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特許7674332核酸、例えばRNA、および適宜粒子を含む試料組成物の少なくとも1つのパラメーターを決定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】核酸、例えばRNA、および適宜粒子を含む試料組成物の少なくとも1つのパラメーターを決定する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20250430BHJP
   G01N 15/02 20240101ALI20250430BHJP
   B03B 5/00 20060101ALI20250430BHJP
   B03B 5/62 20060101ALI20250430BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20250430BHJP
【FI】
C12Q1/68
G01N15/02 D
B03B5/00 Z
B03B5/62
C12N15/09 Z
【請求項の数】 69
(21)【出願番号】P 2022503433
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2020070344
(87)【国際公開番号】W WO2021009368
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/069342
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522021206
【氏名又は名称】ビオンテック・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BioNTech SE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ハース,ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】バチッチ,ティヤナ
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,イェンス
【審査官】山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/067992(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284975(US,A1)
【文献】特表2015-514076(JP,A)
【文献】Matolanovic et al.,Hsp70 silencing with siRNA in nanocarriers enhances cancer cell death induced by the inhibitor of Hsp90,European Journal of Pharmaceutical Sciences,Elsevier,2013年04月10日,Vol.50,p149-158
【文献】Zhang et al.,Identification of distinct nanoparticles and subsets of extracellular vesicles by assymmetric-flow field-flow fractionation,Nature Cell Biology,Nature Publishing Group,2018年02月19日,Vol.20, No.3,p332-343
【文献】Zhang et al.,Polydispersity characterization of lipid nanoparticles for siRNA delivery using multiple detection size-exclusion chromatography,Analytical Chemistry,American Chemical Society,2012年06月07日,Vol.84,p6088-6096
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C12Q
C12M
MEDLINE/BIOSIS/REGISTRY/CAPLUS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する方法であって、前記試料組成物は、RNAおよびRNAが結合している粒子を含み、前記方法は、
(a)前記試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、前記試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)前記UVシグナルから、かつ適宜前記LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含み、
前記1つまたは複数のパラメーターは、RNA完全性、RNAの総量、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布を含み、
ここで、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群より選択される少なくとも2つのパラメーターが決定され、
ここで、RNAの量が、(i)RNA減衰係数または(ii)RNA較正曲線を用いることによって求められ、
ここで、前記粒子に結合したRNAの量が、前記遊離RNAの量を、前記総RNAの量から減算することによって求められ、
ここで、前記遊離RNAの量が、放出剤の添加なしで、工程(a)~(c)を実行すること、およびRNAの量を求めることによって求められ、
ここで、前記総RNAの量が(i)前記試料組成物の一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た前記一部に実行する工程と;(iii)RNAの量を求める工程とによって求められる、方法。
【請求項2】
前記フィールド-フローフラクショネーションが、フローフィールド-フローフラクショネーション、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)が、RNAが透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、または2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、もしくは10kDaのMWカットオフを有する膜を用いて実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)が、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いて実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)が、最大8mL/分、最大4mL/分、または最大2mL/分のクロスフローレートを用いて実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)が、以下のクロスフローレートプロファイル:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分を用いて実行される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)が、0.05~0.35mL/分の範囲内で、0.10~0.30mL/分の範囲内で、または0.15~0.25mL/分の範囲内のインジェクトフローを用いて実行される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)が、0.30~0.70mL/分の範囲内で、0.40~0.60mL/分の範囲内で、または0.45~0.55mL/分の範囲内の検出器フローを用いて実行される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、対照RNAの完全性を用いて算出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対照RNAの完全性が、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの最大高さから前記UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、前記対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから前記試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた前記試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対照RNAの完全性を算出する工程が、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、前記対照RNAの完全性を得る工程と
によって決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た前記UVシグナルから、工程(c”)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記RNAが結合している粒子が、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(a)において、前記フィールド-フローフラクショネーションが、前記放出剤を含有する液相を用いて実行される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記放出剤が、(i)界面活性剤もしくはそれらの混合物;(ii)アルコールもしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
(i)前記界面活性剤が陰イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物である;または前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウム、n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)もしくはそれらの混合物である;および/または
(ii)前記アルコールが脂肪族アルコール、脂肪族アルコールの混合物、またはエタノールである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)がさらに、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナルを測定することを含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記LSシグナルが、動的光散乱(DLS)シグナル、静的光散乱(SLS)、または多角度光散乱(MALS)シグナルである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
RNA含有粒子のサイズが、工程(b)から得た前記LSシグナルから、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を算出することによって求められる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
実験的に求めた前記R値および/または前記R値が平滑化されるか、または実験的に求めた前記R 値および/または前記R 値が、実験的に求めた、もしくは算出した前記R値または前記R値を、多項式関数または線形関数に適合させて、多項式適合または線形適合に基づくR値またはR値を再算出することによって平滑化される、請求項18また19に記載の方法。
【請求項22】
RNA含有粒子のサイズ分布が、工程(b)から得た前記UVシグナルを、請求項20に規定するように求めた前記R値または前記R値に対してプロットすることによって求められる、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
RNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、前記R値または前記R値の関数として前記UVシグナルを示すプロットから、前記UVシグナルを累積重量分率に変換して、前記累積重量分率を前記求めた値または前記R値に対してプロットすることによって算出される、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記定量的サイズ分布が、D10値、D50値、および/またはD90値を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)が、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)が、前記DLSシグナルからR値を算出することを含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される2つのパラメーターであるか、または、前記1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される、少なくとも3つのパラメーターを含むか、もしくは3つのパラメーターである、請求項14から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
RNAの前記量、特に遊離RNAの前記量が、260nmでのUVシグナルを測定し、260nmでのRNA減衰係数を用いることによって、または280nmでのUVシグナルを測定し、280nmでのRNA減衰係数を用いることによって求められる、請求項14から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
RNA含有粒子の前記サイズ分布および/またはRNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、10~2000nmの範囲内、20~1500nm、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、もしくは100~500nmの範囲内、または10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、もしくは50~250nmの範囲内である、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記RNAが、10~15,000ヌクレオチド、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記RNAが、インビトロ転写RNA、またはインビトロ転写mRNAである、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記UVシグナル、適宜前記LSシグナルを測定する工程がオンラインで実行され、かつ/または工程(c)がオンラインで実行される、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、前記試料組成物の前記少なくとも一部が、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または前記溶媒混合液が、粒子の凝集体の形成を防止することができる、請求項14から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒混合液が、水および有機溶媒の混合液、または水およびホルムアミドの混合液である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記UVシグナルを測定する工程が、円二色性(CD)分光法を用いることによって実行される、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
RNAおよびRNAが結合している粒子を含む組成物を用意する場合に、1つまたは複数の反応条件を変更する影響を分析する方法であって、
(A)RNAおよび粒子を含む第1の組成物を用意する工程と;
(B)RNAおよび粒子を含む第2の組成物を用意する工程であって、前記第1の組成物を用意する工程と、1つまたは複数の反応条件のみが異なる、工程と;
(C)前記第1の組成物の一部を、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法に供することによって、前記第1の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(D)前記第2の組成物の対応する一部を、工程(C)において用いた前記方法に供することによって、前記第2の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(E)工程(C)において得た前記第1の組成物の前記1つまたは複数のパラメーターを、工程(D)において得た前記第2の組成物の前記対応する1つまたは複数のパラメーターと比較する工程と
を含む方法。
【請求項36】
前記1つまたは複数の反応条件が、塩濃度/イオン強度;度;pHまたはバッファ濃度;光/放射線;酸素;剪断力;圧力;凍結/解凍サイクル;乾燥/復元サイクル;賦形剤の添加;粒子形成化合物のタイプおよび/または源;電荷比;物理的状態;ならびにRNAの、粒子形成化合物に対する比率のいずれかを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
(i)前記塩濃度/イオン強度が2mM NaClまたは100mM NaClである;
(ii)前記温度が低温または高温である;
(iii)前記温度が-20℃または50℃である;
(iv)前記賦形剤がスタビライザーおよび/もしくはキレート化剤である;
(v)前記粒子形成化合物が脂質および/もしくはポリマーである;ならびに/または
(vi)前記粒子形成化合物が陽イオン脂質対双性イオン脂質、またはペグ化脂質対非ペグ化脂質である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
RNAおよびRNAが結合している粒子を含む試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するためのフィールド-フローフラクショネーションの使用であって、前記1つまたは複数のパラメーターは、RNA完全性、RNAの総量、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ(例えば、RNA含有粒子の流体力学半径)、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布を含み、
ここで、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群より選択される少なくとも2つのパラメーターが決定される、使用。
【請求項39】
前記フィールド-フローフラクショネーションが、
(a)前記試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、前記試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)前記UVシグナルから、かつ適宜前記LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含み、
ここで、RNAの量が、(i)RNA減衰係数または(ii)RNA較正曲線を用いることによって求められ、
ここで、前記粒子に結合したRNAの量が、前記遊離RNAの量を、前記総RNAの量から減算することによって求められ、
ここで、前記遊離RNAの量が、放出剤の添加なしで、工程(a)~(c)を実行すること、およびRNAの量を求めることによって求められ、
ここで、前記総RNAの量が(i)前記試料組成物の一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た前記一部に実行する工程と;(iii)RNAの量を求める工程とによって求められる、
、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
前記フィールド-フローフラクショネーションが、フローフィールド-フローフラクショネーション、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である、請求項38または39に記載の使用。
【請求項41】
前記フィールド-フローフラクショネーションが、RNAが透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、または2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、もしくは10kDaのMWカットオフを有する膜を用いる、請求項38から40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
前記フィールド-フローフラクショネーションが、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いる、請求項38から41のいずれか一項に記載の使用。
【請求項43】
工程(a)が、
(I)最大8mL/分、最大4mL/分、もしくは最大2mL/分のクロスフローレート、または以下:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分のクロスフローレートプロファイル;ならびに/または
(II)0.05~0.35mL/分の範囲内、0.10~0.30mL/分の範囲内、または0.15~0.25mL/分の範囲内のインジェクトフロー;ならびに/または
(III)0.30~0.70mL/分の範囲内、0.40~0.60mL/分の範囲内、または0.45~0.55mL/分の範囲内の検出器フロー
を用いて実行される、請求項39から42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項44】
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、対照RNAの完全性を用いて求められる、請求項38から43のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
前記対照RNAの完全性が、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの最大高さから前記UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、前記対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから前記試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた前記試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記対照RNAの完全性を算出する工程が、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、前記対照RNAの完全性を得る工程と
によって決定される、請求項44に記載の使用。
【請求項48】
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た前記UVシグナルから、工程(c”)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記RNAが結合している粒子が、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む、請求項39から48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
工程(a)において、前記フィールド-フローフラクショネーションが、前記放出剤を含有する液相を用いて実行される、請求項39から49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記放出剤が、(i)界面活性剤もしくはそれらの混合物;(ii)アルコールもしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである、請求項39から50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
(i)前記界面活性剤が陰イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物である;または前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウム、n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)もしくはそれらの混合物である;および/または
(ii)前記アルコールが脂肪族アルコール、脂肪族アルコールの混合物、またはエタノールである、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
工程(b)がさらに、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナルを測定することを含む、請求項49から52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記LSシグナルが、動的光散乱(DLS)シグナル、静的光散乱(SLS)、または多角度光散乱(MALS)シグナルである、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
RNA含有粒子のサイズが、工程(b)から得た前記LSシグナルから、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を算出することによって求められる、請求項53または54に記載の使用。
【請求項56】
実験的に求めた前記R値および/または前記R値が平滑化されるか、または実験的に求めた前記R 値および/または前記R 値が、実験的に求めた、もしくは算出した前記R値または前記R値を、多項式関数または線形関数に適合させて、多項式適合または線形適合に基づくR値またはR値を再算出することによって平滑化される、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
RNA含有粒子のサイズ分布が、工程(b)から得た前記UVシグナルを、請求項55に規定するように求めた前記R値または前記R値に対してプロットすることによって求められる、請求項53から56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
RNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、前記R値または前記R値の関数として前記UVシグナルを示すプロットから、前記UVシグナルを累積重量分率に変換して、前記累積重量分率を前記R値または前記R値に対してプロットすることによって算出される、請求項53から57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記定量的サイズ分布が、D10値、D50値、および/またはD90値を含む、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
工程(b)が、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)が、前記DLSシグナルからR値を算出することを含む、請求項55から59のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される2つのパラメーターであるか、または、前記1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される、少なくとも3つのパラメーターを含むか、もしくは3つのパラメーターである、請求項49から60のいずれか一項に記載の使用
【請求項62】
RNAの前記量、特に遊離RNAの前記量が、260nmでのUVシグナルを測定し、260nmでのRNA減衰係数を用いることによって、または280nmでのUVシグナルを測定し、280nmでのRNA減衰係数を用いることによって求められる、請求項49から61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項63】
RNA含有粒子の前記サイズ分布および/またはRNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、10~2000nmの範囲内、20~1500nm、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、もしくは100~500nmの範囲内、または10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、もしくは50~250nmの範囲内である、請求項38から62のいずれか一項に記載の使用。
【請求項64】
前記RNAが、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する、請求項38から63のいずれか一項に記載の使用。
【請求項65】
前記RNAが、インビトロ転写RNA、またはインビトロ転写mRNAである、請求項38から64のいずれか一項に記載の使用。
【請求項66】
前記UVシグナル、適宜前記LSシグナルを測定する工程がオンラインで実行され、かつ/または工程(c)がオンラインで実行される、請求項39から65のいずれか一項に記載の使用。
【請求項67】
前記試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、前記試料組成物の前記少なくとも一部が、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または前記溶媒混合液が、粒子の凝集体の形成を防止することができる、請求項39から66のいずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
前記溶媒混合液が、水および有機溶媒の混合液、または水とホルムアミドの混合液である、請求項67に記載の使用。
【請求項69】
前記UVシグナルを測定する工程が、CD分光法を用いることによって実行される、請求項39から68のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、核酸、例えばRNAを分析する分野、特に、核酸、特にRNA、および適宜粒子を含む試料組成物の少なくとも1つのパラメーターの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
標的細胞への外来性遺伝情報のデリバリーための組換え核酸(例えば、DNAまたはRNA)の使用は周知である。RNAを用いることの利点としては、一過的発現および非形質転換特性が挙げられる。RNAは、発現のために核に入る必要がなく、さらに、宿主ゲノムに組み込まれる可能性はなく、それによって、発癌などの多様な危険性が排除される。
【0003】
組換え核酸は、それを必要とする対象にネイキッド形態で投与することができるが、通常、組換え核酸は医薬組成物を使用して投与される。例えば、RNAは、RNAおよびナノ粒子形成媒体、例えば、陽イオン脂質、陽イオン脂質とヘルパー脂質の混合物、または陽イオンポリマーを含有する、いわゆるナノ粒子製剤によって送達することができる。
【0004】
そのようなナノ粒子製剤の運命は、多様な重要な因子(例えば、ナノ粒子中の核酸の完全性および濃度;遊離核酸の量;ナノ粒子のサイズ、サイズ分布、定量的サイズ分布および形態など)によって制御される。これらの因子は、例えば、分析され、特定されるべき特定の属性として、2018年からFDA「Liposome Drug Products Guidance」で言及されている。現在のナノ粒子製剤の臨床適用に対する制限は、均一で、純粋で、かつ十分に特徴付けられたナノ粒子製剤がないことにある可能性がある。これはまた、これらの因子を決定するための現行の技法の全てがいくつかの欠点を有するという事実にもよる。
【0005】
例えば、ナノ粒子中の核酸の完全性および/または濃度の決定のための現在の技法(例えば、色素、ゲル電気泳動、マイクロチャネル電気泳動またはキャピラリー電気泳動(CE)に基づく方法)は、大きな労働力を要し、費用がかかり、アーチファクトを引き起こす試料調製工程を利用し、十分な情報を提供することができず、および/または多数の試料を分析することができない。色素(例えば、蛍光色素)を用いる現在の一技法では、色素それ自体が差異を引き起こす可能性があり、これは、測定結果の信頼性に影響を及ぼす可能性がある。加えて、ゲル電気泳動に基づく技法の多くは、複数の洗浄工程、手順の長さを増す特別なランニングバッファの使用、および有毒な試薬の使用による特別な注意を必要とする。例えば、アガロースゲル技法は、複数のパラメーター[例えば、アガロースの品質、ゲルのキャスト、色素/感度(より多くの量の試料が必要とされる)、露出時間、生データの処理、およびデンシトメトリーソフトウェアによる標準化された評価(28S/18S方法)]の影響を受け、これらは、この技法を信頼できないものにする。マイクロチャネル、チップベース電気泳動またはキャピラリー電気泳動に基づく技法は、アガロースゲル電気泳動と比較して、実施時間をより速くし、データ品質を向上させるが、このシステムへのゲル、マーカーおよび試料のプライミングおよびローディングのためにハンズオン(hands-on)処理を必要とする。CE装置は、十分なRNA品質/定量分析に必要とされる感度、ダイナミックレンジ、および分離の質を欠く。
【0006】
さらに、ナノ粒子製剤を特徴付けるための重要な一課題は、製剤中に含有される粒子のサイズ分布の定量的決定にある。これは、特に、約500nm未満、すなわち、大抵の医薬製品に適した範囲の直径を有する粒子に当てはまる。さらなる未だ対処されていない必要性が、サイズ分布が広いかまたは複雑である(特に、非対称である)、ナノ粒子製剤のサイズ分布の決定にある。ナノ粒子製剤の特徴付けに利用可能な既存の技法全ては、ある特定の欠点を有し、例えば、これらはサイズについての直接的な定量的情報を提供しないか、または小さな、適宜代表的でない、試料のサブセットのみを測定し、または異なるサイズ(もしくは他のパラメーター、例えば、バルク相に関して屈折率勾配)を有する粒子に対する感度が非常に異なり、これは、得られるサイズ分布に強く影響を及ぼす。
【0007】
より低いサブミクロン範囲(約、100nm)の粒子のサイズ測定に関して、動的光散乱(DLS)、ナノ粒子追跡分析(NTA)、電子顕微鏡(EM)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)-UVなどのいくつかの技法が存在する。
【0008】
DLSは、ストークス-アインシュタインの式を用いて流体力学半径、Rが算出される、ナノ粒子の拡散定数についての情報を提供する。しかし、DLSは、ある特定のアルゴリズムを用いて粒径が数的に算出される平均データしか提供しない。定量的に信頼できる数を得るために、ナノ粒子製剤は単峰性かつ単分散でなければならず、これは、ナノ粒子医薬製剤を含めて、多くの生成物に当てはまらない。DLSにおいて最も広く用いられているアルゴリズムは、いわゆる累積分析[D.E. Koppel, J. Chem. Phys. 57 (1972) 4814-4820]であり、これは、前提として、単峰性のサイズ分布のみを想定し、多分散度がある特定の閾値未満である場合のみ、物理的に意味のある数を提供する。DLSのための他のアルゴリズム(例えば、Provencher, S.W., Comput. Phys. Commun. 1982, 27, 229-242を参照されたい)は、サイズ曲線を提供し、これは、適合パラメーターに大いに依存し、いくつかの非常に異なるプロファイルが同じデータセットに対応する可能性がある。そのような分析は、大きな粒子に対する光散乱強度がより小さな粒子に対するものよりもはるかに高いという事実によって妨げられ、これによって、はるかに大きな粒子の存在下で、より小さな粒子の画分を決定することが難しくなる。
【0009】
NTAは、試料の非常に小さな(希釈された)サブセットからの散乱光を経時的に顕微鏡的に観察することによって、その拡散定数から粒子のサイズを決定する方法である。NTAは、原理上は、定量的サイズ分布プロファイルを提供することができるが、非常に希釈された試料しか測定することができず、粒子は比較的小さなサイズ範囲で存在しなければならず、すなわち、非常に小さな粒子は、はるかに大きな粒子の背景では決定することができず、これは、そのはるかに高い散乱強度が理由である。したがって、NTAは、医薬製剤について定量的サイズ分布を決定するための正式に適用可能な方法として適切ではない。さらに、NTAの統計学的標準偏差は、他の技法(例えば、DLS)と比較して高い。これは、NTAによって分析された粒子の1~3桁低い量の直接的な結果である。特に、生物学的影響を有する限界量の粒子(例えば、凝集体)は過小評価される可能性があるか、またはNTAで検出することさえできない。NTAは、正確な測定のための適切な設定を特定するために、いくつかの時間のかかる最適化工程(例えば、ビデオキャプチャーの設定、異なる試料希釈など)を必要とする。典型的には、NTA測定のための試料は、10~1000倍の倍率で希釈されなければならず、これは、特に濃度依存的な粒子の凝集またはディスアセンブリーに関する問題を引き起こす可能性がある。これら全ての不利な点が理由で、NTAを品質管理方法として確立することは難しい。
【0010】
EMは、個々の粒子のサイズ、形状および形態についての定量的情報を提供するが、分析することができる粒子の数はNTAよりもさらに少ない。したがって、EMは、測定される粒子が試料全体の代表でない可能性があるという意味で、NTAのものと同様または同一の不利な点を有する。この技法のさらなる主な欠点は、費用が高いこと、試料調製が複雑であること、および試料を分析するための所要時間が長いことである。これは、なぜEMがGMP方法として一般に用いられないかの理由である。EMの別の問題は、試料の固定がアーティファクト(例えば、収縮、凝集など)を引き起こす可能性があることである。試料が固定されない(例えば、Cryo-EM)場合、試料はコントラストが低い場合があり、分析されない可能性がある。
【0011】
SEC-UVのような他の分離技法は、カラムマトリックスとの相互作用が問題(例えば、溶出の吸収または遅延)を引き起こす可能性があるので、適用可能でない。ナノ粒子は、SECカラムの限られたサイズ範囲が理由で、十分に分散されない可能性があり、またはナノ粒子は、凝集体から分離されない可能性がある。さらに、SEC-UVは、質量または粒子数が粒子サイズと直接的に相関があるという意味で、定量的サイズ分布を提供しない。分析用超遠心法(AUC)などの他の分散的方法は、例えば沈降係数に基づくような間接的なサイズ測定しか可能にせず、この場合、サイズプロファイルを算出するために、いくつかの仮定が行われなければならない。加えて、AUCは費用がかかり、時間がかかり、かつこれは、正式の品質管理において一般的な方法ではない。したがって、AUCもまた、正式の品質管理方法として、定量的サイズプロファイルの決定に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記を考慮すると、ナノ粒子製剤の再現性のある品質を保証するために、粒子の詳細な特徴付けのための進歩した分析方法が必要とされる。特に、核酸(特に、RNA)を含有するナノ粒子製剤を分析する改良方法が必要であり、前記方法は、好ましくは、(i)製剤の特徴についての情報を提供する(例えば、製剤中に含有される粒子の定量的サイズ分布(特に、500nm未満の直径を有する粒子に関して);(ii)粒子組成物の特徴についての情報を提供する[例えば、粒子中に含有される核酸(特に、RNA)の量、特に、粒子サイズの関数、例えば、粒子中に含有される核酸(特に、RNA)の量対粒子形成化合物の比率として(特に、脂質および/もしくはポリマー、例えば、陽イオン脂質対陽イオンポリマー)の量として、特に、粒子サイズの関数として];(iii)GMP適合性である、(iv)色素の使用に依存しない;(v)半自動式である;ならびに/または(vi)核酸(例えば、RNA)および適宜粒子を含む組成物を調製および/もしくは保存する場合に、1つもしくは複数の反応条件[例えば、塩濃度;温度;pHもしくはバッファ濃度;光/放射線;酸素;剪断力;圧力;凍結/解凍サイクル;乾燥/復元サイクル;賦形剤(例えば、スタビライザーおよび/もしくはキレート化剤)の添加;粒子形成化合物(特に、脂質および/もしくはポリマー)のタイプおよび/もしくは源;電荷比;ならびに/もしくは核酸(例えば、RNA)対粒子形成化合物(特に、脂質および/もしくはポリマー)の比率]を変更する影響を分析するために用いることができる。好ましくは、前記方法は、以下のパラメーターの1つまたは複数に関するデータを提供する:核酸(例えば、RNA)完全性;核酸(例えば、RNA)の総量;遊離核酸(例えば、RNA)の量;粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量;核酸(例えば、RNA)含有粒子のサイズ[例えば、核酸(例えば、RNA)含有粒子の回転半径(R)および/もしくは核酸(例えば、RNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく];核酸(例えば、RNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、RもしくはR値に基づく);核酸(例えば、RNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、RもしくはR値に基づく);核酸(例えば、RNA)の分子量;ならびに/または核酸(例えば、RNA)含有粒子の形状(例えば、形状および/もしくは形態因子)。適宜、追加的なパラメーターは、以下の1つまたは複数を含むことができる:表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(特に、RNA)のサイズ(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(特に、RNA)のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(特に、RNA)の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(特に、RNA)封入効率、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量対粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量の比率、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量の比率、ならびに粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に荷電した部分の量の電荷比(N/P比)。
【0013】
本発明者らは、驚いたことに、本明細書に記載の方法および使用が上述の要件を満たすことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様において、本開示は、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する方法であって、試料組成物は、核酸(例えばRNA)および適宜粒子を含み、方法は、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(refractory index)(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定し、かつ適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含み、
1つまたは複数のパラメーターは、核酸(例えばRNA)完全性、核酸(例えばRNA)の総量、遊離核酸(例えばRNA)の量、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ[特に、核酸(例えばRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、および核酸(例えばRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]を含む、方法を提供する。通常、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子の数、核酸(例えばRNA)含有粒子のモル量、または核酸(例えばRNA)含有粒子の質量として(各々、粒子のサイズの関数として)与えられ得る。必要に応じた追加的なパラメーターとして、核酸(とりわけRNA)の分子量、表面核酸の量(例えば表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えばアクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ[特に、核酸(とりわけRNA)のR値および/またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)のR値またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)のR値またはR値に基づく]、シェイプファクター、フォームファクター、および核酸(とりわけRNA)封入効率が挙げられる。通常、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、核酸(とりわけRNA)分子の数、核酸(とりわけRNA)のモル量、または核酸(とりわけRNA)の質量として(各々、粒子のサイズの関数として)与えられ得る。さらに、必要に応じた追加的なパラメーターとして、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量の、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量に対する比率であって、粒子サイズの関数として与えられ得る比率;粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電する部分の量の、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量に対する比率であって、粒子サイズの関数として与えられ得る比率;および粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電する部分の量の、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の負に帯電する部分の量に対する電荷比であって、通常N/P比として表され、かつ粒子サイズの関数として与えられ得る電荷比が挙げられる。
【0015】
第1の態様の第1のサブグループにおいて、方法は、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0016】
第1の態様の第2の、かつ好ましいサブグループにおいて、方法は、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するためにあり、試料組成物は、RNA、および適宜粒子を含み、方法は、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定し、かつ適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0017】
第1の態様の第3の、かつより好ましいサブグループにおいて、方法は、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するためにあり、試料組成物は、RNA、および適宜粒子を含み、方法は、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0018】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される。第1の態様の別の実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される。第1の態様の別の実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて、かつ別途、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される[すなわち、この実施形態は、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布についての2つのデータセットをもたらし、一方はR値に基づき、かつ一方はR値に基づく]。
【0019】
1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第1の態様の別の実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第1の態様の別の実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて、かつ別途、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される[すなわち、この実施形態は、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布についての2つのデータセットをもたらし、一方はR値に基づき、かつ一方はR値に基づく]。
【0020】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、フィールド-フローフラクショネーションは好ましくは、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である。
【0021】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(a)は、核酸(とりわけRNA)が透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、好ましくは2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、例えば10kDaのMWカットオフを有する膜を用いて実行される。
【0022】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(a)は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfon)(PES)または再生セルロース膜を用いて実行される。
【0023】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(a)は、(I)最大8mL/分、好ましくは最大4mL/分、より好ましくは最大2mL/分のクロスフローレート、例えばクロスフローレートプロファイル;および/または(II)0.05~0.35mL/分の範囲内、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲内、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲内のインジェクトフロー;および/または(III)0.30~0.70mL/分の範囲内、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲内、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲内の検出器フローを用いて実行される。
【0024】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、クロスフローレートプロファイルは、好ましくは、対照組成物または試料組成物中に含有される構成要素が、そのサイズによって分画/分離して、1つまたは複数の試料画分を生成することができるようにする分画相を含む。クロスフローレートは、この分画相の間に変化する[例えば、ある値(例えば、約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下するか、またはある値(例えば約0~約0.1mL/分)から始まってから、より高い値(例えば約1~約4mL/分)まで増大する]ことが好ましく、変化は何であってもよく、例えば、連続的な(例えば、線形であるか、または指数関数的な)変化であっても、段階的な変化であってもよい。好ましくは、クロスフローレートプロファイルは、分画相を含有し、クロスフローレートは、連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する。分画相は、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画/分離するのに適したあらゆる長さを有してよく、例えば約5分~約60分、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である。クロスフローレートプロファイルは、追加的な相(例えば、1、2、3、または4相)を含有してもよく、これは、分画相の前、および/または後であり得(例えば、分画相の前に1相、および後に1、2、または3相)、かつこれは、試料組成物(例えば、タンパク質、ポリペプチド、モノヌクレオチドその他)中に含有される非核酸(とりわけ非RNA)構成要素を、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)から分離して、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)に焦点を合わせ、かつ/またはフィールド-フローフラクショネーションデバイスを再生させるように(例えば、デバイスの膜に結合した全ての構成要素を除去するように)機能し得る。好ましくは、これらの追加的な相のクロスフローレートは、追加的な相毎に一定であり、かつ追加的な相毎の長さは、追加的な相毎に独立して、約5分~約60分の範囲内にある(約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分)。例えば、クロスフローレートプロファイルは、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、分画相が始まる同じクロスフローレート(cross low rate)である、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、分画相が終わる同じクロスフローレートである、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートとは異なる、第3の追加的な相(第3の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である)を含有してもよい。クロスフローレートプロファイルが分画相を含有し、クロスフローレートが連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する実施形態において、クロスフローレートプロファイルはさらに、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、分画相が始まる同じクロスフローレート(例えば約1~約4mL/分)である、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、分画相が終わる同じクロスフローレート(例えば約0.01~約0.1mL/分)である、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートよりも低い、第3の追加的な相(例えば、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは0である)(第3の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である)を含有することが好ましい。そのようなクロスフローレートプロファイルの好ましい例は、以下の通りである:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分。
【0025】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を用いて算出される。
【0026】
第1の態様のこの実施形態の第1の特定の例において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a’)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの最大高さからUV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0027】
この第1の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの最大高さから試料UV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UV、蛍光、またはRIシグナルから、工程(c1)において用いた試料UV、蛍光、またはRIピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0028】
第1の態様のこの実施形態の第2の特定の例において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a”)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって求められる。
【0029】
この第2の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c”)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0030】
第1の態様のこの実施形態の第3の特定の例(第1の態様の第1のサブグループに関する)において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a’)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0031】
この第3の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0032】
第1の態様のこの実施形態の第4の特定の例(第1の態様の第1のサブグループに関する)において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a”)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって求められる。
【0033】
この第4の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0034】
第1の態様のこの実施形態の第5の特定の例(第1の態様の第2のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの最大高さからUV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0035】
この第5の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの最大高さから試料UV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UV、蛍光、またはRIシグナルから、工程(c1)において用いた試料UV、蛍光、またはRIピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0036】
第1の態様のこの実施形態の第6の特定の例(第1の態様の第2のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって求められる。
【0037】
この第6の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c”)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0038】
第1の態様のこの実施形態の第7の特定の例(第1の態様の第3のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0039】
この第7の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0040】
第1の態様のこの実施形態の第8の特定の例(第1の態様の第3のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって求められる。
【0041】
この第8の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0042】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第2または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)の量は、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって求められる。
【0043】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物は、核酸(とりわけRNA)、ならびに核酸(とりわけRNA)が結合している粒子、例えば、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む。
【0044】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、総核酸の量(とりわけ総RNAの量)は、(i)試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求める工程とによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]求められる。この実施形態において、第1の態様の方法の工程(a)において、フィールド-フローフラクショネーションは、好ましくは、放出剤を含有する液相を用いて実行される。
【0045】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、放出剤は、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン界面活性剤[例えばn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)]、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば脂肪族アルコール(例えばエタノール)、もしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである。
【0046】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、遊離核酸(とりわけRNA)の量は、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行することによって;および本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求めることによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]求められる。
【0047】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量は、本明細書中で求められる[例えば、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行することによって;および本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求めることによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]]遊離核酸(とりわけRNA)の量を、本明細書中で求められる[例えば、(i)試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求める工程とによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]]総核酸(とりわけRNA)の量から減算することによって求められる。
【0048】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)はさらに、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナル、例えば、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)、例えば多角度光散乱(MALS)シグナルを測定することを含む。
【0049】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズは、工程(b)から得たLSシグナルから、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を算出することによって求められる。第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)は、DLSシグナルからR値を算出することを含む。第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの静的光散乱(SLS)、例えばMALSシグナルを測定することを含み、工程(c)は、SLSシグナルからR値を算出することを含む。第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルおよび静的光散乱(SLS)、例えばMALSシグナルを測定することを含み、工程(c)は、R値およびR値を算出することを含む。この後者の実施形態は、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズについての2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。
【0050】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第1の例(第1の態様の第1のサブグループに関する)において、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得たUVシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第2の例(第1の態様の第2のサブグループに関する)において、RNA含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第3の例(第1の態様の第3のサブグループに関する)において、RNA含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得たUVシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。先の第1、第2、および第3の例の各々において、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値、R値、または双方に基づいて求められ得る。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくサイズ分布およびR値に基づくサイズ分布をもたらす。
【0051】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUV、蛍光、またはRIシグナルを示すプロットから、UV、蛍光、またはRIシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第1の例(第1の態様の第1のサブグループに関する)において、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第2の例(第1の態様の第2のサブグループに関する)において、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUV、蛍光、またはRIシグナルを示すプロットから、UV、蛍光、またはRIシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第3の例(第1の態様の第3のサブグループに関する)において、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。先の第1、第2、および第3の例の各々において、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値、R値、または双方に基づいて求められ得る。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づく定量的サイズ分布およびR値に基づく定量的サイズ分布をもたらす。
【0052】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、定量的サイズ分布は、D10値、D50値、および/またはD90値(例えば、R値またはR値に基づく)を含む。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくD10値、D50値、および/またはD90値の1セット、ならびにR値に基づくD10値、D50値、および/またはD90値の1セットをもたらす。
【0053】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、本明細書中に規定される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーター(必要に応じた追加的なパラメーターを含む)、特に、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布[特に、核酸(とりわけRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、および核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。しかしながら、本発明に従えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布についてのこれらの2つのデータセットは、1つのパラメーターとして(2つのパラメーターとしてではない)しか考えない。また、フィールド-フローフラクショネーションによって得たフラクトグラムが複数の粒子ピークを示す場合、粒子ピーク毎に求められるサイズ分布は、1つのパラメーターとして(粒子ピーク毎の1つのパラメーターとしてではない)しか考えない。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布がR値およびR値に基づいて求められる状況も同様である。
【0054】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第1の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、および適宜、本明細書中で規定される残りのパラメーター(必要に応じた追加的なパラメーターを含む)の、少なくとも1つのパラメーター、例えば少なくとも2つのパラメーターを含む;好ましくは、残りのパラメーターは、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される。第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第1の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、ならびに、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される少なくとも1つのパラメーター、例えば少なくとも2つのパラメーターを含む。第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第1の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、遊離核酸(とりわけRNA)の量、および粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量を含む。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。しかしながら、本発明に従えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布についてのこれらの2つのデータセットは、1つのパラメーターとして(2つのパラメーターとしてではない)しか考えない。また、フィールド-フローフラクショネーションによって得たフラクトグラムが複数の粒子ピークを示す場合において、粒子ピーク毎に求められる定量的サイズ分布は、1つのパラメーターとして(粒子ピーク毎の1つのパラメーターとしてではない)しか考えない。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布がR値およびR値に基づいて求められる状況も同様である。
【0055】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)、特に遊離核酸(とりわけRNA)の量は、UVシグナルを、例えば260nm~280nmの範囲内の波長にて、例えば260nmまたは280nmの波長にて測定し、かつ対応する波長(例えば、260nmまたは280nm)での核酸(とりわけRNA)減衰係数を用いることによって求められる。
【0056】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第1の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)は、10~2000nmの範囲内、好ましくは20~1500nm、例えば、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、もしくは100~500nmの範囲内、または例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、もしくは50~250nmの範囲内である。第1の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において、RNA含有粒子の(定量的)サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)は、10~1000nmの範囲内、例えば、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内にある。
【0057】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)は、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する。
【0058】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1のサブグループの一実施形態において)、核酸はRNAである。この実施形態において、かつ第1の態様の第2または第3のサブグループの実施形態において、RNAは好ましくは、mRNAまたはインビトロ転写RNA、特にインビトロ転写mRNAである。
【0059】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナル、適宜、LSシグナル、例えばSLS、例えばMALSシグナル、および/またはDLSシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定することは、オンラインで実行され、かつ/または工程(c)は、オンラインで実行される。
【0060】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、工程(a)~(c)の1サイクルにより決定される。
【0061】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、試料組成物の少なくとも一部は、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または前記溶媒混合液は、粒子の凝集体の形成を防止することができる。一実施形態において、溶媒混合液は、水および有機溶媒、例えばホルムアミドの混合液である。
【0062】
第1の態様の一実施形態において(特に、第1の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、UVシグナルを測定することは、円二色性(CD)分光法を用いることによって実行される。
【0063】
第2の態様において、本開示は、核酸(例えばRNA)および適宜粒子を含む組成物を用意する場合に、1つまたは複数の反応条件を変更する影響を分析する方法であって、
(A)核酸(例えばRNA)および適宜粒子を含む第1の組成物を用意する工程と;
(B)核酸(例えばRNA)および適宜粒子を含む第2の組成物を用意する工程であって、第1の組成物を用意する工程と、1つまたは複数の反応条件のみが異なる、工程と;
(C)第1の組成物の一部を、第1の態様の方法に供することによって、第1の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(D)第2の組成物の対応する一部を、工程(C)において用いた方法に供することによって、第2の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(E)工程(C)において得た第1の組成物の1つまたは複数のパラメーターを、工程(D)において得た第2の組成物の対応する1つまたは複数のパラメーターと比較する工程と
を含む方法を提供する。
【0064】
第2の態様の一実施形態において、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(例えばRNA)完全性、核酸(例えばRNA)の総量、遊離核酸(例えばRNA)の量、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ[特に、核酸(例えばRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(例えばRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、および核酸(例えばRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]を含む。通常、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子の数、核酸(例えばRNA)含有粒子のモル量、または核酸(例えばRNA)含有粒子の質量として(各々、粒子のサイズの関数として)与えられ得る。必要に応じた追加的なパラメーターとして、核酸(とりわけRNA)の分子量、表面核酸の量(例えば表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えばアクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ[特に、核酸(例えばRNA)のR値および/またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)のR値またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)のR値またはR値に基づく]、シェイプファクター、フォームファクター、および核酸(とりわけRNA)封入効率が挙げられる。通常、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、核酸(とりわけRNA)分子の数、核酸(とりわけRNA)のモル量、または核酸(とりわけRNA)の質量として(各々、粒子のサイズの関数として)与えられ得る。さらに、必要に応じた追加的なパラメーターとして、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量の、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量に対する比率であって、粒子サイズの関数として与えられ得る比率;粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電する部分の量の、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量に対する比率であって、粒子サイズの関数として与えられ得る比率;および粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電する部分の量の、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の負に帯電する部分の量に対する電荷比であって、通常N/P比として表され、かつ粒子サイズの関数として与えられ得る電荷比が挙げられる。
【0065】
第2の態様の一実施形態において、1つまたは複数のパラメーターは、本明細書中に規定される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーター(必要に応じた追加的なパラメーターを含む)、特に、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、および核酸(とりわけRNA)の分子量からなる群から選択される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)。第2の態様の一実施形態において、1つまたは複数のパラメーターは、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、および核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)のR値またはR値に基づく]からなる群から選択される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)。
【0066】
第2の態様の一実施形態において、工程(C)および(D)において用いられる第1の態様の方法は、
(a)組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の組成物画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の組成物画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定し、かつ適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む方法である。
【0067】
第2の態様の第1のサブグループにおいて、工程(C)および(D)において用いられる第1の態様の方法は、
(a)組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む方法である。
【0068】
第2の態様の第2の、かつ好ましいサブグループにおいて、工程(C)および(D)において用いられる第1の態様の方法は、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]の1つまたは複数のパラメーターを決定するための方法であり、試料組成物は、RNA、および適宜粒子を含み、方法は、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定し、かつ適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0069】
第2の態様の第3の、かつより好ましいサブグループにおいて、工程(C)および(D)において用いられる第1の態様の方法は、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]の1つまたは複数のパラメーターを決定するための方法であり、試料組成物は、RNA、および適宜粒子を含み、方法は、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0070】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される。第2の態様の別の実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される。第2の態様の別の実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて、かつ別途、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される[すなわち、この実施形態は、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布についての2つのデータセットをもたらし、一方はR値に基づき、かつ一方はR値に基づく]。
【0071】
1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第2の態様の別の実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第2の態様の別の実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて、かつ別途、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される[すなわち、この実施形態は、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布についての2つのデータセットをもたらし、一方はR値に基づき、かつ一方はR値に基づく]。
【0072】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)完全性、核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ[特に、核酸(とりわけRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、および核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、ならびに適宜核酸(とりわけRNA)の分子量を含む。
【0073】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、および核酸(とりわけRNA)の分子量からなる群から選択される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)。第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、1つまたは複数のパラメーターは、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、および核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]からなる群から選択される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。しかしながら、本発明に従えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布についてのこれらの2つのデータセットは、1つのパラメーターとして(2つのパラメーターとしてではない)しか考えない。また、フィールド-フローフラクショネーションによって得たフラクトグラムが複数の粒子ピークを示す場合、粒子ピーク毎に求められるサイズ分布は、1つのパラメーターとして(粒子ピーク毎の1つのパラメーターとしてではない)しか考えない。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布がR値およびR値に基づいて求められる状況も同様である。
【0074】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第2の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、および適宜、本明細書中で規定される残りのパラメーター(必要に応じた追加的なパラメーターを含む)の、少なくとも1つのパラメーター、例えば少なくとも2つのパラメーターを含む;好ましくは、残りのパラメーターは、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される。第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第2の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、ならびに、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される少なくとも1つのパラメーター、例えば少なくとも2つのパラメーターを含む。第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第2の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、遊離核酸(とりわけRNA)の量、および粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量を含む。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。しかしながら、本発明に従えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布についてのこれらの2つのデータセットは、1つのパラメーターとして(2つのパラメーターとしてではない)しか考えない。また、フィールド-フローフラクショネーションによって得たフラクトグラムが複数の粒子ピークを示す場合において、粒子ピーク毎に求められる定量的サイズ分布は、1つのパラメーターとして(粒子ピーク毎の1つのパラメーターとしてではない)しか考えない。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布がR値およびR値に基づいて求められる状況も同様である。
【0075】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、工程(a)~(c)の1サイクルにより決定される。
【0076】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数の反応条件は、塩濃度/イオン強度;温度;pHまたはバッファ濃度;光/放射線;酸素;剪断力;圧力;凍結/解凍サイクル;乾燥/復元サイクル;賦形剤(例えば、スタビライザーおよび/またはキレート化剤)の添加;粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)のタイプおよび/または源;電荷比;物理的状態;ならびに核酸(とりわけRNA)の、粒子形成化合物(特に、粒子を構成する脂質および/またはポリマー)に対する比率のいずれかを含む。例示的な塩濃度として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100mMの塩、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100mM NaClが挙げられる。例示的な温度条件として、低温(例えば-20℃)、周囲温度もしくは室温、中温(例えば30℃)、または高温(例えば50℃)が挙げられる。粒子形成化合物のタイプおよび/または源に関する例示的な条件として、陽イオン脂質対陽イオンポリマー、陽イオン脂質対双性イオン脂質、またはペグ化脂質対非ペグ化脂質がある。核酸(とりわけRNA)粒子における陽電荷の、陰電荷に対する例示的な電荷比は、約6:1~約1:2、例えば、約5:1~約1.2:2、約4:1~約1.4:2、約3:1~約1.6:2、約2:1~約1.8:2、または約1.6:1~約1:1である。核酸(とりわけRNA)の、粒子形成化合物(特に、粒子を構成する脂質および/またはポリマー)に対する例示的な比率として、約1:100~約10:1(w/w)の範囲内の、核酸(とりわけRNA)の、総脂質に対する比率が挙げられる。
【0077】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、フィールド-フローフラクショネーションは、好ましくは、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である。
【0078】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(a)は、核酸(とりわけRNA)が透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、好ましくは2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、例えば10kDaのMWカットオフを有する膜を用いて実行される。
【0079】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(a)は、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いて実行される。
【0080】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(a)は、(I)最大8mL/分、好ましくは最大4mL/分、より好ましくは最大2mL/分のクロスフローレート、例えばクロスフローレートプロファイル;および/または(II)0.05~0.35mL/分の範囲内、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲内、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲内のインジェクトフロー;および/または(III)0.30~0.70mL/分の範囲内、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲内、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲内の検出器フローを用いて実行される。
【0081】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、クロスフローレートプロファイルは、好ましくは、組成物(例えば、対照組成物または試料組成物、特に工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物)中に含有される構成要素が、そのサイズによって分画/分離して、1つまたは複数の組成物画分を生成することができるようにする分画相を含有する。クロスフローレートは、この分画相の間に変化する[例えば、ある値(例えば、約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下するか、またはある値(例えば約0~約0.1mL/分)から始まってから、より高い値(例えば約1~約4mL/分)まで増大する]ことが好ましく、変化は何であってもよく、例えば、連続的な(例えば、線形であるか、または指数関数的な)変化であっても、段階的な変化であってもよい。好ましくは、クロスフローレートプロファイルは、分画相を含有し、クロスフローレートは、連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する。分画相は、組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画/分離するのに適したあらゆる長さを有してよく、例えば約5分~約60分、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である。クロスフローレートプロファイルは、追加的な相(例えば、1、2、3、または4相)を含有してもよく、これは、分画相の前、および/または後であり得(例えば、分画相の前に1相、および後に1、2、または3相)、かつこれは、組成物(例えば、タンパク質、ポリペプチド、モノヌクレオチドその他)中に含有される非核酸(とりわけ非RNA)構成要素を、組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)から分離して、組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)に焦点を合わせ、かつ/またはフィールド-フローフラクショネーション装置を再生させるように(例えば、装置の膜に結合した全ての構成要素を除去するように)機能し得る。好ましくは、これらの追加的な相のクロスフローレートは、追加的な相毎に一定であり、かつ追加的な相毎の長さは、追加的な相毎に独立して、約5分~約60分の範囲内にある(約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分)。例えば、クロスフローレートプロファイルは、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が始まるクロスフローレートである、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が終わるクロスフローレートである、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートとは異なる、第3の追加的な相(第3の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である)を含有してもよい。クロスフローレートプロファイルが分画相を含有し、クロスフローレートが連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する実施形態において、クロスフローレートプロファイルはさらに、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が始まるクロスフローレート(例えば約1~約4mL/分)である、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が終わるクロスフローレート(例えば約0.01~約0.1mL/分)である、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートよりも低い、第3の追加的な相(例えば、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは0である)(第3の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である)を含有することが好ましい。そのようなクロスフローレートプロファイルの好ましい例は、以下の通りである:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分。
【0082】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を用いて算出される。
【0083】
第2の態様のこの実施形態の第1の特定の例において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a’)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの最大高さからUV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0084】
この第1の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの最大高さから試料UV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UV、蛍光、またはRIシグナルから、工程(c1)において用いた試料UV、蛍光、またはRIピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0085】
第2の態様のこの実施形態の第2の特定の例において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a”)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって求められる。
【0086】
この第2の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c”)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0087】
第2の態様のこの実施形態の第3の特定の例(第2の態様の第1のサブグループに関する)において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a’)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0088】
この第3の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0089】
第2の態様のこの実施形態の第4の特定の例(第2の態様の第1のサブグループに関する)において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a”)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって求められる。
【0090】
この第4の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0091】
第2の態様のこの実施形態の第5の特定の例(第2の態様の第2のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの最大高さからUV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0092】
この第5の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの最大高さから試料UV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UV、蛍光、またはRIシグナルから、工程(c1)において用いた試料UV、蛍光、またはRIピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0093】
第2の態様のこの実施形態の第6の特定の例(第2の態様の第2のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって求められる。
【0094】
この第6の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c”)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0095】
第2の態様のこの実施形態の第7の特定の例(第2の態様の第3のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0096】
この第7の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0097】
第2の態様のこの実施形態の第8の特定の例(第2の態様の第3のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって求められる。
【0098】
この第8の例において、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0099】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)の量は、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって求められる。
【0100】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]は、核酸(とりわけRNA)、ならびに核酸(とりわけRNA)が結合している粒子、例えば、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む。
【0101】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、総核酸の量(とりわけ総RNAの量)は、(i)試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求める工程とによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いて]求められる。この実施形態において、第2の態様の方法の工程(a)において、フィールド-フローフラクショネーションは、好ましくは、放出剤を含有する液相を用いて実行される。
【0102】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、放出剤は、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン界面活性剤[例えばn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)]、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば脂肪族アルコール(例えばエタノール)、もしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである。
【0103】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、遊離核酸(とりわけRNA)の量は、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行すること;および本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求めることによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いて]求められる。
【0104】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量は、本明細書中で求められる[例えば、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行すること;および本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求めることによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いて]]遊離核酸(とりわけRNA)の量を、本明細書中で求められる[例えば、(i)試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求める工程とによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いて]]総核酸(とりわけRNA)の量から減算することによって求められる。
【0105】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第2または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)はさらに、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナル、例えば、動的光散乱(DLS)および/または静的光散乱(SLS)、例えば多角度光散乱(MALS)シグナルを測定することを含む。
【0106】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第2または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズは、工程(b)から得たLSシグナルから、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を算出することによって求められる。第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)は、DLSシグナルからR値を算出することを含む。第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの静的光散乱(SLS)、例えばMALSシグナルを測定することを含み、工程(c)は、SLSシグナルからR値を算出することを含む。第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルおよび静的光散乱(SLS)、例えばMALSシグナルを測定することを含み、工程(c)は、R値およびR値を算出することを含む。この後者の実施形態は、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズについての2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。
【0107】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第1の例(第2の態様の第1のサブグループに関する)において、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得たUVシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第2の例(第2の態様の第2のサブグループに関する)において、RNA含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第3の例(第2の態様の第3のサブグループに関する)において、RNA含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得たUVシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。先の第1、第2、および第3の例の各々において、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値、R値、または双方に基づいて求められ得る。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくサイズ分布およびR値に基づくサイズ分布をもたらす。
【0108】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUV、蛍光、またはRIシグナルを示すプロットから、UV、蛍光、またはRIシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第1の例(第2の態様の第1のサブグループに関する)において、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第2の例(第2の態様の第2のサブグループに関する)において、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUV、蛍光、またはRIシグナルを示すプロットから、UV、蛍光、またはRIシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第3の例(第2の態様の第3のサブグループに関する)において、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。先の第1、第2、および第3の例の各々において、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値、R値、または双方に基づいて求められ得る。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づく定量的サイズ分布およびR値に基づく定量的サイズ分布をもたらす。
【0109】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、定量的サイズ分布は、D10値、D50値、および/またはD90値を含む。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくD10値、D50値、および/またはD90値の1セット、ならびにR値に基づくD10値、D50値、および/またはD90値の1セットをもたらす。
【0110】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)、特に遊離核酸(とりわけRNA)の量は、UVシグナルを、例えば260nm~280nmの範囲内の波長にて、例えば260nmまたは280nmの波長にて測定し、かつ対応する波長(例えば、260nmまたは280nm)での核酸(とりわけRNA)減衰係数を用いることによって求められる。
【0111】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第2の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)は、10~2000nmの範囲内、好ましくは20~1500nm、例えば、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、もしくは100~500nmの範囲内、または例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、もしくは50~250nmの範囲内である。第2の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において、RNA含有粒子の(定量的)サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)は、10~1000nmの範囲内、例えば、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内にある。
【0112】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)は、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する。
【0113】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1のサブグループの一実施形態において)、核酸はRNAである。この実施形態において、かつ第2の態様の第2または第3のサブグループの実施形態において、RNAは好ましくは、mRNAまたはインビトロ転写RNA、特にインビトロ転写mRNAである。
【0114】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナル、適宜、LSシグナル、例えばSLS、例えばMALSシグナル、および/またはDLSシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定することは、オンラインで実行され、かつ/または工程(c)は、オンラインで実行される。
【0115】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物[例えば、工程(C)について第1の組成物または工程(D)について第2の組成物]の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、試料組成物の少なくとも一部は、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または前記溶媒混合液は、粒子の凝集体の形成を防止することができる。一実施形態において、溶媒混合液は、水および有機溶媒、例えばホルムアミドの混合液である。
【0116】
第2の態様の一実施形態において(特に、第2の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、UVシグナルを測定することは、円二色性(CD)分光法を用いることによって実行される。
【0117】
第1の態様の文脈において本明細書中に記載されるあらゆる実施形態は、第2の態様のあらゆる実施形態に用いられてもよいことが理解される。
【0118】
第3の態様において、本開示は、核酸(例えばRNA)および適宜粒子を含む試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するための、フィールド-フローフラクショネーションの使用を提供し、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(例えばRNA)完全性、核酸(例えばRNA)の総量、遊離核酸(例えばRNA)の量、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ[特に、核酸(例えばRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(例えばRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]、および核酸(例えばRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値またはR値に基づく]を含む。通常、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子の数、核酸(例えばRNA)含有粒子のモル量、または核酸(例えばRNA)含有粒子の質量として(各々、粒子のサイズの関数として)与えられ得る。必要に応じた追加的なパラメーターとして、核酸(例えばRNA)の分子量、表面核酸の量(例えば表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えばアクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ[特に、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値および/またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)のR値またはR値に基づく]、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布[例えば、核酸(例えばRNA)のR値またはR値に基づく]、シェイプファクター、フォームファクター、および核酸(とりわけRNA)封入効率が挙げられる。通常、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、核酸(とりわけRNA)分子の数、核酸(とりわけRNA)のモル量、または核酸(とりわけRNA)の質量として(各々、粒子のサイズの関数として)与えられ得る。さらに、必要に応じた追加的なパラメーターとして、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量の、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量に対する比率であって、粒子サイズの関数として与えられ得る比率;粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電する部分の量の、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の量に対する比率であって、粒子サイズの関数として与えられ得る比率;および粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電する部分の量の、粒子に結合した核酸(例えばRNA)の負に帯電する部分の量に対する電荷比であって、通常N/P比として表され、かつ粒子サイズの関数として与えられ得る電荷比が挙げられる。
【0119】
第3の態様の一実施形態において、フィールド-フローフラクショネーションは、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0120】
第3の態様の第1のサブグループにおいて、フィールド-フローフラクショネーションは、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0121】
第3の態様の第2の、かつ好ましいサブグループにおいて、使用は、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するためにあり、試料組成物は、RNA、および適宜粒子を含み、フィールド-フローフラクショネーションは、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定し、かつ適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0122】
第3の態様の第3の、かつより好ましいサブグループにおいて、使用は、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するためにあり、試料組成物は、RNA、および適宜粒子を含み、フィールド-フローフラクショネーションは、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む。
【0123】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される。第3の態様の別の実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される。第3の態様の別の実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて、かつ別途、核酸(例えばRNA)含有粒子のR値に基づいて算出される[すなわち、この実施形態は、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布についての2つのデータセットをもたらし、一方はR値に基づき、かつ一方はR値に基づく]。
【0124】
1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第3の態様の別の実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。1つまたは複数のパラメーターが、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含む第3の態様の別の実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの別の実施形態において)、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて、かつ別途、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される[すなわち、この実施形態は、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布についての2つのデータセットをもたらし、一方はR値に基づき、かつ一方はR値に基づく]。
【0125】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、フィールド-フローフラクショネーションは、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である。
【0126】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、フィールド-フローフラクショネーションは、核酸(とりわけRNA)が透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、好ましくは2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、例えば10kDaのMWカットオフを有する膜を用いる。
【0127】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、フィールド-フローフラクショネーションは、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いる。
【0128】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(a)は、(I)最大8mL/分、好ましくは最大4mL/分、より好ましくは最大2mL/分のクロスフローレート、例えばクロスフローレートプロファイル;および/または(II)0.05~0.35mL/分の範囲内、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲内、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲内のインジェクトフロー;および/または(III)0.30~0.70mL/分の範囲内、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲内、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲内の検出器フローを用いて実行される。
【0129】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、クロスフローレートプロファイルは、好ましくは、対照組成物または試料組成物中に含有される構成要素が、そのサイズによって分画/分離して、1つまたは複数の試料画分を生成することができるようにする分画相を含む。クロスフローレートは、この分画相の間に変化する[例えば、ある値(例えば、約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下するか、またはある値(例えば約0~約0.1mL/分)から始まってから、より高い値(例えば約1~約4mL/分)まで増大する]ことが好ましく、変化は何であってもよく、例えば、連続的な(例えば、線形であるか、または指数関数的な)変化であっても、段階的な変化であってもよい。好ましくは、クロスフローレートプロファイルは、分画相を含有し、クロスフローレートは、連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する。分画相は、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画/分離するのに適したあらゆる長さを有してよく、例えば約5分~約60分、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である。クロスフローレートプロファイルは、追加的な相(例えば、1、2、3、または4相)を含有してもよく、これは、分画相の前、および/または後であり得(例えば、分画相の前に1相、および後に1、2、または3相)、かつこれは、試料組成物(例えば、タンパク質、ポリペプチド、モノヌクレオチドその他)中に含有される非核酸(とりわけ非RNA)構成要素を、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)から分離して、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)に焦点を合わせ、かつ/またはフィールド-フローフラクショネーション装置を再生させるように(例えば、装置の膜に結合した全ての構成要素を除去するように)機能し得る。好ましくは、これらの追加的な相のクロスフローレートは、追加的な相毎に一定であり、かつ追加的な相毎の長さは、追加的な相毎に独立して、約5分~約60分の範囲内にある(約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分)。例えば、クロスフローレートプロファイルは、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が始まるクロスフローレートである、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が終わるクロスフローレートである、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートとは異なる、第3の追加的な相(第3の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である)を含有してもよい。クロスフローレートプロファイルが分画相を含有し、クロスフローレートが連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する実施形態において、クロスフローレートプロファイルはさらに、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が始まるクロスフローレート(例えば約1~約4mL/分)である、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が終わるクロスフローレート(例えば約0.01~約0.1mL/分)である、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートよりも低い、第3の追加的な相(例えば、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは0である)(第3の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である)を含有することが好ましい。そのようなクロスフローレートプロファイルの好ましい例は、以下の通りである:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分。
【0130】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を用いて求められる。
【0131】
第3の態様のこの実施形態の第1の特定の例において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a’)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの最大高さからUV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0132】
この第1の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの最大高さから試料UV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UV、蛍光、またはRIシグナルから、工程(c1)において用いた試料UV、蛍光、またはRIピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0133】
第3の態様のこの実施形態の第2の特定の例において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a”)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって求められる。
【0134】
この第2の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c”)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0135】
第3の態様のこの実施形態の第3の特定の例(第3の態様の第1のサブグループに関する)において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a’)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0136】
この第3の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0137】
第3の態様のこの実施形態の第4の特定の例(第3の態様の第1のサブグループに関する)において、対照核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(a”)対照核酸(とりわけRNA)を含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって求められる。
【0138】
この第4の例において、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0139】
第3の態様のこの実施形態の第5の特定の例(第3の態様の第2のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの最大高さからUV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0140】
この第5の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの最大高さから試料UV、蛍光、またはRIピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UV、蛍光、またはRIシグナルから、工程(c1)において用いた試料UV、蛍光、またはRIピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0141】
第3の態様のこの実施形態の第6の特定の例(第3の態様の第2のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、1つのUV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって求められる。
【0142】
この第6の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルから、工程(c”)において用いた対照UV、蛍光、またはRIピークに対応する試料UV、蛍光、またはRIピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0143】
第3の態様のこの実施形態の第7の特定の例(第3の態様の第3のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる。
【0144】
この第7の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1)工程(b)から得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0145】
第3の態様のこの実施形態の第8の特定の例(第3の態様の第3のサブグループに関する)において、対照RNAの完全性は、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって求められる。
【0146】
この第8の例において、試料組成物中に含有されるRNAの完全性は、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出され得る。
【0147】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)の量は、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって求められる。
【0148】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物は、核酸(とりわけRNA)、ならびに核酸(とりわけRNA)が結合している粒子、例えば、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む。
【0149】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、総核酸の量(とりわけRNA)は、(i)試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求める工程とによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]求められる。この実施形態において、第1の態様の方法の工程(a)において、フィールド-フローフラクショネーションは、好ましくは、放出剤を含有する液相を用いて実行される。
【0150】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、放出剤は、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン界面活性剤[例えばn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)]、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば脂肪族アルコール(例えばエタノール)、もしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである。
【0151】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、遊離核酸(とりわけRNA)の量は、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行することによって;および本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求めることによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]求められる。
【0152】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量は、本明細書中で求められる[例えば、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行することによって;および本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求めることによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]]遊離核酸(とりわけRNA)の量を、本明細書中で求められる[例えば、(i)試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)本明細書中に規定される核酸(とりわけRNA)の量を求める工程とによって[例えば、(i)核酸減衰係数(とりわけRNA減衰係数)または(ii)核酸較正曲線(とりわけRNA較正曲線)を用いることによって]]総核酸(とりわけRNA)の量から減算することによって求められる。
【0153】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)はさらに、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナル、例えば、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)、例えば多角度光散乱(MALS)シグナルを測定することを含む。
【0154】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズは、工程(b)から得たLSシグナルから、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を算出することによって求められる。第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)は、DLSシグナルからR値を算出することを含む。第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの静的光散乱(SLS)、例えばMALSシグナルを測定することを含み、工程(c)は、SLSシグナルからR値を算出することを含む。第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、工程(b)は、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルおよび静的光散乱(SLS)、例えばMALSシグナルを測定することを含み、工程(c)は、R値およびR値を算出することを含む。この後者の実施形態は、核酸(例えばRNA)含有粒子のサイズについての2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。
【0155】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第1の例(第3の態様の第1のサブグループに関する)において、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得たUVシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第2の例(第3の態様の第2のサブグループに関する)において、RNA含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得た、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。この実施形態の第3の例(第3の態様の第3のサブグループに関する)において、RNA含有粒子のサイズ分布は、工程(b)から得たUVシグナルを、本明細書中に規定されるように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって[例えば、工程(b)から得たSLSシグナルからR値を算出することによって、または工程(b)から得たDLSシグナルからR値を算出することによって]求められる。先の第1、第2、および第3の例の各々において、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値、R値、または双方に基づいて求められ得る。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくサイズ分布およびR値に基づくサイズ分布をもたらす。
【0156】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUV、蛍光、またはRIシグナルを示すプロットから、UV、蛍光、またはRIシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第1の例(第3の態様の第1のサブグループに関する)において、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第2の例(第3の態様の第2のサブグループに関する)において、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUV、蛍光、またはRIシグナルを示すプロットから、UV、蛍光、またはRIシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。この実施形態の第3の例(第3の態様の第3のサブグループに関する)において、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される。先の第1、第2、および第3の例の各々において、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値、R値、または双方に基づいて求められ得る。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づく定量的サイズ分布およびR値に基づく定量的サイズ分布をもたらす。
【0157】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、定量的サイズ分布は、D10値、D50値、および/またはD90値を含む。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくD10値、D50値、および/またはD90値の1セット、ならびにR値に基づくD10値、D50値、および/またはD90値の1セットをもたらす。
【0158】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、本明細書中に規定される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーター(必要に応じた追加的なパラメーターを含む)、特に:遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布[特に、核酸(とりわけRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、および核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。しかしながら、本発明に従えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布についてのこれらの2つのデータセットは、1つのパラメーターとして(2つのパラメーターとしてではない)しか考えない。また、フィールド-フローフラクショネーションによって得たフラクトグラムが複数の粒子ピークを示す場合、粒子ピーク毎に求められるサイズ分布は、1つのパラメーターとして(粒子ピーク毎の1つのパラメーターとしてではない)しか考えない。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布がR値およびR値に基づいて求められる状況も同様である。
【0159】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第3の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、および適宜、本明細書中で規定される残りのパラメーター(必要に応じた追加的なパラメーターを含む)の、少なくとも1つのパラメーター、例えば少なくとも2つのパラメーターを含む;好ましくは、残りのパラメーターは:遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される。第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第3の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、ならびに:遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)からなる群から選択される少なくとも1つのパラメーター、例えば少なくとも2つのパラメーターを含む。第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第3の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)、遊離核酸(とりわけRNA)の量、および粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量を含む。核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布は、R値およびR値に基づいて求められるならば、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくもの、およびR値に基づくものをもたらす。しかしながら、本発明に従えば、核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布についてのこれらの2つのデータセットは、1つのパラメーターとして(2つのパラメーターとしてではない)しか考えない。また、フィールド-フローフラクショネーションによって得たフラクトグラムが複数の粒子ピークを示す場合において、粒子ピーク毎に求められる定量的サイズ分布は、1つのパラメーターとして(粒子ピーク毎の1つのパラメーターとしてではない)しか考えない。核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布がR値およびR値に基づいて求められる状況も同様である。
【0160】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、1つまたは複数のパラメーターは、工程(a)~(c)の1サイクルにより決定される。
【0161】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)、特に遊離核酸(とりわけRNA)の量は、UVシグナルを、例えば260nm~280nmの範囲内の波長にて、例えば260nmまたは280nmの波長にて測定し、かつ対応する波長(例えば、260nmまたは280nm)での核酸(とりわけRNA)減衰係数を用いることによって求められる。
【0162】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において、特に、第3の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において)、核酸(とりわけRNA)含有粒子のサイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)および/または核酸(とりわけRNA)含有粒子の定量的サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)は、10~2000nmの範囲内、好ましくは20~1500nm、例えば、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、もしくは100~500nmの範囲内、または例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、もしくは50~250nmの範囲内である。第3の態様の第3のサブグループの好ましい実施形態において、RNA含有粒子の(定量的)サイズ分布(例えば、R値またはR値に基づく)は、10~1000nmの範囲内、例えば、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内にある。
【0163】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、核酸(とりわけRNA)は、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する。
【0164】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1のサブグループの一実施形態において)、核酸はRNAである。この実施形態において、かつ第3の態様の第2または第3のサブグループの実施形態において、RNAは好ましくは、mRNAまたはインビトロ転写RNA、特にインビトロ転写mRNAである。
【0165】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナル、適宜、LSシグナル、例えばSLS、例えばMALSシグナル、および/またはDLSシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定することは、オンラインで実行され、かつ/または工程(c)は、オンラインで実行される。
【0166】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、試料組成物の少なくとも一部は、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または前記溶媒混合液は、粒子の凝集体の形成を防止することができる。一実施形態において、溶媒混合液は、水および有機溶媒、例えばホルムアミドの混合液である。
【0167】
第3の態様の一実施形態において(特に、第3の態様の第1、第2、または第3のサブグループの一実施形態において)、UVシグナルを測定することは、円二色性(CD)分光法を用いることによって実行される。
【0168】
第1または第2の態様の文脈において本明細書中に記載されるあらゆる実施形態は、第3の態様のあらゆる実施形態に用いられてもよいことが理解される。
【0169】
さらなる実施形態は、以下の通りである:
1.試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する方法であって、試料組成物は、RNA、および適宜粒子を含み、方法は、
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含み、
1つまたは複数のパラメーターは、RNA完全性、RNAの総量、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布を含む、方法。
【0170】
2.フィールド-フローフラクショネーションが、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である、項目1の方法。
【0171】
3.工程(a)が、RNAが透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、好ましくは2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、例えば10kDaのMWカットオフを有する膜を用いて実行される、項目1または2の方法。
【0172】
4.工程(a)が、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いて実行される、項目1から3のいずれか一項の方法。
【0173】
5.工程(a)が、最大8mL/分、好ましくは最大4mL/分、より好ましくは最大2mL/分のクロスフローレートを用いて実行される、項目1から4のいずれか一項の方法。
【0174】
6.工程(a)が、以下のクロスフローレートプロファイル:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分を用いて実行される、項目1から5のいずれか一項の方法。
【0175】
7.工程(a)が、インジェクトフローを、0.05~0.35mL/分の範囲内で、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲内で、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲内で用いて実行される、項目1から6のいずれか一項の方法。
【0176】
8.工程(a)が、検出器フローを、0.30~0.70mL/分の範囲内で、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲内で、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲内で用いて実行される、項目1から7のいずれか一項の方法。
【0177】
9.試料組成物中に含有されるRNAの完全性が、対照RNAの完全性を用いて算出される、項目1から8のいずれか一項の方法。
【0178】
10.対照RNAの完全性が、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる、項目9の方法。
【0179】
11.試料組成物中に含有されるRNAの完全性が、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項目10の方法。
【0180】
12.対照RNAの完全性を算出する工程が、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって決定される、項目9の方法。
【0181】
13.試料組成物中に含有されるRNAの完全性が、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項目12の方法。
【0182】
14.RNAの量が、(i)RNA減衰係数または(ii)RNA較正曲線を用いることによって求められる、項目1から13のいずれか一項の方法。
【0183】
15.試料組成物が、RNA、ならびにRNAが結合している粒子、例えば、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む、項目1から14のいずれか一項の方法。
【0184】
16.総RNAの量が、(i)試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)項目14に規定されるRNAの量を求める工程とによって求められる、項目15の方法。
【0185】
17.工程(a)において、フィールド-フローフラクショネーションが、放出剤を含有する液相を用いて実行される、項目16の方法。
【0186】
18.放出剤が、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン界面活性剤[例えばn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)]、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば脂肪族アルコール(例えばエタノール)、もしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである、項目16または17の方法。
【0187】
19.遊離RNAの量が、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行すること;および項目14に規定されるRNAの量を求めることによって求められる、項目15から18のいずれか一項の方法。
【0188】
20.粒子に結合したRNAの量が、項目19によって求めた遊離RNAの量を、項目16から18のいずれか一項によって求めた総RNAの量から減算することによって求められる、項目15から19のいずれか一項の方法。
【0189】
21.工程(b)がさらに、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナル、例えば、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)、例えば多角度光散乱(MALS)シグナルを測定することを含む、項目15から20のいずれか一項の方法。
【0190】
22.RNA含有粒子のサイズが、工程(b)から得たLSシグナルから、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を算出することによって求められる、項目21の方法。
【0191】
23.実験的に求めたR値および/またはR値が、好ましくは、実験的に求めたか、または算出したR値またはR値を、多項式関数または線形関数に適合させて、多項式適合または線形適合に基づくR値またはR値を再算出することによって平滑化される、項目21の方法。
【0192】
24.RNA含有粒子のサイズ分布が、工程(b)から得たUVシグナルを、項目22に規定するように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって求められる、項目21から23のいずれか一項の方法。
【0193】
25.RNA含有粒子の定量的サイズ分布が、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される、項目21から24のいずれか一項の方法。
【0194】
26.定量的サイズ分布が、D10値、D50値、および/またはD90値を含む、項目25の方法。
【0195】
27.工程(b)が、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)が、DLSシグナルからR値を算出することを含む、項目22から26のいずれか一項の方法。
【0196】
28.1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)、項目15から27のいずれか一項の方法。
【0197】
29.RNAの量、特に遊離RNAの量が、260nmでのUVシグナルを測定し、260nmでのRNA減衰係数を用いることによって、または280nmでのUVシグナルを測定し、280nmでのRNA減衰係数を用いることによって求められる、項目15から28のいずれか一項の方法。
【0198】
30.RNA含有粒子のサイズ分布および/またはRNA含有粒子の定量的サイズ分布が、20~1500nm、例えば、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、または100~500nmの範囲内、例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内である、項目1から29のいずれか一項の方法。
【0199】
31.RNAが、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100から12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する、項目1~30のいずれか一項の方法。
【0200】
32.RNAが、インビトロ転写RNA、特にインビトロ転写mRNAである、項目1から31のいずれか一項の方法。
【0201】
33.UVシグナル、適宜LSシグナル、例えばSLS、例えばMALSシグナルおよび/もしくはDLSシグナルを測定する工程がオンラインで実行され、かつ/または工程(c)がオンラインで実行される、項目1から32のいずれか一項の方法。
【0202】
34.試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、試料組成物の少なくとも一部が、溶媒または溶媒混合液により希釈され、溶媒または溶媒混合液が、粒子の凝集体の形成を防止することができる、項目15から33のいずれか一項の方法。
【0203】
35.溶媒混合液が、水および有機溶媒、例えばホルムアミドの混合液である、項目34の方法。
【0204】
35a.UVシグナルを測定する工程が、円二色性(CD)分光法を用いることによって実行される、項目1から35のいずれか一項の方法。
【0205】
36.RNAおよび適宜粒子を含む組成物を用意する場合に、1つまたは複数の反応条件を変更する影響を分析する方法であって、
(A)RNAおよび適宜粒子を含む第1の組成物を用意する工程と;
(B)RNAおよび適宜粒子を含む第2の組成物を用意する工程であって、第1の組成物を用意する工程と、1つまたは複数の反応条件のみが異なる、工程と;
(C)第1の組成物の一部を、項目1から35および35aのいずれか一項の方法に供することによって、第1の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(D)第2の組成物の対応する一部を、工程(C)において用いた方法に供することによって、第2の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(E)工程(C)において得た第1の組成物の1つまたは複数のパラメーターを、工程(D)において得た第2の組成物の対応する1つまたは複数のパラメーターと比較する工程と
を含む方法。
【0206】
37.1つまたは複数の反応条件が、以下:塩濃度/イオン強度(例えば、2mM NaClまたは100mM NaCl);温度[例えば、低温(例えば-20℃)または高温(例えば50℃)];pHまたはバッファ濃度;光/放射線;酸素;剪断力;圧力;凍結/解凍サイクル;乾燥/復元サイクル;賦形剤(例えば、スタビライザーおよび/またはキレート化剤)の添加;粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー、例えば、陽イオン脂質対陽イオンポリマー、陽イオン脂質対双性イオン脂質、またはペグ化脂質対非ペグ化脂質)のタイプおよび/または源;電荷比;物理的状態;ならびにRNAの、粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)に対する比率のいずれかを含む、項目36の方法。
【0207】
38.RNAおよび適宜粒子を含む試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するためのフィールド-フローフラクショネーションの使用であって、1つまたは複数のパラメーターは、RNA完全性、RNAの総量、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ(例えば、RNA含有粒子の流体力学半径)、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布を含む、使用。
【0208】
39.フィールド-フローフラクショネーションが:
(a)試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)UVシグナルから、かつ適宜LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む、項目38の使用。
【0209】
40.フィールド-フローフラクショネーションが、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である、項目38または39の使用。
【0210】
41.フィールド-フローフラクショネーションが、RNAが透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、好ましくは2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、例えば10kDaのMWカットオフを有する膜を用いる、項目38から40のいずれか一項の使用。
【0211】
42.フィールド-フローフラクショネーションが、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いる、項目38から41のいずれか一項の使用。
【0212】
43.工程(a)が、
(I)最大8mL/分、好ましくは最大4mL/分、より好ましくは最大2mL/分、例えば、以下のクロスフローレートプロファイル:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分のクロスフローレート;ならびに/または
(II)0.05~0.35mL/分の範囲内の、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲内、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲内のインジェクトフロー;ならびに/または
(III)0.30~0.70mL/分の範囲内、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲内、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲内の検出器フロー
を用いて実行される、項目39から42のいずれか一項の使用。
【0213】
44.試料組成物中に含有されるRNAの完全性が、対照RNAの完全性を用いて求められる、項目38から43のいずれか一項の使用。
【0214】
45.対照RNAの完全性が、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの最大高さからUVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得たUVシグナルから、工程(c’1)において用いた1つのピークの総面積を算出することによって、A100%(対照)を得る工程と;
(c’3)A50%(対照)とA100%(対照)との比率を求めることによって、対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる、項目44の使用。
【0215】
46.試料組成物中に含有されるRNAの完全性が、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c’1)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A50%(試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた試料UVピークの総面積を算出することによって、A100%(試料)を得る工程と;
(c3)A50%(試料)とA100%(試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項目45の使用。
【0216】
47.対照RNAの完全性を算出する工程が、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得たUVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、対照RNAの完全性を得る工程と
によって決定される、項目44の使用。
【0217】
48.試料組成物中に含有されるRNAの完全性が、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得たUVシグナルから、工程(c”)において用いた対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項目47の使用。
【0218】
49.RNAの量が、(i)RNA減衰係数または(ii)RNA較正曲線を用いることによって求められる、項目38から48のいずれか一項の使用。
【0219】
50.試料組成物が、RNA、ならびにRNAが結合し、かつ/またはRNAが含有される粒子、例えば、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む、項目39から49のいずれか1つの使用。
【0220】
51.総RNAの量が、(i)試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも一部に実行する工程と;(iii)項目49に規定されるRNAの量を求める工程とによって求められる、項目50の使用。
【0221】
52.工程(a)において、フィールド-フローフラクショネーションが、放出剤を含有する液相を用いて実行される、項目51の使用。
【0222】
53.放出剤が、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン界面活性剤[例えばn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)]、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば脂肪族アルコール(例えばエタノール)、もしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである、項目51または52の使用。
【0223】
54.遊離RNAの量が、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行すること;および項目49に規定されるRNAの量を求めることによって求められる、項目50から53のいずれか一項の使用。
【0224】
55.粒子に結合したRNAの量が、項目53によって求めた遊離RNAの量を、項目51から53のいずれか一項によって求めた総RNAの量から減算することによって求められる、項目50から54のいずれか一項の使用。
【0225】
56.工程(b)がさらに、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナル、例えば、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)、例えば多角度光散乱(MALS)シグナルを測定することを含む、項目50から55のいずれか一項の使用。
【0226】
57.RNA含有粒子のサイズが、工程(b)から得たLSシグナルから、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を算出することによって求められる、項目56の使用。
【0227】
58.実験的に求めたR値および/またはR値が、好ましくは、実験的に求めたか、または算出したR値またはR値を、多項式関数または線形関数に適合させて、多項式適合または線形適合に基づくR値またはR値を再算出することによって平滑化される、項目57の使用。
【0228】
59.RNA含有粒子のサイズ分布が、工程(b)から得たUVシグナルを、項目57に規定するように求めたR値またはR値に対してプロットすることによって求められる、項目56から58のいずれか一項の使用。
【0229】
60.RNA含有粒子の定量的サイズ分布が、R値またはR値の関数としてUVシグナルを示すプロットから、UVシグナルを累積重量分率に変換して、累積重量分率をR値またはR値に対してプロットすることによって算出される、項目56から59のいずれか一項の使用。
【0230】
61.定量的サイズ分布が、D10値、D50値、および/またはD90値を含む、項目60の使用。
【0231】
62.工程(b)が、工程(a)から得た1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することをさらに含み、工程(c)が、DLSシグナルからR値を算出することを含む、項目57から61のいずれか一項の使用。
【0232】
63.1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)、項目50から62のいずれか一項の使用。
【0233】
64.RNAの量、特に遊離RNAの量が、260nmでのUVシグナルを測定し、260nmでのRNA減衰係数を用いることによって、または280nmでのUVシグナルを測定し、280nmでのRNA減衰係数を用いることによって求められる、項目50から63のいずれか一項の使用。
【0234】
65.RNA含有粒子のサイズ分布および/またはRNA含有粒子の定量的サイズ分布が、20~1500nm、例えば、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、または100~500nmの範囲内、例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内である、項目38から64のいずれか一項の使用。
【0235】
66.RNAが、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する、項目38から64のいずれか一項の使用。
【0236】
67.RNAが、インビトロ転写RNA、特にインビトロ転写mRNAである、項目38から65のいずれか一項の使用。
【0237】
68.UVシグナル、適宜LSシグナル、例えばSLS、例えばMALSシグナルおよび/もしくはDLSシグナルを測定する工程がオンラインで実行され、かつ/または工程(c)がオンラインで実行される、項目39から67のいずれか一項の使用。
【0238】
69.試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、試料組成物の少なくとも一部が、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または溶媒混合液が、粒子の凝集体の形成を防止することができる、項目39から68のいずれか一項の使用。
【0239】
70.溶媒混合液が、水および有機溶媒、例えばホルムアミドの混合液である、項目69の使用。
【0240】
70a.UVシグナルを測定する工程が、円二色性(CD)分光法を用いることによって実行される、項目39から70のいずれか一項の使用。
【0241】
第4の態様において、本開示は、本開示の方法のいずれかを実行する手段を含むデータプロセシング装置/系、特に第1の態様の方法(例えば、項目1~35および35aのいずれか1つに規定される方法)および/または第2の態様の方法(例えば、項目36または37に規定される方法)を提供する。
【0242】
第5の態様において、本開示は、本開示の方法、特に第1の態様の方法(例えば、項目1~35および35aのいずれか1つに規定される方法)および/または第2の態様の方法(例えば、項目36または37に規定される方法)のいずれかを実行するように適合されたコンピュータプログラムを提供する。
【0243】
第6の態様において、本開示は、本開示の第5の態様のプログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体またはデータ担体を提供する。
【0244】
本開示のさらなる態様が、本明細書中に開示される。
本開示は、以下の態様を提供し得る。
[項1]
試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する方法であって、前記試料組成物は、RNAを、および適宜粒子を含み、前記方法は、
(a)前記試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、前記試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)前記UVシグナルから、かつ適宜前記LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含み、
前記1つまたは複数のパラメーターは、RNA完全性、RNAの総量、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布を含む、方法。
[項2]
前記フィールド-フローフラクショネーションが、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である、項1に記載の方法。
[項3]
工程(a)が、RNAが透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、好ましくは2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、例えば10kDaのMWカットオフを有する膜を用いて実行される、項1または2に記載の方法。
[項4]
工程(a)が、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いて実行される、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
[項5]
工程(a)が、最大8mL/分、好ましくは最大4mL/分、より好ましくは最大2mL/分のクロスフローレートを用いて実行される、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
[項6]
工程(a)が、以下のクロスフローレートプロファイル:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分を用いて実行される、項1から5のいずれか一項に記載の方法。
[項7]
工程(a)が、インジェクトフローを、0.05~0.35mL/分の範囲内で、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲内で、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲内で用いて実行される、項1から6のいずれか一項に記載の方法。
[項8]
工程(a)が、検出器フローを、0.30~0.70mL/分の範囲内で、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲内で、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲内で用いて実行される、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
[項9]
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、対照RNAの完全性を用いて算出される、項1から8のいずれか一項に記載の方法。
[項10]
前記対照RNAの完全性が、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの最大高さから前記UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A 50% (対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記1つのピークの総面積を算出することによって、A 100% (対照)を得る工程と;
(c’3)A 50% (対照)とA 100% (対照)との比率を求めることによって、前記対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる、項9に記載の方法。
[項11]
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから前記試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A 50% (試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた前記試料UVピークの総面積を算出することによって、A 100% (試料)を得る工程と;
(c3)A 50% (試料)とA 100% (試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項10に記載の方法。
[項12]
前記対照RNAの完全性を算出する工程が、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、前記対照RNAの完全性を得る工程と
によって決定される、項9に記載の方法。
[項13]
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た前記UVシグナルから、工程(c”)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項12に記載の方法。
[項14]
RNAの量が、(i)RNA減衰係数または(ii)RNA較正曲線を用いることによって求められる、項1から13のいずれか一項に記載の方法。
[項15]
前記試料組成物が、RNA、ならびにRNAが結合している粒子、例えば、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む、項1から14のいずれか一項に記載の方法。
[項16]
総RNAの量が、(i)前記試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも前記一部に実行する工程と;(iii)項14に規定されるRNAの量を求める工程とによって求められる、項15に記載の方法。
[項17]
工程(a)において、前記フィールド-フローフラクショネーションが、前記放出剤を含有する液相を用いて実行される、項16に記載の方法。
[項18]
前記放出剤が、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン界面活性剤[例えばn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)]、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば脂肪族アルコール(例えばエタノール)、もしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである、項16または17に記載の方法。
[項19]
遊離RNAの量が、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行すること;および項14に規定されるRNAの量を求めることによって求められる、項15から18のいずれか一項に記載の方法。
[項20]
粒子に結合したRNAの量が、項19によって求めた遊離RNAの前記量を、項16から18のいずれか一項によって求めた総RNAの前記量から減算することによって求められる、項15から19のいずれか一項に記載の方法。
[項21]
工程(b)がさらに、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナル、例えば、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)、例えば多角度光散乱(MALS)シグナルを測定することを含む、項15から20のいずれか一項に記載の方法。
[項22]
RNA含有粒子のサイズが、工程(b)から得た前記LSシグナルから、回転半径(R )値および/または流体力学半径(R )値を算出することによって求められる、項21に記載の方法。
[項23]
実験的に求めた前記R 値および/または前記R 値が、好ましくは、実験的に求めたか、または算出した前記R 値または前記R 値を、多項式関数または線形関数に適合させて、多項式適合または線形適合に基づくR 値またはR 値を再算出することによって平滑化される、項21に記載の方法。
[項24]
RNA含有粒子のサイズ分布が、工程(b)から得た前記UVシグナルを、項22に規定するように求めた前記R 値または前記R 値に対してプロットすることによって求められる、項21から23のいずれか一項に記載の方法。
[項25]
RNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、前記R 値または前記R 値の関数として前記UVシグナルを示すプロットから、前記UVシグナルを累積重量分率に変換して、前記累積重量分率を前記R 値または前記R 値に対してプロットすることによって算出される、項21から24のいずれか一項に記載の方法。
[項26]
前記定量的サイズ分布が、D10値、D50値、および/またはD90値を含む、項25に記載の方法。
[項27]
工程(b)が、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)が、前記DLSシグナルからR 値を算出することを含む、項22から26のいずれか一項に記載の方法。
[項28]
前記1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)、項15から27のいずれか一項に記載の方法。
[項29]
RNAの前記量、特に遊離RNAの前記量が、260nmでのUVシグナルを測定し、260nmでのRNA減衰係数を用いることによって、または280nmでのUVシグナルを測定し、280nmでのRNA減衰係数を用いることによって求められる、項15から28のいずれか一項に記載の方法。
[項30]
RNA含有粒子の前記サイズ分布および/またはRNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、10~2000nmの範囲内、好ましくは20~1500nm、例えば、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、または100~500nmの範囲内、例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内である、項1から29のいずれか一項に記載の方法。
[項31]
前記RNAが、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する、項1から30のいずれか一項に記載の方法。
[項32]
前記RNAが、インビトロ転写RNA、特にインビトロ転写mRNAである、項1から31のいずれか一項に記載の方法。
[項33]
前記UVシグナル、適宜前記LSシグナル、例えば前記SLS、例えばMALSシグナルおよび/もしくは前記DLSシグナルを測定する工程がオンラインで実行され、かつ/または工程(c)がオンラインで実行される、項1から32のいずれか一項に記載の方法。
[項34]
前記試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、前記試料組成物の前記少なくとも一部が、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または前記溶媒混合液が、粒子の凝集体の形成を防止することができる、項15から33のいずれか一項に記載の方法。
[項35]
前記溶媒混合液が、水および有機溶媒、例えばホルムアミドの混合液である、項36に記載の方法。
[項36]
前記UVシグナルを測定する工程が、円二色性(CD)分光法を用いることによって実行される、項1から35のいずれか一項に記載の方法。
[項37]
RNAおよび適宜粒子を含む組成物を用意する場合に、1つまたは複数の反応条件を変更する影響を分析する方法であって、
(A)RNAおよび適宜粒子を含む第1の組成物を用意する工程と;
(B)RNAおよび適宜粒子を含む第2の組成物を用意する工程であって、前記第1の組成物を用意する工程と、前記1つまたは複数の反応条件のみが異なる、工程と;
(C)前記第1の組成物の一部を、項1から36のいずれか一項に記載の方法に供することによって、前記第1の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(D)前記第2の組成物の対応する一部を、工程(C)において用いた前記方法に供することによって、前記第2の組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定する工程と;
(E)工程(C)において得た前記第1の組成物の前記1つまたは複数のパラメーターを、工程(D)において得た前記第2の組成物の前記対応する1つまたは複数のパラメーターと比較する工程と
を含む方法。
[項38]
前記1つまたは複数の反応条件が、塩濃度/イオン強度(例えば、2mM NaClまたは100mM NaCl);温度[例えば、低温(例えば-20℃)または高温(例えば50℃)];pHまたはバッファ濃度;光/放射線;酸素;剪断力;圧力;凍結/解凍サイクル;乾燥/復元サイクル;賦形剤(例えば、スタビライザーおよび/またはキレート化剤)の添加;粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー、例えば、陽イオン脂質対双性イオン脂質、またはペグ化脂質対非ペグ化脂質)のタイプおよび/または源;電荷比;物理的状態;ならびにRNAの、粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)に対する比率のいずれかを含む、項37に記載の方法。
[項39]
RNAおよび適宜粒子を含む試料組成物の1つまたは複数のパラメーターを決定するためのフィールド-フローフラクショネーションの使用であって、前記1つまたは複数のパラメーターは、RNA完全性、RNAの総量、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ(例えば、RNA含有粒子の流体力学半径)、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布を含む、使用。
[項40]
前記フィールド-フローフラクショネーションが、
(a)前記試料組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーションに供することによって、前記試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の試料画分を生成する工程と;
(b)工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナル、および適宜光散乱(LS)シグナルを測定する工程と;
(c)前記UVシグナルから、かつ適宜前記LSシグナルから、1つまたは複数のパラメーターを算出する工程と
を含む、項39に記載の使用。
[項41]
前記フィールド-フローフラクショネーションが、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である、項39または40に記載の使用。
[項42]
前記フィールド-フローフラクショネーションが、RNAが透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜、好ましくは2kDaから30kDaの範囲内のMWカットオフ、例えば10kDaのMWカットオフを有する膜を用いる、項39から41のいずれか一項に記載の使用。
[項43]
前記フィールド-フローフラクショネーションが、ポリエーテルスルホン(PES)または再生セルロース膜を用いる、項39から42のいずれか一項に記載の使用。
[項44]
工程(a)が、
(I)最大8mL/分、好ましくは最大4mL/分、より好ましくは最大2mL/分、例えば、以下のクロスフローレートプロファイル:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分のクロスフローレート;ならびに/または
(II)0.05~0.35mL/分の範囲内の、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲内、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲内のインジェクトフロー;ならびに/または
(III)0.30~0.70mL/分の範囲内、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲内、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲内の検出器フロー
を用いて実行される、項40から43のいずれか一項に記載の使用。
[項45]
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、対照RNAの完全性を用いて求められる、項39から44のいずれか一項に記載の使用。
[項46]
前記対照RNAの完全性が、以下の工程:
(a’)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b’)工程(a’)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c’1)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの最大高さから前記UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A 50% (対照)を得る工程と;
(c’2)工程(b’)において得た前記UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記1つのピークの総面積を算出することによって、A 100% (対照)を得る工程と;
(c’3)A 50% (対照)とA 100% (対照)との比率を求めることによって、前記対照RNAの完全性[I(対照)]を得る工程と
によって求められる、項45に記載の使用。
[項47]
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c’1)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの最大高さから前記試料UVピークの終わりまでの面積を算出することによって、A 50% (試料)を得る工程と;
(c2)工程(b)から得た前記試料UVシグナルから、工程(c1)において用いた前記試料UVピークの総面積を算出することによって、A 100% (試料)を得る工程と;
(c3)A 50% (試料)とA 100% (試料)との比率を求めることによって、I(試料)を得る工程と;
(c4)I(試料)とI(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項46に記載の使用。
[項48]
前記対照RNAの完全性を算出する工程が、以下の工程:
(a”)対照RNAを含有する対照組成物の少なくとも一部を、フィールド-フローフラクショネーション、特にAF4またはHF5に供することによって、前記対照組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画して、1つまたは複数の対照画分を生成する工程と;
(b”)工程(a”)から得た前記1つまたは複数の対照画分の少なくとも1つの少なくともUVシグナルを測定する工程と;
(c”)工程(b”)において得た前記UVシグナルから、1つのUVピークの高さ[H(対照)]を求めることによって、前記対照RNAの完全性を得る工程と
によって決定される、項45に記載の使用。
[項49]
前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性が、以下の工程:
(c1’)工程(b)において得た前記UVシグナルから、工程(c”)において用いた前記対照UVピークに対応する試料UVピークの高さ[H(試料)]を求める工程と;
(c2’)H(試料)とH(対照)との比率を求めることによって、前記試料組成物中に含有される前記RNAの完全性を得る工程と
によって算出される、項48に記載の使用。
[項50]
RNAの量が、(i)RNA減衰係数または(ii)RNA較正曲線を用いることによって求められる、項39から49のいずれか一項に記載の使用。
[項51]
前記試料組成物が、RNA、ならびにRNAが結合している粒子、例えば、リポプレックス粒子および/または脂質ナノ粒子および/またはポリプレックス粒子および/またはリポポリプレックス粒子および/またはウイルス様粒子を含む、項40から50のいずれか一項に記載の使用。
[項52]
総RNAの量が、(i)前記試料組成物の少なくとも一部を放出剤により処理する工程と;(ii)工程(a)~工程(c)を、工程(i)から得た少なくとも前記一部に実行する工程と;(iii)項50に規定されるRNAの量を求める工程とによって求められる、項51に記載の使用。
[項53]
工程(a)において、前記フィールド-フローフラクショネーションが、前記放出剤を含有する液相を用いて実行される、項52に記載の使用。
[項54]
前記放出剤が、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン界面活性剤[例えばn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(Zwittergent(登録商標)3-14)]、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、もしくはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば脂肪族アルコール(例えばエタノール)、もしくはアルコールの混合液;または(iii)(i)および(ii)の組合せである、項52または53に記載の使用。
[項55]
遊離RNAの量が、放出剤の添加なしで、特にいかなる放出剤もなく、工程(a)~(c)を実行すること;および項50に規定されるRNAの量を求めることによって求められる、項51から54のいずれか一項に記載の使用。
[項56]
粒子に結合したRNAの量が、項55によって求めた遊離RNAの前記量を、項52から54のいずれか一項によって求めた総RNAの前記量から減算することによって求められる、項51から55のいずれか一項に記載の使用。
[項57]
工程(b)がさらに、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナル、例えば、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)、例えば多角度光散乱(MALS)シグナルを測定することを含む、項51から56のいずれか一項に記載の使用。
[項58]
RNA含有粒子のサイズが、工程(b)から得た前記LSシグナルから、回転半径(R )値および/または流体力学半径(R )値を算出することによって求められる、項57に記載の使用。
[項59]
実験的に求めた前記R 値および/または前記R 値が、好ましくは、実験的に求めたか、または算出した前記R 値または前記R 値を、多項式関数または線形関数に適合させて、多項式適合または線形適合に基づくR 値またはR 値を再算出することによって平滑化される、項58に記載の使用。
[項60]
RNA含有粒子のサイズ分布が、工程(b)から得た前記UVシグナルを、項58に規定するように求めた前記R 値または前記R 値に対してプロットすることによって求められる、項57から59のいずれか一項に記載の使用。
[項61]
RNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、前記R 値または前記R 値の関数として前記UVシグナルを示すプロットから、前記UVシグナルを累積重量分率に変換して、前記累積重量分率を前記R 値または前記R 値に対してプロットすることによって算出される、項57から60のいずれか一項に記載の使用。
[項62]
前記定量的サイズ分布が、D10値、D50値、および/またはD90値を含む、項61に記載の使用。
[項63]
工程(b)が、工程(a)から得た前記1つまたは複数の試料画分の少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み、工程(c)が、前記DLSシグナルからR 値を算出することを含む、項58から62のいずれか一項に記載の使用。
[項64]
前記1つまたは複数のパラメーターが、遊離RNAの量、粒子に結合したRNAの量、RNA含有粒子のサイズ分布、およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布からなる群から選択される、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのパラメーターを含む(またはである)、項51から63のいずれか一項に記載の使用。
[項65]
RNAの前記量、特に遊離RNAの前記量が、260nmでのUVシグナルを測定し、260nmでのRNA減衰係数を用いることによって、または280nmでのUVシグナルを測定し、280nmでのRNA減衰係数を用いることによって求められる、項51から64のいずれか一項に記載の使用。
[項66]
RNA含有粒子の前記サイズ分布および/またはRNA含有粒子の前記定量的サイズ分布が、10~2000nmの範囲内、好ましくは20~1500nm、例えば、30~1200nm、40~1100nm、50~1000、60~900nm、70~800nm、80~700nm、90~600nm、または100~500nmの範囲内、例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内である、項39から65のいずれか一項に記載の使用。
[項67]
前記RNAが、10~15,000ヌクレオチド、例えば、40~15,000ヌクレオチド、100~12,000ヌクレオチド、または200~10,000ヌクレオチド長を有する、項39から66のいずれか一項に記載の使用。
[項68]
前記RNAが、インビトロ転写RNA、特にインビトロ転写mRNAである、項39から67のいずれか一項に記載の使用。
[項69]
前記UVシグナル、適宜前記LSシグナル、例えばSLS、例えばMALSシグナルおよび/もしくは前記DLSシグナルを測定する工程がオンラインで実行され、かつ/または工程(c)がオンラインで実行される、項40から68のいずれか一項に記載の使用。
[項70]
前記試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、前記試料組成物の前記少なくとも一部が、溶媒または溶媒混合液により希釈され、前記溶媒または前記溶媒混合液が、粒子の凝集体の形成を防止することができる、項40から69のいずれか一項に記載の使用。
[項71]
前記溶媒混合液が、水および有機溶媒、例えばホルムアミドの混合液である、項70に記載の使用。
[項72]
前記UVシグナルを測定する工程が、CD分光法を用いることによって実行される、項40から71のいずれか一項に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0245】
図1図1は、非対称流フィールドフローフラクショネーション(AF4)分離のタイム-フロープロファイルを示しており、ここで、検出器フロー(Vd)は0.5mL/分であり、クロスフロー(Vx)の開始点は1.5mL/分であり、0.04mL/分まで指数関数的に減少した。
図2図2は、相対的RNA完全性の評価のための好ましい算出手順の概要を示す。AF4フラクトグラムの例は、RNAを分離した後の260nmでのUVシグナルによって示される。A)対照RNAの算出における限界。B)総RNAピーク面積の算出における限界。C)わずかに分解したRNAの算出における限界。D)わずかに分解した総RNAピーク面積の算出における限界。
図3図3は、標準を使用しないRNAの定量化を示す:A)RNA原液の異なる注入量をAF4-UV-RIによって分析した。曲線下ピーク面積(UVは実線;RIは破線)を注入量に対してプロットし、線形回帰を適合した。B)RNAの段階希釈を同一の注入量においてAF4-UV-RIによって測定し、A)と同様に分析した。
図4図4は、AF4-UV-RIを使用しおよび標準を使用しない分解したRNAの定量化を示す:A)異なる熱分解RNAおよび未処理RNAの代表的AF4フラクトグラムが表される(曲線は260nmでのUVシグナルを表す)。B)異なる分解したRNAのUVシグナルは濃度に直接相関し、ランベルト・ベールの法則を適用する。
図5図5は、本明細書において開示されるAF4法によって分離された試料粒子組成物(1.3/2のモル比において脂質およびRNAを含有する)から得られる代表的フラクトグラムを示す。実線は、90°の角度における光散乱(LS)シグナルを表し、それは、粒子ピーク(t=約35分)を示しており、その一方で、破線は、UVシグナル(260nmにおいて記録)を表し、それは、結合RNA(t=約38分)および非結合RNA(t=約20分)を反映している。
図6-1】図6は、非製剤化RNAの定量的RNA完全性測定を示す:A)異なる熱分解RNAの代表的AF4フラクトグラム(n=3;曲線は260nmにおけるUVシグナルを表す)。B)長さにおいて異なる(RNA#1~4;サイズ:986~1688nt)4つの熱分解RNAの算出された平均相対完全性の総括。エラーバーは標準偏差(n=3)を表す。C)異なる比率を使用してRNA#2から得られる代表的AF4フラクトグラム(未処理のもの、完全に熱分解したもの、ならびに未処理のものと完全に熱分解したものによる50:50混合物)。D)検証実験:異なるRNA(RNA#1~3、986~1688nt)を熱分解させ、規定された方式において混合し(混合物4のAF4フラクトグラムについては、図6Cを参照)、AF4-UV測定によって分析した。棒グラフは、理論的計算値(黒色のバー)と比較した、本明細書において開示されるAF4法によって求めた相対的RNA完全性(暗い灰色のバー、中程度の灰色のバー、および明るい灰色のバー)を表す。
図6-2】同上。
図7図7は、蛍光色素を使用したRNAの定量化との比較において、定量化RNAに対するUVシグナルの適性を実証する(概念の実証)。A)UVピークならびに試料組成物(RNAおよび蛍光標識された粒子を含む)の蛍光(FS)積分は、試料組成物中の対応する総RNA量に相関した。B)試料組成物のUVピーク面積とFSピーク面積との比率の計算値は、広い質量範囲(試料組成物中における1~15μgの総RNA)にわたって一定であることが見出された。
図8図8は、RNA試料組成物に対するパラメーターとしてのUV比を示す。A)遊離RNAならびに粒子に結合したRNAのUVピーク積分は、試料組成物中に含有される対応する名目上の総RNA量に相関する。B)遊離RNA(ピーク)と結合RNA(ピーク)とのUV比の算出。
図9-1】図9は、AF4-UV-MALSによる粒径分布の定量化に対する概念の実証を示す。A)試料組成物(RNAおよびAtto594標識粒子)の代表的AF4フラクトグラム:破線は、260nmにおいて記録したUVトレースを表し、実線は、624nmにおいて放出された蛍光シグナル(FS)を表す。B)UV/FS比(破線)を算出し、回転半径(R)に対してプロットし、ならびに粒子ピーク画分(溶出時間:22~60分)からの記録されたUVシグナル(強調表示された灰色のピーク)もプロットした。UV/FS比の50%未満の変動を有するRエリアが、強調表示されている(四角)。50nmから300nmの間のR範囲において、UV/FS比の変動は小さく、ならびに信頼できるサイズ値を与える。より小さいR値は、RNAシグナルの影響を受ける。より大きいR値は、散乱の影響を受ける。合計で、これらの影響を受けるR値は、総シグナル量の10%未満である。C)624nmでの蛍光放出および260nmでのUVシグナルを使用した累積重量分率分析に基づく定量的品質パラメーター(D10、D50、D90)の算出。
図9-2】同上。
図10図10は、90°でのLSシグナルおよび260nmでのUV検出による試料組成物(RNAおよび粒子)の代表的AF4フラクトグラムを示す。回転半径(R)の計算値(灰色の正方形)は、Berryプロットを使用した多角度光散乱(MALS)から得られ、ならびに流体力学半径(R)値は、オンライン動的光散乱から得られる(DLS:灰色の円)。
図11-1】図11は、AF4-UV-MALSを使用することによる、複合試料組成物における粒径分布の定量化を示す。A)試料組成物(RNAおよび粒子)のAF4-UV-MALS溶出プロファイル、RNA検出に対する260nmでのUVシグナル(破線)、および90°での光散乱シグナル(実線)が表される。MALSシグナルからの対応する回転半径(R)値が黒点として示されている。B)粒子ピーク(溶出時間:26~55分)の実験的に求めたRMS値を、多項式方程式に適合させる(薄灰色の線)。C)UVシグナル(実線)を、多項式適合させたR値の関数としてプロットし(図11Bを参照されたい)、ならびに対応する累積重量分率を、UVシグナルの関数としてプロットする(破線)。
図11-2】同上。
図12-1】図12は、本明細書において開示されるAF4法を使用した、異なる試料組成物(100mM NaClを用いて異なる脂質/RNA比(0.1~0.9)において脂質とRNAとを混合することによって調製した)の分離および定性分析を示す。A)異なる試料組成物のそれぞれに対して、Berryプロットを使用して算出した、UVシグナル(260nmにおいて)、光散乱シグナル(90°において)、および対応する回転半径(R)値が重ね合わせて示されている。B)MALSシグナルから算出したR値を、適切な累積重量分率分析に対してプロットし、その後、対応するD90値の算出を行う。C)累積重量分率分析から得られたR(D90)値を、100mM NaClを用いた(黒点)またはNaClを用いない(白点)脂質/RNA比の関数としてプロットする。
図12-2】同上。
図13図13は、R値に対する流体力学半径(R)値の相関関係による「形状因子」の評価を示す。値は線形回帰に適合し、ならびに結果として得られる傾きは、粒子形状に関する情報を提供する。
図14-1】図14は、本明細書において開示されるAF4法による、様々な粒子組成物(LPX、LNP、ポリプレックス粒子(PLX)、リポソーム、VLP+LPX)の分離およびキャラクタリゼーションを示す。AF4-UV-MALS-DLS分離/検出が示されている。90°の角度でのLSが、実線として表されており、それは、粒子ピークを示している。破線は、260nmにおいて記録されたUVシグナル(RNA検出のため)を表す。回転半径(R)値(暗色の点)は、Zimmプロットを使用した多角度光散乱(MALS)によって得られる。動的光散乱(DLS;灰色の点)は、流体力学半径(Rh)を提供する。個別の粒子ピーク分画は、灰色のバーによって強調表示される。A)AF4-UV-MALS-DLS分離/検出の後の、1.3/2のモル比において脂質およびRNAを含有するLPX試料の代表的フラクトグラム。B)2つのタイプの粒子を含む組成物(低分子RNA-LPX:VLP、1:1混合物)の代表的フラクトグラム。C)リポソーム試料(2/1のモル比におけるDOTMAおよびDOPEで構成される、正に帯電したリポソーム)の代表的フラクトグラム。D)LPX試料(4/1のモル比においてDOTMAおよびコレステロールとRNAとを含有する、正に帯電したLPX)の代表的フラクトグラム。E)3/1のモル比におけるDODMA、コレステロール、DOPE、PEG(1.2/1.44/0.3/0.06のモル比)とRNAとで構成される脂質ナノ粒子(LNP)試料の代表的フラクトグラム。F)粒子とRNAの12/1の比において、JetPEIポリマーとIVT-RNAまたはsaRNAとを含有する粒子の代表的フラクトグラム。
図14-2】同上。
図14-3】同上。
図15図15は、イオン(塩化ナトリウム)の存在下でのRNA挙動の解析を示す。異なる塩化ナトリウム濃度(0~50mM)における非製剤化RNAからの例示的AF4フラクトグラム(90°での光散乱シグナルが示される)が、表される。回転半径(R)値は、Zimmプロットを使用した多角度光散乱(MALS)から得られる。
図16図16は、塩化ナトリウムによる処理後のRNAのキャラクタリゼーションを示す。A)異なる塩化ナトリウム濃度(0~50mM)に対して、累積重量分率分析から得られるR(D50)値が示される。B)RNA R(D50)値(図16Aから)を、塩化ナトリウム濃度に対してプロットし、ならびに比率(塩化ナトリウム(mM)対R(nm))を算出した。0~10mM NaCl値の比率の線形適合が太い線で表されており、その一方で、点線は、10~50mM NaClの適合を表す。灰色と黒色の線は、2つの異なるRNA濃度による測定の例を表している。
図17図17は、複合試料組成物中の遊離/非結合RNAの定量化を示す。A)本明細書において開示されるAF4法を使用して、異なる量の遊離RNA(1~15μg)を、粒子を用いない組成物における260nmでのUV吸収によって検出した。直線較正曲線を生成するために、RNA量をそれぞれの曲線下UVピーク面積(AUC分)に対してプロットした。B)様々な量の粒子組成物(1~15μgの総RNAを含有する)を、AF4法によって分析した。重ねたAF4フラクトグラムは、260nmでのUVシグナルを示している。第1のピーク(溶出時間:約20分)は、遊離RNAに対応し、その一方で、第2のピーク(溶出時間:約38分)は、粒子(結合RNA)に対応する。粒子組成物中の非結合の遊離RNAの量は、基準RNA(=100%)との関係において算出することができる(図17Aを参照)。C)方法の線形性を示すために、遊離RNA(図17Bを参照)ならびに裸の基準RNA(図17Aを参照)のUVピーク積分を、異なるRNA量(1~15μg)の関数としてプロットする。D)遊離RNAの定量化のための第2の好ましい手順(直接法)として、非結合RNAのピークが定義され、ならびにRNA量は、RNAの比減衰係数を使用して直接算出することができる。
図18図18は、異なる物理化学的挙動を有する試料組成物中の遊離RNA量の分析を示す。A)NaClを用いない粒子組成物(様々な電荷比(0.1~0.9)において混合した(DOTMA/DOPE2/1)/RNA複合体)のAF4-UVフラクトグラム、またはB)100mM NaClを用いた粒子組成物が表される。C)260nmでのAF4-UV-検出を使用した、100mM NaClを用いた(黒丸)およびNaClを用いない(白丸)、算出された非結合RNAのパーセンテージ(mol/mol)のプロット。全ての混合物はデュブリケートにおいて調製し、ならびに少なくともデュブリケートにおいて測定した。エラーバーは、標準偏差を表している。D)260nmでのRNAの減衰係数を使用して算出した、100mM NaClを用いた(黒丸)およびNaClを用いない(白丸)、非結合RNAの濃度(μg/mL)のプロット。
図19図19は、粒子組成物中の総RNAの定量化を示す。A)本明細書において開示されるAF4法によって分離された、Zwittergent処理した裸のRNAのAF4フラクトグラム。260nmでのUVシグナルは、黒色の線で表されており、90°でのLSシグナルは、破線によって表されている。B)遊離RNA(灰色で強調表示される)および結合RNA(第2のピーク)によるUV検出(実線)、および90°の角度でのLSシグナル(破線)による粒子組成物の代表的フラクトグラム。C)粒子が放出剤を使用して溶解されている(液相は0.1%のZwittergentを含有した)RNA組成物の、UV検出(実線)および90°での光散乱(破線)によるAF4フラクトグラム。D)放出剤(Zwittergent)による処理後の裸のRNAおよび総RNAの直接的定量化。
図20-1】図20は、RNAおよび粒子を含有する試料組成物中の遊離RNAおよび総RNAの完全性を示す。A)本明細書において開示されるAF4法を使用した、RNA完全性において異なるRNAによる分離された粒子のUVトレース(未処理のRNA:黒色の実線;部分的に熱分解したRNA:点線;混合物(50%の未処理のものと50%の完全に分解したものとを規定された方式において混合した):破線;粒子中の完全に分解したRNA:灰色の実線)。B)粒子中の、無傷の遊離RNA(暗灰色)、ならびに総(黒色)遊離RNAおよび完全に分解した(薄灰色)遊離RNAの定量化。C)AF4分離(液相において放出剤を使用する)後の溶解した粒子のUVトレース。D)粒子中の遊離RNAおよび総RNAのAF4-UV測定によって分析した、求められた完全性。棒グラフは、粒子中の総RNA値の求められた完全性(黒色のバー)と比較した、遊離RNA(灰色のバー)の相対的RNA完全性を表す。
図20-2】同上。
図21図21は、RNA(総RNA、結合RNA、封入RNA、アクセス可能なRNA、表面RNA、および非結合RNA)の異なる画分をどのように、本明細書において開示されるAF4法によって求めることができるかのスキームを示す。例えば、AF4法は、インターカレーティング色素(例えば、GelRED)の蛍光放出シグナルを使用した、アクセス可能なRNAおよび/または表面RNAの定量化のために使用することができる。遊離(非結合)RNA、総RNA、およびアクセス可能なRNAの定量化の組合せを使用することにより、封入RNA、結合RNA、および表面RNAを算出することができる。600nmでのGelREDの蛍光放出は、RNAへのインターカレーションによって増強される。
図22-1】図22は、(A)本明細書において開示されるAF4法を使用した蛍光検出の線形性;(B)アクセス可能なRNA(黒色のバー)および封入RNA(灰色のバー)の相対量を示す棒グラフ;および(C)粒子組成物中の遊離RNAの相対量の比較、を示しており、この場合、量は、異なるRNA検出を使用して求めた:260nmでのUV吸収(黒色のバー)および600nmでの蛍光放出シグナル(FS)(灰色のバー)。
図22-2】同上。
図23図23は、基準RNAを使用しない、本明細書において開示されるAF4法によるRNA完全性の分析を示す。A)90°でのLSシグナル(点線)および260nmでのUVシグナル(実線)による、長鎖saRNAの例示的AF4フラクトグラムが示される。太く暗い線は、MALSシグナルから得られた分子量曲線を表す。B)より良い概説のために、(A)からの分子量曲線のみが、図23Bの上側パネルに実線として示されている。総RNAのピーク(ピーク1)に対する限界は、総UVピークシグナルに基づいて設定される(すなわち、t=10分~t=40分)。ここで、「無傷の」RNAのピーク(ピーク2)に対する限界は、以下のように、分子量曲線(MALSから得られる)からの一次導関数によって設定される。分子量曲線からの一次導関数が算出される(図23Bの下側パネルにおける点線)。分子量曲線のより水平な部分は、保持時間を反映しており、その場合、未分解のRNAの分画が存在する。これに基づいて、積分限界を選択することができ、ならびに試料中の未分解RNAの量を算出することができる。
図24-1】図24は、粒径分布、特に累積RNA重量分率、RNAリポプレックス(LPX)分画におけるRNA質量、およびLPX画分あたりのRNAコピー、の決定のためにUVを使用した遊離RNAおよび結合RNAの定量分析を示す。A)90°でのLSシグナル(実線)および260nmでのUVシグナル(破線)による、RNA LPX試料組成物に対する代表的AF4フラクトグラムが示される。UVシグナルは2つのピークを示しており、この場合、第1のピークは、非結合の遊離RNAの量を表しており、ならびに第2のピークは、RNAを含むLPXナノ粒子から生じている。UVシグナルは、溶出時間の関数として、異なる分画中のRNA量を直接的に代表する。回転半径(R;太い線)は、MALSシグナルから得られる。B)図24Aからの、260nmにおけるUVシグナル(破線)と、実線として、UVシグナル下面積に基づく累積重量分率とが、示されている。C)ある特定のサイズの粒子を含む異なるR画分(Δt=1分)における260nmでの吸収を使用することによる、RNA LPX試料組成物中の結合RNA量が示される。異なるR画分のRNA量の算出のために、LPXピーク(すなわち、t=約24分に始まり、t=約60分に終わる図24Aおよび24Bの第2のピーク)のみを使用した。D)図24Cに提示された結果からから算出されるR画分あたりの算出されたRNAコピーの数(バー、左側y軸)が示される。R画分あたりの算出された粒子数は、対応する点線曲線(第2の右側y軸)によって表される。
図24-2】同上。
図25-1】図25は、本明細書において開示されるAF4法における円二色性(CD)分光法の使用の実現可能性を示す。A)90°の角度でのLSシグナル(実線)および260nmで記録されたCDシグナル(点線)によるRNAリポプレックス(LPX)製剤の代表的AF4フラクトグラムが示されており、この場合、後者は、非結合RNA(第1のピーク;t=18分)および結合RNA(第2のピーク;t=35分)を表す。B)裸のRNAの較正曲線が、260nmでのUV検出ならびに260nmでのCD検出を同時に使用して生成される。注入されたRNA量に対して、曲線下ピーク面積(CD:黒四角および実線;UV:黒三角および点線)をプロットする。CDシグナルとUVシグナルとのピーク面積の比は、点として示される(第2の右側y軸)。C)異なる量のRNA LPX試料(2~15μg)を、AF4法を使用して分析した。適切な裸のRNAからのCDシグナルの曲線下面積(AUC)は、適切な総AUC CDシグナルに相関し、この場合、それぞれのCDピークAUC値が、RNAの量に対してプロットされ、結果として、線形適合(R=0.998)をもたらした。RNA LPX試料組成物中の非結合RNA(白四角)および結合RNA(白丸)の相対量(%)を、総RNA量に対して非結合RNAおよび結合RNAの量を相関付けることによって求めた。
図25-2】同上。
【発明を実施するための形態】
【0246】
本開示はさらに、以下でより詳細に記載されるが、本開示は、本明細書中に記載される特定の方法論、プロトコール、および試薬に限定されないことが理解されるべきである。というのも、これらは変動し得るからである。また、本明細書中で用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけにあり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の範囲を限定することは意図されないことが理解されるべきである。別段の定めがない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0247】
以下において、本開示の要素をより詳細に説明する。要素は、特定の実施形態と共に記載されている。しかしながら、要素は、あらゆる様式で、かつあらゆる数で組み合わされて、追加的な実施形態を生じさせることができると理解されるべきである。様々に説明される例および好ましい実施形態は、本開示を、明示的に説明される実施形態にのみ限定するものと解釈されるべきでない。本明細書は、明示的に記載される実施形態を、開示される、および/または好ましいあらゆる数の要素と組み合わせる実施形態を補助かつ包含することが理解されるべきである。さらに、文脈がそうでないと示さない限り、本出願中の記載される全ての要素のあらゆる順列および組合せは、本出願の記載によって開示されていると考えられるべきである。例えば、本開示の方法の好ましい実施形態において、AF4がフィールド-フローフラクショネーションとして用いられるならば、そして本開示の方法の別の好ましい実施形態において、核酸(例えばRNA)がインビトロ転写RNAであるならば、本開示の方法のさらに好ましい実施形態において、AF4はフィールド-フローフラクショネーションとして用いられ、そして核酸(例えばRNA)はインビトロ転写RNAである。
【0248】
好ましくは、本明細書中で用いられる用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms:(IUPAC Recommendations)", H.G.W. Leuenberger, B. Nagel, and H. Koelbl, Eds., Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland (1995)に記載されるように定義される。
【0249】
本開示の実施は、特に明記されない限り、従来の化学、生化学、細胞生物学、免疫学、および当該分野の文献に説明されている組換えDNA技術を使用することとなる[例えば、Organikum, Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin 1990;Streitwieser/Heathcook, "Organische Chemie", VCH, 1990;Beyer/Walter, "Lehrbuch der Organischen Chemie", S. Hirzel Verlag Stuttgart, 1988;Carey/Sundberg, "Organische Chemie", VCH, 1995;March, "Advanced Organic Chemistry", John Wiley & Sons, 1985;Roempp Chemie Lexikon, Falbe/Regitz (Hrsg.), Georg Thieme Verlag Stuttgart, New York, 1989;Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, J. Sambrook et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor 1989参照]。
【0250】
本明細書および続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、文言「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」等の変形は、明示される部材、整数、もしくは工程、または部材、整数、もしくは工程の群の包含を意味し、他のいかなる部材、整数、もしくは工程、または部材、整数、もしくは工程の群の排除も意味しないと理解されよう。用語「から本質的になる」は、あらゆる必須の有意性の他の部材、整数、または工程を除外することを意味する。用語「含む」は、用語「から本質的になる」を包含し、これは今度は、用語「からなる」を包含する。ゆえに、本出願における各存在にて、用語「含む」は、用語「から本質的になる」または「からなる」と置き換えられてよい。同様に、本出願における各存在にて、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」と置き換えられてよい。
【0251】
用語「a」、「an」、および「the」、ならびに本開示を記載する文脈において(とりわけ特許請求の範囲の文脈において)用いられる類似の指示(reference)は、本明細書中で特に明記されない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、単数および複数の双方を包含すると解釈されるべきである。本明細書中での値の範囲の列挙は単に、当該範囲に入る別個の各値に個々に言及する速記方法として機能することが意図されるだけである。本明細書中で特に明記されない限り、個々の値は、本明細書中に、あたかも本明細書中で個々に列挙されているかの如く組み込まれる。本明細書中に記載される方法は全て、本明細書中で特に明記されない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、適切なあらゆる順序で実行することができる。本明細書中で提供されるあらゆる全ての例の使用、または例示的な文言(例えば、「例えば」)は単に、本開示を十分に説明することしか意図されず、別途特許請求される本開示の範囲に対する限定をもたらさない。明細書中の文言は、本開示の実施に必須の、特許請求されていないあらゆる要素を示すものとして解釈されるべきでない。
【0252】
本明細書中で用いられる場合、「および/または」は、指定された2つの構成または構成要素の各々の、他方と共にある、または他方がない具体的な開示として理解されるべきである。例えば、「Xおよび/またはY」は、(i)X、(ii)Y、ならびに(iii)XおよびYの各々の具体的な開示として、各々があたかも個々に本明細書中で述べられているかの如く理解されるべきである。
【0253】
本開示の文脈において、用語「約」は、当業者が、問題となっている構成の技術的効果を依然として確実にすることを理解するであろう精度の間隔を表す。用語は典型的に、示される数値からの±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.9%、±0.8%、±0.7%、±0.6%、±0.5%、±0.4%、±0.3%、±0.2%、±0.1%、±0.05%、および例えば±0.01%のずれを示す。当業者によって認識されるように、所与の技術的効果についての数値のそのような特定のずれは、技術的効果の性質によって決まることとなる。例えば、天然の、または生物学的な技術的効果は、通常、そのようなずれが、人工の、または操作された技術的効果のずれよりも大きくなる場合がある。
【0254】
本明細書中での値の範囲の列挙は単に、当該範囲に入る別個の各値に個々に言及する速記方法として機能することが意図されるだけである。本明細書中で特に明記されない限り、個々の値は、本明細書中に、あたかも本明細書中で個々に列挙されているかの如く組み込まれる。
【0255】
本明細書中で提供されるあらゆる全ての例の使用、または例示的な文言(例えば、「例えば」)は単に、本発明を十分に説明することしか意図されず、別途特許請求される本開示の範囲に対する限定をもたらさない。明細書中の文言は、本発明の実施に必須の、特許請求されていないあらゆる要素を示すものとして解釈されるべきでない。
【0256】
いくつかの文献が、本明細書の本文の全体を通して引用されている。本明細書中で引用される文献(全ての特許、特許出願、科学出版物、メーカーの仕様書、説明書その他が挙げられる)の各々が、前掲であるにせよ後掲であるにせよ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書中ではいずれも、本発明が、以前の発明による開示に先立って権利が与えられないという承認として解釈されるべきでない。
【0257】
定義
以下において、本開示の全ての態様に当てはまる定義を提供する。以下の用語は、特に明記されない限り、以下の意味を有する。定義を与えられていない用語はいずれも、その技術によって認識される意味を有する。
【0258】
本明細書中で用いられる用語「引き下げる」または「阻害する」等は、レベルの全体としての、例えば、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、または約75%以上の低下を引き起こす能力を意味する。用語「阻害する」または類似のフレーズは、完全な、または本質的に完全な阻害、すなわちゼロへの、または本質的にゼロへの引下げを含む。
【0259】
一実施形態における用語「増大させる」または「増強させる」等は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約80%、または少なくとも約100%の増大または増強に関する。
【0260】
本明細書中で用いられる「生理学的pH」は、約7.5のpHを指す。
【0261】
本開示において用いられる「% w/v」は、重量/容量パーセントを指し、これは、溶液の総容量ミリリットル(mL)のパーセントとして表される溶質の量グラム(g)を測定する濃度の単位である。
【0262】
用語「イオン強度」は、特定の溶液中の異なる種類のイオン種の数と、それらの各電荷との数学的な関係を指す。ゆえに、イオン強度Iは、式
【0263】
【数1】
によって数学的に表され、式中、cは特定のイオン種のモル濃度であり、zはその電荷の絶対値である。合計Σは、溶液中の全ての異なる種類のイオン(i)に対してとられる。
【0264】
本開示に従えば、一実施形態における用語「イオン強度」は、一価のイオンの存在に関する。二価イオン、特に二価陽イオンの存在に関して、それらの濃度または有効濃度(遊離イオンの存在)は、キレート化剤の存在に起因して、一実施形態において、RNAの分解を防止するほど十分に低い。一実施形態において、二価イオンの濃度または有効濃度は、RNAヌクレオチド間のホスホジエステル結合の加水分解についての触媒レベル未満である。一実施形態において、遊離二価イオンの濃度は、20μM以下である。一実施形態において、遊離二価イオンは存在しないか、または本質的に存在しない。
【0265】
「オスモル濃度」は、溶媒のキログラム当たりの溶質のオスモルの数として表される特定の溶質の濃度を指す。
【0266】
用語「凍結」は、通常熱の除去による、液体の凝固に関する。
【0267】
用語「凍結乾燥させる(lyophilizing)」または「凍結乾燥(lyophilization)」は、物質を凍結させてから、周囲の圧力を引き下げて、物質中の凍結媒体を固相から気相に直接的に昇華させることによる物質の凍結乾燥(freeze-drying)を指す。
【0268】
用語「スプレー乾燥」は、(加熱された)気体を、容器(噴霧乾燥器)内で霧状にされた(スプレーされた)流体と混合することによって物質をスプレー乾燥させることを指し、形成された滴由来の溶媒は蒸発して、乾燥粉末がもたらされる。
【0269】
用語「復元する」は、乾燥した生成物に溶媒、例えば水を加えて、液体状態、例えばその元々の液体状態に戻すことに関する。
【0270】
本開示の文脈における用語「組換え」は、「遺伝子工学によりなされる」ものを意味する。一実施形態において、本開示の文脈における「組換え対象」は、天然に存在しない。
【0271】
本明細書中で用いられる用語「天然に存在する」は、対象が自然界において見出され得るという事実を指す。例えば、生物(ウイルスを含む)中に存在し、かつ自然界において源から単離され得、かつラボにおいて人によって故意に修飾されていないペプチドまたは核酸が、天然に存在する。用語「自然界において見出される」は、「自然界において存在する」を意味し、知られている対象、ならびに自然からまだ発見および/または単離されていないが、天然の源から将来発見および/または単離される可能性がある対象を含む。
【0272】
本明細書中で用いられる用語「室温」および「周囲温度」は、本明細書中で互換的に用いられており、少なくとも約15℃から、好ましくは約15℃から約35℃、約15℃から約30℃、約15℃から約25℃、または約17℃から約22℃の温度を指す。そのような温度として、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、および22℃が挙げられる。
【0273】
用語「エタノール注入技術」は、脂質を含むエタノール溶液が針を通って水溶液中に迅速に注入されるプロセスを指す。この動作は、脂質を溶液の至る所に分散させて、脂質構造形成、例えば脂質ベシクル形成、例えばリポソーム形成を促進する。通常、本明細書中に記載される核酸(とりわけRNA)リポプレックス粒子は、核酸(とりわけRNA)をコロイドリポソーム分散系に加えることによって獲得できる。エタノール注射技術を用いて、そのようなコロイドリポソーム分散系は、一実施形態において、以下のように形成される:脂質、例えば、DOTMAのような陽イオン脂質および追加的な脂質を含むエタノール溶液が、撹拌下の水溶液中に注入される。一実施形態において、本明細書中に記載される核酸(とりわけRNA)リポプレックス粒子は、押出工程なしで獲得できる。
【0274】
用語EDTAは、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を指す。全ての濃度は、EDTA二ナトリウム塩に関して与えられる。
【0275】
用語「アルキル」は、飽和直鎖状または分枝状炭化水素のモノラジカルを指す。好ましくは、アルキル基は、1~12個(例えば1~10個)の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子)、より好ましくは1~8個の炭素原子、例えば1~6個または1~4個の炭素原子を含む。例示的なアルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル(2-プロピルまたは1-メチルエチルとも称される)、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、およびn-ドデシル等が挙げられる。
【0276】
本開示に従えば、用語「ペプチド」は、オリゴペプチドおよびポリペプチドを含み、約2以上、約3以上、約4以上、約6以上、約8以上、約10以上、約13以上、約16以上、約20以上、および最大約50、約100、または約150個の、ペプチド結合を介して互いに結合した連続アミノ酸を含む物質を指す。用語「タンパク質」は、大きなペプチド、特に、少なくとも約151個のアミノ酸を有するペプチドを指すが、用語「ペプチド」および「タンパク質」は、通常同義語として本明細書中で用いられている。
【0277】
本開示に従えば、細胞によって導入されたか、または細胞中に導入された、すなわち形質移入されたか、または形質導入されたペプチドまたはタンパク質をコードする核酸、例えばRNA(好ましくはmRNA)(細胞はインビトロで存在しても対象内に存在してもよい)は、前記ペプチドまたは前記タンパク質の発現をもたらすことが好ましい。細胞は、コードされたペプチドまたはタンパク質を細胞内で(例えば、細胞質内で、および/または核内で)発現し得、コードされたペプチドまたはタンパク質を分泌し得、または表面上で発現し得る。
【0278】
本開示に従えば、「核酸発現」および「核酸コーディング」等の用語または類似の用語は、本明細書中で互換的に用いられており、かつ特定のペプチドまたはポリペプチドに関して、核酸は、適切な環境中に、好ましくは細胞内に存在するならば、発現されて前記ペプチドまたは前記ポリペプチドを産生することができることを意味する。
【0279】
本開示に従えば、ペプチドまたはタンパク質の一部または断片が、好ましくは、それが由来したペプチドまたはタンパク質の少なくとも1つの機能特性を有する。そのような機能特性は、薬理活性、他のペプチドまたはタンパク質との相互作用、酵素活性、抗体との相互作用、および核酸の選択的結合を含む。例えば、ペプチドまたはタンパク質の薬理活性断片は、断片が由来したペプチドまたはタンパク質の薬理活性の少なくとも1つを有する。ペプチドまたはタンパク質の一部または断片は、好ましくは、少なくとも6、特に、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、または少なくとも50個の、ペプチドまたはタンパク質の連続アミノ酸の配列を含む。ペプチドまたはタンパク質の一部または断片は、好ましくは、最大8個、特に、最大10、最大12、最大15、最大20、最大30、または最大55個の、ペプチドまたはタンパク質の連続アミノ酸の配列を含む。
【0280】
本開示に従えば、ペプチドまたはタンパク質の類似体は、それが由来した前記ペプチドまたは前記タンパク質の修飾形態であり、前記ペプチドまたは前記タンパク質の少なくとも1つの機能特性を有する。例えば、ペプチドまたはタンパク質の薬理活性類似体は、類似体が由来したペプチドまたはタンパク質の薬理活性の少なくとも1つを有する。そのような修飾は、あらゆる化学修飾を含み、タンパク質またはペプチドと関連するあらゆる分子、例えば、炭水化物、脂質、および/またはタンパク質もしくはペプチドの単一または複数の置換、欠失、および/または付加を含む。一実施形態において、タンパク質またはペプチドの「類似体」として、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、パルミトイル化、ミリストイル化、イソプレニル化、脂質化、アルキル化、誘導体化、保護基/ブロッキング基の導入、抗体への、または別の細胞リガンドへのタンパク質分解性切断または結合に由来する修飾形態が挙げられる。また、用語「類似体」は、前記タンパク質および前記ペプチドの全ての機能化学均等物に及ぶ。
【0281】
本開示に従う「抗原」は、免疫応答を誘発することとなるあらゆる物質、および/または免疫応答もしくは免疫機構、例えば細胞性応答が向けられるあらゆる物質を包含する。また、これは、特にMHC分子の文脈において提示されるならば、抗原が抗原ペプチドにプロセシングされて、免疫応答または免疫機構が、1つまたは複数の抗原ペプチドに向けられる状況を含む。特に、「抗原」は、抗体またはTリンパ球(T細胞)と特異的に反応するあらゆる物質、好ましくはペプチドまたはタンパク質に関する。本発明に従えば、用語「抗原」は、少なくとも1つのエピトープ、例えばT細胞エピトープを含むあらゆる分子を含む。好ましくは、本開示の文脈における抗原は、適宜プロセシングの後に、好ましくは抗原(抗原を発現する細胞を含む)に特異的である免疫反応を誘導する分子である。一実施形態において、抗原は、疾患関連抗原、例えば、腫瘍抗原、ウイルス抗原、もしくは細菌抗原、またはそのような抗原に由来するエピトープである。
【0282】
本開示に従えば、免疫応答の候補である適切なあらゆる抗原が用いられてよく、免疫応答は液性免疫応答および細胞性免疫応答の双方であってよい。本開示の一部の実施形態の文脈において、抗原は好ましくは、MHC分子の文脈において、細胞によって、好ましくは抗原提示細胞によって提示されて、抗原に対する免疫応答がもたらされる。抗原は、好ましくは、天然に存在する抗原に相当するか、または由来する生成物である。そのような天然に存在する抗原は、アレルゲン、ウイルス、細菌、菌類、寄生虫、ならびに他の感染性エージェント(agent)および病原体を含んでもよいし、これらに由来してもよいし、抗原は、腫瘍抗原であってもよい。本発明に従えば、抗原は、天然に存在する生成物、例えば、ウイルスタンパク質またはその一部に相当し得る。
【0283】
好ましい実施形態において、抗原は、腫瘍抗原、すなわち、腫瘍細胞の一部、特に、主に細胞内に、または腫瘍細胞の表面抗原として出現するものである。別の実施形態において、抗原は、病原体関連抗原、すなわち、病原体に、例えば、ウイルス、細菌、単細胞生物、または寄生虫、例えばウイルス抗原、例えばウイルスリボ核タンパク質またはコートタンパク質に由来する抗原である。特に、抗原は、MHC分子によって提示されるべきであり、これは、特にT細胞受容体の活性のモジュレーションを介して、免疫系の細胞、好ましくはCD4+およびCD8+リンパ球のモジュレーション、特に活性化をもたらす。
【0284】
用語「疾患関連抗原」は、最も広義に用いられて、疾患と関連するあらゆる抗原を指す。疾患関連抗原は、疾患に対して細胞抗原特異的免疫応答および/または液性抗体応答を起こすように宿主の免疫系を刺激することとなるエピトープを含有する分子である。疾患関連抗原として、病原体関連抗原、すなわち、微生物による感染と関連する抗原、典型的には微生物抗原(例えば細菌抗原もしくはウイルス抗原)、またはがん、典型的には腫瘍と関連する抗原、例えば腫瘍抗原が挙げられる。
【0285】
用語「腫瘍抗原」は、がん細胞の、細胞質、細胞表面、または細胞核に由来し得る構成成分を指す。特に、細胞内に、または腫瘍細胞上の表面抗原として産生される抗原を指す。例えば、腫瘍抗原として、癌胎児性(carcinoembryonal)抗原、α1-フェトプロテイン、イソフェリチンおよび胎児性スルホ糖タンパク質、α2-H-鉄タンパク質およびγ-フェトプロテイン、ならびに種々のウイルス腫瘍抗原が挙げられる。本開示に従えば、腫瘍抗原は、好ましくは、タイプおよび/または発現レベルに関して、腫瘍またはがんに、かつ腫瘍細胞またはがん細胞に特有であるあらゆる抗原を含む。
【0286】
用語「ウイルス抗原」は、抗原特性を有する、すなわち個体において免疫応答を誘発することができるあらゆるウイルス構成要素を指す。ウイルス抗原は、ウイルスリボ核タンパク質またはエンベロープタンパク質であってもよい。
【0287】
用語「細菌抗原」は、抗原特性を有する、すなわち個体において免疫応答を誘発することができるあらゆる細菌構成要素を指す。細菌抗原は、細菌の細胞壁または細胞質膜に由来し得る。
【0288】
用語「エピトープ」は、分子、例えば抗原における抗原性決定因子を、すなわち、免疫系によって認識される、例えば、特にMHC分子の文脈において提示される場合、抗体T細胞またはB細胞によって認識される分子の一部またはその断片を指す。タンパク質のエピトープは、好ましくは、前記タンパク質の連続的な、または非連続的な部分を含み、好ましくは約5~約100、好ましくは約5~約50、より好ましくは約8~約0、最も好ましくは約10~約25個のアミノ酸長であり、例えば、エピトープは好ましくは、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸長であってよい。本発明の文脈におけるエピトープは、T細胞エピトープであることが特に好ましい。
【0289】
用語「エピトープ」、「抗原の断片」、「免疫原性ペプチド」、および「抗原ペプチド」等は、本明細書中で互換的に用いられており、好ましくは、抗原、または抗原を発現し、もしくは含み、かつ好ましくは提示する細胞に対する免疫応答を好ましくは誘発することができる抗原の不完全な表現に関する。好ましくは、当該用語は、抗原の免疫原性部分に関する。好ましくは、特にMHC分子の文脈において提示されるならば、T細胞受容体によって認識される(すなわち、特異的に結合される)抗原の部分である。特定の好ましい免疫原性部分は、MHCクラスIまたはクラスII分子に結合する。
【0290】
用語「T細胞エピトープ」は、MHC分子の文脈において提示される場合、T細胞によって認識されるタンパク質の一部または断片を指す。用語「主要組織適合性複合体」および略語「MHC」は、MHCクラスIおよびMHCクラスII分子を含み、全脊椎動物中に存在する遺伝子の複合体に関する。MHCタンパク質またはMHC分子は、免疫反応において、リンパ球と抗原提示細胞または疾患細胞との間のシグナル伝達にとって重要であり、MHCタンパク質またはMHC分子は、ペプチドエピトープに結合して、これを、T細胞上のT細胞受容体による認識のために提示する。MHCによってコードされるタンパク質は、細胞の表面上に発現されて、自己抗原(細胞それ自体由来のペプチド断片)および非自己抗原(例えば、侵入微生物の断片)の双方をT細胞に提示する。クラスI MHC/ペプチド複合体の場合、結合ペプチドは、典型的に、約8~約10個のアミノ酸長であるが、より長いか、またはより短いペプチドが有効である場合がある。クラスII MHC/ペプチド複合体の場合、結合ペプチドは、典型的に、約10~約25個のアミノ酸長であり、特に約13~約18個のアミノ酸長であるが、より長いペプチド、およびより短いペプチドが有効である場合がある。
【0291】
用語「標的」は、エージェント、例えば、免疫応答、例えば細胞性免疫応答についての標的である細胞または組織を意味するものとする。標的として、抗原または抗原エピトープ、すなわち抗原に由来するペプチド断片を提示する細胞が挙げられる。一実施形態において、標的細胞は、抗原を発現し、かつ好ましくは前記抗原をクラスI MHCに提示する細胞である。
【0292】
用語「部分」は、画分を指す。特定の構造、例えば、アミノ酸配列またはタンパク質に関して、用語、その「部分」は、前記構造の連続的な、または非連続的な画分を示し得る。
【0293】
用語「一部」および「断片」は、本明細書中で互換的に用いられており、連続的な要素を指す。例えば、構造、例えばアミノ酸配列またはタンパク質の一部は、前記構造の連続的な要素を指す。組成物の文脈において用いられる場合、用語「一部」は、組成物の部分を意味する。例えば、組成物の一部は、前記組成物の0.1%~99.9%のあらゆる部分(例えば、0.1%、0.5%、1%、5%、10%、50%、90%、または99%)であってよい。
【0294】
「抗原プロセシング」は、抗原の、前記抗原の断片であるプロセシング生成物への分解(例えば、タンパク質の、ペプチドへの分解)、および細胞、好ましくは抗原提示細胞による、特定のT細胞への提示のための、断片の1つまたは複数の、MHC分子との会合(例えば、結合を介した)を指す。
【0295】
「抗原応答性CTL」は、抗原提示細胞の表面上のクラスI MHCにより提示される抗原、または前記抗原に由来するペプチドに応答性であるCD8T細胞を意味する。
【0296】
本発明に従えば、CTL応答性として、持続カルシウムフラックス(sustained calcium flux)、細胞分裂、サイトカイン、例えばIFN-γおよびTNF-αの産生、活性化マーカー、例えばCD44およびCD69の上方制御、および腫瘍抗原発現標的細胞の特異的な細胞溶解性の死滅が挙げられ得る。また、CTL応答性は、CTL応答性を正確に示す人工リポーターを用いて決定されてもよい。
【0297】
用語「免疫応答」および「免疫反応」は、本明細書中で従来の意味で互換的に用いられており、抗原に対する統合した身体応答を指し、好ましくは細胞性免疫応答、液性免疫応答、または双方を指す。本発明に従えば、用語、エージェント、例えば、抗原、細胞、または組織に関する「への免疫応答」または「に対する免疫応答」は、免疫応答、例えばエージェントに対して向けられる細胞性応答に関する。免疫応答は、1つまたは複数の抗原に対する抗体の発達、および抗原特異的Tリンパ球、好ましくはCD4およびCD8Tリンパ球、より好ましくはCD8Tリンパ球の増殖からからなる群から選択される1つまたは複数の反応を含んでよく、これは、種々の増殖試験またはサイトカイン産生試験によりインビトロ検出され得る。
【0298】
本発明の文脈における用語「免疫応答を誘導すること」および「免疫応答を誘発すること」、ならびに類似の用語は、免疫応答の誘導、好ましくは細胞性免疫応答、液性免疫応答、または双方の誘導を指す。免疫応答は、保護的/予防的(preventive)/予防的(prophylactic)、および/または治療的であってよい。免疫応答は、あらゆる免疫原または抗原または抗原ペプチドに対して、好ましくは腫瘍関連抗原、または病原体関連抗原[例えば、ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス(A、B、またはC)、CMV、またはRSV)の抗原]に対して向けられてよい。この文脈における「誘導すること」は、誘導の前に特定の抗原または病原体に対する免疫応答がなかったことを意味し得るが、また、免疫応答が増強される誘導の前に、かつ誘導の後に、特定の抗原または病原体に対する特定のレベルの免疫応答があったことを意味し得る。ゆえに、この文脈において、「免疫応答を誘導すること」は、「免疫応答を増強すること」も含む。好ましくは、免疫応答を個体において誘導した後に、前記個体は、疾患、例えば感染性の疾患もしくはがん性の疾患を発病することから保護され、または疾患の症状は、免疫応答を誘導することによって寛解する。
【0299】
用語「細胞性免疫応答」、「細胞性応答」、「細胞媒介性免疫」、または類似の用語は、抗原の発現および/またはクラスIもしくはクラスII MHCによる抗原の提示によって特徴付けられる細胞に向けられる細胞性応答を含むことを意味する。細胞性応答は、「ヘルパー」または「キラー」の機能を果たす、T細胞またはTリンパ球と呼ばれる細胞に関する。ヘルパーT細胞(CD4T細胞とも称される)は、免疫応答を調節することによって中心的な役割を果たし、キラー細胞(細胞障害性T細胞、細胞溶解性T細胞、CD8T細胞、またはCTLとも称される)は、細胞、例えば疾患細胞を死滅させる。
【0300】
用語「液性免疫応答」は、生きている生物におけるプロセスを指し、そこでは抗体が、エージェントおよび生物に応答して産生され、最終的に中和かつ/または排除される。抗体応答の特異性は、Tおよび/またはB細胞によって、単一の特異性の抗原に結合する膜関連受容体を介して媒介される。適切な抗原の結合、および種々の他の活性化シグナルの受取りの後に、Bリンパ球が分裂して、記憶B細胞および抗体分泌プラズマ細胞クローンが生じ、各々が、その抗原受容体によって認識されるのと同一の抗原性エピトープを認識する抗体を産生する。記憶Bリンパ球は、後にその特異的抗原によって活性化されるまで、休止状態のままである。これらのリンパ球は、特異的抗原に再曝露されると、抗体応答において、細胞ベースの記憶および結果として生じる漸増を実現する。
【0301】
本明細書中で用いられる用語「抗体」は、免疫グロブリン分子を指し、これは、抗原上のエピトープに特異的に結合することができる。特に、用語「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結した少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質を指す。用語「抗体」は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、および前述のあらゆるものの組合せを含む。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)で構成される。また、可変領域および定常領域は、本明細書中で、それぞれ可変ドメインおよび定常ドメインと称される。VH領域およびVL領域はさらに、超可変性の領域[相補性決定領域(CDR)と称される]に再分割され得、より保存された領域[フレームワーク領域(FR)と称される]が散在する。各VHおよび各VLは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端まで、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される。VHのCDRは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3と称され、VLのCDRは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3と称される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、重鎖定常領域(CH)および軽鎖定常領域(CL)を含み、CHはさらに、定常ドメインCH1、ヒンジ領域、ならびに定常ドメインCH2およびCH3(アミノ末端からカルボキシ末端まで、以下の順序:CH1、CH2、CH3で配置される)に再分割され得る。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの、宿主組織または宿主因子[免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の構成要素(C1q)が挙げられる]への結合を媒介し得る。抗体は、天然の源に、または組換え源に由来するインタクト免疫グロブリンであり得、かつインタクト免疫グロブリンの免疫活性部分であり得る。抗体は、典型的に、免疫グロブリン分子のテトラマーである。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab、およびF(ab)、ならびに単鎖抗体およびヒト化抗体が挙げられる種々の形態で存在し得る。
【0302】
用語「免疫グロブリン」は、免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質に、好ましくは抗原受容体、例えば抗体またはB細胞受容体(BCR)に関する。免疫グロブリンは、特有の免疫グロブリン(Ig)フォールドを有する構造ドメイン、すなわち免疫グロブリンドメインによって特徴付けられる。当該用語は、膜結合免疫グロブリンおよび可溶性免疫グロブリンを包含する。また、膜結合免疫グロブリンは、表面免疫グロブリンまたは膜免疫グロブリンと称され、これは通常、BCRの一部である。可溶性免疫グロブリンは、通常、抗体と称される。免疫グロブリンは、通常、いくつかの鎖、典型的には2本の同一の重鎖および2本の同一の軽鎖を含み、これらはジスルフィド結合を介して結合されている。これらの鎖は、主に、免疫グロブリンドメイン、例えば、V(可変軽鎖)ドメイン、C(定常軽鎖)ドメイン、V(可変重鎖)ドメイン、ならびにC(定常重鎖)ドメインC1、C2、C3、およびC4で構成される。哺乳動物の免疫グロブリン重鎖の5つのタイプ、すなわち、α、δ、ε、γ、およびμが存在し、これらは、様々なクラスの抗体、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMを構成する。可溶性免疫グロブリンの重鎖とは対照的に、膜免疫グロブリンまたは表面免疫グロブリンの重鎖は、そのカルボキシ末端に膜貫通ドメインおよび短い細胞質ドメインを含む。哺乳動物において、2つのタイプの軽鎖、すなわち、ラムダおよびカッパが存在する。免疫グロブリン鎖は、可変領域および定常領域を含む。定常領域は、本質的に、免疫グロブリンの様々なアイソタイプ内に保存されており、可変部は非常に多種多様であり、抗原認識の原因である。
【0303】
用語「ワクチン接種」および「免疫化」は、個体を治療的理由または予防的理由のために処置するプロセスを説明し、1つまたは複数の免疫原もしくは抗原またはその誘導体を、特に、これをコードする、本明細書中に記載されるRNAの形態で、個体に投与して、前記1つもしくは複数の免疫原もしくは抗原、または前記1つもしくは複数の免疫原もしくは抗原の提示によって特徴付けられる細胞に対する免疫応答を誘発する手順に関する。
【0304】
「抗原の提示によって特徴付けられる細胞」もしくは「抗原を提示する細胞」もしくは「抗原提示細胞の表面上に抗原を提示するMHC分子」または類似の表現は、MHC分子、好ましくはMHCクラスIおよび/またはMHCクラスII分子、最も好ましくはMHCクラスI分子の文脈において、疾患細胞、特に腫瘍細胞、または直接的に、もしくはプロセシングに従って、抗原もしくは抗原ペプチドを提示する抗原提示細胞等の細胞を意味する。
【0305】
本開示の文脈において、用語「転写」は、DNA配列中の遺伝コードがRNAに転写されるプロセスに関する。その後、RNAはペプチドまたはタンパク質に翻訳されてもよい。
【0306】
RNAに関して、用語「発現」または「翻訳」は、mRNAの鎖が、アミノ酸の配列のアセンブリーにペプチドまたはタンパク質を形成するように指示する、細胞のリボソーム内でのプロセスに関する。
【0307】
本明細書中で用いられる用語「必要に応じた」または「適宜」は、後に記載される事象、状況、または状態が、起こっても起こらなくてもよいこと、そして記載が、前記事象、状況、または状態が起こる例、および起こらない例を含むことを意味する。
【0308】
回転軸周りの粒子の「回転半径」(本明細書中でRと略される)は、粒子の全質量が一点に集められるとされるならば、所与の軸周りの慣性モーメントが、質量の実際の分布と同じとなる、回転軸からの点の半径方向距離である。数学的に、Rは、粒子の構成要素の、質量中心または所与の軸からの二乗平均平方根距離である。例えば、質量中心から固定距離sにて位置決めされた、質量mの、n質量要素で構成される巨大分子について(i=1、2、3、…、n)、Rは、全ての質量要素についてのsiの質量平均の平方根であり、以下のように算出され得る:
【0309】
【数2】
【0310】
回転半径は、実験的に、例えば光散乱を用いることによって、求めることができ、または算出することができる。特に、小さな散乱ベクトル(
【0311】
【数3】
)について、構造関数Sは、以下のように定義される:
【0312】
【数4】
式中、Nは、構成要素の数である(ギニエの法則)。
【0313】
「D10値」は、特に粒子の定量的サイズ分布に関して、粒子の10%の直径が、ある値未満の直径である。D10値は、粒子の集団内で(例えば、フィールド-フローフラクショネーションから得た粒子ピーク内で)最も小さな粒子の割合を説明する手段である。
【0314】
「D50値」は、特に粒子の定量的サイズ分布に関して、粒子の50%の直径が、ある値未満の直径である。D50値は、粒子の集団の(例えば、フィールド-フローフラクショネーションから得た粒子ピーク内の)平均粒子サイズを説明する手段である。
【0315】
「D90値」は、特に粒子の定量的サイズ分布に関して、粒子の90%の直径が、ある値未満の直径である。「D95」、「D99」および「D100」値は、対応する意味を有する。D90、D95、D99、およびD100値は、粒子の集団内で(例えば、フィールド-フローフラクショネーションから得た粒子ピーク内で)より大きな粒子の割合を説明する手段である。
【0316】
粒子の「流体力学半径」(時折、「ストークス半径」または「ストークス-アインシュタイン半径」と呼ばれる)は、前記粒子と同じ速度にて拡散する仮定的剛体球の半径である。流体力学半径は、サイズだけではなく溶媒効果も考慮した、粒子の運動能に関する。例えば、水和がより強い、より小さな帯電粒子ほど、水和がより弱い、より大きな帯電粒子よりも流体力学半径が大きくなり得る。これは、溶液を通して移動するにつれ、粒子が小さいほど水分子の数をより多くドラッグするからである。溶媒中の粒子の実際の寸法は直接的に測定可能でないので、流体力学半径は、ストークス-アインシュタイン式によって定義されてよい:
【0317】
【数5】
式中、kはボルツマン定数であり;Tは温度であり;ηは溶媒の粘性であり;Dは拡散係数である。拡散係数は実験的に、例えば動的光散乱(DLS)を用いることによって、求めることができる。ゆえに、粒子または粒子の集団の流体力学半径(例えば、本明細書中で開示される試料もしくは対照組成物中に含有される粒子の流体力学半径、またはそのような試料もしくは対照組成物をフィールド-フローフラクショネーションに供することから得た粒子ピークの流体力学半径)を求める一手順は、前記粒子または前記粒子の集団のDLSシグナル(例えば、本明細書中で開示される試料もしくは対照組成物中に含有される粒子のDLSシグナル、またはそのような試料もしくは対照組成物をフィールド-フローフラクショネーションに供することから得た粒子ピークのDLSシグナル)を測定することである。
【0318】
本明細書中で用いられる用語「シェイプファクター」は、R値(例えば再計算されたR値)の、流体力学半径(R)値に対する比率を意味する。これは、R値(例えば再計算されたR値)を流体力学半径(R)値に対してプロットして、データポイントを関数(例えば線形関数)に適合させることによって求めることができ、または算出することができる。
【0319】
本明細書中で用いられる用語「フォームファクター」は、流体力学半径(R)値の、R値(例えば再計算されたR値)に対する比率を意味する。これは、流体力学半径(R)値をR値(例えば再計算されたR値)に対してプロットして、データポイントを関数(例えば線形関数)に適合させることによって求めることができ、または算出することができる。
【0320】
本明細書中で用いられる表現「核酸封入効率」は、核酸および粒子を含む試料または対照組成物中に含有される封入核酸の量の、試料または対照組成物中に含有される核酸の総量に対する比率を意味する。例えば、核酸がRNAである場合には、本明細書中で用いられる表現「RNA封入効率」は、RNAおよび粒子を含む試料または対照組成物中に含有される封入RNAの量の、試料または対照組成物中に含有されるRNAの総量に対する比率を意味する。
【0321】
本明細書中で用いられる用語「膜」は、分子を、「カットオフ」[例えば分子量(MW)カットオフ]と呼ばれる特定のサイズ下で通過させるが、前記特定のサイズを超える分子を止める(すなわち、カットオフ、例えばMWカットオフ)サイズ選択的バリアを指す。好ましくは、膜は合成のものである。本開示の方法および/または使用に適した膜の例として、限外濾過膜、ポリエーテルスルホン(PES)膜、再生セルロース膜、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜、および他の限外濾過膜が挙げられる。
【0322】
本明細書中で用いられる用語「凝集体」は、粒子が互いに同一であるか、または非常に類似しており、かつ非共有結合的に(例えば、イオン相互作用、H架橋相互作用、双極子相互作用、および/またはファンデルワールス相互作用を介して)付着している粒子のクラスターに関する。
【0323】
本明細書中で用いられる表現「光散乱」は、光が、光が通過する媒体中での局在化された不均一性に起因して、1つまたは複数の経路による直線的軌跡から逸脱するように強いられる物理的プロセスを指す。
【0324】
用語「UV」は、紫外線を意味し、波長が10nmから400nm、すなわち、可視光よりも短いがX線よりも長い電磁スペクトルの帯域を示す。
【0325】
本明細書中で用いられる用語「円二色性分光法」または「CD分光法」は、円偏光を用いた分光法を指す。好ましくは、CD分光法は、左回りの光および右回りの光の差分吸収を包含する。
【0326】
用語「UV CD光」または「UV CDシグナル」は、波長が10nmから400nm、すなわち、可視光よりも短いがX線よりも長い円偏光を意味する。
【0327】
本明細書中で用いられる表現「多角度光散乱」またはMALSは、試料によって複数の角度に散乱する光を測定するための技術に関する。「多角度」は、この点で、例えば、選択された特定の角度を含む範囲にわたって移動する単一の検出器、または特定の角位置にて固定された検出器のアレイによって測定される様々な離散角度にて、散乱光が検出され得ることを意味する。好ましい一実施形態において、MALSに用いられる光源は、レーザー源(MALLS:多角度レーザー光散乱)である。粒子を含む組成物のMALSシグナルに基づいて、そして適切なフォーマリズム(例えば、Zimmプロット、Berryプロット、またはDebyeプロット)を用いることによって、回転半径(R)を、ゆえに前記粒子のサイズを求めることが可能である。好ましくは、Zimmプロットは、以下の式を用いたグラフ表示である:
【0328】
【数6】
式中、cは、溶媒中の粒子の質量濃度(g/mL)であり;Aは、第2のビリアル係数(mol・mL/g)であり;P(θ)は、散乱光強度の、角度への依存性に関するフォームファクターであり;Rθは、過剰レイリー比(cm-1)であり;Kは、4πη(dn/dc)λ -4 -1に等しい光学定数であり、ここで、ηは、入射放射線(減圧)波長での溶媒の屈折率であり、λは、入射放射線(減圧)波長(nm)であり、Nはアボガドロ数(mol-1)であり、dn/dcは差分屈折率増分(mL/g)である[例えば、Buchholz et al. (Electrophoresis 22 (2001), 4118-4128);B.H. Zimm (J. Chem. Phys. 13 (1945), 141;P. Debye (J. Appl. Phys. 15 (1944): 338;およびW. Burchard (Anal. Chem. 75 (2003), 4279-4291参照]。好ましくは、Berryプロットは、関係:
【0329】
【数7】
に従って算出され、式中、c、Rθ、およびKは、先で定義される通りである。好ましくは、Debyeプロットは、関係:
【0330】
【数8】
に従って算出され、式中、c、Rθ、およびKは、先で定義される通りである。したがって、核酸(とりわけRNA)は、先で提供される定義という意味において、粒子ではないが、核酸(とりわけRNA)のサイズは、核酸(とりわけRNA)がランダムコイルの形態であるとすると、先のフォーマリズム(例えば、Zimmプロット、Berryプロット、またはDebyeプロット)のいずれを用いても求めることができる。したがって、本開示の方法および/または使用の一実施形態において、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。本開示の方法および/または使用の別の実施形態において、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される。本開示の方法および/または使用の別の実施形態において、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて、かつ別途、核酸(例えばRNA)のR値に基づいて算出される[すなわち、この実施形態は、核酸(例えばRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布についての2つのデータセットをもたらし、一方はR値に基づき、かつ一方はR値に基づく]。
【0331】
本明細書中で用いられる表現「動的光散乱」または「DLS」は、特に粒子の流体力学半径に関する、粒子のサイズおよびサイズ分布プロファイルを求めるための技術を指す。単色光源、通常レーザーは、偏光子によって試料中に放射される。続いて、散乱光が第2の偏光子から入って検出されて、結果として生じる画像がスクリーン上に投影される。溶液中の粒子は、光が衝突して、光を全方向に回析する。粒子からの回析光は、建設的に干渉することも(明領域)、破壊的に干渉することも(暗領域)できる。このプロセスは、短い時間間隔にて繰り返されて、スペックルパターンの結果として生じるセットが、経時的に各スポットでの光の強度を比較するオートコリレータによって分析される。
【0332】
本明細書中で用いられる表現「静的光散乱」または「SLS」は、特に粒子の回転半径、および/または粒子のモル質量に関する、粒子のサイズおよびサイズ分布プロファイルを求める技術を指す。高強度単色光、通常レーザーが、粒子を含有する溶液中に発射される。1つまたは多くの検出器が、1つまたは多くの角度での散乱強度を測定するのに用いられる。角度依存性が、全ての巨大分子の半径について、モル質量およびサイズの双方の正確な測定値を得るのに必要とされる。それゆえに、入射光の方向に対するいくつかの角度での同時測定[多角度光散乱(MALS)または多角度レーザー光散乱(MALLS)として知られている]が、通常、静的光散乱の標準的な実施とみなされる。
【0333】
表現「溶出時間」および「保持時間」は、本明細書中で互換的に用いられており、特定の分析物が、設定された条件の下で、系(例えば、フィールド-フローフラクショネーションデバイスの注入点から、検出器まで)を通過するのにかかる期間に関する。
【0334】
表現「連続的変化」は、ある値から異なる値への変化が絶え間なく、すなわちいかなるジャンプもなく実行されることを意味する。連続的変化の例として、線形変化または指数関数的変化(例えば、線形勾配または指数勾配)がある。
【0335】
表現「段階的変化」は、ある値から異なる値への変化が連続的でなく、第1の特定の値から第2の特定の値までジャンプすることによって、第1の値と第2の値との間の少なくとも1つを省くことを意味する。段階的変化の一例が、第1の値(例えば10mL/分)から始まり、かつ第2の値(例えば0mL/分)にて終了するフローレートプロファイルであり、このプロファイルの間、フローレートは整数(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、または0mL/分)のみであることによって、これらの整数の間の値を省くことができる。
【0336】
本明細書中で用いられる表現「核酸(例えばRNA)および適宜粒子を含む組成物を用意すること」は、そのような組成物が、あらゆる手段によって用意されることを意味し、例えば、調製されてもよく、プロセシングされてもよく(例えば、精製かつ/または乾燥される)、かつ/または貯蔵されてもよい。
【0337】
核酸
本開示に従えば、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、それらの組合せ、およびそれらの修飾型を含む。当該用語は、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、組換えにより生成された分子、および化学的に合成された分子を含む。本開示に従えば、核酸は、一本鎖として存在しても、二本鎖として存在してもよく、直鎖状分子であっても、共有結合的に環状に閉じた分子であってもよい。核酸は、本開示に従えば、単離することができる。用語「単離した核酸」は、本開示に従えば、核酸が、(i)インビトロで、例えばDNAについてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、もしくはRNAについてインビトロ転写(例えばRNAポリメラーゼを用いる)を介して増幅され、(ii)クローニングによって組換えにより生成され、(iii)例えば、ゲル電気泳動による切断および分離により精製され、または(iv)例えば化学合成によって合成されたことを意味する。
【0338】
用語「ヌクレオシド」(本明細書中で「N」と略される)は、リン酸基のないヌクレオチドと考えることができる化合物に関する。ヌクレオシドは、糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)に結合された核酸塩基である一方、ヌクレオチドは、ヌクレオシドおよび1つまたは複数のリン酸基で構成される。ヌクレオシドの例として、シチジン、ウリジン、シュードウリジン、アデノシン、およびグアノシンが挙げられる。
【0339】
通常、天然に存在する核酸を構成する5つの標準的なヌクレオシドは、ウリジン、アデノシン、チミジン、シチジン、およびグアノシンである。5つのヌクレオシドは一般的にそれぞれ、それらの一文字コードU、A、T、C、およびGと略される。しかしながら、チミジンは、より一般的に、ウリジンにおいて見出されるリボフラノース環ではなく2’-デオキシリボフラノース部分を含有するので、「dT」(dはデオキシを表す)として記される。これは、チミジンがデオキシリボ核酸(DNA)において見出され、リボ核酸(RNA)では見出されないからである。逆に言えば、ウリジンは、RNAにおいて見出され、DNAでは見出されない。残りの3つのヌクレオシドは、RNAおよびDNAの双方において見出され得る。RNAにおいて、これらはA、C、およびGと表されるが、DNAにおいて、dA、dC、およびdGと表される。
【0340】
修飾プリン(AまたはG)またはピリミジン(C、T、またはU)塩基部分は、好ましくは1つまたは複数のアルキル基、より好ましくは1つまたは複数のC1~4アルキル基、さらにより好ましくは1つまたは複数のメチル基によって修飾されている。修飾プリンまたはピリミジン塩基部分の特定の例として、N-アルキル-グアニン、N-アルキル-アデニン、5-アルキル-シトシン、5-アルキル-ウラシル、およびN(1)-アルキル-ウラシル、例えば、N-C1~4アルキル-グアニン、N-C1~4アルキル-アデニン、5-C1~4アルキル-シトシン、5-C1~4アルキル-ウラシル、ならびにN(1)-C1~4アルキル-ウラシル、好ましくはN-メチル-グアニン、N-メチル-アデニン、5-メチル-シトシン、5-メチル-ウラシル、およびN(1)-メチル-ウラシルが挙げられる。
【0341】
本開示において、用語「DNA」は、デオキシリボヌクレオチド残基を含む核酸分子に関する。好ましい実施形態において、DNAは、全てまたは大多数のデオキシリボヌクレオチド残基を含有する。本明細書中で用いられる「デオキシリボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にてヒドロキシル基を欠いているヌクレオチドを指す。DNAは、限定されないが、二本鎖DNA、一本鎖DNA、単離したDNA、例えば、部分的に精製されたDNA、本質的に純粋なDNA、合成DNA、組換えにより生成されたDNA、ならびに1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換、および/または変更によって、天然に存在するDNAと異なる修飾DNAを包含する。そのような変更は、内部DNAヌクレオチドへの、またはDNAの末端への、非ヌクレオチド材料の付加を指し得る。また、本明細書中で、DNA中のヌクレオチドが、非標準ヌクレオチド、例えば化学的に合成されたヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであってもよいことが意図される。本開示について、変更されたDNAは、天然に存在するDNAの類似体と考える。分子は、分子中のデオキシリボヌクレオチド残基の含量が、分子中のヌクレオチド残基の総数に基づいて50%を超える(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)ならば、「大多数のデオキシリボヌクレオチド残基」を含有する。分子中のヌクレオチド残基の総数は、全てのヌクレオチド残基[ヌクレオチド残基が標準(すなわち、天然に存在する)ヌクレオチド残基またはその類似体であるかに拘わらない]の合計である。
【0342】
一実施形態において、DNAは、組換えDNAであり、特定のcDNAにおける核酸のクローニングによって得てもよい。cDNAは、RNAの逆転写によって得ることができる。
【0343】
本開示において、用語「RNA」は、リボヌクレオチド残基を含む核酸分子に関する。好ましい実施形態において、RNAは、全てまたは大多数のリボヌクレオチド残基を含有する。本明細書中で用いられる「リボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にてヒドロキシル基を有するヌクレオチドを指す。RNAは、限定されないが、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離したRNA、例えば、部分的に精製されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えにより生成されたRNA、ならびに1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換、および/または変更によって、天然に存在するRNAと異なる修飾RNAを包含する。そのような変更は、内部RNAヌクレオチドへの、またはRNAの末端への、非ヌクレオチド材料の付加を指し得る。また、本明細書中で、RNA中のヌクレオチドが、非標準ヌクレオチド、例えば化学的に合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドであってもよいことが意図される。本開示について、変更/修飾されたヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオチドの類似体と称され得、そのような変更/修飾されたヌクレオチド(すなわち、変更/修飾されたRNA)を含有する対応するRNAは、天然に存在するRNAの類似体と称され得る。分子は、分子中のリボヌクレオチド残基の含量が、分子中のヌクレオチド残基の総数に基づいて50%を超える(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)ならば、「大多数のリボヌクレオチド残基」を含有する。分子中のヌクレオチド残基の総数は、全てのヌクレオチド残基[ヌクレオチド残基が標準(すなわち、天然に存在する)ヌクレオチド残基またはその類似体であるかに拘わらない]の合計である。
【0344】
本開示に従えば、「RNA」として、mRNA、tRNA、リボソームRNA(rRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、自己増幅RNA(saRNA)、一本鎖RNA(ssRNA)、dsRNA、阻害RNA[例えば、アンチセンスssRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、またはマイクロRNA(miRNA)]、活性化RNA(例えば低分子活性化RNA)、および免疫刺激性RNA(isRNA)が挙げられる。
【0345】
本明細書中で用いられる用語「インビトロ転写」または「IVT」は、転写(すなわち、RNAの生成)が無細胞の様式で行われることを意味する。すなわち、IVTは、生細胞/培養細胞ではなく、細胞から抽出される転写機構[例えば、細胞溶解液またはその単離した構成要素(RNAポリメラーゼ(好ましくは、T7、T3またはSP6ポリメラーゼ)が挙げられる)]を用いる。
【0346】
本開示に従えば、用語「mRNA」は、「メッセンジャーRNA」を意味し、DNA鋳型を用いることによって生成され得、かつペプチドまたはタンパク質をコードし得る「転写産物」に関する。典型的には、mRNAは、5’-UTR、ペプチド/タンパク質コーディング領域、および3’-UTRを含む。本開示の文脈において、mRNAは、好ましくは、DNA鋳型からインビトロ転写(IVT)によって生成される。先に示されるように、インビトロ転写方法論は、当業者に知られており、種々のインビトロ転写キットが商業的に入手可能である。
【0347】
mRNAは一本鎖であるが、自己相補的配列を含有してもよく、これにより、mRNAの一部が折り重なって、それ自体と対形成して二重螺旋を形成することができる。
【0348】
本開示に従えば、「dsRNA」は、二本鎖RNAを意味し、2本の部分的に、または完全に相補的な鎖を有するRNAである。
【0349】
RNAの長さは、10ヌクレオチドから15,000、例えば40~15,000、100~12,000、または200~10,000ヌクレオチドまで変動し得る。一実施形態において、RNAは阻害RNAであり、10~100ヌクレオチド(例えば、多くとも90ヌクレオチド、多くとも80ヌクレオチド、多くとも70ヌクレオチド、多くとも60ヌクレオチド、多くとも50ヌクレオチド、多くとも45ヌクレオチド、多くとも40ヌクレオチド、多くとも35ヌクレオチド、多くとも30ヌクレオチド、多くとも25ヌクレオチド、または多くとも20ヌクレオチド)の長さを有する。一実施形態において、RNAはペプチドまたはタンパク質をコードしており、少なくとも45ヌクレオチド(例えば、少なくとも60、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも3,500、少なくとも4,000、少なくとも4,500、少なくとも5,000、少なくとも6,000、少なくとも7,000、少なくとも8,000、少なくとも9,000ヌクレオチド)、好ましくは最大15,000、例えば、最大14,000、最大13,000、最大12,000ヌクレオチド、最大11,000ヌクレオチド、または最大10,000ヌクレオチドの長さを有する。
【0350】
本開示の特定の実施形態において、RNAは、ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA転写産物に関するmRNAである。当該技術において確立されているように、mRNAは一般に、5’非翻訳領域(5’-UTR)、ペプチドコーディング領域、および3’非翻訳領域(3’-UTR)を含有する。一部の実施形態において、RNAは、インビトロ転写または化学合成によって生成される。一実施形態において、mRNAは、DNA鋳型を用いるインビトロ転写によって生成される。インビトロ転写方法論は、当業者に知られている;例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, J. Sambrook et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor 1989参照。さらに、種々のインビトロ転写キットが、例えば、Thermo Fisher Scientific[例えば、TranscriptAid(商標)T7キット、MEGAscript(登録商標)T7キット、MAXIscript(登録商標)]、New England BioLabs Inc.[例えば、HiScribe(商標)T7キット、HiScribe(商標)T7 ARCA mRNAキット]、Promega[例えば、iboMAX(商標)、HeLaScribe(登録商標)、Riboprobe(登録商標)システム]、Jena Bioscience(例えば、SP6またはT7転写キット)、およびEpicentre[例えばAmpliScribe(商標)]から商業的に入手可能である。修飾RNAを用意するために、それに応じて、修飾ヌクレオチド、例えば、天然に存在する修飾ヌクレオチド、天然に存在しないヌクレオチド、および/または天然に存在しない修飾ヌクレオチドが、合成(好ましくはインビトロ転写)中に組み込まれてもよいし、修飾が、転写後のRNA中にもたらされ、かつ/または転写後のRNAに加えられてもよい。
【0351】
一実施形態において、RNAは、インビトロ転写されたRNA(IVT-RNA)であり、適切なDNA鋳型のインビトロ転写によって得ることができる。転写を制御するためのプロモータは、あらゆるRNAポリメラーゼのためのあらゆるプロモータであってよい。インビトロ転写のためのDNA鋳型は、核酸、特にcDNAをクローニングして、これをインビトロ転写に適したベクター中に導入することによって得ることができる。cDNAは、RNAの逆転写によって得ることができる。
【0352】
本開示の文脈において、RNA、好ましくはmRNAは、例えば、その安定性を増大させ、かつ/または翻訳効率を増大させ、かつ/または免疫原性を低下させ、かつ/または細胞毒性を低下させるような、1つまたは複数の修飾を含有する。例えば、RNA(とりわけmRNA)の発現を増大させるために、コーディング領域内、すなわち、発現されるペプチドまたはタンパク質をコードする配列内で、好ましくは、発現されるペプチドまたはタンパク質の配列を変更することなく修飾されてもよい。そのような修飾は、例えば、国際公開第2007/036366号パンフレットおよび国際出願PCT/EP2019/056502号明細書に記載されており、以下が挙げられる:5’-キャップ構造;天然に存在するポリ(A)尾部の拡張または切断;5’-および/または3’-非翻訳領域(UTR)の変更、例えば前記RNAのコーディング領域に関連していないUTRの導入;合成ヌクレオチドによる、1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの置換;ならびにコドン最適化(例えば、RNAのGC含量を変更する、好ましくは増大させる)。本開示に従う修飾RNA(好ましくはmRNA)の文脈における用語「修飾」は、好ましくは、RNA(好ましくはmRNA)の、前記RNAにおいて天然に存在しないあらゆる修飾に関する。
【0353】
一部の実施形態において、本開示に従うRNA(好ましくはmRNA)は、5’-キャップ構造を含む。一実施形態において、RNA(好ましくはmRNA)は、キャップなし5’-三リン酸を有していない。一実施形態において、RNA(好ましくはmRNA)は、従来の5’-キャップおよび/または5’-キャップ類似体を含んでよい。用語「従来の5’-キャップ」は、mRNA分子の5’-末端上に見出されるキャップ構造を指し、一般に、グアノシン5’-三リン酸(Gppp)からなり、これは、その三リン酸部分を介して、mRNAの隣のヌクレオチドの5’-末端に連結されている(すなわち、グアノシンは、5’-5’三リン酸結合を介して、mRNAの残りに連結されている)。グアノシンは、N位にてメチル化されていてよい(キャップ構造mGpppが生じる)。用語「5’-キャップ類似体」は、従来の5’-キャップに基づくが、mグアノシン構造の2’位または3’位にて、5’-キャップ類似体の逆方向の統合を回避するように修飾されている5’-キャップを指す[そのような5’-キャップ類似体は、アンチリバースキャップ類似体(ARCA)とも呼ばれている]。特に好ましい5’-キャップ類似体は、架橋位置での(at the bridging)1つまたは複数の置換、およびホスファート架橋内の非架橋酸素を有するもの、例えば、β-ホスファートでのホスホロチオアート修飾5’-キャップ類似体(例えば、m 7,2’OG(5’)ppSp(5’)G(ベータ-S-ARCAまたはβ-S-ARCAと称される)であり、国際出願PCT/EP2019/056502号明細書に記載されている(その全体の開示が参照によって本明細書に組み込まれる)。本明細書中に記載される、5’-キャップ構造を有するRNA(好ましくはmRNA)を用意することは、対応する5’-キャップ化合物の存在下での、DNA鋳型のインビトロ転写によって達成されてよく、前記5’-キャップ構造は、生成されるRNA鎖中に共転写して組み込まれ、またはRNA(好ましくはmRNA)は、例えばインビトロ転写によって生成されてよく、5’-キャップ構造は、RNAに、キャッピング酵素、例えばワクシニアウイルスのキャッピング酵素を用いて、転写後に付着されてよい。
【0354】
一部の実施形態において、本開示に従うRNA(好ましくはmRNA)は、m 7,2’OG(5’)ppSp(5’)G(特にそのD1ジアステレオマー)、m 7,3’OG(5’)ppp(5’)G、およびm 7,3-OGppp(m 2’-O)ApGからなる群から選択される5’-キャップ構造を含む。
【0355】
一部の実施形態において、RNA(好ましくはmRNA)は、cap0、cap1、またはcap2(好ましくはcap1またはcap2)を含む。本開示に従えば、用語「cap0」は、構造「mGpppN」を意味し、Nは、2’位にてOH部分を有するあらゆるヌクレオシドである。本開示に従えば、用語「cap1」は、構造「mGpppNm」を意味し、Nmは、2’位にてOCH部分を有するあらゆるヌクレオシドである。本開示に従えば、用語「cap2」は、構造「mGpppNmNm」を意味し、各Nmは、独立して、2’位にてOCH部分を有するあらゆるヌクレオシドである。
【0356】
ベータ-S-ARCA(β-S-ARCA)のD1ジアステレオマーは、以下の構造を有する:
【0357】
【化1】
【0358】
「ベータ-S-ARCAのD1ジアステレオマー」または「ベータ-S-ARCA(D1)」は、ベータ-S-ARCAのジアステレオマーであり、これは、ベータ-S-ARCA(ベータ-S-ARCA(D2))のD2ジアステレオマーと比較して、HPLCカラムにより最初に溶出するので、より短い保持時間を示す。HPLCは好ましくは、分析HPLCである。一実施形態において、好ましくはフォーマット:5μm、4.6×250mmの、Supelcosil LC-18-T RPカラムを分離に用いることによって、1.3ml/分のフローレートを用いることができる。一実施形態において、酢酸アンモニウム中のメタノールの勾配、例えば、0.05M酢酸アンモニウム、pH=5.9中のメタノールの15分以内の0~25%直線勾配が用いられる。UV検出(VWD)が、260nmにて実行されてよく、蛍光検出(FLD)が、280nmでの励起および337nmでの検出により実行されてよい。
【0359】
cap1の構築ブロックである5’-キャップ類似体m 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApG(m 7,3’OG(5’)ppp(5’)m2’-OApGとも称される)は、以下の構造を有する:
【0360】
【化2】
【0361】
β-S-ARCAおよびRNAを含む例示的なcap0 RNAは、以下の構造を有する:
【0362】
【化3】
【0363】
7,3’OG(5’)ppp(5’)GおよびRNAを含む例示的なcap0 RNAは、以下の構造を有する:
【0364】
【化4】
【0365】
7,3-OGppp(m 2’-O)ApGおよびRNAを含む例示的なcap1 RNAは、以下の構造を有する:
【0366】
【化5】
【0367】
本明細書中で用いられる用語「ポリA尾部」または「ポリA配列」は、RNA分子の3’-末端にて典型的に位置決めされるアデニラート残基の不断配列または中断配列を指す。ポリA尾部またはポリA配列は、当業者に知られており、本明細書中に記載されるRNAにおいて、3’-UTRの後に続いてよい。不断ポリA尾部が、連続アデニラート残基によって特徴付けられる。自然界では、不断ポリA尾部が典型的である。本明細書中で開示されるRNAは、転写後に鋳型非依存性RNAポリメラーゼによってRNAの自由3’-末端に付着したポリA尾部、またはDNAによってコードされ、かつ鋳型依存性RNAポリメラーゼによって転写されたポリA尾部を有してよい。
【0368】
約120個のAヌクレオチドのポリA尾部が、形質移入された真核生物細胞内でのRNAのレベル、およびポリA尾部の上流(5’)に存在するオープンリーディングフレームから翻訳されるタンパク質のレベルに有益な影響を及ぼすことが実証されている(Holtkamp et al., 2006, Blood, vol. 108, pp. 4009-4017)。
【0369】
ポリA尾部は、あらゆる長さであってよい。一部の実施形態において、ポリA尾部は、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも80、または少なくとも100、および最大500、最大400、最大300、最大200、または最大150個のAヌクレオチド、特に約120個のAヌクレオチドを含むか、から本質的になるか、またはからなる。この文脈において、「から本質的になる」は、ポリA尾部内のほとんどのヌクレオチド、典型的にはポリA尾部内のヌクレオチド数の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%がAヌクレオチドであることを意味するが、残りのヌクレオチドは、Aヌクレオチド以外のヌクレオチド、例えば、Uヌクレオチド(ウリジラート)、Gヌクレオチド(グアニラート)、またはCヌクレオチド(シチジラート)であることを容認する。この文脈において、「からなる」は、ポリA尾部内の全てのヌクレオチド、すなわちポリA尾部内のヌクレオチド数の100%が、Aヌクレオチドであることを意味する。用語「Aヌクレオチド」または「A」は、アデニラートを指す。
【0370】
一部の実施形態において、ポリA尾部は、コーディング鎖と相補的な鎖内の反復dTヌクレオチド(デオキシチミジラート)を含むDNA鋳型に基づいて、RNA転写中に、例えばインビトロ転写RNAの調製中に付着される。ポリA尾部をコードするDNA配列(コーディング鎖)は、ポリ(A)カセットと称される。
【0371】
一部の実施形態において、DNAのコーディング鎖内に存在するポリ(A)カセットは、dAヌクレオチドから本質的になるが、4つのヌクレオチド(dA、dC、dG、およびdT)のランダム配列によって中断されている。そのようなランダム配列は、5~50、10~30、または10~20ヌクレオチド長であってよい。そのようなカセットは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2016/005324 A1号パンフレットにおいて開示されている。国際公開第2016/005324 A1号パンフレットにおいて開示されるあらゆるポリ(A)カセットが、本発明に用いられてよい。dAヌクレオチドから本質的になるが、4つのヌクレオチド(dA、dC、dG、dT)の等しい分布を有し、かつ、例えば5~50ヌクレオチド長を有するランダム配列によって中断されているポリ(A)カセットが、DNAレベルで、大腸菌(E.coli)中のプラスミドDNAの一定の増殖を示し、かつなお、RNAレベルで、RNA安定性の補助に関する有益な特性が付随し、かつ翻訳効率が包含される。結果的に、一部の実施形態において、本明細書中に記載されるRNA分子中に含有されるポリA尾部は、Aヌクレオチドから本質的になるが、4つのヌクレオチド(A、C、G、U)のランダム配列によって中断されている。そのようなランダム配列は、5~50、10~30、または10~20ヌクレオチド長であってよい。
【0372】
一部の実施形態において、Aヌクレオチド以外のヌクレオチドは、ポリA尾部の側面に、その3’-末端にて位置しない、すなわち、ポリA尾部は、その3’-末端にて、A以外のヌクレオチドによってマスクされない、または続けられない。
【0373】
一部の実施形態において、本開示に従うRNAは、5’-UTRおよび/または3’-UTRを含む。用語「非翻訳領域」または「UTR」は、転写されるが、アミノ酸配列に翻訳されないDNA分子内の領域に、またはRNA分子、例えばmRNA分子内の対応する領域に関する。非翻訳領域(UTR)は、オープンリーディングフレームの5’(上流)(5’-UTR)および/またはオープンリーディングフレームの3’(下流)(3’-UTR)に存在し得る。5’-UTRは、存在するならば、5’-末端にて、タンパク質コーディング領域の開始コドンの上流に位置決めされる。5’-UTRは、5’-キャップの下流にあり(存在するならば)、例えば5’-キャップに直接的に隣接している。3’-UTRは、存在するならば、3’-末端にて、タンパク質コーディング領域の終止コドンの下流に位置決めされるが、用語「3’-UTR」は好ましくは、ポリA配列を含まない。ゆえに、3’-UTRは、ポリA配列の上流にあり(存在するならば)、例えばポリA配列に直接的に隣接している。3’-UTRの、RNA(好ましくはmRNA)分子の3’-非翻訳領域中への組込みが、翻訳効率の増強をもたらし得る。そのような3’-UTRの2つ以上[これらは好ましくは頭部-尾部方向に配置されている;例えば、Holtkamp et al., Blood 108, 4009-4017 (2006)参照]を組み込むことによって、相乗効果が達成され得る。3’-UTRは、導入されるRNA(好ましくはmRNA)にとって、自己由来であっても異種起源であってもよい。特定の一実施形態において、3’-UTRは、グロビン遺伝子またはmRNA、例えば、アルファ2-グロビン、アルファ1-グロビン、またはベータ-グロビン、好ましくはベータ-グロビン、より好ましくはヒトベータグロビンの遺伝子またはmRNAに由来する。例えば、RNA(好ましくはmRNA)は、既存の3’-UTRの、1つまたは複数の、好ましくは2つのコピーの、グロビン遺伝子、例えば、アルファ2-グロビン、アルファ1-グロビン、ベータ-グロビン、好ましくはベータ-グロビン、より好ましくはヒトベータ-グロビンに由来する3’-UTRによる置換、またはその挿入によって修飾されていてよい。
【0374】
RNA(好ましくはmRNA)は、その安定性を増大させ、および/または免疫原性を低下させ、および/または細胞毒性を低下させるような修飾リボヌクレオチドを有してよい。例えば、一実施形態において、本明細書中に記載されるRNA中のウリジンは、修飾ヌクレオシドによって置き換えられている(部分的に、または完全に、好ましくは完全に)。一部の実施形態において、修飾ヌクレオシドは、修飾ウリジンである。
【0375】
一部の実施形態において、ウリジンを置き換える修飾ウリジンは、シュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)、5-メチル-ウリジン(m5U)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0376】
一部の実施形態において、RNA中のウリジンを置き換える(部分的に、または完全に、好ましくは完全に)修飾ヌクレオシドは、3-メチル-ウリジン(m3U)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-アザ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ウリジン(s2U)、4-チオ-ウリジン(s4U)、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン(ho5U)、5-アミノアリル-ウリジン、5-ハロ-ウリジン(例えば、5-ヨード-ウリジンまたは5-ブロモ-ウリジン)、ウリジン5-オキシ酢酸(cmo5U)、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5-カルボキシメチル-ウリジン(cm5U)、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジン(chm5U)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジンメチルエステル(mchm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-ウリジン(mcm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン(mcm5s2U)、5-アミノメチル-2-チオウリジン(nm5s2U)、5-メチルアミノメチル-ウリジン(mnm5U)、1-エチル-シュードウリジン、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(mnm5s2U)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウリジン(mnm5se2U)、5-カルバモイルメチル-ウリジン(ncm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウリジン(cmnm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(cmnm5s2U)、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-ウリジン(τm5U)、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン(τm5s2U)、1-タウリノメチル-4-チオ-シュードウリジン)、5-メチル-2-チオ-ウリジン(m5s2U)、1-メチル-4-チオ-シュードウリジン(m1s4ψ)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、3-メチル-シュードウリジン(m3ψ)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、5-メチル-ジヒドロウリジン(m5D)、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロ-シュードウリジン、2-メトキシ-ウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(acp3U)、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp3ψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inm5U)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウリジン(inm5s2U)、α-チオ-ウリジン、2’-O-メチル-ウリジン(Um)、5,2’-O-ジメチル-ウリジン(m5Um)、2’-O-メチル-シュードウリジン(ψm)、2-チオ-2’-O-メチル-ウリジン(s2Um)、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(mcm5Um)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(ncm5Um)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチル-ウリジン(cmnm5Um)、3,2’-O-ジメチル-ウリジン(m3Um)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチル-ウリジン(inm5Um)、1-チオ-ウリジン、デオキシチミジン、2’-F-アラ-ウリジン、2’-F-ウリジン、2’-OH-アラ-ウリジン、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジン、5-[3-(1-E-プロペニルアミノ)ウリジン、または当該技術において知られている他のあらゆる修飾ウリジンのいずれか1つまたは複数であってよい。
【0377】
シュードウリジンによって修飾されている(部分的に、または完全に、好ましくは完全に、ウリジンを置き換えている)RNA(好ましくはmRNA)は、本明細書中で「Ψ-修飾」と称されるが、用語「m1Ψ-修飾」は、RNA(好ましくはmRNA)が、N(1)-メチルシュードウリジンを含有する(部分的に、または完全に、好ましくは完全に、ウリジンを置き換えている)ことを意味する。さらに、用語「m5U-修飾」は、RNA(好ましくはmRNA)が5-メチルウリジンを含有する(部分的に、または完全に、好ましくは完全に、ウリジンを置き換えている)ことを意味する。そのようなΨ-またはm1Ψ-またはm5U-修飾RNAは、通常、それらの非修飾形態と比較して、免疫原性の低下を示すので、免疫応答の誘導が回避または最小限にされるべき用途において好ましい。
【0378】
本開示のRNA(好ましくはmRNA)のコドンはさらに、例えば、RNAのGC含量を増大させ、かつ/または細胞(または対象)内で稀であるコドンを置き換えて、目的のペプチドまたはタンパク質が、前記細胞(または対象)内の頻繁な同義コドンであるコドンによって発現されることとなるように最適化されてもよい。
【0379】
先に記載される修飾の組合せ、すなわち、5’-キャップ構造の組込み、ポリA配列の組込み、ポリA配列のアンマスキング、5’-および/または3’-UTRの変更(例えば、1つまたは複数の3’-UTRの組込み)、1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの、合成ヌクレオチドによる置換[例えば、シチジンについて5-メチルシチジン、かつ/またはウリジンについてシュードウリジン(Ψ)もしくはN(1)-メチルシュードウリジン(m1Ψ)もしくは5-メチルウリジン(m5U)]、ならびにコドン最適化は、RNA(好ましくはmRNA)の安定性、および翻訳効率の増大に及ぼす相乗効果的な影響を有する。ゆえに、好ましい実施形態において、本開示に従うRNA(好ましくはmRNA)は、上記の修飾、すなわち、(i)5’-キャップ構造の組込み、(ii)ポリA配列の組込み、ポリA配列のアンマスキング;(iii)5’-および/または3’-UTRの変更(例えば、1つまたは複数の3’-UTRの組込み);(iv)1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの、合成ヌクレオチドによる置換[例えば、シチジンについて5-メチルシチジン、かつ/またはウリジンについてシュードウリジン(Ψ)もしくはN(1)-メチルシュードウリジン(m1Ψ)もしくは5-メチルウリジン(m5U)]、ならびに(v)コドン最適化の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または5つ全ての組合せを含有する。
【0380】
一実施形態において、本開示に従うRNAは、ペプチドまたはタンパク質、好ましくは医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質をコードする核酸配列を含む。
【0381】
好ましい実施形態において、本開示に従うRNAは、ペプチドまたはタンパク質、好ましくは医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質をコードする核酸配列を含み、特に細胞または対象中に移されれば、前記ペプチドまたはタンパク質を発現することができる。ゆえに、好ましくは本発明に従うRNAは、ペプチドまたはタンパク質をコードする、好ましくは医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質をコードするコーディング領域[オープンリーディングフレーム(ORF)]を含有する。この点で、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、開始コドンで始まって終止コドンで終わるコドンの連続的な広がりである。
【0382】
本開示に従えば、用語「医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質」は、個体の処置に用いることができるペプチドまたはタンパク質を意味し、ペプチドまたはタンパク質の発現は、例えば疾患または障害の病徴を寛解させるのに、有益である。好ましくは、医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質は、治療特性または緩和特性を有しており、疾患もしくは障害の発症を寛解させるか、軽減するか、緩和するか、食い止めるか、遅延させるか、または疾患もしくは障害の1つもしくは複数の病徴の重症度を小さくするのに投与されてよい。好ましくは、医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質は、治療的に有効な量が個体に投与されると、個体の症状または疾患状態に及ぼすポジティブまたは有益な効果がある。医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質は、予防的特性を有し得、かつ、疾患もしくは障害の発症を遅延させるのに、またはそのような疾患もしくは障害の重症度を小さくするのに用いられてよい。用語「医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質」は、タンパク質またはポリペプチド全体を含み、かつ、その医薬的に活性な断片を指し得る。また、ペプチドまたはタンパク質の医薬的に活性な類似体が挙げられ得る。
【0383】
医薬的に活性なペプチドおよびタンパク質の具体的な例として、サイトカイン、ホルモン、接着分子、免疫グロブリン、免疫学的に活性な化合物、増殖因子、プロテアーゼ阻害剤、酵素、受容体、アポトーシス調節因子、転写因子、腫瘍抑制タンパク質、構造タンパク質、再プログラミング因子、ゲノム工学タンパク質、および血液タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0384】
用語「サイトカイン」は、約5~20kDaの分子量を有し、かつ細胞シグナル伝達(例えば、パラクリンシグナル伝達、内分泌シグナル伝達、および/または自己分泌シグナル伝達)に関与するタンパク質に関する。特に、放出されると、サイトカインは、放出場所の周りで、細胞の挙動に及ぼす作用を発揮する。サイトカインの例として、リンホカイン、インターロイキン、ケモカイン、インターフェロン、および腫瘍壊死因子(TNF)が挙げられる。本開示に従えば、サイトカインは、ホルモンまたは増殖因子を含まない。サイトカインは、ホルモンと、(i)通常、ホルモンよりもかなり可変的な濃度にて作動し、かつ(ii)一般に、広い範囲の細胞(ほぼ全ての有核細胞は、サイトカインを産生することができる)によって製造される点で異なる。インターフェロンは、通常、抗ウイルス活性、抗増殖活性、および免疫調節活性によって特徴付けられる。インターフェロンは、調節された細胞の表面上のインターフェロン受容体に結合することによって細胞内での遺伝子の転写を改変かつ調節することによって、細胞内でのウイルス複製を妨げるタンパク質である。インターフェロンは、2つのタイプにグループ化することができる。IFN-ガンマは、唯一のII型インターフェロンである;他は全て、I型インターフェロンである。サイトカインの特定の例として、エリトロポイエチン(EPO)、コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、骨形成タンパク質(BMP)、インターフェロンアルファ(IFNα)、インターフェロンベータ(IFNβ)、インターフェロンガンマ(INFγ)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン10(IL-10)、およびインターロイキン11(IL-11)が挙げられる。
【0385】
用語「ホルモン」は、腺によって産生されるシグナル伝達分子のクラスに関し、シグナル伝達は通常、以下の工程:(i)特定の組織内のホルモンの合成;(ii)記憶および分泌;(iii)ホルモンの、その標的への輸送;(iv)受容体によるホルモンの結合;(v)シグナルのリレーおよび増幅;ならびに(vi)ホルモンの分解を含む。ホルモンは、サイトカインと、(1)ホルモンが通常、より可変的でない濃度で作動し、かつ(2)一般に、特定の種類の細胞によって製造される点で異なる。一実施形態において、「ホルモン」は、ペプチドまたはタンパク質ホルモン、例えば、インスリン、バソプレシン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモンまたはウシ成長ホルモン)、オキシトシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、グルカゴン、ソマトスタチン、コレシストキニン、ガストリン、およびレプチンである。
【0386】
用語「接着分子」は、細胞の表面上に位置決めされ、かつ細胞の、他の細胞との、または細胞外マトリックス(ECM)との結合に関与するタンパク質に関する。接着分子は典型的に、膜貫通受容体であり、カルシウム非依存性(例えば、インテグリン、免疫グロブリンスーパーファミリー、リンパ球ホーミング受容体)として、ならびにカルシウム依存性(カドヘリンおよびセレクチン)として分類され得る。接着分子の特定の例として、インテグリン、リンパ球ホーミング受容体、セレクチン(例えば、P-セレクチン)、およびアドレシンがある。
【0387】
また、インテグリンが、シグナル伝達に関与する。特に、リガンド結合の直後に、インテグリンは、細胞シグナル伝達経路、例えば、膜貫通プロテインキナーゼ、例えば受容体チロシンキナーゼ(RTK)の経路をモジュレートする。そのような調節は、細胞の増殖、分裂、生存、もしくは分化の、またはアポトーシスの原因となり得る。インテグリンの特定の例として:αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αIIbβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、およびαβが挙げられる。
【0388】
用語「免疫グロブリン」または「免疫グロブリンスーパーファミリー」は、細胞の認識、結合、および/または接着プロセスに関与する分子を指す。このスーパーファミリーに属する分子は、免疫グロブリンドメインまたはフォールドとして知られている領域を含有するという構成を共有する。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーとして、抗体(例えばIgG)、T細胞受容体(TCR)、主要組織適合性複合体(MHC)分子、共受容体(例えば、CD4、CD8、CD19)、抗原受容体アクセサリ分子(例えば、CD-3γ、CD-3δ、CD-3ε、CD79a、CD79b)、共刺激分子または阻害分子(例えば、CD28、CD80、CD86)、およびその他が挙げられる。
【0389】
用語「免疫学的に活性な化合物」は、好ましくは、免疫細胞の成熟を誘導および/または抑制し、サイトカイン生合成を誘導および/または抑制し、および/またはB細胞による抗体産生を誘発することによって液性免疫を変更することによって、免疫応答を変更するあらゆる化合物に関する。免疫学的に活性な化合物は、強い免疫刺激活性を有し、以下に限定されないが、抗ウイルス活性および抗腫瘍活性が挙げられる。また、免疫応答の他の態様を下方制御することもでき、例えば、免疫応答をTH2免疫応答から遠ざかる方向にシフトし、これは、広範なTH2媒介疾患を処置するのに有用である。免疫学的に活性な化合物は、ワクチンアジュバントとして有用であり得る。免疫学的に活性な化合物の特定の例として、インターロイキン、コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリトロポイエチン、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン、インテグリン、アドレシン、セレクチン、ホーミング受容体、および抗原、特に、腫瘍関連抗原、病原体関連抗原(例えば、細菌抗原、寄生虫抗原、またはウイルス抗原)、アレルゲン、および自己抗原が挙げられる。
【0390】
用語「自己抗原(autoantigen)」または「自己抗原(self-antigen)」は、対象の体内を起源とし(すなわち、自己抗原は「自己由来の抗原」とも称され得る)、かつ身体の正常な部分に対して異常に激しい免疫応答をもたらす抗原を指す。自己抗原に対するそのような激しい免疫反応は、「自己免疫疾患」の原因であり得る。
【0391】
用語「アレルゲン」は、対象の体外を起源とし(すなわち、アレルゲンは「異種抗原」とも称され得る)、かつ、対象の免疫系が、普通であれば対象に無害である、認められた脅威と戦って、異常に激しい免疫応答をもたらす種類の抗原を指す。「アレルギー」は、アレルゲンに対するそのような激しい免疫反応によって引き起こされる疾患である。アレルゲンは、通常、免疫グロブリンE(IgE)応答を介して、アトピーの個体においてI型過敏性反応を刺激することができる抗原である。アレルゲンの特定の例として、ピーナッツタンパク質(例えば、Ara h 2.02)、オバルブミン、イネ科植物花粉タンパク質(例えば、Phl p 5)、およびイエダニのタンパク質(例えば、Der p 2)に由来するアレルゲンが挙げられる。
【0392】
用語「増殖因子」は、細胞の成長、増殖、治癒、および/または細胞分化を刺激することができる分子を指す。典型的には、増殖因子は、細胞間のシグナル伝達分子としての機能を果たす。用語「増殖因子」は、その標的細胞の表面上の特定の受容体に結合する特定のサイトカインおよびホルモンを含む。増殖因子の例として、骨形成タンパク質(BMP)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、例えばVEGFA、上皮増殖因子(EGF)、インシュリン様増殖因子、エフリン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ニューレグリン、ニューロトロフィン[例えば、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経増殖因子(NGF)]、胎盤増殖因子(PGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、レナラーゼ(RNLS)(抗アポトーシス生存因子)、T細胞増殖因子(TCGF)、トロンボポエチン(TPO)、トランスフォーミング増殖因子[トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)]、および腫瘍壊死因子α(TNF-α)が挙げられる。一実施形態において、「増殖因子」は、ペプチド増殖因子またはタンパク質増殖因子である。
【0393】
用語「プロテアーゼ阻害剤」は、プロテアーゼの機能を阻害する分子、特にペプチドまたはタンパク質を指す。プロテアーゼ阻害剤は、阻害されるプロテアーゼによって(例えば、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)、またはその作用機序によって(例えば自殺阻害剤、例えばセルピン)分類され得る。プロテアーゼ阻害剤の特定の例として、セルピン、例えば、アルファ1-アンチトリプシン、アプロチニン、およびベスタチンが挙げられる。
【0394】
用語「酵素」は、化学反応を促進する高分子生体触媒を指す。あらゆる触媒のように、酵素は、これが触媒する反応において消費されず、かつ前記反応の平衡を変更しない。他の多くの触媒とは異なり、酵素はかなり特異的である。一実施形態において、酵素は、対象のホメオスタシスにとって不可欠であり、例えば、酵素の何らかの機能不全(特に、突然変異、欠失、または産生の低下のいずれかによって引き起こされ得る活性の低下)が、疾患をもたらす。酵素の例として、単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(HSV1-TK)、ヘキソサミニダーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、偽コリンエステラーゼ、およびラクターゼが挙げられる。
【0395】
用語「受容体」は、細胞の外側からシグナル(特に、リガンドと呼ばれる化学シグナル)を受け取るタンパク質分子を指す。シグナル(例えば、リガンド)の、受容体への結合は、細胞の一部の種類の応答、例えば、キナーゼの細胞内活性化を引き起こす。受容体として、膜貫通受容体[例えば、イオンチャネル結合型(イオンチャネル型)受容体、Gタンパク質結合型(代謝調節型)受容体、および酵素結合型受容体]、および細胞内受容体(例えば、細胞質受容体および核内受容体)が挙げられる。受容体の特定の例として、ステロイドホルモン受容体、増殖因子受容体、およびペプチド受容体(すなわち、リガンドがペプチドである受容体)、例えばP-セレクチン糖タンパク質リガンド-1(PSGL-1)が挙げられる。用語「増殖因子受容体」は、増殖因子に結合する受容体を指す。
【0396】
用語「アポトーシス調節因子」は、アポトーシスをモジュレートする、すなわち、アポトーシスを活性化または阻害する分子、特にペプチドまたはタンパク質を指す。アポトーシス調節因子は、2つの広いクラス:ミトコンドリア機能をモジュレートするクラス、およびカスパーゼを調節するクラスにグループ化することができる。第1のクラスは、ミトコンドリア膜電位の損失、および/またはアポトーシス促進性タンパク質、例えばシトクロムCの、サイトゾル中への放出を妨げることによってミトコンドリア完全性を保存するように作動するタンパク質(例えば、Bcl-2、BCL-xL)を含む。また、この第1のクラスに、シトクロムCの放出を促進するアポトーシス促進性タンパク質(例えば、BAX、BAK、BIM)が属する。第2のクラスは、タンパク質、例えば、アポトーシスタンパク質の阻害剤(例えばXIAP)、またはカスパーゼの活性化をブロックするFLIPを含む。
【0397】
用語「転写制御因子」は、特に特定のDNA配列に結合することによって、DNAからメッセンジャーRNAへの遺伝情報の転写の速度を調節するタンパク質に関する。転写因子は、細胞分裂、細胞増殖、および細胞死を、寿命の全体を通して、細胞移動および組織化を、胚発生中に、かつ/または細胞の外側からのシグナル、例えばホルモンに応答して、調節し得る。転写因子は、特定のDNA配列(通常、転写因子によって調節される遺伝子に隣接)に結合する少なくとも1つのDNA結合ドメインを含有する。転写因子の特定の例として、MECP2、FOXP2、FOXP3、STATタンパク質ファミリー、およびHOXタンパク質ファミリーが挙げられる。
【0398】
用語「腫瘍抑制タンパク質」は、がんへの経路上の一工程から細胞を保護する分子、特にペプチドまたはタンパク質に関する。腫瘍抑制タンパク質(通常、対応する腫瘍抑制遺伝子によってコードされている)は、細胞周期の調節に及ぼす弱化効果もしくは抑制効果を示し、かつ/またはアポトーシスを促進する。それらの機能は、以下:細胞周期の継続に不可欠な遺伝子の抑制;細胞周期の、DNA損傷へのカップリング(損傷を受けたDNAが細胞内に存在する限り、細胞分裂は起こるべきでない);損傷を受けたDNAが修復され得ないならば、アポトーシスの開始;転移抑制(例えば、腫瘍細胞が分散するのを妨げ、接触阻害のロスをブロックし、かつ転移を阻害する);およびDNA修復の1つまたは複数であり得る。腫瘍抑制タンパク質の特定の例として、p53、ホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)、SWI/SNF(SWItch/スクロース非発酵性)、フォンヒッペル-リンドウ腫瘍抑制因子(pVHL)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、CD95、腫瘍形成抑制5(ST5)、腫瘍形成抑制5(ST5)、腫瘍形成抑制14(ST14)、およびYippee-like 3(YPEL3)が挙げられる。
【0399】
用語「構造タンパク質」は、普通であれば流体の生体構成要素に剛性および硬直化を付与するタンパク質を指す。構造タンパク質はほとんどの場合、繊維性である(例えば、コラーゲンおよびエラスチン)が、球状であってもよい(例えば、アクチンおよびチューブリン)。通常、球状タンパク質は、モノマーとして可溶性であるが、長い、例えば、細胞骨格を構成し得る繊維を形成するように重合する。他の構造タンパク質は、機械力およびサーファクタントタンパク質を生成することができる運動タンパク質(例えば、ミオシン、キネシン、およびダイニン)である。構造タンパク質の特定の例として、コラーゲン、サーファクタントタンパク質A、サーファクタントタンパク質B、サーファクタントタンパク質C、サーファクタントタンパク質D、エラスチン、チューブリン、アクチン、およびミオシンが挙げられる。
【0400】
用語「再プログラミング因子」または「再プログラミング転写因子」は、適宜さらなるエージェント、例えばさらなる再プログラミング因子と共に、体細胞内で発現されると、前記体細胞の、幹細胞の特性、特に多能性を有する細胞への再プログラミングまたは脱分化の原因となる分子、特にペプチドまたはタンパク質に関する。再プログラミング因子の特定の例として、OCT4、SOX2、c-MYC、KLF4、LIN28、およびNANOGが挙げられる。
【0401】
用語「ゲノム工学タンパク質」は、対象のゲノムにおいてDNAを挿入するか、欠失させるか、置換することができるタンパク質に関する。ゲノム工学タンパク質の特定の例として、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクティベータ様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート-CRISPR関連タンパク質9(CRISPR-Cas9)が挙げられる。
【0402】
用語「血液タンパク質」は、対象の血漿、特に健康な対象の血漿中に存在するペプチドまたはタンパク質に関する。血液タンパク質は、多様な機能、例えば輸送(例えば、アルブミン、トランスフェリン)、酵素活性(例えば、トロンビンまたはセルロプラスミン)、血液凝固(例えばフィブリノゲン)、病原体に対する防御(例えば、補完成分および免疫グロブリン)、プロテアーゼ阻害剤(例えばアルファ1-アンチトリプシン)、その他を有する。血液タンパク質の特定の例として、トロンビン、血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、インスリン、第IX因子、第X因子、組織プラスミノゲンアクティベータ、プロテインC、フォンウィルブランド因子、アンチトロンビンIII、グルコセレブロシダーゼ、エリトロポイエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、修飾第VIII因子、および抗凝固剤が挙げられる。
【0403】
ゆえに、一実施形態において、医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質は、(i)好ましくは、エリトロポイエチン(EPO)、インターロイキン4(IL-2)、およびインターロイキン10(IL-11)からなる群から選択されるサイトカイン、より好ましくはEPO;(ii)接着分子、特にインテグリン;(iii)免疫グロブリン、特に抗体;(iv)免疫学的に活性な化合物、特に抗原;(v)ホルモン、特に、バソプレシン、インスリン、または成長ホルモン;(vi)増殖因子、特にVEGFA;(vii)プロテアーゼ阻害剤、特にアルファ1-アンチトリプシン;(viii)好ましくは、単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(HSV1-TK)、ヘキソサミニダーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、偽コリンエステラーゼ、膵臓酵素、およびラクターゼからなる群から選択される酵素;(ix)受容体、特に増殖因子受容体;(x)アポトーシス調節因子、特にBAX;(xi)転写因子、特にFOXP3;(xii)腫瘍抑制タンパク質、特にp53;(xiii)構造タンパク質、特にサーファクタントタンパク質B;(xiv)例えば、OCT4、SOX2、c-MYC、KLF4、LIN28、およびNANOGからなる群から選択される、再プログラミング因子;(xv)ゲノム工学タンパク質、特に、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート-CRISPR関連タンパク質9(CRISPR-Cas9);ならびに(xvi)血液タンパク質、特にフィブリノゲンである。
【0404】
一実施形態において、医薬的に活性なペプチドまたはタンパク質は、1つもしくは複数の抗原または1つもしくは複数のエピトープを含む、すなわち、対象へのペプチドまたはタンパク質の投与は、対象において1つもしくは複数の抗原または1つもしくは複数のエピトープに対して免疫応答を誘発し、これは、治療的であり得る、または部分的に、もしくは完全に保護的であり得る。
【0405】
特定の実施形態において、RNAは、少なくとも1つのエピトープをコードする。特定の実施形態において、エピトープは、腫瘍抗原に由来する。腫瘍抗原は、「標準的な」抗原であってよく、これは通常、種々のがんにおいて発現されることが知られている。また、腫瘍抗原は、「新抗原」であってよく、これは、個体の腫瘍に特異的であり、以前に免疫系によって認識されていない。新抗原またはネオエピトープは、アミノ酸変化をもたらす、がん細胞のゲノム内の1つまたは複数のがん特異的突然変異に由来し得る。腫瘍抗原の例として、p53、ART-4、BAGE、ベータ-カテニン/m、Bcr-abL CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27/m、CDK4/m、CEA、クラウディンファミリーの細胞表面タンパク質、例えば、CLAUD ΓΝ-6、CLAUDIN-18.2およびCLAUDIN-12、c-MYC、CT、Cyp-B、DAM、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gap 100、HAGE、HER-2/neu、HPV-E7、HPV-E6、HAST-2、hTERT(またはhTRT)、LAGE、LDLR/FUT、MAGE-A、好ましくは、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、またはMAGE-A12、MAGE-B、MAGE-C、MART-1/メラン-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NF1、NY-ESO-1、NY-BR-1、pl90マイナーBCR-abL、Pml/RARa、PRAME、プロテイナーゼ3、PSA、PSM、RAGE、RU1またはRU2、SAGE、SART-1またはSART-3、SCGB3A2、SCP1、SCP2、SCP3、SSX、SURVIVIN、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、TPTE、WT、およびWT-1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0406】
がん突然変異は、各個体によって変動する。ゆえに、新規のエピトープ(ネオエピトープ)をコードするがん突然変異は、ワクチン組成物および免疫治療の開発における魅力的な標的を表す。腫瘍免疫治療の有効性は、宿主内で強力な免疫応答を誘導することができるがん特異的抗原およびエピトープの選択に依存する。RNAは、患者特異的腫瘍エピトープを患者に送達するのに用いることができる。脾臓中に存在する樹状細胞(DC)は、免疫原性エピトープまたは抗原、例えば腫瘍エピトープのRNA発現について、特に目的とする抗原提示細胞を表す。多重エピトープの使用は、腫瘍ワクチン組成物における治療有効性を促進することが示されている。腫瘍ミュータノームの迅速な配列決定により、例えば単一のポリペプチドとして、本明細書中に記載されるRNAによってコードされ得る個々に区別されたワクチン用の多重エピトープが提供され得、エピトープは、適宜、リンカーによって分離されている。本開示の特定の実施形態において、RNAは、少なくとも1つのエピトープ、少なくとも2つのエピトープ、少なくとも3つのエピトープ、少なくとも4つのエピトープ、少なくとも5つのエピトープ、少なくとも6つのエピトープ、少なくとも7つのエピトープ、少なくとも8つのエピトープ、少なくとも9つのエピトープ、または少なくとも10個のエピトープをコードする。例示的な実施形態は、少なくとも5つのエピトープ(「ペンタトープ」と称される)をコードするRNAおよび少なくとも10個のエピトープ(「デカトープ」と称される)をコードするRNAを含む。
【0407】
粒子
本開示の文脈において、用語「粒子」は、分子または分子複合体、特に粒子形成化合物によって形成される構造化された実体に関する。好ましくは、粒子は、両親媒性物質(例えば、両親媒性脂質、両親媒性ポリマー、および/または両親媒性タンパク質/ポリペプチド)の1つまたは複数のタイプから製造されるエンベロープ(例えば、1つまたは複数の層またはラメラ)を含有する。この文脈において、表現「両親媒性物質」は、物質が親水性および親油性の双方の特性を有することを意味する。また、エンベロープは、両親媒性である必要がない追加的な物質(例えば、追加的な脂質および/または追加的なポリマー)を含んでもよい。ゆえに、一実施形態において、粒子は、モノラメラ構造またはマルチラメラ構造であり、1つまたは複数の層またはラメラを構成する物質は、1つまたは複数のタイプの両親媒性物質(特に、両親媒性脂質、両親媒性ポリマー、および/または両親媒性タンパク質/ポリペプチドからなる群から選択される)を、適宜、両親媒性である必要がない追加的な物質(例えば、追加的な脂質および/または追加的なポリマー)と組み合わせて含む。一実施形態において、用語「粒子」は、マイクロ-またはナノサイズの構造、例えば、マイクロ-またはナノサイズのコンパクト構造に関する。この点で、用語「マイクロサイズの」は、粒子の3つの外部寸法が全てマイクロスケール、すなわち、1~5μmであることを意味する。本開示に従えば、用語「粒子」は、リポプレックス粒子(LPX)、脂質ナノ粒子(LNP)、ポリプレックス粒子、リポポリプレックス粒子、ウイルス様粒子(VLP)、およびそれらの混合物(例えば、2つ以上の粒子タイプの混合物、例えばLPXおよびVLPの混合物またはLNPおよびVLPの混合物)を含む。
【0408】
本開示において用いられる「ナノ粒子」は、本明細書中に記載される核酸(とりわけRNA)および少なくとも1つの陽イオン脂質を含む粒子を指し、粒子の3つの外部寸法は全て、ナノスケール、すなわち、少なくとも約1nmかつ約1000nm未満(好ましくは、10~990nm、例えば15~900nm、20~800nm、30~700nm、40~600nm、または50~500nm)である。好ましくは、最も長い軸および最も短い軸は、大きく異ならない。好ましくは、粒子のサイズは、その直径である。
【0409】
本開示の文脈において、用語「リポプレックス粒子」は、両親媒性脂質、特に陽イオン両親媒性脂質、および本明細書中に記載される核酸(とりわけRNA)を含有する粒子に関する。正に帯電するリポソーム(1つまたは複数の両親媒性脂質、特に陽イオン両親媒性脂質から製造される)と負に帯電する核酸(とりわけRNA)との間の静電的相互作用は、核酸リポプレックス粒子の錯体化および自発的形成をもたらす。正に帯電するリポソームは、通常、陽イオン両親媒性脂質、例えばDOTMA、および追加的な脂質、例えばDOPEを用いて合成されてもよい。一実施形態において、核酸(とりわけRNA)リポプレックス粒子は、ナノ粒子である。
【0410】
用語「脂質ナノ粒子」は、ナノサイズのリポプレックス粒子に関する。
【0411】
本開示の文脈において、用語「ポリプレックス粒子」は、両親媒性ポリマー、特に、陽イオン両親媒性ポリマー、および本明細書中に記載される核酸(とりわけRNA)を含有する粒子に関する。正に帯電する陽イオン両親媒性ポリマーと負に帯電する核酸(とりわけRNA)との間の静電的相互作用は、核酸ポリプレックス粒子の錯体化および自発的形成をもたらす。ポリプレックス粒子の調製に適した正に帯電する両親媒性ポリマーとして、プロタミン、ポリエチレンイミン、ポリ-L-リシン、ポリ-L-アルギニン、およびヒストンが挙げられる。一実施形態において、核酸(とりわけRNA)ポリプレックス粒子は、ナノ粒子である。
【0412】
用語「リポポリプレックス粒子」は、本明細書中に記載される両親媒性脂質(特に陽イオン両親媒性脂質)、本明細書中に記載される両親媒性ポリマー(特に陽イオン両親媒性ポリマー)、および本明細書中に記載される核酸(とりわけRNA)を含有する粒子に関する。一実施形態において、核酸(とりわけRNA)リポポリプレックス粒子は、ナノ粒子である。
【0413】
用語「ウイルス様粒子」(本明細書中でVLPと略される)は、ウイルスに酷似しているが、前記ウイルスのいかなる遺伝的材料も含有しないことで、非感染性である分子を指す。好ましくは、VLPは、本明細書中に記載される核酸(好ましくはRNA)を含有し、前記核酸(好ましくはRNA)は、VLPが由来するウイルスにとって異種起源である。VLPは、ウイルス構造タンパク質の個々の発現を介して合成することができ、これが続いて、ウイルス様構造に自己アセンブルすることができる。一実施形態において、異なるウイルス由来の構造カプシドタンパク質の組合せを用いて、組換えVLPを生じさせることができる。VLPは、B型肝炎ウイルス(HBV)[小型HBV由来表面抗原(HBsAg)]、パルボウイルス科(例えばアデノ随伴ウイルス)、パピローマウイルス科(例えばHPV)、レトロウイルス科(例えばHIV)、フラビウイルス科(例えばC型肝炎ウイルス)、およびバクテリオファージ(例えばQβ、AP205)が挙げられる多種多様なウイルスファミリーの構成要素から生成することができる。
【0414】
用語「核酸含有粒子」は、本明細書中に記載される、核酸(とりわけRNA)が結合される粒子に関する。この点で、核酸(とりわけRNA)は、粒子の外表面に付着されてもよく[表面核酸(とりわけ表面RNA)]、および/または粒子中に含有されてもよい[封入核酸(とりわけ封入RNA)]。
【0415】
一実施形態において、本開示の方法および使用に利用される粒子は、サイズ(好ましくは直径、すなわち、半径の二倍、例えば、回転半径(R)値の二倍または流体力学半径の二倍)が、約10~約2000nmの範囲内、例えば、少なくとも約15nm(好ましくは、少なくとも約20nm、少なくとも約25nm、少なくとも約30nm、少なくとも約35nm、少なくとも約40nm、少なくとも約45nm、少なくとも約50nm、少なくとも約55nm、少なくとも約60nm、少なくとも約65nm、少なくとも約70nm、少なくとも約75nm、少なくとも約80nm、少なくとも約85nm、少なくとも約90nm、少なくとも約95nm、または少なくとも約100nm)、かつ/または多くとも1900nm(好ましくは、多くとも約1900nm、多くとも約1800nm、多くとも約1700nm、多くとも約1600nm、多くとも約1500nm、多くとも約1400nm、多くとも約1300nm、多くとも約1200nm、多くとも約1100nm、多くとも約1000nm、多くとも約950nm、多くとも約900nm、多くとも約850nm、多くとも約800nm、多くとも約750nm、多くとも約700nm、多くとも約650nm、多くとも約600nm、多くとも約550nm、または多くとも約500nm)、好ましくは約20~約1500nm、例えば、約30~約1200nm、約40~約1100nm、約50~約1000、約60~約900nm、約70~800nm、約80~700nm、約90~600nm、または約100~500nmの範囲内、例えば、10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、または50~250nmの範囲内である。
【0416】
一実施形態において、遊離形態である[すなわち、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む試料または対照組成物中に含有される粒子に結合も付着もされていない]場合の、または製剤化されてない形態である[すなわち、組成物中で、本明細書中に明示される粒子を欠く、例えば、粒子形成化合物(例えば、リポソーム(特に陽イオン脂質)および/またはウイルス様粒子を構成する構成要素)を欠く]場合の核酸(とりわけRNA)は、サイズ(好ましくは直径、すなわち、半径の二倍、例えば、回転半径(R)値の二倍または流体力学半径の二倍)が、約10~約200nm、例えば、約15~約190nm、約20~約180nm、約25~約170nm、または約30~約160nmの範囲内である。
【0417】
本開示によれば、試料組成物は、本明細書で開示される核酸(特に、RNA)、および適宜、本明細書で開示される粒子を含む。一実施形態では、試料組成物は、本明細書で開示されるRNAを含む。一実施形態では、試料組成物は、本明細書で開示されるRNAおよび本明細書で開示される粒子を含む。一実施形態では、試料組成物は、RNAおよび本明細書で開示される粒子の混合物、例えば、2つ以上のタイプの粒子の混合物、例えば、LPXとVLPの混合物またはLNPとVLPの混合物またはLPXとVLPとVLPの混合物を含む。
【0418】
試料組成物は、当業者に既知の手順を用いて用意する(例えば、調製する)ことができる。例えば、本明細書で開示されるRNAを含む試料組成物は、当業者に既知であるかまたは本明細書に開示されるように、インビトロ転写または化学合成によって、用意する(例えば、調製する)ことができる。次いで、RNAを含むそのような組成物を用いて、RNAおよび粒子を含む試料組成物を生成することができる。例えば、そのような試料組成物は、1種または複数の適切な脂質を含有するリポソーム組成物を用意し、RNAを含む組成物をリポソーム組成物と混合することによって、調製することができる。リポソーム組成物は、好ましくは、エタノール注入技法を用いることによって調製される。代替の実施形態では、リポソーム組成物は、好ましくは、マイクロ流体流体力学的集束(Microfluidic Hydrodynamic Focusing)(MHF)[その開示全体が参照により本明細書に組み込まれるZizzari et al., Materials, 10 (2017), 1411を参照されたい]または同様の手順を用いて調製される。
【0419】
試料組成物(例えば、第2の態様の方法の工程(A)および(C)で言及される第1の組成物、または第2の態様の方法の工程(B)および(D)で言及される第2の組成物)が用意される[例えば、調製される、処理される(例えば、精製される、および/もしくは乾燥される)、ならびに/または保存される]いくつかの反応条件は、前記試料組成物の1つまたは複数のパラメーターに影響を与える可能性があり、1つまたは複数のパラメーターは、核酸完全性(特に、RNA完全性)、核酸(特に、RNA)の総量、遊離核酸(特に、RNA)の量、粒子に結合した核酸(特に、RNA)の量、核酸(特に、RNA)含有粒子のサイズ[特に、核酸(例えば、RNA)含有粒子の回転半径(R)および/または核酸(特に、RNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、核酸(特に、RNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(特に、RNA)含有粒子のRまたはR値に基づく]、ならびに核酸(特に、RNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(特に、RNA)含有粒子のRgまたはRh値に基づく]を含む[追加的な適宜のパラメーターは、核酸(特に、RNA)の分子量、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(特に、RNA)のサイズ(特に、核酸(特に、RNA)のRおよび/またはR値に基づく)、核酸(特に、RNA)のサイズ分布(例えば、核酸(特に、RNA)のRまたはR値に基づく)、核酸(特に、RNA)の定量的サイズ分布[例えば、核酸(特に、RNA)のRまたはR値に基づく)]、形状因子、形態因子、および核酸(特に、RNA)封入効率を含み;さらなる追加的な適宜のパラメーターは、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量対粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量の比率(前記比率は粒子サイズの関数として与えられ得る);粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量の比率(前記比率は粒子サイズの関数として与えられ得る);ならびに粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に荷電した部分の量の電荷比(前記電荷比は通常N/P比として示され、粒子サイズの関数として与えられ得る)を含む]。これらの反応条件は、限定されないが、塩濃度/イオン強度;温度(例えば、乾燥および/または保存に関する);pHまたはバッファ濃度;光/放射線;酸素;剪断力;圧力;凍結/解凍サイクル;乾燥/復元サイクル;賦形剤(例えば、スタビライザーおよび/またはキレート化剤)の添加;粒子形成化合物[特に、脂質(例えば、陽イオン両親媒性脂質)および/またはポリマー(例えば、陽イオン両親媒性ポリマー)]のタイプおよび/または源;核酸(特に、RNA)対粒子形成化合物[特に、脂質(例えば、陽イオン両親媒性脂質)および/またはポリマー(例えば、陽イオン両親媒性ポリマー)]の比率;電荷比;ならびに物理的状態を含む。
【0420】
A)塩およびイオン強度
本開示によれば、本明細書に記載の試料組成物は、塩化ナトリウムなどの塩を含むことができる。理論に拘束されることを望むものではないが、塩化ナトリウムは、少なくとも1つの陽イオン脂質と混合するより前に核酸(特に、RNA)を事前調整するためのイオン性浸透圧剤として機能する。ある特定の実施形態は、本開示において塩化ナトリウムの代替の有機または無機塩を企図する。代替の塩としては、限定されないが、塩化カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩化カルシウム、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のナトリウム塩が挙げられる。
【0421】
一般に、本明細書に記載の核酸(特に、RNA)粒子を含む試料組成物は、好ましくは、0mM~約500mM、約2mM~約400mM、約4mM~約300mM、約6mM~約200mM、または約10mM~約100mMの範囲にわたる濃度の塩化ナトリウムを含むことができる。例示的塩濃度としては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100mMの塩、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100mM NaClが挙げられる。一実施形態では、核酸(特に、RNA)粒子を含む組成物は、そのような塩化ナトリウム濃度に対応するイオン強度を含む。
【0422】
一般に、本明細書に記載のものなどの核酸(特に、RNA)およびリポソームから核酸(特に、RNA)粒子を形成するための試料組成物、およびその形成から生じる試料組成物は、高塩化ナトリウム濃度を含むことができるか、または高イオン強度を含むことができる。一実施形態では、塩化ナトリウムは少なくとも45mM、例えば、約45mM~約300mM、または約50mM~約150mMの濃度である。一実施形態では、試料組成物はそのような塩化ナトリウム濃度に対応するイオン強度を含む。
【0423】
一般に、例えば本明細書に記載のものなどの核酸(特に、RNA)粒子を凍結するために、核酸(特に、RNA)粒子を保存するための組成物は、低塩化ナトリウム濃度を含むことができるか、または低イオン強度を含むことができる。一実施形態では、塩化ナトリウムは0mM~約50mM、2mM~約40mM、または約10mM~約50mMの濃度である。一実施形態では、組成物はそのような塩化ナトリウム濃度に対応するイオン強度を含む。
【0424】
一般に、凍結した核酸(特に、RNA)粒子組成物を解凍し、水性液体を添加することによって浸透圧およびイオン強度を適宜調整することによって生じる試料組成物は、高塩化ナトリウム濃度を含むことができるか、または高イオン強度を含むことができる。一実施形態では、塩化ナトリウムは約50mM~約300mM、または約80mM~約150mMの濃度である。一実施形態では、組成物はそのような塩化ナトリウム濃度に対応するイオン強度を含む。
【0425】
B)温度
一般に、本明細書に記載の試料組成物は、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に適した温度で調製される。しかし、例えば、合成の間、低温(例えば0℃未満、例えば-20℃)または高温(例えば、約50℃以上、例えば、約60℃もしくは約80℃)を適用する必要があり得る。さらに、処理(例えば、乾燥)および/または保存の間に、試料組成物を室温以外の温度に供することができる。したがって、室温以外のこれらの温度(例えば、ストレス温度)がどのように試料組成物の1つまたは複数のパラメーターをもたらし得るかを分析する必要があり得る。例示的温度条件としては、低温(例えば、約0℃未満(例えば、約-5℃未満、例えば、約-20℃、または5℃から15℃の間)、周囲温度もしくは室温、中温(例えば、35℃から45℃の間)、または高温(例えば、45℃超、例えば、約50℃以上、約60℃、約80℃もしくは約98℃)が挙げられる。
【0426】
C)pHおよびバッファ
本開示によれば、本明細書に記載の試料組成物は、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に適したpHを有することができる。しかし、例えば、対象への投与のために、pH(例えば、生理的pHへ)、ならびに/またはpH値に対して試料組成物中で用いられるバッファのタイプおよび/もしくは量、ならびに/または核酸(特に、RNA)の安定性、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に最適でないバッファのタイプおよび/もしくは量を調整する必要があり得る。したがって、これらのストレス条件(すなわち、変化したpHおよび/またはバッファ条件)がどのように試料組成物の1つまたは複数のパラメーターをもたらし得るかを分析する必要があり得る。
【0427】
一実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は約5.7~約6.7のpHを有する。特定の実施形態では、組成物は、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6または約6.7のpHを有する。
【0428】
本開示によれば、バッファを含む試料組成物が提供される。理論に拘束されることを望むものではないが、バッファの使用は、試料組成物の製造、保存および使用の間、試料組成物のpHを維持する。本開示のある特定の実施形態では、バッファは、炭酸水素ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、[tris(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸(TAPS)、2-(Bis(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸(ビシン)、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(トリス)、N-(2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチル)グリシン(トリシン)、3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホン酸(TAPSO)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-l-イル]エタンスルホン酸(HEPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、ジメチルアルシン酸、2-モルホリン-4-イルエタンスルホン酸(MES)、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)であり得る。他の適切なバッファは、塩状態の酢酸、塩状態のクエン酸、塩状態のホウ酸および塩状態のリン酸であり得る。
【0429】
一部の実施形態では、バッファは約5.7~約6.7のpHを有する。特定の実施形態では、バッファは、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6または約6.7のpHを有する。一実施形態では、バッファはHEPESである。好ましい実施形態では、HEPESは約5.7~約6.7のpHを有する。特定の実施形態では、HEPESは、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6または約6.7のpHを有する。例示的実施形態では、HEPESは約6.2のpHを有する。
【0430】
さらに別の実施形態では、バッファは約2.5mM~約10mMの濃度を有する。HEPESがバッファである特定の実施形態では、HEPESの濃度は、約2.5mM、約2.75mM、3.0mM、約3.25mM、約3.5mM、約3.75mM、約4.0mM、約4.25mM、約4.5mM、約4.75mM、約5.0mM、約5.25mM、約5.5mM、約5.75mM、約6.0mM、約6.25mM、約6.5mM、約6.75mM、約7.0mM、約7.25mM、約7.5mM、約7.75mM、約8.0mM、約8.25mM、約8.5mM、約8.75mM、約9.0mM、約9.25mM、約9.5mM、約9.75mM、または約10.0mMである。好ましい実施形態では、HEPESは約7.5mMの濃度である。
【0431】
D)光、放射線、酸素、剪断力および/または圧力
【0432】
一般に、本明細書に記載の試料組成物は、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に適した、光、放射線、酸素、剪断力および/または圧力から選択される条件で調製することができる。しかし、例えば、試料組成物の合成、処理および/または保存の間に、核酸(特に、RNA)の安定性、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に最適でない、光、放射線、酸素、剪断力および/または圧力を適用する必要があり得る。したがって、これらのストレス条件(すなわち、核酸(特に、RNA)の安定性、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に最適でない、光、放射線、酸素、剪断力および/または圧力)がどのように試料組成物の1つまたは複数のパラメーターをもたらし得るかを分析する必要があり得る。
【0433】
一部の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は光の非存在下で、すなわち暗所で調製される。
【0434】
一部の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は放射線の非存在下で調製される。代替の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は放射線、例えば、マイクロ波放射線を用いて調製される。
【0435】
一部の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は周囲空気(すなわち、酸素を含有する空気)で調製される。代替の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は不活性ガス(例えば、窒素または貴ガス)下で、すなわち、酸素の非存在下で調製される。この方法で、酸素の存在が、例えば試料組成物の保存の間に、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に(特に、粒子の構成要素としての脂質の安定性に)影響があるかどうかを分析することができ、経時的安定性プロファイルを確立することができる。
【0436】
一部の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は高剪断力下で調製される[例えば、エタノール注入技法またはマイクロ流体流体力学的集束(MHF)を用いる[Zizzari et al., Materials, 10 (2017), 1411を参照されたい]。代替の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は低剪断力下で調製される(例えば、本明細書に記載のRNAを含む組成物を本明細書に記載のリポソーム組成物とピペットを用いて混合することによる)。この方法で、異なる剪断力の適用が、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に影響があるかどうかを分析することができる。
【0437】
一部の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は周囲圧力下で調製される。代替の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は周囲圧力より低いかまたは周囲圧力より高い圧力下で調製される。この方法で、異なる圧力の適用が、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に影響があるかどうかを分析することができる。
【0438】
E)凍結/解凍サイクル
一実施形態では、試料組成物を、-10℃未満の温度(例えば、約-15℃~約-40℃)で保存することができ、次いで、約4℃~約25℃の温度(周囲温度)に解凍することができる。別の実施形態では、試料組成物を複数の凍結融解サイクル[例えば、10℃未満の温度(例えば、約-15℃~約-40℃)で凍結し、約4℃~約25℃の温度(周囲温度)に解凍する]に供することができる。この方法で、1つまたは複数の凍結融解サイクルの適用が、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に影響があるかどうかを分析することができる。
【0439】
一実施形態では、試料組成物を-10℃未満の温度(例えば、約-15℃~約-40℃)で保存することができる。代替の実施形態では、試料組成物を凍結なしで保存することができる。この方法で、凍結が、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に影響があるかどうかを分析することができる。
【0440】
F)乾燥/復元サイクル
一実施形態では、試料組成物を乾燥形態で保存することができ、次いで、適切な溶媒または溶媒混合液(例えば、水性溶媒)を用いて復元することができる。乾燥形態は、試料調製物を噴霧乾燥、凍結乾燥、または凍結することによって実現することができる。代替の実施形態では、この乾燥/復元サイクルは、1回または複数回繰り返すことができる。この方法で、複数の乾燥/復元サイクルの適用が、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に影響があるかどうかを分析することができる。
【0441】
G)賦形剤
本明細書に記載の試料組成物は、1種または複数の賦形剤を含むことができる。そのような賦形剤としては、限定されないが、スタビライザー、キレート化剤、担体、結合剤、希釈剤、潤滑剤、増ちょう剤、表面活性剤、防腐剤、乳化剤、バッファ、着香剤、または着色剤が挙げられる。代替の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物は賦形剤を含まない。この方法で、特定の賦形剤(例えば、スタビライザーまたはキレート化剤)の存在が、核酸(特に、RNA)の安定性に、および存在するならば核酸(特に、RNA)粒子の安定性に影響があるかどうかを分析することができる。
【0442】
例えば、本明細書に記載の試料組成物は、製品の品質の実質的な喪失、特に、凍結、凍結乾燥または噴霧乾燥、および凍結、凍結乾燥または噴霧乾燥した組成物の保存の間の核酸(特に、RNA)活性の実質的な喪失を回避するために、スタビライザーを含むことができる。典型的には、スタビライザーは、凍結、凍結乾燥または噴霧乾燥プロセスより前に存在し、得られた凍結、凍結乾燥または凍結乾燥した調製物中に存続する。これは、凍結、凍結乾燥または噴霧乾燥、および凍結、凍結乾燥または凍結乾燥した調製物の保存の間に、核酸(特に、RNA)粒子を保護するために、例えば、凝集、粒子の崩壊、核酸(特に、RNA)の分解および/または他のタイプの損傷を低減させるかまたは防止するために、用いることができる。
【0443】
一実施形態では、スタビライザーは炭水化物である。本明細書で用いられる場合、用語「炭水化物」は、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖および多糖を指し、包含する。
【0444】
一実施形態では、スタビライザーは単糖である。本明細書で用いられる場合、用語「単糖」は、より単純な炭水化物単位に加水分解することができない単一炭水化物単位[例えば、単純糖(simple sugar)]を指す。例示的単糖スタビライザーとしては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、リボースなどが挙げられる。
【0445】
一実施形態では、スタビライザーは二糖である。本明細書で用いられる場合、用語「二糖」は、グリコシド結合を介して、例えば、1-4結合または1-6結合を介して互いに結合している2つの単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指す。二糖は、2つの単糖に加水分解され得る。例示的二糖スタビライザーとしては、ショ糖、トレハロース、ラクトース、マルトースなどが挙げられる。
【0446】
用語「三糖」は、互いに連結して1つの分子を形成する3つの糖を意味する。三糖の例としては、ラフィノースおよびメレチトースが挙げられる。
【0447】
一実施形態では、スタビライザーはオリゴ糖である。本明細書で用いられる場合、用語「オリゴ糖」は、グリコシド結合を介して、例えば、1-4結合または1-6結合を介して互いに結合して直鎖状、分枝状または環状構造体を形成する3~約15個、好ましくは3~約10個の単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指す。例示的オリゴ糖スタビライザーとしては、シクロデキストリン、ラフィノース、メレチトース、マルトトリオース、スタキオース、アカルボースなどが挙げられる。オリゴ糖は酸化または還元され得る。
【0448】
一実施形態では、スタビライザーは環状オリゴ糖である。本明細書で用いられる場合、用語「環状オリゴ糖」は、グリコシド結合を介して、例えば、1-4結合または1-6結合を介して互いに結合して環状構造体を形成する3~約15個、好ましくは6、7、8、9または10個の単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指す。例示的環状オリゴ糖スタビライザーとしては、別々の化合物である環状オリゴ糖、例えば、αシクロデキストリン、βシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンが挙げられる。
【0449】
他の例示的環状オリゴ糖スタビライザーとしては、より大きな分子構造中にシクロデキストリン部分を含む化合物、例えば環状オリゴ糖部分を含有するポリマーが挙げられる。環状オリゴ糖は酸化または還元されてもよく、例えば、ジカルボニル形態に酸化されてもよい。本明細書で用いられる場合、用語「シクロデキストリン部分」は、ポリマーなどのより大きな分子構造体に組み込まれたかまたは該分子構造体の一部であるシクロデキストリン(例えば、α、βまたはγシクロデキストリン)基を指す。シクロデキストリン部分は、直接的に、または適宜のリンカーを介して1つまたは複数の他の部分と結合することができる。シクロデキストリン部分は酸化または還元されてもよく、例えば、ジカルボニル形態に酸化されてもよい。
【0450】
炭水化物スタビライザー、例えば、環状オリゴ糖スタビライザーは、誘導体化された炭水化物であり得る。例えば、一実施形態では、スタビライザーは誘導体化された環状オリゴ糖、例えば、誘導体化されたシクロデキストリン、例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、例えば、部分的にエーテル化されたシクロデキストリン(例えば、部分的にエーテル化されたβシクロデキストリン)である。
【0451】
例示的スタビライザーは多糖である。本明細書で用いられる場合、用語「多糖」は、グリコシド結合を介して、例えば、1-4結合または1-6結合を介して互いに結合して、直鎖状、分枝状または環状構造体を形成する少なくとも16個の単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指し、その骨格構造の一部として多糖を含むポリマーを含む。骨格において、多糖は直鎖状または環状であり得る。例示的多糖スタビライザーとしては、グリコーゲン、アミラーゼ、セルロース、デキストラン、マルトデキストリンなどが挙げられる。
【0452】
一実施形態では、スタビライザーは糖アルコールである。本明細書で用いられる場合、用語「糖アルコール」は「糖」の還元生成物を指し、単純糖アルコール分子中の全ての酸素原子がヒドロキシル基の形態で存在することを示す。糖アルコールは「ポリオール」である。この用語は、3つ以上のヒドロキシル基を含有する化学化合物を指し、別の慣例的用語、多価アルコールと同義である。糖アルコールの例としては、限定されないが、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、グリセリン、キシリトールまたはイノシトールが挙げられる。
【0453】
一実施形態では、試料組成物はスタビライザーとしてショ糖を含むことができる。理論に拘束されることを望むものではないが、ショ糖は、試料組成物の凍結保護を促進し、それによって、核酸(特に、RNA)粒子の凝集を防止し、組成物の化学的および物理的安定性を維持するように機能する。ある特定の実施形態は、本開示においてショ糖の代替のスタビライザーを企図する。代替のスタビライザーとしては、限定されないが、トレハロース、グルコース、フルクトース、アルギニン、グリセリン、マンニトール、プロリン、ソルビトール、グリシンベタインおよびデキストランが挙げられる。特定の実施形態では、ショ糖の代替のスタビライザーはトレハロースである。
【0454】
一実施形態では、スタビライザーは、約5%(w/v)~約35%(w/v)、例えば、約10%(w/v)~約25%(w/v)、約15%(w/v)~約25%(w/v)または約20%(w/v)~約25%(w/v)の濃度である。
【0455】
一実施形態では、本明細書に記載の試料組成物はキレート化剤を含む。キレート化剤は、金属イオンと少なくとも2つの配位共有結合を形成し、それによって、安定な水溶性錯体を生成することができる化学化合物を指す。理論に拘束されることを望むものではないが、キレート化剤は、遊離二価イオンの濃度を低減させ、そうでなければ、遊離二価イオンは試料組成物中の核酸(特に、RNA)の分解の加速を誘導し得る。適切なキレート化剤の例としては、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの塩、デスフェリオキサミンB、デフェロキサミン、ジチオカルブナトリウム、ペニシラミン、ペンテト酸カルシウム、ペンテト酸のナトリウム塩、サクシマー、トリエンチン、ニトリロ三酢酸、trans-ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸(DCTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、bis(アミノエチル)グリコールエーテル-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、イミノ二酢酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸またはこれらの塩が挙げられる。ある特定の実施形態では、キレート化剤はEDTAまたはEDTAの塩である。例示的実施形態では、キレート化剤はEDTA二ナトリウム二水和物である。
【0456】
一部の実施形態では、EDTAは、約0.25mM~約5mM、例えば、約0.3mM~約4.5mM、約0.5mM~約4.0mM、約1.0mM~約3.5mM、または約1.5mM~約2.5mMの濃度で試料組成物中に含有される。好ましい実施形態では、EDTAは約2.5mMの濃度で試料組成物中に含有される。
【0457】
H)粒子形成化合物
粒子形成化合物、すなわち、試料組成物の核酸(特に、RNA)含有粒子を主に構成する化合物[特に、脂質(例えば、陽イオン両親媒性脂質)および/またはポリマー(例えば、陽イオン両親媒性ポリマー)]の量および/またはタイプおよび/または源(例えば、天然、半合成または合成起源)は、前記試料組成物の1つまたは複数のパラメーターに影響がある可能性がある。影響は、本開示の方法および/または使用を異なる試料組成物に適用し、それによって、前記異なる試料組成物の1種または複数の1つまたは複数のパラメーターを決定し、異なる試料組成物のうちの1つについて決定した1種または複数の1つまたは複数のパラメーターを異なる試料組成物の別のものについて決定した1種または複数の1つまたは複数のパラメーターと比較することによって、分析することができる。これらの異なる試料組成物は、限定されないが、核酸(特に、RNA)の異なる濃度、脂質および/またはポリマーの異なる源(例えば、天然、半合成または合成起源)、陽イオン両親媒性脂質以外の脂質の有無、陽イオン両親媒性脂質以外のポリマーの有無、総脂質の異なる濃度、総ポリマーの異なる濃度、脂質およびポリマーの総量の異なる濃度、ならびに核酸(特に、RNA)の、粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)に対する異なる比率を含めた様々な条件を用いて用意され得る。核酸および粒子形成化合物は両方とも核酸(特に、RNA)含有粒子の構成要素であるが、本開示で用いられる場合、表現「粒子形成化合物」は、いかなる核酸も包含しない。
【0458】
一般に、本明細書に記載の試料組成物中の核酸の濃度は、約0.01mg/mL~約2mg/mL、例えば、約0.05mg/mL~約1mg/mLまたは約0.1mg/mL~約0.5mg/mLであり得る。したがって、本開示のある特定の実施形態では、本明細書に記載の試料組成物中のRNAの濃度は、約0.01mg/mL~約2mg/mL、例えば、約0.05mg/mL~約1mg/mLまたは約0.1mg/mL~約0.5mg/mLである。
【0459】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質溶液、リポソームおよび核酸(特に、RNA)粒子は、陽イオン両親媒性脂質を含む。本明細書で用いられる場合、「陽イオン両親媒性脂質」は、正味の正電荷を有する両親媒性脂質を指す。陽イオン両親媒性脂質は、脂質マトリックスへの静電気的相互作用によって、負に荷電した核酸(特に、RNA)に結合する。一般に、陽イオン両親媒性脂質は、親油性部分、例えば、ステロール、アシルまたはジアシル鎖を有し、脂質の頭部基は、典型的には正電荷を帯びている。陽イオン両親媒性脂質の例としては、限定されないが、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);1,2-ジアシルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン;1,2-ジアルキルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン;ジオクタデシルジメチル塩化アンモニウム(DODAC)、2,3-ジ(テトラデコキシ)プロピル-(2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアザニウム(DMRIE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DMEPC)、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、および2,3-ジオレオイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパナミウム(propanamium)トリフルオロアセテート(DOSPA)が挙げられる。DOTMA、DOTAP、DODACおよびDOSPAが好ましい。特定の実施形態では、少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質はDOTMAおよび/またはDOTAPである。一実施形態では、少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質はDOTMA、特に(R)-DOTMAである。
【0460】
核酸(特に、RNA)粒子の全体的な正電荷対負電荷の比率および物理的安定性を調整するために、追加的な脂質を組み込むことができる。ある特定の実施形態では、追加的な脂質は中性脂質である。本明細書で用いられる場合、「中性脂質」は、ゼロの正味電荷を有する脂質を指す。中性脂質の例としては、限定されないが、1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、ペグ化セラミド[例えば、N-オクタノイル-スフィンゴシン-1-{スクシニル[メトキシ(PEG)]}およびN-パルミトイル-スフィンゴシン-1-{スクシニル[メトキシ(PEG)]}[PEGは(ポリエチレングリコール)750、(ポリエチレングリコール)2000または(ポリエチレングリコール)5000である]、スフィンゴミエリン(sphingoemyelin)、セファリン、コレステロール、ペグ化コレステロール[例えば、コレステロール-(ポリエチレングリコール)600]、ペグ化ジアシルグリセリド(例えば、ジステアロイル-rac-グリセロール-PEG2000、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000、1,3-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000、または1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000と1,3-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000の混合物]ならびにセレブロシドが挙げられる。特定の実施形態では、第2の脂質はDOPE、コレステロールおよび/またはDOPCである。
【0461】
ある特定の実施形態では、核酸(特に、RNA)粒子は陽イオン両親媒性脂質と追加的な脂質の両方を含む。例示的実施形態では、陽イオン両親媒性脂質はDOTMAであり、追加的な脂質はDOPEである。理論に拘束されることを望むものではないが、少なくとも1つの追加的な脂質の量と比較した少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質の量は、核酸(特に、RNA)粒子の重要な特徴、例えば、電荷、粒子サイズ、安定性、組織選択性および核酸(特に、RNA)の生物活性に影響を及ぼす可能性がある。したがって、一部の実施形態では、少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質対少なくとも1つの追加的な脂質のモル比は、約10:0~約1:9、約4:1~約1:2または約3:1~約1:1である。特定の実施形態では、モル比は、約3:1、約2.75:1、約2.5:1、約2.25:1、約2:1、約1.75:1、約1.5:1、約1.25:1または約1:1であり得る。例示的実施形態では、少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質対少なくとも1つの追加的な脂質のモル比は約2:1である。
【0462】
一般に、本明細書に記載の試料組成物中の総脂質の濃度は、約0.1~約100mg/mL、例えば、約0.5~約90mg/ml、約1~約80mg/ml、約2~約70mg/ml、約4~約60mg/ml、約6~約50mg/ml、約8~約40mg/mlまたは約10~約20mg/mlであり得る。
【0463】
また、核酸(特に、RNA)対粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の比率も、前記試料組成物の1つまたは複数のパラメーターに影響を与える可能性があり、1つまたは複数のパラメーターは、核酸完全性(特に、RNA完全性)、核酸(特に、RNA)の総量、遊離核酸(特に、RNA)の量、粒子に結合した核酸(特に、RNA)の量、核酸(特に、RNA)含有粒子のサイズ[特に、核酸(例えば、RNA)含有粒子の回転半径(Rg)および/または核酸(特に、RNA)含有粒子の流体力学半径(R)に基づく]、核酸(特に、RNA)含有粒子のサイズ分布[例えば、核酸(特に、RNA)含有粒子のRまたはR値に基づく]、ならびに核酸(特に、RNA)含有粒子の定量的サイズ分布[例えば、核酸(特に、RNA)含有粒子のRまたはR値に基づく]を含む[追加的な適宜のパラメーターは、核酸(特に、RNA)の分子量、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(特に、RNA)のサイズ[特に、核酸(特に、RNA)のRおよび/またはR値に基づく]、核酸(特に、RNA)のサイズ分布[例えば、核酸(特に、RNA)のRまたはR値に基づく]、核酸(特に、RNA)の定量的サイズ分布[例えば、核酸(特に、RNA)のRまたはR値に基づく)]、形状因子、形態因子、および核酸(特に、RNA)封入効率)、ならびに粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量対粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量の比率(前記比率は粒子サイズの関数として与えられ得る);粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量の比率(前記比率は粒子サイズの関数として与えられ得る);ならびに粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に荷電した部分の量の電荷比(前記電荷比は通常N/P比として示される)を含む]。例えば、電荷比(以下を参照されたい)は、これらのパラメーターの1つまたは複数に影響を与える可能性がある。さらに、中性脂質対陽イオン両親媒性脂質の比率も、これらのパラメーターの1つまたは複数に影響を与える可能性がある。
【0464】
一般に、核酸(特に、RNA)対粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の比率は、約1:100~約10:1(w/w)、例えば、約1:90~約5:1(w/w)、約1:80~約1:2(w/w)、約1:70~約1:1(w/w)、約1:60~約1:2(w/w)、約1:55~約1:5、約1:50~約1:10、約1:45~約1:15、約1:40~約1:20または約1:35~約1:25(w/w)であり得る。
【0465】
I)電荷比
本開示の核酸(特に、RNA)粒子の電荷は、少なくとも1つの陽イオン脂質中に存在する電荷と核酸(特に、RNA)中に存在する電荷の合計である。電荷比は、少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質(または陽イオン両親媒性ポリマー)中に存在する正電荷対核酸(特に、RNA)中に存在する負電荷の比率である。少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質(または陽イオン両親媒性ポリマー)中に存在する正電荷対核酸(特に、RNA)中に存在する負電荷の電荷比は、以下の式によって算出される:電荷比=[(陽イオン両親媒性脂質またはポリマーの濃度(mol))*(陽イオン両親媒性脂質またはポリマー中の正電荷の総数)]/[(核酸(特に、RNA)濃度(mol))*[核酸(特に、RNA))中の負電荷の総数]。核酸の濃度(特に、RNA)および少なくとも1つの陽イオン両親媒性脂質またはポリマーの量は、常法を用いて当業者が求めることができる。
【0466】
電荷比は、本明細書に記載の試料組成物の1つまたは複数のパラメーターに影響がある可能性がある。影響は、異なる電荷比で用意された少なくとも2つの試料組成物に本開示の方法および/または使用を適用し、それによって、前記異なる試料組成物の1種または複数の1つまたは複数のパラメーターを決定し、少なくとも2つの異なる試料組成物のうちの1つについて決定した1種または複数の1つまたは複数のパラメーターを少なくとも2つの異なる試料組成物の別のものについて決定した1種または複数の1つまたは複数のパラメーターと比較することによって、分析することができる。
【0467】
一般に、生理的pHで、核酸(特に、RNA)粒子中の正電荷対負電荷の電荷比は、約6:1~約1:2、例えば、約5:1~約1.2:2、約4:1~約1.4:2、約3:1~約1.6:2、約2:1~約1.8:2または約1.6:1~約1:1である。
【0468】
第1の実施形態では、生理的pHで、核酸(特に、RNA)粒子中の正電荷対負電荷の電荷比は約1.9:2~約1:2である。特定の実施形態では、生理的pHにおける核酸(特に、RNA)粒子中の正電荷対負電荷の電荷比は、約1.9:2.0、約1.8:2.0、約1.7:2.0、約1.6:2.0、約1.5:2.0、約1.4:2.0、約1.3:2.0、約1.2:2.0、約1.1:2.0または約1:2.0である。一実施形態では、生理的pHにおける核酸(特に、RNA)粒子中の正電荷対負電荷の電荷比は1.3:2.0である。別の実施形態では、本明細書に記載の核酸(特に、RNA)粒子は生理的pHで同数の正電荷および負電荷を有し、正味の中性の電荷比を有する核酸(特に、RNA)粒子をもたらすことができる。第1の実施形態による電荷比を有する核酸(特に、RNA)粒子は、脾臓組織または脾臓細胞、例えば、抗原提示細胞、特に樹状細胞を優先的に標的にする。
【0469】
第2の実施形態では、生理的pHで、核酸(特に、RNA)粒子中の正電荷対負電荷の電荷比は約6:1~約1.5:1である。特定の実施形態では、生理的pHにおける核酸(特に、RNA)粒子中の正電荷対負電荷の電荷比は、約6.0:1.0、約5.8:1.0、約5.6:1.0、約5.4:1.0、約5.2:1.0、約5.0:1.0、約4.8:1.0、約4.6:1.0、約4.4:1.0、約4.2:1.0、約4.0:1.0、約3.8:1.0、約3.6:1.0、約3.4:1.0、約3.2:1.0、約3.0:1.0、約2.8:1.0、約2.6:1.0、約2.4:1.0、約2.2:1.0、約2.0:1.0、約1.8:1.0、約1.6:1.0または約1.5:1.0である。第2の実施形態による電荷比を有する核酸(特に、RNA)粒子は、肺組織または肺細胞を優先的に標的にする。
【0470】
J)物理的状態
本明細書に記載の試料組成物の物理的状態(すなわち、液体または個体)は、前記試料組成物の1つまたは複数のパラメーターに影響がある可能性がある。固体の非限定例としては、凍結形態または凍結乾燥形態が挙げられる。液体形態の非限定例としては、溶液または懸濁液が挙げられる。固体形態は、試料調製を噴霧乾燥、凍結乾燥または凍結することによって実現することができる。一実施形態では、試料組成物は固体形態であり得る。代替の実施形態では、試料組成物は液体形態(例えば、溶液または懸濁液)であり得る。
【0471】
試料組成物の物理的状態の影響は、異なる物理的状態で用意された少なくとも2つの試料組成物に本開示の方法および/または使用を適用し、それによって、前記異なる試料組成物の1種または複数の1つまたは複数のパラメーターを決定し、異なる試料組成物のうちの1つについて決定した1種または複数の1つまたは複数のパラメーターを異なる試料組成物の別のものについて決定した1種または複数の1つまたは複数のパラメーターと比較することによって、分析することができる。
【0472】
本開示の試料組成物のパラメーター
試料組成物または対照組成物が、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む場合、核酸(とりわけRNA)は、遊離形態(すなわち、粒子に結合/付着していない状態)において、および/または結合形態(すなわち、粒子に結合/付着した状態)において、試料組成物または対照組成物に含まれ得る。核酸(とりわけRNA)の総量は、遊離核酸(とりわけRNA)(すなわち、非結合核酸(例えば、非結合RNA))と結合核酸(とりわけRNA)との合計である。結合核酸(とりわけRNA)は、粒子の外部表面に結合/付着した核酸(とりわけRNA)(本明細書において、「表面核酸」(例えば、「表面RNA」)とも称される)および粒子内に含有/封入された核酸(とりわけRNA)(本明細書において、「封入核酸」(例えば、「封入RNA」)とも称される)から構成される。表面核酸(例えば、「表面RNA」)および遊離核酸(例えば、「遊離RNA」)の合計は、本明細書において、「アクセス可能な核酸」(例えば、「アクセス可能なRNA」)とも呼ばれる。したがって、核酸の総量(例えば、RNAの総量)および遊離核酸の量(例えば、遊離RNAの量)以外に、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む試料組成物または対照組成物の追加のパラメーターは、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、およびアクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)である。図21は、核酸と粒子とを含む試料組成物または対照組成物中に含有される核酸における上記において言及された形態を例示しており、この場合、核酸はDNAである。
【0473】
その上、核酸(とりわけRNA)が、遊離形態(すなわち、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む試料組成物または対照組成物中に含有される粒子に結合または付着していない)または非製剤化形態(すなわち、本明細書において指定されるような粒子を含まない組成物、例えば、リポソームを構成する構成要素(特に、カチオン性両親媒性脂質および/またはカチオン性両親媒性ポリマー)および/またはウイルス様粒子を含まない組成物)である場合、核酸(とりわけRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布(例えば、核酸(例えば、RNA)の回転半径(R)および/または核酸(例えば、RNA)の流体力学半径(R)に基づく)も、求めるかまたは分析することができる。したがって、遊離形態または非製剤化形態における、核酸(とりわけRNA)を含む試料組成物または対照組成物の追加のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布(それぞれ、例えば、RまたはR値に基づく)である。
【0474】
さらなるパラメーターとしては、例えば、上記のパラメーターのうちの1つまたは複数から得られるもの、例えば、形状因子、形態因子、核酸(とりわけRNA)封入効率、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量と粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量との比率、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量との比率、ならびに粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に帯電した部分の量との電荷比(N/P比)が挙げられる。
【0475】
したがって、一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:核酸完全性(とりわけRNA完全性)、核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ(例えば、核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の回転半径(R)、および/または核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の流体力学半径(R)に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)の分子量、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、形状因子、形態因子、核酸(とりわけRNA)封入効率、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量と粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量との比率、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量との比率、ならびに粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に帯電した部分の量との電荷比(N/P比)、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または全て)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:核酸完全性(とりわけRNA完全性)、核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ(核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の回転半径(R)、および/または核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の流体力学半径(R)に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、形状因子、形態因子、核酸(とりわけRNA)封入効率、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量と粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量との比率、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量との比率、ならびに粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に帯電した部分の量との電荷比(N/P比)、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または全て)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:核酸完全性(とりわけRNA完全性)、核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ(例えば、核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の回転半径(R)、および/または核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の流体力学半径(R)に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、形状因子、形態因子、ならびに核酸(とりわけRNA)封入効率、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または全て)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:核酸完全性(とりわけRNA完全性)、核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ(例えば、核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の回転半径(R)、および/または核酸(例えば、RNA)を含有する粒子の流体力学半径(R)に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、ならびに核酸(とりわけRNA)封入効率、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または全て)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:核酸完全性(とりわけRNA完全性)、核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)、封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)、アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)、核酸(とりわけRNA)のサイズ(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、ならびに核酸(とりわけRNA)封入効率、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または全て)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:核酸完全性(とりわけRNA完全性)、核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、ならびに核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:核酸(とりわけRNA)の総量、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、ならびに核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、または少なくとも4つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、以下:遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、ならびに核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、例えば、1つ、2つ、3つ、または4つ)を含む。
【0476】
本開示の方法および/または使用の一部の実施形態(特に、組成物(例えば、試料組成物または対照組成物)がRNAおよび粒子を含むような実施形態)では、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の流体力学半径(R)に基づく)、ならびに適宜、本明細書において指定される残りのパラメーター(追加の適宜のパラメーターを含む)のうちの少なくとも1つのパラメーター、例えば、少なくとも2つのパラメーター、を含み;好ましくは、これらの残りのパラメーターは、遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、からなる群から選択される。本開示の方法および/または使用の一部の実施形態(特に、組成物(例えば、試料組成物または対照組成物)がRNAおよび粒子を含むような実施形態)では、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)ならびに:遊離核酸(とりわけRNA)の量、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量、および核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、からなる群から選択される少なくとも1つのパラメーター、例えば、少なくとも2つのパラメーター、を含む。本開示の方法および/または使用の一部の実施形態(特に、組成物(例えば、試料組成物または対照組成物)がRNAおよび粒子を含むような実施形態)では、1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布(例えば、RまたはR値に基づく)、遊離核酸(とりわけRNA)の量、および粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量を含む。核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布が、R値およびR値に基づいて求められる場合、これは、結果として、2つのデータセット、すなわち、R値に基づくものとR値に基づくもの、を生じる。しかしながら、本発明により、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布に対するこれら2つのデータセットは、1つのみのパラメーターと見なされる(2つのパラメーターとは見なされない)。加えて、フィールドフローフラクショネーションによって得られたフラクトグラムが2つ以上の粒子ピークを示す場合、粒子ピークの各々に対する定量的サイズ分布の決定は、1つのみのパラメーターと見なされる(粒子ピークの各々に対して1つのパラメーターとは見なされない)。同じことが、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布がR値およびR値に基づいて求められる状況にも適用される。
【0477】
一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、工程(a)~(c)の少なくとも1回(例えば、1~10回)のサイクルにおいて求められるかまたは分析される。好ましい一実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、工程(a)~(c)の1回のサイクルにおいて求められるかまたは分析される。
【0478】
概して、試料組成物のパラメーター(例えば、核酸(とりわけRNA)の量)は、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析されるべきである。したがって、一部の実施形態では、試料組成物の1つまたは複数のパラメーター(例えば、遊離核酸(とりわけRNA)の量)は、本開示の方法が実施される前または本開示の使用が適用される前には知られていない。しかしながら、一部の実施形態では、試料組成物の1つまたは複数のパラメーター(例えば、遊離核酸(とりわけRNA)の量)は、時間における第1の時点において既知であり、ならびに本開示の方法および/または使用は、少なくとも時間におけるより後の第2の時点において(例えば、ある特定の期間(例えば、1時間以上、1日以上、1週間以上、1か月以上、または1年以上)にわたって、1時間毎に(例えば、毎日、毎週、毎月、または毎年)少なくとも1回(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも8回、少なくとも10回)1つまたは複数のパラメーター(例えば、試料組成物の遊離核酸(とりわけRNA)の量)を決定または分析するために利用される。したがって、一実施形態では、本開示の方法および/または使用は、経時における1つまたは複数のパラメーターのプロファイルを求めるために、ある特定の期間にわたって(例えば、1時間以上、1日以上、1週間以上、1か月以上、または1年以上)、例えば、試料組成物の貯蔵の間、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターをモニターするために利用され得る。
【0479】
代替の実施形態では、本開示の方法および/または使用は、少なくとも2つの試料組成物の同じ1つまたは複数のパラメーター(例えば、遊離核酸(とりわけRNA)の量)を比較するために利用され得、その場合、少なくとも2つの試料組成物は、少なくとも2つの試料組成物が提供された1つまたは複数の反応条件においてのみ異なる。この実施形態では、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターに対する異なる反応条件の効果を分析することは可能である。これらの反応条件としては、これらに限定されないが、合成条件、処理条件(例えば、精製条件および/または乾燥条件)、および貯蔵条件が挙げられる。
【0480】
A.核酸完全性(とりわけRNA完全性)
本開示により、核酸完全性(とりわけRNA完全性)は、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の分解の度合いを表すパラメーターである。例えば、分解されていない核酸(とりわけRNA)の場合、前記核酸の全ての分子は、同じ長さを有する。したがって、フィールドフローフラクショネーションを使用してそれらのサイズまたは流体力学的移動性(例えば、拡散係数)に従って分離した場合、分解されていない核酸(とりわけRNA)は、鋭いピークを与えるはずである。対照的に、核酸(とりわけRNA)の分解は、結果として、長さの異なる分子の混合物をもたらす。その結果、フィールドフローフラクショネーションを使用してそれらのサイズまたは流体力学的移動性に従って分離した場合、分解した核酸(とりわけRNA)は、未分解の核酸(とりわけRNA)と比較して、異なる保持時間、特により早い保持時間、において検出され、未分解の核酸(とりわけRNA)に対するピークは、未分解の核酸(とりわけRNA)のみが存在する状況と比較して、より広くかつより小さい。分解の程度が高いほど、分解した核酸(とりわけRNA)に対するピークは、より広くかつより高くなり、ならびに未分解の核酸(とりわけRNA)に対するピークは、より広くかつより小さい。当業者であれば、日常的実験技術および機器を使用して核酸(とりわけRNA)を検出することができるであろう。例えば、フィールドフローフラクショネーションによる分離の後、核酸(とりわけRNA)は、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルを測定することによって検出され得る。核酸(とりわけRNA)は、UV範囲において(例えば、260nmまたは280nmにおいて)、特徴的減衰係数を有するため、前記核酸(とりわけRNA)の検出は、UVシグナル(好ましくは、260nm~280nmの範囲の波長、例えば、260nmまたは280nmの波長において)を測定することによって為すことが好ましい。
【0481】
例えば、図6Cは、未処理のRNA、完全に分解したRNA、または未処理のRNAと分解したRNAとの混合物のいずれかを含む3つの試料組成物に対するUVシグナルを示している。図6Cから分かるように、未処理の(すなわち、未分解の)RNAは、約17分の保持時間において単一のピークを与え、完全に分解したRNAは、約4分の保持時間においてピークを与え、ならびに未分解のRNAと分解したRNAとの混合物は、全く分解していないRNAに対して得られるピークまたは完全に分解したRNAに対して得られるピークよりも小さい2つのピーク(それぞれ、約4分の保持時間および約17分の保持時間)を与える。
【0482】
本明細書において開示される試料組成物の核酸完全性(とりわけRNA完全性)は、対照核酸(とりわけ対照RNA)の完全性を使用して求められるかまたは算出されることが好ましい。この対照核酸(とりわけ対照RNA)は、通常、対照組成物に含まれており、この場合、対照組成物および試料組成物は、(i)試料の1つまたは複数のパラメーターに対するその効果が求められるかまたは分析される、試料組成物に適用される条件、および/または(ii)試料の1つまたは複数のパラメーターに対するその効果が求められるかまたは分析される、試料組成物中の構成要素の有無、を除いて、同一である。例えば、試料組成物に適用される条件が、例えば、約98℃の高温(ある特定の期間(例えば、2分間、4分間、または10分間)において適用される)である場合、それぞれの対照組成物は、試料組成物と同一であるが(すなわち、試料組成物と同じ量において同じ構成要素(特に、同じ核酸(とりわけRNA)など)を有する)高温に晒されてはいない。その上、例えば、試料組成物が、さらに、賦形剤(例えば、安定化剤またはキレート化剤)を含む場合、それぞれの対照組成物は、賦形剤を含有しないことを除いて、試料組成物と同一であり、ならびに試料組成物と同じ条件に供されている。加えて、試料組成物の1つまたは複数のパラメーターがある期間においてモニターされる場合(例えば、貯蔵に関する安定性プロファイルを得るために)、対照組成物は、初期試料組成物、すなわち、モニタリングの開始時の試料組成物、であってもよい。
【0483】
概して、本明細書において開示される試料組成物の核酸完全性(とりわけRNA完全性)が対照核酸(とりわけ対照RNA)の完全性を使用して求められるかまたは算出される場合、試料組成物に対して求められるかまたは算出される完全性値が、対照組成物に対して求められるかまたは算出された完全性値と相関することが好ましい。したがって、通常、試料組成物に対して求められるかまたは算出される完全性値(IV)は、対照組成物に対して求められるかまたは算出された完全性値に対して正規化され、例えば、試料組成物に対して求められるかまたは算出された完全性値(IV)が、対照組成物に対して求められるかまたは算出された完全性値(IV)によって除算され、結果として、以下の方程式により、試料組成物における正規化された完全性(ISnorm.)がもたらされ:
【0484】
【数9】
この場合、結果は、パーセンテージとして提示される(そのため、対照組成物に対して求められるかまたは算出された完全性は100%である)。
【0485】
これに関して、完全性値は、例えば、対照組成物または試料組成物のフィールドフローフラクショネーションから得られるフラクトグラムにおける、未分解核酸(とりわけ未分解RNA)を表すピークの面積および/または高さを使用して、当業者に既知なように求められるかまたは算出され得る。
【0486】
好ましい一実施形態では、完全性値は、未分解核酸(とりわけ未分解RNA)を表すピーク(UVピーク、蛍光ピーク、またはRIピーク)の面積に基づいて求められるかまたは算出される。特に、完全性値は、(i)前記ピークの最大高さから前記ピークの終わりまでの面積(A50%)と、(ii)前記ピークの総面積(A100%)との比率として求められるかまたは算出される。例えば、図2は、A50%値およびA100%値の決定または算出を例示している。特に、図2Aは、対照RNA組成物に対するA50%値の決定または算出を示しており(A50%値の決定または算出に対する限界は、数字の「1」で示される)、その一方で、図2Bは、対照RNA組成物に対するA100%値の決定または算出を示している(A100%値の決定または算出に対する限界は、数字の「2」で示される)。図2Cおよび2Dは、熱処理に供された試料RNA組成物に対するA50%値(図2C)およびA100%値(図2D)の決定または算出を示している(したがって、図2Cおよび2Dにおけるピークは、分解したRNAの存在に起因して、より広い)。
【0487】
代替の好ましい実施形態では、完全性値は、基準試料を用いずに求められるかまたは算出される。この実施形態では、試料組成物に対する完全性値は、好ましくは、(i)2・A50%、すなわち、前記ピークの最大高さから前記ピークの終わりまでのピーク面積の2倍値と、(ii)A100%、すなわち、前記ピークの総面積との比率である。したがって、試料組成物中の核酸(とりわけRNA)の完全性は、以下の方程式に従って求められるかまたは算出されるであろう。
【0488】
【数10】
核酸(とりわけRNA)の完全性を求めるための他の日常的作業が可能である(例えば、ピークの限界は、ピークの傾きによって定義することができる)。ピーク最大値が、「無傷の」/未分解の核酸(とりわけRNA)を含むことを検証するために、核酸(とりわけRNA)の分子量をLSデータから求めるかまたは算出することができ、ならびに試料の理論的に算出された分子量(核酸配列ならびに核酸に共有結合的または非共有結合的に結合した適宜の追加の物質(例えば、1つまたは複数の色素)に基づいて)と比較することができる。核酸(とりわけRNA)のより高次の分子構造を避けるために、試料は、粒子の凝集体の形成を防ぐことができる溶媒または溶媒混合物で希釈すべきである。例えば、溶媒混合物は、水と有機溶媒、例えば、ホルムアミド(例えば、60%(v/v))との混合物であり得る。好ましくは、そのような希釈は、分析の直前(例えば、分析の5分前)に、および/または上昇した温度(例えば、40℃~80℃、例えば、50℃~70℃、または55℃~65℃の範囲、または約60℃)において実施される。より高次の分子構造を形成する傾向が低い試料は、粒子の凝集体の形成を防ぐことができる溶媒または溶媒混合物によって希釈せずに分析することができる。
【0489】
さらなる代替の実施形態では、完全性値は、未分解核酸(とりわけ未分解RNA)を表すピーク(UVピーク、蛍光ピーク、またはRIピーク)の高さに基づいて求められるかまたは算出される。この実施形態では、試料組成物に対する完全性値は、試料組成物に対して得られるフラクトグラムにおける前記ピークの高さ(H)であり、ならびに対照組成物に対する完全性値は、対照組成物に対して得られるフラクトグラムにおける前記ピークの高さ(H)である。したがって、試料組成物中の核酸(とりわけRNA)の正規化された完全性は、以下の方程式に従って求められるかまたは算出されるであろう。
【0490】
【数11】
試料組成物中の核酸(とりわけRNA)の正規化された完全性のこの種類の決定または算出は、あまり影響を受けない(面積、特にA50%とA100%との比率、に基づいて、上記において識別した実施形態と比較して)ことは留意されたい。したがって、未分解核酸(とりわけ未分解RNA)を表すピークの高さに基づく、試料組成物中の核酸(とりわけRNA)の当該正規化された完全性の決定または算出に対するこの代替の実施形態は、あまり好ましくない。
【0491】
さらなる代替の実施形態では、特に、核酸(とりわけRNA)が、10,000超のヌクレオチド(例えば、最大で15,000までのヌクレオチド、または最大で12,000までのヌクレオチド)の長さを有する場合、試料組成物に対する完全性値は、(a)UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナル、および(b)LSシグナル(例えば、MALSシグナル)、の両方に基づいて求められ得るかまたは算出され得る。このさらなる代替の実施形態は、基準核酸(とりわけRNA)を頼ることなく使用することができる。上記において示されるように、未分解の核酸(とりわけRNA)は、鋭いピークを与えるはずであり、その一方で、核酸(とりわけRNA)の分解は、結果として、長さの異なる分子の混合物を生じる。その結果、未分解の核酸(とりわけRNA)を表すLSシグナル(例えば、MALSシグナル)から算出された分子量曲線は、(ほぼ)水平な線、すなわち、約0の傾きを有する連続曲線部分、であるはずである。対照的に、部分的に分解した核酸(とりわけRNA)の混合物(すなわち、異なる(好ましくは減少する)分子量を有する核酸(とりわけRNA)の混合物)を表すLSシグナル(例えば、MALSシグナル)から算出される分子量曲線は、異なる傾きを有した異なる部分を有し、この場合、ほぼ0の傾きを有する(好ましくは連続する)当該部分は、理想的には、無傷の/未分解の核酸(とりわけRNA)の部分を表している。したがって、分子量曲線の(ほとんど)水平な部分がそれぞれ始まり、そして終わる(すなわち、tおよびt)それらの保持時間は、「無傷の」/未分解の核酸(とりわけRNA)を表すピーク(UVピーク、蛍光ピーク、またはRIピーク)に対する制限と見なすことができる。分子量曲線の(ほとんど)水平な部分がそれぞれ始まり、そして終わる、これらの保持時間を求めるために、分子量曲線の一次導関数が算出され得る。次いで、一次導関数が約0である、(好ましくは連続する)部分の開始点および終了点は、所望の保持時間を表している。その結果、このさらなる代替の実施形態では、試料組成物に対する完全性値は、好ましくは、(i)これらの保持時間の間のピーク(UVピーク、蛍光ピーク、またはRIピーク)の面積と、(ii)前記ピークの総面積との比率として求められるかまたは算出される。したがって、このさらなる代替の実施形態では、試料組成物中の核酸(とりわけRNA)の完全性(I)は、以下の方程式を使用して算出することができ:
【0492】
【数12】
式中、Aピーク1は、全ピーク(UVピーク、蛍光ピーク、またはRIピーク)の面積であり、ならびにAピーク2は、tとtとの間のピーク(UVピーク、蛍光ピーク、またはRIピーク)の面積である。ピーク最大値が、「無傷の」/未分解の核酸(とりわけRNA)を含むことを検証するために、核酸(とりわけRNA)の分子量は、LSデータ(例えば、MALSデータ)から求めるかまたは算出することができ、ならびに試料の理論的に算出された分子量(核酸配列ならびに核酸に共有結合的または非共有結合的に結合した適宜の追加の物質(例えば、1つまたは複数の色素)に基づいて)と比較することができる。核酸(とりわけRNA)のより高次の分子構造を避けるために、試料は、粒子の凝集体の形成を防ぐことができる溶媒または溶媒混合物で希釈すべきである。例えば、溶媒混合物は、水と有機溶媒、例えば、ホルムアミド(例えば、60%(v/v))との混合物であり得る。好ましくは、そのような希釈は、分析の直前(例えば、分析の5分前)に、および/または上昇した温度(例えば、40℃~80℃、例えば、50℃~70℃、または55℃~65℃の範囲、または約60℃)において実施される。より高次の分子構造を形成する傾向が低い試料は、粒子の凝集体の形成を防ぐことができる溶媒または溶媒混合物によって希釈せずに分析することができる。例えば、図23は、基準核酸を使用しない核酸の完全性の決定または算出のための上記のさらなる代替の実施形態を例示している。特に、図23Aは、90°でのLSシグナル(点線)および260nmでのUVシグナル(実線)による、saRNA(11,917ヌクレオチドの長さを有する)のAF4フラクトグラムを示している。太く暗い線は、MALSシグナルから得られた分子量を表している。未分解の/無傷のRNAのピーク(ピーク2)に対する限界を求めるため、MALSシグナルから得られる分子量曲線(図23Bの上側パネルにも示される)が、その一次導関数(図23Bの下側パネルに示される)を算出するために区別される。図23Bに提示されるデータにより、一次導関数が約0である連続部分は、t=約15分(=t)において始まり、ならびにt=約31.8分(=t)において終わる。
【0493】
本明細書において開示されるように、本開示の方法および/または使用の工程(b)では、1つまたは複数の試料画分のうちの少なくとも1つのUVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルが測定され、それらから、(試料)組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の量を求めることができる。核酸(とりわけRNA)は、UV範囲において(例えば、260nmまたは280nmにおいて)、特徴的減衰係数を有するため、前記核酸(とりわけRNA)の量は、UVシグナルを測定することによって求めることができる。核酸(とりわけRNA)が、蛍光である場合(例えば、核酸が、共有結合または非共有結合によって蛍光色素で標識されているため)、または、蛍光性になる場合(例えば、核酸に(特に、特異的に)付着する蛍光色素、例えば、インターカレーティング蛍光色素、を加えることによって)、核酸(とりわけRNA)の量も、蛍光(FS)シグナルを測定することによって求めることができる。あるいは、粒子に結合している核酸(とりわけRNA)の量は、蛍光色素で標識された粒子を使用することによって求めることができる。上記のアプローチにおいて、任意の蛍光色素を使用することができる。蛍光色素を核酸(とりわけRNA)または別の物質(例えば、本明細書において記載される粒子を構成する物質、例えば、脂質および/またはポリマー)に共有結合または非共有結合によって取り付けるための蛍光色素および手順は、当業者に既知であり;例えば、"The Molecular Probes Handbook - A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies", 11th edt. (2010), I. Johnson and M.T.Z. Spence (editors)を参照、なお、当該文献は、参照により本明細書に組み入れられる。その上、核酸(とりわけRNA)の量は、屈折率(RI)シグナルを測定することによっても決定することができる。
【0494】
B.核酸(とりわけRNA)の総量
概して、核酸(とりわけRNA)の量は、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルに基づいて求められ得るかまたは算出され得る。一実施形態では、この目的のために、較正曲線が使用され、この場合、前記較正曲線は、異なる既知の量の対照核酸(とりわけRNA)を含有するいくつかの対照組成物と、前記対照核酸(とりわけRNA)から得られる、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルとに基づいて確立される。
【0495】
核酸(とりわけRNA)は、UV範囲において(例えば、260nmまたは280nmにおいて)、特徴的減衰係数を有する。したがって、代替の好ましい実施形態では、核酸(とりわけRNA)の量は、UVシグナルを測定すること(好ましくは、260nm~280nmの範囲の波長、例えば、260nmまたは280nmの波長において)、およびランベルト・ベールの法則を使用することによって求められるかまたは算出される。例えば、試料組成物または対照組成物の核酸(とりわけRNA)濃度は、以下の方程式を使用して算出することができ:
【0496】
【数13】
式中、cは、核酸(とりわけRNA)濃度(mg/mL中)であり;Aは、UVピーク面積(AU分中)であり;Fは、フィールドフローフラクショネーションにおいて使用される流速(mL/分中)であり;εは、核酸の比減衰係数(例えば、一本鎖RNAの場合は0.025(mg/mL)-1cm-1)であり;dは、細胞長さ(cm中)であり;ならびにVは、試料組成物または対照組成物あるいはその一部の注入量である。
【0497】
UV範囲における(例えば、260nmまたは280nmにおける)減衰係数を使用した核酸(とりわけRNA)の決定または算出は、較正曲線の確立を必要としないため、有利である。
【0498】
上記において示されるように、試料組成物または対照組成物が、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む場合、核酸(とりわけRNA)は、遊離形態(すなわち、粒子に結合/付着していない状態)において、および/または結合形態(すなわち、粒子に結合/付着した状態)において、組成物に含有され得る。核酸(とりわけRNA)の総量は、遊離核酸(とりわけRNA)(すなわち、非結合核酸(例えば、非結合RNA))および結合核酸(とりわけRNA)の合計である。
【0499】
したがって、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の総量を求めるかまたは算出するために、(a)前記試料組成物または対照組成物における遊離核酸(とりわけRNA)の量および結合した核酸(とりわけRNA)の量の両方を求めるかまたは算出しなければならないか、または(b)一方の形態の核酸(とりわけRNA)(例えば、結合した核酸(とりわけ結合RNA)を他の形態(例えば、遊離核酸(とりわけ遊離RNA)に移行させ、後者の形態の量を求めるかまたは算出しなければならないか、のどちらかである。この移行は、例えば、放出剤を試料組成物または対照組成物あるいはそれらの一部に加えることによって、達成することができる。放出剤は、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)を粒子から放出させることができる(それにより、結合した核酸(とりわけ結合RNA)の量をゼロまで減少させ、遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量をその最大まで増加させる)。放出剤の例としては、これらに限定されるわけではないが、(i)界面活性剤、例えば、陰イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン性界面活性剤(例えば、n-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート(Zwittergent(登録商標)3-14))、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの混合物;(ii)アルコール、例えば、脂肪族アルコール(例えば、エタノール)、またはアルコールの混合物;あるいは(iii)(i)および(ii)の組合せ物、が挙げられる。好ましい放出剤は、陰イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、双性イオン性界面活性剤(例えば、n-テトラデシル-N、N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート(Zwittergent(登録商標)3-14))、またはそれらの組合せ物である。核酸(とりわけRNA)がフィールドフローフラクショネーションの間に粒子内に再取り込みされないことを確実にするために、一実施形態では、含有する核酸(とりわけRNA)の総量が求められるかまたは算出される、試料組成物または対照組成物あるいは前記試料組成物または対照組成物の一部が、放出剤を含有する液相を使用するフィールドフローフラクショネーションに供される。しかしながら、Zwittergent(登録商標)3-14が放出剤として使用される場合、放出剤を含有する液相を使用することは必ずしも必要ではない。
【0500】
C.遊離核酸(とりわけRNA)の量
遊離核酸(とりわけRNA)は、本明細書において開示される粒子と比べて、サイズにおいてはるかに小さいか、または少なくとも、本明細書において開示される粒子と比べて、フィールドフローフラクショネーションにおいてはるかに高い流体力学的移動性を有する。したがって、フィールドフローフラクショネーションを使用することによって、遊離核酸(とりわけRNA)を、核酸(とりわけRNA)から2つの(好ましくはベースラインとは別の)ピークへと分離することが可能であり、この場合、一方のピークは、遊離核酸(とりわけRNA)を表し、もう一方のピークは、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)を表す。例えば、フィールドフローフラクショネーションが、ある値(例えば、約1~約4mL/分)から開始されて、より低い値(例えば、約0~約0.1mL/分)まで減少するようなクロスフローレートプロファイルを使用して実施される場合、より早い保持時間のピークは、遊離核酸(とりわけRNA)を表し、より遅い保持時間のピークは、粒子に結合した核酸(とりわけRNA)を表す。例えば、図5は、RNAと粒子とを含む試料組成物をフィールドフローフラクショネーションに供することによって得られる代表的なフラクトグラムを表しており、この場合、UVシグナル(260nmにおいて記録される;破線)および光散乱(LS)シグナル(実線)が、時間経過において記録される。薄灰色の四角は、遊離RNAに対するピークを示しており、その一方で、暗灰色の四角は、粒子に結合したRNA(破線)および粒子(実線)を示している。
【0501】
したがって、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される遊離核酸(とりわけRNA)の量は、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の総量の決定または算出に対して上記において指定されたのと同じ方法において求められ得るかまたは算出され得る。したがって、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される遊離核酸(とりわけRNA)の量は、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルに基づいて求められるかまたは算出され、その場合、較正曲線が使用される。好ましい実施形態では、遊離核酸(とりわけRNA)の量は、UV範囲における(例えば、260nmまたは280nmにおける)核酸(とりわけRNA)の減衰係数を使用することによって求められるかまたは算出される。
【0502】
D.粒子に結合した核酸(とりわけRNA)の量
上記において示されるように、試料組成物または対照組成物が、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む場合、核酸(とりわけRNA)は、遊離形態(すなわち、粒子に結合/付着していない状態)において、および/または結合形態(すなわち、粒子に結合/付着した状態)において、組成物中に含有され得る。
【0503】
したがって、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される結合核酸(とりわけRNA)の量は、特に、核酸(とりわけRNA)の総量から遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量を減算することによって、組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の総量および組成物中に含有される遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量から求めることができるかまたは算出することができる。組成物中に含有される結合核酸(とりわけRNA)の量および遊離核酸(とりわけRNA)の量の両方は、例えば、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルに基づく較正曲線を使用することによって、またはUV範囲における(例えば、260nmまたは280nmにおける)核酸(とりわけRNA)の減衰係数を使用することによって、上記において指定されたように求めることができるかまたは算出することができる。
【0504】
E.表面核酸の量(例えば、表面RNAの量)
上記において示されるように、試料組成物または対照組成物が、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む場合、核酸(とりわけRNA)は、粒子の外部表面に結合/付着され得る(「表面核酸」(例えば、「表面RNA」))。この表面核酸(例えば、表面RNA)は、色素、特に蛍光色素、を試料組成物または対照組成物に添加することによって検出することができ、この場合、色素は、核酸(とりわけRNA)、特に、粒子の外部表面に結合/付着した核酸、に(とりわけ特異的に)結合する(すなわち、色素は、好ましくは、粒子に封入された核酸に結合することができない)。この目的に好適な色素、特に蛍光色素は、当業者に既知であり;例えば、"The Molecular Probes Handbook - A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies", 11th edt.. (2010)を参照。核酸(とりわけRNA)、特に、粒子の外部表面に結合/付着した核酸、に(特に特異的に)結合するそのような色素の特定の例としては、インターカレーティング色素、例えば、GelRED(5,5’-(6,22-ジオキソ-11,14,17-トリオキサ-7,21-ジアザヘプタコサン-1,27-ジイル)ビス(3,8-ジアミノ-6-フェニルフェナントリジン-5-イウム)ヨージド)、GelGreen(10,10’-(6,22-ジオキソ-11,14,17-トリオキサ-7,21-ジアザヘプタコサン-1,27-ジイル)ビス(3,6-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン-10-イウム)ヨージド)、ベルベリン、エチジウム(例えば、臭化エチジウム)、メチレンブルー、またはプロフラビンが挙げられ、好ましくは、GelREDである。
【0505】
したがって、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される表面核酸(とりわけ表面RNA)の量は、試料組成物または対照組成物に加えられた色素のシグナル、特に、蛍光色素、例えば、インターカレーティング色素(例えば、GelRED(5,5’-(6,22-ジオキソ-11,14,17-トリオキサ-7,21-ジアザヘプタコサン-1,27-ジイル)ビス(3,8-ジアミノ-6-フェニルフェナントリジン-5-イウム)ヨージド)、GelGreen(10,10’-(6,22-ジオキソ-11,14,17-トリオキサ-7,21-ジアザヘプタコサン-1,27-ジイル)ビス(3,6-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン-10-イウム)ヨージド)、ベルベリン、エチジウム(例えば、臭化エチジウムど)、メチレンブルー、またはプロフラビン、好ましくは、GelRED)の蛍光シグナルから求めることができるかまたは算出することができ、この場合、色素は、核酸(とりわけRNA)、特に、粒子の外部表面に結合/付着した核酸(とりわけRNA)、に(とりわけ特異的に)結合する。好ましくは、色素の光放出(例えば、蛍光放出)は、表面核酸(とりわけ表面RNA)に結合すること(例えば、インターカレーション)によって増強される。
【0506】
一実施形態では、この目的のために、較正曲線が使用され、その場合、前記較正曲線は、色素(例えば、蛍光色素、例えば、インターカレーティング色素、例えば、GelRED、GelGreen、ベルベリン、エチジウム(例えば、臭化エチジウム)、メチレンブルー、またはプロフラビン、好ましくはGelRED)を含有するいくつかの対照組成物、ならびに対照核酸(とりわけRNA)の異なる既知の量および色素からの光放出シグナル(例えば、蛍光色素からの蛍光シグナル)に基づいて確立される。
【0507】
F.封入核酸の量(例えば、封入RNAの量)
上記において示されるように、試料組成物または対照組成物が、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む場合、核酸(とりわけRNA)は、結合形態(すなわち、粒子に結合/付着した状態)において、組成物に含まれ得、その場合、結合した核酸(とりわけRNA)は、粒子の外部表面に結合/付着した核酸(とりわけRNA)(すなわち、表面核酸(例えば、表面RNA))および粒子内に含有/封入された核酸(とりわけRNA)(すなわち、封入核酸(例えば、封入RNA))で構成される。
【0508】
したがって、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される封入核酸(とりわけ封入RNA)の量は、特に、結合した核酸(とりわけ結合RNA)の量から表面核酸(とりわけ表面RNA)の量を減算することによって、組成物中に含有される結合した核酸(とりわけ結合RNA)の量および組成物中に含有される表面核酸(とりわけ表面RNA)の量から求めることができるかまたは算出することができる。組成物中に含有される結合した核酸(とりわけRNA)の量および表面核酸(とりわけRNA)の量の両方は、上記において指定されたように求めることができるかまたは算出することができる。例えば、組成物中に含有される結合した核酸(とりわけRNA)の量は、上記において指定されたように、組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の総量および組成物中に含有される遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量から求めることができるかまたは算出することができる(特に、核酸(とりわけRNA)の総量から遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量を減算することによって、この場合、組成物中に含有される結合した核酸(とりわけRNA)の量および遊離核酸(とりわけRNA)の量の両方は、例えば、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルに基づく較正曲線を使用することによって、またはUV範囲における(例えば、260nmまたは280nmにおける)核酸(とりわけRNA)の減衰係数を使用することによって、上記において指定されたように求めることができるかまたは算出することができる)。その上、組成物中に含有される表面核酸(とりわけRNA)の量は、例えば、組成物に加えられた色素の光放出シグナル(例えば、蛍光色素、例えば、インターカレーティング色素(例えば、GelRED(5,5’-(6,22-ジオキソ-11,14,17-トリオキサ-7,21-ジアザヘプタコサン-1,27-ジイル)ビス(3,8-ジアミノ-6-フェニルフェナントリジン-5-イウム)ヨージド)、GelGreen(10,10’-(6,22-ジオキソ-11,14,17-トリオキサ-7,21-ジアザヘプタコサン-1,27-ジイル)ビス(3,6-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン-10-イウム)ヨージド)、ベルベリン、エチジウム(例えば、臭化エチジウム)、メチレンブルー、またはプロフラビン、好ましくはGelRED)、の蛍光シグナルから、上記において説明したように求めることができるかまたは算出することができ、この場合、色素は、粒子の外部表面に結合/付着している核酸(とりわけRNA)に(とりわけ特異的に)結合する。
【0509】
G.アクセス可能な核酸の量(例えば、アクセス可能なRNAの量)
上記において示されるように(例えば、図21を参照)、試料組成物または対照組成物が、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む場合、アクセス可能な核酸(とりわけRNA)は、表面核酸(とりわけ表面RNA)と遊離核酸(とりわけ遊離RNA)との合計である。あるいは、アクセス可能な核酸(とりわけRNA)は、核酸の総量(とりわけRNAの総量)から封入核酸(とりわけ封入RNA)の量を減算することによって、核酸の総量(とりわけRNAの総量)および封入核酸(とりわけ封入RNA)から求められ得るかまたは算出され得る。
【0510】
したがって、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有されるアクセス可能な核酸の量(とりわけアクセス可能なRNAの量)は、特に、表面核酸(とりわけ表面RNA)の量および表面核酸(とりわけ表面RNA)の量を合計することによって、組成物中に含有される表面核酸(とりわけ表面RNA)の量および組成物中に含有される遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量から求めることができるかまたは算出することができる。代替の実施形態では、核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有されるアクセス可能な核酸の量(とりわけアクセス可能なRNAの量)は、特に、核酸の総量(とりわけRNAの総量)から封入核酸(とりわけ封入RNA)の量を減算することによって、組成物中に含有される核酸の総量(とりわけRNAの総量)および組成物中に含有される封入核酸(とりわけ封入RNA)から求めることができるかまたは算出することができる。組成物中に含有される核酸の総量(とりわけRNAの総量)、組成物中に含有される遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量、組成物中に含有される表面核酸(とりわけ表面RNA)の量、および組成物中に含有される封入核酸(とりわけ封入RNA)は、それぞれB.、C.、E.、およびF.の下において、上記において指定されたように求めることができるかまたは算出することができる。
【0511】
H.核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および定量的サイズ分布
試料組成物または対照組成物が、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む場合、粒子のサイズおよび前記粒子の分布は、試料組成物または対照組成物または少なくともその一部をフィールドフローフラクショネーションに供することによって得られる1つまたは複数の試料画分または対照画分の光散乱(LS)シグナルから求めることができるかまたは算出することができる。一実施形態では、多角度において測定された散乱光の強度が使用され、この場合、各切片は、溶出する粒子によって散乱された光の角度依存性を説明する曲線に対応する。曲線を適切なフォーマリズム(例えば、ベリープロット、ジムプロット、またはデバイプロット)によって適合させ、ゼロ角度に外挿することによって、回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を得ることができ、それらから、溶出した粒子のサイズを求めることができるかまたは算出することができる。別の実施形態では、溶出した粒子のサイズを求めるためかまたは算出するために、異なる粒子サイズ標準の保持時間に基づく外部較正および回帰分析を利用することができる。第3の実施形態では、溶出した粒子のサイズは、溶出した種の保持時間からの直接算出によって(すなわち、較正なしに)求められる。分取チャネルの寸法が既知であり、ならびに一定のクロスフローが存在する場合、保持比は、測定されたボイド時間と保持時間との比率から実験的に求めることができる。UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択されるシグナル(それらから、核酸(とりわけRNA)の量を、本明細書において説明されるように求めることができ、ならびに核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の量も求めることができる)は、粒径分布および/または定量的粒径分布の決定または算出のために使用することができ、それにより、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナルを、特定のサイズを有する粒子の量へと直接的に変換することができる。粒径分布および/または定量的粒径分布は、それぞれそれらのサイズの関数としての、粒子の数、粒子のモル量、または粒子の質量として与えることができる。
【0512】
図11は、試料組成物をAF4-UV-MALSに供することから得られたフラクトグラム(図11A)に含まれるデータのサイズ分布(図11C、実線)への変換およびRNA含有粒子の定量的サイズ分布(図11C、破線)を示している。回転半径(R)値(図11Aおよび11Bに黒点として示される)は、Berryプロットを使用して粒子ピークのMALSシグナル(溶出時間:26~55分、図11Aを参照)から求めた。実験的に求めたR値は、R値を多項式関数に適合させ(図11Bを参照、薄灰色の線)、多項式適合に基づいてR値を再算出し、ならびに再算出されたR値を保持時間の関数としてプロットすることによって平滑化した。UVシグナルを再算出されたR値の関数としてプロットし、それにより、サイズ分布曲線を作製した(図11C、実線)。UVシグナルを累積重量分率へと変換し、再算出されたR値に対して累積重量分率をプロットすることにより、結果として、定量的サイズ分布曲線を得た(図11C、破線)。定量的サイズ分布曲線から、特性値(特に、D10、D50、およびD90)を求めた。
【0513】
したがって、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズは、LSシグナルに基づいて、それらから回転半径(R)値を求めるかまたは算出することによって、求められるかまたは算出される。好ましくは、R値は、少なくとも1つの粒子ピークに対して求められるかまたは算出される。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、R値は、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることが好ましい。
【0514】
一実施形態では、実験的に求められるかまたは算出されたR値は、例えば、実験的に求められるかまたは算出されたR値を多項式関数(例えば、f(t)=a+bx+b+b+b)または線形関数(例えば、f(t)=a+ax)に適合させ、多項式適合または線形適合に基づいてR値を再算出し、ならびに適宜、再算出されたR値を保持時間の関数としてプロットすることによって平滑化される。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、実験的に求められるかまたは算出されたR値は、各粒子ピークに対して別々に平滑化される(例えば、上記において指定されたように再算出される)ことが好ましい。
【0515】
LSシグナルは、任意の好適な検出器によって得られ得、好ましくは、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)シグナルであり、例えば、多角度光散乱(MALS)シグナルである。好ましいMALSシグナルは、多角度レーザー光散乱(MALLS)シグナルである。
【0516】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を(適宜再算出された)R値に対してプロットすることによって求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNA含有粒子のサイズ分布は、再算出されたR値に対してUVシグナルをプロットすることによって求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布は、それぞれそれらのサイズの関数としての、粒子の数、粒子のモル量、または粒子の質量として与えられ得る。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、サイズ分布は、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出される。
【0517】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を累積重量分率へと変換し、(適宜再算出された)R値に対して累積重量分率をプロットすることによって、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布から求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、UVシグナルを累積重量分率へと変換し、再算出されたR値に対して累積重量分率をプロットすることによって、RNA含有粒子のサイズ分布から求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、それぞれそれらのサイズの関数としての、粒子の数、粒子のモル量、または粒子の質量として与えられ得る。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、定量的サイズ分布が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0518】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、D10値、D50値、D90値、D95値、D99値、および/またはD100値(特に、R値に基づいて)を含む。一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、D10値、D50値、および/またはD90値(特に、R値に基づいて)を含む。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、D10値、D50値、D90値、D95値、D99値、および/またはD100値(好ましくはD10値、D50値、および/またはD90値)(特に、R値に基づいて)が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0519】
図24は、試料組成物をAF4-UV-MALSに供することから得られたフラクトグラムに含まれるデータ(図23A)の、RNAに含有する粒子の定量的サイズ分布の様々なタイプ:(a)累積重量分率(図24B、実線);(b)粒子画分あたりのRNA質量(Δt=1分)(図24C);または(c)粒子画分あたりのRNAコピー数または粒子数(Δt=1分)(図24D)、への変換を示している。回転半径(R)値(図24Aに太い線で示される)は、Berryプロットを使用して粒子ピークのMALSシグナル(溶出時間:24~55分、図24Aを参照)から求めた。実験的に求めたR値は、R値を多項式関数へと適合させ、多項式適合に基づいてR値を再算出し、ならびに再算出されたR値を保持時間の関数としてプロットすることによって平滑化した。UVシグナルを累積重量分率へと変換し、ならびに再算出されたR値に対して累積重量分率をプロットすることにより、結果として、図24Bに実線として示される、定量的サイズ分布曲線を得た。再算出されたR値に基づいて粒子ピークを細分化し(Δt=1分)(その結果、31のR画分を作製する)、各R画分に対してUVシグナルからRNA質量を算出し、R画分に対してRNA質量値をプロットすることにより、結果として、R画分あたりのRNA質量を示す特定の定量的サイズ分布を得た;図24Cを参照。その上、RNA質量値をRNAコピー数に変換し、R画分に対して後者をプロットすることにより、結果として、R画分あたりのRNAコピー数を示す特定の定量的サイズ分布を得た;図24Dのバーを参照。加えて、UVシグナルおよびMALSシグナルを粒子の数に変換し、R画分に対して後者をプロットすることにより、結果として、R画分あたりの粒子数を示す特定の定量的サイズ分布を得た;図24Dの点線の曲線を参照。上記の算出および変換のために、以下の方程式および情報を使用することができる:
・粒子の体積:
【0520】
【数14】
・rの関数としての剛体球の体積:
【0521】
【数15】
・1つのコピーを伴うリポプレックスの体積:
- 使用されるRNAの長さ:2000ヌクレオチド
- 総合密度:1g/mL=1g/cm=10-21g/nm
- ヌクレオチド(330Da)あたりのモル質量:330g/mol
- モル質量RNAリポプレックス/ヌクレオチド(ヌクレオチド+DOTMA+1/2DOPE):1370Da
- モル質量RNAリポプレックス/コピー:1370×2000=2.74×10Da g/mol
- 体積RNAリポプレックス/コピー:2.74×10×1021/6×1023=4.6×10nm
【0522】
したがって、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズは、それらから回転半径(R)値を求めるかまたは算出することによって、LSシグナルに基づいて求められるかまたは算出され、ならびにR値は、少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または少なくとも10)のR画分および/または最高で100まで(例えば、最高で90まで、最高で80まで、最高で70まで、最高で60まで、最高で50まで、最高で40まで、最高で30まで、または最高で20まで)のR画分に細分化され、この場合、各R画分は、あるR範囲(好ましくは、任意の他のR画分のR範囲と重ならない)を有する。好ましくは、R値およびR画分は、少なくとも1つの粒子ピークに対して求められるかまたは算出される。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、R値およびR画分は、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出される。
【0523】
一実施形態では、実験的に求められるかまたは算出されたR値は、R画分へと細分化される前に、例えば、実験的に求められるかまたは算出されたR値を多項式関数(例えば、f(t)=a+bx+b+b+b)または線形関数(例えば、f(t)=a+ax)に適合させ、多項式適合または線形適合に基づいてR値を再算出し、ならびに適宜、再算出されたR値を保持時間の関数としてプロットするによって平滑化される。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、実験的に求められるかまたは算出されたR値は、各粒子ピークに対して別々に平滑化される(例えば、上記において指定されたように再算出される)ことは好ましい。
【0524】
LSシグナルは、任意の好適な検出器によって得られ得、ならびに好ましくは、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)シグナル、例えば、多角度光散乱(MALS)シグナルである。好ましいMALSシグナルは、多角度レーザー光散乱(MALLS)シグナルである。
【0525】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を、R画分((適宜、再算出された)R値を細分化することによって得られる)に対してプロットすることによって求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNA含有粒子のサイズ分布は、UVシグナルを、再算出されたR値を細分化することによって得られるR画分に対してプロットすることによって求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布は、それぞれR画分の関数として、核酸質量(とりわけRNA質量)、核酸コピー数(とりわけRNAコピー数)、または粒子数として与えられ得る。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、サイズ分布が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0526】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を累積重量分率へと変換し、累積重量分率をR画分((適宜、再算出された)R値を細分化することによって得られる)に対してプロットすることによって、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布から求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、UVシグナルを累積重量分率へと変換し、累積重量分率を、R画分(再算出されたR値を細分化することによって得られる)に対してプロットすることによって、RNA含有粒子のサイズ分布から求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、R画分あたりの核酸質量(とりわけRNA質量)、核酸コピー数(とりわけRNAコピー数)、またはR画分あたりの粒子数として与えられ得る。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、定量的サイズ分布が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0527】
上記の変換アプローチ(例えば、図11および図24を参照)は、R値を使用することによって例示されている。しかしながら、R値を使用する場合(図11または図24には示されていない)も、同じアプローチを利用することができる。例えば、実験的に求められたR値は、R値を多項式関数に適合させ、多項式適合に基づいてR値を再算出し、ならびに再算出されたR値を保持時間の関数としてプロットすることによって平滑化される。適宜、R値は、少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または少なくとも10)のR画分および/または最高で100まで(例えば、最高で90まで、最高で80まで、最高で70まで、最高で60まで、最高で50まで、最高で40まで、最高で30まで、または最高で20まで)のR画分に細分化され、その場合、各R画分は、あるR範囲(好ましくは、任意の他のR画分のR範囲と重ならない)を有する。UVシグナルを再算出されたR値(または、再計算されたR値を細分化することによって得られるR画分)の関数としてプロットし、それにより、サイズ分布曲線を作製する(R値またはR画分に基づいて)。UVシグナルを累積重量分率へと変換し、再算出されたR値に対して累積重量分率をプロットすることにより、結果として、定量的サイズ分布曲線を得る。定量的サイズ分布曲線から、R値に基づいて、特性値(特に、D10、D50、およびD90)を求めることができる。あるいは、UVシグナルを累積重量分率へと変換し、R画分に対して累積重量分率をプロットすることにより、結果として、代替の定量的サイズ分布曲線を得る。代替の定量的サイズ分布曲線から、特性パラメーター、特に、R画分あたりの核酸質量(とりわけRNA質量)、核酸コピー数(とりわけRNAコピー数)、またはR画分あたりの粒子数を求めることができる。
【0528】
したがって、一部の実施形態では、特に、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターが、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含むような実施形態では、方法および/または使用は、フィールドフローフラクショネーションから得られる1つまたは複数の試料画分のうちの少なくとも1つの動的光散乱(DLS)シグナルを測定することを含み得る。流体力学半径は、任意の従来の方法、例えば、ストークス-アインシュタイン方程式を使用することによって、DLSシグナルから求められ得るかまたは算出され得る。好ましくは、R値は、少なくとも1つの粒子ピークに対して求められるかまたは算出される。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、R値が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0529】
適宜、R値は、少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または少なくとも10)のR画分および/または最高で100まで(例えば、最高で90まで、最高で80まで、最高で70まで、最高で60まで、最高で50まで、最高で40まで、最高で30まで、または最高で20まで)のR画分に細分化され、その場合、各R画分は、あるR範囲(好ましくは、任意の他のR画分のR範囲と重ならない)を有する。
【0530】
一実施形態では、実験的に求められるかまたは算出されたR値は、例えば、実験的に求められるかまたは算出されたR値を多項式関数(例えば、f(t)=a+bx+b+b+b)または線形関数(例えば、f(t)=a+ax)に適合させ、多項式適合または線形適合に基づいてR値を再算出し、ならびに適宜、再算出されたR値を保持時間の関数としてプロットすることによって、平滑化される(好ましくは、それらがR画分へと細分化される前に)。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、実験的に求められるかまたは算出されたR値が、各粒子ピークに対して別々に平滑化される(例えば、上記において指定されたように再算出される)ことは好ましい。
【0531】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を、(適宜再算出された)Rg値(または、(適宜再算出された)R値を細分化することによって得られるR画分)に対してプロットすることによって求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNA含有粒子のサイズ分布は、再算出されたR値(または、再算出されたR値を細分化することによって得られるR画分)に対してUVシグナルをプロットすることによって求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布は、それぞれそれらのサイズの関数として(例えば、R値または再算出されたR値を細分化することによって得られるR画分の関数として)の、粒子の数、粒子のモル量、または粒子の質量として与えられ得る。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、サイズ分布が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0532】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を累積重量分率へと変換し、累積重量分率を、(適宜再算出された)R値(または、(適宜再算出された)R値を細分化することによって得られるR画分)に対してプロットすることによって、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ分布から求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNA含有粒子の定量的サイズ分布は、UVシグナルを累積重量分率へと変換し、累積重量分率を、再算出されたR値(または、再算出されたR値を細分化することによって得られるR画分)に対してプロットするによって、RNA含有粒子のサイズ分布から求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、それぞれそれらのサイズの関数としての、粒子の数、粒子のモル量、または粒子の質量として与えられ得る。あるいは、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、R画分あたりの核酸質量(とりわけRNA質量)、核酸コピー数(とりわけRNAコピー数)、またはR画分あたりの粒子数として与えられ得る。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、定量的サイズ分布が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0533】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、D10値、D50値、D90値、D95値、D99値、および/またはD100値(R値に基づいて)を含む。一実施形態では、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の定量的サイズ分布は、D10値、D50値、および/またはD90値(R値に基づいて)を含む。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の粒子ピークが生じる場合、D10値、D50値、D90値、D95値、D99値、および/またはD100値(好ましくはD10値、D50値、および/またはD90値)(R値に基づいて)が、各粒子ピークに対して別々に求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0534】
一部の実施形態、特に、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターが、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含むような実施形態では、核酸(例えば、RNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)を含有する粒子のR値に基づいて算出され、ならびに上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)を含有する粒子のR値に基づいて別々に算出される(すなわち、これらの実施形態は、結果として、核酸(例えば、RNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布に対して、2つのデータセットを生じ、一方は、R値に基づき、もう一方は、R値に基づく)。
【0535】
一部の実施形態、特に、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターが、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含むような実施形態では、R値は、上記において説明されるような少なくとも2つのR画分に細分化され、ならびにR値は、上記において説明されるような少なくとも2つのR画分に細分化され、核酸(例えば、RNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)を含む粒子のR画分に基づいて算出され、ならびに上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)を含有する粒子のR画分に基づいて別々に算出される(すなわち、これらの実施形態は、結果として、核酸(例えば、RNA)を含有する粒子のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布に対して、2つのデータセットを生じ、一方は、R画分に基づき、もう一方は、R画分に基づく)。
【0536】
I.核酸(とりわけRNA)のサイズ、サイズ分布、および定量的サイズ分布
核酸(とりわけRNA)が、遊離形態(すなわち、核酸(とりわけRNA)および粒子を含む試料組成物または対照組成物中に含有される粒子に結合または付着していない)または非製剤化形態(すなわち、本明細書において指定されるような粒子を含まない組成物、例えば、リポソームを構成する構成要素(特に、陽イオン性両親媒性脂質および/または陽イオン性両親媒性ポリマー類)および/またはウイルス様粒子を含まない組成物)の場合、核酸(とりわけRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布(特に、核酸(とりわけRNA)の回転半径(R)および/または核酸(とりわけRNA)の流体力学半径(R)に基づいて)も、求めるかまたは分析することができる。
【0537】
したがって、一実施形態では、特に、試料組成物または対照組成物が、遊離形態または非製剤化形態において核酸(とりわけRNA)を含む場合、本開示の方法および/または使用によって分析されるかまたは求められる追加のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布(特に、核酸(とりわけRNA)のR値および/またはR値を核酸(とりわけRNA)のR画分および/またはR画分に細分化した後の、核酸(とりわけRNA)のR値および/またはR値あるいは核酸(とりわけRNA)のR画分および/またはR画分に基づく)を含む。概して、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、それぞれそれらのサイズの関数としての、核酸(とりわけRNA)分子の数、核酸(とりわけRNA)のモル量、または核酸(とりわけRNA)の質量として与えることができる。あるいは、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布および/または定量的サイズ分布は、R画分および/またはR画分あたりの核酸質量(とりわけRNA質量)あるいはR画分および/またはR画分あたりの核酸コピー数(とりわけRNAコピー数)として与えることができる。
【0538】
これらのパラメーターは、核酸(とりわけRNA)を含有する粒子に対して、上記において指定されたように求めることができるかまたは算出することができる。
【0539】
例えば、一実施形態では、核酸(とりわけRNA)のサイズは、LSシグナルに基づいて、それらから回転半径(R)値および/または流体力学半径(R)値を求めるかまたは算出することによって、求められるかまたは算出される。好ましくは、R(またはRh)値は、少なくとも1つの核酸(とりわけRNA)ピークに対して求められるかまたは算出される。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の核酸(とりわけRNA)ピークが生じる場合、R(またはR)値が、別々に各核酸(とりわけRNA)ピークに対して求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0540】
適宜、R(またはR)値は、少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または少なくとも10)のR(またはR)画分および/または最高で100まで(例えば、最高で90まで、最高で80まで、最高で70まで、最高で60まで、最高で50まで、最高で40まで、最高で30まで、または最高で20まで)のR(またはR)画分に細分化され、その場合、各R(またはR)画分は、あるR(またはR)範囲(好ましくは、任意の他のR(またはR)画分のR(またはR)範囲と重ならない)を有する。
【0541】
一実施形態では、実験的に求められるかまたは算出されたR(またはR)値は、例えば、実験的に求められるかまたは算出されたR(またはR)値を多項式関数(例えば、f(t)=a+bx+b+b+b)または線形関数(例えば、f(t)=a+ax)に適合させ、多項式適合または線形適合に基づいてR(またはR)値を再算出し、ならびに適宜、再算出されたR(またはR)値を保持時間の関数としてプロットすることによって、平滑化される(好ましくは、それらがR(またはR)画分へと細分化される前に)。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の核酸(とりわけRNA)ピークが生じる場合、実験的に求められるかまたは算出されたR(またはR)値が、別々に各核酸(とりわけRNA)ピークに対して平滑化される(例えば、上記において指定されたように再算出される)ことは好ましい。
【0542】
LSシグナルは、任意の好適な検出器によって得られ得、ならびに好ましくは、動的光散乱(DLS)シグナルおよび/または静的光散乱(SLS)シグナル例えば、多角度光散乱(MALS)シグナルである。好ましいMALSシグナルは、多角度レーザー光散乱(MALLS)シグナルである。
【0543】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を、(適宜再算出された)R(またはR)値(または、(適宜再算出された)R(またはR)値を細分化することによって得られるR(またはR)画分)に対してプロットすることによって求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNAのサイズ分布は、UVシグナルを再算出されたR(またはR)値(または、再算出されたR(またはR)値を細分化することによって得られるR(またはR)画分)に対してプロットすることによって求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)のサイズ分布は、それぞれそれらのサイズの関数としての、核酸(とりわけRNA)分子の数、核酸(とりわけRNA)のモル量、または粒子の核酸(とりわけRNA)として与えられ得る。あるいは、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布は、R画分および/またはR画分あたりの核酸質量(とりわけRNA質量)あるいはR画分および/またはR画分あたりの核酸コピー数(とりわけRNAコピー数)として与えることができる。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の核酸(とりわけRNA)ピークが生じる場合、サイズ分布が、別々に各核酸(とりわけRNA)ピークに対して求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0544】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布は、UVシグナル、蛍光シグナル、およびRIシグナルからなる群から選択されるシグナル(好ましくはUVシグナル)を累積重量分率へと変換し、累積重量分率を、(適宜再算出された)R(またはR)値(または、(適宜再算出された)R(またはR)値を細分化することによって得られるR(またはR)画分)に対してプロットすることによって、核酸(とりわけRNA)のサイズ分布から求められるかまたは算出される。したがって、好ましい実施形態では、RNAの定量的サイズ分布は、UVシグナルを累積重量分率へと変換し、累積重量分率を、再算出されたR(またはR)値(または、再算出されたR(またはR)値を細分化することによって得られるR(またはR)画分)に対してプロットすることによって、RNAのサイズ分布から求められるかまたは算出される。核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布は、それぞれそれらのサイズの関数としての、核酸(とりわけRNA)分子の数、核酸(とりわけRNA)のモル量、または粒子の核酸(とりわけRNA)として与えられ得る。あるいは、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布は、R画分および/またはR画分あたりの核酸質量(とりわけRNA質量)あるいはR画分および/またはR画分あたりの核酸コピー数(とりわけRNAコピー数)として与えることができる。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の核酸(とりわけRNA)ピークが生じる場合、定量的サイズ分布が、別々に各核酸(とりわけRNA)ピークに対して求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0545】
一実施形態では、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布は、D10値、D50値、D90値、D95値、D99値、および/またはD100値(RまたはR値に基づく)を含む。一実施形態では、核酸(とりわけRNA)の定量的サイズ分布は、D10値、D50値、および/またはD90値(RまたはR値に基づく)を含む。フィールドフローフラクショネーションにより、結果として、2つ以上の核酸(とりわけRNA)ピークが生じる場合、D10値、D50値、D90値、D95値、D99値、および/またはD100値(好ましくはD10値、D50値、および/またはD90値)(RまたはR値に基づく)が、別々に各核酸(とりわけRNA)ピークに対して求められるかまたは算出されることは好ましい。
【0546】
一部の実施形態、特に、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターが核酸(とりわけRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含むような実施形態では、核酸(例えば、RNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)のR値に基づいて、ならびに上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)のR値に基づいて別々に、算出される(すなわち、これらの実施形態は、結果として、核酸(例えば、RNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布に対して、2つのデータセットを生じ、一方は、R値に基づき、ならびにもう一方は、R値に基づく)。
【0547】
一部の実施形態、特に、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターが核酸(とりわけRNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布を含むような実施形態では、R値は、上記において説明されるような少なくとも2つのR画分に細分化され、ならびにR値は、上記において説明されるような少なくとも2つのR画分に細分化され、核酸(例えば、RNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布は、上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)のR画分に基づいて、ならびに上記において説明されるような核酸(例えば、RNA)のR画分に基づいて別々に、算出される(すなわち、これらの実施形態は、結果として、核酸(例えば、RNA)のサイズ、サイズ分布、および/または定量的サイズ分布に対して、2つのデータセットを生じ、一方は、R画分に基づき、ならびにもう一方は、R画分に基づく)。
【0548】
J.形状因子/形態因子
核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の一部の用途、例えば、治療用途または予防用途、に対して、粒子は、ある特定の形状(例えば、球形)であるべきである。粒子の形状に関する情報を提供するパラメーターは、形状因子および形態因子である(例えば、図13を参照)。
【0549】
したがって、一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、形状因子および/または形態因子を含む。形状因子および形態因子は、好ましくは上記のセクションH~Jのいずれか1つにおいて求められるかまたは算出されるような、R値(例えば、再算出されたR値)および流体力学半径(R)値に基づいて求められ得るかまたは算出され得る。例えば、形状因子は、上記において求められるかまたは算出されるようなR値(例えば、再算出されたR値)を、上記において求められるかまたは算出されるような流体力学半径(R)値に対してプロットし、このプロットのデータ点をある関数(例えば、線形関数)に適合させることによって求められ得るかまたは算出され得る。例えば、線形回帰に対する約0.774(例えば、0.74)の傾きは、分析した粒子の球状形態を示している。線形回帰に対する約0.816の傾きは、分析した粒子のコイル状形態を示しているであろうし、線形回帰に対する約1.732の傾きは、分析した粒子のロッド状形態を示しているであろう。例えば、W. Burchard (1990) "Laser Light Scattering in Biochemistry"を参照。同様に形態因子は、上記において求められるかまたは算出されるような流体力学半径(R)値を、上記において求められるかまたは算出されるようなR値(例えば、再算出されたR値)に対してプロットし、このプロットのデータ点をある関数(例えば、線形関数)に適合させることによって求められ得るかまたは算出され得る。
【0550】
K.核酸(とりわけRNA)の封入効率
核酸(とりわけRNA)を含有する粒子の一部の用途、例えば、治療用途または予防用途、に対して、どの程度効率的に核酸(とりわけRNA)が粒子内に封入されるかについて知ることは必要である。
【0551】
したがって、一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)の封入効率を含む。核酸(とりわけRNA)の封入効率は、(i)核酸と粒子とを含む試料組成物または対照組成物中に含有される封入核酸(とりわけRNA)の量、ならびに(ii)試料組成物または対照組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の総量に基づいて求められ得るかまたは算出され得、この場合、核酸(とりわけRNA)の総量および封入核酸(とりわけRNA)の量は、好ましくは、セクションB.およびF.において指定されるように求められるかまたは算出される。一実施形態では、核酸(とりわけRNA)の封入効率は、封入核酸(とりわけRNA)の量を核酸(とりわけRNA)の総量によって除算することによって求められるかまたは算出される。
【0552】
L.核酸(とりわけRNA)の分子量
核酸(とりわけRNA)の分子量は、LSデータから求めるかまたは算出することができ、ならびにその理論的に算出された分子量と比較することができる。核酸(とりわけRNA)の理論上の分子量は、核酸(とりわけRNA)配列および核酸に共有結合または非共有結合によって結合している適宜の追加物質(例えば、1つまたは複数の色素、キャップ構造体など)に基づいて求めることができるかまたは算出することができる。
【0553】
したがって、一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、核酸(とりわけRNA)の分子量を含む。これらの実施形態では、本開示の方法および/または使用は、得られた1つまたは複数の試料画分のうちの少なくとも1つのLSシグナルを測定する工程を含み、この場合、核酸(とりわけRNA)の分子量は、LSシグナルに基づいて求められ得るかまたは算出され得る。適宜、LSシグナルに基づいて求められるかまたは算出された核酸(とりわけRNA)の分子量は、核酸(とりわけRNA)の理論上の分子量と比較され、この場合、核酸(とりわけRNA)の理論上の分子量は、本明細書において説明されるかまたは当業者に既知のように求められるかまたは算出される(例えば、核酸(とりわけRNA)配列に基づいて、ならびに核酸(とりわけRNA)に共有結合または非共有結合によって結合している適宜の追加物質(例えば、1つまたは複数の色素、キャップ構造体など)に基づいて算出されるかまたは求められる)。
【0554】
M.粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量と粒子形成化合物の総量との比率
一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量と粒子における粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量との比率を含み、その場合、前記比率は、粒子サイズの関数として与えられ得る。
【0555】
核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される結合した核酸(とりわけRNA)の量は、特に、核酸(とりわけRNA)の総量から遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量を減算することによって、例えば、組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の総量および組成物中に含有される遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量から、上記において説明したように求めることができるかまたは算出することができる。組成物中に含有される結合した核酸の量および遊離核酸(とりわけRNA)の量の両方は、例えば、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルに基づく較正曲線を使用することによって、またはUV範囲における(例えば、260nmまたは280nmにおける)核酸(とりわけRNA)の減衰係数を使用することによって、上記において指定されたように求めることができるかまたは算出することができる。粒子における粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量は、粒子を作製するために使用される粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の量から求めることができるかまたは算出することができる。あるいは、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の量は、当業者に既知の方法および/または技術、例えば、HPLCに基づくものによって求めることができる[例えば、Roces et al., Pharmaceutics. 8, 29 (2016)を参照]。粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量と粒子における粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量との比率は、求められるかまたは算出された粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量を求められるかまたは算出された粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量で除算することによって求めることができるかまたは算出することができる。
【0556】
上記の実施形態のうちの、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量と粒子における粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の総量との比率が、粒子サイズの関数として与えられるような実施形態では、本開示の方法および/または使用は、好ましくは、試料組成物または対照組成物または少なくともその一部をフィールドフローフラクショネーションに供することによって得られる1つまたは複数の試料画分のうちの少なくとも1つのLSシグナルを測定する工程を含む。LSシグナルに基づいて、R値および/またはR値を得ることができ(好ましくは上記において説明されるように)、それらから、溶出した粒子のサイズを求めることができるかまたは算出することができる(上記において説明されるように)。
【0557】
N.粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量との比率
一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量との比率を含み、この場合、前記比率は、粒子サイズの関数として与えられ得る。
【0558】
粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量は、粒子を作製するために使用される粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の量から、ならびに、前記粒子形成化合物の化学組成物から(例えば、粒子形成化合物に含有される正に帯電した部分の数から)求めることができるかまたは算出することができる。あるいは、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の量は、当業者に既知の方法および/または技術、例えば、HPLCに基づくもの、によって求めることができる[例えば、Roces et al., Pharmaceutics. 8,29(2016)を参照]。核酸(とりわけRNA)と粒子とを含む本開示の試料組成物または対照組成物中に含有される結合した核酸(とりわけRNA)の量は、特に、核酸(とりわけRNA)の総量から遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量を減算することによって、例えば、組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)の総量および組成物中に含有される遊離核酸(とりわけ遊離RNA)の量から、上記において説明したように求めることができるかまたは算出することができる。組成物中に含有される結合した核酸(とりわけRNA)の量および遊離核酸(とりわけRNA)の量の両方は、例えば、UVシグナル、蛍光シグナル、および屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルに基づく較正曲線を使用することによって、またはUV範囲における(例えば、260nmまたは280nmにおける)核酸(とりわけRNA)の減衰係数を使用することによって、上記において指定されたように求めることができるかまたは算出することができる。粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量との比率は、求められるかまたは算出された、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量を求められるかまたは算出された粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量で除算することによって求めることができるかまたは算出することができる。
【0559】
上記の実施形態のうちの、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量との比率が粒子サイズの関数として与えられるような実施形態では、本開示の方法および/または使用は、好ましくは、試料組成物または対照組成物または少なくともその一部をフィールドフローフラクショネーションに供することによって得られる1つまたは複数の試料画分のうちの少なくとも1つのLSシグナルを測定する工程を含む。LSシグナルに基づいて、R値および/またはR値を得ることができ(好ましくは上記において説明されるように)、それらから、溶出した粒子のサイズを求めることができるかまたは算出することができる(上記において説明されるように)。
【0560】
O.粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)における負に帯電した部分の量との電荷比
一部の実施形態では、本開示の方法および/または使用によって求められるかまたは分析される1つまたは複数のパラメーターは、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)における正に帯電した部分の量と粒子に結合した核酸(例えば、RNA)における負に帯電した部分の量との電荷比を含む。前記電荷比は、通常、N/P比と呼ばれ、粒子サイズの関数として与えられ得る。
【0561】
粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量は、粒子を作製するために用いられる粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の量から、ならびに前記粒子形成化合物の化学組成から(例えば、粒子形成化合物中に含有される正に荷電した部分の数から)求めるかまたは算出することができる。あるいは、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の量は、当業者に既知の方法および/または技法、例えば、HPLCに基づくものによって求めることができる[例えば、Roces et al., Pharmaceutics. 8, 29 (2016)を参照されたい]。粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に荷電した部分の量は、粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の量から、および前記核酸(例えば、RNA)の化学組成、例えば、核酸中に含有される負に荷電した部分(例えば、リン酸基)の数から求めるかまたは算出することができる。核酸(特に、RNA)および粒子を含む本開示の試料または対照組成物中に含有される結合した核酸(特に、RNA)の量は、例えば、組成物中に含有される核酸(特に、RNA)の総量および組成物中に含有される遊離核酸(特に、遊離RNA)の量から、特に、核酸(特に、RNA)の総量から遊離核酸(特に、遊離RNA)の量を減算することによって、上記のように求めるかまたは算出することができる。組成物中に含有される結合したおよび遊離した核酸(特に、RNA)の量の両方は、例えば、UVシグナル、蛍光シグナルおよび屈折率(RI)シグナルからなる群から選択される少なくとも1つのシグナルに基づく較正曲線を用いることによって、またはUV域における(例えば、260nmもしくは280nmでの)核酸(特に、RNA)の減衰係数を用いることによって、上記で規定されるように求めるかまたは算出することができる。粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に荷電した部分の量の電荷比は、粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の求められたかまたは算出された量を粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に荷電した部分の求められたかまたは算出された量で割ることによって、求めるかまたは算出することができる。
【0562】
粒子中の粒子形成化合物(特に、脂質および/またはポリマー)の正に荷電した部分の量対粒子に結合した核酸(例えば、RNA)の負に荷電した部分の量の電荷比が粒子サイズの関数として与えられる、上記実施形態のものでは、本開示の方法および/または使用は、好ましくは、試料または対照組成物またはそれらの少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供することによって得られた1種または複数の試料画分の少なくとも1つのLSシグナルを測定する工程を含む。LSシグナルに基づいて、R値および/またはR値を得ることができ(好ましくは上記の通り)、それらから、溶出された粒子のサイズを求めるかまたは算出することができる(上記の通り)。
【0563】
フィールド-フローフラクショネーション
フィールド-フローフラクショネーションは、垂直力場が加えられる非常に薄いフローを用い、高分解能分離を実現するクロマトグラフィー技法である。フィールド-フローフラクショネーションの例としては、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)およびホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)、例えば、Wyattによって市販されており、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2018/165627に記載されているEclipse(商標)システム(Dualtec(商標)またはAF4(商標))が挙げられる。したがって、一実施形態では、本開示の方法および/または使用において利用されるフィールド-フローフラクショネーションは、フローフィールド-フローフラクショネーション、例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーション(AF4)またはホローファイバーフローフィールド-フローフラクショネーション(HF5)である。
【0564】
典型的には、非対称フローフィールド-フローフラクショネーションシステム(AF4システムなど)はチャネルを含み、これは、スペーサーホイル(これは、典型的には100~500μmの厚さを有する)によって分離される2つのプレートから構成され、その中でフローおよび分離が生じる。上部プレートは不透過性であるが、下部プレートは透過性である(例えば、多孔性フリット材料でできている)。さらに、下部プレートは、核酸(特に、RNA)およびより大きな分析物(例えば、本明細書で開示される粒子)が膜を透過するのを防止するのに適した分子量(MW)カットオフを有する膜で覆われている。一実施形態では、膜は、2kDa~30kDaの範囲のMWカットオフ、例えば、3kDa~25kDa(4kDa~20kDa、5kDa~15kDaまたは5kDa~12kDaなど)の範囲のMWカットオフ、例えば、10kDaのMWカットオフを有する。上記の目的に適した任意の膜を利用することができる。一実施形態では、膜は、ポリエーテルスルホン(PES)膜、再生セルロース膜またはフッ化ポリビニリデン(PVDF)膜(上記で規定されたMWカットオフを有する既知の限外濾過膜のいずれかなど)である。
【0565】
典型的には、非対称フローフィールド-フローフラクショネーションシステム(AF4システムなど)は、チャネルの一方の末端にある入口ポート、チャネルのもう一方の末端にある出口ポート、および入口ポートと出口ポートの間に位置し、好ましくは入口ポートにより近い注入ポートを含む。
【0566】
フローチャンネル内で、液相の層状フローが理由で放物線状フロープロファイルが作り出され、液相は、チャネルフローの中心で移動するよりも、境界エッジに近いほどゆっくりと移動する。層状フローに垂直力場が加えられる場合に、液相の構成要素[分離される分析物、特に、核酸(特に、RNA)、および存在するならば粒子を含める]は、好ましくは膜側面上の、チャネルの境界層に運ばれる。ブラウン運動と関連する拡散によって反作用運動が引き起こされる。したがって、拡散速度がより高いより小さな分析物は、縦方向のフローがより速い、チャネル中のより高い平衡位置に達する傾向がある。したがって、チャネル内の速度勾配フローは、異なるサイズの分析物を分離することができる。大きな粒子よりも小さな分析物ほどチャネルに沿って急速に輸送されるので、より小さな分析物は、より大きな分析物の前に溶出され、これは、より大きな分析物が最初に溶出されるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)などに対してオルソゴナル(orthogonal)である。
【0567】
非対称フローフィールド-フローフラクショネーションシステム(AF4システムなど)に関する上記の原理は、HF5システムが上部プレートを含有せず、むしろ低部プレートおよび膜がチューブに巻かれていることを除いては、HF5システムにも適用される。この構成は非常に小さなチャネル容量を用いることができ、高感度および非常に速い実施時間をもたらす。
【0568】
フィールド-フローフラクショネーションは、分離される分析物と固定相の相互作用に依拠せず、かつ前記固定相で充填された対応するカラムを必要としないので、チャネルを通して液相を移動させるために高い圧力を必要せず、それによって、特に、高い剪断力を回避する。実際に、フィールド-フローフラクショネーションは、穏やかで、急速で、かつ非破壊性である。
【0569】
一般に、フィールド-フローフラクショネーションは、2つの工程:注入および溶出/分画を含む。適宜、注入工程の後、および溶出/分画工程の前に、フィールド-フローフラクショネーションは集束工程を含むことができる。好ましくは、フィールド-フローフラクショネーションが集束工程を含む場合は、最初の2つの工程の間に、液相が分割され、両端(入口ポートおよび出口ポート)からチャネルに入り、好ましくは、注入ポートの下で出会うようにバランスがとられている[例えば、入口および出口ポートを通るフロー(すなわち、注入ポートを通して注入された分析物が入口ポートまたは出口ポートに向かってさまよわない(好ましくは、溶出されない)が、集束されるような方法で互いに適合されている]。これらの最初の2つの工程の間に、液相は膜を通って透過するのみである。試料または対照組成物またはそれらの少なくとも一部が注入される(好ましくは、注入ポートを介する)場合、前記試料または対照組成物またはそれらの少なくとも一部に含有される分析物は、バンド(好ましくは、できるだけ薄い)に適宜集束され、好ましくは、膜に向かって濃縮される。試料の注入が完了した後、注入フローが停止される。適宜、集束が、ある特定の期間にわたって(例えば、約0.5~約2分、例えば約1分にわたって)続けられる。次いで、フローは溶出/分画モードに切り替えられ、ここでは、液相は、入口ポートから入り、出口ポートから出るのみであり、出口ポートは、1種または複数の検出器[例えば、UV検出器(例えば、UVおよびCDシグナルを好ましくは同時にモニターすることができるUV検出器)、蛍光検出器、屈折率検出器、1種もしくは複数のLS検出器(例えば、MALS検出器および/もしくはDLS検出器)、ならびに/または粘度計)に接続している。分析物はサイズ(または流体力学的移動度)に従って分離されて溶出され、1種または複数の検出器(例えば、一連の異なる検出器)によって検出および/またはモニターされる。この検出および/またはモニタリングは、好ましくはオンラインで、すなわち、直ちに行われ、これにより、フィールド-フローフラクショネーションから得られた画分を保存する必要性が回避される。しかし、一実施形態では、少なくとも1画分のオフライン分析を可能にするために、オンラインの検出および/またはモニタリングが完了した後に少なくとも1画分が収集される。一実施形態では、1つまたは複数のパラメーターの算出または決定はオンラインで実行される。
【0570】
したがって、一部の実施形態では、本明細書で用いられる場合、表現「試料組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する」は、好ましくは、フィールド-フローフラクショネーションデバイスに試料組成物の少なくとも一部を注入する工程;適宜、試料組成物の少なくとも一部に含有される構成要素[特に、核酸(特に、RNA)、および存在するならば粒子]をフィールド-フローフラクショネーションデバイス中で集束させる工程;ならびに構成要素[特に、核酸(特に、RNA)、および存在するならば粒子]をそれらのサイズまたは流体力学的移動度に従って分画する工程を含む。同様に、一部の実施形態では、本明細書で用いられる場合、表現「対照組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する」は、好ましくは、対照組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションデバイスに注入する工程;適宜、試料組成物の少なくとも一部に含有される構成要素[特に、核酸(特に、RNA)、および存在するならば粒子]をフィールド-フローフラクショネーションデバイス中で集束させる工程;ならびに構成要素[特に、核酸(特に、RNA)、および存在するならば粒子]をそれらのサイズまたは流体力学的移動度に従って分画する工程を含む。フィールド-フローフラクショネーションに供される組成物(すなわち、試料組成物、対照組成物、これら2つのうちのいずれかの少なくとも一部など)のタイプに関係なく、分画工程は少なくとも1画分を生成するが、少なくとも2(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10)画分および/または100まで(例えば、90まで、80まで、70まで、60まで、50まで、40まで、30まで、または20まで)の画分も生成し得る。画分のそれぞれは、(1)ある特定のサイズの核酸(特に、RNA)[例えば、約10~約400nmもしくは20~300nmの範囲の直径を有する核酸(特に、RNA)]、もしくはある特定のタイプの核酸(特に、RNA)(例えば、遊離核酸(特に、遊離RNA)もしくは結合した核酸(特に結合RNA)、または(2)ある特定のサイズの核酸(特に、RNA)含有粒子[例えば、約200~1200nmの範囲の直径を有する核酸(特に、RNA)含有粒子]、もしくはある特定のタイプの核酸(特に、RNA)含有粒子[例えば、核酸(特に、RNA)含有リポプレックス粒子もしくは核酸(特に、RNA)含有ウイルス様粒子]に相当し得る。
【0571】
一般に、フィールド-フローフラクショネーション[例えば、非対称フローフィールド-フローフラクショネーションシステム(AF4システムなど)またはホローファイバーシステム(HF5システムなど)をともなう、で用いられるクロスフローレートは、約10mL/分までであり得る。一実施形態では、本開示の方法および/または使用において利用されるフィールド-フローフラクショネーションは、8mL/分まで、好ましくは4mL/分まで、より好ましくは2mL/分までのクロスフローレートを用いて実行される。好ましい実施形態では、本開示の方法および/または使用において利用されるフィールド-フローフラクショネーションは、クロスフロープロファイルを用いて実行され、すなわち、クロスフローレートはフィールド-フローフラクショネーションの全ての相(注入、適宜、集束および溶出/分画)の間一定ではないが、相ごとに異なる。例えば、注入相および存在するならば集束相の間、クロスフローは一定であり、好ましくは、核酸(特に、RNA)および存在するならば本明細書で開示される粒子が溶出されない速度であることが好ましい。この目的に適したクロスフローレートは、本開示の教示に基づいて決定することができる。
【0572】
一実施形態において、クロスフローレートプロファイルは、好ましくは、対照組成物または試料組成物中に含有される構成要素が、そのサイズによって分画/分離して、1つまたは複数の試料画分を生成することができるようにする分画相を含む。クロスフローレートは、この分画相の間に変化する[例えば、ある値(例えば、約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下するか、またはある値(例えば約0~約0.1mL/分)から始まってから、より高い値(例えば約1~約4mL/分)まで増大する]ことが好ましく、変化は何であってもよく、例えば、連続的な(例えば、線形であるか、または指数関数的な)変化であっても、段階的な変化であってもよい。好ましくは、クロスフローレートプロファイルは、分画相を含有し、クロスフローレートは、連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する。分画相は、試料組成物中に含有される構成要素をサイズによって分画/分離するのに適したあらゆる長さを有してよく、例えば約5分~約60分、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である。クロスフローレートプロファイルは、追加的な相(例えば、1、2、3、または4相)を含有してもよく、これは、分画相の前、および/または後であり得(例えば、分画相の前に1相、および後に1、2、または3相)、かつこれは、試料組成物(例えば、タンパク質、ポリペプチド、モノヌクレオチドその他)中に含有される非核酸(とりわけ非RNA)構成要素を、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)から分離して、試料組成物中に含有される核酸(とりわけRNA)に焦点を合わせ、かつ/またはフィールド-フローフラクショネーション装置を再生させるように(例えば、装置の膜に結合した全ての構成要素を除去するように)機能し得る。好ましくは、これらの追加的な相のクロスフローレートは、追加的な相毎に一定であり、かつ追加的な相毎の長さは、追加的な相毎に独立して、約5分~約60分の範囲内にある(約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分)。例えば、クロスフローレートプロファイルは、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が始まるクロスフローレートである、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が終わるクロスフローレートである、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートとは異なる、第3の追加的な相(第3の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約10分、もしくは約20分、もしくは約30分である)を含有してもよい。クロスフローレートプロファイルが分画相を含有し、クロスフローレートが連続的に(好ましくは指数関数的に)変化して、ある値(例えば約1~約4mL/分)から始まってから、より低い値(例えば約0~約0.1mL/分)に低下する実施形態において、クロスフローレートプロファイルはさらに、(i)分画相の前にある第1の追加的な相であって、前記第1の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が始まるクロスフローレート(例えば約1~約4mL/分)である、第1の追加的な相(第1の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である);(ii)分画相の後にある第2の追加的な相であって、前記第2の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ分画相が終わるクロスフローレート(例えば約0.01~約0.1mL/分)である、第2の追加的な相(第2の追加的な相の長さは、約5分~約60分の範囲内にあってよく、例えば、約10分~約50分、約15分~約45分、約20分~約40分、もしくは約25分~約35分、または約30分である);および適宜(iii)第2の追加的な相の後にある第3の追加的な相であって、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは一定であり、かつ第2の追加的な相のクロスフローレートよりも低い、第3の追加的な相(例えば、前記第3の追加的な相のクロスフローレートは0である)(第3の追加的な相の長さは、約5分~約30分の範囲内にあってよく、例えば、約6分~約25分、約7分~約20分、もしくは約8分~約15分、もしくは約10分~約12分、または約5分、もしくは約10分、もしくは約12分である)を含有することが好ましい。そのようなクロスフローレートプロファイルの好ましい例は、以下の通りである:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分から0.01~0.07mL/分への指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分。
【0573】
したがって、一実施形態では、注入相、および存在するならば集束相の間のクロスフローレートは、ある期間(例えば、5~15分)にわたって、一定であり、かつ少なくとも約1.0(例えば、約1.3~約3.0mL/分、約1.5~約2.5mL/分または約1.8~約2.0mL/分)の範囲である。さらに、一実施形態では、溶出/分画相の間のクロスフローは、ある期間(例えば、20~40分)にわたって、非常に低い速度(例えば、0.01~0.07mL/分)に次第に低下する。適宜、クロスフローが非常に低い速度に達した後、この速度がある期間(例えば、20~40分、例えば、クロスフローレートを非常に低い速度に低下させために用いられるのと同じ期間)にわたって維持され、および/またはクロスフローは、ある期間(例えば、5~20分)にわたって0mL/分に設定される。注入、集束および溶出/分画相の完全なサイクルのための例示的クロスフロープロファイルは、以下通りである:10分間の1.0~2.0mL/分、30分以内の1.0~2.0mL/分~0.01~0.07mL/分の指数勾配;30分間の0.01~0.07mL/分;および10分間の0mL/分。本開示で用いられるクロスフロープロファイルの特定例を図1に示す。
【0574】
一実施形態では、本開示の方法および/または使用において利用されるフィールド-フローフラクショネーションは、0.05~0.35mL/分の範囲の、好ましくは0.10~0.30mL/分の範囲の、より好ましくは0.15~0.25mL/分の範囲のインジェクトフローレートを用いて実行される。
【0575】
一実施形態では、本開示の方法および/または使用において利用されるフィールド-フローフラクショネーションは、0.30~0.70mL/分の範囲の、好ましくは0.40~0.60mL/分の範囲の、より好ましくは0.45~0.55mL/分の範囲の検出器フローレートを用いて実行される。一実施形態では、検出器フローレートは、フィールド-フローフラクショネーションの全ての相(注入、集束および溶出/分画)の間一定である。
【0576】
インジェクトフローのためにフィールド-フローフラクショネーションで用いられる液相は、フィールド-フローフラクショネーションシステムに適合し、かつ核酸(特に、RNA)を溶解するのに適した、いかなる液体でもよい。好ましい液体は水性液体、例えば、主に水から構成される[すなわち、液体の含水量が50%(v/v)または(w/w)を超える(例えば、60%を超える、70%を超える、80%を超える、90%を超える、または95%(v/v)もしくは(w/w)を超える)]液体である。液相は、バッファ、塩および/または追加的な賦形剤(例えば、キレート化剤)を含有することができる。
【0577】
一実施形態では、本開示の方法および/または使用において利用されるフィールド-フローフラクショネーションは、UVおよびCDシグナルを好ましくは同時にモニターすることができるUV検出器を用いて実行される。
【0578】
本開示の方法および/または使用によって分析されるパラメーターのうちの1つが核酸(特に、RNA)の総量である場合、フィールド-フローフラクショネーションで用いられる液相が、粒子に結合した核酸(特に、RNA)を粒子から放出し[それによって、結合した核酸(特に結合RNA)の量をゼロに減少させ、遊離核酸(特に、遊離RNA)の量をその最大限まで増加させることができる放出剤を含有することが好ましい。これに対して、本開示の方法および/または使用によって分析されるパラメーターのうちの1つが遊離核酸(特に、遊離RNA)の量である場合、フィールド-フローフラクショネーションで用いられる液相が放出剤を含有しないことが好ましい。
【0579】
一実施形態では、試料または対照組成物の少なくとも一部をフィールド-フローフラクショネーションに供する前に、試料または対照組成物の少なくとも一部は、例えば、液相で、または溶媒もしくは溶媒混合液で希釈され、前記溶媒または溶媒混合液は、粒子の凝集体の形成を防止することができる。一実施形態では、溶媒混合液は水と有機溶媒、例えばホルムアミドとの混合液である。
【実施例
【0580】
略語
以下の略語が、説明全体を通して使用される:
ivtRNA インビトロ転写されたRNA
saRNA 自己増幅RNA
NP ナノ粒子(LPX、LNP、PLX、VLP)
LNP 脂質ナノ粒子
LPX リポプレックス粒子
PLX ポリプレックス粒子
VLP ウイルス様粒子
回転半径
流体力学半径
MW 分子量
【0581】
機器
フィールドフローフラクショネーションは、対応するソフトウェアと一緒に、水溶液に対してEclipse(登録商標)AF4(Wyatt)を使用して行った。フラクショネーションにおいて使用した膜は、10kDaをカットオフするPES膜(Wyatt Technology Europe、デルンバッハ、ドイツ)であった。インライン真空脱ガス装置を備えるAgilent 1260シリーズクォータナリポンプが、キャリアフローを送達し、ならびにAgilent 1260シリーズ自動サンプラーが、試料組成物または対照組成物(注入された4μgのRNAに相当する)をフリット-インレットチャンネルに提供した。分析物(すなわち、RNAおよび粒子)は、Agilent 1260 Multiple Wavelength Detector(260~280nm MWD;Agilent Technologies、ヴァルトブロン、ドイツ)ならびに波長660nmおよび60%の出力を有するレーザーを備えた多角度光散乱(MALS)検出器(DAWN HELEOS II、Wyatt Technology Corp. サンタバルバラ、カリフォルニア、米国)を使用することによって検出した。MALS検出器番号16は、グラスファイバーを介してQELS(DynaPro NanoStar、Wyatt Technology Cor.、サンタバルバラ、カリフォルニア、米国)に接続される。
【0582】
材料
方法
AF4フラクショネーション法
インジェクトフロー、検出器フロー、およびクロスフローのための液相は、水中における5mM NaCl、10mM HEPES、0.1mM EDTA、pH7.4である。分離は、10分間の、0.2mL/分の注入流速Vi、0.5mL/分の検出器流速Vd、および1.5mL/分のクロスフローレートVxによる溶出注入プログラムと、それに続く、傾き3.5を使用して30分以内1.5mL/分~0.04mL/分指数関数的に減少するVx勾配において実施される。その後、Vxは、30分間にわたって、0.04mL/分において一定に保たれ、それに続いて、ゼロクロスフローにおいて10分間保たれる(図1を参照)。
【0583】
溶出した分析物は、多波長(260~280nm)において、波長660nmおよび60%のレーザー出力を有するレーザーを備えた多角度光散乱(MALS)検出器(DAWN HELEOS II、Wyatt Technology Corp.、サンタバルバラ、カリフォルニア、米国)を使用することによって検出した。MALS検出器番号16は、グラスファイバーを介してQELS(DynaPro NanoStar、Wyatt Technology Cor.サンタバルバラ、カリフォルニア、米国)に接続される。CD実験には、検出器CD-4095(Jasco)を用いた。
【0584】
サイズ分布は、散乱検出器において得られたデータに対する一次適合を実施することにより、Berryプロットを使用したASTRAソフトウェアバージョン7.1.3.25(Wyatt Technology Europe、デルンバッハ、ドイツ)によって算出される。AF4 MALSのサイズ結果は、回転半径(R)値として与えられ、ならびに粒子ピーク面積に対して求めた。カップリングされたDLSは、同時に流体力学半径(R)を提供した。UVシグナルは、試料組成物または対照組成物中の非結合(すなわち、遊離)RNAの直接定量分析のために使用され、ならびに試料組成物または対照組成物中のRNAの総量は、放出剤(界面活性剤)を使用して粒子を溶解させた後に求められる。UVシグナル(例えば、260nmまたは280nmの)をMALSシグナルから得られたR値に対してプロットすることによって得られるグラフは、試料組成物または対照組成物中に含有される粒子のサイズ分布に関する情報を提供し、ならびに対応する累積重量分率分析(UVシグナルを累積重量分率へと変換することによって得られる)は、試料組成物または対照組成物中に含有される粒子の定量的サイズ分布に関する情報を提供する。
【0585】
RNA完全性の決定
多くの異なる熱処理された(分解した)RNA試験体(986nt~10000ntの範囲)によって、RNA完全性の決定を実施した。RNA(実施1回あたり4μgの注入量)を、AF4フラクショネーション法(上記を参照)によって分離し、RNAを、260nmにおいてオンラインで検出した。同一の緩衝液中における未処理(未分解)RNAを含む対照組成物を分離し、処理されたRNA試料組成物との比較において分析した。RNA試料組成物をホルムアミド(60%(v/v))で希釈し、測定の直前に60℃で5分間インキュベートした。より高次の分子構造を形成する傾向が低いRNAは、ホルムアミドを用いずに分析することができる。RNA完全性の算出のために、RNA対照組成物を最初に分析した。最大ピーク高さの溶出時間を求め、最大ピーク高さから実施の終わり(ベースライン)までのピーク面積を算出し、それにより、A50%(対照)を得た(図2Aを参照)。第二に、総ピーク面積を算出し、それにより、A100%(対照)を得た(図2Bを参照)。第三に、比率(半ピーク面積/総ピーク面積=A50%(対照)/A100%(対照))を求めて、100%に設定し、それにより、対照RNAの完全性を得た(I(対照))。第四に、処理されたRNA試料組成物のうちの1つを、以前に求めた溶出時点(対照RNA)から実施の終わりまでのピーク面積を算出することによって分析し、それにより、A50%(試料)を得た(図2Cを参照)。第五に、総ピーク面積を算出し、それにより、A100%(試料)を得た(図2Dを参照)。第六に、A50%(試料)とA100%(試料)との間の比率を算出し、それにより、I(試料)を得て、ならびに処理したRNA試料のパーセンテージ完全性を、I(試料)をI(対照)に対して正規化することによって求め、それにより、試料組成物中に含有されるRNAの完全性を得た。
【0586】
RNA量の決定
AF4フラクトグラムからのRNA量の決定のため、規定された量(4μg)のRNAを含む対照組成物(0.5mg/mL)をAF4フラクショネーション法(上記を参照)に供し、ならびに260nmまたは280nmにおけるUVシグナルを検出した。UVピーク面積を求め、それを使用して、以下の方程式に従ってランベルト・ベールの法則を用いてピーク面積から直接的にRNA濃度を算出した:
【0587】
【数16】
式中、cは、核酸(とりわけRNA)濃度(mg/mL中)であり;Aは、UVピーク面積(AU分中)であり;Fは、フィールドフローフラクショネーションにおいて使用される流速(mL/分中)であり;εは、核酸の比減衰係数(例えば、一本鎖RNAの場合は0.025(mg/mL)-1cm-1)であり;dは、細胞長(cm中)であり;ならびにVは、試料組成物または対照組成物あるいはその一部の注入量である。
【0588】
RNAに対する塩処理の効果の分析
異なるRNA(IVT-RNAおよびsaRNA)に対する異なる塩化ナトリウム濃度の影響を、AF4フラクショネーション法(上記を参照)を使用して、ならびにRNAのいくつかの特徴(R、R、MW)を求めることによって、系統的に調査した。異なるRNAを、異なる塩化ナトリウム濃度(例えば、0~50mM)によってプレインキュベートして、それをAF4フラクショネーション法に供したが、この場合、実施1回あたりの注入されたRNAの量は、30~100μgであり、AF4フラクショネーション法は、様々なNaCl濃度(0~50mM NaCl)を有する対応する液相を使用した。Zimmプロットを使用してMALSシグナルに基づいて異なるNaCl濃度で処理した各RNAに対してR値を求め、それをNaCl濃度の関数としてプロットした。異なるNaCl濃度で処理した各RNA組成物に対するR(D50)値およびR(D90)値を、下記において説明されるように260nmまたは280nmでのUVシグナルを使用して累積重量分率分析によって算出した。
【0589】
異なる粒子(LPX、LNP、またはVLP)を含むRNA組成物の分析
様々なNP(LPX、LNP、VLP)の広いセットのキャラクタリゼーション(例えば、サイズ分布の決定)のために、AF4フラクショネーション法(上記を参照)を適用した。各NPの注入量は、総RNA量に対して調節した(LPXおよびLNPは4μg;VLP:20μg)。(i)AF4システムをUV検出器(MWD Agilent)およびMALS検出器(HELEOS II、Wyatt Technology;R値の検出のため)に直接接続し、(ii)R値の同時決定のためにグラスファイバーによってMALS検出器(番号16)においてある角度にDLSを外部接続することによって、粒子のオンライン検出を実現した。一部の試料に対しては、RIシグナルを同時に検出するために、RI検出器(Optilab T-rEX、Wyatt)も使用した。
【0590】
2つの異なる粒子(VLPおよびLPX)を含むRNA組成物の分析
1.3/2の脂質/RNA比によるRNAのアクセスにおいて、低分子RNA(40bp;タンパク質ベースのワクチンの免疫反応を増強するための補助剤として使用される)と、F12リポプレックス(DOTMA/DOPE 2/1)とを含むリポプレックス粒子を調製した。結果として得られる低分子RNAリポプレックス粒子を、第2の工程において1/1のLPX/VLP比におけるVLP試料組成物と混合し、ならびに前記低分子RNA-LPX VLP試料組成物中に含有される粒子のサイズ分布を求めるために、4μgの総RNAをAF4フラクショネーション法(上記を参照)に供した。
【0591】
様々なRNA-NPの定量的サイズ分布(例えば、D90)
RNA-脂質ベースの粒子(LPXまたはLNP)を分析するために、4μgの総RNAをAF4フラクショネーション法(上記を参照)に供し、その一方で、RNA-ポリマーベースのナノ粒子を分析するために、10μgの総RNAをAF4フラクショネーション法に供した。AF4システムをUV検出器(MWD Agilent)およびMALS検出器(HELEOS II、Wyatt Technology;R値の検出のため)に直接接続する粒子のオンライン検出を実現した。R値の同時決定のために、DLSをグラスファイバーによって外部的にMALSに接続した。RNA(遊離および非結合)に関する追加情報を提供するために、260nmまたは280nmでのオンラインUV検出もAF4-MALS-DLSに適用した。定量的サイズ分布に対しては、実験的に得られたR値を、粒子ピーク画分のUVシグナルに対して直接的にプロットした。例えば、より大きい粒子に対するR値は、保持時間の関数としてプロットすることができ、データ点は、多項式方程式(例えば、f(t)=a+bx+b+b+b)または線形方程式(例えば、f(t)=a+ax)に適合させることができ、ならびにR値を、多項式適合または線形適合に基づいて再算出することができる。次の工程において、粒子画分のUVシグナルが、再算出されたR値の関数としてプロットされる。UVシグナルは、対応する粒子画分に結合したRNA量に正比例し、ならびに重量分率に等しい。最終工程において、記録されたUVシグナルならびに(D10値、D50値、およびD90値)を含む対応する累積重量分率分析の値を、R値の関数としてプロットした。粒子サイズ(R値)に対するUVシグナルトレースのプロットは、粒子量に関する定量的情報を直接的に提供する。
【0592】
非結合RNA(遊離RNA)の量の決定
RNA-LPXにおける非結合RNA(遊離RNA)の決定のために、LPX粒子中における4μgの総RNAを上記において説明されるようなAF4フラクショネーション法に供した(例えば、図1を参照)。非結合/遊離RNAの量は、好ましくは、260nmまたは280nmでのUV吸収を使用した粒子(例えば、LPX)からの非結合/遊離RNAのベースライン分離を必要とする。非結合/遊離RNAの決定のために、2つのアプローチを適用することができる:
1)較正曲線を使用するアプローチ:RNA-LPX粒子中の非結合/遊離RNAの相対量(%)を、非結合/遊離RNAのUVピーク面積を対照RNAのUVピーク面積に関連付けることによって求める(較正曲線)。
2)直接アプローチ:ランベルト・ベールの法則およびRNA減衰係数(上記において説明されるような)を使用して、UV吸収を濃度に直接変換することができる。
【0593】
脂質およびRNAの異なる比率(「NP比」)での非結合/遊離RNAの定量化も、AF4フラクショネーション法を使用して求めることができるかまたは算出することができる。NaCl(100mM)を用いずにまたは用いて、異なる電荷比において(0.1~0.9)脂質(DOTMA/DOPE 2/1)の混合物をRNAと混合することによって、試料組成物を調製したが、この場合、RNA濃度は一定に維持し、脂質の量を変化させた。これらの試料組成物中の非結合/遊離RNAの決定のために、40μLの形成されたナノ粒子(4μgの総RNA)を、AF4フラクショネーション法に供した。分析は、上記において説明したアプローチに従って実施した。
【0594】
RNA-LPX試料組成物中のRNA含有量の総量の決定
AF4フラクショネーション法を使用したRNAの総量の定量的決定の前に、粒子からRNAを放出させるために、放出剤(例えば、0.5%のSDSまたは0.1%のZwittergent(ZW))の添加によってナノ粒子を崩壊させなければならない。40μLの試料組成物(4μgの総RNA)を分離の際にナノ粒子の再形成を防ぐために液相が放出剤(例えば、0.05%(w/v)のSDS)を含む変更例の、上記において説明されるようなAF4フラクショネーション法に供した。測定した曲線下UVピーク面積は、ランベルト・ベールの法則およびRNA減衰係数を使用して、RNA濃度に直接変換することができる(ならびに、それらを試料組成物中に含有されるRNAの総量に変換することができる)。加えて、NP崩壊の完全さは、MALSシグナルによってモニターすることができる。
[実施例1]
【0595】
AF4フラクショネーション法を使用したRNAの決定
異なる注入量のRNA原液を、UV検出器およびRI検出器を使用してAF4フラクショネーション法によって分析した(AF4-UV-RI)。曲線下ピーク面積(UVは実線;RIは破線)を、注入された量に対してプロットし、線形回帰を適合させた(図3Aを参照)。RNAの段階希釈をAF4-UV-RIによる同一注入量において測定し、前述のように分析した(図3Bを参照)。
【0596】
図3AおよびBに示されるデータは、シグナル(RIおよびUV)とRNA量との間の直接的直線相関を実証している。したがって、これらのデータは、RNAの直接決定(すなわち、較正曲線を使用しないで)が実行可能であることを証明している。その上、試料希釈は必要ない(キュベットにおいてRNA溶液のUVシグナルを測定することによるRNA量の決定と比較して)。したがって、幅広い濃度範囲の試料RNA組成物を使用することができる(注入量は適合させることができる)。AF4フラクショネーション法のさらなる利点は、以下である:
- 低い標準偏差(<2%);
- 低い塩効果(試料が、AF4フラクショネーション手順の際に「洗浄される」ため);
- RNAの減衰係数の変化を分析し求めることができる。
[実施例2]
【0597】
RNA完全性の決定
RNAを様々な程度に分解させるため、RNAを熱処理した(98℃で2分間、4分間、または10分間)。未処理のRNA、処理したRNA(98℃で2分間、4分間、または10分間)、または熱分解RNAと未処理のRNAとによる規定された混合物のいずれかを含む試料組成物を、標準を使用せずにAF4フラクショネーション法(AF4-UV-RI)によって分析した。異なる試料組成物の代表的AF4フラクトグラム(n=3)が、図4Aに表されている。これらのフラクトグラムから、平均曲線下面積を、ランベルト・ベールの法則を適用してRNA濃度に直接変換し、結果として得られる濃度を、RNAの分解時間の関数としてプロットした(図4Bを参照)。
【0598】
図4Bから分かるように、RNA分解における異なる程度は(0~50%分解の範囲において)、AF4フラクショネーション法を使用するRNAの定量化に対して小さい影響(<2%)を有する。対照的に、他の定量化法(アガロースゲル、フラグメントアナライザー)は、シグナル強度対分解における強い依存性を示す。
[実施例3]
【0599】
複合混合物の分離
試料粒子組成物(1.3/2のモル比において脂質およびRNAを含む)を調製し、本明細書において開示されるAF4法に供し、この場合、UVシグナルおよび光散乱(LS)シグナルを検出した。AF4法から得られる代表的なフラクトグラムが、図5に示されており、ここで、実線は、90°の角度でのLSシグナルを表し、ならびに粒子ピーク(t=約35分)を示しており、その一方で、破線は、UVシグナル(260nmにおいて記録)を表し、ならびに結合RNA(t=約38分)および非結合RNA(t=約20分)を反映している。
【0600】
図5は、AF4法が、構成要素(遊離RNAおよびLPX粒子)の複合混合物を分離することができ、それにより、構成要素が、それらの流体力学半径(R)の関数として溶出されることを示している。UVトレース(破線)は、18~25分の保持時間および25~60分の間の保持時間における2つの異なるピークを示している。第1のピーク(薄灰色の四角)は、製剤中のRNAのモルアクセスに起因する、溶液中の非結合の遊離RNAを表しており、第2のピークは、LPX粒子を表している(暗灰色の四角)。
【0601】
したがって、図5に提示されるデータにより、AF4法は、広いサイズ範囲(nmからμm)にわたって試料組成物に対して適用可能であり、ならびにRNAおよびナノ粒子の複合混合物の異なる構成要素(RNAおよびNP)を効率的に分離する。加えて、方法は、より大きなサイズの範囲における多分散ナノ粒子画分(LNP、LPX、VLP、RNA)を分離することができ、それは、SECのような一般的技術では達成することができない。したがって、AF4方法は、粒子の複合混合物を含む組成物のサイズ分離のための要件を満たす。
[実施例4]
【0602】
RNA完全性の決定
長さの異なる、異なる熱分解RNA(RNA#1~4;サイズ:986~1688nt)を含む試料組成物および未処理のRNAを含む対照組成物を調製し、それを、AF4フラクショネーション法に供した(図6Aを参照)。同様に、異なる比率を使用するRNA#2を含む試料組成物(未処理の(対照)RNA、完全に熱分解したRNA、および未処理のRNAと完全に熱分解したRNAとの50:50混合物)を調製し、それを、AF4フラクショネーション法に供した(図6Cを参照)。各試料組成物に対するRNA完全性を、上記において指定されたUVシグナルに基づいて求め(試料組成物および対照組成物の両方に対して、半ピーク面積/総ピーク面積の比率を使用して;少なくともトリプリケートにおいて測定した)、それを、理論的計算値と比較した。試料組成物(暗灰色のバー、中間灰色のバー、および薄灰色のバー)および理論的計算値のRNA完全性のパーセンテージが、図6Bおよび6Dに示されている。
【0603】
図6Aおよび6Cから分かるように、異なる熱分解RNAは、AF4法によって分離および検出することができる。算出されたRNA完全性は、2分間の熱処理では約95%の完全性、4分間では約90%の完全性、10分間では約70%の完全性による加熱時間依存性分解速度(図6B)を示した。アプローチを検証するために、分解RNAおよび未分解RNAの規定された混合物を、制御された方法において組合せ、分析した(図6D)。測定したRNA完全性値は、理論上の計算値と素晴らしく一致する(図6D)。
【0604】
RNAにとって1つの主要な重要品質パラメーターは、完全性である。本明細書において説明されるAF4法は、小さい40ntのRNAから非常に大きい10000ntのRNAまで及ぶ異なる非製剤化RNA試験体からのRNA完全性の決定にとって好適である。当該方法は、RNA完全性における非常に小さな変動も検出することができ、インターカレーティング色素による定量化問題とは無関係である。
[実施例5]
【0605】
AF4法および蛍光に基づく方法を使用したRNA定量化の比較
RNAと蛍光標識された粒子とを含む試料組成物を調製し、それを、本明細書において説明されるAF4法に供し、この場合、増加した量を注入し、UVシグナルおよび蛍光シグナル(FS)を検出した。それぞれの試料組成物におけるUVピーク面積およびFS粒子ピーク面積を求め、それを注入されたRNA量に対してプロットした(図7Aを参照)。その上、試料組成物のUVピーク面積とFS粒子ピーク面積との比率を算出し、それを、注入されたRNA量に対してプロットした(図7Bを参照)。
【0606】
図7は、両方の検出システムのAUCは、注入されたRNAの漸増濃度による直線性を増加させ、結果として得られるプロットは、広い濃度範囲において匹敵する結果を提供したことを実証している。両方のシグナルの直線挙動は、リポソームに結合した高いRNA濃度の支配的UV吸収に起因して、UVシグナルは散乱によって影響を受けないこと、すなわち、いかなる散乱の影響も存在しないことを示している。したがって、図7は、粒子に結合したRNAを定量化するためのUVシグナルの適性を実証している。
[実施例6]
【0607】
遊離RNAのUVシグナルと粒子に結合したRNAのUVシグナルとの比率の決定
様々な量のRNAとリポプレックス粒子とを含む試料組成物を調製し、それを、本明細書において説明されるAF4法に供し、この場合、UVシグナルを検出した。UVシグナルから、遊離RNAおよび粒子に結合したRNAの両方のピーク面積を求め、それをそれぞれの試料組成物中のRNAの総量に対してプロットした;図8Aを参照。その上、粒子に結合したRNAのピーク面積と遊離RNAのピーク面積との比率を、各試料組成物において求め、それを、それぞれの試料組成物中のRNAの総量に対してプロットした;図8Bを参照。
【0608】
図8Aから分かるように、遊離RNAのピークとLPXのピークとの間には、広いRNAの総量にわたって直線関係が存在する。その上、粒子に結合したRNAのピーク面積と遊離RNAのピーク面積とにおける求められた比率と減衰係数は、広いLPX濃度範囲にわたって一定であることが見出された(図8Bを参照)。そのような比率は、粒子製剤のための追加の品質パラメーターであり得る。
[実施例7]
【0609】
粒子のサイズ分布の決定 - UVシグナルまたは蛍光シグナルによって得られる結果の比較
RNAとAtto594標識された粒子とを含む試料組成物を調製し、それを、本明細書において説明されるAF4法に供し、この場合、UVシグナル(260nm)、MALSシグナル、および蛍光シグナル(FS)(624nmにおいて放出)を検出した。代表的フラクトグラムが、図9Aに示されている。UV/FS比を算出し、粒子ピーク画分(溶出時間:22~60分)からのUVシグナルとUV/FS比を、R値(MALSシグナルに基づいて求めた)に対してプロットした;図9Bを参照。UV/FS比の50%未満の変動を有するR面積が、図9Bにおいて強調表示されている(四角)。50nmから300nmの間のR範囲において、UV/FS比の変動は小さく、信頼できるサイズ値を与える。より小さいR値は、RNAシグナルよって影響を受ける。より大きいR値は、散乱よって影響を受ける。合計で、これらの影響を受けるR値は、総シグナル量の10%未満である。624nmでの蛍光放出(黒色のバー)および260nmでのUVシグナル(灰色のバー)を使用した累積重量分率分析に基づいてD10値、D50値、およびD90値を算出した;図9Cを参照。蛍光検出器によって得られたフラクトグラム(図9Aを参照)は、1つのピークのみを示し、それは、蛍光標識されたヘルパー脂質の使用に起因して、リポプレックス粒子(LPX)によるものであり、それは、ナノ粒子のみの検出を可能にする。UVおよびFSのトレースは、より長い保持時間において変動が少なく、溶出範囲全体において非常に似ており、それは、サイズ増加による散乱の影響が小さいことを示している。粒径分布に関する定量的情報を得るためにUVを使用することの実現可能性をさらに証明するために、LPX(本明細書において説明されるAF4法によって分画化された)のUV吸収値全体とFSシグナル(620nmにおいて同時に記録した)との比率を算出し、それを、対応するR値に対してプロットした(図9Bを参照)。結果として得られるUV/FS比は、広いサイズ範囲にわたって一定であり、より大きなサイズにおいて変動が増加することが見出された。累積重量分率を、定量的D10値、D50値、およびD90値を提供する両方のシグナルを使用して分析した;図9Cを参照。UVシグナルに基づいて求めたこれらのD10値、D50値、およびD90値を、FSシグナルに基づいて求めたものと比較する場合、粒子サイズD10およびD50に対しては有意な差は観察されず、より大きいサイズ(D90)において小さな差のみが検出される。したがって、これらのデータは、ナノ粒子のみが、無視できる量の光減衰に貢献すること、ならびにUVシグナルは、散乱によってあまり強くは影響を受けないことを示している。
【0610】
したがって、これらの結果は、散乱に対する補正要素を必要としない、定量的サイズ測定のためにオンラインUV検出を使用することの実現可能性の証拠を提供する。本明細書において説明されるAF4法は、1回の実施において、拡散係数の関数として粒子を分離する機会(例えば、RNAを含有するLPXから非結合/遊離RNA)、ならびに、遊離RNAの量およびRNAを含有するLPXのサイズ分布を定量的に求める機会を提供し、それは、DLSのような従来の方法では不可能である。NTA(ナノ粒子追跡解析)のような他の方法も、粒径分布に関する情報を提供し得るが、それらは、他の欠点を有する(例えば、上記のセクション「背景技術」を参照)。例えば、NTAの場合、試料を10~1000倍に希釈しなければならず、それは、とりわけ、粒子の濃度依存性凝集もしくは解体により問題を生じ得、結果として、粒径分布に関する正しくない情報をもたらし得る。
[実施例8]
【0611】
粒子のいくつかのパラメーターの決定
RNAと粒子とを含む試料組成物を調製し、それを、本明細書において説明されるAF4法に供し、この場合、UVシグナル(260nmにおいて)、MALSシグナル(90°において)、およびDLSシグナルを検出した。代表的フラクトグラムが、図10に示されている(DLSシグナルは、図10に示されていない)。
【0612】
図10に示される分離プロファイルは、UVシグナル(破線)ならびに90°でのMALSシグナル(実線)を含む。Berryプロットを使用して、LPXピーク(25~60分の保持時間)に対するMALSシグナルに基づいて、R値(灰色の四角)を求めたところ、80nm~400nmの範囲であった。流体力学半径(R)値(灰色の円)を、DLSシグナルに基づいて求めたところ、130nm~300nmの範囲であった。
【0613】
サイズおよびサイズ分布は、薬物送達媒体の重要なパラメーターのうちの2つである(例えば、FDA's "Liposome Drug Products Guidance" 2018)。この実施例によって実証されるように、AF4法は、複合ナノ粒子の構成要素を効率的に分離することができるだけでなく(ナノ粒子からRNAを)、広いサイズ範囲(nm~μm)にわたる、ナノ粒子のサイズおよびサイズ分布のオンライン決定も可能にする。
[実施例9]
【0614】
粒子の定量的サイズ分布の決定
実施例8において調製および分析した試料組成物によって得られる実験データを、粒子の定量的サイズ分布を求めるためにさらに分析した。図10に示されたフラクトグラムが、再び、図11Aに示される。定量的サイズ分布の決定のための第1の工程において、図11Aに示されたフラクトグラムに含まれる粒子ピーク(溶出時間:26~55分)の実験的に求めたR値を抽出し、それを、多項式方程式に適合させた(薄灰色の線);図11Bを参照。次いで、R値を、多項式適合に基づいて再算出した。次の工程において、粒子画分のUVシグナルを、再算出されたR値の関数としてプロットした(図11Cの実線を参照)。UVシグナルは、粒子量に正比例し、重量分率に等しい。最終工程において、記録したUVシグナルを、対応する累積重量分率値(D10値、D50値、およびD90値を含む)へと変換し、それを、再算出されたR値の関数としてプロットした(図11Cの破線を参照)。粒子サイズ(R値)に対するUVシグナルのプロットは、粒子量に関する定量的情報を直接的に提供する。
【0615】
この実施例および他の実施例(例えば、実施例5および7を参照)において実証されるように、UVシグナルおよび対応する累積重量分率分布は、定量的粒径分布プロファイルの決定および分析を可能にする。本明細書において説明されるAF4法は、ロバストで、再現可能であり、ならびに分離された試料の徹底的なキャラクタリゼーションを提供し、結果として、試料組成物内の変化の検出を可能にする。結果は、AF4法が、量に関する同時情報ならびにサイズおよびサイズ分布に関する定量的情報、すなわち、NPなどの粒子のキャラクタリゼーションのための情報、を提供することを例示している。
[実施例10]
【0616】
粒子のパラメーターに対する異なる脂質/RNA比の効果の分析
100mM NaClを用いてまたは用いずに、異なる脂質/RNA比(0.1~0.9)において脂質およびRNAを混合することによって、異なる試料組成物を調製し、それを、本明細書において説明されるAF4法に供した。異なる試料組成物のそれぞれに対して、UVシグナル(260nmにおいて)、光散乱シグナル(90°において)、および対応するR値(Berryプロットを使用して算出した)を求めた。図12Aは、対応するRデータ点と一緒の場合のフラクトグラムの重なりを示している。累積重量分率値を求め、R値を累積重量分率値に対してプロットし、ならびに、9つの試料組成物のそれぞれに対するD90値を求めた(図12Bを参照)。これらのR(D90)値を、100mM NaClを用いる(黒点)またはNaClを用いない(白点)の液体/RNA比の関数としてプロットした。
【0617】
図12Aは、AF4法を使用することによって、遊離RNAを、物理化学的に不均一なナノ粒子(LPX)から効率的に分離することができ、ならびに定量化することができることを示している。加えて、図12Aは、試料組成物の構成要素(すなわち、遊離RNAおよび粒子)の物理化学的特性/パラメーター(例えば、R)に対する、試料組成物の合成の際の異なる脂質/RNA比の効果を例示している。図12Bおよび12Cにより、粒子のサイズは、粒子によってあまり変化しなかった(0.1から0.4の間の脂質/RNA比)。より大きい粒子は、より高い比率(>0.4)において形成された。サイズは、LPX試料に対してリポソームの量の増加と共に直線的に増加するが、イオン強度によって影響を受けるようには見えない。データは、リポソームのアクセスの増加は、結果として、得られる粒子のサイズの増加をもたらすことを示している。塩の不在は、示された電荷比でのサイズの減少につながる。
【0618】
この実施例は、AF4法が、遊離RNAおよび粒子の分離および定量化、ならびに様々な電荷比での粒子の定量的サイズ分布の決定およびキャラクタリゼーションを可能にすることを示している。したがって、当該方法は、RNA-LPX相互作用を分析するための有用な分析ツールであり、ならびに、1回の実施において、異なるナノ粒子に関する定量的および定性的情報を与えることができることが実証された。
[実施例11]
【0619】
粒子の形態の評価
算出されたR値(例えば、実施例8から)をR値(DLSシグナルに基づいて求めた)に対してプロットして、データを線形方程式に適合させることによって、粒子形状に関するさらなる情報を受け取ることができる。線形回帰の傾きは、粒子形状に関する情報を提供する。例えば、0.74の傾きは、分析したナノ粒子に対して球状の形状を示している。R値とR値との比率は、形状因子とも呼ばれる。
[実施例12]
【0620】
異なるタイプの粒子の分離およびキャラクタリゼーション
異なるタイプの粒子(LPX、LNP、PLX、リポソーム、VLPs+LPX)を含む試料組成物を調製し、それを、本明細書において説明されるAF4法を使用して分析した。図14は、AF4-UV-MALS-DLS分離/検出を示している。90°の角度でのLSが実線として表されており、それは、粒子ピークを示す。破線は、260nmにおいて記録されたUVシグナル(RNA検出のため)を表す。回転半径(R)値(暗い点)は、Zimmプロット(RNAおよびVLP)およびBerryプロット(LNP)を使用した多角度光散乱(MALS)シグナルから得られる。動的光散乱(DLS;灰色の点)は、流体力学半径(R を提供する。個別の粒子ピーク画分は、灰色のバーによって強調表示される。図14Aは、AF4-UV-MALS-DLS分離/検出の後の、1.3/2のモル比において脂質およびRNAを含有するLPX試料の代表的フラクトグラムを示している。図14Bは、2つのタイプの粒子を含む組成物(低分子RNA-LPX:VLP、1:1混合物)の代表的フラクトグラムを表している。図14Cは、リポソーム試料(2/1のモル比のDOTMAおよびDOPEで構成された、正に帯電したリポソーム)の代表的フラクトグラムを示している。図14Dは、LPX試料(4/1のモル比においてDOTMAおよびコレステロールならびにRNAを含有する、正に帯電したLPX)の代表的フラクトグラムを表している。図14Eは、3/1のモル比においてDODMA、コレステロール、DOPE、PEG(1.2/1.44/0.3/0.06のモル比)およびRNAを含有する脂質ナノ粒子(LNP)試料の代表的フラクトグラムを示している。図14Fは、12/1の粒子とRNAの比においてJetPEIポリマーおよびIVT-RNAもしくはsaRNAを含有する、粒子の代表的フラクトグラムを表している。
【0621】
図14は、AF4法が粒子の幅広い試験体に対して適用することができることを実証している。溶出プロファイルは、例えば、粒子のサイズ分布の決定を可能にする。その上、試料中の凝集物を検出することができ(例えば、図14B)、ならびに異なるタイプの粒子を、非結合の遊離RNA(図14A/B/FにおけるマークされていないUVピーク)から効率的に分離することができる。
[実施例13]
【0622】
塩による処理後の非製剤化RNAのキャラクタリゼーション
AF4法を使用して、イオン(塩化ナトリウム)の存在下でのRNA挙動を分析した。異なる塩化ナトリウム濃度(0~50mM)において様々なRNA(IVT-RNA)をプレインキュベートすることによって、試料組成物を調製した。異なる塩化ナトリウム濃度(0~50mM)における非製剤化RNAからの例示的AF4フラクトグラム(90°での光散乱が示される)を図15に表す。R値は、Zimmプロットを使用してMALSシグナルから得た。
【0623】
図15から分かるように、別々に処理されたRNAは、AF4法によって分離および検出することができる。非常に少量のみの、より高い分子量オーダーの凝集体を検出することができた。興味深いことに、RNAのR値は、塩化ナトリウム濃度の増加の関数として減少し、したがって、イオン濃度と逆相関する(NaClを用いない約80nmから、50mM NaClを用いる20nmまで)。その上、保持時間は、塩濃度の増加と共により長い時点へとシフトした(NaClを用いない約15分から、50mM NaClを用いる18分へ)。このシフトは、RNAのRにおける変化を示している(より小さいR値から、より大きいR値へ)。形状因子(R/R)を算出することができ、それは、塩の存在下でのRNAのコンパクト化を示している。
【0624】
異なる塩化ナトリウム濃度(0~50mM)で処理した各々の試料組成物に対して定量的サイズ分布ならびにR(D50)値を求めるために、上記のデータを累積重量分率分析に供した;図16Aを参照。RNAのR(D50)値(図16Aから)を塩化ナトリウム濃度に対してプロットして、比率(mM塩化ナトリウム対nm R)を算出した。0~10mM NaCl値の比率の線形適合が太い線で表されており、その一方で、点線は、10~50mM NaClの適合を表す。灰色と黒色の線は、2つの異なるRNA濃度による測定の例を表している。
【0625】
図16から分かるように、塩が低濃度において存在する場合(0~5mM NaCl)、R値の大幅な減少(約30%)が存在する。より高い塩濃度において(10mM NaCl)、R値の減少の進行は低下する。図16Bにより、より低いNaCl濃度(0~10mM)には線形相関が存在するが、その一方で、高いNaCl濃度(50mM)では、非線形相関が見られる。このことは、低濃度のイオンの存在下でのRNAの強力なコンパクト化によって説明することができるが(5mM NaClによって30%のR減少)、その一方で、依然として、RNAのさらなるコンパクト化(約30%)が、ある程度まで生じ得、ただし、それは、はるかに高いイオン濃度(50mM NaCl)を必要とする。
【0626】
イオンは、RNAの折り畳み/コンパクト化を駆動する1つの重要な因子であり、それは、ナノ粒子のRNA負荷能力に影響を及ぼす。本明細書において説明されるAF4プロトコルは、塩化ナトリウム処理されたRNA(例えば、IVT-RNAおよびsaRNA)のR値における変化の分析にとって好適である。
[実施例14]
【0627】
複合試料組成物中の遊離RNAの分離および定量化
この実施例は、複合試料組成物中の遊離/非結合RNAの定量化を例示している。RNAと粒子とを含む試料組成物中の遊離RNAの決定に対するAF4法の適性を示すために、260nmでのUV検出を使用して裸のRNAの較正曲線を実施した。
【0628】
本明細書において開示されるAF4法を使用して、粒子を用いない組成物における260nmでのUV吸収によって、異なる量の遊離RNA(1~15μg)を検出した。線形較正曲線を作製するために、RNA量をそれぞれの曲線下UVピーク面積(AUC分)に対してプロットした(図17Aを参照)。様々な量の試料組成物(1~15μgの総RNAを含有する)を、AF4法によって分析した。重ねられたAF4フラクトグラムは、260nmでのUVシグナルを示している(図17Bを参照)。第1のピーク(溶出時間:約20分)は、遊離RNAに対応し、その一方で、第2のピーク(溶出時間:約38分)は、粒子(結合RNA)に対応する。粒子組成物中の結合していない遊離RNAの量は、基準RNA(=100%)との関係において算出することができる(図17Aを参照)。方法の線形性を示すために、遊離RNA(図17Bを参照)ならびに裸の基準RNA(図17Aを参照)のUVピーク積分を、異なるRNA量(1~15μg)の関数としてプロットした(図17Cを参照)。遊離RNAの定量化のための第2の好ましい手順(直接法)として、非結合RNAピークを定義し、RNA量は、RNAの比減衰係数を使用して直接算出することができる(ランベルト・ベールの法則)(図17Dを参照)。
【0629】
図17から分かるように、UVシグナル面積は、再現可能な方法において、示された範囲において試料濃度に比例することが見出された。図17Aは、UVシグナルを使用したRNAの定量化に対して直線挙動を示すRNAの異なる量の関数としてのUVシグナルのAUCを示している。その上、図17Bにより、非結合RNAの溶出挙動において変化は観察されなかった。図17Cにおいて、裸のRNAならびにナノ粒子の遊離RNAのUVシグナル積分が、RNAの異なる量の関数として示されている。両方のプロットを線形適合させたところ、それらは、直接相関を示す。これは、裸のRNAによる較正曲線を実施することなく、NP試料中の遊離RNAを定量化するためにUVシグナル(AUC分)を直接利用することができることの実行可能性を示している。したがって、示された直線範囲において、同じ量の適切な裸のRNAに関して遊離RNAを直接定量化することができる。結果は、コロイド状製剤中の遊離RNAのパーセンテージ(%)を与える。
【0630】
したがって、この実施例は、AF4法が、基準試料または正規化を必要とせずに、粒子を含む試料組成物中の遊離RNAの直接定量化ためのスタンダードレス法として使用することができることを示している。その上、粒子を含む試料組成物のさらなる品質指標として、遊離RNAとNPとの比率を求めることができる。
[実施例15]
【0631】
異なる試料組成物中の遊離RNAの分離および定量化
この実施例は、異なる物理学的挙動を有する試料組成物中の遊離RNA量の分析を示している。試料粒子組成物(様々な電荷比(0.1~0.9)において混合した(DOTMA/DOPE 2/1)/RNA複合体)を、NaClを用いずに(図18Aを参照)または100mM NaClを用いて(図18Bを参照)調製し、それを、本明細書において説明されるAF4法を使用して分析した。全ての混合物をデュブリケートにおいて調製し、ならびに少なくともデュブリケートにおいて測定した。100mM NaClを用いた(黒色の円)およびNaClを用いない(白色の円)、算出された非結合RNAのパーセンテージを、電荷比に対してプロットした。
【0632】
図18Aおよび18Bは、AF4法が、物理化学的に不均一なNP(LPX)試料(脂質/RNA電荷比)から遊離RNAを効率的に分離および定量化することができ、ならびにさらに、異なるLPXを分離することができる。遊離RNAの相対量を、脂質/RNA電荷比の関数として算出し、この場合、RNA濃度は一定(0.1mg/mL)に維持して、リポソーム量を変更した。混合物のイオン強度(0対100mM NaCl)も変更した。脂質/RNA比およびイオン強度(0~100mM NaCl)に応じて、遊離RNAの量における明確な変化が見られた。全ての試料組成物における遊離RNAの保持時間は、全ての試料において同じであった(図18A/B)。遊離RNAの量は、NaClの有無にかかわらずLPX試料のリポソームの量の増加と共に直線的に減少した。塩の存在は、検出可能な遊離RNAの量における減少を引き起こした(最大で15%まで)。これらのデータから、塩の添加は、LPX結合RNAの量を約15%増加させることができると結論付けることができる。100mM NaClを用いた(黒色の円)およびNaClを用いない(白色の円)非結合RNAの濃度(μg/mL)を表す図18Dも、同じ結果を示している。
【0633】
この実施例は、AF4法が、非結合RNAの分離ならびに不均一なLPX試料中の遊離薬物(RNA)のオンライン定量化を可能にすることを実証している。方法は、RNA-LPX相互作用を決定するための有用な分析ツールであり、ならびに、一回の実施において、粒子に関する定量的情報を与えることができる。
[実施例16]
【0634】
試料組成物中の総RNAの定量化
この実施例は、本明細書において説明されるAF4法を使用した粒子組成物中の総RNAの定量化を例示している。
【0635】
図19Aは、AF4法によって分離された、Zwittergent処理した裸のRNAのフラクトグラムを示している。260nmでのUVシグナルは、黒色の線で表されており、ならびに、90°でのLSシグナルは、破線によって表されている。図19Bは、遊離RNA(灰色で強調表示される)および結合RNA(第2のピーク)によるUV検出(実線)と、90°の角度でのLSシグナル(破線)とによる粒子組成物の代表的フラクトグラムを表している。図19Cは、粒子が放出剤を使用して溶解されている(液相は0.1%のZwittergentを含有した)RNA組成物の、UV検出(実線)および90°での光散乱(破線)による対応するフラクトグラムを示している。図19Dは、放出剤(Zwittergent)による処理後の裸のRNAおよび総RNAの直接的定量化を表している。
【0636】
FDAガイダンスにおける重要な品質パラメーターであると見なされるパラメーターは、試料組成物中の遊離RNA濃度、結合RNA濃度、および総RNA濃度である。脂質ベースの製剤中の総RNAを定量化するためにUV検出を使用することの課題は、遊離RNAと結合RNAの減衰係数の違いにある。LPX中の総RNA濃度の定量化のために260nmでのUV検出を使用するためには、これらの違いを排除しなければならない。これらのタスクに対処するために、2つの異なるアプローチを適用することができる。第1のアプローチは、複合化RNAの減衰係数の決定に基づいており、それは、決定のために多量のRNAを必要とするため、より複雑である。第2のアプローチは、結合RNAを製剤から放出させることに基づいている。総RNAの定量的決定の前に、粒子からRNAを放出させるために、放出剤(例えば、界面活性剤、例えば、0.5%のSDSまたは0.1%のZwittergent(ZW))、の添加によってナノ粒子を崩壊させなければならない。分離の際のナノ粒子の再形成を防ぐために、溶解したLPXの分離を、例えば、0.05%(w/v)のSDSまたは0.05%(w/v)のZWを含有する液相によって実施した。溶解したLPXの分離は、結果として、フラクトグラムにおけるUVシグナルの増加を伴うLSピークの減少を生じた(図19C)。裸の対照RNAのUVシグナルは(図19A)、粒子から放出されたRNAの記録されたUVシグナルに匹敵した(図19C)。
【0637】
したがって、溶解されたLPXの得られたUVピーク面積は、粒子製剤中の総RNA濃度(mg/mL)に直接変換することができる。両方のRNAに対して同じ減衰係数を使用してmg/mLにおいて計算された濃度は、裸の対照ならびにLPXから放出されたRNAに対して、匹敵する結果を示す(図19D)。
【0638】
結果は、AF4法は、遊離RNAの量の決定ならびにRNAと粒子とを含む組成物中のRNAの総量の定量化を可能にすることを示している。
[実施例17]
【0639】
試料組成物中の遊離RNAおよび総RNAの完全性の決定
この実施例は、本明細書において開示されるAF4法を使用した、RNAおよび粒子を含有する試料組成物中の遊離RNAおよび総RNAの完全性の決定を例示している。
【0640】
図20Aは、AF4法を使用した、RNA完全性の異なるRNAを伴う分離された粒子のUVトレースを示している(未処理のRNA:黒色の実線;部分的に熱分解したRNA:点線;混合物(50%の未処理のものと50%の完全に分解したものとを規定された方式において混合した):破線;粒子中の完全に分解したRNA:灰色の実線)。図20Bは、無傷の遊離RNA(暗い灰色)ならびに粒子中の総RNA(黒色)および完全に分解した(薄灰色)遊離RNAの定量化を表している。図20Cは、AF4分離(液相において放出剤を使用する)後の溶解した粒子のUVトレースを示している。図20Dは、粒子中の遊離RNAおよび総RNAのAF4-UV測定によって分析した、求められた完全性を表している。棒グラフは、粒子中の総RNA値の求められた完全性(黒色のバー)と比較した、遊離RNA(灰色のバー)の相対的RNA完全性を表す。
【0641】
RNA完全性は、上記において言及したような重要な品質パラメーターである。この実施例は、AF4法は、他の方法(例えば、毛細管電気泳動法)によって実現することができない、裸のRNAおよび総RNAの完全性の決定を可能にすることを実証している。
【0642】
図20Aは、異なる分解RNA(未分解RNAから熱分解RNAまで)を用いて調製されたLPXの、重ねられたUVフラクトグラムを示している。無傷の未処理RNAは、13~25分(遊離RNA)および25~60分(ナノ粒子)において溶出する2つの異なるピークを与えた。完全に分解したRNA(98℃、16時間)は、0~10分(分解した遊離RNA)および22~50分に2つの異なるピークを有する灰色の実線として示されている。未処理のRNAと完全に分解したRNAとの混合物(50%の未処理のRNAと50%の完全に分解したRNAと混合することによって調製した)が、0~10分(分解した遊離RNA)、13~25分(無傷の遊離RNA)、および25~55分(ナノ粒子)に3つの異なるピークを有する点線として示されている。さらなる試料組成物は、部分的に分解したRNA(98℃で15分間熱処理したRNA)およびLPXを含んだ。これらの試料組成物を、AF4法によって分離し、それを、UV検出を使用して分析した。分離されたLPXのUVシグナルが、黒色の点線として示されており、2つの異なるピークが、5~25分(遊離RNA、部分的に分解したRNA)および25~55分(LPX)に現れている。無傷の遊離RNAの量における違いが、図20Bに示されており、それは、RNAの分解の程度に対応する。完全に分解したRNAを含むLPX組成物の場合、無傷の遊離RNAは検出可能ではなく、その一方で、混合物を含む試料組成物は、22%の無傷の遊離RNAを含有し、ならびに未処理のRNAを含む試料組成物は、52%の無傷の遊離RNAを含有した。遊離RNAの総量を見たところ、ほぼ匹敵する結果が観察された。遊離RNAのわずかな増加(55~60%)が、RNA分解の増加に伴って観察された。しかしながら、混合物を含む試料組成物中の遊離RNAの完全性は、予想(50%)より低く(37%)、それは、完全に分解したRNAと比べて、カチオン性脂質に対する無傷のRNAの好ましい相互作用を示している。完全に分解したRNAの完全性は、製剤中のより多量の分解した遊離RNAに起因して(12%、図20)、遊離RNAの完全性に影響を及ぼす。これらの研究結果(無傷のRNAと分解したRNAとの混合物における、より高い総RNAの完全性値、より低い遊離RNAの完全性値)は、カチオン性脂質への無傷のRNAの好ましい結合を示しており、その一方で、混合物を含む試料組成物中の遊離RNAの完全性ならびに含有量は、匹敵するように見える。
【0643】
図20Cは、放出剤を含む対応するLPX試料組成物の、重ねられたUVフラクトグラムを示している。全てのLPX粒子に対するより長い溶出時間におけるUVピークは消失し、ならびに結合RNAの溶出時間は、遊離RNAの溶出時間へとシフトした。
【0644】
したがって、この実施例は、本明細書において説明されるAF4法が、LPX中のRNA(遊離RNA、結合RNA、総RNA)の異なる画分を分離することができ、ならびに、分画化されたRNAの完全性を決定することができることを実証している。加えて、AF4法は、一回の実施において、粒子のRNA完全性とRNA量(UV検出に基づく)を同時に算出することを可能にする。これらのパラメーターの同時解析は、他の従来の技術では実現することができない。
[実施例18]
【0645】
試料組成物中の遊離RNA、アクセス可能なRNA、および封入RNAの決定
この実施例は、本明細書において開示されるAF4法を使用した、試料組成物中の遊離RNA、アクセス可能なRNA、および封入RNAの決定を例示している。
【0646】
AF4法の蛍光位検出の直線性が、図22Aに示されており:この場合、異なる量のRNA(0mM対100mM NaCl)が注入され、本明細書において説明されるAF4法によって分離された。注入の前に、蛍光検出(600nm)のためにRNAにインターカレーティング色素(GelRED)を加えた。図22Bは、NaClを用いないおよび用いた(100mM)LPX組成物中のアクセス可能なRNA(黒色のバー)および封入RNA(灰色のバー)の相対量を示す棒グラフを表している。蛍光放出シグナルの検出のために、LPX形成の前または後に、インターカレーティング色素(GelRED;600nm)を加えた。図22Cは、本明細書において開示されるAF4法を使用した、粒子組成物(LPX)中の遊離RNAの相対量の比較を示しており、ならびに、スキームが、図21に表されており、この場合、量は、異なるRNA検出:260nmでのUV吸収(黒色のバー)および600nmでの蛍光放出シグナル(FS)(灰色のバー)、を使用して求めた。
[実施例19]
【0647】
基準RNAを使用しないRNA完全性の分析
この実施例は、本明細書において開示されるAF4法を使用し、かつ基準RNAを使用しない、RNA、特に長鎖saRNAの(相対)完全性を評価するための手順の概要を提供する。
【0648】
11,917ntの長さを有するsaRNAを、本明細書において開示されるAF4法に供した。図23Aは、90°でのLSシグナル(点線)および260nmでのUVシグナル(実線)による、saRNAの例示的AF4フラクトグラムを示している。太く暗い線は、MALSシグナルから得られた分子量曲線を表す。図23Bにおいて、より良い概要のために、図23Aから分子量曲線のみが、図23Bの上側パネルに実線として示されている。総RNAのピーク(ピーク1)に対する限界は、総UVピークシグナルに基づいて設定した(すなわち、t=10分~t=40分)。ここで、「無傷の」RNAのピーク(ピーク2)に対する限界は、以下のように、分子量曲線(MALSから得られる)からの一次導関数によって設定した。分子量曲線からの一次導関数を算出した(図23Bの下側パネルにおける点線)。分子量曲線のほぼ水平な部分は、未分解RNAの分画が存在する保持時間を反映している。これに基づいて、積分限界を選択し、ならびに、試料中の未分解RNAの量を算出した。
[実施例20]
【0649】
粒径分布の決定のためのUV、累積RNA重量分率、LPX画分におけるRNA質量、およびLPX画分あたりのRNAコピー、を使用した遊離RNAおよび結合RNAの定量分析
RNAリポプレックス(LPX)試料組成物を、本明細書において開示されるAF4法に供した。図24Aは、90°でのLSシグナル(実線)および260nmでのUVシグナル(破線)による、前記RNA LPX試料組成物に対する代表的AF4フラクトグラムを示している。UVシグナルは2つのピークを示しており、この場合、第1のピークは、非結合の遊離RNAの量を表しており、ならびに、第2のピークは、RNAを含むLPXナノ粒子から生じている。UVシグナルは、溶出時間の関数として、異なる分画中のRNA量を直接的に代表とする。回転半径(R;太い線)を、MALSシグナルから得た。
【0650】
図24Bは、図24Aからの260nmにおけるUVシグナル(破線)と、実線として、UVシグナル下面積に基づく累積重量分率とを示している。非結合RNAの絶対定量化のために、曲線下第1のピーク面積を比RNA減衰係数と一緒に使用して、非結合RNA画分の量を算出した。したがって、第1のピークを非結合RNAの絶対量へと定量的に変換することができる(ここで、1.4μg;36μg/mL)。非結合RNA画分の相対量(36%)は、総RNA(実線)との関連においてRNA LPX試料組成物中の非結合RNAの絶対量(μg)を関係付けることによって得ることができる。この値のもっともらしさを、2つの追加の直交法(アガロースゲル電気泳動アッセイおよび遠心分離アッセイ)によって確認した。36%の未結合RNA値を確認することによって、RNAの残りの量(3.66μg;64μg/mL)が、LPX画分において結合していると結論付けられる。これは、AF4フラクトグラムからの直接的なUVデータも、ほぼ100%の回収率において粒子中のRNAに定量的に対応することを示している。粒子からのより強い散乱が、ある役割を果たす場合、定量的に求められた遊離RNAは、他の測定からの遊離RNAの画分からのデータと一緒に、粒子に対するUVピークのスケーリングのために取得することができる。
【0651】
図24Cは、異なるサイズ画分(Δt=1分)における260nmでの吸収を使用することによる、RNA LPX試料組成物において結合RNAの量を示している。ナノ粒子をそれらの拡散係数に従って分離し、ならびに、回転半径(R)をBarryプロットを使用してMALSシグナルから得た。異なるR画分のRNA量の算出のために、LPXピーク(すなわち、t=約24分に始まり、t=約60分に終わる図24Aおよび24Bの第2のピーク)のみを使用した。図24Dは、図24Cにおいて提示された結果から算出されるR画分あたりの算出されたRNAコピーの数(バー、左側y軸)を示している。R画分あたりの算出された粒子数は、対応する点線曲線によって表される。
【0652】
この実施例は、本明細書において説明されるAF4法が、一回の実施において、RNA LPX試料組成物の累積RNA重量分率(図24Bを参照)、LPX画分におけるRNA質量(図23Cを参照)、LPX画分あたりのRNAコピー(図23D、バーを参照)、ならびにLPX画分あたりの粒子数(図23D、点線曲線を参照)を同時に求めることができることを実証している。これらのパラメーターの同時決定は、他の従来の技術では実現することができない。
[実施例21]
【0653】
AF4法での円二色性(CD)分光法の使用
この実施例は、CD分光法も、UVシグナルを測定するために、本明細書において開示されるAF4法において使用することができることを実証している。
【0654】
RNAリポプレックス(LPX)試料組成物を、UVシグナルを測定するための手段としてCD分光法を使用する本明細書において開示されるAF4法に供した。図25Aは、90°の角度でのLSシグナル(実線)および260nmで記録されたCDシグナル(点線)によるRNA LPX試料組成物に対する代表的AF4フラクトグラムを示しており、この場合、後者は、非結合RNA(第1のピーク;t=18分)および結合RNA(第2のピーク;t=35分)を表す。
【0655】
図25Bは、ナノ粒子製剤中の遊離RNAおよび結合RNAの定量化に対する、本明細書において開示されるAF4法におけるCD検出の適性を示している。裸のRNAの較正曲線を、並行しての260nmにおけるUVおよびCD検出を使用して作製した。曲線下ピーク面積(CD:黒四角および実線;UV:黒三角および破線)を、注入されたRNA量に対してプロットした。CDシグナルとUVシグナルとのピーク面積の比が、点として示される(第2の右側y軸)。CDシグナル面積の値は、良好な直線性(R=0.999)において適合し、RNAの量(およびUVシグナル)に正比例することが見出される。CDシグナルとUVシグナルとのピーク面積の比は、広い較正範囲(4~20μg)にわたって一定の挙動を示す。したがって、この実施例は、CDも、ナノ粒子中のRNA(遊離RNAおよび結合RNA)の量を定量化するために使用することができることを実証している。
【0656】
図25Cは、本明細書において開示されるAF4法においてCD検出を使用する、遊離RNAおよび結合RNAの定量化を示している。適切な裸のRNAからのCDシグナルの曲線下面積(AUC)は、適切な総AUC CDシグナルに相関した。異なる量のRNA LPX試料組成物(2~15μg)を、AF4法に供し、それを、それぞれのCDピークAUCに対してプロットしたところ、値は、線形適合した(R=0.998)。CDシグナル面積は、遊離RNAおよび結合RNAの量に正比例することが見出された。RNA LPX試料組成物中の非結合RNA(白四角)および結合RNA(白丸)の相対量(%)を、総RNA量に対して非結合RNAおよび結合RNAの量を相関付けることによって求めた。結合RNA画分と未結合RNA画分との相対比率は、示された較正範囲にわたって一定である。
図1
図2
図3
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図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10
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図11-2】
図12-1】
図12-2】
図13
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図15
図16
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図19
図20-1】
図20-2】
図21
図22-1】
図22-2】
図23
図24-1】
図24-2】
図25-1】
図25-2】