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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-30
(45)【発行日】2025-05-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20250501BHJP
【FI】
A63F5/04 611A
A63F5/04 611B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023175499
(22)【出願日】2023-10-10
(65)【公開番号】P2025065954
(43)【公開日】2025-04-22
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100212923
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】森口 友樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 学
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-133486(JP,A)
【文献】特開2018-093893(JP,A)
【文献】特開2017-042427(JP,A)
【文献】特開2020-036710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技進行にかかる制御を行う第1制御基板と、
演出にかかる制御を行う第2制御基板と、
を備え、
前記第2制御基板は、
遊技機に電源が供給されることにより電圧が印加されるマイコンと、
前記マイコンの内部または外部に設けられた記憶部と、
前記マイコンの内部または外部に設けられたバスステートコントローラと、
を備え、
前記マイコンは、
前記遊技機において電断が発生した場合に、
割り込み処理実行されないように制御する不許可処理を実行することが可能であり、かつ、
前記不許可処理が実行された以降であって前記マイコンに印加される前記電圧が所定値以下になるまでの間に、所定演算を実行することが可能であり、
前記バスステートコントローラは、
前記マイコンによる前記所定演算の演算結果の前記記憶部への書き込み処理が完了した以降、ソフトウェアスタンバイモードにかかるフラグを前記マイコンがオンにすることにより、前記記憶部への書き込み処理が行われない停止状態に移行させることが可能であり
前記ソフトウェアスタンバイモードとは異なるスリープモードが設定された場合には、前記記憶部への前記書き込み処理が実行可能であり、かつ、
前記フラグがオンにされた場合には、前記マイコンに印加される電圧が前記所定値以下になるまで、前記停止状態が維持される、
遊技機。
【請求項2】
遊技進行にかかる制御を行う第1制御基板と、
演出にかかる制御を行う第2制御基板と、
を備え、
前記第2制御基板は、
遊技機に電源が供給されることにより電圧が印加されるマイコンと、
前記マイコンの内部または外部に設けられた記憶部と、
前記マイコンの内部または外部に設けられたバスステートコントローラと、
を備え、
前記マイコンは、
前記遊技機において電断が発生した場合に、
割り込み処理を実行しないように制御する不許可処理を実行することが可能であり、かつ、
前記不許可処理が実行された以降であって前記マイコンに印加される前記電圧が所定値以下になるまでの間に、所定演算を実行することが可能であり、
前記バスステートコントローラは、
前記マイコンによる前記所定演算の演算結果の前記記憶部への書き込み処理が完了した以降、前記記憶部への書き込み処理が行われない停止状態に移行させることが可能であり、かつ、
前記マイコンに印加される電圧が前記所定値以下になるまで、前記停止状態が維持され、
前記遊技機において電断が発生した場合において、前記不許可処理が実行された以降に、前記マイコンの動作状態にかかる情報が初期化されることが可能である、
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、少なくともメイン制御基板およびサブ制御基板を含む制御基板を備える遊技機が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
メイン制御基板は、遊技進行に直接的(例えば、回転リールの制御、出玉制御、転送要求)にかかわる処理を実行するために設けられている。
【0004】
また、サブ制御基板には、遊技進行に間接的(例えば、液晶画面の演出制御、電飾部のLED発光制御、スピーカの音声出力制御)にかかわる処理を実行するために設けられている。
【0005】
ここで、これらの制御基板は、遊技機に対する電圧の印加(供給)が停止された場合(遊技機に電断が発生した場合)には電断に応じた処理を実行し、復電が発生した場合には復電に応じた処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-081243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の制御基板においては、遊技機の電断/復電に応じた処理を実行するにあたり、ハードウェアおよび/またはソフトウェアでなんらかの不具合が生じることにより、前記処理に支障をきたすおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、電断/復電が発生した場合においても、制御基板で実行される処理に不具合が生じることを抑制することのできる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
遊技機に電源が供給されることにより電圧が印加されるマイコンと、
前記マイコンの内部または外部に設けられた記憶部と、
前記マイコンの内部または外部に設けられたバスステートコントローラと、
を備え、
前記マイコンは、
前記遊技機において電断が発生した場合に、
割り込み処理を実行しないように制御する不許可処理を実行することが可能であり、かつ、
前記不許可処理が実行された以降であって前記マイコンに印加される前記電圧が所定値以下になるまでの間に、所定演算を実行することが可能であり、
前記バスステートコントローラは、
前記マイコンによる前記所定演算の演算結果の前記記憶部への書き込み処理が完了した以降、前記記憶部への書き込み処理が行われない停止状態に移行させることが可能であり、かつ、
前記マイコンに印加される電圧が前記所定値以下になるまで、前記停止状態が維持される、
遊技機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電断/復電が発生した場合においても、制御基板で実行される処理に不具合が生じることを抑制することのできる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スロットマシンの正面図である。
図2】スロットマシンおよびカードユニットの構成を模式的に示すブロック図である。
図3】メイン制御基板、遊技価値制御基板およびサブ制御基板の接続/通信関係を説明する図である。
図4】サブ制御基板の構成を模式的に示す図である。
図5】スロットマシンに電断が発生してから復電するまでの時間経過とサブ制御基板への印加電圧との関係を示す図である。
図6】電断/復電処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図1図6を参照して説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更することができる。また、以下の説明において、「接続」には、接続対象同士が直接的に接続される場合と、接続対象同士が他の基板あるいは装置等を介して間接的に接続される場合と、が含まれる。
【0013】
本実施形態のスロットマシン1は、図1のとおり、物理的に実在するメダルが用いられずに、遊技価値の数量が電子データ(以下、「遊技価値データ」という)にて管理されるタイプの回胴式遊技機である。
【0014】
<カードユニット7の構成>
カードユニット7は、図2に示すとおり、スロットマシン1の外部においてスロットマシン1と通信可能に接続されている。
【0015】
また、カードユニット7は、その内部に、現実物品のメダルに代わる電子データとしての遊技価値データを記憶するカード70を格納することができる。
【0016】
なお、カードユニット7についての詳細は、従来のメダルレス機と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0017】
<スロットマシン1の構成>
本実施形態のスロットマシン1は、前述のとおり、現実物品であるメダルを用いることなく遊技を進行させることのできるメダルレス機である。本実施形態のスロットマシン1では、現実物品であるメダルに代えて、電子データとしての遊技価値データを用いて遊技が行われる。
【0018】
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を備える。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。この前面扉100は、遊技の進行中は施錠されている。
【0019】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0020】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ101、および電飾部102が設けられている。
【0021】
液晶画面3は、モニタLEDのほか、バックライトを備えており、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0022】
スピーカ101は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0023】
電飾部102は、LEDなどで構成されており、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0024】
リール窓200の下方には、操作部4、下部パネル103、前面底部104などが設けられている。下部パネル103には、スロットマシン1にかかるタイトルなどが表示されている。また、下部パネル103の裏側には、LEDの照明が配置されている。前面底部104には、遊技者の私物などを置くことができるようになっている。
【0025】
操作部4は、複数のストップスイッチ40(40a、40b、40c)、ベットスイッチ41、レバー42、デジタルカウンタ43、計数ボタン44、キャンセルボタン45、演出ボタン46を含む。
【0026】
操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0027】
各ストップスイッチ40a、40b、40cは、各回転リール20(20a、20b、20c)に対応して設けられている。ストップスイッチ40a、40b、40cは、回転リール20a、20b、20cが回転している間に、対応する回転リール20a、20b、20cの回転を停止させるための操作を受けつける。
【0028】
ストップスイッチ40a、40b、40cの内部には、ランプが設けられている。ランプは、例えばレバー42が操作されてから各回転リール20a、20b、20cが定常回転状態に到達するまでの間、ストップスイッチ40a、40b、40cが操作無効な状態である旨を発色(例えば、赤色)で示すことができる。また、ランプは、各回転リール20a、20b、20cが定常回転状態に到達してからストップスイッチ40a、40b、40cが操作されるまでの間、ストップスイッチ40a、40b、40cが操作有効な状態である旨を、前記発色とは異なる発色(例えば、青色)で示すことができる。
【0029】
ベットスイッチ41は、遊技者が遊技価値をベットする際に用いられる。なお、クレジットされている遊技価値およびベットされた遊技価値の数量は、スロットマシン1(媒体管理部620)で管理される。また、ベットスイッチ41には、その内部または周辺に、操作が有効な場合に点灯し、操作が無効な場合に消灯するランプが設けられている。
【0030】
レバー42は、回転リール20a、20b、20cを回転させるための操作を受けつけるスタートスイッチとして機能する。
【0031】
デジタルカウンタ43には、遊技価値のクレジット数、遊技価値の払い出し数(獲得数)などがデジタル表記される。遊技者は、デジタルカウンタ43を確認することで、所持している遊技価値の数量がどの程度であるかを遊技中に確認することもできる。
【0032】
計数ボタン44は、遊技価値データを媒体管理部620からカードユニット7へ転送するための、遊技者による操作を受けつけることができる。計数ボタン44が遊技者の操作を受けつけたとき、計数ボタン44にて転送信号が生成される。また、計数ボタン44は、その内部または周辺に、操作されていないときと、操作されているときとで、発光色または発光のオン/オフが変化するランプを備えている。
【0033】
キャンセルボタン45は、ベットされている状態(ベット状態)の遊技価値をベットされていない状態(非ベット状態)とするための、遊技者による操作を受けつけることができる。キャンセルボタン45が遊技者の操作を受けつけたとき、キャンセルボタン45にてキャンセル信号が生成される。その後、キャンセル信号を受信した媒体管理部620は、ベット状態の遊技価値データを非ベット状態として管理する。また、キャンセルボタン45は、その内部または周辺に、操作されていないときと、操作されているときとで、発光色または発光のオン/オフが変化するランプを備えている。
【0034】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、メニュー画面にて、電飾部101のLEDなどの光量設定、スピーカ102の音量設定、遊技データの確認、その他遊技に関する各種メニュー設定などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて遊技者により操作されることがある。遊技中に演出ボタン46が操作された場合には、演出に変化が生じる。
【0035】
また、演出ボタン46は、その内部または周辺に、さまざまな色およびパターンで発光することが可能なランプを備える。ランプは、演出ボタン46が操作有効な状態の場合は点灯され、操作無効な状態の場合には消灯される。
【0036】
なお、以下では、ストップスイッチ40a、40b、40c、ベットスイッチ41、計数ボタン44、および、キャンセルボタン45をまとめて「操作ボタン等47」という場合がある。
【0037】
また、筐体10の内部には、図2のとおり、リセットボタン51、設定変更ボタン52が設けられる。
【0038】
リセットボタン51は、各種エラーの解除および制御部6を構成するRAMの初期化の際に操作される。例えば、リセットボタン51が操作されたままスロットマシン1の電源がオフからオンに切り替えられると、媒体管理部620が管理している遊技価値の数量が「0」にクリアされるとともに、スロットマシン1の第2遊技状態は「一般遊技状態」に、遊技区間は「通常区間」に設定される。
【0039】
設定変更ボタン52は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つがスロットマシン1に設定される際に、店舗スタッフによって操作されるボタンである。例えば、スロットマシン1が設定変更モードに設定された状態でスロットマシン1の電源がオフからオンに切り替えられると、設定変更ボタン52は操作有効な状態となり、この状態で設定変更ボタン52が操作されると設定値の設定が可能となる。
【0040】
また、スロットマシン1は、図2に示すとおり、回転リールユニット2、および制御部6(メイン制御基板P1に搭載されるメイン制御部61、遊技価値制御基板P2に搭載される遊技価値制御部62、およびサブ制御基板P3に搭載されるサブ制御部63、で構成される)を備える。回転リールユニット2、および制御部6は、スロットマシン1に電圧を供給するための電源装置PS(図4参照)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0041】
回転リールユニット2は、図1および図2に示すとおり、3つの回転リール20a、20b、20cと、3つのステッピングモータ21a、21b、21cとを備える。
【0042】
回転リール20a、20b、20cの表面には、例えば、図柄(シンボル)が配置されている。回転リール20a、20b、20cの回転が停止したときに後述の有効ラインLに表示される図柄の組み合わせが、あらかじめ定められた図柄の組み合わせであるか否かを後述の遊技結果判定部612が判定することで、遊技が進行する。
【0043】
ステッピングモータ21a、21b、21cは、回転リール20a、20b、20cに対応して設けられており、対応する回転リール20a、20b、20cを駆動させる。
【0044】
ステッピングモータ21a、21b、21cは、回転リール20a、20b、20cの回転中にストップスイッチ40a、40b、40cが操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40(例えば、40a)に対応する回転リール20(例えば、20a)の回転を停止させる。
【0045】
これらの回転リール20a、20b、20cおよびステッピングモータ21a、21b、21cは、後述する回転リール制御部611によって、その回転および停止が制御される。
【0046】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、ベットスイッチ41を操作することによりクレジットされている遊技価値を使用して、スロットマシン1に遊技価値をベットする。スロットマシン1に所定数(例えば、3)の遊技価値がベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー42の操作、すなわち遊技を開始することが可能となる。
【0047】
図1は、有効ラインLが、左の回転リール20aではリール窓200内の上段、中の回転リール20bではリール窓200内の中段、右の回転リール20cではリール窓200内の下段で構成されている例である。
【0048】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ41、レバー42およびストップスイッチ40a、40b、40cなどを操作して、内部抽せん、入賞判定処理、遊技価値データの増減処理を含む、所定の遊技結果を得る一連の動作をいう。
【0049】
具体的には、遊技が開始可能な状態でレバー42が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、回転リール20a、20b、20cの回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40a、40b、40cのいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40(例えば、40b)に対応する回転リール20(20b)が停止する。すべての回転リール20a、20b、20cが停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定数の遊技価値の払い出し処理が実行される。これにより、1ゲームが終了する。
【0050】
なお、これらの所定の遊技結果が得られるまでの遊技の進行に関する情報の少なくとも一部(例えば、ベットスイッチ41が操作されたこと、レバー42が操作されたこと、ストップスイッチ40が操作されたこと、内部抽せんが実行されたこと、所定役が当せんしたこと、回転リールが回転したことなど)は、メイン制御基板P1に搭載されるメイン制御部61で管理される。
【0051】
<制御部6の構成>
前述のとおり、制御部6は、メイン制御基板P1に搭載されるメイン制御部61と、遊技価値制御基板P2に搭載される遊技価値制御部62と、サブ制御基板P3に搭載されるサブ制御部63と、で構成される。
【0052】
メイン制御基板P1、遊技価値制御基板P2、およびサブ制御基板P3は、それぞれ、マイコン、電圧供給部、電断・復電検出部、WDT(ウォッチドッグタイマ)、記憶部(ROM、RAM)を備える。
【0053】
以下に、メイン制御基板P1、遊技価値制御基板P2、およびサブ制御基板P3の接続関係および通信処理について、図3を用いて説明する。
【0054】
メイン制御基板P1、および、遊技価値制御基板P2は、ハーネスによって電気的に接続されており、双方向のシリアル通信が実行可能である。
【0055】
メイン制御基板P1から遊技価値制御基板P2へ送信される情報およびコマンドには、外端情報、設定変更中か否か、各種エラーに関するコマンド、ベットボタン41が操作されたことによる遊技価値のベット要求信号、当せん役に対応した遊技価値の払い出し要求信号、キャンセルボタン45が操作されたことによるベット解除処理の要求信号、計数ボタン44が操作されたことによる遊技価値の転送要求、などがある。
【0056】
遊技価値制御基板P2からメイン制御基板P1へ送信される情報およびコマンドには、コンプリート機能(後述)が作動した旨の情報、クレジット数が上限値(クレジット数が多すぎるため、遊技者に転送を促すための値)に達した旨の情報、カードユニット7とスロットマシン1との間の通信異常の有無に関する情報、メイン制御部61からの要求に対する各種応答、などがある。
【0057】
メイン制御基板P1、および、サブ制御基板P3は、ハーネスによって電気的に接続されているが、メイン制御基板P1からサブ制御基板P3への一方向でのシリアル通信のみが行われる。
【0058】
メイン制御基板P1からサブ制御基板P3へ送信される情報およびコマンドには、遊技価値に関する情報(例えば、遊技価値のベット/払い出し情報、AT中の遊技価値の獲得総数)、遊技状態および遊技区間などに関する情報、遊技開始/終了の旨の情報、役物作動開始/終了情報、各種エラーに関する情報、遊技者が操作ボタン等47を操作することが可能であるか否かの情報、などがある。
【0059】
遊技価値制御基板P2、および、サブ制御基板P3は、ハーネスによって電気的に接続されているが、遊技価値制御基板P2からサブ制御基板P3への一方向でのシリアル通信が行われる。
【0060】
遊技価値制御基板P2からサブ制御基板P3へ送信される情報およびコマンドには、後述するレンジ(MY)、コンプリート機能の作動を示す情報、コンプリート機能作動前の事前通知に関するコマンド、遊技価値の転送に関する情報(例えば、転送開始の旨、転送中、転送完了等)、クレジット数あるいは獲得数などを示す情報、クレジット数が上限に到達した旨の情報、クレジット数のバックアップエラーが発生している場合はそのエラー情報、遊技者が計数ボタン44などを操作することが可能であるか否かの情報、などがある。
【0061】
遊技の進行に伴って、レバー42、ストップスイッチ40a、40b、40c、計数ボタン44などの操作部4の機能がアクティブ化されるにあたっては、メイン制御基板P1および遊技価値制御基板P2からレバー42等への一方向でのシリアル通信が行われる。
【0062】
<電断/復電処理の説明>
以下では、本発明の電断/復電処理について説明する。なお、本実施形態では、電圧印加停止処理、割り込み処理の不許可処理、リセット処理、ソフトウェアスタンバイモードへの移行処理、をまとめて電断/復電処理としているが、それぞれの処理が別々に電断/復電処理として機能してもよい。
【0063】
<電圧印加停止処理の説明>
電圧印加停止処理(抑制処理の一例)について説明する。本実施形態では、サブ制御基板P3における電圧印加停止処理を説明するが、スロットマシン1は、メイン制御基板P1、および、遊技価値制御基板P2においても、サブ制御基板P3と同様に、本発明の電圧印加停止処理を実行することができる。
【0064】
サブ制御基板P3は、後述の演出制御部630が搭載される基板であり、図4のとおり、ROM631、電圧供給部632、電断・復電検出部633、WDT(ウォッチドッグタイマ)634、RAM635、マイコンMCU(バスステートコントローラBSCを含む)、インターフェース(I/F)i1~i4を備える。
【0065】
また、サブ制御基板P3は、液晶画面3(バックライトおよびモニタLEDを含む。以下、同じ)、スピーカ101、電飾部102のLEDほか、下部パネル103のLED、演出ボタン46のランプ、操作ボタン等47のランプなどのデバイスの動作を制御する。
【0066】
以下では、図4を用いて、スロットマシン1に対してどのように電源電圧が供給され、サブ制御基板P3に対してどのように電圧が印加されるかについて説明する。
【0067】
まず、図4のとおり、外部の交流電源ASから、スロットマシン1の電源装置PSに対して電圧が印加される。
【0068】
交流電源ASの交流電圧は、電源装置PSを経て直流電圧に変換される。
【0069】
そして、電源装置PSは、メイン制御基板P1、遊技価値制御基板P2、および、サブ制御基板P3に対して所定電圧(図5の例では、12V)の電圧を印加する。なお、本実施形態において所定電圧は、1種類であるが、2種類以上の場合もありうる。電源装置PSから2種類以上の電圧が出力される場合には、1つの制御基板ごとにすべての種類の電圧が印加されるのではなく、そのうちのいくつかの種類の電圧が印加されてもよい。また、制御基板によって印加される電圧が異なっていてもよい。
【0070】
なお、メイン制御基板P1はインターフェースi1を介して、また、遊技価値制御基板P2はインターフェースi2を介して、サブ制御基板P3に配置されるマイコンMCUに信号を送信する。
【0071】
電源装置PSは、インターフェースi3を介して、サブ制御基板P3(電圧供給部632、電断・復電検出部633)に電圧を印加する。
【0072】
電圧供給部632は、マイコンMCUのほか、液晶画面3のバックライト、液晶画面3のモニタLED、電飾部102のLED、下部パネル103のLED、スピーカ101、操作ボタン等47のランプ、演出ボタン46のランプ、および、これらを駆動させるためのドライバd1~d7などに印加するためのVCC電圧を生成する。なお、図4では、VCC電圧の供給先について、マイコンMCU以外は省略されている。
【0073】
電断・復電検出部633は、コンパレータおよび/またはオペアンプ等で構成され、電源装置PSが印加している直流電圧を監視する。図5のとおり、電源装置PSが印加する直流電圧が所定電圧よりも低い第1基準電圧(例えば、9V)以下となったとき、電断・復電検出部633は、スロットマシン1に電断が発生したことを検出する。また、電源装置PSが印加する直流電圧が所定電圧よりも低く第1基準電圧よりも高い第2基準電圧(例えば、10V)以上となったとき、電断・復電検出部633は、スロットマシン1が復電したことを検出する。
【0074】
マイコンMCUは、クロックパルス発信器(不図示)、CPU(Central Processing Unit/不図示)、内蔵メモリ(内蔵RAM/不図示)、内蔵周辺モジュール(不図示)、バスステートコントローラBSCなどで構成されている。本実施形態では、クロックパルス発信器(これとは異なり、クロックパルス発信器は外付けとすることもできる)などのほか、バスステートコントローラBSCも、マイコンMCUに内蔵されている。
【0075】
マイコンMCUは、サブ制御部63として動作するための主な役割を担っている。具体的には、マイコンMCUは、インターフェースi4を介して、液晶画面3のバックライト(デバイスの一部)を駆動させるドライバd1(デバイスの一部)、液晶画面3のモニタLED(デバイスの一部)を駆動させるドライバd2(デバイスの一部)、電飾部102のLED(デバイスの一部)を駆動させるドライバd3(デバイスの一部)、下部パネル103のLED(デバイスの一部)を駆動させるドライバd4(デバイスの一部)、スピーカ101(デバイスの一部)を駆動させるドライバ(アンプ)d4(デバイスの一部)、操作ボタン47等のランプ(デバイスの一部)を駆動させるドライバd6(デバイスの一部)、演出ボタン46のランプ(デバイスの一部)を駆動させるドライバd7(デバイスの一部)に、これらのデバイスの駆動・停止を制御するための制御信号を送信することができる。
【0076】
ここで、なんらかの理由で電源装置PSに交流電圧が印加されなくなり、スロットマシン1に電断が発生する場合がある。スロットマシン1に電断が発生した場合には、電源装置PSによる交流電圧の直流電圧への変換がなされないため、電源装置PSは、サブ制御基板P3などに直流電圧を印加することができなくなる。
【0077】
図5は、スロットマシン1において電断が発生してから復電するまでの時間経過と、電源装置PSが印加する直流電圧との関係を示す図である。前述のとおり、電断・復電検出部633は、電源装置PSから印加される直流電圧の値に基づいて、スロットマシン1に電断が発生したこと、および、スロットマシン1が復電したことを検出する。
【0078】
電断・復電検出部633は、スロットマシン1において電断が発生したことを検知したときに、マイコンMCUに電断検出信号を送信する。また、電断・復電検出部633は、スロットマシン1が復電したときに、マイコンMCUに復電検出信号を送信する。
【0079】
マイコンMCUは、電断・復電検出部633からの電断検出信号を受信した場合には、サブ制御基板P3に搭載されるRAM635についての第1SUM値を計算し、バスステートコントローラBSCに、その計算結果をRAM635の終端に記憶させる(以下では、「バックアップ処理」という場合がある)。このSUM値とは、ファイルの同一性を確認するためのチェックサムに用いられるものであり、データ列を整数値の列とみなして和を求め、これをある定数で割った余り(余剰)を検査用データとするものである。
【0080】
マイコンMCUは、スロットマシン1の電断が検出されてから、マイコンMCUに印加されるVCC電圧が0Vになるまでの間(図5における「第1SUM値の計算・記録可能時間」)に、第1SUM値を計算し、計算結果である第1SUM値をRAM635に記憶させる必要がある(バックアップ処理を完了させる必要がある)。
【0081】
一方、スロットマシン1の復電が発生した場合には、マイコンMCUは、サブ制御基板P3のRAM635の第2SUM値を計算する。
【0082】
第1SUM値と第2SUM値とが一致する場合は、正常終了処理として扱われ、スロットマシン1の正常な起動処理が実行される。
【0083】
一方、第1SUM値と第2SUM値とが一致しない場合には、異常終了処理として扱われる。これにより、店舗スタッフは、異常終了処理に対して迅速に対応することができる。この場合において、単なるプログラムの異常終了ではなく、例えばRAMの書き換えなどの不正な処理(例えば、いわゆるゴト)がなされていた場合には、店舗スタッフは、当該ゴトに対しても適切に対応することができる。
【0084】
このように、スロットマシン1の電断が発生したときに実行されるバックアップ処理(第1SUM値の計算・記録)は、マイコンMCUの重要な機能の1つである。
【0085】
一方で、前述のとおり、マイコンMCUは、電圧供給部632からのVCC電圧の供給先のデバイス(サブ制御基板P3が管理しているスピーカ101、電飾部102のLED、下部パネル103のLED、操作ボタン等47のランプ、演出ボタン46のランプなど)の動作を制御する。
【0086】
ここで、スロットマシン1の電断が発生した場合において、電圧供給部632からのVCC電圧の供給先が多いほど(すなわち、消費電力が大きいほど)、VCC電圧に対する負荷が多いことから、供給されるVCC電圧の下降速度が速くなる。
【0087】
そこで、スロットマシン1の電断が発生した場合に、マイコンMCUは、バックアップ処理(マイコンMCUの第1SUM値の計算・記録)に不必要なデバイス(液晶画面3のバックライト、電飾部102のLED、スピーカ101など)への電圧印加停止処理(キル。抑制処理の一例)を実行する。
【0088】
具体的には、マイコンMCUは、VCC電圧の供給先のうち、例えば、電飾部102のLEDのドライバd3への電圧印加を停止することで、ドライバd3を停止させ、結果的に電飾部102のLEDを消灯させることができる。また、マイコンMCUは、スピーカ102のドライバd5への電圧印加を停止することで、ドライバd5を停止させ、結果的にスピーカ102からのサウンド出力を停止させることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、図4のとおり、マイコンMCUが電圧印加停止処理を実行する優先順位が決められている。図4では、星の数が多いほど優先順位が高いことを意味している。具体的には、例えば、液晶画面3のバックライトの星は7つであり、液晶画面3のモニタLEDの星は6であるため、液晶画面3のバックライトのほうが液晶画面3のモニタLEDよりも電圧印加停止処理の優先順位が高い。同様に、例えば、下部パネル103のLEDの星は4つであり、演出ボタン46のランプの星は1つであるため、下部パネル103のLEDのほうが演出ボタン46のランプよりも電圧印加停止処理の優先順位が高い。
【0090】
この優先順位は、デバイスの消費電力の大きさ(負荷の大きさ)に基づいて、あらかじめ決定されている。すなわち、VCCの供給先であるVCC電圧に対する負荷のうち、液晶画面3のバックライトの負荷が、マイコンMCUが制御するデバイスの中で一番大きいため、消費電力の大きいデバイスの優先順位が一番高くなるように設定されている。すなわち、消費電力が大きいデバイスほど、高い優先順位が割り振られている。この優先順位に従って、最初に液晶画面3のバックライトの電圧印加停止処理が実行され、次に液晶画面3のモニタLEDの負荷が大きいため、2番目にモニタLEDの電圧印加停止処理が実行される。なお、この優先順位の決定の際に考慮される消費電力は、各デバイスが駆動していると仮定した際の消費電力の平均値または最大値とすることができる。消費電力の平均値または最大値については、試験的に駆動させた際の実測値が用いられてもよいが、机上計算による理論値が用いられてもよい。
【0091】
また、これとは異なり、電断が発生した際のスロットマシン1の状態(例えば、遊技状態)に応じて、電圧印加停止処理が実行される優先順位が変更されてもよい。
【0092】
この場合には、例えば特別遊技(AT)中であって、電飾部102のLEDが点灯している場合には、最初に電飾部102のLEDの電圧印加停止処理を実行し、遊技者がカスタマイズによりサウンド音量を上げる設定をしている場合などには、最初にスピーカ102の電圧印加停止処理を実行する、などのように、マイコンMCUは、電圧印加停止処理を実行する優先順位を変更することができてもよい。マイコンMCUが優先順位を変更する際には、あらかじめ決められたデフォルトの優先順位が用意されており、電断が発生した際のスロットマシン1の実際の状態に応じて優先順位を変化することができる。なお、デフォルトの優先順位は、前述のとおり、机上計算の消費電力に基づいて決めることができる。また、各デバイスは、駆動している間の消費電力が常に一定というわけではない可能性がある。例えば、遊技者がサウンド音量を上げていればその分消費電力がアップする可能性があるため、この場合には、スピーカ102に対して最初に電圧印加停止処理を実行することができる。このようにすることで、実際のデバイスの動作状況に応じて優先順位を上げ下げすることができる。
【0093】
電圧印加停止処理が実行されることで、当該処理の対象となったデバイスへのVCC電圧の供給が停止する。これにより、停止されたデバイスの分、VCC電圧を電力源として動作する対象が電圧印加停止処理前よりも減る。そのため、VCC電圧に対する負荷が減少し、電圧印加停止処理を行う前よりもVCC電圧についての消費電力を減らすことができる。このように消費電力を軽減することにより、結果としてVCC電圧の下降速度を遅くすることができ、マイコンMCUは、バックアップ処理を完了させるまでの時間を確保することができる。これにより、マイコンMCUは、その間に、バックアップ処理を完了させやすくなる。
【0094】
なお、マイコンMCUに対する割り込み処理、および、WDT634との間で信号の送受信が発生する場合には、前記のとおり消費電力を軽減することによっても、マイコンMCUでのバックアップ処理に支障をきたすおそれがある。
【0095】
そこで、本実施形態では、マイコンMCUは、電圧印加停止処理を実行するに先立って、割り込み処理の不許可処理、および、WDT634に対するリセット処理を実行する。以下に、詳細に説明する。
【0096】
<割り込み処理の不許可処理およびリセット処理の説明>
スロットマシン1は、電断・復電検出部633において、スロットマシン1の電断が発生したことが検知された場合に、マイコンMCUへの割り込み処理が発生することでマイコンMCUでのバックアップ処理に支障をきたすことを抑制することができる。
【0097】
具体的には、マイコンMCUは、デバイスに対する電圧印加停止処理を実行する前に、マイコンMCUに対するすべての割り込み処理を禁止する処理を実行する。これにより、マイコンMCUに対して割り込み処理が発生することがなくなり、マイコンMCUは、バックアップ処理に専念することができるようになる。
【0098】
また、サブ制御基板P3上において、マイコンMCUには、図4のとおり、WDT634が外部接続されている。このWDT634は、マイコンMCUが正常に動作しているか否かを監視するために設けられるものである。WDT634は、マイコンMCUと通信し、一定期間内にマイコンMCUからの信号が無い、あるいは、マイコンMCUからの信号入力が多すぎる場合などに、マイコンMCUが異常状態となっているとみなし、マイコンMCUをリセットする機能を持つ。
【0099】
このようにWDT634が存在することで、マイコンMCUが暴走したりすることを抑制することができる反面、マイコンMCUがWDT634と定期的に信号の送受信を行う必要が生じる。この場合には、マイコンMCUは、WDT634との信号の送受信に時間を割かれ、バックアップ処理のための時間を十分に確保することができない可能性がある。これにより、マイコンMCUのバックアップ処理に支障をきたしてしまうおそれがある。
【0100】
そこで、本実施形態では、マイコンMCUは、すべての割り込み処理の不許可処理を実行した以降に、WDT634がカウントしているタイマ(監視タイマ)をリセット(リセット処理)する。これにより、マイコンMCUがしばらく応答しない場合であっても、WDT634のタイマがオーバーフローしてしまうことを抑制し、WDT634がマイコンMCUをリセットすることがないようにすることができる。
【0101】
なお、割り込み処理の不許可処理、リセット処理、および電圧印加停止処理が実行され、マイコンMCUがバックアップ処理を完了させた場合であっても、さらに、後述するような問題が生じうる。そこで、本実施形態では、バックアップ処理が完了した以降に、マイコンMCUによるソフトウェアスタンバイモードへの移行処理が実行される。以下、ソフトウェアスタンバイモードへの移行処理について説明する。
【0102】
<ソフトウェアスタンバイモードへの移行処理の説明>
前述のとおり、マイコンMCUは、クロックパルス発信器、CPU、バスステートコントローラBSCなどを含む。このうち、バスステートコントローラBSCは、各種メモリ(RAM635を含む)および各種デバイスへの制御信号の書き込み処理、読み込み処理を実行する。前述のとおり、バスステートコントローラBSCは、マイコンMCUが計算した第1SUM値をRAM635の終端に書き込む処理を実行する重要な機能を担っている。
【0103】
ここで、スロットマシン1の電断が発生した場合には、電源装置PSから印加される電圧が降下することにより、電圧供給部632で生成されるVCC電圧も降下する。この場合には、マイコンMCUは、降下するVCC電圧を電力源としているため、動作が不安定となり、誤動作が発生しやすくなる。その結果、バックアップ処理終了後にもかかわらず、バスステートコントローラBSCによる、RAM635への第1SUM値の書き込み処理が意図せずに実行される場合がある。意図しない書き込み処理によって第1SUM値が不正確な値に書き換えられた場合には、スロットマシン1の復電後に第1SUM値と第2SUM値とが異なる値となり、異常終了処理として扱われる。
【0104】
そこで、本実施形態では、マイコンMCUは、バックアップ処理が完了したときに、クロックパルス発信器、内蔵周辺モジュール、バスステートコントローラBSCなどを制御するためのモードを、ソフトウェアスタンバイモードに移行させる(移行処理を実行する)。このソフトウェアスタンバイモードとは、マイコンMCUを構成するクロックパルス発信器、CPU、バスステートコントローラBSCなどを一度に停止させるモードである。
【0105】
このように、マイコンMCUが移行処理を実行した場合には、バスステートコントローラBSCが駆動しないようにすることができる。そのため、RAM635に対する、バスステートコントローラBSCによる意図しない第1SUM値の書き込み処理を防止することができる。
【0106】
なお、通常時は、ソフトウェアスタンバイモードはオフ(フラグが立っていない状態)になっている。マイコンMCUは、バックアップ処理が完了したときに、ソフトウェアスタンバイモードをオンにする(1ビットを立てる)。これにより、ソフトウェアスタンバイモードのフラグが立ち、マイコンMCUは、クロックパルス発信器、CPU、バスステートコントローラBSCなどの機能のすべてを、一度に停止させることができる。
【0107】
そして、マイコンMCUは、それ以降、ソフトウェアスタンバイモードをオンにしたままの状態を維持して、スロットマシン1の電断が完了するまで(マイコンMCUに印加される電圧が0Vとなるまで)待機する。
【0108】
<電断/復電処理による効果>
以上のとおり、スロットマシン1に電断が発生することが検知された場合に、マイコンMCUは、まず、マイコンMCUに対するすべての割り込み処理の不許可処理(電断/復電処理の1つ)を実行する。これにより、マイコンMCUに対する割り込み処理が発生することを防止することができる。その結果、マイコンMCUはバックアップ処理を実行するための時間を確保することができる。
【0109】
ついで、マイコンMCUは、リセット処理(電断/復電処理の1つ)を実行し、WDT634のタイマをリセットする。これにより、マイコンMCUがWDT634と頻繁に信号の送受信をする必要がなくなり、バックアップ処理を実行するための時間をより確保することができる。
【0110】
ついで、マイコンMCUは、マイコンMCUに印加される電圧が0Vになるまでの間に、デバイスに対して電圧印加停止処理を実行する。これにより、バックアップ処理を実行するための時間をより確保することができる。
【0111】
また、マイコンMCUは、バックアップ処理を完了させた以降に、スロットマシン1の電断が完了するまで、移行処理(電断/復電処理の1つ)を実行する。これにより、バスステートコントローラBSCによる、RAM635への第1SUM値の意図しない書き込み処理が発生することを防止することができる。
【0112】
なお、このソフトウェアスタンバイモードは、スリープモード(CPUおよび内蔵周辺モジュールを停止させるモード)とは異なる。スリープモードでは、マイコンMCUは、バスステートコントローラBSCを停止させることができない。そのため、ソフトウェアスタンバイモードに代えて、スリープモードが適用された場合には、スロットマシン1の電断が完了するまでにバスステートコントローラBSCによって意図しない書き込み処理が発生するおそれがある。
【0113】
<メイン制御部61の説明>
メイン制御部61は、メイン制御基板P1に搭載され、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、設定値制御部613、区間制御部614、遊技状態制御部615(制御部の一例)、RT状態制御部616、エラー判定部617として機能する。
【0114】
<内部抽せん部610>
内部抽せん部610は、レバー42の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせることが可能である。
【0115】
<回転リール制御部611>
回転リール制御部611は、レバー42または各ストップスイッチ40a、40b、40cの操作に基づいて、ステッピングモータ21a、21b、21cの駆動を制御し、各回転リール20a、20b、20cの回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行うことが可能である。
【0116】
<遊技結果判定部612の説明>
遊技結果判定部612は、内部抽せん部610から出力された内部抽せん結果信号と、各回転リール20の回転が停止したときにリール窓200を通して見える図柄とに基づいて、遊技の結果を判定することが可能である。
【0117】
<設定値制御部613の説明>
設定値制御部613は、店舗スタッフによる設定変更ボタン52への操作に基づいて、遊技の進行制御の有利度が異なる複数種類の設定値(例えば、1~6)のうちいずれか1つの設定値を用いて遊技進行を行うことが可能である。
【0118】
<区間制御部614>
区間制御部614は、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定することで遊技進行を行うことが可能である。
【0119】
<遊技状態制御部615>
遊技状態制御部615は、第1遊技状態(例えば、特別役実施中、特別役内部中)および第2遊技状態(例えば、一般遊技状態、AT、CZなどの特別遊技状態)それぞれの設定を行うことで遊技進行を行うことが可能である。
【0120】
<RT状態制御部616>
RT状態制御部616は、複数のRT状態(内部抽せんに用いられるテーブル、および、あらかじめリプレイ確率、が定められたRT状態)のうちの1つのRT状態を用いて遊技進行を行うことが可能である。
【0121】
<エラー判定部617>
エラー判定部617は、各種エラーの有無を判定することが可能である。各種エラーとしては、バックアップ異常、メイン制御基板P1と遊技価値制御基板P2との間の通信異常、スロットマシン1とカードユニット7との間の接続異常、クレジット数の上限値到達、などが挙げられる。
【0122】
<遊技価値制御部62の説明>
遊技価値制御部62は、遊技価値制御基板P2に搭載され、媒体管理部620、機能作動部621として機能する。
【0123】
<媒体管理部620の説明>
媒体管理部620は、遊技価値のクレジット数およびベット数を管理することが可能である。また、媒体管理部620は、前回スロットマシン1の電源がオンにされてからの、遊技価値の払い出し数から遊技価値のベット数を差し引いた数の累積値である遊技価値の差数を用いて、差数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。
【0124】
<機能作動部621>
機能作動部621は、媒体管理部620から送信されたレンジ(MY)に関する情報を受信することが可能である。そして、機能作動部621は、レンジ(MY)が例えば18500である第1レンジ以上となったときに、コンプリート機能の作動が近いことを示す事前通知に関する情報を生成する。
【0125】
このコンプリート機能とは、いわゆる打ち止めの機能であり、コンプリート機能が作動した場合には、スロットマシン1は遊技に関する操作を受けつけなくなり、店舗スタッフによって電源がオフ、オンされない限り、遊技者は遊技を続行することができなくなる(遊技不可状態となる)。
【0126】
<サブ制御部63の説明>
サブ制御部63は、サブ制御基板P3に搭載され、マイコンMCUによるROM631、RAM635などを用いた動作により、演出制御部630として機能する。
【0127】
<演出制御部630>
演出制御部630は、演出抽せんを実行することで、液晶画面3にて出力される動画/静止画、スピーカ101から出力されるサウンドパターン、LEDなどの電飾部102の発光パターン、演出ボタン46の発光パターンなどの少なくとも1つを演出パターンとして決定することが可能である。
【0128】
<電断/復電処理の流れ>
図6を用いて、本発明の電断/復電処理の流れを説明する。
【0129】
電断・復電検出部633においてスロットマシン1の電断(電源装置PSから印加される電圧が第1基準電圧以下となったこと)が検出されたこと(ステップS101)に基づいて、マイコンMCUは、まず、マイコンMCUに対するすべての割り込み処理の不許可処理を実行する(ステップS102)。
【0130】
ついで、マイコンMCUは、WDT634に対してリセット処理を実行する(ステップS103)。具体的には、マイコンMCUは、WDT634がカウントしているタイマをリセットする。
【0131】
ついで、マイコンMCUは、電圧印加停止処理を実行し、すべてのドライバd1~d7に対して電圧印加を停止するための処理として、1つの停止フラグを生成する。この停止フラグが生成されることで、デバイス(例えば、液晶画面3のバックライト、電飾部102のLEDなど)ごとにあらかじめ定められた優先順位で、デバイスに対して電圧印加停止処理が実行される。
【0132】
電圧印加停止処理により、まず、液晶画面3のバックライトのドライバd1への電圧印加が停止され、液晶画面3のバックライトが消灯される(ステップS105)。
【0133】
ついで、図4の優先順位に従って、液晶画面3のモニタLEDのドライバd2への電圧印加が停止されたことに伴い、液晶画面3のモニタLEDが消灯される(ステップS106)。
【0134】
ついで、図4の優先順位に従って、電飾部102のLEDのドライバd3への電圧印加が停止され、電飾部102のLEDが消灯される(ステップS107)。
【0135】
ついで、図4の優先順位に従って、下部パネル103のドライバd4への電圧印加が停止され、下部パネル103のLEDが消灯される(ステップS108)。
【0136】
ついで、図4の優先順位に従って、スピーカ101のドライバd5への電圧印加が停止され、スピーカ101が停止される(ステップS109)。これにより、スピーカ101のマスターボリュームがミュートされ、サウンドが停止する。
【0137】
ついで、図4の優先順位に従って、操作ボタン等47のドライバd6への電圧印加が停止され、操作ボタン等47のランプが消灯される(ステップS110)。
【0138】
そして、図4の優先順位に従って、最後に演出ボタン46のドライバd7への電圧印加が停止され、演出ボタン46のランプが消灯される(ステップS111)。
【0139】
ついで、マイコンMCUは、メニュー履歴をRAM635に記録する(ステップS112)。マイコンMCUは、メニュー履歴として、例えば、これまでの遊技数、これまでのAT初当たり数、これまでに遊技したATの種類/回数、これまでに遊技したボーナスの回数、ナビボイス用のキャラクタが選択されている場合にはその設定など、をRAM635に記録する。
【0140】
ついで、マイコンMCUは、バックアップ処理を実行(マイコンMCUが、第1SUM値を計算し、バスステートコントローラBSCに、RAM635へ第1SUM値を記録させる)する(ステップS113)。
【0141】
ついで、バックアップ処理が完了した以降に、マイコンMCUは、移行処理を実行し、バスステートコントローラBSCなどを制御するためのモードをソフトウェアスタンバイモードに移行させる(ステップS114)。
【0142】
これにより、マイコンMCUは、マイコンMCUのクロックパルス発信器、CPU、内蔵メモリ、内蔵周辺モジュール、バスステートコントローラBSCを停止させることができる。具体的には、マイコンMCUは、ソフトウェアスタンバイモードのフラグを立てることで、クロックパルス発信器、バスステートコントローラBSCなどの機器を一度に停止させることができる。移行処理が実行された以降は、マイコンMCUは、スロットマシン1の電断が完了するまでソフトウェアスタンバイモードを維持する。
【0143】
ついで、スロットマシン1の電断が完了した(ステップS115)以降に、電源装置PSが印加する電圧が第2基準電圧以上となったことにより、電断・復電検出部633は、スロットマシン1の復電を検出する(ステップS116)。これ以降の任意のタイミングで、マイコンMCUは、例えば、電圧印加停止処理の優先順位の低いデバイスから電圧を印加する、優先順位の高いデバイスから電圧を印加する、あるいは、すべてのデバイスに同時に電圧を印加する、などの制御を実行することができる。なお、優先順位の高いデバイスからVCC電圧が印加される場合には、消費電力が多いものほど担う役割が大きく、早いうちに動いたほうがよいデバイスであるため、前記の問題を解消しながらもスロットマシン1の正常状態への復帰に貢献することができる。一方、優先順位の低いデバイスからVCC電圧が印加される場合には、電源復帰時にVCC電圧が徐々に高くなる。したがって、消費電力の小さいものから立ち上げられることで、VCC電圧への負荷の影響を軽減させて、スロットマシン1の正常状態への復帰を図ることができる。
【0144】
ついで、マイコンMCUは、RAM635の第2SUM値を計算する(ステップS117)。
【0145】
ついで、ステップS113のバックアップ処理によってRAM635に記録された第1SUM値と、ステップS117によって計算された第2SUM値とが一致するか否か、によってフローが分岐する(ステップS118)。
【0146】
第1SUM値と第2SUM値とが一致する場合には、正常終了処理として扱われ(ステップS119)、その後、処理は終了する。
【0147】
一方、第1SUM値と第2SUM値とが一致しない場合には、異常終了処理として扱われ(ステップS120)、その後、処理は終了する。
以上の手順により、本発明の電断/復電処理が実行される。
【0148】
以上をまとめると、本発明のスロットマシン1は、
スロットマシン1に電源が供給されることにより電圧が印加されるマイコンMCUと、
マイコンMCUの外部に設けられたRAM635と、
マイコンMCUの内部に設けられたバスステートコントローラBSCと、
を備え、
マイコンMCUは、
スロットマシン1において電断が検出された場合に、
割り込み処理を実行しないように制御する不許可処理(割り込み処理の不許可処理)を実行することが可能であり、かつ、
割り込み処理の不許可処理が実行された以降であってマイコンMCUに印加される電圧が所定値(0V)以下になるまでの間に、所定演算(第1SUM値の計算・記録にかかるバックアップ処理)を実行することが可能であり、
バスステートコントローラBSCは、
マイコンMCUによるバックアップ処理が完了した以降、RAM635への書き込み処理を行うことができない停止状態(ソフトウェアスタンバイモード)に移行させる(移行処理を実行する)ことが可能であり、かつ、
マイコンMCUに印加される電圧が所定値(0V)以下になるまで、ソフトウェアスタンバイモードが維持される。
【0149】
<発明の効果>
従来の遊技機においては、電断が完了するまでにマイコンが第1SUM値をRAMに記録させた場合であっても、遊技機が復電する際などに、なんらかの障害(例えば、電源電圧の低下時にマイコンが不安定になり、誤動作が生じてしまう)が発生して、RAMに記録された第1SUM値が意図しない値に書き換えられる場合があった。
【0150】
これに対して、本発明では、スロットマシンの電断が発生したときに、まず、マイコンは、マイコンへのすべての割り込み処理を禁止(不許可処理を実行)する。その後、マイコンは、第1SUM値を計算し、バスステートコントローラに、第1SUM値をRAMに記録させる。ついで、マイコンは、移行処理を実行して、制御モードをソフトウェアスタンバイモードに移行させ、スロットマシンの電断が完了するまで(マイコンに印加される電圧が0Vになるまで)、ソフトウェアスタンバイモードを維持する。
【0151】
そのため、マイコンがバックアップ処理を実行する時間を確保することができるとともに、バックアップ処理の完了以降に、バスステートコントローラが第1SUM値を書き換えてしまうことを防止することができる。これにより、スロットマシンが復電したときに、第1SUM値と第2SUM値とが一致せず、異常終了処理として扱われてしまうという不具合を防止することができる。
【0152】
以上により、本発明によれば、電断/復電が発生した場合においても制御基板で実行される処理に不具合が生じることを抑制することのできる遊技機を提供することができる。
【0153】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更することができる。また、各実施形態において説明した各種制御手段および処理手順、処理内容は、単体で構成したり、適宜組み合わせたりすることも可能である。
【0154】
また、本明細書にて使用される各種定義は、実施例ごとに特段の断りがなされない限り、明細書全体で共通に使用されるものである。
【0155】
前記実施形態では、マイコンは、消費電力(負荷)が大きいデバイスから順に電圧印加を停止する例が記載されているが、本発明はこれには限られない。例えば、マイコンは、消費電力が小さいデバイスから順に電圧印加を停止してもよい。前記実施形態の優先順位の例では、消費電力が一番小さい演出ボタンのランプの優先順位が一番低かったが、この場合には、演出ボタンのランプの優先順位が一番高くなり、消費電力が一番大きい液晶画面のバックライトの優先順位が一番低くなる。
【0156】
また、前記実施形態では、デバイスのドライバへの電圧印加が停止されることで、結果的にデバイスを停止させる例が記載されているが、本発明はこれには限られない。例えば、マイコンは、電圧印加停止処理を、デバイスのドライバに対してではなく、ドライバの接続先であるデバイスに対して直接的に実行することで、当該デバイスを停止させることができてもよい。
【0157】
なお、図6ではステップS105からステップS111までの処理が別々に実行される例が記載されているが、ステップS105からステップS111までの処理がすべて同時に(同一タイミングで)実行されてもよい。
【0158】
ただし、ステップS105からステップS111までの処理がすべて同時に実行される場合には、電源電圧のGND(グランド)が揺れてしまうことにより、マイコンにノイズが発生してしまうおそれがある。そのため、例えば、ステップS105およびステップS106の処理が最初に同時に実行され、次に、ステップS107からステップS109までの処理が同時に実行され、最後に、ステップS110およびステップS111の処理が同時に実行される、などのように、デバイスへの電圧印加が停止されるタイミングが、デバイス(あるいはデバイスグループ)ごとに異なることが好ましい。
【0159】
また、前記実施形態とは異なり、フラグを立てることでクロックパルス発信器、CPU、バスステートコントローラなどを1度に停止させるためのソフトウェアスタンバイモードがマイコンに搭載されていない場合には、マイコンは、バスステートコントローラ単体を停止する処理を実行することができればよい。この処理によっても、バスステートコントローラによる第1SUM値のRAMへの意図しない書き込み処理を防止することができる。
【0160】
なお、マイコンがバスステートコントローラ単体を停止することができる場合には、マイコンは、クロックパルス発信器、CPUなどを停止しなくてもよいが、誤動作が発生することを抑制するために、これらを停止することができてもよい。
【0161】
また、前記実施形態に限られず、バスステートコントローラによって第1SUM値のRAMへの書き込み処理(バックアップ処理)が完了した以降に、マイコンが液晶画面のバックライトなどの電圧印加停止処理を実行してもよい。
【0162】
前記実施形態に限られず、スロットマシンの電断が発生したときに、すでにオフ状態となっているデバイスがある場合には、マイコンは、そのデバイスに対して電圧印加停止処理を実行しなくてもよい。
【0163】
また、スロットマシンの復電が発生したときに、マイコンは、液晶画面のバックライト、電飾部のLEDなどを一斉にオンにするのではなく、最後に電圧印加停止処理を実行したデバイス(前記実施形態の例では、消費電力が一番小さい演出ボタンのランプ)から順にオンされるようにしてもよい。この場合には、最初に電圧印加停止処理が実行されたデバイス(前記実施形態の例では、消費電力が一番大きい液晶画面のバックライト)が最後にオンされる。
【0164】
これは、スロットマシンの復電が発生したときに、VCC電圧の負荷が一度に大きくなった場合には、電圧供給部などが劣化する、あるいは、一挙に回路に電流が流れることによりGNDが揺れてノイズが発生することでマイコンに悪影響が発生する、といった不具合が発生する可能性があるためである。
【0165】
また、スロットマシンの瞬停時(例えば、1分未満の電断時)には、マイコンは、割り込み処理の不許可処理、リセット処理、電圧印加停止処理、移行処理などを実行しないようにすることもできる。この場合には、例えば、電断・復電検出部が所定時間(例えば、1分)以上、電断を検出している場合に、マイコンが割り込み処理の不許可処理などを実行するようにすることができる。
【0166】
また、前記実施形態では、マイコンは、デバイスに対する電圧印加停止処理を実行する前に、すべての割り込み処理を禁止する処理を実行する例が記載されているが、本発明はこれには限られない。例えば、マイコンは、デバイスに対する電圧印加停止処理を実行する前に、少なくとも一部の割り込み処理を禁止する処理を実行すればよい。
【0167】
また、前記実施形態では、サブ制御基板のマイコンについての処理が説明されていたが、本発明は、サブ制御基板に代えて、あるいは、サブ制御基板に加えて、メイン制御基板のマイコン、および/または、遊技価値制御基板のマイコン、についての処理に適用されてもよい。
【0168】
また、前記実施形態に限られず、メイン制御基板と遊技価値制御基板とが分かれておらず、メイン制御基板上にメイン制御部と遊技価値制御部とが搭載されていてもよい。
【0169】
また、前記実施形態に限られず、電圧供給部は、サブ制御基板に搭載されていなくてもよい。具体的には、他の制御基板に電圧供給部が搭載されており、その電圧供給部がVCC電圧を生成して、サブ制御基板のマイコンに電圧を印加してもよい。
【0170】
また、前記実施形態に限られず、第1SUM値を計算するRAMは、マイコンMCUに内蔵されていてもよく、また、バスステートコントローラは、マイコンに外部接続されていてもよい。
【0171】
また、前記実施形態に限られず、図5におけるステップS112とステップS113とは、順序が逆であってもよい。
【0172】
また、前記実施形態では、電断/復電処理はマイコンによって実行される例が記載されているが、本発明はこれには限られない。マイコン以外の装置、電断/復電処理が実行される制御基板以外の制御基板に搭載された装置によって電断/復電処理が実行されてもよい。
【0173】
また、前記実施形態のスロットマシンは、遊技区間を備えるメダルレス機であったが、本発明が適用されるスロットマシンは、遊技区間を備えていなくてもよく、また、メダルレス機でなくてもよい。スロットマシンは、メダルレス機ではない場合には、メダル投入口、ホッパー、メダル払い出し口、下皿など、従来のスロットマシンの構成が必要となる。
【符号の説明】
【0174】
1 スロットマシン(遊技機)
P1 メイン制御基板
P2 遊技価値制御基板
P3 サブ制御基板
MCU マイコン
BSC バスステートコントローラ

図1
図2
図3
図4
図5
図6