(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】電池、装置、電池の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/342 20210101AFI20250430BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20250430BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20250430BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20250430BHJP
H01M 10/613 20140101ALN20250430BHJP
H01M 10/615 20140101ALN20250430BHJP
H01M 10/6566 20140101ALN20250430BHJP
H01M 10/6556 20140101ALN20250430BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/209
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6566
H01M10/6556
(21)【出願番号】P 2022539699
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2020119737
(87)【国際公開番号】W WO2022067809
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-06-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】13/F., LKF29, 29 Wyndham Street, Central, Hong Kong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 全国
(72)【発明者】
【氏名】叶 永煌
(72)【発明者】
【氏名】梁 成都
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲海▼族
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲倩▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 霞
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0380315(US,A1)
【文献】国際公開第2014/045569(WO,A1)
【文献】特開2015-204247(JP,A)
【文献】特表2013-509688(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017212223(DE,A1)
【文献】特開2017-139844(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110065414(CN,A)
【文献】特開2007-059145(JP,A)
【文献】特開2015-211025(JP,A)
【文献】特開2019-129149(JP,A)
【文献】特表2023-509197(JP,A)
【文献】特表2023-509198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/20-50/298
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/6566
H01M 10/6556
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって
、
複数の電池セルと、排出チャンネルと、を含み、
前記複数の電池セルは、第1方向に沿って配列された第1電池セルと第2電池セルとを含み、
前記第1電池セルは、第1圧力解放機構を含
み、前記第1圧力解放機構は、前記第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して前記第1電池セルの内部圧力を解放することに用いら
れ、
前記第2電池セルは、第2圧力解放機構を含
み、前記第2圧力解放機構は、前記第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して前記第2電池セルの内部圧力を解放することに用いら
れ、
前記第1電池セルのエネルギー密度は前記第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、且つ前記第1圧力解放機構の面積は前記第2圧力解放機構の面積よりも大きく
、
前記第1方向に沿って、前記第1圧力解放機構と前記第2圧力解放機構とはずれて設置され、
前記排出チャンネルは前記第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構と対向して設置され、且つ前記排出チャンネルは、
前記第1圧力解放機構が作動するとき、前記第1電池セルからの排出物を収集する、及び/又は、
前記第2圧力解放機構が作動するとき、前記第2電池セルからの排出物を収集するように構成さ
れ、
前記排出チャンネルは少なくとも2つ設置され、各前記排出チャンネルは互いに隔離して設置され、前記第1圧力解放機構及び前記第2圧力解放機構はそれぞれ異なる前記排出チャンネルと対向して設置される、電池。
【請求項2】
前記第1圧力解放機構の面積A
1と前記第2圧力解放機構の面積A
2との比は、1.5≦A
1/A
2≦4を満たす、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1電池セルのエネルギー密度E
1と前記第2電池セルのエネルギー密度E
2との比は、1.26≦E
1/E
2≦2.14を満たす、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1電池セルと前記第2電池セルは、n個の第1電池セル、m個の第2電池セルの配列形態で交互に配置され、n≧、m≧1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記第1電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの前記第1電池セルの第1圧力解放機構はそれぞれ異なる前記排出チャンネルと対向して設置される、及び/又は、
前記第2電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの前記第2電池セルの第2圧力解放機構はそれぞれ異なる前記排出チャンネルと対向して設置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
さらに筐体を含み、前記筐体は複数の壁を有し、前記複数の壁は前記第1電池セル及び第2電池セルを収容するための収容キャビティを画定することに用いられ、前記複数の壁のうちの少なくとも1つの壁は前記排出チャンネルを形成するための中空チャンバーを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記複数の壁は、前記第1電池セル及び第2電池セルを支持することに用いられ、前記中空チャンバーを有する底壁を含む、請求項6に記載の電池。
【請求項8】
少なくとも1つの前記壁は、前記第1電池セル及び/又は第2電池セルからの排出物が少なくとも1つの前記壁を通過して対応する前記排出チャンネルに入るように、前記第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構が作動するときに破壊されるように構成される、請求項6又は7に記載の電池。
【請求項9】
少なくとも1つの前記壁には第1貫通孔が設けられ、前記第1貫通孔は、前記第1電池セル及び/又は第2電池セルが作動するときに前記第1電池セル及び/又は第2電池セルからの排出物が前記第1貫通孔を介して対応する前記排出チャンネルに入るように、前記排出チャンネルと連通するように構成される、請求項6又は7に記載の電池。
【請求項10】
流体を収容して前記第1電池セル及び第2電池セルの温度を調節するための熱管理部材をさらに含み、前記熱管理部材は前記第1電池セル及び第2電池セルと、少なくとも1つの前記壁との間に設置され、前記熱管理部材は、前記流体を流出可能とするために、前記第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構が作動するときに破壊されるように構成される、請求項6~9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記熱管理部材には第2貫通孔が設けられ、前記第2貫通孔は、前記第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構が作動するときに前記第1電池セル及び/又は第2電池セルからの排出物が前記第2貫通孔を介して対応する前記排出チャンネルに入るように、前記排出チャンネルと連通するように構成される、請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記第2貫通孔は第1貫通孔を介して前記排出チャンネルと連通する、請求項11に記載の電池。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の電池を含み、前記電池は電気エネルギーを供給することに用いられる、装置。
【請求項14】
第1方向に沿って配列された第1電池セルと第2電池セルとを含む複数の電池セルを配置するステップであって、
前記第1電池セルは第1圧力解放機構を含み、前記第1圧力解放機構は、前記第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第1電池セルの内部圧力を解放することに用いら
れ、
前記第2電池セルは第2圧力解放機構を含み、前記第2圧力解放機構は、前記第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して前記第2電池セルの内部圧力を解放することに用いられる、ステップと、
排出チャンネルを配置するステップであって、前記排出チャンネルは前記第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構と対向して設置され、且つ前記排出チャンネルは、前記第1圧力解放機構が作動するとき、前記第1電池セルからの排出物を収集する、及び/又は、
前記第2圧力解放機構が作動するとき、前記第2電池セルからの排出物を収集するように構成される、ステップと、を含み、
前記第1電池セルのエネルギー密度は前記第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、且つ前記第1圧力解放機構の面積は前記第2圧力解放機構の面積よりも大きく
、
前記第1方向に沿って、前記第1圧力解放機構と前記第2圧力解放機構とはずれて設置され、
前記排出チャンネルは少なくとも2つ設置され、各前記排出チャンネルは互いに隔離して設置され、前記第1圧力解放機構及び前記第2圧力解放機構はそれぞれ異なる前記排出チャンネルと対向して設置される、電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はエネルギー貯蔵の技術分野に関し、特に電池、装置、電池の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ・排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵である。このような場合、電気自動車は、省エネルギーと環境保護の長所により、自動車産業の持続可能な発展にとって重要なことである。電気自動車にとって、電池技術はその発展における1つの重要な要素である。電池技術の発展では、電池の性能の向上に加えて、安全性の問題も無視できない問題である。電池の安全性が確保できなければ、該電池は使用できない。従って、如何に電池の安全性を強化するかは、電池技術において解決すべき緊急の技術的課題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記問題に鑑み、本願の実施例は、電池の使用安全性を向上させるために、電池、装置、電池の製造方法及び電池の製造装置を提供する。
【0004】
上記目的を実現するために、本願の実施例は以下の技術的解決手段を提供する。
【0005】
本願の実施例の第1態様では、電池を提供し、
第1圧力解放機構を含む第1電池セルであって、第1圧力解放機構は、第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第1電池セルの内部圧力を解放することに用いられる、第1電池セルと、
第2圧力解放機構を含む第2電池セルであって、第2圧力解放機構は、第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第2電池セルの内部圧力を解放することに用いられる、第2電池セルと、を含み、
第1電池セルのエネルギー密度は第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、且つ第1圧力解放機構の面積は第2圧力解放機構の面積よりも大きい。
【0006】
従来技術に比べて、本願の実施例により提供される電池は以下の利点を有する。
【0007】
本願の実施例により提供される電池では、第1電池セルには第1圧力解放機構が設置され、それにより、第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セルは内部圧力を解放することができ、第2電池セルには第2圧力解放機構が設置され、それにより、第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第2電池セルも内部圧力を解放することができ、第1電池セルのエネルギー密度は第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、第1電池セルの熱的故障の故障反応は第2電池セルの熱的故障の故障反応よりも深刻であり、第1圧力解放機構の面積が第2圧力解放機構の面積よりも大きく限定されることにより、故障反応がより深刻な第1電池セルは面積が大きな第1圧力解放機構によって圧力をタイムリーで効果的に解放され、第1電池セルの急激な温度上昇を効果的に緩和し、さらに第1電池セルの熱的故障による連鎖反応の確率を効果的に低減させ、電池全体の使用安全性を向上させることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1圧力解放機構の面積A1と第2圧力解放機構の面積A2との比は、1.5≦A1/A2≦4を満たし、これによって、第1電池セルと第2電池セルの両方は圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、電池の使用安全性を向上させる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1電池セルのエネルギー密度E1と第2電池セルのエネルギー密度E2との比は、1.26≦E1/E2≦2.14を満たし、これによって、電池の使用安全性を確保するとともに、電池の容量を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1電池セルと第2電池セルはn個の第1電池セル、m個の第2電池セルの配列形態で交互に配置され、n≧、m≧1であり、これによって、エネルギー密度の異なる第1電池セルと第2電池セルとを間隔をおいて設置することで、熱拡散の広がりを遅くすることに有利であり、さらに電池の使用安全性を向上させる。
【0011】
いくつかの実施形態では、電池はさらに排出チャンネルを含み、排出チャンネルは第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構と対向して設置され、且つ排出チャンネルは、第1圧力解放機構が作動するときに第1電池セルからの排出物を収集する、及び/又は、第2圧力解放機構が作動するときに第2電池セルからの排出物を収集するように構成される。排出チャンネルを設置することによって、第1電池セル及び第2電池セルの内部圧力及び温度が閾値に達したとき、第1電池セル及び第2電池セルの内部圧力をタイムリーに解放することができ、さらに電池の安全性が向上する。
【0012】
いくつかの実施形態では、排出チャンネルは少なくとも2つ設置され、各排出チャンネルは互いに隔離して設置され、第1圧力解放機構及び第2圧力解放機構はそれぞれ異なる排出チャンネルと対向して設置され、第1電池セル及び第2電池セルの排出物はいずれも電池の外部にタイムリーで効果的に排出でき、且つ第1電池セル及び第2電池セルから排出された固体物質が排出チャンネルをブロックする可能性を効果的に低減させ、電池の使用安全性を向上させる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第1電池セルの第1圧力解放機構はそれぞれ異なる排出チャンネルと対向して設置され、これによって、異なる第1電池セルがそれぞれ異なる排出チャンネルを介して排出物を排出することは実現可能であり、さらに第1電池セルの排出物を電池の外部にタイムリーで効果的に排出するが可能になり、且つ、第1電池セルの熱的故障による隣接する第1電池セルの熱的故障の確率を効果的に低減させることができ、さらに熱的故障による連鎖反応を緩和し、電池の使用安全性を向上させることに有利である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2電池セルは少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第2電池セルの第2圧力解放機構はそれぞれ異なる排出チャンネルと対向して設置され、これによって、異なる第2電池セルがそれぞれ異なる排出チャンネルを介して排出物を排出することは実現可能であり、さらに第2電池セルの排出物が電池の外部にタイムリーで効果的に排出することが可能になり、且つ、第2電池セルの熱的故障による隣接する第2電池セルの熱的故障の確率を効果的に低減させることができ、さらに熱的故障による連鎖反応を緩和し、電池の使用安全性を向上させることに有利である。
【0015】
いくつかの実施形態では、電池はさらに筐体を含み、筐体は複数の壁を有し、複数の壁は第1電池セル及び第2電池セルを収容するための収容キャビティを画定することに用いられ、複数の壁のうちの少なくとも1つの壁は排出チャンネルを形成するための中空チャンバーを有する。筐体は収容キャビティ内に配置された第1電池セル及び第2電池セルを保護することに用いられ、筐体の複数の壁のうちの少なくとも1つの壁中に排出チャンネルを形成するための中空チャンバーが設けられており、これによって、第1電池セル及び第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セル及び第2電池セルの排出物が中空チャンバー内に排出され、これによって、第1電池セル及び第2電池セルの熱的故障の場合の排出物は電池の外部にタイムリーで効果的に排出することが可能になり、電池の使用安全性が向上する。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の壁は、第1電池セル及び第2電池セルを支持することに用いられ、中空チャンバーを有する底壁を含み、これによって、第1電池セル内の排出物が下方へ排出され、且つ圧力解放機構を通過して底部の中空チャンバーに入るとともに、第2電池セル内の排出物が下方へ排出され、且つ第2圧力解放機構を通過して底部の中空チャンバーに入り、電池のこの構成により、電池は、車両の電池収納部に配置されると、電池収納部の上方に位置する乗員室ではなく、車両の底部に排出物を排出し、これにより、電池の使用安全性がさらに向上する。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの壁は、第1電池セル及び/又は第2電池セルからの排出物が少なくとも1つの壁を通過して対応する排出チャンネルに入るように、第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構が作動するときに破壊されるように構成され、これによって、第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セルの第1圧力解放機構を作動させ、且つ第1電池セルの内部の排出物を排出する場合、及び/又は、第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第2電池セルの第2圧力解放機構を作動させ、且つ第2電池セルの内部の排出物を排出する場合、第1電池セル及び/又は第2電池セルから排出された排出物が筐体の少なくとも1つの壁に作用し、それにより、筐体の第1圧力解放機構に対向する部分及び/又は筐体の第2圧力解放機構に対向する部分が破壊され、筐体の中空チャンバーが第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構と連通し、このようにして、第1電池セル及び/又は第2電池セルの内部の排出物が排出チャンネルにタイムリーで効果的に排出されることが実現され、電池の使用安全性がさらに向上する。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの壁には第1貫通孔が設けられ、第1貫通孔は、第1電池セル及び/又は第2電池セルが作動するときに第1電池セル及び/又は第2電池セルからの排出物が第1貫通孔を介して対応する排出チャンネルに入るように、排出チャンネルと連通するように構成され、これによって第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セルの第1圧力解放機構を作動させ、且つ第1電池セルの内部の排出物を排出する場合、及び/又は、第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第2電池セルの第2圧力解放機構を作動させ、且つ第2電池セルの内部の排出物を排出する場合、第1電池セル及び/又は第2電池セルから排出された排出物が第1貫通孔を介して筐体の中空チャンバーに入り、第1電池セル及び/又は第2電池セルの内部の排出物が排出チャンネルにタイムリーで効果的に排出されることが実現され、電池の使用安全性がさらに向上する。
【0019】
いくつかの実施形態では、電池は、流体を収容して第1電池セル及び第2電池セルの温度を調節するための熱管理部材をさらに含み、熱管理部材は第1電池セル及び第2電池セルと少なくとも1つの壁との間に設置され、熱管理部材は、流体を流出可能とするために、第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構が作動するときに破壊されるように構成され、これによって、第1電池セル及び/又は第2電池セルの排出物は破壊された熱管理部材を介して排出チャンネル内に入り、且つ熱管理部材が破壊されたため、流体が流出可能になり、さらに流体で電池の内部温度を迅速に下げ、これは、熱的故障による連鎖反応を緩和し、電池の使用安全性を向上させることに有利である。
【0020】
いくつかの実施形態では、熱管理部材には第2貫通孔が設けられ、第2貫通孔は、第1圧力解放機構及び/又は第2圧力解放機構が作動するときに第1電池セル及び/又は第2電池セルからの排出物が第2貫通孔を介して対応する排出チャンネルに入るように、排出チャンネルと連通するように構成され、これによって、第1電池セル及び/又は第2電池セルから排出された排出物が第2貫通孔を介して排気チャンネル内に迅速且つスムーズに入ることができ、電池の使用安全性が向上する。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2貫通孔は第1貫通孔を介して排出チャンネルと連通し、これによって、第1電池セル及び/又は第2電池セルから排出された排出物が第2貫通孔を介して第1貫通孔に迅速且つスムーズに入り、さらに排気チャンネル内に入り、電池の使用安全性が向上する。
【0022】
本願の実施例の第2態様では、電気エネルギーを供給することに用いられる上記電池を含む装置を提供する。
【0023】
本願の装置は、上記電池で電気エネルギーを供給するため、第1圧力解放機構の面積が第2圧力解放機構の面積よりも大きく限定されることにより、故障反応がより深刻な第1電池セルは面積が大きな第1圧力解放機構によって圧力をタイムリーで効果的に解放され、第1電池セルの急激な温度上昇を効果的に緩和し、さらに第1電池セルの熱的故障による連鎖反応の確率を効果的に低減させ、電池全体の使用安全性を向上させることができる。
【0024】
本願の実施例の第3態様では、
第1電池セルを配置するステップであって、前記第1電池セルは第1圧力解放機構を含み、第1圧力解放機構は、第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第1電池セルの内部圧力を解放することに用いられる、ステップと、
第2電池セルを配置するステップであって、前記第2電池セルは第2圧力解放機構を含み、第2圧力解放機構は、第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第2電池セルの内部圧力を解放することに用いられる、ステップと、を含み、
第1電池セルのエネルギー密度は第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、且つ第1圧力解放機構の面積は第2圧力解放機構の面積よりも大きい、電池の製造方法を提供する。
【0025】
本実施例に係る電池の製造方法では、エネルギー密度が高い第1電池セル及びエネルギー密度が低い第2電池セルを配置し、且つ配置された第1電池セルの第1圧力解放機構及び面積が第2電池セルの第2圧力解放機構の面積よりも大きく限定されることにより、第1電池セル及び第2電池セルが熱的に故障したとき、第1電池セルの熱的故障の故障反応は第2電池セルの熱的故障の故障反応よりも深刻であっても、故障反応がより深刻な第1電池セルは面積が大きな第1圧力解放機構を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、また、第2電池セルは第2圧力解放機構を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、このように、第1電池セルの急激な温度上昇を効果的に緩和し、さらに第1電池セルの熱的故障による連鎖反応の確率を効果的に低減させ、電池全体の使用安全性を向上させることができる。
【0026】
本願の実施例の第4態様では、第1電池セル配置モジュールと、第2電池セル配置モジュールとを含む電池の製造装置を提供する。
【0027】
前記第1電池セル配置モジュールは、第1圧力解放機構を含む第1電池セルを配置することに用いられ、第1圧力解放機構は、第1電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第1電池セルの内部圧力を解放することに用いられ、
前記第2電池セル配置モジュールは、第2圧力解放機構を含む第2電池セルを配置することに用いられ、第2圧力解放機構は、第2電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第2電池セルの内部圧力を解放することに用いられ、
第1電池セルのエネルギー密度は第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、且つ第1圧力解放機構の面積は第2圧力解放機構の面積よりも大きい。
【0028】
本実施例に係る電池の製造装置では、第1電池セル配置モジュールによってエネルギー密度が高い第1電池セルを配置し、第2電池セル配置モジュールによってエネルギー密度が低い第2電池セルを配置し、且つ配置された第1電池セルの第1圧力解放機構の面積が第2電池セルの第2圧力解放機構の面積よりも大きく限定されることにより、第1電池セル及び第2電池セルが熱的に故障したとき、第1電池セルの熱的故障の故障反応は第2電池セルの熱的故障の故障反応よりも深刻であっても、故障反応がより深刻な第1電池セルは面積が大きな第1圧力解放機構を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、また、第2電池セルは第2圧力解放機構を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、このように、第1電池セルの急激な温度上昇を効果的に緩和し、さらに第1電池セルの熱的故障による連鎖反応の確率を効果的に低減させ、電池全体の使用安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】本願の実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
【
図3】本願の実施例に係る電池パックの構造模式図である。
【
図4】本願の実施例に係る電池の構造模式
図1である。
【
図6】本願の実施例に係る電池の構造模式
図2である。
【
図7】本願の実施例に係る電池セルの構造模式図である。
【
図8】本願の実施例に係る電池セルの正面図である。
【
図9】本願の実施例に係る電池セルの右側面図である。
【
図10】本願の実施例に係る電池セルの上面図である。
【
図11】本願の実施例に係る電池の爆発
図2である。
【
図12】本願の実施例に係る電池の構造模式
図3である。
【
図13a】本願の実施例に係る第1電池セルの構造模式図である。
【
図13b】本願の実施例に係る第2電池セルの構造模式図である。
【
図14】本願の実施例に係る電池の爆発
図3である。
【
図15】本願の一実施例に係る底壁の構造模式
図1である。
【
図16】本願の一実施例に係る底壁の構造模式
図2である。
【
図17】本願の一実施例に係る熱管理部材の構造模式図である。
【
図18】本願の他の実施例に係る底壁の構造模式
図1である。
【
図19】本願の他の実施例に係る底壁の構造模式
図2である。
【
図20】本願の他の実施例に係る熱管理部材の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
電池は化学エネルギーを電気エネルギーに転化するための装置であり、新エネルギー自動車、エネルギー貯蔵発電所などの分野に幅広く適用されている。
【0031】
従来の電池は、筐体と、筐体内に設置された複数の電池セルとを含み、複数の電池セルは直列及び/又は並列に接続される。複数の電池セルは第1電池セル及び第2電池セルを含み、第1電池セルのエネルギー密度は第2電池セルのエネルギー密度よりも大きく、第1電池セルには第1圧力解放機構が設置され、第1圧力解放機構は第1電池セルの内部のガスを放出することに用いられ、それにより、第1電池セルの使用安全性が確保され、第2電池セルには第2圧力解放機構が設置され、第2圧力解放機構は第2電池セルの内部のガスを放出することに用いられ、それにより、第2電池セルの使用安全性が確保される。
【0032】
しかしながら、本願の発明者が研究した結果、電池セルが熱的に故障したとき、第1電池セルの故障反応は第2電池セルの故障反応よりも深刻であり、すなわち、第1電池セルによる高温ガスは第2電池セルによる高温ガスよりも遥かに高温であり、このため、第1電池セルの温度がより上昇しやすく、さらに連鎖反応を引き起こし、第1電池セルの熱的故障を悪化させ、電池の安全性の問題を引き起こす。
【0033】
故障反応が深刻な第1電池セルは連鎖反応を引き起こし、電池の安全性の問題を引き起こすことを解決するために、本願は、電池、装置、電池の製造方法及び電池の製造装置を提供し、第1電池セルに第1圧力解放機構を設置し、第2電池セルに第2圧力解放機構を設置し、且つ第1圧力解放機構の面積を第2圧力解放機構の面積よりも大きく限定することにより、エネルギー密度が高い第1電池セルも、内部圧力又は温度が閾値に達したとき、面積が大きな第1圧力解放機構を介して内部圧力をタイムリーに解放することができ、さらに第1電池セルの急激な温度上昇を効果的に緩和し、第1電池セルの熱的故障による連鎖反応を効果的に低減させ、電池の使用安全性を向上させる。
【0034】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術的解決手段を明確で、完全に説明し、本願の実施例の上記目的、特徴及び利点を明確で理解しやすくする。明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要としない前提において得ることができるその他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0035】
本願の実施例は装置及び電池を提供し、本願に係る装置は電池を含み、電池は電気エネルギーを供給することに用いられ、本願に係る装置は、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電気自転車、電気自動車、船、宇宙機、電動玩具及び電動工具等であり、このうち、宇宙機は、例えば、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等であり、電動玩具は、例えば、固定式又は可動式の電動玩具を含み、具体的には、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船玩具及び電動飛行機玩具等であり、電動工具は、例えば、電動金属切削工具、電動粉砕工具、電動組立工具、電動鉄道工具を含み、具体的には、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動スパナ、電動ドライバ、電気ハンマー、突撃電動ドリル、コンクリートバイブレーター、及び電気プレーナーである。
【0036】
本願に記載の電池は、上記した電力消費装置に適用されることに制限されないが、説明の便宜上、以下の実施例は、全て電気自動車を例として説明する。
【0037】
図1は本実施例の車両1の簡素化された模式図である。車両1は燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型電気自動車等であってもよい。車両1の内部に電池11が設置されてもよく、具体的には、例えば、車両1の底部又は車頭又は車尾に電池11が設置されてもよい。電池11は車両1に給電することができ、例えば、電池は車両1の操作電源として機能してもよい。車両1はさらにコントローラ12及びモータ13を含んでもよく、コントローラ12は、例えば、電池11を制御してモータ13に給電させる。電池11は車両1の起動、ナビゲーション等に用いられてもよく、もちろん、電池11は車両1が進行するように駆動することに用いられてもよく、天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供する。
【0038】
本実施例に係る電池11は
図2に示される電池モジュール又は
図3に示される電池パック等であってもよく、電池モジュールと電池パックの基本的な構造ユニットは電池セルであり、複数の電池セルは電極端子を介して一体に直列接続及び/又は並列接続されて、さまざまな電力消費装置に適用されてもよい。電池モジュールは外部からの衝撃、熱や振動等から電池セルを保護することに用いられ、電池モジュールは一定の数の電池セルを一体に電気的に接続して1つのフレームに入れることによって得られる。電池パックは電気自動車に組み込まれた電池システムの最終状態である。従来の大部分の電池パックは1つ又は複数の電池モジュールに電池管理システム、熱管理部材等のさまざまな制御・保護システムを配置することによって得られる。技術の発展に伴って、電池モジュールというレベルのものは省略されてもよく、すなわち、電池パックは直接電池セルから形成してもよい。このように改良すると、電池システムの重量エネルギー密度、体積エネルギー密度が向上するとともに、部品の数が減少する。
【0039】
図2~
図6に示すように、本願の電池11は、第1電池セル111及び第2電池セル112を含み、第1電池セル111のエネルギー密度は第2電池セル112のエネルギー密度よりも大きく、第1電池セル111は第1圧力解放機構1111を含み、第1圧力解放機構1111は、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第1電池セル111の内部圧力を解放することに用いられ、第2電池セル112は第2圧力解放機構1121を含み、第2圧力解放機構1121は、第2電池セル112の内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第2電池セル112の内部圧力を解放することに用いられ、第1圧力解放機構1111の面積は第2圧力解放機構1121の面積よりも大きい。
【0040】
第1圧力解放機構1111は、第1電池セル111の内部圧力又は内部温度が所定の閾値に達したときに作動して内部圧力及び/又は内部物質を解放することのできる素子又は部材を指す。第1圧力解放機構1111は、具体的には、例えば、防爆弁、空気弁、圧力逃がし弁や安全弁等の形態を使用してもよく、具体的には、圧力感受性又は温度感受性の素子又は構造を使用してもよく、すなわち、第1電池セル111の内部圧力又は温度が所定の閾値に達したとき、第1圧力解放機構1111がモーションを実行するか又は第1圧力解放機構1111に設けられた弱い構造が破壊され、それにより、内部圧力を解放するための開口やチャンネルが形成される。
【0041】
理解できるものとして、第2圧力解放機構1121は、第2電池セル112の内部圧力又は内部温度が所定の閾値に達したときに作動して内部圧力及び/又は内部物質を解放することのできる素子又は部材を指す。第2圧力解放機構1121は、具体的には、例えば、防爆弁、空気弁、圧力逃がし弁又は安全弁等の形態を使用してもよく、且つ、具体的には、圧力感受性又は温度感受性の素子又は構造を使用してもよく、すなわち、第2電池セル112の内部圧力又は温度が所定の閾値に達したとき、第2圧力解放機構1121がモーションを実行するか又は第2圧力解放機構1121に設けられた弱い構造が破壊され、それにより、内部圧力を解放するための開口やチャンネルが形成される。
【0042】
本願に記載の閾値とは、圧力閾値又は温度閾値であってもよく、該閾値は設計ニーズに応じて設定され、例えば、該閾値は、危険又は暴走の危険性が存在すると考えられる第1電池セル111の内部圧力又は内部温度値に応じて設計又は決定されてもよく、且つ、該閾値は、例えば、第1電池セル111における正極板、負極板、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数に使用される材料によって決められることもあり、例えば、該閾値は、危険又は暴走の危険性が存在すると考えられる第2電池セル112の内部圧力又は内部温度値に応じて設計又は決定されてもよく、且つ、該閾値は、例えば、第2電池セル112における正極板、負極板、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数に使用される材料によって決められることもある。
【0043】
本願に言及された「作動」とは、第1圧力解放機構1111がモーションを実行するか又は一定の状態となるまで有効化されることで、第1電池セル111の内部圧力を解放可能とし、第2圧力解放機構1121がモーションを実行するか又は一定の状態となるまで有効化され、第2電池セル112の内部圧力を解放可能とすることを指す。第1圧力解放機構1111によるモーションは、第1圧力解放機構1111の少なくとも一部の破裂、破損、引き裂きや開きなどを含むが、それらに制限されない。第1圧力解放機構1111が作動するときに、第1電池セル111の内部の高温高圧物質が排出物として作動部位から外部へ排出される。このような方式では、圧力又は温度を制御しながら第1電池セル111の圧力を解放することができ、それにより、より重大な潜在的な事故が回避される。本願に言及された第1電池セル111からの排出物は、電解液、溶解又は分解された正負極板、セパレータの破片、反応による高温高圧気体、炎等を含むが、それらに制限されない。高温高圧排出物は第1電池セル111の第1圧力解放機構1111の設置方向へ排出され、具体的には、第1圧力解放機構1111の作動領域の方向へ排出され、この排出物の威力や破壊力が非常に大きい可能性があり、深刻な場合、該方向における1つ又は複数の部品を突き破るのにも十分である。同様に、第2圧力解放機構1121によるモーションは、第2圧力解放機構1121の少なくとも一部の破裂、破損、引き裂きや開きなどを含むが、それらに制限されない。第2圧力解放機構1121が作動するときに、第2電池セル112の内部の高温高圧物質が排出物として作動部位から外部へ排出される。このような方式では、圧力又は温度を制御しながら第2電池セル112の圧力を解放することができ、それにより、より重大な潜在的な事故が回避される。本願に言及された第2電池セル112からの排出物は、電解液、溶解又は分解された正負極板、セパレータの破片、反応による高温高圧気体、炎等を含むが、それらに制限されない。高温高圧排出物は第2電池セル112の第2圧力解放機構1121の設置方向へ排出され、具体的には、第2圧力解放機構1121の作動領域の方向へ排出され、このような排出物の威力及び破壊力が非常に大きい可能性があり、深刻な場合、該方向の1つ又は複数の部品を突き破るのに十分である。
【0044】
本願の第1電池セル111及び第2電池セル112はリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等であってもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。第1電池セル111及び第2電池セル112は円筒体、扁平体、長方形又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれについても限定しない。第1電池セル111及び第2電池セル112は、一般的に、包装方式によって、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルに分けられ、本願の実施例はこれについても限定しない。
【0045】
図7~
図10に示すように、第1電池セル111は、通常、電極組立体(図示せず)及び電解液(図示せず)を含み、電極組立体は正極板、負極板、正極板と負極板との間に介在されたセパレータで構成され、第1電池セル111は主に金属イオンが正極板と負極板との間に移動することにより稼働する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面にコーティングされ、集電体のうち正極活物質層がコーティングされていない部分は正極活物質層がコーティングされた部分から突出し、集電体のうち正極活物質層がコーティングされていない部分は正極タブとして機能する。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面にコーティングされ、集電体のうち負極活物質層がコーティングされていない部分は負極活物質層がコーティングされた部分から突出し、集電体のうち負極活物質層がコーティングされていない部分は負極タブとして機能する。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコーン等であってもよい。高電流が流れた場合にも溶断しないように、正極タブは複数であり、且つ一体に積層され、負極タブは複数であり、且つ一体に積層される。セパレータの材質はポリプロピレン(PPと略称)又はポリエチレン(PEと略称)等であってもよい。また、電極組立体は巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、電極組立体の数は1つ又は複数であってもよく、本願の実施例はこれについて特に制限しない。第1電池セル111はさらにケース1114を含み、電極組立体及び電解液はいずれもケース1114内に封入され、ケース1114は中空の長方形、立方体又は円柱体であってもよく、ケース1114の材質はアルミニウム又は鋼及びその合金であってもよく、プラスチック材質又はアルミニウムプラスチックフィルムであってもよい。ケース1114には正電極端子1112及び負電極端子1113がさらに設置され、正極タブは正電極端子1112と電気的に接続され、負極タブは負電極端子1113と電気的に接続され、それにより、電気エネルギーを出力することができる。ケース1114には上記第1圧力解放機構1111がさらに設置され、第1圧力解放機構1111はケース1114の任意の位置に設置されてもよく、例えば第1圧力解放機構1111はケース1114の最上部、底部又は側部に設置されてもよく、第1圧力解放機構1111は正電極端子1112と負電極端子1113との間に設置されてもよく、本願はこれについて特に制限せず、第1電池セル111の内部圧力を排出することを実現すればよい。
【0046】
理解できるものとして、第2電池セル112の構造と第1電池セル111の構造とは同じであるため、ここで詳細説明は省略する。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1電池セル111のエネルギー密度E1と第2電池セル112のエネルギー密度E2との比は、1.26≦E1/E2≦2.14を満たし、ここで、エネルギー密度とは、単位質量又は単位体積あたりの電池が出力したエネルギーを指し、すなわち重量エネルギー密度又は体積エネルギー密度であり、いくつかの実施形態では、第1電池セル111は例えば三元リチウム電池であり、具体的には、例えばニッケルコバルトマンガン酸リチウム電池又はニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム電池であり、第2電池セル112は例えばリン酸鉄リチウム電池又はコバルト酸リチウム電池である。ただし、第1電池セル111のエネルギー密度は第2電池セル112のエネルギー密度よりも大きく、通常、第1電池セル1115の熱的故障反応は第2電池セル112の故障反応よりも深刻であり、第1電池セル111及び第2電池セル112を同時に設置すると、熱的故障による連鎖反応の低減に有利であり、すなわち熱拡散の広がりを遅くすることに有利であり、電池11の使用安全性がさらに向上する。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1圧力解放機構1111の面積A1と第2圧力解放機構1121の面積A2との比は、1.5≦A1/A2≦4を満たし、これによって、第1電池セル111及び第2電池セル112の両方はエネルギーをタイムリーで効果的に解放して、電池の使用安全性を向上させる。
【0049】
本願の実施例により提供される電池11では、第1電池セル111に第1圧力解放機構1111が設置されることにより、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セル111は内部圧力を放出することができ、第2電池セル112に第2圧力解放機構1121が設置されることにより、第2電池セル112の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第2電池セル112も内部圧力を放出することができ、第1電池セル111のエネルギー密度は第2電池セル112のエネルギー密度よりも大きく、第1電池セル111の熱的故障の故障反応は第2電池セル112の熱的故障の故障反応よりも深刻であり、第1圧力解放機構1111の面積が第2圧力解放機構1121の面積よりも大きく限定されることにより、故障反応がより深刻な第1電池セル111は面積が大きな第1圧力解放機構1111を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、第1電池セル111が内部圧力をタイムリーに放出できないことに起因する連鎖反応の確率を効果的に低減させ、電池11全体の使用安全性を向上させる。
【0050】
本実施例の電池11では、第1電池セル111と第2電池セル112はn個の第1電池セル111、m個の第2電池セル112の配列形態で交互に配置され、n≧1、m≧1であり、且つn、mはいずれも整数である。
【0051】
ここで、nとmの値は同じであってもよく、異なってもよく、例えば、いくつかの実施形態では、
図2、
図4、及び
図5に示すように、nとmの値はいずれも1であり、すなわち、n=1、m=1であり、この場合、第1電池セル111と第2電池セル112は間隔をおいて一行又は一列に分布しており、すなわち、隣接する2つの第1電池セル111の間には1つの第2電池セル112が設置され、且つ隣接する2つの第2電池セル112の間には1つの第1電池セル111が設置され、また、例えば、いくつかの実施形態では、
図3に示すように、nとmの値はいずれも6であり、すなわち、n=6、m=6であり、この場合、6つの第1電池セル111と6つの第2電池セル112は分布ユニットを構成し、分布ユニットは3つであり、3つの分布ユニットの分布方向は
図3に示されるY軸方向に沿ったものであり、各分布ユニットの6つの第1電池セル111と6つの第2電池セル112は
図3に示されるX方向に沿って分布し、且つ隣接する2つの分布ユニットにおいて、第1電池ユニット111と第2電池セル112は互いにずらして分布しており、さらに、例えば、他のいくつかの実施形態では、
図11に示すように、nの値は2であり、mの値は2であり、すなわち、n=2、m=2であり、この場合、第1電池セル111と第2電池セル112は2つの第1電池セル111、2つの第2電池セル112のように2つずつ間隔をおいて一行又は一列に分布しており、すなわち、2つの第1電池セル111、2つの第2電池セル112で構成される分布ユニットは一行又は一列において繰り返して分布している。理解できるものとして、nの値とmの値は他の値であってもよく、ここで列挙されていない。
【0052】
図11に示すように、本願の電池11においては、いくつかの実施形態では、隣接する2つの第1電池セル111の間には第1断熱部材114がさらに設置され、1つの第1電池セル111が熱的に故障したとき、熱的に故障した第1電池セル111と隣接する第1電池セル111が熱的に故障することが第1断熱部材114によって効果的に阻止され得る。いくつかの実施形態では、隣接する第2電池セル112の間には第2断熱部材115がさらに設置され、1つの第2電池セル112が熱的に故障したとき、熱的に故障した第2電池セル112と隣接する第2電池セル112が熱的に故障することが第2断熱部材115によって効果的に阻止され得る。いくつかの実施形態では、隣接する第1電池セル111と第2電池セル112との間には第3断熱部材116がさらに設置され、1つの第1電池セル111が熱的に故障したとき、熱的に故障した第1電池セル111と隣接する第2電池セル112が熱的に故障することが第3断熱部材116によって効果的に阻止され得る、逆の場合にも同様である。いくつかの実施形態では、電池11は第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116はフォーム、ゴム、断熱綿、エアロゲル断熱パッドのうちの少なくとも1種であってもよい。いくつかの実施形態では、第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116は口字形枠の構造として構成されてもよく、さらに、第1断熱部材114、第2断熱部材115及び第3断熱部材116はさらに、口字形枠の中空部を充填するための充填部材も含み、充填部材は弾性を有し、フォーム、ゴム、断熱綿、エアロゲル断熱パッドから選択される少なくとも1種である。
【0053】
本願の実施例の電池11はさらに排出チャンネル117を含み、排出チャンネル117は第1圧力解放機構1111及び/又は第2圧力解放機構1121と対向して設置され、且つ排出チャンネル117は第1圧力解放機構1111が作動するときに第1電池セル111からの排出物を収集する、及び/又は、第2圧力解放機構1121が作動するときに第2電池セル112からの排出物を収集するように構成される。排出チャンネルを設置すると、第1電池セル111及び第2電池セル112の内部圧力及び温度が閾値に達したとき、第1電池セル111及び第2電池セル112の内部圧力をタイムリーに解放することができ、電池11の使用安全性がさらに高くなる。
【0054】
いくつかの実施形態では、排出チャンネル117は第1圧力解放機構1111と対向して設置され、且つ排出チャンネル117は第1圧力解放機構1111が作動するときに第1電池セル111からの排出物を収集するように構成され、いくつかの実施形態では、排出チャンネル117は第2圧力解放機構1121と対向して設置され、且つ排出チャンネル117は第2圧力解放機構1121が作動するときに第2電池セル112からの排出物を収集するように構成される。他のいくつかの実施形態では、
図4、
図5に示すように、排出チャンネル117は第1電池セル111の第1圧力解放機構1111及び第2電池セル112の第2圧力解放機構1121の両方と対向して設置され、排出チャンネル117は第1圧力解放機構1111及び第2圧力解放機構1121が作動するときに第1電池セル111及び第2電池セル112からの排出物を収集するように構成され、このため、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111は
図13aに示される中央の位置に設置され、同様に、第2電池セル112の第2圧力解放機構1121も中央の位置に設置される。
【0055】
図12に示される実施形態では、排出チャンネル117は少なくとも2つ設置され、各排出チャンネル117は互いに隔離して設置され、第1圧力解放機構1111及び第2圧力解放機構1121はそれぞれ異なる排出チャンネル117と対向して設置され、例示的には、第1電池セル111と第2電池セル112は一列に分布しており、第1電池セル111及び第2電池セル112の長さ及び幅は略同じであってもよく、厚さは同じであってもよく、異なってもよく、且つ第1電池セル111の第1圧力解放機構1111とその側辺との間の距離は第1電池セル111の幅の四分の一であり、第2電池セル112の第2圧力解放機構1121とその側辺との間の距離は第2電池セル112の幅の四分の一であり、且つ第1圧力解放機構1111と第2圧力解放機構1121は同一線上に設置されておらず、すなわち第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と第2電池セル112の第2圧力解放機構1121は第1電池セル111及び第2電池セル112の分布方向において千鳥状に設置され、これによって、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セル111の内部の排出物が排出チャンネル117の1つから排出され、第2電池セル112内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第2電池セル112の内部の排出物が排出チャンネル117の1つから排出され、このように、第1電池セル111及び第2電池セル112のいずれの排出物も電池11の外部にタイムリーで効果的に排出でき、電池11の使用安全性が向上する。
【0056】
もちろん、上記実施形態の代替実施形態では、
図13a、及び
図13bに示すように、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111とその側辺との間の距離は第1電池セル111の幅の二分の一であってもよく、第2電池セル112の第2圧力解放機構1121とその側辺との間の距離は第2電池セル112の幅の四分の一であってもよく、この場合、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と第2電池セル112の第2圧力解放機構1121も同一線上に設置されておらず、すなわち、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111第2電池セル112上の第2圧力解放機構1121は第1電池セル111及び第2電池セル112の分布方向において千鳥状に設置される。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1電池セル111は少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第1電池セル111の第1圧力解放機構1111はそれぞれ異なる排出チャンネル117と対向して設置され、これによって、異なる第1電池セル111がそれぞれ異なる排出チャンネル117を介して排出物を排出することは実現可能であり、それにより、第1電池セル111の排出物が電池11の外部にタイムリーで効果的に排出されることが可能になり、且つ、第1電池セル111の熱的故障による第2電池セル112の熱的故障を効果的に低減させることができ、さらに連鎖反応を遅くし、電池11の使用安全性を向上させる。
【0058】
他のいくつかの実施形態では、第2電池セル112は少なくとも2つ設置され、隣接する2つの第2電池セル112の第2圧力解放機構1121はそれぞれ異なる排出チャンネル117と対向して設置され、これによって、異なる第2電池セル112がそれぞれ異なる排出チャンネル117を介して排出物を排出することは実現可能であり、それにより、第2電池セル112の排出物が電池11の外部にタイムリーで効果的に排出されることが可能になり、且つ、第2電池セル112の熱的故障による第1電池セル111の熱的故障を効果的に低減させることができ、さらに連鎖反応を遅くし、電池11の使用安全性を向上させる。
【0059】
いくつかの実施形態では、
図5、及び
図14に示すように、電池11はさらに筐体113を含み、筐体113は複数の壁を有し、複数の壁は第1電池セル111及び第2電池セル112を収容するための収容キャビティを画定することに用いられ、複数の壁のうちの少なくとも1つの壁は排出チャンネル117となる中空チャンバーを有する。筐体113は密封されてもよく、密封されなくてもよい。具体的には、例えば、筐体113は最上部に位置する頂壁(図示せず)、下部に位置する底壁1131、及び底壁1131の周りに位置する側壁1132を含み、頂壁及び底壁1131はそれぞれ側壁1132の両端の開口箇所にカバーされ、側壁1132とともに収容キャビティを構成し、もちろん、側壁1132は4つのサブ側壁がエンドツーエンドで接続されたものであってもよく、一体式部材としてもよい。筐体113は収容キャビティ内に配置された第1電池セル111及び第2電池セル112を保護することに用いられ、筐体113の複数の壁のうちの少なくとも1つの壁中に排出チャンネル117を形成する中空チャンバーを設置することによって、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111及び第2電池セル112の第2圧力解放機構1121が対応する中空チャンバーと対向して設置されることを容易とし、それにより、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セル111の排出物が中空チャンバー中に排出されることが可能になり、第2電池セル112の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第2電池セル112の排出物が中空チャンバーに排出され、燃焼や爆発のリスクを効果的に低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。
【0060】
さらに、底壁1131は第1電池セル111及び第2電池セル112を支持することに用いられ、底壁1131は中空チャンバーを有し、このような場合、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と第2電池セル112の第2圧力解放機構1121はいずれも、それぞれのケース1114の底部に設置される。これによって、第1電池セル111内の排出物が下方へ排出され、且つ第1圧力解放機構1111を通過して底部の中空チャンバーに入り、第2電池セル112内の排出物が下方へ排出され、且つ第2圧力解放機構1121を通過して底部の中空チャンバーに入る。電池11のこのような配置形態により、電池11は、車両1の電池収納部11に配置されると、電池収納部11の上方に位置する乗員室ではなく、車両1の底部に排出物を排出し、これにより、電池11の使用安全性がさらに向上する。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1電池セル111及び第2電池セル112の排出物が排出チャンネル117にタイムリーで効果的に排出されることを容易にするために、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と第2電池セル112の第2圧力解放機構1121は対応する排出チャンネル117と連通するように構成される。第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と筐体113の排出チャンネル117が形成された中空チャンバーとの連通方式、及び第2電池セル112の第2圧力解放機構1121と筐体113の排出チャンネル117が形成された中空チャンバーの連通方式について、以下の2種の実施形態をもって説明し、ただし、以下の2種の実施形態は2種の実現可能な実施形態を例示的に示すものに過ぎず、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と中空チャンバーとの連通方式、及び第2電池セル112の第2圧力解放機構1121と中空チャンバーとの連通方式を限定するものではない。
【0062】
一実施形態では、電池11の筐体113の少なくとも1つの壁は、第1電池セル111からの排出物が少なくとも1つの壁を貫通して排出チャンネル117に入るように、第1圧力解放機構1111が作動するときに破壊されるように構成される。換言すれば、筐体113の少なくとも1つの壁には中空チャンバーが設置され、この壁は上記頂壁、底壁1131又は側壁1132であってもよく、且つ、筐体113の第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と対向する部分は第1圧力解放機構1111において完全な壁面を有し、すなわち、筐体113の第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と対向する部分は、第1圧力解放機構1111が作動しないときに中空チャンバーと連通する孔構造がない。しかしながら、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111を作動させ、且つ第1電池セル111の内部の排出物を排出する場合、第1電池セル111が排出された排出物が筐体113の少なくとも1つの壁に作用し、それにより、筐体113の第1電池セル111の圧力解放機構と対向する部分が破壊(破損又は破裂)され、筐体113の中空チャンバーの内部が第1圧力解放機構1111と連通し、このようにして、第1電池セル111の内部の排出物が排出チャンネル117にタイムリーで効果的に排出されることが実現される。同様に、電池11の筐体113の少なくとも1つの壁は、第2電池セル112からの排出物が少なくとも1つの壁を貫通して排出チャンネル117に入るように、第2圧力解放機構1121が作動するときに破壊されるように構成され、第2電池セル112の第2圧力解放機構1121と中空チャンネルとの連通方式は第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と中空チャンネルとの連通方式と同じであるため、ここで詳細説明は省略する。
【0063】
他の実施形態では、電池11の筐体113の少なくとも1つの壁には第1貫通孔1133が設けられ、この壁は上記頂壁、底壁1131又は側壁1132であってもよく、第1貫通孔1133は、第1圧力解放機構1111が作動するときに第1電池セル111からの排出物が第1貫通孔1133を介して排出チャンネル117に入るように、排出チャンネル117と連通するように構成され、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セル111の圧力解放機構を作動させ、且つ第1電池セル111の内部の排出物を排出する場合、第1電池セル111から排出された排出物が、第1貫通孔1133を介して筐体113の中空チャンバーの内部に入り、これによって、第1電池セル111の内部の排出物が排出チャンネル117にタイムリーで効果的に排出されることが実現される。同様に、電池11の筐体113の少なくとも1つの壁には第1貫通孔1133が設けられ、この壁は上記頂壁、底壁1131又は側壁1132であってもよく、第1貫通孔1133は、第2圧力解放機構1121が作動するときに第2電池セルからの排出物が第1貫通孔1133を介して排出チャンネル117に入るように、排出チャンネル117と連通するように構成され、第2電池セル112の第2圧力解放機構1121と中空チャンネルとの連通方式は第1電池セル111の第1圧力解放機構1111と中空チャンネルとの連通方式と同じであるため、ここで詳細説明は省略する。
【0064】
電池11は、流体を収容して第1電池セル111及び第2電池セル112の温度を調節するための熱管理部材118をさらに含み、熱管理部材118は第1電池セル111及び第2電池セル112と少なくとも1つの壁との間に設置され、熱管理部材118を設置することにより、第1電池セル111及び第2電池セル112の温度を調節することが実現され、さらに第1電池セル111及び第2電池セル112はより効率的で安全に充放電することが可能になる。ここでの流体は液体又はガスであってもよく、温度を調節することは第1電池セル111及び第2電池セル112を加熱又は冷却することを指す。第1電池セル111及び第2電池セル112に対して冷却又は降温を行う場合、該熱管理部材118は冷却流体を収容して第1電池セル111及び第2電池セル112の温度を下げることに用いられ、この場合、熱管理部材118は冷却部材、冷却システム又は冷却板等とも呼称され、それに収容された流体は冷却媒体又は冷却流体とも呼称され、具体的には、クーラント又は冷却ガスと呼称される。また、熱管理部材118は加熱流体を収容して電池セル111を加熱することにも用いられ、本願の実施例はこれについて限定しない。選択可能に、流体は、より高い温度調節効果を実現するために循環して流れたものであってもよい。選択可能に、流体は水、水とエチレングリコールとの混合液や空気等であってもよい。
【0065】
ここで、熱管理部材118は、流体が流出できるように、第1圧力解放機構1111及び/又は第2圧力解放機構1121が作動するときに破壊(破損又は破裂)されるように構成される。すなわち熱管理部材118は第1電池セル111及び第2電池セル112の内部圧力又は温度が閾値に達して高温高圧気体を排出する必要がある場合、第1電池セル111及び第2電池セル112から排出された排出物による作用を受けて破壊され、第1電池セル111及び第2電池セル112の排出物は破壊された熱管理部材118を介して排出チャンネル117(すなわち筐体113の中空チャンバー)に入ることができる。さらに、熱管理部材118が破壊されることで、流出したクーラントのような流体が大量の熱を吸収してガス化するため、電池11の内部の温度を迅速に下げることが可能になり、熱的故障による連鎖反応を緩和し、電池11の使用安全性を向上させることに有利である。
【0066】
例示的には、
図5、
図14に示すように、熱管理部材118は例えば水冷板であり、水冷板内には流体チャンネルが設置され、流体チャンネルの一端には給水口が形成され、水チャンネルの他端には排水口が形成され、第1電池セル111及び第2電池セル112は通常動作するとき、水冷板内の水温を調節することにより、第1電池セル111及び第2電池セル112の環境温度を調節し、第1電池セル111及び第2電池セル112を合理的な温度範囲内で充放電させ、電池11の充電効率及び放電効率を向上させる。第1電池セル111が熱的に故障したか、又は第2電池セル112が熱的に故障したか、又は第1電池セル111及び第2電池セル112の両方が熱的に故障したとき、第1電池セル111及び第2電池セル112が放出した内部圧力により水冷板が破損され、水冷板の内部の水が気化し、第1電池セル111及び第2電池セル112が放出した高温ガスの熱が吸収され、これにより、第1電池セル111及び第2電池セル112の燃焼や爆発の確率をさらに低減させ、電池11の使用安全性を向上させる。選択可能に、熱管理部材118には第2貫通孔1181が設けられ、第2貫通孔1181は、第1圧力解放機構1111及び/又は第2圧力解放機構1121が作動するときに第1電池セル111及び/又は第2電池セル112からの排出物が第2貫通孔1181を介して対応する排出チャンネル117に入るように、排出チャンネル117と連通するように構成される。選択可能に、第2貫通孔1181は第1電池セル111に設置された第1圧力解放機構1111の面積以上であり、及び/又は、第2電池セル112に設置された第2圧力解放機構1121の面積以上であるように構成されてもよい。これによって、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第1電池セル111の第1圧力解放機構1111を作動させ、且つ第1電池セル111の内部の排出物を排出する場合、第1電池セル111から排出された排出物が、第2貫通孔1181を介して排気チャンネル117(すなわち筐体113の中空チャンバー)に迅速且つスムーズに入ることができ、第1電池セル111の内部の排出物が排出チャンネル117にタイムリーで効果的に排出されることが実現される。同様に、第2電池セル112の内部圧力又は温度が閾値に達したとき、第2電池セル112の第2圧力解放機構1121を作動させ、且つ第2電池セル112の内部の排出物を排出する場合、第2電池セル112から排出された排出物は第2貫通孔1171を介して排気チャンネル117(すなわち筐体113の中空チャンバー)に迅速且つスムーズに入ることができ、第2電池セル112の内部の排出物が排出チャンネル117にタイムリーで効果的に排出されることが実現される。さらに、筐体113の少なくとも1つの壁には第1貫通孔1133が設けられ、第1貫通孔1133は排出チャンネル117と連通するように構成される場合、第2貫通孔1181は第1貫通孔1133を介して排出チャンネル117と連通し、第1電池セル111及び/又は第2第2電池セル112から排出された排出物は、順に第2貫通孔1181及び第1貫通孔1133を介して排気チャンネル117(すなわち筐体113の中空チャンバー)に入り、これによって、第1電池セル111及び第2電池セル112の内部の排出物が排出チャンネル117にタイムリーで効果的に排出されることが実現される。ただし、上記実施形態では、第2貫通孔1181は第1貫通孔1133と1対1で対応する必要があり、例示的には、
図15の底壁1131には2つの排出チャンネル117が設置され、
図16の底壁1131には2つの排出チャンネル117と連通する複数の第1貫通孔1133が設置され、このような場合、
図17の熱管理部材118には第1貫通孔1133と1対1で対応する複数の第2貫通孔1181が設置される。例示的には、
図18の底壁1131には1つの排出チャンネル117が設置され、
図19の底壁1131には1つの排出チャンネル117と連通する複数の第1貫通孔1133が設置され、このような場合、
図20の熱管理部材118には第1貫通孔1133と1対1で対応する複数の第2貫通孔1181が設置される。
【0067】
以上は
図1~
図20を参照しながら本願の実施例の電池11について説明しており、以下、本願の実施例の電池11の製造方法及び機器について説明し、ここで詳細に説明されていない部分は上記各実施例を参照すればよい。
【0068】
本実施例は、
第1電池セル111を配置するステップであって、第1電池セル111は第1圧力解放機構1111を含み、第1圧力解放機構1111は、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第1電池セル111の内部圧力を解放することに用いられる、ステップと、
第2電池セル112を配置するステップであって、第2電池セル112は第2圧力解放機構1121を含み、第2圧力解放機構1121は、第2電池セル112の内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第2電池セル112の内部圧力を解放することに用いられる、ステップとを含み、
第1電池セル111のエネルギー密度は第2電池セル112のエネルギー密度よりも大きく、且つ第1圧力解放機構1111の面積は第2圧力解放機構1121の面積よりも大きい、電池の製造方法を提供する。
【0069】
本実施例に係る電池の製造方法は、エネルギー密度が高い第1電池セル111及びエネルギー密度が低い第2電池セル112を配置し、且つ配置された第1電池セル111の第1圧力解放機構1111の面積が第2電池セル112の第2圧力解放機構1121の面積よりも大きく限定されることにより、第1電池セル111及び第2電池セル112が熱的に故障したとき、第1電池セル111の熱的故障の故障反応は第2電池セル112の熱的故障の故障反応よりも深刻であっても、故障反応がより深刻な第1電池セル111は面積が大きな第1圧力解放機構1111を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することでき、また、第2電池セル112は第2圧力解放機構1121を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、このように、第1電池セル111の急激な温度上昇を効果的に緩和し、さらに第1電池セル111の熱的故障による連鎖反応の確率を効果的に低減させ、電池11全体の使用安全性を向上させる。
【0070】
本願の実施例は、第1電池セル配置モジュールと、第2電池セル配置モジュールと、を含み、
前記第1電池セル配置モジュールは、第1電池セル111を配置することに用いられ、第1電池セル111は第1圧力解放機構1111を含み、第1圧力解放機構1111は、第1電池セル111の内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第1電池セル111の内部圧力を解放することに用いられ、
前記第2電池セル配置モジュールは、第2電池セル112を配置することに用いられ、第2電池セル112は第2圧力解放機構1121を含み、第2圧力解放機構1121は、第2電池セル112の内部圧力又は温度が閾値に達したときに作動して第2電池セル112の内部圧力を解放することに用いられ、
第1電池セル111のエネルギー密度は第2電池セル112のエネルギー密度よりも大きく、且つ第1圧力解放機構1111の面積は第2圧力解放機構1121の面積よりも大きい、電池の製造装置を提供する。
【0071】
本実施例に係る電池の製造装置は、第1電池セル配置モジュールによってエネルギー密度が高い第1電池セル111を配置し、第2電池セル配置モジュールによってエネルギー密度が低い第2電池セル112を配置し、且つ配置された第1電池セル111の第1圧力解放機構1111の面積が第2電池セル112の第2圧力解放機構1121の面積よりも大きく限定されることにより、第1電池セル111及び第2電池セル112が熱的に故障したとき、第1電池セル111の熱的故障の故障反応は第2電池セル112の熱的故障の故障反応よりも深刻であっても、故障反応がより深刻な第1電池セル111は面積が大きな第1圧力解放機構1111を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、また、第2電池セル112は第2圧力解放機構1121を介して圧力をタイムリーで効果的に解放することができ、このように、第1電池セル111の急激な温度上昇を効果的に緩和し、さらに第1電池セル111の熱的故障による連鎖反応の確率を効果的に低減させ、電池11全体の使用安全性を向上させる。
【0072】
本実施例に係る電池の製造装置は、上記実施例の電池の製造方法に適用されてもよく、すなわち、上記実施例の電池の製造方法は、具体的には、本実施例の電池の製造装置を用いて実施可能である。
【0073】
以上のとおり、本願に係る電池11、装置、電池の製造方法及び電池の製造装置では、エネルギー密度が高い第1電池セル111の第1圧力解放機構1111の面積が、エネルギー密度が低い第2電池セル112の第2圧力解放機構1121の面積よりも大きく限定されることにより、第1電池セル111と第2電池セル112の両方が圧力をタイムリーで効果的に解放することを可能とし、電池11全体の使用安全性を向上させる。
【0074】
本明細書における各実施例又は実施形態は漸進的に説明され、各実施例においてその他の実施例との違いが焦点として説明され、各実施例間の同一又は類似の部分は互いに参照すればよい。
【0075】
本明細書の説明において、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例示的な実施形態」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等の用語は実施形態又は例を参照しながら説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な記載は必ずしも同じ実施形態又は例を指すことではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は任意の1つ又は複数の実施形態又は例において適切な方式で組み合わせられてもよい。
【0076】
なお、以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するものに過ぎず、それを制限するものではなく、上記各実施例を参照しながら本願を詳細に説明したが、当業者は、上記各実施例に記載された技術的解決手段を修正したり、技術的特徴の一部又は全部に対して等価物への置換を行ったりすることができ、それらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させない。
【符号の説明】
【0077】
1-車両
11-電池
111-第1電池セル
1111-第1圧力解放機構
1112-正電極端子
1113-負電極端子
1114-ケース
112-第2電池セル
1121-第2圧力解放機構
113-筐体
1131-底壁
1132-側壁
1133-第1貫通孔
114-第1断熱部材
115-第2断熱部材
116-第3断熱部材
117-排出チャンネル
118-熱管理部材
1181-第2貫通孔
12-コントローラ
13-モータ