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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-02
(45)【発行日】2025-05-14
(54)【発明の名称】ロール巻紙ホルダ
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/38 20060101AFI20250507BHJP
   A47K 10/36 20060101ALI20250507BHJP
【FI】
A47K10/38 L
A47K10/36 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023174056
(22)【出願日】2023-10-06
(65)【公開番号】P2025064364
(43)【公開日】2025-04-17
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591015393
【氏名又は名称】鈴木 喜代
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一雄
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/050699(WO,A1)
【文献】特開2012-130767(JP,A)
【文献】特許第7144560(JP,B2)
【文献】特開平08-098786(JP,A)
【文献】特開2006-288839(JP,A)
【文献】実開平03-101294(JP,U)
【文献】特開2008-029776(JP,A)
【文献】特開2008-006028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/00-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ本体と、前記ホルダ本体内にロール巻紙を回転自在に保持する巻紙受けと、前記巻紙の先端を所定の長さ繰り出した後、摘み代を残して前記巻紙を切断する紙切断手段と、前記巻紙の摘み代を前記巻紙受けから垂下するために前記摘み代が貫通する摘み代貫通部と、前記ホルダ本体に装填された巻紙を覆うように前記ホルダ本体に枢支されたカバーとを備えたロール巻紙ホルダにおいて、前記ホルダ本体は、背壁と両側壁と前記両側壁の下端から水平に延びる両側部内鍔とを有する外枠と、背壁と両側壁とを有して前記両側壁が前記外枠の両側部内鍔上に載置されて前記外枠に取り付けられる内枠とから成っており、前記巻紙受けは、前記ホルダ本体の内枠に回転自在に支持されて未消費のロール巻紙の部分周面が係合するように弧状に配列されて前記巻紙が載置される複数(2個を除く)のローラから成り、前記摘み代貫通部は、前記巻紙受けと前記ホルダ本体の内枠の背壁との間に形成され、前記カバーは、前記ホルダ本体の内枠の両側壁の前端付近に枢支されてその自由端が前記ホルダ本体の外枠の背壁の上端に係合するようにして閉じられ、前記紙切断手段は、前記ホルダ本体の前端付近に取り付けられていることを特徴とするロール巻紙ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記ホルダ本体の外枠の背壁と両側壁とは一体であり、また前記ホルダ本体の内枠の背壁と両側壁とは一体であるロール巻紙ホルダ。
【請求項3】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記ホルダ本体の外枠は、一方の側壁に一体の前背壁部分を有する第1の外枠半部と他方の側壁に一体の後背壁部分を有する第2の外枠半部とから成り、第1の外枠半部の前背壁部分と第2の外枠半部の後背壁部分とは、前後に重合して一体に固定されて背壁を形成し、また前記ホルダ本体の内枠は、一方の側壁に一体の前背壁部分を有する第1の内枠半部と他方の側壁に一体の後背壁部分を有する第2の内枠半部とから成り、第1の内枠半部の前背壁部分と第2の内枠半部の後背壁部分とは、前後に重合して一体に固定されて背壁を形成しているロール巻紙ホルダ。
【請求項4】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記ホルダ本体の外枠は、その背壁の下端から内側に水平に延びて前記内枠の背壁が載置される内鍔を有するロール巻紙ホルダ。
【請求項5】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記紙切断手段の下側に設けられた紙剥がし手段を有し、前記紙剥がし手段は、前記紙切断手段の下側に取り付けられた板ばね状の紙剥がし片から成り、前記紙剥がし片は、紙繰り出し時以外には、紙剥がし片の傾斜ばね片の先端が紙切断手段から離反するように下向きに付勢されているロール巻紙ホルダ。
【請求項6】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記紙切断手段は、前記ホルダ本体の外枠の両側部内鍔の前端間に取り付けられているロール巻紙ホルダ。
【請求項7】
請求項6に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記紙切断手段は、鋸歯状のカッターから成っているロール巻紙ホルダ。
【請求項8】
請求項6に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記紙切断手段は、鋭角歯の間に弧状の凹みを有するプラスチック製のカッターから成っているロール巻紙ホルダ。
【請求項9】
請求項6に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記紙切断手段の上側に取り付けられて前記カバーの開放時に前記カバーを受け止めるカバー受けを有するロール巻紙ホルダ。
【請求項10】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダにおいて、前記複数(2個を除く)のローラは、前記内枠の両側壁の貫通孔を貫通して前記外枠の両側壁で抜止めされる内パイプと前記内パイプに回転自在に嵌合され前記内枠の両側壁の間に配置される外パイプとから成っているロール巻紙ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパの如きロール状の巻紙(ロール巻紙)を回転〈繰出〉自在に保持し、巻紙の先端に摘み代をホルダの下側に垂れ出し(垂下し)、この摘み代を摘まみながらロール巻紙を順次繰り出してこの繰出し部分(使用部分)を後続の巻紙部分から切り離して次の摘み路を垂下状態で残すことができるロール巻紙ホルダの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、ホルダ本体と、ホルダ本体内にロール巻紙を回転自在に保持する巻紙受けと、ロール巻紙の先端を繰り出して所定の長さ繰り出された後、摘み代を残して巻紙をカッターで切断するロール巻紙ホルダであって、ホルダ本体は、その底板に設けられて巻紙の先端が貫通するための紙貫通孔を有し、ロール巻紙の先端は、この紙貫通孔を貫通して垂下して巻紙の垂下部分が巻紙の摘み代を形成しており、ホルダ本体の底板に設けられてカッターの下方に配置された紙剥がし手段を更に備え、この紙剥がし手段は、巻紙の先端がカッターの刃先に向けて繰り出される際に持ち上げられ、カッターによって巻紙が摘み代から切り離された後、摘み代をカッターから離反するように作用し、且つ、紙剥がし手段は、底板の下面に取付けられた板ばね状の紙剥がし片から成り、紙剥がし片は、紙繰出し時以外には、先端が底板の下面から離反して下方に位置するように付勢されていることを特徴とするロール巻紙ホルダを提案した(特許文献1参照)。
【0003】
この提案によるロール巻紙ホルダによれば、ロール巻紙の先端は、ホルダ本体の底板に設けられた紙貫通孔を貫通して垂下するだけで巻紙の摘み代を形成するための構造が単純化され、簡単で安価な構造で摘み代を形成することができ、また、巻紙は、単にホルダの巻紙受けに乗せるだけの操作で装填することができるので、取り扱いが容易である利点を有する。
【0004】
しかし、この先の提案に係る巻紙ホルダは、巻紙が消費されて小径化すると、巻紙が紙貫通孔の縁に係止されて巻紙を円滑に繰り出すことができなくなる。この現象は、特許文献1の図9図10に示すように、巻紙が2つのローラ間で受けている場合でも、同様に発生する。
【0005】
また、巻紙を交換する際に、新しい大径の巻紙をホルダの巻紙受けに装填する際に、カバーの先端湾曲部が邪魔になって新しい巻紙を装填する作業が難しくなる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第7144560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、摘み代をホルダ本体の底から垂下する形態の巻紙ホルダであって、巻紙が小径化しても抵抗を受けることなく紙を繰り出すことができ、また新しい巻紙をカバーに干渉することなく、巻紙受けに容易に装填することができるロール巻紙ホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基本的な第1の課題解決手段は、ホルダ本体と、前記ホルダ本体内にロール巻紙を回転自在に保持する巻紙受けと、前記巻紙の先端を繰り出して所定の長さ繰り出された後、摘み代を残して前記巻紙を切断する紙切断手段と、前記巻紙の摘み代を前記巻紙受けから垂下するために前記摘み代が貫通する摘み代貫通部と、前記ホルダ本体に装填された巻紙を覆うように前記ホルダ本体に枢支されたカバーとを備えた巻紙ホルダにおいて、前記ホルダ本体は、背壁と両側壁と前記両側壁の下端から水平に延びる両側部内鍔とを有する外枠と、背壁と両側壁とを有して前記両側壁が前記外枠の両側部内鍔上に載置されて前記外枠に取り付けられる内枠とから成っており、前記巻紙受けは、前記ホルダ本体の内枠に枢動自在に支持されて未消費のロール巻紙の部分周面が係合するように弧状に配列されて前記巻紙が載置される複数(2個を除く)のローラから成り、前記摘み代貫通部は、前記巻紙受けと前記ホルダ本体の内枠の背壁との間に形成され、前記カバーは、前記ホルダ本体の内枠の両側壁の前端付近に枢支されてその自由端が前記ホルダ本体の外枠の背壁の上端に係合するようにして閉じられ、前記紙切断手段は、前記ホルダ本体の前端付近に取り付けられていることを特徴とするロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0009】
本発明の第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、前記ホルダ本体の外枠の背壁と両側壁とは一体であり、また前記ホルダ本体の内枠の背壁と両側壁とは一体であるロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0010】
本発明の第3の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、前記ホルダ本体の外枠は、一方の側壁に一体の前背壁部分を有する第1の外枠半部と他方の側壁に一体の後背壁部分を有する第2の外枠半部とから成り、第1の外枠半部の前背壁部分と第2の外枠半部の後背壁部分とは、前後に重合して一体に固定されて背壁を形成し、また前記ホルダ本体の内枠は、一方の側壁に一体の前背壁部分を有する第1の内枠半部と他方の側壁に一体の後背壁部分を有する第2の内枠半部とから成り、第1の内枠半部の前背壁部分と第2の内枠半部の後背壁部分とは、前後に重合して一体に固定されて背壁を形成しているロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0011】
本発明の第4の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、前記ホルダ本体の外枠は、その背壁の下端から内側に水平に延びて前記内枠の背壁が載置される背部内鍔を有するロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0012】
本発明の第5の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、前記紙切断手段の下側に設けられた紙剥がし手段を有し、前記紙剥がし手段は、前記紙切断手段の下側に取り付けられた板ばね状の紙剥がし片から成り、前記紙剥がし片は、紙繰り出し時以外には、先端が切断手段から離反して下方に位置するように付勢されているロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0013】
本発明の第6の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、前記紙切断手段は、前記ホルダ本体の外枠の両側部内鍔の前端間に取り付けられているロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0014】
本発明の第7の課題解決手段は、第6の課題解決手段において、前記紙切断手段は、鋸歯状のカッターから成っているロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0015】
本発明の第8の課題解決手段は、第6の課題解決手段において、前記紙切断手段は、鋭角歯の間に弧状の凹みを有するプラスチック製のカッターから成っているロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0016】
本発明の第9の課題解決手段は、第6の課題解決手段において、前記紙切断手段の上側に取り付けられて前記カバーの開放時に前記カバーを受け止めるカバー受けを有するロール巻紙ホルダを提供することにある。
【0017】
本発明の第10の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、前記複数(2個を除く)のローラは、前記内枠の両側壁の貫通孔を貫通して前記外枠の両側壁で抜止めされる内パイプと前記内パイプに回転自在に嵌合され前記内枠の両側壁の間に配置される外パイプとから成っているロール巻紙ホルダを提供することにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロール巻紙は、その部分周面が係合するように弧状に配列された複数のローラ上に載置されるので、紙が垂れ下がる貫通部である孔の縁に引っ掛かることがなく、特に巻紙が小径化すると発生する傾向がある繰り出し抵抗を受けることがなく、紙を円滑に繰り出すことができる。
【0019】
また、カバーは、ホルダ本体の上縁ではなく、下縁に枢支されるので、カバーの先端曲がり部分に干渉することなく、巻紙を装填することができる。
【0020】
更に、巻紙を受ける複数のローラは、ローラの周面を形成する外パイプとこの外パイプを回転自在に支持する内パイプとから成っているので、巻紙受けが重量化することがなく、内パイプの両端は、ホルダ本体の内枠の貫通孔を貫通して外枠で抜け出しを防止しているので、特別なローラ支持手段を必要とすることがなく、簡単な構造でローラを支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好ましい実施の形態によるロール巻紙ホルダであってカバーがホルダ本体から取り外された状態の斜視図である。
図2図1の巻紙ホルダのホルダ本体の一部である外枠の斜視図である。
図3図1の巻紙ホルダのホルダ本体の他の一部である内枠の斜視図である。
図4図3の内枠に巻紙受けが取り付けられた状態の斜視図である。
図5図3の巻紙受けの一部の垂直断面図である。
図6図1の巻紙ホルダの紙切断手段と紙剥がし手段とカバー受けとの組立て状態の斜視図である。
図7図1の巻紙ホルダのカバーの取り付け状態を含む紙切断手段及び紙剥がし手段を示すが、更に紙剥がし手段の動作を示す側面図である。
図8図1の巻紙ホルダの内枠とカバー受けとの分解状態の斜視図である。
図9図1の巻紙ホルダの紙切断手段に用いられるカッターの一部を拡大して示し、同図(A)は、鋸歯状の金属製カッターの部分拡大図、同図(B)は、隣り合う歯先の間に弧状の谷を有する形態のプラスチック製のカッターの部分拡大図である。
図10図1の巻紙ホルダの外枠の変形例の斜視図である。
図11図1の巻紙ホルダの内枠の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の1つの実施の形態によるロール巻紙ホルダ10が図1に示されており、このロール巻紙ホルダ10は、ホルダ本体20と、このホルダ本体20内にロール巻紙1を回転〈繰出〉自在に保持する巻紙受け30と、この巻紙1の先端1Lを所定の長さ繰り出した後、摘み代1Pを残して巻紙1を切断する紙切断手段40と、巻紙1の摘み代1Pを巻紙受け30から垂下するために摘み代1Pが貫通する摘み代貫通部50(図4参照)と、ホルダ本体20に装填された巻紙1を覆うようにホルダ本体20に枢支されたカバー70とを備えている。
【0023】
ホルダ本体20は、上面から見てU字形の外枠22と、この外枠22の内側に密接して取り付けられた同じくU字形であるが、高さが低い内枠26とから成っている。
【0024】
更に、詳細に述べると、外枠22は、図2に示すように、背壁23と、両側壁24R、24Lと、背壁23の下端から内向きに水平に延びる背部内鍔23Tと両側壁24R、24Lの下端から内向きに水平に延びる側部内鍔24RT、24LTとを有する。図示の実施形態では、外枠20は、一方の側壁24Rに一体の前背壁部分23Fを有する第1の外枠半部22H1と、他方の側壁24Lに一体の後背壁部分23Bを有する第2の外枠半部22H2とからなっており、第1の外枠部分22H1の前背壁部分23Fと第2の外枠半部22H2の後背壁部分23Bとは、前後に重合して一体に固定されている。この外枠20は、例えば、ステンレスの如き金属から形成されている場合には、前後の背壁部分23F、23Bは、スポット溶接の如き適宜の手段で固定されて背壁23を形成している。
【0025】
一方、内枠26は、図3に示すように、背壁27と、両側壁28R、28Lとを有する。図示の実施の形態では、外枠22と同様に、内枠26は、一方の側壁28Rに一体の前背壁部分27Fを有する第1の内枠半部26H1と、他方の側壁28Lに一体の後背壁部分27Bを有する第2の内枠半部26H2とから成っており、第1の内枠部分26H1の前背壁部分27Fと第2の内枠半部26H2の後背壁部分27Bとは、前後に重合して一体に固定されて背壁27を形成している。この内枠20も、例えば、ステンレスの如き金属から形成されている場合には、前後の背壁部分27F、27Bは、スポット溶接の如き適宜の手段で固定されて背壁27を形成している。
【0026】
内枠26は、図1に示すように、その背壁27及び両側壁28R、28Lの下端面が外枠22の背部内鍔23Tと側部内鍔24RTの上に載置されて外枠22の背壁23及び両側壁24R、24Lと内枠26の背壁27、両側壁28R、28Lとをスポット溶接の如き適宜の手段で相互に固定してホルダ本体20が構成されている。なお、ホルダ本体20は、底壁を有しないので、内外の枠の内側底部は開口している。
【0027】
巻紙受け30は、図4に示すように、ホルダ本体20の内枠26に回転自在に支持されて未消費のロール巻紙1の部分周面1PS(図1参照)が係合するように弧状に配列されてロール巻紙1が載置される複数(2個を除く)のローラ(以下単に複数のローラと略称する)32から成っている。図示の実施例では、巻紙受け30は、10個のローラ32から成っているが、ロール巻紙1が消費されて小径化してもその周面を支えるように適宜の数とすることができ、またこれらのローラ32の間隔は、ロール巻紙1が細径化しても隣り合うローラ32間に食い込まない程度の値に設定される。これらの複数のローラ32は、図5に示すように、内枠26の両側壁28R、28Lの相対する貫通孔28RH、28LHを貫通して外枠24の両側壁24R、24Lの内壁面で抜止めされる内パイプ34とこの内パイプ34に回転自在に嵌合され内枠26の両側壁28R、28Lの間に配置される外パイプ36とから成っている。従って、この巻紙受け30は、内枠26の貫通孔28RH、28LHの壁面に軸受けされ、外枠22の両側壁24R、24Lの内壁面で抜け止めされて支持されていることになる。なお、本発明においてローラの個数である複数に関し、2個を除くとしたのは、2個のローラでは弧状に配列することができないためである。
【0028】
摘み代貫通部50は、図4に示すように、巻紙受け30とホルダ本体20の内枠26の背壁27との間の開口部(先に述べたホルダ本体20の底が開口した部分)に形成される。従って、ロール巻紙1の先端1Lは、巻紙受け30の後方からこの摘み代貫通部50を貫通して垂下して摘み代1Pを形成している。
【0029】
紙切断手段40は、図6に示すように、ホルダ本体20の内枠26の両側壁28R、28Lの前端に内向きに取り付けられた支持片28RS、28LS間に跨って取り付けられている。支持片28RS、28LSは、ステンレス製のL字形部材から成っており。その垂直部分を両側壁28R、28Lにスポット溶接等によって固定して取り付けられている。この紙切断手段40は、支持板42上に取り付けられたカッター44から成っており、この紙切断手段40は、後に述べるカバー受け78を介してねじ46R、46Lによって支持片28RS、28LSに固定されている。
【0030】
カッター44は、図9(A)に示すように、金属製の鋸歯状のカッター44Aとすることができるが、図9(B)に示すように、鋭角歯先44BSの間に弧状の凹み(谷)44BRを有するプラスチック製のカッター44Bとすることもできる。
【0031】
紙剥がし手段60は、図7(A)に示すように、紙切断手段40の下側に設けられており、この紙剥がし手段60は、図示の態様では、紙切断手段40の支持板42の下面に取り付けられた板ばね状のV字形の紙剥がし片62から成っている。紙剥がし片62は、その水平部62Hを支持板42の下面に位置するようにねじ46R、46Lによって支持片28RS、28LSによって固定され、紙繰り出し時以外には、傾斜ばね片62Sが下向きに開くように付勢されている。この紙剥がし手段60は、ロール巻紙1の摘み代1Pを紙切断手段40のカッター44に向けて繰り出す際に、図7(B)に示すように、摘み代1Pによって傾斜ばね片62Sが押し上げられ、カッター44によって紙使用部分が切り離された際に、この傾斜ばね片62Sの下向きに戻ろうとする付勢力によって次の摘み代1Pをカッター44から切り離すように作用する。この原理は、本出願人が特許第7144560号で先に提案した紙剥がし手段と全く同じである(同特許の図7(B)参照)。
【0032】
この紙剥がし手段60は、紙切断手段40のカッター44が図9(A)の鋸歯状のカッター44Aである場合に特に必要であるが、カッター44が図9(B)の鋭角歯先44BSの間に弧状の凹部(谷)44BRを有するプラスチック製のカッター44Bである場合には、摘み代を含む使用部分を後続の紙部分から切り離す際に、後続の紙の先端がカッター44から自動的に離反することができるので、紙剥がし手段60は、必ずしも必要ではないが、紙のカッターからの剥がしを確実にするために使用してもよい。
【0033】
カバー70は、図1及び図7に示すように、ホルダ本体20の内枠26の両側壁28R、28Lの前端付近に枢支されており、このカバー70の両側部は、ホルダ本体20の外枠22の両側壁24R、24Lの上面に沿って係合し、その自由端がホルダ本体20の外枠22の背壁23の上端に係合するようにして閉じられる。このカバー70は、カバー70の幅狭の前端に取り付けられた外パイプ72とこの外パイプ72を回転自在に支持するように外パイプ72内を貫通する内パイプ74とから成る枢支軸76を有し、この内パイプ74をホルダ本体20の内枠26の両側壁28R、28Lに相対して形成された貫通孔28Rhを貫通してホルダ本体20の外枠22の両側壁28R、28Lの内壁面で抜け止めされており、外パイプ72の両端は、内枠26の両側壁28R、28Lの内面に相対している。この構造は、図5に示す巻紙受け30のローラ32の枢支構造と同じである。
【0034】
ヵバー70は、紙切断手段40の上側に取り付けられてカバー70の開放時にカバー70を受け止めるカバー受け78を含んでいる。このカバー受け78は、図6図7に示すように、L字形の部材から成っており、その水平部78Hを紙切断手段40の支持板42の上に重ねてねじ46R、46Lによって内枠26の支持片28RS、28LSに固定されている。
【0035】
この実施例のロール巻紙ホルダ10は、図1に示すように、カバー70を開いた状態で、ロール巻紙1をホルダ本体20内の巻紙受け30上に載置されるように、収納するが、その際、巻紙1の先端1Lを摘み代貫通部50を通して垂れ下げてこの紙垂下部分を摘み代1Pとする。この状態でカバー70を閉じておく。巻紙1からその使用部分を取り出すには、摘み代1Pをホルダ本体20の底(開口部)に沿って水平に繰り出し、紙剥がし手段60の傾斜ばね片62Sが水平部62Hに接近するように押し上げながら(図7(B)参照)紙切断手段40のカッター44に向けて引っ張り、このカッター44で切断して使用部分を後続の紙部分から切り離す。このように、使用部分が切り離されると、紙剥がし手段60の傾斜ばね片62Sが解放されるので、紙の後続部分は、カッター44からがされて次の摘み代1Pとしてホルダ本体20から垂下する。
【0036】
本発明の他の実施例が図10図11に示されており、この実施例では、ホルダ本体20の外枠22は、図10に示すように、その背壁23と両側壁24R、24Lとが一体に形成されており、またホルダ本体20の内枠26は、図11に示すように、その背壁27と両側壁28R、28Lとが一体に形成されていることを除いて先に述べた実施の形態と同じである。
【0037】
本発明のいずれの実施の形態も、ロール巻紙1は、その部分周面1PSが係合するように弧状に配列された複数のローラ32から成る巻紙受け30上に載置されるので、紙が垂れ下がる貫通部である孔の縁に引っ掛かることがなく、特に巻紙が小径化すると発生する傾向がある繰り出し抵抗を受けることがなく、紙を円滑に繰り出すことができる。
【0038】
また、カバー70は、ホルダ本体20の上縁ではなく、下縁に枢支されているので、カバー70の先端曲がり部分に干渉することなく、巻紙を装填することができる。
【0039】
更に、巻紙1を受ける複数のローラ32は、その周面を形成する外パイプ36とこの外パイプ36を回転自在に支持する内パイプ34との中空部材から成っているので、巻紙受け30が重量化することがなく、内パイプ34の両端は、ホルダ本体20の内枠26の孔を貫通して外枠22で抜け出しを防止されているので、特別なローラ支持手段を必要とすることがなく、簡単な構造でローラ32を支持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
ロール巻紙の摘み代がホルダ本体の紙貫通部を貫通して垂下する形態のロール巻紙ホルダにおいて、巻紙受けは、ホルダ本体の外枠の内側に取り付けられた内枠に回転〈繰出〉自在に支持されて巻紙の部分周面に係合するように弧状に配置された複数のローラから成っているので、ロール巻紙が消費によって小径化しても、巻紙が紙貫通部の縁に引っ掛かって紙の繰り出しに支障が生ずることがなく、紙を円滑に繰り出すことができ、またこの複数のローラは、内外のパイプから成っているので、巻紙受けが重量化することがなく、取り扱いが容易であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0041】
1 ロール巻紙
1L 先端
1P 摘み代
1PS 部分周面
10 ロール巻紙ホルダ
20 ホルダ本体
22 U字形の外枠
22H1、22H2 第1と第2の外枠半部
23 背壁
23F 前背壁部分
23B 後背壁部分
23T 背部内鍔
24R、24L 両側壁
24RT、24LT 側部内鍔
26 内枠26
26H1、26H2 第1と第2の内枠半部
27 背壁
27F 前背壁部分
27B 後背壁部分
28R、28L 両側壁
28RH、28LH ローラ用貫通孔(軸受け孔)
28Rh、28Lh カバー用貫通孔(軸受け孔)
28RS、28LS 支持片
30 巻紙受け
32 ローラ
34 内パイプ
36 外パイプ
40 紙切断手段
42 支持板
44 カッター
44A 鋸歯状カッター
44B 鋭角歯の間に弧状の凹みを有するプラスチック製のカッター
44BS 鋭角歯
44BR 弧状の凹部
46R、46L ねじ
50 摘み代貫通部
60 紙剥がし手段
62 板ばね状のV字形の紙剥がし片
62H 水平部
62S 傾斜ばね片
70 カバー
72 外パイプ
74 内パイプ
76 枢支軸
78 カバー受け
図1
図2
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