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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】噴射対象洗浄用微細気泡発生機構
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20250430BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20250430BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20250430BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20250430BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20250430BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20250430BHJP
   B05B 1/34 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
A47K3/28
B01F23/20
B01F25/10
B08B3/02 G
B05B1/02 101
B05B1/18
B05B1/34 101
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021178204
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023067181
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2024-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】319010192
【氏名又は名称】大坪 正典
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】大坪 正典
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特許第6936357(JP,B1)
【文献】特開2002-285616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221132(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112403699(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03375528(EP,A1)
【文献】独国実用新案第202013002283(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
B01F 23/20
B01F 25/10
B08B 3/02
B05B 1/02
B05B 1/18
B05B 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡を含む液状流体が所定の噴出方向に沿って空気中へ噴出し、当該液状流体が、空気中にある噴射対象に射当てられる噴射対象洗浄用微細気泡発生機構であって、
内部に流路が形成されている単一の本体部を備え、
前記流路は、
前記噴出方向に沿うように定められる軸線をメイン中心軸線とし、前記メイン中心軸線を中心とする円を含む面を横断面とする空室部で構成され、かつ、液状流体が当該本体部の外部から前記メイン中心軸線に沿って流入する凹状の中央流路部と、
前記中央流路部における前記メイン中心軸線の周りに形成された側周壁部に接続されて前記中央流路部と連続しており、前記メイン中心軸線を中心にして放射状に配されている複数の第1の案内流路部と、
前記第1の案内流路部の下流側の端部と各々連続しており、前記噴出方向を流動方向として下流に向かうに従って内径が縮径するテーパー形状部分を含む通路部で構成された複数の第1の旋回流形成部と、
を具備し、
前記複数の第1の旋回流形成部が、前記単一の本体部内で、前記メイン中心軸線を中心として前記中央流路部の周りに周状に配列されており、当該第1の旋回流形成部の下流端には、前記本体部の外へ開放された第1の噴出開口部が、当該第1の旋回流形成部と一対一対応となるように形成されて前記第1の噴出開口部が前記単一の本体部に複数配列されており、
前記中央流路部に導入された前記液状流体が前記第1の案内流路部を経由して前記第1の旋回流形成部に流入すると、前記第1の旋回流形成部において当該液状流体が前記第1の噴出開口部に向かって流動しながら旋回流となって当該第1の噴出開口部から微細気泡を含む状態で噴出されると共に、互いに隣り合う第1の噴出開口部から空気中へ噴出された旋回流同士が、当該第1の噴出開口部より下流の位置の空気中において干渉してなり、前記第1の旋回流形成部を流動する液状流体における旋回流の旋回方向が、全ての第1の旋回流形成部で同方向とされて噴射対象に射当てられることにより、空気中にある当該噴射対象が洗浄されるものであり、
さらに、前記単一の本体部を下側部材とし、前記下側部材における上流側の面となる上面に重ね合わされて前記下側部材と締結される上側部材をさらに備え、
前記上側部材における上流側の面となる上面の中央には、液状流体が導入される導入部が設けられており、かつ前記上側部材の中央には、前記導入部と連通する丸孔状の上側部材側流路部が貫通状に設けられており、
これに対して前記下側部材には、前記中央流路部と複数の前記第1の案内流路部と前記第1の旋回流形成部とが、当該下側部材の上面に露出するように設けられており、かつ前記上側部材と前記下側部材とが重ね合わされた状態で前記上側部材側流路部と前記中央流路部とが連通するとともに、前記第1の案内流路部と前記第1の旋回流形成部とが当該上側部材の下流側の面となる下面で被覆され、当該下側部材における下流側の面となる下面に、前記第1の噴出開口部が配列されてなるものであり、
前記第1の案内流路部は、前記メイン中心軸線を中心にして放射状に互いに独立して等間隔で配されており、
前記第1の噴出開口部は、前記下側部材の下面において前記メイン中心軸線を中心とした所定の第1の半径からなる第1の仮想円の円周方向に沿って配置されており、
さらに、外筐体を備え、前記外筐体内には、前記本体部が配置され、当該外筐体の先端部では前記本体部における前記下側部材の下面が露出し、かつ、当該下側部材の側周面と当該外筐体の内周面との間には、前記本体部の外部から導入された液状流体の一部が流動可能な外周流路部が形成されてなり、
さらに前記流路は、
上流端が前記外周流路部と連続するように前記下側部材において前記メイン中心軸線を中心にして放射状に互いに独立して等間隔で形成されている複数の第2の案内流路部と、
前記第2の案内流路部の下流側の端部と各々連続しており、前記噴出方向を流動方向として下流に向かうに従って内径が縮径するテーパー形状部分を含む通路部で構成された複数の第2の旋回流形成部と、
を具備し、
前記複数の第2の旋回流形成部が、前記単一の本体部内で、前記メイン中心軸線を中心として前記第1の旋回流形成部よりも外側において周状に配列されており、当該第2の旋回流形成部の下流端には、前記本体部の外へ開放された第2の噴出開口部が、当該第2の旋回流形成部と一対一対応となるように形成されて前記第2の噴出開口部が前記単一の本体部に複数配列されており、
前記外周流路部に導入された前記液状流体が前記第2の案内流路部を経由して前記第2の旋回流形成部に流入すると、前記第2の旋回流形成部において当該液状流体が前記第2の噴出開口部に向かって流動しながら旋回流となって当該第2の噴出開口部から微細気泡を含む状態で噴出されると共に、互いに隣り合う前記第1の噴出開口部及び前記第2の噴出開口部から空気中へ噴出された旋回流同士が、当該第2の噴出開口部より下流の位置の空気中において干渉してなり、前記第2の旋回流形成部を流動する液状流体における旋回流の旋回方向が、前記第1の旋回流形成部を流動する液状流体における旋回流の旋回方向と同方向とされて噴射対象に射当てられることにより、空気中にある当該噴射対象が洗浄されるものであり、
前記第2の噴出開口部は、前記下側部材の下面において前記メイン中心軸線を中心とした、前記第1の仮想円の半径よりも半径が大きい第2の半径からなる第2の仮想円の円周方向に沿って配置されている
ことを特徴とする噴射対象洗浄用微細気泡発生機構。
【請求項2】
前記メイン中心軸線の軸線方向において、前記第1の案内流路部における最も上流側の部位と、前記第2の案内流路部における最も上流側の部位とが、相対的に偏位してなる
請求項1に記載の噴射対象洗浄用微細気泡発生機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル等の微細気泡を含む液状流体を空気中の噴射対象に向けて噴射する噴射対象洗浄用微細気泡発生機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマイクロバブル等の微細気泡を含む流水を噴出する機構としては、旋回流方式を用いた機構が知られている。(例えば特許文献1参照)。また、本発明者は、コンパクトな構造でありながら、豊富なマイクロバブルを発生させて洗浄効果が高い噴射対象洗浄用微細気泡発生機構を提供している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-023435号公報
【文献】特許第6936357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、全体構造はより一層コンパクトなものが要求される一方、マイクロバブル等の微細気泡量を増加させたり、水流の量や強さを増加させたりすることもさらに求められている。
【0005】
そこで本発明は、簡易な構造としつつ、設計の自由度が向上する噴射対象洗浄用微細気泡発生機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、 微細気泡を含む液状流体が所定の噴出方向に沿って空気中へ噴出し、当該液状流体が、空気中にある噴射対象に射当てられる噴射対象洗浄用微細気泡発生機構であって、内部に流路が形成されている単一の本体部を備え、前記流路は、前記噴出方向に沿うように定められる軸線をメイン中心軸線とし、前記メイン中心軸線を中心とする円を含む面を横断面とする空室部で構成され、かつ、液状流体が当該本体部の外部から前記メイン中心軸線に沿って流入する凹状の中央流路部と、前記中央流路部における前記メイン中心軸線の周りに形成された側周壁部に接続されて前記中央流路部と連続しており、前記メイン中心軸線を中心にして放射状に配されている複数の第1の案内流路部と、前記第1の案内流路部の下流側の端部と各々連続しており、前記噴出方向を流動方向として下流に向かうに従って内径が縮径するテーパー形状部分を含む通路部で構成された複数の第1の旋回流形成部と、を具備し、前記複数の第1の旋回流形成部が、前記単一の本体部内で、前記メイン中心軸線を中心として前記中央流路部の周りに周状に配列されており、当該第1の旋回流形成部の下流端には、前記本体部の外へ開放された第1の噴出開口部が、当該第1の旋回流形成部と一対一対応となるように形成されて前記第1の噴出開口部が前記単一の本体部に複数配列されており、前記中央流路部に導入された前記液状流体が前記第1の案内流路部を経由して前記第1の旋回流形成部に流入すると、前記第1の旋回流形成部において当該液状流体が前記第1の噴出開口部に向かって流動しながら旋回流となって当該第1の噴出開口部から微細気泡を含む状態で噴出されると共に、互いに隣り合う第1の噴出開口部から空気中へ噴出された旋回流同士が、当該第1の噴出開口部より下流の位置の空気中において干渉してなり、前記第1の旋回流形成部を流動する液状流体における旋回流の旋回方向が、全ての第1の旋回流形成部で同方向とされて噴射対象に射当てられることにより、空気中にある当該噴射対象が洗浄されるものであり、さらに、前記単一の本体部を下側部材とし、前記下側部材における上流側の面となる上面に重ね合わされて前記下側部材と締結される上側部材をさらに備え、前記上側部材における上流側の面となる上面の中央には、液状流体が導入される導入部が設けられており、かつ前記上側部材の中央には、前記導入部と連通する丸孔状の上側部材側流路部が貫通状に設けられており、これに対して前記下側部材には、前記中央流路部と複数の前記第1の案内流路部と前記第1の旋回流形成部とが、当該下側部材の上面に露出するように設けられており、かつ前記上側部材と前記下側部材とが重ね合わされた状態で前記上側部材側流路部と前記中央流路部とが連通するとともに、前記第1の案内流路部と前記第1の旋回流形成部とが当該上側部材の下流側の面となる下面で被覆され、当該下側部材における下流側の面となる下面に、前記第1の噴出開口部が配列されてなるものであり、前記第1の案内流路部は、前記メイン中心軸線を中心にして放射状に互いに独立して等間隔で配されており、前記第1の噴出開口部は、前記下側部材の下面において前記メイン中心軸線を中心とした所定の第1の半径からなる第1の仮想円の円周方向に沿って配置されており、さらに、外筐体を備え、前記外筐体内には、前記本体部が配置され、当該外筐体の先端部では前記本体部における前記下側部材の下面が露出し、かつ、当該下側部材の側周面と当該外筐体の内周面との間には、前記本体部の外部から導入された液状流体の一部が流動可能な外周流路部が形成されてなり、さらに前記流路は、上流端が前記外周流路部と連続するように前記下側部材において前記メイン中心軸線を中心にして放射状に互いに独立して等間隔で形成されている複数の第2の案内流路部と、前記第2の案内流路部の下流側の端部と各々連続しており、前記噴出方向を流動方向として下流に向かうに従って内径が縮径するテーパー形状部分を含む通路部で構成された複数の第2の旋回流形成部と、を具備し、前記複数の第2の旋回流形成部が、前記単一の本体部内で、前記メイン中心軸線を中心として前記第1の旋回流形成部よりも外側において周状に配列されており、当該第2の旋回流形成部の下流端には、前記本体部の外へ開放された第2の噴出開口部が、当該第2の旋回流形成部と一対一対応となるように形成されて前記第2の噴出開口部が前記単一の本体部に複数配列されており、前記外周流路部に導入された前記液状流体が前記第2の案内流路部を経由して前記第2の旋回流形成部に流入すると、前記第2の旋回流形成部において当該液状流体が前記第2の噴出開口部に向かって流動しながら旋回流となって当該第2の噴出開口部から微細気泡を含む状態で噴出されると共に、互いに隣り合う前記第1の噴出開口部及び前記第2の噴出開口部から空気中へ噴出された旋回流同士が、当該第2の噴出開口部より下流の位置の空気中において干渉してなり、前記第2の旋回流形成部を流動する液状流体における旋回流の旋回方向が、前記第1の旋回流形成部を流動する液状流体における旋回流の旋回方向と同方向とされて噴射対象に射当てられることにより、空気中にある当該噴射対象が洗浄されるものであり、前記第2の噴出開口部は、前記下側部材の下面において前記メイン中心軸線を中心とした、前記第1の仮想円の半径よりも半径が大きい第2の半径からなる第2の仮想円の円周方向に沿って配置されていることを特徴とする噴射対象洗浄用微細気泡発生機構である。
【0007】
かかる構成は、いわゆる旋回流方式を前提としており、あらかじめ混合された気体と液状流体とが、中央流路部から第1の旋回流形成部に向けて放射状に案内され、各旋回流形成部において旋回流とされる。そして、各旋回流形成部から旋回流が噴出する際(噴出時又は噴出後を含む)の速度差で生じるせん断力に加え、第1の旋回流形成部から噴出する旋回流同士が空気中で干渉する際に発生するせん断力により、相乗的に、液状流体内に微細気泡(例えばマイクロバブル)が豊富に生成され、高濃度の微細気泡を含む液状流体を噴出させることが可能となる。しかも、本発明は、外周流路部から案内された液状流体が第2の旋回流形成部から噴出される構成であり、第1の旋回流形成部における第1の噴出開口部から噴出された液状流体と、第2の旋回流形成部における第2の噴出開口部から噴出された液状流体とが空気中で干渉するため、より一層、高濃度の微細気泡が豊富に生成されることとなる。
【0008】
ここで、本発明は、本体部と外筐体との間に外周流路部を形成し、その上でこの外周流路部から第2の旋回流形成部に液状流体が案内される構成としたため、本体部において案内流路部が偏って密集してしまうことがなくなり、設計の自由度が向上する。また、第1の噴出開口部及び第2の噴出開口部において、メイン中心軸線からの距離をそれぞれ異ならせることにより、噴出開口部を多数配置することができるようになり、例えば液状流体が噴射されない空間が形成されていわゆる中抜けしてしまうようなことを抑制することができる。
【0009】
また、第1の案内流路部と第2の案内流路部、あるいは第1の旋回流形成部と第2の旋回流形成部とが互いに離間距離を十分に確保することが可能となり、単一の本体部において流路が密集してしまうことを適切に回避することが可能となる。したがって本発明は、設計レイアウトに余裕が生まれて製造(例えば鋳造等)が容易となる利点がある。
【0010】
ところで、微細気泡を含む単独の旋回流を、小径の孔を多数備えた噴射板を介してシャワーとして噴射する従来機構では、この噴射板が大きな抵抗となり、微細気泡を発生させるための水圧差が確保しにくいという問題がある。また、前記のような単独の旋回流をそのまま噴射する機構では、シャワーとして使用できないという問題がある。一方、本発明にあっては、噴出開口部が複数形成されている本体部の面が噴射面となるため、当該本体部をそのままシャワー本体として使用することも可能となる。
【0011】
また、前記メイン中心軸線の軸線方向において、前記第1の案内流路部における最も上流側の部位と、前記第2の案内流路部における最も上流側の部位とが、相対的に偏位してなる構成が提案される。
【0012】
かかる構成とすることにより、メイン中心軸線の軸線方向において案内流路部が本体部で密集してしまうことを回避することが可能となる。これにより、本体部をコンパクトな形態としつつ、旋回流形成部の十分な寸法や数を確保して旋回流同士の干渉を大幅に確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる噴射対象洗浄用微細気泡発生機構は、簡易な構造としつつ、噴出開口部を多数形成することができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】参考例1にかかるシャワー装置の概要側面図である。
図2】参考例1にかかるシャワー装置の概要側断面図である。
図3】参考例1にかかる下側部材を示し、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
図4】(a)は参考例1にかかる下側部材の平面図であり、(b)は(a)のA-B-C線組み合わせ断面図である。
図5】(a)は参考例1にかかる下側部材を通過する流水を模式的に示す説明図であり、(b)は参考例1にかかる中央流路部、及び案内流路部を通過する流水を模式的に示す説明図であり、(c)は参考例1にかかる旋回流形成部を通過する流水を模式的に示す説明図である。
図6】参考例1にかかる使用状態のシャワー装置を示す説明図である。
図7】(a)参考例1として別例の本体部を示す説明図であり、(b)は参考例1として別例の使用状態のシャワー装置を示す説明図である。
図8】参考例2にかかるシャワー装置の概要側面図である。
図9】参考例2にかかる下側部材を示し、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
図10】実施例1にかかるシャワー装置の概要側面図である。
図11】実施例1にかかる下側部材を示し、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
図12】実施例1にかかるシャワー装置の部分断面斜視図である。
図13】実施例2にかかるシャワー装置の概要側面図である。
図14】実施例2にかかる下側部材の斜視図である。
図15】実施例2にかかる下側部材の第1の積層部材と第2の積層部材を分離した状態を示す斜視図である。
図16】実施例2にかかるシャワー装置の部分断面斜視図である。
図17】実施例3にかかるシャワー装置の概要側面図である。
図18】実施例3にかかる下側部材の斜視図である。
図19】実施例3にかかる下側部材の第1の積層部材と第2の積層部材を分離した状態を示す斜視図である。
図20】実施例3にかかる下側部材の底面図である。
図21】実施例3にかかるシャワー装置の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の噴射対象洗浄用微細気泡発生機構を具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。ところで、微細気泡には、マイクロバブルやナノバブル等が含まれるところ、本実施例はマイクロバブルを一例として説明する。また、液状流体には、種々の液状の流体が含まれるところ、本実施例では水(水道水)を一例として説明する。
【0016】
先ず、本発明の噴射対象洗浄用微細気泡発生機構の基本技術を、以下の参考例に沿って説明する。
【0017】
〔参考例1〕
図1に示すように、噴射対象洗浄用微細気泡発生機構としてのシャワー装置1は、マイクロバブルを含む流水を噴出する機能を有している。具体的に図1では、下方向を噴出方向としている。
【0018】
また、シャワー装置1は、使用者が把持する手持ち部10と、手持ち部10の先端に取り付けられた本体部20Aとを有している。そして、水源(図示省略)から供給された流水が手持ち部10内を通過した後、本体部20A内に導入され、マイクロバブルを含む流水として本体部20Aの下面(底面)に形成された噴出開口部32から噴射される。
【0019】
なお、手持ち部10よりも上流側には、気体混合器40が配設されている。この気体混合器40は、水に空気を混合させる機能を有しており、特開2014-057915等で開示されるような公知技術が好適に採用可能である。気体混合器40の詳細は、公知技術であるため省略する。
【0020】
また、図1等に示すように、本体部20Aは、ほぼ円板形状で上流側に配される上側部材21と、上側部材21の下流側に配され、上側部材21とほぼ同じ寸法形状の下側部材22とで構成されている。そして、上側部材21と下側部材22は、ボルト等の締結部材30で、互いに重ね合わされた状態で締結されている。
【0021】
図2に示すように、上側部材21の上面中央には、手持ち部10の先端が接続される導入部23が設けられており、導入部23の外周に手持ち部10が螺着可能となっている。また、上側部材21の中央には、丸孔状の上側部材側流路部24が貫通状に設けられている。
【0022】
これに対し、下側部材22の上面には、平面視で円形の中央流路部25が凹状に設けられている。この中央流路部25は、上側部材側流路部24と同じ内径で、上記した噴出方向に沿うように定められるメイン中心軸線L1を横切る円を含む面を横断面とする空室部で構成されている。すなわち、中央流路部25は、メイン中心軸線L1の周りに形成された側周壁部26によって囲繞された空間で構成されている。
【0023】
また、図3図4に示すように、中央流路部25の側周壁部26には、複数(12本)の案内流路部27が等間隔で互いに独立して接続されている。さらに詳述すると、案内流路部27は、メイン中心軸線L1を中心にして放射状に配置されており、各々は狭い幅で直線状の流路部で構成されている。そして、中央流路部25と案内流路部27とが連続し、上流から下流に向かって水が流通可能となっている。なお、本参考例では、各案内流路部27の深さは互いに等しく、また、案内流路部27の深さよりも、中央流路部25の深さの方が深い形状とされている。
【0024】
また、案内流路部27の下流側の端部には、ノズルとしての旋回流形成部28がそれぞれ設けられている。ここで、旋回流形成部28は、平面視で円形状であり、各案内流路部27と、各旋回流形成部28とが接続する部位では、旋回流形成部28の接線上に案内流路部27が位置する位置関係が成立している。このように、全ての案内流路部27は、各旋回流形成部28の中心に対して一側に偏位しており、しかも全て同じ向きに偏位する態様で接続されている。
【0025】
さらに、旋回流形成部28は、噴出方向を流動方向とした流路部で構成されており、図2に示すように、当該旋回流形成部28における流動方向に沿ってサブ中心軸線L2がそれぞれ定められている。そして、サブ中心軸線L2を横切る横断面が円形状とされており、かつ、サブ中心軸線L2が下流に向かうに従ってメイン中心軸線L1に向かって漸近しており、各旋回流形成部28が下流側においてメイン中心軸線L1側に傾斜している。
【0026】
また、旋回流形成部28の上流側はストレート形状部分29Aで形成されていると共に、下流側は下流に向かうに従って内径が縮径するテーパー形状部分29Bで形成されている。そして、テーパー形状部分29Bの下流端が、下側部材22の下面(底面)に相当しており、かかる下面(底面)には、外部に開放された噴出開口部32が形成されている。
【0027】
なお、上述した本参考例の中央流路部25と、案内流路部27と、旋回流形成部28とで、本参考例にかかる本体部の流路が構成されている。
【0028】
これまでに述べた構成にあって、本体部20Aに空気を含む流水が導入されると、この流水は上側部材21の上側部材側流路部24を介して、下側部材22の中央流路部25に導入される。そして、中央流路部25に導入された流水は、図5に示すように、中央流路部25の底面31によって堰き止められると共に、放射状に形成された複数の案内流路部27に誘導される。
【0029】
そして、各案内流路部27に誘導された流水は、各先端部に接続された旋回流形成部28に到達し、旋回流形成部28においてらせん状に流下して旋回流が生成される。具体的には、流水が噴出開口部32に向かって流動しながら全ての旋回流形成部28において平面視で右方向の旋回流が形成される。
【0030】
そして、旋回流形成部28のテーパー形状部分29Bを流水が通過すると、図6に示すように噴出開口部32から一気にマイクロバブルを含む流水として噴出される。
【0031】
ここで、複数の旋回流形成部28は、メイン中心軸線L1を中心としていわば同一平面上にかつ周状に配列されており、各噴出開口部32から噴出された旋回流は、少なくとも隣り合う旋回流同士で干渉する。このため、旋回流同士が干渉し合うことに起因して、旋回流は白濁し、当該旋回流の周囲にはミストが霧状に飛散する作用効果が得られる。
【0032】
すなわち、各旋回流形成部28から旋回流が噴出する際の速度差で生じるせん断力に加え、複数の旋回流形成部28から噴出する旋回流同士が空気中で干渉する際に発生するせん断力により、相乗的に、流水内にマイクロバブルが豊富に生成され、高濃度のマイクロバブルを含む流水を噴出させることが可能となる。
【0033】
しかも、上記構成は、単一の本体部20A内に複数の旋回流形成部28を備え、全旋回流形成部28で生成される旋回流の旋回方向が同一とされているため、単一の旋回流を形成する従来品に比して、噴出される旋回流の旋回強度がより一層向上することとなる。
【0034】
ここで、本構成におけるマイクロバブルの発生要因について考察する。液状流体は旋回流として噴出開口部32から空気中へ噴出し、空気中で干渉して空気中にある噴射対象に射当てられる。ここで、液状流体が噴出開口部32から空気中へ噴出された際には、大気圧下に放出されたことによる減圧効果により、瞬間的に球体化した液滴が無数に形成されると考えられるところ、こうした球体化した液滴においては、まさに噴出開口部32から飛び出す際に当該噴出開口部32における開口縁との摩擦が生じる部位と、外気に接していることで摩擦の影響が相対的に小さい部位とが生じ、その摩擦力の差に起因して当該液滴が噴出開口部32における開口縁の内壁を転がるようにして自転しながら放出されると推定している。これにより、微細気泡を含む液状流体を液中(例:水中)に送り込む構成とは異なり、噴出開口部32から噴出した旋回流同士の衝突によって生ずるせん断力や、液状流体の液滴の自転による微視的な作用を効果的に利用している。
【0035】
なお、図3に示すように、本体部20Aの下面(底面)に複数の噴出開口部32が配列された構成であるため、本体部20Aの寸法を過剰に大きくすること無く、所定の噴射パターンのシャワーとして機能させることが可能となる。
【0036】
また、上述のように旋回流形成部28が下流側においてメイン中心軸線L1側に傾斜した構成であるため、各旋回流形成部28から噴出した旋回流を効率良く中心に集合させて互いに干渉させることができる。
【0037】
また、以下の手順により、旋回流の位置を調整することが可能である。すなわち、メイン中心軸線L1に対する各サブ中心軸線L2の傾斜角度α(図2参照)が大きい仕様とすることにより、旋回流同士の干渉位置を本体部20A側に近い位置にすることができる。一方、傾斜角度αが小さい仕様とすることにより、旋回流同士の干渉位置を本体部20Aから遠い位置にすることができる。このように、傾斜角度αを変更することにより、旋回流同士の干渉位置をメイン中心軸線L1に沿って適宜変更することができる。
【0038】
これにより、例えばシャワー装置1において、使用時の体(噴射対象)と本体部20A(シャワーヘッド)との離間距離を適正化することができる。
【0039】
また、旋回流形成部28の配設数は、適宜変更可能であり、少なくとも2以上の旋回流形成部28を備えた構成が想定されうる。
【0040】
また、案内流路部27は平面視で直線状である必要はなく、平面視で湾曲状であってもよい。
【0041】
また、例えば本体部20Aは、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。
【0042】
なお、以下に別例を説明する。
【0043】
図7(a),図7(b)に示すように、サブ中心軸線L2が、メイン中心軸線L1を中心とした周方向にも傾斜している本体部20Bとしてもよい。例えば、サブ中心軸線L2が傾斜する方向が、旋回流形成部28における水流の旋回方向とは逆向きとなる構成としてもよい。
【0044】
かかる構成とすることにより、図7(b)に示すように、例えば下側部材42の下面に形成された各噴出開口部43から噴出された右旋回する液状流体全体に対していわゆる左向きの「ネジレ」を形成させることが可能となり、各噴出開口部43の配列態様に合わせた均一な噴射パターンを形成することが可能となる。
【0045】
〔参考例2〕
参考例2のシャワー装置2は、図8に示すように、参考例1の下側部材22に替えて下側部材50を用いた本体部50Aを具備した噴射対象洗浄用微細気泡発生機構である。なお、参考例1と共通する箇所については説明を適宜省略する。
【0046】
下側部材50は、図9等に示すように、平面視で上面に円形の中央流路部55が凹状に設けられている。この中央流路部55は、上側部材側流路部24と同じ内径で、メイン中心軸線L1を横切る横断面形状が円形となる空室部で構成されている。すなわち、中央流路部55はメイン中心軸線L1の周りに形成された側周壁部56によって囲繞された空間で構成されている。
【0047】
また、図9図10に示すように、中央流路部55の側周壁部56には、複数(12本)の案内流路部57Aが等間隔で互いに独立して接続されている。また、別途、前記案内流路部57Aとは長さが異なる複数(12本)の案内流路部57Bが等間隔で互いに独立して側周壁部56に接続されている。
【0048】
具体的に、案内流路部57Aの全長は、案内流路部57Bの全長よりも短い寸法となっており、案内流路部57Aの下流端よりも案内流路部57Bの下流端の方が、メイン中心軸線L1から遠い位置となっている。
【0049】
また、相対的に短尺の案内流路部57Aの下流端には、ノズルとしての旋回流形成部58Aがそれぞれ設けられている。旋回流形成部58Aの下流端は、下側部材50の下面(底面)に位置しており、かかる下面(底面)には、外部に開放された噴出開口部62Aが形成されている。
【0050】
また、相対的に長尺の案内流路部57Bの下流側の端部には、ノズルとしての旋回流形成部58Bがそれぞれ設けられている。旋回流形成部58Bの下流端は、下側部材50の下面(底面)に位置しており、かかる下面(底面)には、外部に開放された噴出開口部62Bが形成されている。
【0051】
なお、案内流路部57A,57B、及び旋回流形成部58A,58Bの構成や機能は、参考例1における案内流路部27及び旋回流形成部28と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
ところで、噴出開口部62Aは、図9(b)に示すように、下側部材50の下面(底面)においてメイン中心軸線L1を中心とした第1の半径R1からなる第1の仮想円C1の円周方向に沿って配置されている。
【0053】
同様に、噴出開口部62Bは、下側部材50の下面(底面)においてメイン中心軸線L1を中心とした第2の半径R2からなる第2の仮想円C2の円周方向に沿って配置されている。ここで第1の仮想円C1の半径R1よりも、第2の仮想円C2の半径R2の方が大きい関係が成立している(R1<R2)。
【0054】
かかる構成によって、メイン中心軸線L1からの距離を異ならせた複数の噴出開口部群を形成させて、噴出開口部の数を増やし、噴射面から高濃度のマイクロバブルを含む流水を多数噴出させることが可能となる。
【0055】
なお、参考例2については、全体として噴射量が向上するものの、案内流路部57A,57B、及び旋回流形成部58A,58Bにおけるレイアウトの自由度に限りがある。具体的には、外側の旋回流形成部58Bの数を増やそうとすると、案内流路部57Bを確保すべく内側の旋回流形成部58Aの間隔を広げる必要が生じて、内側の旋回流形成部58Aの数を減らす必要が生じてしまう。このため、以下に示す実施例を本発明者は提案する。
【0056】
〔実施例1〕
図10等に示すように、噴射対象洗浄用微細気泡発生機構としてのシャワー装置3は、下側部材70を含む本体部70Aと、本体部70Aを内蔵するカバー部材71とを備えている。
【0057】
さらに詳述すると、図12に示すように、カバー部材71は内空部を有する部材で構成されており、この内空部に本体部70Aが配置されている。そして、カバー部材71の先端において本体部70Aの下面が露出した状態で取り付けられている。加えて、前記内空部においてカバー部材71の内周面と本体部70Aの側周面81との間には空隙部が形成されており、この空隙部には、手持ち部10内を通過して供給される流水の一部が流動可能となっている。この空隙部により、外周流路部80が構成されている。
【0058】
次に、本体部70Aの下側部材70について説明する。
下側部材70は、図11等に示すように、平面視で上面に円形の中央流路部75が凹状に設けられている。この中央流路部75は、上側部材側流路部24と同じ内径で、メイン中心軸線L1を横切る横断面形状が円形の空室部で構成されている。すなわち、中央流路部75はメイン中心軸線L1の周りに形成された側周壁部76によって囲繞された空間で構成されている。
【0059】
また、図11(a)に示すように、中央流路部75の側周壁部76には、複数(12本)の第1の案内流路部77Aが等間隔で互いに独立して接続されている。また、第1の案内流路部77Aの下流側の端部には、ノズルとしての第1の旋回流形成部78Aがそれぞれ設けられている。そして、第1の旋回流形成部78Aの下流端は、下側部材70の下面(底面)に位置しており、かかる下面(底面)には、外部に開放された第1の噴出開口部82Aが形成されている。
【0060】
また、図11(a)に示すように、下側部材70には、当該下側部材70の径方向に沿って複数(12本)の第2の案内流路部77Bが等間隔で互いに独立して形成されている。さらに詳述すると、各第2の案内流路部77Bの上流端は、下側部材70の側周面81に開口して外周流路部80に臨むことで、第2の案内流路部77Bと外周流路部80とが連続している。また、第2の案内流路部77Bの下流端には、ノズルとしての第2の旋回流形成部78Bがそれぞれ設けられている。そして、第2の旋回流形成部78Bの下流端は、下側部材70の下面(底面)に位置しており、かかる下面(底面)には、図11(b)に示すように、当該第2の旋回流形成部78Bに対応する第2の噴出開口部82Bが外部に開放されるように形成されている。
【0061】
ここで、第1の噴出開口部82Aは、図11(b)に示すように、下側部材70の下面(底面)においてメイン中心軸線L1を中心とした第1の半径R3からなる第1の仮想円C3の円周方向に沿って配置されて第1の噴出開口部群85を形成している。
【0062】
一方、第2の噴出開口部82Bは、下側部材70の下面(底面)においてメイン中心軸線L1を中心とした第2の半径R4からなる第2の仮想円C4の円周方向に沿って配置されて第2の噴出開口部群86を形成している。そして、第1の仮想円C3の半径R3よりも第2の仮想円C4の半径R4の方が大きい(R3<R4)という位置関係が成立している。
【0063】
かかる構成にあって、隣り合う第1の噴出開口部82A,82Aから噴出した各液状流体同士は互いに干渉し、同様に、隣り合う第2の噴出開口部82B,82Bから噴出した各液状流体同士も互いに干渉する。加えて、隣り合う第1の噴出開口部82A及び第2の噴出開口部82Bから噴出した各液状流体同士も互いに干渉することとなる。なお、各噴出開口部82A,82Bに対するテーパー形状部分の相対位置は、いずれの噴出開口部82A,82Bにおいても同じ位置としており、極狭の流路(すなわち噴出開口部82A,82Bの近傍部分)を旋回流が通過する際の抵抗を考慮して、テーパー形状部分が各噴出開口部82A,82Bに可及的に近い位置となるような構造としている。
【0064】
本実施例の構成によれば、メイン中心軸線L1からの距離を異ならせた複数の噴出開口部群85,86を形成させて、噴出開口部82A,82Bの数を増やし、高濃度のマイクロバブルを含む流水を多数噴出させることが可能となる。
【0065】
さらに、第1の案内流路部77Aをメイン中心軸線L1に近い位置に配置し、これに対して第2の案内流路部77Bを外周流路部80に近い位置配置して、互いが密集しないレイアウトで配されているため、下側部材70を製造する際に設計の自由度が増し、形状が複雑化してしまうことが抑制される。したがって、例えば下側部材70において噴出開口部82A,82Bの数を効率良く増加させた製品が提供可能となる。
【0066】
なお、第1の旋回流形成部78Aの構成、及び第2の旋回流形成部78Bの構成は上述の参考例1における旋回流形成部28と同様であるため説明を省略する。また、上述した本実施例の中央流路部75と、外周流路部80と、第1の案内流路部77Aと、第2の案内流路部77Bと、第1の旋回流形成部78Aと、第2の旋回流形成部78Bとで、本発明にかかる本体部の流路が構成されている。
【0067】
〔実施例2〕
次に、実施例2のシャワー装置4について説明する。
図13等に示すように、噴射対象洗浄用微細気泡発生機構としてのシャワー装置4は、下側部材90を備えた本体部90Aを具備しているとともに、本体部90Aを被覆するカバー部材91を備えている。そして、カバー部材91の内空部において当該カバー部材91の内周面と本体部90Aの外周面との間には、外周流路部100が形成されている。
【0068】
また下側部材90は、図15等に示すように、下流側に配置されて噴出面を構成することとなるほぼ円板形状の第1の積層部材92Aと、第1の積層部材92Aの上流側の面に重ねられて配置された円板形状の第2の積層部材92Bとで構成されている。
【0069】
まず、図15aに従って第2の積層部材92Bを説明する。
【0070】
第2の積層部材92Bには、平面視で上面に円形の中央流路部95が凹状に設けられている。この中央流路部95は、上側部材側流路部24と同じ内径で、メイン中心軸線L1を横切る横断面形状が円形の空室部で構成されており、側周壁部96によって囲繞されている。また、側周壁部96には、複数(12本)の第1の案内流路部97Aが等間隔で互いに独立して接続されている。
【0071】
さらに、第1の案内流路部97Aの下流側の端部には、ノズルとしての第1の旋回流形成部98Aがそれぞれ設けられている。なお、第1の旋回流形成部98Aの下流端については後述する。
【0072】
次に、図15bに従って第1の積層部材92Aを説明する。
第1の積層部材92Aは、第1の積層部材92Bとほぼ同じ外形の円盤部材からなり、当該第1の積層部材92Aの側周面101には、当該積層部材92Aの径方向に沿って形成された第2の案内流路部97Bの上流端が開口している。
【0073】
また、第2の案内流路部97Bの下流側の端部には、ノズルとしての第2の旋回流形成部98Bがそれぞれ設けられている。そして、第2の旋回流形成部98Bの下流端は、第1の積層部材92Aの下面(底面)に位置しており、かかる下面(底面)には、図16に示すように外部に開放された第2の噴出開口部102Bが形成されている。
【0074】
ところで、第1の積層部材92Aにおいては、上述の第2の積層部材92Bに形成されている第1の旋回流形成部98Aのテーパー形状部分と第1の噴出開口部102Aが設けられている。
【0075】
そして、図16に示すように、第1の積層部材92Aと第2の積層部材92Bとが重ねられて本体部90Aとされてカバー部材91に内蔵された状態では、第1の旋回流形成部98Aが上下で連続するとともに、第1の積層部材92Aに形成された第2の案内流路部97Bと第2の旋回流形成部98Bが第2の積層部材92Bで被覆される。また、各第2の案内流路部97Bの上流端が外周流路部100と連続した状態となる。
【0076】
なお、上述した本実施例の中央流路部95と、外周流路部100と、第1の案内流路部97Aと、第2の案内流路部97Bと、第1の旋回流形成部98Aと、第2の旋回流形成部98Bとで、本発明にかかる本体部の流路が構成されている。
【0077】
ここで、上述のように、本体部90Aのいわば内側から液状流体が導入される第1の案内流路部97Aと、本体部90Aのいわば外側から液状流体が導入される第2の案内流路部97Bとを、別の積層部材92A,92Bに個別に形成するようにすると、案内流路部97A,97Bが密集してしまうことが回避できる。また、例えばチャンバーとして機能する旋回流形成部98A,98Bの互いに間隔を最小としつつ、旋回流形成部98A,98Bの数を増加させることができるようになる。したがって、下側部材90を製造する際に設計の自由度が増すこととなり、製造が大幅に容易となる。
【0078】
ここで、下側部材90は、第1の積層部材92Aと第2の積層部材92Bとの2部材構成であってもよいが、3以上の部材で構成されてもよいし、逆に単一部材で構成されたものを積極的に排除するものでもない。
【0079】
また、第1の積層部材92A側に第1の案内流路部97A及び第1の旋回流形成部98Aが形成され、第2の積層部材92B側に第2の案内流路部97B及び第2の旋回流形成部98Bが形成されている構成であっても構わない。
【0080】
〔実施例3〕
次に、図17等に従って実施例3のシャワー装置4について説明する。
噴射対象洗浄用微細気泡発生機構としてのシャワー装置5は、下側部材110を備えた本体部110Aを具備し、カバー部材111内に本体部110Aが内蔵されている。そして、カバー部材111の内空部において、当該カバー部材111の内周面と本体部110Aとの間には、外周流路部120が形成されている。
【0081】
また、下側部材110は、図19等に示すように、下流側に配置されたほぼ円板形状の第1の積層部材112Aと、第1の積層部材112Aに重ねられて上流側に配置されるほぼ円板形状の第2の積層部材112Bとで構成されている。
【0082】
カバー部材111の下面で露出した第1の積層部材112Aには、平面視で上面に円形の中央流路部115が凹状に設けられている。一方、第2の積層部材112Bには、中央流路部115に連通する同じ内径の貫通孔が形成されており、当該貫通孔も中央流路部115を構成している。そして、中央流路部115は、側周壁部116に囲繞されている。
【0083】
また、第1の積層部材112Aにおける中央流路部115の側周壁部116には、複数(12本)の第1の案内流路部117Aが等間隔で互いに独立して接続されている。
【0084】
また、第1の案内流路部117Aの下流側の端部には、ノズルとしての第1の旋回流形成部118Aがそれぞれ設けられ、第1の積層部材112Aの下面(底面)には第1の噴出開口部122Aが形成されている。
【0085】
また、図20等に示すように、第1の積層部材112Aの側周面121Aには、複数(12本)の第2の案内流路部117Bの上流端が接続されている。これにより、各第2の案内流路部117Bの上流端が外周流路部120と連続している。
【0086】
また、第2の案内流路部117Bの下流側の端部には、ノズルとしての第2の旋回流形成部118Bがそれぞれ設けられ、第1の積層部材112Aの下面(底面)には第2の噴出開口部122Bが形成されている。
【0087】
さらに、第2の積層部材112Bにおいて、中央流路部115の側周壁部116には、複数(12本)の第3の案内流路部117Cが等間隔で互いに独立して接続されている。
【0088】
また、第3の案内流路部117Cの下流側の端部には、ノズルとしての第3の旋回流形成部118Cがそれぞれ設けられ、第1の積層部材112Aの下面(底面)には第3の噴出開口部122Cが形成されている。
【0089】
加えて、図20等に示すように、第2の積層部材112Bの側周面121Bには、複数(12本)の第4の案内流路部117Dの上流端が接続されている。これにより、各第4の案内流路部117Dの上流端が外周流路部120と連続している。
【0090】
さらに、第4の案内流路部117Dの下流側の端部には、ノズルとしての第4の旋回流形成部118Dがそれぞれ設けられ、第1の積層部材112Aの下面(底面)には、第1の積層部材112Aを貫通する流路と連続する第4の噴出開口部122Dが当該第1の積層部材112Aの下面(底面)に形成されている。
【0091】
なお、上述した本実施例の中央流路部115と、外周流路部120と、第1の案内流路部117Aと、第2の案内流路部117Bと、第3の案内流路部117Cと、第4の案内流路部117Dと、第1の旋回流形成部118Aと、第2の旋回流形成部118Bと、第3の旋回流形成部118Cと、第4の旋回流形成部118Dとで、本発明にかかる本体部の流路が構成されている。
【0092】
ここで、図20に示すように、第1の噴出開口部122Aは、第1の積層部材112Aの下面(底面)においてメイン中心軸線L1を中心とした第1の半径R5からなる第1の仮想円C5の円周方向に沿って配置されて第1の噴出開口部群135を形成している。
【0093】
同様に、第2の噴出開口部122B及び第4の噴出開口部122Dは、第1の積層部材112Aの下面(底面)においてメイン中心軸線L1を中心とした第2の半径R6からなる第2の仮想円C6の円周方向に沿って配置されて第2の噴出開口部群136を形成している。
【0094】
さらに、第3の噴出開口部122Cは、第1の積層部材112Aの下面(底面)においてメイン中心軸線L1を中心とした第3の半径R7からなる第3の仮想円C7の円周方向に沿って配置されて第3の噴出開口部群137を形成している。
【0095】
ここで、第1の仮想円C5の半径R5よりも第3の仮想円C7の半径R7の方が大きく、第2の仮想円C6の半径R6は半径R7よりもさらに大きい関係が成立している(R5<R7<R6)。
【0096】
かかる構成によって、メイン中心軸線L1からの距離を異ならせた複数の噴出開口部群を形成させて、噴出開口部の数を増やし、高濃度のマイクロバブルを含む流水を多数噴出させることが可能となる。
【0097】
また、図21に示すように、第1の積層部材112Aと第2の積層部材112Bとを含む「多層構造かつ内外給水構造」を採用することにより、旋回流形成部の機能を十分に確保しつつ同心円状に複数の噴出開口部群を配置して十分な噴出量を広範囲で確保できる。
【0098】
なお本実施例にあっては、さらに積層部材を追加して多層構造とし、各積層部材に案内流路部や旋回流形成部を形成するようにしても勿論よい。
【0099】
また、本発明にかかる噴射対象洗浄用微細気泡発生機構は、食器洗浄器や浄水器に採用されてもよいし、他の用途に採用されても勿論良い。
【符号の説明】
【0100】
1,2,3,4,5 シャワー装置(噴射対象洗浄用微細気泡発生機構)
10 手持ち部
20A,20B,50A,70A,90A,110A 本体部
21 上側部材
22,42,50,70,90,110 下側部材
23 導入部
24 上側部材側流路部
25,55,75,95,115 中央流路部
26,56,76,96,116 側周壁部
27,57A,57B 案内流路部
28,58A,58B 旋回流形成部
30 締結部材
31 底面
32,43 噴出開口部
40 気体混合器
62A,62B 噴出開口部
71,91,111 カバー部材
77A,97A,117A 第1の案内流路部
77B,97B,117B 第2の案内流路部
78A,98A,118A 第1の旋回流形成部
78B,98B,118B 第2の旋回流形成部
80,100,120 外周流路部
81,101,121A,121B 側周面
82A,102A,122A 第1の噴出開口部
82B,102B,122B 第2の噴出開口部
85,135 第1の噴出開口部群
86,136 第2の噴出開口部群
92A,112A 第1の積層部材
92B,112B 第2の積層部材
117C 第3の案内流路部
117D 第4の案内流路部
118A 第1の旋回流形成部
118B 第2の旋回流形成部
118C 第3の旋回流形成部
118D 第4の旋回流形成部
122C 第3の噴出開口部
122D 第4の噴出開口部
137 第3の噴出開口部群
C1,C3,C5 第1の仮想円
C2,C4,C6 第2の仮想円
C3,C7 第3の仮想円
L1 メイン中心軸線
L2 サブ中心軸線
R1,R3,R5 第1の半径
R2,R4,R6 第2の半径
R7 第3の半径
α 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
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