(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-30
(45)【発行日】2025-05-12
(54)【発明の名称】ペット用採尿容器及びペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20250501BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20250501BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
A01K1/01 801Z
G01N1/10 V
(21)【出願番号】P 2021202919
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2024-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 玲瑛子
(72)【発明者】
【氏名】伴 武
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-042995(JP,A)
【文献】特開2021-110745(JP,A)
【文献】特開2019-083701(JP,A)
【文献】特開2014-075982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0041867(US,A1)
【文献】特開2020-078281(JP,A)
【文献】特開2014-195429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00-1/015
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を形成する底壁部と、該底壁部の全周を囲む側壁部とを有し、
前記側壁部の内側に、区画壁によって区画され且つペットの尿を回収する尿回収部を複数備え、
前記区画壁は、動物の尿の色を判断するための指標となる色見本部が配されており、
前記区画壁をその延在方向に直交する方向に沿って断面視したときに、前記区画壁はその上端から前記尿回収部に向けて該区画壁の高さが減少している、ペット用採尿容器。
【請求項2】
前記区画壁をその延在方向に直交する方向に沿って断面視したときに、前記区画壁の上面は、稜線を有しない曲線によって形成されている、請求項1に記載のペット用採尿容器。
【請求項3】
高さが異なる複数の前記区画壁を有し、
前記色見本部は、前記区画壁のうち最も高さが低い区画壁以外の前記区画壁に配されている、請求項1又は2に記載のペット用採尿容器。
【請求項4】
前記尿回収部は白色である、請求項1~3のいずれか一項に記載のペット用採尿容器。
【請求項5】
平面視において、前記尿回収部と、前記色見本部が配された前記区画壁とが隣接して配されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のペット用採尿容器。
【請求項6】
平面視において、第1方向と、該第1方向に直交する第2方向とを有し、
前記区画壁として、第1方向に延びる第1区画壁と、第2方向に延びる第2区画壁とを有し、
前記第1区画壁の高さは、前記第2区画壁の高さよりも高く、
平面視において、前記各尿回収部は前記第1区画壁と隣接して形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のペット用採尿容器。
【請求項7】
平面視において、前記第1方向である長手方向と、前記第2方向である横方向とを有する、請求項6に記載のペット用採尿容器。
【請求項8】
前記色見本部は前記第1区画壁に配されている、請求項6又は7に記載のペット用採尿容器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のペット用採尿容器と、トイレ本体とを備えたペット用トイレであって、
前記ペット用採尿容器は、前記トイレ本体に出し入れ可能に配される、ペット用トイレ。
【請求項10】
前記トイレ本体内を上層部分及び下層部分に区画する尿透過性の仕切層を備え、
前記ペット用トイレの使用時において、前記ペット用採尿容器は、前記トイレ本体の下層部分に配される、請求項9に記載のペット用トイレ。
【請求項11】
前記仕切層は、長手方向と、該長手方向に直交する横方向とを有し、
前記ペット用トイレの使用時において平面視したときに、前記ペット用採尿容器は、前記仕切層の長手方向両端と、前記色見本部とが互いに重ならないように配される、請求項10に記載のペット用トイレ。
【請求項12】
前記トイレ本体に出し入れ可能なトレーを備え、
前記ペット用トイレの使用時において、前記ペット用採尿容器は前記トレー上に配される、請求項9~11のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用採尿容器及びこれを用いたペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内で猫や犬等のペットの排泄物を処理するためのペット用トイレが種々提案されて実用に供されている。このペット用トイレは、トイレ本体と、該トイレ本体内を上層部分と下層部分とに区画する尿透過性の仕切層を備え、前記下層部分に、尿を受けるためのトレー等の尿受け部を設けて構成されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
ところで、ペットの健康管理の一環として、排泄されたペットの尿を確認又は採取して該ペットの健康状態を検査することが行われている。この検査は、ペットの腎臓病、肝臓病、下部尿路疾患、糖尿病等の早期発見に有効であり、尿のpH値や比重の測定、尿の色や濁り具合等の目視観察等によって行われている。
【0004】
ペットの健康状態を容易に検査可能な物品又は方法として、本出願人は、区画壁によって区画された複数の尿回収部を備える尿回収用容器(特許文献1参照)や、ペット用採尿セットの使用時に、非吸水性部材を仕切層に直面するように尿受け部内に配置したペット用採尿セット(特許文献2参照)を提案した。
【0005】
また特許文献3には、底部と、底部の周囲を取り囲み底部とともに上方に向けて開口する尿受け部を画定する周壁部と、周壁部から外向きに突出した把持部とを備え、底部と周壁部とをなす角度が鈍角に形成されている尿検査用容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-083701号公報
【文献】特開2020-080788号公報
【文献】特開2021-042995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ペットの尿に基づくペットの健康状態の把握は、尿の量やその色を勘案して判断することができる。例えば、尿量の多寡や尿の色の変化は、摂取する水分量、尿を生産する腎臓の機能、あるいは泌尿器の機能の関係によって変動する。特許文献1~3の技術はいずれも、尿量又は尿の色のいずれか一方の把握に着目したものであり、ペットの健康状態をより正確に把握することについて改善の余地があった。
【0008】
したがって、本発明は、ペットから排泄された尿の量及び色を把握して、ペットの健康状態をより正確に把握できるペット用採尿容器及びこれを用いたペット用トイレに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ペット用採尿容器に関する。
前記採尿容器は、底面を形成する底壁部と、該底壁部の全周を囲む側壁部とを有することが好ましい。
前記採尿容器は、前記側壁部の内側に、区画壁によって区画され且つペットの尿を回収する尿回収部を複数備えることが好ましい。
前記区画壁は、動物の尿の色を判断するための指標となる色見本部が配されていることが好ましい。
前記採尿容器は、前記区画壁をその延在方向に直交する方向に沿って断面視したときに、前記区画壁はその上端から前記尿回収部に向けて該区画壁の高さが減少していることが好ましい。
【0010】
また本発明は、前記ペット用採尿容器と、トイレ本体とを備えたペット用トイレに関する。
前記ペット用採尿容器は、前記トイレ本体に出し入れ可能に配されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペットから排泄された尿の量及び色を把握して、ペットの健康状態をより正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明のペット用採尿容器の一実施形態をペット用トイレとともに模式的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明のペット用採尿容器の一実施形態の模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるI-I線での模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるII-II線での模式的な断面図である。
【
図5】
図5(a)~(c)はそれぞれ、区画壁の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明のペット用採尿容器をペット用トイレとともに使用する一実施形態について、排泄物処理材を省略して模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明のペット用採尿容器をペット用トイレとともに使用する一実施形態について、排泄物処理材を配した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明のペット用採尿容器をペット用トイレとともに使用する一実施形態について、ペット用採尿容器及び仕切層3の平面視での配置位置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。参照する図面について、同等の構成を有する部分には同一の符号を付しており、特に断りのない限り、同一の符号を付した事項に関する説明が適宜適用される。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0014】
本発明は、例えば犬や猫、ウサギ、モルモット、ハムスター等のペットとして飼育される動物の排泄物の処理又は排泄物の採取等に用いることができるものである。本発明は、室内に配置する等して、室内で飼育されるペット用のトイレ又は採尿容器として特に有用なものである。
【0015】
図1には、本発明に係るペット用採尿容器10をペット用トイレ1とともに模式的に示す分解斜視図が示されている。
図1に示すように、ペット用採尿容器10は、トイレ本体2を備えるペット用トイレ1とともに好適に用いられる。また、ペット用採尿容器10は、トイレ本体2内に収容可能であり、且つ出し入れ可能に配されることが好適である。
【0016】
図1に示すペット用トイレ1は、トイレ本体2に加えて、該トイレ本体2内を上層部分A及び下層部分Bに区画する尿透過性の仕切層3を備えていることも好ましい。ペット用トイレ1の使用時において、ペット用採尿容器10は下層部分Bに配されることによって、仕切層3から透過して下方に移動したペットの尿をペット用採尿容器10に回収できるようになっている。
【0017】
これに加えて、下層部分Bには、尿を受けるための尿受け部を構成するトレー4がトイレ本体2に対して出し入れ可能に配されていることも好ましい。仕切層3上には、多孔質構造を有する粒状やペレット状の多数の排泄物処理材(図示せず)が敷設される。
本実施形態では、ペット用採尿容器10は、トレー4よりも小さい平面積を有している。また、ペット用採尿容器10を備えるペット用トイレ1の使用時において、トレー4上にペット用採尿容器10が単独で又は複数配されることによって、トレー4がトイレ本体2に収容され、またペット用採尿容器10も同様にトイレ本体2内に収容される。
【0018】
トイレ本体2は、上面が開口する矩形ボックス状の外容器5と、該外容器5内に着脱可能に装着された矩形トレー状の内容器6とを備えている。ペット用トイレ1は、長手方向Xと、長手方向Xに直交する横方向Yを有する略長方形の平面視形状を有している。またペット用トイレ1は、XY平面に直交する高さ方向Zを有する。したがって、外容器5及び内容器6もそれぞれ、ペット用トイレ1と同様に、長手方向X、横方向Y及び高さ方向Zを有する。
外容器5は、
図1に示すように、底面を形成する平坦な外容器底壁51と、外容器底壁51の周縁から立ち上がって当該外容器5の側面を形成する外容器側壁52とを有している。外容器底壁51と外容器側壁52によって囲まれた内側部分に、内容器6とトレー4とが収容される。
【0019】
図1に示すように、内容器6も外容器5と同様に、内容器底壁61と内容器側壁62とを有している。内容器底壁61と内容器側壁62とによって囲まれた内側部分に、仕切層3上に敷設される多数の排泄物処理材が収容される。内容器底壁61は、尿透過性の仕切層3として機能する部位であり、ペット用トイレ1と同様に長手方向X及び横方向Yを有する。
内容器底壁61は、略矩形の板状部材で構成されており、これには細長い矩形スリット状の複数の貫通孔63が上下方向に貫設されている。複数の貫通孔63は、長手方向及び横方向にそれぞれ所定の間隔をおいて整然と配列されており、内容器底壁61の平面視全域に形成されている。各貫通孔63の幅は、粒状の排泄物処理材が通過しない程度の大きさに設定されている。
【0020】
トレー4は、底面を形成する平坦なトレー底壁41と、該トレー底壁41の周縁から斜めに立ち上がって当該トレー4の側面を形成する各トレー側壁42,43とを有しており、平面視で略四角形状を成す容器として構成されている。ここで、トレー4の底壁41は、外容器5の外容器底壁51と同等の面積を有している。各トレー側壁42,43の高さは、その上端部が仕切層3としての内容器6の内容器底壁61に接触しない値に設定されている。また、各トレー側壁42,43の高さはいずれも、ペット用採尿容器10の高さと同一であるか、又は該採尿容器10の高さよりも高く形成されている。
【0021】
各トレー側壁42はいずれも、トレー4の長手方向X(後述するトレー4の引き出し方向Xaに沿う方向)と直交するトレー4の横方向Yに延びている。一方のトレー側壁42は、当該トレー4の引き出し方向Xaの前端側に位置し、他方のトレー側壁42は、引き出し方向Xaの後端側に位置している。そして、両トレー側壁43は、当該トレー4の引き出し方向Xaに延びている。
【0022】
前述のように、トレー4は、トイレ本体2(外容器5)に対して出し入れ可能であり、
図1に示すように、外容器側壁52の長手方向(
図1のX方向)の一方(トレー4の引き出し方向Xaの前端側)に位置する部分には、幅方向に細長い矩形スリット状の開口部52aが形成されている。したがって、トレー4は、開口部52aを通過してトイレ本体2から引き出し方向Xaに引き出すことができるとともに、引き出したトレー4を開口部52aに差し込んでこれを引き出し方向Xaとは逆方向に押し込むことによって該トレー4をトイレ本体2(外容器5)内に収納することができる。ここで、外容器5に形成された開口部52aの形状及び大きさは、トレー4の引き出し方向Xaと直交する横方向Yの断面の形状及び大きさと略同じになるように設定されている。また、トレー4の長手方向Xの長さは、外容器5の長手方向の長さと同等に設定されている。
【0023】
図2には、ペット用採尿容器10の一実施形態における模式的な平面図が示されており、
図3及び
図4は
図2のペット用採尿容器10の所定の位置における模式的な断面図がそれぞれ示されている。
ペット用採尿容器10は、
図1及び
図2に示すように、上方に開口を有する扁平の略直方体形状に形成されている。ペット用採尿容器10は、平面視において、第1方向X1である長手方向と、第1方向X1と直交する第2方向Y1である横方向とを有する矩形形状を有する。
そして、ペット用採尿容器10は、該ペット用採尿容器10の底面を形成する平坦な底壁部11と、該底壁部11の全周を囲み、該ペット用採尿容器10の周面を形成する側壁部12とを有している。
ペット用採尿容器10の形状は、平面視において、長手方向等分線を軸として線対称に形成されており、また横方向等分線を軸として線対称に形成されている。
【0024】
ペット用採尿容器10の底壁部11は、ペット用採尿容器10の外形と同様に、平面視において、第1方向X1である長手方向と、第1方向X1と直交する第2方向Y1である横方向とを有する矩形形状に形成されている。
図2に示すように、ペット用採尿容器10の側壁部12は、底壁部11の第1方向X1である長手方向に沿う両側部に位置する長手方向側壁部12a,12aと、該第1方向X1と直交する第2方向Y1に沿う両端部に位置する横方向側壁部12b,12bとを有している。各側壁部12a,12bはそれぞれ独立して、高さ方向Zに沿って立設されているか、又は高さ方向Zから所定の傾斜をもって立設されている。
図2~
図4に示す実施形態では、各側壁部12a,12bはいずれも、底壁部11の側縁よりも外方に向けて、所定の傾きをもって立設されている。
【0025】
ペット用採尿容器10は、
図2に示すように、側壁部12の内側に、区画壁15によって区画された複数の尿回収部17を備えている。尿回収部17は、区画壁15のみ、あるいは区画壁15及び側壁部12によって区画された平坦な部位であり、各尿回収部17は区画壁15と少なくとも隣接している。区画壁15は、尿回収部17が存在する仮想平面から上方に突出した断面視凸状の部位である。区画壁15は、該区画壁15と、ペット用採尿容器10の載置面とによって区画される断面視の領域において、該領域内部が中実であってもよく、中空であってもよい。
【0026】
本実施形態におけるペット用採尿容器10は、底壁部11、側壁部12、区画壁15及び尿回収部17が一体成形されている。区画壁15は、第1方向X1に延びる第1区画壁15aと、第2方向Y1に延びる第2区画壁15bとに区分され、第1区画壁15a及び第2区画壁15bはそれぞれ独立して、単独で又は複数形成されている。
また
図2に示すように、第1区画壁15aは、平面視において、ペット用採尿容器10の横方向中央域に第1方向X1に沿って延びるように単独で配されている。また第2区画壁15bはいずれも第2方向Y1に沿って延びるように、第1方向X1に間隔を空けて複数配されている。第1区画壁15a及び第2区画壁15bは互いに交差している。
【0027】
図2に示す第1区画壁15a及び第2区画壁15bによって、該ペット用採尿容器10を平面視して、複数の尿回収部17が第1方向X1に沿って並んだ尿回収部列17Gが、第2方向Y1に複数列形成されている。本実施形態では、第2方向Y1に並んだ複数の尿回収部列17Gの隣り合う尿回収部17どうしが第2方向Y1に並んで配されるようになされている。即ち、ペット用採尿容器10を平面視して、複数の尿回収部17が格子状に配されている。また本実施形態の各尿回収部17は、第1区画壁15a及び第2区画壁15bのそれぞれと隣接して配されている。
本実施形態のペット用採尿容器10は、
図2に示すように、第1区画壁15aを挟んで1列ずつ形成された2列の尿回収部列17Gを有する。尿回収部列17Gの一列当たりの尿回収部17の個数は、それぞれ3つである。
【0028】
図3及び
図4に示すように、区画壁15をその延在方向に直交する方向に沿って断面視したときに、区画壁15はその上端から尿回収部17に向けて区画壁15の高さが減少している。詳細には、
図3に示すように、第1区画壁15aをその延在方向に直交する方向である第2方向Y1に沿って断面視したときに、第1区画壁15aは、その上端から尿回収部17に向けて第1区画壁15aの高さが段階的に又は連続的に減少している。同様に、
図4に示すように、第2区画壁15bをその延在方向に直交する方向である第1方向X1に沿って断面視したときに、第2区画壁15bは、その上端から尿回収部17に向けて第2区画壁15bの高さが段階的に又は連続的に減少している。
【0029】
区画壁15が上述した構成となっていることによって、区画壁15上に回収対象の尿が落下した場合でも、尿回収部17側に移行するように誘導し易くできるので、尿量を尿回収部17内で正確に把握し易くして、ペットの健康状態を正確に且つ簡便に把握できる。特に、従来技術のように区画壁の上面が水平になっている場合と比較して、区画壁15上に尿が残存することが減少できるので、尿量を正確に把握できることに加えて、尿に起因する不快臭の発生も防止できる。
【0030】
各区画壁15a,15bと尿回収部17との接続部分は、稜線を有するように接続されていてもよく、稜線を有しないように滑らかに接続されていてもよい。同様に、各区画壁15a,15bどうしの接続部分は、稜線を有するように接続されていてもよく、稜線を有しないように滑らかに接続されていてもよい。また同様に、各区画壁15a,15bと側壁部12との接続部分は、稜線を有するように接続されていてもよく、稜線を有しないように滑らかに接続されていてもよい。
【0031】
各区画壁15a,15bの断面視形状は、例えば
図3及び
図4に示すように、区画壁15の上面が稜線を有しない円弧状の曲線によって、半真円状又は半楕円状等の形状で凸状に形成されて、区画壁の高さが該区画壁の上端から連続的に減少してもよい。あるいは
図5(a)に示すように、尿回収部17から高さ方向Zに沿って上方に延びる直線状の部位と、直線状の部位よりも上方に位置し、稜線を有しない円弧状の曲線との組み合わせによって凸状に形成されて、区画壁の高さが連続的に減少していてもよい。これに代えて、
図5(b)又は
図5(c)に示すように、区画壁15の上端が稜線によって構成された三角形状や台形状などの複数の辺及び頂点を有する幾何学形状としてもよい。
【0032】
特に、尿量の正確な把握に起因するペットの健康状態の把握を効率的に行う観点から、区画壁15の断面視形状は、例えば
図3、
図4又は
図5(a)に示すように、区画壁15の上面が稜線を有しない円弧状の曲線を含んで構成されることが好ましく、
図3及び
図4に示すように、区画壁15の断面視形状は稜線を有しない円弧状の曲線によって形成されることが好ましい。このような構成を有することで、ペット用採尿容器10の製造時、流通時及び廃棄時の各過程において、複数個のペット用採尿容器10の積み重ねが容易となるので、省スペース化や取り扱いの利便性が更に向上する。
【0033】
図2に示すように、ペット用採尿容器10は、その上面に色見本部70が配されている。色見本部70は、尿回収部17に回収及び蓄積されたペット等の動物の尿の色を判断するための指標として用いられる。本実施形態における色見本部70は、ペット用採尿容器10における区画壁15の上面に配されている。色見本部70は、白色、黄色、赤色及びこれらの濃淡色もしくは混合色で着色されて区画された着色部分70aを複数備える。着色部分70aは、例えば、白色、薄い黄色、黄色、濃い黄色、ピンク色、赤色、黄色と赤色との混合色、茶色等の色でそれぞれ着色されて複数区画されている。色見本部70は、ペット用採尿容器10の上面に印刷などによって一体的に形成されていてもよく、別体の色見本部70をペット用採尿容器10の上面に接合する等して配してもよい。
色見本部70をペット用採尿容器10に配することによって、尿回収部17内に蓄積した尿の色を色見本部70の色と比較して、尿の色に基づいて、腎臓の機能や水分摂取量などといったペットの健康状態を正確に且つ簡便に把握できる。
【0034】
特に、色見本部70における着色部分70aと、尿回収部17内に蓄積した尿の色との対比を正確に行い易くして、ペットの健康状態をより正確に且つ簡便に把握できるとともに、清潔感を飼育者に知覚させる観点から、少なくとも尿回収部17は白色であることが好ましく、色見本部70を除くペット用採尿容器10全体が白色であることが更に好ましい。
本明細書において「白色」とは、拡散照明方式による白色度試験方法(ISO白色度)といった方法で測定されるISO白色度が60%以上であることをいう。
【0035】
複数の区画壁15は高さが互いに同じであってもよく、あるいは互いに異なっていてもよい。つまり、第1区画壁15a及び第2区画壁15bは、互いに同じ高さであってもよく、高さが互いに異なっていてもよい。
図2~
図4に示すように、ペット用採尿容器10において、第1区画壁15aの高さ方向Zに沿う高さH1は、第2区画壁15bの高さ方向Zに沿う高さH2よりも高く形成されていることが好ましい。そして、第1区画壁15aの高さ方向Zに沿う高さH1と、第2区画壁15bの高さ方向Zに沿う高さH2とはいずれも、側壁部12の高さ方向Zに沿う高さH5よりも低く形成されていることも好ましい。
【0036】
これによって、ペット用採尿容器10は、尿がペット用採尿容器10から溢れる前に、尿を回収している尿回収部17の許容量を超えると、該尿回収部17と隣り合う尿回収部17に尿が順次流れ込んで拡散していくので、ペット用採尿容器10から尿が溢れることが効果的に防止される。
特に、上述のとおり「高さH1>高さH2」の関係とすることで、高さが低い第2区画壁15bを介して隣り合う尿回収部17に拡散していくので、尿の拡散方向の制御を行って、尿の処分を簡便に行い易くする点でも有利である。
更に、尿回収部17内に尿が流れ込んだ尿回収部17の個数に応じて尿量を判断することができるので、ペットの健康状態をより正確に且つ簡便に把握できる。
【0037】
色見本部70と区画壁15の高さとの関係においては、色見本部70は、複数の区画壁15のうち最も高さが低い区画壁15以外の区画壁15に配されていることが好ましい。詳細には、
図2に示すように、色見本部70は、区画壁15のうち最も高さの高い第1区画壁15aの上面に配されていることが好ましく、第1区画壁15aの長手方向中央域に配されていることがより好ましい。これに加えて、各尿回収部17はいずれも、平面視において、色見本部70が配された第1区画壁15aと隣接して配されていることも好ましい。これによって、色見本部70が尿で隠れたり汚染されたりすることが防止され、また第1区画壁15aに配された色見本部70と尿回収部17に蓄積された尿の色とを比較し易いので、尿の色に基づくペットの健康状態の正確な評価が可能となる。
【0038】
区画壁15として第1区画壁15aを有する場合、第1区画壁15aの高さ方向Zに沿う高さH1は、尿回収部17で所定量の尿を回収し易くする観点から、第2区画壁15bの高さ方向Zに沿う高さH2よりも高いことを条件として、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、10mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましい。
第1区画壁15aの高さは、その上端部が仕切層3に接触しない値に設定されていることも好ましい。
【0039】
第1区画壁15aの延在方向に直交する方向に沿う幅W1は、第1区画壁15aの延在方向に沿う方向に隣接する尿回収部17に尿を移行させ易くするとともに、第1区画壁15aを介して隣接する尿回収部17側に尿が拡散しないように制御する観点から、第2区画壁15bの幅よりも大きいことが好ましく、10mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、80mm以下が好ましく、70mm以下がより好ましい。
【0040】
区画壁15として第2区画壁15bを有する場合、第2区画壁15bの高さ方向Zに沿う高さH2は、尿回収部17間での尿の拡散方向の制御の容易性の観点から、それぞれ独立して、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
第2区画壁15bの高さは、その上端部が仕切層3に接触しない値に設定されていることも好ましい。
【0041】
第2区画壁15bの延在方向に直交する方向に沿う幅W2は、第2区画壁15bを介して隣接する尿回収部17側に尿を拡散させ易く制御する観点から、5 mm以上が好ましく、 10mm以上がより好ましく、50 mm以下が好ましく、40 mm以下がより好ましい。
【0042】
側壁部12の高さH5は、尿回収部17に回収された尿が該尿回収部17から溢れた際にペット用採尿容器10から容易にこぼれないようにする等の観点から、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、50mm以下が好ましく、45mm以下がより好ましい。側壁部12は、その全周において同じ高さであってもよく、異なる高さを有する部分が存在してもよい。
【0043】
区画壁15(第1区画壁15a,第2区画壁15b)により区画される複数の尿回収部17は、その大きさ及び形状に特に限定はないが、同じ形状であることが好ましく、同じ形状及び大きさであることがより好ましい。複数の尿回収部17の平面視形状としては、例えば、半球形状、円柱形状、直方体形状、立方体形状、円錐形状、及び多角錐形状等が挙げられる。
【0044】
本実施形態では、複数の尿回収部17は、
図2に示すように、第1区画壁15a及び第2区画壁15bにより格子状に配されており、尿回収部17は、略同じ大きさの直方体形状に形成されている。尿回収部17を同じ大きさの直方体形状に形成することで、例えば、1つの尿回収部17で回収可能な尿の量が同じになり、回収した尿の量を知る上での目安とすることができる。例えば、一杯になった尿回収部17の数及び尿回収部17に途中まで溜まった尿の量を目視するだけで、回収した尿の大まかな量を知ることができる。
【0045】
各尿回収部17の容積は、健康状態が良好なペットが1回で排泄する尿の量に相当する容積に設定してもよく、健康状態が良好なペットが排泄する1日分の尿の量に設定してもよい。尿の蒸発を抑制しつつ、該尿回収部17から尿を取り出し易くするとともに該尿を計量し易くする等の観点から、1cm3以上が好ましく、2cm3以上がより好ましく、80cm3以下が好ましく、20cm3以下がより好ましい。例えば、ペットの一種である猫を例にとると、健康状態が良好な猫が排泄する1回分の尿量は15mL程度であり、1日分の尿量は60mL(15mL×4回)程度である。
【0046】
尿回収部17の総個数は、尿回収部17に回収された尿の色を評価し易くするとともに、該尿回収部17に回収された尿を該尿回収部17から取り出し易くする等の観点から、2個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、12個以下が好ましく、8個以下がより好ましい。
同様の観点から、尿回収部列17Gの一列当たりの尿回収部17の個数は、2個以上が好ましく、また、6個以下がより好ましい。
また同様の観点から、尿回収部列17Gの列数は、2列以上が好ましく、3列以上がより好ましく、10列以下が好ましく、5列以下がより好ましい。
【0047】
次に、ペット用採尿容器10をペット用トイレ1とともに用いて、ペットの尿を採取する方法について説明する。以下の説明では、ペットが猫である場合の尿の採取方法について説明する。
【0048】
まず
図1に示すように、ペット用採尿容器10をトレー4上に載置して、そのトレー4をトイレ本体2の下層部分Bに収容する。また
図6に示すように、内容器6を外容器5の上面側から重ねて配置する。そして、
図7に示すように、内容器6の上面に粒状の排泄物処理材Pを適量配して、ペット用トイレ1の便床を形成する。
図6及び
図7には図示されていないが、ペット用採尿容器10は、トレー4上に載置された状態で、トイレ本体2内に収容されている。
必要に応じて、ペット用採尿容器10とトレー4との間に尿吸収シート等の尿吸収体(図示せず)を配してもよい。排泄された尿を視認して、尿の色や量を把握し易くする観点から、ペット用採尿容器10上には色見本部70以外の他の部材は配されないことが好ましい。
【0049】
図8には、ペット用採尿容器10をトイレ本体2内に収容して、ペット用トイレ1を使用に供する際のトレー4、ペット用採尿容器10及び仕切層3の平面視での配置位置を模式的に示している。ペット用採尿容器10は、仕切層3の下方において、仕切層3と対向配置されている。
【0050】
図8に示す実施形態では、ペット用採尿容器10が複数個収容されており、ペット用採尿容器10によって、トレー4の底壁41が平面視においてほぼ視認されないように配されている。各ペット用採尿容器10における第1区画壁15aの延在方向と、ペット用トイレ1の長手方向Xとが互いに交差又は直交するように配されている。各ペット用採尿容器10における第2区画壁15bの延在方向は、ペット用トイレ1の長手方向Xに概ね沿って配されている。
また色見本部70は、ペット用採尿容器10の使用時に、仕切層3に直面するようにトレー4内に配置される。
【0051】
ペット用採尿容器10を備えるペット用トイレ1は、例えば、屋内の水平な床面上に
図7に示す状態で設置されてペットである猫の排泄に供される。猫は、ペット用トイレ1のトイレ本体2を乗り越えて内容器6内に収容された排泄物処理材Pの上に乗った状態で排泄を行う。そして排泄された尿は、仕切層3である内容器底壁61に形成された貫通孔63を通過して落下し、仕切層3の下方に対向配置されたペット用採尿容器10上に蓄積される。
【0052】
上述の使用形態においては、排泄された尿は、仕切層3の平面視中央域よりも、仕切層3の一方の端部域や、一箇所の角部から落下する傾向にある。したがって、ペット用トイレ1の使用時において平面視したときに、ペット用採尿容器10は、仕切層3の長手方向両端と、色見本部70とが互いに重ならないように配されることが好ましい。また、仕切層3の長手方向及び横方向の各両端と重ならないように、仕切層3の平面視内方に色見本部70が存在するように、ペット用採尿容器10が配されていることが好ましい。このような構成とすることで、色見本部70の上部に尿が落下しづらくなり、色見本部70に基づく尿の色の対比が精度高く行い易い。
【0053】
また、ペット用トイレ1の使用時において平面視したときに、ペット用採尿容器10は、仕切層3の角部3eと、尿回収部17とが互いに重なるように配されることも好ましい。このような構成とすることで、排泄された尿が尿回収部17上に直接落下し易くなり、尿量の評価を精度高く行い易い。
【0054】
ペットの排泄が終了した後、ペット用採尿容器10上に尿が落下して溜まった状態で、トレー4をトイレ本体2の外容器5から引き出し方向Xaに引き出して、ペット用採尿容器10上に蓄積した尿の色と、色見本部70の着色部分70aの色と対比観察して、観察される尿の色に基づいて、飼い主自身が猫の健康状態を判断する。この対比観察は、ペットの健康状態の早期且つ高精度の把握の観点から、1回の排泄ごとに行うことが好ましい。
【0055】
色見本部70を構成する着色部分70aとして、白色、薄い黄色、黄色、濃い黄色、橙色、ピンク色、赤色、茶色でそれぞれ着色された部分があった場合、例えば、尿の色が黄色又は濃い黄色である場合には、猫の健康状態は正常であると判断できる。また、尿の色が透明、白色又は薄い黄色である場合には、腎臓病が疑われ、猫の健康状態は正常でない又は悪化したと判断できる。また、尿の色が橙色、ピンク色又は赤色等の赤色成分が含まれる色であれば、血尿であることが疑われ、猫の健康状態は正常でない又は悪化したと判断できる。また、尿の色が茶色であれば、ビリルビン尿であることが疑われ、猫の健康状態は正常でない又は悪化したと判断できる。
【0056】
同様に、ペット用採尿容器10上に蓄積した尿の量を観察して、観察される尿量に基づいて、飼い主自身が猫の健康状態を判断する。この観察は、ペットの健康状態の早期且つ高精度の把握の観点から、1回の排泄ごとに行うことが好ましい。例えば尿の量が数滴程度と極端に少ない場合には、猫の健康状態は正常ではない可能性があると判断できる。
また、定期的に連続して排泄を観察したときに、尿が蓄積した尿回収部の数が通常よりも増え、尿量が増えていることが観察された場合には、猫の健康状態は正常ではない可能性があると判断できる。
【0057】
以上のとおり、ペット用採尿容器10上に蓄積した尿の量及び尿の色を総合的に勘案して観察することで、猫などのペットの健康状態を早期に且つ簡便に判断することができる。必要に応じて、ペット用採尿容器10上に蓄積した尿をスポイト等の吸引具や尿回収容器によって回収して、動物病院に持ち込み、該尿を精密検査に供することができる。
動物病院では、尿のpH値や比重の測定、尿検査紙による評価、尿の色や濁り具合等の目視観察等によって所要の尿検査が行われる。この尿検査は、猫の腎臓病、肝臓病、下部尿路疾患、糖尿病等の各種の疾患の早期発見に有効である。
【0058】
またペット用採尿容器10上に残存した余剰の尿は、例えば、ペット用採尿容器10を傾けて、その下方に配された尿吸収体に吸収させて処理してもよく、あるいは、ペット用採尿容器10をトレー4又はトイレ本体2から取り出して、尿を下水に流すなどして処理してもよい。使用済みのペット用採尿容器10は、いわゆる使い切りタイプとして廃棄してもよく、洗浄する等して再利用してもよい。
いずれの場合であっても、尿を採取した後にペット用採尿容器10をトレー4又はトイレ本体2から取り除くことで、尿を処分可能である。したがって、トレー4の尿による汚染を低減して、尿を採取した後にトレー4を掃除する手間を省略して飼い主の肉体的負担を軽減することができる。
【0059】
図8に示すように、第1区画壁15aの延在方向とトレー4の長手方向Xとが直交するようにペット用採尿容器10を複数個配した場合、ペット用採尿容器10を一方の長手方向側壁部12aが傾斜方向下方に位置するように持ち上げて傾斜させることで、蓄積された尿を側壁部12を超えてペット用採尿容器10の外部に流出させることができる。これによって、ペット用採尿容器10の持ち上げを容易にするとともに、ペット用採尿容器10の下部に配された尿吸収体に余剰の尿を吸収させ処分することが容易となる。特に、尿は、第1方向X1(長手方向)に延びる尿回収部列17Gのうち、第1区画壁15aにおいて隔てられた一方の尿回収部列17Gに蓄積される傾向にあるので、上述の方法で傾けることで、高さの高い第1区画壁15aに阻害されることなく、尿を簡便に処分できる点で有利である。尿の処分効率の更なる向上を図る観点から、第1区画壁15aは1つのみ配されていることも好ましい。
【0060】
以上はペットが猫である場合の該猫の尿を採取するためのペット用採尿セットとこれを用いた尿採取方法について説明したが、本発明は、猫以外の任意のペットの尿の採取に対しても同様に適用可能である。
【0061】
ペット用採尿容器10の材質は、尿の組成、特性に影響を与えないか、殆ど与えないものが好ましい。軽量で取り扱い易く、成形性がよい等の点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂で一体成形されたものや、紙の表面にラミネート処理を施した成形体が好ましく挙げられる。また必要に応じて、ペット用採尿容器10は、その表面に撥水加工や抗菌加工が施されたものを用いることがより好ましい。
【0062】
ペット用採尿容器10の外寸法は、取り扱い性の観点から、長手方向の長さが好ましくは100mm以上、より好ましくは150mm以上であり、好ましくは500mm以下、より好ましくは450mm以下である。
同様の観点から、ペット用採尿容器10の外寸法として、横方向の長さが好ましくは80mm以上、より好ましくは100mm以上であり、好ましくは400mm以下、より好ましくは350mm以下である。
また同様の観点から、ペット用採尿容器10の外寸法として、高さは好ましく5mm以上、より好ましくは8mm以上であり、好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下である。本実施形態におけるペット用採尿容器10の高さは、側壁部12の高さH5と同義である。
【0063】
ペット用トイレ1の各構成部材(トイレ本体やトレー等)の材質は、耐食性を有するものであれば特に制限はない。軽量で取り扱い易く、成形性がよい等の点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂で一体成形されたものが好ましい。また、ペット用トイレ1の各構成部材は、表面に撥水加工や抗菌加工が施されたものを用いることがより好ましい。
【0064】
ペット用トイレ1の上層部分Aに配され便床を形成する排泄物処理材Pを用いる場合には、尿検査の信頼性向上の観点から、尿の組成、特性に影響を与えないか、殆ど与えないものが好ましい。このような排泄物処理材としては、好ましくは、植物由来の素材の粉砕物、合成樹脂、粘土鉱物等の成分の1種以上を含んで構成され、所定の形状に成形された成形物が挙げられる。排泄物処理材の形状は、例えば、円筒形状、球状、立方体、直方体等とすることができる。
【0065】
トレー4とペット用採尿容器10との間に尿吸収体を配する場合、尿吸収体としては、例えばパルプ繊維、粘土鉱物系材料、高分子吸水材料等の成分の1種以上を含む原料をシート状又は板状に成形したものを使用することができる。
【0066】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の趣旨を損なわない範囲で、種々の変形や、各構成の組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、トレー4上にペット用採尿容器10を載置して使用する形態を例にとり説明したが、トレー4を用いずに、トレー4に代えてペット用採尿容器10を単独で又は複数配して、ペット用トイレ1を使用してもよい。このような形態でも、本発明の効果は十分に奏される。
【0067】
また例えば、本実施形態における第1区画壁15a及び第2区画壁15bはいずれも、高さが一定となるように形成されているが、この形態に限られない。詳細には、第1区画壁15a内で高さが異なる部位を複数形成してもよく、第2区画壁15b内で高さが異なる部位を複数形成してもよい。この場合、ペット用採尿容器10内での尿の拡散方向の制御の観点から、第1区画壁15aの最小高さは、第2区画壁15bの最大高さよりも高いことが好ましい。
また、尿の汚染の低減の観点から、色見本部70は、第1区画壁15aの最大高さを有する部位の上面に配されることも好ましい。
【符号の説明】
【0068】
1 ペット用トイレ
2 トイレ本体
3 仕切層
4 トレー
5 外容器
6 内容器
10 ペット用採尿容器
11 採尿容器の底壁部
12 採尿容器の側壁部
15,15a,15b 区画壁
17 尿回収部
70 色見本部
A 上層部分
B 下層部分
X1 第1方向
Y1 第2方向
X 長手方向
Y 横方向
Z 高さ方向