(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/74 20180101AFI20250430BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20250430BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20250430BHJP
F24F 8/158 20210101ALI20250430BHJP
F24F 110/70 20180101ALN20250430BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F11/58
F24F11/64
F24F8/158
F24F110:70
(21)【出願番号】P 2024518104
(86)(22)【出願日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 JP2023040377
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】谷島 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】川本 誠
(72)【発明者】
【氏名】足立 理人
(72)【発明者】
【氏名】岸田 七海
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特許第7345704(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/74
F24F 11/58
F24F 11/64
F24F 8/158
F24F 110/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機および室外機を有する空調機と、
前記室内機または前記室外機が有する送風機の下流側または上流側に配置され、前記送風機の風力を利用してCO
2を回収する、CO
2回収装置と、
前記送風機を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、使用者による操作に基づいて前記制御部に入力される指示信号に基づきCO
2回収に関する運転モードを切り替え、
前記運転モードには、空調優先モードと、回収優先モードと、中間モードと、が含まれ、
前記空調優先モードにおいて、前記制御部は、回転数設定値テーブルによって規定される規定回転数で前記送風機を回転させ、
前記回収優先モードにおいて、前記制御部は、前記規定回転数よりも大きい補正回転数で前記送風機を回転させ、
前記中間モードにおいて、前記制御部は、前記規定回転数と前記補正回転数との間の中間回転数で前記送風機を回転させる、二酸化炭素回収システム
であって、
前記制御部に接続され、使用者の操作に基づく前記指示信号の授受を行う通信器をさらに備え、
前記制御部は、前記指示信号に基づきCO
2
回収に関する前記運転モードを切り替え、
前記通信器は、前記指示信号を、携帯端末、サーバ装置、操作部のいずれかと通信することで受信し、
前記通信器は、過去の運転条件から特定された時間帯において前記運転モードを切り替えることを推奨する通知を、前記携帯端末、前記サーバ装置、前記操作部のいずれかに送信し、
使用者の認証に基づいて生成された前記指示信号に基づいて前記制御部が前記運転モードを切り替える、二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調機の室内機の内部に、二酸化炭素吸放出部が設けられた構造が開示されている。この開示において、二酸化炭素吸放出部に気流を当てるために、室内機のファンが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示では、例えば空調機が稼働していない状況では二酸化炭素吸放出部に気流が当たらない。このため、二酸化炭素の回収機能が低下するという課題がある。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて、二酸化炭素の回収機能を向上させることが可能な二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る二酸化炭素回収システムの一つの態様は、室内機および室外機を有する空調機と、前記室内機または前記室外機が有する送風機の下流側または上流側に配置され、前記送風機の風力を利用してCO2を回収する、CO2回収装置と、前記送風機を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、指示信号に基づきCO2回収に関する運転モードを切り替え、前記運転モードに関連付けられた回転数で前記送風機を回転させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、二酸化炭素の回収機能を向上させることが可能な二酸化炭素回収システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1における二酸化炭素回収システムの概略構成図である。
【
図2】実施の形態1における二酸化炭素回収システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る二酸化炭素回収システム1の模式図である。
図1に示されるように、二酸化炭素回収システム1は、空調機HおよびCO
2回収装置20を備えている。空調機Hは、室内機2と、室外機10と、を有している。空調機Hはいわゆるヒートポンプ装置である。室内機2および室外機10は、冷媒を循環させるためのパイプP等で接続されている。CO
2回収装置20は、回収部21と、分離部23と、循環機構25と、を備える。
【0011】
室外機10は、筐体11と、熱交換器12と、送風機13と、を備える。また、室外機10は、不図示の圧縮機等を有している。
筐体11には、吸込口14および吹出口15が形成される。熱交換器12および送風機13は、筐体11の内部に配置される。熱交換器12は、冷媒と外気(空気)との間で熱交換を行わせる。送風機13は、熱交換器12に気流を当てる機能を有する。
【0012】
送風機13が駆動すると、吸込口14から空気が筐体11内に吸い込まれる。筐体11内に吸い込まれた空気は、熱交換器12を通過して、吹出口15から筐体11の外部に吹き出される。
以下、送風機13により生じる気流の流通方向における上流側を単に上流側ともいい、送風機13により生じる気流の流通方向における下流側を単に下流側ともいう。
【0013】
回収部21は、空気からCO2を回収する機能を有する。回収部21は、送風機13の下流側に配置される。送風機13と回収部21との間には、送風機13から回収部21まで気流を伝える第1ダクト22が設けられている。なお、第1ダクト22を設けず、送風機13の下流側に単に回収部21を配置してもよい。
【0014】
回収部21は、吸着剤を有する。吸着剤は、CO2を吸着可能な材質を含んでいる。CO2を吸着可能な材質としては、例えばアミン、ゼオライト、シリカゲル、珪藻土、アルミナ、活性炭等が挙げられる。上記のなかから複数の材質を選択して採用してもよいし、上記以外の材質を採用してもよい。吸着剤は粒状(例えばビーズ状(球形)、ペレット状(円柱形))であってもよい。あるいは、粉状の吸着剤を採用してもよい。この場合、粉状の吸着剤を、基材の表面に担持させてもよい。基材は、例えばハニカム形状であってもよい。例えば、粉状の吸着剤を、ハニカムロータに担持させてもよい。吸着剤は、液体の吸着液であってもよい。
【0015】
回収部21は、送風機13が生み出す気流を受ける位置で、吸着剤を保持可能に構成される。
例えば、回収部21は、吸着剤を収容可能であり、通気性を有する容器を有していてもよい。この場合、この容器は、送風機13が生み出す気流を受ける位置に配置される。
あるいは、例えば吸着剤がハニカムロータに担持されている場合、回収部21は、送風機13が生み出す気流を受ける位置にハニカムロータを支持する支持部を有していてもよい。
【0016】
回収部21において保持された吸着剤には、送風機13の駆動により吹出口15から吹き出される気流が当たる。これにより、吸着剤内に空気が入り込んだり、吸着剤内の空気が排出されたりする。回収部21は、送風機13により生じる気流と、吸着剤とを接触させて、吸着剤にCO2を吸着させる。すなわち、本実施の形態において、回収部21は、送風機13の風力をCO2の回収に利用する。
【0017】
分離部23は、CO2を吸着した吸着剤からCO2を分離する機能を有する。分離部23は、送風機13の下流側に配置される。送風機13と分離部23との間には、送風機13から分離部23まで気流を伝える第2ダクト24が設けられている。分離部23は、送風機13が生み出す気流を受ける位置で、吸着剤を保持可能に構成される。
【0018】
循環機構25は、回収部21と分離部23との間で吸着剤を循環させる。具体的に、回収部21においてCO2を吸着した吸着剤は、循環機構25によって、分離部23へと移動させられる。また、分離部23においてCO2が分離された吸着剤は、循環機構25によって、再び回収部21に移動させられる。循環機構25は、制御部16によって制御されてもよい。あるいは、制御部16とは異なる構成要素によって、循環機構25が制御されてもよい。
【0019】
分離部23において保持された吸着剤には、送風機13の駆動により吹出口15から吹き出される気流が当たる。空調機Hが冷房運転を行う際には、吸込口14から筐体11内に吸い込まれた空気は、熱交換器12によって例えば45~70℃まで加熱される。送風機13は、熱交換器12によって加熱された気流を、分離部23に向けて送り出す。したがって、冷房運転の際、分離部23において保持された吸着剤には、加熱された気流が当たる。
【0020】
分離部23は、このように吸着剤を加熱することで、吸着剤からCO2を分離する。つまり、分離部23は、送風機13の風力をCO2の分離に利用することができる。分離部23において分離されたCO2は、例えばメタンの製造等に利用されてもよい。この場合、分離部23にメタネーション設備等が接続されてもよい。あるいは、別の手段によってCO2を一時的に貯留し、貯留したCO2をメタネーション施設に運搬してもよい。
【0021】
図2は、二酸化炭素回収システム1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、二酸化炭素回収システム1は、制御部16と、CO
2センサ18と、湿度センサ19と、通信器17と、を有している。制御部16は、送風機13のモータ13aおよび通信器17に接続されている。また、制御部16は、CO
2センサ18、湿度センサ19、循環機構25、等に、接続されてもよい。
【0022】
制御部16は、少なくとも送風機13のモータ13aを制御する。制御部16はモータ13a以外の構成要素を制御してもよい。例えば制御部16は、空調機Hに含まれる圧縮器等を制御してもよい。制御部16としては、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを用いることができる。
【0023】
通信器17は、制御部16による制御に基づいて、外部(例えば、携帯端末6、サーバ装置4、操作部3、等)と通信を行う。携帯端末6は、例えばスマートフォン、ノートPC、タブレット端末、等である。携帯端末6には、空調機Hを操作するためのアプリ等がインストールされていてもよい。サーバ装置4は、処理部、記憶部、通信部等を有しており、情報を処理および記憶することができる。サーバ装置4は、例えばクラウドサーバであってもよい。また、サーバ装置4は、データセンターに設置されていてもよい。
【0024】
使用者が携帯端末6を操作した際、携帯端末6と通信器17との間で直接的に信号の授受が行われてもよい。あるいは、使用者が携帯端末6を操作した際、サーバ装置4を経由して、携帯端末6と通信器17との間で間接的に信号の授受が行われてもよい。
【0025】
操作部3は、空調機Hを操作するための部位である。具体例として、操作部3は、室内機2と通信を行うリモートコントローラであってもよい。
以下、制御部16が行う制御の例について説明する。
【0026】
本実施の形態では、制御部16は、指示信号に基づきCO2回収に関する運転モードMを切り替える。また、制御部16は、運転モードMに関連付けられた回転数で、送風機13を回転させる。「CO2回収に関する運転モードM」には、例えば、「空調優先モードm1」、「回収優先モードm2」、「中間モードm3」が含まれる。これら以外のモードが、「CO2回収に関する運転モードM」に含まれてもよい。
【0027】
「空調優先モードm1」は、空調機Hによる空調機能を優先するモードである。例えば、「空調優先モードm1」の場合、送風機13の回転数は、従来技術と同様の値に設定される。すなわち、空調優先モードm1において、制御部16は、空調機能を実現するために最適化された回転数で送風機13を回転させる。
【0028】
「回収優先モードm2」は、CO2の回収を優先するモードである。「回収優先モードm2」の場合、送風機13の回転数は、「空調優先モードm1」の場合よりも大きい値に設定される。例えば、「空調優先モードm1」において、空調機能がオフの場合は、通常は送風機13の回転数がゼロに設定される。しかしながら、「回収優先モードm2」においては、空調機能がオフの場合も、送風機13の回転数がゼロより大きい値に設定される。つまり、「回収優先モードm2」の場合、送風機13は常に回転している状態となる。また、回収優先モードm2の場合、制御部16は、空調機能を実現するために最適化された回転数よりも、大きい回転数で送風機13を回転させる。このように送風機13を積極的に回転させることで、回収装置20によるCO2の回収効率を高めることができる。
【0029】
「中間モードm3」は、空調優先モードm1と回収優先モードm2との中間の運転モードMである。例えば、使用者がCO2の回収を促進しつつ送風機13の騒音を抑えたい場合に、中間モードm3が選択されてもよい。「中間モードm3」は、「CO2回収に関する運転モードM」に含まれなくてもよい。
【0030】
回収優先モードm2においては、CO2の回収を促進することができるが、送風機13の騒音が大きくなるという課題が生じる。そこで本実施の形態では、使用者の好み等に応じて、制御部16が「CO2回収に関する運転モードM」を切り替える。指示信号は、このように運転モードMを切り替えるために用いられる。例えば、使用者が操作部3を操作して「回収優先モードm2」を選択した場合、回収優先モードm2に対応する指示信号が、操作部3から制御部16へと入力される。
【0031】
以下、それぞれの運転モードMにおける、送風機13の回転数の設定例について説明する。
【0032】
図3は、空調機Hが備えるメモリ領域(不図示)に記憶された、回転数設定値テーブルの一例である。
図3における「設定風量」とは、使用者が操作部3等を操作して設定する風量である。
図3における「温度差範囲」とは、使用者が操作部3等を操作して設定する室内の目標温度と、実際の室内の温度と、の差分(温度差)の範囲である。例えば温度差が-10℃~-5℃の場合が温度差範囲Δ1、温度差が-5℃~-3℃の場合が温度差範囲Δ2、等である。これらの設定は一例であり、変更可能である。
図3の例では、6段階の設定風量w1~w6と、6段階の温度差範囲Δ1~Δ6と、に対応して、規定回転数RN11~RN66が設定される。なお、温度差範囲に基づかず、設定風量のみに基づいて、規定回転数が定められてもよい。
【0033】
「空調優先モードm1」の場合、制御部16は、回転数設定値テーブルで規定された、規定回転数RN11~RN66で送風機13を回転させる。規定回転数RN11~RN66は、空調機能を最適化するために定められた回転数である。
【0034】
「回収優先モードm2」の場合、制御部16は、規定回転数RN11~RN66よりも回転数が大きい補正回転数によって、送風機13を回転させる。例えば、設定風量w1かつ温度差範囲Δ1の場合を考える。この場合、空調優先モードm1では、規定回転数RN11に設定される。これに対し、回収優先モードm2では、設定風量w1かつ温度差範囲Δ1の場合、規定回転数RN11よりも大きい補正回転数で、制御部16は送風機13を回転させる。
【0035】
補正回転数の値は、例えば、規定回転数RN11~RN66に対して一定値を加算して得られてもよい。あるいは、設定風量w1~w6および温度差範囲Δ1~Δ6に応じた、それぞれの補正回転数が、予め定められてもよい。あるいは、補正回転数は固定値であってもよい。補正回転数として固定値を採用する場合、例えば、回収装置20によるCO2回収の効率を最大化するように定められてもよい。
【0036】
また、制御部16は、空調優先モードm1において、循環機構25を駆動させなくてもよい。この場合、循環機構25の駆動に伴う騒音の発生および電力消費を抑制することができる。制御部16は、回収優先モードm2において、循環機構25を駆動させてもよい。この場合、回収部21におけるCO2回収と、分離部23におけるCO2の分離と、を促進することができる。
【0037】
(変形例)
上記説明において、CO2回収装置20は、室外機10が有する送風機13の下流側に配置され、送風機13の風力を利用してCO2を回収した。しかしながら、CO2回収装置20は、送風機13の上流側に配置されてもよい。この場合も、CO2回収装置20は、送風機13の風力を利用してCO2を回収することができる。
【0038】
あるいは、CO2回収装置20は、室内機2が有する送風機の下流側または上流側に配置されてもよい。この場合も、CO2回収装置20は、室内機2が有する送風機の風力を利用してCO2を回収することができる。CO2回収装置20は、室内機の内部に配置されてもよい。
【0039】
以上説明したように、本開示に係る二酸化炭素回収システム1は、空調機Hと、CO2回収装置20と、制御部16と、を有している。空調機Hは、室内機2および室外機10を備えている。CO2回収装置20は、室内機2または室外機10が有する送風機13の下流側または上流側に配置され、送風機13の風力を利用してCO2を回収する。制御部16は、少なくとも、送風機13を制御する。そして制御部16は、指示信号に基づき、CO2回収に関する運転モードMを切り替え、運転モードに関連付けられた回転数で送風機13を回転させる。
【0040】
このような二酸化炭素回収システム1によれば、例えば空調機Hによる空調機能がオフの状態であっても、指示信号に基づいてCO2回収を優先する運転モードMに切り替えることで、送風機13を回転させて、CO2の回収を促進することができる。したがって、CO2回収機能を改善することができる。
【0041】
運転モードMには、空調優先モードm1と、回収優先モードm2と、が含まれてもよい。空調優先モードm1において、制御部16は、回転数設定値テーブル(例えば
図3)によって規定される規定回転数RN11~RN66で送風機13を回転させてもよい。回収優先モードm2において、制御部16は、規定回転数RN11~RN66よりも大きい補正回転数で送風機13を回転させてもよい。この構成によれば、使用者が空調優先モードm1および回収優先モードm2を選択することができる。具体的には、騒音を抑制したい場合に空調優先モードm1を選択し、CO
2回収を優先したい場合に回収優先モードm2を選択できる。
【0042】
また、運転モードMには、中間モードm3がさらに含まれてもよい。中間モードm3において、制御部16は、規定回転数RN11~RN66と補正回転数との間の中間回転数で送風機を回転させてもよい。使用者は、騒音の発生を抑えつつCO2回収を促進したい場合に、中間モードを選択することができる。
【0043】
指示信号は、使用者による操作に基づいて制御部16に入力されてもよい。より具体的には、使用者による携帯端末6または操作部3の操作に基づいて、指示信号が制御部16に入力されてもよい。この場合、使用者は、携帯端末6または操作部3を操作し、空調優先モードm1、回収優先モードm2、中間モードm3のいずれかを選択する。そして、携帯端末6または操作部3から、選択された運転モードMに切り替えるための指示信号が制御部16に入力される。
【0044】
運転モードMの切り替えは、予め指定されたスケジュールに基づいて行われてもよい。例えば、使用者が携帯端末6または操作部3を操作し、運転モードMを回収優先モードm2とする日時を指定する。この場合、その日時が到来すると、制御部16が回収優先モードm2に対応した補正回転数で送風機13を回転させる。「予め指定されたスケジュール」は、例えば、特定の曜日の特定の時間であってもよい。例えば、使用者が不在の時間帯に回収優先モードm2となるよう指定することで、本来であれば空調機Hが稼働しない時間帯にも送風機13を回転させ、CO2の回収を促進することができる。
【0045】
また、運転モードMの切り替えは、空調機Hの過去の運転条件を参照してAIが生成した信号に基づいて実行されてもよい。この場合、AIは、例えば使用者が不在の時間帯を過去の運転条件から特定し、特定した時間帯において運転モードMを回収優先モードm2に切り替えるための指示信号を生成してもよい。あるいは、運転モードMを回収優先モードm2に切り替えることを推奨する通知を、AIが携帯端末6等に表示させ、使用者の認証を経てAIが指示信号を生成してもよい。
【0046】
また、二酸化炭素回収システム1は、室内機2が配置された室内のCO2濃度を検知するCO2センサ18をさらに備えてもよい。CO2回収装置20は、室内機2が有する送風機の上流側または下流側に配置されてもよい。CO2センサ18によって検知されたCO2濃度が上限値よりも高くなったときに、制御部16が回収優先モードm2を実行してもよい。この構成によれば、CO2濃度が高いときに送風機13の回転数が増加するため、CO2回収効率をさらに高めることができる。また、CO2濃度が下限値よりも低くなったときに、制御部16が空調優先モードm1を実行してもよい。
【0047】
また、一般的に、湿度が低いほどCO2回収の効率が高まる。そこで、二酸化炭素回収システム1は、CO2回収装置20が配置された室内または外気の湿度を検知する湿度センサ19をさらに備えてもよい。制御部16は、湿度センサ19によって検知された湿度が閾値よりも低くなったときに、回収優先モードm2を実行してもよい。この構成によれば、より効率よくCO2を回収することができる。
【0048】
また、制御部16は、電力の需給予測データに基づいて運転モードMを切り替えてもよい。例えば、電力の需要が低い期間には回収優先モードm2を実行してもよい。この場合、余剰電力を用いて送風機13を回転させ、CO2の回収を促進することができる。また、電力の需要が高い期間には空調優先モードm1を実行してもよい。この場合、送風機13の回転数を下げて消費電力を抑制できる。このように、電力の需給予測に応じて運転モードMを切り替えることで、環境負荷を低減することができる。需給予測データは、例えば、サーバ装置4から通信器17を介して制御部16に入力されてもよい。
【0049】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
例えば、回収装置20の構造は一例であり、変更可能である。具体例として、回収装置20は分離部23および循環機構25を有していなくてもよい。回収装置20は、少なくとも回収部21を有していれば、送風機13の風力を利用してCO2を回収することができる。分離部23が無い場合、例えば、CO2を吸着した吸着剤を回収部21から定期的に取り出し、新たな吸着剤を回収部21に補充してもよい。
【0051】
その他、上記した実施の形態あるいは変形例を、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…二酸化炭素回収システム 2…室内機 10…室外機 13…送風機 16…制御部 19…湿度センサ 20…回収装置 H…空調機
【要約】
本開示に係る二酸化炭素回収システムは、室内機および室外機を有する空調機と、前記室内機または前記室外機が有する送風機の下流側または上流側に配置され、前記送風機の風力を利用してCO2を回収する、CO2回収装置と、前記送風機を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、指示信号に基づきCO2回収に関する運転モードを切り替え、前記運転モードに関連付けられた回転数で前記送風機を回転させる。