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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-02
(45)【発行日】2025-05-14
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20250507BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023119547
(22)【出願日】2023-07-24
(65)【公開番号】P2025016831
(43)【公開日】2025-02-05
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390020477
【氏名又は名称】トライエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003373
【氏名又は名称】弁理士法人石黒国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】東 和也
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-343231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの効果器として、
ワークに対し力を及ぼしながら所定の処理を施す処理部と、
この処理部を前記ロボットに対して相対移動するように駆動することで、前記処理部が前記ワークに及ぼす力を増減する駆動部とを備えるロボット装置において、
前記駆動部は、
前記処理部を前記ロボットに対して相対移動させるための回転力を発生するものであり、回転中心と同軸の中空を有してこの回転中心の周囲に回転する回転中空軸を有し、この中空の前記回転中心の方向の少なくとも一方側が外部に開口している中空モータと、
前記中空に前記回転中空軸と同軸に収容されて前記回転中空軸と締結されるねじ軸部を有し、前記中空モータが発生する回転力を直線的な力に変換して前記処理部に伝達するボールねじと、
前記ロボットに固定された案内部、および、この案内部に対して直線移動することができるスライド部を有し、このスライド部の移動方向が前記回転中心の方向に一致するスライド機構とを有し、
前記処理部は、前記ボールねじのナット部および前記スライド部と一体物を形成し、前記回転中空軸の前記回転中心の方向の一方側で、前記ロボットに対して前記回転中心の方向に相対移動し、
前記回転中空軸と前記ねじ軸部とは、前記中空モータの内部でパワーロックにより締結されていることを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記ナット部は、本体から外側に広がって前記一体物を形成するために利用されるブラケットを有し、
このブラケットは、前記回転中心に垂直な所定の方向の長さが前記中空の径よりも大きく、
前記処理部の前記回転中心の方向への前記ロボットに対する相対移動に伴い、前記ブラケットは、前記中空の外側であって前記回転中心の方向の一方側で、前記回転中心の方向に移動し、前記本体の内、前記ブラケットよりも前記回転中心の方向の他方側に存在する部分は、前記中空に対して出入りすることを特徴とするロボット装置。
【請求項3】
請求項1に記載のロボット装置において、
前記回転中心の方向に関して、前記パワーロックが存在する範囲と、前記回転中空軸の軸受けが存在する範囲とが重なることを特徴とするロボット装置。
【請求項4】
請求項に記載のロボット装置において、
前記駆動部は、前記中空モータが搭載されるとともに前記ロボットに固定される台座を有し、
この台座は、前記中空モータの前記回転中心の方向の一方側に固定され、
前記回転中心の方向の一方側から視たときに、前記中空の開口は、前記台座、および、前記スライド機構により包囲されており、
前記一体物が前記回転中心の方向に関して最も他方側に存在するときに、前記回転中心の方向に関して、前記台座が存在する範囲と、前記ブラケットが存在する範囲とが重なることを特徴とするロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの効果器として、ワークに対し力を及ぼしながら所定の処理を施す処理部を備えるロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記のようなロボット装置では、処理部をロボットに対して相対移動するように駆動することで、処理部がワークに及ぼす力を増減する駆動部を備える構成が公知である(例えば、特許文献1参照。)。なお、以下の説明では、処理部がワークに及ぼす力を「加圧力」と呼ぶことがある。
【0003】
より具体的には、従来のロボット装置100によれば、駆動部101は、以下のサーボモータ102、ボールねじ103およびスライド機構104を備える。すなわち、サーボモータ102は、処理部105をロボット106に対して相対移動させるための回転力を発生するものであり、ボールねじ103は、サーボモータ102が発生する回転力を直線的な力に変換して処理部105に伝達する。また、スライド機構104は、ロボット106に固定された案内部104a、および、案内部104aに対して直線移動することができるスライド部104bを有する(図4参照。)。
【0004】
さらに、処理部105、ボールねじ103のナット部103aおよびスライド部104bは一体化して一体物110を構成している。
そして、このような構成により、サーボモータ102が発生する回転力により処理部105を含む一体物110が直線的に駆動される。さらに、サーボモータ102を通電制御して加圧力を増減することにより、処理後のワーク品質を向上することができる。
【0005】
しかし、このようなロボット装置100では、効果器の占有スペースの大きさが課題視されている。
例えば、サーボモータ102の出力軸102a、ボールねじ103のねじ軸部103b、および、処理部105を直列的に接続すると、効果器は、全体としてサーボモータ102の回転中心の方向に長くなってしまう(図4(a)参照。)。
【0006】
また、サーボモータ102とボールねじ103とを直列に接続する場合、出力軸102aとねじ軸部103bとを締結するために、カップリング等の締結部112を用いる必要がある。このため、締結部112のスペースを追加する必要があり、さらに、全体として回転中心の方向に長くなってしまう。
【0007】
これに対し、出力軸102a、ねじ軸部103bそれぞれにプーリー113、114を取り付け、出力軸102aと、ねじ軸部103bとを、サーボモータ102の回転中心に垂直な方向で、機械的に連結する態様も考えられている(図4(b)参照。)。
【0008】
このような態様によれば、サーボモータ102の回転中心の方向の長さを低減することができるものの、サーボモータ102と、ボールねじ103および処理部105の列とが並列することになり、サーボモータ102の回転中心に垂直な方向に占有スペースが大きくなってしまう。
そこで、駆動部101を備えるロボット装置100において、効果器の占有スペースを低減することができる新規な態様が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-187716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、処理部をロボットに対して相対移動するように駆動する駆動部を備え、駆動部により加圧力を増減するロボット装置において、効果器の占有スペースを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のロボット装置は、ロボットの効果器として、次の処理部および駆動部を備える。すなわち、処理部は、ワークに対し力を及ぼしながら所定の処理を施すものであり、駆動部は、処理部をロボットに対して相対移動するように駆動することで、処理部がワークに及ぼす力を増減するものである。
【0012】
また、駆動部は、次の中空モータ、ボールねじおよびスライド機構を有する。すなわち、中空モータは、処理部をロボットに対して相対移動させるための回転力を発生するものであり、回転中心と同軸の中空を有して回転中心の周囲に回転する回転中空軸を有し、中空の回転中心の方向の少なくとも一方側が外部に開口している。また、ボールねじは、中空に回転中空軸と同軸に収容されて回転中空軸と締結されるねじ軸部を有し、中空モータが発生する回転力を直線的な力に変換して処理部に伝達する。
【0013】
さらに、スライド機構は、ロボットに固定された案内部、および、案内部に対して直線移動することができるスライド部を有し、スライド部の移動方向が回転中心の方向に一致する。
そして、処理部は、ボールねじのナット部およびスライド部と一体物を形成し、回転中空軸の回転中心の方向の一方側で、ロボットに対して回転中心の方向に相対移動し、回転中空軸とねじ軸部とは、中空モータの内部でパワーロックにより締結されている。
これにより、本開示によれば、潜在的に、駆動部により加圧力を増減するロボット装置において、効果器の占有スペースを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ロボット装置の構成図である(実施例)。
図2】中空モータの中空の開口が台座、および、スライド機構により包囲されている状態を示す説明図である(実施例)。
図3】回転中空軸とねじ軸部とを締結するパワーロック、および、回転中空軸の軸受けを示す説明図である(実施例)。
図4】(a)は、サーボモータ、ボールねじ、および、処理部を直列に接続したロボット装置の構成図であり、(b)は、サーボモータと、ボールねじおよび処理部の列とを並列させたロボット装置の構成図である(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態のロボット装置を、以下の実施例に基づき説明する。
【実施例
【0016】
〔実施例の構成〕
実施例のロボット装置1の構成を、図1図3を用いて説明する。
ロボット装置1は、例えば、先端に複数の効果器を有する多関節のロボット2、ならびに、効果器およびロボット2を制御する制御部3等を備え、ロボット2を制御して効果器を3次元的に移動させつつ効果器を制御してワーク(図示せず。)に所定の処理を施すものである。
【0017】
また、ロボット装置1は、ロボット2の効果器として、次の処理部4および駆動部5を備える。すなわち、処理部4は、ワークに対し力を及ぼしながら所定の処理を施すものであり、駆動部5は、処理部4をロボット2に対して相対移動するように駆動することで、処理部4がワークに及ぼす力(加圧力)を増減するものである。
【0018】
ここで、実施例の処理部4は、例えば、ワークにヘミング加工を施すヘムローラである(以下、処理部4をヘムローラ4と呼ぶことがある。)。そして、ロボット装置1は、ロボット2の動作を制御することによりヘムローラ4を3次元的に移動させながら、ワークにヘミング加工を施していく。
【0019】
また、駆動部5は、次の中空モータ7、ボールねじ8、スライド機構9および台座10を有する。
まず、中空モータ7は、ヘムローラ4をロボット2に対して相対移動させるための回転力を発生するものであり、次の回転中空軸7aを有する。すなわち、回転中空軸7aは、円筒状の筒体であって中空モータ7の回転中心と同軸の中空12を有する。そして、回転中空軸7aは、回転中心の周囲に回転するものであって中空モータ7の回転子をなす(以下、回転中心の方向を軸方向と呼ぶことがある。)。
【0020】
また、回転中空軸7aの外周側には、中空モータ7の固定子としてのボディ7bが組み付けられている。さらに、回転中空軸7aとボディ7bとの間には、軸方向に離れた2か所に、回転中空軸7aの軸受け13が組み付けられている(図3参照。)。
【0021】
なお、2つの軸受け13の間において、回転中空軸7aの外周側、ボディ7bの内周側に、それぞれ、永久磁石、コイルが装着されている(永久磁石、コイルは、両方とも図示せず。)。そして、中空モータ7は、永久磁石の磁場と、コイルに流れる電流との相互作用により回転力を発生する。
また、中空12の軸方向一方側は、中空モータ7の外部に開口しており、中空12の軸方向他方側は、回転中空軸7aとボールねじ8のねじ軸部8aとの締結構造であるパワーロック14により閉じられている。
【0022】
次に、ボールねじ8は、次のねじ軸部8aおよびナット部8bを有する。
まず、ねじ軸部8aは、中空12に回転中空軸7aと同軸に収容されており、回転中空軸7aと中空モータ7の内部でパワーロック14により締結されている。そして、ボールねじ8は、中空モータ7が発生する回転力を直線的な力に変換してヘムローラ4に伝達する。また、軸方向に関して、軸方向他方側の軸受け13が存在する範囲と、パワーロック14が存在する範囲とが重なっている(図3参照。)。
【0023】
また、ナット部8bは、ねじ軸部8aに螺合するとともに後記するスライド部9aと一体化されて回転を規制され、ねじ軸部8aが回転すると、軸方向に直線的に駆動される。これにより、ボールねじ8は、中空モータ7から伝わった回転力を直線的な力に変換してスライド部9aに伝達し、スライド部9aと一体化されたヘムローラ4を直線的に駆動する。そして、ロボット装置1は、中空モータ7のコイルに流れる電流を制御することにより、ボールねじ8を介してヘムローラ4をロボット2に対して軸方向に相対移動させ、加圧力を増減する。
【0024】
また、ナット部8bは、主にボール(図示せず)が循環する本体8b1、本体8b1から外側に広がって他部品との締結に利用されるブラケット8b2を有する。また、ブラケット8b2は、回転中心に垂直な所定の方向の長さが中空12の径よりも大きい。そして、ヘムローラ4の軸方向へのロボット2に対する相対移動に伴い、ブラケット8b2は、中空12の軸方向一方側の外側で、中空12に入ることなく軸方向に移動する。また、本体8b1の内、ブラケット8b2よりも軸方向他方側に存在する部分は、中空12に対して出入りする。
【0025】
次に、スライド機構9は、ロボット2の先端に固定された案内部9b、および、案内部9bに対して直線移動することができるスライド部9aを有する。ここで、案内部9bは、直線状に伸びる溝15を具備し、スライド部9aは、溝15に嵌る直線状のレール16を具備する。また、案内部9bは、スライド部9aの移動方向が軸方向に一致するように、ロボット2に組み付けられている。
【0026】
そして、ヘムローラ4、ナット部8bおよびスライド部9aは、一体化して一体物18を形成しており、一体物18は、中空モータ7が発生する回転力により、ロボット2に対して軸方向に相対移動する(図1参照。)。
【0027】
また、一体物18は、ヘムローラ4、ナット部8bおよびスライド部9a以外に、支持体19および中間体20を有し、ナット部8bおよびスライド部9aは、支持体19および中間体20を介してヘムローラ4と一体化している。ここで、支持体19は、ヘムローラ4を回転自在に保持するものである。また、中間体20には、支持体19、ブラケット8b2、および、スライド部9aが締結されている。
【0028】
さらに、台座10は、中空モータ7が搭載されるとともにロボット2に固定されるものである。また、台座10は、例えば、U字状に設けられており、U字の2つの先端がロボット2の先端に固定され、U字の底部に中空モータ7が搭載される。ここで、中空モータ7は、軸方向の一方側が台座10に固定されている(図1参照。)。そして、軸方向一方側から視たときに、中空12の開口は、台座10およびスライド機構9により包囲されて視える(図2参照。)。
【0029】
また、一体物18が軸方向に関して最も他方側に存在するときに、軸方向に関して、台座10が存在する範囲と、ブラケット8b2が存在する範囲とが重なる。つまり、駆動部5により加圧力を増加していないときには、台座10が存在する範囲と、ブラケット8b2が存在する範囲とが重なっている。なお、図1図3は両方とも、駆動部5を動作させて加圧力を僅かに増加した状態である。
【0030】
〔実施例の効果〕
実施例のロボット装置1は、ロボット2の効果器として、次の処理部4および駆動部5を備える。すなわち、処理部4は、ワークに対し力を及ぼしながら所定の処理を施すものであり、駆動部5は、処理部4をロボット2に対して相対移動するように駆動することで、加圧力を増減するものである。
【0031】
また、駆動部5は、次の中空モータ7、ボールねじ8およびスライド機構9を有する。すなわち、中空モータ7は、処理部4をロボット2に対して相対移動させるための回転力を発生するものであり、次の回転中空軸7aを有する。すなわち、回転中空軸7aは、回転中心と同軸の中空12を有して回転中心の周囲に回転し、中空12の軸方向一方側が外部に開口している。
【0032】
また、ボールねじ8は、中空モータ7が発生する回転力を直線的な力に変換して処理部4に伝達するものであり、次のねじ軸部8aを有する。すなわち、ねじ軸部8aは、中空12に回転中空軸7aと同軸に収容されて回転中空軸7aと締結される。
さらに、スライド機構9は、ロボット2に固定された案内部9b、および、案内部9bに対して直線移動することができるスライド部9aを有し、スライド部9aの移動方向が軸方向である。
【0033】
そして、処理部4は、ボールねじ8のナット部8bおよびスライド部9aと一体物18を形成し、回転中空軸7aの軸方向一方側で、ロボット2に対して軸方向に相対移動し、回転中空軸7aとねじ軸部8aとは、中空モータ7の内部でパワーロック14により締結されている。
これにより、駆動部5により加圧力を増減するロボット装置1において、効果器の占有スペースを低減することができる。
【0034】
すなわち、中空回転軸7aとねじ軸部8aとを中空モータ7の内部で締結することができるので、図4に示す従来のロボット装置100のようにサーボモータ102の出力軸102aとねじ軸部103bとを締結するためのスペースを追加的に設定する必要がなくなる。
【0035】
より具体的には、例えば、図4(a)に示すサーボモータ102とボールねじ103とを直列に接続するロボット装置100によれば、出力軸102aとねじ軸部103bとを締結するための締結部112のスペースを設ける必要があった。しかし、実施例のロボット装置1によれば、このようなスペースが不要になる上、中空モータ7の内部で、回転中空軸7aとねじ軸部8aとを締結することができる。
このため、効果器全体として軸方向の長さを低減することができるので、効果器の占有スペースを低減することができる。
【0036】
また、従来のロボット装置100によれば、締結部112には、出力軸102aとねじ軸部103bとの軸ずれを吸収するため、柔軟なカップリングを採用していたが、カップリングは、軸方向の長さが大きく、効果器の占有スペース低減に反するものであった。一方、実施例のロボット装置1によれば、回転中空軸7aとねじ軸部8aとの締結部には、軸方向の長さが小さいパワーロック14を採用して、更なる軸方向の長さの低減を図っている。
【0037】
ここで、パワーロック14は、カップリングよりも剛性が高いので、軸ずれの吸収能力が下がる。
しかし、回転中空軸7aからねじ軸部8aへの回転力の伝達は加圧力の増減が目的なので、そもそも、回転中空軸7aを高速で回転させる必要がない。このため、高剛性のパワーロック14でも、回転中空軸7aからねじ軸部8aへ回転力を充分に伝達しつつ、軸ずれを吸収することができる。
以上により、ロボット装置1によれば、回転中空軸7aとねじ軸部8aとの締結部としてパワーロック14を採用することで、効果器の占有スペースを更に低減することができる。
【0038】
また、実施例1のロボット装置1によれば、ナット部8bは、本体8b1から外側に広がって一体物18を形成するために利用されるブラケット8b2を有し、ブラケット8b2は、回転中心に垂直な所定の方向の長さが中空12の径よりも大きい。そして、処理部4の軸方向へのロボット2に対する相対移動に伴い、ブラケット8b2は、中空12の外側であって軸方向一方側で軸方向に移動し、本体8b1の内、ブラケット8b2よりも軸方向の他方側に存在する部分は、中空12に対して出入りする。
これにより、軸方向に垂直な方向への効果器の拡大を抑えることができるとともに、ボールねじ8を簡便に交換することができる。
【0039】
ブラケット8b2を中空12に収容すると、効果器の軸方向の長さを低減することができるものの、中空12の径を大きくする必要がある。これにより、中空モータ7を全体として径方向に大型化する必要があるので、効果器は、軸方向に垂直な方向へ拡大してしまう。
一方で、ボールねじ8は、消耗品であって交換する必要があるので、中空12にブラケット8b2が存在すると、簡便に交換することができない。
【0040】
そこで、ブラケット8b2を、中空12の軸方向一方側の外側で、中空12に入ることなく軸方向に移動することができるように。ボールねじ8を中空モータ7に組み付ける。
これにより、軸方向に垂直な方向への効果器の拡大を抑えることができるとともに、ボールねじ8を簡便に交換することができる。
【0041】
また、実施例のロボット装置1によれば、軸方向に関して、パワーロック14が存在する範囲と、回転中空軸7aの軸受け13が存在する範囲とが重なっている。
これにより、ねじ軸部8aの回転を安定させることができる。
【0042】
さらに、実施例のロボット装置1によれば、駆動部5は、次の台座10を有する。すなわち、台座10は、中空モータ7が搭載されるとともにロボット2に固定されている。また、台座10は、中空モータ7の軸方向の一方側に固定され、中空12の開口は、軸方向一方側から視たときに、スライド機構9および台座10により包囲されている。そして、一体物18が軸方向に関して最も他方側に存在するときに、軸方向に関して、台座10が存在する範囲と、ブラケット8b2が存在する範囲とが重なっている。
これにより、効果器全体として軸方向の長さを、更に低減することができるので、効果器の占有スペースを、更に低減することができる。
【0043】
〔変形例〕
実施例は具体的な一例を開示するものであり、本発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。
例えば、実施例のロボット装置1によれば、処理部4は、ワークにヘミング加工を施すヘムローラ4であったが、処理部4の態様はヘムローラ4に限定されない。例えば、処理部4として、ワーク表面を研磨する研磨ツールを採用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ロボット装置 2 ロボット 4 ヘムローラ(処理部) 5 駆動部 7 中空モータ 7a 回転中空軸 8 ボージねじ 8a ねじ軸部 8b ナット部 9 スライド機構 9a スライド部 9b 案内部 12 中空 14 パワーロック 18 一体物
図1
図2
図3
図4