(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20250430BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20250430BHJP
H04N 23/69 20230101ALI20250430BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20250430BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 F
H04N23/60 300
H04N23/69
H04N23/661
B61L23/00 A
(21)【出願番号】P 2024509769
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2022047595
(87)【国際公開番号】W WO2023181559
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2022047825
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】永島 磨己
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192844(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026159(WO,A1)
【文献】特開2019-092136(JP,A)
【文献】特開2012-015831(JP,A)
【文献】特開2006-270346(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145736(WO,A1)
【文献】特開2012-085158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/60
H04N 23/69
H04N 23/661
B61L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の各車両に設けられたカメラの映像をモニタに表示する監視システムにおいて、
前記モニタは、複数のカメラの映像を画面分割により同時に表示する第1の表示モードと、1つのカメラの映像を画面全体で表示する第2の表示モードとを有し、
前記カメラは、カメラ毎に設定された切り出し範囲の情報を記憶するメモリと、
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像部と、前記映像信号に基づいてフルサイズの映像を生成する機能と、前記フルサイズの映像から前記切り出し範囲の情報に基づいて切り出す処理を行って部分映像を生成する機能と、前記モニタからの要求に応じて前記フルサイズ映像または前記部分映像のいずれかを配信する機能とを有し、
前記モニタは、前記第1の表示モードでは、表示対象となる複数のカメラに対して前記部分映像の配信を要求し、
前記第1の表示モードでユーザが前記複数のカメラの中から1つのカメラを選択して前記第2の表示モード
に切り替える際に、
前記1つのカメラに対して前記フルサイズの映像の配信を要求する
一方で、前記複数のカメラのうちの残りのカメラには前記部分映像の配信を継続させることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記モニタは、カメラを指定して切り出し範囲を設定する操作をユーザから受け付けたことに応じて、前記切り出し範囲の情報を生成して前記指定のカメラへ送信し、
前記カメラは、前記モニタから受信した前記切り出し範囲の情報を前記メモリに記憶することを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記カメラは、前記フルサイズの映像又は前記部分映像を配信する機能とは別に、録画用の映像を配信する機能を更に有することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記モニタは、カメラを指定して切り出し範囲を設定する操作をユーザから受け付けるための画角調整モードを更に有し、前記画角調整モードへ遷移する際に、前記指定のカメラに対して前記フルサイズの映像と前記切り出し範囲の情報を要求し、前記画角調整モードにおいて、前記要求に応じて前記指定のカメラから受信した前記フルサイズの映像及び前記切り出し範囲の情報に基づいて、前記指定のカメラにおける現在の切り出し範囲を示す矩形枠を前記フルサイズの映像に重畳表示し、前記矩形枠の位置やサイズをユーザが調整することで、前記指定のカメラに対する切り出し範囲の設定が行われることを特徴とする監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の各車両に設けられたカメラの映像をモニタに表示する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駅のプラットホームで乗客が列車に乗降する際の安全確保は、列車運行にとって重要な課題である。このような安全対策の一環として、車両の側面に取り付けられたカメラで車両のドア付近を撮影し、そのカメラ映像を運転台のモニタに表示させる列車監視システムが開発されている。
【0003】
本発明に係る技術分野の従来技術として、以下のようなものがある。例えば、特許文献1には、モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像を各エリアにそれぞれ割り当てて表示させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の列車監視システムのモニタは、複数のカメラから配信される複数のカメラ映像を受信し、複数のカメラ映像の各々から所定の範囲を切り出して、画面分割により同時に表示するように構成されていた。しかしながら、モニタが複数のカメラ映像に対して切り出し処理を行っていたため、モニタ側の処理負担が大きいという問題があった。また、複数のカメラが同時にカメラ映像を配信していたため、伝送データ容量が多くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、モニタの処理負担の軽減及び伝送データ容量の削減を実現することが可能な監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係る監視システムは、以下のように構成される。
すなわち、列車の各車両に設けられたカメラの映像をモニタに表示する監視システムにおいて、モニタは、複数のカメラの映像を画面分割により同時に表示する第1の表示モードと、1つのカメラの映像を画面全体で表示する第2の表示モードとを有し、カメラは、カメラ毎に設定された切り出し範囲の情報を記憶するメモリと、フルサイズの映像、又は、フルサイズの映像から切り出し範囲の情報に基づいて切り出した部分映像を配信する機能とを有し、モニタは、第1の表示モードでは、表示対象となる複数のカメラに対して部分映像の配信を要求し、第2の表示モードでは、表示対象となる1つのカメラに対してフルサイズの映像の配信を要求することを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明に係る監視システムでは、モニタは、カメラを指定して切り出し範囲を設定する操作をユーザから受け付けたことに応じて、切り出し範囲の情報を生成して指定のカメラへ送信し、カメラは、モニタから受信した切り出し範囲の情報をメモリに記憶するように構成され得る。
【0009】
また、本発明に係る監視システムでは、カメラは、フルサイズの映像又は部分映像を配信する機能とは別に、録画用の映像を配信する機能を更に有するように構成され得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モニタの処理負担の軽減及び伝送データ容量の削減を実現することが可能な監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る列車監視システムの概略的な構成例を示す図である。
【
図2】分割表示モードに係る画面表示例を示す図である。
【
図3】拡大表示モードに係る画面表示例を示す図である。
【
図4】
図1の列車監視システムにおけるカメラの構成例を示す図である。
【
図5】切り出し範囲の設定に係る処理シーケンス例を示す図である。
【
図7】カメラ映像の表示に係る処理シーケンス例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る列車監視システムについて、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る列車監視システムの概略的な構成例を示してある。
図1は、1号車10-1、2号車10-2、・・・、5号車10-5、6号車10-6の6台を連結した6両編成の列車を示している。なお、列車としては、鉄道上を走行する列車に限定されず、モノレールや路面電車など、他の形式の列車であってもよい。
【0013】
列車の各車両10にはスイッチングハブ(HUB)11が1台ずつ配置されており、これらをカスケード接続することでIPネットワークを構築している。また、各車両10には、乗客が列車に乗降する様子を撮像するためのカメラ13を設置してある。同図では、各車両10のドア12を外側から撮影するように、車体の側面にカメラ13を設置してある。なお、カメラ13は、車内に設置されていてもよい。以下では、説明の簡略化のために、1車両あたり1台のカメラ13が設置されている場合を例にして説明するが、1車両あたりのカメラ13の台数は任意である。
【0014】
列車の先頭又は末尾にある1号車10-1及び6号車10-6には、各車両10のカメラ13で撮影されたカメラ映像を表示するモニタ14が設置されている。また、1号車10-1には、各車両10のカメラ13で撮影されたカメラ映像を録画する録画装置15が設置されている。なお、録画装置15を他の車両(例えば、6号車10-6)にも設置して冗長化してもよい。
【0015】
モニタ14は、複数のカメラ13によるカメラ映像を画面分割により同時に表示する分割表示モードと、1つのカメラ13によるカメラ映像を画面全体で表示する拡大表示モードとを有する。
図2には、分割表示モードに係る画面表示例を示してある。また、
図3には、拡大表示モードに係る画面表示例を示してある。
【0016】
本例では、列車が駅に到着した際に、モニタ14がカメラ映像の表示を自動的に開始し、列車が駅を出発した際に、自動的にモニタ14がカメラ映像の表示を自動的に終了するものとする。また、モニタ14によるカメラ映像の表示は、分割表示モード(
図2)をデフォルトとし、その中から1つのカメラ映像がユーザ(例えば、運転士)によって選択されたことに応じて、そのカメラ映像に関する拡大表示モード(
図3)に切り替わるものとする。なお、このような表示制御は一例に過ぎず、他の条件に従って表示制御を行っても構わない。
【0017】
ここで、従来の列車監視システムでは、分割表示モードにおいて、モニタが、複数のカメラから配信される複数のカメラ映像を受信し、複数のカメラ映像の各々から所定の範囲を切り出して、画面分割により同時に表示するように構成されていた。これに対し、本例の列車監視システムは、分割表示モード用にカメラ映像から所定の範囲を切り出す処理を、モニタ14が行うのではなく、カメラ13の各々が行うように構成されている。
【0018】
図4には、本例の列車監視システムにおけるカメラ13の構成例を示してある。
本例のカメラ13は、撮像部21と、表示用映像生成部22と、メモリ25と、表示用映像送信部26と、設定情報受信部27と、録画用映像生成部28と、録画用映像送信部29とを備えている。
【0019】
撮像部21は、被写体(本例ではドア付近)を撮像し、得られた映像信号を出力する。表示用映像生成部22は、撮像部21から出力される映像信号に基づいて、表示用映像を生成する。表示用映像生成部22は、拡大表示モード用のフルサイズ映像を生成するフルサイズ映像生成部23と、分割表示モード用にフルサイズ映像から所定範囲を切り出した部分映像を生成する部分映像生成部24とを有する。フルサイズ映像は、例えば、フルHD(1920×1080ピクセル)の映像データ(H.264やJPEG等)である。部分映像のためにフルサイズ映像から切り出す範囲の情報は、切り出し範囲設定データとしてメモリ25に予め記憶されている。
【0020】
表示用映像送信部26は、表示用映像生成部22により生成された表示用映像(フルサイズ映像又は部分映像)を、モニタ14に送信する。設定情報受信部27は、フルサイズ映像から切り出す範囲の情報をモニタ14から受信した場合に、切り出し範囲設定データとしてメモリ25に格納する。録画用映像生成部28は、撮像部21から出力される映像信号に基づいて、録画用映像を生成する。録画用映像は、例えば、XVGA(1366×768ピクセル)の映像データ(H.264やJPEG等)である。録画用映像送信部29は、録画用映像生成部28により生成された録画用映像を、録画装置15に送信して記憶させる。
【0021】
まず、
図5を用いて、本例の列車監視システムにおける切り出し範囲の設定について説明する。
図5には、切り出し範囲の設定に係る処理シーケンス例を示してある。
ユーザ(例えば、運転士)がモニタ14を操作して、画角調整モードへの遷移を指示したとする(ステップS1)。これを受けて、モニタ14は、画角調整モードを開始し(ステップS2)、対象となるカメラ13の指定を受け付ける。その後、モニタ14は、対象のカメラ13に対し、フルサイズ映像の配信を要求する(ステップS3)。モニタ14からの要求を受信したカメラ13は、フルサイズ映像の配信を開始する(ステップS4)。
【0022】
モニタ14は、対象のカメラ13から受信したフルサイズ映像を表示し、切り出し範囲の指定をユーザから受け付ける(ステップS5)。切り出し範囲の指定は、例えば、フルサイズ映像に重畳表示される矩形枠の位置やサイズを調整することで行われる。
図6には、切り出し範囲の設定例を示してある。図中に破線で示す範囲(矩形枠)が、ユーザに指定された切り出し範囲である。
【0023】
モニタ14は、切り出し範囲の指定をユーザから受け付けると、指定された切り出し範囲の情報を、コマンドメッセージ(例えば、CGIコマンド等)として対象のカメラ13へ送信する(ステップS6)。切り出し範囲の情報を受信したカメラ13は、その情報を切り出し範囲設定データとして記憶する。その後、ユーザがモニタ14を操作して、画角調整モードの終了を指示すると(ステップS7)、映像配信の停止要求が対象のカメラ13へ送信され(ステップS8)、画角調整モードが終了する(ステップS9)。
【0024】
ここで、上記の説明では、画角調整モードへ遷移した後に、切り出し範囲の設定の対象となるカメラ13を指定しているが、対象のカメラ13を指定した状態で画角調整モードへ遷移してもよい。すなわち、例えば、モニタ14が分割表示モードで複数のカメラ映像を表示中に、その中から1つを選択して画角調整モードへの遷移を指示するようにしてもよい。
【0025】
なお、本例では、各々のカメラ13が切り出し範囲の情報(切り出し範囲設定データ)を記憶しているが、モニタ14にも同じ情報を記憶させておいてもよい。これにより、モニタ14で切り出し範囲を設定する際に、現在の切り出し範囲を示す矩形枠をカメラ映像に重畳表示させることが可能となる。あるいは、モニタ14が画角調整モードへ遷移する際に、対象のカメラ13に現在の切り出し範囲の情報を要求し、返信された切り出し範囲の情報に基づいて、現在の切り出し範囲を示す矩形枠をカメラ映像に重畳表示させるようにしてもよい。また、あるカメラに対して設定した切り出し範囲を複製(コピー)して、別のカメラにも適用できるようにしてもよい。
【0026】
次に、
図7を用いて、本例の列車監視システムにおけるカメラ映像の表示について説明する。
図7には、カメラ映像の表示に係る処理シーケンス例を示してある。ここで、以下の説明では、n号車(n=1~6)のカメラ13を「カメラ(n)」のように表記することとする。
【0027】
列車が駅に到着すると(ステップS11)、モニタ14は、カメラ映像の表示を開始するために、各車両のカメラ(1)~(6)に対して、部分映像(フルサイズ映像から切り出した映像)の配信を要求する(ステップS12)。なお、列車が駅に到着したか否かは、例えば、GPS(Global Positioning System)等により得られる列車の位置情報に基づいて判定することができる。または、列車の速度情報に基づいて、列車が駅に到着したか否を判定(例えば、時速5km以下の場合に停車と判定)することもできる。あるいは、これらの組み合わせにより、列車が駅に到着したか否を判定してもよい。
【0028】
カメラ(1)~(6)は、モニタ14からの要求に応じて、フルサイズ映像から切り出し範囲設定データに従って部分映像を切り出し、モニタ14へ配信する(ステップS13)。モニタ14は、カメラ(1)~(6)から配信される複数の部分映像に基づいて、分割表示モードの表示を開始する(ステップS14)。その結果、モニタ14には、
図2のような画面が表示される。
【0029】
次に、ユーザ(例えば、運転士)がモニタ14を操作して、画面全体で表示するカメラ映像を選択したとする(ステップS15)。ここでは、2号車10-2のカメラ13であるカメラ(2)が選択されたとする。この場合、モニタ14は、カメラ(2)に対して、フルサイズ映像の配信を要求する(ステップS16)。カメラ(2)は、フルサイズ映像の配信要求を受信すると、部分映像の配信を停止し、これに代えてフルサイズ映像の配信を開始する(ステップS17)。なお、フルサイズ映像の配信要求を受信していないカメラ(1)、(3)~(6)は、部分映像の配信を継続する。
【0030】
モニタ14は、カメラ(2)から配信されるフルサイズ映像に基づいて、分割表示モードの表示から拡大表示モードの表示に切り替える(ステップS18)。その結果、モニタ14には、
図3のような画面が表示される。これにより、ユーザは、2号車10-2のドア付近の様子をより詳細に確認できるようになる。
【0031】
次に、ユーザがモニタ14を操作して、拡大表示の終了を指示したとする(ステップS19)。これに応じて、モニタ14は、カメラ(2)に対して、部分映像の配信を要求する(ステップS20)。カメラ(2)は、部分映像の配信要求を受信すると、フルサイズ映像の配信を停止し、これに代えて部分映像の配信を開始する(ステップS21)。モニタ14は、カメラ(1)~(6)から配信される複数の部分映像に基づいて、分割表示モードの表示に切り替える(ステップS22)。
【0032】
その後、列車が駅から出発すると(ステップS23)、モニタ14は、カメラ(1)~カメラ(6)に対して、映像配信の停止を要求する。なお、列車が駅から出発したか否かは、例えば、GPS等により得られる列車の位置情報に基づいて判定することができる。または、列車の速度情報に基づいて、列車が駅から出発したか否を判定(例えば、時速5km以上の場合に発車と判定)することもできる。あるいは、これらの組み合わせにより、列車が駅から出発したか否を判定してもよい。映像配信の停止要求を受信したカメラ(1)~カメラ(6)は、映像配信の配信を停止する。また、これに伴って、モニタ14は、カメラ映像の表示を終了する(ステップS24)。
【0033】
ここで、上記の説明では、列車の停車及び出発に連動して、カメラ映像の表示の開始及び終了を自動的に行うようにしているが、ユーザがモニタ14を操作することで、カメラ映像の表示の開始及び終了を行うようにしてもよい。また、上記の説明では、拡大表示モードにおいて、その対象ではない他のカメラも部分映像の配信を継続しているが、他のカメラは部分映像の配信を中断してもよい。この場合には、モニタ14は、拡大表示モードに遷移する際に、対象のカメラに対してフルサイズ映像の配信を要求すると共に他のカメラに対して映像配信の停止を指示し、分割表示モードに復帰する際に全てのカメラに対して部分映像の配信を要求すればよい。
【0034】
また、
図7のシーケンス例では省略しているが、カメラ(1)~カメラ(6)は、モニタ14に対する表示用映像(フルサイズ映像又は部分映像)とは別に、録画用映像を録画装置15に対して継続的に配信している。したがって、録画装置15には、モニタ14の表示モードに関わらず、カメラ(1)~カメラ(6)から配信される録画用映像(フルサイズ映像)が録画される。録画装置15は、モニタ14によるカメラ映像の表示期間中のみ録画を行ってもよいし、列車の運行中は常に録画してもよい。
【0035】
以上のように、本例の列車監視システムでは、モニタ14は、複数のカメラ映像を画面分割により同時に表示する分割表示モード(本発明に係る第1の表示モードの一例)と、1つのカメラの映像を画面全体で表示する拡大表示モード(本発明に係る第2の表示モードの一例)とを有する。また、各車両のカメラ13は、カメラ毎に設定された切り出し範囲の情報(切り出し範囲設定データ)を記憶するメモリ25と、フルサイズ映像、又は、フルサイズ映像から切り出し範囲の情報に基づいて切り出した部分映像を生成する表示用映像生成部22と、表示用映像生成部22により生成されたフルサイズ映像又は部分映像を配信する表示用映像送信部26とを有する。そして、モニタ14は、分割表示モードでは、表示対象となる複数のカメラ13に対して部分映像の配信を要求し、拡大表示モードでは、表示対象となる1つのカメラ13に対してフルサイズの映像の配信を要求する。
【0036】
このように、各車両のカメラ13が、モニタ14からの要求に応じて、フルサイズ映像又は部分映像を生成してモニタ14へ配信するので、モニタ14が部分映像の生成処理を行う必要が無くなり、モニタ14の処理負担が軽減される。また、分割表示モードでは、各車両のカメラ13からモニタ14に対して、フルサイズ映像より低容量の部分映像を配信するので、伝送データ容量が削減される。
【0037】
ここで、上記の説明では、1画面を6分割して6つの部分映像を表示する分割表示モード(つまり、6分割表示モード)を有しているが、より多い又は少ない数に画面分割して、より多い又は少ない数の部分映像を表示してもよい。例えば、6分割表示モードとは別に、1画面を3分割して3つの部分映像を表示する3分割表示モードを設け、ユーザ操作に応じて6分割表示モードから3分割表示モードに切り替えて、3両単位で映像確認を行えるようにしてもよい。この場合、各車両のカメラ13は、6分割表示モード用の切り出し範囲設定データと、3分割表示モード用の切り出し範囲設定データとをメモリに記憶しておき、モニタ14の表示モードに応じて切り出し範囲を切り替えればよい。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その他の様々な実施形態をとることが可能であると共に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等の種々の変形を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0039】
また、本発明は、上記の説明で挙げたような装置や、これら装置で構成されたシステムとして提供することが可能なだけでなく、これら装置により実行される方法、これら装置の機能をプロセッサにより実現させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、列車の各車両に設けられたカメラの映像をモニタに表示する監視システムに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10-1~10-6:車両、 11:スイッチングハブ、 12:ドア、 13:カメラ、 14:モニタ、 15:録画装置、 21:撮像部、 22:表示用映像生成部、
23:フルサイズ映像生成部、 24:部分映像生成部、 25:メモリ、 26:表示用映像送信部、 27:設定情報受信部、 28:録画用映像生成部、 29:録画用映像送信部