(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/06 20060101AFI20250502BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20250502BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20250502BHJP
H02K 5/00 20060101ALI20250502BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20250502BHJP
【FI】
H02K7/06 A
H02K11/33
H02K7/10 D
H02K5/00 A
F16H25/20 Z
(21)【出願番号】P 2021114966
(22)【出願日】2021-07-12
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】秋山 尚賢
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 宏太
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-084824(JP,A)
【文献】特開2011-106489(JP,A)
【文献】特開2013-019534(JP,A)
【文献】特開2009-159813(JP,A)
【文献】特開2017-101721(JP,A)
【文献】特開2001-074005(JP,A)
【文献】特開平11-325213(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0298323(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105356654(CN,A)
【文献】独国実用新案第202012102009(DE,U1)
【文献】特開2001-187953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/06
H02K 11/33
H02K 7/10
H02K 5/00
F16H 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け箇所に螺合されるボルトが挿入される取り付け用通し孔が設けられたアクチュエータ本体と、
モータケースと、
を具備し、
折り返し構造によって上記アクチュエータ本体と上記モータケースが重合されて配置されていて上記モータケースによって上記取り付け用通し孔が遮蔽されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、
上記モータケースの一部が設置箇所から除去されることで上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2記載のアクチュエータにおいて、
上記モータケースの少なくとも上記アクチュエータ本体側に面した一部と側面が除去されることで上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、
上記モータケースの一部が分離されることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、
上記モータケースの一部が回動されることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項6】
請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、
上記モータケースの一部がスライドされることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載のアクチュエータにおいて、
上記モータケース内に設置されたモータにより回転され駆動され上記アクチュエータ本体の中央に設置されたボールねじ軸があり、
上記ボールねじ軸に螺合されたボールねじナットがあり、
上記ボールねじ軸と上記ボールねじ軸の軸方向に直交する方向の両側に設置され上記ボールねじナットと連動して進退されるガイドロッドがあり、
上記取り付け用通し孔は上記ボールねじ軸と上記ガイドロッドの間に設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに係り、特に、アクチュエータ本体とモータケースが重合して配置される折り返し構造によって省スペース化を図ることができるとともに、容易に着脱できるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された流体圧アクチュエータには、アクチュエータ本体に設けられたシリンダ室に往復動可能に設置されたピストンがある。上記ピストンには上記アクチュエータ本体の前方に突出されるピストンロッドが固定されている。上記シリンダ室は上記ピストンによって後退用流体圧室と前進用流体圧室に区画されていて、上記後退用流体圧室と上記前進用流体圧室に流体を供給することによって、上記ピストン、ひいては、上記ピストンロッドを前進又は後退させるようになっている。
【0003】
特許文献2に記載された電動アクチュエータは、特許文献1に記載された流体圧アクチュエータと同様に、移動体を前進又は後退させるものであるが、移動体を前進又は後退させるために送りねじ機構が設けられており、上記送りねじ機構のねじ部材を回転駆動するためのモータが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-74005号公報
【文献】特開平11-325213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では次のような問題があった。
特許文献1に記載されたような流体圧アクチュエータを特許文献2に記載されたような電動アクチュエータで置き換えようとすると、同じ設置スペースに収まるように、モータをアクチュエータ本体側に重合させた状態で配置する折り返し構造を採用することになる。
しかし、この場合、上記モータや上記モータを収容するモータケースによって、上記電動アクチュエータを設置箇所に固定するためのボルトなどを貫通させる孔が塞がれてしまい、上記電動アクチュエータの着脱が困難になってしまうことが懸念される。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、アクチュエータ本体とモータケースが重合して配置される折り返し構造によって省スペース化を図ることができるとともに、容易に着脱できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるアクチュエータは、取り付け箇所に螺合されるボルトが挿入される取り付け用通し孔が設けられたアクチュエータ本体と、モータケースと、を具備し、折り返し構造によって上記アクチュエータ本体と上記モータケースが重合されて配置されていて上記モータケースによって上記取り付け用通し孔が遮蔽されていることを特徴とするものである。
又、請求項2によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部が設置箇所から除去されることで上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項3によるアクチュエータは、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの少なくとも上記アクチュエータ本体側に面した一部と側面が除去されることで上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項4によるアクチュエータは、請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部が分離されることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項5によるアクチュエータは、請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部が回動されることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項6によるアクチュエータは、請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部がスライドされることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項7によるアクチュエータは、請求項1~請求項6の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記モータケース内に設置されたモータにより回転され駆動され上記アクチュエータ本体の中央に設置されたボールねじ軸があり、上記ボールねじ軸に螺合されたボールねじナットがあり、上記ボールねじ軸と上記ボールねじ軸の軸方向に直交する方向の両側に設置され上記ボールねじナットと連動して進退されるガイドロッドがあり、上記取り付け用通し孔は上記ボールねじ軸と上記ガイドロッドの間に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本願発明の請求項1記載のアクチュエータによると、取り付け用通し孔が設けられたアクチュエータ本体と、モータケースと、を具備し、折り返し構造によって上記アクチュエータ本体と上記モータケースが重合されて配置されていて上記モータケースによって上記取り付け用通し孔が遮蔽されているので、折り返し構造によって省スペース化を図ることができるとともに、容易に着脱できる。
又、請求項2記載のアクチュエータよると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部が設置箇所から除去されることで上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたので、簡易な構成により上記取り付け用通し孔を露出させることで、より容易に着脱できる。
又、請求項3記載のアクチュエータよると、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの少なくとも上記アクチュエータ本体側に面した一部と側面が除去されることで上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたので、簡易な構成により上記取り付け用通し孔を露出させることができる。
又、請求項4記載のアクチュエータよると、請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部が分離されることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたので、簡易な構成により上記取り付け用通し孔を露出させることができる。
又、請求項5記載のアクチュエータよると、請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部が回動されることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたので、簡易な構成により上記取り付け用通し孔を露出させることができる。
又、請求項6記載のアクチュエータよると、請求項2又は請求項3記載のアクチュエータにおいて、上記モータケースの一部がスライドされることで除去され上記取り付け用通し孔が露出されるようにしたので、簡易な構成により上記取り付け用通し孔を露出させることができる。
又、請求項7記載のアクチュエータよると、請求項1~請求項6の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記モータケース内に設置されたモータにより回転され駆動され上記アクチュエータ本体の中央に設置されたボールねじ軸があり、上記ボールねじ軸に螺合されたボールねじナットがあり、上記ボールねじ軸と上記ボールねじ軸の軸方向に直交する方向の両側に設置され上記ボールねじナットと連動して進退されるガイドロッドがあり、上記取り付け用通し孔は上記ボールねじ軸と上記ガイドロッドの間に設けられているので、更に省スペース化を図ることができるとともに、簡易な構成により上記取り付け用通し孔を露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエータの使用状態を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図2(a)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の斜視図、
図2(b)はアクチュエータのモータケースの一部が除去され取り付け用貫通孔が露出された状態の斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図3(a)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の側面図であり、
図3(b)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の正面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図3(b)のIV-IV断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図3(b)のV-V断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図6(a)は
図3(a)のVIa-VIa断面図、
図6(b)は
図6(a)の状態からアクチュエータのモータケースの一部が除去され取り付け用貫通孔が露出された状態の横断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、
図7(a)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の斜視図、
図7(b)はアクチュエータのモータケースの一部が除去され取り付け用貫通孔が露出された状態の斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態を示す図で、モータケースの分解斜視図である。
【
図9】本発明の第3の実施の形態を示す図で、
図9(a)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の斜視図、
図9(b)はアクチュエータのモータケースの一部が除去され取り付け用貫通孔が露出された状態の斜視図である。
【
図10】本発明の第3の実施の形態を示す図で、
図10(a)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の横断面図、
図10(b)はアクチュエータのモータケースの一部が除去され取り付け用貫通孔が露出された状態の横断面図である。
【
図11】本発明の第4の実施の形態を示す図で、
図11(a)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の斜視図、
図11(b)はアクチュエータのモータケースの一部が除去され取り付け用貫通孔が露出された状態の斜視図である。
【
図12】本発明の第4の実施の形態を示す図で、
図12(a)はアクチュエータのモータケースによって取り付け用貫通孔が遮蔽された状態の横断面図、
図12(b)はアクチュエータのモータケースの一部が除去され取り付け用貫通孔が露出された状態の横断面図である。
【
図13】本発明の第4の実施の形態を示す図で、
図12(a)のXIII部分の拡大図である。
【
図14】本発明の第4の実施の形態を示す図で、
図12(b)のXIV部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1乃至
図6を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1に示すように、この第1の実施の形態のアクチュエータ1は、例えば、コンベア2の下側に設置されるものである。上記コンベア2は搬送物4を搬送し、上記アクチュエータ1によってストッパ6を上記コンベア2の外側に出現させ、上記搬送物4の移動を規制するようになっている。
例えば
図2及び
図3に示すように、上記アクチュエータ1にはアクチュエータ本体3と、上記アクチュエータ本体3の後方(
図3中右側)に連結された伝達機構ケース5と、上記伝達機構ケース5に連結され上記アクチュエータ本体3と重合されるように
図3中上側に配置されたモータケース7がある。このようにして、上記アクチュエータ1は、上記モータケース7の先端側が上記アクチュエータ本体3の先端側に折り返された折り返し構造となっている。
【0011】
例えば、
図4及び
図5に示すように、上記アクチュエータ本体3の中央の軸方向(
図4中左右方向)には、ボールねじ軸収容部9が形成されている。上記伝達機構ケース5の
図5中下側には連結用凸部11が設けられていて、上記連結用凸部11が上記ボールねじ軸収容部9の
図4中右側に係合されている。
【0012】
上記ボールねじ軸収容部9内にはボールねじ軸15が回転可能に設置されている。
図4に示すように、上記ボールねじ軸15の基端側(
図4中右側)が軸受17を介して、上記伝達機構ケース5に回転可能に支持されている。
【0013】
図4に示すように、上記ボールねじ軸15にはボールねじナット19が螺合されている。上記ボールねじナット19にはロッド21が固着されている。上記ロッド21は上記アクチュエータ本体3の先端側(
図4中左側)に延長されていて、上記ロッド21の先端側には、アダプター23を介して移動体25が連結されている。上記移動体25には、例えば、
図1に示すように、上記ストッパ6が取り付けられる。
【0014】
上記アクチュエータ本体3の幅方向(
図4中上下方向)両側には、ガイドロッド収容部27、27が形成されている。上記ガイドロッド収容部27、27内には、ガイドロッド29、29が摺動可能に設置されている。上記移動体25の幅方向(
図4中上下方向)両端側は上記ガイドロッド29、29の
図4中左端が連結されている。このような構成により、上記ボールねじ軸15が回転されても、上記ボールねじナット19、ロッド21、及び、上記移動体25が回転されず、上記ガイドロッド29、29とともに
図4中左右方向に進退されるようになっている。
【0015】
例えば、
図2や
図5に示すように、上記伝達機構ケース5の
図5中上側に上記モータ31が固定されている。上記モータ31は上記アクチュエータ本体3の
図5中上側に配置されている。上記モータ31の出力軸33にはモータ側タイミングプーリー35が固着されている。また、上記ボールねじ軸15の
図5中右端にはボールねじ軸側タイミングプーリー37が固着されている。上記モータ側タイミングプーリー35と上記ボールねじ軸側タイミングプーリー37にはタイミングベルト39が巻回されている。上記出力軸33、モータ側タイミングプーリー35、ボールねじ軸側タイミングプーリー37、タイミングベルト39は、上記伝達機構ケース5内に収容されている。
【0016】
また、上記伝達機構ケース5の後ろ側(
図5中右側)には、基板ケース41が設置されている。上記基板ケース41内には、基板43が設置されている。また、
図2に示すように、上記基板ケース41には外部インターフェース用コネクター45や教示装置用コネクター47が設置されている。
【0017】
例えば、
図2や
図5に示すように、上記伝達機構ケース5の
図5中上側に上記モータケース7が設置されている。上記モータケース7内に上記モータ31が配置される。上記モータケース7は、モータケース本体51と着脱カバー53、53とから構成されている。
【0018】
上記モータケース本体51は、
図5中上側に設置された上面パネル55と
図5中下側に設置された下面パネル57と、
図5中左側に設置された前面パネル59とから構成される。上記モータケース本体51は、取り付け用ボルト61、61を上記前面パネル59と上面パネル55に貫通させて上記伝達機構ケース5に螺合させ、取り付け用ボルト63、63を上記前面パネル59と下面パネル57に貫通させて上記伝達機構ケース5に螺合させて固定される。
【0019】
例えば、
図6に示すように、上記着脱カバー53、53は上記モータケース本体51に着脱可能に設置される。上記モータケース本体51の上面パネル55の幅方向(
図6中左右方向)両側には係合凸部71、71が形成されていて、上記下面パネル57の幅方向(
図6中左右方向)両側にも係合凸部71、71が形成されている。上記着脱カバー53、53には上記係合凸部71に対応する係合凹部73が形成されている。
【0020】
上記着脱カバー53、53が上記モータケース本体51の
図6中左右方向両側に取り付けられる際、上記係合凸部71と上記係合凹部73が係合されることで、上記着脱カバー53、53が上記モータケース本体51に固定される。
上記着脱カバー53、53を上記モータケース本体51から除去する際は、上記着脱カバー53のモータケース本体51側(
図6(a)中右側の着脱カバー53の
図6(a)中左側、
図6(a)中左側の着脱カバー53の
図6(a)中右側)を
図6中上下方向に指等で押圧変形させることで上記係合凸部71と上記係合凹部73の係合を解除する。
【0021】
ここで、
図2や
図6に示すように、上記アクチュエータ本体3には、複数の取り付け用通し孔81が設けられている。これら取り付け用通し孔81には
図6に示すように、上記アクチュエータ1を固定するためのボルト83が挿入される。上記取り付け用通し孔81は、上記ガイドロッド29と上記ボールねじ軸15の間に配置されている。上記取り付け用通し孔81の全部又は一部は、上記モータケース7によって遮蔽されてしまうが、上記着脱カバー53、53を取り外すことで、遮蔽されていた上記取り付け用通し孔81を露出させることができるようになっている。
なお、上記取り付け用通し孔81の位置は、図示しない別の種類のアクチュエータ(例えば、エアシリンダーによるもの)と同じで、上記別の種類のアクチュエータを電動のモータ31を使用した上記アクチュエータ1に置き換えることができるようになっている。
また、図示した例では、上記モータケース7によって一部の上記取り付け用通し孔81が遮蔽されるようになっているが、
図3中仮想線で示すように上記モータケース7の長さ(
図3(a)中左右方向の大きさ)が上記アクチュエータ本体3の先端側まで覆うように設定されると、全ての上記取り付け用通し孔81が遮蔽されるようになる。
【0022】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
まず、アクチュエータ1の動作について説明する。
モータ31の出力軸33を回転させると、モータ側タイミングプーリー35、タイミングベルト39、及び、ボールねじ軸側タイミングプーリー37によって上記出力軸33の回転が伝達され、ボールねじ軸15が回転される。上記ボールねじ軸15が回転されると、ボールねじナット19及びロッド21、ひいては、移動体25とストッパ6が前進又は後退される。
図1に示すように、上記アクチュエータ1はコンベア2の下に設置され、上記ストッパ6を上記コンベア2の上側に出現させることで、搬送物4の移動を規制する。
【0023】
次に、上記アクチュエータ1の取り付けについて説明する。
上記アクチュエータ1を取り付け箇所に設置して固定する場合、着脱カバー53、53をモータケース本体51から分離させ、上記着脱カバー53、53で遮蔽されていた取り付け用通し孔81を露出させる。その後、上記取り付け用通し孔81にボルト83を挿入し、取り付け箇所に螺合させて上記アクチュエータ1を固定する。その後、上記着脱カバー53、53を再び上記モータケース本体51に装着する。
上記アクチュエータ1を取り外す場合も、同様に、上記着脱カバー53、53をモータケース本体51から分離させて上記取り付け用通し孔81を露出させ、上記ボルト83を除去する。
【0024】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
モータケース7は、モータケース本体51と着脱カバー53、53とから構成されていて、上記着脱カバー53、53を分離することで、上記着脱カバー53、53で遮蔽されていた取り付け用通し孔81を露出させることができるので、アクチュエータ1の折り返し構造によって省スペース化を図ることができるとともに、上記アクチュエータ1を容易に着脱できる。
また、上記着脱カバー53、53は係合凸部71と係合凹部73が係合されることで上記モータケース本体51に固定されていて、上記着脱カバー53を指等で押圧変形させることで上記係合凸部71と上記係合凹部73の係合を解除できるので、容易に着脱できる。
また、上記取り付け用通し孔81はガイドロッド29とボールねじ軸15の間に配置されているので、更に省スペース化を図ることができるとともに、簡易な構成により上記取り付け用通し孔を露出させることができる。
【0025】
以下、
図7と
図8を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態によるアクチュエータ101は、前記した第1の実施の形態によるアクチュエータ1とほぼ同様の構成であるが、
図7に示すようにモータケース103が用いられている。
【0026】
上記モータケース103は、モータケース固定側基部105と開閉カバー107、109から構成されている。
モータケース固定側基部105は
図7に示すように伝達機構ケース5に固着されている。また、上記モータケース固定側基部105は、
図8に示すように、略矩形の枠であり、幅方向(
図8中左上から右下に向かう方向)両側にそれぞれ2つずつ軸受部111が設けられている。
【0027】
上記開閉カバー107は、
図8に示すように、可動基部121、サイドカバー123、及び、前面カバー125から構成されている。
上記開閉カバー109は、
図8に示すように、可動基部126、サイドカバー127、及び、前面カバー129から構成されている。
【0028】
上記可動基部121は、上記モータケース固定側基部105の半分の略コの字型の形状を成しており、上記モータケース固定側基部105の一方側の軸受部111、111に係合される軸部131、131が設けられている。
上記可動基部126も上記可動基部121と同様の構成で、上記可動基部121と左右対称になる形状となっている。上記可動基部126の軸部131、131は上記モータケース固定側基部105の他方側の軸受部111、111に係合される。
【0029】
上記サイドカバー123は略コの字型の断面形状を成している。上記サイドカバー127も上記サイドカバー123と同様の構成で、上記サイドカバー123と左右対称になる形状となっている。
【0030】
上記前面カバー125は上記サイドカバー123の端部を閉塞する形状となっていて、上記開閉カバー109と向かい合う側(
図8中右下側)には係合凸部141、141が形成されている。
上記前面カバー129も上記前面カバー125と同様の構成で、上記サイドカバー123と略左右対称になる形状となっているが、上記開閉カバー107と上記開閉カバー109が向かい合わされたときに上記係合凸部141、141が係合される係合凹部143、143が形成されている。
【0031】
上記開閉カバー107は、
図8に示すように、ボルト151、151を上記可動基部121、サイドカバー123、及び、前面カバー125に貫通させ、ナット153、153に螺合させることで構成される。
また、上記開閉カバー109も、
図8に示すように、ボルト155、155を上記可動基部126、サイドカバー127、及び、前面カバー129に貫通させ、ナット157、157に螺合させることで構成される。
【0032】
上記開閉カバー107は、上記軸部131、131が上記モータケース固定側基部105の一方側の軸受部111、111に係合されることで、上記モータケース固定側基部105に回動可能に設置される。
また、上記開閉カバー109も、上記軸部131、131が上記モータケース固定側基部105の他方側の軸受部111、111に係合されることで、上記モータケース固定側基部105に回動可能に設置される。
【0033】
次に、この第2の実施の形態による作用について説明する。
この第2の実施の形態によるアクチュエータ101の場合は、
図7に示すように、開閉カバー107、109を開くことで、上記開閉カバー107、109で遮蔽されていた取り付け用通し孔81を露出させる。
【0034】
この第2の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏する。
【0035】
以下、
図9と
図10を参照しながら、本発明の第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態によるアクチュエータ201は、前記した第1の実施の形態によるアクチュエータ1とほぼ同様の構成であるが、
図9に示すようにモータケース203が用いられている。
【0036】
上記モータケース203は、モータケース本体205と開閉カバー207、207から構成されている。
【0037】
上記モータケース本体205は、
図9(b)中上側に設置された上面パネル211と
図9(b)中下側に設置された下面パネル213と、
図9(b)中左側に設置された前面パネル215とから構成される。上記モータケース本体205は、取り付け用ボルト217、217を上記前面パネル215と上面パネル211に貫通させて上記伝達機構ケース5に螺合させ、取り付け用ボルト219、219を上記前面パネル215と下面パネル213に貫通させて上記伝達機構ケース5に螺合させて固定される。
【0038】
また、上記開閉カバー207、207は上記モータケース本体205の幅方向両側に回動可能に設置される。上記モータケース本体205の上面パネル211の幅方向(
図10中左右方向)両側には円弧形状の横断面形状を成す係合凹部221、221が形成されていて、上記開閉カバー207の基端側には円形の横断面形状を成す係合部223、223が形成されている。
【0039】
上記開閉カバー207、207は係合部223、223を上記係合凹部221、221に係合させ、ボルト231、231を上記前面パネル215、上記開閉カバー207、207の係合部223、223に貫通させ、上記伝達機構ケース5に螺合させることで上記モータケース本体205と回動可能に一体になっている。
【0040】
また、上記開閉カバー207の下端側には係合凹部241が形成されていて、上記下面パネル213の幅方向(
図10中左右方向)両側には係合凸部243、243が形成されている。上記開閉カバー207、207を閉じた際には上記係合凹部241が上記係合凸部243に係合され、上記開閉カバー207が不用意に開かないようになっている。
【0041】
次に、この第3の実施の形態による作用について説明する。
この第3の実施の形態によるアクチュエータ201の場合は、開閉カバー207、207を開くことで、上記開閉カバー207、207で遮蔽されていた取り付け用通し孔81を露出させる。
【0042】
この第3の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏する。
【0043】
以下、
図11乃至
図14を参照しながら、本発明の第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態によるアクチュエータ301は、前記した第1の実施の形態によるアクチュエータ1とほぼ同様の構成であるが、
図11に示すようにモータケース303が用いられている。
【0044】
上記モータケース303は、モータケース本体305とスライドカバー307、307から構成されている。
【0045】
上記モータケース本体305は、
図11(b)中上側に設置された上面パネル311と
図11(b)中下側に設置された下面パネル313と、
図11(b)中左側に設置された前面パネル315とから構成される。上記モータケース本体305は、取り付け用ボルト317、317を上記前面パネル315と上面パネル311に貫通させて上記伝達機構ケース5に螺合させ、取り付け用ボルト319、319を上記前面パネル315と下面パネル313に貫通させて上記伝達機構ケース5に螺合させて固定される。
【0046】
また、上記スライドカバー307、307は上記モータケース本体305の幅方向両側に設置される。上記スライドカバー307には
図12に示すように長さ方向(
図12中紙面方向)に延長されたカバー用ガイド溝321がある。上記カバー用ガイド溝321には、上記スライドカバー307の移動方向(
図12中上下方向)に延長されたスライド移動用溝323と、上記スライド移動用溝323の
図12中上下端側に設けられ幅方向(
図12中左右方向)に延長されたロック用溝325がある。
【0047】
上記モータケース本体305には、
図12に示すように、幅方向(
図12中左右方向)両側の上面側(
図12中上側)にシャフト327、327が長さ方向(
図12中紙面方向)に指向された状態で設置されている。上記シャフト327は上記スライドカバー307のカバー用ガイド溝321を貫通して配置されている。上記スライドカバー307は、上記シャフト327と上記カバー用ガイド溝321によって制限された範囲で移動可能になっている。
また、
図13に示すように、上記ロック用溝325内にはシャフト係合凸部329が設けられていて、上記スライドカバー307を内側(
図12中右側のスライドカバー307の場合は左側、
図12中左側のスライドカバー307の場合は右側)に移動させた際、上記シャフト327が係合され、上記スライドカバー307の移動が規制されるようになっている。
【0048】
また、上記スライドカバー307の上端側(
図12(b)中上側)には、係合突起331が設けられていて、上記係合突起331の
図12(b)中上下方向両側には係合凹部333、333が設けられている。また、上記スライドカバー307の下端側(
図12(b)中下側)には、係合突起335が設けられていて、上記係合突起335の
図12(b)中上下方向両側には係合凹部337、337が設けられている。
【0049】
上記モータケース本体305の上面パネル311の幅方向(
図12中左右方向)両側には係合凸部341が内側(
図12中下側)に向けて突出されて設けられている。また、上記モータケース本体305の下面パネル313の幅方向(
図12中左右方向)両側には係合凸部343が内側(
図12中上側)に向けて突出されて設けられている。
【0050】
図12(a)に示すように、上記スライドカバー307を
図12(a)中下側に下げて、内側(
図12中右側のスライドカバー307の場合は左側、
図12中左側のスライドカバー307の場合は右側)に移動させると、上記スライドカバー307により上記モータケース303を閉塞した状態で固定することができるようになっている。このとき、上記係合突起331の上側の係合凹部333と上記係合凸部341が係合され、上記係合突起335の下側の係合凹部337と上記係合凸部343が係合されている。
また、このとき、上記スライドカバー307によって一部の取り付け用通し孔81が遮蔽されてしまっている。
【0051】
図12(b)に示すように、上記スライドカバー307を
図12(b)中上側に上げて、内側(
図12中右側のスライドカバー307の場合は左側、
図12中左側のスライドカバー307の場合は右側)に移動させると、上記スライドカバー307により上記モータケース303を開放した状態で固定することができるようになっている。このとき、上記係合突起335の上側の係合凹部337と上記係合凸部341が係合されている。
このとき、上記スライドカバー307で遮蔽されていた取り付け用通し孔81が露出される。
【0052】
なお、上記スライドカバー307の係合突起331、335と係合凸部341、343の係合を解除する際には、上記スライドカバー307を外側(
図12中右側のスライドカバー307の場合は右側、
図12中左側のスライドカバー307の場合は左側)に移動させる。
【0053】
次に、この第4の実施の形態による作用について説明する。
この第4の実施の形態によるアクチュエータ301の場合は、スライドカバー307を開くことで、上記スライドカバー307で遮蔽されていた取り付け用通し孔81を露出させる。
【0054】
この第4の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏する。
【0055】
なお、本発明は前記第1~第4の実施の形態に限定されない。
各構成要素の形状、寸法等には様々な場合が考えられる。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ボールねじ軸サポート構造とアクチュエータに係り、特に、アクチュエータ本体とモータケースが重合して配置される折り返し構造によって省スペース化を図ることができるとともに、容易に着脱できるように工夫したものに関し、例えば、産業用ロボットに好適である。
【符号の説明】
【0057】
1 アクチュエータ
3 アクチュエータ本体
5 伝達機構ケース
7 モータケース
15 ボールねじ軸
19 ボールねじナット
29 ガイドロッド
53 着脱カバー
81 取り付け用通し孔
101 アクチュエータ
103 モータケース
107 開閉カバー
109 開閉カバー
201 アクチュエータ
203 モータケース
207 開閉カバー
301 アクチュエータ
303 モータケース
307 スライドカバー