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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/14 20190101AFI20250502BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20250502BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250502BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20250502BHJP
【FI】
B60L53/14
B60K1/04 Z
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
H01R13/52 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021211642
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023095634
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一人
(72)【発明者】
【氏名】西中 正昭
(72)【発明者】
【氏名】丹波 大樹
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-166381(JP,A)
【文献】国際公開第2014/147763(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111114355(CN,A)
【文献】特開2014-51173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/00-58/40
H01R 13/52
B60K 1/04
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、を備え、
前記接続部は、前記充電器を接続可能な接続端子部と、前記接続端子部を覆うハウジングと、を有しており、
前記ハウジングの下部に第1排水孔が形成され、
前記ハウジングの下方に位置する板状の部材を備え、
前記板状の部材に第2排水孔が形成されており、
平面視において、前記第2排水孔は前記ハウジングと重複している電動作業車。
【請求項2】
ラジエータ及び前記ラジエータを冷却する冷却ファンを有する冷却装置を備え、
平面視において、前記ハウジングは、前記冷却装置に隣接する位置または前記冷却装置と重複する位置に配置されている請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記充電器を受け入れる開口を有すると共に、前記開口が斜め上方に向く姿勢で配置されており、
前記第1排水孔は、前記開口の下端位置よりも下側に位置している請求項1または2に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリから供給される電力により駆動するモータと、を備える電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電動作業車として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この電動作業車は、モータ(特許文献1では「電動モータ」)により駆動される走行装置(特許文献1では「前輪」及び「後輪」)によって走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-248918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、バッテリを充電するための充電器を接続可能な接続部については、記載されていない。ここで、特許文献1に記載の電動作業車において、充電器を接続可能であると共にバッテリと電気的に繋がれた接続部を備え、当該接続部が、充電器を接続可能な接続端子部と、接続端子部を覆うハウジングと、を有する構成とすることが考えられる。この構成によれば、ハウジングにより、接続端子部が保護される。
【0005】
しかしながら、例えば雨水がハウジング内に入ること等により、ハウジング内に水が溜まることが想定される。その場合、充電器の接続前にハウジング内の水を除去する作業が必要となる。その結果、電動作業車の運用にかかる労力が増大しがちである。
【0006】
本発明の目的は、電動作業車の運用にかかる労力を軽減可能な電動作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、を備え、前記接続部は、前記充電器を接続可能な接続端子部と、前記接続端子部を覆うハウジングと、を有しており、前記ハウジングの下部に第1排水孔が形成され、前記ハウジングの下方に位置する板状の部材を備え、前記板状の部材に第2排水孔が形成されており、平面視において、前記第2排水孔は前記ハウジングと重複していることにある。
【0008】
本構成によれば、ハウジング内に水が入った場合であっても、当該水は、重力により、ハウジングの下部の第1排水孔からハウジングの外部に排出される。これにより、ハウジング内に水が溜まりにくくなる。その結果、充電器の接続前にハウジング内の水を除去する作業が不要になりやすい。そのため、電動作業車の運用にかかる労力を軽減できる。
【0009】
従って、本構成によれば、電動作業車の運用にかかる労力を軽減可能な電動作業車を実現できる。
【0010】
【0011】
本構成によれば、ハウジングの直下方に、第2排水孔が位置することとなる。そのため、ハウジングの第1排水孔から落下した水が、板状の部材上に溜まることなく、第2排水孔を介して排出されやすい。即ち、ハウジングの第1排水孔から落下した水が板状の部材上に溜まってしまう事態を回避しやすい。
【0012】
さらに、本発明において、ラジエータ及び前記ラジエータを冷却する冷却ファンを有する冷却装置を備え、平面視において、前記ハウジングは、前記冷却装置に隣接する位置または前記冷却装置と重複する位置に配置されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、ハウジングの第1排水孔から排出された水が冷却装置の近傍に落下しやすい。そのため、当該水が、ラジエータの熱や、冷却ファンの風によって蒸発しやすい。従って、ハウジングの第1排水孔から落下した水が、ハウジングの下方に溜まってしまう事態を回避しやすい。
【0014】
さらに、本発明において、前記ハウジングは、前記充電器を受け入れる開口を有すると共に、前記開口が斜め上方に向く姿勢で配置されており、前記第1排水孔は、前記開口の下端位置よりも下側に位置していると好適である。
【0015】
本構成によれば、第1排水孔が開口の下端位置よりも上側に位置している場合に比べて、開口からハウジング内に入った水が第1排水孔から確実に排出されやすい。これにより、充電器を受け入れる開口からハウジング内に入った水が確実に排出されやすい電動作業車を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】トラクタの左側面図である。
図2】インバータ等の配置を示す左側面図である。
図3】動力伝達の流れを示す図である。
図4】接続部等の構成を示す一部破断左側面図である。
図5】接続部等の構成を示す一部破断正面図である。
図6】第2排水孔等の構成を示す平面図である。
図7】第1別実施形態における接続部等の構成を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0018】
〔トラクタの全体構成〕
以下では、本実施形態のトラクタについて説明する。図1に示すように、トラクタは、左右の前車輪10、左右の後車輪11、カバー部材12を備えている。
【0019】
また、トラクタは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0020】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置されている。
【0021】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0022】
トラクタは、走行用バッテリ4を備えている。また、カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリ4は、カバー部材12に覆われている。
【0023】
図2に示すように、トラクタは、インバータ14及びモータMを備えている。走行用バッテリ4は、インバータ14へ電力を供給する。インバータ14は、走行用バッテリ4からの直流電力を交流電力に変換してモータMへ供給する。そして、モータMは、インバータ14から供給される交流電力により駆動する。
【0024】
図2及び図3に示すように、トラクタは、静油圧式無段変速機15及びトランスミッション16を備えている。図3に示すように、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15a及び油圧モータ15bを有している。
【0025】
油圧ポンプ15aは、モータMからの回転動力により駆動する。油圧ポンプ15aが駆動することにより、油圧モータ15bから回転動力が出力される。尚、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aと油圧モータ15bとの間で回転動力が変速されるように構成されている。また、静油圧式無段変速機15は、変速比を無段階に変更可能に構成されている。
【0026】
油圧モータ15bから出力された回転動力は、トランスミッション16に伝達される。トランスミッション16に伝達された回転動力は、トランスミッション16の有するギヤ式変速機構によって変速され、左右の前車輪10及び左右の後車輪11へ分配される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11が駆動する。
【0027】
また、図2及び図3に示すように、トラクタは、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18を備えている。モータMから出力された回転動力は、油圧ポンプ15a、ミッドPTO軸17、リヤPTO軸18へ分配される。これにより、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18が回転する。
【0028】
ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18に作業装置が接続されていれば、ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18の回転動力により、作業装置が駆動することとなる。例えば、図2に示すように、本実施形態では、ミッドPTO軸17に草刈装置19が接続されている。ミッドPTO軸17の回転動力により、草刈装置19が駆動する。
【0029】
以上の構成により、本実施形態のトラクタは、走行用バッテリ4と、走行用バッテリ4から供給される電力により駆動するモータMと、モータMにより駆動される左右の前車輪10及び左右の後車輪11と、を備えている。
【0030】
尚、このトラクタは、本発明に係る「電動作業車」に相当する。走行用バッテリ4は、本発明に係る「バッテリ」に相当する。左右の前車輪10及び左右の後車輪11は、何れも、本発明に係る「走行装置」に相当する。
【0031】
〔機体前部の構成〕
図4から図6に示すように、本実施形態のトラクタは、冷却装置20、リザーブタンク21、補機用バッテリ22、電圧コンバータ23、オイルクーラ24を備えている。カバー部材12が閉状態であるとき、冷却装置20、リザーブタンク21、補機用バッテリ22、電圧コンバータ23(DC/DCコンバータ)、オイルクーラ24は、カバー部材12に覆われている。
【0032】
冷却装置20は、ラジエータ25及び冷却ファン26を有している。ラジエータ25及びウォータポンプ(図示せず)は、トラクタにおける冷却水経路に含まれている。ウォータポンプが冷却水を圧送することにより、冷却水が、この冷却水経路を循環する。そして、冷却水は、ラジエータ25を通過することにより冷却される。また、リザーブタンク21は、冷却水を貯留することができる。
【0033】
冷却ファン26は、ラジエータ25の後方に配置されている。冷却ファン26は、後側へ冷却風を送る。これにより、外気が、カバー部材12の前部に設けられた外気導入部12aを介してカバー部材12の内側へ導入され、ラジエータ25を通過する。その結果、ラジエータ25が冷却される。
【0034】
即ち、本実施形態のトラクタは、ラジエータ25及びラジエータ25を冷却する冷却ファン26を有する冷却装置20を備えている。
【0035】
補機用バッテリ22は、各種補機に電力を供給する。また、走行用バッテリ4から、電圧コンバータ23へ電力が送られる。そして、電圧コンバータ23は、走行用バッテリ4からの電力を降圧して補機用バッテリ22へ供給する。
【0036】
トラクタにおける作動油は、オイルクーラ24を通過することにより冷却される。
【0037】
図4及び図6に示すように、冷却装置20は、支持フレーム40に支持されている。支持フレーム40は、ラジエータ25の左右側部及び上側部を覆う門型に構成されている。詳述すると、支持フレーム40は、左板部41、上板部42、右板部43を有している。左板部41及び右板部43は、何れも、垂直姿勢の板状の部材である。左板部41は、右板部43の左方に位置している。上板部42は、水平姿勢の板状の部材である。上板部42は、左板部41の上端部と右板部43の上端部とに亘る状態で設けられている。左板部41は、ラジエータ25の左側部を覆っている。上板部42は、ラジエータ25の上側部を覆っている。右板部43は、ラジエータ25の右側部を覆っている。
【0038】
図6に示すように、電圧コンバータ23は、右板部43に右側から取り付けられている。これにより、電圧コンバータ23は、支持フレーム40に支持されている。
【0039】
図4及び図6に示すように、支持フレーム40は、支持フレーム40の下方に位置する支持部材45に支持されている。支持部材45は、水平姿勢の板状の部材である。支持部材45は、機体フレーム2に支持されている。
【0040】
〔接続部周辺の構成〕
図4及び図5に示すように、本実施形態のトラクタは、入力ハーネス46及び接続部47を備えている。
【0041】
また、走行用バッテリ4の前側の側部に入力部48が設けられている。接続部47は、走行用バッテリ4の前方において、走行用バッテリ4の前端部の左端部と隣り合う位置に設けられている。入力ハーネス46は、接続部47と入力部48とを電気的に繋いでいる。
【0042】
この構成により、接続部47は、入力ハーネス46及び入力部48を介して、走行用バッテリ4と電気的に繋がれている。
【0043】
接続部47は、機体横側部において、機体横側方に向けられた状態で配置されている。より具体的には、接続部47は、機体左側部において、機体左側方に向けられた状態で配置されている。より厳密には、接続部47は機体左上方へ向けられている。
【0044】
図4及び図5に示すように、接続部47は、接続端子部50及びハウジング51を有している。接続端子部50は、入力ハーネス46及び入力部48を介して、走行用バッテリ4と電気的に繋がれている。接続端子部50には、充電施設等に備わる充電器60を接続可能である。尚、充電器60及び接続部47の規格は、特に限定されないが、例えば、CHAdeMO(チャデモ)であっても良い。
【0045】
充電器60を接続端子部50に接続することにより、入力ハーネス46及び入力部48を介して、走行用バッテリ4へ電力が供給される。これにより、走行用バッテリ4が充電される。
【0046】
このように、本実施形態のトラクタは、充電器60を接続可能であると共に、走行用バッテリ4と電気的に繋がれた接続部47を備えている。
【0047】
図4に示すように、カバー部材12が開状態であるとき、接続部47は、側面視でカバー部材12と重複しない。即ち、カバー部材12が開状態であるとき、接続部47は露出している。また、カバー部材12が閉状態であるとき、接続部47は、カバー部材12に覆われている。尚、図4では、開状態のカバー部材12が仮想線で示されている。また、閉状態のカバー部材12が実線で示されている。
【0048】
図4から図6に示すように、ハウジング51は、略円筒状である。ハウジング51は、接続端子部50の周囲を囲むように設けられている。これにより、ハウジング51は、接続端子部50を覆っている。
【0049】
即ち、接続部47は、充電器60を接続可能な接続端子部50と、接続端子部50を覆うハウジング51と、を有している。
【0050】
図4及び図5に示すように、本実施形態のトラクタは、折り曲げられた板状の保持部52、及び、支持ステー53を備えている。ハウジング51は、保持部52の取付開口52aを貫通する状態で、保持部52にボルトによって固定されている。
【0051】
図4に示すように、保持部52は、支持ステー53にボルトによって固定されている。支持ステー53は、前後方向に延びている。支持ステー53の前端部は、左板部41にボルトによって固定されている。支持ステー53の後端部は、走行用バッテリ4にボルトによって固定されている。
【0052】
以上の構成により、ハウジング51は、保持部52、支持ステー53を介して、左板部41及び走行用バッテリ4に支持されている。これにより、ハウジング51は、保持部52、支持ステー53、左板部41を介して、支持部材45に支持されている。また、図4から図6に示すように、支持部材45は、ハウジング51の下方に位置している。
【0053】
このように、本実施形態のトラクタは、ハウジング51の下方に位置すると共にハウジング51を支持する支持部材45を備えている。
【0054】
図6に示すように、平面視において、ハウジング51は、冷却装置20の冷却ファン26と重複する位置に配置されている。ただし、本発明はこれに限定されず、平面視において、ハウジング51は、冷却装置20に重複することなく、冷却装置20に隣接する位置に配置されていても良い。
【0055】
このように、平面視において、ハウジング51は、冷却装置20に隣接する位置または冷却装置20と重複する位置に配置されている。
【0056】
図5に示すように、ハウジング51は、充電器60を受け入れる開口51aを有している。ハウジング51は、開口51aが斜め上方に向く姿勢で配置されている。
【0057】
即ち、ハウジング51は、充電器60を受け入れる開口51aを有すると共に、開口51aが斜め上方に向く姿勢で配置されている。
【0058】
図4及び図5に示すように、走行用バッテリ4の前側の側部に出力部49が設けられている。出力部49は、入力部48の左側に隣接して配置されている。出力部49は、出力ハーネス54を介して、インバータ14と電気的に繋がれている。
【0059】
走行用バッテリ4からの電力は、出力部49及び出力ハーネス54を介して、インバータ14へ供給される。
【0060】
〔第1排水孔及び第2排水孔〕
図5に示すように、ハウジング51は、左斜め下方へ延びる筒状部51bを有している。また、ハウジング51の下部に第1排水孔61が形成されている。第1排水孔61は、開口51aの下端位置P1よりも下側に位置している。
【0061】
第1排水孔61は、入口部61aから出口部61bまで延びる孔である。入口部61aは、ハウジング51のうち、充電器60が受け入れられる空間の下端部に位置している。出口部61bは、筒状部51bの下端部に位置している。即ち、第1排水孔61の一部は、筒状部51bを通っている。また、出口部61bは、入口部61aよりも下側に位置している。
【0062】
この構成により、ハウジング51のうち、充電器60が受け入れられる空間に水が入り込んだ場合、当該水は、重力により、入口部61aから第1排水孔61に入る。その後、当該水は、重力によって第1排水孔61内を通って下側へ移動し、出口部61bから下方へ排出される。
【0063】
図5及び図6に示すように、支持部材45に第2排水孔45aが形成されている。図6に示すように、平面視において、第2排水孔45aはハウジング51と重複している。また、平面視において、第2排水孔45aは、冷却装置20とオイルクーラ24との間に位置している。
【0064】
この構成により、出口部61bから下方へ排出された水は、支持部材45上に落下する。そして、支持部材45上に落下した水は、ラジエータ25の熱や、冷却ファン26の風によって蒸発しやすい。また、支持部材45上に落下した水は、蒸発しない場合であっても、第2排水孔45aから重力によって下方へ排出されやすい。
【0065】
尚、本実施形態のトラクタは、第2排水孔45aの直下方に部材が存在しないように構成されている。そのため、第2排水孔45aから下方へ排出された水は、地面に落下する。
【0066】
以上で説明した構成によれば、ハウジング51内に水が入った場合であっても、当該水は、重力により、ハウジング51の下部の第1排水孔61からハウジング51の外部に排出される。これにより、ハウジング51内に水が溜まりにくくなる。その結果、充電器60の接続前にハウジング51内の水を除去する作業が不要になりやすい。そのため、トラクタの運用にかかる労力を軽減できる。
【0067】
従って、以上で説明した構成によれば、トラクタの運用にかかる労力を軽減可能なトラクタを実現できる。
【0068】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、筒状部51bが設けられている。そして、第1排水孔61の一部は、筒状部51bを通っている。
【0069】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0070】
図7に示すように、第1別実施形態においては、筒状部51bが設けられていない。そして、第1排水孔61に代えて、第3排水孔62、第4排水孔63、第5排水孔64のうちの少なくとも何れか一つが設けられている。図7においては、第3排水孔62、第4排水孔63、第5排水孔64が仮想線で示されている。
【0071】
尚、第3排水孔62、第4排水孔63、第5排水孔64のうちの一つのみが設けられていても良いし、二つのみが設けられていても良いし、全てが設けられていても良い。
【0072】
第3排水孔62、第4排水孔63、第5排水孔64は、何れも、ハウジング51の下部に形成されており、開口51aの下端位置P1よりも下側に位置している。第3排水孔62、第4排水孔63、第5排水孔64は、何れも、本発明に係る「第1排水孔」に相当する。
【0073】
第3排水孔62は、ハウジング51の下部のうち、開口51aの近傍に位置している。第4排水孔63は、ハウジング51の下部のうち、充電器60が受け入れられる空間の下端部に連通する箇所に位置している。第5排水孔64は、第4排水孔63の下方に位置している。第4排水孔63及び第5排水孔64が設けられている場合、第4排水孔63から下方へ排出された水は、さらに第5排水孔64から下方へ排出される。
【0074】
このような構成であっても、例えば、第3排水孔62または第5排水孔64から排出された水が冷却装置20の近傍に落下するように、ハウジング51及び冷却装置20が配置されていれば、支持部材45上に落下した水は、ラジエータ25の熱や、冷却ファン26の風によって蒸発しやすい。また、平面視において、第2排水孔45aがハウジング51と重複していれば、第3排水孔62または第5排水孔64から支持部材45上に落下した水は、蒸発しない場合であっても、第2排水孔45aから重力によって下方へ排出されやすい。
【0075】
〔その他の実施形態〕
(1)支持部材45に第2排水孔45aが形成されていなくても良い。
【0076】
(2)平面視において、第2排水孔45aはハウジング51と重複していなくても良い。
【0077】
(3)平面視において、ハウジング51は、冷却装置20に隣接する位置または冷却装置20と重複する位置に配置されていなくても良い。
【0078】
(4)開口51aは斜め上方に向いていなくても良い。
【0079】
(5)第1排水孔61は、開口51aの下端位置P1よりも上側に位置していても良い。
【0080】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、トラクタだけではなく、コンバイン、田植機、建設作業機等の種々の電動作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
4 走行用バッテリ(バッテリ)
10 前車輪(走行装置)
11 後車輪(走行装置)
20 冷却装置
25 ラジエータ
26 冷却ファン
45 支持部材(板状の部材)
45a 第2排水孔
47 接続部
50 接続端子部
51 ハウジング
51a 開口
60 充電器
61 第1排水孔
62 第3排水孔(第1排水孔)
63 第4排水孔(第1排水孔)
64 第5排水孔(第1排水孔)
M モータ
P1 下端位置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7