(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】パワー半導体装置およびパワー半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10D 12/00 20250101AFI20250502BHJP
H10D 8/50 20250101ALI20250502BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250502BHJP
H10D 8/01 20250101ALI20250502BHJP
H10D 62/10 20250101ALI20250502BHJP
H10D 64/20 20250101ALI20250502BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20250502BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250502BHJP
【FI】
H10D12/00 101G
H10D12/00 103
H10D8/50 L
H10D12/00 101R
H10D30/66 103B
H10D8/01 B
H10D62/10 101F
H10D62/10 101G
H10D62/10 101V
H10D64/20 F
H10D30/01 301F
H10D30/01 301A
H10D30/66 201A
H10D30/66 101H
H10D84/80 203D
H10D12/00 101P
H10D30/66 102G
(21)【出願番号】P 2022026290
(22)【出願日】2022-02-24
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝光
(72)【発明者】
【氏名】武田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幹人
(72)【発明者】
【氏名】田中 香次
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/075330(WO,A1)
【文献】特開2019-009148(JP,A)
【文献】特開昭50-116274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 12/00
H10D 8/50
H10D 30/66
H10D 8/01
H10D 62/10
H10D 64/20
H10D 30/01
H10D 84/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1主面および第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1主面上に設けられた第1金属層と、
前記半導体基板の前記第2主面上に設けられた第2金属層と、を備え、
前記半導体基板は、
第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層と前記第2主面との間に設けられた第1導電型のバッファ層と、
前記バッファ層と前記第2金属層との間に両者に接して設けられた拡散層と、を備え、
平面視において一部の領域がダイオードとして動作するダイオード領域であり、
前記拡散層は前記ダイオード領域の少なくとも一部において前記バッファ層および前記第2金属層に接して設けられた第1導電型のカソード層を備え、
前記第1導電型のカソード層は、
1つの不純物濃度ピーク点を有し前記第2金属層に接する第1カソード層と、
1つの不純物濃度ピーク点を有し前記第1カソード層と前記バッファ層との間に前記バッファ層に接して設けられる第2カソード層と、を備え、
前記第1カソード層
における複合欠陥CiCsならびに格子間Si対からなる結晶欠陥
の密度は
、他の前記拡散層の
前記結晶欠陥
の密度より高
く、
前記結晶欠陥は、フォトルミネッセンス法で検出され、複合欠陥CiCsである第1格子欠陥と、格子間Si対である第2格子欠陥とを含み、
前記第1格子欠陥のフォトンエネルギーは0.969eVであり、
前記第2格子欠陥のフォトンエネルギーは1.018eVである、
パワー半導体装置。
【請求項2】
前記第1カソード層のドーズ量は前記第2カソード層のドーズ量の0.3倍以上である、
請求項
1に記載のパワー半導体装置。
【請求項3】
トランジスタとして動作するトランジスタ領域が平面視において前記ダイオード領域と交互に配置され、
前記拡散層は前記トランジスタ領域において前記バッファ層および前記第2金属層に接して設けられた第2導電型の拡散層を備える、
請求項1
または請求項
2に記載のパワー半導体装置。
【請求項4】
前記第2導電型の拡散層は、
1つの不純物濃度ピーク点を有し前記第2金属層に接する第1拡散層と、
1つの不純物濃度ピーク点を有し前記第1拡散層と前記バッファ層との間に前記バッファ層に接して設けられる第2拡散層と、を備える、
請求項
3に記載のパワー半導体装置。
【請求項5】
前記第2カソード層のドーズ量は前記第2拡散層のドーズ量の2倍以上である、
請求項
4に記載のパワー半導体装置。
【請求項6】
前記第2導電型の拡散層は1つの不純物濃度ピーク点を有する、
請求項
3に記載のパワー半導体装置。
【請求項7】
前記バッファ層は、
1つの不純物濃度ピーク点を有し前記拡散層に接する第1バッファ層と、
1つの不純物濃度ピーク点を有し前記ドリフト層に接する第2バッファ層とを備え、
前記第2バッファ層中の結晶欠陥は、フォトルミネッセンス法で検出される第2格子欠陥および第3格子欠陥である、
請求項
4または請求項
5に記載のパワー半導体装置。
【請求項8】
前記第2格子欠陥のフォトンエネルギーは1.018eVであり、
前記第3格子欠陥のフォトンエネルギーは1.039eVであり、
前記第2バッファ層において、前記第2格子欠陥のフォトルミネッセンス強度は前記第3格子欠陥のフォトルミネッセンス強度より高い、
請求項
7に記載のパワー半導体装置。
【請求項9】
前記第2バッファ層のピーク不純物濃度は、前記第1バッファ層のピーク不純物濃度の0.01倍以下である、
請求項
7または請求項
8に記載のパワー半導体装置。
【請求項10】
前記ドリフト層と前記第1主面との間に設けられた第2導電型のアノード層を備える、
請求項1
または請求項
2に記載のパワー半導体装置。
【請求項11】
前記ダイオード領域
および前記トランジスタ領域において、前記ドリフト層と前記第1主面との間に設けられた第2導電型のベース層を備える、
請求項
3から請求項
9のいずれか1項に記載のパワー半導体装置。
【請求項12】
前記第2導電型の拡散層は、前記ダイオード領域の一部においても、前記バッファ層および前記第2金属層に接して設けられる、
請求項
11に記載のパワー半導体装置。
【請求項13】
前記ベース層は前記第1金属層に接する、
請求項
11または請求項
12に記載のパワー半導体装置。
【請求項14】
互いに対向する第1主面および第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1主面上に設けられた第1金属層と、
前記半導体基板の前記第2主面上に設けられた第2金属層と、を備え、
前記半導体基板は、
第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層と前記第2主面との間に設けられた第1導電型のバッファ層と、
前記バッファ層
と前記第2主面との間に設けられた第2導電型のコレクタ層とを備え、
前記バッファ層は、
前記
コレクタ層に接する第1バッファ層と、
前記ドリフト層に接する第2バッファ層とを備え、
前記第2バッファ層中の結晶欠陥は、フォトルミネッセンス法で検出される第2格子欠陥および第3格子欠陥であ
り、
前記第2格子欠陥および前記第3格子欠陥は格子間Si対である、
パワー半導体装置。
【請求項15】
第1導電型のドリフト層を有する半導体基板の第1主面に第1金属層および表面保護膜を形成し、
前記表面保護膜の形成後、前記半導体基板の厚みを所望の厚みに制御し、
前記半導体基板の厚み制御後、前記半導体基板の前記第2主面に第1導電型のバッファ層を形成するための第1イオン注入と第1アニールを行い、
前記第1アニールの後、前記半導体基板の前記第2主面に第2導電型の第2拡散層を形成するための第2イオン注入を行い、
前記第2イオン注入の後、前記半導体基板の前記第2主面に第2導電型の第1拡散層を形成するための第3イオン注入を、前記第2イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、
前記第3イオン注入の後、前記半導体基板の前記第2主面に第1導電型の第2カソード層を形成するための第4イオン注入を行い、
前記第4イオン注入の後、前記半導体基板の前記第2主面に第1導電型の第1カソード層を形成するための第5イオン注入を、前記第4イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、
前記第5イオン注入の後、前記第2、第3、第4、第5イオン注入で注入されたイオンを活性化させる第2アニールを行うことにより、前記第2拡散層、前記第1拡散層、前記第2カソード層および前記第1カソード層を形成し、
前記第2アニールの後に前記半導体基板の前記第2主面に第2金属層を形成し、
前記第2金属層の形成後、窒素雰囲気にて350℃で第3アニールを行う、
請求項
4に記載のパワー半導体装置の製造方法。
【請求項16】
第1導電型のドリフト層を有する半導体基板の第1主面に第1金属層および表面保護膜を形成し、
前記表面保護膜の形成後、前記半導体基板の厚みを所望の厚みに制御し、
前記半導体基板の厚み制御後、前記半導体基板の前記第2主面に第1導電型の第1バッファ層を形成するための第1イオン注入と第1アニールを行い、
前記第1アニールの後、前記半導体基板の前記第2主面に第1導電型の第2バッファ層を形成するための第2イオン注入を行い、
前記第2イオン注入の後、前記半導体基板の前記第2主面に第2導電型の第2拡散層を形成するための第3イオン注入を行い、
前記第3イオン注入の後、前記半導体基板の前記第2主面に第2導電型の第1拡散層を形成するための第4イオン注入を、前記第3イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、
前記第4イオン注入の後、前記半導体基板の前記第2主面に第1導電型の第2カソード層を形成するための第5イオン注入を行い、
前記第5イオン注入の後、前記半導体基板の前記第2主面に第1導電型の第1カソード層を形成するための第6イオン注入を、前記第5イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、
前記第6イオン注入の後、前記第2、第3、第4、第5、第6イオン注入で注入されたイオンを活性化させる第2アニールを行うことにより、第2バッファ層、前記第2拡散層、前記第1拡散層、前記第2カソード層および前記第1カソード層を形成し、
窒素雰囲気において第
4アニールを行い、
前記第
4アニールの後に前記半導体基板の前記第2主面に第2金属層を形成し、
前記第2金属層の形成後、窒素雰囲気にて350℃で第
3アニールを行う、
請求項
7から請求項
9のいずれか1項に記載のパワー半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第3アニールの温度は350℃以上370℃以下である、
請求項
16に記載のパワー半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワー半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2層のnバッファ層を有するパワーダイオードが開示されている。2層のnバッファ層のうち、カソード側の高濃度n+層と接するnバッファ層の中に低キャリアライフタイム制御層が設けられている。これにより、パワーダイオードのリカバリー動作、すなわち逆回復スイッチング動作時にテール電流を抑制され、結果としてリカバリーロスが低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパワーダイオードは、キャリアライフタイムが異なる2層のnバッファ層を基本構成とする。そのため、特許文献1のパワーダイオードは、キャリアライフタイム制御手法を用いなくても、パワー半導体装置の性能指標であるオン電圧とスイッチングロスとのトレードオフ特性を高速側へシフトすることが可能である。ここで、キャリアライフタイム制御手法とは、例えば、電子線、プロトンまたはヘリウムなどの荷電粒子系、もしくは白金などの重金属系を用いた制御である。
【0005】
しかし、nバッファ層の作用である主接合へ逆バイアス印加された際の電圧保持能力が悪化し、電圧保持時のリーク電流低減によるオフロス低減というパワー半導体の基本性能である電圧遮断能力が悪化するという問題があった。
【0006】
また、電圧保持時のリーク電流が増加することにより、パワー半導体装置におけるトレンドである高温動作の実現が難しいという問題があった。
【0007】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、パワー半導体装置において、キャリアライフタイム制御手法によらずオン電圧とスイッチングロスとのトレードオフ特性を高速側へシフトすると共に、低オフロスおよび高温動作を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のパワー半導体装置は、互いに対向する第1主面および第2主面を有する半導体基板と、半導体基板の第1主面上に設けられた第1金属層と、半導体基板の第2主面上に設けられた第2金属層と、を備える。半導体基板は、第1導電型のドリフト層と、ドリフト層と第2主面との間に設けられた第1導電型のバッファ層と、バッファ層と第2金属層との間に両者に接して設けられた拡散層と、を備えるパワー半導体装置であって、平面視において一部の領域がダイオードとして動作するダイオード領域であり、拡散層はダイオード領域の少なくとも一部においてバッファ層および第2金属層に接して設けられた第1導電型のカソード層を備え、第1導電型のカソード層は、1つの不純物濃度ピーク点を有し第2金属層に接する第1カソード層と、1つの不純物濃度ピーク点を有し第1カソード層とバッファ層との間にバッファ層に接して設けられる第2カソード層と、を備え、第1カソード層における複合欠陥CiCsならびに格子間Si対からなる結晶欠陥密度は、他の拡散層の結晶欠陥密度より高く、結晶欠陥は、フォトルミネッセンス法で検出され、複合欠陥CiCsである第1格子欠陥と、格子間Si対である第2格子欠陥とを含み、第1格子欠陥のフォトンエネルギーは0.969eVであり、第2格子欠陥のフォトンエネルギーは1.018eVである。
【発明の効果】
【0009】
本開示のパワー半導体装置において、第1カソード層の結晶欠陥密度は他の拡散層の結晶欠陥密度より高い。従って、キャリアライフタイム制御手法によらずオン電圧とスイッチングロスとのトレードオフ特性を高速側へシフトすると共に、低オフロスおよび高温動作を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1のA1-A1´線に沿った従来のRFCダイオードの断面図である。
【
図3】
図1のA1-A1´線に沿った実施の形態1に係るRFCダイオードの断面図である。
【
図4】
図3のB-B´線およびC-C´線に沿ったRFCダイオード1001における拡散層の不純物濃度を示す図である。
【
図5】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードのカソード構造におけるPLスペクトルを示す図である。
【
図6】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードについてオン電圧とスイッチングロスとのトレードオフ特性を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係るRFCダイオードの出力特性を、第2n+カソード層と第2pカソード層とのドーズ量の関係をパラメータとして示す図である。
【
図8】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードの出力特性を示す図である。
【
図9】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードについてオン電圧のオペレーション温度依存性を示す図である。
【
図10】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードについて、主接合に逆バイアスを印加したときのリーク特性を示す図である。
【
図11】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードについて小電流モードにおけるリカバリー動作時の波形を示す図である。
【
図12】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードについてリカバリー動作時のスナップオフ電圧と電源電圧との関係を示す図である。
【
図13】従来および実施の形態1に係るRFCダイオードについて連続通電試験時のオン電圧の変化を示す図である。
【
図14】
図1のA1-A1´線に沿った実施の形態2のRFCダイオードの断面図である。
【
図15】
図14のB-B´線およびC-C´線に沿った実施の形態2のRFCダイオードの拡散層における不純物濃度を示す図である。
【
図16】実施の形態1,2のRFCダイオードについて小電流モードにおけるリカバリー動作時のスナップオフ電圧と電源電圧との関係を示す図である。
【
図17】
図1のA1-A1´線に沿った実施の形態3に係るRFCダイオードの断面図である。
【
図18】
図17のB-B´線およびC-C´線に沿った実施の形態3に係るRFCダイオードの拡散層における不純物濃度を示す図である。
【
図19】実施の形態3に係るRFCダイオードの第1nバッファ層および第2nバッファ層におけるPLスペクトルを示す図である。
【
図20】第2nバッファ層中のトラップB,CにおけるPL強度とアニール温度との関係を示す図である。
【
図21】従来および実施の形態3に係るRFCダイオードについてオン電圧とスイッチングロスとのトレードオフ特性を示す図である。
【
図22】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図23】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図24】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図25】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図26】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図27】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図28】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図29】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図30】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法を示す断面図である。
【
図31】実施の形態1に係るRFCダイオードの製造方法について表面保護膜の形成処理以降の工程を示すフローチャートである。
【
図32】実施の形態3に係るRFCダイオードの製造方法について表面保護膜の形成処理以降の工程を示すフローチャートである。
【
図33】従来のpinダイオードの、
図1のA1-A1´線に沿った断面図である。
【
図34】実施の形態6のpinダイオードの、
図1のA1-A1´線に沿った断面図である。
【
図35】実施の形態6の変形例に係るpinダイオードの、
図1のA1-A1´線に沿った断面図である。
【
図36】従来のpinダイオードと実施の形態6およびその変形例にかかるpinダイオードについて、オン電圧とスイッチングロスのトレードオフ特性を示す図である。
【
図37】実施の形態6のpinダイオードの製造方法のうち表面保護膜の形成工程以降のプロセスを示したフローチャートである。
【
図38】実施の形態7に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図39】実施の形態7の変形例1に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図40】実施の形態7の変形例2に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図41】実施の形態8に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図42】実施の形態8の変形例1に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図43】実施の形態8の変形例2に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図44】実施の形態9に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図45】実施の形態9の変形例1に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図46】実施の形態9の変形例2に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図47】実施の形態10に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図48】実施の形態10の変形例1に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図49】実施の形態10の変形例2に係るRC-IGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【
図50】実施の形態11に係るIGBTの、
図1のA-A´線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は模式的に示されたものであり、異なる図面にそれぞれ示されている画像のサイズおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されたものではなく、適宜変更され得る。また、以下の説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称および機能も同様のものとする。よって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0012】
また、以下の説明では、「上」、「下」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置および方向を意味する用語が用いられる場合があるが、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするため便宜上用いられているものであり、実際に実施される際の方向を限定するものではない。
【0013】
また、以下の説明では半導体の導電型について、第1導電型をn型、第2導電型をp型とするが、その逆であってもよい。
【0014】
また、半導体の導電型について、n-はnよりn型不純物濃度が小さく、n+はnよりn型不純物濃度が大きいことを表す。同様に、p-はpよりp型不純物濃度が小さく、p+はpよりp型不純物濃度が大きいことを表す。
【0015】
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図1は縦型のパワー半導体装置の平面構造を模式的に示したものである。同図に示されるように、中央部に複数の活性セル領域R1が形成され、2つの活性セル領域R1の間に表面ゲート配線部R12が設けられ、さらに、一部の領域にゲートパッド部R11が設けられる。
【0016】
活性セル領域R1、ゲートパッド部R11および表面ゲート配線部R12の周辺を囲って中間領域R2が形成され、中間領域R2の周辺をさらに囲んで終端領域R3が設けられる。
【0017】
上述した活性セル領域R1は、パワー半導体装置の基本性能を保障する素子形成領域である。そして、中間領域R2および終端領域R3からなる周辺領域は、信頼性面を含めた耐圧保持用に設けられる。そのうち、中間領域R2は、活性セル領域R1と終端領域R3とがジョイントする領域でパワー半導体のダイナミック動作時の破壊耐量を保障し活性セル領域R1における半導体素子の本来の性能をサポートする領域である。また、終端領域R3は、静的(static)な状態での耐圧保持、耐圧特性の安定性および信頼性面の保障、ならびにダイナミック動作時の破壊耐量の不良を抑制し、活性セル領域R1の本来の性能をサポートする。
【0018】
但し、パワー半導体装置がダイオードである場合、表面ゲート配線部R12およびゲートパッド部R11はなくても良い。
【0019】
図2および
図3は、パワー半導体装置の一例であるRFC(Relaxed Field of Cathode)ダイオードの、
図1のA1-A1´線に沿った断面構成を示している。
図2は従来のRFCダイオード1000の断面図であり、
図3は実施の形態1に係るRFCダイオード1001の断面図である。図において、従来のRFCダイオード1000をCon. RFC diodeと表記し、実施の形態1に係るRFCダイオード1001をNew RFC diode 1と表記することがある。
【0020】
まず、従来のRFCダイオード1000について説明する。RFCダイオード1000は、半導体基板20、第1金属層5および第2金属層11を備えて構成される。半導体基板20は、
図2および
図3における上側の主面である第1主面21と、第1主面21に対向する第2主面22とを備える。第1金属層5は半導体基板20の第1主面21上に設けられ、第2金属層11は半導体基板20の第2主面22上に設けられる。
【0021】
半導体基板20は、pアノード層6、n-ドリフト層7、nバッファ層8、n+カソード層9およびpカソード層10を備えて構成される。pアノード層6はn-ドリフト層7と第1主面21との間に設けられる。pアノード層6の表面は半導体基板20の第1主面21を構成する。n-ドリフト層7と第2主面22との間にはnバッファ層8が設けられる。nバッファ層8と第2主面22との間にはn+カソード層9およびpカソード層10が設けられる。n+カソード層9およびpカソード層10の表面は半導体基板20の第2主面22を構成し、第2金属層11と接する。
【0022】
n+カソード層9を含む縦方向の領域、すなわちn+カソード層9とその上方のnバッファ層8、n-ドリフト層7およびpアノード層6とにより、pinダイオード領域31が構成される。また、pカソード層10を含む縦方向の領域、すなわちpカソード層10とその上方のnバッファ層8、n-ドリフト層7およびpアノード層6とにより、pnpトランジスタ領域32が形成される。このように、RFCダイオード1000は平面視においてpinダイオード領域31とpnpトランジスタ領域32とが交互に配置された構成である。
【0023】
n-ドリフト層7は、不純物濃度Cn-が1.0×1012atoms/cm3以上1.0×1015atoms/cm3以下のSiウエハを用いて形成される。すなわち、半導体基板20はSi基板である。半導体基板20の厚みであるデバイス厚みtdeviceは40μm以上700μm以下である。
【0024】
pアノード層6は、第1金属層5と接触する表面、すなわち第1主面21における不純物濃度が1.0×1016atoms/cm3以上であり、ピーク不純物濃度が2.0×1016atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下であり、深さが2.0μm以上10.0μm以下である。
【0025】
nバッファ層8は、ピーク不純物濃度Cnb,pが1.0×1015atoms/cm3以上5.0×1016atoms/cm3以下であり、深さXj,nbが1.2μm以上50μm以下である。
【0026】
次に、実施の形態1に係るRFCダイオード1001について説明する。RFCダイオード1001は、n+カソード層9に代えてn+カソード層90を備え、pカソード層10に代えてpカソード層100を備える点で、従来のRFCダイオード1000と異なる。RFCダイオード1001において、n+カソード層90は第1n+カソード層91および第2n+カソード層92からなる2層構造であり、pカソード層100は第1pカソード層101および第2pカソード層102からなる2層構造である。なお、第1pカソード層101を第1拡散層とも称し、第2pカソード層102を第2拡散層とも称する。
【0027】
以下、第1n+カソード層91を第1カソード層と称し、その導電型を図においてn+1と表記することがある。また、第2n+カソード層92を第2カソード層と称し、その導電型を図においてn+2と表記することがある。また、第1pカソード層101の導電型をp1と表記することがある。また、第2pカソード層102の導電型をp2と表記することがある。
【0028】
第1n+カソード層91および第1pカソード層101は第2金属層11と接触する。第2n+カソード層92および第2pカソード層102はnバッファ層8と接触する。第1n+カソード層91および第1pカソード層101の
図3における下面が半導体基板20の第2主面22を構成する。
【0029】
第1n+カソード層91は、第2金属層11と接触する表面、すなわち第2主面22における不純物濃度が1.0×1018atoms/cm3以上1.0×1020atoms/cm3以下であり、深さが0.1μm以上0.2μm以下である。
【0030】
第2n+カソード層92は、ピーク不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1019atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0031】
第1pカソード層101は、第2金属層11と接触する表面、すなわち第2主面22における不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1019atoms/cm3以下であり、深さが0.1μm以上0.2μm以下である。
【0032】
第2pカソード層102は、ピーク不純物濃度が1.0×1016atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0033】
本実施の形態では、n+カソード層90が第1n+カソード層91と第2n+カソード層92の2層で構成され、pカソード層100が第1pカソード層101と第2pカソード層102の2層で構成される。各層の目的は以下のとおりである。
【0034】
第1n+カソード層91および第1pカソード層101は、第2金属層11とのコンタクト性向上のための拡散層である。第1n+カソード層91の結晶欠陥密度は、第2n+カソード層92、第1pカソード層101,102、およびnバッファ層8の結晶欠陥密度よりも高い。第2n+カソード層92および第2pカソード層102は、RFCダイオード1001の性能を制御し、かつ正常なオン動作を保証するための拡散層である。
【0035】
拡散層の不純物プロファイルと深さは、拡散層形成時のアニーリング技術の特徴から、イオン注入時の飛程(RP)により決定され得る。ここで、飛程は、第2主面22から各拡散層のピーク濃度の位置までの深さとして定義される。従って、第1n+カソード層91、第2n+カソード層92、第1pカソード層101および第2pカソード層102を形成する際のイオン注入時の飛程は、各層が互いに干渉しないように以下の式(1)で定められる。
【0036】
Rn+2/Rn+1=5.0、RP2/RP1=5.0…(1)
ここで、Rn+1,Rn+2,Rp1,Rp2は、それぞれ第1n+カソード層91、第2n+カソード層92、第1pカソード層101および第2pカソード層102の飛程(m)を表している。
【0037】
図4は、
図3のB-B´線およびC-C´線に沿ったRFCダイオード1001の拡散層における不純物濃度を示している。
図4の横軸は半導体基板20の第2主面22からの深さ(μm)を示し、縦軸は不純物濃度(atoms/cm
3)を示している。
図4において実線はB-B´線における不純物濃度を示し、破線はC-C´線における不純物濃度を示している。
【0038】
<A-2.性能>
以下、実施の形態1に係るRFCダイオード1001の性能を示す。
図5は、従来のRFCダイオード1000におけるn+カソード層9およびpカソード層10と、実施の形態1に係るRFCダイオード1001における第1n+カソード層91、第2n+カソード層92、第1pカソード層101および第2pカソード層102とを、Photoluminescence(PL)法で解析した際のPLスペクトルを示している。PL法とは、半導体へ光を照射し、欠陥準位を経由して電子とホールが再結合する際に放出される光を観測する解析手法である。
図5の横軸はフォトンエネルギー(eV)を示し、
図5の縦軸はバンド端の強度にて規格化されたPL強度を示している。
【0039】
PL法の解析条件は以下の通りである。波長633nmのHe-Neレーザーを用いる。温度は30Kとする。サンプル表面に照射されるレーザー光の出力は4.5mWとする。レーザー光の直径は1.3μmである。サンプル表面におけるレーザー光の強度は0.339MW/cm2である。
【0040】
図5から、第1n+カソード層91中のPL強度に2つのピークが存在することが分かる。1つ目のピークはフォトンエネルギー0.969eVのトラップAによるものであり、2つ目のピークはフォトンエネルギー:1.018eVのトラップBによるものである。トラップAおよびトラップBは、それぞれCiCs(G-center)およびW-centerに由来するエネルギー準位である。トラップAを第1格子欠陥、トラップBを第2格子欠陥とも称する。
【0041】
このように、第1n+カソード層91には2つのトラップが存在する。第2n+カソード層92は、後述する実施の形態4で説明されるプロセスによって形成される。第1n+カソード層91における結晶欠陥であるトラップA,Bは、下記のステップにより酸素、炭素または水素などのSi中の不純物と反応して形成される。
【0042】
ステップA:半導体基板20の第2主面22にイオン注入が行われることにより、空孔(V)および格子間Si対(Isi)などの格子欠陥が形成される。
【0043】
ステップB:ステップAで形成された格子欠陥が拡散して自己凝集が起き、V2と格子間Si対(Isi:W-center)が形成される。
【0044】
ステップC:ステップBと同時に格子位置に存在する炭素原子(Cs)と格子間Si対(Isi)の置換反応が起き、格子間炭素が形成される(Ci)。
【0045】
ステップD:格子間炭素(Ci)と格子欠陥(空孔(V))とが拡散し、格子位置置換炭素(Cs)および格子間Si対(Isi)とSi中の不純物(酸素、炭素、水素)との反応が室温にて起き、不純物欠陥(複合欠陥:CiCs)が生成される。
【0046】
ステップE:アニーリング処理によって結晶性が回復するが、一部の格子間Si対(Isi:W-center)および不純物欠陥(複合欠陥:CiCs)が残留する。
【0047】
ここで、添え字のiは格子間(interstitial)を表し、添え字のsは格子位置置換(substitutional)を表している。
【0048】
上記のとおり、第1n+カソード層91中には結晶欠陥が存在する。この結晶欠陥により、RFCダイオード1001のダイオード性能が向上し、かつ熱的な安定性能が得られることを、以下に1200Vクラスのダイオード性能によって示す。
【0049】
図6は、従来のRFCダイオード1000と実施の形態1に係るRFCダイオード1001のそれぞれについて、オン電圧V
FとスイッチングロスE
RECとのトレードオフ特性を示している。RFCダイオード1001のトレードオフ特性では、第1n+カソード層91のドーズ量と第2n+カソード層92のドーズ量との関係がパラメータとして示されている。RFCダイオード1000のトレードオフ特性は、荷電粒子である電子線によるライフタイム制御により制御した結果である。図中のCon. RFC diode 1は、電子線照射によるライフタイム制御無しのRFCダイオード1000である。Con. RFC diode 2とCon. RFC diode 3はいずれも電子線照射によるライフタイム制御を行ったRFCダイオード1000であるが、Con. RFC diode 3の方がCon. RFC diode 2より電子線照射時の照射量が多い。
【0050】
RFCダイオード1001では、第1n+カソード層91と第2n+カソード層92のドーズ量の関係が下記の式(2)を満足するように、各層が実施の形態4で説明するプロセスによって形成されることで、第1n+カソード層91と第2金属層11とのコンタクト性が向上し、RFCダイオード1001がオン状態になる際に第1n+カソード層91,92から安定した電子注入が実現する。
【0051】
Dn+1≧0.3×Dn+2 ・・・(2)
ここで、Dn+1は第1n+カソード層91の単位面積あたりのアトム数(atoms/cm2)を表し、Dn+2は第2n+カソード層92の単位面積あたりのアトム数(atoms/cm2)を表している。単位面積あたりのアトム数(atoms/cm2)は、単位体積あたりのアトム数(atoms/cm3)を拡散層の領域において深さ方向に積分した値である。単位体積あたりのアトム数(atoms/cm3)は、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS))による分析値である。
【0052】
また、RFCダイオード1001が正常なオン動作を行うために、第1n+カソード層91と第2pカソード層102とはドーズ量について以下の式(3)を満足する必要がある。
図6に示されるRFCダイオード1001のトレードオフ特性は、式(3)を満足したカソード構造における結果である。以上により、RFCダイオード1001によれば、従来のRFCダイオード1000が電子線によるライフタイム制御により実現していたトレードオフ特性のカーブの高速側をライフタイム制御によらず実現可能である。
【0053】
図7は、RFCダイオード1001の298Kでの出力特性を示す。RFCダイオード1001では、
図3に示される特徴的なカソード構造と実施の形態4に示すプロセスフローの関係から、第1pカソード層101および第2pカソード層102をn層に反転して第1n+カソード層91および第2n+カソード層92を形成する必要がある。そのため、RFCダイオード1001が正常にオン動作をするためには、第1n+カソード層91と第2pカソード層102とがドーズ量について以下の式(3)を満足する必要がある。これにより、
図7に示されるように、snap-back特性を発生せずに正常なオン動作が保障される。
【0054】
Dn+2≧2.0×Dp2 ・・・(3)
ここで、Dn+2は第2n+カソード層92の単位面積あたりのアトム数(atoms/cm2)を表し、Dp2は第2pカソード層102の単位面積あたりのアトム数(atoms/cm2)を表している。
【0055】
次に、式(2)および式(3)を満足するRFCダイオード1001のダイオード性能を示す。
【0056】
図8は、従来のRFCダイオード1000および実施の形態1に係るRFCダイオード1001の出力特性を示している。
図8および以下の図において、電子線によるライフタイム制御なしのRFCダイオード1000はCon. RFC diode 1と表記され、電子線によるライフタイム制御ありのRFCダイオード1000はCon. RFC diode 2またはCon. RFC diode 3と表記されている。
【0057】
図8から、RFCダイオード1001は従来のRFCダイオード1000に比べて、298Kでの出力特性と423Kでの出力特性がクロスするcross-pointの電流密度が低いことが分かる。
【0058】
図9は、従来のRFCダイオード1000と実施の形態1に係るRFCダイオード1001とについて、オン電圧V
Fのオペレーション温度依存性を示している。RFCダイオード1001は、従来のRFCダイオード1000に比べてオン電圧V
Fのオペレーション温度依存性が正である。電子線によるライフタイム制御無しの従来のRFCダイオード1000は、
図9においてCon. RFC diode 1と表記されている。電子線によるライフタイム制御無しの従来のRFCダイオード1000において、オン電圧V
Fのオペレーション温度依存性は負である。Con. RFC diode 3に示されるように、従来のRFCダイオード1000に電子線によるライフタイム制御を行うと、オン電圧V
Fのオペレーション温度依存性は変化するが、電子線により生成される不純物欠陥の温度依存性に律速した挙動を示す。ここで、電子線により生成される主要な不純物欠陥とは、複合欠陥C
iO
iまたはフォトンエネルギー0.789eVのC-centerである。
【0059】
RFCダイオードなどのパワー半導体装置は、最終的にパワーモジュールに搭載されてインバータシステムに組み込まれるため、並列動作が保証される必要がある。多数のチップが並列動作を行う上で、オン動作する際のチップ間の温度差を最小化するためには、cross-pointの電流密度が低く、かつオン電圧V
Fのオペレーション温度依存性が正であることが望まれる。多数のチップの並列動作時にオン電圧V
Fのオペレーション温度依存性が負であると、特定のチップでの電流集中による破壊する現象を誘発しやすくなる。しかし、RFCダイオード1001のようにオン電圧V
Fのオペレーション温度依存性が正であると、特定のチップでの電流集中による破壊が抑制され、正常な並列動作が保証可能になる。つまり、
図8および
図9に示されるRFCダイオード1001の特性はパワーモジュールの正常な動作面から有効である。
【0060】
図10は、従来のRFCダイオード1000および実施の形態1に係るRFCダイオード1001の主接合に逆バイアスを印加したときのリーク特性を示している。
図10において横軸は逆電圧V
R(V)を示し、縦軸はリーク電流密度J
R(A/cm
2)を示している。
【0061】
従来のRFCダイオード1000では、
図6のトレードオフカーブ上の高速側へ性能を制御するために、電子線によるライフタイム制御が行われる。その際、電子線により不純物欠陥(複合欠陥)がデバイス内部に形成されるため、この欠陥に起因するリーク電流が増加する。その結果、デバイスが電圧を保持する際のロス(オフロス:J
R×V
R)が増加し、パワーモジュールの熱設計面に問題が生じたり、高温動作に問題が生じたりする。
【0062】
一方、実施の形態1に係るRFCダイオード1001は、トレードオフカーブ上の高速側へ性能を制御するために結晶欠陥密度の高い第1n+カソード層91を有するものの、主接合に逆バイアスを印加した際に電圧保持のために主接合から空乏層が伸びるn-ドリフト層7内とnバッファ層8内に、電子線に起因する不純物欠陥(複合欠陥)が存在しない。従って、
図10に示されるように、RFCダイオード1001のリーク電流は、電子線によるライフタイム制御が行われない従来のRFCダイオード1000のリーク電流と同等となる。すなわち、実施の形態1に係るRFCダイオード1001は、高速動作を実現しながらも従来のRFCダイオード1000に比べてリーク電流が小さく、高温動作および熱的安定性の点で有効である。
【0063】
図11は、従来のRFCダイオード1000および実施の形態1に係るRFCダイオード1001の小電流モードにおけるリカバリー動作時の波形を示している。
【0064】
図12は、従来および実施の形態1に係るRFCダイオード1000,1001についてスナップオフ電圧V
snap-offと電源電圧V
CCとの関係を示す図である。スナップオフ電圧V
snap-offとはリカバリー動作時のアノード-カソード電圧V
AKの最大値である。ダイオードのリカバリー動作は、スナップオフ電圧V
snap-offが小さくかつスナップオフ電圧V
snap-offの電源電圧V
CC依存性が鈍感である方が、ダイオードの破壊耐量の面から優れている。さらに、スナップオフ電圧V
snap-offは定格の耐圧以下にすることで、定格の耐圧以下にスナップオフ電圧V
snap-offを制御でき、リカバリー動作時に瞬時に定格耐圧以上に電圧が上昇することに起因するダイオード破壊を抑制できる。本実施の形態ではRFCダイオード1001の定格は1200Vである。
【0065】
この性能は、電子線によるライフタイム制御が無いサンプルにおいて顕著に表れるため、
図11および
図12で比較した従来のRFCダイオード1000は、電子線によるライフタイム制御が無いものである。これらの図から、RFCダイオード1001は従来のRFCダイオード1000に比べて破壊耐量面で優れていることが分かる。
【0066】
図13は、従来のRFCダイオード1000および実施の形態1に係るRFCダイオード1001について連続通電試験時のオン電圧V
Fの変化を示している。電子線によるライフタイム制御が行われた従来のRFCダイオード1000(Con. RFC diode 3)では、電子線により生成される不純物欠陥(複合欠陥)がダイオードの通電中の自己発熱で回復するため、オン電圧V
Fが連続通電試験中に低下する。一方、実施の形態1に係るRFCダイオード1001では、電子線によるライフタイム制御が行われないことに加え、第1n+カソード層91における結晶欠陥であるトラップA,Bが熱的に安定なトラップであってダイオードの通電中の自己発熱では変化しないため、連続通電試験中にオン電圧V
Fは低下せず、ダイオード性能が経時変化しない。
【0067】
以上、実施の形態1に係るRFCダイオード1001は、第1n+カソード層91における結晶欠陥であるトラップA,Bを活用してオン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0068】
上記のRFCダイオード1001の性能は、半導体基板20にFZ(Floating Zone)法で製造されるSiウエハを用いた場合だけでなく、よりSi材料中の酸素濃度および炭素濃度が高いMCZ(Magnetic applied Czochralski)法で製造されるSiウエハを用いた場合でも実現可能である。MCZ法で製造されるSiウエハは、酸素濃度が1.0×1017atoms/cm3以上7.0×1017atoms/cm3以下程度であり、炭素濃度が1.0×1014atoms/cm3以上5.0×1015atoms/cm3以下程度である。なぜならば、RFCダイオード1001においてダイオード性能を制御するメインの結晶欠陥は不純物欠陥ではなく、Si中の残留酸素および残留炭素との反応で形成されない格子間Si対であるためである。
【0069】
<A-3.効果>
実施の形態1に係るパワー半導体装置であるRFCダイオード1001は、互いに対向する第1主面21および第2主面22を有する半導体基板20と、半導体基板20の第1主面21上に設けられた第1金属層5と、半導体基板20の第2主面22上に設けられた第2金属層11と、を備える。半導体基板20は、第1導電型のドリフト層であるn-ドリフト層7と、n-ドリフト層7と第2主面22との間に設けられたnバッファ層8と、nバッファ層8と第2金属層11との間に両者に接して設けられた拡散層と、を備える。RFCダイオード1001は、平面視において一部の領域がダイオードとして動作するpinダイオード領域31である。RFCダイオード1001において、拡散層はpinダイオード領域31の少なくとも一部においてnバッファ層8および第2金属層11に接して設けられたn+カソード層90を備える。n+カソード層90は、1つの不純物濃度ピーク点を有し第2金属層11に接する第1カソード層である第1n+カソード層91と、1つの不純物濃度ピーク点を有し第1n+カソード層91とnバッファ層8との間にnバッファ層8に接して設けられる第2n+カソード層92と、を備える。第1n+カソード層91の結晶欠陥密度は他の拡散層の結晶欠陥密度より高い。従って、RFCダイオード1001によれば、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0070】
<B.実施の形態2>
<B-1.構成>
図14は、実施の形態2に係るRFCダイオード1002の、
図1のA1-A1´線に沿った断面構成を示している。以下の図において、実施の形態2に係るRFCダイオード1002をNew RFC diode 2と表記することがある。RFCダイオード1002は、実施の形態1に係るRFCダイオード1001から第1pカソード層101を削除した構造である。言い換えれば、RFCダイオード1002においてpカソード層100は第2pカソード層102である。以下で特に言及しないRFCダイオード1002の構造は、実施の形態1に係るRFCダイオード1001と同様である。
【0071】
RFCダイオード1002におけるn-ドリフト層7は、不純物濃度Cn-が1.0×1012atoms/cm3以上1.0×1015atoms/cm3以下のSiウエハを用いて形成される。
【0072】
図15は、
図14のB-B´線およびC-C´線に沿ったRFCダイオード1002の拡散層における不純物濃度を示している。
図15の横軸は半導体基板20の第2主面22からの深さ(μm)を示し、縦軸は不純物濃度(atoms/cm
3)を示している。
図15において実線はB-B´線における不純物濃度を示し、破線はC-C´線における不純物濃度を示している。
【0073】
RFCダイオード1002を構成する各拡散層のパラメータは、以下のとおりである。
【0074】
pアノード層6、nバッファ層8、第1n+カソード層91、および第2n+カソード層92は実施の形態1と同様である。
【0075】
第2pカソード層102は、第2金属層11と接触する表面、すなわち第2主面22における不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1019atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0076】
第1n+カソード層91と第2n+カソード層92のドーズ量の関係は式(2)を満足する。
【0077】
<B-2.性能>
図16は、実施の形態1に係るRFCダイオード1001および実施の形態2のRFCダイオード1002の小電流モードにおけるリカバリー動作時のV
snap-offと電源電圧V
CCとの関係を示している。
【0078】
図16から、RFCダイオード1002においても実施の形態1に係るRFCダイオード1001と同様に、破壊耐量面の性能が保障されることが分かる。
【0079】
また、RFCダイオード1002は実施の形態1に係るRFCダイオード1001と同じn+カソード層90を備えているため、RFCダイオード1001と同様に、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化および熱的安定性を実現する。
【0080】
<B-3.効果>
実施の形態2に係るRFCダイオード1002においてpカソード層100は第2pカソード層102である。すなわち、RFCダイオード1002において、第2導電型の拡散層であるpカソード層100は1つの不純物濃度ピーク点を有する。このような構成であっても、RFCダイオード1002は特徴的な第1n+カソード層91により、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0081】
<C.実施の形態3>
<C-1.構成>
図17は、実施の形態3に係るRFCダイオード1003の、
図1のA1-A1´線に沿った断面構成を示している。以下の図において、実施の形態3に係るRFCダイオード1003をNew RFC diode 3と表記することがある。RFCダイオード1003は、nバッファ層8に代えてnバッファ層80を備える点で実施の形態1に係るRFCダイオード1001と異なる。nバッファ層80は、第1nバッファ層81と第2nバッファ層82とを備える2層構造である。以下で特に言及しないRFCダイオード1003の構造は、実施の形態1に係るRFCダイオード1001と同様である。
【0082】
RFCダイオード1003において、n-ドリフト層7は、不純物濃度Cn-が1.0×1012atoms/cm3以上1.0×1015atoms/cm3以下のSiウエハを用いて形成される。
【0083】
図18は、
図17のB-B´線およびC-C´線に沿ったRFCダイオード1003の拡散層における不純物濃度を示している。
図18の横軸は半導体基板20の第2主面22からの深さ(μm)を示し、縦軸は不純物濃度(atoms/cm
3)を示している。
図18において実線はB-B´線における不純物濃度を示し、破線はC-C´線における不純物濃度を示している。
【0084】
pアノード層6は実施の形態1と同様である。
【0085】
第1nバッファ層81は、ピーク不純物濃度Cnb1,pが1.0×1015以上5.0×1016atoms/cm3以下であり、深さXj,nb1が1.2μm以上50μm以下である。
【0086】
第2nバッファ層82は、深さX
j,nb2がX
j,nb1+20μmである。また、第2nバッファ層82のピーク不純物濃度C
nb2,pは、第1nバッファ層81のピーク不純物濃度C
nb1,pの0.01倍以下である。これにより、
図7に示すようなオン状態におけるsnap-back特性の発生が抑制され、正常なダイオードのオン動作が保証される。
【0087】
<C-2.性能>
図19は、RFCダイオード1003の第1nバッファ層81および第2nバッファ層82をPL法で解析した際のPLスペクトルを示している。
図19の横軸はフォトンエネルギー(eV)を示し、
図19の縦軸はバンド端の強度にて規格化されたPL強度を示している。
【0088】
図19におけるPL法の解析条件は
図5におけるPL法の解析条件と同様である。
図19から、第2nバッファ層82中のPL強度に2つのピークが存在することが分かる。1つ目のピークはフォトンエネルギー1.018eVのトラップBによるものであり、2つ目のピークはフォトンエネルギー1.039eVのトラップCによるものである。トラップBおよびトラップCは、それぞれ格子間Si対であるW-centerとX-centerに由来するエネルギー準位である。
【0089】
図20は、第2nバッファ層82中のトラップB,CにおけるPL強度とアニール温度との関係を示している。アニールは窒素雰囲気において120分行われる。本実施の形態の技術は、トラップBによるパワーダイオードのデバイス性能制御を柱とする。
図20から、第2nバッファ層においてトラップBが主なトラップとなるためのアニール温度は370℃以下であることが分かる。
【0090】
図21は、従来のRFCダイオード1000と、実施の形態3に係るRFCダイオード1003のそれぞれについて、オン電圧V
FとスイッチングロスE
RECとのトレードオフ特性を示している。
図21に特性が示されるRFCダイオードの耐圧は4.5kVである。
【0091】
第2nバッファ層82のピーク不純物濃度Cnb2,pが、第1nバッファ層81のピーク不純物濃度Cnb1,pとの間でCnb2,p≦0.01×Cnb1,pを満たすように、第2nバッファ層82を形成する際のイオン注入時の条件を制御することによって、ダイオードの他のデバイス性能への悪影響なく、従来のRFCダイオード1000が電子線によるライフタイム制御により実現していたトレードオフ特性のカーブの高速側を実現可能である。
【0092】
また、実施の形態3に係るRFCダイオード1003は、ライフタイム制御無しで格子間Si対を活用してパワーダイオード性能を制御するため、実施の形態1と同様に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0093】
<C-3.効果>
実施の形態3に係るRFCダイオード1003において、nバッファ層80は、1つの不純物濃度ピーク点を有し拡散層に接する第1バッファ層である第1nバッファ層81と、1つの不純物濃度ピーク点を有しn-ドリフト層7に接する第2バッファ層である第2nバッファ層82とを備える。そして、第2nバッファ層82中の結晶欠陥は、フォトルミネッセンス法で検出される第2格子欠陥であるトラップBおよび第3格子欠陥であるトラップCである。従って、RFCダイオード1003によれば、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0094】
<D.実施の形態4>
<D-1.製造方法>
本実施の形態では、実施の形態1に係るRFCダイオード1001の製造方法を説明する。
図22から
図30は、RFCダイオード1001の製造方法を示す断面図である。
図29および
図30には、RFCダイオード1001の裏面側構造を形成するための詳細なプロセスフローが示される。
【0095】
RFCダイオード1001の製造方法の特徴は以下である。まず、第1pカソード層101および第2pカソード層102を形成するためのイオン注入の後に、第1n+カソード層91および第2n+カソード層92を形成するためのイオン注入と、アニールが存在する。また、ライフタイム制御工程が存在しない。また、第2金属層11が2層の拡散層構造のためのものである。
【0096】
以下、
図22から
図30に沿ってRFCダイオード1001の製造方法を説明する。
図22には、活性セル領域R1と、活性セル領域R1を囲むように形成された中間領域R2および終端領域R3が示されている。まず、n-ドリフト層7のみが形成された半導体基板20を準備する。そして、中間領域R2および終端領域R3におけるn-ドリフト層7の表面にp層52を複数個、選択的に形成する。p層52は、あらかじめ形成した酸化膜62をマスクにしてイオン注入し、その後半導体基板20にアニール処理を施すことで形成される。なお、半導体基板20の第2主面22にも酸化膜62形成時の酸化膜68が形成されている。
【0097】
次に、
図23に示すように、活性セル領域R1におけるn-ドリフト層7の表面にイオン注入およびアニール処理を施してpアノード層6を形成する。
【0098】
続いて、
図24に示すように、半導体基板20の第1主面21側の終端領域R3の端部にn+層56を形成する。次に、半導体基体の上面にTEOS層63を形成する。その後、酸化膜68を除去して半導体基板20の第2主面22を露出する処理を行う。そして、不純物をドープしたドープドポリシリコン層65を、半導体基板20の第2主面22に露出したn-ドリフト層7と接するように形成する。ドープドポリシリコン層65の不純物は、例えばリン、ヒ素またはアンチモンなどのSi中に拡散しn+層を形成可能な原子である。ドープドポリシリコン層65は、1×10
19atoms/cm
3以上の高濃度不純物をドーピングしている膜で、その膜厚は500nm以上である。このとき半導体基板20の第1主面21にもドープドポリシリコン層64が形成される。
【0099】
次に、半導体基板20を900℃以上1000℃以下、かつ窒素雰囲気で熱アニーリングする。さらに、窒素雰囲気のまま加熱温度を任意の降温スピードで600℃以上700℃以下とし、低温の熱アニーリングを行うことにより、
図25に示すように、ドープドポリシリコン層65の不純物をn-ドリフト層7の第2主面22側へ拡散させ、n-ドリフト層7の第2主面22側に結晶欠陥と不純物を有するゲッタリング層55を形成する。その後、アニール工程を実施してn-ドリフト層7の金属不純物、汚染原子、およびダメージをゲッタリング層55で捕獲する。これにより、それまでのウェハプロセス中に低下したn-ドリフト層7のキャリアライフタイムが回復し、式(4)で定められるτ
t以上の値を実現する。本プロセスは、RFCダイオードの他、IGBTまたはRC(Reverese Conductivity)-IGBTにも採用可能である。
【0100】
τt=1.5×10-5exp(5.4×103tN-)・・・(4)
ここで、tN-はn-ドリフト層7の厚み(m)を表す。τtは、オン電圧へのキャリアライフタイムの影響が無くなるn-ドリフト層7中のキャリアライフタイム(sec)を表す。
【0101】
RFCダイオード1001のオン電圧は、n-ドリフト層7のキャリアライフタイムに対して依存性がある。式(4)は、n-ドリフト層7のキャリアライフタイムに対するRFCダイオード1001のオン電圧の依存性を最小限化するキャリアライフタイムτt(s)を表している。式(4)で表されるキャリアライフタイムτtを実現できれば、キャリアライフタイムのスイッチングロスへの影響を最小限化でき、低オフロス化または熱暴走抑制に効果的である。
【0102】
その後、
図26に示すように、半導体基板20の第1主面21側に形成されたドープドポリシリコン層64を、フッ酸または混酸(例えば、フッ酸/硝酸/酢酸の混合液)の液を用いて選択的に除去する。
【0103】
次に、
図27に示すように、半導体基板20の第1主面21にp層52、pアノード層6、およびn+層56を露出させるコンタクトホールを形成する。つまり、TEOS層63を
図27に示されるように加工する。その後、Siを1%以上3%以下程度に添加したアルミ配線5Aをスパッタリング法で形成する。アルミ配線5Aは
図3の第1金属層5に相当する。
【0104】
続いて、
図28に示すように、半導体基板20の第1主面21側にパッシベーション膜46,47を形成する。
【0105】
その後、
図29に示すように、半導体基板20の第1主面21側に表面保護膜23を形成する。そして、半導体基板20の第2主面22に形成されていたゲッタリング層55とドープドポリシリコン層65とを、研磨またはエッチングにより除去する。この除去工程により、半導体基板20の厚みtDが半導体装置の耐圧クラスに対応したものとなる。
【0106】
そして、
図30に示すように、n-ドリフト層7の下面側にnバッファ層8を形成する。その後、nバッファ層8の下面に第1pカソード層101および第2pカソード層102を形成する。続いて、活性セル領域R1において、第1pカソード層101および第2pカソード層102の一部の導電型を反転させて第1n+カソード層91および第2n+カソード層92を形成する。nバッファ層8、第1pカソード層101、第2pカソード層102、第1n+カソード層91および第2n+カソード層92は、イオン注入とアニール処理により形成される拡散層である。
【0107】
なお、拡散層の形成時に半導体基板20の第1主面21側にはアルミ配線5Aおよびパッシベーション膜46,47が存在する。そのため、拡散層を形成するためのアニールは、半導体基板20の第1主面21側がアルミ配線5Aに用いられるアルミの融点660℃より低い温度になるよう、デバイス深さ方向に温度勾配を有し、第1主面21側に熱が伝達しないような波長のレーザーを用いて行われる。
【0108】
【0109】
まず、ステップS101において、半導体基板20の第1主面21側に表面保護膜23が形成される。次に、ステップS102およびステップS103において、半導体基板20の第2主面22に形成されていたゲッタリング層55とドープドポリシリコン層65とが、研磨およびエッチングにより除去される。この除去工程により、半導体基板20の厚みtDが半導体装置の耐圧クラスに対応したものとなる。
【0110】
次に、ステップS104において、nバッファ層8を形成するためのイオン注入が行われる。このイオン注入を第1イオン注入とも称する。次に、ステップS105において、ステップS104で注入したイオンを活性化させるためのアニールが行われる。ステップS105のアニールを第1アニールとも称する。
【0111】
その後、ステップS106において、第2pカソード層102を形成するためのイオン注入が行われる。このイオン注入を第2イオン注入とも称する。
【0112】
次に、ステップS107において、第1pカソード層101を形成するためのイオン注入が行われる。このイオン注入を第3イオン注入とも称する。第2イオン注入および第3イオン注入における加速エネルギーは、飛程が式(1)を満たすよう定められる。これにより、第1pカソード層101および第2pカソード層102がお互いに干渉しないよう形成される。
【0113】
次に、ステップS108において、写真製版工程により活性セル領域R1に部分的に第1n+カソード層91および第2n+カソード層92を形成するためのマスクを形成する。
【0114】
その後、ステップS109において、第2n+カソード層92を形成するためのイオン注入を行う。このイオン注入を第4イオン注入とも称する。
【0115】
続いて、ステップS110において、第1n+カソード層91を形成するためのイオン注入を行う。このイオン注入を第5イオン注入とも称する。第4イオン注入および第5イオン注入における加速エネルギーは、飛程が式(1)を満たすよう定められる。これにより、第1n+カソード層91と第2n+カソード層92がお互いに干渉しないよう形成される。
【0116】
次に、ステップS111において写真製版用のレジストを除去する。
【0117】
その後、ステップS112において、ステップS106,S107,S109,S110において注入されたイオンを活性化させるためのアニールが行われる。このアニールにより、第1pカソード層101、第2pカソード層102、第1n+カソード層91および第2n+カソード層92が形成される。ステップS112のアニールを第2アニールとも称する。第1アニールおよび第2アニールは、レーザーアニールまたは第1金属層5の金属融点以下の低温で拡散炉において行われる。ここで採用されるアニールの特徴は、イオン注入時の不純物プロファイルをアニール後の活性化後も再現することである。
【0118】
その後、ステップS113において表面保護膜23を除去する。次に、ステップS114において第2主面22をライトエッチングする。
【0119】
その後、ステップS115において第2主面22に第2金属層11をスパッタリング法にて成膜する。第2金属層11は、複数の金属膜から構成される積層膜であり、例えばSiと接する金属、Ti、Ni、およびAuの積層膜である。Siと接する金属層として、Siを1%以上3%以下程度添加したAlSiまたはNISiなどのモノシリサイド層を用いることにより、RFCダイオード1001に特徴的なカソード層の効果が保証される。
【0120】
次に、ステップS116において350℃のアニールを行い、第1pカソード層101および第1n+カソード層91と第2金属層11との界面に合金層またはシリサイド層を形成する。ステップS116のアニーリングを第3アニールとも称する。
【0121】
<D-2.効果>
実施の形態4で説明された、RFCダイオード1001の製造方法によれば、n-ドリフト層7を有する半導体基板20の第1主面21に第1金属層5および表面保護膜23を形成し、表面保護膜23の形成後、半導体基板20の厚みを所望の厚みに制御し、半導体基板20の厚み制御後、半導体基板20の第2主面22にnバッファ層8を形成するための第1イオン注入と第1アニールを行い、第1アニールの後、半導体基板20の第2主面22に第2導電型の第2拡散層である第2pカソード層102を形成するための第2イオン注入を行い、第2イオン注入の後、半導体基板20の第2主面に第2導電型の第1拡散層である第1pカソード層101を形成するための第3イオン注入を、第2イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、第3イオン注入の後、半導体基板20の第2主面22に第1導電型の第2カソード層である第2n+カソード層92を形成するための第4イオン注入を行い、第4イオン注入の後、半導体基板20の第2主面22に第1導電型の第1カソード層である第1n+カソード層91を形成するための第5イオン注入を、第4イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、第5イオン注入の後、第2、第3、第4、第5イオン注入で注入されたイオンを活性化させる第2アニールを行うことにより、第2pカソード層102、第1pカソード層101、第2n+カソード層92、第1n+カソード層91を形成し、第2アニールの後に半導体基板20の第2主面22に第2金属層11を形成し、第2金属層11の形成後、窒素雰囲気にて350℃で第3アニールを行う。これにより、役割の異なる第1pカソード層101と第2pカソード層102、ならびに第1n+カソード層91と第1n+カソード層92を式(1)、(2)、(3)の関係を満たすように形成することができ、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上、熱的安定性を実現する。
【0122】
<E.実施の形態5>
<E-1.製造方法>
実施の形態5では、実施の形態3に係るRFCダイオード1003の製造方法について説明する。
図32は、RFCダイオード1003の製造方法について、表面保護膜23の形成工程以降のプロセスを示したフローチャートである。
【0123】
図32のステップS101-103は
図31と同様である。ステップS103の後、ステップS104Aにおいて第1nバッファ層81を形成するためのイオンを注入する。このイオン注入を第1イオン注入とも称する。
【0124】
ステップS104Aの後、ステップS105AにおいてステップS104Aで注入されたイオンを活性化させるためのアニールを行う。このアニールを第1アニールとも称する。第1アニールにより第1nバッファ層81が形成される。第1nバッファ層81を形成するための第1アニールは、後述する第2nバッファ層82を形成するための第4アニールより高温である必要がある。
【0125】
ステップS105Aの後、ステップS105Bにおいて第2nバッファ層82を形成するためのイオン注入を行う。このイオン注入を第2イオン注入とも称する。
【0126】
ステップS105Bの後のステップS106-113は
図31と同様である。なお、ステップS106における第2pカソード層102を形成するためのイオン注入を第3イオン注入と称する。また、ステップS107における第1pカソード層101を形成するためのイオン注入を第4イオン注入と称する。また、ステップS109における第2n+カソード層92を形成するためのイオン注入を第5イオン注入と称する。また、ステップS110における第1n+カソード層91を形成するためのイオン注入を第6イオン注入と称する。
【0127】
ステップS112の第2アニールにより、第2nバッファ層82、第2pカソード層102、第1pカソード層101、第2n+カソード層92および第1n+カソード層91が形成される。本プロセスでは、第1nバッファ層81と第2nバッファ層82の形成順番が重要である。また、第2nバッファ層82を形成するためのイオン注入において、加速エネルギーの設定が重要である。
【0128】
ステップS113の後、ステップS113Aにおいて第4アニールを行う。
図20によれば、トラップBを主なトラップとするための第4アニール工程のアニール温度は、第3アニール温度より高温かつ370℃以下である。第4アニールにより、第2nバッファ層82において、格子間Si対であるトラップBが主なトラップとなるように制御される。
【0129】
ステップS113Aの後のステップS114-116は
図31と同様である。これにより、実施の形態3に係るRFCダイオード1003が製造される。
【0130】
第1nバッファ層81を形成するためのイオン種には、リン、ヒ素、セレン、硫黄またはプロトン(H+)が用いられる。第2nバッファ層82を形成するためのイオン種にはプロトンまたはヘリウムが用いられる。プロトンまたはヘリウムは、イオン注入以外にもサイクロトロンを利用した照射技術でSi中へ導入可能である。
【0131】
第1nバッファ層81を形成するためのイオン種にプロトンを用いる場合、プロトンがSiへ導入されると、導入時に生じる空孔(v)とSi中の不純物とが反応し、複合欠陥が形成される。この複合欠陥は水素を含むため電子供給源となる。アニールによる複合欠陥密度の増加によりドナー濃度は増加し、イオン注入/照射プロセス起因のサーマルドナー化現象を促進したメカニズムにてドナー濃度は増加する。この結果、n-ドリフト層7よりも高不純物濃度のドナー化したn層が第1nバッファ層81として形成され、デバイスの動作に寄与する。
【0132】
一方で、プロトンをSiへ導入する際に形成される複合欠陥には、キャリアのライフタイムを低下させるライフタイムキラーとなる欠陥も存在する。第1nバッファ層81を形成するためのイオン種にプロトンを用いる場合、ライフタイムキラーとなる欠陥の除去と、第1nバッファ層81におけるプロファイルの安定性とを考慮して、第1nバッファ層81を形成するための第1アニールは、第2nバッファ層82を形成するための第4アニールよりも高温(375℃以上425℃以下、窒素雰囲気、90分以上)で行われる必要がある。
【0133】
<E-2.効果>
実施の形態5で説明したRFCダイオード1003の製造方法によれば、n-ドリフト層7を有する半導体基板20の第1主面21に第1金属層5および表面保護膜23を形成し、表面保護膜23の形成後、半導体基板20の厚みを所望の厚みに制御し、半導体基板20の厚み制御後、半導体基板20の第2主面22に第1nバッファ層81を形成するための第1イオン注入と第1アニールを行い、第1アニールの後、半導体基板20の第2主面22に第2nバッファ層82を形成するための第2イオン注入を行い、第2イオン注入の後、半導体基板20の第2主面22に第2pカソード層102を形成するための第3イオン注入を行い、第3イオン注入の後、半導体基板20の第2主面22に第1pカソード層101を形成するための第4イオン注入を、第3イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、第4イオン注入の後、半導体基板20の第2主面22に第2n+カソード層92を形成するための第5イオン注入を行い、第5イオン注入の後、半導体基板20の第2主面22に第1n+カソード層91を形成するための第6イオン注入を、第5イオン注入より小さい加速エネルギーで行い、第6イオン注入の後、第2、第3、第4、第5、第6イオン注入で注入されたイオンを活性化させる第2アニールを行うことにより、第2nバッファ層82、第2pカソード層102、第1pカソード層101、第2n+カソード層92および第1n+カソード層91を形成し、窒素雰囲気において第3アニールを行い、第3アニールの後に半導体基板20の第2主面22に第2金属層11を形成し、第2金属層11の形成後、窒素雰囲気にて350℃で第4アニールを行う。これにより、第1nバッファ層81および格子間Si対のトラップBが主なトラップ成分となる第2nバッファ層82が形成されるため、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0134】
<F.実施の形態6>
<F-1.構成>
図33および
図34は、パワー半導体装置の一例であるpinダイオードの、
図1のA1-A1´線に沿った断面構成を示したものである。
図33は従来のpinダイオード1010の断面図であり、
図34は実施の形態6に係るpinダイオード1011の断面図である。図面において、従来のpinダイオード1010をCon. pin diodeと表記し、実施の形態6に係るpinダイオード1011をNew pin diode 1と表記することがある。
【0135】
図33に示す従来のpinダイオード1010は、
図2に示す従来のRFCダイオード1000のpinダイオード領域31を含む左半分の構成と同様である。
図34に示す実施の形態6のpinダイオード1011は、
図3に示す実施の形態1に係るRFCダイオード1001のpinダイオード領域31を含む左半分の構成と同様である。以下で特に言及しないpinダイオード1010,1011の各層のパラメータは、RFCダイオード1000,1001におけるものと同様である。
【0136】
n-ドリフト層7は、不純物濃度Cn-が1.0×1012atoms/cm3以上1.0×1015atoms/cm3以下のSiウエハを用いて形成される。
【0137】
pアノード層6、nバッファ層8、第1n+カソード層91、第2n+カソード層92は実施の形態1と同様である。
【0138】
図35は、実施の形態6の変形例に係るpinダイオード1012の、
図1のA1-A1´線に沿った断面図である。pinダイオード1012はpinダイオード1011と比較すると第1n+カソード層91の代わりに第3n+カソード層93を備えたものである。第3n+カソード層93には、
図5で説明したPL法で検出可能なトラップA,Bが存在する。
【0139】
図36は、従来のpinダイオード1010と実施の形態6およびその変形例に係るpinダイオード1011,1012について、オン電圧V
FとスイッチングロスE
RECとのトレードオフ特性を示している。従来のpinダイオード1010については、電子線で制御されたトレードオフ特性が示されている。
【0140】
図36から、実施の形態6およびその変形例にかかるpinダイオード1011,1012は、電子線で制御された従来のpinダイオード1010と同様のトレードオフ特性の高速側を実現していることが分かる。これは、実施の形態6およびその変形例にかかるpinダイオード1011,1012が、実施の形態1に係るRFCダイオード1001と同様にトラップBを有する第1n+カソード層91または第3n+カソード層93を備えているためである。
【0141】
<F-2.製造方法>
以下、pinダイオード1011の製造方法について、実施の形態1に係るRFCダイオード1001の製造方法と異なる部分を示す。
図37は、pinダイオード1011の製造方法のうち表面保護膜23の形成工程以降のプロセスを示したフローチャートである。
図37のフローチャートは、
図31に示されたRFCダイオード1001の製造方法に関するフローチャートのうち、第1pカソード層101および第2pカソード層102の形成ならびに写真製版に関するステップS106からS108およびステップS111を削除したものである。
【0142】
<F-3.効果>
実施の形態6に係るpinダイオード1011は、実施の形態1に係るRFCダイオード1001と同様の第1n+カソード層91および第2n+カソード層92を備えるため、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0143】
実施の形態6の変形例に係るpinダイオード1012も、第2n+カソード層92に代えて第2n+カソード層92と同様にトラップA,Bを有する第3n+カソード層93を備えるため、pinダイオード1011と同様の効果を奏する。
【0144】
このように、pinダイオードであっても、Si材料による不純物欠陥の影響を抑制することが可能である。
【0145】
<G.実施の形態7>
<G-1.構成>
図38は、実施の形態7に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1021の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1021は、実施の形態1に係るRC-IGBT1001と同様のカソード構造を備えている。
【0146】
図38に示されるように、RC-IGBT1021は、半導体基板20、第1金属層5および第2金属層11を備えて構成される。半導体基板20は互いに対向する第1主面21および第2主面22を有する。第1金属層5は半導体基板20の第1主面21上に形成され、第2金属層11は半導体基板20の第2主面22上に形成される。
【0147】
また、RC-IGBT1021は平面視においてIGBTとして動作するIGBT領域33と、ダイオードとして動作するダイオード領域34とに区分される。
【0148】
半導体基板20は、n-ドリフト層7、n層26、pベース層6A、n+エミッタ層24、およびp+層25を備える。n層26はn-ドリフト層7の第1主面21側に形成される。pベース層6Aはn層26の第1主面21側に形成される。n+エミッタ層24はIGBT領域33においてpベース層6Aの第1主面21側に形成される。p+層25はダイオード領域34においてpベース層6Aの第1主面21側に形成される。
【0149】
IGBT領域33において、半導体基板20の第1主面21からn+エミッタ層24、pベース層6Aおよびn層26を貫通するトレンチ41が形成される。トレンチ41内にゲート絶縁膜42を介してゲート電極43が埋め込まれる。ゲート電極43上には、ゲート電極43を第1金属層5と絶縁するための層間絶縁膜29が形成される。
【0150】
ダイオード領域34において、半導体基板20の第1主面21からp+層25、pベース層6Aおよびn層26を貫通するトレンチ44が形成される。トレンチ44には、ゲート絶縁膜42を介してダミーゲート電極45が埋め込まれる。トレンチ41と異なりトレンチ44の内部電極がダミーゲート電極45となるのは、エミッタ電極5と接し同電位となるためである。
【0151】
さらに、半導体基板20は、nバッファ層8、n+カソード層90、およびpコレクタ層100Aを備える。nバッファ層8はn-ドリフト層7の第2主面22側に形成される。
【0152】
n+カソード層90はダイオード領域34に形成され、第1n+カソード層91および第2n+カソード層92からなる2層構造である。第2n+カソード層92はnバッファ層8と第2主面22との間に、nバッファ層8に接して形成される。第1n+カソード層91は第2n+カソード層92と第2金属層11との間に、両者に接して形成される。第1n+カソード層91の下面が半導体基板20の第2主面を構成する。
【0153】
pコレクタ層100AはIGBT領域33に形成され、第1pコレクタ層101Aおよび第2pコレクタ層102Aからなる2層構造である。第2pコレクタ層102Aはnバッファ層8と第2主面22との間に、nバッファ層8に接して形成される。第1pコレクタ層101Aは第2pコレクタ層102Aと第2金属層11との間に、両者に接して形成される。第1pコレクタ層101Aの下面が半導体基板20の第2主面を構成する。
【0154】
以下で特に言及しないRC-IGBT1021の各層のパラメータは、実施の形態1において対応する各層のパラメータと同様である。n-ドリフト層7、nバッファ層8、第1n+カソード層91、および第2n+カソード層92は、実施の形態1と同様である。
【0155】
pベース層6Aのピーク不純物濃度は、1.0×1016atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下である。pベース層6Aの接合深さは、n+エミッタ層24より深く、n層26より浅くする。
【0156】
n層26のピーク不純物濃度は、1.0×1015atoms/cm3以上1.0×1017atoms/cm3以下である。n層26の接合深さは、pベース層6Aより0.5μm以上1.0μm以下程度深くなるようにする。
【0157】
n+エミッタ層24のピーク不純物濃度は、1.0×1018atoms/cm3以上1.0×1021atoms/cm3以下である。n+エミッタ層24の接合深さは、0.2μm以上1.0μm以下とする。
【0158】
p+層25の第1金属層5と接触する表面、すなわち第1主面21における不純物濃度は、1.0×1018atoms/cm3以上1.0×1021atoms/cm3以下である。p+層25の接合深さは、n+エミッタ層24の接合深さと同じまたはそれ以上とする。
【0159】
トレンチ41,44の深さ、すなわちトレンチ深さDtrenchは、n層26より深くする。
【0160】
第1pコレクタ層101Aは、第2金属層11と接触する表面、すなわち第2主面22における不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下であり、深さが0.1μm以上0.2μm以下である。
【0161】
第2pコレクタ層102Aは、ピーク不純物濃度が1.0×1016atoms/cm3以上1.0×1020atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0162】
ここで、第1n+カソード層91と第2n+カソード層92、および第1pコレクタ層101Aと第2pコレクタ層102Aは、式(1)、(2)、(3)の関係を満足する。但し、式(1)において、Rp1を第1pコレクタ層101Aの飛程(m)と読み替え、Rp2を第2pコレクタ層102Aの飛程(m)と読み替えるものとする。また、式(3)において、Dp2を第2pコレクタ層102Aの単位面積あたりのアトム数(atoms/cm2)と読み替えるものとする。
【0163】
<G-2.変形例1>
図39は、実施の形態7の変形例1に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1022の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1022は、ダイオード領域34の一部にpカソード層100が設けられる点でのみ、実施の形態7のRC-IGBT1021と異なる。すなわち、RC-IGBT1022において、第2導電型の拡散層であるpカソード層100は、ダイオード領域34の一部においても、nバッファ層8および第2金属層11に接して設けられる。RC-IGBT1022において、pカソード層100は第1pカソード層101および第2pカソード層102からなる2層構造である。
【0164】
第2pカソード層102はnバッファ層8と第2主面22との間に、nバッファ層8に接して形成される。第1pカソード層101は第2pカソード層102と第2金属層11との間に、両者に接して形成される。第1pカソード層101の下面が半導体基板20の第2主面を構成する。
【0165】
ダイオード領域34における第1pカソード層101および第2pカソード層102の不純物濃度および深さなどのパラメータは、IGBT領域33における第1pコレクタ層101Aおよび第2pコレクタ層102Aと同様である。
【0166】
<G-3.変形例2>
図40は、実施の形態7の変形例2に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1023の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1023は、IGBT領域33においてpコレクタ層100Aが第2pコレクタ層102Aの1層で構成され、ダイオード領域34においてpカソード層100が第2pカソード層102の1層で構成される点でのみ、実施の形態7の変形例1に係るRC-IGBT1022と異なる。
【0167】
RC-IGBT1023における第2pコレクタ層102Aおよび第2pカソード層102は、第2主面22における不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1019atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0168】
<G-4.効果>
実施の形態7およびその変形例1,2に係るRC-IGBT1021,1022,1023は、実施の形態4で説明したRFCダイオード1001の製造方法と同様にして、IGBT領域33におけるコレクタ構造およびダイオード領域34におけるカソード構造が式(1)、(2)、(3)の関係を満足するように構成される。従って、RC-IGBT1021,1022,1023においても、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性が実現される。
【0169】
<H.実施の形態8>
<H-1.構成>
図41は、実施の形態8に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1024の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1024は、ダイオード領域34においてp+層25がない点でのみ実施の形態7に係るRC-IGBT1021と異なる。すなわち、RC-IGBT1024ではダイオード領域34においてpベース層6Aが第1金属層5と接する。
【0170】
RC-IGBT1024の各拡散層およびトレンチは、以下のパラメータになるように設定する。
【0171】
IGBT領域33におけるpベース層6Aについて、パラメータは以下の通りである。ピーク不純物濃度は1.0×1016atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下とする。接合深さは、n+エミッタ層24より深く、n層26より浅くする。
【0172】
ダイオード領域34におけるpベース層6Aについて、パラメータは以下の通りである。pベース層6Aの第1金属層5と接触する表面、すなわち第1主面21における不純物濃度は、1.0×1016atoms/cm3以上とする。ピーク不純物濃度は2.0×1016atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下とする。接合深さは、n+エミッタ層24より深く、n層26より浅くする。
【0173】
その他、n層26、n+エミッタ層24、トレンチ深さ、nバッファ層8、第1n+カソード層91、第2n+カソード層92、第1pコレクタ層101A、および第2pコレクタ層102Aに関するパラメータは実施の形態7と同様である。
【0174】
<H-2.変形例1>
図42は、実施の形態8の変形例1に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1025の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1025は、ダイオード領域34の一部にpカソード層100が設けられる点でのみ、実施の形態7のRC-IGBT1021と異なる。RC-IGBT1022において、pカソード層100は第1pカソード層101および第2pカソード層102からなる2層構造である。
【0175】
第2pカソード層102はnバッファ層8と第2主面22との間に、nバッファ層8に接して形成される。第1pカソード層101は第2pカソード層102と第2金属層11との間に、両者に接して形成される。第1pカソード層101の下面が半導体基板20の第2主面を構成する。
【0176】
ダイオード領域34における第1pカソード層101および第2pカソード層102の不純物濃度および深さなどのパラメータは、IGBT領域33における第1pコレクタ層101Aおよび第2pコレクタ層102Aと同様である。
【0177】
<H-3.変形例2>
図43は、実施の形態8の変形例2に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1026の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1026は、IGBT領域33においてpコレクタ層100Aが第2pコレクタ層102Aの1層で構成され、ダイオード領域34においてpカソード層100が第2pカソード層102の1層で構成される点でのみ、実施の形態8の変形例1に係るRC-IGBT1025と異なる。
【0178】
RC-IGBT1026における第2pコレクタ層102Aおよび第2pカソード層102は、第2主面22における表面不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1019atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0179】
<H-4.効果>
実施の形態8およびその変形例1,2に係るRC-IGBT1024,1025,1026は、実施の形態4で説明したRFCダイオード1001の製造方法と同様にして、IGBT領域33におけるコレクタ構造およびダイオード領域34におけるカソード構造が式(1)、(2)、(3)の関係を満足するように構成される。従って、RC-IGBT1024,1025,1026においても、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現することが可能である。
【0180】
また、p+層25がないことにより、RC-IGBT1024,1025,1026のダイオード領域34は、
図3に示される実施の形態1に係るRFCダイオード1001のpinダイオード領域31、および
図34に示される実施の形態6に係るpinダイオード1011と同じ性能を実現することができる。
【0181】
<I.実施の形態9>
<I-1.構成>
図44は、実施の形態9に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1027の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1027は、nバッファ層80が実施の形態3に係るRFCダイオード1003と同様に第1nバッファ層81と第2nバッファ層82の2層構造で構成される点でのみ、実施の形態7のRC-IGBT1021と異なる。
【0182】
第1nバッファ層81と第2nバッファ層82のパラメータは、実施の形態3に係るRFCダイオード1003におけるものと同様である。
【0183】
<I-2.変形例1>
図45は、実施の形態9の変形例1に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1028の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1028は、ダイオード領域34の一部にpカソード層100が設けられる点でのみ、実施の形態9のRC-IGBT1027と異なる。RC-IGBT1028において、pカソード層100は第1pカソード層101および第2pカソード層102からなる2層構造である。
【0184】
第2pカソード層102はnバッファ層8と第2主面22との間に、nバッファ層8に接して形成される。第1pカソード層101は第2pカソード層102と第2金属層11との間に、両者に接して形成される。第1pカソード層101の下面が半導体基板20の第2主面を構成する。
【0185】
ダイオード領域34における第1pカソード層101および第2pカソード層102の不純物濃度および深さなどのパラメータは、IGBT領域33における第1pコレクタ層101Aおよび第2pコレクタ層102Aと同様である。
【0186】
<I-3.変形例2>
図46は、実施の形態9の変形例2に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1029の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1029は、IGBT領域33においてpコレクタ層100Aが第2pコレクタ層102Aの1層で構成され、ダイオード領域34においてpカソード層100が第2pカソード層102の1層で構成される点でのみ、実施の形態9の変形例1に係るRC-IGBT1028と異なる。
【0187】
RC-IGBT1029における第2pコレクタ層102Aおよび第2pカソード層102は、第2主面22における表面不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1019atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0188】
<I-4.効果>
実施の形態9およびその変形例1,2に係るRC-IGBT1027,1028,1029は、実施の形態3に係るRFCダイオード1003と同様の第1nバッファ層81および第2nバッファ層82を備える。第2nバッファ層82では、格子間Si対によるトラップBが主なトラップ成分となる。従って、RC-IGBT1027,1028,1029によれば、RFCダイオード1003と同様に、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0189】
<J.実施の形態10>
<J-1.構成>
図47は、実施の形態10に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1030の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1030は、ダイオード領域34においてp+層25がない点でのみ実施の形態9に係るRC-IGBT1027と異なる。すなわち、RC-IGBT1030ではダイオード領域34においてpベース層6Aが第1金属層5と接する。
【0190】
RC-IGBT1030の各拡散層およびトレンチに関するパラメータは以下の通りである。IGBT領域33およびダイオード領域34におけるpベース層6Aは、実施の形態8と同様である。n層26、n+エミッタ層24、トレンチ深さDtrench、第1nバッファ層81、第2nバッファ層82、第1n+カソード層91、第2n+カソード層92、第1pコレクタ層101Aおよび第2pコレクタ層102Aは実施の形態9と同様である。
【0191】
<J-2.変形例1>
図48は、実施の形態10の変形例1に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1031の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1031は、ダイオード領域34の一部にpカソード層100が設けられる点でのみ、実施の形態10のRC-IGBT1030と異なる。RC-IGBT1030において、pカソード層100は第1pカソード層101および第2pカソード層102からなる2層構造である。
【0192】
第2pカソード層102はnバッファ層8と第2主面22との間に、nバッファ層8に接して形成される。第1pカソード層101は第2pカソード層102と第2金属層11との間に、両者に接して形成される。第1pカソード層101の下面が半導体基板20の第2主面を構成する。
【0193】
ダイオード領域34における第1pカソード層101および第2pカソード層102の不純物濃度および深さなどのパラメータは、IGBT領域33における第1pコレクタ層101Aおよび第2pコレクタ層102Aと同様である。
【0194】
<J-3.変形例2>
図49は、実施の形態10の変形例2に係るパワー半導体装置であるRC-IGBT1032の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。RC-IGBT1032は、IGBT領域33においてpコレクタ層100Aが第2pコレクタ層102Aの1層で構成され、ダイオード領域34においてpカソード層100が第2pカソード層102の1層で構成される点でのみ、実施の形態10の変形例1に係るRC-IGBT1031と異なる。
【0195】
RC-IGBT1031における第2pコレクタ層102Aおよび第2pカソード層102は、第2主面22における不純物濃度が1.0×1017atoms/cm3以上1.0×1019atoms/cm3以下であり、深さが0.3μm以上0.5μm以下である。
【0196】
<J-4.効果>
実施の形態10およびその変形例1,2に係るRC-IGBT1030,1031,1032は、実施の形態3に係るRFCダイオード1003と同様の第1nバッファ層81および第2nバッファ層82を備える。第2nバッファ層82では、格子間Si対によるトラップBが主なトラップ成分となる。従って、RC-IGBT1027,1028,1029によれば、RFCダイオード1003と同様に、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0197】
また、p+層25がないことにより、RC-IGBT1030,1031,1032のダイオード領域34は、
図3に示される実施の形態1に係るRFCダイオード1001のpinダイオード領域31、および
図34に示される実施の形態6に係るpinダイオード1011と同じ性能を実現することができる。
【0198】
<K.実施の形態11>
<K-1.構成>
図50は、実施の形態11に係るパワー半導体装置であるIGBT1033の、
図1のA-A´線に沿った断面図である。IGBT1033はトレンチゲート構造を有する。
【0199】
IGBT1033は、実施の形態9に係るRC-IGBT1027のIGBT領域33における構成と類似している。
【0200】
IGBT1033におけるn-ドリフト層7は、実施の形態9に係るRC-IGBT1027におけるn-ドリフト層7と同様である。
【0201】
IGBT1033において、トレンチ41内のゲート電極43の一部がエミッタ電位である第1金属層5と同電位である。これにより、IGBTの飽和電流密度が抑制される。また、容量特性を制御することにり、無負荷短絡状態での発振が抑制される。その結果、短絡耐量が向上する他、エミッタ側のキャリア濃度向上による低ON電圧化が実現する。
【0202】
IGBT1033におけるpベース層6A、n層26、n+エミッタ層24、p+層25、第1nバッファ層81、第2nバッファ層82、第1pコレクタ層101A、第2pコレクタ層102A、およびトレンチ深さDtrenchは、実施の形態9に係るRC-IGBT1027におけるそれらと同様である。
【0203】
<K-2.効果>
実施の形態11に係るパワー半導体装置であるIGBT1033は、互いに対向する第1主面21および第2主面22を有する半導体基板20と、半導体基板20の第1主面21上に設けられた第1金属層5と、半導体基板20の第2主面22上に設けられた第2金属層11と、を備える。半導体基板20は、第1導電型のドリフト層であるn-ドリフト層7と、n-ドリフト層7と第2主面22との間に設けられた第1導電型のバッファ層であるnバッファ層8と、nバッファ層8と第2主面22との間に設けられた第2導電型のコレクタ層であるpコレクタ層100Aとを備える。nバッファ層8は、第2金属層11に接する第1バッファ層である第1nバッファ層81と、n-ドリフト層7に接する第2バッファ層である第2nバッファ層82とを備える。第2nバッファ層82中の結晶欠陥は、フォトルミネッセンス法で検出される第2格子欠陥であるトラップBおよび第3格子欠陥であるトラップCである。
【0204】
このように、IGBT1033は、実施の形態3に係るRFCダイオード1003と同様の第1nバッファ層81および第2nバッファ層82を備える。第2nバッファ層82では、格子間Si対によるトラップBが主なトラップ成分となる。従って、IGBT1033によれば、RFCダイオード1003と同様に、オン電圧VFとスイッチングロスERECのトレードオフ特性を従来のライフタイム制御手法によらず高速側へ制御すると共に、低オフロス化、破壊耐量向上および熱的安定性を実現する。
【0205】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0206】
5 第1金属層、5A アルミ配線、6 pアノード層、6A pベース層、7 n-ドリフト層、8,80 nバッファ層、9,90 n+カソード層、10,100 pカソード層、11 第2金属層、20 半導体基板、21 第1主面、22 第2主面、23 表面保護膜、24 n+エミッタ層、25 p+層、26 n層、29 層間絶縁膜、31 pinダイオード領域、32 pnpトランジスタ領域、33 IGBT領域、34 ダイオード領域、41 トレンチ、42 ゲート絶縁膜、43 ゲート電極、44 トレンチ、45 ダミーゲート電極、46,47 パッシベーション膜、52 p層、55 ゲッタリング層、56 n+層、62,68 酸化膜、63 TEOS層、64,65 ドープドポリシリコン層、81 第1nバッファ層、82 第2nバッファ層、91 第1n+カソード層、92 第2n+カソード層、93 第3n+カソード層、100A pコレクタ層、101 第1pカソード層、101A 第1pコレクタ層、102 第2pカソード層、102A 第2pコレクタ層、1000,1001,1002,1003 RFCダイオード、1010,1011,1012 pinダイオード、1021-1032 RC-IGBT、1033 IGBT。