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特許7675478構造部材及び構造部材を用いた立体構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】構造部材及び構造部材を用いた立体構造体
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/26 20060101AFI20250502BHJP
【FI】
B44C1/26
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2025505783
(86)(22)【出願日】2025-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2025003113
【審査請求日】2025-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525038801
【氏名又は名称】株式会社ライフサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100225141
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 安司
(72)【発明者】
【氏名】本江 択
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-172180(JP,A)
【文献】特開平02-051430(JP,A)
【文献】実開昭58-159324(JP,U)
【文献】登録実用新案第3236594(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第一の構成部材を複数用いた立体構造体であって、
前記管状の第一の構成部材は、長手方向に上端から下方向に切欠き部を有し、
前記切欠き部は、等間隔に設けられており、
前記管状の第一の構成部材同士の切欠き部が、互いに嵌合されており、
前記管状の第一の構成部材は、鋼管、アルミ管、銅管、樹脂管、炭素繊維強化プラスチック管のいずれかである、立体構造体。
【請求項2】
前記構成部材の切欠き部の間隔は、下記の式により算出されたθの値を基に設定される、請求項1に記載の立体構造体。
(第一の構成部材の外径をR、板厚をSとする。)
【請求項3】
前記第一の構成部材の切欠き部の下方向の先端部は、長手方向の寸法の中点であり、
前記第一の構成部材は、管状部材の長手方向に一定の寸法にて切断して得られたものである、請求項1に記載の立体構造体。
【請求項4】
前記管状の第一の構成部材を5つ用いて、第一の構成部材に、他の第一の構成部材が4つ嵌合されている、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の立体構造体。
【請求項5】
管状の第一の構成部材と、管状の第二の構成部材とを複数用いた立体構造体であって、
前記管状の第一の構成部材は、長手方向に上端から下方向に切欠き部を有し、
前記切欠き部は、等間隔に設けられており、
前記管状の第二の構成部材は、前記管状の第一の構成部材を切断してなるものであり、
前記管状の第一の構成部材の切欠き部と前記管状の第二の構成部材の切欠き部とが、互いに嵌合されている、立体構造体。
【請求項6】
前記構成部材の切欠き部の間隔は、下記の式により算出されたθの値を基に設定される、請求項5に記載の立体構造体。
(第一の構成部材の外径をR、板厚をSとする。)
【請求項7】
前記第一の構成部材の切欠き部の下方向の先端部は、長手方向の寸法の中点である、請求項5に記載の立体構造体。
【請求項8】
少なくとも、前記管状の第一の構成部材を一つ用い、
さらに、前記管状の第一の構成部材と前記管状の第二の構成部材のいずれかのうち、四つを用いてなる、請求項5から請求項7のいずれか一に記載の立体構造体。
【請求項9】
管状の第一の構成部材と、管状の第二の構成部材と、管状の第三の構成部材とを複数用いた立体構造体であって、
前記管状の第一の構成部材は、長手方向に上端から下方向に切欠き部を有し、
前記切欠き部は、等間隔に設けられており、
前記管状の第二の構成部材は、前記管状の第一の構成部材を切断してなるものであり、
前記管状の第三の構成部材は、前記管状の第二の構成部材を切断してなるものであり、
前記管状の第一の構成部材の切欠き部と、前記管状の第二の構成部材の切欠き部と、前記管状の第三の構成部材とが、互いに嵌合されている、立体構造体。
【請求項10】
前記構成部材の切欠き部の間隔は、下記の式により算出されたθの値を基に設定される、請求項9に記載の立体構造体。
(第一の構成部材の外径をR、板厚をSとする。)
【請求項11】
前記第一の構成部材の切欠き部の下方向の先端部は、長手方向の寸法の中点である、請求項9に記載の立体構造体。
【請求項12】
少なくとも、前記管状の第一の構成部材を一つ用い、
さらに、前記管状の第一の構成部材と前記管状の第二の構成部材と前記管状の第三の構成部材のいずれかのうち、四つを用いてなる、請求項9から請求項11のいずれか一に記載の立体構造体。
【請求項13】
管状部材の外径をR,板厚をS、切欠き部と前記管状部材の中心角をθとしたときに、
前記管状部材に切欠き部を設けるための中心角θの算出方法であって、
前記中心角θを以下の式により算出する、中心角θの算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の構造部材の接合方法および複数の構造部材を組み合わせてなる立体構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本には、古くから織物、陶磁器、室内装飾などの美術工芸品に使用されてきた伝統文様がある。伝統文様とは、文様をパターン化し、規則的に配置した和柄と理解されている。代表的な伝統文様として、麻の葉、亀甲、青海波、七宝などが挙げられる。これらの伝統文様は、着物、手ぬぐい、襖紙、建具の組子模様、または地域特有の祭りの装飾品などに利用され、暮らしに彩りを与えてきた。
【0003】
一方、土木建築をはじめとするさまざまな分野では、木材、アルミニウム、鋼管などの管状部材、棒状部材、または板状部材を組み合わせて構成されるトラス構造体やラチス構造体などの各種立体構造体が利用されている。
【0004】
特許文献1は、鋼管主材と斜材等を有する鋼管トラスにおいて、ボルト接合の比較的簡易で低コストの接合金具によりトラス部材の確実な接合が可能になり、低コストで鋼管トラスの構築ができ、トラス全体の精度を確保するために各節点の位置を簡単に修正できる鋼管トラスを開示する。
この鋼管トラスは、トラス節点に所定長さの円形鋼管からなる鞘管を円周方向に複数に分割してなる割形の接合金具を用い、この接合金具を上弦材や下弦材の外周に緊縛して摩擦接合し、この接合金具の締結フランジを利用して斜材やその他の連結材の端部をボルト接合するものである。
【0005】
特許文献2は、接合部における高い精度を必要とせず、溶接も簡便で応力集中も回避できる構造部材の接合方法および接合構造を開示する。
複数の管状トラス部材を節点部にて集合、接続して構成する立体トラス等の構造部材の接合方法であって、トラス節点部にて各管状トラス部材の端部を圧潰して構成した平板部を集合させ、これら管状トラス部材の各平板部間に円筒状空間を形成し、これに溶接材を充填して複数の管状トラス部材を接合したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-293266号公報
【文献】特開2001-173090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、伝統文様は主に様々な種類の文様の外観を楽しんだり、この文様の由来の意味を理解することを楽しんだりするものであった。また、建築物などにおいては、伝統文様は装飾目的において専ら用いられるものであり、各建築物などにおいて、立体構造体として使用するということは、従来行われていなかった。
【0008】
特許文献1に開示された鋼管トラスは、トラス主材の外周に接合金具を摩擦接合し、この接合金具にトラス副材の端部を接合する必要がある。このような接合金具をトラス主材の外周に接合する作業は、一般的に精度管理が難しいとされている。
また、特許文献2に開示された接合方法は、溶接材を用いて行う方法であり、溶接部の収縮ひずみが接合構造物の強度に影響することがあり、精度管理が難しいとされている。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、構成部材同士の接合を精度良く行うことができる構造部材の接合方法及び構造部材同士を組み合わせてなる立体構造体を提供することを目的とする。
また、他の目的として、構造部材を規則的に配置することで、外観が優れた立体構造体を形成できるような構造部材の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、構造部材となる様々な形状の部材から複数の同一形状の構造部材を製作すること、及びこれらの複数構造部材に対し、同一形状の切り欠きを形成したうえで、これらの構成部材を組み合わせて立体構造体とすることによって、係る課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、管状の第一の構成部材を複数用いた立体構造体であって、
前記管状の第一の構成部材は、長手方向に上端から下方向に切欠き部を有し、前記切欠き部は、等間隔に設けられており、前記管状の第一の構成部材同士の切欠き部が、互いに嵌合されている、立体構造体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、構成部材同士の接合を精度良く行うことができる構造部材の接合方法及び構造部材同士を組み合わせてなる接合立体構造体が提供される。
【0013】
また、本発明により、立体構造体の外観を規則的に配置された構造部材とすることのできる構造部材の接合方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、七宝模様を示す図である。
図2図2は、管状部材1及び第一の構成部材2を示した図である。
図3図3は、管状部材1の中心角θを示すものである。
図4図4は、中心角θを算出するために、管状部材1を並べた方法である。
図5図5は、図4(b)の中心aの管状部材1、中心bの管状部材1、中心eの管状部材1を取り出して再符号した図である。
図6図6は、△CABについて説明するための図である。
図7図7は、△DABについて説明するための図である。
図8図8は、第二の構成部材5を示した図である。
図9図9は、第三の構成部材7を示した図である。
図10図10は、第一の構成部材2を用いて七宝模様を構成する立体構造体の組み立て方法を示すものである。
図11図11は、七宝模様を構成する文様の構成単位を示した図である。
図12図12は、七宝模様を構成する文様の構成単位のパターンを示した図である。
図13図13は、配管用炭素鋼鋼管を用いて七宝模様の立体構造体を製造したものの立体構造体の写真である。
図14図14に、第二の実施例の斜視図を示したものである。
図15図15は、第二の実施例の平面図を示したものである。
図16図16は、第二の実施例の正面図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面も参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
【0016】
(第一の実施の形態)
本実施形態は、構成部材として管状部材1を使用し、伝統文様の一つである七宝模様を模した立体構造体について説明するものである。七宝模様とは、図1に示すような模様であり、円形を4分の1ずつ交差させて、網状に連ねた文様のことと理解されている。
また、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。さらに、長さについて記載している箇所があるが、この長さは理解を助けるために例示しているものであって、そこに記載された長さに限定されるものではない。さらに、「同一の」という語句は、同一のものであるものに限られず、誤差範囲のものも含まれるものとする。敢えて誤差範囲を例示すれば、±10mm程度のものを例示できるが、この誤差に限られない。
【0017】
(構成部材)
本実施形態において用いることのできる構成部材は、管状部材であれば、特に制限されることなく、使用することができる。敢えて例示するとすれば、炭素鋼、ステンレス鋼或いは合金などを材質とする鋼管、アルミニウム合金などを材質とするアルミ管、純銅、銅合金などを材質とする銅管、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、ポリエチレン或いはポリプロピレンなどを材質とする樹脂管、炭素繊維とエポキシ樹脂などを材質とする炭素繊維強化プラスチック管などを例示することができる。
【0018】
(第一の構成部材)
第一の構成部材2は、図2(a)に示すように、管状部材1を構成部材として、管状部材1の長手方向に一定の寸法にて切断して得られるものである。なお、図2(b)における長手方向は、約20cmである。また、七宝模様は、複数の構成部材からなるものであるから、原則として、構成部材の長さ方向の寸法は全て同一のものであるし、外径及び板厚が同一のものである。なお、後述するが敢えて、立体構造体を構成する第一の構成部材の長手方向の長さを変えたものを用いることも可能である。
【0019】
図2(b)から図2(d)に示すように、第一の構成部材2上端から下方向に向かう第1の切欠き部3が、第一の構成部材2の長手方向に所定の等間隔にて、4箇所設けられている。したがって、第一の切欠き部間の縁部分4は全て等しい寸法となる。さらに、図2(d)に示すように、第一の切欠き部3の長手方向の長さは、第一の構成部材の長さ方向の長さの略中点となるように、第一の切欠き部3の下方向の先端部を設定される。所定の等間隔は、図3に示す管状部材1の中心角θ(θ/2×2)を算出することで決定される。しがたって、縁部分4の長さ(円周)は、中心角θを用いて算出することが可能である。
【0020】
(管状部材1の中心角θの算出方法)
図3から図7を用いて、管状部材1の中心角θの算出方法について詳細に説明する。図3は、管状部材1の中心角θを示すものである。中心角θは、管状部材1の中心線から左右方向に1/2θずつ傾けたものである。同図から把握されるように、中心角θの外径部分の円弧の寸法は、中心角θの内径部分の円弧の寸法よりも大きいものとなる。
【0021】
中心角θの算出方法は、まず図4(a)に示すように、平面視において、管状部材1を互いに接するように4つ配置する。次いで、図4(b)に示すように4つ配置した管状部材1の中心aからdの線分ad並びに線分bcの交点と、管状部材1の中心eが重なるように管状部材1を配置する。
【0022】
図5は、図4(b)に示すように、管状部材1を5つ配置したときに、中心aの管状部材1、中心bの管状部材1、中心eの管状部材1を取り出して再符号した図である。なお、図5において、図4(b)の中心eの管状部材1を中心Aとし、図4(b)の中心bの管状部材1を中心Bと変更したものである。また、中心aの管状部材1の符号は変更していない。
図5において、管状部材1の外径をR、板厚をSとする。また、中心Aの管状部材1を管状部材1-1とし、中心Bの管状部材1を管状部材1-2とし、中心aの管状部材1を構成部材1-3とする。さらに、管状部材1-2と管状部材1-3との接点をCとする。さらに、管状部材1-1と管状部材1-2の内径同士が接する点をDとし、管状部材1-1と管状部材1-3の内径同士が接する点をEとする。
ここで、図3図5とから、管状部材1の中心角θ(以下、中心角θということもある)は∠DAEとなるから、θ/2は、∠CADとなる。
【0023】
続いて、図6を用いて、△CABについて説明する。図6は、図5の各管状部材1の内径と外径を示す円を便宜的に取り除いた図である。△CABは、AC=CB、さらに、∠ACB=90°であるため、直角二等辺三角形となる。したがって、∠CABは45°となる。これより、∠CADを求めるには、∠DABを算出し、45°から∠DABを引くことにより得られる。
【0024】
続いて、図7を用いて、△DABについて説明する。図7(b)から明らかなように、DAとDBとは、管状部材1の内径であるから、これらは等しいものである。よって、便宜的に線分DAと線分DBをxとする。また、線分ABをyとする。次いで、DからABに垂線を引き交点をFとする。△DABは、線分DAと線分DBとが等しい二等辺三角形であるから、AF=1/2yとなる。
したがって、∠DAF(=∠DAB)は、三角関数の逆関数を用いることによって求めることができ、以下の式1のように表すことができる。
【0025】
【数1】
【0026】
次に、式(1)におけるx,yを外径R、板厚Sを用いて表すと、xは、外径の半分であるR/2から板厚Sを引いた値であるから、以下の式(2)のように表すことができる。
【0027】
【数2】
【0028】
一方、yは、図6における△CABが直角二等辺三角形であり、線分CAと線分CBは外径Rに等しいものであるから、以下の式(3)のように表すことができる。
【0029】
【数3】
【0030】
これらのx、yの式(2)と式(3)を式(1)に代入して整理すると、∠DAFは以下の式(4)で表される。
【0031】
【数4】
【0032】
前述のとおり、∠CADは45°から∠DAB(=∠DAF)を引くことにより、得られる。また、中心角θは∠CADを2倍したものであるから、これらを整理すると以下の式(5)のように表される。
【0033】
【数5】
【0034】
以上のように算出された式(5)は、この式中に外径Rと板厚Sとを含んでいる。したがって、板厚が厚い或いは薄い、或いは外径が大きい或いは小さいなどの多種多様な管状部材を構成部材としたときであっても、この管状部材の外径Rと板厚Sを式(5)に代入して中心角θを計算することができる。その結果として、管状部材1を長さ方向に切断したものについて、切欠き部を等間隔にて4箇所設けることで第一の構成部材2を製造することができる。なお、切欠き部を設ける際には、レーザー加工機等の各種公知の手段・装置を用いて設けることができる。
【0035】
(第二の構成部材)
第二の構成部材5について、図2及び図8を用いて説明する。第二の構成部材5は、第一の構成部材2を用いて製造する。具体的には、第二の構成部材5は、図2(c)に示すA-A’線に沿って、第一の構成部材2を切断して得られるものである。ここで、A-A’線は、第一の構成部材1の中心線である。したがって、第二の構成部材2を平面視すると、図8(b)に示すように、第一の構成部材1の半円状の形状となる。また、中心線A-A’線に沿って切断したため、第一の構成部材2の第一の切欠き部3の短手方向の中心を通って切断されることになる。この結果、第二の構成部材5に形成された第二の切欠き部6の短手方向の寸法は、第一の切欠き部3の短手方向の長さの半分となる。一方、第二の構成部材5の長さ方向の寸法は、第一の構成部材2と同一のものとなる。
【0036】
(第三の構成部材)
第三の構成部材7は、図8(b)に示すB-B’線に沿って、第二の構成部材5を切断して得られるものである。ここで、B-B’線は、第二の構成部材5の中心線である。したがって、第二の構成部材2を平面視すると、図9(b)に示すように、第一の構成部材2の1/4円状の形状、或いは第二の構成部材5の半円状の形状となる。また、中心線B-B’線に沿って切断したため、第二の構成部材5の第二の切欠き部3の短手方向の中心を通って切断されることになる。この結果、第三の構成部材7に形成された第三の切欠き部8の短手方向の寸法は、第一の切欠き部11の短手方向の長さの半分となり、また、第2の切欠き部6の寸法と同一のものとなる。
なお、前記第二の構成部材と前記第三の構成部材は、前記第一の構成部材を切断して製作する必要はなく、それぞれ別個に製作してもよい。
【0037】
(七宝模様を構成する立体構造体の組み立て方法)
図10は、第一の構成部材2を用いて七宝模様を構成する立体構造体の組み立て方法を示すものである。
図10(a)から図10(b)は、平面視において、第一の構成部材2の第一の切り欠き部3に、他の第一の構成部材2の切欠き部3を嵌合させたことを示すものである。次いで、図10(b)から図10(c)は、第一の構成部材2を2つ嵌合させた部材に、さらに、他の第一の構成部材2の切欠き部3を嵌合させたことを示すものである。次いで、図10(c)から図10(d)は、第一の構成部材2を3つ嵌合させた部材に、さらに、他の第一の構成部材2の切欠き部3を嵌合させたことを示すものである。次いで、図10(e)は、第一の構成部材2を4つ嵌合させた部材に、さらに、他の第一の構成部材の切欠き部3を嵌合させたことを示すものである。
また、図10においては、全て第一の構成部材2を用いて立体構造体が組み立てられているが、後述するように、第一の構成部材2の第一の切欠き部3には、第二の構成部材の第二の切欠き部6や第三の構成部材の第三の切欠き部8を嵌合させて、立体構造体を組み立てることも可能である。
【0038】
前述の通り、本実施形態においては、第一の構成部材2を切断して、第二の構成部材5を製造し、第二の構成部材5を切断して、第三の構成部材7を製造している。
このため、各構成部材の長さ方向の寸法は互いに程同一のものである。したがって、立体構造体を組み上げたときに、面一で組み合わされていることになる。
【0039】
また、これらの図から分かるように、第一の切欠き部3には、第一の構成部材2が2つ嵌合されている。中心角θの算出方法において示した図(図4(b)、図5)から明らかなように、第一の切欠き部3は、第一の構成部材3の板厚Sが2つ分嵌合されることを前提としている。
ここで、前述の管状部材1の中心角θは、外径Rと板厚Sとを考慮して算出されたものであるから、各切欠き部は、内側から外側にかけて中心角θの角度を持っている。各切欠き部がθを有することによって、各構成部材を精度良く嵌合させることができるものであると考えられる。
【0040】
(七宝模様を構成する立体構造体)
本実施形態では、図11に示すように、七宝模様を構成する文様の構成単位を、平面視したときに、円の1/4の円周が4つ内接した形状として定義する。
したがって、七宝模様の構成単位を、第一の構成部材2、第二の構成部材5、および第三の構成部材7を組み合わせて立体構造体とする場合、以下の表1~表5に示す組み合わせによって、これを表すことができる。
【0041】
表1は、第一の構成部材1を5個使用する場合である(パターンA)。また、表2は、第一の構成部材1を4個使用する場合である(パターンB)。さらに、表3は、第一の構成部材を3個使用する場合である(パターンC)。さらに、表4は、第一の構成部材を2個使用する場合である(パターンD)。さらに、表5は、第一の構成部材を1個使用する場合である(パターンE)。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
表1から表5が意味するところについて、図12(a)~(b)を用いて詳細に説明する。
なお、図12(a)は、パターンAを示した図であり、図12(b)は、パターンBを示したものである。以下、同様の関係にて図12(e)のパターンEまで示したものである。
図12(a)は、七宝模様を構成する文様を全て第一の構成部材1を使用して表したことを示すものである。なお、中心の第一の構成部材1を必須の第一の構成部材とする。
以下、必須の第一の構成部材を中心として説明する。図12(b)は、七宝模様を構成する文様を必須の第一の構成部材の周りに、第一の構成部材1を3個使用して、残りの1つの1/4の円周(点線表示部分)を第二の構成部材5若しくは、第三の構成部材7を使用したことを示す場合である。
図12(c)は、七宝模様を構成する文様を第一の構成部材2を3個使用して、残りの2つの1/4の円周(点線表示部分)を第二の構成部材5若しくは、第三の構成部材7を使用したことを示す場合である。図12(d)は、七宝模様を構成する文様を第一の構成部材2を2個使用して、残りの3つの1/4の円周(点線表示部分)を第二の構成部材5若しくは、第三の構成部材7を使用したことを示す場合である。図12(e)は、七宝模様を構成する文様を第一の構成部材2を1個使用して、残りの4つの1/4の円周(点線表示部分)を第二の構成部材5若しくは、第三の構成部材7を使用したことを示す場合である。
【0048】
これらの表から明らかなように、本実施形態において七宝模様を構成する文様の構成単位は、必須の第一の構造部材2を使用したうえで、さらに第一の構造部材2、第二の構造部材5および第三の構造部材7のいずれかを合計で5つ使用するものである。
換言すれば、本発明に係る、構成部材として管状部材を使用した立体構造体は、少なくとも第一の構造部材2を1つ使用し、さらに第一の構造部材2、第二の構造部材5および第三の構造部材7のいずれかのうちの4つを使用してなるものである。
【0049】
(第一の実施形態の実施例)
(七宝模様を構成する立体構造体の具体的な製造方法)
配管用炭素鋼鋼管を用いて七宝模様の立体構造体を製造した実施例について説明する。
配管用炭素鋼鋼管については、外径が69.9mm、板厚が3.5mmのものを用いた。
次いで、式(5)に外径と板厚を代入して計算したところ、θ=6.211°と算出された。
次いで、配管用炭素鋼鋼管を15cm程度に切断して、レーザー溶接機を用いて、切欠き部を4箇所作成して、第一の構成部材を製造した。より具体的には、レーザー加工機を用いて、θ分の切欠き部を設け、次いで、90°回転させた位置に、切欠き部を設け、次いで、90°回転させた位置に切欠き部を設け、次いで、90°回転させた位置に切欠き部を設けた。
次いで、第一の構成部材から第二の構成部材を、第二の構成部材から第三の構成部材を製造した。
これら第一の構成部材、第二の構成部材及び第三の構成部材から七宝模様を構成する立体構造体を製造した。この際、補強のために最小限度の溶接を行った。図13に製造した立体構造体の写真を示す。この写真より正面視において七宝模様が構成されていることが確認できる。
【0050】
(第二の実施の形態)
第一の構成部材、第二の構成部材、第三の構成部材のうち、いずれか一つの長手方向の長さを長くすることによって、天板を支える一対の脚などとして利用することができる。本実施形態においては、4つの第一の構成部材の長手方向の寸法を長いものとした実施例である。(図14において、第一の構成部材1’とする。)なお、第一の構成部材から第三の構成部材と製造方法等は、第一の実施形態の実施例のものと同一のものであるため、省略する。
【0051】
図14に、本実施例の斜視図を示す。また、図15に本実施例の平面図を示す。さらに、図16に本実施例の正面図を示す。
【0052】
(本発明に係る立体構造体の他の使用例)
本発明に係る立体構造体は、例えば、壁面をガラスとしたガラス張りの建築物において、そのガラス面の内側全体に立体構造体を設置することも可能である。このように外観から立体構造体を視認できる位置に設置することによって、意匠面に優れた建築物とすることもできる。
また、本実施形態に係る立体構造体は、空隙部分が少ないため、外界から動物などの生物が侵入することが極めて難しい。したがって、意匠目的に限らず防犯目的のためにもまた、本実施形態に係る立体構造体を設置することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 管状部材
2 第一の構成部材
3 第一の切欠き部
4 第一の切欠き部間の縁部分
5 第二の構成部材
6 第二の切欠き部
7 第三の構成部材
8 第三の切欠き部

【要約】
【課題】
本発明は、構成部材同士の接合を精度良く行うことができる構造部材の接合方法及び構造部材同士を組み合わせてなる接合立体構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、管状の第一の構成部材を複数用いた立体構造体であって、前記管状の第一の構成部材は、長手方向に上端から下方向に切欠き部を有し、前記切欠き部は、等間隔に設けられており、前記管状の第一の構成部材同士の切欠き部が、互いに嵌合されている、立体構造体である。
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