(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】プリズムブロックおよび投写型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20250502BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20250502BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20250502BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 F
H04N5/74 A
(21)【出願番号】P 2021090240
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2024-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀和
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-122874(JP,A)
【文献】特開2002-006397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0105594(US,A1)
【文献】特開2013-218262(JP,A)
【文献】特開2011-154159(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103006180(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0122780(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0219500(US,A1)
【文献】特開2005-227365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00-9/90
F21S2/00-45/70
G02B5/00-5/136
27/00-30/60
G02F1/13
1/137-1/141
G03B13/00-13/28
21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/222-5/237
5/30-5/33
5/66-5/74
9/12-9/31
23/00
23/11
23/20-23/30
23/40-23/76
23/90-23/959
25/00
25/20-25/61
25/615-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、
前記第1面と第1の交線で交わり前記第1面に対して傾斜する第2面と、前記第1面と前記第2面とを繋ぎ照明光が入射する第3面と、を有する第1プリズムと、
前記第1プリズムの前記第2面側に配置され、前記第1面に平行な第4面と、前記第4面よりも前記第2面側に位置し
、前記第1の交線と交差する第2の交線で前記第1面と交わり前記第1面に対し
て傾斜する第5面と、前記第4面と前記第5面とを繋ぐ第6面と、を有する第2プリズムと、
前記第2面に空隙を介して対向する第7面と、前記第5面に対向する第8面と、を有し、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間に配置される第3プリズムと、
前記第2プリズムの前記第5面と前記第3プリズムの前記第8面との間に配置された光路分離膜と、
を備え、
前記照明光は、前記第3面から前記第1プリズムに入射して前記第
1面から出射し、
投写光は、前記第1面から第1プリズムに入射して前記第3プリズムを介して前記第2プリズムの前記第4面から出射し、
撮像光は、前記第4面から前記第2プリズムに入射し前記光路分離膜で反射して前記第6面から出射し、
前記第1プリズムに入射して前記第2プリズムから出射するまでの前記照明光および前記投写光の光路を含む投写軸平面と、前記第2プリズムの前記第4面から入射して前記第6面から出射するまでの撮像光の光路を含む撮像軸平面とが交差する、
プリズムブロック。
【請求項2】
第1面と、前記第1面に対して傾斜する第2面と、前記第1面と前記第2面とを繋ぎ照明光が入射する第3面と、を有する第1プリズムと、
前記第1プリズムの前記第2面側に配置され、前記第1面に平行な第4面と、前記第4面よりも前記第2面側に位置し前記第1面に対して前記第2面と異なる方向に傾斜する第5面と、前記第4面と前記第5面とを繋ぐ第6面と、を有する第2プリズムと、
前記第2面に空隙を介して対向する第7面と、前記第5面に対向する第8面と、を有し、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間に配置される第3プリズムと、
前記第2プリズムの前記第5面と前記第3プリズムの前記第8面との間に配置された光路分離膜と、
を備え、
互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向、およびZ方向としたときに、
前記第1面は、+X方向および+Y方向に延びるXY平面に位置し、
前記第2面は、前記第1面に対して+Z方向に傾斜し、かつ、+X方向と+Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置し、
前記第4面は、前記第1面よりも+Z方向に位置し、かつ、前記第1面に平行な平面に位置し、
前記第5面は、前記第4面から-Z方向に傾斜し、かつ、-Y方向と-Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置し、
前記照明光は、前記第3面から前記第1プリズムに入射して前記第1面から出射し、
投写光は、前記第1面から第1プリズムに入射して前記第3プリズムを介して前記第2プリズムの前記第4面から出射し、
撮像光は、前記第4面から前記第2プリズムに入射し前記光路分離膜で反射して前記第6面から出射し、
前記第1プリズムに入射して前記第2プリズムから出射するまでの前記照明光および前記投写光の光路を含む投写軸平面と、前記第2プリズムの前記第4面から入射して前記第6面から出射するまでの撮像光の光路を含む撮像軸平面とが交差する、
プリズムブロック。
【請求項3】
前記投写軸平面と前記撮像軸平面とは直交する、
請求項1
または2に記載のプリズムブロック。
【請求項4】
前記照明光は、前記第3面から前記第1プリズムに入射して前記第2面で反射して前記第1面から出射して、画像を生成する画像形成素子に到達し、
前記投写光は、前記画像形成素子で反射して前記第1面から前記第1プリズムに入射して、前記第3プリズムを介して前記第2プリズムの前記第4面から出射して投写レンズユニットを介して投写対象に投写され、
前記撮像光は、前記投写対象で反射した前記投写光を含み、前記投写レンズユニットを介して前記第4面から前記第2プリズムに入射し、前記光路分離膜で反射して前記第6面から出射して前記第6面側に配置される撮像素子で受光される、
請求項1
から3のいずれか1項に記載のプリズムブロック。
【請求項5】
前記第2面と前記第7面との間の空隙は、3μm以上10μm以下の大きさで設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のプリズムブロック。
【請求項6】
前記光路分離膜は、P偏光およびS偏光のいずれか一方の第1の偏光状態の光を透過させ、P偏光およびS偏光のいずれか他方の第2の偏光状態の光を反射する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のプリズムブロック。
【請求項7】
前記光路分離膜は、光の一部を反射する部分反射ミラーである、
請求項1から5のいずれか1項に記載のプリズムブロック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のプリズムブロックと、
前記第1プリズムの前記第3面側に配置され、前記照明光を照射する光源と、
前記第1プリズムの前記第1面側に配置され、画像を生成する画像形成素子と、
前記第2プリズムの前記第4面側に配置される投写レンズユニットと、
前記第2プリズムの前記第6面側に配置され、前記撮像光を撮像する撮像素子と、
を備える、
投写型映像表示装置。
【請求項9】
前記画像形成素子は、単一のDMD(Digital Micromirror Device)を含む、
請求項8に記載の投写型映像表示装置。
【請求項10】
前記画像形成素子は、赤、緑、および青の光を変調する3つのDMD(Digital Micromirror Device)を含む、
請求項8に記載の投写型映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリズムブロックおよび投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンまたは建物などの投写対象物に対して映像を投写する投写型映像表示装置が知られている。従来の投写型映像表示装置において、投写対象物と投写される映像との位置関係(歪み)を確認するために、投写対象物に投写された映像を撮影し、撮影された画像に基づいて投写位置を調整することが検討されている。
【0003】
そこで、撮像素子を内蔵した投写型映像表示装置が検討されている。例えば、特許文献1には、光源からの光を反射させて光変調素子に導くとともに、光変調素子で反射した光を透過させて投射光学系に出力するTIPプリズムを備えるプロジェクタが開示されている。特許文献1に記載のプロジェクタでは、投射光学系からTIRプリズムに入射した光は、TIRプリズムの反射方向に配置された撮像素子で結像する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のプロジェクタは、撮像素子への迷光を低減する点で、未だ改善の余地がある。
【0006】
本開示は、撮像素子への迷光を低減することのできるプリズムブロック、および投写型映像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかるプリズムブロックは、第1面と、第1面に対して傾斜する第2面と、第1面と第2面とを繋ぎ照明光が入射する第3面と、を有する第1プリズムと、第1プリズムの第2面側に配置され、第1面に平行な第4面と、第4面よりも第2面側に位置し第1面に対して第2面と異なる方向に傾斜する第5面と、第4面と前記第5面とを繋ぐ第6面と、を有する第2プリズムと、第2面に空隙を介して対向する第7面と、第5面に対向する第8面と、を有し、第1プリズムと第2プリズムとの間に配置される第3プリズムと、第2プリズムの第5面と第3プリズムの第8面との間に配置された光路分離膜と、を備え、照明光は、第3面から第1プリズムに入射して第2面から出射し、投射光は、第1面から第1プリズムに入射して第3プリズムを介して第2プリズムの第4面から出射し、撮像光は、第4面から第2プリズムに入射し光路分離膜で反射して第6面から出射し、第1プリズムに入射して第2プリズムから出射するまでの照明光および投写光の光路を含む投写軸平面と、第2プリズムの第4面から入射して第6面から出射するまでの撮像光の光路を含む撮像軸平面とが交差する。
【0008】
本開示にかかる投写型映像表示装置は、上述のプリズムブロックと、第1プリズムの第3面側に配置され、照明光を照射する光源と、第1プリズムの第1面側に配置され、画像を生成する画像形成素子と、第2プリズムの第4面側に配置される投写レンズユニットと、第2プリズムの第6面側に配置され、撮像光を撮像する撮像素子と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によると、撮像素子への迷光を低減することのできるプリズムブロック、および投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる投写型映像表示装置の構成を示す図
【
図2】
図1の投写型映像表示装置に含まれるプリズムブロックを別の方向から見た図
【
図3】実施の形態1にかかるプリズムブロックを示す斜視図
【
図5】
図3のプリズムブロックの投写軸平面を示す断面図
【
図6】
図3のプリズムブロックの撮像軸平面を示す断面図
【
図7】実施の形態2にかかるプリズムブロックを示す斜視図
【
図8】
図7のプリズムブロックの投写軸平面を示す断面図
【
図9】
図7のプリズムブロックの撮像軸平面を示す断面図
【
図10】実施の形態3にかかる投写型映像表示装置を示す概略図
【
図11】
図10の投写型映像表示装置に含まれるプリズムブロックを別の方向から見た図
【
図12】
図10のプリズムブロックと色分離合成プリズムとを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った経緯)
投写型映像表示装置において、映像光を投写対象に投写するだけではなく、スクリーンなどの投写対象からの光を撮像するために、投写レンズを用いることが検討されている。例えば、特許文献1に記載のプロジェクタでは、照明光と投写光とを分離するTIRプリズムを、投写光と撮像光との分離にも用いている。
【0012】
しかし、特許文献1に記載のプロジェクタでは、映像光の光路と撮像光の光路とを共用するため、光路分岐素子内での迷光が撮像素子に入射してしまうという課題がある。迷光が撮像素子に入射してしまうと、撮像された画像に影響を及ぼすことがある。
【0013】
そこで、本発明者(ら)は、光路分岐素子内での迷光が撮像素子に入射することを防止する投写型映像表示装置について検討し、以下の発明に至った。
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当事者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
(実施の形態1)
[1-1.投写型映像表示装置の構成]
図1および
図2を参照して、実施の形態1にかかる投写型映像表示装置300を説明する。
図1は、実施の形態1にかかる投写型映像表示装置300の構成を示す図である。
図2は、
図1の投写型映像表示装置300に含まれるプリズムブロック1を別の方向から見た図である。
【0017】
投写型映像表示装置300は、
図1および
図2に示すように、プリズムブロック1と、光源100と、画像形成素子50と、投写レンズユニット60と、撮像素子70と、を備え、スクリーン200に映像を投写し、スクリーン(投写対象)200に投写された映像を撮像する装置である。投写型映像表示装置300において、光源100からの光がプリズムブロック1に入射し、画像形成素子50で反射してプリズムブロック1を介して投写レンズユニット60から出射してスクリーン200に投写される。
【0018】
光源100では、半導体レーザー201から光が出射される。半導体レーザー201は、例えば456nmを波長中心とした青色の光を出射する。半導体レーザー201から出射される光は、S偏光となるよう偏光状態が揃えられている。
【0019】
半導体レーザー201から出射された青色の光は、凸レンズ202と凹レンズ203とを透過して、拡散板204を通過する。凸レンズ202および凹レンズ203は、半導体レーザー201からの出射光を再平行化するアフォーカルレンズである。拡散板204を通過した光は、凸レンズ202と凹レンズ203とを通過し所望の光線幅の平行光に成形され、拡散板204を通過してダイクロイックミラー209に到達する。
【0020】
ダイクロイックミラー209はS偏光の青色の光を反射する特性を有する。このため、半導体レーザー201から出射されたS偏光の青色の光は、ダイクロイックミラー209で反射され1/4波長板205を透過する。1/4波長板205を透過した光は、1/4波長板205を透過すると円偏光に変換され、コンデンサレンズ206、207を透過し、徐々に集光しながら蛍光体ホイール208で略結像する。
【0021】
蛍光体ホイール208は、例えば円形のアルミニウム基板の表面に切欠きが形成された蛍光体層が設けられて構成される。アルミニウム基板の中央部には回転モータが配置され、蛍光体ホイール208を回転させることができる。蛍光体層は、例えば、青色光により励起され、緑色および赤色の波長成分を含む黄色光を発光するYAG蛍光体が塗布されて形成される。蛍光体層の切欠き部分は、青色光を反射するよう構成される。蛍光体ホイール208の蛍光体層で略結像された光は黄色の光となって反射し、切欠き部分で結像された光は青色の光となって反射する。蛍光体ホイール208の回転により、蛍光体ホイール208からは、黄色光と青色光とが時分割で出射される。
【0022】
蛍光体ホイール208で反射した光は、コンデンサレンズ206、207を透過する。青色の光は円偏光のため1/4波長板205でP偏光に変換され、黄色の光は無偏光のため1/4波長板を通過後も無偏光のままダイクロイックミラー209を透過し、コンデンサレンズ210を透過してカラーホイール211を透過する。
【0023】
カラーホイール211は、例えば円板状のガラス板の表面に複数のカラーフィルタがセグメントに分けられて形成されている。カラーフィルタは、例えば誘電体多層膜であり、透明、赤色、および緑色のセグメントに分割されている。
【0024】
カラーホイール211に入射する光のうち、黄色光はカラーフィルタのすべてのセグメントを透過し、青色光は透明のセグメントのみを透過する。蛍光体ホイール208からの黄色の光のうち、カラーフィルタの透明セグメントを透過した光は黄色光として、赤色セグメントを透過した光は赤色光として、緑色セグメントを透過した光は緑色光としてカラーホイール211から出射される。蛍光体ホイール208からの青色の光は、カラーフィルタの透明セグメントを透過して青色光としてカラーホイール211から出射される。
【0025】
円板状のガラス板の中央部には回転モータが配置され、カラーホイール211を回転させることができる。カラーホイール211の回転により、青色、黄色、赤色、および緑色の光が時分割でカラーホイール211から出射される。
【0026】
カラーホイール211を透過した光は、ロッドインテグレータ212に入射し、リレー光学系213、214、215を経由して照明光Ln1としてプリズムブロック1に入射する。プリズムブロック1の詳細については後述する。
【0027】
プリズムブロック1に入射した照明光Ln1は、画像形成素子50に到達する。本実施の形態では、画像形成素子50は、単一のDMD(Digital Micromirror Device)を含む。以後、画像形成素子50をDMD50と称する。
【0028】
投写型映像表示装置300では、映像信号等の制御信号に基づき、DMD50を変調させることにより、光強度の異なる投写光Pn1を生成する。DMD50は、複数の可動式の微小ミラーを有する。各微小ミラーは、映像の1画素に相当する。DMD50は、制御信号に基づいて微小ミラーの角度を変更することにより、投写レンズユニット60に向かう投写光Pn1(DMD-ON光)と、投写レンズユニット60には入射しない照明光Ln2(DMD-OFF光)とに分けられる。
【0029】
映像として投写される投写光Pn1(DMD-ON光)は、DMD50で反射されて再びプリズムブロック1に入射して投写レンズユニット60に入射したのちにスクリーン200に投写される。映像として投写されない照明光Ln2(DMD-OFF光)は、投写レンズユニット60には入射せず、プリズムブロック1を透過する。
【0030】
投写レンズユニット60は、複数のレンズを備え、プリズムブロック1から出射された投写光Pn1を拡大してスクリーン200に投写する。光源100からの照明光Ln1がDMD50でDMD-ON光(投写光Pn1)として反射され、投写レンズユニット60を介してスクリーン200に到達し、フルカラー映像Im1として知覚される。なお、映像には、静止画像と動画像の両方が含まれる。
【0031】
スクリーン200で反射した投写光Pn1を含む撮像光Sn1は、プリズムブロック1に入射し、
図2に示すように、プリズムブロック1の内部で反射して、撮像素子70で受光される。
【0032】
[1-2.プリズムブロックの構成]
図3は、実施の形態1にかかるプリズムブロック1を示す斜視図である。
図4は、
図3のプリズムブロック1の分解斜視図である。
【0033】
プリズムブロック1は、
図3および
図4に示すように、第1プリズム10と、第2プリズム20と、第3プリズム30と、光路分離膜40と、を備える。プリズムブロック1は、光源100からの照明光Ln1を内部全反射してDMD50に出射する役割と、DMD50からの投写光Pn1の光路と、スクリーン200からの撮像光Sn1との光路を分離する役割と、を担う。
【0034】
第1プリズム10は、第1面11と、第1面11に対して傾斜する第2面12と、第1面11と第2面12とを繋ぎ、照明光Ln1が入射する第3面13と、を有する。本実施の形態では、第1プリズム10は、三角柱形状のプリズムである。第1面11は、DMD50からの投写光Pn1の光軸に垂直に配置される。
【0035】
第2プリズム20は、第1プリズム10の第2面12側に配置され、第1面11に平行な第4面21と、第4面よりも第2面12側に位置し、第1面11に対して第2面12と異なる方向に傾斜する第5面22と、第4面21と第5面22とを繋ぐ第6面23と、を有する。本実施の形態では、第2プリズム20は、三角柱形状のプリズムである。
【0036】
第3プリズム30は、第1プリズム10と第2プリズム20との間に配置される。第3プリズム30は、第2面12に空隙Spを介して対向する第7面31と、第5面22に対向する第8面32と、を有する。第2面12と第7面31との間の空隙Spは、例えば、3μm以上10μm以下の大きさで形成される。
【0037】
互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向、およびZ方向としたときの、第1プリズム10の第1面11および第2面12の配置、第2プリズム20の第4面21および第5面22の配置、および第3プリズム30の第7面31および第8面32の配置について説明する。
【0038】
第1プリズム10の第1面11は、+X方向および+Y方向に延びるXY平面に位置する。第2面12は、第1面11に対して+Z方向に傾斜し、かつ+X方向と+Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置する。第2面12は、第1面11に対して傾斜角度θ1で傾斜している。傾斜角度θ1は、第1面11と第2面12とのなす角度であり、28度以上35度以下であるとよい。第3面13は、照明光Ln1の入射角度が垂直になるよう配置されることが好ましい。
【0039】
第2プリズムの第4面21は、第1プリズム10の第1面11よりも+Z方向に位置し、かつ第1面11に平行な平面に位置する。第5面22は、第4面21から-Z方向に傾斜し、かつ、-Y方向と-Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置する。第5面22は、第4面21に対して傾斜角度θ2で傾斜している。傾斜角度θ2は、第4面21と第5面22とのなす角度であり、25度以上32度以下であるとよい。
【0040】
第1プリズム10の第1面11と第2プリズム20の第4面21とは平行に配置されているため、第2プリズム20の第5面22は、第1プリズム10の第1面11に対しても傾斜している。第2プリズム20の第5面22は、第1面11に対して、第2面12とは異なる方向に傾斜している。
【0041】
第3プリズム30の第7面31は、第1プリズム10の第2面12よりも+Z方向に位置する。第2面12と第7面31との間には、空隙Spが形成されている。第7面31は、第2面12に対向する傾斜平面、すなわち、+X方向と+Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置する。第3プリズム30の第8面32は、第2プリズム20の第5面22よりも-Z方向に位置する。第5面22と第8面32とは、光路分離膜40を介して接着されている。第8面32は、第5面22に対向する傾斜平面、すなわち、-Y方向と-Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置する。
【0042】
光路分離膜40は、第2プリズム20の第5面22と、第3プリズム30の第8面32との間に配置される。光路分離膜40は、例えば、プリズムブロック1に入射した光の一部を反射し、残りの部分を透過させるハーフミラー等の部分反射ミラーにより構成される。
【0043】
図5は、
図3のプリズムブロック1の投写軸平面PA1を示す断面図である。
図5を参照して、照明光Ln1および投写光Pn1のプリズムブロック1の内部での光路について説明する。
【0044】
光源100からの照明光Ln1は、第1プリズム10の第3面13から入射し、第2面12で反射して第1面11から出射し、DMD50に到達する。DMD50で反射した投写光Pn1(DMD-ON光)は、第1面11から第1プリズム10に入射して第3プリズム30を介して第2プリズム20から出射する。より具体的には、光源100からの照明光Ln1は、第3面13から第1プリズム10に入射して第2面12で反射して、第1面11から出射して画像形成素子(DMD)50で反射し、投写光Pn1として再び第1プリズム10に入射する。第1プリズム10の第2面12と第2面12に対向する第3プリズム30の第7面31との間に空隙Spが形成されているため、第1プリズム10の第2面12で照明光Ln1が内部全反射する。内部全反射とは、第1プリズム10に入射した照明光Ln1が、第1プリズム10の第2面12から外部に透過せず、第2面12で全反射することである。
【0045】
DMD50で反射した投写光Pn1(DMD-ON光)は、第1面11から再び第1プリズム10に入射して、第3プリズム30を介して第2プリズム20の第4面21から出射して投写レンズユニット60を介してスクリーン200に投写される。DMD50で反射した映像として投写されない照明光Ln2(DMD-OFF光)は、投写レンズユニット60には入射せずプリズムブロック1から外部に出力される。
【0046】
図5に示すように、照明光Ln1、投写光Pn1(DMD-ON光)および照明光Ln2(DMD-OFF光)の光路は、投写軸平面PA1に含まれる。照明光Ln1の光路は、光源100からの照明光Ln1が第3面13から第1プリズム10に入射し、DMD50に到達するまでの光の経路である。投写光Pn1の光路は、DMD50で反射して第1プリズム10に入射し、第3プリズム30を介して第2プリズム20の第4面21から出射するまでの光の経路である。DMD50で反射された照明光Ln2(DMD-OFF光)の光路も、投写軸平面PA1に含まれる。
【0047】
図6は、
図3のプリズムブロック1の撮像軸平面IA1を示す断面図である。
図6を参照して、撮像光Sn1のプリズムブロック1の内部での光路について説明する。
【0048】
撮像光Sn1は、スクリーン200で反射した投写光Pn1を含む光である。撮像光Sn1は、投写レンズユニット60を介して第4面21から第2プリズム20に入射し、光路分離膜40で反射し、さらに第4面21で内部全反射して第6面23から出射して、第6面23側に配置されている撮像素子70で受光される。
【0049】
図6に示すように、撮像光Sn1の光路は、撮像軸平面IA1に含まれる。撮像光Sn1の光路は、スクリーン200で反射した撮像光Sn1が第2プリズム20の第4面21から入射して第6面23から出射するまでの光の経路である。
【0050】
図3に示すように、投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1とは交差する。投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1とが交差することで、投写光Pn1(DMD-ON光)および照明光Ln2(DMD-OFF光)による迷光が撮像軸平面IA1に入りにくくなる。このため、撮像素子70に入射する迷光を低減することができる。
【0051】
投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1との交差する角度、すなわち投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1との交差角θ3(
図3参照)が大きくなるほど、撮像素子70に入る迷光が減衰する。交差角θ3は、Z方向から見たときの投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1とのなす角度である。このため、投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1との交差角θ3は45度以上135度以下であるとよい。より好ましくは、投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1とが直交しているとよい。本実施の形態では、投写軸平面PA1がXZ平面に位置し、撮像軸平面IA1がYZ平面に位置し、投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1とが直交している。
【0052】
本実施の形態では、プリズムブロック1は、照明光Ln1を内部全反射させてDMD50に向けて出射するTIRプリズム(内部全反射プリズム)と、撮像光Sn1の光路を投写光Pn1の光路と分離する光路分離プリズムと、の役割を担う。TIRプリズムと光路分離プリズムとを1つのプリズムブロック1で構成することにより、プリズムブロック1の薄型化を実現することができる。このため、投写型映像表示装置300の小型化に寄与する。
【0053】
[1-3.効果等]
上述した実施の形態によると、投写軸平面PA1と撮像軸平面IA1とが交差している。このため、DMD50で反射した映像として投写されない照明光Ln2(DMD-OFF光)のプリズムブロック1の内部での反射光が、撮像素子70に入り込むのを防止することができる。したがって、撮像素子70への迷光を低減することができる。
【0054】
また、プリズムブロック1は、TIRプリズムと光路分離プリズムとを1つのプリズムブロックとして構成したものである。このため、TIRプリズムと光路分離プリズムとを別々に設ける場合と比較して、プリズムブロック1を薄型化することができる。したがって、投写型映像表示装置300の小型化に寄与する。
【0055】
光路分離膜40を第2プリズム20と第3プリズム30との間に設けることにより、投写光Pn1の光路と撮像光Sn1の光路とが分離される。このため、照明光Ln1がDMD50に入射する際の減衰を低減することができ、スクリーン200に投写される投写光Pn1の光量を高くすることができる。
【0056】
プリズムブロック1に入射した撮像光Sn1が、光路分離膜40で反射し、さらに第2プリズム20の内部において第4面21で内部全反射して撮像素子70に入射する。このため、撮像素子70に入射する迷光を低減することができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では、光路分離膜40が部分反射ミラーである例について説明したが、これに限定されない。光路分離膜40は、例えば偏光分離膜であってもよい。偏光分離膜は、P偏光およびS偏光のいずれか一方の第1の偏光状態の光を透過させ、P偏光およびS偏光のいずれか他方の第2の偏光状態の光を反射する膜である。この場合、投写光Pn1が、第1の偏光状態または第2の偏光状態を有する。
【0058】
(実施の形態2)
図7~
図9を参照して、実施の形態2について説明する。なお、実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載を省略する。
【0059】
図7は、実施の形態2にかかるプリズムブロック1Aを示す斜視図である。
図8は、
図7のプリズムブロック1Aの投写軸平面PA2を示す断面図である。
図9は、
図7のプリズムブロック1Aの撮像軸平面IA2を示す断面図である。
【0060】
実施の形態2では、
図7に示すように、第2プリズム120の形状が実施の形態1と異なり、それに伴い、第3プリズム130の形状も実施の形態1と異なっている。具体的には、第4面121と第5面122との傾斜角度θ4が実施の形態1よりも大きくなるよう第2プリズム120が形成されている。本実施の形態では、傾斜角度θ4は45度となっている。このため、撮像光Sn2が、光路分離膜40で反射した後、第2プリズム120で内部全反射せずに撮像素子70に受光される。
【0061】
図8に示すように、光源100からの照明光Ln3は、第1プリズム110の第3面113から入射して、第2面112で内部全反射して第1面111からDMD50に向けて出射する。さらに、DMD50で反射した投写光Pn2(DMD-ON光)は、第1面111から再び第1プリズム110に入射して、第3プリズム130を介して第4面121から第2プリズム120を出射し、投写レンズユニット60に入射する。
【0062】
DMD50で反射した映像として投写されない照明光Ln4(DMD-OFF光)は、投写レンズユニット60には入射せずプリズムブロック1Aから外部に出力される。
【0063】
図9に示すように、撮像光Sn2は、第2プリズム120の第4面121から入射して光路分離膜140で反射して第6面123から出射して、撮像素子70で受光される。実施の形態1と異なり、第4面121と第5面122との傾斜角度θ4が45度であるため、撮像光Sn2は、第2プリズム120に入射した後、光路分離膜140での1回の反射で第6面123から出射する。
【0064】
上述した実施の形態によると、撮像光Sn2の第2プリズム120の内部での光路が異なる場合でも、投写軸平面PA2と撮像軸平面IA2とが交差していることにより、撮像素子70への迷光の侵入を低減することができる。
【0065】
(実施の形態3)
図10~
図12を参照して、実施の形態3について説明する。なお、実施の形態3においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態1と重複する記載を省略する。
【0066】
図10は、実施の形態3にかかる投写型映像表示装置300Aを示す概略図である。
図11は、
図10の投写型映像表示装置300Aに含まれるプリズムブロック1を別の方向から見た図である。
図12は、
図10のプリズムブロック1と色分離合成プリズム54とを示す斜視図である。
【0067】
実施の形態3では、画像形成素子が、赤、緑、および青の光を変調する3つのDMD(Digital Micromirror Device)を含む点で、実施の形態1と異なる。
図10に示すように、画像形成素子は、青の光を変調するDMD51、緑の光を変調するDMD52、および赤の光を変調するDMD53を含む。また、実施の形態3では、光源100Aの構成が実施の形態1と異なる。
【0068】
投写型映像表示装置300Aは、
図10~
図12に示すように、プリズムブロック1と、色分離合成プリズム54と、光源100Aと、画像形成素子51、52、53と、投写レンズユニット60と、撮像素子70と、を備える。投写型映像表示装置300Aは、スクリーン200に映像を投写し、スクリーン200に投写された映像を撮像する装置である。投写型映像表示装置300Aにおいて、光源100Aからの白色の照明光Ln5が第1プリズム10に入射した後、色分離合成プリズム54で、赤色、緑色、および青色の光に分離される。赤色の光はDMD53で反射し、緑色の光はDMD52で反射し、青色の光はDMD51で反射する。DMD51~53で反射した投写光Pn3が色分離合成プリズム54を介してプリズムブロック1の第1プリズム10に再び入射し、第3プリズム30を介して第2プリズム20の第4面21から投写レンズユニット60に出射される。
【0069】
光源100Aでは、半導体レーザー201A、201Bから光が出射される。半導体レーザー201A、201Bは、例えば、456nmを波長中心とした青色の光を出射する。半導体レーザー201A、201Bから出射される光は、P偏光となるよう偏光状態が揃えられている。
【0070】
半導体レーザー201Aから出射された青色の光は、凸レンズ202Aと凹レンズ203Aとを透過して、拡散板204Aを通過する。凸レンズ202Aおよび凹レンズ203Aは、半導体レーザー201Aからの出射光を再平行化するアフォーカルレンズである。拡散板204Aを通過した光は、凸レンズ202Aと凹レンズ203Aとを通過し所望の光線幅の平行光に成形され、拡散板204Aを通過してダイクロイックミラー209Aに到達する。
【0071】
ダイクロイックミラー209AはP偏光の青色の光を透過する特性を有する。このため、半導体レーザー201Aから出射されたP偏光の青色の光は、ダイクロイックミラー209Aで透過され、コンデンサレンズ206、207を透過し、徐々に集光しながら蛍光体ホイール208Aで略結像する。
【0072】
蛍光体ホイール208Aは、例えば円形のアルミニウム基板の表面に蛍光体層が設けられて構成される。アルミニウム基板の中央部には回転モータが配置され、蛍光体ホイール208Aを回転させることができる。蛍光体層は、例えば、青色光により励起され、緑色および赤色の波長成分を含む黄色光を発光するYAG蛍光体が塗布されて形成される。蛍光体ホイール208Aの蛍光体層で略結像された光は黄色の光となって反射する。蛍光体ホイール208Aの回転により、蛍光体ホイール208Aからは、黄色の光が連続して出射される。
【0073】
蛍光体ホイール208Aで反射した黄色の光は、コンデンサレンズ206、207を透過して、ダイクロイックミラー209Aで反射し、コンデンサレンズ210を透過してロッドインテグレータ212に入射する。
【0074】
一方、半導体レーザー201Bから出射された青色の光は、凸レンズ202Bと凹レンズ203Bとを透過して、拡散板204Bを通過する。凸レンズ202Bおよび凹レンズ203Bは、半導体レーザー201Bからの出射光を再平行化するアフォーカルレンズである。拡散板204Bを透過した青色の光は、凸レンズ202Bと凹レンズ203Bとを通過して所望の光線幅の平行光に成形され、拡散板204Bを通過後、ミラー216で反射してダイクロイックミラー209Aに到達する。
【0075】
半導体レーザー201Bから出射されたP偏光の青色の光は、ダイクロイックミラー209Aを透過して、ダイクロイックミラー209Aで反射した黄色の光と合成し、コンデンサレンズ210を透過してロッドインテグレータ212に入射する。
【0076】
ロッドインテグレータ212に入射した光は、リレー光学系213、214、215を経由して照明光Ln5としてプリズムブロック1に入射する。
【0077】
図10に示すように、映像として投写されない照明光Ln6(DMD-OFF光)は、投写レンズユニット60には入射せず、プリズムブロック1を透過する。
【0078】
本実施の形態では、DMD51、DMD52、およびDMD53から投写レンズユニット60までの投写光Pn3のプリズム光路長が、実施の形態1の投写光Pn1(
図1参照)の光路長よりも長くなる。このため、
図10に示すように、第2プリズム20と撮像素子70との間に光学系71、72を配置して、撮像素子70に至るまでの撮像光Sn3の光路長を調整している。
【0079】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、投写軸平面PA3と撮像軸平面IA3とが交差している(
図12参照)。
【0080】
撮像光Sn3は、色分離合成プリズム54よりも投写レンズユニット60側に配置されている。このため、撮像素子70に白色光を取り込むことができる。
【0081】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0082】
上述した実施の形態において、第1プリズム10および第2プリズム20は、三角柱形状を有するとしたが、第1プリズム10および第2プリズム20の形状は、三角柱形状に限定されない。
【0083】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。したがって、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0084】
また、上述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0085】
(実施の形態の概要)
(1)本開示のプリズムブロックは、第1面と、第1面に対して傾斜する第2面と、第1面と第2面とを繋ぎ照明光が入射する第3面と、を有する第1プリズムと、第1プリズムの第2面側に配置され、第1面に平行な第4面と、第4面よりも第2面側に位置し第1面に対して第2面と異なる方向に傾斜する第5面と、第4面と前記第5面とを繋ぐ第6面と、を有する第2プリズムと、第2面に空隙を介して対向する第7面と、第5面に対向する第8面と、を有し、第1プリズムと第2プリズムとの間に配置される第3プリズムと、第2プリズムの第5面と第3プリズムの第8面との間に配置された光路分離膜と、を備え、照明光は、第3面から第1プリズムに入射して第2面から出射し、投射光は、第1面から第1プリズムに入射して第3プリズムを介して第2プリズムの第4面から出射し、撮像光は、第4面から第2プリズムに入射し光路分離膜で反射して第6面から出射し、第1プリズムに入射して第2プリズムから出射するまでの照明光および投写光の光路を含む投写軸平面と、第2プリズムの第4面から入射して第6面から出射するまでの撮像光の光路を含む撮像軸平面とが交差する。
【0086】
このような構成により、照明光の光路と撮像光の光路とを分けることができるため、撮像素子への迷光を低減することができる。
【0087】
(2)(1)のプリズムブロックにおいて、投写軸平面と撮像軸平面とは直交する。
【0088】
このような構成により、迷光の減衰効果を高めることができる。
【0089】
(3)(1)または(2)のプリズムブロックにおいて、照明光は、第3面から第1プリズムに入射して第2面で反射して第1面から出射して、画像を生成する画像形成素子に到達し、投写光は、画像形成素子で反射して第1面から第1プリズムに入射して、第3プリズムを介して第2プリズムの第4面から出射して投写レンズユニットを介して投写対象(スクリーン)に投写され、撮像光は、投写対象で反射した投写光を含み、投写レンズユニットを介して第4面から第2プリズムに入射し、光路分離膜で反射して第6面から出射して第6面側に配置される撮像素子で受光される。
【0090】
このような構成により、照明光および投写光の光路と撮像光の光路を分離させることができるため、光路分離膜で照明光を減衰させずに投写対象に投写される照明光の光量を高めることができる。
【0091】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのプリズムブロックにおいて、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向、およびZ方向としたときに、第1面は、+X方向および+Y方向に延びるXY平面に位置し、第2面は、第1面に対して+Z方向に傾斜し、かつ、+X方向と+Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置し、第4面は、第1面よりも+Z方向に位置し、かつ、第1面に平行な平面に位置し、第5面は、第4面から-Z方向に傾斜し、かつ、-Y方向と-Z方向との間を伸びる傾斜平面に位置する。
【0092】
このような構成により、照明光の光路と撮像光の光路とを分けることができるため、撮像素子への迷光を低減することができる。
【0093】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのプリズムブロックにおいて、第2面と第7面との間の空隙は、3μm以上10μm以下の大きさで設けられている。
【0094】
このような構成により、第3面から第1プリズムに入射した照明光が第2面で全反射する確率が高くなり、撮像素子に入射する迷光を低減することができる。
【0095】
(6)(1)から(5)のいずれか1つのプリズムブロックにおいて、光路分離膜は、P偏光およびS偏光のいずれか一方の第1の偏光状態の光を透過させ、P偏光およびS偏光のいずれか他方の第2の偏光状態の光を反射する。
【0096】
このような構成により、照明光と撮像光とで偏光状態を変えることができるため、撮像素子に入射する迷光を低減することができる。
【0097】
(7)(1)から(5)のいずれか1つのプリズムブロックにおいて、光路分離膜は、光の一部を反射する部分反射ミラーである。
【0098】
このような構成により、照明光は減衰させずに投写光を光路分離膜に透過させ、撮像光は光路分離膜で反射させることができ、照明光と撮像光との光路を分離することができる。
【0099】
(8)本開示の投写型映像表示装置は、(1)から(7)のいずれか1つのプリズムブロックと、第1プリズムの第3面側に配置され、照明光を照射する光源と、第1プリズムの第1面側に配置され、画像を生成する画像形成素子と、第2プリズムの第4面側に配置される投写レンズユニットと、第2プリズムの第6面側に配置され、撮像光を撮像する撮像素子と、を備える。
【0100】
このような構成により、TIRプリズムの機能と光路分離プリズムの機能とを1つのプリズムブロックで実現することができるため、投写型映像表示装置の小型化に寄与する。
【0101】
(9)(8)の投写型映像表示装置において、画像形成素子は、単一のDMD(Digital Micromirror Device)を含む。
【0102】
このような構成により、小型で、撮像素子への迷光の侵入を防止する投写型映像表示装置を提供することができる。
【0103】
(10)(8)の投写型映像表示装置において、画像形成素子は、赤、緑、および青の光を変調する3つのDMD(Digital Micromirror Device)を含む。
【0104】
このような構成により、小型で、撮像素子への迷光の侵入を防止する投写型映像表示装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本開示は、映像を投写する投写型映像表示装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1、1A プリズムブロック
10、110 第1プリズム
11、111 第1面
12、112 第2面
13、113 第3面
20、120 第2プリズム
21、121 第4面
22、122 第5面
23、123 第6面
30、130 第3プリズム
31 第7面
32 第8面
40、140 光路分離膜
50 画像形成素子
60 投写レンズユニット
70 撮像素子
100 光源
200 スクリーン(投写対象)
300、300A 投写型映像表示装置
IA1、IA2、IA3 撮像軸平面
Ln1、Ln3、Ln5 照明光
Ln2、Ln4、Ln6 照明光(DMD-OFF光)
Pn1、Pn2、Pn3 (投写光)
Sn1、Sn2、Sn3 撮像光
PA1、PA2、PA3 投写軸平面
Sp 空隙