(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】ブルーカーボントライアルユニット
(51)【国際特許分類】
B63B 35/44 20060101AFI20250502BHJP
A01G 33/00 20060101ALI20250502BHJP
【FI】
B63B35/44 Z
A01G33/00
(21)【出願番号】P 2024105944
(22)【出願日】2024-07-01
【審査請求日】2024-09-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715008687
【氏名又は名称】廣田 祐次
(72)【発明者】
【氏名】廣田 祐次
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-343358(JP,A)
【文献】特許第7456701(JP,B1)
【文献】特開2001-206280(JP,A)
【文献】特開平08-130998(JP,A)
【文献】特開平08-150989(JP,A)
【文献】特表2008-500062(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116473002(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108901450(CN,A)
【文献】特開2014-187912(JP,A)
【文献】特開2002-315459(JP,A)
【文献】特開2001-190177(JP,A)
【文献】特開2014-187911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/44
A01K 61/60
A01G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上や湖上に浮遊型の木造人工島を浮かべ、該木造人工島の海中又は水中部分に、木枠を設定し、その上にシートを設定し、さらにその上に培養土を設定し、該培養土には海藻又は淡水藻を植えるブルーカーボントライアルユニットであって、また該木造人工島には、浮力を保つための複数の密閉木箱を設定し、さらに該密閉木箱の上側が海上に露出するよう設定し、該密閉木箱の上側には蓋つきのハッチを設定し、該ハッチから該密閉木箱内部への、ポンプによる水の注入及び排出を行えるようにし、海藻又は淡水藻の育成の深さ調整を可能とするブルーカーボントライアルユニット
であって、該木造人工島の全周囲にネット設定し、魚から藻を守るようにしたブルーカーボントライアルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上や湖上に浮遊型の木造人工島を浮かべ、該木造人工島の海中又は水中部分に、培養土(木枠の上側)を設定し海藻又は淡水藻を植えて、該海藻又は淡水藻の光合成によってCO2を吸収する技術に関する提案である。
ブルーカーボンとは、海洋生物の働きによって海洋環境に吸収・貯留されている炭素のことである。人間活動によるCO2の排出量は炭素換算にして年間約94億tにのぼりますが、陸上の森林などの植物は約19億t吸収し、海洋全体で約25億t、そのうちブルーカーボン生態系によるCO2吸収が約11億tであることがわかってきている。
陸上の植物によって固定化された炭素は、数十年単位で微生物によって再び分解されてCO2として大気中に放出されます。一方、海底に蓄積された炭素は、無酸素状態のため微生物による分解が抑制されることで、その分解が数千年単位と非常にゆっくりとしたものとなっている。
このような特徴から、ブルーカーボンは、地球温暖化の原因とされるCO2の新たな吸収源として注目されている。
【背景技術】
【0002】
従来では、ブルーカーボンを生み出す海藻類は自然環境での育成にゆだねられ、太陽光がいきわたる浅瀬にごく限られており(=海洋全体の0.2%)、港の設置や海水浴場等の観光開発・商業施設の拡張により、育成域が減ることはあっても、増加することはなかった。
また、天候や潮の満ち引きにて太陽光が十分に届かないときがあり、十分な育成状態とはいえなかった。さらに赤潮の発生や魚やウニによって食べられ、藻の育成が阻害されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
藻場が急激に増えない課題、海藻が魚やウニによって食べられてしまう課題、温暖化によって、最適な藻の育成条件が変化する課題の解決を行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
海上や湖上に浮遊型の木造人工島を浮かべ、該木造人工島の海中又は水中部分に、木枠を設定し、その上にシートを設定し、さらにその上に培養土を設定し、該培養土には海藻又は淡水藻を植える。
また該木造人工島には、浮力を保つための複数の密閉木箱を設定し、さらに該密閉木箱の上側が海上に露出するよう設定し、該密閉木箱の上側には蓋つきのハッチを設定し、該ハッチから該密閉木箱内部への、ポンプによる水の注入及び排出を行えるようにし、該培養土及び海藻又は淡水藻の育成の深さ調整を可能とする。
さらに、該木造人工島の全周囲にはネット設定し、魚から藻を守るようにする。
【発明の効果】
【0006】
ブルーカーボントライアルユニットが世界中に急拡大し、すなわち大規模なCO2の吸収により、多少の化石燃料が残存しても、2050年を待たずに、カーボンニュートラルを達成する可能性がある。
<ブルーカーボントライアルユニットのメリット>
・ エリアが限られているので栄養分を与えやすい。(無駄がない)
・ ネットを張るので、魚害を防ぎやすい。
・ 最もよい日照条件(深さ)を選択できる。
・ 最もCO2を吸収する藻種を選ぶことができる。
・ 海水の温暖化に応じ、適正な藻種を選ぶ(変更する)ことができる。
・ 可能なエリアで、ドラスチックに拡大できる。
・ 何ら生産手段を持たない途上島国でも、生活維持ができる。
(ブルーカーボン拡大による、見込みCO2吸収量に応じ、お金が支払
われるシステムを構築する。)
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ブルーカーボントライアルユニットの概要を示す。
【
図2】木造人工島(木枠と密閉木箱う)の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
海上や湖上に浮遊型の木造人工島を浮かべ、該木造人工島の海中又は水中部分に、木枠を設定し、その上にシートを設定し、さらにその上に培養土を設定し、該培養土には海藻又は淡水藻を植える。
また該木造人工島には、浮力を保つための複数の密閉木箱を設定し、さらに該密閉木箱の上側を海上に露出するよう設定し、該密閉木箱の上側には蓋つきのハッチを設定し、該ハッチから該密閉木箱内部への、ポンプによる水の注入及び排出を行えるようにし、該培養土及び海藻又は淡水藻の育成の深さ調整を可能とする。
さらに、該木造人工島の全周囲にはネット設定し、魚から藻を守るようにする。
【0009】
図1において、海上や湖上に浮遊型の木造人工島を浮かべ、該木造人工島の海中又は水中部分に、木枠を設定し、その上にシートを設定し、さらにその上に培養土を設定し、該培養土には海藻又は淡水藻を植える。
また該木造人工島には、浮力を保つための複数の密閉木箱を設定し、さらに該密閉木箱の上側を海上に露出するよう設定し、該密閉木箱の上側には蓋つきのハッチを設定し、該ハッチから該密閉木箱内部への、ポンプによる水の注入及び排出を行えるようにし、該培養土及び海藻又は淡水藻の育成の深さ調整を可能とする。
尚、該ハッチは、パッキンを付帯したバックル式の開閉蓋を有しており、波や雨水の侵入を防ぎ、また該密閉木箱の内部の水が蒸発するのを防止する。
さらに、該木造人工島の全周囲にはネット設定し、魚から藻を守るようにする。
ブルーカーボントライアルユニットの固定は、海岸(基本的に海の中)に、コンクリートガイドを設定し、該コンクリートガイドに、ブルーカーボントライアルユニットに連結された丸太を通して、二つの木製ストッパーで止めることで、水平方向(左右前後)には移動しないが、潮の満ち干に対応し、上下方向に移動が可能なようにする。
カーボンニュートラルを達成する為には、単に全再エネ化をしてもダメで、動物が生きていくうえで排出するCO2や各種生産活動で排出するCO2の総量が全体の40%程ありますので、必要な航路や各種港を除き「ブルーカーボントライアルユニット」で埋め尽くし、カーボンニュートラルの達成を目指すとともに、国連に基金(各国が金を出し合う)をつくり、国連に「ブルーカーボントライアルユニット」の設置を申告し、国連が確認し、OKであれば、比較的高額なお金(何も生産媒体を持たない途上島国でもなんとか暮らせるようにする。)が支払われる仕組みをつくりたいと考えています。
【0010】
図2に、木造人工島の概要を示す。
木材で□12mのアングルを組み、木造人工島の基本ユニットとする。また
図2
では該木造人工島の基本ユニットは6個であるが、該木造人工島の基本ユニットを矢印の方向に継ぎ足し拡張し、□数キロメートル以上の大型の人工島にすることができる。
該木造人工島の拡張に関して、該アングルの側面に穴をあけ、木製リベットで位置決めをした上で、該アングル同士の接着にて、拡張をする。
また、密閉木箱(各辺2mの立方体=約8tの浮力がある)の数を増減させることで、積載重量とのバランスをとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
ブルーカーボントライアルユニットが世界中に急拡大し、すなわち大規模なCO2の吸収により、多少の化石燃料が残存しても、2050年を待たずに、カーボンニュートラルを達成する可能性がある。
【要約】
【課題】
藻場が急激に増えない課題、海藻が魚やウニによって食べられてしまう課題、温暖化によって、最適な藻の育成条件が変化する課題の解決を行う。
【解決手段】
海上や湖上に浮遊型の木造人工島を浮かべ、該木造人工島の海中又は水中部分に、木枠を設定し、その上にシートを設定し、さらにその上に培養土を設定し、該培養土には海藻又は淡水藻を植える。
また該木造人工島には、浮力を保つための複数の密閉木箱を設定し、さらに該密閉木箱の上側を海上に露出するよう設定し、該密閉木箱の上側には蓋つきのハッチを設定し、該ハッチから該密閉木箱内部への、ポンプによる水の注入及び排出を行えるようにし、海藻又は淡水藻の育成の深さ調整を可能とする。
【選択図】
図1