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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】複合構造反り制御システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/10 20060101AFI20250430BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20250430BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20250430BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20250430BHJP
【FI】
B29C70/10
B64C1/00 B
B64F5/10
B29K105:08
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020141389
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2021075039
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】16/551,126
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ビフザードプール, フォルザン
(72)【発明者】
【氏名】スティックラー, パトリック ビックフォード
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0142149(US,A1)
【文献】米国特許第06692681(US,B1)
【文献】特開2013-256119(JP,A)
【文献】Wang Minji, Wells Brendan,Substrate Trace Modeling for Package Warpage Simulation,IEEE Conference Proceedings,Vol.2016 No.ETCT,米国,2016年,516-523
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/10
B64C 1/00
B64F 5/10
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部品(104)を管理するための方法であって、
前記複合部品(104)の設計仕様(119)から逸脱する製造時の前記複合部品(104)の変化である前記複合部品(104)の反り(116)の許容レベル(114)を特定することと、
プライ(122)の積層順(120)に選択された配向(126)を使用して前記複合部品(104)を製造することにより、前記許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する前記複合部品(104)が得られるように、前記複合部品(104)の前記プライ(122)の前記積層順(120)に配向(118)を選択して、前記積層順(120)に選択された配向(126)を形成することと
を含む方法であって、
前記複合部品(104)の前記プライ(122)の前記積層順(120)に配向(118)を選択して、前記積層順(120)に選択された配向(126)を形成することが、
前記プライ(122)の前記積層順(120)に候補の配向(128)を選択することと、
前記プライ(122)の前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用して、前記複合部品(104)の応力解析(130)を実行することと、
前記複合部品(104)が前記複合部品(104)の前記所望の強度(124)を有することを前記応力解析(130)が示すときに、前記選択された配向(126)として、前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用することと、
前記複合部品(104)が前記所望の強度(124)を有していないことを、前記候補の配向(128)を有する前記複合部品(104)の前記応力解析(130)が示すときに、前記積層順(120)に前記候補の配向(128)に新たな配向(132)を選択することと、
前記プライ(122)の前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用して、前記複合部品(104)の前記応力解析(130)を実行することと、
前記複合部品(104)に前記所望の強度(124)が存在するようになるまで、前記新たな配向(132)を選択すること、及び前記プライ(122)の前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用して、前記複合部品(104)の前記応力解析(130)を実行することを繰り返すことと
を含む、方法
【請求項2】
前記応力解析(130)が、前記複合部品(104)に印加された一組の構造負荷(222)のシミュレーションを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記プライ(122)の前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を選択することが、
ディスプレイシステム(202)のグラフィカルユーザインターフェース(206)に対して行なわれたユーザ入力(208)であって、前記グラフィカルユーザインターフェース(206)上に表示された複数の組の前記候補の配向(128)を選択するユーザ入力(208)を受信すること
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記選択された配向(126)を使用して、製品管理システムで前記複合部品(104)を製造すること
を更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
複合レイアップ(146)を形成するために、前記選択された配向(126)を使用して前記複合部品(104)の前記プライ(122)をレイアップするように、プライレイアップシステム(144)を制御することと、
前記複合部品(104)を形成するために、前記複合レイアップ(146)を硬化させることと
を更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記選択された配向(126)が、90度のプライ(122)、+45度のプライ(122)、-45度のプライ(122)、及び0度のプライ(122)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記選択された配向(126)が、90度の配向を有する前記プライ(122)の少なくとも10パーセントを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された配向(126)が、90度の配向を有する前記プライ(122)の少なくとも12.5パーセントから20パーセントを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記選択された配向(126)が、45度の配向を有する前記プライ(122)の40パーセントから50パーセントを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複合部品(104)が、外板パネル、フェアリング、エンジンハウジング、ストリンガ、ドア、翼、及びパネルである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータシステム(112)と、
前記コンピュータシステム(112)の複合部品デザイナー(110)と
を備え、前記複合部品デザイナー(110)が、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、複合部品システム(115)。
【請求項12】
製作機器(1508)と、
前記製作機器(1508)と通信しているコントローラ(140)と
複合部品デザイナー(110)と
を備え、前記コントローラ(140)が、前記製作機器(1508)を制御し、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する前記反り(116)を有する複合部品(104)が得られる前記複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に選択された配向(126)を有する部品設計を使用して、複合部品(104)を製造するように構成されており、前記反り(116)が、前記複合部品(104)の設計仕様(119)から逸脱する製造時の前記複合部品(104)の変化であり、
前記複合部品デザイナー(110)が、前記複合部品(104)の前記反り(116)の前記許容レベル(114)を特定し、かつ前記積層順(120)に前記選択された配向(126)を使用して前記複合部品(104)を製造することにより、前記許容レベル(114)の前記反り(116)及び前記所望の強度(124)を有する前記複合部品(104)が得られるように、前記積層順(120)に配向(118)を選択して、前記複合部品(104)の前記プライ(122)に前記選択された配向(126)を形成するように構成されており、
前記複合部品デザイナー(110)が、
前記プライ(122)の前記積層順(120)に候補の配向(128)を選択し、
前記プライ(122)の前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用して、前記複合部品(104)の応力解析(130)を実行し、
前記複合部品(104)が前記複合部品(104)の前記所望の強度(124)を有することを前記応力解析(130)が示すときに、前記選択された配向(126)として、前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用し、
前記複合部品(104)が前記所望の強度(124)を有していないことを、前記候補の配向(128)を有する前記複合部品(104)の前記応力解析(130)が示すときに、前記積層順(120)に前記候補の配向(128)に新たな配向(132)を選択し、
前記プライ(122)の前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用して、前記複合部品(104)の前記応力解析(130)を実行し、
前記複合部品(104)に前記所望の強度(124)が存在するようになるまで、前記新たな配向(132)を選択すること、及び前記プライ(122)の前記積層順(120)に前記候補の配向(128)を使用して、前記複合部品(104)の前記応力解析(130)を実行することを繰り返すように構成されている、製品管理システム(1500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して製造に関し、具体的には、複合部品の製造に関する。より具体的には、本開示は、複合部品製造の際に反りを制御するための方法、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合部品を製造する際に、反りが発生することが多い。航空機では、複合部品が、例えば、外板パネル、翼、安定板パネル、及び他の構成要素を含みうる。例えば、これらの種類の複合パネルは、これらの種類の構造に負荷が加えられたときに構造の曲げや座屈を低減又は回避するために、補強構造で補強することができる。ストリンガなどの補強構造は、複合パネル又は他の複合構造上に形成することができる。補強された複合部品を形成するために、これらの構成要素を使用することによって、反りが発生することが多く、この反りは、製造された部品が部品の設計仕様から逸脱する寸法を有している。複合部品の反りは、許容できる製造上の問題としては退けられてきた。
【0003】
反りがあると、航空機の部品を組み立てるときに、複合部品が他の複合部品と所望通りに合わないことがある。その結果、組み立てのために部品をまとめて配置すると、間隙が存在することがある。
【0004】
これらの状況で、シムを使用することができる。シムは、部品を位置合わせするために使用される構造である。シムは、例えば、ワッシャー、ウェッジ、材料片、又は部品の1つ又は複数の反りから間隙が生じる2つの部品の間の間隙を埋める他の構造でありうる。
【0005】
ただし、シムの使用には時間がかかり、製造コストが増加する可能性がある。例えば、部品の間の間隙を特定して測定する必要がある。場合によっては、反りにより、間隙が十分に小さくなり、部品が互いに接続されると、間隙を閉じることができることもある。このような状況では、シムは不要である。
【0006】
間隙が大きすぎるときには、間隙に合うようなシムが製造される。場合によっては、間隙の形状が複雑になることがあり、間隙に合うシムを作成するためにより多くの時間と労力が必要になる。次に、作業人員が間隙にシムを取り付ける。
【0007】
特に数百又は数千のシムといった多数のシムが航空機製造プロセスの一部として設置される場合、このプロセスには時間と費用がかかる。更に、シムを使用すると、航空機の重量が増える可能性もある。
【0008】
したがって、上記の問題点のうちの少なくともいくつかと、起こりうる他の問題点を考慮した方法及び装置を手に入れることが望ましいだろう。例えば、複合部品の仕様から逸脱した寸法を有する複合部品を製造する際の技術的問題を克服する方法及び装置を有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0009】
本開示の実施形態は、複合部品を管理するための方法を提供する。複合部品に対する反りの許容レベルが特定される。複合部品の反りは、複合部品の設計仕様から逸脱する製造時の複合部品の変化である。複合部品のプライに積層順に配向が選択され、選択された配向を使用して複合部品を製造することにより、許容レベルの反り及び所望の強度を有する複合部品が得られるように、選択された配向を形成する。
【0010】
本開示の別の実施形態は、コンピュータシステムと、コンピュータシステムの複合部品デザイナーとを備える複合部品システムを提供する。複合部品デザイナーは、複合部品の反りの許容レベルを特定するように構成される。反りは、複合部品の設計仕様から逸脱する製造時の複合部品の変化である。複合部品デザイナーは、積層順に選択された配向を使用して複合部品を製造することにより、許容レベルの反り及び所望の強度を有する複合部品が得られるように、複合部品のプライに積層順に配向を選択して、積層順に選択された配向を形成する。
【0011】
本開示の更に別の実施形態は、製作機器と、製作機器と通信しているコントローラとを備える製品管理システムを提供する。コントローラは、製作機器を制御し、許容レベルの反り及び所望の強度を有する複合部品が得られる複合部品のプライに積層順に選択された部品設計を使用して、複合部品を製造するように構成されており、反りは、複合部品の設計仕様から逸脱する製造時の複合部品の変化である。
【0012】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態で単独で実現可能であるか、又は以下の説明及び図面を参照して更なる詳細を理解しうる更に別の実施形態において、組み合わせてもよい。
【0013】
例示的な実施形態の特性と考えられる新規特徴は、付随する特許請求の範囲に明記されている。しかし、例示的な実施形態と共に、その更なる目的及び特徴である好ましい使用モードが、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細説明を添付図面と併せて参照することによって、最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】例示的実施形態による複合部品環境の図である。
図2】例示的実施形態による、複合部品を設計するためのユーザインターフェースシステムのブロック図である。
図3】例示的実施形態によるグラフィカルユーザインターフェースに表示された結果の図である。
図4】例示的実施形態によるグラフィカルユーザインターフェースに表示された結果の図である。
図5】例示的実施形態によるグラフィカルユーザインターフェースに表示された結果の図である。
図6】例示的実施形態によるグラフィカルユーザインターフェースに表示された結果の図である。
図7】例示的実施形態による、複合部品を管理するためのプロセスのフローチャートの図である。
図8】例示的実施形態による、複合部品のプライの配向を選択するためのプロセスのフローチャートの図である。
図9】例示的実施形態による、複合部品のプライの配向を選択するためのプロセスのフローチャートの図である。
図10】例示的実施形態による、プライの配向の解析からの結果を表示するためのプロセスのフローチャートの図である。
図11】例示的実施形態による、複合部品を製造するためのプロセスのフローチャートの図である。
図12】例示的実施形態による、データ処理システムのブロック図である。
図13】例示的実施形態による航空機の製造及び保守方法の図である。
図14】例示的実施形態が実装されうる航空機のブロック図である。
図15】例示的実施形態による、図示された製品管理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的実施形態は、1つ又は複数の異なる検討事項を認識し、考慮する。例えば、例示的実施形態は、現在、バランスのとれた対称的なレイアップを備えたパネルの反りは、複合材料の固有の動きであり、積層板の面内特性とは無関係だと考えられていると認識し、考慮する。例示的実施形態は、現在、反りが予測可能な欠陥だと考えられないと認識し、考慮する。
【0016】
例示的実施形態は、現在の設計プロセスが、反りのレベルを変数として使用しないことを認識し、考慮する。例示的実施形態は、現在の設計プロセスが、発生しうる反りに関係なく、下部翼パネルなどの複合構造の望ましい性能を提供することに焦点を当てることが望ましいだろうと認識し、考慮する。例えば、例示的実施形態は、所望の性能が、航空機の翼の下側の外板パネルといった複合部品から裂け目をなくすことができると認識し、考慮する。
【0017】
したがって、例示的実施例は、所望レベルの反りを実現し、複合部品の所望の性能を維持する複合部品を設計及び製造するための方法、装置、及びシステムを提供する。例えば、例示的実施例は、複合部品を管理する。複合部品に対する反りの許容レベルが特定される。複合部品の反りは、複合部品の設計仕様から逸脱する製造時の複合部品の変化である。複合部品のプライに積層順序での配向が選択され、選択された配向を使用して複合部品を製造することにより、許容レベルの反り及び所望の強度を有する複合部品が得られるように、選択された配向を形成する。
【0018】
図面、特に図1を参照すると、複合部品環境の例が例示的実施形態にしたがって示されている。複合部品環境100は、複合部品102が航空機106などの製品104での使用のために設計されている環境である。複合部品102は、いくつかの異なる形態をとる。例えば、複合部品102は、外板パネル、フェアリング、エンジンハウジング、ストリンガ、ドア、翼、パネル、及び製品104、特に航空機106で使用することができるいくつかの他の適した種類の部品の1つとすることができる。
【0019】
この例示的実施例では、複合部品102の設計108は、コンピュータシステム112の部品マネージャー111の複合部品デザイナー110によって作成される。図示されるように、複合部品デザイナー110は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせに実装されうる。ソフトウェアが使用される場合、複合部品デザイナー110によって実行される動作は、プロセッサユニットといったハードウェア上で実行されるように構成された、プログラムコードとして実装されうる。ファームウェアが使用される場合、複合部品デザイナー110によって実行される動作は、プロセッサユニット上で動作するよう、プログラムコード及びデータに実装され、かつ固定記憶域に保存されうる。ハードウェアが用いられる場合、ハードウェアは、複合部品デザイナー110において動作を実行するよう動作する回路を含みうる。
【0020】
例示的実施例において、ハードウェアは、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又はいくつかの動作を実施するよう構成された他の何らかの適切な種類のハードウェアのうちの、少なくとも1つから選択された形態をとりうる。プログラマブル論理デバイスを用いる場合、デバイスは、いくつかの動作を実施するように構成することができる。デバイスは後で再構成されてもよく、いくつかの動作を実施するように恒久的に構成されていてもよい。プログラマブル論理デバイスは、例えば、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイ論理、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び、他の適切なハードウェアデバイスを含む。加えて、これらのプロセスは、無機構成要素に組み込まれた有機構成要素内で実装することができ、全てが人間以外の有機構成要素からなっていることができる。例えば、これらのプロセスは、有機半導体内の回路として実装されうる。
【0021】
コンピュータシステム112は、物理的なハードウェアシステムであり、1つ又は複数のデータ処理システムを含む。コンピュータシステム112内に2つ以上のデータ処理システムが存在する場合、これらのデータ処理システムは、通信媒体を使用して互いに通信する。通信媒体は、ネットワークでありうる。データ処理システムは、コンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータ、又は他の何らかの適切なデータ処理システムのうちの少なくとも1つから選択されうる。
【0022】
本書において、列挙されたアイテムと共に使用される「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1つ又は複数の種々の組み合わせが使用されうること、及び列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされうることを意味している。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ及び任意の数のアイテムが、列挙された中から使用されうることを意味するが、列挙されたアイテムのすべてが必要となるわけではないことを意味している。アイテムとは、特定の対象物、物品、又はカテゴリでありうる。
【0023】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、又は「アイテムB」を含んでいてよい。この例はまた、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」も含むことができる。これらのアイテムのいずれかの組み合わせも、もちろん存在してよい。ある例示的な実施例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、限定しないが例として、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、又は他の適切な組み合わせでありうる。
【0024】
図示されるように、複合部品デザイナー110は、複合部品102を管理するよう動作する。複合部品デザイナー110によって複合部品102を管理することは、複合部品102の反り116の許容レベル114を特定することを含む。複合部品102の反り116は、複合部品102の設計仕様119から逸脱する製造時の複合部品102の変化である。例示的実施例では、設計仕様119は、寸法、強度、許容誤差、又は複合部品102に対する他の特性のうちの少なくとも1つを含む複合部品102の特性を特定する。
【0025】
本例示的実施例では、複合部品デザイナー110は、複合部品102のプライ122の積層順120に配向118を選択し、積層順120に選択された配向126を形成する。積層順120に選択された配向126を使用して複合部品102を製造することにより、許容レベル114の反り116及び所望の強度124を有する複合部品102が得られ、選択された配向126を形成する。
【0026】
反り116は、配向118を選択する際に、複合部品デザイナー110によって変数として扱われる。複合部品102が許容レベル114の反り116及び所望の強度124の両方を有するように、配向118の選択が行われる。本例示的実施例では、所望の強度124は、設計仕様119に基づきうる。仕様は、複合部品102に対して所望される安全のマージンを特定することができる。
【0027】
例示的実施例では、複合部品デザイナー110は、許容レベル114の反り116及び所望の強度124を有する複合部品102が得られる複合部品102のプライ122の配向118を選択し、いくつかの異なる方法で選択された配向126を形成することができる。例えば、複合部品デザイナー110は、プライ122の積層順120に候補の配向128を選択することができる。複合部品デザイナー110は、プライ122の積層順120に候補の配向128を使用して、複合部品102の応力解析130を実行することができる。図示されるように、応力解析130は、複合部品102に印加することができる1つ又は複数の種類の力のシミュレーションを含む。例えば、シミュレーションは、複合部品102に印加された一組の負荷でありうる。他の力は、摩擦力、張力、又は他の適切な種類の力を含むことができる。
【0028】
例示的実施例では、応力解析130は、積層解析131の形態をとることができる。積層解析131は、複合部品102を解析するために使用できる現在使用されている解析アルゴリズムを使用して実装することができる。これらのアルゴリズムは、古典的な積層板理論を実装することができる。この理論では、主な負荷方向に対する繊維角度に基づいて、プライの工学的及び物理的特性が開発される。この特性は、プライの厚さに対して特定の方向に合計し、全体の厚さで除算して得られる。積層解析131は、複合部品設計150で実行され、強度、損傷許容誤差、又は複合部品設計150を使用して製造される複合部品102の他の特性などの特性を決定することができる。積層解析131は、積層順120での配向118を含むプライ122を有する複合部品102などの積層板の特性を計算するために使用することができる。
【0029】
本例示的実施例では、複合部品102の特性の1つは、反り116の量又はレベルである。反り116の量は、積層解析131により積層順120を使用して決定することができ、寸法、材料の種類、又は設計108を解析するために必要な他の情報などの他の情報に加え、プライ122の配向118が含まれる。例示的実施例では、積層解析131は、αY及びαXなどの反りデータ、及び図4に示され、かつ以下の図4の説明にある正規化された反り(αY/αX)を計算する。
【0030】
複合部品102が複合部品102についての許容レベル114の反り116及び所望の強度124を有すると応力解析130からの結果が示すときに、複合部品デザイナー110は、選択された配向126として、積層順120に候補の配向128を使用する。
【0031】
複合部品102が所望の強度124を有していないことを、候補の配向128により複合部品102上で実行された応力解析130が示すときに、複合部品デザイナー110は、積層順120に新たな配向132を選択することができる。積層順120に配向を変更することによって、プライ122の位置を積層順120に別の位置に変更することができる。
【0032】
複合部品デザイナー110は、候補の配向128としてプライ122の積層順120に新たな配向132を使用して、複合部品102の応力解析130を実行する。複合部品デザイナー110は、所望の強度124が複合部品102に存在するようになるまで、候補の配向128として新たな配向132を選択することと、プライ122の積層順120に候補の配向128を使用して、複合部品102の応力解析130を実行することとを繰り返す。
【0033】
選択された配向126は、90度のプライ、+45度のプライ、-45度のプライ、又は0度のプライの少なくとも1つから構成することができる。例えば、選択された配向126は、90度のプライ、+45度のプライ、-45度のプライ、及び0度のプライから構成することができる。別の例示的実施例では、選択された配向126は、90度の配向を有するプライの少なくとも10パーセントを含むことができる。別の例示的実施例では、選択された配向126は、90度の配向を有するプライの少なくとも12.5パーセントから20パーセントを含むことができる。更に別の例示的実施例では、選択された配向126は、45度の配向を有するプライの40パーセントから50パーセントを含むことができる。この例では、45度の配向は、+45度の配向、-45度の配向、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0034】
例示的実施例では、異なる配向の度数は、基準軸に基づくことができる。例えば、これらの度数は、複合部品102の部品軸に関連しうる。別の例では、プライ122の度数は、自動テープ敷設機械又は他の自動ツール等の機械のツールヘッドに関連しうる。
【0035】
これらの配向のいくつかのプライの図示は、単なる例示的実施例として提供されており、異なる配向のいくつかのプライが選択されうる方法を限定することを意図していない。複合部品102について、反り116の許容レベル114が存在し、かつ所望の強度124が存在するように、これらの配向及び他の配向を選択された配向126に使用することができる。更に、許容レベル114の反り116及び所望の強度124に加え、積層順120を形成する異なる配向の位置を第3の変数とすることができる。
【0036】
例示的実施例では、候補の配向128又は新たな配向132の少なくとも1つの選択は、複合部品デザイナー110により、いくつかの異なる方法で行なうことができる。この選択は、作業人員136又は人工知能システム138の少なくとも1つから受信した入力134を使用して、行うことができる。
【0037】
この図示した例では、作業人員136は、航空機106で使用する複合部品102を設計する人員である。人工知能システム138は、知的活動を有し、人間の脳の機能に基づくことができるシステムである。
【0038】
図示されるように、人工知能システム138は、人工ニューラルネットワーク、認知システム、ベイジアンネットワーク、ファジーロジック、エキスパートシステム、自然言語システム、又はその他の適切なシステムのうちの少なくとも1つを含む。人工知能システムの訓練には、機械学習が使用される。機械学習は、データをプロセスに入力することと、プロセスが人工知能システムの機能を調整し改善できるようにすることとを含む。
【0039】
認知システムは、人間の脳の機能を模倣するコンピューティングシステムである。認知システムは、たとえば、International Business MachinesCorporationから入手可能なIBM Watsonでありうる。
【0040】
本例示的実施例では、部品マネージャー111はまた、コンピュータシステム112のコントローラ140を含むことができる。図示されるように、コントローラ140は、選択された配向126を使用して、製品管理システム142での複合部品102の製造を制御するように構成される。要するに、複合部品102は、選択された配向126を使用して、製品管理システム142で製造することができる。
【0041】
積層順120に選択された配向126により、複合部品デザイナー110は、複合部品設計150を生成することができる。複合部品設計150は、複合部品102が許容レベル114の反り116及び所望の強度124を有するように、複合部品102を製造するため、コントローラ140によって使用することができる設計である。設計は、例えば、コンピュータ支援設計モデル、コンピュータ支援製造モデル、コンピュータ数値制御(CNC)プログラム、又は他の種類のモデルでありうる。
【0042】
例示的実施例では、複合部品設計150は、設計108と対照的である。設計108は、設計仕様119を含む。設計仕様119は、最初の積層順を有するプライ122のレイアップを含み、プライ122の配向は最初の積層順にある。これらの配向は、変更することができ、積層順120に選択された配向126を使用して製造される複合部品102についての許容レベル114の反り116及び所望の強度124が得られる積層順120に選択された配向126を形成する。
【0043】
例えば、コントローラ140は、複合部品102を製造するために、複合部品102のプライ122の積層順120に選択された配向126を含む複合部品設計150を使用することができる。コントローラ140は、複合レイアップ146を形成するために、複合部品設計150の選択された配向126を使用して、複合部品102のプライ122をレイアップするためのプライレイアップシステム144の動作を制御することができる。本例示的実施例では、プライレイアップシステム144は、例えば、自動化された繊維配置機械、テープ敷設機、又は複合レイアップ146を形成する際に選択された配向126のプライ122をレイアップするよう動作可能な他の適したハードウェア機器のうちの少なくとも1つでありうる。
【0044】
例示的実施例では、プライレイアップシステム144の1つ又は複数の機械の制御は、プログラムを使用して形成することができる。例えば、自動ファイバー配置機械を使用するときに、この機械は、コンピュータ数値制御(CNC)自動ファイバー配置機械とすることができる。CNCプログラムは、コンピュータ支援設計図などの部品の設計から生成することができる。このプログラムは、自動化された繊維配置機械の動作を制御するために、コントローラ140によって実行することができる。コントローラ140は、いくつかの例示的実施例では、自動化された繊維配置機械の一部でありうる。
【0045】
加えて、コントローラ140は、複合部品102を形成するために、複合レイアップ146を硬化させるための硬化システム148を制御することができる。図示されるように、硬化システム148は、硬化オーブン、オートクレーブ、硬化ランプシステム、又は複合部品102を形成するために複合レイアップ146を硬化させることができる他の適したハードウェア機器のうちの少なくとも1つでありうる。
【0046】
本例示的実施例では、部品マネージャー111は、複合部品システム115の一部である。プライレイアップシステム144又は硬化システム148のうちの少なくとも1つはまた、複合部品システム115の一部でありうる。
【0047】
次に図2を参照すると、複合部品を設計するためのユーザインターフェースシステムのブロック図が、例示的実施形態にしたがって示される。例示的実施例では、複数の図中で同一の参照番号が使用されうる。こうして異なる図面において参照番号を繰り返して使用する場合は、異なる図面における同じ要素が示されている。
【0048】
本例示的実施例では、ユーザインターフェースシステム200は、作業人員136が、図1のコンピュータシステム112の複合部品デザイナー110又はコントローラ140のうちの少なくとも1つと相互作用するためのインターフェースを提供する。
【0049】
図示されるように、ユーザインターフェースシステム200は、ディスプレイシステム202及び入力システム204を含む。これらの構成要素は、コンピュータシステム112に接続することができ、又はコンピュータシステム112の一部と見なすことができる。
【0050】
本例示的実施例では、ディスプレイシステム202は、物理ハードウェアシステムであり、グラフィカルユーザインターフェース206を表示することができる1つ又は複数のディスプレイデバイスを含む。ディスプレイデバイスは、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、コンピュータモニタ、プロジェクタ、フラットパネルディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、又は情報を視覚的に提示するための情報を出力できる他の適切なデバイスのうちの少なくとも1つを含みうる。
【0051】
図示されるように、ディスプレイシステム202は、グラフィカルユーザインターフェース206を表皮するように構成される。作業人員136は、コンピュータシステム112の入力システム204によって生成されたユーザ入力208を通して、グラフィカルユーザインターフェース206と相互作用することができる人員である。入力システム204は、物理ハードウェアシステムであり、マウス、キーボード、トラックボール、タッチスクリーン、スタイラス、モーションセンシング入力デバイス、サイバーグローブ、又はその他の適切な種類の入力デバイスのうちの少なくとも1つから選択されうる。
【0052】
例えば、作業人員136は、グラフィカルユーザインターフェース206を使用して、複合部品102の複合部品設計150を選択又は作成することができる。本例示的実施例では、作業人員136は、複合部品102についての許容レベル114の反り116及び所望の強度124を選択するためにユーザ入力208を生成することができ、後者の3つが、図1のブロック形式で示される。
【0053】
複合部品設計150を形成するために、プライ122の積層順120に選択された配向126を特定するために、ユーザ入力208を生成することができる。複合部品設計150は、複合部品102を製造するためにコントローラ140によって使用される設計である。
【0054】
図示されるように、複合部品設計150は、複合部品102を形成するプライ122の積層順120を含む。本例示的実施例では、積層順120は、複合部品102の図1の設計108から得ることができる。
【0055】
本例示的実施例では、作業人員136は、候補の配向128を選択することができる。図示されるように、ユーザ入力208はまた、積層順120のどのプライが特定の配向を有しているかを選択することができる。要するに、作業人員136は、同じ割合の候補の配向128を維持するが、積層順120のどの層が特定の配向を有しているかを変更することができる。
【0056】
図示されるように、複数の組の候補の配向128は、グラフィカルユーザインターフェース206にプライ割合エンベロープ220として表示することができる。一組の候補の配向128は、本例示的実施例のプライ割合である。例えば、一組の候補の配向を35/50/15とすることができ、積層順120において、35は、0度の配向を有するプライ122の割合であり、50は、+/-45度の配向を有するプライ122の割合であり、15は、90度の配向を有するプライ122の割合である。
【0057】
これらのプライ割合エンベロープは、異なる配向のプライの割合でありうる。これらの割合は、0度のプライ、+/-45度のプライ、及び90度のプライなどの特定の変数又は範囲でありうる。本例示的実施例では、+/-45度のプライは、+45度のプライ及び-45度のプライの等しい割合である。例えば、+/-45度のプライの30パーセントを選択することは、プライの15パーセントが+45度であり、プライの15パーセントが-45度あることを意味する。
【0058】
プライ割合エンベロープ220のプライ割合エンベロープの選択は、積層順120の一組の候補の配向128が複合部品デザイナー110に対するユーザ入力208に送信される結果となる。
【0059】
複合部品デザイナー110は、結果210を生成するために積層順120の一組の候補の配向128を使用して、応力解析130を実行することができる。結果210は、強度、安全のマージン、反り、積層効率のうちの少なくとも1つについてのデータ若しくは情報、又は複合部品102の積層順120の候補の配向128を有する複合部品102についての他の情報を含みうる。
【0060】
応力解析130は、本例示的実施例では、積層解析131の形態である。積層解析131は、ユーザ入力208により選択された一組の候補の配向128の解析を実行するための構造負荷222を受信することができる。
【0061】
本例示的実施例では、結果210は、作業人員136が見るために、グラフィカルユーザインターフェース206に表示することができる。結果210は、いくつかの異なる方法で表示することができる。例えば、結果210は、折れ線グラフ、棒グラフ、テキスト、未処理のシミュレーションデータ、又はその他の適切な種類の表示を使用して、表示することができる。
【0062】
更に、複合部品デザイナー110はまた、積層順120、及び複合部品102の設計108に関する他の適した情報を表示することができる。例えば、反り116を含む複合部品102の視覚化を表示することができ、設計108に従った反り116を含まない複合部品102の視覚化を表示することができる。
【0063】
結果210がグラフィカルユーザインターフェース206に表示されることに基づき、作業人員136は、グラフィカルユーザインターフェース206に表示されるプライ割合エンベロープ220の選択を通して、候補の配向128として使用するための新たな配向132を選択することができる。積層解析131は、更新された候補の配向で実行することができる。このプロセスは、候補の配向128が所望の結果を許容レベル114の反り116及び所望の強度124に提供するまで、繰り返して実行することができる。
【0064】
いくつかの例示的実施例では、複数の組の候補の配向128は、許容レベル114の反り116及び所望の強度124を提供することができる。この状況で、一組の候補の配向128を様々な要因に基づき選択することができる。これらの他の要因は、コスト、製造の難しさ、最大強度、最小の反りのうちの少なくとも1つ、又はその他の適した要因を含みうる。
【0065】
例えば、いくつかの複数の組の候補の配向128は、許容レベル114の反り116と所望の強度124の両方を提供することができる。しかしながら、反り116のすべてが許容レベル114内にあるとしても、複数の組の候補の配向128のいくつかは、低レベルの反り116を提供することがある。要するに、反り116の許容レベル114は、許容される最大レベルの反り116の閾値でありうる。
【0066】
別の例として、複数の組の候補の配向128のすべてが所望の強度124を提供するとしても、複数の組の候補の配向128のいくつかは、より高いレベルの強度を提供しうる。要するに、所望の強度124は、複合部品102の強度の最小レベル又は閾値レベルでありうる。
【0067】
更に、グラフィカルユーザインターフェース206に表示される結果210はまた、許容レベル114の反り116及び所望の強度124を満たすプライ割合エンベロープ220の提案を含みうる。これらの提案及び結果210は、積層解析131又は人工知能システム138の少なくとも1つにより生成されうる。作業人員136は、プライ割合エンベロープ220の提案された1つを選択するユーザ入力208を生成することができる。選択により、選択されたプライ割合エンベロープが複合部品設計150で使用される結果となる。
【0068】
グラフィカルユーザインターフェース206のプライ割合エンベロープ220の図示は、作業人員136が解析から候補の配向128を選択することができる1つの方法として提示される。この図示は、候補の配向128を選択することができる方法の限定を意図していない。更に別の例示的実施例では、作業人員136は、プライ割合エンベロープ220からプライ割合エンベロープを選択する代わりに、グラフィカルユーザインターフェース206積層順120の候補の配向128に進入することができる。更に別の例示的実施例では、人工知能システム138は、作業人員136により生成された必要なユーザ入力208なしに、候補の配向128を選択することができる。
【0069】
1つの例示的実施例では、複合部品の仕様から逸脱する寸法を有する複合部品を製造することを含む技術的問題を克服する、1つ又は複数の技術的解決策がある。特に、例示的実施例には、航空機などの対象物に設置されるシムの数を低減する1つ又は複数の技術的解決策がある。その結果、例示的実施例では、1つ又は複数の技術的解決策は、組み立てられている複合部品の間の間隙を低減する技術的効果を提供することができる。例示的実施例では、製造及び設置されるシムの数は、シムを必要とする間隙がわずかな複合部品を用いて、減らすことができる。
【0070】
コンピュータシステム112は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを使用して、種々の例示的実施例に記載のステップ、工程、又は動作のうちの少なくとも1つを実行するように構成されうる。その結果、コンピュータシステム112は、コンピュータシステム112の複合部品デザイナー110が反り116を変数として扱い、許容レベル114の反り116及び所望の強度124を有する複合部品を製造するために使用できる複合部品設計を生成することができるようにする、特定用途コンピュータシステムとして動作する。特に、複合部品デザイナー110は、複合部品デザイナー110を含まない現在入手可能な一般のコンピュータシステムと比べ、コンピュータシステム112を特定用途コンピュータシステムに変換する。
【0071】
例示的実施例では、コンピュータシステム112での複合部品デザイナー110の使用は、製品管理システムでの複合部品製造を制御する際に、コンピュータシステム112の性能を高める複合部品の管理の実用化に統合される。要するに、コンピュータシステム112の複合部品設計150は、プライ122の積層順120に配向118を選択するコンピュータシステム112で複合部品設計150に統合されるプロセスの実用化に向けられる。本例示的実施例では、配向118は、積層順120に選択された配向126を形成するために選択することができる。選択された配向126を有する積層順120は、複合部品102を製造するために使用できる複合部品設計150を実行することができる。複合部品設計150を使用して複合部品102を製造することにより、許容レベル114の反り116及び所望の強度124といった所望の特徴を有する複合部品102を得ることができる。
【0072】
図1の複合部品環境100の図は、例示的実施形態が実装されうる方法への物理的又は構築的限定を意味することを意図していない。図示された構成要素に加えて、又はそれらに代えて、他の構成要素が使用されてもよい。一部の構成要素は不要であってもよい。また、一部の機能的な構成要素を図示するためにブロックが提示されている。例示的実施形態で実装される場合、これらのブロックのうちの1つ又は複数は、異なるブロックになるよう、結合されても、分割されても、又は結合されかつ分割されてもよい。
【0073】
航空機106に関して例示的実施例が記載されるが、別の例示的実施例が他の種類のプラットフォームに適用されてもよい。このプラットフォームは、例えば、可動プラットフォーム、静止プラットフォーム、陸系構造物、水系構造物、及び宇宙系構造物でありうる。より具体的には、プラットフォームは、水上艦、戦車、人員運搬体、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造施設、建造物、及び複合部品を使用するその他の好適なプラットフォームでありうる。
【0074】
図3-6は、作業人員136に対してディスプレイシステム202に表示されるグラフィカルユーザインターフェース206の1つの実施態様の例である。作業人員136は、グラフィカルユーザインターフェース206と相互作用し、候補の配向128を選択するために入力システム204を使用してユーザ入力208を生成することができる。更に、これらの図は、作業人員136に表示するときに図2の結果210がとりうる様々な形態を図示する。グラフィカルユーザインターフェース206の表示は、複合部品デザイナー110によって実行することができる。
【0075】
まず図3を参照すると、グラフィカルユーザインターフェースに表示された結果の図が、例示的実施形態にしたがって示される。この図では、グラフィカルユーザインターフェース300は、図2の結果210を表示するためのグラフィカルユーザインターフェース206の1つの実施形態の例である。
【0076】
この例では、表302は、様々なプライ割合エンベロープの特性を示す。図示されるように、縦列304は、様々な種類のプライ割合エンベロープを示す。
【0077】
本例示的実施例では、縦列304の薄膜は、0度などのすべて同じ配向を有するプライの層を含む複合部品である。他の横列では、プライ割合エンベロープが、次の順で配向を有するプライの割合を示す。即ち、0度、+/-45度、及び90度である。本例示的実施例では、「+/-」度は、45度のプライの割合が-45度と+45度との間で均等に分散することを意味する。
【0078】
図示されるように、縦列306は、x方向の弾性率の値を含み、縦列308は、y方向の弾性率の値を含む。縦列310は、ポアソン比の値を含み、ここで、Vxyは、x方向の負荷により生じるy方向の平面XYを有する積層板の歪みを示している。縦列312に示されるように、Vyxは、x方向の歪みがXY平面上のy方向の負荷により生じる際のポアソン比である。
【0079】
表302において、縦列314は、x方向の弾性率により除算したポアソン比の値を含む。この縦列の値は、ベティの法則の適用と併せて、一般化されたフックの法則、複合材料を含む直交異方性材料の準拠法から得られる。この情報は、弾性特性が、せん断弾性率Gxyとは無関係に、積層板の文脈内で所与の配向の所与の薄板の強度寄与を制御することを意味する。
【0080】
縦列316は、レイアップ効率の値を含む。理解されるように、横列305の薄膜は、最高の効率を有する。効率は、反り、プライの配向、プライの割合、及びその他の要因などの要因を考慮する。
【0081】
本例示的実施例では、グラフィカルインジケータ318は、推奨される割合のプライエンベロープを特定する。この例では、推奨されるプライ割合エンベロープは、37/45/18、40/40/20、及び40/45/15を含むグラフィカルインジケータ318によって示される。
【0082】
棒グラフ320は、薄膜と比べて異なるプライ割合エンベロープを有する複合部品の積層板効果を示す。棒グラフ320は、グラフィカルユーザインターフェース300の縦列316の値をグラフ的に示す。
【0083】
図4を参照すると、グラフィカルユーザインターフェースに表示される結果の図が、例示的実施形態にしたがって示される。この図では、グラフィカルユーザインターフェース400は、図2の結果210を表示するためのグラフィカルユーザインターフェース206の1つの実施形態の例である。
【0084】
この例では、線グラフ402は、パネルなどの複合部品の反りにおけるプライ割合の効果の比較を示す。図示されるように、x軸403はプライ割合エンベロープを示し、y軸401は正規化された反りを示す。正規化された反りとは、プライ割合エンベロープを互いに比較できるように、プライ割合エンベロープの1つに対して正規化された反りである。本例示的実施例では、プライ割合エンベロープは反りが最も低い複合部品のレイアップであるので、プライ割合エンベロープ37/45/18が選択される。
【0085】
本例示的実施例では、線404が正規化された反りである。線406は、0度のプライ及び90度のプライの割合であり、線408は、異なるプライ割合エンベロープにおける+/-45度のプライの割合を示す。線406は、複合部品の反りにおける+/-45プライの効果を示す。
【0086】
グラフィカルインジケータ410は、効率的なレイアップ範囲を特定する。この範囲は、以下のプライ割合エンベロープを含む。即ち、35/50/15、37/45/18、及び40/40/20である。これらのプライ割合エンベロープにより、割合は次の順になる。即ち、0度のプライ、+/-45度のプライ、及び90度のプライである。
【0087】
図示されるように、グラフィカルユーザインターフェース400に表示されるグラフィカルインジケータ410は、適した又は推奨されるプライ割合エンベロープを示す。
【0088】
図5では、グラフィカルユーザインターフェースに表示される結果の図が、例示的実施形態にしたがって示される。この図では、グラフィカルユーザインターフェース500は、図2の結果210を表示するためのグラフィカルユーザインターフェース206の1つの実施形態の例である。
【0089】
図示されるように、線グラフ502は、ポアソンの不一致比に対する積層板効率を示す。この例では、x軸501はプライ割合エンベロープを表し、y軸503は、ポアソンの不一致比に対する積層板効率を表す。
【0090】
本例示的実施例では、線グラフ502の線504は、異なるプライ割合エンベロープを使用した複合部品の積層板効率を示す。積層板効率は、特定のプライ割合エンベロープを使用して製造された複合部品の効率を示す。本例示的実施例では、最大の効率は、0度の配向を有するプライであると見なされる。この種類の複合部品は、管理された1.0の効率を有している。
【0091】
線グラフ502の線506は、異なるプライ割合エンベロープに対するポアソン比の不一致を示す。線グラフ502から分かるように、積層板効率とポアソン比の不一致との間には直接的な相関関係がある。ポアソン比の不一致が低いほど、積層板効率は高くなる。例えば、個々のプライのポアソン比は0.34であることが望ましい。この値は、早まった層間剥離又は接着不全の可能性を軽減するために、プライが過度に延びないような値として選択される。0.34未満のポアソン比は、層間剥離や接着不全などの問題を軽減又は排除することができる。ポアソン比が減少すると、複合部品の機械的残留応力が減少する。
【0092】
本例示的実施例では、グラフィカルインジケータ508は、複合部品で使用するための推奨された割合エンベロープを特定する。本例示的実施例では、グラフィカルインジケータ508は、以下のプライ割合エンベロープを推奨する。即ち、35/50/15、37/45/18、及び40/40/20である。これらのプライ割合エンベロープにより、割合は次の順になる。即ち、0度のプライ、+/-45度のプライ、及び90度のプライである。
【0093】
ここで図6を参照すると、グラフィカルユーザインターフェースに表示された結果の図が、例示的実施形態にしたがって示される。この図では、グラフィカルユーザインターフェース600は、図2の結果210を表示するためのグラフィカルユーザインターフェース206の1つの実施形態の例である。
【0094】
図示されるように、線グラフ602は、積層板強度対反りを示す。この例では、x軸601はプライ割合エンベロープを示し、y軸603は積層板効率に対する反りの割合を示す。
【0095】
線グラフ602において、線604は正規化された反りを表す。反りは、反りが最低量であるプライ割合エンベロープを使用して正規化することができる。
【0096】
線606は積層板効率を表す。この例では、負荷がプライに沿って配置されるため、配向が0度のプライを有する複合部品には、1.0の欠陥がある。+/-45度及び90度等の他のプライの効率は、0度のプライと比べ、より低いレベルである。
【0097】
図示されるように、グラフィカルインジケータ608は、使用が推奨されるプライ割合エンベロープを特定する。本例示的実施例では、グラフィカルインジケータ608は、以下のプライ割合エンベロープを特定する。即ち、35/50/15、37/45/18、及び40/40/20である。これらのプライ割合エンベロープにより、割合は次の順になる。即ち、0度のプライ、+/-45度のプライ、及び90度のプライである。
【0098】
図3-6のグラフィカルユーザインターフェースの図は、図2のブロック形式で示すグラフィカルユーザインターフェース206がどのように実装できるかを例示する目的で提供されている。例えば、他の種類のグラフィカルディスプレイは、他の種類のチャートを使用しうる。例えば、これらの図に示されているものに加えて、又はそれらの代わりに、散布図、滝グラフ、面グラフ、又は他の種類のグラフ若しくはチャートを使用することができる。別の例として、グラフィカルインジケータは、アニメーション、テキスト、アイコン、画像、又はグラフィカルユーザインターフェースに表示された特定のプライ割合又は他の情報に、作業人員の注意を引くことができる他の適した種類のグラフィカルインジケータのうちの少なくとも1つを含みうる。
【0099】
更に図示したものに加えて、又はそれらの代わりに、他の割合のプライを使用することができる。更に、配向は、0度、+45度、-45度、及び90度として示されているが、図示したものに加えて、又はそれらの代わりに、例えば、30度、60度、又はいくつかの他の適した配向といった、他の配向を使用することができる。いくつかのプライ割合エンベロープは、例示的実施例に示すように、3つのセクションではなく、2つの配向のみを含んでもよい。
【0100】
次に図7を参照すると、複合部品を管理するためのプロセスのフローチャートが、例示的実施形態にしたがって示される。図7のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実装可能である。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ又は複数のコンピュータシステム内の1つ又は複数のハードウェア装置内に設置された1つ又は複数のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採りうる。例えば、プロセスは、図1のコンピュータシステム112の部品マネージャー111で実装することができる。複合部品を管理することは、複合部品を設計すること、複合部品を製造すること、又は複合部品を設計及び製造することの両方のうちの少なくとも1つを含む。
【0101】
プロセスは、複合部品の反りの許容レベルを特定すること(工程700)により開始する。複合部品の反りは、複合部品の設計仕様から逸脱する製造時の複合部品の変化である。この例では、反りは、プライの配向を決定する際に選択することができる変数である。
【0102】
プロセスは、許容レベルの反り及び所望の強度を有する複合部品が得られる複合部品のプライに積層順に配向を選択し、選択された配向を形成する(工程702)。プロセスは、その後終了する。複合部品は、選択された配向を使用して、製造することができる。
【0103】
次に図8を参照すると、複合部品のプライの配向を選択するためのプロセスのフローチャートが、例示的実施形態にしたがって示される。図8のプロセスは、図7の工程702を実装することができる1つの方法の例である。
【0104】
プロセスは、プライに積層順に候補の配向を選択すること(工程800)によって開始する。プロセスは、プライに積層順に候補の配向を使用して、複合部品の応力解析を実行する(工程802)。プロセスは、複合部品が複合部品の所望の強度を満たす強度を有していることを応力解析が示すときに、選択された配向として積層順に候補の配向を使用する(工程804)。プロセスは、その後終了する。
【0105】
次に図9を参照すると、複合部品のプライの配向を選択するためのプロセスのフローチャートが、例示的実施形態にしたがって示される。図9のプロセスは、図7の工程702を実装することができる1つの方法の例である。
【0106】
プロセスは、プライに積層順に候補の配向を選択すること(工程900)によって開始する。工程900は、候補の配向を選択するユーザ入力を受信することによって実行することができる。例えば、グラフィカルユーザインターフェースに表示される複数の組の候補の配向を選択するグラフィカルユーザインターフェースに対して行われるユーザ入力を受信することができる。複数の組の候補の配向は、プライ割合エンベロープでありうる。各プライ割合エンベロープは、一組の候補の配向である。
【0107】
プロセスは、プライに積層順に候補の配向を使用して、複合部品の応力解析を実行する(工程902)。プロセスは、複合部品が、応力解析の結果から、複合部品の所望の強度を満たす強度を有しているかどうかを判定する(工程904)。
【0108】
応力解析が、候補の配向を有する複合部品の所望の強度を満たす強度を有していることを示す場合、プロセスは、選択された配向として、積層順に候補の配向を使用する(工程906)。プロセスは、その後終了する。
【0109】
再び工程904を参照すると、応力解析が、候補の配向を有する複合部品が複合部品の所望の強度を満たす強度を有していないことを示す場合、プロセスは、次いで、積層順に候補の配向に新たな配向を選択する(工程908)。プロセスは工程902に戻り、プライに積層順に候補の配向を使用して、複合部品の応力解析を実行する。
【0110】
図10を参照すると、プライの配向を解析分析することからの結果を表示するためのプロセスのフローチャートの図が、例示的な実施形態に従って示されている。図11のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実装可能である。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ又は複数のコンピュータシステム内の1つ又は複数のハードウェア装置内に設置された1つ又は複数のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採りうる。
【0111】
例えば、プロセスは、図1のコンピュータシステム112の部品マネージャー111で実装することができる。より具体的には、プロセスは、図2のディスプレイシステム202上のグラフィカルユーザインターフェース206の結果210を表示するために、複合部品デザイナー110に実装することができる。
【0112】
プロセスは、複合部品を形成するために使用されるプライに積層順に候補の配向を含む複合部品設計を特定することによって開始する(工程1000)。プロセスは、複合部品設計を使用して応力解析を行う(工程1002)。
【0113】
プロセスは、応力解析から結果を受け取る(工程1004)。本例示的実施例では、結果は、反りのレベル、強度、配向の割合、配向のパーセンテージ、複数の組の候補の配向、又は最高の組の候補の配向若しくは複数の組の候補の配向の範囲を特定するグラフィカルインジケータのうちの少なくとも1つから選択された情報を含むことができる。
【0114】
プロセスは、ディスプレイシステムのグラフィカルユーザインターフェースの結果を表示する(工程1006)。プロセスはまた、積層順に候補の配向を表示する(工程1008)。
【0115】
候補の配向を許容するためにユーザ入力が受信されるかどうかについての判定が行われる(工程1010)。候補の配向を許容するためにユーザ入力が受信される場合、候補の配向は、複合部品設計の積層順に選択された配向として使用される(工程1012)。プロセスは、その後終了する。
【0116】
再び工程1010を参照すると、候補の配向を許容するためにユーザ入力が受信されない場合、プロセスは、候補の配向として新たな配向を選択するユーザ入力を受信する(工程1014)。プロセスは、次いで、工程1002に戻る。
【0117】
図11を参照すると、複合部品を製造するためのプロセスのフローチャートの図が、例示的実施形態にしたがって示される。図11のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実装可能である。プロセスは、ソフトウェアで実装されると、1つ又は複数のコンピュータシステム内の1つ又は複数のハードウェア装置内に設置された1つ又は複数のプロセッサユニットによって実行される、プログラムコードの形態を採りうる。例えば、プロセスは、図1のコンピュータシステム112の部品マネージャー111で実装することができる。複合部品を管理することは、複合部品を設計すること、複合部品を製造すること、又は複合部品を設計及び製造することの両方のうちの少なくとも1つを含む。
【0118】
プロセスは、製造用の複合部品を特定することによって開始する(工程1100)。プロセスは、複合部品の複合部品設計を特定し、複合部品設計には複合部品の積層順に選択されたプライの配向が含まれる(工程1102)。本例示的実施例では、製造された複合部品が許容レベルの反り及び所望の強度を有するように、配向が選択される。
【0119】
プロセスは、プライレイアップシステムの動作を制御し、選択された配向を含む積層順を使用してプライをレイアップし、複合レイアップを形成する(工程1104)。この複合レイアップは、未硬化形態の複合部品である。プロセスは、複合レイアップを硬化させ、複合部品を形成するために、硬化システムを制御する(工程1106)。プロセスは、その後終了する。
【0120】
図示した種々の実施形態のフロー図及びブロック図は、例示的な実施形態における、装置及び方法のいくつかの可能な実行形態の構造、機能、及び工程を示している。これに関して、フロー図又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、又は工程若しくはステップの一部のうちの、少なくとも1つを表わしうる。例えば、1つ又は複数のブロックが、プログラムコード、ハードウェア又はプログラムコードとハードウェアの組合せとして実装されうる。ハードウェア内に実装された場合、ハードウェアは、例えば、フローチャート又はブロック図の1つ又は複数の工程を実施するように製造又は構成された、集積回路の形態をとりうる。プログラムコードとハードウェアの組み合わせとして実装された場合、この実施態様は、ファームウェアの形態をとりうる。フローチャート又はブロック図の各ブロックは、専用ハードウェアと、専用ハードウェアによって実行されるプログラムコードの種々の工程又はその組み合わせを実施する、専用ハードウェアシステムを用いて実装されうる。
【0121】
例示的実施形態の、いくつかの代替的な実施態様では、ブロックに記載された1つ又は複数の機能が、図中に記載されている順序を逸脱して行われることがある。例えば、場合によっては、連続して示される2つのブロックがほぼ同時に実施されること、又は時には含まれる機能に応じて、ブロックが逆の順序で実施されることもある。また、フローチャート又はブロック図に描かれているブロックに加えて、他のブロックが追加されてもよい。
【0122】
ここで図12を参照すると、データ処理システムのブロック図が、例示的実施形態に従って示されている。データ処理システム1200は、図1のコンピュータシステム112の1つ又は複数のデータ処理システムを実装するために使用することができる。この例示的実施例では、データ処理システム1200は、通信フレームワーク1202を含み、これにより、プロセッサユニット1204、メモリ1206、固定記憶装置1208、通信ユニット1210、入出力(I/O)ユニット1212、及びディスプレイ1214の間の通信が行われる。この実施例では、通信フレームワーク1202は、バスシステムの形態を採っている。
【0123】
プロセッサユニット1204は、メモリ1206に読み込まれるソフトウェアに対する命令を実行する役割を果たす。プロセッサユニット1204は、1つ又は複数のプロセッサを含む。例えば、プロセッサユニット1204は、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、物理処理装置(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、又は他の適切なタイプのプロセッサのうちの少なくとも1つの中から選択されうる。
【0124】
メモリ1206及び固定記憶装置1208は、記憶デバイス1216の例である。記憶デバイスは、限定するわけではないが例としては、データ、機能的な形態のプログラムコード、その他の好適な情報のうちの少なくとも1つといった情報を、一時的に、永続的に、或いは一時的と永続的の両方で、記憶することが可能な、任意のハードウェアである。記憶デバイス1216は、これらの実施例では、コンピュータ-可読記憶デバイスとも称されうる。これらの実施例で、メモリ1206は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は他の任意の好適な揮発性又は不揮発性の記憶デバイスであってもよい。固定記憶装置1208は、特定の実施態様に応じて、様々な形態をとりうる。
【0125】
例えば、固定記憶装置1208は、1つ又は複数の構成要素又はデバイスを含んでもよい。例えば、固定記憶装置1208は、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、書換え型光学ディスク、書換え可能磁気テープ、又は上記の何らかの組み合わせでありうる。固定記憶装置1208によって使用される媒体は、着脱式のものでもありうる。例えば、固定記憶装置1208に、着脱式ハードドライブを使用することができる。
【0126】
これらの例示的実施例では、通信ユニット1210が、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。これらの実施例では、通信ユニット1210は、ネットワークインタフェースカードである。
【0127】
入出力ユニット1212は、データ処理システム1200に接続されうる他の装置との間のデータの入出力を可能にする。例えば、入出力ユニット1212は、キーボード、マウス、又は他の何らかの適切な入力デバイスのうちの少なくとも1つを通じて、ユーザ入力のための接続を提供しうる。更に、入出力ユニット1212は、プリンタに出力を送信しうる。ディスプレイ1214は、ユーザに対して情報を表示するための機構を提供する。
【0128】
オペレーティングシステム、アプリケーション、又はプログラムのうちの少なくとも1つに対する命令が、通信フレームワーク1202を介してプロセッサユニット1204と通信する記憶装置1216内に存在していることもありうる。種々の実施形態のプロセスは、メモリ1206といったメモリ内に存在していてよい、コンピュータによって実行される命令を使用して、プロセッサユニット1204によって実施されうる。
【0129】
これらの命令は、プロセッサユニット1204内のプロセッサによって読み取られ且つ実行されうる、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと呼ばれる。種々の実施形態では、プログラムコードは、メモリ1206又は固定記憶装置1208といった、種々の物理的な又はコンピュータ可読の記憶媒体上に、具現化することができる。
【0130】
プログラムコード1218は、選択的に着脱可能であるコンピュータ可読媒体1220に関数形式で置かれ、プロセッサユニット1204によって実行するためにデータ処理システム1200に読み込ませてもよく、又は転送されてもよい。プログラムコード1218とコンピュータ-可読媒体1220は、これらの実施例では、コンピュータプログラム製品1222を形成する。例示的実施例では、コンピュータ可読媒体1220はコンピュータ可読記憶媒体1224である。
【0131】
これらの実施例では、コンピュータ-可読記憶媒体1224は、プログラムコード1218を伝搬させるか又は送信する媒体というよりはむしろ、プログラムコード1218を記憶するために使用される物理的な又は有形の記憶デバイスである。
【0132】
代わりの態様では、プログラムコード1218は、コンピュータ可読信号媒体を使用して、データ処理システム1200に転送されうる。コンピュータ可読信号媒体は、例えば、プログラムコード1218を含む、伝搬されるデータ信号でありうる。例えば、コンピュータ可読信号媒体は、電磁信号、光信号、他の任意の好適な種類の信号のうちの少なくとも1つでありうる。これらの信号は、無線接続、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、電線、又は他の任意の適切なタイプの接続といった、接続を介して伝送されうる。
【0133】
データ処理システム1200に関して図示されている種々の構成要素が、種々の実施形態が実施されうる方法に対して構造的な制限を設けることは、意図されていない。いくつかの例示的実施例では、構成要素のうちの1つ又は複数が、別の構成要素に組み込まれているか、又は別様に別の構成要素の一部を形成していてよい。例えば、いくつかの例示的実施例では、メモリ1206又はその一部をプロセッサユニット1204内に一体化することができる。データ処理システム1200に関して図示されている構成要素に対する、追加の又は代わりの構成要素が含まれているデータ処理システム内では、異なる例示的な実施形態が実装されうる。図12に示す他の構成要素は、示されている例示的な実施例とは異なることがある。プログラムコード1218を実行することが可能な任意のハードウェア装置又はシステムを使用して、種々の実施形態を実装することができる。
【0134】
本開示の例示的な実施形態は、図13に示される航空機の製造及び保守方法1300と、図14に示される航空機1400に照らして記載されうる。まず図13を参照すると、航空機の製造及び保守方法が、例示的な実施形態に従って図示されている。製造前段階では、航空機の製造及び保守方法1300は、図14の航空機1400の仕様及び設計1302、並びに材料の調達1304を含みうる。
【0135】
製造段階では、図14の航空機1400の、構成要素及びサブアセンブリの製造1306とシステムインテグレーション1308とが行われる。その後、図14の航空機1400は、運航1312に供されるために、認可及び納品1310を経てよい。顧客による運航1312の期間中に、図14の航空機1400には、改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守を含みうる定期的な整備及び保守1314が予定される。
【0136】
航空機の製造及び保守方法1300の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、事業者、又はこれらのいくつかの組み合わせによって、実施又は実行されうる。これらの実施例では、事業者は顧客であってもよい。本明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるが、それらに限定される訳ではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるが、それらに限定される訳ではなく、事業者は、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0137】
ここで図14を参照すると、例示的な実施形態が実装されうる航空機の図が示されている。この例では、航空機1400は、図13の航空機の製造及び保守方法1300によって製造され、複数のシステム1404及び内装1406を有する機体1402を含んでいてよい。システム1404の例は、推進システム1408、電気システム1410、油圧システム1412、及び環境システム1414のうちの1つ又は複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例が示されているが、種々の例示的な実施形態が、自動車産業といった他の産業に適用されてもよい。
【0138】
本明細書で具現化される機器及び方法は、図13の航空機の製造及び保守方法1300のうちの少なくとも1つの段階で採用されうる。
【0139】
例示的な1つ実施例では、図13の構成要素及びサブアセンブリの製造1306で製造される構成要素又はサブアセンブリは、図13で航空機1400の運航1312中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方法で、作製又は製造されうる。更に別の例では、1つ又は複数の機器の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、図13の構成要素及びサブアセンブリの製造1306、並びにシステムインテグレーション1308といった製造段階で、利用することができる。1つ又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、航空機1400が図13の運航1312中、整備及び保守1314中、又はその両方の最中に利用することができる。任意の数の異なる例示的な実施形態を使用することによって、航空機1400の組み立てを大幅に効率化すること、航空機1400のコストを削減すること、又は航空機1400の組み立てを大幅に効率化することと航空機1400のコストを削減することの両方が、なされてよい。
【0140】
例えば、例示的実施例に従って製造された複合部品を使用することにより、航空機1400を組み立てるのに必要なシムの数を減らすことができる。その結果、航空機1400を形成するための組立構成要素の一部としてシムを製造及び設置する必要性が減少するため、構成要素及びサブアセンブリ製造1306又はシステムインテグレーション1308の少なくとも1つに必要な時間量及び費用を減らすことができる。
【0141】
定期保守、改修、再構成、変更、又は他の保守の少なくとも1つの間に部品を追加するために部品を交換する際に製造及び設置する必要のあるシムの数を減らすことによって、整備及び保守1314中に、同じような時間費用の削減が起こりうる。
【0142】
ここで図15を参照すると、例示的な実施形態による製品管理システムのブロック図が示されている。製品管理システム1500は、物理的なハードウェアシステムである。この実施例では、製品管理システム1500は、製造システム1502、又は保守システム1504のうちの少なくとも1つを含む。
【0143】
製造システム1502は、図14の航空機1400といった、製品を製造するように構成される。図示したように、製造システム1502は、製造機器1506を含む。製造機器1506は、製作機器1508又は組立機器1510のうちの少なくとも1つを含む。
【0144】
製作機器1508は、図14の航空機1400の形成に使用される部品用の構成要素を加工するために使用される機器である。例えば、製作機器1508は、機械及びツールを含むことができる。これらの機械及びツールは、ドリル、油圧プレス、加熱炉、金型、複合材テープレーヤー、真空システム、旋盤、又は他の適切な種類の機器のうちの少なくとも1つであってよい。製作機器1508を使用して、金属部品、複合材部品、半導体、回路、ファスナ、リブ、外板、スパー、アンテナ、又は他の適切な種類の部品のうちの少なくとも1つを加工することができる。
【0145】
組立機器1510は、図14の航空機1400を形成する部品を組み立てるために使用される機器である。具体的には、図14の航空機1400を形成する構成要素及び部品の組み立てに、組立機器1510が使用されうる。組立機器1510は、機械及びツールもまた含みうる。このような機械及びツールは、ロボットアーム、クローラ、ファスナ設置システム、レールベースのドリルシステム、又はロボットのうちの少なくとも1つであってよい。組立機器1510は、例えば、図14の航空機1400用の座席、水平安定板、翼、エンジン、エンジンハウジング、着陸装置システム、及び他の部品などといった、部品の組み立てに使用されうる。
【0146】
本例示的実施例では、保守システム1504は保守機器1512を含みうる。保守機器1512は、図14の航空機1400の整備を実施するのに必要なあらゆる機器を含みうる。保守機器1512は、図14の航空機1400の部品に対して種々の作業を実施するためのツールを含みうる。これらの作業は、図14の航空機1400の整備を実施するための、部品の分解、部品の改修、部品の検査、部品の再加工、交換部品の製造、又は他の作業のうちの少なくとも1つを含みうる。これらの作業は、定期的整備、検査、アップグレード、改修、又は他の種類の保守作業であってよい。
【0147】
例示的実施例では、保守機器1512は、超音波検査デバイス、X線撮像システム、視覚システム、ドリル、クローラ、及び他の適切なデバイスを含んでいてよい。ある場合には、保守機器1512は、保守に必要となりうる部品を生産し組み立てるための、製作機器1508、組立機器1510、又はこれらの両方を含みうる。
【0148】
製品管理システム1500には、制御システム1514も含まれる。制御システム1514はハードウェアシステムであり、ソフトウェア、又は他の種類の構成要素も含みうる。制御システム1514は、製造システム1502又は保守システム1504のうちの少なくとも1つの作業を制御するように構成される。具体的には、制御システム1514は、製作機器1508、組立機器1510、又は保守機器1512のうちの少なくとも1つの作業を制御しうる。
【0149】
本例示的実施例では、制御システム1514は、図1のコントローラ140を含みうる。本例示的実施例では、コントローラ140は、複合部品デザイナー110から複合部品設計150を受け取り、複合部品102を製造するために、製作機器1508の動作を制御することができる。本例示的実施例では、製作機器1508は、プライレイアップシステム144及び硬化システム148を含みうる。
【0150】
制御システム1514のハードウェアは、コンピュータ、回路、ネットワーク、及び他の種類の機器を含みうる、ハードウェアを使用して実装されうる。制御は、製造機器1506の直接制御の形態をとりうる。例えば、ロボット、コンピュータ制御機械、及び他の機器は、制御システム1514によって制御されうる。他の例示的な実施例では、制御システム1514は、航空機1400の製造又は保守において、作業人員1516によって実施される作業を管理しうる。例えば、制御システム1514は、任務を割り当てる、指示を与える、モデルを表示する、又は作業人員1516によって実施される作業を管理するための他の作業を実施しうる。これらの例示的実施例に示されるように、図1のコントローラ140は、制御システム1514において実施され、図14の航空機1400の製造又は整備のうちの少なくとも1つを管理しうる。
【0151】
種々の例示的な実施例において、作業人員1516は、製造機器1506、保守機器1512、又は制御システム1514のうちの少なくとも1つを操作する、又は少なくとも1つと相互作用することができる。この相互作用は、図14の航空機1400を製造するために起こりうる。
【0152】
当然ながら、製品管理システム1500は、図14の航空機1400以外の他の製品を管理するようにも構成されていてよい。製品管理システム1500は、航空宇宙産業における製造に関連して記載されているが、製品管理システム1500は、他の産業の製品を管理するようにも構成されうる。例えば、製品管理システム1500は、自動車産業、及び任意の他の適切な産業の製品を製造するように構成されてよい。
【0153】
こうして、例示的実施形態は、複合部品を管理するための方法、装置、及びシステムを提供する。複合部品に対する反りの許容レベルが特定される。複合部品の反りは、複合部品の設計仕様から逸脱する製造時の複合部品の変化である。積層順に選択された配向を使用して複合部品を製造することにより、許容レベルの反り及び所望の強度を有する複合部品が得られるように、複合部品のプライに積層順に配向を選択して、積層順に選択された配向を形成する。
【0154】
例示的実施例では、複合部品の仕様から逸脱する寸法を有する複合部品を製造することを含む技術的問題を克服する、1つ又は複数の技術的解決策がある。特に、例示的実施例には、航空機などの対象物に設置されるシムの数を低減する1つ又は複数の技術的解決策がある。その結果、例示的実施例では、1つ又は複数の技術的解決策は、組み立てられている複合部品の間の間隙を低減する技術的効果を提供することができる。例示的実施例では、製造及び設置されるシムの数は、シムを必要とする間隙がわずかな複合部品を用いて、減らすことができる。
【0155】
種々の例示的実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、又は開示された形態の実施形態に限定することを、意図しているわけではない。動作又は工程を実行する構成要素が、種々の実施例によって説明される。例示的な実施例では、構成要素は、記載された動作や作業を実施するように構成されうる。例えば、この構成要素は、例示的な実施例において構成要素によって実施されると説明されている動作又は作業を実施する能力をこの構成要素に提供する構造体の構成又は設計を有しうる。
【0156】
更に、本開示は、以下の条項による実施例を含む。
【0157】
条項1. 複合部品(104)を管理するための方法であって、
複合部品(104)の設計仕様(119)から逸脱する製造時の複合部品(104)の変化である複合部品(104)の反り(116)の許容レベル(114)を特定することと、
積層順(120)に選択された配向(126)を使用して複合部品(104)を製造することにより、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する複合部品(104)が得られるように、複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に配向(118)を選択して、積層順(120)に選択された配向(126)を形成することと
を含む方法。
【0158】
条項2. 積層順(120)に選択された配向(126)を使用して複合部品(104)を製造することにより、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する複合部品(104)が得られるように、複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に配向(118)を選択して、積層順(120)に選択された配向(126)を形成することが、
プライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を選択することと、
プライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を使用して、複合部品(104)の応力解析(130)を実行することと、
複合部品(104)が複合部品(104)の所望の強度(124)を有することを応力解析(130)が示すときに、選択された配向(126)として、積層順(120)に候補の配向(128)を使用することと
を含む、条項1に記載の方法。
【0159】
条項3. 積層順(120)に選択された配向(126)を使用して複合部品(104)を製造することにより、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する複合部品(104)が得られるように、複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に配向(118)を選択して、積層順(120)に選択された配向(126)を形成することが、
複合部品(104)が所望の強度(124)を有していないことを、候補の配向(128)を有する複合部品(104)の応力解析(130)が示すときに、積層順(120)に候補の配向(128)に新たな配向(132)を選択することと、
プライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を使用して、複合部品(104)の応力解析(130)を実行することと、
複合部品(104)に所望の強度(124)が存在するようになるまで、新たな配向(132)を選択すること、及びプライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を使用して、複合部品(104)の応力解析(130)を実行することを繰り返すことと
を更に含む、条項2に記載の方法。
【0160】
条項4. 応力解析(130)が、複合部品(104)に印加された一組の構造負荷(222)のシミュレーションを含む、条項2に記載の方法。
【0161】
条項5. プライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を選択することが、
ディスプレイシステム(202)のグラフィカルユーザインターフェース(206)に対して行なわれたユーザ入力(208)であって、グラフィカルユーザインターフェース(206)上に表示された複数の組の候補の配向(128)を選択するユーザ入力(208)を受信すること
を含む、条項2に記載の方法。
【0162】
条項6. 選択された配向(126)を使用して、製品管理システムで複合部品(104)を製造すること
を更に含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
条項7. 選択された配向(126)を使用して複合部品(104)のプライ(122)をレイアップするために、プライレイアップシステム(144)を制御して、複合レイアップ(146)を形成することと、
複合部品(104)を形成するために、複合レイアップ(146)を硬化させることと
を更に含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0164】
条項8. 選択された配向(126)が、90度のプライ(122)、+45度のプライ(122)、-45度のプライ(122)、及び0度のプライ(122)を含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0165】
条項9. 選択された配向(126)が、90度の配向を有するプライ(122)の少なくとも10パーセントを含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
条項10. 選択された配向(126)が、90度の配向を有するプライ(122)の少なくとも12.5パーセントから20パーセントを含む、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
条項11. 選択された配向(126)が、45度の配向を有するプライ(122)の40パーセントから50パーセントを含む、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
条項12. 複合部品(104)が、外板パネル、フェアリング、エンジンハウジング、ストリンガ、ドア、翼、及びパネルである、条項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
条項13. コンピュータシステム(112)と、
コンピュータシステム(112)の複合部品デザイナー(110)と
を備え、複合部品デザイナー(110)が、
複合部品(104)の設計仕様(119)から逸脱する製造時の複合部品(104)の変化である複合部品(104)の反り(116)の許容レベル(114)を特定し、
積層順(120)に選択された配向(126)を使用して複合部品(104)を製造することにより、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する複合部品(104)が得られるように、複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に配向(118)を選択して、積層順(120)に選択された配向(126)を形成するように構成されている、複合部品システム(115)。
【0170】
条項14. 積層順(120)に選択された配向(126)を使用して複合部品(104)を製造することにより、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する複合部品(104)が得られるように、複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に配向(118)を選択して、積層順(120)に選択された配向(126)を形成する際に、複合部品デザイナー(110)が、
プライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を選択し、
プライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を使用して、複合部品(104)の応力解析(130)を実行し、
複合部品(104)が複合部品(104)の所望の強度(124)を有していることを応力解析(130)が示すときに、選択された配向(126)として積層順(120)に候補の配向(128)を使用するように構成されている、条項13に記載の複合部品システム(115)。
【0171】
条項15. 積層順(120)に選択された配向(126)を使用して複合部品(104)を製造することにより、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する複合部品(104)が得られるように、複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に配向(118)を選択して、積層順(120)に選択された配向(126)を形成する際に、複合部品(104)が、
複合部品(104)が所望の強度(124)を有していないことを、候補の配向(128)を有する複合部品(104)の応力解析(130)が示すときに、積層順(120)に新たな配向(132)を選択し、
プライ(122)の積層順(120)に新たな配向(132)を使用して、複合部品(104)の応力解析(130)を実行し、
複合部品(104)に所望の強度(124)が存在するようになるまで、候補の配向(128)に新たな配向(132)を選択すること、及びプライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を使用して、複合部品(104)の応力解析(130)を実行することを繰り返す用更に構成されている、条項14に記載の複合部品システム(115)。
【0172】
条項16. 応力解析(130)が、複合部品(104)に印加された一組の構造負荷(222)のシミュレーションを含む、条項14に記載の複合部品システム(115)。
【0173】
条項17. プライ(122)の積層順(120)に候補の配向(128)を選択する際に、複合部品(104)デザイナーが、ディスプレイシステム(202)のグラフィカルユーザインターフェース(206)に対して行なわれたユーザ入力(208)であって、グラフィカルユーザインターフェース(206)上に表示された複数の組の候補の配向(128)を選択するユーザ入力(208)を受信する、条項14に記載の複合部品システム(115)。
【0174】
条項18. コンピュータシステム(112)内にあり、選択された配向(126)を使用して、製品管理システムでの複合部品(104)の製造を制御するように構成されているコントローラ(140)
を更に備える、条項13から17のいずれか一項に記載の複合部品システム(115)。
【0175】
条項19. プライレイアップシステム(144)を制御し、選択された配向(126)を使用して、複合部品(104)のプライ(122)をレイアップして、複合レイアップ(146)を形成し、かつ硬化システム(148)を制御し、複合レイアップ(146)を硬化させて、複合部品(104)を形成するように構成された、コンピュータシステム(112)内のコントローラ(140)
を更に備える、条項13から18のいずれか一項に記載の複合部品システム(115)。
【0176】
条項20. 選択された配向(126)が、90度のプライ(122)、+45度のプライ(122)、-45度のプライ(122)、及び0度のプライ(122)を含む、条項13から19のいずれか一項に記載の複合部品システム(115)。
【0177】
条項21. 選択された配向(126)が、90度の配向を有するプライ(122)の少なくとも10パーセントを含む、条項13から20のいずれか一項に記載の複合部品システム(115)。
【0178】
条項22. 選択された配向(126)が、90度の配向を有するプライ(122)の少なくとも12.5パーセントから20パーセントを含む、条項13から21のいずれか一項に記載の複合部品システム(115)。
【0179】
条項23. 選択された配向(126)が、45度の配向を有するプライ(122)の40パーセントから50パーセントを含む、条項13から22のいずれか一項に記載の複合部品システム(115)。
【0180】
条項24. 複合部品(104)が、外板パネル、フェアリング、エンジンハウジング、ストリンガ、ドア、翼、及びパネルである、条項13から23のいずれか一項に記載の複合部品システム(115)。
【0181】
条項25. 製作機器(1508)と、
製作機器(1508)と通信しているコントローラ(140)と
を備え、コントローラ(140)が、製作機器(1508)を制御し、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する反り(116)を有する複合部品(104)が得られる複合部品(104)のプライ(122)の積層順(120)に選択された配向(126)を有する部品設計を使用して、複合部品(104)を製造するように構成されており、反り(116)が、複合部品(104)の設計仕様(119)から逸脱する製造時の複合部品(104)の変化である、製品管理システム(1500)。
【0182】
条項26. 複合部品デザイナー(110)
を更に備え、複合部品デザイナー(110)が、複合部品(104)の反り(116)の許容レベル(114)を特定し、かつ積層順(120)に選択された配向(126)を使用して複合部品(104)を製造することにより、許容レベル(114)の反り(116)及び所望の強度(124)を有する複合部品(104)が得られるように、積層順(120)に配向(118)を選択して、複合部品(104)のプライ(122)に選択された配向(126)を形成するように構成されている、条項25に記載の製品管理システム。
【0183】
条項27. 製作機器(1508)が、
コントローラ(140)の制御下で複合レイアップ(146)を形成するために、選択された配向(126)を使用して、複合部品(104)のプライ(122)をレイアップするプライレイアップシステム(144)と、
コントローラ(140)の制御下で複合部品(104)を形成するために、複合レイアップ(146)を硬化させる硬化システム(148)と
を備える、条項25又は26に記載の製品管理システム。
【0184】
当業者には、多数の改変例及び変形例が自明となろう。更に、種々の例示的な実施形態によって、他の好ましい実施形態と比較して異なる特徴が提供されうる。選択された1つ又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するために、及び他の当業者に対して、様々な実施形態の開示内容と考慮される特定の用途に適した様々な修正の理解を促すために選択及び記載されている。
図1
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