(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】電気機械のステータ又はロータの半径方向に開いたスロットに挿入するためのコイル巻線を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20250101AFI20250430BHJP
H02K 15/085 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
H02K15/04
H02K15/085
(21)【出願番号】P 2021575461
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2020068683
(87)【国際公開番号】W WO2021001483
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102019117966.1
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518160584
【氏名又は名称】シェフラー エルモテック スタトマット ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトベール, キース エー.
【審査官】加藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-535636(JP,A)
【文献】特開2004-088993(JP,A)
【文献】特開2014-007938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/0414
H02K 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械のロータ又はステータ(80)内の半径方向に開いたスロット(82)内に挿入するためのコイル巻線(70)を製造するための方法であって、
前記コイル巻線(70)が、複数のワイヤ(32)からなるワイヤパック(60)を有し、前記ワイヤパック(60)の前記ワイヤ(32)が、互いに平行に延び、前記ワイヤパック(60)の一端で対で互いに接続されており、
対で互いに接続された前記ワイヤが、前記ワイヤパック(60)の一端で曲げられた連続した単一のワイヤ(32a、32b、32c、32d、32e、32f)から一体型で形成されており、すべての連続した個々のワイヤ(32a、32b、32c、32d、32e、32f)の曲げの形状が、巻線ヘッド(42)の形状に対応しており、
さらに前記コイル巻線(70)が、回転軸線を中心に回転することができる平坦な巻線形成器(26)によって形成され、
前記方法が、
a)前記コイル巻線(70)に用いられる前記ワイヤパック(60)を前記巻線形成器(26)に対して垂直に送り出すステップと、
b)前記巻線形成器(26)上の第1の保持領域(34)内の固定点に前記ワイヤパック(60)を保持するステップと、
c)送り出し方向(R)に対して前記巻線形成器(26)の前に距離をおいたところにある第2の保持領域(36)内の固定点に前記ワイヤパック(60)を保持するステップと、
d)前記第1の保持領域(34)を前記巻線形成器(26)の前記回転軸線に平行な方向に前記第2の保持領域(36)に対して相対的に変位させて、前記第1の保持領域(34)と前記第2の保持領域(36)との間に前記送り出し方向(R)に対して傾斜したワイヤ部分(40)を形成するステップと、
e)前記ワイヤパック(60)を前記送り出し方向(R)から送り出しながら、前記巻線形成器(26)を前記回転軸線を中心に180°回転させるステップであって、前記固定点が、前記第1の保持領域(34)から、前記巻線形成器(26)の前記第1の保持領域(34)とは反対側の第3の保持領域(46)内に変位し、前記固定点が、前記第2の保持領域(36)から、前記第1の保持領域(34)内に変位し、これによって、前記巻線形成器(26)の周りを延びる前記巻線ヘッド(42)が、曲げ領域を形成することによって前記ワイヤパック(60)に対して形成される、ステップと、
f)続いて送り出されたワイヤパック(60)を前記第2の保持領域(36)内の前記固定点に固定するステップと、
g)ステップd)~f)を繰り返すステップであって、前記第3の保持領域(46)内の前記固定点にある保持効果が、ステップf)の繰り返しの前又は後に解除され、前記第2の保持領域(36)内の前記固定点にある保持効果が、ステップe)の繰り返しの前に解除される、ステップと、
h)前記コイル巻線(70)が完成するまでステップb)~g)を繰り返すステップと、
i)前記第2の保持領域(36)の領域内で前記ワイヤパック(60)を切断するステップと、
j)前記巻線形成器(26)から前記コイル巻線(70)を剥ぎ取るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記コイル巻線(70)に必要な前記ワイヤ(32)の長さの2倍が決定されるという点で前記ワイヤパック(60)が最初に製造され、前記ワイヤパック(60)が、前記ワイヤ(32)が前記ワイヤパック(60)の一端で対で互いに接続されるように、前記ワイヤ(32)を前記コイル巻線(70)の製造に必要な長さに曲げることによって製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤ(32)が対で互いに接続される端部から始まる前記ワイヤパック(60)が、前記巻線形成器(26)に対して垂直に送り出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップd)の前記変位が、前記巻線形成器(26)の前記回転軸線に平行に一セクションだけ行われ、前記セクションの長さが、すべてのワイヤに関して前記ワイヤパック(60)の最も外側のワイヤ間の距離の半分にほぼ等しく、これにより、前記巻線形成器(26)の前記回転軸線に対して傾斜したワイヤ部分(40)が、前記第1の保持領域と前記第2の保持領域(34、36)との間に形成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記巻線ヘッド(42)が、ステップe)によって形成された前記曲げ領域内で再成形されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップe)の後の前記巻線ヘッド(42)の最終的な成形のために、輪郭成形ツール(50)が前記巻線ヘッド(42)に押し付けられることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ワイヤパックが、ステップb)において、前記第1の保持領域(34)内で前記巻線形成器(26)上に第1の保持装置(18)によって保持され、ステップc)において、前記第2の保持領域(36)内の第2の保持装置(29)によって保持されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の保持領域(34)、前記第3の保持領域(46)、及び前記第2の保持領域(36)が、前記巻線形成器(26)の回転方向にこの順序で互いに続き、各保持装置(28、29、33)が、ステップe)に応じた回転で、保持領域(34、36、46)から後続の保持領域(34、36、46)に前記回転方向に移送されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
ステップi)における前記ワイヤパック(60)の切断が、前記巻線形成器(26)の回転位置において行われ、前記回転位置では、前記ワイヤが対で互いに接続された前記ワイヤパック(60)の端部が、前記第2の保持領域(36)の側にあることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
対で接続された前記ワイヤ(32)が、前記第2の保持領域(36)に到達する前の前記送り出し中、前記方法の過程で対で接続された他のワイヤ(32)と、対で1回又は複数回交換されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)の実施前に前記ワイヤパックが長さに合わせて切断され、ステップa)における前記コイル巻線(70)に使用される前記ワイヤパック(60)の送り出しが、前記巻線形成器(26)に垂直な送り出し方向(R)に行われ、ステップi)が省略されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
半径方向に開いたスロット(82)を有する電気機械のステータ(80)又はロータにおいて、
前記スロット(82)に挿入されたコイル巻線(70)が、
複数のワイヤ(32)からなるワイヤパック(60)を有し、前記ワイヤパック(60)の前記ワイヤ(32)が、互いに平行に延び、前記ワイヤパック(60)の一端で対で互いに接続されており、
対で互いに接続された前記ワイヤが、前記ワイヤパック(60)の一端で曲げられた連続した単一のワイヤ(32a、32b、32c、32d、32e、32f)から一体型で形成されており、すべての連続した個々のワイヤ(32a、32b、32c、32d、32e、32f)の曲げの形状が、巻線ヘッド(42)の形状に対応しており、
前記コイル巻線(70)が、2つの巻線ヘッド(42)間に配置された前記コイル巻線(70)のワイヤ(32)の第1の半分が2つの連続するスロット(82a、82b)の第1のスロット(82a)に挿入され、2つの巻線ヘッド(42)間に配置された前記コイル巻線(70)のワイヤ(32)の第2の半分が2つの連続するスロット(82a、82b)の第2のスロット(82b)に挿入されるように、前記スロット(82)に挿入され
ており、
対で互いに接続された前記ワイヤ(32)を有する前記コイル巻線(70)の端部とワイヤパック(60)が切断された前記コイル巻線(70)の端部とが、前記ステータ(80)又は前記ロータの同じ側に位置することを特徴とする、ステータ(80)又はロータ
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械のロータ又はステータ内の半径方向に開いたスロットに挿入するためのコイル巻線を製造するための方法に関し、コイル巻線は、回転軸線を中心に回転することができる平坦な巻線形成器によって形成される。
【0002】
本方法は、断面が実質的に長方形であり、ステータのスロットの最適な充填度に関して好ましいワイヤの使用に特に適している。この種のワイヤ断面には、従来の丸線の巻線方法は使用できない。
【0003】
本方法は、主に、後でステータ(又はロータ)のスロット内に挿入することができる、いわゆる分散波巻線とするコイル巻線を製造するのに役立つ。このようなコイル巻線又は分散波巻線は、バー波巻線とも呼ばれる。
【0004】
分散波巻線は、ステータのスロット内に配置された直線部分を有する複数の平行なワイヤを有する。これらの直線部分は、ワイヤパターンがステータの周りで半径方向に移動するにつれて、ステータ内の内側半径方向位置と隣接する外側半径方向位置との間で交互になる。この分散波パターンは、ステータ内にX個の相又はグループ化されたスロットを含む。一般に、Xは3の倍数であるが、Xが任意の他の整数である構造も可能である。同様に、ステータ又はロータ内の隣接する開いたスロットに対して直線部分を交互にすることなく波巻線を提供することも可能である。
【0005】
製造される巻線の正確な外観は、実施形態の文脈でより詳細に論じられる。
【背景技術】
【0006】
このような巻線を製造するための方法は、独国特許出願公開第102015120661号明細書から知られており、この方法は連続波巻線に基づいている。この場合、電気機械のステータ又はロータの半径方向に開いたスロットに挿入するためのコイル巻線が製造され、コイル巻線は、多数の織り合わされたワイヤからなり、これらのワイヤは、スロットを充填するように意図されたワイヤの平行な脚部が端部側のロータ又はステータ上に突出する屋根状巻線ヘッドによって接続されるように、反対方向に繰り返し曲げられる。この場合、平坦で回転可能な巻線形成器が使用される。ステータに挿入されるコイル巻線は、波巻線の両端に開放端を有し、開放端はワイヤの一部によって形成される。
【0007】
特に、3つの電気相を有する用途では、3つを超えるワイヤが巻回されて波巻線又はコイル巻線を形成する場合、開放ワイヤ端部を波巻線又はコイル巻線の一端に接続しなければならない。この接続は、波巻線又はコイル巻線をステータ又はロータに挿入した後、又はコイル巻線の製造を終了した後に、特別に設けられた接続部片によって、又はワイヤ端部の恒久的な接着接続によって行われる。そのような場合、接続部片によるこのタイプの接続のために追加の設置スペースが必要とされ、及び/又は電気接点は、遷移抵抗及び/又は材料の違いによって損なわれる。加えて、コイル巻線の電気的構成に関して、ステータ又はロータを装備するときに追加の組み立てステップが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、波巻線又はコイル巻線を有するステータ又はロータの製造を簡素化し、そのようなステータ又はロータを有する電気機械の確実で省スペースの動作を可能にする、冒頭で述べたタイプの方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本目的は、冒頭で述べたタイプの方法であって、コイル巻線は、複数のワイヤからなるワイヤパックを有し、ワイヤパックのワイヤは、互いに平行に延び、ワイヤパックの一端で対で互いに接続される、方法によって達成され、本方法プは、
a)コイル巻線に用いられるワイヤパックを巻線形成器に対して垂直に送り出すステップと、
b)巻線形成器上の第1の保持領域内の固定点にワイヤパックを保持するステップと、
c)送り出し方向に対して巻線形成器の前に距離をおいたところにある第2の保持領域内の固定点にワイヤパックを保持するステップと、
d)第1の保持領域を巻線形成器の回転軸線に平行な方向に第2の保持領域に対して相対的に変位させて、第1の保持領域と第2の保持領域との間に送り出し方向に対して傾斜したワイヤ部分を形成するステップと、
e)ワイヤパックを送り出し方向から送り出しながら、巻線形成器を回転軸線を中心に180°回転させるステップであって、固定点は、第1の保持領域から、巻線形成器の第1の保持領域とは反対側の第3の保持領域内に変位し、固定点は、第2の保持領域から、第1の保持領域内に変位し、これによって、巻線形成器の周りを延びる巻線ヘッドが、曲げ領域を形成することによってワイヤパックに対して形成される、ステップと、
f)続いて送り出されたワイヤパックを第2の保持領域内の固定点に固定するステップと、
g)ステップd)~f)を繰り返すステップであって、第3の保持領域内の固定点にある保持効果は、ステップf)の繰り返しの前又は後に解除され、第2の固定点にある保持効果は、ステップe)の繰り返しの前に解除される、ステップと、
h)コイル巻線が完成するまでステップb)~g)を繰り返すステップと、
i)第2の保持領域の領域内でワイヤパックを切断するステップと、
j)巻線形成器からコイル巻線を剥ぎ取るステップと
を含む。
【0010】
本方法が、ワイヤパックのワイヤが互いに平行に延び、ワイヤパックの一端で互いに対で接続されているワイヤパックを用いて実施されるという事実の結果、その後に、すなわちコイル巻線の製造後に、又はコイル巻線を開放スロットを有するロータ又はステータのコア内に設置した後に、ワイヤを接続する必要がないという利点がもたらされる。これにより、波巻線又はコイル巻線を有するステータ又はロータの製造が大幅に簡素化される。コイル巻線が製造されるワイヤパックは、対応する接続を提供することによって電気的構成に対して事前に組み立てることができる。
【0011】
ワイヤパック内の電線ルーティングに関するこの事前組み立てはまた、コイル巻線内の導体の電気的接続の安全性を高める。コイル巻線をロータ又はステータに設置した後、コイル巻線がそこから構成されるワイヤパックの対応するワイヤのその後の接続を省略することができる。電気接続部の組み立ては、好適には、ステータ又はロータ内のコイル巻線の設置状態だけでなく、事前に理想的な条件下で行うことができる。これにより、接続されるワイヤの最適な接続が確実に行われる。対照的に、ステータ又はロータにおける設置状態でのコイル巻線からのワイヤのその後の接続は、クランプ接続又はねじ接続でのみ可能であることが多く、その結果信頼性が低下する。
【0012】
さらに、波巻線又はコイル巻線の製造前にワイヤを互いに個別に接続する必要があるため、このようにして接続を特に省スペースで行うことができることが、有利である。したがって、ロータ又はステータについて、特に軸線方向により小さい寸法を達成することができる。
【0013】
本方法の好ましい実施形態は、請求項2から11に記載されている。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、ワイヤパックは、コイル巻線に必要なワイヤの長さの2倍が決定され、ワイヤがワイヤパックの一端で対で互いに接続されるように、コイル巻線の製造に必要な長さにワイヤを曲げることによってワイヤパックが製造されることから、最初に製造されることが、もたらされる。
【0015】
結果として、対で互いに接続されたワイヤは、それらが1つのワイヤから構成されるので、一体型で形成される。したがって、別個の接続を生成する必要はない。これは、この方法に従って製造されたワイヤパックが特に省スペースであり、対でのワイヤ間の特に確実な接続をもたらすので有利である。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、ワイヤが対で互いに接続される端部から始まるワイヤパックは、巻線形成器に対して垂直に送り出されることが、もたらされる。
【0017】
そのような送り出しの結果、対で接続されたワイヤを有する端部が最初に巻線形成器に配置されるという利点が、もたらされる。ワイヤを対で接続することは、巻線形成器上のワイヤの配置の完全性を高める。さらに、対で互いに接続されたワイヤがないワイヤパックの開放端部が、送り出し側に配置されるというさらなる利点がある。その結果、ワイヤパック内のワイヤの配置をその送り出し中に変更することができ、それにより、巻線形成器上のワイヤのシーケンスを可変に設計することができる。
【0018】
本方法のさらなる実施形態では、方法ステップd)の変位は、巻線形成器の回転軸線に平行に一セクションだけ行われ、セクションの長さは、すべてのワイヤに関してワイヤパックの最も外側のワイヤ間の距離の半分にほぼ等しく、これにより、巻線形成器の回転軸線に対して傾斜したワイヤ部分が、第1の保持領域と第2の保持領域との間に形成される。
【0019】
その長さがすべてのワイヤに関して最も外側のワイヤ間の距離の半分にほぼ等しい変位量を提供することによって、傾斜したワイヤ部分は、ロータ又はステータの開放スロット内にコイル巻線を設置するのに有利な幾何学的形状で形成される。このようにして製造されたコイル巻線は、波巻線又はコイル巻線の幾何学的形状がその使用を妨げることなく、省スペースでステータ又はロータの開放スロットに挿入することができる。特に、この構成は、ステータ又はロータのコアの本体を越えて軸線方向に最小限だけ突出する巻線ヘッドを形成することも可能であるため、有利である。
【0020】
方法のさらなる態様によれば、巻線ヘッドは、ステップe)によって形成された曲げ領域内で再成形されることが、もたらされる。この目的のために、方法ステップe)の後の巻線ヘッドの最終的な成形のために、輪郭成形ツールが巻線ヘッドに押し付けられることが、もたらされる。
【0021】
再成形は、巻線ヘッドの形状の不規則性を補償することができる。再成形はまた、特に、ステータコア又はロータコア上の巻線ヘッドの突出をさらに低減するのに役立つ。
【0022】
さらなる実施形態によれば、ワイヤパックは、ステップb)において、第1の保持領域内で巻線形成器上に第1の保持装置によって保持され、ステップc)において、第2の保持領域内で第2の保持装置によって保持されることが、もたされる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、好ましくは、各保持装置について、その個々の変位が、方法のステップb)~d)を実行することができるように巻線形成器の回転軸線に平行に可能であることが、もたらされる。そのような保持装置は、ワイヤが通るか又はワイヤ上に配置されるアクティブクランプ又はガイドチャネルとして設計することができる。したがって、適切な幾何学的形状を有する保持装置をワイヤ上に配置するだけで十分であり、これにより、横方向の変位中に滑ることに対する十分な保持が、提供される。第2の保持領域で使用されるクランプ装置は、本発明の有利な実施形態では、ワイヤ又はワイヤパックの送り出し部の一部である。本発明のさらなる任意選択の実施形態では、第2の保持領域内のクランプ装置は、このクランプ装置と第1の保持領域内のクランプ装置との間のワイヤパック又はワイヤ内に機械的張力を生成するのに寄与する。代替として、又はそれに加えて、第2の保持領域内のクランプ装置は、ワイヤ送り出し部とこのクランプとの間のワイヤパック又はワイヤ内に機械的張力を生成することができる。本発明のさらなる態様によれば、保持装置は、対応する保持領域に縛られず、3つの保持領域の間で移動することができ、それにより、保持装置は、それらの変位中だけでなく巻線形成器の回転中にも保持効果を維持することができる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態の結果、第1の保持領域、第3の保持領域、及び第2の保持領域が、巻線形成器の回転方向にこの順序で互いに続き、各保持装置が、ステップe)に応じた回転で、保持領域から次の保持領域に回転方向に移送されることが、もたらされる。
【0025】
このようにして、第3の保持領域における保持効果の解除は、例えばステップf)の前に行うことができ、第3の保持領域から第2の保持領域への保持装置の変位は、巻線形成器の次の回転プロセス中に実行することができる。保持装置は、巻線形成器の回転プロセス中に第1の保持領域から第3の保持領域に移動し、次に、次の回転プロセス中に第3の保持領域から第2の保持領域に移動し、最後に再び第2の保持領域から第1の保持領域に移動し、巻線形成器がさらに回転する場合、第1の保持領域から一連の移動が、繰り返される。
【0026】
本発明のさらなる実施形態によれば、ステップi)におけるワイヤパックの切断は、巻線形成器の回転位置において行われ、この回転位置では、ワイヤが対で互いに接続されたワイヤパックの端部は、第2の保持領域の側にある。
【0027】
この結果、コイル巻線又はワイヤパックの開始部及び終了部が、軸線方向に見て、挿入状態においてロータ又はステータの同じ側に配置されるという特に有利な方法がもたらされる。これは、必要であれば、対のワイヤの電気的接続及び接続への任意のアクセスを容易にする。本発明のさらなる態様によれば、ステップi)におけるワイヤパックの切断は、巻線形成器の回転位置において行われ、この回転位置では、ワイヤが対で互いに接続されたワイヤパックの端部は、第2の保持領域の反対側にある。そのような方法シーケンスの場合、ロータ又はステータ内へのコイル巻線の設置後、軸線方向に見たコイル巻線の開放端の配置は、ロータ又はステータの別の側にあることができ、その結果、特に設置スペースの接続及び利用に関して利点をもたらすことができる。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、対で接続されたワイヤは、第2の保持領域に到達する前の送り出し中、方法の過程で対で接続された他のワイヤと、対で1回又は複数回交換されることが、もたらされる。
【0029】
対で互いに接続されたワイヤを交換することにより、ロータ又はステータの開放スロットに挿入されたコイル巻線は、対で接続されたワイヤが、半径方向に見て、開放スロット内の異なる位置をそれぞれとることができるという、電流伝導に関する利点を有する。これは、渦電流の発生を有利に低減する。
【0030】
本方法の代替的な実施形態では、方法ステップa)の実施前にワイヤパックが長さに合わせて切断され、ワイヤがワイヤパックの一端で対で互いに接続されていない状態での、ステップa)におけるコイル巻線に使用されるワイヤパックの送り出しが、巻線形成器に垂直な送り出し方向に行われ、ステップi)は省略されることが、もたされる。
【0031】
このようにして、1つの方法ステップが省略されているので、方法は幾分より簡単になる。当然ながら、その結果、サイクル時間が短縮する。さらに、ワイヤ送り出し側では、対で互いに接続されたワイヤは、ワイヤパックのより良好な完全性を提供し、それにより、ワイヤ送り出し部をより簡単に構成することができる。
【0032】
請求項12は、本発明のさらなる態様による、請求項13に記載の実施形態によって本発明による方法において使用するためのワイヤパックであって、請求項13により、ワイヤパックは、互いに平行に延びる複数のワイヤを有し、ワイヤはそれぞれ、ワイヤパックの一端で対で互いに接続されている、ワイヤパックに関する。この実施形態によれば、対で互いに接続されたワイヤは、ワイヤパックの一端で曲げられた連続した単一のワイヤから一体型で形成され、すべての連続したワイヤの曲げ形状は、巻線ヘッドの形状に対応する。
【0033】
ワイヤパック内の電線ルーティングに関するこの事前組み立てはまた、コイル巻線内の導体の電気的接続の安全性を高める。コイル巻線をロータ又はステータに設置した後、コイル巻線がそこから構成されるワイヤパックの対応するワイヤのその後の接続を省略することができる。電気接続部の組み立ては、コイル巻線がステータ又はロータ内で設置状態にあるときだけでなく、事前に理想的な条件下で行うことができる。これにより、接続されるワイヤの最適な接続が確実に行われる。対照的に、ステータ又はロータにおける設置状態でのコイル巻線からのワイヤのその後の接続は、クランプ接続又はねじ接続でのみ可能であることが多く、その結果信頼性が低下する。一体型接続を提供することによって、別個の接続を生成する必要はない。これは、そのようなワイヤパックが特に省スペースであり、対でのワイヤ間の特に確実な接続をもたらすので有利である。
【0034】
請求項14は、本発明のさらなる態様により、本発明による方法及び請求項15によるさらなる実施形態によって製造されたコイル巻線を有する電気機械のステータ又はロータであって、請求項15により、本方法によって製造されたコイル巻線は、2つの巻線ヘッドの間に配置されたコイル巻線のワイヤの第1の半分が2つの連続するスロットの第1のスロットに挿入され、2つの巻線ヘッドの間に配置されたコイル巻線のワイヤの第2の半分が2つの連続するスロットの第2のスロットに挿入されるように、スロットに挿入される、ステータ又はロータに関する。この実施形態によれば、対で互いに接続されたワイヤを有するコイル巻線の端部とワイヤパックが切断されたコイル巻線の端部とが、ステータ又はロータの同じ側に位置することが、もたらされる。
【0035】
本方法によって製造されたコイル巻線をロータ若しくはステータ又はロータコア若しくはステータコアに挿入することにより、ワイヤは波巻線又はコイル巻線の製造前に互いに個別に接続しなければならないため、このロータ若しくはステータ又はロータコア若しくはステータコアを特に省スペースで設計できるという利点が、もたらされる。したがって、接続のために追加の設置スペースを確保する必要がないため、ロータ又はステータの寸法、特に軸線方向の寸法をより小さくすることができる。
【0036】
続いて、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】コイル巻線を製造するための方法のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図2】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図3】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図4】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図5】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図6】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図7】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図8】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図9】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図10】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図11】コイル巻線を製造するための方法の別のシーケンス図であり、上側部aでは、方法を実施するための3つの円周方向保持装置を備えた巻線装置の概略端面図を示し、中央部bでは、巻線装置の上面図を示し、下側部cでは、このステップですでに生成されたコイルターンのみを平面図で示す。
【
図12】ワイヤパックの一端で対で接続されたワイヤを有するワイヤパックを製造するための一連のステップを示す図である。
【
図13】ワイヤパックの一端で対で接続されたワイヤを有するワイヤパックを製造するための一連のステップを示す別の図である。
【
図14】ワイヤパックの一端で対で接続されたワイヤを有するワイヤパックを製造するための一連のステップを示す別の図である。
【
図15】本方法によって生成されたコイル巻線の平面図である。
【
図16】スロット内に
図15からの巻線が受け入れられている、ステータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、
図12から
図15に示すステップに従って製造されたワイヤパック60を用いて、電気モータ(図示せず)のステータ用のコイル巻線70(
図16を参照)を製造するための方法の開始位置を示す。このようなコイル巻線70又は分散波巻線は、バー波巻線とも呼ばれる。
【0039】
この目的のために、図示する実施形態では巻線装置10が提供され、この巻線装置は、ワイヤハンドリング装置14を備えた巻線ヘッドを有し、このワイヤハンドリング装置は、3つの保持装置18、20、22(
図3も参照)と、巻線ヘッド形成装置24とを有する。
【0040】
巻線装置10は、平坦な形成機として設計された、すなわちストリップ状の形状を有する巻線形成器26と協働する。巻線形成器26の断面は、
図1の図の上部に示されており、この断面から、側面に向かって先細になっている巻線形成器26の縁部領域27、及び側面自体の半径が明らかになる。
【0041】
巻線形成器26の長さ(完全な長さでは図示せず)は、製造されるコイル巻線70の長さ及び方法の正確な構成によって決定され、巻線形成器26の長さは、コイル巻線70の長さに対応する必要はない。巻線形成器26は、例えば、コイル巻線70が方法の過程で巻線形成器26から移送装置(図示せず)にすでに連続的に渡されている場合、コイル巻線70よりもかなり短くすることができる。
【0042】
巻線装置10はまた、ワイヤ圧延装置28にも関連付けられ、ワイヤ圧延装置は、回転プロセス中に、巻線形成器26とのより良好な接触のために加工されるワイヤ32の圧延成形を実施する。
【0043】
方法シーケンスは、以下の通りである。
図1によれば、第1の保持装置(A)18は、巻線形成器26から離間した待機位置にある。
【0044】
第2の保持装置(B)20は、休止解除位置にあるので、通過するワイヤパック60は詰まることはない。図示する実施形態では、それぞれ対で接続された12本のワイヤ32を有するワイヤパック60が、加工される。ワイヤ32は、互いに平行に案内される。
【0045】
図1から開始して、ワイヤパック60は、その巻線ヘッド42が巻線形成器26上に少なくとも部分的に載置するように、巻線形成器26上に配置される。ワイヤパック60は、まだ詰まっていない第2の保持装置(B)20を妨げられることなく通過することができる。
【0046】
続いて、第1の保持装置(A)18は、その休止位置から、巻線形成器26に近接又は隣接する保持位置に移動される。トリガにより、第1の保持点が平坦な巻線形成器26の上側の第1の保持領域34内に画定される。第1の保持領域34内のワイヤパック60の詰まりに時間的に近接して、ワイヤの第2の保持領域36が画定されるような第2の保持装置(B)20のトリガが起こり、この第2の保持領域は、第1の保持領域34から特定の距離にある。第2の保持領域36は、送り出し方向Rに第1の保持領域34の隣にある。
【0047】
さらに、
図2は、傾斜したワイヤ部分40が製造される方法ステップを示す。これらのワイヤ部分40は、後に、ステータ又はロータのスロット内に位置するようになる直線脚部44の間に別の巻線ヘッド42を形成する。巻線ヘッド42は、後続の方法ステップ及び後にもさらに詳細に論じられる。
【0048】
図2では、
図1と比較して、第2の保持装置20が変位ステップによってワイヤハンドリング装置14により近づけられることも明確に分かり、その理由は、傾斜した部分40の長さが、好ましくは
図3の第1の保持領域34と第2の保持領域36との間の距離に対応するはずであるためである。この再調整動作は、能動的追跡又は受動的補償動作によって誘導され、行うことができる。
【0049】
傾斜したワイヤ部分40の形成によって、第1の保持領域34内に固定されたワイヤ部分を第2の保持領域36に固定されたワイヤ部分に対して変位させる
図2に示すステップの後、回転装置28が作動され、巻線形成器26、及び同じく回転方向に結合されている第1の保持装置(A)18を、第1の保持領域34から
図3に示す第3の保持領域46に回転させ、ワイヤ32が同様に詰まる第2の保持装置(B)20は、第2の保持領域36から第1の保持領域34内に取り込まれ、ワイヤパック50はさらに送り出し方向Rに送られる。
【0050】
ワイヤ32が巻線形成器26の側面27にくっついているので、傾斜したワイヤ部分40は、巻線形成器26の回転によってすでに言及した屋根形状の巻線ヘッド42に移送され、巻線ヘッド42は、側面27の形状に対応する折り返し点48に向かって先細になっている。ワイヤパック60の各ワイヤ32の曲げ半径は、折り返し点48自体に形成されている。
図3では、第3の保持装置(C)22も初めて示されているが、この場合、方法シーケンスの後半でのみ使用されるため、依然として休止位置にある。
【0051】
図4は、これまでに製造された巻線ヘッド42がワイヤ形成装置24によって最終形状を与えられる任意のステップを示す。ワイヤ形成装置24は、成形要素50を有し、この成形要素は、所望の端部形状の巻線ヘッド42の負の形状として設計され、加圧下で巻線ヘッド42に押し付けられる。
【0052】
次の方法ステップに備えて、第3の保持装置(C)22は、第2の保持領域36内に移動される。第1の保持装置(A)18もすでに解放され得るが、次の方法ステップ中にワイヤパック60のワイヤ32が第3の保持領域46に詰まったままである可能性もある。
【0053】
図5に示す次の方法ステップは、ここでも、第3の保持装置(C)22をトリガすることによって事前に生成された第2の保持領域36内の保持点と、第2の保持装置(B)20によって作り出された保持点との間の傾斜したワイヤ部分40の形成をもたらし、この第2の保持装置は依然として詰まっており、依然として第1の保持領域34内に位置している。
【0054】
これは、次に、巻線形成器26の回転軸線に平行な第1及び第2の保持領域34、36内の詰まった保持装置(この場合、保持装置(B)20及び保持装置(C)22)の相対的な軸線方向変位によって起こる。
【0055】
第3の保持装置(C)22が依然として詰まっている場合、これはコイル巻線70のすでに生成された部分を安定させる理由で有利であり得るが、保持装置(A)18は、第1の保持領域内の保持装置(B)20と一緒に、第2の保持領域36内の保持装置(C)22に対して軸線方向に第3の保持領域46内を移動する。
【0056】
図5の底部では、このステップの後、
図2によるステップで生成された平行脚部44の第1の部分が、送り出し方向Rから送り出されるワイヤパック60のワイヤ32に対して横方向にオフセットされた巻線形成器26の下側に位置することが分かる。
【0057】
これは、巻線形成器26を対応して回転させることによって巻線プロセスが、その後再び180°にわたって実施されるとき、生成された第1のワイヤ部分は、後続のワイヤを干渉しないことを意味する。
図3に関する説明は、必要な変更を加えて
図5による巻線プロセスにも適用されるが、保持装置18、20、22は異なる保持領域内に配置される。
【0058】
図6(底部)は、後にステータ又はロータ80のスロットに位置する直線脚部44の両側に巻線ヘッド42を有する、巻線形成器26上の将来のコイル巻線の完全な最初のターンを示す。
【0059】
図7に示すように、巻線ヘッド42の成形を最適化するために、
図4に関連してすでに説明したワイヤ形成装置24の成形要素50によって、巻線ヘッド42を成形する任意のステップが、続いて再び行われる。
【0060】
続いて、
図2~
図7に示す方法ステップは、必要とされるコイル巻線70のターンに対応して繰り返されるが、保持装置18、20、及び22の配置は変化し、ここで示す保持装置の位置に常に対応するとは限らない。その理由は、これらは、一方では
図2~
図4の異なる配置、及び
図5~
図7から当業者には容易に明らかであるように、各ランの後にそれぞれの相対位置を変更するためである。
【0061】
このシーケンスは、当然のことながら、保持装置18、20、22が、180°にわたって巻線プロセス3回ごとに対応する位置に戻るように定期的に繰り返される。
【0062】
図8~
図10は、
図5~
図7による方法ステップの最終シーケンスを示し、上述のシーケンスによる保持装置18、20、及び22の配置は、それぞれ異なる保持点34、36、46に位置している。
【0063】
完全なコイル巻線70を製造するための最後のステップを
図11に示す。この時点で、ロータスロット又はステータスロット82に装備するために所望される多数の直線脚部44が、製造されている。しかし、
図11では、より明確にするために、短くされたコイル巻線70のみが示されている。
【0064】
上述の方法は、完成したコイル巻線70のすべての接続ワイヤ17(
図15を参照)が片側にあることを保証する。
【0065】
図11は、最終方法ステップを示す。完成したコイル巻線70が送り出されたワイヤパック60から切断装置(図示せず)によって分離される前、巻線形成器26の回転軸線に平行な第2の保持領域36(この場合、保持装置(B)20)に対する、(この場合、ここでも詰まった第1の保持装置(A)18を使用する)第1の保持領域34の最終変位プロセス。ワイヤ32の切断プロセス後、脚部44に対して傾斜したワイヤ端部は、コイル巻線70の電気的接続として働く接続ワイヤ17を形成する。送り出されたワイヤパック60からのワイヤ端部の切断プロセスの後、完成したコイル巻線70は、次に、それ自体既知の方法でステータ80又はロータに移送され、それによって、最初巻線形成器から剥ぎ取られ、必要に応じて、中間ステップで移送装置(図示せず)に配置される。
【0066】
方法は、特に並列に加工されるワイヤの数に関しては指定されておらず、この数は、図示及び説明された実施形態では12として示されている。コイル巻線70の分散波パターンのために、任意の偶数のワイヤを並列に加工することができる。非分散波形パターンが巻線のために生成される場合があるが、この方法は、実用的な任意の数のワイヤ32に適している。すでに述べたように、本方法は、特に、矩形断面を有する平坦なワイヤからコイル巻線70を製造するように意図される。
【0067】
図12~
図14は、第1の方法ステップで巻線装置10に送り出されるワイヤパック60がどのように製造されるかを示す。ワイヤパック60は、コイル巻線70(
図12)に必要なワイヤ32の長さの2倍が決定され、ワイヤ32又はワイヤパック60が提供されることで最初に製造される。
【0068】
図12及び
図14は、ワイヤパック60のためのワイヤ32の接続がどのように生成されるかを示す。これは、ワイヤ32がワイヤパック60の一端で対で互いに接続されるように、コイル巻線70の製造に必要な長さにワイヤ32を曲げることによって行われる。この目的のために、
図1から
図11による方法に使用されるような装置を使用することができ、第1の巻線ヘッド42(
図14参照)は、好ましくは、傾斜したワイヤ部分40を生成するために保持装置を変位させ、巻線形成器26を回転させることによって、上述した方法によって決定されたワイヤ長さの約半分で生成される。
【0069】
図15は、平坦な状態で予め製作されたコイル巻線70を示し、この位置は、コイル巻線70がストリップ形状の巻線形成器26上にある状態に対応するが、図示されていない。この図示するコイル巻線70は、
図12~
図14による6つの個別ワイヤ32a~fから元々構成されたワイヤパッケージ60から製造されたコイル巻線70であり、それにより、
図1~
図11による製造方法の後、12本の接続ワイヤ17がコイル巻線70の片側で利用可能である。
【0070】
本方法における基本的な手順は、例えば、ワイヤパック60の製造のために6本の平行ワイヤ32が送り出されず、3本又は3の他の整数倍だけが送り出される場合にも変化しない。軸線方向経路は、直線脚部44の間に傾斜した移行領域40を変位させて形成する場合に対応して増減する。
【0071】
図16は、一例として、コイル巻線70がステータスロット82に挿入されるステータ80を示す。接続ワイヤ17は、ステータ80の軸線方向端面にあり、これにより、それらの接続が容易になる。図示する実施形態では、コイル巻線70の長さはステータ80の円周の倍数であり、図示する実施形態では長さの2倍であることも分かる。特に矩形断面の場合、このようにして製造されたステータによってスロット82の優れた充填度を達成することができ、これにより、コンパクトなモータは高レベルの効率を有する。コイル巻線70が挿入されたステータのこの実施形態では、6つの接続ワイヤを有するコイル巻線70が示されており、3の別の整数倍に対応する数のワイヤ32を有する上述のコイル巻線70も使用されている。
【符号の説明】
【0072】
10 巻線装置
14 ワイヤハンドリング装置
17 接続ワイヤ
18 第1の保持装置
20 第2の保持装置
22 第3の保持装置
24 ワイヤ形成装置
26 巻線形成器
26 巻線形成器
27 側面
32 ワイヤ
32a~32f 単一のワイヤ
34 第1の保持点
36 第2の保持点
40 傾斜したワイヤ部分
42 巻線ヘッド
44 直線脚部
46 第3の保持点
50 成形要素
60 ワイヤパック
70 コイル巻線
80 ステータ
82 ステータスロット
R 送り出し方向
[発明の項目]
[項目1]
電気機械のロータ又はステータ(80)内の半径方向に開いたスロット(82)内に挿入するためのコイル巻線(70)を製造するための方法であって、
前記コイル巻線(70)が、複数のワイヤ(32)からなるワイヤパック(60)を有し、前記ワイヤパック(60)の前記ワイヤ(32)が、互いに平行に延び、前記ワイヤパック(60)の一端で対で互いに接続され、前記コイル巻線(70)が、回転軸線を中心に回転することができる平坦な巻線形成器(26)によって形成され、
前記方法が、
a)前記コイル巻線(70)に用いられる前記ワイヤパック(60)を前記巻線形成器(26)に対して垂直に送り出すステップと、
b)前記巻線形成器(26)上の第1の保持領域(34)内の固定点に前記ワイヤパック(60)を保持するステップと、
c)送り出し方向(R)に対して前記巻線形成器(26)の前に距離をおいたところにある第2の保持領域(36)内の固定点に前記ワイヤパック(60)を保持するステップと、
d)前記第1の保持領域(34)を前記巻線形成器(26)の前記回転軸線に平行な方向に前記第2の保持領域(36)に対して相対的に変位させて、前記第1の保持領域(34)と前記第2の保持領域(36)との間に前記送り出し方向(R)に対して傾斜したワイヤ部分(40)を形成するステップと、
e)前記ワイヤパック(60)を前記送り出し方向(R)から送り出しながら、前記巻線形成器(26)を前記回転軸線を中心に180°回転させるステップであって、前記固定点が、前記第1の保持領域(34)から、前記巻線形成器(26)の前記第1の保持領域(34)とは反対側の第3の保持領域(46)内に変位し、前記固定点が、前記第2の保持領域(36)から、前記第1の保持領域(34)内に変位し、これによって、前記巻線形成器(26)の周りを延びる巻線ヘッド(42)が、曲げ領域を形成することによって前記ワイヤパック(60)に対して形成される、ステップと、
f)続いて送り出されたワイヤパック(60)を前記第2の保持領域(36)内の前記固定点に固定するステップと、
g)ステップd)~f)を繰り返すステップであって、前記第3の保持領域(46)内の前記固定点にある保持効果が、ステップf)の繰り返しの前又は後に解除され、前記第2の固定点にある保持効果が、ステップe)の繰り返しの前に解除される、ステップと、
h)前記コイル巻線(70)が完成するまでステップb)~g)を繰り返すステップと、
i)前記第2の保持領域(36)の領域内で前記ワイヤパック(60)を切断するステップと、
j)前記巻線形成器(26)から前記コイル巻線(70)を剥ぎ取るステップと
を含む、方法。
[項目2]
前記コイル巻線(70)に必要な前記ワイヤ(32)の長さの2倍が決定されるという点で前記ワイヤパック(60)が最初に製造され、前記ワイヤパック(60)が、前記ワイヤ(32)が前記ワイヤパック(60)の一端で対で互いに接続されるように、前記ワイヤ(32)を前記コイル巻線(70)の製造に必要な長さに曲げることによって製造される、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記ワイヤ(32)が対で互いに接続される端部から始まる前記ワイヤパック(60)が、前記巻線形成器(26)に対して垂直に送り出されることを特徴とする、項目1又は2に記載の方法。
[項目4]
ステップd)の前記変位が、前記巻線形成器(26)の前記回転軸線に平行に一セクションだけ行われ、前記セクションの長さが、すべてのワイヤに関して前記ワイヤパック(60)の最も外側のワイヤ間の距離の半分にほぼ等しく、これにより、前記巻線形成器(26)の前記回転軸線に対して傾斜したワイヤ部分(40)が、前記第1の保持領域と前記第2の保持領域(34、36)との間に形成されることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
前記巻線ヘッド(42)が、ステップe)によって形成された前記曲げ領域内で再成形されることを特徴とする、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項目6]
ステップe)の後の前記巻線ヘッド(42)の最終的な成形のために、輪郭成形ツール(50)が前記巻線ヘッド(42)に押し付けられることを特徴とする、項目5に記載の方法。
[項目7]
前記ワイヤパックが、ステップb)において、前記第1の保持領域(34)内で前記巻線形成器(26)上に第1の保持装置(18)によって保持され、ステップc)において、前記第2の保持領域(36)内の第2の保持装置(29)によって保持されることを特徴とする、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
前記第1の保持領域(34)、前記第3の保持領域(46)、及び前記第2の保持領域(36)が、前記巻線形成器(26)の回転方向にこの順序で互いに続き、各保持装置(28、29、33)が、ステップe)に応じた回転で、保持領域(34、36、46)から後続の保持領域(34、36、46)に前記回転方向に移送されることを特徴とする、項目4に記載の方法。
[項目9]
ステップi)における前記ワイヤパック(60)の切断が、前記巻線形成器(26)の回転位置において行われ、前記回転位置では、前記ワイヤが対で互いに接続された前記ワイヤパック(60)の端部が、前記第2の保持領域(36)の側にあることを特徴とする、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項目10]
対で接続された前記ワイヤ(32)が、前記第2の保持領域(36)に到達する前の前記送り出し中、前記方法の過程で対で接続された他のワイヤ(32)と、対で1回又は複数回交換されることを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
[項目11]
ステップa)の実施前に前記ワイヤパックが長さに合わせて切断され、前記ワイヤ(32)が前記ワイヤパック(60)の一端で対で互いに接続されていない状態での、ステップa)における前記コイル巻線(70)に使用される前記ワイヤパック(60)の送り出しが、前記巻線形成器(26)に垂直な送り出し方向(R)に行われ、ステップi)が省略されることを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
[項目12]
項目1~11のいずれか一項に記載の方法を実施するためのワイヤパック(60)において、
前記ワイヤパックが、互いに平行に延びる複数のワイヤを有し、前記複数のワイヤがそれぞれ、前記ワイヤパック(60)の一端で対で互いに接続されていることを特徴とする、ワイヤパック(60)。
[項目13]
対で互いに接続された前記ワイヤが、前記ワイヤパック(60)の一端で曲げられた連続した単一のワイヤ(32a、32b、32c、32d、32e、32f)から一体型で形成され、すべての連続した個々のワイヤ(32a、32b、32c、32d、32e、32f)の前記曲げの形状が、巻線ヘッド(42)の形状に対応することを特徴とする、項目12に記載のワイヤパック(60)。
[項目14]
半径方向に開いたスロット(82)を有する電気機械のステータ(80)又はロータにおいて、
項目1~11のいずれか一項に記載のコイル巻線(70)が、2つの巻線ヘッド(42)間に配置された前記コイル巻線(70)のワイヤ(32)の第1の半分が2つの連続するスロット(82a、82b)の第1のスロット(82a)に挿入され、2つの巻線ヘッド(42)間に配置された前記コイル巻線(70)のワイヤ(32)の第2の半分が2つの連続するスロット(82a、82b)の第2のスロット(82b)に挿入されるように、前記スロット(82)に挿入されることを特徴とする、ステータ(80)又はロータ。
[項目15]
対で互いに接続された前記ワイヤ(32)を有する前記コイル巻線(70)の端部とワイヤパック(60)が切断された前記コイル巻線(70)の端部とが、前記ステータ(80)又は前記ロータの同じ側に位置することを特徴とする、項目14に記載のステータ(80)又はロータ。