(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】車両用発電ユニットの搭載構造
(51)【国際特許分類】
B60K 6/22 20071001AFI20250502BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20250502BHJP
B60K 6/00 20071001ALI20250502BHJP
B60L 50/10 20190101ALI20250502BHJP
【FI】
B60K6/22
F02B63/04 B ZHV
B60K6/00
B60L50/10
(21)【出願番号】P 2020181576
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-08-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】上妻 眞也
(72)【発明者】
【氏名】曽布川 靖
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕市
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健介
(72)【発明者】
【氏名】恩地 耕平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 聖英
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-071358(JP,A)
【文献】特開2003-002249(JP,A)
【文献】特開2016-084769(JP,A)
【文献】特開2008-247371(JP,A)
【文献】実開昭54-063339(JP,U)
【文献】特開2015-224589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/22
F02B 63/04
B60K 6/00
B60L 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電ユニットを車体に搭載する車両用発電ユニットの搭載構造において、
車両外側に開口部を有し、前記発電ユニットを着脱可能に搭載する箱状のユニット設置構造体と、
前記ユニット設置構造体の内部に設けられ、前記開口部から車両外側に突出可能に構成されたレールと、
前記ユニット設置構造体を前記車体に懸架する懸架支持部材と、
を有し、
前記レールの一部が前記開口部から車両外側に突出しているとき、前記レールの車両内側端はレール支持部によって支持され、
前記レール支持部は、前記ユニット設置構造体の内部における側面壁に設けられ、前記レールを上下方向から覆うことより前記レールを支持しており、
前記発電ユニットは、車両外側に突出した前記レールに設置された状態で、前記レールが前記ユニット設置構造体の内部に移動することによって、前記ユニット設置構造体の内部に着脱可能に搭載され、
前記懸架支持部材は、前記ユニット設置構造体の側面壁に設けられた第1の支持部と、該第1の支持部よりも車両内側に設けられた第2の支持部とを有しており、
前記第1の支持部は、前記第2の支持部よりも車両下方側に配置されて
おり、
前記レール支持部は、前記側面壁に設けられ、前記レールを上下方向から覆い且つ前記レールの移動方向に交差する幅方向から覆うことにより前記レールを支持しており、
前記レール支持部と記レールとの間には、前記幅方向の隙間及び前記上下方向の隙間が形成され、
前記上下方向の隙間は、前記幅方向の隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする、車両用発電ユニットの搭載構造。
【請求項2】
前記第1の支持部は、前記側面壁に接合される第1の接合面部と、該第1の接合面部から突出する第1の平板部と、該第1の平板部の上面に設置される第1の上側クッション部材と、前記第1の平板部の下面に設置される第1の下側クッション部材と、車両前後方向に延びる支柱部材と、を有し、
前記支柱部材の上部は、前記車体に接合され、前記支柱部材の下部には、軸部材が取り付けられ、
前記第1の上側クッション部材は、前記軸部材を介して、前記支持部材の下部に接続されており、
前記第1の下側クッション部材の弾性率は、前記第1の上側クッション部材の弾性率よりも小さく設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用発電ユニットの搭載構造。
【請求項3】
前記ユニット設置構造体は、前記開口部に対向し、前記開口部よりも車両内側に配置されている内壁部を有し、
前記第2の支持部は、前記内壁部に設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用発電ユニットの搭載構造。
【請求項4】
前記第2の支持部は、ユニット設置構造体の外面に接合される第2の接合面部と、該第2の接合面部から突出する第2の平板部と、該第2の平板部の上面に設置される第2の上側クッション部材と、前記第2の平板部の下面に設置される第2の下側クッション部材と、を有していることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車両用発電ユニットの搭載構造。
【請求項5】
前記発電ユニットの側部には、外側に突出する側部フランジが設けられ、
前記発電ユニットは、前記側部フランジを前記レール上に設置した状態で、前記ユニット設置構造体に搭載されることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両用発電ユニットの搭載構造。
【請求項6】
前記レールの上部には、複数の穴が設けられ、前記側部フランジの下側部には、車両下方に突出する複数の突出部が設けられ、
前記突出部が前記穴に差し込まれることによって、前記発電ユニットが前記レールに固定されていることを特徴とする、請求項5に記載の車両用発電ユニットの搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用発電ユニットの搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを駆動するためのバッテリを有する電動車両には、例えば、特許文献1に開示されているように、小型の発電ユニットが搭載されている車両が知られている。当該発電ユニットを搭載し、バッテリまたは電動モータに電力を供給することによって、航続距離を延長させることが可能となる。
【0003】
上記例の発電ユニットは、車両の後部シートの下方側に設けられたスペースに、取り外し可能に搭載されている。この例では、発電ユニットの下部には、車輪が設けられており、発電ユニットは、車体後部に設けられた箱の下面を走行可能に構成され、箱の開口から搬入及び搬出が可能となっている。
【0004】
このように発電ユニットを車体に対して取り外し可能に構成することによって、メンテナンス性が向上し、さらに、車両から離れた場所において、発電ユニットを単独で使用することも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車体に設けられる発電ユニット用の取付けスペースは、よりコンパクトであることが望ましい。ところが、上記例のように下部の車輪によって発電ユニットが走行する構造では、車体に設けられた箱には、路面が必要となり、さらに、発電ユニットを安定して走行させるために、当該箱には所定の剛性が求められる。その結果、箱が大型化し、これに伴い、発電ユニットの設置スペースが大型化する可能性がある。
【0007】
そのため、発電ユニットを設置するための搭載構造を、よりコンパクトな構造とし、且つ所定の剛性を確保しようとする場合、上記例のような搭載構造には、改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、よりコンパクトで且つ剛性を確保することが可能な車両用発電ユニットの搭載構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る車両用発電ユニットの搭載構造は、発電ユニットを車体に搭載する構造であって、当該車両用発電ユニットの搭載構造は、車両外側に開口部を有し、前記発電ユニットを着脱可能に搭載する箱状のユニット設置構造体と、前記ユニット設置構造体の内部に設けられ、前記開口部から車両外側に突出可能に構成されたレールと、前記ユニット設置構造体を前記車体に懸架する懸架支持部材と、を有し、前記レールの一部が前記開口部から車両外側に突出しているとき、前記レールの車両内側端はレール支持部によって支持され、前記レール支持部は、前記ユニット設置構造体の内部における側面壁に設けられ、前記レールを上下方向から覆うことより前記レールを支持しており、前記発電ユニットは、車両外側に突出した前記レールに設置された状態で、前記レールが前記ユニット設置構造体の内部に移動することによって、前記ユニット設置構造体の内部に着脱可能に搭載され、前記懸架支持部材は、前記ユニット設置構造体の側面壁に設けられた第1の支持部と、該第1の支持部よりも車両内側に設けられた第2の支持部とを有しており、前記第1の支持部は、前記第2の支持部よりも車両下方側に配置されており、前記レール支持部は、前記側面壁に設けられ、前記レールを上下方向から覆い且つ前記レールの移動方向に交差する幅方向から覆うことにより前記レールを支持しており、前記レール支持部と記レールとの間には、前記幅方向の隙間及び前記上下方向の隙間が形成され、前記上下方向の隙間は、前記幅方向の隙間よりも大きく設定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両用発電ユニットの搭載構造では、よりコンパクトで且つ剛性を確保するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る車両用発電ユニットが搭載される車両の後部を示す斜視図で、発電ユニットの一部が車両外部にある状態を示している。
【
図2】
図1の発電ユニットを車両下方から見た斜視図である。
【
図3】
図2の発電ユニットが、車両外側に突出しているレールに設置された状態を示す側面図である。
【
図5】
図3のレールの変形を模式的に示す側面図である。
【
図6】
図4の箱状部材がレール上に設置された状態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る車両用発電ユニットの搭載構造の一実施形態について、図面(
図1~
図6)を参照しながら説明する。
【0013】
なお、図において、矢印Fr方向は車両前後方向における前方を示す。実施形態の説明における「前部(前端)及び後部(後端)」は、車両前後方向における前部及び後部に対応する。また、矢印R,Lは、それぞれ車幅方向の右側、左側を示しており、本実施形態における「左右」は、乗員が車両前方を向いたときの「左側」及び「右側」に対応している。
【0014】
本実施形態の車両用発電ユニットの搭載構造は、車体の後部に設けられたユニット設置構造に、発電ユニット10を搭載するための構造である。以下、搭載構造における発電ユニット10の構成について説明する。
【0015】
本実施形態の発電ユニット10は、例えば、車両後部に設けられたラゲッジスペース等の床下に、着脱可能に搭載される発電ユニット10であって、全体で車幅方向に延びる略直方体状である。この場合、発電ユニット10は、例えば、車両の後部に設けられた開口から車両内に挿入された状態で、車両後部に固定される。この例では、
図1に示すように、発電ユニット10は、車幅方向において、後輪22の間に配置されている。
【0016】
発電ユニット10の詳細な構成について、図示による説明は省略しているが、当該発電ユニット10は、発電用エンジンと、当該発電用エンジンが駆動することによって発電する発電機を有している。また、発電ユニット10は、発電用エンジンを駆動させるための燃料が充填された燃料タンクと、発電機から電力供給されるインバータ等の電気機器と、該電気機器や発電用エンジン等を冷却するための冷却装置を有している。さらに、発電ユニット10は、上記した機器を収容するトレイ11及び上蓋12を備えている。
【0017】
トレイ11の底部は、車幅方向に延びる略長方形状で、トレイ11には、上記した発電用エンジン、燃料タンク、発電機及び冷却装置等が設置されている。
図6に示すように、トレイ11の車幅方向側部には、側壁部15が設けられ、該側壁部15の上部には、車幅方向外側に突出し、車両前後方向に延びる側部フランジ16が設けられている。側部フランジ16の上面には、設置作業及び運搬等で用いられる取っ手17等が設けられている。上蓋12は、トレイ11を車両上方から覆う略直方体状の箱状であり、上蓋12の側部が、例えば取っ手17よりやや内側に位置するように、トレイ11に取り付けられる。また、上蓋12の側部には、ハーネス等が貫通する孔12aが設けられている。
【0018】
側部フランジ16は、ユニット設置構造の後述するレール35に設置される。側部フランジ16とレール35との関係については、後で説明する。
【0019】
続いて、車体側に設けられたユニット設置構造について説明する。ユニット設置構造は、箱状部材(ユニット設置構造体)30と、レール35と、懸架支持部材(懸架支持部)40A,40B,50A,50Bを有している。箱状部材30は、
図4に示すように、車幅方向に延びる略直方体状の部材で、天面部31aと、車幅方向を臨む右側壁(側面壁)31b及び左側壁(側面壁)31cと、車両前方を臨む前壁(内壁部)31dと、を有し、後部には、開口部31eが設けられている。箱状部材30は、懸架支持部材40A,40B,50A,50Bを介して、車体に取り付けられている。
【0020】
レール35は、車両前後方向に延びる部材で、箱状部材30の内側に設けられ、開口部31eから車両外側に突出可能に構成されている。当該レール35は、
図2及び
図3に示すように、レール支持部36と、長尺の可動レール部37と、を有している。レール支持部36は、左側壁31cの内面及び右側壁31bの内面のそれぞれに固定されており、詳細な図示は省略しているが、可動レール部37を上下方向から覆い且つレール35の移動方向に交差する幅方向から覆うことにより支持している。すなわち、レール支持部36は、可動レール部37を、上下左右から覆うことによって支持している。
【0021】
可動レール部37は、レール支持部36に支持された状態で、レール35の長手方向(この例では、車両前後方向)に平行移動可能に構成されている。この例の可動レール部37は、外側レール37Aと、内側レール37Bと、を有している。外側レール37Aは、レール支持部36に直接的に係合し、レール支持部36に対して、レール35の長手方向(この例では、車両前後方向)に沿って平行移動可能に構成されている。外側レール37Aが、レール支持部36に対して車両後方に平行移動したときは、外側レール37Aは、開口部31eから車両外側に突出している状態となる。
【0022】
外側レール37A及び内側レール37Bは、互いに平行移動可能に係合している。内側レール37Bは、外側レール37Aに車幅方向視で重なった状態から、車両後方に平行移動可能に構成されている。また、内側レール37Bは、外側レール37Aの位置にかかわらず、外側レール37Aに対して、平行移動可能である。例えば、外側レール37Aが、開口部31eの内側、すなわち、箱状部材30の内部に位置するとき、内側レール37Bのみが開口部31eから車両後方に突出させることも可能である。外側レール37Aが、開口部31eから車両後方に突出し、さらに、内側レール37Bが外側レール37Aに対して車両後方に突出しているとき、可動レール部37が開口部31eから突出している長さが最も長くなる、最大突出状態となる。
【0023】
内側レール37Bには、上記した側部フランジ16が載置される台座38が設けられている。台座38は、例えば
図6に模式的に示すように、内側レール37Bに接合されている断面L字状の長尺の部材で、車両前後方向に延びている。台座38は、内側レール37Bに固定されており、内側レール37Bと一体的に平行移動可能である。
【0024】
発電ユニット10は、車両外側に突出したレール35に設置された状態で、レール35が箱状部材30の内部に移動することによって、箱状部材30の内部に着脱可能に搭載される。詳細には、発電ユニット10のトレイ11に設けられた側部フランジ16が、最大突出状態となっている可動レール部37の上部に載置(設置)される。このとき、可動レール部37の内側レール37Bの台座38の上部と側部フランジ16の下面とが固定され、この状態で、可動レール部37が開口部31eの内側に平行移動することにより、発電ユニット10が開口部31eの内側に移動する。可動レール部37の内側レール37Bが外側レール37Aに側面視で重なった状態になるまで、内側レール37Bが車両前方に平行移動し、内側レール37Bが外側レール37Aに重なった後に、内側レール37B及び外側レール37Aが一体的に車両前方に開口部31eの内側に向かって平行移動する。内側レール37B及び外側レール37Aが、箱状部材30の内部に至るとき、発電ユニット10は箱状部材30の内部に収容される。この状態で、図示しないストッパ部材等により発電ユニット10が固定され、箱状部材30の内部に搭載される。
【0025】
続いて、箱状部材30を支持する懸架支持部材40A,40B,50A,50Bについて説明する。懸架支持部材40A,40B,50A,50Bは、後側支持部材(第1の支持部)40A,40Bと、前側支持部材(第2の支持部)50A,50Bと、を有している。
【0026】
後側支持部材40A,40Bは、
図2~
図4に示すように、箱状部材30の右側壁31bの外面及び左側壁31cの外面のそれぞれに固定されている。後側支持部材40A,40Bは、左右それぞれの外面における車両上下方向の中心よりも車両下方側に配置されている。この例では、後側支持部材40A,40Bは、右側壁31bの外面及び左側壁31cの外面のそれぞれにおける後側の下部に配置されている。右側及び左側の後側支持部材40A,40Bは、それぞれ対応するリアサイドメンバ23に固定されている。この例では、後側支持部材40A,40Bは、リアサイドメンバ23の下面に接合されている。
【0027】
右側及び左側の後側支持部材40A,40Bは、箱状部材30の右側壁31bの外面及び左側壁31cの外面に接合され、且つ対応する側のリアサイドメンバ23に接合されている。右側及び左側の後側支持部材40A,40Bは、支柱部材41と、軸部材46と、接合面部(第1の接合面部)42と、平板部(第1の平板部)43と、上側クッション部材(第1の上側クッション部材)44と、下側クッション部材(第1の下側クッション部材)45と、を有している。
【0028】
支柱部材41は、車両上下方向に延びる略直方体状の中空部材である。支柱部材41の上部は、リアサイドメンバ23の下面に接合されている。支柱部材41の下面には、軸部材46が貫通した状態で固定されている。接合面部42は、車両上下方向に延びる板状の部分で、右側壁31b及び左側壁31cのそれぞれの外面にスポット溶接等により接合されている。平板部43は、接合面部42の車両上下方向の中間部から車幅方向外側に突出する板状の部分である。すなわち、右側の後側支持部材40Aの平板部43は、右側壁31bから右外側に突出し、左側の後側支持部材40Aの平板部43は、左側壁31cから左外側に突出している部分である。
【0029】
本実施形態では、所定の厚みを有する2枚の金属製の平板をそれぞれL字状に屈曲させて、それぞれのL字状の板部材の1つの面を、互いに接合させて、平板部43を構成し、他方の面を車両上下に並べて右側壁31bまたは左側壁31cに接合させることにより、接合面部42を構成している。平板部43のほぼ中央には、貫通孔が設けられ、該貫通孔には、軸部材46が貫通した状態で固定されている。
【0030】
上側クッション部材44は、所定の弾性率を有する樹脂材料により形成される部材であり、所定の厚みを有する円柱状で、径方向中央に貫通孔が設けられている。上側クッション部材44は、貫通孔に軸部材46が貫通した状態で、平板部43の上面に設置されている。この例では、平板部43の上面と支柱部材41の下面との間に配置されている。
【0031】
下側クッション部材45は、上側クッション部材44と同様に、所定の弾性率を有する樹脂材料により形成される部材であり、所定の厚みを有する円柱状で、径方向中央に貫通孔が設けられている。下側クッション部材45は、貫通孔に軸部材46が貫通した状態で、平板部43の下面に設置されている。
【0032】
本実施形態では、2つの前側支持部材50A,50Bを有している。2つの前側支持部材50A,50Bは、前壁31dの車両前方を臨む外面に、車幅方向に互いに間隔を空けた状態で、固定されている。右側の前側支持部材50A及び左側の前側支持部材50Bは、例えば、車体骨格部材であるリアクロスメンバに固定されている。この例では、前側支持部材50A,50Bは、リアクロスメンバの下面に接合されている。
【0033】
右側及び左側の前側支持部材50A,50Bは、
図2~
図4に示すように、後側支持部材40A,40Bの構造とほぼ同様に構成されている。右側及び左側の前側支持部材50A,50Bは、同じ構造であり、それぞれが、支柱部材51と、軸部材56と、接合面部(第2の接合面部)52と、平板部(第2の平板部)43と、上側クッション部材(第2の上側クッション部材)54と、下側クッション部材(第2の下側クッション部材)55と、を有している。
【0034】
前側支持部材50A,50Bの支柱部材51の上部は、リアクロスメンバの下面に接合されており、接合面部52は、箱状部材30の前壁31dの外面に接合されている。また、前側支持部材50A,50Bのそれぞれの上側クッション部材54及び下側クッション部材55は、後側支持部材40A,40Bと同様に、平板部53を上下から挟むように配置され、軸部材56等により固定されている。
【0035】
本実施形態では、右側及び左側の後側支持部材40A,40Bは、右側及び左側の前側支持部材50A,50Bよりも車両下方側に配置されている。例えば、
図4に示すように、右側の後側支持部材40Aの接合面部42及び平板部43は、右側の前側支持部材50Aの接合面部52及び平板部53よりも車両下方に配置されている。このように構成することにより、発電ユニット10を開口部31eから引き出した時、すなわち、可動レール部37が最大突出状態において、レール35が片持状態となって変形し、内側レール37Bの後端が、外側レール37Aの前端に比べて、車両下方側に位置する状態になる。
図5に示す破線は、可動レール部37の先端(後端)が、車両下方側に変位した状態を概略的に示している。
【0036】
前側支持部材50A,50B及び後側支持部材40A,40Bは、共に車体の骨格部材に接合されているので、前側支持部材50A,50Bを回転中心軸として、後側支持部材40A,40Bに片持荷重が作用する。これを考慮すると、前側支持部材50A,50B及び後側支持部材40A,40Bの車両上下方向位置が同じである場合、下側クッション部材45を平板部43が平面的に下方に変形させるのみであるのに対し、後側支持部材40A,40Bが前側支持部材50A,50Bよりも低い位置にある場合には、後側支持部材40A,40Bの平板部43が、例えば下側クッション部材45の後部を圧縮することなる。その結果、開口部31eから車両後方に突出しているレール35(特に内側レール37B)の後端の車両下方側への移動が大きくなる。なお、後側支持部材40A,40Bが前側支持部材50A,50Bよりも車両上方にある場合には、後側支持部材40A,40Bの下側クッション部材45の前部を圧縮するため、内側レール37Bの後端の車両下方側への移動は比較的小さくなる。
【0037】
内側レール37Bの後端が、外側レール37Aの前端に比べて、車両下方側に位置する状態になることにより、発電ユニット10を引き出した状態を維持しやすくなり、その結果、発電ユニット10の車両上方側からの視認性が良好になる。視認性の向上により、発電ユニット10のメンテナンスや給油作業の作業性が向上する。
【0038】
また、本実施形態では、後側支持部材40A,40Bの下側クッション部材45の弾性率は、後側支持部材40A,40Bの上側クッション部材44の弾性率よりも小さく設定されている。このように構成することにより、片持の大きな荷重が作用することによって生じる車両下方側へのストロークを直接的に作り出すことができる。さらに、弾性特性を上下で変えているので、低周波振動と高周波振動への低減効果も両立できる。
【0039】
また、本実施形態では、右側及び左側の前側支持部材50A,50Bが前壁31dに設けられているため、右側及び左側の前側支持部材50A,50Bを回転中心軸として、可動レール部37が車両下方に回動することができる。その結果、内側レール37Bの後端の変位が、より単純になるため、レール35において、意図通りの変形が得られやすくなる。
【0040】
さらに、本実施形態では、前側支持部材50A,50Bが、平板部53を上側クッション部材54と下側クッション部材55とにより挟持しているため、クッション部材54,55の変形がより簡素な変形となり、変形後のレール35等の状態を、より安定させやすくなる。
【0041】
また、本実施形態の発電ユニット10は、側部フランジ16をレール35上に設置しているので、内側レール37B等には、発電ユニット10の重量に起因する荷重が作用する。このとき、内側レール37B及び外側レール37Aが捩じれることよって、後方に位置する右側及び左側の内側レール37Bは、車両下方に向かうに従い車幅方向の間隔が大きくなるように変形する。その結果、外側レール37A及び内側レール37Bの上部は、車両後方に向かうに従い車両下方に下がる。よって、上記したように内側レール37Bの後端は、車両下方に確実に変形する。
【0042】
また、
図6に示すように、本実施形態の可動レール部37の内側レール37Bに固定された台座38の上部には、複数の穴が形成されている。これらの穴は、レール35の長手方向(車両前後方向)に互いに間隔を空けて配置されている。また、本実施形態の発電ユニット10の側部フランジ16には、車両下方に突出する複数の突出部18が設けられている。当該突出部18は、内側レール37Bの台座38に設けられた穴38aに対応するように、車両前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。この例では、取っ手17の下部が側部フランジ16を貫通した状態で固定されることにより、突出部18が形成されている。
【0043】
側部フランジ16の突出部18が、レール35の台座38の穴38aに差し込まれることによって発電ユニット10がレール35に固定されている。発電ユニット10の設置作業は、作業者が取っ手17を把持して、最大突出状態の外側レール37A及び内側レール37Bの上部に発電ユニット10を設置する。このとき、取っ手17の下部に突出部18を設けているので、穴38aへの設置作業が容易になる。また、突出部18にねじ部を形成することで、穴38aを貫通した突出部18をナット等で締め付けることで、発電ユニット10とレール35との固定をより安定させることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、レール支持部36及び可動レール部37には、幅方向の隙間及び上下方向の隙間が形成されており、上下方向の隙間は、幅方向の隙間よりも大きく設定されている。これにより、内側レール37Bの後端が車両下方に位置する状態を安定させることが可能となる。
【0045】
本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、本実施形態では、前側支持部材50A,50Bを、箱状部材30の前壁31dに設けているがこれに限らない。前側支持部材50A,50Bを、右側壁31b及び左側壁31cのうち、後側支持部材40A,40Bよりも車両前方側に設けてもよい。また、前側支持部材50A,50Bを天面部31aに設けることも可能である。
【0047】
また、本実施形態では、発電ユニット10を、車両後面から挿入するように構成された例を説明しているが、これに限らない。例えば、発電ユニット10を、車体側部から幅方向に挿入するように構成してもよい。この場合、箱状部材の開口部を、車幅方向外側に配置し、後側支持部材40A,40Bに対応する部材を、箱状部材の前側部及び後側部のそれぞれの車幅方向外側部に取り付け、前側支持部材50に対応する部材を、箱状部材30の例えば車幅方向内側壁に取り付けるとよい。
【符号の説明】
【0048】
10 発電ユニット
11 トレイ
12 上蓋
16 側部フランジ
17 取っ手
18 突出部
22 後輪
23 リアサイドメンバ
30 箱状部材
31a 天面部
31b 右側壁(側面壁)
31c 左側壁(側面壁)
31d 前壁(内壁部)
31e 開口部
35 レール
36 レール支持部
37 可動レール部
37A 外側レール
37B 内側レール
38 台座
40A 左側の後側支持部材(第1の支持部)
40B 右側の後側支持部材(第1の支持部)
41 支柱部材
42 接合面部(第1の接合面部)
43 平板部(第1の平板部)
44 上側クッション部材(第1の上側クッション部材)
45 下側クッション部材(第1の下側クッション部材)
50A 右側の前側支持部材(第2の支持部)
50B 左側の前側支持部材(第2の支持部)
51 支柱部材
52 接合面部(第2の接合面部)
53 平板部(第2の平板部)
54 上側クッション部材(第2の上側クッション部材)
55 下側クッション部材(第2の下側クッション部材)