(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-01
(45)【発行日】2025-05-13
(54)【発明の名称】基体をコーティングするためのコーティング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B32B 37/00 20060101AFI20250502BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20250502BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20250502BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20250502BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20250502BHJP
B05C 9/10 20060101ALI20250502BHJP
B41F 16/00 20060101ALI20250502BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250502BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20250502BHJP
【FI】
B32B37/00
B41M5/00 700
B41M5/00 100
B05D1/28
B05D1/36 Z
B05C5/00 101
B05C9/10
B41F16/00 M
B33Y10/00
B33Y80/00
(21)【出願番号】P 2022521216
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2020077826
(87)【国際公開番号】W WO2021069365
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】102019127325.0
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507370644
【氏名又は名称】レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルゼン ペーター
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー クルト
【審査官】山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068385(US,A1)
【文献】特表2018-535830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251408(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0321452(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体(10)をコーティングするためのコーティング装置(50)であって、
前記コーティング装置(50)は、
前記基体(10)を固定するための少なくとも1つの保持装置(20)と、
少なくとも1つのスタンピングステーション(30)と、
前記基体(10)の第1の表面の少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素(11)の少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)に適用された一つ又は複数の更なる印刷層(12)の少なくとも1つの部分領域に、一つ又は複数の印刷層(12)を適用するための少なくとも1つの印刷ステーション(40)と、
を有し、
前記スタンピングステーション(30)は、前記基体(10)の前記第1の表面の少なくとも1つの部分領域上に、かつ/又は、前記基体(10)上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素(11)の少なくとも1つの部分領域上に、かつ/又は、前記基体(10)に適用された前記一つ又は複数の印刷層(12)の少なくとも1つの部分領域上に、前記一つ又は複数のフィルム要素(11)をスタンプするための一つ又は複数のスタンピングユニット(31)を有し、
前記基体(10)は剛体であり、
前記一つ又は複数のフィルム要素(11)のスタンピングは、前記フィルム要素(11)としてのフィルム(33)又は当該フィルム(33)の一つ又は複数のセクションを、前記基体(10)の前記第1の表面の前記少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)上にスタンプされた前記一つ又は複数の更なるフィルム要素(11)の前記少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)に適用された前記一つ又は複数の印刷層(12)の前記少なくとも1つの部分領域に適用する一つ又は複数のスタンピングダイ(32)によって実施され、
キャリアプライ及び当該キャリアプライから取り外し可能な転写プライを含むホットスタンピングフィルムは、前記フィルム(33)として使用される、ことを特徴とするコーティング装置(50)。
【請求項2】
前記コーティング装置(50)は、前記基体(10)の前記表面の少なくとも1つの部分領域、前記基体(10)上にスタンプされた前記一つ又は複数のフィルム要素(11)、及び/又は前記基体(10)に適用された前記一つ又は複数の印刷層(12)を、光学センサによって光学的に検査するための少なくとも1つの検査ステーションを有し、及び/又は、
前記コーティング装置(50)は、少なくとも1つの移動可能に取り付けられた金型キャリア(21)を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
【請求項3】
前記コーティング装置(50)は、n個のステーションを有し、
少なくともn個の保持装置(20)が、前記少なくとも1つの金型キャリア(21)上に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のコーティング装置。
【請求項4】
前記スタンピングステーション(30)は、少なくとも1つのタレット(35)を有し、当該タレット(35)は、少なくとも1つの軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ少なくとも1つの軸に沿って並進移動可能であり、
前記タレット(35)は、前記一つ又は複数のスタンピングダイ(32)を受容する一つ又は複数のスタンピングダイレシーバを含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティング装置。
【請求項5】
前記一つ又は複数のスタンピングダイレシーバ及び前記一つ又は複数のスタンピングダイ(32)は、
RFIDチップによって符号化され、及び/又は、
前記一つ又は複数のスタンピングダイ(32)は、それぞれ、前記スタンピングダイ(32)を急速に加熱するための少なくとも1つのダイレクトヒータを有し、及び/又は、
前記タレット(35)に取り付けられていない前記一つ又は複数のスタンピングダイ(32)は、予熱のために前記コーティング装置(50)のブラケットに一時的に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のコーティング装置。
【請求項6】
前記スタンピングステーション(30)は、少なくとも1つのフィルム供給ユニット(36)を有し、
前記フィルム供給ユニット(36)は、2つ以上のフィルムウェブ(33)を巻き取り、かつ巻き出す2つ以上のフィルムスピンドル(34)を含み、
前記2つ以上のフィルムウェブ(33)は、互いに平行に隣接して配置され、前記スタンピングダイ(32)と前記基体(10)との間で出し入れされるように摺動され、及び/又は、
前記コーティング装置(50)は、少なくとも1つのフィルム制御ユニットを有し、当該少なくとも1つのフィルム制御ユニットは、少なくとも1つのセンサ及び/又は前記2つ以上のフィルムスピンドル上に配置された2つ以上のサーボモータによって、前記フィルム、フィルム端部及び/又はフィルムストックにおけるクラックについて前記2つ以上のフィルムウェブ(33)を検査する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のコーティング装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの印刷ステーション(40)は、少なくとも1つの印刷ヘッド(42)を有する少なくとも1つの印刷ユニット(41)を含み、及び/又は、
前記少なくとも1つの印刷ステーション(40)は、デジタル印刷ステーション及び/又はパッド印刷ステーション及び/又はインクジェット印刷ステーションを含む、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング装置。
【請求項8】
前記コーティング装置(50)は、少なくとも1つの調整装置(22)を有し、当該少なくとも1つの調整装置(22)は、前記コーティング装置(50)の前記ステーション間で、前記保持装置(20)及び/又は前記少なくとも1つの共通の金型キャリア(21)上に配置された前記少なくとも1つの保持装置(20)を移動させる、
ことを特徴とする請求項2~7のいずれか一項に記載のコーティング装置。
【請求項9】
基体(10)をコーティングする方法であって、
a)前記基体(10)を保持装置(20)に固定する工程と、
b)一つ又は複数のフィルム要素(11)をスタンプする工程であって、前記基体(10)の第1の表面の少なくとも1つの部分領域上、及び/又は、前記基体(10)上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素(11)の少なくとも1つの部分領域上、及び/又は、前記基体(10)に適用された一つ又は複数の印刷層(12)の少なくとも1つの部分領域上に、前記一つ又は複数のフィルム要素(11)をスタンプし、前記基体(10)は前記保持装置(20)内に留まる、前記一つ又は複数のフィルム要素(11)をスタンプする工程と、
c)前記一つ又は複数の印刷層(12)を適用する工程であって、前記基体(10)の前記第1の表面の少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)上にスタンプされた前記一つ又は複数のフィルム要素(11)の少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)に適用された一つ又は複数の更なる印刷層(12)の少なくとも1つの部分領域に前記一つ又は複数の印刷層(12)を適用し、前記基体(10)は、前記保持装置(20)内に留まる、前記一つ又は複数の印刷層(12)を適用する工程と、
d)前記保持装置(20)からコーティングされた前記基体(10)を取り外す工程と、
を含み、
前記基体(10)は剛体であり、
前記工程b)における前記一つ又は複数のフィルム要素(11)のスタンピングは、前記フィルム要素(11)としてのフィルム(33)又は当該フィルム(33)の一つ又は複数のセクションを、前記基体(10)の前記第1の表面の前記少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)上にスタンプされた前記一つ又は複数の更なるフィルム要素(11)の前記少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)に適用された前記一つ又は複数の印刷層(12)の前記少なくとも1つの部分領域に適用する一つ又は複数のスタンピングダイ(32)によって実施され、
前記工程b)において、キャリアプライ及び当該キャリアプライから取り外し可能な転写プライを含むホットスタンピングフィルムが、前記フィルム(33)として使用される、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記工程b)及び前記工程c)は、1回若しくは複数回実施され、かつ/又は所望とする任意の順序で実施され、及び/又は、
前記工程b)及び前記工程c)のサイクル時間は、それぞれ1秒~300秒である、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記一つ又は複数の印刷層(12)の適用は、デジタル印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又はパッド印刷によって実施される、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記工程b)及び/又は前記工程c)の前に、前記基体(10)の前記第1の表面の前記少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)上にスタンプされた前記一つ又は複数のフィルム要素(11)の前記少なくとも1つの部分領域、及び/又は、前記基体(10)に適用された前記一つ又は複数の印刷層(12)の前記少なくとも1つの部分領域の光学的検査は、光学センサによって行われ、及び/又は、
前記方法は、ブラシ及び/又は圧縮空気及び/又は吸引及び/又はCO
2スノーブラスト及び/又は接着テープを用いて洗浄する工程を含み、及び/又は、
前記工程b)及び/又は前記工程c)の前及び/又は当該工程の間及び/又は当該工程の後に、作業空間への塵埃の進入が正の空気圧によって低減される、
ことを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程b)の間に、前記スタンピングダイ(32)の形状によって画定される前記転写プライの少なくとも1つのセクションは、前記転写プライの接着層又は前記基体(10)と前記転写プライとの間に設けられた接着層を活性化することによって前記フィルム要素(11)として適用されるか、又は、
キャリアプライと、前記キャリアプライから剥離可能な転写プライとを含む転写フィルムは、前記工程b)において前記フィルム(33)として使用され、前記接着層が、インクジェット印刷ヘッド(42)によって、前記転写プライ及び/又は前記基体(10)の前記表面の第1の領域の部分領域に適用されるが、第2の領域には適用されず、
前記転写フィルムは、前記スタンピングダイ(32)によって前記基体(10)の前記表面に向かって導かれ、前記接着層が活性化され、前記転写フィルムが再び剥離され、その結果、前記第1の領域の形状によって画定される前記転写プライのセクションが前記フィルム要素(11)として適用されるか、又は、
積層フィルムは、前記工程b)において前記フィルム(33)として使用され、前記スタンピング中、前記スタンピングダイ(32)の形状によって画定される前記積層フィルムの少なくとも1つのセクションは、前記積層フィルムの接着層又は前記基体(10)の前記表面と前記積層フィルムとの間に設けられた接着層を活性化することによって前記フィルム要素(11)として適用される、
ことを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記一つ又は複数のフィルム要素(11)及び/又は前記一つ又は複数の更なるフィルム要素(11)は、いずれも、少なくとも1つの装飾層及び/又は少なくとも1つの機能層を有する、
ことを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体をコーティングするためのコーティング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾のために基材上にホットスタンピングフィルムの転写プライをスタンプ又はコーティングすることが知られている。例えば、独国特許出願公開第102012109315号明細書に記載されているように、かかるスタンピング装置は保持装置を有しており、その中にスタンプ又はコーティングされるワークがスタンピングレシーバとしてクランプされている。更に、装飾されるワークの表面に対してホットスタンピングフィルムを押圧するスタンピングツールが提供されており、ここで、スタンピング圧力がスタンピングレシーバとスタンピングツールとの間に蓄積されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102012109315号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、かかる基体の製造を改善し、製造コストを低減する、基体をコーティングするためのコーティング装置並びに方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基体をコーティングするためのコーティング装置であって、コーティング装置が、基体を固定するための少なくとも1つの保持装置と、少なくとも1つのスタンピングステーションと、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層の少なくとも1つの部分領域に一つ又は複数の印刷層を適用するための少なくとも1つの印刷ステーションと、を有し、スタンピングステーションが、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域上に、かつ/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素の少なくとも1つの部分領域上に、かつ/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層の少なくとも1つの部分領域上に、一つ又は複数のフィルム要素をスタンプするための一つ又は複数のスタンピングユニットを有する、コーティング装置によって達成される。
【0006】
この目的は、特に前述のコーティング装置を用いて基体をコーティングする方法によって更に達成され、本方法において、特に以下の順序で、
a)基体を保持装置に固定する工程と、
b)特にコーティング装置のスタンピングステーションにおいて、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域上、及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素の少なくとも1つの部分領域上、及び/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層の少なくとも1つの部分領域上に、一つ又は複数のフィルム要素をスタンプする工程であって、基体が、保持装置内に留まる、工程と、
c)特にコーティング装置の印刷ステーションにおいて、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層の少なくとも1つの部分領域に一つ又は複数の印刷層を適用する工程であって、基体が、保持装置内に留まる、工程と、
d)コーティングされた基体を保持装置から取り外す工程と、が実施される。
【0007】
本発明により、基体をコーティングする可能性を改善し、特に機能の多様性及び/又はデザインの多様性を増大させることが可能である。ホットスタンピング及びその後の印刷によって、又は印刷及びその後のホットスタンピングによる逆の順序で、保持装置内にポジティブロック式及び/又は非ポジティブロック式に固定された基体をコーティングすることによって、種々のコーティングを実施することができる。これらのコーティングは、これまで、特に時間及び空間に関して完全に別々の作業で実施されていた。
【0008】
本発明の有利な実施例は、従属請求項に記載されている。
【0009】
基体は、好ましくは剛体であり、特に、湾曲した、平坦な及び/又は部分的に非平坦な少なくとも1つの表面を有する。
【0010】
特に、基体及び/又は基体の表面、特にコーティングされる基体の表面は、実質的に平坦であり、特に2次元的に平坦であるか、又は2.5次元的に変形されるか、又は3次元的に変形されることが可能である。
【0011】
基体は、好ましくは、構成要素、特に車両部品、ハウジング部品、コックピット構成要素及び/又は車体部品、射出成形部品、3D印刷部品並びに/あるいは切削及び/又は非切削の製造方法によって製造された構成要素を含む。
【0012】
更に、特に、本方法が、射出成形及び/又は3D印刷及び/又は切削及び/又は非切削の製造方法によって基体を製造する工程を含み、
特に、該工程が、工程a)の前に実行されることも提供される。
【0013】
有利には、基体は、熱可塑性プラスチック、特に耐衝撃性熱可塑性プラスチックを含むプラスチック材料を含む。更に、プラスチック材料は、特に、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、好ましくはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、ABS-PC、PET-PC、PBT-PC、PC-PBT及び/又はASA-PC及び/又はそれらのコポリマー若しくは混合物からなる。プラスチック材料は、無機又は有機充填剤、好ましくはSiO2、Al2O3、TiO2、粘土鉱物、ケイ酸塩、ゼオライト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、有機繊維又はそれらの混合物を含有することも可能である。ここで、充填剤は、基体の安定性を更に高めるために、特にプラスチック材料に添加される。更に、これらの充填剤は、ポリマー材料の割合を減少させることができ、それにより、構成要素の製造コスト及び/又は重量を低下させることができる。プラスチック材料が、特にプラスチック材料の加工性を改善する無機又は有機の補助物質を含有することも可能である。
【0014】
基体の材料が、鋼、銅、黄銅及び/又は他の金属材料及び/又は合金を含むことも可能である。基体の材料がガラス及び/又は木材を含むことも可能である。
【0015】
特に、基体の形状及び材料に応じて、特にそれぞれの基体に個別に適合された異なる保持装置が使用され、好ましくは、保持装置がそれぞれの基体をポジティブロック式及び/又は非ポジティブロック式で固定するように適合される。保持装置のクランプ力が、クランプ力による基体の歪み及び/又は変形が排除されるように選択される。
【0016】
基体は、好ましくは、全ての方法の工程の間、ポジティブロック式及び/又は非ポジティブロック式で保持装置内に留まる。これにより、一方では、対応して高いスタンピング品質及び印刷品質が、更なるスタンピング工程及び印刷工程のためにも保証され、他方では、スタンプされた更なるフィルム要素又は適用された更なる印刷層の特に良好な位置合わせ、それにより製品品質も更に大幅に改善され、それに応じて廃棄物が低減される。
【0017】
位置合わせ若しくは見当合わせ又は位置合わせ精度若しくは見当合わせ精度若しくは見当精度若しくは位置精度とは、特に、2つ以上の要素及び/又は層の互いに対する位置の精度を意味する。位置合わせ(見当合わせ)精度は、所定の許容範囲内にあることが好ましく、可能な限り高いことが好ましい。同時に、複数の要素及び/又は層の互いに対する位置合わせ(見当合わせ)精度は、プロセスの信頼性を高めるために特に重要な特徴である。位置的に正確な位置決め(見当合わせ)は、特に、感覚的に、好ましくは光学的に検出可能な位置合わせマーク又は位置マーキングによって行われる。特に、これらの位置合わせマーク又は位置マーキングは、特別な別個の要素又は領域又は層を表すか、又はそれ自体が、位置決めされる要素又は領域又は層の一部である。
【0018】
更に、好ましくは、スタンピング中に、一つ又は複数のフィルム要素のうちの一つ又は複数のフィルム要素が、一つ又は複数の更なるフィルム要素に対して正確に位置合わせ(見当合わせ)されてスタンプされ、特に、一つ又は複数の更なるフィルム要素及び/又は保持装置の光学的特徴の一つ又は複数の位置合わせマークが、検出され、スタンプを制御するために使用されることも提供される。
【0019】
更に、特に、保持装置は、機械的に及び/又は液圧的に及び/又は空気圧的に及び/又は電気的に及び/又は手動で、開放及び/又は閉鎖し得る。
【0020】
更に、本方法が、基体を保持装置内に送達及び/又は配置する工程を含み、特に、該工程が、工程a)の前に実行されることも可能である。
【0021】
基体の送達及び/又は配置は、好ましくは、人間の手によって、保持装置につながる搬送装置によって、かつ/又は完全に自動化されて、例えばロボットによって行われる。
【0022】
好ましくは、コーティング装置は、少なくとも1つの移動可能に取り付けられた金型キャリア、特に垂直又は水平に配置された回転プレート又は摺動テーブル、特にリニア駆動装置を有する。特に、少なくとも1つの保持装置がその上に配置される。少なくとも1つの保持装置は、特に固定された基体とともに、好ましくは、少なくとも1つのスタンピングステーション及び/又は少なくとも1つの印刷ステーション及び/又は少なくとも1つの前処理ステーション及び/又は少なくとも1つの検査ステーション及び/又は少なくとも1つの洗浄ステーションの間で、少なくとも金型キャリアによって移動させることができる。
【0023】
更に、好ましくは、コーティング装置が、n個のステーション、特に少なくとも1つのスタンピングステーション、少なくとも1つの前処理ステーション、少なくとも1つの洗浄ステーション及び/又は少なくとも1つの印刷ステーションを有し、少なくともn個の保持装置が、少なくとも1つの金型キャリア上に配置されることが可能である。
【0024】
コーティング装置が、コーティング装置のステーション間で、保持装置及び/又は少なくとも1つの共通の金型キャリア上に配置された少なくとも1つの保持装置を移動させるための少なくとも1つの調整装置を有することも可能である。
【0025】
ここで、好ましくは、一つ又は複数の保持装置が、少なくとも1つの金型キャリアに取り付けられ、それらが調整装置によって少なくとも1つの金型キャリアとともに移動されることが可能である。
【0026】
更に、特に、少なくとも1つの調整装置は、少なくとも1つのサーボ駆動装置及び/又は少なくとも1つの油圧駆動装置及び/又は少なくとも1つの空気圧駆動装置及び/又は少なくとも1つの電気駆動装置を含む。
【0027】
更に好ましくは、調整装置は、一つ又は複数のリニア駆動装置、特に一つ又は複数の高精度リニア駆動装置を含み、リニア駆動装置は、特に、少なくとも1つの金型キャリアが1つの空間方向、好ましくは2つの空間方向、更に好ましくは3つの空間方向に移動することを可能にする。その結果、個々の作業工程を位置的に正確に実施することができ、製造品質及び製品品質が向上する。
【0028】
特に、リニア駆動装置は、ギア機構、特にシャフトを介して回転運動を直線並進運動に変換する回転駆動装置を有する。リニア駆動装置は、リニアダイレクト駆動装置又はリニアモータを含むことも可能であり、これにより、特に磁場を介して、直線的な並進推進が直接的に可能となる。ギア機構又はシャフトを有するリニア駆動装置は、+/-50μm以下、好ましくは+/-30μm以下の位置決め精度を有する。リニアダイレクト駆動装置又はリニアモータは、+/-10μm以下、好ましくは+/-5μm以下の位置決め精度を有し、これはここでは高精度リニア駆動装置を意味する。高精度リニア駆動装置の高い位置決め(見当合わせ)精度は、リニア駆動装置上の増分又は絶対値の直接測定システムを使用して達成することができる。ここで、直接測定システムは、リニア駆動装置の駆動構成要素に直接結合され、測定ダイヤルを参照して(事前較正あり又は事前較正なしで)動作する。
【0029】
更に、特に、コーティング装置は、少なくとも1つのプロセス制御装置を有し、プロセス制御装置は、特に一つ又は複数の保持装置が、コーティング装置の2つ以上のステーションに所定の順序で、特にスタンピングステーション-印刷ステーション、印刷ステーション-スタンピングステーション、前処理ステーション-スタンピングステーション-印刷ステーション、スタンピングステーション-前処理ステーション-印刷ステーション、前処理ステーション-スタンピングステーション-前処理ステーション-印刷ステーションの順序で周期的に送達されるように、調整装置を作動させる。有利には、プロセス制御装置は、一つ又は複数のマイクロプロセッサと、一つ又は複数のスタンピングステーション、一つ又は複数の印刷ステーション、一つ又は複数の前処理ステーション、一つ又は複数のUV照射ユニット(UV=紫外スペクトル領域の電磁放射)及び/又は一つ又は複数のIR照射ユニット(IR=赤外スペクトル領域の電磁放射)、一つ又は複数のフィルム供給ユニット、並びに少なくとも1つの調整装置を制御するための周辺構成要素と、対応するソフトウェア構成要素と、を含む。
【0030】
特に、ここでは、一つ又は複数の保持装置をステーションに複数回送ることが可能である。
【0031】
例えば、工程b)及びc)を1回若しくは複数回実施し、かつ/又は任意の所望の順序で実施することが可能である。工程b)及びc)のサイクル時間は、いずれの場合も1秒~300秒、好ましくは5秒~120秒、特に20秒~30秒であることが更に好ましい。
【0032】
好ましくは、更に、少なくとも1つの保持装置が配置されている少なくとも1つの金型キャリアを、特に固定された基体と一緒に、工程b)の前に、工程b)を実施するためのスタンピング位置に移動させること、及び/又は工程c)の前に、工程c)を実施するための印刷位置に移動させることが可能である。
【0033】
スタンピングステーションが、少なくとも1つのタレットを有し、タレットが、好ましくは、少なくとも1つの軸を中心に回転可能に取り付けられ、少なくとも1つの軸に沿って並進移動可能であり、特に、タレットが、一つ又は複数のスタンピングダイを受容する一つ又は複数のスタンピングダイレシーバを含むことが更に好都合である。1つのタレット内に複数のスタンピングダイを配置することによって、異なるスタンピングダイによって種々のモチーフをスタンプすることが可能であり、同時に短いサイクル時間を保証することが可能である。
【0034】
一つ又は複数のスタンピングダイが、少なくとも1つのタレットの一つ又は複数のスタンピングダイレシーバに交換可能に取り付けられ、好ましくは、各スタンピングダイレシーバが、いずれの場合も、スタンピングダイの工具不要の交換のためのクイックチェンジシステムを有し、好ましくは、クイックチェンジシステムが、スタンピングダイを交換するためのダブテールブラケット及び/又はクランプレバーを有することが特に好都合である。
【0035】
更に、クイックチェンジシステムは、断熱性を有するダイ保持プレート及び/又はクイックリリースコネクタ、特に少なくとも1つのクランプレバー及び/又は少なくとも1つのダブテールブラケット、及び/又はダイ保持プレートに一体化されたダイレクトヒータを含むことが可能である。断熱により、好ましくは、スタンピングプロセス中の熱形成がコーティング装置の他の構成要素に伝達されないことが確実となる。更なる利点は、特に、コーティング装置のセットアップ時間がクイックチェンジシステムによって大幅に短縮されることである。
【0036】
更に、好ましくは、一つ又は複数のスタンピングダイレシーバ及び一つ又は複数のスタンピングダイが、符号化され、好ましくはRFIDチップによって符号化されることが可能である。これにより、好ましくは、コーティング装置が挿入されたスタンピングダイを認識し、例えば、それに特異的に適合するプロセスパラメータがコーティング装置の演算ユニットのデータベースから提供されるという利点がもたらされる。
【0037】
更に、好ましくは、タレットに取り付けられていない一つ又は複数のスタンピングダイは、予熱のためにコーティング装置のブラケットに一時的に取り付けられる。加熱範囲は、好ましくは0℃~300℃、特に80℃~250℃である。
【0038】
それにより、好ましくは、スタンピングダイを交換する際に、新たに取り付けられたスタンピングダイがより迅速に加熱され、したがって、製造プロセスをより早く再開することができるため、コーティング装置のダウンタイムも短縮されるという利点がもたらされる。
【0039】
特に、一つ又は複数のスタンピングダイがそれぞれ、スタンピングダイを急速に加熱するための少なくとも1つのダイレクトヒータを有することが好都合である。ここで、一つ又は複数のスタンピングダイは、特に加熱ワイヤを有し、好ましくはエネルギー節約の利点がもたらされる。好ましくは、一つ又は複数のスタンピングダイの加熱範囲は、0℃~300℃であり、特に80℃~250℃である。
【0040】
好ましくは、一つ又は複数のスタンピングダイは、鋼、シリコーン、プラスチック、アルミニウム、銅、黄銅及び/又はマグネシウムから選択される材料又は材料の組合せを含む。
【0041】
更に、スタンピングステーションは、少なくとも1つのフィルム供給ユニットを有し、フィルム供給ユニットが、2つ以上のフィルムウェブを巻き取り、かつ巻き出す2つ以上のフィルムスピンドルを含み、2つ以上のフィルムウェブが、好ましくは互いに平行に隣接して配置され、好ましくはスタンピングダイと基体との間に出し入れされるように摺動されることが可能である。ここで、特に、異なる構造、色、表面仕上げなどを有する2つ以上のフィルムウェブを使用することができ、その結果、コーティングされた基体の多種多様な設計及び機能が形成される。更に、個々のスタンピング工程間でフィルムウェブを交換する頻度を減らすことができるので、セットアップ時間が短縮されるという利点が特に得られる。
【0042】
更に、好ましくは、少なくとも1つのフィルム供給ユニットが、少なくとも1つの接合補助具を有し、かつ/又は2つ以上のフィルムスピンドルが、特にフィルムを交換するために取り外され得ることが可能である。接合補助具とは、特に接着テープによってフィルムウェブを接合するための装置を特に意味する。更に、好ましくは、接合補助具は、特にスプライスの領域に真空を生成する真空ユニットを含み、その結果、2つ以上のフィルムウェブの接着結合がエアポケットなしで実行され得る。特に、取り外し可能なフィルムスピンドルは、フィルムウェブを容易かつ迅速に交換することを可能にする。
【0043】
更に、フィルム供給ユニットは、特に、少なくとも1つの二重及び/又は多重巻取機及び巻出機を有することが可能であり、この巻取機及び巻出機により、2つ及び/又はそれ以上のフィルムウェブが巻き取られ、巻き出される。好ましくは、フィルム供給ユニットが、フィルムの張力を解放するために、少なくとも1つの高さ調節可能な偏向ローラ、少なくとも1つのブレーキ駆動装置、及び/又は少なくとも1つの電動スイベルローラを更に有する。更に、フィルム供給ユニットは、一つ又は複数のフィルムスピンドルを駆動する少なくとも1つのサーボ駆動装置を含むことが可能である。更に、フィルム供給ユニットは、少なくとも1つの調整可能な圧力ローラを含むことが可能である。
【0044】
更に、コーティング装置が、好ましくは少なくとも1つのセンサ及び/又は2つ以上のフィルムスピンドル上に配置された2つ以上のサーボモータによって、フィルム、フィルム端部及び/又はフィルムストックにおけるクラックについて2つ以上のフィルムウェブを検査する少なくとも1つのフィルム制御ユニットを有することが可能である。
【0045】
特に、センサは、光学センサ、例えばカメラである。かかる検査は、好ましくは画像処理方法を用いて行われ、例えば欠陥が検出されたときに、機械設定器がそれを修正できるように機械設定器に信号を送ることができる。
【0046】
印刷ステーションに関して、特に、少なくとも1つの印刷ステーションが、デジタル印刷ステーション及び/又はインクジェット印刷ステーション及び/又はパッド印刷ステーション及び/又はインクジェット印刷ステーションを含む。更に、少なくとも1つの印刷ステーションが、特に少なくとも1つの印刷ヘッドを有する少なくとも1つの印刷ユニットを含むことが更に好ましい。
【0047】
この場合、特に、少なくとも1つの印刷ユニットが、少なくとも1つのリニア駆動装置、特に少なくとも1つの高精度のリニア駆動装置を有しており、このリニア駆動装置が、少なくとも1つの印刷ユニットを1つの空間方向に、好ましくは2つの空間方向に、更に好ましくは3つの空間方向に移動させることを可能にする。
【0048】
更に、好ましくは、少なくとも1つの印刷ユニットの少なくとも1つの印刷ヘッドが、少なくとも1つのリニア駆動装置、特に少なくとも1つの高精度リニア駆動装置を有しており、このリニア駆動装置が、少なくとも1つの印刷ヘッドを1つの空間方向に、好ましくは2つの空間方向に、更に好ましくは3つの空間方向に移動させることを可能にする。
【0049】
本方法では、一つ又は複数の印刷層の適用が、デジタル印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又はパッド印刷によって実施されることが特に可能である。
【0050】
特に、少なくとも1つの印刷ヘッドは、一つ又は複数の印刷層を適用する。更に、一つ又は複数の印刷層が、印刷インク、特にCMYK及び/又はRGBカラーモデル及び/又はスポットカラーからの色を有する印刷インク、及び/又は透明印刷インク、特にクリアワニス及び/又は保護ワニス(ClearCoat)、及び/又は接着剤、特に低温接着剤及び/又はUV接着剤、及び/又はワニスから特に選択される一つ又は複数の材料を含有することが可能である。CMYKカラーモデルは、特にC=シアン;M=マゼンタ;Y=イエロー;K=ブラックの色からなり、RGBカラーモデルは、R=レッド;G=グリーン;B=ブルーの色からなる。スポットカラーは、例えば、PANTONE(登録商標)カラーシステムに由来し得る。特に、各印刷ヘッドが1つの色を提供する。好ましくは、一つ又は複数の印刷層として適用され得る個々の色成分の加法的又は減法的なオーバーレイ及び/又は混合によって、任意の所望の色が生成される。
【0051】
同様に、本方法では、特に、工程c)における一つ又は複数の印刷層の適用が、印刷インク、特にCMYK及び/又はRGBカラーモデル及び/又はスポットカラーからの色を有する印刷インク、及び/又は透明印刷インク、特にクリアワニス及び/又は保護ワニス(ClearCoat)、及び/又は接着剤、特に低温接着剤及び/又はUV接着剤、及び/又はワニスを含む一つ又は複数の印刷ヘッドによって実施され、これらは好ましくは、印刷層として、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層の少なくとも1つの部分領域に適用されるという結果が得られる。
【0052】
更に、基体に適用された一つ又は複数の印刷層が部分的に硬化され、かつ/又は完全に硬化されることも提供される。
【0053】
更に、コーティング装置が、一つ又は複数の印刷層のうちの一つ又は複数の印刷層のUV予備硬化、特にピン止めのための少なくとも1つのUV照射ユニット、及び/又は一つ又は複数の印刷層のうちの一つ又は複数の印刷層の完全硬化ための少なくとも1つのUV照射ユニットを有し、UV照射ユニットが、好ましくは385nm~405nmの波長範囲内の光を放出するUV放射光源を含むことが特に提供される。特に、硬化される一つ又は複数の印刷層が、UV接着剤、低温接着剤、接着剤、ワニス及び/又はインクから選択される一つ又は複数の材料を含む。
【0054】
UV予備硬化、特にピン止めは、UV照射ユニットの比較的低い電力で機能し、例えば、対応するUV LEDの電力消費は1ワット~5ワットである。完全硬化のためのUV照射ユニットは、UV照射ユニットの比較的高い電力で動作し、例えば、対応するUV LEDの電力消費は、10ワット~50ワットである。
【0055】
少なくとも1つのUV照射ユニットが、少なくとも1つのUV照射ユニットが1つの空間方向に、好ましくは2つの空間方向に、更に好ましくは3つの空間方向に移動することを可能にする少なくとも1つのリニア駆動装置、特に少なくとも1つの高精度リニア駆動装置を含むことが更に可能である。
【0056】
本方法は、好ましくは、一つ又は複数の印刷層のうちの一つ又は複数の印刷層、特にUV接着剤、低温接着剤、接着剤、ワニス及び/又はインクの予備硬化のための、UV光、好ましくはUV LEDによるUV照射、特にピン止めの工程であって、特に、照射が、385nm~405nmの波長範囲の光で実施される、UV照射の工程を含み、特に、該工程は、工程c)において実行される。
【0057】
本方法は、特に好ましくは、一つ又は複数の印刷層のうちの一つ又は複数の印刷層、好ましくはUV接着剤、低温接着剤、接着剤、ワニス及び/又はインクの完全硬化のための、UV光、好ましくはUV LEDによるUV照射の工程であって、特に、照射が、385nm~405nmの波長範囲の光で実施される、UV照射の工程を更に含み、特に、該工程は、工程c)において実行される。
【0058】
少なくとも1つのスタンピングステーション及び少なくとも1つの印刷ステーションに加えて、特に少なくとも1つの前処理ステーションも設けられる。特に、コーティング装置が、基体の表面の部分領域、基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素、及び/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層を、特にガスによる処理、火炎処理、プラズマ処理、フッ素化、照射、洗浄、表面活性化、コーティング、イオン化から選択される一つ又は複数の処理方法を用いて前処理するための少なくとも1つの前処理ステーションを有する。
【0059】
更に、本方法が、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層の少なくとも1つの部分領域を、特にガスによる処理、火炎処理、プラズマ処理、フッ素化、照射、洗浄、表面活性化、コーティング、イオン化から選択される一つ又は複数の処理方法を用いて前処理する工程を含み、特に、該工程が、工程b)の前及び/又は工程c)の前に1回又は複数回実施されることも特に提供される。
【0060】
ここでは、前処理の時間がスタンピングプロセス及び印刷プロセスの両方に「近い」ために、前処理された表面が、実施される処理方法にとって特に「アクセス可能」であり、時間が近いために、変質が大幅に回避されることが特に有利である。したがって、前処理の有効性が大幅に向上し、例えば、基体と一つ又は複数のフィルム要素及び/又は一つ又は複数の印刷層との間の接着特性が改善される。
【0061】
特に、イオン化によって静電荷を減少させることが可能となり、その結果、一つ又は複数のフィルム要素のスタンピングがより効率的に設計される。特に、電動ベンチレータ要素を使用してイオンを輸送することにより、約500mmの比較的長い距離効果が得られるため、特別な垂直距離の調整は不要である。イオン化の機能はオペレータには見えないので、ユニットの障害が生じた場合には、統合された監視機能によって制御システムに通知される。
【0062】
コーティング装置は、好ましくは、基体の表面の少なくとも1つの部分領域、基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素、及び/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層を、光学センサ、特にカメラによって光学的に検査するための少なくとも1つの検査ステーションを有する。
【0063】
更に、特に、工程b)及び/又は工程c)の前に、基体の表面の少なくとも1つの部分領域、及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素の少なくとも1つの部分領域、及び/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層の少なくとも1つの部分領域の光学的検査が、光学センサ、特にカメラによって行われる。
【0064】
かかる光学的検査は、ここでは好ましくは画像処理方法を使用して実施され、例えば、対応する制御ループに組み込むことによってプロセスパラメータを最適化するために使用され、それにより、不合格率を更に低減することができる。更に、この光学的検査は、品質保証のために使用することもできる。この光学的検査は、プロセス中の異なる時点で複数回行うことができ、例えば、スタンピングプロセスの後、及び/又は前処理の後、及び/又は印刷プロセスの後、及び/又は洗浄プロセスの後、及び/又は保持装置からコーティングされた基体を取り出した後、及び/又は更なる処理方法の後に行うことができる。
【0065】
更に、コーティング装置が、特に、基体の少なくとも1つの表面及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素及び/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層を、ブラシ及び/又は圧縮空気及び/又は吸引及び/又はCO2スノーブラスト及び/又は接着テープを用いて、特にパッド洗浄テープ及び/又はロール洗浄テープを用いて洗浄するための少なくとも1つの洗浄ステーションを有することが可能である。
【0066】
特に、本方法が、特にブラシ及び/又は圧縮空気及び/又は吸引及び/又はCO2スノーブラスト及び/又は接着テープを用いて、特にパッド洗浄テープ及び/又はロール洗浄テープを用いて洗浄する工程を含み、特に、該工程が、工程b)の前及び/若しくは後、並びに/又は工程c)の前及び/若しくは後に実行される。
【0067】
このプロセスを通して、例えば、露出した表面からスタンピングプロセスの廃棄物が取り除かれる。この場合、洗浄プロセスは、好ましくは、基体がまだ保持装置内に位置している間に実施される。これにより、好ましくは、洗浄プロセス中に基体が確実に固定されることが保証され、その結果、洗浄される製品の安定した固定を必要とする洗浄方法も使用することができる。
【0068】
好ましくは、コーティング装置が、粉塵を減少させ、かつ/又は粉塵を防止するための少なくとも1つのフローボックス、好ましくは少なくとも1つのベンチレータを有し、特に、これにより、濾過された周囲空気又は室内空気が正圧で前記作業空間に吹き込まれることが可能である。本方法では、好ましくは、工程b)及び/又は工程c)の前及び/又は間及び/又は後に、作業空間への塵埃の進入が、正の空気圧によって低減され、特に防止されることが可能である。これは、ダスト粒子又は他の粒子が外部から作業空間に入らず、その結果、例えば、スタンピング又は印刷中にダスト含有物が形成されないという利点を有する。
【0069】
ここで、作業空間は、好ましくは周囲に対して封止され、特に好ましくは周囲から閉鎖され得る。更に、作業空間が、少なくとも1つのスタンピングステーション、少なくとも1つの印刷ステーション、少なくとも1つの前処理ステーション、少なくとも1つの洗浄ステーション、及び/又は少なくとも1つの検査ステーションが配置される空間を含むことが特に提供される。
【0070】
本方法が、コーティングされた基体をフラッディング、オーバースプレー、及び/又はスプレーコーティングする工程、及び/又は好ましくはコーティングされた基体、特にコーティングされた基体の裏側にセンサ、特に接触及び/又は近接に高感度なセンサを積層する工程を含み、特に、該工程が、工程d)の後に一つ又は複数の更なる機械で実施されることも可能である。
【0071】
特に、コーティングされた基体を、接触及び/又は近接に高感度なセンサと組み合わせることによって、プログラミングの個々のアイテムを、コーポレートアイデンティティと一致する表面上の対応する装飾を通して可視化することができる。かかるセンサは、抵抗的又は容量的に作用するタッチセンサであり得る。
【0072】
好ましくは、工程b)における一つ又は複数のフィルム要素のスタンピングが、ロールオンスタンピング及び/又は部分ロールオンスタンピング及び/又は垂直スタンピングによって実施される。更に、例えば独国特許出願公開第102012109315号明細書に記載されているような、3次元的に形成された表面に対して特に最適化された、対応するスタンピング方法をこのために使用することも可能である。
【0073】
好ましくは、工程b)における一つ又は複数のフィルム要素のスタンピングが、フィルム要素としてのフィルム又はフィルムの一つ又は複数のセクションを、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体に適用された一つ又は複数の印刷層の少なくとも1つの部分領域に適用する一つ又は複数のスタンピングダイによって実施されることが可能である。
【0074】
また、特に、一つ又は複数のフィルム要素の適用は、スタンピングローラによって行われる。一つ又は複数のスタンピングローラは、好ましくは、基体の形状に対応して適合され、かつ/又は基体の第1の表面の表面輪郭に対する輪郭の対応する追従を、それらの案内及びそれらのロールオン挙動において可能にするか、又はそれに適合させることができる。
【0075】
特に、転写フィルム、例えばホットスタンピングフィルム又はコールドスタンピングフィルムだけでなく、積層フィルムも、工程b)が実施される場合のフィルムとして考慮される。
【0076】
キャリアプライ及びキャリアプライから取り外し可能な転写プライを含む転写フィルムは、ここで使用するのに特に適している。ここで、キャリアプライは、好ましくは、プラスチックフィルム、例えば5μm~250μmの厚さを有するPETフィルムからなる。ここで、転写プライは、好ましくは一つ又は複数の装飾層、一つ又は複数の機能層、一つ又は複数の保護層、一つ又は複数の接着促進層、一つ又は複数のバリア層、一つ又は複数の導電層から選択される一つ又は複数の層を有する。
【0077】
更に、剥離性を改善する一つ又は複数の剥離層が、キャリアプライと転写プライとの間に配置されることが有利である。かかる層は、好ましくはワックス及び/又はシリコーン及び/又はポリマーを含有する。
【0078】
かかる転写フィルムがホットスタンピングフィルムとして設計される場合、それは、好ましくは、転写フィルムのキャリアプライから離れて面する側に、特にスタンピングダイ及び/又はスタンピングローラの熱エネルギーによって活性化され得る熱活性化可能な接着層を有する。次いで、キャリアフィルムは、転写プライのうちスタンピングダイ及び/又はスタンピングローラによって作用されなかった部分とともに再び剥離される。
【0079】
かかる転写フィルムがコールドスタンピングフィルムとして設計される場合、UV硬化性接着層が、例えばグラビア印刷及び/又はオフセット印刷及び/又はフレキソ印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又はパッド印刷によって、基体及び/又はキャリアプライから離れて面する転写フィルムの側に適用され、特に印刷され、コールドスタンピングフィルム及び基体が一緒にされた後にUV放射によって活性化及び硬化される。次いで、キャリアフィルムは、接着層に接合されなかった転写プライの部分とともに再び剥離される。
【0080】
更に、転写フィルムの転写プライが、例えば、穿孔又は切断又はレーザ露光によって導入された開口部を更に有すること、又は転写プライがキャリアプライ上にパッチの形態で提供されることも可能である。かかる転写プライは、更に好ましくは、転写プライを安定化するための別の一つ又は複数のキャリアフィルムも有する。これは更に、「高感度な」機能層及び装飾層が、スタンピングプロセス又は後続のプロセス工程の熱的及び機械的応力からの追加の保護を受けるという利点をもたらす。
【0081】
好ましくは、積層フィルムが、工程b)においてフィルムとして使用され、スタンピング中に、積層フィルムの接着層又は基体の表面と積層フィルムとの間に設けられた接着層を活性化することによって、スタンピングダイの形状によって決定される積層フィルムの少なくとも1つのセクションがフィルム要素として適用される。
【0082】
積層フィルムは、好ましくは、「取り外し可能な」キャリアプライを有しない。すなわち、キャリアプライ及び更なる層は、強固に結合した複合体を形成する。積層フィルムは、好ましくは、以下の層、すなわち、一つ又は複数の装飾層、一つ又は複数の機能層、一つ又は複数の保護層、一つ又は複数のキャリア層、一つ又は複数の接着促進層、一つ又は複数のキャリアフィルム、一つ又は複数のバリア層、一つ又は複数の導電層のうちの1又は複数を有する。
【0083】
ここで、積層フィルムは、好ましくは、特に、穿孔及び/又は切断及び/又はレーザ露光によって導入された開口部を有するか、又は、特に補助キャリア上に配置することができるタグ、ラベル又は同様の個々の要素の形態で、スタンピング中にスタンピングプロセスにすでに送達されている。
【0084】
一つ又は複数のスタンピングダイ又はスタンピングローラによって適用される一つ又は複数のフィルム要素は、好ましくは、一つ又は複数のスタンピングダイ又はスタンピングローラの設計、フィルム又はフィルムの転写プライの形状によって、かつ/又は以下で更に説明するような更なる手段によって、大部分が事前に決定され得る形状を有する。これらのフィルム要素は、スタンピングに使用されるフィルム又はスタンピングに使用されるフィルムの転写プライの対応する層構造によって、それらの層構造に関して決定される。したがって、一つ又は複数のフィルム要素は、好ましくは、いずれの場合にも、一つ又は複数の装飾層、一つ又は複数の機能層、一つ又は複数の保護層、一つ又は複数の接着促進層、一つ又は複数の接着層、一つ又は複数のキャリア層、一つ又は複数のキャリアフィルムから選択される一つ又は複数の層を有する。
【0085】
特に、一つ又は複数のフィルム要素及び/又は一つ又は複数の更なるフィルム要素が、いずれの場合も、少なくとも1つの装飾層及び/又は少なくとも1つの機能層、特に電気的機能性を有する層を有し、特に、タッチセンサ、アンテナ、電磁遮蔽、非導電性、静電気を防止するための金属層、ディスプレイ、LED、電気回路、太陽電池、少なくとも1つの、特に後硬化可能な保護層及び/又は少なくとも1つの接着促進層から選択される一つ又は複数の要素を含む。
【0086】
1つの装飾層又は複数の装飾層は、好ましくは、以下の装飾層の1つ又は組合せからなる。
・染料及び/又は顔料、特に有機/無機顔料、発光性及び/又は蛍光性の顔料及び/又は染料、光学的可変性顔料、サーモクロミック顔料及び/又は染料、金属顔料、磁気的に整列可能な顔料を含有する透明又は半透明又は不透明なワニス層
・体積ホログラム層
・光学活性表面レリーフ、特に回折及び/又は屈折作用表面レリーフ、ホログラフィック表面レリーフ、屈折構造を含む表面レリーフ、回折構造、特にレンズ構造、マイクロレンズ配列、マイクロプリズム、マイクロミラー、マット構造、特に等方性マット構造及び/又は異方性マット構造、及び/又は任意のかかる構造の組合せを有する層
・反射層、特に金属反射層又は誘電体反射層
・高屈折率層又は低屈折率層、特に屈折率1.5と+/-0.2を超えて異なる屈折率を有する層
・液晶層、特にコレステリック液晶層及び/又はネマチック液晶層
・光学的に可変の色変化効果を示す薄膜層、特に、吸収体層、誘電体スペーサ層及び所望による反射層を含むか、又は代替的に高屈折率透明層と低屈折率透明層とが交互になった複数の配列を含む3層構造
【0087】
これらの装飾層は、任意の所望の順序で互いに、かつ/又は互いに隣接して適用することができる。ここで、個々の装飾層は、特に所望のグラフィック装飾を達成するために、表面の一部にわたってパターン化されて形成され得る。装飾層は、好ましくは位置合わせされて配置される。
【0088】
一つ又は複数の機能層は、好ましくは、言及された以下の機能層、すなわち、タッチセンサ、アンテナ、電磁シールド、非導電性、静電荷を防止するための金属層、ディスプレイ、LED、電気回路、太陽電池、磁気機能性を有する層、例えば磁気バーコード、機械的機能性を有する層、例えば金属及び/又はプラスチック及び/又は織布及び/又は不織布繊維プライ及び/又は繊維状添加剤及び/又は繊維状追加層で作られた補強要素又は補剛要素、光学的機能性を有する層、例えば反射防止層又は反射層、触覚機能性を有する層、例えばソフトタッチ表面コーティングから選択される一つ又は複数の要素を特に含む、電気機能性を有する層のうちの1つ又は組合せからなる。
【0089】
キャリアプライ及びキャリアプライから取り外し可能な転写プライを含むホットスタンピングフィルムが、工程b)においてフィルムとして使用され、かつ/又は工程b)の間に、転写プライの接着層又は基体と転写プライとの間に設けられた接着層を活性化することによって、スタンピングダイの形状によって決定される転写プライの少なくとも1つのセクションが、フィルム要素として適用されることが可能である。
【0090】
更に、キャリアプライと、キャリアプライから剥離可能な転写プライとを含む転写フィルム、特にコールドスタンピングフィルムが、工程b)においてフィルムとして使用され、特に低温接着剤及び/又はUV接着剤から選択される接着層が、特にインクジェット印刷ヘッドによって、転写プライ及び/又は基体の表面の第1の領域の部分領域に適用されるが、第2の領域には適用されず、転写フィルムが、特にスタンピングダイによって基体の表面に向かって導かれ、接着層が活性化され、転写フィルムが再び剥離され、その結果、第1の領域の形状によって決定される転写プライのセクションが、フィルム要素として適用されることが可能である。
【0091】
接着層は、好ましくは、高エネルギー電磁放射によって、例えば、UV照射及び/又はIR照射及び/又は電子線放射によって硬化される。硬化は、特に接着層への転写プライの適用前及び/又は適用中及び/又は適用後に行うことができる。転写プライを接着層に適用する前に硬化が行われる場合、接着層は、例えば、接着層の粘度を所望の方法で増加(IR照射)又は減少(UV照射)させるために、予備硬化され得る。接着層への転写プライの適用中に硬化が行われる場合、硬化は、転写プライに接合されたままのキャリアプライで行うことができる。転写プライを接着層に適用した後に硬化が行われる場合、キャリアプライがすでに転写プライから剥離され、転写プライが基体の上面から露出した状態で硬化を行うことができる。
【0092】
接着層の硬化中に、更に別の層及び/又は基体の部分領域及び/又は一つ又は複数の印刷層及び/又は一つ又は複数の更なる印刷層も同時に硬化させることができ、あるいは基体に作用する放射によって一つ又は複数のフィルム要素及び/又は一つ又は複数の更なるフィルム要素を後硬化させることができる。
【0093】
更に、一つ又は複数の印刷層及び/又は一つ又は複数の更なる印刷層を別々に硬化させることも可能である。ここでは、特に上述のUV照射を参照すべきである。
【0094】
更に、特に透明に形成された基体の場合、両側に装飾又はコーティングを実施することが提供され、その結果、奥行き効果が、基体の壁厚による2つの装飾の間隔を通して形成される。このため、基体の厚さは、好ましくは、一方で一つ又は複数のフィルム要素と他方で一つ又は複数の更なるフィルム要素とが互いに離間されて、一つ又は複数のフィルム要素と一つ又は複数の更なるフィルム要素との相互作用によって光学的な奥行き効果が生じるように選択される。
【0095】
基体が例えば不透明に形成される場合、両側の装飾は、一つ又は複数のフィルム要素及び一つ又は複数の更なるフィルム要素を通して異なる側面から基体の異なる光学的外観を提供することができる。
【0096】
一つ又は複数のフィルム要素及び一つ又は複数の更なるフィルム要素を使用することによって、装飾フィルムと機能性フィルムとの組合せを達成することもできる。例えば、基体の一方の側に装飾を施し、基体の他方の側に機能要素、例えばタッチセンサ又はアンテナ又はディスプレイを施すことができる。
【0097】
この目的のために、コーティング装置が基体を回転させるための装置を有することが特に有利である。更に、このために、特に、基体の後側を基体の前側とは異なるように形成することが可能であるため、調整装置が、回転された基体のための更なる金型キャリアを有することが特に有利である。好ましくは、回転装置は、例えばロボットアームを有することが可能であり、ロボットアームは、基体を1つの金型キャリアから取り外し、それに応じて基体を回転させ、基体を更なる金型キャリア内の回転した位置に置くか、又は配置する。
【0098】
工程c)における印刷中、少なくとも1つの更なる部分領域が、基体の第1の表面の少なくとも1つの部分領域、及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素の少なくとも1つの部分領域、及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層の少なくとも1つの部分領域の内側に位置することが可能である。この場合、印刷は、特に、基体の自由表面上、及び/又は基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素上、及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層上で行われる。
【0099】
しかしながら、少なくとも1つの更なる部分領域が、基体の表面の露出した第1の部分領域のみに位置することも可能である。この場合、印刷は、特に、基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層の隣で、又は隣接して行われる。
【0100】
更に、少なくとも1つの更なる部分領域が、基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層が適用される少なくとも1つの部分領域の内側に位置することと、基体の表面の露出した第1の部分領域に位置することと、の両方が更に可能である。この場合、印刷は、基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素及び/又は基体に適用された一つ又は複数の更なる印刷層と、基体の表面の露出された第1の部分領域との両方に少なくとも部分的に重なる。
【0101】
更に有利には、一つ又は複数の印刷層の適用は、基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素及び/又は基体上に適用された一つ又は複数の更なる印刷層に対して正確に位置合わせされて行われ、そのために、特に、基体上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素及び/又は基体上に適用された一つ又は複数の更なる印刷層及び/又は保持装置の一つ又は複数の位置合わせマーク又は光学的特徴が、例えばカメラによって検出され、一つ又は複数の印刷層の適用を制御するために使用される。
【0102】
少なくとも1つの更なる部分領域における一つ又は複数の印刷層の適用は、好ましくは、少なくとも1つの装飾又は視覚的に認識可能な設計要素を表しており、これは、例えば、グラフィカルに設計された輪郭、比喩的な表現、画像、モチーフ、記号、ロゴ、肖像、パターン、グリッド、英数字、テキストなどであり得る。
【0103】
以下、添付の図面を用いた複数の実施例を参照して、本発明を例示的に説明する。したがって、提示する実施例は限定的なものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図2a】コーティングされた基体を製造するためのコーティング装置の概略図を示す。
【
図2b】コーティングされた基体を製造するためのコーティング装置の概略図を示す。
【
図3】基体をコーティングするためのコーティング装置の概略図を示す。
【
図6】調整装置及び金型キャリアの例示的な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
コーティングされた基体を製造する方法を、
図1a~
図1fを参照して以下に説明する。
【0106】
図1aは、基体10が固定され、好ましくはポジティブロック(positive-locking)式及び/又は非ポジティブロック(non-positive-locking)式に固定された保持装置20を示している。特に、保持装置20は、機械的及び/又は液圧的及び/又は空気圧的及び/又は電気的に及び/又は手動で、開放及び/又は閉鎖し得る。基体10の配置は、好ましくは、人間の手によって、保持装置20につながる搬送装置によって、又は完全に自動化されて、例えばロボットによって行われる。
【0107】
基体10は、好ましくは剛体であり、特に、湾曲した、平坦な及び/又は部分的に平坦でない少なくとも1つの表面を有する。
【0108】
特に、基体10及び/又は基体10の表面、特にコーティングされる基体10の表面は、実質的に平坦であり、特に2次元的に平坦であるか、又は2.5次元的に変形されるか、又は3次元的に変形され得る。
【0109】
更に好ましくは、基体10は、構成要素、特に車両部品、ハウジング部品、コックピット構成要素及び/又は車体部品、射出成形部品、3D印刷部品並びに/あるいは切削及び/又は非切削の製造方法によって製造された構成要素を含む。
【0110】
次の工程では、
図1bに示すように、特にコーティング装置50のスタンピングステーション30において、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域に一つ又は複数のフィルム要素11が適用される。特に、一つ又は複数のフィルム要素11は、基体10にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域、及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12の少なくとも1つの部分領域に適用される。特に、基体10は、スタンピングの間、保持装置20内に留まる。
【0111】
保持装置20に固定され、スタンピングステーション30に配置された基体10が、
図1bに示されている。スタンピングステーション30はスタンピングユニット31を有する。本実施例では、スタンピングユニット31は、スタンピングダイ32及びフィルム供給ユニット36を有する。フィルム供給ユニット36は2つのフィルムスピンドル34を有する。フィルムウェブ33は、フィルムスピンドルに巻き取られ、かつフィルムスピンドルからほどかれる。フィルム要素11をスタンプするために、スタンピングダイ32は、矢印によって示すように、基体10の方向に並進的に移動される。スタンピング圧力及び熱の入力の結果、フィルム要素11は、基体10に適用される。結果として得られた、フィルム要素11でコーティングされた基体10が
図1cに示されている。ここで、基体10は、好ましくは依然として保持装置20内に固定して配置されている。ただし、一つ又は複数のフィルム要素11を基体10上にスタンプしてもよい。
【0112】
スタンピングステーション30は、好ましくは、一つ又は複数のスタンピングダイ32を含む少なくとも1つのスタンピングユニット31を有する。更に、コーティング装置50は、少なくとも1つのフィルム供給ユニット36を有し、フィルムユニットは、2つ以上のフィルムウェブ33を巻き取り、かつ巻き出す2つ以上のフィルムスピンドル34を含み、2つ以上のフィルムウェブ33は、好ましくは互いに平行に隣接して配置され、好ましくはスタンピングダイ32と基体10との間に出し入れされるように摺動されることが可能である。
【0113】
設計の代替的な変形例では、少なくとも1つのフィルム供給ユニット36が、少なくとも1つの接合補助具を有し、かつ/又は2つ以上のフィルムスピンドル34が、特にフィルムを交換するために取り外され得ることが可能である。
【0114】
一つ又は複数のフィルム要素11をスタンプするために、一つ又は複数のスタンピングダイ32は、好ましくは、フィルム要素11が基体10と接触するまで、基体10の方向に並進的に移動される。接触が生じると、続いて、特に所定のスタンプ圧力が加えられ、熱入力によってフィルム要素11が基体10上にスタンプされる。一つ又は複数のスタンピングダイ32はそれぞれ、スタンピングダイ32を急速に加熱するための少なくとも1つのダイレクトヒータを有することが可能である。更に、一つ又は複数のスタンピングダイ32の加熱範囲は、0℃~300℃であり、特に80℃~250℃であることが特に提供される。
【0115】
工程b)における一つ又は複数のフィルム要素11のスタンピングは、ロールオンスタンピング及び/又は部分ロールオンスタンピング及び/又は垂直スタンピングによって実施されることが更に提供される。
【0116】
好ましい設計変形例では、キャリアプライ及びキャリアプライから取り外し可能な転写プライを含むホットスタンピングフィルムは、工程b)においてフィルム33として使用され、かつ/又は工程b)の間に、転写プライの接着層又は基体10と転写プライとの間に設けられた接着層を活性化することによって、スタンピングダイ32の形状によって決定される転写プライの少なくとも1つのセクションが、フィルム要素11として適用される。
【0117】
更に、キャリアプライ及びキャリアプライから取り外し可能な転写プライを含む転写フィルム、特にコールドスタンピングフィルムが、工程b)においてフィルム33として使用されることが好ましい。転写プライ及び/又は基体10の表面の部分領域に適用されるコールドスタンピングフィルムは、好ましくは、特に低温接着剤及び/又はUV接着剤から選択される接着層であり、特に第1の領域にインクジェット印刷ヘッド42によって適用されるが、第2の領域には適用されない。特に、転写フィルムは、スタンピングダイ32によって基体10の表面に向かって導かれ、接着層が活性化され、転写フィルムが再び剥離され、その結果、第1の領域の形状によって決定された転写プライのセクションがフィルム要素11として適用される。
【0118】
積層フィルムが、工程b)においてフィルム33として使用され、スタンピング中に、積層フィルムの接着層又は基体10の表面と積層フィルムとの間に設けられた接着層を活性化することによって、スタンピングダイ32の形状によって決定される積層フィルムの少なくとも1つのセクションがフィルム要素11として適用されることも可能である。
【0119】
フィルム要素11でコーティングされ、印刷ステーション40に配置された基体10は、
図1dに示されており、ここで、基体10は、保持装置20内に依然として留まっている。印刷ステーション40は、2つの印刷ヘッド42を含む印刷ユニット41を有する。更に、印刷ステーション40が少なくとも1つの印刷ユニット41を有することも可能であり、印刷ユニット41は、一つ又は複数の印刷ヘッド42を含み、印刷ヘッド42によって一つ又は複数の印刷層12が適用される。
【0120】
次の工程では、一つ又は複数の印刷層12が、特にコーティング装置50の印刷ステーション40において、基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域に適用される。更なる設計変形例では、一つ又は複数の印刷層12は、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の更なる印刷層12の少なくとも1つの部分領域に適用されることも提供される。特に、基体10が保持装置20内に留まる。
【0121】
特に、一つ又は複数の印刷層12の適用は、デジタル印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又はパッド印刷によって実施される。
【0122】
更に、工程c)における一つ又は複数の印刷層12の適用は、印刷インク、特にCMYK及び/又はRGBカラーモデル及び/又はスポットカラーからの色を有する印刷インク、及び/又は透明印刷インク、特にクリアワニス及び/又は保護ワニス(Clear Coat)、及び/又は接着剤、特に低温接着剤及び/又はUV接着剤、及び/又はワニスを含む一つ又は複数の印刷ヘッド(42)によって実施され、これらは好ましくは、印刷層12として、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の更なる印刷層12の少なくとも1つの部分領域に適用されることが特に提供される。
【0123】
フィルム要素11及び印刷層12でコーティングされた基体10が
図1eに示されており、ここで基体10は、ポジティブロック式及び/又は非ポジティブロック式で保持装置20に依然として固定されている。
【0124】
更なる工程における保持装置20からのコーティングされた基体10の除去が、
図1fに示されている。これを矢印で示している。コーティングされた基体10を除去した後、更なる処理工程を実行することが可能であり、これは好ましくは別個の機械で実施される。
【0125】
本方法が、更なる工程を含み、コーティングされた基体10をフラッディング、オーバースプレー、及び/又はスプレーコーティングする工程、及び/又は好ましくはコーティングされた基体10、特にコーティングされた基体10の裏側にセンサ、特に接触及び/又は近接に高感度なセンサを積層する工程を含み、特に、コーティングされた基体10を保持装置20から取り外した後の工程が、一つ又は複数の更なる機械で実行されることも可能である。
【0126】
図2aは、コーティング装置50の概略図を示しており、このコーティング装置50は、好ましくは回転プレートとして実装され、この図には示されていない保持装置20を基体10とともにスタンピングステーション30と印刷ステーション40との間で移動させる金型キャリア21を含む。
【0127】
コーティング装置50の概略図が同様に
図2bに示されている。本実施例の変形例では、コーティング装置50は、金型キャリア21を有し、金型キャリア21は、スライドテーブル及び/又はリニアユニット23を含み、保持装置20を、その中にポジティブロック式及び/又は非ポジティブロック式に固定された基体10とともに、スタンピングステーション30と印刷ステーション40との間で移動させる。
【0128】
図3は、
図2bによるコーティング装置50の実施例を示しており、金型キャリア21は、スライドテーブル及び/又は直線ユニットを含む。金型キャリア21に加えて、コーティング装置50は、調整装置22を有し、調整装置22は、金型キャリア21をスタンピングステーション30と印刷ステーション40との間で双方向矢印によって示されるように並進移動させる。金型キャリア21には更に保持装置20が配置されており、この保持装置20内に基体10が特にポジティブロック式及び/又は非ポジティブロック式に固定して配置されている。更に、コーティング装置50は、プロセス制御装置60を含む。プロセス制御装置60は、一つ又は複数のマイクロプロセッサと、スタンピングステーション30、印刷ステーション40及び調整装置22を制御するための周辺構成要素と、対応するソフトウェア構成要素とを含む。
【0129】
更に、特に、コーティング装置50は、基体10を固定するための少なくとも1つの保持装置20と、少なくとも1つのスタンピングステーション30と、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の更なる印刷層12の少なくとも1つの部分領域に一つ又は複数の印刷層12を適用するための少なくとも1つの印刷ステーション40と、を有し、スタンピングステーション30は、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域上に、かつ/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域に、かつ/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12の少なくとも1つの部分領域に、一つ又は複数のフィルム要素11をスタンプするための一つ又は複数のスタンピングユニット31を有する。
【0130】
スタンピングステーション30は、一つ又は複数のフィルム要素11をスタンプするための少なくとも1つのスタンピングユニット31を有する。スタンピングユニット31は、少なくとも1つのスタンピングダイ32が取り付けられた少なくとも1つのタレット35を有することが好ましい。
図3に示す実施例の変形例では、4つのスタンピングダイ32がタレット35上に配置されている。
【0131】
スタンピングステーション30は、少なくとも1つのタレット35を有することが更に可能であり、タレット35は、好ましくは、少なくとも1つの軸を中心に回転可能に取り付けられ、少なくとも1つの軸に沿って並進移動可能である。特に、タレット35は、一つ又は複数のスタンピングダイ32を受容する一つ又は複数のスタンピングダイレシーバを含む。スタンピングダイ32は、好ましくは異なる形状を有し、その結果、異なるモチーフをスタンプすることができる。タレット35の回転可能な取り付け及びタレット35の並進運動の可能性は、図示された矢印によって示されている。
【0132】
特に、スタンピングステーション30は、少なくとも1つのフィルム供給ユニット36を有し、フィルム供給ユニット36は、2つ以上のフィルムウェブ33を巻き取り、かつ巻き出す2つ以上のフィルムスピンドル34を含むことが更に提供される。2つ以上のフィルムウェブ33が互いに平行に隣接して配置されることが特に可能であり、2つ以上のフィルムウェブ33は、スタンピングダイ32と基体10との間に出し入れされるように摺動される。
【0133】
本実施例の変形例では、タレット35は、スタンピングダイ32とともに、リフティングプレスのように、基体10に向かって並進移動する。しかしながら、一つ又は複数のフィルム要素11のスタンピングをロールオンスタンピング及び/又は部分ロールオンスタンピングによって実施することも可能である。
【0134】
一つ又は複数のスタンピングダイ32が、少なくとも1つのタレット35の一つ又は複数のスタンピングダイレシーバに交換可能に取り付けられ、好ましくは、各スタンピングダイレシーバが、いずれの場合も、スタンピングダイ32の工具不要の交換のためのクイックチェンジシステムを有し、好ましくは、クイックチェンジシステムが、スタンピングダイ32を交換するためのダブテールブラケット及び/又はクランプレバーを有することが好ましい。
【0135】
これは、スタンピングダイ32を特に工具なしで交換することができるという利点を有し、これにより、特にメンテナンス中又は別の基体10への交換時に、機械のセットアップ時間が大幅に短縮される。
【0136】
タレット35に取り付けられていない一つ又は複数のスタンピングダイ32を、予熱のためにコーティング装置50のブラケットに一時的に取り付けることも可能である。
【0137】
更に、一つ又は複数のスタンピングダイ32は、鋼、シリコーン、プラスチック、アルミニウム、銅、黄銅、及び/又はマグネシウムから選択される材料又は材料の組合せを含むことが可能である。
【0138】
更に、特に、一つ又は複数のスタンピングダイレシーバ及び一つ又は複数のスタンピングダイ32が符号化され、好ましくはRFIDチップによって符号化される。
【0139】
更に、少なくとも1つの印刷ステーション40が、デジタル印刷ステーション及び/又はインクジェット印刷ステーション及び/又はパッド印刷ステーション及び/又はインクジェット印刷ステーションを含むことも可能である。
【0140】
更に、少なくとも1つの印刷ステーション40は、特に少なくとも1つの印刷ヘッド42を有する少なくとも1つの印刷ユニット41を含むことが可能である。一つ又は複数の印刷層12は、少なくとも1つの印刷ヘッド42によって適用される。特に、一つ又は複数の印刷ヘッド42の各印刷ヘッド41を別個に並進移動可能に配置すること、好ましくはz方向に移動可能に配置することが可能であり、その結果、基体10の表面からの一定の処理距離を維持することができる。基体10の表面が不規則性及び/又は粗さを有することが可能であり、これが、処理距離を維持するために、少なくとも1つの印刷ヘッド41の制御が、好ましくはプロセス制御装置60によって行われる理由である。
【0141】
特に、一つ又は複数の印刷層12は、印刷インク、特にCMYK及び/又はRGBカラーモデル及び/又はスポットカラーからの色を有する印刷インク、及び/又は透明印刷インク、特にクリアワニス及び/又は保護ワニス(Clear Coat)、及び/又は接着剤、特に低温接着剤及び/又はUV接着剤、及び/又はワニスから特に選択される一つ又は複数の材料を含む。
【0142】
代替的な実施例の変形例では、コーティング装置50が、基体10の表面の部分領域、基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11、及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12を、特にガスによる処理、火炎処理、プラズマ処理、フッ素化、照射、洗浄、表面活性化、コーティング、イオン化から選択される一つ又は複数の処理方法を用いて前処理するための少なくとも1つの前処理ステーション70を有することが可能である。
【0143】
更に、コーティング装置50が、基体10の表面の少なくとも1つの部分領域、基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11、及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12を、光学センサ、特にカメラによって光学的に検査するための少なくとも1つの検査ステーションを有することも可能である。
【0144】
好都合には、コーティング装置50が、特にブラシ及び/又は圧縮空気及び/又は吸引によって基体10の少なくとも1つの表面を洗浄するための少なくとも1つの洗浄ステーションを有することが可能である。
【0145】
好ましくは、コーティング装置50は、粉塵を減少させ、かつ/又は粉塵を防止するための少なくとも1つのフローボックス、好ましくは少なくとも1つのベンチレータを有し、特に、これにより、濾過された周囲空気又は室内空気が正圧で前記作業空間に吹き込まれることが可能である。
【0146】
ここで、作業空間は、好ましくは周囲に対して封止され、特に好ましくは周囲から閉鎖され得る。更に、作業空間は、少なくとも1つのスタンピングステーション30、少なくとも1つの印刷ステーション40、少なくとも1つの前処理ステーション70、少なくとも1つの洗浄ステーション、少なくとも1つのUV照射ユニット80及び/又は少なくとも1つの検査ステーションが配置される空間を含むことが特に提供される。
【0147】
実施例の更なる変形例では、コーティング装置50は、一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層12のUV予備硬化、特にピン止めのための少なくとも1つのUV照射ユニット80、及び/又は一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層12の完全硬化のためのUV照射ユニット80を有することが可能である。一つ又は複数の印刷層12は、UV接着剤及び/又は低温接着剤及び/又は接着剤及び/又はワニス及び/又はインクを含む。UV照射ユニット80は、好ましくは385nm~405nmの波長範囲内の光を放出するUV放射光源を含むことが好ましい。
【0148】
更に、コーティング装置(50)が、好ましくは少なくとも1つのセンサ及び/又は2つ以上のフィルムスピンドル上に配置された2つ以上のサーボモータによって、フィルム、フィルム端部及び/又はフィルムストックにおけるクラックについて2つ以上のフィルムウェブ(33)を検査する少なくとも1つのフィルム制御ユニットを有することが可能である。特に、センサは光学センサ、例えばカメラである。
【0149】
設計の更なる変形例では、コーティング装置50が、少なくとも1つの移動可能に取り付けられた金型キャリア21、特に垂直又は水平に配置された回転プレート又はスライドテーブルを有し、特にその上に少なくとも1つの保持装置20が配置され、それによって少なくとも1つの保持装置20が、特に固定された基体10とともに、少なくとも少なくとも1つのスタンピングステーション30及び/又は少なくとも1つの印刷ステーション40及び/又は少なくとも1つの前処理ステーション70及び/又は少なくとも1つの検査ステーション及び/又は少なくとも1つの洗浄ステーションの間で移動することができることが可能である。
【0150】
別の実施例では、コーティング装置50が、n個のステーション、特に少なくとも1つのスタンピングステーション30、少なくとも1つの前処理ステーション70、少なくとも1つの洗浄ステーション及び/又は少なくとも1つの印刷ステーション40を有し、少なくともn個の保持装置20が、少なくとも1つの金型キャリア21上に配置されることが可能である。
【0151】
特に、コーティング装置50が、コーティング装置50のステーション間で、保持装置20及び/又は少なくとも1つの共通の金型キャリア21に配置された少なくとも1つの保持装置20を移動させるための少なくとも1つの調整装置22を有する。
【0152】
実施例の更なる変形例では、コーティング装置50が、少なくとも1つのプロセス制御装置60を有し、プロセス制御装置60は、特に一つ又は複数の保持装置20が、コーティング装置50の2つ以上のステーションに所定の順序で、特にスタンピングステーション30-印刷ステーション40、印刷ステーション40-スタンピングステーション30、前処理ステーション70-スタンピングステーション30-印刷ステーション40、スタンピングステーション30-前処理ステーション70-印刷ステーション40、前処理ステーション70-スタンピングステーション30-前処理ステーション70-印刷ステーション40の順序で周期的に送達されるように、調整装置22を作動させることが可能である。
【0153】
特にコーティング装置50を用いて基体10をコーティングする方法が
図4aに示されており、本方法において、特に以下の順序で、
a)基体10を保持装置20に固定する工程と、
b)基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域上、及び/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域上、及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12の少なくとも1つの部分領域上に、一つ又は複数のフィルム要素11をスタンプする工程であって、基体10が、保持装置20内に留まる、工程と、
c)基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の更なる印刷層12の少なくとも1つの部分領域に一つ又は複数の印刷層12を適用する工程であって、基体10が、保持装置20内に留まる、工程と、
d)コーティングされた基体10を保持装置20から取り外す工程と、が実施される。
【0154】
工程b)及びc)を1回若しくは複数回実施し、かつ/又は任意の所望の順序で実施することも可能である。これは、
図4b及び
図4cにも示されている。
【0155】
特に好ましくは、工程b)及びc)のサイクル時間は、それぞれ1秒~300秒、好ましくは5秒~120秒、特に20秒~30秒である。
【0156】
更に、本方法が、射出成形及び/又は3D印刷及び/又は切削及び/又は非切削の製造方法によって基体(10)を製造する工程を含み、特に、該工程が、工程a)の前に実行されることが可能である。
【0157】
本方法が、基体10を保持装置20内に送達及び/又は配置する工程を含み、特に、該工程が、工程a)の前に実行されることも可能である。
【0158】
更に、本方法が、一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層12、特にUV接着剤、低温接着剤、接着剤、ワニス及び/又はインクの予備硬化のための、UV光、好ましくはUV LEDによるUV照射、特にピン止めの工程であって、特に、照射が、特に385nm~405nmの波長範囲の光で実施される、UV照射の工程を含み、特に、該工程が、工程c)において実行されることが特に提供される。
【0159】
代替的な変形例では、本方法が、一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層12、好ましくはUV接着剤、低温接着剤、接着剤、ワニス及び/又はインクの完全硬化のための、UV光、好ましくはUV LEDによるUV照射の工程であって、特に、照射が、特に385nm~405nmの波長範囲の光で実施される、UV照射の工程を含み、特に、該工程が、工程c)において実行される。
【0160】
図4bには、最初に一つ又は複数の印刷層12が工程c)に従って基体10に適用され、次いで工程b)が実施され、その結果、一つ又は複数のフィルム要素11がスタンプされることが示されている。2つの工程b)とc)との間に、又は逆の順序で、前処理ステーション70において基体10を前処理することが可能である。
【0161】
特に、本方法が、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12の少なくとも1つの部分領域を、特にガスによる処理、火炎処理、プラズマ処理、フッ素化、照射、洗浄、表面活性化、イオン化、コーティングから選択される一つ又は複数の処理方法を用いて前処理する工程を含み、特に、該工程が、工程b)の前及び/又は工程c)の前に1回又は複数回実施されることが可能である。
【0162】
更なる設計変形例では、特に、工程b及び/又は工程cの前に、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域、及び/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数のフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域、及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12の少なくとも1つの部分領域の光学的検査が、光学センサ、特にカメラによって行われる。
【0163】
特に、本方法が、特にブラシ及び/又は圧縮空気及び/又は吸引及び/又はCO2スノーブラスト及び/又は接着テープを用いて、特にパッド洗浄テープ及び/又はロール洗浄テープを用いて洗浄する工程を含み、特に、該工程が、工程b)の前及び/若しくは後、並びに/又は工程c)の前及び/若しくは後に実行される。
【0164】
工程b)及び/又は工程c)の前及び/又は間及び/又は後に、作業空間への塵埃の進入が、正の空気圧によって低減され、特に防止されることも可能である。
【0165】
更に、少なくとも1つの保持装置20が配置されている少なくとも1つの金型キャリア21を、特に固定された基体10と一緒に、工程b)の前に、工程b)を実施するためのスタンピング位置に移動させること、及び/又は工程c)の前に、工程c)を実施するための印刷位置に移動させることが好都合である。
【0166】
工程bにおける一つ又は複数のフィルム要素11のスタンピングが、フィルム要素11としてのフィルム33又はフィルム33の一つ又は複数のセクションを、基体10の第1の表面の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10上にスタンプされた一つ又は複数の更なるフィルム要素11の少なくとも1つの部分領域及び/又は基体10に適用された一つ又は複数の印刷層12の少なくとも1つの部分領域に適用する一つ又は複数のスタンピングダイ32によって実施されることも可能である。
【0167】
更に、工程b)において、一つ又は複数のフィルム要素11のうちの一つ又は複数のフィルム要素11が、一つ又は複数の更なるフィルム要素11に対して正確に位置合わせされてスタンプされ、特に、一つ又は複数の更なるフィルム要素11及び/又は保持装置20の光学的特徴の一つ又は複数の位置合わせマークが、検出され、スタンプを制御するために使用される。
【0168】
一つ又は複数のフィルム要素11及び/又は一つ又は複数の更なるフィルム要素11が、いずれの場合も、少なくとも1つの装飾層及び/又は少なくとも1つの機能層、特に電気的機能性を有する層を有し、特に、タッチセンサ、アンテナ、電磁遮蔽、非導電性、静電気を防止するための金属層、ディスプレイ、LED、電気回路、太陽電池、少なくとも1つの、特に後硬化可能な保護層及び/又は少なくとも1つの接着促進層から選択される一つ又は複数の要素を含むことも可能である。
【0169】
コーティング装置50の例示的な図を
図5に示している。コーティング装置50は、本質的にスタンピングステーション30及び印刷ステーション40を有する。更に、コーティング装置は、プロセス制御装置60と、UV照射ユニット80と、調整装置22と、金型キャリア21とを含む。スタンピングステーション30は、一つ又は複数のスタンピングダイ32を担持するタレット35と、フィルム供給ユニット36とを更に含む。双方向矢印によって示されるように、タレット35はz方向に移動可能に配置され、フィルム供給ユニット36はリニア駆動装置23によってy方向に移動可能に配置される。印刷ユニット41及びUV照射ユニット80はまた、同様に双方向矢印によって示されるように、リニア駆動装置23によって移動可能に配置され、特にz方向に移動可能に配置される。以下、印刷ユニット41及びUV照射ユニット80について詳細に説明する。更に、特に、金型キャリア21及び調整装置22は、リニア駆動装置23によっても移動可能に配置される。これらについても同様に詳細に説明する。
【0170】
本質的に、金型キャリア21は、スタンピングステーション30と、印刷ステーション40と、UV照射ユニットとの間でy方向に移動することができ、このため、プロセス制御装置60によって調整装置22が作動され、その結果、金型キャリア21はスタンピング位置と印刷位置との間で移動することができる。更に、金型キャリア21は、一つ又は複数のフィルム要素11をスタンプするためにスタンピング位置にもたらされ、それと同様に、一つ又は複数の印刷層12を適用するために印刷位置にもたらされる。次いで、プロセス制御装置60は、スタンピングプロセス及び/又は印刷プロセスを制御する。個々の装飾は、リニア駆動装置23を介して移動可能なフィルム供給ユニット36、タレット35及び印刷ユニット41によって行うことができる。
【0171】
図6は、調整装置22及び金型キャリア21の例示的な図を示している。金型キャリア21は、調整装置22に配置されたリニア駆動装置23によってy方向に沿って移動可能である。金型キャリア21自体は、金型キャリア21がx方向に移動することを可能にする更なるリニア駆動装置23を有する。移動方向は、特に2つの双方向矢印によって示されている。
【0172】
印刷ユニット41の例示的な図を
図7に示している。この実施例の変形例では、印刷ユニット41は4つの印刷ヘッド42を含む。これらは、例えばCMYKカラーモデルの色空間をカバーすることができる。しかしながら、RGBカラーモデルの色、透明な印刷インク、特にクリアワニス及び/又は保護ワニス(ClearCoat)、及び/又は接着剤、特に低温接着剤及び/又はUV接着剤、及び/又はワニスを印刷ヘッド42によって適用することも可能である。この例示的な変形例では、4つの印刷ヘッド42の各々は、特に一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層12を予備硬化するためのUV照射ユニット80を有する。しかしながら、UV照射ユニット80が、一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層12を完全に硬化させるために実装されることも可能である。
【0173】
更に、好ましくは、印刷ユニット41は4つの印刷ヘッド42と一緒に、双方向矢印によって示されているように、リニア駆動装置23によってx方向に移動可能である。加えて、印刷ヘッド42の各々が、双方向矢印によって示されるように、z軸に沿って印刷ヘッド42を個々に移動させるために、それ自体のリニア駆動装置23を有することが可能である。この場合、リニア駆動装置23の配置は、限定的な効果を有することを意図するものではない。更に、印刷ユニット41及び/又は印刷ヘッド42は、印刷ユニット41及び/又は印刷ヘッド42が更なる空間方向に移動することを可能にする更なるリニア駆動装置23を有することが可能である。
【0174】
例示的なUV照射ユニット80が
図8に示されている。これは、好ましくは、一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層を完全に硬化させるためのUV照射ユニット80である。しかしながら、UV照射ユニット80は、一つ又は複数の印刷層12のうちの一つ又は複数の印刷層12を予備硬化させるためのUV照射ユニット80であることも可能である。
【0175】
この代替的な設計では、UV照射ユニット80はリニア駆動装置23を有し、それによってUV照射ユニット80をz方向に移動させることができる。しかしながら、UV照射ユニット80が更なるリニア駆動装置23を含むことも可能であり、その結果、UV照射ユニット80は更なる空間方向及び/又は他の空間方向に移動され得る。
【0176】
図9aには、一例として基体10が示されている。図示した基体10は、車両部品、特にコックピット構成要素である。基体10の幾何学的形状は、個々の形状を有することが可能であり、その結果、基体10は、特に非平坦かつ/又は湾曲した表面を有する。
【0177】
基体10の形状が様々であるため、多くの場合、基体10に適合した保持装置20が必要である。かかる例示的な保持装置20が
図9bに示されている。保持装置20は、好ましくは、ポジティブロック式及び/又は非ポジティブロック式に基体10を固定し、その結果、更なる処理中に基体10が位置的に正確に保持される。これは、特に、更なる方法の工程を位置的に正確に及び/又は正確な位置合わせにより実施することもできるという利点を提供する。ここで、好ましくは、保持装置20が、認識ユニットによって検出される位置マーキング及び/又は位置合わせマーキングを有し、次いで、一つ又は複数のフィルム要素11の位置的に正確なスタンピング及び/又は一つ又は複数の印刷層12の適用がもたらされることも可能である。
【符号の説明】
【0178】
10 基体
11 フィルム要素
12 印刷層
20 保持装置
21 金型キャリア
22 調整装置
23 リニア駆動装置
30 スタンピングステーション
31 スタンピングユニット
32 スタンピングダイ
33 フィルム/フィルムウェブ
34 フィルムスピンドル
35 タレット
36 フィルム供給ユニット
40 印刷ステーション
41 印刷ユニット
42 印刷ヘッド
50 コーティング装置
60 プロセス制御装置
70 前処理ステーション
80 UV照射ユニット