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特許7674606縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器
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  • 特許-縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器 図1
  • 特許-縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-28
(45)【発行日】2025-05-09
(54)【発明の名称】縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/24 20060101AFI20250430BHJP
   B65D 5/40 20060101ALI20250430BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
B65D5/24 A
B65D5/40
B65D5/44 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024534510
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(86)【国際出願番号】 CN2022000084
(87)【国際公開番号】W WO2023108838
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-07-23
(31)【優先権主張番号】202123115969.8
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524218097
【氏名又は名称】シャントウ・サンマ・プラスティック・インダストリー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シャオジー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、カシ
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-025934(JP,U)
【文献】登録実用新案第3055618(JP,U)
【文献】特開昭51-082181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/24
B65D 5/40
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四辺形の形状を有する底面及び4つの側面から構成され、かつ、4つの前記側面の下側の辺が、それぞれ対応する第1折目線を介して前記底面の対応する4つの側辺に連設されている組立式紙容器であって、
隣接する2つの前記側面のうち、
第1の側面の両側部には外側貼合部分が設けられており、
第2の側面の両側部には内側貼合部分が設けられており、
前記外側貼合部分は、上下方向の高さを低くすべく前記外側貼合部分の上部を切り欠いて形成されており、
4つの前記側面の上側の辺には、巻き折り縁部が設けられており、
前記第1折目線に沿って折り曲げられて形成されたときに、前記内側貼合部分及び前記外側貼合部分が、それぞれ内側及び外側において互いに重なるように構成され
前記外側貼合部分と前記内側貼合部分との間には接合片が設けられており、
前記接合片の一方の側辺は、対応する第2折目線を介して前記外側貼合部分の側辺に連設されており、
前記接合片の下側の角部は、前記底面の対応する角部に連設され、
前記内側貼合部分は、前記接合片の上方において、前記外側貼合部分に向けて突出するように設けられた内側貼合フラップを含む、組立式紙容器。
【請求項2】
前記外側貼合部分には、その上側の辺から、上方に向けて突出する突出片が設けられている、請求項1に記載の組立式紙容器。
【請求項3】
対向する位置に設けられた2つの前記第1の側面から前記外側貼合部分を除いた部分は、上側の辺が短く下側の辺が長い台形であり、
対向する位置に設けられた他の2つの前記第2の側面は、上側の辺が長く下側の辺が短い台形である、請求項1に記載の組立式紙容器。
【請求項4】
前記接合片には、上方に開口する第1切欠きが設けられている、請求項に記載の組立式紙容器。
【請求項5】
前記第1切欠きは、U字またはV字の形状である、請求項に記載の組立式紙容器。
【請求項6】
前記巻き折り縁部は、第1帯状巻縁と第2帯状巻縁とを含み、
前記第1帯状巻縁の下側の辺が第4折目線を介して4つの前記側面の上側の辺に連設されており、
前記第1帯状巻縁の上側の辺が第5折目線を介して前記第2帯状巻縁の下側の辺に連設されている、請求項1に記載の組立式紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式紙容器、特に、縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの食品メーカーは、食品容器の洗浄にかかるコストや人手の削減、また、利便性や衛生等を考慮して、使い捨ての紙容器を使用して食品を収容している。
【0003】
使い捨て紙容器の製造過程では、紙容器は、リサイクル性や、環境保護の要求を満たすことなどの特性を考慮する必要があるため、通常、硬質板紙で作られている。現在の紙容器は底面と4つの側面とを含み、底面は四辺形の形状をしており、各側面の下側の辺はそれぞれ底面の対応する側辺に柔軟に接続されている。隣接する2つの側面の間の一方の側面の側辺には、粘着または熱融着によって他方の側面の側辺に貼り合わせられる接合用縁部が設けられている。このような紙容器の隣接する2つの側面の接合構造は、隙間が生じやすく、強度や耐久性が不十分であり、紙容器に高温の液状食品を収容した場合、接合用縁部の粘着剤が高温の液状食品により軟化し、隙間から液状食品が流出しやすくなり、油断すると使用者が火傷を負ってしまう。
【0004】
また、硬質板紙で作られた紙容器は、設計上の欠陥から紙容器の構造強度が低くなってしまうこともしばしばあり、重量のある食品や多量の食品を収容した際に紙容器が折れ曲がったり変形したりする可能性があり、酷い場合には紙容器から食品がこぼれ出たりするリスクもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、紙容器の液漏れを防止し、紙容器の構造全体の強度を向上させることである。また、頑丈で耐久性があり、より安全に使用することができるような、縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的な解決方法は、四辺形の形状を有する底面と4つの側面とから構成され、各側面の下側の辺が、それぞれ対応する第1折目線を介して底面の対応する側辺に連設されている、縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器において、隣接する2つの側面のうち、一方の側面の側辺には、当該側面と一体に連設された外側貼合フラップが設けられ、他方の側面の側辺には、当該側面と一体に連設された内側貼合フラップが設けられ、外側貼合フラップと、隣接する側面との間には、切欠きが設けられ、切欠きには、内側貼合フラップの下方に位置する接合片が設けられ、接合片の第1側辺は、対応する第2折目線を介して外側貼合フラップの側辺に連設され、接合片の第2側辺は、対応する第3折目線を介して隣接する側面の側辺に連設され、接合片の下側の角部は、底面の対応する角部に連設され、各側面の上側の辺にはいずれも巻き折り縁部が設けられ、紙容器は、各折目線に沿って折り曲げられて形成されている、ことを特徴とする紙容器である。
【0007】
通常、上記底面、側面、外側貼合フラップ、内側貼合フラップ、接合片は、いずれも硬質板紙を紙容器に必要な形状に一度に切り出し、第1折目線、第2折目線、第3折目線をプレス成形することにより構成され、硬質板紙の内面には防水膜層が複合されており、硬質板紙の外面は、各硬質板紙の外面の粘着を容易にするために、普通紙となっており、防水膜層が複合されていない。
【0008】
紙容器を折る際には、まず、硬質板紙上から紙容器の所定の形状を切り取り、次いで、底面、側面、外側貼合フラップ、内側貼合フラップ及び接合片の間に折目線の押し跡を形成し、次いで、折目線に沿って折り、接合片の外面を、隣接する側面の外面に貼り合わせ、接合片の内面を外側貼合フラップの内面の一部に貼り合わせ、外側貼合フラップの他の部分の内面を隣接する側面の外面に貼り合わせ、内側貼合フラップを隣接する側面の内面に貼り合わせ、粘着剤層を介して貼り合わせて紙容器の半製品状態に形成し、最後に、紙容器の各側面の巻き折り縁部を外側に巻き付けまたは折り付けて完成させる。
【0009】
上記接合片は、外側貼合フラップと、隣接する側面との間の切欠きを完全に塞ぎ、底面と側面との間に隙間が生じないようにすることで、優れた液漏れ防止の役割を果たすことが可能であり、また、内側貼合フラップが側面の側辺から外側に延出して形成されていることにより、内側貼合フラップの上側の辺を当該側面の上側の辺と重合させ、貼り合わせる際には、内側貼合フラップを隣接する側面の内面に貼り合わせ、隣接する2つの側面の巻き折り縁部を揃えさせる必要があり、内側貼合フラップの上側の辺と隣接する側面の巻き折り縁部とが重合するように縁巻きを行うことにより、内面と外面との接合が強化され、さらに、外側貼合フラップが隣接する側面の外面を補強することで、紙容器の側壁がより強固に貼り合わせられ、緩みが回避される。これにより、紙容器の構造全体の強度が向上し、この紙容器をより頑丈で耐久性のあるものにし、より安全に使用することができるようになる。各側面の上側の辺の巻き折り縁部は、縁巻き加工されることで紙容器の開口の縁巻き部となり、複数の紙容器を上下に積み重ねやすくする。
【0010】
好ましくは、本発明において、対向する位置に設けられた2つの側面においては、側面の形状は上側の辺が短く下側の辺が長い台形であり、当該側面の2つの側辺にはともに外側貼合フラップが設けられ、対向する位置に設けられた他の2つ側面においては、側面の形状は上側の辺が長く下側の辺が短い台形であり、当該側面の2つの側辺にはともに前記内側貼合フラップが設けられている。このように配置することで、隣接する2つの側面の面積は互いに補完し合って紙容器を囲むことができる。
【0011】
好ましくは、本発明において、接合片は、底面と、隣接する2つの側面と一体に形成されている。接合片を底面と、隣接する2つの側面と一体に連設することにより、紙容器に余分な隙間が生じないようにすることができる。
【0012】
好ましくは、本発明において、外側貼合フラップの上側の辺には、外側貼合フラップと一体に連設されている補強用接合片が設けられている。このように配置することで、貼り合わせる際に、補強用接合片が内側に折り曲げられ、補強用接合片の外面が隣接する側面の外面に粘着剤層を介して貼り合わせられ、外側貼合フラップと隣接する側面の外面との貼着性を強化することができる。
【0013】
好ましくは、本発明において、接合片には、上方に開口する第1切欠きが設けられている。第1切欠きを設けることにより、貼り合わせる際に接合片に皺が生じ、紙容器の側壁に外側へ凸出するこぶが発生するのを防止することができる。
【0014】
さらに好ましくは、本発明において、第1切欠きは、U字またはV字の形状である。
【0015】
好ましくは、本発明において、巻き折り縁部は、第1帯状巻縁と第2帯状巻縁とを含み、第1帯状巻縁の下側の辺が第4折目線を介して側面の上側の辺に連設され、第1帯状巻縁の上側の辺が第5折目線を介して第2帯状巻縁の下側の辺に連設されている。縁巻きの際に、第2帯状巻縁と、第1帯状巻縁とを順次外側に巻いて紙容器の縁巻き部を形成し、紙容器の開口の巻縁の耐圧強度を高める。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、先行技術に対して、このような縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器は、紙容器の液漏れを防止するとともに紙容器の構造全体の強度を向上させることができ、また、頑丈で耐久性があり、より安全に使用することができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の具体的な実施例における展開状態の構造を示す概略図である。
図2】本発明の具体的な実施例における組立状態の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面及び具体的な実施例と併せて本発明を具体的に説明する。
【0019】
図1~2に示すように、本実施例における縁巻き及び液漏れ防止加工がされた組立式紙容器は、四辺形の形状を有する底面1と4つの側面2とから構成され、各側面2の下側の辺が、それぞれ対応する第1折目線3を介して底面1の対応する側辺に連設され、隣接する2つの側面2のうち、一方の側面2の側辺には、当該側面2と一体に連設された外側貼合フラップ4が設けられ、他方の側面2の側辺には、当該側面2と一体に連設された内側貼合フラップ5が設けられ、外側貼合フラップ4と、隣接する側面2との間には、切欠き6が設けられ、切欠き6には、内側貼合フラップ5の下方に位置する接合片7が設けられ、接合片7の第1側辺は、対応する第2折目線8を介して外側貼合フラップ4の側辺に連設され、接合片7の第2側辺は、対応する第3折目線9を介して隣接する側面2の側辺に連設され、接合片7の下側の角部は、底面1の対応する角部に連設され、各側面2の上側の辺にはいずれも巻き折り縁部10が設けられ、紙容器は、各折目線に沿って折り曲げられて形成されている。
【0020】
通常、底面1、側面2、外側貼合フラップ4、内側貼合フラップ5、接合片7は、いずれも硬質板紙から紙容器に必要な形状に一度に切り取りし、第1折目線3、第2折目線8、第3折目線9をプレス成形することにより構成され、硬質板紙の内面には、防水膜層が複合されており、硬質板紙の外面は、各硬質板紙の外面の粘着を容易にするために、普通紙となっており、防水膜層が複合されていない。
【0021】
ここで、対向する位置に設けられた2つの側面2においては、側面2の形状は上側の辺が短く下側の辺が長い台形であり、当該側面2の2つの側辺にはいずれも外側貼合フラップ4が設けられ、対向する位置に設けられた他の2つ側面2においては、側面2の形状は上側の辺が長く下側の辺が短い台形であり、当該側面2の2つの側辺には、いずれも内側貼合フラップ5が設けられている。このように配置することで、隣接する2つの側面2の面積は互いに補完し合って紙容器を囲むことができる。
【0022】
接合片7は、底面1と、隣接する2つの側面2と一体に形成されている。接合片7を底面1と、隣接する2つの側面2と一体に連設することにより、紙容器に余分な隙間が生じないようにすることができる。
【0023】
外側貼合フラップ4の上側の辺には、補強用接合片11が設けられている。このように配置することで、貼り合わせる際に、補強用接合片11が内側に折り曲げられ、次いで、補強用接合片11の外面が隣接する側面2の外面に粘着剤層を介して貼り合わせられることにより、外側貼合フラップ4と隣接する側面2の外面との貼着性を強化することができる。
【0024】
接合片7には、上方に開口する第1切欠き71が設けられ、第1切欠き71は、Uの形状である。第1切欠き71を設けることにより、貼り合わせる際に接合片7に皺が生じ、紙容器の側壁に外側へ凸出するこぶが発生するのを防止することができる。
【0025】
巻き折り縁部10は、第1帯状巻縁101と第2帯状巻縁102とを含み、第1帯状巻縁101の下側の辺が第4折目線12を介して前記側面2の上側の辺に連設され、第1帯状巻縁101の上側の辺が第5折目線13を介して第2帯状巻縁102の下側の辺に連設されている。縁巻きの際に、第2帯状巻縁102と、第1帯状巻縁101とを順次外側に巻いて紙容器の縁巻き部を形成し、紙容器の開口の巻縁の耐圧強度を高める。
【0026】
紙容器を折る際には、まず、硬質板紙上から紙容器の所定の形状を切り取り、次いで、底面1、側面2、外側貼合フラップ4、内側貼合フラップ5及び接合片7の間に折目線の押し跡を形成し、次いで、折目線に沿って折り、接合片7の外面を、隣接する側面2の外面に貼り合わせ、接合片7の内面を外側貼合フラップ4の内面の一部に貼り合わせ、外側貼合フラップ4の他の部分の内面を隣接する側面2の外面に貼り合わせ、内側貼合フラップ5を隣接する側面2の内面に貼り合わせ、粘着剤層を介して貼り合わせて紙容器の半製品状態に形成し、最後に、紙容器の各側面2の巻き折り縁部10を外側に巻きまたは折り曲げて完成させる。
【0027】
上記接合片7は、外側貼合フラップ4と、隣接する側面2との間の切欠き6を完全に塞ぎ、底面1と側面2との間に隙間が生じないようにすることで、優れた液漏れ防止の役割を果たすことが可能となる。また、内側貼合フラップ5が側面2の側辺から外側に延出して形成されることにより、内側貼合フラップ5の上側の辺を当該側面2の上側の辺と重合させ、貼り合わせる際には、内側貼合フラップ5を隣接する側面2の内面に貼り合わせ、隣接する2つの側面2の巻き折り縁部10を揃えさせる必要がある。このとき、内側貼合フラップ5の上側の辺と隣接する側面2の巻き折り縁部10とが重合するように縁巻きを行うことにより、内面と外面との接合が強化され、さらに、外側貼合フラップ4が隣接する側面2の外面を補強することで、紙容器の側壁がより強固に貼り合わせられ、緩みが回避される。これにより、紙容器の構造全体の強度が向上し、本紙容器がより丈夫で耐久性のあるものとなり、より安全に使用することができるようになる。各側面2の上側の辺の巻き折り縁部10は、縁巻き加工されることで紙容器の開口の縁巻き部となり、複数の紙容器を上下に積み重ねやすくする。
【0028】
また、本明細書に記載の具体的な実施例は、各部分の名称等が異なっていてもよく、本発明の構想による構造、特徴及び原理に従って行われた同等または簡単な変更は、全て本発明の保護範囲内に含まれることを理解されたい。当業者は、記載された具体的な実施例に種々の変更または補足を加えることが可能であり、また、同様の方法で置き換えたりすることが可能であるが、本発明の構造から逸脱しない限り、または本特許請求の範囲に定義された範囲を超えない限り、それらは全て本発明の保護範囲に属するものとする。
図1
図2