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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】光アダプタおよび光コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/40 20060101AFI20250430BHJP
【FI】
G02B6/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021113018
(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公開番号】P2023009602
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2024-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 秀則
(72)【発明者】
【氏名】野田 哲也
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-062513(JP,A)
【文献】特開2012-078513(JP,A)
【文献】特開2019-032530(JP,A)
【文献】特開平01-061713(JP,A)
【文献】特開2016-090892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0112672(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108508540(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/36 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバが並列に配列されて保持される2つの光コネクタを互いに接続させる光アダプタであって、
前記2つの光コネクタが各々備えるインナーハウジングが挿通される第1挿通孔を備え、
前記第1挿通孔は、互いに対向する一対の第1内壁面を有し、
前記一対の第1内壁面の各々は、前記2つの光コネクタの挿通方向に直交する断面視において、前記一対の第1内壁面の各々の両端部である第1両端部に内部方向に向かって突出する第1突出部を有
前記一対の第1内壁面の各々は、前記断面視において、前記第1両端部の間に第1溝部を有し、
前記第1挿通孔は、前記一対の第1内壁面と直交して互いに対向する一対の第2内壁面を有し、
前記一対の第2内壁面の各々は、前記断面視において、前記一対の第2内壁面の各々の両端部である第2両端部に、内部方向に向かって突出する第2突出部を有し、
前記一対の第2内壁面の各々は、前記断面視において、前記第2両端部の間に第2溝部を有する、光アダプタ。
【請求項2】
前記光アダプタは、前記2つの光コネクタが各々備えるアウターハウジングが挿通される、前記第1挿通孔と連通された第2挿通孔をさらに備え、
前記第2挿通孔は、互いに対向する一対の第3内壁面を有し、
前記一対の第3内壁面の各々は、前記断面視において、前記一対の第3内壁面の各々の両端部である第3両端部に内部方向に向かって突出する第3突出部を有する、請求項に記載の光アダプタ。
【請求項3】
前記第2挿通孔は、前記一対の第3内壁面と直交して互いに対向する一対の第4内壁面を有し、
前記一対の第4内壁面の各々は、前記断面視において、前記一対の第4内壁面の各々の両端部である第4両端部に内部方向に向かって突出する第4突出部を有する、請求項に記載の光アダプタ。
【請求項4】
前記2つの光コネクタの挿入方向において、20.1mmよりも大きい全長を有する、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光アダプタ。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の光アダプタと、
前記インナーハウジング及び前記アウターハウジングをそれぞれ有する前記2つの光コネクタと、を備え、
前記2つの光コネクタは、前記光アダプタに挿通されて、互いに接続されている、光コネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つの光コネクタを互いに接続させる光アダプタおよび光コネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの光コネクタを互いに接続させるための光アダプタが知られている。例えば、特許文献1には、光コネクタが挿抜自在であって2つの光コネクタを直線状に互いに接続させる光アダプタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-204707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る光アダプタは、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入されると、光コネクタ同士が適切に嵌合されず、光ファイバの軸ずれが生じて、光損失が生じやすい。仮に、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入されるのを防止するために、光アダプタの挿通孔の開口面を全周に渡って狭くすると、挿通孔の内壁と光コネクタのハウジングの外周面との接触面積が増加し、光コネクタ挿抜時に削り屑が発生し、光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が生じる恐れがある。
【0005】
本開示は、2つの光コネクタを互いに接続させる際の光損失を抑制できる光アダプタおよび光コネクタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光アダプタは、複数本の光ファイバが並列に配列されて保持される2つの光コネクタを互いに接続させる光アダプタであって、前記2つの光コネクタが各々備えるインナーハウジングが挿通される第1挿通孔を備え、前記第1挿通孔は、互いに対向する一対の第1内壁面を有し、前記一対の第1内壁面の各々は、前記2つの光コネクタの挿通方向に直交する断面視において、両端部に内部方向に向かって突出する第1突出部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入されることを制限し、2つの光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る光コネクタユニットの斜視図である。
図2A図2Aは、第1実施形態に係る光アダプタを示す上面図である。
図2B図2Bは、第1実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態を示す上面図である。
図3A図3Aは、第1実施形態に係る光アダプタの図2AにおけるA-A断面図である。
図3B図3Bは、第1実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態での図2BにおけるA-A断面図である。
図3C図3Cは、第1実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態での光コネクタ挿通方向の断面図である。
図4A図4Aは、第2実施形態に係る光アダプタを示す上面図である。
図4B図4Bは、第2実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態を示す上面図である。
図5A図5Aは、第2実施形態に係る光アダプタの図4AにおけるB-B断面図である。
図5B図5Bは、第2実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態での図4BにおけるB-B断面図である。
図5C図5Cは、第2実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態での光コネクタ挿通方向の断面図である。
図6A図6Aは、第3実施形態に係る光アダプタを示す上面図である。
図6B図6Bは、第3実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態を示す上面図である。
図7図7は、第3実施形態に係る光アダプタに光コネクタが接続された状態での光コネクタ挿通方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の実施形態の概要を説明する。
(1)複数本の光ファイバが並列に配列されて保持される2つの光コネクタを互いに接続させる光アダプタであって、
前記2つの光コネクタが各々備えるインナーハウジングが挿通される第1挿通孔を備え、
前記第1挿通孔は、互いに対向する一対の第1内壁面を有し、
前記一対の第1内壁面の各々は、前記2つの光コネクタの挿通方向に直交する断面視において、両端部に内部方向に向かって突出する第1突出部を有する、光アダプタ。
【0010】
上記構成によれば、光アダプタは2つの光コネクタが各々備えるインナーハウジングが挿通される第1挿通孔を備えており、当該第1挿通孔は互いに対向する一対の第1内壁面を有し、当該一対の第1内壁面は、両端部に内部方向に向かって突出する第1突出部を有する。このように、第1突出部により第1挿通孔の開口面の一部を内部方向に狭めることで、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入されることを制限し、2つの光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0011】
(2)前記一対の第1内壁面の各々は、前記断面視において、前記両端部の間に第1溝部を有する、項目(1)に記載の光アダプタ。
【0012】
上記構成によれば、一対の第1内壁面の各々の両端部の間に第1溝部を有し、光コネクタ挿抜時に第1溝部と光コネクタのインナーハウジングの外周面は接触しない。そのため、第1挿通孔の内壁と光コネクタのインナーハウジングの外周面との接触面積が小さくなり、両者が接触し摩耗することにより発生する削り屑を抑制し、光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0013】
(3)前記第1挿通孔は、前記一対の第1内壁面と直交して互いに対向する一対の第2内壁面を有し、
前記一対の第2内壁面の各々は、前記断面視において、両端部に内部方向に向かって突出する第2突出部を有する、項目(1)または項目(2)に記載の光アダプタ。
【0014】
上記構成によれば、一対の第1内壁面と直交して互いに対向する一対の第2内壁面は、両端部に内部方向に向かって突出する第2突出部を有する。このように、第1突出部に加えて第2突出部により第1挿通孔の開口面の一部を第1突出部とは異なる内部方向に狭めることで、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入されることをさらに制限し、2つの光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0015】
(4)前記一対の第2内壁面の各々は、前記断面視において、前記両端部の間に第2溝部を有する、項目(3)に記載の光アダプタ。
【0016】
上記構成によれば、一対の第2内壁面の各々の両端部の間に第2溝部を有し、光コネクタ挿抜時に第2溝部と光コネクタのインナーハウジングの外周面は接触しない。そのため、第1挿通孔の内壁と光コネクタのインナーハウジングの外周面との接触面積がさらに小さくなり、光コネクタ挿抜時に両者が接触し摩耗することにより発生する削り屑を抑制し、光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0017】
(5)前記光アダプタは、前記2つの光コネクタが各々備えるアウターハウジングが挿通される、前記第1挿通孔と連通された第2挿通孔をさらに備え、
前記第2挿通孔は、互いに対向する一対の第3内壁面を有し、
前記一対の第3内壁面の各々は、前記断面視において、両端部に内部方向に向かって突出する第3突出部を有する、項目(1)から項目(4)の何れか一に記載の光アダプタ。
【0018】
上記構成によれば、光アダプタは2つの光コネクタが各々備えるアウターハウジングが挿通される第2挿通孔を備えており、当該第2挿通孔は互いに対向する一対の第3内壁面を有し、当該一対の第3内壁面は、両端部に内部方向に向かって突出する第3突出部を有する。このように、第3突出部により第2挿通孔の開口面の一部を内部方向に狭めることで、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入されることを制限し、2つの光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0019】
(6)前記第2挿通孔は、前記一対の第3内壁面と直交して互いに対向する一対の第4内壁面を有し、
前記一対の第4内壁面の各々は、前記断面視において、両端部に内部方向に向かって突出する第4突出部を有する、項目(5)に記載の光アダプタ。
【0020】
上記構成によれば、一対の第3内壁面と直交して互いに対向する一対の第4内壁面は、両端部に内部方向に向かって突出する第4突出部を有する。このように、第3突出部に加えて第4突出部により第2挿通部の開口面の一部を第3突出部とは異なる内部方向に狭めることで、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入されることをさらに制限し、2つの光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0021】
(7)前記2つの光コネクタの挿入方向において、20.1mmよりも大きい全長を有する、項目(1)から項目(6)の何れか一に記載の光アダプタ。
【0022】
上記構成によれば、光アダプタが2つの光コネクタの挿入方向において、20.1mmよりも大きい全長を有するため、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿入された場合でも、光コネクタの先端部が挿入方向奥側において光アダプタの内壁部に接触して挿入方向が軌道修正される。したがって、光コネクタが光アダプタに対して斜めに挿通されることを制限し、2つの光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0023】
(8)項目(1)から項目(7)の何れか一に記載の光アダプタと、
前記インナーハウジング及び前記アウターハウジングをそれぞれ有する前記2つの光コネクタと、を備え、
前記2つの光コネクタは、前記光アダプタに挿通されて、互いに接続されている、光コネクタユニット。
【0024】
上記構成によれば、2つの光コネクタ同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止する光コネクタユニットを提供することができる。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光コネクタユニット4の斜視図である。
【0027】
光コネクタユニット4は、光アダプタ1と、複数本の光ファイバ(不図示)が並列に配列されて保持される2つの光コネクタ2と、複数本の光ファイバにシースを被覆した光ファイバケーブル3を有する。図1に示すように、光ファイバケーブル3が接続された2つの光コネクタ2が光アダプタ1に挿入されることで、互いに光接続される。
【0028】
図2Aは、第1実施形態に係る光アダプタ1を示す上面図である。図2Bは、第1実施形態に係る光アダプタ1に光コネクタ2が接続された状態を示す上面図である。図3Aは、第1実施形態に係る光アダプタ1の図2AにおけるA-A断面図である。図3Bは、第1実施形態に係る光アダプタ1に光コネクタ2が接続された状態での図2BにおけるA-A断面図である。
【0029】
図2A、2Bに示すように、光アダプタ1は、2つの光コネクタ2の挿入方向において20.1mmの全長L1を有し、2つの光コネクタ2が各々備えるインナーハウジング21、及び、アウターハウジング22が挿通される構成である。
【0030】
図3Aに示すように、光アダプタ1は第1挿通孔11を備える。図3B、3Cに示すように、第1挿通孔11は、2つの光コネクタ2が各々備えるインナーハウジング21が挿通される構成である。なお、図3Cにおいては、理解がし易いように、一方の光コネクタ2のみ挿通された状態を示している。
【0031】
第1挿通孔11は、互いに対向する一対の第1内壁面11aを有し、一対の第1内壁面11aの各々は、両端部に内部方向に向かって突出する第1突出部11cを有する。
一対の第1内壁面11aは、互いに平行な平面であり、5.00mmから5.10mmの隙間D1を有する。第1突出部11cは、内部方向(第1内壁面11a同士が対向する方向)に向かって矩形状に突出し、一対の第1内壁面11aと平行な2.00mmの幅W1を有する。一対の第1内壁面11aのうち一方が有する第1突出部11cと他方が有する第1突出部11cは、4.94mmから4.99mmの隙間D2を有するように対向配置されている。一方で、2つの光コネクタ2が各々備えるインナーハウジング21は、隙間D1、D2と同一方向に4.89mmから4.99mmの幅を有する。このように、第1突出部11cにより、第1挿通孔11の開口面の一部が内部方向に狭まり、光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されても第1突出部11cに突き当たる構成となっている。したがって、第1突出部11cにより光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されることを制限し、2つの光コネクタ2同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。なお、インナーハウジング21の隙間D2と同一方向における幅は、隙間D2よりも僅かに狭くてもよいが、インナーハウジング21の幅が隙間D2と同じかそれより大きくてもよい。この場合でも、インナーハウジング21、第1挿通孔11共に微小変形可能なため、インナーハウジング21は第1挿通孔11に挿通できる。
【0032】
また、一対の第1内壁面11aの各々は、両端部の間に第1溝部11eを有する。つまり、第1内壁面11aは第1突出部11cを中央部には有さず、両端部にのみ有する。第1溝部11eを有することで、光コネクタ挿抜時に第1溝部11eと光コネクタ2のインナーハウジング21の外周面との間に隙間が存在し、互いに接触しない構成となっている。したがって、第1挿通孔11の内壁と光コネクタ2のインナーハウジング21の外周面との接触面積が小さくなり、両者が接触し摩耗することにより発生する削り屑を抑制し、光コネクタ2同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0033】
さらに、第1挿通孔11は、一対の第1内壁面11aと直交して互いに対向する一対の第2内壁面11bを有し、一対の第2内壁面11bの各々は、両端部に内部方向(第2内壁面11b同士が対向する方向)に向かって突出する第2突出部11dを有する。ここで、直交とは二本が交差して延在することを意味するものであって、幾何学的に厳密な意味での直交を言うものでは無い。
一対の第2内壁面11bは、対向する同心円の円弧状の曲面であり、4.80mmから4.85mmの径R1を有する。第2突出部11dは、径R1より小さい4.75mmから4.79mmの径R2となるように内部方向に向かって突出し、一対の第2内壁面11bと平行な0.65mmの幅W2を有する。一方で、2つの光コネクタ2が各々備えるインナーハウジング21は、4.75mmから4.79mmの径を有する。このように、第1突出部11cに加えて第2突出部11dにより第1挿通孔11の開口面の一部を第1突出部11cとは異なる方向にさらに狭めることで、光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されても第1突出部11cまたは第2突出部11dに突き当たる構成となっている。したがって、第2突出部11dにより光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されることをより制限し、2つの光コネクタ2同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。なお、インナーハウジング21の径は、径R2よりも僅かに小さくてもよいが、インナーハウジング21の径が径R2と同じかそれより大きくてもよい。この場合でも、インナーハウジング21、第1挿通孔11共に微小変形可能なため、インナーハウジング21は第1挿通孔11に挿通できる。
【0034】
また、一対の第2内壁面11bの各々は、両端部の間に第2溝部11fを有する。つまり、第2内壁面11bは両端部にのみ第2突出部11dを有する。第2溝部11fにより、光コネクタ挿抜時に第2溝部11fと光コネクタ2のインナーハウジング21の外周面に隙間が存在し、接触しない構成となっている。したがって、第1挿通孔11の内壁と光コネクタ2のインナーハウジング21の外周面との接触面積がさらに小さくなり、両者が接触し摩耗することにより発生する削り屑を抑制し、光コネクタ2同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図4Aは、第2実施形態に係る光アダプタ1を示す上面図である。図4Bは、第2実施形態に係る光アダプタ1に光コネクタ2が接続された状態を示す上面図である。図5Aは、第2実施形態に係る光アダプタ1の図4AにおけるB-B断面図である。図5Bは、第2実施形態に係る光アダプタ1に光コネクタ2が接続された状態での図4BにおけるB-B断面図である。図4A、4Bに示すように、光アダプタ1は、2つの光コネクタ2の挿入方向において20.1mmの全長L1を有する。尚、図4AのA-A断面図については、第1実施形態における第1挿通孔11と同一の構造であるため、繰り返し説明は行わない。
【0036】
図5Aに示すように、光アダプタ1は第2挿通孔12を備える。第2挿通孔12は第1挿通孔11と連通されていて、図5B、5Cに示すように、2つの光コネクタ2が各々備えるアウターハウジング22が挿通される構成である。なお、図5Cにおいては、理解がし易いように、一方の光コネクタ2のみ挿通された状態を示している。
【0037】
第2挿通孔12は、互いに対向する一対の第3内壁面12aを有し、一対の第3内壁面12aの各々は、両端部に内部方向(第3内壁面12a同士が対向する方向)に向かって突出する第3突出部12cを有する。
一対の第3内壁面12aは、互いに平行な平面であり、7.80mmから7.90mmの隙間D3を有する。第3突出部12cは、内部方向に向かって矩形状に突出し、一対の第3内壁面12aと平行な2.00mmの幅W3を有する。一対の第3内壁面12aのうち一方が有する第3突出部12cと他方が有する第3突出部12cは、7.70mmから7.75mmの隙間D4を有するように対向配置されている。一方で、2つの光コネクタ2が各々備えるアウターハウジング22は、隙間D3、D4と同一方向に7.50mmから7.70mmの幅を有する。このように、第3突出部12cにより、第2挿通孔12の開口面の一部が内部方向に狭まり、光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されても第3突出部12cに突き当たる構成となっている。したがって、第3突出部12cにより光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されることを制限し、2つの光コネクタ2同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。なお、アウターハウジング22の隙間D4と同一方向における幅は、隙間D4よりも僅かに狭くてもよいが、隙間D4とアウターハウジング22の幅が同じでもよい。この場合でも、アウターハウジング22、第2挿通孔12共に微小変形可能なため、アウターハウジング22は第2挿通孔12に挿通できる。
【0038】
さらに、第2挿通孔12は、一対の第3内壁面12aと直交して互いに対向する一対の第4内壁面12bを有し、一対の第4内壁面12bの各々は、両端部に内部方向(第4内壁面12b同士が対向する方向)に向かって突出する第4突出部12dを有する。ここで、直交とは二本が交差して延在することを意味するものであって、幾何学的に厳密な意味での直交を言うものでは無い。
一対の第4内壁面12bは、対向する同心円の円弧状の曲面であり、6.60mmから6.70mmの径R3を有する。第4突出部12dは、径R3より小さい6.51mmから6.55mmの径R4となるように内部方向に向かって突出し、一対の第4内壁面12bと平行な1.00mmの幅W4を有する。一方で、2つの光コネクタ2が各々備えるアウターハウジング22は、径R4よりも僅かに狭い6.10mmから6.30mmの径を有する。このように、第3突出部12cに加えて第4突出部12dにより第2挿通孔12の開口面の一部を第3突出部12cとは異なる方向にさらに狭めることで、光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されても第3突出部12cまたは第4突出部12dに突き当たる構成となっている。したがって、第4突出部12dにより光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されることをより制限し、2つの光コネクタ2同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0039】
(第3実施形態)
図6Aは、第3実施形態に係る光アダプタ1を示す上面図である。図6B、7は、第3実施形態に係る光アダプタ1に光コネクタ2が接続された状態を示す上面図および光コネクタ挿通方向の断面図である。なお、図6AのA-A断面図、B-B断面図については、第1実施形態における第1挿通孔11、第2実施形態における第2挿通孔12と同一の構造であるため、繰り返し説明は行わない。また、図7においては、理解がし易いように、一方の光コネクタ2のみ挿通された状態を示している。
【0040】
図6A、6Bに示すように、光アダプタ1は、2つの光コネクタ2の挿入方向において第1、2実施形態の全長L1よりも大きい25.1mmの全長L2を有する。このため、光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入された場合でも、光コネクタ2の先端部が挿入方向奥側において光アダプタ1の内壁部に接触して挿入方向が軌道修正される。したがって、光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿通されることを制限し、2つの光コネクタ2同士が適切に嵌合されずに光損失が発生することを防止することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説 明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態はあくまで も一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の 変更が可能であることが当業者によって理解される。このように、本発明の技術的範囲は 特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。例えば、実施形態1の第1突出部11c、第2突出部11d、及び、実施形態2の第3突出部12c、第4突出部12dは、矩形状に突出しているが、光コネクタ2が光アダプタ1に対して斜めに挿入されても第1突出部11c、第2突出部11d、第3突出部12c、第4突出部12dに突き当たる構成となっていればよく、第1突出部11c、第2突出部11d、第3突出部12c、第4突出部12dの形状は、のこぎり状、三角形状、楕円状等、他の突出形状であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:光アダプタ
2:光コネクタ
3:光ファイバケーブル
4:光コネクタユニット
11:第1挿通孔
11a:第1内壁面
11b:第2内壁面
11c:第1突出部
11d:第2突出部
11e:第1溝部
11f:第2溝部
12:第2挿通孔
12a:第3内壁面
12b:第4内壁面
12c:第3突出部
12d:第4突出部
21:インナーハウジング
22:アウターハウジング
L1、L2:全長
D1、D2、D3、D4:隙間
W1、W2、W3、W4:幅
R1、R2、R3、R4:径
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7