/19
B41J2/18
B41J2/175 201
B41J2/175 503
B41J2/175 501
(21)【出願番号】P 2022563272
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2020042799
(87)【国際公開番号】W WO2022107204
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱野 光
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-168421(JP,A)
【文献】特開2017-081066(JP,A)
【文献】特開2014-024320(JP,A)
【文献】特開2005-125670(JP,A)
【文献】特開2018-083316(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043267(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0147879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに供給される液体が通る供給流路と、
前記供給流路に連通し、前記ノズルから吐出されずに排出される液体が通る排出流路と、
前記供給流路に設けられ、当該供給流路を通る液体が通過するフィルター
であって、前記フィルターのメッシュ径よりも大きい気泡を少なくとも捕捉するために設けられた前記フィルターと、
前記供給流路のうち液体の送液方向について前記フィルターより上流側から分岐して前記排出流路に連通する連通流路と、
を有する液滴吐出ヘッドと、
前記供給流路及び前記排出流路の液体を前記送液方向に流動させる送液動作を行う送液部と、
を備え、
前記フィルターの
前記メッシュ径は、前記ノズルの開口径よりも小さく、
前記送液部は、前記フィルターにおける圧力損失が、前記フィルターにおいて
前記気泡の液面であるメニスカスが壊れる第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さくなる態様で前記送液動作を行う、液滴吐出装置。
【請求項2】
前記供給流路における液体の流量のうち、前記ノズルからの単位時間当たりの液体の最大吐出量に相当する流量を最大吐出流量とした場合に、
前記最大吐出流量の液体によって前記フィルターにおいて生じる圧力損失が、前記ノズルにおいて液体のメニスカスが壊れる第2のメニスカスブレイク圧力よりも小さい、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記供給流路は、前記送液方向が鉛直下方成分を有する下降部分を有し、
前記送液部は、前記ノズルの前記開口径より小さい気泡が浮力により浮上する速度よりも、前記下降部分における液体の速度の鉛直下方成分の方が大きくなる態様で前記送液動作を行う、請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記ノズルは、液体の吐出方向に垂直な断面積が、当該ノズルの開口に近いほど小さくなるテーパー部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記液体は水性インクである、請求項1~4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
液体を吐出するノズルと、前記ノズルに供給される液体が通る供給流路と、前記供給流路に連通し、前記ノズルから吐出されずに排出される液体が通る排出流路と、前記供給流路に設けられ、当該供給流路を通る液体が通過するフィルター
であって、前記フィルターのメッシュ径よりも大きい気泡を少なくとも捕捉するために設けられた前記フィルターと、前記供給流路のうち液体の送液方向について前記フィルターより上流側から分岐して前記排出流路に連通する連通流路と、を有する液体吐出部を備え、前記フィルターの
前記メッシュ径が前記ノズルの開口径よりも小さい液滴吐出装置における送液方法であって、
前記供給流路及び前記排出流路の液体を前記送液方向に流動させる送液ステップを含み、
前記送液ステップでは、前記フィルターにおける圧力損失が、前記フィルターにおいて
前記気泡の液面であるメニスカスが壊れる第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さくなる態様で液体を流動させる、送液方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置及び送液方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴吐出ヘッドに設けられたノズルからインクなどの液体を吐出させて記録媒体上の所望の位置に着弾させることで画像などを形成する液滴吐出装置がある。液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドは、ノズルに連通するチャネル(圧力室)を有し、チャネル内の液体の圧力を変動させることでノズルから液体の液滴を吐出する。
【0003】
チャネル内に気泡があると、チャネル内の液体に対して正常に圧力が印加されなくなるため、ノズルからの液体の吐出不良が生じて画質が低下する。
これに対し、液体中の気泡や溶存気体を除去する脱気装置を設け、脱気後の液体をチャネルに供給することで、気泡による不具合の発生を抑制する技術がある(例えば、特許文献1)。
また、ノズルへの液体の供給流路の途中から脱気路を分岐させ、液体中の気泡を脱気路から液滴吐出ヘッドの外部に排出させる技術がある(例えば、特許文献2)。
【0004】
近年では、画像の高精細化や生産性の向上などの要求に応じて、液滴吐出ヘッドにおけるノズル数の増大、及び駆動の高速化が進んでおり、これらに伴ってノズルからの液滴吐出量が増大している。液滴吐出量の大きい液滴吐出ヘッドでは、液体の流路の流路抵抗が高いと吐出時の圧力変動が大きくなり、安定した吐出を行うことができなくなる。このため、流路抵抗を低くする設計、すなわち液滴吐出ヘッドにおける圧力損失を小さくする設計が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6098264号公報
【文献】特許第5531872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように脱気装置を設けた構成では、この脱気装置の流路抵抗が高いために大きな圧力損失が生じる。
また、特許文献2のように脱気路を設けた構成では、脱気路において気泡を排出させる流れを生じさせるために液滴吐出ヘッドへの液体の流入量を増大させる必要があるため、液滴吐出ヘッドにおける圧力損失が大きくなる。
このように、上記従来の技術では、圧力損失の増大を抑えつつ気泡による不具合の発生を効果的に抑制することが困難であるという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、圧力損失の増大を抑えつつ気泡による不具合の発生を効果的に抑制することができる液滴吐出装置及び送液方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の液滴吐出装置の発明は、
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに供給される液体が通る供給流路と、
前記供給流路に連通し、前記ノズルから吐出されずに排出される液体が通る排出流路と、
前記供給流路に設けられ、当該供給流路を通る液体が通過するフィルターであって、前記フィルターのメッシュ径よりも大きい気泡を少なくとも捕捉するために設けられた前記フィルターと、
前記供給流路のうち液体の送液方向について前記フィルターより上流側から分岐して前記排出流路に連通する連通流路と、
を有する液滴吐出ヘッドと、
前記供給流路及び前記排出流路の液体を前記送液方向に流動させる送液動作を行う送液部と、
を備え、
前記フィルターの前記メッシュ径は、前記ノズルの開口径よりも小さく、
前記送液部は、前記フィルターにおける圧力損失が、前記フィルターにおいて前記気泡の液面であるメニスカスが壊れる第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さくなる態様で前記送液動作を行う。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記供給流路における液体の流量のうち、前記ノズルからの単位時間当たりの液体の最大吐出量に相当する流量を最大吐出流量とした場合に、
前記最大吐出流量の液体によって前記フィルターにおいて生じる圧力損失が、前記ノズルにおいて液体のメニスカスが壊れる第2のメニスカスブレイク圧力よりも小さい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の液滴吐出装置において、
前記供給流路は、前記送液方向が鉛直下方成分を有する下降部分を有し、
前記送液部は、前記ノズルの前記開口径より小さい気泡が浮力により浮上する速度よりも、前記下降部分における液体の速度の鉛直下方成分の方が大きくなる態様で前記送液動作を行う。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記ノズルは、液体の吐出方向に垂直な断面積が、当該ノズルの開口に近いほど小さくなるテーパー部を有する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記液体は水性インクである。
【0013】
また、上記目的を達成するため、請求項6に記載の送液方法の発明は、
液体を吐出するノズルと、前記ノズルに供給される液体が通る供給流路と、前記供給流路に連通し、前記ノズルから吐出されずに排出される液体が通る排出流路と、前記供給流路に設けられ、当該供給流路を通る液体が通過するフィルターであって、前記フィルターのメッシュ径よりも大きい気泡を少なくとも捕捉するために設けられた前記フィルターと、前記供給流路のうち液体の送液方向について前記フィルターより上流側から分岐して前記排出流路に連通する連通流路と、を有する液体吐出部を備え、前記フィルターの前記メッシュ径が前記ノズルの開口径よりも小さい液滴吐出装置における送液方法であって、
前記供給流路及び前記排出流路の液体を前記送液方向に流動させる送液ステップを含み、
前記送液ステップでは、前記フィルターにおける圧力損失が、前記フィルターにおいて前記気泡の液面であるメニスカスが壊れる第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さくなる態様で液体を流動させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、圧力損失の増大を抑えつつ気泡による不具合の発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】液体収容タンクの本体部の内部を底面側から見た断面斜視図である。
【
図5A】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【
図5B】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【
図6A】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【
図6B】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【
図6C】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【
図6D】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【
図6E】液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【
図7】
図6Bのうちノズルの近傍範囲を拡大して示した図である。
【
図9】液滴吐出装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図10】液滴吐出ヘッドにおけるインクの流路を模式的に示した図である。
【
図11】実施形態の効果を確認するための実験の内容及び結果を示す図である。
【
図12】変形例に係る液滴吐出ヘッドのインク流路を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の液滴吐出装置及び送液方法に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<液滴吐出装置の構成>
図1は、液滴吐出装置1の概略構成を示す図である。
液滴吐出装置1は、搬送部2と、ヘッドユニット3などを備える。本実施形態の液滴吐出装置1は、液体としてのインクの液滴を記録媒体Mに吐出して画像を形成するインクジェット記録装置である。
【0018】
搬送部2は、
図1のY方向に延びる回転軸を中心に回転する2本の搬送ローラー2a、2bと、これらの搬送ローラー2a、2bにより内側が支持された輪状の搬送ベルト2cとを備える。搬送部2は、搬送ベルト2cの搬送面上に記録媒体Mが載置された状態で搬送ローラー2aが図示略の搬送モーターの動作に応じて回転して搬送ベルト2cが周回移動することで記録媒体Mを搬送ベルト2cの移動方向(搬送方向;
図1のX方向)に搬送する。
【0019】
記録媒体Mは、一定の寸法に裁断された枚葉紙とすることができる。記録媒体Mは、図示略の給紙装置により搬送ベルト2c上に供給され、ヘッドユニット3からインクが吐出されて画像が記録された後に搬送ベルト2cから所定の排紙部に排出される。なお、記録媒体Mとしては、ロール紙が用いられてもよい。また、記録媒体Mとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
【0020】
ヘッドユニット3は、搬送部2により搬送される記録媒体Mに対して画像データに基づいて適切なタイミングでインクを吐出して画像を記録する。本実施形態の液滴吐出装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット3が記録媒体Mの搬送方向上流側からY、M、C、Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。なお、ヘッドユニット3の数は3つ以下又は5つ以上であってもよい。
【0021】
図2は、ヘッドユニット3の構成を示す模式図であり、ヘッドユニット3を搬送ベルト2cの搬送面に相対する側から見た平面図である。ヘッドユニット3は、板状の支持部3aと、支持部3aに設けられた貫通孔に篏合した状態で支持部3aに固定された複数の(ここでは8つの)液滴吐出ヘッド100とを有する。液滴吐出ヘッド100は、ノズルNの開口部が設けられたノズル開口面100aが支持部3aの貫通孔から-Z方向に向けて露出した状態で支持部3aに固定されている。
【0022】
液滴吐出ヘッド100では、複数のノズルNが記録媒体Mの搬送方向と交差する方向(本実施形態では搬送方向と直交する幅方向、すなわちY方向)に等間隔にそれぞれ配列されている。本実施形態では、各液滴吐出ヘッド100は、Y方向に等間隔に一次元配列されたノズルNの列(ノズル列)を4つ有している。これらの4つのノズル列は、ノズルNのY方向についての位置が重ならないようにY方向の位置が互いにずらされて配置されている。なお、液滴吐出ヘッド100が有するノズル列の数は4つに限られず、3つ以下又は5つ以上であってもよい。
【0023】
ヘッドユニット3における8つの液滴吐出ヘッド100は、ノズルNのY方向についての配置範囲が連続するように千鳥格子状に配置されている。ヘッドユニット3に含まれるノズルNのY方向についての配置範囲は、搬送ベルト2cにより搬送される記録媒体Mのうち画像が記録可能な領域のY方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット3は、画像の記録時には位置が固定されて用いられ、記録媒体Mの搬送に応じて搬送方向についての所定間隔(搬送方向間隔)の各位置に対してノズルNからインクを吐出することで、シングルパス方式で画像を記録する。
【0024】
本実施形態では、液滴吐出ヘッド100から吐出されるインクとして水性インクが用いられている。水性インクは、例えば、分散媒としての水と、着色剤としての顔料又は染料とを含み、この他に各種の水溶性有機溶剤や疎水性高分子などを含有していてもよい。
なお、液滴吐出ヘッド100から吐出されるインクは水性インクに限られず、有機溶剤を分散媒とする溶剤インクや、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性インクなどが用いられてもよい。
【0025】
図3は、液滴吐出ヘッド100の斜視図である。
液滴吐出ヘッド100は、吐出動作部10と、液体収容タンク20と、カバー部材30などを備える。
【0026】
吐出動作部10は、ノズルNを有し、底面側(-Z方向側)がノズルNの開口の配置されたノズル開口面100aとなっている。吐出動作部10は、液体収容タンク20から供給された液体、ここではインクをノズルNから吐出させる。また、吐出動作部10は、供給されたインクのうちノズルNから吐出されなかったものを、液体収容タンク20に排出させることができる。吐出動作部10は、さらに、各ノズルNに連通するインクチャネル151(
図5B参照)、及びインクチャネル151内のインクに対して圧力変動を与えるための圧力変動手段などを備える。
【0027】
カバー部材30は、吐出動作部10と篏合し、吐出動作部10の圧力変動手段に駆動信号を供給するための回路部などを内部に格納する。
【0028】
液体収容タンク20は、吐出動作部10のノズル開口面100a側(吐出面側)とは反対側(+Z方向側)において、カバー部材30の外側の一部を覆う位置に取り付けられている。液体収容タンク20は、外部のインクタンクなどから供給されるインクの供給口21(インレット)と、供給されたインク(液体)を収容(貯留)する液体収容部23(
図4参照)が設けられた本体部20aと、液体収容部23から吐出動作部10へインクを流入させる流出口25と、吐出動作部10から排出されたインクが流入する流入口26と、排出されたインクを外部に排出させる排出口28(アウトレット)などを有する。
【0029】
液体収容タンク20の内部には、供給口21から液体収容部23を経て流出口25へつながり、吐出動作部10に供給するインクを通過させるインク流路と、流入口26から排出口28へつながり、吐出動作部10から排出されるインクを通過させるインク流路とが各々設けられている。流出口25は、吐出動作部10のインク流入口11に接続され、流入口26は、吐出動作部10のインク流出口17に接続される。これにより、液滴吐出ヘッド100において、液体収容タンク20の供給口21から排出口28までのインク流路(液体流路)が一つながりとなる。流出口25及び流入口26は、本体部20aから突出した脚部に設けられている。液体収容タンク20は、これらの脚部がねじSによって吐出動作部10に対してねじ止めがなされることで着脱可能に固定されている。
【0030】
液体収容タンク20は、上面側(供給口21及び排出口28を見下ろす側)から見て、すなわち、ここでは平面視で(+Z方向から見て)、Y方向に長く、X方向に薄い形状となっている。供給口21及び排出口28は、液体収容タンク20の長手方向(Y方向)について両端付近に分かれて配置されている。また、流出口25と流入口26も同様に、液体収容タンク20の長手方向(Y方向)について両端付近に分かれて配置されている。
以降で上部、上端とは、+Z方向について最も高い(Z座標が最大の)位置を意味する。また、下部、下端とは、+Z方向について最も低い(Z座標が最小の)位置を意味する。
【0031】
図4は、液体収容タンク20の本体部20aの内部を底面側から見た断面斜視図である。また、
図5A、
図5B、
図6A~
図6E、
図7は、液滴吐出ヘッド100のインク流路を説明する断面図である。
図5A及び
図5Bは、YZ面に平行な面での断面図であり、
図5Aでは、液体収容部23(後室23b)を含む面で切断され、
図5Bでは、供給口21、排出口28及びノズルNを含む面で切断されている。
図6A~
図6Eは、それぞれ
図5A及び
図5Bにおける断面線AA~EEの位置でのXZ面に平行な切断面における断面図である。
図7は、
図6BのうちノズルNの近傍範囲を拡大して示した図である。
【0032】
液体収容タンク20の本体部20aに設けられてインクを貯留する液体収容部23は、内部に設けられたフィルター231により、前室23aと後室23bとに分割される(
図4、
図6B、
図6C)。フィルター231は、前室23aから後室23bに流入するインク中の気泡及び異物(夾雑物)を捕捉する。フィルター231は、ここでは、YZ面に平行な面内、すなわち、水平面に垂直に設けられて、長手方向に延在している。
【0033】
フィルター231としては、例えば樹脂又は金属等の板状部材にインクを通過させる多数の微細な貫通孔が設けられた構造のもの(以下では「貫通孔フィルター」と記す)、又は、液体が通過可能な3次元の微細な流路を内部に有する構成のもの(以下では「多孔板フィルター」と記す)などを用いることができる。多孔板フィルターとしては、金属等の繊維が立体的に編み込まれたものや、ポリエチレン樹脂などの樹脂粒子を焼結させて生成された多孔質部材などが挙げられる。
【0034】
本実施形態では、フィルター231として、メッシュ径がノズルNの開口径(ノズルNの開口がなす円の直径)よりも小さいものが用いられている。
フィルター231が貫通孔フィルターである場合には、フィルター231のメッシュ径は、貫通孔の直径である。
フィルター231が多孔板フィルターである場合には、フィルター231のメッシュ径は、そのフィルター231の絶対ろ過精度として表示されている粒子径(表示がない場合には、絶対ろ過精度に相当する粒子径)である。ここで、絶対ろ過精度は、そのフィルター231が粒子径Xの粒子を99.9%以上捕捉可能である、との条件を満たすXの最小値である。
【0035】
供給口21と前室23aとは、第1供給路22により接続されており(
図4、
図5A、
図5B、
図6A)、外部から供給されるインクが前室23aに流入する。第1供給路22が前室23aに接続する開口端232は、前室23aのY方向について供給口21に近い側の端の下部に設けられている(
図4、
図5A)。また、後室23bと流出口25とは、第2供給路24により接続されており(
図4、
図5A、
図5B、
図6A、
図6C)、後室23bから吐出動作部10に供給するインクが流出する。第2供給路24が後室23bに接続する開口端233は、後室23bのY方向について排出口28(排出路27)に近い側の端の上部に設けられている(
図5A、
図6C)。
【0036】
開口端232と開口端233とは、液体収容部23において対角となる位置に設けられている(
図5A)。これにより、開口端232から流入したインクは、液体収容部23の広い範囲でフィルター231を透過しやすく、残りの部分でインクがよどむのを抑制する。ここでいう対角となる位置とは、対角となる頂点を含むように開口が設けられていることを示し、開口は、当該頂点をなす3つの面のいずれに設けられていても(これら3つの面のうち複数の面にまたがっていても)よい。
【0037】
ここでは、供給口21と流出口25とは、Y方向について同一の側であって、流入口26及び排出口28(排出路27)とは反対側(ここでは、+Yの側)に設けられており、開口端233は、これら供給口21及び流出口25とはY方向について反対の側に設けられている(
図5A、
図6B)。また、開口端233(後室23bへの接続端)は、XY面(すなわち吐出面に平行な面)内でY方向に垂直な方向(X方向)について、後室23bの幅にわたって設けられている(
図6C)。第2供給路24は、開口端233から後室23bの上方(+Z方向側)をY方向に延びた後、下向きに折れ曲がって、第1供給路の下方(-Z方向側)に入りこむ形で流出口25につながっている(
図5A、
図5B)、
図6A)。このとき、第2供給路24及び共通インク室12は、下向きにインクが流れる部分で気泡を浮力に抗して当該インクの流れる方向に進めることができる流速が得られるように、適宜な径に定められる。
【0038】
流入口26及び排出口28は、Y方向について同一の側であって、供給口21及び流出口25とは反対側(ここでは-Yの側)に設けられており、これら流入口26と排出口28とは、Z方向に延びる排出路27により接続されている(
図5A、
図5B、
図6E)。
【0039】
流入口26は、複数のインク流出口17a、17bに合わせて複数、ここでは2つ設けられている(
図6E)。2つの流入口26a、26bにそれぞれつながるインクの排出路27a、27bは、液体収容タンク20の内部で合流して、単一の排出口28へと連通している。
【0040】
排出路27における排出路27a、27bの合流位置と排出口28との間には、逆止弁271が設けられ(
図5B、
図6E)、排出口28からインクが逆流して吐出動作部10に流入するのを防止している。
【0041】
前室23aと排出路27とは、連通流路29により接続されている(
図5A、
図5B、
図6C、
図6D)。すなわち、連通流路29は、液体収容部23におけるインクの送液方向についてフィルター231より上流側(前室23a)から分岐して排出路27に連通する。連通流路29は、フィルター231を通過しない気泡(空気)を前室23aから排出路27に導いて排出させる脱気路として機能する。連通流路29は、前室23aの開口端234から-Y方向に延びた後、+Z方向、X方向、-Y方向に順に折れて排出路27に至る。ここでは、連通流路29の排出路27の側の開口は、流入口26と逆止弁271との間にある。また、連通流路29の前室23a側の開口端234は、前室23aの上部であって、Y方向について排出路27に近い側の端に設けられている。これにより、気泡は、浮力により連通流路29へ流入しやすくなっている。
【0042】
吐出動作部10は、インク流入口11及びインク流出口17(17a、17b)を有するインクマニホールド16と、インクマニホールド16の下面(-Z方向側の面)に固着されているヘッドチップ15とを備える(
図5A、
図5B)。
【0043】
インクマニホールド16には、インク流入口11及びインク流出口17aに連通する共通インク室12が設けられている(
図5B、
図6E)。共通インク室12は、ノズル開口面100aに平行かつY方向に延在して設けられている。すなわち、共通インク室12は、液体収容部23の長手方向と平行に延びている。インク流入口11と共通インク室12との間は、共通供給流路13によりつながれており、共通インク室12とインク流出口17aとの間は、第1共通排出流路14によりつながれている。
【0044】
また、インクマニホールド16には、共通インク室12と隔てられた第2共通排出流路18が設けられている(
図6B~
図6E、
図7)。第2共通排出流路18は、ノズル開口面100aに平行かつY方向に延在して設けられている。すなわち、第2共通排出流路18は、共通インク室12と平行に延びている。第2共通排出流路18は、吐出動作部10のインク流出口17側(-Y方向側)の端部で+Z方向に屈曲して、その端がインク流出口17bとなっている(
図6E)。このインク流出口17bは、上述の流入口26bに接続される。
【0045】
ヘッドチップ15は、ノズルNと、ノズルNに連通するインクチャネル151と、インクチャネル151から分岐する個別排出流路152とを備える(
図5A、
図5B、
図6B、
図7)。以下、
図7を参照してヘッドチップ15の構成を説明する。
【0046】
ヘッドチップ15は、ノズルプレート15a、流路基板15b及び圧力室基板15cがZ方向に積層された構成を有する。
ノズルプレート15aは、ノズルNとなる貫通孔が設けられている板状部材である。本実施形態のノズルNは、ストレート部Ns及びテーパー部Ntを有する。ストレート部Nsは、ノズルNの開口(吐出口)からZ方向について所定範囲内に設けられている円筒状の、すなわちストレート形状の部分である。テーパー部Ntは、ストレート部Nsの+Z方向側の端部に接続されており、インクの吐出方向(Z方向)に垂直な断面積が、ノズルNの開口に近いほど(すなわち、ストレート部Nsに近いほど)小さくなっている。
【0047】
ノズルN(ここではストレート部Ns)内のインクのメニスカスm(液面)は、ノズルNの内部側に僅かに引き込まれた状態、すなわち
図7において上に凸の状態となっている。これは、ノズルNの内部の圧力が、大気圧に対して僅かに負圧となるように調整されているためである。これにより、インクの非吐出時にインクが意図せずに滴下しないようになっている。以下、大気圧からノズルNの内部の圧力を差し引いた圧力を、ノズルのメニスカス圧力と記す。
ノズルNの内部の圧力を低下させていくと、ある圧力でメニスカスmが壊れ、ノズルNの内部に気泡が混入する。メニスカスmが壊れるときのノズルのメニスカス圧力を、第2のメニスカスブレイク圧力(ノズルNのメニスカスブレイク圧力)と記す。第2のメニスカスブレイク圧力をP2[Pa]、ノズルNの開口径をdn[m]、インクの表面張力をσ[N/m]とした場合に、P2=4σ/dnの関係が成り立つ。
【0048】
流路基板15b及び圧力室基板15cには、インクチャネル151及び個別排出流路152が形成されている。
インクチャネル151は、1つのノズルNに対して1つ設けられている。インクチャネル151は、流路基板15b及び圧力室基板15cをZ方向に貫通しており、上端が共通インク室12の下面に連通しているとともに、下端が1つのノズルNに連通している。共通インク室12に供給されたインクは、このインクチャネル151を介してノズルNに供給される。
【0049】
インクチャネル151の壁面の一部を構成する圧力室基板15cの材質は、セラミックスの圧電体(電圧の印加に応じて変形する部材)である。このような圧電体の例としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛などが挙げられる。また、圧力室基板15cの内壁面には、図示しない駆動電極が設けられている。上述の回路部から駆動電極への駆動信号の印加に応じて、隣接するインクチャネル151を仕切る側壁がシアモード型の変位を行うことで、インクチャネル151内のインクの圧力が変動する。この圧力の変動に応じて、インクチャネル151内のインクがノズルNから吐出される。このように、本実施形態の液滴吐出ヘッド100は、シアモード型のインク吐出を行う。インクチャネル151の側壁及び駆動電極により、上述の圧力変動手段が構成される。
なお、
図5BにおけるY方向について一つおきのインクチャネル151の形成位置に、インクチャネル151に代えて、インクの流入経路を有しない空気室を設けてもよい。このような構成とすることで、インクチャネル151の隔壁が変形した際に、他のインクチャネル151に当該変形の影響が及ばないようにすることができる。
【0050】
個別排出流路152は、インクチャネル151のノズルN側の端部から分岐して-X方向に延びる水平部152aと、水平部152aの端部から+Z方向に折れて第2共通排出流路18に連通する垂直部152bとを有する。個別排出流路152は、1つのインクチャネル151に対して1つ設けられている。個別排出流路152の水平部152aは、板状の流路基板15bの-Z方向側の面に設けられた溝であり、垂直部152bは、流路基板15b及び圧力室基板15cに設けられた貫通孔である。
なお、個別排出流路152の水平部152aは、流路基板15bに設けられた溝に限られず、流路基板15bを貫通していてもよいし、ノズルプレート15aに設けられた溝であってもよい。また、インクチャネル151における個別排出流路152の接続位置は、ノズルN側の端部に限られず、インクチャネル151の任意の位置から個別排出流路152を分岐させることができる。
【0051】
個別排出流路152は、インクチャネル151に供給されたインクのうちノズルNから吐出されなかったインクを第2共通排出流路18に導く。このインクの流れによって、インクチャネル151内の微小な気泡62や異物も第2共通排出流路18に排出される。第2共通排出流路18に排出されたインクは、インク流出口17b、流入口26b、排出路27を経て排出口28から排出される。
【0052】
以上に説明した液滴吐出ヘッド100の構成のうち、供給口21、第1供給路22、液体収容部23、第2供給路24、共通供給流路13、共通インク室12、インクチャネル151により、ノズルに供給されるインクが通る供給流路101(
図10参照)が構成される。よって、この供給流路101を通るインクがフィルター231を通過する。
また、第1共通排出流路14、個別排出流路152、第2共通排出流路18、排出路27(27a、27b)、排出口28により、ノズルから吐出されずに排出されるインクが通る排出流路102(
図10参照)が構成される。連通流路29は、供給流路101と排出流路102とを連通している。
【0053】
液滴吐出ヘッド100の供給口21から、供給流路101及び排出流路102を経て排出口28に至るインクの流れは、液滴吐出装置1が有するインク循環機構9により発生させることができる。
【0054】
図8は、インク循環機構9の構成を示す模式図である。
インク循環機構9は、供給用サブタンク91、還流用サブタンク92、メインタンク93、インク流路94~97、ポンプ98、99などを備える。
供給用サブタンク91は、液滴吐出ヘッド100に供給されるインクを貯留する。供給用サブタンク91は、インク流路94によって供給口21に接続されている。
還流用サブタンク92は、インク流路95によって排出口28に接続されており、排出口28から排出されたインクを貯留する。
供給用サブタンク91及び還流用サブタンク92は、インク流路96により接続されている。そして、インク流路96に設けられたポンプ98により、還流用サブタンク92から供給用サブタンク91にインクを戻すことができるようになっている。
メインタンク93は、供給用サブタンク91に供給されるインクを貯留する。メインタンク93は、インク流路97によって供給用サブタンク91に接続されている。また、インク流路97に設けられたポンプ99により、メインタンク93から供給用サブタンク91にインクが供給される。
【0055】
供給用サブタンク91は、その液面が、吐出動作部10のノズル開口面100aより高さH1だけ高くなる位置に設けられている。また、還流用サブタンク92は、その液面がノズル開口面100aより高さH2だけ低くなる位置に設けられている。これにより、ノズルN内の圧力(≒大気圧)を基準圧力とした場合に、供給口21の圧力は、水頭差により基準圧力に対して正の圧力Pinとなっており、排出口28の圧力は、水頭差により基準圧力に対して負の圧力Poutとなっている。この圧力Pinと圧力Poutとの圧力差により、供給口21から供給流路101及び排出流路102を経て排出口28に向かうインクの流れが生じる。各サブタンクの液面の位置を変更することで、圧力Pin及び圧力Poutを調整することができ、これによりインクの流量を調整することができる。
インク循環機構9は「送液部」に相当する。また、供給流路101及び排出流路102のインクを流動させるためのインク循環機構9の動作が「送液動作」に相当する。ここでは、送液動作には、ポンプ98、99によるインクの汲み上げ動作が含まれる。
【0056】
図9は、液滴吐出装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
液滴吐出装置1は、上述したヘッドユニット3と、制御部40と、搬送駆動部51と、通信部52などを備え、これらの各部はバス53により接続されている。このうちヘッドユニット3は、ヘッド駆動部200及び液滴吐出ヘッド100を有する。また、制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)及び記憶部44を有する。
【0057】
CPU41は、ROM43に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM42に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。また、CPU41は、液滴吐出装置1の全体動作を統括制御する。
【0058】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM42は、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
【0059】
ROM43は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM43に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0060】
記憶部44には、通信部52を介して外部装置から入力されたプリントジョブ及び当該プリントジョブに係る画像データが記憶される。記憶部44としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)などが用いられる。
【0061】
ヘッド駆動部200は、制御部40からの制御信号に基づいて、液滴吐出ヘッド100の回路部に対して適切なタイミングで各種制御信号や画像データを供給する。
【0062】
インク循環機構9は、制御部40からの制御信号に基づいてポンプ98、99を動作させて上述の送液動作を行う。
【0063】
搬送駆動部51は、CPU41から供給される制御信号に基づいて搬送部2の搬送ローラー2a、2bを駆動するモーターに駆動信号を供給して搬送ローラー2a、2bを所定の速度及びタイミングで回転させ、搬送ベルト2cを周回移動させる。
【0064】
通信部52は、外部機器との間での通信動作を制御する通信インターフェースである。通信インターフェースとしては、例えば、LANボードやLANカードなど、各種通信プロトコルに対応したものが一又は複数含まれる。通信部52は、制御部40の制御に基づいて外部装置から記録対象の画像データや画像記録に係る設定データ(ジョブデータ)を取得し、また、外部機器に対してステータス情報などを送信する。
【0065】
<液滴吐出装置の動作>
次に、液滴吐出装置1の動作について、インクの循環に関する動作を中心に説明する。
図10は、液滴吐出ヘッド100におけるインクの流路を模式的に示した図である。
図10に示すように、供給口21の圧力Pinと排出口28の圧力Poutとの圧力差により、供給口21から、液体収容部23の前室23a、後室23b、第2供給路24、共通供給流路13、共通インク室12、第1共通排出流路14、排出路27を経て排出口28に至るインクの流れが生じる。また、上記の圧力差によって、共通インク室12からインクチャネル151、個別排出流路152、第2共通排出流路18を経て排出路27に至るインクの流れが生じる。また、上記の圧力差によって、液体収容部23の前室23aから連通流路29を経て排出路27に至るインクの流れが生じる。
【0066】
このうち、第1共通排出流路14、第2共通排出流路18及び連通流路29を通って排出路27に流入し、排出口28から排出されるインクの流量を、以下では循環流量と記す。循環流量は、ノズルNからのインクの吐出状況(吐出量)によらず一定となる。
【0067】
ノズルNからのインクの吐出量は、形成する画像の内容に応じて増減する。ノズルNからのインク吐出に応じて、吐出された量のインクが共通インク室12に供給される。よって、ノズルNからの単位時間当たりのインクの吐出量が多いほど、供給流路101におけるインクの流量、すなわちフィルター231を通過するインクの流量が多くなる。以下では、供給流路101におけるインクの流量のうち、ノズルNからの単位時間当たりのインクの最大吐出量に相当する流量を最大吐出流量と記す。したがって、供給流路101を通るインクの最大流量は、最大吐出流量と循環流量との和となる。
【0068】
一般に、流路を流れるインクの流量をQ[m3/s]、流路の両端の圧力差(差圧)をΔP[Pa]、流路抵抗をR[Pa・s/m3]とした場合に、Q=ΔP/Rの関係が成り立つ。また、流路が円管路でありインクの流れが層流である場合には、下記のハーゲンポアズイユの式が成り立つ。
R=(128・μ・L)/(π・d4)
ここで、μ[Pa・s]はインクの粘度であり、L[m]は流路の長さであり、d[m]は流路の直径である。
【0069】
前室23aには、フィルター231のメッシュ径より大きな気泡61がフィルター231により捕捉されて滞留する。この気泡61は、供給口21から流入するもののほか、インク中の溶存気体が圧力変化及び温度変化等により気泡化したものが含まれ得る。気泡61は、インクとともに連通流路29を通って排出路27に導かれ、排出口28から排出される。
【0070】
フィルター231における圧力損失、すなわち前室23aと後室23bとの圧力差が所定の圧力以上となると、気泡61の液面(メニスカス)が壊れ、より小さな気泡に分裂する。このときの圧力差を、第1のメニスカスブレイク圧力(フィルターのメニスカスブレイク圧力)と記す。
フィルター231が貫通孔フィルターである場合には、第1のメニスカスブレイク圧力P1[Pa]は、フィルター231の貫通孔の開口径をdt[m]、インクの表面張力をσ[N/m]とした場合に、関係式P1=4σ/dtにより求めることができる。
また、フィルター231が多孔板フィルターである場合には、第1のメニスカスブレイク圧力P1[Pa]は、絶対ろ過精度の値をdaとして、関係式P1=4σ/daにより求めることができる。あるいは、以下のように実験的に第1のメニスカスブレイク圧力を求めることもできる。すなわち、フィルター231の後室23bを液体で満たし、前室23aを空気で満たし、前室23aを加圧したときに、フィルター231がメニスカスブレイクする前室23aの圧力を測定して第1のメニスカスブレイク圧力とすることができる。ここで、フィルター231がメニスカスブレイクするとは、後室23bに気泡が透過(通過)し始めることをいう。
【0071】
フィルター231でトラップされた気泡61がメニスカスブレイクして(壊れて)フィルター231を通過する現象においては、フィルター231を通過した後の気泡がフィルター231のメッシュ径よりも大きくなる場合がある。これは、当該現象においては、メッシュ径よりも大きな気泡が変形してフィルター231のメッシュを通過したり、複数の気泡がフィルター231の通過後に合一したりするためである。フィルター231を通過した後のメッシュ径よりも大きな気泡が、後室23bからインクチャネル151に入ると、インクの吐出不良を発生させる可能性がある。
そこで、本実施形態の送液部としてのインク循環機構9は、フィルター231において気泡61が壊れない条件が満たされる態様で送液動作を行う。言い換えると、インク循環機構9は、「フィルター231における圧力損失が、フィルター231において液体のメニスカスが壊れる第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さい」との条件(以下、第1条件と記す)が満たされる態様で送液動作を行う。このような第1条件が満たされるように、供給口21の圧力Pin及び排出口28の圧力Poutが調整されている。これにより、前室23aにおいて気泡61が壊れずに滞留し、連通流路29から排出される。
なお、圧力Pin、Poutの調整に代えて(又は当該調整に加えて)、インクの循環流量を調整することで第1条件が満たされるようにしてもよい。インクの循環流量は、流路の形状、フィルター231の面積などにより調整することができる。
【0072】
また、フィルター231における圧力損失の増減幅が第2のメニスカスブレイク圧力以上となると、当該増減幅に相当する圧力変動がノズルNのメニスカスmに生じ、メニスカスmが壊れてノズルNに気泡が流入してしまう。ここで、フィルター231において生じ得る圧力損失の増減幅は、ノズルNからの単位時間当たりのインク吐出量が0であるときの圧力損失と、単位時間当たりのインク吐出量が最大であるときの圧力損失との差分に相当する。よって、フィルター231における圧力損失の増減幅は、上述した最大吐出流量のインクによってフィルター231において生じる圧力損失に等しい。
そこで、本実施形態の液滴吐出装置1は、「最大吐出流量のインクによってフィルター231において生じる圧力損失が、第2のメニスカスブレイク圧力よりも小さい」との条件(以下、第2条件と記す)が満たされるように構成されている。すなわち、第2条件が満たされるように、フィルター231の面積及びメッシュ径が定められている。また、インク循環機構9は、第2条件が満たされる態様で送液動作を行う。
【0073】
ところで、前室23aに存在する気泡には、もともとフィルター231のメッシュ径より小さいものもある。このような大きさの気泡62はフィルター231を通過可能であり、
図10に示すように、後室23bに流入し得る。後室23bに流入した気泡62の一部は、インクとともに第2供給路24、共通供給流路13、共通インク室12、第1共通排出流路14、排出路27を経て排出口28から排出される。また、気泡62の残りの一部は、共通インク室12からインクチャネル151に流入し、個別排出流路152、第2共通排出流路18を経て排出路27に流入する。
【0074】
図7に示すように、インクチャネル151では、インクは鉛直下方(-Z方向)に向かって流れる。すなわち、供給流路101の一部であるインクチャネル151は、送液方向が鉛直下方成分を有する下降部分に相当する。インク循環機構9は、気泡62が浮力により浮上する速度よりも、インクチャネル151におけるインクの速度の鉛直下方成分の方が大きくなる態様で送液動作を行う。これにより、インクチャネル151において気泡62は下方に流動する。
また、
図5Aに示す第2供給路24のうち下向きにインクが流れる部分も、上述の下降部分に相当する。インク循環機構9は、第2供給路24の当該部分において気泡62が下方に流動するように、気泡62が浮力により浮上する速度よりも、当該部分におけるインクの速度の鉛直下方成分の方が大きくなる態様で送液動作を行う。これにより、第2供給路24の上記部分において気泡62は下方に流動する。
なお、下降部分は、鉛直方向に延びるものに限られず、送液方向が鉛直下方成分を有する任意の部分が含まれる。
【0075】
図7に示すように、気泡62の流動経路にはインクチャネル151が含まれるが、フィルター231を通過可能な大きさの気泡62がインクチャネル151に流入したとしても、ノズルNからのインクの吐出不良にはつながりにくい。これは、フィルター231のメッシュ径がノズルNの開口径よりも小さくなっていることにより、気泡62がノズルNの開口径よりも小さいためである。
一般に、インクチャネル151内の気泡が吐出不良を引き起こすのは、圧力変動手段がインクチャネル151内に発生させた圧力波を気泡が吸収してしまうためである。ここで、ノズルNの開口径が小さいほど、インクの吐出に必要なエネルギーが大きいため、小さな気泡が吐出不良につながりやすい。より具体的には、シミュレーションの結果、気泡の大きさがノズルNの開口径以上である場合に吐出不良が生じ、気泡がノズルNの開口径よりも小さい場合には、吐出不良につながりにくいことが分かっている。
【0076】
このように、本実施形態の液滴吐出ヘッド100においては、ノズルNの開口径より小さい気泡62がインクチャネル151に流入しても、この気泡62に起因する吐出不良が生じにくい。このことを利用して、フィルター231のメッシュ径をある程度大きくすることで、吐出不良の発生を抑えつつ、液滴吐出ヘッド100全体の圧力損失を低減させることができる。この観点では、フィルター231のメッシュ径は、例えばノズルNの開口径の1/3以上とすることが好ましく、ノズルNの開口径の1/2以上とすることがより好ましい。
【0077】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド100と、送液部としてのインク循環機構9とを備える。液滴吐出ヘッド100は、インクを吐出するノズルNと、ノズルNに供給されるインクが通る供給流路101と、供給流路101に連通し、ノズルNから吐出されずに排出されるインクが通る排出流路102と、供給流路101に設けられ、当該供給流路101を通るインクが通過するフィルター231と、供給流路101のうちインクの送液方向についてフィルター231より上流側から分岐して排出流路102に連通する連通流路29と、を有する。フィルター231のメッシュ径は、ノズルNの開口径よりも小さく、インク循環機構9は、フィルター231における圧力損失が、フィルター231においてインクのメニスカスが壊れる第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さくなる態様で送液動作を行う。
これにより、少なくともノズルNの開口径以上の大きさの気泡をフィルター231により捕捉することができるとともに、連通流路29及び排出流路102を介して当該気泡を外部に排出することができる。
また、フィルター231における圧力損失を第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さくできるため、フィルター231に捕捉された気泡が壊れにくい。よって、捕捉した気泡を連通流路29から効率よく排出することができるとともに、気泡が壊れてインクチャネル151に流入することによるインクの吐出不良の発生を抑えることができる。
また、ノズルNの開口径より小さい気泡の一部(フィルター231のメッシュ径より小さい気泡62)がフィルター231を通過することを許容することで、供給流路101の流路抵抗を低くすることが可能となっている。これにより、液滴吐出ヘッド100全体の圧力損失、すなわち供給口21におけるインクの圧力とノズルNにおけるインクの圧力との差分を小さく抑えつつ、吐出不良に繋がる大きな気泡(ノズルNの開口径よりも大きな気泡)がインクチャネル151に流入するのを抑制して外部に排出させることができる。
【0078】
また、供給流路101におけるインクの流量のうち、ノズルNからの単位時間当たりのインクの最大吐出量に相当する流量を最大吐出流量とした場合に、最大吐出流量のインクによってフィルター231において生じる圧力損失が、ノズルNにおいてインクのメニスカスが壊れる第2のメニスカスブレイク圧力よりも小さい。
これにより、ノズルNからのインク吐出量が変動しても、当該変動に起因するノズルNのメニスカスmの破壊を抑制することができる。よって、ノズルNから気泡が流入することに起因する吐出不良の発生を抑制することができる。
【0079】
また、供給流路101は、送液方向が鉛直下方成分を有する下降部分としてのインクチャネル151を有し、インク循環機構9は、ノズルNの開口径より小さい気泡62が浮力により浮上する速度よりも、インクチャネル151におけるインクの速度の鉛直下方成分の方が大きくなる態様で送液動作を行う。
これにより、インクチャネル151内の気泡を浮力に抗して下方に流動させて、個別排出流路152から排出することができる。
【0080】
また、ノズルNは、インクの吐出方向に垂直な断面積が、当該ノズルNの開口に近いほど小さくなるテーパー部Ntを有する。
ノズルNがテーパー部Ntを有することにより、インクの吐出に必要なエネルギーを低減させることができる。よって、インクチャネル151への気泡の流入に起因する吐出不良を生じにくくすることができる。
【0081】
また、本実施形態では水性インクが用いられている。水性インクは、溶剤インク等と比較して高い圧力で溶存気体が気泡化する傾向があり、キャビテーション(インク吐出後にインクチャネル151内が負圧状態となること)により気泡が発生がし易い。このため、本実施形態の液滴吐出装置1に水性インクを適用した場合には、気泡による不具合の発生を効果的に抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る送液方向は、供給流路101及び排出流路102のインクを送液方向に流動させる送液ステップを含み、当該送液ステップでは、フィルター231における圧力損失が、フィルター231においてインクのメニスカスが壊れる第1のメニスカスブレイク圧力よりも小さくなる態様でインクを流動させる。
これにより、液滴吐出ヘッド100全体の圧力損失を小さく抑えつつ、吐出不良に繋がる大きな気泡がインクチャネル151に流入するのを抑制して外部に排出させることができる。
【0083】
<実施例>
次に、上記実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。
図11は、実験の内容及び結果を示す図である。
実験1~実験11の計11種類の実験を行った。
各実験では、フィルター231のメッシュ径、開口率、面積、ノズルNの開口径、及び最大吐出流量のうち少なくとも一部を互いに異ならせた。
このうちフィルター231のメッシュ径、開口率、面積を変えることで、フィルターの流路抵抗、圧力損失(a1)、圧力損失(a2)及び第1のメニスカスブレイク圧力(b)(表では「MB圧力」と表記)の水準を調整した。ここで、圧力損失(a1)は、循環流量と最大吐出流量とを合わせた最大流量のインクにより生じる圧力損失であり、圧力損失(a2)は、このうち最大吐出流量のインクにより生じる圧力損失である。圧力損失(a1)及び圧力損失(a2)は、流路抵抗の計算値から算出した。また、フィルター231としては多孔板フィルターを用い、第1のメニスカスブレイク圧力(b)は計算により算出した。
また、ノズルNの開口径を40[μm]、20[μm]の2水準で変えることで、第2のメニスカスブレイク圧力(c)の水準を調整した。
また、インクの循環流量を90[ml/min]、20[ml/min]の2水準とし、最大吐出流量を80、60[ml/min]の2水準とした。これらの組み合わせにより、循環流量及び最大吐出流量を合わせた最大流量を、170[ml/min]、150[ml/min]、80[ml/min]の3水準とした。
なお、実験1~実験11で共通するパラメーターは、以下のとおりである。
フィルターの厚み:100[μm]
インクの粘度:0.01[Pa・s]
インクの表面張力:30[mN/m]
ノズルNのテーパー角度:8[度]
インクの種類:水性インク
【0084】
各実験では、ノズルNから最大吐出量で10分間連続吐出を行い、ノズルNからのインクの不吐出による欠不良の有無を判定した。
図11の「連続吐出評価結果」における「○」は、欠不良が発生しなかったことを示し、「×」は、欠不良が発生したことを示す。連続吐出評価における欠不良は、主に前室23aの気泡61が壊れて小さな気泡62がインクチャネル151に流入することに起因して生じる。
【0085】
また、各実験では、ノズルNからの吐出量を0.5秒間隔で最小(OFF)/最大(ON)で切り替える断続吐出を10分間行い、ノズルNからのインクの不吐出による欠不良の有無を判定した。
図11の「断続吐出評価結果」における「○」は、欠不良が発生しなかったことを示し、「×」は、欠不良が発生したことを示す。断続吐出評価における欠不良は、主に圧力損失の変動によるノズルNのメニスカスmの破壊に起因して生じる。
【0086】
実験の結果、「フィルター231の圧力損失(a1)が第1のメニスカスブレイク圧力(b)よりも小さい」との条件(上述の第1条件に相当)を満たす実験2~4、6、7、9~11では、連続吐出評価結果が「○」となった。また、当該第1条件を満たさない実験1、5、8では、連続吐出評価結果が「×」となった。
また、「最大吐出流量のインクによってフィルター231において生じる圧力損失(a2)が第2のメニスカスブレイク圧力(c)よりも小さい」との条件(上述の第2条件に相当)を満たす実験2~4、6、7、10、11では、断続吐出評価結果が「○」となった。また、第2条件を満たさない実験1、5、8、9では、断続吐出評価結果が「×」となった。
【0087】
<変形例>
次に、液滴吐出装置1の変形例について説明する。
図12は、変形例に係る液滴吐出ヘッド100のインク流路を説明する断面図である。
本変形例の液滴吐出ヘッド100は、共通インク室12が、上層12aと、上層12aの-Z方向側に位置する下層12bとを有している。また、上層12a及び下層12bは、XY面に平行なフィルター231により仕切られている。このように、フィルター231は、液体収容タンク20の外部に設けられていてもよい。
【0088】
上層12aは、上述した第1共通排出流路14、流入口26a及び排出路27aにつながっている。また、下層12bは、流入口26a、26bとは別個に設けられた流入口26cにつながっているとともに、排出路27a、27bとは別個に設けられた排出路27cにつながっている。排出路27cは、排出路27a、27bに合流するとともに排出口28に連通している。
【0089】
インク流入口11から共通供給流路13を通ったインクは、まず共通インク室12の上層12aに流入する。上層12aのインクの一部は、気泡や異物とともに第1共通排出流路14、流入口26a、排出路27aを経て排出口28から排出される。本変形例では、第1共通排出流路14から排出路27aまでが「連通流路」に相当し、脱気路として機能する。
【0090】
また、上層12aのインクの一部は、フィルター231を通過して下層12bに流入する。下層12bのインクの一部は、インクチャネル151に流入し、その一部がノズルNから吐出され、残りが個別排出流路152、第2共通排出流路18、流入口26b、排出路27bを経て排出口28から排出される。また、下層12bのインクのうちインクチャネル151に流入しなかったものは、流入口26c、排出路27cを経て排出口28から排出される。
【0091】
このような本変形例の構成によっても、液滴吐出ヘッド100全体の圧力損失を小さく抑えつつ、吐出不良に繋がる大きな気泡がインクチャネル151に流入するのを抑制して外部に排出させることができる。
【0092】
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、液滴吐出ヘッド100は、インク以外の液体、例えば記録媒体上に回路パターンなどを形成するための機能液を吐出してもよい。
【0093】
また、前室23aから分岐する連通流路29に加えて、後室23bから分岐して排出路27に連通する連通流路をさらに設けてもよい。
【0094】
また、シアモードの液滴吐出ヘッド100を例示したが、これに限られない。例えば、ノズルに連通する圧力室の壁面に固着された圧電素子(圧力変動手段)を変形させることで圧力室内のインクの圧力を変動させてインクを吐出させる、ベントモードの液滴吐出ヘッド100を用いてもよい。この場合には、圧力室からノズルに至る範囲のいずれかの位置から個別排出流路を分岐させることができる。
【0095】
また、排出流路102として、インクチャネル151から分岐する個別排出流路152、及び当該個別排出流路152に連通する第2共通排出流路18を有するものを例示したが、これに限られず、個別排出流路152及び第2共通排出流路18は省略してもよい。
【0096】
また、シングルパス形式の液滴吐出装置1を例に挙げて説明したが、ヘッドユニット又は液滴吐出ヘッドを走査させながら画像の記録を行う液滴吐出装置に本発明を適用してもよい。
【0097】
また、搬送ベルト2cにより記録媒体Mを搬送する例を用いて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、例えば回転する搬送ドラムの外周面上で記録媒体Mを保持して搬送してもよい。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、液滴吐出装置及び送液方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 液滴吐出装置
2 搬送部
3 ヘッドユニット
9 インク循環機構
10 吐出動作部
11 インク流入口
12 共通インク室
13 共通供給流路
14 第1共通排出流路
15 インクチャネル
15a ノズルプレート
15b 流路基板
15c 圧力室基板
151 インクチャネル
152 個別排出流路
16 インクマニホールド
17、17a、17b インク流出口
18 第2共通排出流路
20 液体収容タンク
20a 本体部
21 供給口
22 第1供給路
23 液体収容部
23a 前室
23b 後室
231 フィルター
232、233、234 開口端
24 第2供給路
25 流出口
26、26a~26c 流入口
27、27a~27c 排出路
271 逆止弁
28 排出口
29 連通流路
30 カバー部材
40 制御部
61、62 気泡
100 液滴吐出ヘッド
100a ノズル開口面
101 供給流路
102 排出流路
M 記録媒体
N ノズル
Ns ストレート部
Nt テーパー部
m メニスカス