(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-30
(45)【発行日】2025-05-12
(54)【発明の名称】ガスメーター
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20250501BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20250501BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
G01F1/66 101
(21)【出願番号】P 2023180078
(22)【出願日】2023-10-19
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000222211
【氏名又は名称】東洋ガスメーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】段 祐司
(72)【発明者】
【氏名】水越 靖
(72)【発明者】
【氏名】和田 雄志
(72)【発明者】
【氏名】廣田 健大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】金澤 一弘
(72)【発明者】
【氏名】堀木 紗英
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭治
(72)【発明者】
【氏名】村中 一郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 彰
(72)【発明者】
【氏名】石橋 卓也
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-101201(JP,A)
【文献】特開2014-089122(JP,A)
【文献】特開2015-148529(JP,A)
【文献】特開2015-184210(JP,A)
【文献】特開2004-333202(JP,A)
【文献】特開2006-029907(JP,A)
【文献】特開平11-183228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
G01F 1/66
G01F 1/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流量を計測するガスメーターであって、
前記ガスメーターは、本体部と、前記本体部に対して着脱可能とされた計測アダプタと、にて構成されており、
前記本体部は、
ガスが流入するガス流入口と、
ガスを流出するガス流出口と、
前記計測アダプタが取り付けられる本体側取付開口部と、
前記本体側取付開口部に設けられて前記ガス流入口に連通する流入側開口と、
前記本体側取付開口部に設けられて前記ガス流出口に連通する流出側開口と、
を有し、
前記計測アダプタは、
前記本体部の前記本体側取付開口部に取り付けられるアダプタ側取付開口部と、
前記本体部に取り付けられた場合に前記流入側開口に連通する計測流入空間と、
前記本体部に取り付けられた場合に前記流出側開口に連通する計測流出空間と、
前記計測流入空間から前記計測流出空間の間に配置されて前記計測流入空間から前記計測流出空間へと流れたガス流量を計測する計測ユニットと、
前記計測ユニットを収容するとともに前記アダプタ側取付開口部と前記計測流入空間と前記計測流出空間が形成されたアダプタケースと、
を有し、
前記計測ユニットは、計測するガス流量に応じて複数種類が用意されており、
複数種類の前記計測ユニットは、外形サイズが同じに設定されて、前記アダプタケースに対して交換可能とされて
おり、
前記計測ユニットは、
ガス流量を計測する計測管と、
前記計測管を収容して保持する保持ケースと、
前記保持ケースに収容された前記計測管を覆う計測管カバーと、
を有し、
前記計測ユニットの外周には、前記計測アダプタが前記本体部に取り付けられた場合に前記計測ユニットと前記本体部との隙間と、前記計測ユニットと前記アダプタケースとの隙間と、を密封するとともに、前記保持ケースと前記計測管と前記計測管カバーとを一体として保持する、環状シール部材が取り付けられている、
ガスメーター。
【請求項2】
請求項1に記載のガスメーターであって、
前記計測管は、計測するガスが流入する計測流入口と、計測したガスが流出する計測流出口と、を有しており、
前記保持ケースは、前記計測アダプタが前記本体部に取り付けられた場合に前記本体部に対向する側が開口した箱状の形状を有しており、
前記保持ケースにおいて前記計測管の前記計測流入口に対向して前記計測流入口から第1所定距離だけ離れた位置と、
前記保持ケースにおいて前記計測管の前記計測流出口に対向して前記計測流出口から第2所定距離だけ離れた位置と、
の少なくとも一方の位置には、ガスの流れを整える整流板が立設されている、
ガスメーター。
【請求項3】
請求項2に記載のガスメーターであって、
前記整流板に対して前記計測管とは反対側の位置には、前記整流板と第3所定距離をあけて箱状の前記保持ケースの外壁が立設されている、
ガスメーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流量を計測するガスメーターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、いわゆる膜式の計測装置に代えて、超音波を用いてガス流量を計測する計測管を内部に収容した、小型のガスメーターの普及が広がっている。またガスメーターの本体部の筐体は、安全を確保するためにアルミ等の金属のダイキャスト品とされている。
【0003】
例えば特許文献1や特許文献2には、メーターケース(本体部)内を複数の部屋に仕切ったアルミのダイキャスト品の所定個所に、超音波式の計測管を収容したガスメーターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2023-001452号公報
【文献】特開2022-181906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波式の計測管は、流路断面積が一定とされた矩形の管内を流れるガスの流速を検出して、流路断面積とガス流速を用いてガス流量を計測している。このため、ガス流速が必要以上に小さい場合は検出誤差が大きくなるので、計測管のサイズに応じた最小流量が設定されている場合が多い。またガス流量が必要以上に大きい場合は圧力損失が発生してしまうので、計測管のサイズに応じた最大流量が設定されている場合が多い。従って、検出するガス流量に応じたサイズの計測管が、ガスメーター内に取り付けられる。特に工場等では、工場内の設備で使用するガス流量に応じた計測管を備えたガスメーターが必要になるので、ガス流量に応じたガスメーターを用意して取り付けなければならない。
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載のガスメーターでは、ガス流量に適した計測管のサイズに応じて、ダイキャスト品のメーターケース(本体部)を用意しなければならないので、メーターケース(本体部)の種類が増加する。メーターケースの製造現場では、メーターケースの種類が増えるほど、ダイキャスト品のメーターケースを製造するための金型が増えて手間や工数が増加するので好ましくない。またガスメーターの組み付け現場では、メーターケースの種類が増えるほど、組み付けや管理の手間と工数が増加するので好ましくない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、ガスメーターのダイキャスト品の本体ケースを共通にして、当該本体ケースを有する本体部に対して、ガス流量に応じた計測ユニットを収容した計測アダプタを着脱可能とすることで手間や工数を削減できるガスメーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明は、ガス流量を計測するガスメーターであって、前記ガスメーターは、本体部と、前記本体部に対して着脱可能とされた計測アダプタと、にて構成されている。前記本体部は、ガスが流入するガス流入口と、ガスを流出するガス流出口と、前記計測アダプタが取り付けられる本体側取付開口部と、前記本体側取付開口部に設けられて前記ガス流入口に連通する流入側開口と、前記本体側取付開口部に設けられて前記ガス流出口に連通する流出側開口と、を有している。また前記計測アダプタは、前記本体部の前記本体側取付開口部に取り付けられるアダプタ側取付開口部と、前記本体部に取り付けられた場合に前記流入側開口に連通する計測流入空間と、前記本体部に取り付けられた場合に前記流出側開口に連通する計測流出空間と、前記計測流入空間から前記計測流出空間の間に配置されて前記計測流入空間から前記計測流出空間へと流れたガス流量を計測する計測ユニットと、前記計測ユニットを収容するとともに前記アダプタ側取付開口部と前記計測流入空間と前記計測流出空間が形成されたアダプタケースと、を有している。そして前記計測ユニットは、計測するガス流量に応じて複数種類が用意されており、複数種類の前記計測ユニットは、外形サイズが同じに設定されて、前記アダプタケースに対して交換可能とされている、ガスメーターである。
【0009】
次に、第2の発明は、上記第1の発明に係るガスメーターであって、前記計測ユニットは、ガス流量を計測する計測管と、前記計測管を収容して保持する保持ケースと、前記保持ケースに収容された前記計測管を覆う計測管カバーと、を有している。そして前記計測ユニットの外周には、前記計測アダプタが前記本体部に取り付けられた場合に前記計測ユニットと前記本体部との隙間と、前記計測ユニットと前記アダプタケースとの隙間と、を密封するとともに、前記保持ケースと前記計測管と前記計測管カバーとを一体として保持する、環状シール部材が取り付けられている、ガスメーターである。
【0010】
次に、第3の発明は、上記第2の発明に係るガスメーターであって、前記計測管は、計測するガスが流入する計測流入口と、計測したガスが流出する計測流出口と、を有しており、前記保持ケースは、前記計測アダプタが前記本体部に取り付けられた場合に前記本体部に対向する側が開口した箱状の形状を有している。そして前記保持ケースにおいて前記計測管の前記計測流入口に対向して前記計測流入口から第1所定距離だけ離れた位置と、前記保持ケースにおいて前記計測管の前記計測流出口に対向して前記計測流出口から第2所定距離だけ離れた位置と、の少なくとも一方の位置には、ガスの流れを整える整流板が立設されている、ガスメーターである。
【0011】
次に、第4の発明は、上記第3の発明に係るガスメーターであって、前記整流板に対して前記計測管とは反対側の位置には、前記整流板と第3所定距離をあけて箱状の前記保持ケースの外壁が立設されている、ガスメーターである。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、ガス流量に応じた複数種類の計測ユニットの中から、計測を所望するガス流量に応じた計測ユニットを選定してアダプタケースに収容して本体部に取り付けることで、計測を所望するガス流量に応じたガスメーターを構成することができる。つまり、ガスメーターのダイキャスト品の本体ケース及びアダプタケースを共通にすることができる。つまり、本体ケースを有する本体部に対して、ガス流量に応じた計測ユニットを収容した計測アダプタを着脱可能とすることで、共通の本体ケース及び共通のアダプタケースとすることが可能となり、手間や工数を削減できる。
【0013】
第2の発明によれば、ガス流量に応じた計測ユニットを適切に構成することができる。また環状シール部材に、シール機能だけでなく、保持ケースと計測管とカバーを一体にして保持する保持機能も持たせることで、保持用の部品点数を削減することができる。
【0014】
第3の発明によれば、適切な位置に整流板を備えることで、計測管内を流れるガスの乱流を抑制し、ガス流量の計測精度を適切に確保できる。
【0015】
第4の発明によれば、保持ケースの外壁を適切な位置にすることで、整流板による整流効果をより適切に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ガスメーターの外観の例を説明する斜視図である。
【
図2】ガスメーターの構造を説明する分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すガスメーターのIII-III断面図であり、本体部の内部構造と、計測アダプタの内部構造を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態の計測ユニットの構造を説明する分解斜視図である。
【
図7】
図6に示す各部材を組み付けた状態の計測ユニットの外観を説明する斜視図である。
【
図8】第2の実施形態の計測ユニットの構造を説明する分解斜視図である。
【
図9】第3の実施形態の計測ユニットの構造を説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが同じ機能を有する同じ要素を意味する。なお図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、X軸とY軸とZ軸は互いに直交しており、
図1に示すようにX軸方向は、ガスメーター1を正面から見た場合に右に向かう方向を示している。また
図1に示すようにY軸方向は、ガスメーター1の奥行方向を示しており、Z軸方向はガスメーター1の上方に向かう方向を示している。
【0018】
<ガスメーター1の外観(
図1)>
まず
図1を用いて、ガスメーター1の外観について説明する。ガスメーター1は、本体ケース2を有する本体部10と、アダプタケース31を有する計測アダプタ30と、にて構成されている。計測アダプタ30は、本体部10に対して着脱可能とされている。
【0019】
本体部10は、前面及び下面が開口した略箱状の本体ケース2、本体ケース2の前面の開口の蓋となる前面パネル4等を有している。本体ケース2、前面パネル4は、例えばアルミのダイキャスト品である。本体ケース2には、ガスが流入するガス流入口3a、ガスを流出するガス流出口3b等が設けられている。前面パネル4には、計測したガスの流量等を表示する液晶の窓である表示窓4aと、地震等によるガスの遮断状態から通常動作状態へと復帰させる復帰ボタン4bと、通信機器を接続する通信用端子を覆う通信端子カバー5等を有している。また前面パネル4には、ガスメーター1の動作を制御する制御装置(CPUなど)が搭載された電子回路基板を収容する収容部4cが設けられている。
【0020】
計測アダプタ30は、上面が開口したアダプタケース31を有しており、ガス流量を計測する計測管42(
図2参照)を収容している。アダプタケース31は、例えばアルミのダイキャスト品である。計測管42は、計測を所望するガス流量(ガス流量範囲)に応じてサイズが異なり、当該ガス流量に応じたサイズの計測管がアダプタケース31に収容されている。そして当該計測管42(
図2参照)を収容した計測アダプタ30が、本体部10に取り付けられる。
【0021】
<ガスメーター1を構成する本体部10と計測アダプタ30の構造(
図2~
図5)>
図2に示すように、計測アダプタ30は、アダプタケース31、ガスケット32、計測ユニット40等を有している。計測ユニット40を収容したアダプタケース31が、計測アダプタ30としてガスケット32を挟んで本体部10に取り付けられる。
【0022】
<本体部10の構造(
図3、
図4)>
本体部10の本体ケース2には、
図4に示すように、計測アダプタ30が取り付けられる本体側取付開口部11が下面に設けられている。本体側取付開口部11は、ガス流入口3aに連通する流入側開口12aと、ガス流出口3bに連通する流出側開口12bと、を有している。またガス流入口3aと流入側開口12aとの間には、地震等の際にガスを遮断する遮断弁21が取り付けられている。
【0023】
また
図3に示すように、本体部10内には、電子回路基板20が設けられている。電子回路基板20は、
図1に示す収容部4cに収容される。電子回路基板20には、例えば
図3に示すように、液晶回路M1、CPU等の集積回路M2、M3、M4、復帰スイッチS1、コネクタC1、C2、通信端子T1、T2、T3、T4等が実装されている。
【0024】
液晶回路M1は、
図1に示す表示窓4aに情報(ガス流量など)を表示する液晶を備えた回路である。集積回路M2、M3、M4は、制御装置(CPU)、通信回路、計測管への出力用や計測管からの入力用の回路、電源回路などである。なお図示省略しているが、本体ケース2内には電池(リチウム電池など)も収容されている。
【0025】
復帰スイッチS1は、
図1に示す復帰ボタン4bが押された際にONとされるスイッチである。地震等が発生した場合、制御装置(CPU)は、地震を検出して遮断弁21を動作させてガスを遮断する。制御装置(CPU)は、復帰スイッチが押されたことを検出すると、遮断弁21を動作させて遮断を解除して、ガスメーター1を通常の動作状態に戻す。
【0026】
本実施の形態のガスメーター1は、計測を所望するガス流量(ガス流量範囲)に応じた計測アダプタ30が選定されて本体部10に取り付けられるが、計測アダプタ30に収容されている計測管42(ガス流量に応じた計測管)に応じた計測プログラムを制御装置に実行させる必要がある。
【0027】
作業者は、パソコン等の通信機器を接続して、当該通信機器から、計測管42に対応付けられた計測プラグラムを電子回路基板20の集積回路の1つであるFlash-ROM等に書き込む。そして作業者は、計測プログラムを書き込み後、書き替え禁止の処理(書き替え禁止のフラグを立てる、など)を施す。本実施形態にて説明するガスメーター1は、所望するガス流量(ガス流量範囲)に応じて計測アダプタ30を交換可能であり、本体部10とアダプタケース31とガスケット32(
図2参照)は共通とされている。そして、計測ユニット40がガス流量範囲に応じて交換され、計測ユニット40に応じた計測プログラムが書き込まれた後、書き替え禁止とされる。
【0028】
コネクタC1、C2は、遮断弁21の配線や、計測管42からの配線等、電子回路基板20に実装されていない種々の電子回路を接続する端子を備えている。
【0029】
<計測アダプタ30の構造(
図2、
図3、
図5)>
計測アダプタ30は、
図5に示すように、アダプタ側取付開口部33、計測流入空間34a、計測流出空間34b、計測ユニット40、アダプタケース31、ガスケット32等を有している。アダプタケース31は、上面が開口したアダプタ側取付開口部33とされた略箱状の形状を有しており(
図2参照)、計測ユニット40を収容することで、計測流入空間34aと計測流出空間34bが形成されている(
図5参照)。
【0030】
アダプタケース31は、
図3及び
図5に示すように、計測管42を有する計測ユニット40を収容して、ガスケット32を挟んで本体部10の本体側取付開口部11(
図4参照)に取り付けられる。計測アダプタ30は、計測を所望するガス流量(ガス流量範囲)に応じた計測ユニット40を収容した複数種類(複数種類の例については後述する)が用意されており、計測を所望するガス流量に応じて、本体部10に対して交換可能とされている。
【0031】
アダプタ側取付開口部33は、本体部10の本体側取付開口部11(
図4参照)に取り付けられる開口である。計測流入空間34aは、
図3及び
図4に示すように、計測アダプタ30が本体部10に取り付けられた場合に流入側開口12aと連通する空間である。計測流出空間34bは、
図3及び
図4に示すように、計測アダプタ30が本体部10に取り付けられた場合に流出側開口12bと連通する空間である。また計測流入空間34aから計測流出空間34bの間には、計測流入空間34aから計測流出空間34bへと流れたガス流量を計測する計測管42を有する計測ユニット40が配置されている。
【0032】
図3に示すように、ガス流入口3aからガスメーター1内に流入したガスは、流入側開口12aを経由して計測流入空間34aに到達し、計測管42を通って計測流出空間34bに到達し、流出側開口12bを経由してガス流出口3bから流出する。そして計測管42は、通過しているガスの流量を計測する。
【0033】
<ガス流量に応じた計測ユニット40、40x、40yの構造(
図6~
図9)>
以降では、複数種類の計測ユニット40(第1の実施形態)、40x(第2の実施形態)、40y(第3の実施形態)の例について説明する。
図8に示す計測ユニット40xは、計測を所望するガス流量が比較的少ない場合に対応する計測ユニット(計測ユニット(小流量用))の例である。
図9に示す計測ユニット40yは、計測を所望するガス流量が比較的多い場合に対応する計測ユニット(計測ユニット(大流量用))の例である。そして
図6及び
図7に示す計測ユニット40は、計測ユニット40xよりも多く、かつ、計測ユニット40yよりも少ないガス流量に対応する計測ユニット(計測ユニット(中流量用))の例である。
【0034】
なお、計測ユニット40、40x、40yの外形サイズ(本体部に接触する個所の外形サイズと、アダプタケースに接触する個所の外形サイズ)は、どれも同じに設定されている。従って、計測アダプタ30は、共通のアダプタケース31に対して計測ユニットを交換可能とされている。そして、共通の本体部10(本体ケース2)に対して、計測アダプタを着脱可能とされている。
【0035】
<第1の実施形態の計測ユニット40の構造(
図6~
図7)>
図6に示すように、第1の実施形態の計測ユニット40は、保持ケース41、計測管42、計測管カバー43、環状シール部材S1a、S1b、S2a、S2b等を有しており、これらが組み付けられた状態を
図7に示す。
図6及び
図7に示す計測ユニット40は、上述したように中流量用の計測ユニットであり、
図8に示す小流量用の計測ユニット40xに搭載されている計測管42が2本搭載されている。
【0036】
保持ケース41は、
図6に示すように、計測アダプタ30(
図5参照)が本体部10(
図4参照)に取り付けられた場合に本体部10(
図4参照)に対向する側が開口して底面41bを有する箱状の形状を有している。保持ケース41は、2本の計測管42を収容して保持するケースであり、収容する計測管42に対応させて、計測管収容凹部41c、整流板41d、41eが設けられている。計測管42が2本であるので、当該2本の計測管42に対応させて、計測管収容凹部41cは2個所であり、整流板41d、41eもそれぞれ2個所に設けられている。
【0037】
整流板41dは、
図5に示すように、保持ケース41において計測管42の計測流入口42gに対向して計測流入口42gから第1所定距離L1だけ離れた位置に立設されている。また整流板41eは、
図5に示すように、保持ケース41において計測管42の計測流出口42hから第2所定距離だけ離れた位置に立設されている。なお、整流板41d、と整流板41eは、少なくとも一方が設けられていればよい。また整流板41d、41eは、計測管42の計測流入口42g及び計測流出口42hのほぼ全体を覆うサイズとされている。
【0038】
また
図5に示すように、整流板41dに対して計測管42とは反対側の位置には、整流板41dと第3所定距離L3をあけて箱状の保持ケース41の外壁41aが立設されている。また整流板41eに対して計測管42とは反対側の位置には、整流板41eと第3所定距離L3をあけて箱状の保持ケース41の外壁41hが立設されている。
図5に示すように、計測流入空間34a内において、計測管42の計測流入口42gに対向する近傍に整流板41dと外壁41aが設けられている。また
図5に示すように、計測流出空間34b内において、計測管42の計測流出口42hに対向する近傍に整流板41eと外壁41hが設けられている。これらによって、計測管42内を流れるガスの流れが整えられて乱流が抑制される。
【0039】
また保持ケース41の外周部には、
図7に示すように保持ケース41と計測管42と計測管カバー43とが一体となるように組み付けた際に環状シール部材S1a、S1bが嵌められる溝部41m、41nが形成されている。なお、
図6及び
図7に示す保持ケース41の外周部の形状及びサイズと、
図8に示す保持ケース41xの外周部の形状及びサイズと、
図9に示す保持ケース41yの外周部の形状及びサイズは、同じである(共通のアダプタケース31に収容される(
図3参照))。
【0040】
計測管42は、流路管42aと、超音波ユニット42bと、環状シール部材S2a、S2b等を有している。流路管42aは、ガスが流れる方向に直交する断面積が一定とされた略直方体の筒状の形状である。超音波ユニット42bは、流路管42a内を流れるガスの流速を計測する超音波の送受信を行う。また超音波ユニット42bは、電子回路基板20(
図3参照)の制御装置(CPU)から入力される制御信号、制御装置(CPU)へ出力する検出信号、電源等のための配線が接続されたコネクタ42cが接続されている。
【0041】
環状シール部材S2a、S2bは、流路管42aに形成された溝部42m、42nに嵌められて、計測管カバー43と流路管42aとの隙間、及び保持ケース41と流路管42aとの隙間、を密封する。
【0042】
計測管カバー43は、保持ケース41内に収容されて保持された計測管42を覆うカバーであり、流入側壁面43a、流出側壁面43bを有し、収容された計測管42に対応させて、切欠43c、挿通孔43dが設けられている。
図3に示すように、流入側壁面43aは流入側開口12aの一部を形成しており、流出側壁面43bは流出側開口12bの一部を形成している。また、計測管42が2本であるので、当該2本の計測管42に対応させて、切欠43cは2個所であり、コネクタ42c及び配線を通す挿通孔43dも2個所に設定されている。
【0043】
計測管カバー43の外周部には、
図7に示すように保持ケース41と計測管42と計測管カバー43とが一体となるように組み付けた際に環状シール部材S1a、S1bが嵌められる溝部43m、43nが形成されている。なお、
図6及び
図7に示す計測管カバー43の外周部の形状及びサイズと、
図8に示す計測管カバー43xの外周部の形状及びサイズと、
図9に示す計測管カバー43yの外周部の形状及びサイズは、同じである(共通の本体ケース2に収容される(
図3参照))。
【0044】
なお上述したように、ガスメーターの製造工程において、当該計測ユニット40に対応させて、電子回路基板20(
図3参照)に搭載された制御装置(CPU)の計測プログラムは、計測ユニット40に応じた計測プログラムとなっている。
【0045】
<第2の実施形態の計測ユニット40xの構造(
図8)>
図8に示すように、第2の実施形態の計測ユニット40xは、保持ケース41x、計測管42、計測管カバー43x、環状シール部材S1a、S1b、S2a、S2b等を有している。
図8に示す計測ユニット40xは、上述したように小流量用の計測ユニットであり、
図6に示す中流量用の計測ユニット40では2本搭載した計測管42が、1本のみ搭載されている。以下、
図6に示す計測ユニット40との相違点について主に説明する。
【0046】
保持ケース41xは、1本の計測管42を収容して保持するケースであり、計測管収容凹部41cx、整流板41dx、41exはそれぞれ1個所設けられている。なお、整流板41dx、と整流板41exは、少なくとも一方が設けられていればよい。また
図5に示す第1所定距離L1、第2所定距離L2、第3所定距離L3は、保持ケース41の場合と同様に設定されている。また計測管42の構造は、
図6に示す計測管42の構造と同じであるので説明を省略する。
【0047】
保持ケース41xに収容される計測管42が1本であるので、計測管カバー43xにおける切欠43cxは1個所であり、挿通孔43dxも1個所である。
【0048】
図8に示す保持ケース41xの外周部の形状及びサイズと、
図6及び
図7に示す保持ケース41の外周部の形状及びサイズと、
図9に示す保持ケース41yの外周部の形状及びサイズは、同じである(共通のアダプタケース31に収容される(
図3参照))。また、
図8に示す計測管カバー43xの外周部の形状及びサイズと、
図6及び
図7に示す計測管カバー43の外周部の形状及びサイズと、
図9に示す計測管カバー43yの外周部の形状及びサイズは、同じである(共通の本体ケース2に収容される(
図3参照))。
【0049】
<第3の実施形態の計測ユニット40yの構造(
図9)>
図9に示すように、第3の実施形態の計測ユニット40yは、保持ケース41y、計測管42y、計測管カバー43y、環状シール部材S1a、S1b、S3a、S3b等を有している。
図9に示す計測ユニット40yは、上述したように大流量用の計測ユニットであり、
図6に示す中流量用の計測ユニット40では2本搭載した計測管42が、より大きなガス流路(流路断面積)を有する1本の計測管42yとされている。以下、
図6に示す計測ユニット40との相違点について主に説明する。
【0050】
計測管42は、1本とされているが、流路管42ayにおけるガスが流れる方向に直交する断面積は、
図6に示す2本の流路管42aの断面積よりも大きな値に設定されている。なお、流路管42ayは、ガスが流れる方向に直交する断面積が一定とされた略直方体の筒状の形状である点は、
図6に示す流路管42aと同じである。
【0051】
保持ケース41yは、1本の計測管42yを収容して保持するケースであり、計測管収容凹部41cy、整流板41dy、41eyはそれぞれ1個所設けられている。なお、整流板41dy、と整流板41eyは、少なくとも一方が設けられていればよい。また整流板41dy、41eyは、計測管42の計測流入口及び計測流出口のほぼ全体を覆うサイズとされている。また
図5に示す第1所定距離L1、第2所定距離L2、第3所定距離L3は、保持ケース41の場合と同様に設定されている。
【0052】
保持ケース41yに収容される計測管42yが1本であるので、計測管カバー43yにおける切欠43cyは計測管42yのサイズに応じた1個所の切欠きであり、挿通孔43dyも1個所である。
【0053】
図9に示す保持ケース41yの外周部の形状及びサイズと、
図6及び
図7に示す保持ケース41の外周部の形状及びサイズと、
図8に示す保持ケース41xの外周部の形状及びサイズは、同じである(共通のアダプタケース31に収容される(
図3参照))。また、
図9に示す計測管カバー43yの外周部の形状及びサイズと、
図6及び
図7に示す計測管カバー43の外周部の形状及びサイズと、
図8に示す計測管カバー43xの外周部の形状及びサイズは、同じである(共通の本体ケース2に収容される(
図3参照))。
【0054】
そして、ガスメーター1にて計測を所望するガス流量(ガス流量範囲)に応じて、複数種類の計測ユニット40、40x、40y・・・の中から適切な計測ユニットを選定し、共通のアダプタケース31に収容させて計測アダプタを構成し、当該計測アダプタを、共通の本体部10に取り付けることで、ガス流量に応じたガスメーター1を構成できる。これにより、ダイキャスト品の本体ケース2及びアダプタケース31を、ガス流量に応じて用意する必要が無くなり、ダイキャスト品の本体ケース2及びアダプタケース31は、1種類だけ用意されていればよい。
【0055】
本発明の、ガスメーター1は、本実施の形態で説明した外観、形状、構成、構造等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0056】
本実施形態の説明では、超音波を用いてガス流量を計測する計測管を有するガスメーターを例としたが、超音波を用いて計測するタイプに限定されるものではない。また、複数種類の計測ユニットの例として、計測ユニット40(
図6参照)、計測ユニット40x(
図8参照)、計測ユニット40y(
図9参照)を示したが、複数種類の計測ユニットは、これらの3種類に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 ガスメーター
2 本体ケース
3a ガス流入口
3b ガス流出口
4 前面パネル
4a 表示窓
4b 復帰ボタン
4c 収容部
5 通信端子カバー
10 本体部
11 本体側取付開口部
12a 流入側開口
12b 流出側開口
21 遮断弁
30 計測アダプタ
31 アダプタケース
32 ガスケット
33 アダプタ側取付開口部
34a 計測流入空間
34b 計測流出空間
40、40x、40y 計測ユニット
41、41x、41y 保持ケース
41b 底面
41c、41cx、41cy 計測管収容凹部
41d、41dx、41dy 整流板
41e、41ex、41ey 整流板
41m、42m、43m 溝部
41n、42n、43n 溝部
42、42y 計測管
42a、42ay 流路管
42b、42by 超音波ユニット
42c コネクタ
42g 計測流入口
42h 計測流出口
43、43x、43y 計測管カバー
43a 流入側壁面
43b 流出側壁面
43c、43cx、43cy 切欠
43d、43dx、43dy 挿通孔
C1、C2、42c コネクタ
L1 第1所定距離
L2 第2所定距離
L3 第3所定距離
M1 液晶回路
M2、M3、M4 集積回路
S1 復帰スイッチ
S1a、S1b、S2a、S2b、S3a、S3b 環状シール部材
T1、T2、T3、T4 通信端子
【要約】
【課題】ガスメーターのダイキャスト品の本体ケースを共通にして、当該本体ケースを有する本体部に対して、ガス流量に応じた計測管を収容した計測アダプタを着脱可能とすることで手間や工数を削減できるガスメーターを提供する。
【解決手段】本体部10と、本体部に着脱可能とされた計測アダプタ30にて構成され、本体部は、ガス流入口と、ガス流出口と、ガス流入口に連通する流入側開口とガス流出口に連通する流出側開口が設けられた本体側取付開口部とを有し、計測アダプタは、本体側取付開口部に応じたアダプタ側取付開口部と、流入側開口に連通する計測流入空間と、流出側開口に連通する計測流出空間と、ガス流量を計測する計測ユニット40と、計測ユニットを収容するアダプタケース31とを有し、計測ユニットは、計測するガス流量に応じて複数種類が用意され、それぞれ外形サイズが同じに設定されてアダプタケースに対して交換可能とされている。
【選択図】
図2