(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】内視鏡システム、内視鏡システムの制御方法および記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20250430BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
A61B1/00 655
A61B1/045 622
(21)【出願番号】P 2023576684
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2022045971
(87)【国際公開番号】W WO2023145285
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-07-23
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業」「外科手術のデジタルトランスフォーメーション:情報支援内視鏡外科手術システムの開発」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】高山 裕行
(72)【発明者】
【氏名】水谷 千春
(72)【発明者】
【氏名】荻本 浩人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 寛
(72)【発明者】
【氏名】北口 大地
(72)【発明者】
【氏名】古澤 悠貴
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0271603(US,A1)
【文献】特表2017-505202(JP,A)
【文献】特開2015-146981(JP,A)
【文献】特開2004-41778(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159155(WO,A1)
【文献】特開2020-18492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入され該被検体内の画像を取得する内視鏡と、
該内視鏡の位置および姿勢を変更する移動装置と、
少なくとも1つのプロセッサを有する制御装置と、を備え、
該制御装置が、
前記被検体内に挿入される処置具の位置または動きに関する処置具情報を取得し、
該処置具情報に基づいて
前記処置具が抜去されたことを判定し、
前記処置具が抜去されたと判定された場合に俯瞰モードを実行し、
該俯瞰モードにおいて、前記制御装置が、前記内視鏡および前記移動装置の少なくとも一方を制御することによって、前記被検体内の特定点を前記画像内に維持しながら該画像を自動的にズームアウトさせる、内視鏡システム。
【請求項2】
前記制御装置が、前記処置具情報に基づいて前記俯瞰モードを開始および終了する、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記移動装置を制御し前記内視鏡を前記特定点から離れる方向に移動させることによって前記画像をズームアウトさせる、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記内視鏡を制御し前記画像を光学的にズームアウトさせる、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記処置具情報を検出する処置具情報検出部をさらに備える、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記制御装置が、前記処置具情報検出部を備え、
該処置具情報検出部は、前記内視鏡によって取得された前記画像から前記処置具情報を検出する、請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記処置具情報検出部が、前記処置具の位置を検出するセンサを有する、請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記制御装置が、手動モードから前記俯瞰モードに切り替え、かつ/または、前記俯瞰モードから前記手動モードに切り替え、
前記手動モードにおいて、前記制御装置は、ユーザによる前記内視鏡の操作を許可する、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記制御装置が、追従モードから前記俯瞰モードに切り替え、かつ/または、前記俯瞰モードから前記追従モードに切り替え、
前記追従モードにおいて、前記制御装置は、前記処置具の位置に基づいて前記移動装置を制御することによって前記処置具に前記内視鏡を追従させる、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記俯瞰モードにおいて、前記制御装置は、前記移動装置および前記内視鏡の少なくとも一方を制御することによって、前記処置具が貫通するトロッカの先端に向かって前記内視鏡の視野を移動させる、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記特定点が前記画像内の周縁領域に到達したとき、または、前記処置具が貫通するトロッカの先端が前記画像内の中央領域に到達したときに、前記視野の移動を終了させる、請求項10に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記処置具情報が、前記画像内の前記処置具の有無、前記処置具が前記画像内に連続して存在しない消失時間の長さ、前記処置具の位置、速さおよび軌跡、ならびに、それらの組み合わせのいずれかを含む、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記処置具情報が、前記消失時間の長さ、前記処置具の前記速さおよび前記処置具の前記軌跡、ならびに、それらの組み合わせのいずれかであり、
前記制御装置は、前記処置具情報が所定の閾値を超えた場合に前記俯瞰モードを開始する、請求項12に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記処置具情報が、前記画像内の前記処置具の有無を含み、
前記制御装置は、前記画像内に前記処置具の存在が検出された場合に、前記俯瞰モードを終了する、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記画像内のトロッカの面積が所定の面積閾値に到達したときに前記ズームアウトを終了させる、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項16】
前記制御装置は、前記特定点から前記内視鏡の先端までの距離が所定の距離閾値に到達したときに前記ズームアウトを終了させる、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項17】
前記所定の距離閾値が、前記内視鏡の被写界深度の遠点に基づいて決定された第1閾値、前記画像の解像度に基づいて決定された第2閾値、および、前記内視鏡のステレオ計測の精度に基づいて決定された第3閾値の内、少なくとも1つを含む、請求項16に記載の内視鏡システム。
【請求項18】
内視鏡システムの制御方法であって、前記内視鏡システムが、被検体内に挿入され該被検体内の画像を取得する内視鏡と、該内視鏡の位置および姿勢を変更する移動装置と、を備え、
前記被検体内に挿入される処置具の位置または動きに関する処置具情報を取得すること、および、
該処置具情報に基づいて
前記処置具が抜去されたことを判定し、
前記処置具が抜去されたと判定された場合に俯瞰モードを実行することを含み、
該俯瞰モードにおいて、前記内視鏡および前記移動装置の少なくとも一方を制御することによって、前記被検体内の特定点を前記画像内に維持しながら該画像を自動的にズームアウトさせる、制御方法。
【請求項19】
請求項18に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための制御プログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システム、内視鏡システムの制御方法および記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、処置具の位置に基づいてロボットアームを制御することによって、内視鏡を処置具に自動的に追従させるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のシステムは、内視鏡の画像の中央に処置具を捉え続けるように、ロボットアームを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3Aに示されるように、処置具6による患部の処置中、内視鏡2は臓器Eの近くに配置される。この状態から処置具6を体内から抜去し体内に再挿入したときに、内視鏡の視野Fの外側に配置される再挿入の処置具は内視鏡の画像内に観察されない。したがって、術者は、再挿入された処置具を視認できない状態で操作しなければならない。そのため、特に、腹腔鏡下手術のように、揺動可能なトロッカ内を経由して処置具を挿入および抜去する場合、処置具を患部まで正確に再挿入することが難しい。
処置具を簡単に再挿入するためには、内視鏡を臓器から離間させ、体内を俯瞰視することが望ましい。しかし、俯瞰視するためには、処置具の再挿入の都度、術者等のユーザがロボットアームを操作する必要がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ユーザの操作を必要とすることなく処置具の容易な再挿入を支援することができる内視鏡システム、内視鏡システムの制御方法および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、被検体内に挿入され該被検体内の画像を取得する内視鏡と、該内視鏡の位置および姿勢を変更する移動装置と、少なくとも1つのプロセッサを有する制御装置と、を備え、該制御装置が、前記被検体内に挿入される処置具の位置または動きに関する処置具情報を取得し、該処置具情報に基づいて俯瞰モードを実行し、該俯瞰モードにおいて、前記制御装置が、前記内視鏡および前記移動装置の少なくとも一方を制御することによって、前記被検体内の特定点を前記画像内に維持しながら該画像を自動的にズームアウトさせる、内視鏡システムである。
【0007】
本発明の他の態様は、内視鏡システムの制御方法であって、前記内視鏡システムが、被検体内に挿入され該被検体内の画像を取得する内視鏡と、該内視鏡の位置および姿勢を変更する移動装置と、を備え、前記被検体内に挿入される処置具の位置または動きに関する処置具情報を取得すること、および、該処置具情報に基づいて俯瞰モードを実行することを含み、該俯瞰モードにおいて、前記内視鏡および前記移動装置の少なくとも一方を制御することによって、前記被検体内の特定点を前記画像内に維持しながら該画像を自動的にズームアウトさせる、制御方法である。
本発明の他の態様は、上記の制御方法をコンピュータに実行させるための制御プログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの操作を必要とすることなく処置具の容易な再挿入を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る内視鏡システムの全体構成図である。
【
図2】
図1の内視鏡システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3A】追従モードまたは手動モードにおける内視鏡の動作を説明する図である。
【
図3B】追従モードまたは手動モードにおける内視鏡の動作を説明する図である。
【
図3C】俯瞰モードにおける内視鏡の動作を説明する図である。
【
図3D】俯瞰モードにおける内視鏡の動作を説明する図である。
【
図3E】俯瞰モードにおける内視鏡の動作を説明する図である。
【
図4A】追従モードまたは手動モード中の画像の一例を示す図である。
【
図4B】処置具が抜去された後の追従モードまたは手動モード中の画像の一例を示す図である。
【
図4C】俯瞰モード中のズームアウトされた画像の一例を示す図である。
【
図5】内視鏡システムの制御方法のフローチャートである。
【
図6A】開始トリガを判定する第1の方法のフローチャートである。
【
図6B】開始トリガを判定する第2の方法のフローチャートである。
【
図6C】開始トリガを判定する第3の方法のフローチャートである。
【
図6D】開始トリガを判定する第4の方法のフローチャートである。
【
図7】終了トリガを判定する方法のフローチャートである。
【
図8】トロッカの内壁が写ったズームアウトされた画像を示す図である。
【
図9A】再挿入された処置具が写ったズームアウトされた画像の一例を示す図である。
【
図9B】再挿入された処置具が写ったズームアウトされた画像の他の例を示す図である。
【
図10A】内視鏡の視野の移動後のズームアウトされた画像の一例を示す図である。
【
図10B】内視鏡の視野の移動後のズームアウトされた画像の他の例を示す図である。
【
図11】終了トリガを判定する方法の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る内視鏡システム、内視鏡システムの制御方法および記録媒体について図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る内視鏡システム1は、内視鏡2および処置具6を被検体Aである患者の体内に挿入し、処置具6を内視鏡2によって観察しながら処置具6で患部等の対象部位を処置する手術に使用され、例えば、腹腔鏡下手術に使用される。処置具6は、例えば、高周波電流や超音波振動により、組織の切開および剥離、または血管の封止等を行うエネルギ処置具であるか、または、組織を把持するための鉗子である。ただし、左記の例はあくまで一例でありこれに限られず一般的に内視鏡下手術において用いられる各種の処置具が用いられてよい。
【0011】
図1および
図2に示されるように、内視鏡システム1は、被検体A内に挿入される内視鏡2と、内視鏡2を移動させる移動装置3と、表示装置4と、内視鏡2および移動装置3を制御する制御装置5とを備える。
図3Aから
図3Dに示されるように、内視鏡2および処置具6は、トロッカ7,8内をそれぞれ経由して被検体A内、例えば腹腔Bに挿入される。トロッカ7,8は、両端において開口する筒状の器具である。トロッカ7,8は、体壁に形成された穴C,Dをそれぞれ貫通し、ピボット点である穴C,Dの位置を支点にして揺動可能である。
【0012】
内視鏡2は、例えば斜視型の硬性鏡である。内視鏡2は、直視型であってもよい。内視鏡2は、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサのような撮像素子2aを有し、被検体A内の画像G(
図4Aから
図4C参照。)を取得する。撮像素子2aは、例えば内視鏡2の先端部に設けられた3次元カメラであり、ステレオ画像を画像Gとして撮像する。内視鏡2の対物レンズは、画像Gの倍率を光学的に変更するズームレンズ2bを有していてもよい。
画像Gは、内視鏡2から制御装置5を経由して表示装置4に送信され、表示装置4に表示される。表示装置4は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等の任意のディスプレイである。
【0013】
移動装置3は、多関節のロボットアームからなる電動ホルダ3aを備え、制御装置5によって制御される。内視鏡2は、電動ホルダ3aの先端部に保持され、電動ホルダ3aの動作によって内視鏡2の位置および姿勢が3次元的に変更される。なお、移動装置3は内視鏡2と必ずしも別体である必要はなく、内視鏡2の一部として一体に形成されてもよい。
【0014】
制御装置5は、内視鏡2、移動装置3および表示装置4に表示される画像Gを制御する内視鏡プロセッサである。
図2に示されるように、制御装置5は、少なくとも1つのプロセッサ5aと、メモリ5bと、記憶部5cと、入出力インタフェース5dとを備える。
制御装置5は、入出力インタフェース5dを経由して周辺機器2,3,4,9と接続され、画像Gおよび信号等を入出力インタフェース5dを経由して送受信する。
【0015】
記憶部5cは、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ、光ディスクまたはフラッシュメモリ等である。記憶部5cは、後述する制御方法をプロセッサ5aに実行させる制御プログラム5eと、プロセッサ5aの処理に必要なデータとを記憶している。
プロセッサ5aが実行する後述の処理の一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-On-A-Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはPLD(Programmable Logic C,Dvice)等の専用の論理回路やハードウェア等によって実現されてもよい。
【0016】
プロセッサ5aは、記憶部5cからRAM(Random Access Memory)等のメモリ5bに読み込まれた制御プログラム5eに従って、手動モード、追従モードおよび俯瞰モードを含む複数のモードのいずれかで内視鏡2および移動装置3の少なくとも一方を制御する。ユーザは、制御装置5に設けられたユーザインタフェース(図示略)を使用して、手動モードおよび追従モードの一方を選択することができる。
【0017】
手動モードは、術者等のユーザによる内視鏡2の操作を許可するモードである。手動モードにおいて、ユーザは、移動装置3と接続されたマスタ装置(図示略)を使用して内視鏡2を遠隔操作することができる。例えば、マスタ装置は、ボタン、ジョイスティックおよびタッチパネル等の入力デバイスを含み、プロセッサ5aは、マスタ装置からの信号に従って移動装置3を制御する。ユーザは、内視鏡2の基端部を手で直接把持し、内視鏡2を手動で移動させてもよい。
【0018】
追従モードは、制御装置5が内視鏡2を処置具6に自動的に追従させるモードである。追従モードにおいて、プロセッサ5aは、画像G内の処置具6を公知の画像認識技術を使用して認識し、処置具6の先端6aの3次元位置を画像Gを用いたステレオ計測によって取得し、先端6aの3次元位置と所定の目標点の3次元位置とに基づいて移動装置3を制御する。目標点は、内視鏡2の視野F内に設定された点であり、例えば、内視鏡2の先端2cから所定の観察距離Z1だけ離れた内視鏡2の光軸上の点である。これにより、
図4Aに示されるように、制御装置5は、先端6aが画像Gの中心に配置されるように処置具6に内視鏡2を追従させる。
【0019】
俯瞰モードは、制御装置5が内視鏡2および移動装置3の少なくとも一方を制御することによって画像Gを自動的にズームアウトさせ、被検体A内を俯瞰視するモードである。プロセッサ5aは、手動または追従モード中に処置具情報を取得し、処置具情報に基づいて俯瞰モードを自動的に開始および終了する。
【0020】
次に、プロセッサ5aが実行する制御方法について説明する。
図5に示されるように、制御方法は、手動モードまたは追従モードで内視鏡2および移動装置3を制御するステップS1と、処置具情報を取得するステップS2と、開始トリガを判定するステップS3と、俯瞰モードに切り替えるステップS4と、ズームアウトを開始させるステップS5と、終了トリガを判定するステップS7と、ズームアウトを終了するステップS8と、復帰トリガを判定するステップS6,S9と、手動モードまたは追従モードに切り替えるステップS10とを含む。
【0021】
プロセッサ5aは、ユーザインタフェースへのユーザの入力に基づき、追従モードおよび手動モードのいずれかで移動装置3および内視鏡2を制御する(ステップS1)。
図3Aから
図3Dに示されるように、追従モードまたは手動モードの間、ユーザは、処置具6の交換等のために、処置具6を被検体A内から抜去し、その後に被検体A内に再挿入することがある。
追従モードまたは手動モードの間、プロセッサ5aは、処置具6の位置または動きに関する処置具情報を繰り返し取得する(ステップS2)。プロセッサ5aは、処置具情報に基づいて、処置具6が抜去されたことを示す開始トリガを判定し(ステップS3)、開始トリガがONになったことに応答して俯瞰モードを開始する(ステップS4)。
【0022】
図6Aから
図6Dは、開始トリガの判定の例を説明している。
図6Aの第1の方法において、処置具情報は、画像G内の処置具6の有無であり、プロセッサ5aは、処置具6が画像G内に存在しないことを開始トリガとして検知する。具体的には、プロセッサ5aは、画像G内の処置具6を公知の画像認識技術を使用して認識する(ステップS2)。プロセッサ5aは、画像G内に処置具6が存在し認識された場合、開始トリガがOFFであると判定し(ステップS3のNO)、画像G内に処置具6が存在せず認識されなかった場合、開始トリガがONであると判定する(ステップS3のYES)。
【0023】
抜去時の処置具6の速さは、処置具6に追従する内視鏡2の速さと比較して速いので、抜去動作の途中で処置具6は画像Gから消失し、プロセッサ5aは内視鏡2を一時的に停止させる。したがって、抜去後には処置具6が存在しない画像Gが取得されるので、画像G内の処置具6の有無に基づいて抜去を検知することができる。
【0024】
第1の方法において、プロセッサ5aは、処置具6が画像G内に連続して存在しない消失時間を処置具情報として用いることが好ましい。この場合、プロセッサ5aは、消失時間が所定時間(閾値)以下である場合、開始トリガがOFFであると判定し(ステップS3のNO)、消失時間が所定時間を超えた場合、開始トリガがONであると判定する(ステップS3のYES)。
被検体A内で速く移動する処置具6に内視鏡2が追い付かないことが原因で、処置具6が被検体A内に存在するにも関わらず処置具6が画像G内から少しの間だけ消えることがある。消失時間が所定時間を超えか否かを判定することによって、抜去をより正確に検知することができる。
【0025】
図6Bの第2の方法において、処置具情報は、処置具6の速さであり、プロセッサ5aは、処置具6の速さが所定の速さ閾値αよりも大きいことを開始トリガとして検知する。具体的には、プロセッサ5aは、処置具6の速さを取得する(ステップS2)。プロセッサ5aは、速さが閾値α以下である場合、開始トリガがOFFであると判定し(ステップS3のNO)、速さが閾値αよりも大きい場合、開始トリガがONであると判定する(ステップS3のYES)。
抜去時の処置具6の速さは、抜去時以外の処置具6の速さよりもはるかに速い。したがって、速さに基づいて、処置具6の抜去を正確に検知することができる。
【0026】
図6Cの第3の方法において、処置具情報は、被検体A内において処置具6が移動した軌跡であり、プロセッサ5aは、処置具6が所定の軌跡に沿って移動したことを開始トリガとして検知する。具体的には、プロセッサ5aは、被検体A内での処置具6の位置を取得し(ステップS21)、取得された位置から処置具6の軌跡を算出し(ステップS22)、算出された軌跡の所定の軌跡との類似度を算出する(ステップS23)。プロセッサ5aは、類似度が所定の類似度閾値β以下である場合、開始トリガがOFFであると判定し(ステップS3のNO)、類似度が閾値βよりも大きい場合、開始トリガがONであると判定する(ステップS3のYES)。
抜去される処置具6は、トロッカ8によって規定される所定の軌跡に沿って後退する。したがって、処置具6の軌跡に基づいて、処置具6の抜去を正確に検知することができる。
【0027】
図6Dの第4の方法において、処置具情報は、処置具6の位置であり、プロセッサ5aは、処置具6の位置が被検体Aの外側であることを開始トリガとして検知とする。具体的には、プロセッサ5aは、被検体Aの内側および外側を含む3次元空間内での処置具6の位置を取得する(ステップS21)。プロセッサ5aは、処置具6の位置が被検体A内である場合、トリガがOFFであると判定し(ステップS3のNO)、処置具6の位置が被検体A外である場合、開始トリガがONであると判定する(ステップS3のYES)。
【0028】
このように、処置具情報は、画像G内の処置具6の有無、消失時間の長さ、ならびに、処置具6の速さ、軌跡および位置のいずれかを含む。これらの処置具情報は、画像Gを用いて検出されるか、または、処置具6の3次元位置を検出する任意のセンサ9を用いて検出される。
内視鏡システム1は、処置具情報を検出する処置具情報検出部をさらに備えていてもよい。処置具情報検出部は、制御装置5に設けられ画像Gから処置具情報を検出するプロセッサであってもよく、このプロセッサは、プロセッサ5aまたは他のプロセッサであってもよい。あるいは、処置具情報検出部は、センサ9であってもよい。
【0029】
開始トリガがOFFであると判定された場合(ステップS3のNO)、プロセッサ5aは、ステップS2~S3を繰り返す。
開始トリガがONであると判定された場合(ステップS3のYES)、プロセッサ5aは、追従モードまたは手動モードから俯瞰モードに切り替え(ステップS4)、続いて画像Gのズームアウトを開始させる(ステップS5)。
【0030】
ステップS5において、プロセッサ5aは、移動装置3および内視鏡2の少なくとも一方を制御することによって、被検体A内の特定点Pを画像G内に維持しながら画像Gをズームアウトさせる。
特定点Pは、開始トリガがONであると判定された時点において、視野F内の所定の点が配置される位置である。例えば、
図3Bに示されるように、特定点Pは、開始トリガがONであると判定された時点において目標点が配置される位置であり、
図4Bに示されるように、特定点Pは、画像G内の中心に配置される。
【0031】
具体的には、ステップS5において、プロセッサ5aは、例えばロボットアーム3aの各関節の回転角度および観察距離Z1から、ワールド座標系での特定点Pの位置座標を算出する。ワールド座標系は、内視鏡システム1が配置される空間に対して固定された座標系であり、例えば、ロボットアーム3aの基端を原点とする座標系である。
次に、
図3Cに示されるように、プロセッサ5aは、移動装置3を制御することによって内視鏡2を後退させ、特定点Pを光軸上に維持しながら内視鏡2の先端2cを特定点Pから離れる方向に移動させる。これにより、
図4Cに示されるように、特定点Pを中心に維持しながら画像Gがズームアウトされる。
ステップS5において、プロセッサ5aは、内視鏡2の移動に加えて、またはこれに代えて、内視鏡2のズームレンズ2bを制御することによって、画像Gを光学的にズームアウトさせてもよい。
【0032】
ズームアウトの開始後、プロセッサ5aは、ズームアウトを終了させる終了トリガを判定する(ステップS7)。
図7に示されるように、ステップS7は、画像Gに基づいて終了トリガを判定するステップS71と、特定点Pから内視鏡2の先端2cまでの距離Zに基づいて終了トリガを判定するステップS72,S73,S74とを含む。プロセッサ5aは、ステップS71,S72,S73,S74のいずれかで終了トリガがONであると判定されるまでステップS71,S72,S73,S74を繰り返す。ステップS71,S72,S73,S74のいずれかにおいて終了トリガがONであると判定された場合(ステップS7のYES)、プロセッサ5aは、内視鏡2および/またはズームレンズ2bを停止させることによって、ズームアウトを終了させる(ステップS8)。
【0033】
図8に示されるように、内視鏡2の先端2cがトロッカ7の先端7aの近傍まで後退したとき、画像G内にトロッカ7の内壁7bが写る。プロセッサ5aは、ズームアウト中の画像G内のトロッカ7の内壁7bを認識し、内壁7bの面積を算出し、内壁7bの面積が所定の面積閾値γに到達したときに、終了トリガがONであると判定する(ステップS71のYES)。閾値γは、例えば、画像Gの全面積の所定の割合に相当する面積である。
【0034】
また、プロセッサ5aは、ズームアウト中、特定点Pから内視鏡2の先端2cまでの光軸に沿う方向の距離Zを算出し、距離Zが所定の距離閾値に到達したときに終了トリガがONであると判定する。具体的には、所定の距離閾値は、第1閾値δ1、第2閾値δ2および第3閾値δ3を含み、プロセッサ5aは、距離Zが3つの閾値δ1,δ2,δ3のいずれかに到達したときに、終了トリガがONであると判定する(ステップS72のYES、ステップS73のYES、またはステップS74のYES)。
【0035】
第1閾値δ1は、ズームアウト終了後に対象部位の観察に十分な解像度を有する画像Gを取得するための距離Zの条件を規定するものであり、内視鏡2の被写界深度の限界遠点に基づいて決定される。例えば、第1閾値δ1は、内視鏡2の先端2cから限界遠点までの距離である。
第2閾値δ2は、特定点Pまで再挿入された処置具6の追従が可能であるための距離の条件を規定するものであり、画像Gの解像度に基づいて決定される。例えば、第2閾値δ2は、画像Gが特定点Pに配置された処置具6の画像認識が可能な解像度を有する距離Zの限界である。
第3閾値δ3は、第2閾値δ2と同様に、特定点Pまで再挿入された処置具6の追従が可能であるための距離Zの条件を規定するものであり、ステレオ計測の精度に基づいて決定される。例えば、第3閾値δ3は、特定点Pに配置された処置具6の3次元位置を画像Gから所定の精度でステレオ計測することができる距離の限界である。
【0036】
処置具6の抜去の後、
図3Dに示されるように、ユーザは、処置具6をトロッカ8を経由して被検体A内に再挿入し、処置具6を対象部位に向かって移動させる。
ズームアウト終了後、プロセッサ5aは、処置具情報に基づいて、処置具6が再挿入されたことを示す復帰トリガを判定し(ステップS9)、復帰トリガがONになったことに応答して俯瞰モードを終了する(ステップS10)。
【0037】
図9Aおよび
図9Bは、復帰トリガの判定の例を説明している。
図9Aの第1の例において、処置具情報は、画像G内の処置具6の有無であり、プロセッサ5aは、処置具6が画像G内に存在することを復帰トリガとして検知する。すなわち、プロセッサ5aは、画像G内に処置具6が認識されなかった場合、復帰トリガがOFFであると判定し(ステップS9のNO)、画像G内に処置具6が認識された場合、復帰トリガがONであると判定する(ステップS9のYES)。
【0038】
図9Bの第2の例において、処置具情報は、画像G内の所定領域H内の処置具6の有無であり、プロセッサ5aは、処置具6が所定領域H内に存在することを復帰トリガとして検知する。所定領域Hは、特定点Pを含む画像Gの一部分であり、例えば画像Gの中央領域である。すなわち、プロセッサ5aは、所定領域H内に処置具6が認識されなかった場合、復帰トリガがOFFであると判定し(ステップS9のNO)、所定領域H内に処置具6が認識された場合、復帰トリガがONであると判定する(ステップS9のYES)。
第2の例によれば、この後に行われるズームイン中に、俯瞰モードに切り替えられる直前に観察していた対象部位を画像Gの中央に捉え続けることができる。
【0039】
処置具6は、ズームアウトが終了する前に再挿入され得る。したがって、プロセッサ5aは、ステップS8の後に加えて、ステップS5とステップS7との間に復帰トリガの判定を行ってもよい(ステップS6)。
復帰トリガがONであると判定された場合(ステップS6またはS9のYES)、プロセッサ5aは、俯瞰モードからステップS1の追従モードまたは手動モードに切り替える(ステップS10)。
【0040】
追従モードに切り替えられた場合、プロセッサ5aは、ズームアウトされた画像G内の処置具6を認識し、続いて、移動装置3を制御することによって、目標点が先端6aと一致する位置へ内視鏡2を移動させる。これにより、画像Gが自動的にズームインし、被検体A内の内視鏡2の位置および画像Gの倍率が、俯瞰モードの前の状態に復帰する(
図3Aおよび
図4A参照)。
手動モードに切り替えられた場合、プロセッサ5aは、例えば、移動装置3を制御することによって内視鏡2を移動させ、開始トリガがONであると判定された時点で先端2cが配置された位置に先端2cを移動させる。これにより、画像Gが自動的にズームインする。
【0041】
このように、本実施形態によれば、処置具6の抜去が処置具情報に基づいて自動的に検知され、処置具6の抜去後に俯瞰モードが自動的に実行され、画像Gが自動的にズームアウトする。ズームアウトされた状態において、ユーザは、被検体A内の広範囲の画像Gを観察しながら処置具6を対象部位まで容易に再挿入することができる。このように、ユーザの操作を必要とすることなく処置具6の容易な再挿入を支援することができる。
【0042】
また、被検体A内の広範囲を観察するためにはズームアウトされた画像Gの倍率はより低いことが好ましい。その一方で、ズームアウトし過ぎる場合、例えば距離Zが大き過ぎる場合、再挿入された処置具6の観察、画像認識および追従に支障が生じ得る。本実施形態によれば、ステップS71~S74において、ズームアウトを終了する内視鏡2の位置が、画像Gおよび距離Zに基づき、再挿入された処置具6の良好な観察および良好な追従が保証される範囲内で最も倍率が低くなる位置に自動的に決定される。これにより、処置具6の再挿入をさらに効果的に支援することができる。
【0043】
また、処置具6の再挿入が処置具情報に基づいて自動的に検知され、処置具6の再挿入後に元のモードに自動的に復帰する。これにより、俯瞰モードから追従または手動モードに切り替えるためのユーザの操作を不要とし、処置具6の再挿入をさらに効果的に支援することができる。
【0044】
本実施形態において、
図3Eに示されるように、プロセッサ5aは、画像Gのズームアウトと並行して、またはその後に、内視鏡2の視野Fをトロッカ8の先端8aに向かって移動させてもよい。
図3Eは、ズームアウト後に視野Fを移動させる場合を示している。内壁7bの面積が閾値γに到達するか、または、距離Zが閾値δ1,δ2,δ3のいずれかに到達した場合(ステップS71、S72、S73またはS74のYES)、プロセッサ5aは、移動装置3を制御することによって、内視鏡2の先端2cがトロッカ8の先端8aに近付く方向に内視鏡2を揺動させる。これにより、
図10Aおよび
図10Bに示されるように、画像G内において、特定点Pが中心から端に向かって移動する。
【0045】
具体的には、プロセッサ5aは、トロッカ8のピボット点Dの位置座標および挿入長さL3から、トロッカ8の先端8aの位置座標を算出し、先端8aに向かって内視鏡2を揺動させる。挿入長さL3は、先端8aからピボット点Dまでのトロッカ8の長さであり、ピボット点Dおよび先端8aの位置座標は、ワールド座標系での座標である。ここで、先端8aが特定点Pを向いていると仮定している。
【0046】
プロセッサ5aは、特定点Pが画像G内に存在し、かつ、可能であればトロッカ8の先端8aが画像G内に写るまで、視野Fを先端8aに向かって移動させる。
具体的には、
図11に示されるように、プロセッサ5aは、特定点Pが画像Gの周縁領域Iに到達したか否か(ステップS75)、および、トロッカ8の先端8aが画像Gの中央領域Jに到達した否か(ステップS76)を判定する。周縁領域Iは、所定の幅を有し画像Gの縁に沿う領域であり(
図10A参照。)、中央領域Jは、画像Gの中心を含む画像Gの一部分である(
図10B参照。)。特定点Pが周縁領域Iに到達した場合(ステップS75のYES)または先端8aが中央領域Jに到達した場合(ステップS76のYES)、プロセッサ5aは、終了トリガがONであると判定する。
ズームアウトと並行して視野Fを移動させる場合、プロセッサ5aは、内視鏡2を後退させながら揺動させ、ステップS71~S74と並行してステップS75,S76を行う。
【0047】
図10Aから
図11の変形例によれば、ズームアウトの後、特定点Pが画像G内に維持される範囲内で内視鏡2の視野Fがトロッカ8の先端8aに近付けられ、好ましくは特定点Pおよび先端8aの両方が画像G内に含まれる。これにより、ユーザは、再挿入される処置具6をより容易に観察することができ、処置具6の再挿入をさらに効果的に支援することができる。
内視鏡2が視野Fの方向を変更する機構を有する場合、制御装置5は、内視鏡2を制御することによって視野Fを先端8aに向かって移動させてもよい。前記機構は、例えば、内視鏡2の先端部に設けられた湾曲部である。
【0048】
上記実施形態において、終了トリガを判定するステップS7が、4つのステップS71,S72,S73,S74を含むこととしたが、ステップS7は、ステップS71,S72,S73,S74の内の少なくとも1つを含んでいればよい。例えば、画像Gの解像度およびステレオ計測の精度が十分に高い場合、ステップS7が、ステップS71のみを含んでいてもよい。
【0049】
上記実施形態において、プロセッサ5aが、俯瞰モードから、俯瞰モードの直前のモードと同一のモードに切り替えることとしたが、これに代えて、所定のモードに切り替えてもよい。
例えば、制御装置5は、俯瞰モード後のモードを、手動モードおよび追従モードのいずれか一方にユーザが設定することができるように構成されていてもよい。この場合、プロセッサ5aは、俯瞰モードの直前のモードに関わらず、ユーザによって予め設定されたモードに切り替えてもよい。
【0050】
上記実施形態のステップS3において、プロセッサ5aが、1つの処置具情報に基づいて開始トリガを判定することとしたが、これに代えて、2以上の処置具情報の組み合わせに基づいて開始トリガを判定してもよい。
すなわち、プロセッサ5aは、ステップS2において2以上の処置具情報を取得し、その後、
図6Aから
図6Dの第1から第4の方法の内、2以上を実行してもよい。例えば、プロセッサ5aは、消失時間の長さ、処置具6の速さおよび処置具6の軌跡の内、2つ以上が対応する閾値を超えた場合に、開始トリガがONであると判定し俯瞰モードを開始してもよい。
【0051】
上記実施形態において、プロセッサ5aが、開始トリガを自動的に検知することとしたが、これに代えて、または、これに加えて、ユーザの入力を開始トリガとしてもよい。
例えば、ユーザは、ユーザインタフェースを使用して制御装置5に任意のタイミングで開始トリガを入力することができる。プロセッサ5aは、開始トリガの入力に応答し、俯瞰モードを実行させる。この構成によれば、ユーザは、所望の任意のタイミングで画像Gのズームアウトを内視鏡2および移動装置3に実行させることができる。
同様に、プロセッサ5aは、ユーザがユーザインタフェースに入力した終了トリガおよび復帰トリガにそれぞれ応答してズームアウトおよび俯瞰モードを終了させてもよい。
【0052】
上記実施形態において、制御装置5が内視鏡プロセッサであることとしたが、これに代えて、プロセッサ5aと、制御プログラム5eを記憶した記録媒体5cとを有する任意の装置であってもよい。例えば、制御装置5は、移動装置3に組み込まれていてもよく、または、内視鏡2および移動装置3と接続された、パーソナルコンピュータのような任意のコンピュータであってもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態および変形例について詳述したが、本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではない。これらの実施形態および変形例は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、または、特許請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本発明の思想および趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除等が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
2a 撮像素子
3 移動装置
4 表示装置
5 制御装置
5a プロセッサ(処置具情報検出部)
5c 記憶部(記録媒体)
5e 制御プログラム
6 処置具
6a 先端
7,8 トロッカ
7a 先端
7b 内壁
9 センサ(処置具情報検出部)
A 被検体
G 画像
P 特定点