(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/86 20060101AFI20250430BHJP
B65D 73/02 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
B65D85/86 300
B65D73/02 K
(21)【出願番号】P 2024154720
(22)【出願日】2024-09-09
【審査請求日】2024-10-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】村上 未佳
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-004735(JP,A)
【文献】特開2021-178470(JP,A)
【文献】特開2023-123545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 67/00-79/02
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の片面側に設けられたシーラント層とを備え、
前記シーラント層側にシーラント面を有し、
前記シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定される山頂点の算術平均曲率Spcが6.0×10
2/mm以上1.7×10
3/mm以下であり、
前記シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定されるコア部のレベル差Skが0.5μm以上1.8μm以下である、電子部品包装用カバーテープ。
【請求項2】
前記シーラント層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、およびスチレン系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項1に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項3】
前記基材層はポリエステル系樹脂を含む、請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項4】
前記基材層と前記シーラント層との間に、中間層をさらに備える、請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項5】
前記中間層は、ポリエチレン系樹脂およびエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項4に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項6】
JIS K 7136:2000に準拠した、光源D65で測定される外部ヘーズが74%以下である、請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項7】
下記(方法1)によるタック力が、0gf以上40gf以下である、請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
(方法1)
接触面積5mmφのSUS製プローブを、押し付け速度0.5mm/秒で前記電子部品包装用カバーテープの前記シーラント面に押し付け、次いで、測定温度40℃、押し付け荷重2,500gfで20秒間保持し、次いで、引き上げ速度10mm/秒で引き上げる際の荷重の測定値をタック力(gf)とする。
【請求項8】
紙製キャリアに用いられる、請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項9】
凹部を有するキャリアと、前記凹部に収容された電子部品と、請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアに接着されている、電子部品包装体。
【請求項10】
前記キャリアは紙製キャリアを含む、請求項9に記載の電子部品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子レジスタ等の電子部品は、破損防止のため、電子部品を収納することが可能な凹部が形成されたキャリアテープの凹部内に収容され、そして凹部内の電子部品を封止するようにカバーテープをキャリアテープにヒートシールすることで得られる「電子部品包装体」の形で輸送されることがある。電子部品包装体は、しばしば、航空便や船便で、国をまたいで輸出入される。
包装された電子部品は、使用時に、電子部品包装体におけるカバーテープを剥離して、凹部から取り出す。
【0003】
特許文献1には、電子部品を確実に収容するとともにカバーテープを適切に剥離することが可能な電子部品包装体を提供することを課題として、主面11および複数の収容凹部12を有するキャリアテープ10と、複数の収容凹部12に各別に収容された複数の電子部品40と、複数の収容凹部12を覆うように主面11に接合されたカバーテープ20と、を備える電子部品包装体101であって、キャリアテープ10とカバーテープ20との接合部30は、複数の収容凹部12を挟んでキャリアテープ10の幅方向に離間配置され、かつ各々が上記長手方向に延びる2つの線状部31と、各々が隣合う収容凹部12の間に位置する複数の中間部32と、を含んで構成されており、カバーテープ20をキャリアテープ10から上記長手方向に沿って連続的に剥離させる際の剥離抵抗力の最大値と最小値との剥離抵抗力比αが、1.0以上であり、かつ2.0以下である電子部品包装体が開示されている。
【0004】
特許文献2には、カバーテープに切断することができ、安定した剥離強度、優れた帯電防止性能を有し、電子部品を汚染せず、透明な外観を有するヒートシールフィルムを開発することを目的として、電子部品をパッケージングするためのヒートシールフィルムであって、ベース層と、該ベース層上に設けられる少なくとも1つの中間層であって、該中間層の全重量を100重量%として、5~70重量%の酢酸ビニルコポリマーであって、酢酸ビニルに由来する単位がコポリマーの10モル%超を構成する酢酸ビニルコポリマーと、20~90重量%のスチレンブタジエンコポリマーと、0~40重量%の導電性ポリマーと、を含む混合物を含む中間層と、前記中間層の、前記ベース層とは反対側の表面に設けられる少なくとも1つのヒートシール層と、を備える、ヒートシールフィルムが開示されている。
【0005】
特許文献3には、キャリアテープへの安定したヒートシール性と、良好なジップアップ性とを備え、かつ、導電性、及び透明性の全ての機能を満足するテーピング包装用カバーテープを提供することを課題として、基材フィルム層、柔軟材層、熱接着層が順次積層されており、柔軟材層が直鎖状低密度ポリエチレンで、熱接着層が熱可塑性樹脂と導電性微粒子を含み、前記熱接着層の導電性微粒子の含有量が、熱接着層の熱可塑性樹脂100に対して、導電性微粒子150~500の質量割合であり、柔軟材層の厚さが10~50μmであり、かつ、熱接着層の厚さが0.05~1.9μmであることを特徴とする電子部品のテーピング包装用カバーテープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-171393号公報
【文献】国際公開第2012/079258号
【文献】特開2003-246358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスが向上した電子部品包装用カバーテープを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスが、電子部品包装用カバーテープの表面の形状と関連性を有することを見出した。本発明者らは、上記知見を基にさらに鋭意検討を重ねた結果、電子部品包装用カバーテープの表面形状を特定の表面粗さパラメータで評価した際の数値を所定の範囲とすることで、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスを向上できることを見出して、本発明を完成させた。
【0009】
[1]
基材層と、前記基材層の片面側に設けられたシーラント層とを備え、
前記シーラント層側にシーラント面を有し、
前記シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定される山頂点の算術平均曲率Spcが6.0×102/mm以上1.7×103/mm以下であり、
前記シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定されるコア部のレベル差Skが0.5μm以上1.8μm以下である、電子部品包装用カバーテープ。
[2]
前記シーラント層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、およびスチレン系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[1]に記載の電子部品包装用カバーテープ。
[3]
前記基材層はポリエステル系樹脂を含む、前記[1]または前記[2]に記載の電子部品包装用カバーテープ。
[4]
前記基材層と前記シーラント層との間に、中間層をさらに備える、前記[1]~前記[3]のいずれかに記載の電子部品包装用カバーテープ。
[5]
前記中間層は、ポリエチレン系樹脂およびエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[4]に記載の電子部品包装用カバーテープ。
[6]
JIS K 7136:2000に準拠した、光源D65で測定される外部ヘーズが74%以下である、前記[1]~前記[5]のいずれかに記載の電子部品包装用カバーテープ。
[7]
下記(方法1)によるタック力が、0gf以上40gf以下である、前記[1]~前記[6]のいずれかに記載の電子部品包装用カバーテープ。
(方法1)
接触面積5mmφのSUS製プローブを、押し付け速度0.5mm/秒で前記電子部品包装用カバーテープの前記シーラント面に押し付け、次いで、測定温度40℃、押し付け荷重2,500gfで20秒間保持し、次いで、引き上げ速度10mm/秒で引き上げる際の荷重の測定値をタック力(gf)とする。
[8]
紙製キャリアに用いられる、前記[1]~前記[7]のいずれかに記載の電子部品包装用カバーテープ。
[9]
凹部を有するキャリアと、前記凹部に収容された電子部品と、前記[1]~前記[8]のいずれかに記載の電子部品包装用カバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアに接着されている、電子部品包装体。
[10]
前記キャリアは紙製キャリアを含む、前記[9]に記載の電子部品包装体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスが向上した電子部品包装用カバーテープを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】カバーテープの層構成の一例を模式的に表した図である。
【
図2】カバーテープをキャリアテープに接着(ヒートシール)した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。また、数値範囲を示す「~」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
【0013】
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書では、シーラント層側のカバーテープの表面を、シーラント面と呼ぶことがある。また、基材層側のカバーテープの表面を、基材面と呼ぶことがある。
【0014】
[電子部品包装用カバーテープ]
本実施形態の電子部品包装用カバーテープ(以下、適宜単に「カバーテープ」とも呼ぶ。)は、基材層と、前記基材層の片面側に設けられたシーラント層とを備える。本実施形態の電子部品包装用カバーテープはシーラント層側にシーラント面を有する。本実施形態の電子部品包装用カバーテープにおいて、シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定される山頂点の算術平均曲率Spc(以下、適宜単に「Spc」とも呼ぶ。)が6.0×102/mm以上1.7×103/mm以下である。また、本実施形態の電子部品包装用カバーテープにおいて、シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定されるコア部のレベル差Sk(以下、適宜単に「Sk」とも呼ぶ。)が0.5μm以上1.8μm以下である。
上記のような構成を有することで、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスが向上した電子部品包装用カバーテープを提供できる。
【0015】
この理由については必ずしも明らかではないが、以下の理由が推察される。
本実施形態のカバーテープは、シーラント面のSpcが1.7×103/mm以下であるため、シーラント面の凹凸が丸みを帯びていると考えられる。このため、カバーテープの中に侵入した光の乱反射が生じにくくなり、カバーテープの透明性(低ヘーズ特性)が向上していると考えられる。
また、本実施形態のカバーテープは、シーラント面のSkが1.8μm以下であるため、シーラント面の凹凸におけるコア部の高低差が大きすぎないと考えられる。このため、カバーテープの中に侵入した光の乱反射が生じにくくなり、カバーテープの透明性(低ヘーズ特性)が向上することに寄与していると考えられる。
また、本実施形態のカバーテープにおいて、シーラント面のSkが0.5μm以上1.8μm以下であると、シーラント面の凹凸におけるコア部の高低差が適度な大きさとなり、シーラント層のタック力の低減につながっていると考えられる。
【0016】
次に、本実施形態の電子部品包装用カバーテープの具体的な構造について図を用いて説明する。
図1は、本実施形態の電子部品包装用のカバーテープ(カバーテープ10)の層構成の一例を、模式的に表したものである。
カバーテープ10は、基材層1と、基材層1の少なくとも片面側に設けられたシーラント層3とを備える。カバーテープ10は、好ましくは、基材層1とシーラント層3との間に、中間層2を備える。
カバーテープ10は、シーラント層3側にシーラント面を有する。シーラント面は、
図1中では、シーラント層3の上側の面にあたる。
なお、本実施形態において、シーラント面は、キャリアの表面と対向して、ヒートシールされる面である。シーラント面としては、例えば、シーラント層3の表面、または、シーラント層3の表面に積層された他の層の表面が挙げられる。ここで、他の層が帯電防止層である場合、帯電防止層はシーラント層3に比べて薄いため、シーラント面における表面粗さパラメータ(例えば、SpcまたはSk等)に帯電防止層が与える影響は小さい。
【0017】
カバーテープの全体厚さは、強度とハンドリング性との性能バランスを向上できる観点から、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上90μm以下、さらに好ましくは20μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上70μm以下、さらに好ましくは40μm以上60μm以下、さらに好ましくは45μm以上55μm以下である。
【0018】
次に、本実施形態のカバーテープの各構成について具体例を挙げて説明する。
【0019】
<基材層>
基材層を構成する材料は特に限定されない。カバーテープに加わる外力に耐えうる機械的強度およびヒートシール時の熱に耐えうる耐熱性がある限り、基材層を構成する材料として、任意のフィルムを用いることができる。
【0020】
基材層は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびABS樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む。
基材層は、カバーテープの機械的強度を向上できる観点から、好ましくはポリエステル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含み、より好ましくはポリエステル系樹脂を含み、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレートを含む。
【0021】
基材層を形成するために使用するフィルムは、例えば、延伸フィルムである。基材層を形成するために使用するフィルムは、カバーテープの機械的強度を向上できる観点から、好ましくは一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムである。
【0022】
基材層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0023】
基材層は、キャリアテープの剥離に伴い発生する帯電を低減できる観点から、好ましくは帯電防止剤を含む。
また、カバーテープの基材面に、基材層のうちの一層として帯電防止層が設けられていてもよい。
【0024】
基材層の厚さは、カバーテープの剛性を低減できる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下、さらに好ましくは28μm以下、さらに好ましくは26μm以下である。カバーテープの剛性が高すぎない場合、シール後のキャリアテープに対して捻り応力がかかったとしてもカバーテープがキャリアテープの変形に追従できるため、カバーテープが剥離してしまう可能性を低減できる。
また、基材層の厚さは、カバーテープの機械的強度を向上できる観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、さらに好ましくは22μm以上、さらに好ましくは24μm以上である。カバーテープの機械的強度が小さすぎない場合、キャリアテープからカバーテープを高速で剥離したとしても、カバーテープが破断してしまう可能性を低減できる。
基材層の厚さは、カバーテープの剛性を低減できる観点とカバーテープの機械的強度を向上できる観点から、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは5μm以上50μm以下、さらに好ましくは10μm以上40μm以下、さらに好ましくは15μm以上35μm以下、さらに好ましくは20μm以上30μm以下、さらに好ましくは22μm以上28μm以下、さらに好ましくは24μm以上26μm以下である。
【0025】
<中間層>
中間層は、カバーテープのクッション性を向上させる目的で設けられる。カバーテープのクッション性が向上することにより、ヒートシールの際にシールコテの圧力がカバーテープに伝わりやすくなる。このため、カバーテープとキャリアテープの密着性を向上できる。
中間層は、基材層とシーラント層との間に位置する。
【0026】
中間層の材料は特に限定されない。カバーテープにクッション性を付与できる材料を特に制限なく用いることができる。
【0027】
中間層は、例えば、ポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル誘導体、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、および環状オレフィン系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む。
中間層は、カバーテープのクッション性を向上できる観点から、好ましくはポリエチレン系樹脂およびエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される一種または二種以上を含み、より好ましくはエチレン-酢酸ビニル共重合体および低密度ポリエチレン(例えば、密度880kg/m3以上930kg/m3未満のポリエチレン)からなる群から選択される一種または二種以上を含み、さらに好ましくはエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む。
【0028】
中間層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0029】
中間層の厚さは、ヒートシールの際のカバーテープとキャリアテープとの密着性を向上できる観点から、好ましくは1μm以上200μm以下、より好ましくは2μm以上100μm以下、さらに好ましくは4μm以上50μm以下、さらに好ましくは5μm以上40μm以下、さらに好ましくは8μm以上25μm以下、さらに好ましくは10μm以上20μm以下である。
【0030】
<シーラント層>
シーラント層は、基材層の少なくとも片面側に設けられている。中間層が存在する場合には、シーラント層は、中間層の、基材層に接する面とは反対側の面側に設けられている。
シーラント層は、カバーテープをキャリアテープにヒートシールした際に、キャリアテープと接触する。シールコテによる加熱でシーラント層が軟化または融解することで、シーラント層はキャリアテープと接着する。
【0031】
シーラント層は、例えば熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル誘導体、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、およびエステル系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む。
シーラント層は、キャリアテープとのヒートシール性を向上できる観点から、好ましくはエチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、およびスチレン系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含み、より好ましくはエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む。
【0032】
シーラント層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0033】
シーラント層の厚さは、ヒートシール性を向上できる観点から、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.5μm以上50μm以下、さらに好ましくは1μm以上40μm以下、さらに好ましくは2μm以上30μm以下、さらに好ましくは3μm以上25μm以下、さらに好ましくは4μm以上20μm以下である。
【0034】
シーラント層は、例えば、粘着付与剤を含む。
粘着付与剤は、例えば、石油樹脂、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、およびクマロン・インデン樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む。
【0035】
石油樹脂系の粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系の石油樹脂、芳香族系の石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系の石油樹脂等が挙げられる。市販品としては、例えば、荒川化学工業社製の水素化石油樹脂である、商品名「アルコン」シリーズ等が挙げられる。
【0036】
スチレン樹脂系の粘着付与剤の市販品としては、例えば、三井化学社製の芳香族系炭化水素樹脂である、商品名「FTR」(登録商標)シリーズ等が挙げられる。FTRシリーズは、スチレンイソブチレンブロックゴム、スチレンブタジエンブロックゴム等のスチレン含有ブロック共重合体(スチレン-オレフィンのブロック共重合体、スチレン-ジエンのブロック共重合体等)を成分として含む粘着付与剤である。
【0037】
シーラント層が粘着付与剤を含む場合、シーラント層中の粘着付与剤の含有量は、シーラント層全体を100質量%としたときに、電子部品の付着しにくさと、キャリアテープに対するヒートシール性との性能バランスを向上できる観点から、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは4質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは6質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは8質量%以上12質量%以下である。
【0038】
シーラント層は、その特性を損なわない範囲で、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、界面活性剤、無機フィラー等の任意の添加剤を含んでいてもよい。また、シーラント層の表面には、これらのコーティング処理が施されていてもよい。
【0039】
<その他の層>
カバーテープは、上記の各層のほか、さらに追加の層を備えていてもよい。
例えば、カバーテープが基材層とシーラント層の間に中間層を備えていない場合、カバーテープは基材層とシーラント層の間に接着層を備えていてもよい。また、カバーテープが基材層とシーラント層の間に中間層を備えている場合、カバーテープは、基材層と中間層の間または中間層とシーラント層の間に接着層を備えていてもよい。また、カバーテープが基材層とシーラント層の間に中間層を備えている場合、カバーテープは、基材層と中間層の間および中間層とシーラント層の間の両方に接着層を備えていてもよい。
【0040】
接着層を形成する材料としては、例えば、公知の溶剤系または水系の各種アンカーコート剤を使用できる。アンカーコート剤は、例えば、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、ポリエステル系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、ポリオレフィン系アンカーコート剤、およびアルキルチタネート系アンカーコート剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む。
【0041】
なお、基材層に対してコロナ処理を行うことにより、基材層と他の層との密着性を向上できる。このコロナ処理は公知の条件を適宜選択して行うことができる。
【0042】
その他、本実施形態の電子部品包装用のカバーテープは、基材層、中間層、およびシーラント層とは別に、帯電防止層(導電層)をさらに備えていてもよい。カバーテープは、例えば、基材面、シーラント面、または基材面とシーラント面の両方に、帯電防止層をさらに備えていてもよい。
帯電防止層の厚さは、例えば、1μm以下である。
【0043】
<カバーテープの形状>
カバーテープの幅および長さは、主としてキャリアテープの幅および長さに応じて適宜設定できる。
カバーテープの幅は、例えば1mm以上100mm以下である。また、カバーテープの長さは、例えば100m以上30000m以下である。
【0044】
<カバーテープの物性>
次に、カバーテープの物性について説明する。
【0045】
本実施形態のカバーテープについて、シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定される山頂点の算術平均曲率Spcについて説明する。
【0046】
本実施形態のカバーテープのSpcは、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスを向上できる観点から、6.0×102/mm以上1.7×103/mm以下であり、好ましくは6.2×102/mm以上1.6×103/mm以下、より好ましくは6.4×102/mm以上1.5×103/mm以下、さらに好ましくは6.6×102/mm以上1.4×103/mm以下、さらに好ましくは6.8×102/mm以上1.3×103/mm以下である。
【0047】
Spcは、例えば、カバーテープの製造条件、カバーテープの各層の種類等を調整することにより調整できる。具体的には、Spcは、例えば、シーラント層を形成する際に用いる冷却ロールの表面粗さ、押し当ての圧力(タッチ圧)の大きさ等を調整することにより調整できる。
なお、Spcの測定方法は、例えば、実施例に記載の方法を採用できる。
【0048】
本実施形態のカバーテープについて、シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定されるコア部のレベル差Skについて説明する。
【0049】
本実施形態のカバーテープのSkは、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスを向上できる観点から、0.5μm以上1.8μm以下であり、好ましくは0.7μm以上1.8μm以下、より好ましくは0.8μm以上1.8μm以下、さらに好ましくは0.9μm以上1.7μm以下、さらに好ましくは1.0μm以上1.7μm以下である。
【0050】
Skは、例えば、カバーテープの製造条件、カバーテープの各層の種類等を調整することにより調整できる。具体的には、Skは、例えば、シーラント層を形成する際に用いる冷却ロールの表面粗さ、押し当ての圧力(タッチ圧)の大きさ等を調整することにより調整できる。
なお、Skの測定方法は、例えば、実施例に記載の方法を採用できる。
【0051】
本実施形態のカバーテープについて、JIS K 7136:2000に準拠した、光源D65で測定される外部ヘーズについて説明する。
【0052】
本実施形態のカバーテープの外部ヘーズは、低ヘーズ特性をより向上できる観点から、好ましくは74%以下、より好ましくは72%以下、さらに好ましくは70%以下、さらに好ましくは68%以下、さらに好ましくは66%以下、さらに好ましくは64%以下である。
外部ヘーズの下限値は特に制限されないが、例えば5%以上であってもよく、10%以上であってもよく、15%以上であってもよく、20%以上であってもよい。
本実施形態のカバーテープの外部ヘーズは、低ヘーズ特性をより向上できる観点から、好ましくは5%以上74%以下、より好ましくは5%以上72%以下、さらに好ましくは5%以上70%以下、さらに好ましくは10%以上68%以下、さらに好ましくは15%以上66%以下、さらに好ましくは20%以上64%以下である。
なお、外部ヘーズの測定方法は、例えば、実施例に記載の方法を採用できる。
【0053】
本実施形態のカバーテープについて、下記(方法1)によるタック力について説明する。
【0054】
本実施形態のカバーテープのタック力は、電子部品のカバーテープへの付着を低減できる観点から、好ましくは40gf以下、より好ましくは30gf以下、さらに好ましくは25gf以下、さらに好ましくは20gf以下、さらに好ましくは18gf以下、さらに好ましくは16gf以下である。
タック力の下限値は特に制限されないが、例えば0gf以上であってもよく、2gf以上であってもよく、4gf以上であってもよい。
本実施形態のカバーテープのタック力は、電子部品のカバーテープへの付着を低減できる観点から、好ましくは0gf以上40gf以下、より好ましくは0gf以上30gf以下、さらに好ましくは2gf以上25gf以下、さらに好ましくは2gf以上20gf以下、さらに好ましくは4gf以上18gf以下、さらに好ましくは4gf以上16gf以下である。
【0055】
(方法1)
接触面積5mmφのSUS製プローブを、押し付け速度0.5mm/秒でカバーテープのシーラント面に押し付ける。次いで、測定温度40℃、押し付け荷重2,500gfで20秒間保持する。次いで、引き上げ速度10mm/秒で引き上げる際の荷重の測定値をタック力(gf)とする。
なお、タック力の測定方法は、より具体的には、実施例に記載の方法を採用できる。
【0056】
<カバーテープの用途>
次に、カバーテープの用途について説明する。
本実施形態のカバーテープは、低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスを向上できるため、様々なキャリアに用いることが可能である。特に、本実施形態のカバーテープは、紙製キャリアに用いることが可能である。
【0057】
<カバーテープの製造方法>
本実施形態のカバーテープの製造方法は特に限定されない。例えば、押出法、ラミネート法、塗布法等を適用することで製造できる。
一例として、本実施形態のカバーテープは、押出ラミネート法により製造できる。
【0058】
より具体的には、本実施形態のカバーテープは、以下(1)~(4)の手順で製造できる。
工程(1):基材層に相当するフィルムを準備する。
工程(2):工程(1)で準備したフィルムの片面に、中間層に相当する層を、押出ラミネート法により形成する。これにより、基材層-中間層の2層構成のフィルムを得る。
工程(3):工程(2)の2層構成のフィルムの、中間層が露出している面に、シーラント層に相当する層を、押出ラミネート法により形成する。これにより3層構成のフィルムを得る。
工程(4):必要に応じ、得られた3層構成のフィルムを、適当な長さおよび幅に裁断する。
【0059】
工程(2)の押出ラミネートにおいては、基材層に相当するフィルムの片面に、溶融状態の樹脂材料を用いて、中間層に相当する層を形成する。樹脂材料は、例えば、<中間層>の欄で挙げた樹脂、各種添加剤等を含む。樹脂材料が二種以上の素材を含む場合には、中間層に相当する層を形成する前に(溶融状態において)、適切に混合されていることが好ましい。
【0060】
工程(3)の押出ラミネートにおいては、2層構成のフィルムの、中間層が露出している面に、溶融状態の樹脂材料を用いて、シーラント層に相当する層を形成する。樹脂材料は、例えば、<シーラント層>の欄で挙げた樹脂、各種添加剤等を含む。樹脂材料が二種以上の素材を含む場合には、シーラント層に相当する層を形成する前に(溶融状態において)、適切に混合されていることが好ましい。
【0061】
また、工程(3)の押出ラミネートにおいては、表面に突起を備える冷却ロールにシーラント層を押し当て、シーラント層の表面に凹凸を設けることが好ましい。押し当ては、冷却ロールと対向して設けられたシリコーンゴム製マットロール等により行うことができる。
【0062】
冷却ロール表面の、JIS B 0601:2013に準拠して測定される最大高さRz(以下、適宜単に「最大高さRz」とも呼ぶ。)は、好ましくは3.5μm以上6.0μm以下である。
【0063】
押し当ての圧力(以下、タッチ圧とも呼ぶ。)は、好ましくは0.25MPa以上0.35MPa以下である。
【0064】
冷却ロールを押し当てる際の、押し出されたシーラント層の温度は、250℃以上350℃以下であることが好ましい。また、冷却ロールおよびタッチロールの温度は15℃以上25℃以下に調整(冷却)されていることが好ましい。
【0065】
工程(2)および工程(3)における押出温度は適宜調整できる。例えば250℃以上350℃以下の間で調整できる。
【0066】
[電子部品包装体]
本実施形態の電子部品包装体は、凹部を有するキャリアと、凹部に収容された電子部品と、本実施形態のカバーテープとを備える。つまり、本実施形態の電子部品包装体は、電子部品が凹部に収容されたキャリアと、本実施形態のカバーテープとを備える。
本実施形態の電子部品包装体において、電子部品を封止するようにシーラント面がキャリアに接着されている。
【0067】
ここで、本実施形態の電子部品包装体において、キャリアの形状および材質は、特に限定されない。
本実施形態の電子部品包装体において、キャリアは、例えば、キャリアテープまたはキャリアシートを含む。
また、本実施形態の電子部品包装体において、キャリアは紙製キャリアを含む。
【0068】
例えば、本実施形態のカバーテープと、電子部品が凹部に収容されたキャリアテープとから、電子部品包装体を得ることができる。これについて
図2を参照しつつ説明する。
【0069】
図2において、カバーテープ10は、電子部品(図示しない)の形状に合わせて凹状のポケット21が連続的に設けられた帯状のキャリアテープ20の蓋材として用いられている。
具体的には、カバーテープ10は、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面に接着(通常、ヒートシール)される。なお、以降、カバーテープ10とキャリアテープ20とを接着して得られた構造体のことを、電子部品包装体100と称する。
【0070】
電子部品包装体100は、例えば、以下の手順で製造できる。
まず、キャリアテープ20のポケット21内に電子部品を収容する。
次いで、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面にカバーテープ10をヒートシール法により接着する。この際、カバーテープ10におけるシーラント層3がキャリアテープ20と接するようにする(つまり、
図2におけるカバーテープ10の「裏面」がシーラント層3となるようにしてヒートシールを行う)。
ヒートシールの具体的な方法または条件は、カバーテープ10をキャリアテープ20に十分強く接着できる限り特に限定されない。ヒートシールは、例えば、公知のヒートシール機を用い、温度100℃以上240℃以下、荷重0.1kgf以上10kgf以下、時間0.0001秒以上1秒以下の範囲内で行うことができる。
【0071】
以上により、電子部品が密封収容された構造体(電子部品包装体100)が得られる。
この構造体(電子部品包装体100)は、例えば、リールに巻かれた状態で、電子部品の使用時まで電子部品を保管できる。なお、電子部品包装体100は、例えばリールにまかれた状態で、船便や航空便により遠隔地へ電子部品を輸送できる。
リールは、例えば、金属製リール、紙製リール、プラスチック製リール等を含む。
【0072】
電子部品を用いる際には、カバーテープ10をキャリアテープ20から剥離し、収容されていた電子部品を取り出す。
電子部品包装体100内に収容される電子部品は、特に限定されないが、例えば、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子、光学素子、LED関連部材、コネクタ、電極等を含む、電気・電子機器の製造に用いられる部品全般を含む。
【0073】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0074】
以下、本実施形態を、実施例等を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0075】
はじめに、各例のカバーテープに用いた材料を示す。
二軸延伸ポリエステルフィルム:E7415(東洋紡株式会社製、膜厚25μm)(以下、PET1とも呼ぶ。)
低密度ポリエチレン:スミカセンL705(住友化学株式会社製)(以下、LDPEとも呼ぶ。)
エチレン-酢酸ビニル共重合体:ウルトラセン537(東ソー株式会社製、酢酸ビニル基の含有率:6質量%)(以下、EVA1とも呼ぶ。)
エチレン-酢酸ビニル共重合体:ウルトラセン625(東ソー株式会社製、酢酸ビニル基の含有率:15質量%)(以下、EVA2とも呼ぶ。)
粘着付与剤:アルコンP-100(荒川化学工業株式会社製)
界面活性剤:非イオン性界面活性剤(花王株式会社製、エレクトロストリッパーTS-7B)(以下、界面活性剤1とも呼ぶ。)
【0076】
次に、各例のカバーテープを下記の製造方法で作成した。カバーテープの構成は、表1にしたがった。
<実施例1>
以下の手順により実施例1のカバーテープを製造した。
基材層として、膜厚25μmのPET1を準備した。この片面に、押出ラミネート法により、EVA1を押出温度300℃で厚さ20μmに成膜して、中間層を設けた。このようにして積層フィルムを得た。
次いで、EVA1を90質量部、粘着付与剤を10質量部それぞれ準備し、EVA1と粘着付与剤を溶融混合することで、溶融混合物1を得た。
次いで、成膜された中間層の上に、溶融混合物1を、押出ラミネート法により、押出温度280℃で中間層の表面に押し出し、厚さ5μmに成膜した。その直後、シーラント層側からは最大高さRzが4.0μmの突起を備える冷却ロールで、基材層側からはシリコーンゴム製マットロールで、タッチ圧0.3MPaで挟みながら各ロールを回転させることでシーラント層表面の粗面化をおこなった。この際、冷却ロールの温度は20℃に設定した。
次いで、界面活性剤1を固形分1質量%で分散させて調整した分散液(分散液全量を100質量%とする、分散媒:エタノール)を、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した。
【0077】
<実施例2>
以下の手順により実施例2のカバーテープを製造した。
基材層として、膜厚25μmのPET1を準備した。この片面に、押出ラミネート法により、EVA1を押出温度300℃で厚さ11μmに成膜して、中間層を設けた。このようにして積層フィルムを得た。
次いで、EVA2を90質量部、粘着付与剤を10質量部それぞれ準備し、EVA2と粘着付与剤を溶融混合することで、溶融混合物2を得た。
次いで、成膜された中間層の上に、溶融混合物2を、押出ラミネート法により、押出温度280℃で中間層の表面に押し出し、厚さ16μmに成膜した。その直後、シーラント層側からは最大高さRzが5.5μmの突起を備える冷却ロールで、基材層側からはシリコーンゴム製マットロールで、タッチ圧0.3MPaで挟みながら各ロールを回転させることでシーラント層表面の粗面化をおこなった。この際、冷却ロールの温度は20℃に設定した。
次いで、界面活性剤1を固形分1質量%で分散させて調整した分散液(分散液全量を100質量%とする、分散媒:エタノール)を、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した。
【0078】
<比較例1>
以下の手順により比較例1のカバーテープを製造した。
基材層として、膜厚25μmのPET1を準備した。この片面に、押出ラミネート法により、EVA1を押出温度300℃で厚さ16μmに成膜して、中間層を設けた。このようにして積層フィルムを得た。
次いで、EVA1を90質量部、粘着付与剤を10質量部それぞれ準備し、EVA1と粘着付与剤を溶融混合することで、溶融混合物1を得た。
次いで、成膜された中間層の上に、溶融混合物1を、押出ラミネート法により、押出温度280℃で中間層の表面に押し出し、厚さ10μmに成膜した。その直後、シーラント層側からは最大高さRzが8.0μmの突起を備える冷却ロールで、基材層側からはシリコーンゴム製マットロールで、タッチ圧0.3MPaで挟みながら各ロールを回転させることでシーラント層表面の粗面化をおこなった。この際、冷却ロールの温度は20℃に設定した。
次いで、界面活性剤1を固形分1質量%で分散させて調整した分散液(分散液全量を100質量%とする、分散媒:エタノール)を、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した。
【0079】
<比較例2>
以下の手順により比較例2のカバーテープを製造した。
基材層として、膜厚25μmのPET1を準備した。この片面に、押出ラミネート法により、LDPEを押出温度300℃で厚さ20μmに成膜して、中間層を設けた。このようにして積層フィルムを得た。
次いで、EVA2を90質量部、粘着付与剤を10質量部それぞれ準備し、EVA2と粘着付与剤を溶融混合することで、溶融混合物2を得た。
次いで、成膜された中間層の上に、溶融混合物2を、押出ラミネート法により、押出温度280℃で中間層の表面に押し出し、厚さ5μmに成膜した。その直後、シーラント層側からは最大高さRzが2.0μmの突起を備える冷却ロールで、基材層側からはシリコーンゴム製マットロールで、タッチ圧0.2MPaで挟みながら各ロールを回転させることでシーラント層表面の粗面化をおこなった。この際、冷却ロールの温度は20℃に設定した。
次いで、界面活性剤1を固形分1質量%で分散させて調整した分散液(分散液全量を100質量%とする、分散媒:エタノール)を、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した。
【0080】
<比較例3>
以下の手順により比較例3のカバーテープを製造した。
基材層として、膜厚25μmのPET1を準備した。この片面に、押出ラミネート法により、LDPEを押出温度300℃で厚さ15μmに成膜して、中間層を設けた。このようにして積層フィルムを得た。
次いで、EVA1を90質量部、粘着付与剤を10質量部それぞれ準備し、EVA1と粘着付与剤を溶融混合することで、溶融混合物1を得た。
次いで、成膜された中間層の上に、溶融混合物1を、押出ラミネート法により、押出温度280℃で中間層の表面に押し出し、厚さ10μmに成膜した。その直後、シーラント層側からは最大高さRzが5.0μmの突起を備える冷却ロールで、基材層側からはシリコーンゴム製マットロールで、タッチ圧0.2MPaで挟みながら各ロールを回転させることでシーラント層表面の粗面化をおこなった。この際、冷却ロールの温度は20℃に設定した。
次いで、界面活性剤1を固形分1質量%で分散させて調整した分散液(分散液全量を100質量%とする、分散媒:エタノール)を、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した。
【0081】
次に、各例のカバーテープの物性を以下の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
【0082】
<シーラント面の表面粗さ>
各例のカバーテープについて、キーエンス社製のレーザー顕微鏡VK-X3000を用いて、シーラント面の表面粗さを測定した。解析ソフトウェアとしては装置に付属のものを用いた。
表面粗さは、具体的には、以下の指標をそれぞれ測定した。
・ISO 25178―2:2012に準拠して測定される山頂点の算術平均曲率Spc
・ISO 25178―2:2012に準拠して測定されるコア部のレベル差Sk
【0083】
<カバーテープの外部ヘーズ>
各例のカバーテープについて、日本電飾工業社製のHaze Meter NDH 2000を用いて、光源D65にて、JIS K 7136:2000に準拠して外部ヘーズを測定した。
【0084】
<カバーテープのタック力>
各例のカバーテープについて、株式会社レスカ製のタッキング試験機TAC-1000を用いて、シーラント面のタック力を測定した。
シーラント面に対し、以下の測定条件でSUS(ステンレス)製プローブを押し付けた。その後、カバーテープからプローブを垂直に引きはがした。この引きはがしの際にかかる荷重のピーク値を、タック力として採用した。
【0085】
測定条件の詳細は下記の通りである。
・プローブ径:5mmφ
・プローブ温度:40℃
・プローブを押し付ける速度:0.5mm/秒
・プローブがカバーテープを押し付ける荷重:2,500gf
・押し付けを継続する時間:20秒
・プローブを引きはがす速度:10mm/秒
【表1】
【符号の説明】
【0086】
1 基材層
2 中間層
3 シーラント層
10 カバーテープ
20 キャリアテープ
21 ポケット
100 電子部品包装体
【要約】
【課題】低ヘーズ特性と低タック力との性能バランスが向上した電子部品包装用カバーテープを提供すること。
【解決手段】基材層と、前記基材層の片面側に設けられたシーラント層とを備え、前記シーラント層側にシーラント面を有し、前記シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定される山頂点の算術平均曲率Spcが6.0×10
2/mm以上1.7×10
3/mm以下であり、前記シーラント面の、ISO 25178―2:2012に準拠して測定されるコア部のレベル差Skが0.5μm以上1.8μm以下である、電子部品包装用カバーテープ。
【選択図】
図1