(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】鋳造中の金属レベルの監視のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B22D 11/16 20060101AFI20250430BHJP
B22D 11/18 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
B22D11/16 104H
B22D11/18 B
(21)【出願番号】P 2023504322
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(86)【国際出願番号】 US2021042952
(87)【国際公開番号】W WO2022020708
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-09
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】マッカラム,ジョン ロバート バスター
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-099255(JP,A)
【文献】特開2002-248547(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132052(WO,A1)
【文献】特開昭61-132250(JP,A)
【文献】特開昭61-132254(JP,A)
【文献】特開平08-226844(JP,A)
【文献】米国特許第3838727(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を監視するためのシステムであって、
溶融金属を受け入れるための開口部を規定する金型壁を含む金型と、
前記開口部に配置されるピンであって、前記ピン及び/または前記開口部が、前記ピンを前記開口部に対して下向きに移動させると、前記ピンと前記開口部との間の環が小さくなるように先細りして
おり、かつ前記ピン及び/または前記開口部が、前記溶融金属の流れの方向に対して垂直な方向からみたときに、互いに対して角度をなして延在する先細りの側壁を有している、ピンと、
金型壁の少なくとも一部を含む視野を有し、前記金型壁の前記一部に関連する光学データを取得するように構成されたカメラと、
メモリ内の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するように構成されたプロセッサを含むコントローラであって、前記プロセッサに、
前記金型壁の前記一部に関連する第1の光学データを取得することと、
前記第1の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属のレベルを決定することと、
を含むプロセッサ動作を行わせる、前記コントローラと、
を含み、
前記プロセッサ動作が、鋳造作業のための操作命令を生成することをさらに含み、
前記操作命令が、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を少なくとも調整するための命令を含む、システム。
【請求項2】
前記第1の光学データを取得することが、前記カメラの前記視野を変更することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記操作命令が、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルに少なくとも基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサ動作が、
前記金型壁の前記一部に関連する第2の光学データを受信することと、
前記第2の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを更新することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記金型壁の前記一部が、前記カメラに対して可視である指標を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記指標が、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定するのを補助するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記鋳造作業中に前記金型開口部内に前記溶融金属を堆積するように構成された樋をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部の高さを決定することを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記操作命令が、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を調整するための命令を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記金型内の前記溶融金属の前記レベルが、前記金型の底部から20~90mmの範囲にある、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ピンを、所定の時間間隔で上昇及び下降させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
金型を監視する方法であって、
金型開口部を規定する金型壁を備える金型を含む鋳造システムを使用する鋳造作業であって、溶融金属を前記金型開口部に流し込む前記鋳造作業を開始することと、
カメラを使用して、第1の金型壁の一部に関連する第1の光学データを取得することと、
前記第1の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属のレベルを決定することと、
前記決定することに基づいて、前記鋳造作業で使用するための1つまたは複数のコンポーネントの操作命令を生成することと、
を含み、
前記鋳造作業を調整することが、前記開口部に配置されたピンを上昇または下降させることで、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を変更することを含み、
前記ピン及び/または前記開口部が、前記ピンを前記開口部に対して下向きに移動させると、前記ピンと前記開口部との間の環が小さくなるように先細りして
おり、かつ
前記ピン及び/または前記開口部が、前記溶融金属の流れの方向に対して垂直な方向からみたときに、互いに対して角度をなして延在する先細りの側壁を有している、方法。
【請求項13】
前記カメラを使用して、第2の金型壁の第2の部分に関連する第2の光学データを取得することと、
前記第2の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを更新することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の金型壁と前記第2の金型壁とが異なる金型壁である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部の可視である高さを既知の高さと比較することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部に関連する前記第1の光学データと、前記溶融金属に関連する第2の光学データとを区別することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ピンを、所定の時間間隔で上昇及び下降させる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2020年7月23日出願の米国仮特許出願番号第62/705,948号「MONITORING Metal Level During Casting」の利益及び優先権を主張し、あらゆる目的でその全内容を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、一般的に、金属鋳造に関し、より具体的には、金属鋳造プロセスを監視するための関連するプロセス及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
溶融金属を金型に堆積させて金属インゴットを作成することができる。これらの金属インゴットは、例えば、直接チル(DC)鋳造または電磁鋳造(EMC)を使用して形成されてよい。DC鋳造では、通常、溶融金属は浅い水冷金型に注がれる。金型は、仮底を形成するために伸縮式油圧テーブルに取り付けられた底部ブロックを含み得る。底部ブロックは、溶融金属が金型内に堆積される前に、金型の底またはその近くに配置されてよい。溶融金属が金型内に堆積されると、溶融金属が金型キャビティを満たし、金型の外部及び下部が冷却されてよい。溶融金属は冷えて凝固し始め、溶融コアの周りに固体または半固体金属のシェルを形成し得る。底部ブロックが下降すると、追加の溶融金属が金型キャビティに供給され得る。
【0004】
鋳造プロセスの前、最中、及び後、金型及び金属インゴットは、1つまたは複数のセンサによって監視されてよい。例えば、金属レベルセンサは、金型内の溶融金属の高さを測定することができる。これらのセンサの多くは、金型内及び金型の周囲に配置され、インゴットまたは金型と物理的に接触している場合が多い。作業者が鋳造環境に入る、及びセンサがインゴットに接触するリスクを軽減するために、インゴットと接触しないシステムを使用して、鋳造環境の外から鋳造プロセスを監視することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0005】
実施形態及び類似の用語は、本開示及び以下の特許請求の範囲の主題のすべてを広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するものではなく、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものでもないと理解されるべきである。本明細書に含まれる本開示の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この概要は、本開示の様々な態様の高レベルの概要であり、以下の詳細な説明の項でさらに記載される概念の一部を紹介するものである。この概要は、特許を請求した主題の主要なまたは必須の特徴を特定することは意図しておらず、特許を請求した主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、本開示の明細書全体、任意もしくはすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本明細書の特定の例は、鋳造プロセス中に鋳造システムを監視するためのシステム及び方法を取り上げる。様々な例が、鋳造プロセス中に溶融金属を1つまたは複数の金型に堆積させる樋を含む鋳造システムを利用する。金型の少なくとも1つは、金型の上部と底部との間にわたる複数の側壁を有し得る。金型の上部と底部は開いており、開いた上部を通って樋によって溶融金属を堆積させ、凝固中の金属を開いた底部から排出させることができる。システムは、金型の少なくとも一部を含む視野を有する少なくとも1つのカメラを有する1つまたは複数のカメラを含み得る。例えば、1つまたは複数のカメラの視野は、金型の上部を含み得る。コンピュータシステムを使用して、金型内の金属のレベル、または底部ブロックと金属インゴットの一部との間の距離など、鋳造作業中の1つまたは複数のイベントを検出してよい。コンピュータシステムは、検出されたイベントの1つまたは複数に基づいて、適切なアクション及び/または警告を決定してよい。
【0007】
様々な例において、鋳造作業を監視するためのシステムが提供される。システムは、溶融金属を受け入れる開口部を規定する金型壁を有する金型と、鋳造作業中、溶融金属を金型開口部に堆積するように構成された樋と、金型壁の少なくとも一部を含む視野を有し、金型壁の一部に関連する光学データを取得するように構成されたカメラと、メモリの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するように構成されたプロセッサを含むコントローラとを含み得る。コントローラは、金型壁の一部に関連する光学データを受信することと、光学データに基づいて金型内の溶融金属のレベルを決定することとを含むプロセッサ動作をプロセッサに行わせてよい。
【0008】
様々な例において、金型を監視する方法が提供される。方法は、鋳造システムを使用して鋳造作業を開始することを含み得る。鋳造システムは、金型開口部を規定する金型壁を含む金型を含み得る。鋳造作業により、溶融金属を金型開口部に流し込むことができる。監視方法はまた、カメラを使用して、第1の金型壁の一部に関連する第1の光学データを取得することと、第1の光学データに基づいて、金型内の溶融金属のレベルを決定することとを含み得る。
【0009】
様々な例において、金型を監視するためのシステムが提供される。システムは、溶融金属を受け入れる開口部を規定する金型壁を含む金型と、金型壁の少なくとも一部を含む視野を有し、金型壁の一部に関連する光学データを取得するように構成されたカメラと、メモリの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するように構成されたプロセッサを含むコントローラとを含み得る。コントローラは、金型壁の一部に関連する第1の光学データを取得することと、第1の光学データに基づいて、金型内の溶融金属のレベルを決定することとを含むプロセッサ動作をプロセッサに行わせてよい。
【0010】
他の目的及び利点は、以下の非限定的な例の詳細な説明から明らかとなろう。
【0011】
本明細書は、以下の添付の図を参照しており、異なる図中での同様の参照番号の使用は、同様または類似の構成要素を示すことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】様々な実施形態による、鋳造環境を監視するためのシステムの図である。
【
図2】様々な実施形態による、
図1の監視システムの部分断面図である。
【
図3】様々な実施形態による、
図1の監視システムの部分上面図である。
【
図4】様々な実施形態による、
図1の監視システムと共に使用するためのコンピュータシステムの例を示す。
【
図5】様々な実施形態による、
図1の監視システムと共に使用するための鋳造システムの例の一部分を示す。
【
図6】様々な実施形態による、
図1の監視システムと共に使用するための鋳造システムの例の一部分の上面図を示す。
【
図7】様々な実施形態による、監視システムを使用するためのプロセスの例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「発明(invention)」、「発明(the invention)」、「この発明(this invention)」、及び「本発明(the present nvention)」は、本特許出願及び以下の特許請求の範囲の主題のすべてを広く指すことが意図されている。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載の主題を限定せず、または以下の特許請求の範囲の意味も範囲も限定しないことが理解されるべきである。本発明の実施形態の主題は、法定要件を満たすために具体性をもって本明細書に説明されているが、この説明は、必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図していない。特許を請求した主題は、他の方法で具現化されてよく、異なる要素もしくはステップを含んでよく、他の既存のまたは将来の技術と併せて使用されてよい。この説明は、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に記述されている場合を除き、多様なステップまたは要素の間で特定の順序または配置を意味するとして解釈されるべきではない。本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の意味は、文脈により明確に別段の指示がない限り、単数形及び複数形の言及を含む。
【0014】
本開示の特定の態様は、金属などの任意のタイプの材料での使用に適し得るが、本開示の特定の態様は、アルミニウムでの使用に特に適し得る。
【0015】
本明細書に開示されているすべての範囲は、それらに含まれる任意の及びすべての部分範囲を含むと理解されたい。例えば、記述された範囲「1~10」は、最小値「1」及び最大値「10」の間の(及びそれらを含む)任意の及びすべての部分範囲、つまり、最小値1以上(例えば、1~6.1)から始まり、最大値10以下(例えば、5.5~10)で終わるすべての部分範囲を含むと考えられるべきである。
【0016】
以下の例は、本発明をさらに説明するのに役立つが、同時に、そのいかなる限定も構成しない。これに対して、本明細書の説明を読んだ後、本発明の主旨から逸脱することなく、当業者が思い付き得る、様々な実施形態、それらの修正、及び均等物にも言及していると明確に理解されたい。
【0017】
図1は、特定の実施形態による、1つまたは複数の金型102及び関連するコンポーネントを含む鋳造環境を監視するための監視システム100を示す。監視システム100は、任意の数のコンポーネントを含み得るが、様々な実施形態では、監視システム100は、1つまたは複数の金型102の上に配置された樋104を含む。樋104は、溶融金属106を金型102に堆積させるための1つまたは複数の開口部を含み得る。溶融金属106は、鋳造プロセス中に冷えて固体または半固体のインゴット108になり得る。1つまたは複数のコンポーネントに関連する光学データを検出または取得するために、1つまたは複数のカメラ110が鋳造環境に配置されてよい。例えば、カメラ110は、溶融金属106に関連する光学データを取得してよい。光学データは、1つまたは複数の鋳造作業を監視するために、コンピュータシステム112を使用して処理されてよい。
【0018】
監視システム100を使用して、鋳造プロセスで使用される様々なコンポーネントを遠隔監視することができる。例えば、カメラ110などのカメラを使用して、鋳造環境及び/または鋳造部品を監視してよい。遠隔監視によって、ユーザが、鋳造環境の外に留まること、または、遠隔監視が無ければ必要とされるよりも短い時間だけ鋳造環境に入ることが可能になる。さらに、鋳造環境の複数の側面を同時に監視し得るため、追加の監視システムの必要が低減される。遠隔監視により、監視システム100の一部またはすべてを鋳造環境内の1つまたは複数の熱源からさらに離して配置することも可能になり得る。例えば、溶融金属106からの極度の熱にさらされ得る金型102の近くに検知装置を配置する代わりに、または金型102に検知装置を取り付ける代わりに、カメラ110は、金型102及び/または溶融金属106から離して、より涼しい環境に配置してよい。監視機器を熱源から離して配置すると、追加的または代替的に、修理や交換の回数が減り、時間とお金を節約し得る。
【0019】
金型102は、鋳造環境に配置されて、溶融金属106を金型開口部に受け入れてよい。金型102は、溶融金属106が冷えてインゴット108を形成する際の溶融金属106の熱に耐えることができる材料を含み得る。例えば、金型102はグラファイトを含み得る。金型102は、溶融金属106を受け入れて冷却するための任意の適切な形状または設計を有し得る。様々な実施形態において、金型102は、4つの金型壁と、溶融金属106を受け入れるための開いた上部と、インゴット108が出ることを可能にする開いた底部とを備えた長方形の断面を有し得る。一部の実施形態では、金型102は、直接チル鋳造で使用される金型102で一般的なように、インゴット108を形成するための底部ブロック114を含み得る、または底部ブロック114と協働し得る。底部ブロック114は、可動であっても静止していてもよい。一部の実施形態では、底部ブロック114は、伸縮式油圧テーブルに取り付けられた開始ヘッドであってよい。代替の実施形態では、金型102は、溶融金属106を鋳造するのに適した任意のタイプ及び形状であってよい。
【0020】
様々な実施形態において、金型102は、インゴット108を形成するために、溶融金属106の冷却を追加的または代替的に補助することができる。非限定的な例では、金型102は水冷金型である。例えば、金型102は、冷却のための空気、グリコール、または任意の適切な媒体のうちの1つまたは複数を使用する冷却システムを含み得る。様々な実施形態において、金型102は、金型壁の冷却を遅らせる加熱壁を有し得る(例えば、大野式連続鋳造機(OCC)金型が使用されてよい)。
【0021】
インゴット108は、溶融金属106が金型102の壁によって冷却されることによって形成されてよい。例えば、溶融金属106は、金型102に堆積され、凝固し始め、インゴット108を形成することができる。追加の溶融金属106が金型102の上部に追加され、インゴット108を長くする間、底部ブロック114を着実に下降させることができる。
【0022】
溶融金属106及び/またはインゴット108は、溶融温度に加熱することができる任意の金属または金属の組み合わせから形成されてよい。非限定的な例では、溶融金属106及び/またはインゴット108はアルミニウムを含む。様々な実施形態では、溶融金属106及び/またはインゴット108は、鉄、マグネシウム、または金属の組み合わせを含み得る。
【0023】
上述のように、溶融金属106は、金型に隣接して配置された1つまたは複数の樋104によって、1つまたは複数の金型102に堆積されてよい。樋104は、溶融金属106を1つまたは複数の金型102に堆積させるための1つまたは複数の開口部を含み得る。様々な実施形態において、樋104は、1つまたは複数の金型102の上に配置されてよく、1つまたは複数の開口部から1つまたは複数の金型102内に溶融金属106を堆積させてよい。樋104は、溶融金属106を収容及び分配するのに適した任意のサイズ及び形状であってよい。図示のように、樋104は、溶融金属106を収容するためのU字型チャネルを備えた長方形の形状を有する。一部の実施形態では、樋104は、溶融金属106を1つまたは複数の金型102に堆積させるための任意の適切なサイズ及び形状を有し得る。
【0024】
様々な実施形態では、樋104は、流量制御装置116を含み得る。流量制御装置116は、樋104から1つまたは複数の金型102への溶融金属106の流量を制御し得る。
図2に関して以下に説明するように、流量制御装置116は、1つまたは複数の金型102への溶融金属106の流れを制御するために開口部に配置されたピンを含み得る。
【0025】
1つまたは複数のカメラ110は、鋳造環境に配置されて、光学データを取得または検出することができる。様々な実施形態では、カメラ110は、1つまたは複数の金型102に関連する光学データを検出するように配置されてよい。カメラ110は、静止画像、動画、熱画像、赤外線画像、X線、または任意の適切な光学データを取得することができる光学系であってよい、またはそれらの光学系を含み得る。様々な実施形態において、カメラ110は、処理のために光学データをコンピュータシステム112に送信してよい。一部の実施形態では、カメラ110は、光学データの一部またはすべてをカメラによって処理することを可能にするコンポーネントであってよい、またはそれらのコンポーネントを含み得る。
【0026】
カメラ110は、金型102の少なくとも一部を含む視野118を有し得る。一部の実施形態では、カメラ110は、視野118を変更するために移動可能または再配置可能であってよい。例えば、カメラ110は、2つの隣接する金型102に関連する光学データを検出するために旋回してよい。カメラ110は、金型102の1つまたは複数に面して配置されてよい、または、そうでなければ、金型102の少なくとも一部を含む視野118を有し得る。様々な実施形態において、カメラ110は、金型102の上部の少なくとも一部を含む視野118を備えて、金型102より上に配置される。カメラ110は、追加的または代替的に、金型102の底部の少なくとも一部を含む視野を備えて、金型102より下に配置されてよい。
【0027】
様々な実施形態では、カメラ110は、鋳造環境、及び/または鋳造環境内または鋳造環境に隣接して配置された任意の適切なコンポーネントを含む視野118を有するように、任意の適切な向きに配置されてよい。例えば、カメラ110は、鋳造環境と、鋳造環境に配置された金型102の一部とを含む視野118を有し得る。カメラ110は、鋳造環境内に配置されてもよく、鋳造環境外に配置されてもよい。さらなる実施形態では、カメラ110の向きは、鋳造環境、及び/または鋳造環境内または鋳造環境に隣接して配置された任意の適切なコンポーネントを含むように調整可能である。
【0028】
監視システム100は、連動して動作する複数のカメラ110を含み得る。複数のカメラ110は、隣接または重複する視野118を有するように配置されてよい。例えば、2つのカメラ110は、金型102より上の異なる高さに取り付けられてよく、金型102の重なり合う視野118を有してよい。別の例として、各カメラ110が金型102の1つの側の一部の視野118を有するように、2つ以上のカメラ110が取り付けられてよい。各視野118を組み合わせて、金型102のある側全体または関心のある他の集合領域の画像を形成してよい。
【0029】
コンピュータシステム112は、カメラ110から光学データを受信してよい。コンピュータシステム112は、コンピュータ実行可能命令を実行するためのハードウェア及びソフトウェアを含み得る。例えば、コンピュータシステム112は、コンピュータ実行可能命令を実行するために、メモリ、プロセッサ、及びオペレーティングシステムを含み得る(
図4)。コンピュータシステム112は、有線接続または無線接続(例えば、ブルートゥース(登録商標))を介して他のデバイスと通信できるハードウェアまたはソフトウェアを有し得る。コンピュータシステム112は、流量制御装置116、カメラ110、または鋳造環境に関連する任意の他の適切なコンポーネントのうちの1つ、何らかの組み合わせ、またはすべてと通信してよい。
【0030】
様々な実施形態では、コンピュータシステム112は、単一の物理的場所にあってよい。例えば、コンピュータシステム112は、1つまたは複数の金型102と同じ製造施設に配置され、ローカル通信ネットワーク(例えば、Wi-Fiまたはブルートゥース(登録商標))を介してカメラ110と通信するハードウェア及びソフトウェアであってよい。一部の実施形態では、1つまたは複数のコンピュータシステム112は、複数の物理的な場所に配置されてよく、長距離通信(例えば、インターネット、電波、または衛星)を介してカメラ110と通信してよい。例えば、コンピュータシステム112は、任意の数のインターネット接続コンピューティングコンポーネントを含むクラウドコンピューティングシステムであってよい。
【0031】
コンピュータシステム112は、カメラ(複数可)110から光学データを受信するステップと、受信したデータを分析するステップと、鋳造作業のための操作命令を生成するステップとの実行を可能にすることができるハードウェア及びソフトウェアを含み得る。これらのステップの一部またはすべては、単一のコンピュータシステム112または複数のコンピュータシステムによって実行されてよい。
【0032】
様々な実施形態では、コンピュータシステム112は、鋳造作業の一部として、溶融金属106を金型102に堆積させるステップと、金型102に関連する光学データを取得するステップと、金型102内の溶融金属106のレベルを決定するステップと、溶融金属106のレベルをベースラインレベルと比較するステップと、鋳造作業のための操作命令を生成するステップとの実行を可能にすることができるハードウェア及びソフトウェアを含み得る。
【0033】
様々な実施形態では、コンピュータシステム112は、カメラ110から受信した光学データに基づいてユーザに警告することができる。例えば、コンピュータシステム112は、光学データに応答してアラームを作動してよい。アラームは、ベル、光、サイレン、ディスプレイ、スピーカ、またはユーザもしくはシステムの注意を引くことができる及び/またはユーザもしくはシステムに情報を伝達することができる任意の他の物体に対応し得る、またはそれらを含み得る。
【0034】
アラームの作動に加えて、またはその代わりに、他のアクションが促される場合がある。様々な実施形態において、1つまたは複数の金型102への溶融金属106の流れの変化は、アラームの作動と共に、または作動の代わりに導入されてよい。例えば、流量制御装置116は、金型102への溶融金属106の流量、量、または流れの他の特性を増加、減少、または他の方法で変更するように制御されてよい。様々な実施形態では、追加的または代替的に、警告を表示、記録、送信、または別の方法でユーザまたはシステムの別の態様に通信することができる(例えば、アラームの作動とは無関係であってよい、またはアラームの作動及び/または溶融金属106の流れの変更と併せて実行されてよい)。
【0035】
図2を参照すると、
図1の監視システム100の部分断面図を示す。監視システム100のこの部分は、金型102、カメラ110、及び樋104を含む。樋104は、樋から金型102に流れる溶融金属を制御するための流量制御装置116を含み得る。流量制御装置116は、開口部204に配置されたピン202を含み得る。ピン202は、ピンを開口部204に対して移動させるためのモータ206に取り付けられてよい。
【0036】
ピン202は、樋104の開口部204に配置されてよい。開口部204及び/またはピン202は、ピンを開口部に対して下向きに移動させると、ピンと開口部との間の環が小さくなるように先細りにされてよい。ピン202は、樋104からの溶融金属106の流れを調整するために上昇及び/または下降させることができる。例えば、ピン202を上昇させてピンと開口部204との間の環を大きくし、樋104から流れ込む溶融金属106を増加させることができる(例えば、実線で示すように)。さらに、ピン202を下降させてピンと開口部204との間の環を縮ませて、樋104から流れ込む溶融金属106の流れを減少及び/または止めることができる(例えば、破線で示すように)。
【0037】
ピン202は、モータ206によって上昇及び/または下降させることができる。様々な実施形態において、モータ206は、ピン202の自動的な上昇及び/または下降のためにコンピュータシステム112と通信してよい。様々な実施形態では、ピン202は手動で上昇及び/または下降させることができる。一部の例では、ピン202の手動上昇及び/または下降は、コンピュータシステム112によって促されてよい。一部の実施形態では、ピン202は、自動的に上昇及び/または下降して、金型102内の溶融金属106のレベルを閾値の範囲内に維持することができる。ピン202は、追加的または代替的に、インゴット108と底部ブロック114との間のギャップの検出に応答して、自動的に上昇及び/または下降してよい。さらに、ピン202は、金型の漏れ、金型の亀裂、金型のほこり、金型の錆、金型の位置ずれ、金型内の水分、金型内の金属、プラテンの係合、プラテンの位置、プラテンドリフト、及び/または冷却システムの故障のうちの1つまたは複数の検出に応答して、自動的に上昇及び/または下降してよい。
【0038】
様々な実施形態では、ピン202は、溶融金属106及び/または金型102の1つまたは複数の条件に基づいて、下降及び/または上昇させることができる(例えば、ピンを律動的に動かすことができる)。例えば、ピン202は、溶融金属106が金型102から引き離されることに応答して上昇及び下降してよい。一部の実施形態では、ピン202は、金型102への溶融金属106の流れを調整するために、時間間隔で上昇及び下降してよい。ピン202を律動的に動かすことにより、溶融金属106が金型102に流れ込み、金型102内の溶融金属の表面張力を乱すことがある。金型102内の溶融金属106の表面張力が乱れると、金型内の溶融金属の表面に沿って溶融金属がより容易に流れ得る。さらなる実施形態では、流量制御装置116は、追加的または代替的に、バルブ、ストップ、漏斗、または他の適切な構造を含み得る。
【0039】
図3を参照すると、カメラ110の視野118の例が示されている。視野118は、金型102の壁、溶融金属106、及び/またはインゴット108を含み得る。
図3の例に示すように、視野118は、金型102の1つの側(例えば、上面)及び金型102のその側の全周を含む。しかしながら、視野118は、金型102の周囲のサブ部分、複数の金型の一部、金型102の複数の側、または複数の金型の複数の側を含み得る。
【0040】
例として、視野118は、4つの象限(例えば、I、II、III、IV)に分割されているものとして示されている。しかしながら、視野118は、より多くのまたはより少ない象限を含み得る。単一のカメラ110は、4象限すべてを含む視野118を有し得る。しかしながら、単一のカメラ110は、単一の象限または象限のサブセットに対応する視野118を有し得る。追加的または代替的に、単一のカメラ110は、象限の組み合わせに対応する視野118を有し得る。一部の実施形態では、単一のカメラ110は、カメラ110が切り替えることができる複数の視野118(例えば、各象限は異なる視野118である)を有し得る。例えば、可動カメラ110は、カメラ110が金型102の上部の周りをパンすると、視野118の間で切り替わってよい。様々な実施形態では、象限は、インゴット108及び/または金型102上の位置の座標に対応するマークを含み得る。
【0041】
図4は、
図1に示す監視システム100と共に使用するためのコンピュータシステム400の例である。様々な実施形態では、コンピュータシステム400は、デジタル的に実装され、従来のコンピュータコンポーネントを使用してプログラム可能であるコントローラ410を含む。コントローラ410は、特定の例(例えば、
図1に示されるような機器を含む)に接続して使用されて、そのような例のプロセスを実行し得る。コントローラ410は、プロセッサ412を含み、プロセッサ412は、メモリ418内の有形のコンピュータ可読媒体(または、他の媒体の中でも特に、ポータブル媒体、サーバ、またはクラウド内の他の場所)に記憶されたコードを実行して、コントローラ410にデータを受信及び処理させ、アクションを実行させ、及び/または
図1に示されるような機器のコンポーネントを制御させる。コントローラ410は、データを処理し、産業機器を制御するなどのアクションを実行するための一連の命令であるコードを実行することができる任意のデバイスであってよい。非限定的な例として、コントローラ410は、デジタル的に実装された及び/またはプログラム可能なPIDコントローラ、プログラム可能な論理コントローラ、マイクロプロセッサ、サーバ、デスクトップもしくはラップトップパーソナルコンピュータ、ラップトップパーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス、及びモバイルデバイスの形態をとってよい。
【0042】
プロセッサ412の例は、任意の所望の処理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路、ステートマシン、または他の好適な回路を含む。プロセッサ412は、1つのプロセッサまたは任意の数のプロセッサを含み得る。プロセッサ412は、バス414を介してメモリ418に記憶されたコードにアクセスしてよい。メモリ418は、コードを有形に具現化するために構成された任意の非一時的コンピュータ可読媒体であってよく、電子、磁気、または光学デバイスを含み得る。メモリ418の例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、デジタルビデオデバイス、磁気ディスク、ASIC、構成されたプロセッサ、または他のストレージデバイスを含む。
【0043】
命令は、実行可能コードとしてメモリ418またはプロセッサ412に記憶されてよい。命令は、任意の適切なコンピュータプログラミング言語で書かれたコードからコンパイラ及び/またはインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令を含み得る。命令は、プロセッサ412によって実行されると、コントローラ410が監視システム100の様々なコンポーネントを監視及び制御することを可能にする、一連の設定点、パラメータ、及びプログラムされたステップを含むアプリケーションの形をとってよい。例えば、命令は、マシンビジョンアプリケーションのための命令を含み得る。
【0044】
図4に示すコントローラ410は、入出力(I/O)インタフェース416を含み、入出力(I/O)インタフェース416を通して、コントローラ410は、流量制御装置116またはカメラ110などのコンポーネントを含む、コントローラ410の外部のデバイス及びシステムと通信することができる。入出力(I/O)インタフェース416はまた、必要に応じて、他の外部ソースから入力データを受信してよい。このようなソースは、コントロールパネル、他の人間/機械インタフェース、コンピュータ、サーバ、または、他の機器、例えば、命令及びパラメータをコントローラ410に送信して、その性能及び動作を制御し得る、コントローラ410がアプリケーションで命令を実行して鋳造プロセスの様々なコンポーネントを監視するのを可能にするアプリケーションのプログラミングを記憶及び容易にし得る他の機器、ならびにコントローラ410がその機能を行うために必要または有用な他のデータソースを含み得る。このようなデータは、ネットワーク、ハードワイヤ、ワイヤレス、バス、またはその他の所望のものを介して、入出力(I/O)インタフェース416に通信されてよい。
【0045】
図5及び6を参照すると、様々な実施形態による、カメラ110の様々な視野118が示されている。
図5は、金型102、溶融金属106、インゴット108と、監視システム100の一部として使用され得る様々な視野118との等角図を示す。視野118は、単一のカメラ110のものであってもよいし、複数のカメラ110からのものであってもよい。視野118は、金型102の一部またはすべてを含み得る。例えば、視野118は、金型102の壁の一部(例えば、118A)、金型の壁(例えば、118B)、または金型の上部(例えば、118C)を含み得る。視野118により、金型の周りにセンサを配置する必要なく、金型102内の溶融金属106のレベルを監視することを可能にすることができる。例えば、従来の溶融金属レベルセンサは、金型102に取り付けられた物理的コンポーネントを有し得る、及び/または溶融金属106に接触し得る。金型102の周りに配置されたコンポーネントは、時間の経過とともに劣化し、交換または修理が必要となり、時間と費用がかかる場合がある。さらに、金型102の周りにセンサを配置するには、ユーザが鋳造環境に入ってセンサを配置する必要があることが多い。視野118を備えたカメラ110を使用することにより、金型及び/または溶融金属に接触する必要なく、溶融金属106のレベルを監視することが可能になり得る。さらに、溶融金属106のレベルは、ユーザが鋳造環境に入ることなく監視することができる。
【0046】
視野118は、マーク502、例えば印またはスケールを含む金型102の部分に配置されてよい。マーク502は、金型内の溶融金属106のレベルを決定するのを補助することができる。マーク502は、金型102の周りに配置された複数のカメラ110に対して可視である(例えば、
図6に示す上面図から)。金型102内の溶融金属106のレベルは、追加的または代替的に、金型102の上部506から決定されてよい。
【0047】
様々な実施形態では、視野118のうちの1つまたは複数は、調整されてよい。例えば、視野118は、金型102の第1の壁を含んでよく、金型の第2の壁の方に調整及び移動されてよい。さらに、視野118は、金型102の上部をある程度含むように調整されてよい。例えば、視野118は、金型102の複数の壁を含んでよく、金型の壁の一部、例えば、マーク502を含む部分を含むように調整されてよい。
【0048】
図6は、複数の視野118を含む金型102の上面図である。視野118は、
図5に示したものと同じであるが、視野118は、金型102に対するカメラ110の位置に応じて異なってよい。様々な実施形態において、マーク502は上面図で見ることができる。上面図の視野118を使用して、金型内の溶融金属106のレベルを決定することができる。例えば、コンピュータシステム112は、視野118のうちの1つまたは複数から受信した光学データに基づいて、金型内の溶融金属106の高さを決定することができる。様々な実施形態において、カメラ110は、複数の角度で配置されてよい(例えば、1つは
図5に示される角度であり、もう1つは
図6に示される角度である)。複数の角度で配置されたカメラ110を一緒に使用して、金型102内の溶融金属106の高さを決定してよい。
【0049】
図7を参照すると、監視システム100を使用するためのプロセス700の例を表すフローチャートが示されている。プロセス700(または、本明細書に記載される任意の他のプロセスもしくはその変形、及び/または組み合わせ)のうちの一部またはすべては、実行可能命令で構成される1つまたは複数のコンピュータシステムの制御下で実行されてよく、かつ、1つまたは複数のプロセッサ上で集合的に、ハードウェアによって、またはそれらの組み合わせによって実行するコード(例えば、実行可能命令、1つまたは複数のコンピュータプログラム、または1つまたは複数のアプリケーション)として実装されてよい。コードは、例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な複数の命令を含むコンピュータプログラムの形式で、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的であってよい。また、別段に指定のない限り、プロセスに示されている行為は、必ずしも示されている順序で実行されるわけではない、及び/または一部の行為は、実施形態において省略される場合がある。
【0050】
プロセス700は、702で、溶融金属106などの金属を、金型102などの1つまたは複数の金型に堆積させることを含み得る。溶融金属106は、本明細書に記載のように、樋104によって金型102内に堆積されてよい。樋104は、樋104の1つまたは複数の開口部を通して溶融金属106を金型102に堆積させることができる。金型102に入る溶融金属106の量または流量は、流量制御装置116を制御することによって調整されてよい。溶融金属106は、金型102の開口部を通って金型102に入ってよい。金型102に収容される溶融金属106は、金型102の1つまたはすべての壁に接触し得る。溶融金属106の温度は、金型102に入った後に低下し、溶融金属106は冷えて、固体または半固体のインゴット108になり得る。
【0051】
プロセス700は、704で、金型102に関連する光学データを受信することを含み得る。光学データは、カメラ110などのカメラを使用して取得または検出されてよい。カメラ110は、1つまたは複数の金型102を含む視野118を有し得る。様々な実施形態において、視野118は、金型102及び/またはマーク502の1つまたは複数の壁を含む。複数のカメラ110は、重なり合う視野118を有するように配置されてよい、単一のカメラが複数の視野を有してよい、または複数のカメラが個々の視野を有してよい。カメラ110は、金型102及び/または溶融金属106に関連する光学データを取得または検出するように配置されてよい。例えば、カメラ110は、金型102内の溶融金属のレベルに関連する光学データを取得してよい。コンピュータシステム112は、カメラ110及び/またはデータベースから光学データを受信してよい。例えば、コンピュータシステム112は、異なる金型に関連する光学データを含むデータベースから光学データを受信してよい。
【0052】
光学データは、カメラ110に対して可視である金型102の壁の高さを含み得る。マーク502は、金型102の壁の高さを測定するのを補助し得る。例えば、マーク502は、カメラ110によって検出され得る印及び/またはスケールを含み得る。マーク502は、金型102の壁の高さがどれだけ可視であるかの表示を含み得る。様々な実施形態において、金型102は、可視である金型102の壁の高さを検出するのを補助するテクスチャ及び/または設計を含み得る。例えば、金型102は、カメラ110によって検出可能な塗料を含み得る。
【0053】
プロセス700は、706で、金型102内の溶融金属106のレベルを決定することを含み得る。溶融金属106のレベルを決定することは、カメラ110によって取得された光学データを使用することを含み得る。しかし、溶融金属106のレベルは、データベースから受信したデータを使用して決定されてもよい。溶融金属106のレベルは、コンピュータシステム112を使用して決定されてよい。様々な実施形態において、金型内の溶融金属106のレベルは、金型102の壁の可視である高さを使用して決定されてよい。例えば、金型102の全高(例えば、金型の底部504から金型の上部506まで)が既知である場合、カメラ110に対して可視である高さを差し引いて、金型102内の溶融金属106のレベルを決定してよい。金型102内の溶融金属106のレベルは、マーク502を使用して決定することができる。例えば、マーク502は、溶融金属106のレベルを与えるためにコンピュータシステム112によって解釈され得る印(例えば、数字)を含み得る。
【0054】
プロセス700は、708で、溶融金属106のレベルをベースラインレベルと比較することを含み得る。ベースラインレベルは、溶融金属106が最適に留まるべき範囲であってよい。例えば、ベースラインレベルは、金型102の底部504から20mm~90mmの間の範囲(例えば、20mm、30mm、40mm、50mm、50mm、70mm、80mm、または90mm)であってよい。ただし、ベースラインレベルは、金型102の上部506及び/または底部504からの任意の適切なレベルまたは範囲であってよい。比較は、コンピュータシステム112によって行われてよい。コンピュータシステム112は、データベース及び/またはユーザ入力からベースラインレベルを受信してよい。ベースラインレベルは、金型、金属、鋳造の種類、または任意の適切な変数によって異なり得る。
【0055】
プロセス700は、710で、鋳造作業のための操作命令を生成することを含み得る。操作命令は、鋳造プロセスを変更するための命令を含み得る、または、変更を加えずに鋳造作業を続行するための命令を含み得る。操作命令は、金型102内の溶融金属106のレベルに基づいてよい。例えば、溶融金属106が金型102内のベースラインレベルを下回っていると判断された場合、例えば、流量制御装置116を操作することにより、樋104によって、より多くの溶融金属を追加することができる。操作命令は、コンピュータ操作命令、及び/またはユーザへの指示であってよい。例えば、溶融金属106がベースラインレベルの上限範囲を超えることに応答して、操作命令は、流量制御装置116に溶融金属の流れを停止させ、溶融金属の流れを止めたという警告をユーザに送るように指示することができる。様々な実施形態では、操作命令は、ユーザが行動を起こさなければコンピュータシステム112に命令を自動的に実行させる、ユーザに対する命令を含み得る。例えば、命令は、溶融金属106の流量を増加させるようにユーザに促すことができ、ユーザが指示を適時に実行しない場合、コンピュータシステム112は、溶融金属106の流量を自動的に増加させることができる。
【0056】
上記で引用されているすべての特許、刊行物、及び要約は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の説明のための態様を含む実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のためにのみ提示されており、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。多数の修正、適合、及びそれらの使用は、当業者には明らかであろう。
【0057】
(態様)
態様1は、金型を監視するためのシステムであって、溶融金属を受け入れる開口部を規定する金型壁を含む金型と、金型壁の少なくとも一部を含む視野を有し、前記金型壁の前記一部に関連する光学データを取得するように構成されたカメラと、メモリの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するように構成されたプロセッサを含むコントローラであって、前記金型壁の前記一部に関連する第1の光学データを取得することと、前記第1の光学データに基づいて、前記金型の前記溶融金属のレベルを決定することと、を含むプロセッサ動作を前記プロセッサに行わせる前記コントローラと、を含む前記システムである。
【0058】
態様2は、前記第1の光学データを取得することが、前記カメラの前記視野を変更することを含む、態様(複数可)1(または、個別にまたは組み合わせた任意の他の先行または後続の態様)のシステムである。
【0059】
態様3は、前記プロセッサ動作が、前記鋳造作業のための操作命令を生成することをさらに含む、態様(複数可)1(または個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)のシステムである。
【0060】
態様4は、前記操作命令が、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルに少なくとも基づく、態様(複数可)3(または個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)のシステムである。
【0061】
態様5は、前記操作命令が、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を少なくとも調整するための命令を含む、態様(複数可)3(または、個々にまたは組み合わせた任意の他の先行または後続の態様)のシステムである。
【0062】
態様6は、前記プロセッサ動作が、前記金型壁の前記一部に関連する第2の光学データを受信することと、前記第2の光学データに基づいて、前記金型の前記溶融金属の前記レベルを更新することと、をさらに含む、態様(複数可)1(または、個々にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)のシステムである。
【0063】
態様7は、前記金型壁の前記一部が、前記カメラに対して可視である指標を含む、態様(複数可)1(または、個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)のシステムである。
【0064】
態様8は、前記指標が、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルの決定を補助するように構成される、態様(複数可)7(または個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)のシステムである。
【0065】
態様9は、前記鋳造作業中に前記溶融金属を前記金型開口部に堆積させるように構成された樋をさらに含む、態様(複数可)1(または、個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)のシステムである。
【0066】
態様10は、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部の高さを決定することを含む、態様(複数可)9(または、個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)のシステムである。
【0067】
態様11は、前記操作命令が、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を調整するための命令を含む、態様(複数可)3(または、個別にまたは組み合わせた任意の他の先行または後続の態様)のシステムである。
【0068】
態様12は、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルが、前記金型の底部から20~90mmの範囲にある、態様(複数可)9(または、個別にまたは組み合わせた任意の他の先行または後続の態様)のシステムである。
【0069】
態様13は、金型を監視する方法であって、金型開口部を規定する金型壁を備える金型を含む鋳造システムを使用する鋳造作業であって、溶融金属を前記金型開口部に流し込む前記鋳造作業を開始することと、カメラを使用して、第1の金型壁の一部に関連する第1の光学データを取得することと、前記第1の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属のレベルを決定することと、を含む、前記方法である。
【0070】
態様14は、前記決定することに基づいて、前記鋳造作業と共に使用するための1つまたは複数のコンポーネントの操作命令を生成することをさらに含む、態様(複数可)13(または、個別にまたは組み合わせた任意の他の先行または後続の態様)の方法である。
【0071】
態様15は、前記鋳造作業を調整することが、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を変更することを含む、態様(複数可)14(または、個別にまたは組み合わせた任意の他の先行または後続の態様)の方法である。
【0072】
態様16は、前記カメラを使用して、第2の金型壁の第2の部分に関連する第2の光学データを取得することと、前記第2の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを更新することと、をさらに含む、態様(複数可)13(または個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)の方法である。
【0073】
態様17は、前記第1の金型壁と前記第2の金型壁が、異なる金型壁である、態様(複数可)16(または個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)の方法である。
【0074】
態様18は、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部の可視である高さを既知の高さと比較することを含む、態様(複数可)13(または個別にまたは組み合わせた任意の先行または後続の態様)の方法である。
【0075】
態様19は、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部に関連する前記第1の光学データと、前記溶融金属に関連する第2の光学データとを区別することを含む、態様(複数可)13(または任意の先行または後続の態様の個別または組み合わせ)の方法である。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]金型を監視するためのシステムであって、
溶融金属を受け入れるための開口部を規定する金型壁を含む金型と、
金型壁の少なくとも一部を含む視野を有し、前記金型壁の前記一部に関連する光学データを取得するように構成されたカメラと、
メモリ内の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するように構成されたプロセッサを含むコントローラであって、前記プロセッサに、
前記金型壁の前記一部に関連する第1の光学データを取得することと、
前記第1の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属のレベルを決定することと、
を含むプロセッサ動作を行わせる、前記コントローラと、
を含む、システム。
[2]前記第1の光学データを取得することが、前記カメラの前記視野を変更することを含む、上記[1]に記載のシステム。
[3]前記プロセッサ動作が、鋳造作業のための操作命令を生成することをさらに含む、上記[1]に記載のシステム。
[4]前記操作命令が、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルに少なくとも基づいている、上記[3]に記載のシステム。
[5]前記操作命令が、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を少なくとも調整するための命令を含む、上記[3]に記載のシステム。
[6]前記プロセッサ動作が、
前記金型壁の前記一部に関連する第2の光学データを受信することと、
前記第2の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを更新することと、
を含む、上記[1]に記載のシステム。
[7]前記金型壁の前記一部が、前記カメラに対して可視である指標を含む、上記[1]に記載のシステム。
[8]前記指標が、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定するのを補助するように構成される、上記[7]に記載のシステム。
[9]鋳造作業中に前記金型開口部内に前記溶融金属を堆積するように構成された樋をさらに含む、上記[1]に記載のシステム。
[10]前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部の高さを決定することを含む、上記[9]に記載のシステム。
[11]前記操作命令が、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を調整するための命令を含む、上記[3]に記載のシステム。
[12]前記金型内の前記溶融金属の前記レベルが、前記金型の底部から20~90mmの範囲にある、上記[9]に記載のシステム。
[13]金型を監視する方法であって、
金型開口部を規定する金型壁を備える金型を含む鋳造システムを使用する鋳造作業であって、溶融金属を前記金型開口部に流し込む前記鋳造作業を開始することと、
カメラを使用して、第1の金型壁の一部に関連する第1の光学データを取得することと、
前記第1の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属のレベルを決定することと、
を含む、方法。
[14]前記決定することに基づいて、前記鋳造作業で使用するための1つまたは複数のコンポーネントの操作命令を生成することをさらに含む、上記[13]に記載の方法。
[15]前記鋳造作業を調整することが、前記金型開口部への前記溶融金属の流量を変更することを含む、上記[14]に記載の方法。
[16]前記カメラを使用して、第2の金型壁の第2の部分に関連する第2の光学データを取得することと、
前記第2の光学データに基づいて、前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを更新することと、
をさらに含む、上記[13]に記載の方法。
[17]前記第1の金型壁と前記第2の金型壁とが異なる金型壁である、上記[16]に記載の方法。
[18]前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部の可視である高さを既知の高さと比較することを含む、上記[13]に記載の方法。
[19]前記金型内の前記溶融金属の前記レベルを決定することが、前記金型壁の前記一部に関連する前記第1の光学データと、前記溶融金属に関連する第2の光学データとを区別することを含む、上記[13]に記載の方法。