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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-30
(45)【発行日】2025-05-12
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20250501BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20250501BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20250501BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20250501BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C25B1/04
C25B9/00 A
C02F1/44 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023090893
(22)【出願日】2023-06-01
(65)【公開番号】P2024172871
(43)【公開日】2024-12-12
【審査請求日】2023-06-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】小河原 賢一郎
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-159591(JP,A)
【文献】中国実用新案第211338912(CN,U)
【文献】特開2008-161795(JP,A)
【文献】特開2018-114450(JP,A)
【文献】特開2021-030162(JP,A)
【文献】登録実用新案第3228324(JP,U)
【文献】登録実用新案第3175997(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 1/78
B01D 61/00-71/82
A61M 1/00- 1/38
C25B 1/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極及び電解槽を有し、原水を電解することにより溶存水素水を生成する電解装置と、
前記溶存水素水を貯水する電解水タンクと、
を備え、
前記電解水タンクを構成するタンク筐体の少なくとも一部が、前記電解槽を構成する電解槽筐体に直接的に接触しており、
前記タンク筐体が、前記電解槽筐体を少なくとも2方向から挟持可能な挟持部を有しており、
前記電解槽筐体が、前記挟持部によって挟持されること、を特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記電解装置が、複数の前記電解槽を有しており、
少なくとも2つの前記電解槽筐体の少なくとも一部が互いに接していること、を特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記挟持部が、凹部として形成されており、
前記電解槽筐体の少なくとも一部が、前記凹部と係合可能であること、を特徴とする請求項に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記電解装置に接続され、前記溶存水素水に対して逆浸透膜処理を行なう逆浸透膜処理装置と、
前記電解装置の制御を行う制御装置と、
を備え、
前記電解装置が、少なくとも1つの前記電解槽を有しており、
前記電解水タンクが、前記逆浸透膜処理装置に接続されると共に、前記溶存水素水を前記逆浸透膜処理装置に供給可能なものであり、
前記電解水タンクには、前記溶存水素水を流出させて、前記電解水タンクに戻るように循環させる循環流路が接続されており、
前記循環流路には、前記逆浸透膜処理装置を介して接続される外部装置と、前記電解槽のうちの少なくとも1つである循環流路接続電解槽と、が配管接続されており、
前記制御装置は、前記電解水タンクから流出した前記溶存水素水を、前記逆浸透膜処理装置を介して前記外部装置に供した後、前記循環流路接続電解槽を介して前記電解水タンクに戻す制御を行うこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記電解槽が複数設けられており、
前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽における前記電極に通じる第二電流値、及び前記電解槽のうち前記循環流路に接続されていないものである循環流路非接続電解槽における前記電極に通じる第一電流値が、それぞれ異なる値となるように制御を行うこと、を特徴とする請求項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽から流出する前記溶存水素水の第二水素濃度が、前記電解水タンクに貯水されている前記溶存水素水の第一水素濃度に近づくように前記循環流路接続電解槽及び前記循環流路非接続電解槽のいずれか一方又は双方における前記電極に通電する制御を行うこと、を特徴とする請求項に記載の水処理装置。
【請求項7】
電極及び少なくとも1つの電解槽を有し、原水を電解することにより溶存水素水を生成する電解装置と、
前記電解装置に接続され、前記溶存水素水に対して逆浸透膜処理を行なう逆浸透膜処理装置と、
前記溶存水素水を貯水すると共に、前記逆浸透膜処理装置に前記溶存水素水を供給可能な電解水タンクと、
前記電解水タンクに接続され、前記溶存水素水を流出させて、前記電解水タンクに戻るように循環させる循環流路と、
前記電解装置の制御を行う制御装置と、
を備え、
前記循環流路には、前記逆浸透膜処理装置を介して接続される外部装置と、前記電解槽のうちの少なくとも1つである循環流路接続電解槽と、が配管接続されており、
前記制御装置は、前記電解水タンクから流出した前記溶存水素水を、前記逆浸透膜処理装置を介して前記外部装置に供した後、前記循環流路接続電解槽を介して前記電解水タンクに戻す制御を行うこと、を特徴とする水処理装置。
【請求項8】
前記電解槽が複数設けられており、
前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽における前記電極に通じる第二電流値と、前記電解槽のうちの前記循環流路に接続されていない循環流路非接続電解槽における前記電極に通じる第一電流値とが、それぞれ異なる値となるように制御を行うこと、を特徴とする請求項に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽から流出する前記溶存水素水の第二水素濃度が、前記電解水タンクに貯水されている前記溶存水素水の第一水素濃度に近づくように前記循環流路接続電解槽及び前記循環流路非接続電解槽のいずれか一方又は双方における前記電極に通電する制御を行うこと、を特徴とする請求項に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記電解水タンクを構成するタンク筐体の少なくとも一部が、前記電解槽を構成する電解槽筐体に接触していること、を特徴とする請求項又はに記載の水処理装置。
【請求項11】
前記タンク筐体が、前記電解槽筐体を少なくとも2方向から挟持可能な挟持部を有しており、
前記電解槽筐体が、前記挟持部によって挟持されること、を特徴とする請求項10に記載の水処理装置。
【請求項12】
前記挟持部が、凹部として形成されており、
前記電解槽筐体の少なくとも一部が、前記凹部と係合可能であること、を特徴とする請求項11に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血液透析において透析患者に酸化ストレスが発生することが知られている。これは、透析時に発生する活性酸素が原因であると考えられており、この活性酸素を消去して酸化ストレスの軽減を図ることが提案されている。
【0003】
このような知見に基づき、例えば、逆浸透膜(RO膜)で処理され、純化した水(以下、「逆浸透水」という。)に水素を溶存させることにより、高濃度の水素が溶存する透析用水(溶存水素水)を製造する透析用水製造装置が提案されている(例えば、特許文献1)。このようにして準備された透析用水は、外部装置のダイアライザー等と称される装置に供給され、同装置内において薬剤が溶解されることにより、水素が溶存した透析液を準備することができる。このように水素が溶存した透析液を血液透析に用いると、水素が生体内のヒドロキシラジカルと反応し、酸化ストレスや炎症反応を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-139475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ダイアライザー等の外部装置に供給された透析用水は、一部が患者の血液透析等に使用され、残りが、再び循環して、透析用水製造装置の原水タンクや逆浸透水タンクに戻されている。ここで、透析液に含まれる溶存水素は、透析用水製造装置や血液透析装置を循環しているうちに、経時的に脱気するため、溶存水素濃度が低下していく。そのため、循環後の透析用水を逆浸透水タンクに直接戻すと、逆浸透水タンクにおける溶存水素濃度も低下する懸念がある。このように、逆浸透水タンク等の溶存水素濃度が低下すると、血液透析装置に供給される透析液における溶存水素濃度が低下したり、溶存水素濃度が不安定化したりする懸念がある。
【0006】
また、上述した透析用水製造装置は、活性炭処理された原水に対して電気分解処理を行なうことにより、水素が溶存した溶存水素水を生成するものとされている。上述した電気分解処理は、陰極室と陽極室とを配置した電解槽により行うものとされている。ここで、電解槽の筐体(ケース)は、一般に、樹脂で形成されており、筐体内に水が流入すると、筐体の内側から水圧がかかり、その水圧が過度に高まると、筐体が外側に膨らむように変形する。このような変形が大きいと、電解槽の筐体が破損する懸念がある。また、小さな変形であっても繰り返し生じることにより、筐体にストレスが蓄積し、クラック等が生じたり、破損したりする懸念がある。このように、従来の透析用水製造装置においては、溶存水素濃度の安定化や、溶存水素水を生成する電解槽の筐体の破損抑制が求められている。
【0007】
そこで本発明は、電解槽の筐体の破損抑制を効果的に行える水処理装置の実現を目的とした。また、本発明は、水素の脱気に伴う逆浸透溶存水素水における溶存水素濃度の低下を最小限に抑制可能な水処理装置の実現を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の水処理装置は、電極及び電解槽を有し、原水を電解することにより溶存水素水を生成する電解装置と、前記溶存水素水を貯水する電解水タンクと、を備え、前記電解水タンクを構成するタンク筐体の少なくとも一部が、前記電解槽を構成する電解槽筐体に接触していること、を特徴とするものである。
【0009】
(2)上述した本発明の水処理装置は、前記タンク筐体が、前記電解槽筐体を少なくとも2方向から挟持可能な挟持部を有しており、前記電解槽筐体が、前記挟持部によって挟持されること、を特徴とすると良い。
【0010】
(3)上述した本発明の水処理装置は、前記電解装置が、複数の前記電解槽を有しており、少なくとも2つの前記電解槽筐体の少なくとも一部が互いに接していること、を特徴とすると良い。
【0011】
(4)上述した本発明の水処理装置は、前記挟持部が、凹部として形成されており、前記電解槽筐体の少なくとも一部が、前記凹部と係合可能であること、を特徴とすると良い。
【0012】
(5)上述した本発明の水処理装置は、前記電解装置に接続され、前記溶存水素水に対して逆浸透膜処理を行なう逆浸透膜処理装置と、前記電解装置の制御を行う制御装置と、を備え、前記電解装置が、少なくとも1つの前記電解槽を有しており、前記電解水タンクが、前記逆浸透膜処理装置に接続されると共に、前記溶存水素水を前記逆浸透膜処理装置に供給可能なものであり、前記電解水タンクには、前記溶存水素水を流出させて、前記電解水タンクに戻るように循環させる循環流路が接続されており、前記循環流路には、前記逆浸透膜処理装置を介して接続される外部装置と、前記電解槽のうちの少なくとも1つである循環流路接続電解槽と、が配管接続されており、前記制御装置は、前記電解水タンクから流出した前記溶存水素水を、前記逆浸透膜処理装置を介して前記外部装置に供した後、前記循環流路接続電解槽を介して前記電解水タンクに戻す制御を行うこと、を特徴とすると良い。
【0013】
(6)上述した本発明の水処理装置は、前記電解槽が複数設けられており、前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽における前記電極に通じる第二電流値、及び前記電解槽のうち前記循環流路に接続されていないものである循環流路非接続電解槽における前記電極に通じる第一電流値とが、それぞれ異なる値となるように制御を行うこと、を特徴とすると良い。
【0014】
(7)上述した本発明の水処理装置において、前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽から流出する前記溶存水素水の第二水素濃度が、前記電解水タンクに貯水されている前記溶存水素水の第一水素濃度に近づくように前記循環流路接続電解槽及び前記循環流路非接続電解槽のいずれか一方又は双方における前記電極に通電する制御を行うこと、を特徴とすると良い。
【0015】
(8)上述した課題を解決すべく提供される本発明の水処理装置は、電極及び少なくとも1つの電解槽を有し、原水を電解することにより溶存水素水を生成する電解装置と、前記電解装置に接続され、前記溶存水素水に対して逆浸透膜処理を行なう逆浸透膜処理装置と、前記溶存水素水を貯水すると共に、前記逆浸透膜処理装置に前記溶存水素水を供給可能な電解水タンクと、前記電解水タンクに接続され、前記溶存水素水を流出させて、前記電解水タンクに戻るように循環させる循環流路と、前記電解装置の制御を行う制御装置と、を備え、前記循環流路には、前記逆浸透膜処理装置を介して接続される外部装置と、前記電解槽のうちの少なくとも1つである循環流路接続電解槽と、が配管接続されており、前記制御装置は、前記電解水タンクから流出した前記溶存水素水を、前記逆浸透膜処理装置を介して前記外部装置に供した後、前記循環流路接続電解槽を介して前記電解水タンクに戻す制御を行うこと、を特徴とするものである。
【0016】
(9)上述した本発明の水処理装置は、前記電解槽が複数設けられており、前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽における前記電極に通じる第二電流値と、前記電解槽のうちの前記循環流路に接続されていない循環流路非接続電解槽における前記電極に通じる第一電流値とが、それぞれ異なる値となるように制御を行うこと、を特徴とすると良い。
【0017】
(10)上述した本発明の水処理装置において、前記制御装置は、前記循環流路接続電解槽から流出する前記溶存水素水の第二水素濃度が、前記電解水タンクに貯水されている前記溶存水素水の第一水素濃度に近づくように前記循環流路接続電解槽及び前記循環流路非接続電解槽のいずれか一方又は双方における前記電極に通電する制御を行うこと、を特徴とすると良い。
【0018】
(11)上述した本発明の水処理装置は、前記電解水タンクを構成するタンク筐体の少なくとも一部が、前記電解槽を構成する電解槽筐体に接触していること、を特徴とすると良い。
【0019】
(12)上述した本発明の水処理装置は、前記タンク筐体が、前記電解槽筐体を少なくとも2方向から挟持可能な挟持部を有しており、前記電解槽筐体が、前記挟持部によって挟持されること、を特徴とすると良い。
【0020】
(13)上述した本発明の水処理装置は、前記挟持部が、凹部として形成されており、前記電解槽筐体の少なくとも一部が、前記凹部と係合可能であること、を特徴とすると良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電解槽の筐体の破損抑制を効果的に行える水処理装置を実現することができる。また、本発明によれば、水素の脱気に伴う逆浸透溶存水素水における溶存水素濃度の低下を最小限に抑制可能な水処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る水処理装置に対して外部装置としてダイアライザーや透析液供給装置を配管接続して形成された血液透析システムに係る説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る水処理装置の構成を示す説明図である。
図3図2の水処理装置を構成する水素溶解装置を模式的に示した断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る水処理装置を構成する電解槽及び電解水タンクの組付け前の状態を模式的に示した斜視図ある。
図5図4の電解槽及び電解水タンクを組付けた状態を模式的に示した右側断面図である。
図6】本発明の変形例に係る水処理装置を構成する電解槽の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る水処理装置10、及びこれを用いて構成される血液透析システム300について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、水処理装置10は、外部から供給される原水2に対して水素を溶解させることにより溶存水素水3(図2参照)を生成した後、溶存水素水3に対して逆浸透膜処理を行うことにより逆浸透溶存水素水5を生成する運転(水処理運転)を行うものである。血液透析システム300は、逆浸透溶存水素水5を用いて生成される透析水を用いて、血液透析を行うためのものである。血液透析システム300は、逆浸透溶存水素水5を用いて稼働する外部装置150として、後に詳述する透析液供給装置160やダイアライザー170を備えたものとされている。以下、水処理装置10、及び血液透析システム300の構成について、さらに具体的に説明する。
【0025】
図2に示すように、水処理装置10は、原水供給部20、電解装置30(水素溶解装置30とも称する)、及び逆浸透膜処理装置40を備えており、これらを配管接続することにより水処理系統100を形成したものである。また、水処理装置10は、水処理系統100において生成された逆浸透溶存水素水5を循環させるための循環流路50を備えている。さらに、水処理装置10は、各部の動作を制御するための制御装置200を備えている。水処理装置10は、水処理系統100において水を圧送しつつ、圧送された水を水素溶解装置30によって電気分解(単に電解とも称する)することにより、溶存水素水3を生成することができる。水処理装置10は、生成された溶存水素水3を逆浸透膜処理装置40において処理することにより逆浸透溶存水素水5を生成し、この逆浸透溶存水素水5を循環流路50において循環させつつ外部装置150に対して供給可能なものである。以下、水処理装置10を構成する各部の構成について、さらに具体的に説明する。
【0026】
原水供給部20は、水処理装置10の外部から供給される水道水や井戸水、地下水などの水(原水2)に処理を施した後、水素溶解装置30に対して供給するためのものである。原水供給部20は、プレフィルタ22、軟水化装置24、活性炭処理装置26、及びポンプ28を備えている。
【0027】
プレフィルタ22は、水処理装置10の外部から供給される水道水や井戸水、地下水などの水(原水2)から不純物を除去するためのものである。プレフィルタ22は、適宜のフィルタによって構成できるが、例えば原水2に含まれる硬度成分(カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの溶解固形物等)から、鉄錆や砂粒子等の不純物を除去できるものとされている。
【0028】
軟水化装置24は、原水2に含まれている硬度成分をイオン交換による置換反応により除去し、軟水とする処理を行うためのものである。水処理系統100において、軟水化装置24は、プレフィルタ22に対して下流側に配管接続されている。そのため、軟水化装置24は、プレフィルタ22において不純物が除去された原水2からさらに硬度成分を除去し、原水2を軟水化することができる。
【0029】
活性炭処理装置26は、水処理系統100において、軟水化装置24に対して下流側に配管接続されている。活性炭処理装置26には、軟水化装置24により軟水化処理された原水2が供給される。活性炭処理装置26は、多孔質の吸着物質である活性炭を用いて、原水2に含まれる残留塩素、クロラミン、有機物などを物理的な吸着作用により除去する処理を行うためのものである。
【0030】
原水供給部20は、上述したプレフィルタ22よりも水処理系統100の上流側に配されたポンプ28を作動させることによって原水2を圧送し、プレフィルタ22、軟水化装置24、及び活性炭処理装置26を通過させることができる。これにより、原水2は、プレフィルタ22において不純物が除去され、軟水化装置24において軟水化され、さらに活性炭処理装置26において残留塩素等の物質が除去された状態とされて、水素溶解装置30(電解装置30)に供給される。
【0031】
水素溶解装置30は、水処理系統100において、原水供給部20に対して下流側に配管接続されている。詳細は後述するが、水素溶解装置30は、図4及び図5に示すように、4つの電解槽33(33A,33B,33C,33D)を備えている。水素溶解装置30は、原水供給部20から導入された原水2に水素を溶解させたもの(溶存水素水3)を生成するものである。水素溶解装置30は、原水2に水素を溶解させて溶存水素水3を生成できるものであればいかなるもので有っても良い。本実施形態では、水素溶解装置30として、電気分解処理を行うことにより、水素が溶存した溶存水素水3を生成可能なものが採用されている。
【0032】
さらに具体的には、図3に示すように、水素溶解装置30は、固体高分子膜32や電解槽33を備えたものとすることができる。なお、図3は、水素溶解装置30の原理を模式的に表したものであり、電解槽33の形状や大きさは、実際のものと異なる場合があることに留意されたい。電解槽33は、電解槽筐体34aで構成されており、電解槽筐体34aに、導入路34b、送水路34c、及び排水路34dが設けられている。また、水素溶解装置30は、電解槽筐体34aの内部に、固体高分子膜32、電極35としての陽極35A及び陰極35B、誘電体層37等を有する。
【0033】
導入路34bは、原水供給部20から供給された原水2、又は外部装置150の処理に使われずに回収された逆浸透溶存水素水5(回収溶存水素水5Aとも称する)を電解槽筐体34aの内部に導入するためのものである。送水路34cは、水素溶解装置30によって生成された溶存水素水3を電解水タンク38に送出するための流路である。また、排水路34dは、水素溶解装置30における処理によって発生した排水(溶存酸素水4)を外部に排出するための流路である。
【0034】
図4及び図5に示すように、電解槽33A,33B,33C(循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cとも称する)は、それぞれの導入路34bに、原水供給部20からの配管29が接続されている。すなわち、電解槽33A,33B,33Cには、導入路34Bを通じて原水2が導入(供給)される。一方、電解槽33D(循環流路接続電解槽33Dとも称する)には、循環流路50が接続されている。詳細は後述するが、循環流路50は、電解水タンク38、逆浸透膜処理装置40、及び外部装置150を循環した溶存水素水3(回収溶存水素水5Aに相当)を再び電解水タンク38に戻すための流路とされている。なお、電解槽33A,33B,33Cと、電解槽33Dとは、接続される流路が異なる以外は、同様の構成とされている。
【0035】
電解水タンク38は、逆浸透膜処理装置40(図2参照)の上流側に設けられ、水素溶解装置30で生成された溶存水素水3を貯水(貯蔵)することができる。電解水タンク38は、本実施形態では、タンク筐体38aが円筒状に構成されており、周面の一部が切り欠かれることにより、挟持部39が形成されている。また、電解水タンク38の底部には、溶存水素水3を流出させる流出口38b(図5参照)が形成されている。
【0036】
挟持部39は、タンク筐体38aが凹状に切り欠かれることにより凹部39として形成されている。凹部39の内面における最奥面39a(底面39a)には上下方向に間隔を空けて電解水タンク38の内部に通じる接続口38cが形成されている。接続口38cは、例えば、円形孔として形成されており、電解槽33における送水路34cを挿入して接続することができる。言い換えると、接続口38cは送水路34cのアダプターとして機能する。
【0037】
電解槽筐体34aは、図3に示すように、電気分解が行われる原水2又は回収溶存水素水5Aを貯留可能な槽状のものである。本実施形態では、図4及び図5に示すように、各電解槽33における電解槽筐体34aが、箱状に形成されており、上下方向に積層配置されている。電解槽筐体34aには、上述したように導入路34b、送水路34c、及び排水路34dが設けられており、導入路34b、送水路34c、及び排水路34dのそれぞれが、電解槽筐体34aから突出するように配されている。複数の電解槽筐体34aは、それぞれが上下方向に一体的に連結されており、凹部39(挟持部39)に嵌め込んで係合させることができる。言い換えると、タンク筐体38aは、少なくとも一部が、電解槽33を構成する電解槽筐体34aに接触するものとされている。さらに言い換えると、挟持部39は、電解槽筐体34aを少なくとも2方向から挟持可能なものであり、電解槽筐体34aを挟持して保持することができる。これにより、水処理装置10は、電解槽33が、幅方向に膨張することを抑制できる。また、電解槽筐体34aと凹部39との係合に伴い、複数の電解槽33における各送水路34cが各接続口38cと接続され、各排水路34dと電解水タンク38とが連通する。
【0038】
図3に示すように、固体高分子膜32は、水素溶解装置30において電解質として機能するものである。固体高分子膜32は、電解槽33の短手方向略中央部において、電解槽33の長手方向に延びるように配置されている。これにより、電解槽33の内部空間は、固体高分子膜32を介して一方側の空間と、他方側の空間とに隔てられている。固体高分子膜32は、電気分解により、陽極35A側で発生したオキソニウムイオン(H)を陰極35B側へと移動させる役割を有するものである。固体高分子膜32は、例えばスルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料により形成されたものを好適に使用することができる。より具体的には、ナフィオン(デュポン社製)、Flemion(旭硝子社製)、Aciplex(旭硝子社製)などを固体高分子膜32として好適に用いることができる。
【0039】
陽極35A及び陰極35Bは、電解槽33への給電を行う給電体として機能するものである。陽極35A及び陰極35Bは、固体高分子膜32を介して互いに対向するように配置されている。陽極35A及び陰極35Bは、例えば、チタンや白金などの素材を用いて形成されている。陽極35Aと陰極35Bは、電気的に接続されている。
【0040】
誘電体層37は、固体高分子膜32と陽極35Aとの間に形成された空間、及び固体高分子膜32と陰極35Bとの間に形成された空間に配されている。誘電体層37は、例えばチタンや白金などの素材を用いて形成されている。
【0041】
水素溶解装置30において原水2を電気分解すると、陽極35A側、及び陰極35B側において以下のような反応が起こる。
陽極側:6HO→4H+O+4e
陰極側:4H+4e→2H+4H
【0042】
水素溶解装置30においては、陰極35Bにおける水素の生成原料としてオキソニウムイオン(H)が使用され、電気分解処理の際にOHイオンが発生しない。従って、水素溶解装置30は、溶存水素の量を増やすために高い電流値で電気分解処理を行った場合であっても、処理水のpHが変化しない。従って、水素溶解装置30においては、pHの上限値に起因して、処理水の溶存水素濃度が抑制されてしまうという不都合を生じることがなくなり、所望の高い電流値で電気分解処理を行い、処理水の溶存水素濃度を向上させることが可能になる。その結果、必要な溶存水素濃度を有する処理水を得ることが可能になる。
【0043】
図4及び図5に示すように、水素溶解装置30は、上述した電気分解処理により生成した溶存水素水3を、電解槽筐体34aの陰極35B側に形成された送水路34cから、電解水タンク38の内部に送出できる。電解水タンク38に貯水された溶存水素水3は、電解水タンク38から流出し、逆浸透膜処理装置40(図2参照)に送出される。一方、電気分解処理により、陽極35A側で発生した溶存酸素水4は、陽極35A側に形成された排水路34dから排出される(図3参照)。排水路34dには、外部に通じる排水管55が接続されており、排水路34dから排出された溶存酸素水4が、排水管55を通じて外部に排出される。
【0044】
図2に示すように、逆浸透膜処理装置40は、水処理系統100において水素溶解装置30よりも下流側に配されている。逆浸透膜処理装置40は、逆浸透膜42を用いて逆浸透膜処理を行うための装置である。逆浸透膜処理装置40は、逆浸透膜42、ROタンク44、及びROポンプ45を備えている。
【0045】
逆浸透膜42は、水素溶解装置30により生成した溶存水素水3に対して、逆浸透処理を行うためのものである。ここで、半透膜を境界にして、濃度の異なる溶液がある場合、低濃度の溶液から高濃度の溶液へ水が移動する現象(浸透)が生じる。これに対し、半透膜を境界にして、高濃度の溶液側に圧力を加えることにより、高濃度側の溶液から低濃度側の溶液へ水を移動させ、低濃度側に水が浸透する現象(逆浸透)を生じさせることができる。逆浸透膜42は、逆浸透膜処理装置40において逆浸透させた水(逆浸透水)を得る処理(逆浸透膜処理)を行うために設けられている。
【0046】
逆浸透膜処理装置40は、水を逆浸透させることにより、微量金属類などの不純物を除去することができる。逆浸透膜処理装置40は、水素溶解装置30側からROポンプ45によって圧送された溶存水素水3を逆浸透膜42において逆浸透させることにより、溶存水素水3からさらに微量金属類などの不純物を除去することができる。本実施形態の水処理装置10では、上述したように水素溶解装置30において溶存水素水3を生成するまでの段階において、既にプレフィルタ22において不純物が除去され、軟水化装置24において軟水化され、さらに活性炭処理装置26において残留塩素等の物質が除去されている。そのため、水処理装置10は、逆浸透膜処理装置40によって溶存水素水3を逆浸透処理することにより、ISO13959(透析用水基準)に規定される水質基準を満たす水(逆浸透水)を得ることができる。また、水処理装置10は、水素溶解装置30において生成された溶存水素水3を逆浸透膜処理装置40によって逆浸透処理する。そのため、水処理装置10は、逆浸透膜処理装置40における逆浸透処理を行うことにより、水素が溶存した逆浸透水(逆浸透溶存水素水5)を得ることができる。
【0047】
ROタンク44は、水処理系統100において、上述した逆浸透膜42よりも下流側に設けられている。ROタンク44は、逆浸透膜42による逆浸透膜処理がなされた逆浸透水(逆浸透溶存水素水5)を貯水(貯蔵)するためのものである。ROタンク44には、紫外線殺菌装置47が設置されている。また、ROタンク44には、循環流路50の一部をなす送出タンク配管46が接続されている。送出タンク配管46は、循環流路50をなす配管に対して配管接続されるものである。
【0048】
送出タンク配管46は、ROタンク44から逆浸透溶存水素水5を導出するための配管である。送出タンク配管46は、ROタンク44の底側(本実施形態ではROタンク44の底部)に配管接続されている。送出タンク配管46には、循環ポンプ46a、限外濾過装置46b、及び配管接続部46cが設けられている。
【0049】
循環ポンプ46aは、ROタンク44に貯留されている逆浸透溶存水素水5を汲み出して、循環流路50に向けて圧送するものである。限外濾過装置46bは、限外濾過膜を備えている。限外濾過装置46bは、逆浸透膜処理によって逆浸透溶存水素水5が生成された後に微生物等が含まれていた場合にこれを捕捉できるように設けられている。また、配管接続部46cは、循環流路50を構成する配管の端部が配管接続される部分である。
【0050】
循環流路50は、上述したROタンク44に接続された送出タンク配管46に対して配管接続されることにより、ROタンク44から出て、電解槽33Dに戻る逆浸透溶存水素水5の循環流を形成するための流路である。循環流路50には、逆浸透溶存水素水5を用いて稼働する外部装置150(図1参照)が配管接続されている。外部装置150は、水処理装置10によって生成された逆浸透溶存水素水5を用いて稼働するものであればいかなるものであっても良い。本実施形態においては、血液透析システム300を構成する透析液を生成するための透析液供給装置160や、ダイアライザー170が外部装置150として循環流路50に対して配管接続されている。
【0051】
また、循環流路50の中間部分には、循環流路50の一部をなす連絡タンク配管48が、配管接続部48bを介して接続されている。連絡タンク配管48には、限外濾過装置48aが設けられている。限外濾過装置48aは、上述した限外濾過装置46bと同様のものであり、電解水タンク38に向けて戻ってきた逆浸透溶存水素水5に微生物等が含まれていた場合にこれを捕捉できるように設けられている。また、限外濾過装置46bの下流側には、循環流路50をなす配管が接続されている。当該循環流路50をなす配管は、電解水タンク38の上方側に接続されており、循環流路50を流れる逆浸透溶存水素水5を電解水タンク38に導出できる。すなわち、循環流路50は、外部装置150の処理に使われずに回収された逆浸透溶存水素水5(回収溶存水素水5Aとも称する)を再電解するために利用される。
【0052】
図1に示すように、透析液供給装置160は、逆浸透溶存水素水5に対して薬剤を溶解させることにより透析に用いる薬液(透析液)を生成可能なものである。透析液供給装置160には、薬剤を供給するための供給装置を一又は複数(図示例では、薬剤溶解装置162,164の2台)が接続されている。透析液供給装置160は、循環流路50から取り込んだ逆浸透溶存水素水5に対して、薬剤溶解装置162,164から供給された薬剤を混合させることにより、透析液を生成できる。透析液供給装置160により生成された透析液は、各患者毎に割り当てられたダイアライザー180に供給され、血液透析に供される。
【0053】
また、ダイアライザー170は、上述したダイアライザー180とは異なり、逆浸透溶存水素水5に対して薬剤を溶解させることにより透析液を生成する機能を備えたものである。そのため、ダイアライザー170は、透析液供給装置160を介することなく、循環流路50に対して接続されている。
【0054】
制御装置200は、図2に示すように、水処理装置10において原水2から溶存水素水3を経て逆浸透溶存水素水5を生成する水処理運転の制御を行うものである。制御装置200は、コンピュータ等で構成され、各種の演算や処理を行うことができる。また、制御装置200は、外部装置150における稼働状況に応じて、逆浸透溶存水素水5を外部装置150に対して供給するための制御を行うことができる。
【0055】
制御装置200は、電解水タンク38から流出した溶存水素水3を、逆浸透膜処理装置40を介して外部装置150に供した後、循環流路接続電解槽33Dを介して電解水タンク38に戻す制御を行うことができる。また、制御装置200は、循環流路接続電解槽33Dにおける電極35に通じる第二電流値と、電解槽33のうちの循環流路50に接続されていない循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cにおける電極35に通じる第一電流値とが、それぞれ異なる値となるように制御を行うことができる。具体的には、制御装置200は、循環流路接続電解槽33Dから流出する溶存水素水3の水素濃度(第二水素濃度とも称する)が、電解水タンク38に貯水されている溶存水素水3の水素濃度(第一水素濃度とも称する)に近づくように循環流路接続電解槽33D又は循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cにおける電極35に通電する制御を行うことができる。
【0056】
以上が、本発明の一実施形態に係る水処理装置10の構成であり、次に本発明の水処理装置10の作用効果について以下に説明する。上述した実施形態において例示した、本発明を具現化した水処理装置10は、以下の(A)~(L)に示すような特徴的構成を有し、これにより本発明に特有の効果を奏することができる。
【0057】
(A)上述した本実施形態の水処理装置10は、電極35及び電解槽33を有し、原水2を電解することにより溶存水素水3を生成する電解装置30(水素溶解装置30)と、溶存水素水3を貯水する電解水タンク38と、を備え、電解水タンク38を構成するタンク筐体38aの少なくとも一部が、電解槽33を構成する電解槽筐体34aに接触していること、を特徴とするものである。
【0058】
本実施形態の水処理装置10は、上記(A)のような構成とすることにより、電解槽33を構成する電解槽筐体34aが、電解水タンク38を構成するタンク筐体38aの少なくとも一部によって支持される。そのため、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33が、原水2や電解水(溶存水素水3等)の圧力等に負けて膨張したり、クラックが発生したりすることを抑制できる。また、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33を補強するために別途の補強部材等を設けることなく、電解槽33を保護することができるので、水処理装置10が大型化することやコストが増大することを抑制できる。ここで、タンク筐体38aが電解槽筐体34aと接触する部分は、特に限定されるものではないが、例えば、電解槽筐体34aが膨張しやすいと考えられる電解槽筐体34aの側面部分等に接触すると良い。また、電解槽筐体34aと、タンク筐体38aとの接触は、線接触又は面接触であると良い。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解槽筐体34aを確実に支持することができる。
【0059】
(B)上述した本実施形態の水処理装置10は、タンク筐体38aが、電解槽筐体34aを少なくとも2方向から挟持可能な挟持部39を有しており、電解槽筐体34aが、挟持部39によって挟持されること、を特徴とするものである。
【0060】
本実施形態の水処理装置10は、上記(B)のような構成とすることにより、電解槽筐体34aが電解水の圧力等に負けて膨張することをより確実に抑制できる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33の破損やクラックの発生を確実に抑制できる。また、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33を補強するために別途の補強部材等を設けることなく、電解槽33を保護することができるので、水処理装置10が大型化することやコストが増大することを抑制できる。
【0061】
(C)上述した本実施形態の水処理装置10は、挟持部39が、凹部39として形成されており、電解槽筐体34aの少なくとも一部が、凹部39と係合可能であること、を特徴とするものである。
【0062】
本実施形態の水処理装置10は、上記(C)のような構成とすることにより、挟持部39における凹部39に電解槽筐体34aを係合させて挟持することができる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解槽筐体34aを確実に電解水タンク38に保持できると共に、挟持部39により電解槽筐体34aが内圧に負けて膨らむことを抑制できる。したがって、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33にクラックが入ったり、破損したりすることを抑制できる。また、本実施形態の水処理装置10は、電解槽筐体34aと凹部39との係合により、凹部39内に電解槽筐体34aの少なくとも一部が収容される。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33を補強するために別途の補強部材等を設けることなく、電解槽33を保護することができるので、水処理装置10が大型化することやコストが増大することを抑制できる。
【0063】
(D)上述した本実施形態の水処理装置10は、電解装置30に接続され、溶存水素水3に対して逆浸透膜処理を行なう逆浸透膜処理装置40と、電解装置30の制御を行う制御装置200と、を備え、電解装置30が、少なくとも1つの電解槽33を有しており、電解水タンク38が、逆浸透膜処理装置40に接続されると共に、溶存水素水3を逆浸透膜処理装置40に供給可能なものであり、電解水タンク38には、溶存水素水3を流出させて、電解水タンク38に戻るように循環させる循環流路50が接続されており、循環流路50には、逆浸透膜処理装置40を介して接続される外部装置150と、電解槽33のうちの少なくとも1つである循環流路接続電解槽33Dと、が配管接続されており、制御装置200は、電解水タンク38から流出した溶存水素水3を、逆浸透膜処理装置40を介して外部装置150に供した後、循環流路接続電解槽33Dを介して電解水タンク38に戻す制御を行うこと、を特徴とするものである。
【0064】
本実施形態の水処理装置10は、上記(D)のような構成とすることにより、回収溶存水素水5Aが、循環流路接続電解槽33Dにおける再電解により水素濃度が高められた後、溶存水素水3(本実施形態では、逆浸透溶存水素水5に相当)として電解水タンク38に戻される。そのため、電解水タンク38に貯水される溶存水素水3の水素濃度が安定化する。また、電解水タンク38から流出した溶存水素水3は、逆浸透膜処理装置40を経て、ROタンク44に戻される。これにより、本実施形態の水処理装置10は、回収溶存水素水5Aが、ROタンク44に直接戻されることがないので、逆浸透溶存水素水5の水素濃度を安定化することができる。また、本実施形態の水処理装置10は、回収溶存水素水5Aが、膨張の抑制が施された循環流路接続電解槽33Dに戻されるので、回収溶存水素水5A(電解水)の水圧による影響を抑制できる。また、本実施形態の水処理装置10は、回収溶存水素水5Aを循環流路接続電解槽33Dに戻すように構成されているので、回収溶存水素水5Aが、直接配管類に流入することがない。これにより、本実施形態の水処理装置10は、配管類が水圧の影響等を受けて破損することを抑制できる。
【0065】
(E)上述した本実施形態の水処理装置10は、電解槽33が複数設けられており、制御装置200は、循環流路接続電解槽33Dにおける電極35に通じる第二電流値と、電解槽33のうちの循環流路50に接続されていない循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cにおける電極35に通じる第一電流値とが、それぞれ異なる値となるように制御を行うこと、を特徴とするものである。
【0066】
本実施形態の水処理装置10は、上記(E)のような構成とすることにより、回収溶存水素水5Aを再電解するための循環流路接続電解槽33Dと、原水2を電解するための循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cとに通じる電流値を異なるものとすることができる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解水タンク38に供給する溶存水素水3の濃度を安定化できる。具体的には、原水2側の循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cは、水素濃度が低いため、第一電流値を高くし、回収溶存水素水5Aが戻される循環流路接続電解槽33Dは、水素濃度が比較的高いため、第二電流値を弱める制御が行われる。
【0067】
(F)上述した本実施形態の水処理装置10において、制御装置200は、循環流路接続電解槽33Dから流出する溶存水素水3の第二水素濃度が、電解水タンク38に貯水されている溶存水素水3の第一水素濃度に近づくように循環流路接続電解槽33D又は循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cにおける電極35に通電する制御を行うこと、を特徴とするものである。
【0068】
本実施形態の水処理装置10は、上記(F)のような構成とすることにより、低水素濃度(第二水素濃度)の回収溶存水素水3の水素濃度を高めて、本来想定される第一水素濃度に近づけることができる。具体的には、原水2側の循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cは、水素濃度が低いため、第一電流値を高くし、回収溶存水素水5Aが戻される循環流路接続電解槽33Dは、水素濃度が比較的高いため、第二電流値を弱める制御が行われる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解水タンク38に貯水される溶存水素水3の水素濃度を安定化できるので、逆浸透膜処理装置40に供する溶存水素水3の水素濃度が安定する。すなわち、本実施形態の水処理装置10は、回収溶存水素水5Aが、ROタンク44に直接戻されることがないので、逆浸透溶存水素水5の水素濃度を安定化することができる。
【0069】
(G)本実施形態の水処理装置10は、電極35及び少なくとも1つの電解槽33を有し、原水2を電解することにより溶存水素水3を生成する電解装置30と、電解装置30に接続され、溶存水素水3に対して逆浸透膜処理を行なう逆浸透膜処理装置40と、溶存水素水3を貯水すると共に、逆浸透膜処理装置40に溶存水素水3を供給可能な電解水タンク38と、電解水タンク38に接続され、溶存水素水3を流出させて、電解水タンク38に戻るように循環させる循環流路50と、電解装置30の制御を行う制御装置200と、を備え、循環流路50には、逆浸透膜処理装置40を介して接続される外部装置150と、電解槽33のうちの少なくとも1つである循環流路接続電解槽33Dと、が配管接続されており、制御装置200は、電解水タンク38から流出した溶存水素水3を、逆浸透膜処理装置40を介して外部装置150に供した後、循環流路接続電解槽33Dを介して電解水タンク38に戻す制御を行うこと、を特徴とするものである。
【0070】
本実施形態の水処理装置10は、上記(G)のような構成とすることにより、回収溶存水素水5Aが、循環流路接続電解槽33Dにおける再電解により水素濃度が高められた後、溶存水素水3として電解水タンク38に供給される。そのため、電解水タンク38に貯水される溶存水素水3の水素濃度が安定化する。また、電解水タンク38から流出した溶存水素水3は、逆浸透膜処理装置40を経て、ROタンク44に戻されるものとされている。これにより、本実施形態の水処理装置10は、回収溶存水素水5Aが、ROタンク44に直接戻されることがないので、逆浸透溶存水素水5の水素濃度を安定化することができる。
【0071】
(H)上述した本実施形態の水処理装置10は、電解槽33が複数設けられており、制御装置200は、循環流路接続電解槽33Dにおける電極35に通じる第二電流値と、電解槽33のうちの循環流路50に接続されていない循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cにおける電極35に通じる第一電流値とが、それぞれ異なる値となるように制御を行うこと、を特徴とするものである。
【0072】
本実施形態の水処理装置10は、上記(H)のような構成とすることにより、回収溶存水素水5Aを再電解するための循環流路接続電解槽33Dと、原水2を電解するための循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cとに通じる電流値を異なるものとすることができる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解水タンク38に供給する溶存水素水3の濃度を安定化するための電流制御を効率良く行うことができる。
【0073】
(I)上述した本実施形態の水処理装置10において、制御装置200は、循環流路接続電解槽33Dから流出する溶存水素水3の第二水素濃度が、電解水タンク38に貯水されている溶存水素水3の第一水素濃度に近づくように循環流路接続電解槽33D及び循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cのいずれか一方又は双方における電極35に通電する制御を行うこと、を特徴とするものである。
【0074】
本実施形態の水処理装置10は、上記(I)のような構成とすることにより、低水素濃度(第二水素濃度)の回収溶存水素水5Aの水素濃度を高めて、本来想定される第一水素濃度に近づけることができる。具体的には、原水2側の循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cは、水素濃度が低いため、第一電流値を高くし、回収溶存水素水5Aが戻される循環流路接続電解槽33Dは、水素濃度が比較的高いため、第二電流値を弱める制御が行われる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解水タンク38に貯水される溶存水素水3の水素濃度を安定化できるので、逆浸透膜処理装置40に供する溶存水素水3の水素濃度が安定する。すなわち、本実施形態の水処理装置10は、回収溶存水素水5Aが、ROタンク44に直接戻されることがないので、逆浸透溶存水素水5の水素濃度を安定化することができる。
【0075】
(J)上述した本実施形態の水処理装置10は、電解水タンク38を構成するタンク筐体38aの少なくとも一部が、電解槽33を構成する電解槽筐体34aに接触していること、を特徴とするものである。
【0076】
本実施形態の水処理装置10は、上記(J)のような構成とすることにより、電解槽33を構成する電解槽筐体34aが、電解水タンク38を構成するタンク筐体38aの少なくとも一部によって支持される。そのため、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33が、原水2や電解水の圧力等に負けて膨張したり、クラックが発生したりすることを抑制できる。また、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33を補強するために別途の補強部材等を設けることなく、電解槽33を保護することができるので、水処理装置10が大型化することやコストが増大することを抑制できる。ここで、タンク筐体38aが電解槽筐体34aと接触する部分は、特に限定されるものではないが、例えば、電解槽筐体34aが膨張しやすいと考えられる電解槽筐体34aの側面部分等に接触するとよい。
【0077】
(K)上述した本実施形態の水処理装置10は、タンク筐体38aが、電解槽筐体34aを少なくとも2方向から挟持可能な挟持部39を有しており、電解槽筐体34aが、挟持部39によって挟持されること、を特徴とするものである。
【0078】
本実施形態の水処理装置10は、上記(K)のような構成とすることにより、電解槽筐体34aを2方向から挟持できる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33が内圧に負けて膨らむことを抑制できるので、電解槽33にクラックが入ったり、破損したりすることを抑制できる。
【0079】
(L)上述した本実施形態の水処理装置10は、挟持部39が、凹部39として形成されており、電解槽筐体34aの少なくとも一部が、凹部39と係合可能なものである。
【0080】
本実施形態の水処理装置10は、上記(L)のような構成とすることにより、挟持部39における凹部39に電解槽筐体34aを係合させて挟持することができる。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解槽筐体34aを確実に電解水タンク38に保持できると共に、挟持部39により電解槽筐体34aが内圧に負けて膨らむことを抑制できる。したがって、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33にクラックが入ったり、破損したりすることを抑制できる。また、本実施形態の水処理装置10は、電解槽筐体34aと凹部39との係合により、凹部39内に電解槽筐体34aの少なくとも一部が収容される。これにより、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33を補強するために別途の補強部材等を設けることなく、電解槽33を保護することができるので、水処理装置10が大型化することやコストが増大することを抑制できる。
【0081】
なお、本発明の水処理装置10は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であり、上記実施形態において例示したものや、上記(A)~(L)に係るものに限定されるものではなく、以下の変形例のような構成としても良い。以下、水処理装置10の変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上記実施形態に係る水処理装置10と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0082】
≪変形例≫
【0083】
図6に示すように、変形例に係る水処理装置10は、複数の電解槽33を上下方向に積層するのではなく、横方向に並べて配置したものである(本変形例では、2つの電解槽33,33)。変形例に係る水処理装置10は、2つの電解槽33,33の少なくとも一部が互いに接している。また、変形例に係る水処理装置10は、一方が循環流路接続電解槽33Dとして構成され、他方が循環流路非接続電解槽33Aとして構成されている。また、電解槽33は、上述した実施形態と同様の構成を備えている。なお、図6においては、電解槽33以外の構成については図示を省略していることに留意されたい。
【0084】
変形例に係る水処理装置10は、上述した(A)~(L)に係る特徴的構成に加えて、以下の(M)に係る特徴的構成を有し、これにより以下のような特有の効果を奏するものとされている。
【0085】
(M)上述した本実施形態の水処理装置10は、電解装置30が、複数の電解槽33を有しており、少なくとも2つの電解槽筐体34aの少なくとも一部が互いに接していること、を特徴とするものである。
【0086】
本実施形態の水処理装置10は、上記(M)のような構成とすることにより、複数の電解槽筐体34aのうちの互いに接触し合う部分において、互いの膨張を打ち消しあうことができる。そのため、本実施形態の水処理装置10は、電解槽筐体34aが膨張することを抑制できる。また、本実施形態の水処理装置10は、電解槽33を補強するために別途の補強部材等を設けることなく、電解槽33を保護することができるので、水処理装置10が大型化することやコストが増大することを抑制できる。
【0087】
≪その他の変形例≫
上述した実施形態や変形例に係る水処理装置10は、本発明の水処理装置10の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0088】
本実施形態では、電解装置30が、4つの電解槽33を有するものとしたが、電解槽33は、単一のものから複数のものまで各種の個数の電解槽33を設けることができる。なお、電解水タンク38における溶存水素水3の水素濃度を安定化する観点からは、循環流路接続電解槽33D及び循環流路非接続電解槽33Aの少なくとも2つの電解槽33が設けられていることが望ましい。また、電解槽33の形状・大きさ・構成は、実施形態に係るものだけではなく、各種の形状・大きさ・構成のものが利用できる。
【0089】
本実施形態では、電解水タンク38が、円筒状に形成されているが、電解水タンク38の形状や大きさは、各種の形状や大きさのものとすることができる。また、電解水タンク38に形成される挟持部39は、凹部39には限定されず、各種の形状や大きさに形成することができる。また、挟持部39や凹部39は、必要に応じて設ければよく、電解水タンク38に挟持部39や凹部39を設けない構成とすることもできる。かかる場合は、電解水タンク38におけるタンク筐体38aと、電解槽筐体34aとの少なくとも一部が互いに接触するように構成することが望ましい。また、タンク筐体38aと電解槽筐体34aの接触の仕方の態様は、各種の態様のものとすることができる。かかる場合は、タンク筐体38aと電解槽筐体34aとが、線接触又は面接触で接することが望ましい。また、電解槽筐体34a全体が、タンク筐体38aと接触するように構成されていてもよい。
【0090】
本実施形態では、循環流路50に限外濾過装置46b、48aが設けられているが、これらは、必要に応じて設ければよく、いずれか一方又は双方を有しない構成とすることもできる。また、外部装置150は、血液透析システム300やダイアライザー170,180に限定されるものではなく、各種の装置が利用できる。
【0091】
本実施形態では、制御装置200において、循環流路接続電解槽33Dにおける電極35に通じる第二電流値と、電解槽33のうちの循環流路50に接続されていない循環流路非接続電解槽33A,33B,33Cにおける電極35に通じる第一電流値とが、それぞれ異なる値となるように制御が行われるものとしたが、本発明はこれには限定されない。例えば、本発明の水処理装置10は、第一電流値と、第二電流値とが、同じとなるように制御することも可能である。また、第一電流値及び第二電流値は、溶存水素水3における水素濃度に応じて、各種の電流値に設定できる。また、電解槽33において生成される溶存水素水3の水素濃度は、必要に応じて各種の濃度に設定することができる。また、回収溶存水素水5Aにおける水素濃度(第二水素濃度)と、原水2から生成される溶存水素水3における水素濃度(第一水素濃度)と、を近づける範囲は、必要とされる溶存水素水3の水素濃度に応じて各種の範囲に設定することができる。
【0092】
本願発明は、上述した実施の形態に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願または本願に基づく分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、例えば、血液透析に用いる透析液を生成する透析液供給装置やダイアライザー等の外部装置に対して供給する逆浸透溶存水素水を生成するための水処理装置全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0094】
2 :原水
3 :溶存水素水
5 :逆浸透溶存水素水
5A :回収溶存水素水(逆浸透溶存水素水)
10 :水処理装置
30 :水素溶解装置
33 :電解槽
33A :循環流路非接続電解槽(電解槽)
33B :循環流路非接続電解槽(電解槽)
33C :循環流路非接続電解槽(電解槽)
33D :循環流路接続電解槽(電解槽)
34a :電解槽筐体
35 :電極
38 :電解水タンク
38a :タンク筐体
39 :挟持部(凹部)
40 :逆浸透膜処理装置
44 :ROタンク
50 :循環流路
150 :外部装置
170 :ダイアライザー
180 :ダイアライザー
200 :制御装置
300 :血液透析システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6