(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-02
(45)【発行日】2025-05-14
(54)【発明の名称】電動作業機および電動作業機の充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250507BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20250507BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20250507BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20250507BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/04 L
H02J7/10 L
H02J7/00 Y
E02F9/00 C
(21)【出願番号】P 2023529517
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2022007637
(87)【国際公開番号】W WO2022270010
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2021103542
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 貴大
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-097334(JP,A)
【文献】国際公開第2008/132782(WO,A1)
【文献】特開2020-115715(JP,A)
【文献】特開2010-200530(JP,A)
【文献】特表2015-501122(JP,A)
【文献】特開2020-096456(JP,A)
【文献】特開2013-031339(JP,A)
【文献】特許第5642318(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/04
H02J 7/10
E02F 9/00
E02F 9/20
E02F 9/26
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記
電動モータに電力を供給するバッテリを有するバッテリユニットと、
前記
電動モータの駆動力を用いて動作する作業装置と、
外部の急速充電器に充電ケーブルを介して接続される接続部と、
充電パラメータを設定する操作部と、
前記操作部にて設定された前記充電パラメータによって、前記急速充電器から前記バッテリユニットに供給される電流値を変更する制御装置と、
前記電動モータに駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの作動油によって駆動される油圧機器と、
前記油圧機器により動作する作業装置と、を備え
、
前記操作部は、通常時には前記電動モータのモータ回転数の設定に用いられるものであり、通常時以外の充電時には前記充電パラメータを設定するために用いられるものである電動作業機。
【請求項2】
前記操作部は、前記急速充電器に指示するための前記充電パラメータを設定し、
前記制御装置は、前記操作部にて設定された前記充電パラメータを前記急速充電器に出力する請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
表示装置を備え、
前記バッテリユニットは、前記バッテリの状態を監視するバッテリ監視装置を備え、
前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの状態に基づいて前記充電パラメータの許容範囲を決定し、
前記制御装置は、前記バッテリ監視装置にて決定された前記許容範囲を前記表示装置に表示させ、
前記操作部は、前記充電パラメータを前記許容範囲内で設定可能である請求項1又は2に記載の電動作業機。
【請求項4】
表示装置を備え、
前記バッテリユニットは、前記バッテリの状態を監視するバッテリ監視装置を備え、
前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの状態として少なくとも前記バッテリの温度を検出し、
前記制御装置は、前記操作部にて設定された前記充電パラメータと、前記バッテリ監視装置が検出した前記バッテリの温度とを、前記表示装置に表示させ、
前記操作部は、前記充電パラメータの設定変更が可能である請求項1~3のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記バッテリ監視装置が検出した前記バッテリの温度値が、前記バッテリの使用制限温度よりも低い温度に設定される設定温度以上になると、前記操作部に設定された前記充電パラメータを、前記バッテリの温度を前記設定温度未満にするための充電パラメータに変更する請求項4に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの目標充電量と、前記バッテリの残容量と、前記操作部にて設定された前記充電パラメータと、単位時間当たりの充電容量とを用いて、前記バッテリを前記目標充電量まで充電するのに要する時間である充電予測時間を算出し、
前記制御装置は、前記充電予測時間を前記表示装置に表示させる請求項3~5のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記バッテリユニットは、前記バッテリの状態を監視するバッテリ監視装置を備え、
前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの温度、電流、電圧、残容量及び充電時間のうちの少なくとも1つ以上に基づいて、前記バッテリの充電停止要否を判定し、
前記制御装置は、前記バッテリ監視装置による充電停止要の判定があった場合に、前記急速充電器に充電停止要求を出力する請求項1~6のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記充電ケーブルが前記接続部に接続された状態では、前記操作部に対する操作を、前記充電パラメータの設定の操作として受け付け、前記充電ケーブルが前記接続部から外された状態では、前記操作部に対する操作を、前記電動モータのモータ回転数の設定の操作として受け付ける請求項
1に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記急速充電器から前記バッテリユニットへの電流供給中は前記バッテリから前記
電動モータへの電力供給を停止させる請求項1~
8のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項10】
電動モータ
と、
前記電動モータに電力を供給するバッテリを有するバッテリユニットと、
前記電動モータの駆動力を用いて動作する作業装置と、
外部の急速充電器に充電ケーブルを介して接続される接続部と、
充電パラメータを設定する操作部と、
前記操作部にて設定された前記充電パラメータによって、前記急速充電器から前記バッテリユニットに供給される電流値を変更する制御装置と、
前記電動モータに駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの作動油によって駆動される油圧機器と、
前記油圧機器により動作する作業装置と、
前記油圧ポンプからの作動油を前記油圧機器に供給する供給位置と、前記油圧ポンプからの作動油を前記油圧機器に供給しない遮断位置とに切り換えられるアンロード弁とを備え、
前記制御装置は、前記アンロード弁が前記供給位置にある場合には前記急速充電器から前記バッテリユニットへの電流供給を行わな
い電動作業機。
【請求項11】
前記操作部にて設定された前記充電パラメータは、電流値、充電時間、充電量及び充電速度のうちの少なくとも1つを含む請求項1~
10のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1項に記載の電動作業機と、
前記充電ケーブルを介して前記電動作業機に供給する電流値を前記電動作業機からの指示に応じて変更する急速充電器と、を備えている電動作業機の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電力で動作する電動作業機および電動作業機の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、充電式のバッテリから供給される電力によって駆動する電動作業機(例えば油圧ショベル)が開示されている。このような電動作業機では、バッテリの残量が少なくなると、外部に設置された急速充電器を用いて急速充電が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報「2021-80703号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
急速充電時には、大電流(例えば最大125アンペア程度)が急速充電器から電動作業機のバッテリに流れることにより、例えば1時間程度の短時間で満充電が可能である。このため、例えば昼休憩での急速充電のみで満充電が可能となるが、大電流によるバッテリ温度の上昇が懸念される。バッテリの充電完了時に、バッテリが予め設定された使用制限温度になると、バッテリの温度上昇を抑制するために、電動モータの出力を調整するケースがある。バッテリが使用制限温度以上で使用されると、バッテリの耐用期間が確保できなくなるからである。そのため、短時間で充電する必要がないケースでも、急速充電が行われることにより、充電後の作業に支障をきたすことがある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、電動作業機において充電後の作業に支障をきたすことを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電動作業機は、電動モータと、前記電動モータに電力を供給するバッテリを有するバッテリユニットと、前記電動モータの駆動力を用いて動作する作業装置と、外部の急速充電器に充電ケーブルを介して接続される接続部と、充電パラメータを設定する操作部と、前記操作部にて設定された前記充電パラメータによって、前記急速充電器から前記バッテリユニットに供給される電流値を変更する制御装置と、前記電動モータに駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの作動油によって駆動される油圧機器と、前記油圧機器により動作する作業装置と、を備え、前記操作部は、通常時には前記電動モータのモータ回転数の設定に用いられるものであり、通常時以外の充電時には前記充電パラメータを設定するために用いられるものである。
【0007】
また、前記操作部は、前記急速充電器に指示するための前記充電パラメータを設定し、前記制御装置は、前記操作部にて設定された前記充電パラメータを前記急速充電器に出力する、としてもよい。
また、表示装置を備え、前記バッテリユニットは、前記バッテリの状態を監視するバッテリ監視装置を備え、前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの状態に基づいて前記充電パラメータの許容範囲を決定し、前記制御装置は、前記バッテリ監視装置にて決定された前記許容範囲を前記表示装置に表示させ、前記操作部は、前記充電パラメータを前記許容範囲内で設定可能である、としてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様に係る電動作業機は、表示装置を備え、前記バッテリユニットは、前記バッテリの状態を監視するバッテリ監視装置を備え、前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの状態として少なくとも前記バッテリの温度を検出し、前記制御装置は、前記操作部にて設定された前記充電パラメータと、前記バッテリ監視装置が検出した前記バッテリの温度とを、前記表示装置に表示させ、前記操作部は、前記充電パラメータの設定変更が可能である、としてもよい。
【0009】
また、前記制御装置は、前記バッテリ監視装置が検出した前記バッテリの温度値が、前記バッテリの使用制限温度よりも低い温度に設定される設定温度以上になると、前記操作部に設定された前記充電パラメータを、前記バッテリの温度を前記設定温度未満にするための充電パラメータに変更する、としてもよい。
また、前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの目標充電量と、前記バッテリの残容量と、前記操作部にて設定された前記充電パラメータと、単位時間当たりの充電容量とを用いて、前記バッテリを前記目標充電量まで充電するのに要する時間である充電予測時間を算出し、前記制御装置は、前記充電予測時間を前記表示装置に表示させる、としてもよい。
【0010】
また、前記バッテリユニットは、前記バッテリの状態を監視するバッテリ監視装置を備え、前記バッテリ監視装置は、前記バッテリの温度、電流、電圧、残容量及び充電時間のうちの少なくとも1つ以上に基づいて、前記バッテリの充電停止要否を判定し、前記制御装置は、前記バッテリ監視装置による充電停止要の判定があった場合に、前記急速充電器に充電停止要求を出力する、としてもよい。
【0012】
また、前記制御装置は、前記充電ケーブルが前記接続部に接続された状態では、前記操作部に対する操作を、前記充電パラメータの設定の操作として受け付け、前記充電ケーブルが前記接続部から外された状態では、前記操作部に対する操作を、前記電動モータのモータ回転数の設定の操作として受け付ける、としてもよい。
また、前記制御装置は、前記急速充電器から前記バッテリユニットへの電流供給中は前記バッテリから前記電動モータへの電力供給を停止させる、としてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様に係る電動作業機は、電動モータと、前記電動モータに電力を供給するバッテリを有するバッテリユニットと、前記電動モータの駆動力を用いて動作する作業装置と、外部の急速充電器に充電ケーブルを介して接続される接続部と、充電パラメータを設定する操作部と、前記操作部にて設定された前記充電パラメータによって、前記急速充電器から前記バッテリユニットに供給される電流値を変更する制御装置と、前記電動モータに駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの作動油によって駆動される油圧機器と、前記油圧機器により動作する作業装置と、前記油圧ポンプからの作動油を前記油圧機器に供給する供給位置と、前記油圧ポンプからの作動油を前記油圧機器に供給しない遮断位置とに切り換えられるアンロード弁とを備え、前記制御装置は、前記アンロード弁が前記供給位置にある場合には前記急速充電器から前記バッテリユニットへの電流供給を行わない。
【0014】
また、前記操作部にて設定された前記充電パラメータは、電流値、充電時間、充電量及び充電速度のうちの少なくとも1つを含む、としてもよい。
本発明の一態様に係る電動作業機の充電システムは、前記電動作業機と、前記充電ケーブルを介して前記電動作業機に供給する電流値を前記電動作業機からの指示に応じて変更する急速充電器と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
上記構成によれば、作業者が電動作業機の状態や使用形態等に応じて充電パラメータを適宜設定できるので、電動作業機において充電後の作業に支障をきたすことを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】電動作業機と外部の充電器とが充電ケーブル接続された充電態様の一例を示す図である。
【
図3B】変形例2の操作スイッチの一例を示す図である。
【
図6A】表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図6B】表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図6C】表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図6D】表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図7A】外部の充電器を用いた電動作業機の充電開始処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7B】電動作業機の充電制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例3の電動作業機の電気ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
先ず、電動作業機1の全体構成について説明する。
図9は、電動作業機1の全体側面図である。
電動作業機1はバックホーである。電動作業機1は、機体(旋回台)2と走行装置10と作業装置20等を備えている。機体2の上には、作業者が着座する運転席4と、運転席4を前後、左右、及び上から保護する保護機構6が設けられている。
【0018】
保護機構6は、キャビンとも呼ばれている。保護機構6は、機体2に取り付けられたフレームと、フレームの上部に取り付けられたルーフと、フレームの前部、後部、及び左右側部にそれぞれ取り付けられた複数の側壁とを有している(詳細図示省略)。各側壁には、運転席4から周囲を目視可能な透明部分(いわゆる窓)が設けられている。このような保護機構6は、運転席4の周囲の空間と外部とを仕切っている。即ち、保護機構6により、運転席4を有する運転室4Rが形成されている。
【0019】
保護機構6の内部(運転室4R)の運転席4の周囲には、電動作業機1を操作するための操作装置5が設けられている。作業者は、運転席4に着座した状態で、操作装置5を操作可能である。
なお、本実施形態においては、運転席4に着座した作業者が向く方向(
図9の矢印A1方向)を前方といい、その反対方向(
図9の矢印A2方向)を後方という。さらに、運転席4に着座した作業者が前方A1に向いた状態で、左側を左方といい、作業者の右側を右方という。また、電動作業機1の前後方向A3に直交する水平方向を車体幅方向という。
【0020】
走行装置10は、機体2を走行させる装置であって、走行フレーム11と走行機構12とを有する。走行フレーム(トラックフレーム)11は、周囲に走行機構12を取り付け、且つ上部に機体2を支持する構造体である。
走行機構12は、例えばクローラ式の走行機構である。走行機構12は、走行フレーム11の左側と右側にそれぞれ設けられている。走行機構12は、アイドラ13と、駆動輪14と、複数の転輪15と、無端状のクローラベルト16と、走行モータ(左用走行モータML、右用走行モータMR)とを有している。
【0021】
アイドラ13は、走行フレーム11の前部に配置されている。駆動輪14は、走行フレーム11の後部に配置されている。複数の転輪15は、アイドラ13と駆動輪14との間に設けられている。クローラベルト16は、アイドラ13、駆動輪14、及び転輪15に亘って巻掛けられている。
左用走行モータMLは、走行フレーム11の左側にある走行機構12に含まれている。右用走行モータMRは、走行フレーム11の右側にある走行機構12に含まれている。左用走行モータML及び右用走行モータMRは、油圧モータから構成されている。各走行機構12では、左用走行モータML及び右用走行モータMRの動力により、駆動輪14が回転駆動して、クローラベルト16を周方向に循環回走させる。
【0022】
走行装置10の前部には、ドーザ装置18が装着されている。ドーザ装置18は、油圧アクチュエータC5(ドーザシリンダ)の伸縮によって上下に揺動する。油圧アクチュエータC5(ドーザシリンダ)は、走行フレーム11に取り付けられている。油圧アクチュエータC5(ドーザシリンダ)は、油圧シリンダから構成されている。
機体2は、走行フレーム11上に旋回ベアリング3を介して、旋回軸心X回りに回転可能に支持されている。機体2の内部には、旋回モータMTが設けられている。旋回モータMTは、油圧モータ(油圧機器Mに含まれる油圧アクチュエータ)から構成されている。機体2は、旋回モータMTの動力により旋回軸心X回りに旋回する。
【0023】
作業装置20は、機体2の前部に支持されている。作業装置20は、ブーム21と、アーム22と、バケット(作業具)23と、油圧アクチュエータC1~C5を有する。ブーム21の基端側は、スイングブラケット24に横軸(機体2の幅方向に延伸する軸心)廻りに回動可能に枢着されている。このため、ブーム21は上下方向(鉛直方向)に揺動可能になっている。アーム22は、ブーム21の先端側に横軸廻りに回動可能に枢着されている。このため、アーム22は、前後方向或いは上下方向に揺動可能になっている。バケット23は、アーム22の先端側にスクイ動作及びダンプ動作が可能に設けられている。
【0024】
電動作業機1は、バケット23に代えて、或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。この他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロア等が例示できる。
スイングブラケット24は、機体2内に備えられた油圧アクチュエータC1(スイングシリンダ)の伸縮によって左右に揺動する。ブーム21は、油圧アクチュエータC2(ブームシリンダ)の伸縮によって上下(前後)に揺動する。アーム22は、油圧アクチュエータC3(アームシリンダ)の伸縮によって上下(前後)に揺動する。バケット23は、油圧アクチュエータC4(バケットシリンダ:作業具シリンダ)の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作を行う。油圧アクチュエータC1(スイングシリンダ)、油圧アクチュエータC2(ブームシリンダ)、油圧アクチュエータC3(アームシリンダ)、及び油圧アクチュエータC4(バケットシリンダ)は、油圧シリンダから構成されている。
【0025】
電動作業機1は、上述した走行モータ(左用走行モータML、右用走行モータMR)及び油圧アクチュエータC5を有する走行装置10、油圧アクチュエータC1~C4を有する作業装置20、及び旋回モータMTなどにより作業を行う。走行モータ(左用走行モータML、右用走行モータMR)、旋回モータMT及び油圧アクチュエータC1~C5は、油圧機器Mに含まれる。走行装置10も電動作業機1に備わる作業装置である。
次に、電動作業機1の電気的構成について説明する。
【0026】
図1は、電動作業機1の電気ブロック図である。充電システムSは、電動作業機1と、外部の急速充電器200とを有する。
図1では、急速充電器200に充電ケーブル201を介して接続された電動作業機1が図示されている。
電動作業機1の操作装置5は、操作レバー5aとアンロードレバー5bとを有している。操作レバー5aとアンロードレバー5bは、運転席4に着座した作業者が操作可能になっている。また、操作装置5は、操作部5cを有している。
【0027】
制御装置7は、機体2又は保護機構6の内部に設けられていて、CPU7aと記憶部7bとを有している。CPU7aは、
図1に示すような、電動作業機1に備わる各部(電動モータ9、バッテリユニット30、インバータ38、各装置など)の動作を制御する。記憶部7bはメモリ等から構成されている。CPU7aが各部の動作を制御するための情報、データ、及びプログラム(例えば制御プログラム)などは、記憶部7bに読み書き可能に記憶されている。
【0028】
スタータスイッチ8は、保護機構6の内部に設けられ、運転席4に着座した作業者が操作可能になっている。スタータスイッチ8は、電動作業機1を始動させたり停止させたりするために、作業者によって操作される。詳しくは、スタータスイッチ8がオン操作されると、制御装置7は、電動作業機1に備わる各部を始動させる。また、スタータスイッチ8がオフ操作されると、制御装置7は、電動作業機1に備わる各部を停止させる。
【0029】
電動モータ9は、電動作業機1の駆動源であって、例えば永久磁石埋込式の三相交流同期モータから構成されている。インバータ38は、電動モータ9を駆動させるモータ駆動装置である。インバータ38は、電動モータ9及びジャンクションボックス39と接続されている。
ジャンクションボックス39は、インバータ38の他に、バッテリユニット30とDC-DCコンバータ40と充電口41とに接続されている。ジャンクションボックス39は、バッテリユニット30から出力された電力をインバータ38及びDC-DCコンバータ40に出力する。
【0030】
インバータ38は、バッテリユニット30からジャンクションボックス39を経由して入力された直流電力を三相交流電力に変換し、当該三相交流電力を電動モータ9に供給する。これにより、電動モータ9が駆動する。また、インバータ38は、電動モータ9に供給する電力の電流及び電圧を任意に調整可能である。制御装置7は、インバータ38の動作を制御して、電動モータ9を駆動させたり停止させたりする。
【0031】
DC-DCコンバータ40は、バッテリユニット30からジャンクションボックス39を経由して入力された直流電圧を、異なる電圧に変換する電圧変換装置である。本実施形態では、DC-DCコンバータ40は、バッテリユニット30の高電圧を、電動作業機1に備わる電装品に応じた所定の低電圧に変換する降圧コンバータである。DC-DCコンバータ40は、電圧変換後に低圧バッテリ33へ電力を供給する。上記電装品には、例えば制御装置7、後述するファンモータ35a、37a、42b及びその他の装置(接続検出装置41a、電動暖房装置42、電動冷房装置46、油温検出装置47、室温検出装置48、水温検出装置49、表示装置123等)が含まれている。
【0032】
充電口41(接続部)は、充電ケーブル201が接続可能である。例えば、充電口41は、充電ケーブル201のコネクタ202が嵌入されるレセプタクル(受け側のコネクタ)であり、接続検出装置41aを有している。充電口41には、充電ケーブル201を経由して外部の急速充電器200に接続される。接続検出装置41aは、充電口41に充電ケーブル201が接続されて、外部の急速充電器200が接続されたことを検出するセンサ等から成る。
【0033】
外部の急速充電器200は、大電流(例えば最大125アンペア程度)を出力可能な充電器であり、例えば、125アンペア×500ボルトの出力性能を有する。なお、急速充電器200は、上記の出力性能に限定されず、例えば400アンペア×1000ボルトの出力性能を有する充電器であってもよい。
図2に示すように、電動作業機1と急速充電器200とが充電ケーブル201で接続されると、例えば、既知の充電通信規格を用いて充電が実施される。本実施形態では、例えばCHAdeMO(登録商標)方式の充電通信規格を用いて充電される場合について説明する。充電ケーブル201は、電力線201a、CAN(Controller Area Network)信号線201b及びアナログ線201cを有する。
【0034】
例えば、急速充電器200は、アナログ線201cを介して、充電開始信号を電動作業機1に送信する。電動作業機1は、CAN信号線201bを介して、バッテリの情報を急速充電器200に送信する。急速充電器200は、CAN信号線201bを介して、急速充電器200の充電器情報(動作ステータス)を電動作業機1に送信する。電動作業機1は、アナログ線201cを介して、準備完了信号を急速充電器200に送信する。急速充電器200は、アナログ線201cを介して、充電許可信号を電動作業機1に送信する。電動作業機1は、CAN信号線201bを介して、充電パラメータ(電流指令値)を、予め定められた繰り返し周期(例えば100ms)ごとに、急速充電器200に送信する。急速充電器200は、電力線201aを介して、充電パラメータ(電流指令値)に従った直流電流を、電動作業機1のバッテリユニット30に出力する。電動作業機1は、充電完了又は異常停止の場合に、アナログ線201cを介して、充電停止要求を急速充電器200に送信する。なお、充電通信規格としては、CHAdeMO(登録商標)方式に限定されず、他の充電通信規格による充電方式を用いてもよい。
【0035】
ジャンクションボックス39は、外部の急速充電器200から充電ケーブル201を経由して充電口41より入力された電力を、バッテリユニット30に出力する。バッテリユニット30は、その充電口41からジャンクションボックス39を経由して入力された電力で充電される。
バッテリユニット30は、複数のバッテリ31、32を有している。各バッテリ31、32は、少なくとも1つのバッテリから構成されたリチウムイオン電池等の二次電池(蓄電池)である。各バッテリ31、32を複数のバッテリから構成した場合、当該複数のバッテリは電気的に直列及び/又は並列に接続される。また、各バッテリ31、32を構成するバッテリは、内部に複数のセルを有しており、当該複数のセルが電気的に直列及び/又は並列に接続されて構成されている。各バッテリ31、32は、電動作業機1の各部を所定時間稼働可能な電気容量を有している。バッテリ31、32同士は、並列に接続されている。
【0036】
本実施形態では、バッテリユニット30に2つのバッテリ31、32を設けているが、バッテリユニット30が有するバッテリの数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
各バッテリ31、32には、接続切替部31a、32aが設けられている。各接続切替部31a、32aは、例えばリレー又はスイッチ等から構成されていて、接続状態と遮断状態とに切り替わり可能である。
【0037】
制御装置7は、接続切替部31a、32aのうち、一方の接続切替部を接続状態に切り替えて、他方の接続切替部を遮断状態に切り替えることにより、複数のバッテリ31、32のうち、一方のバッテリからジャンクションボックス39に電力を出力し、他方のバッテリからの電力の出力を停止する。つまり、制御装置7は、各バッテリ31、32の電力の出力と出力停止とを制御する。
【0038】
また、制御装置7は、ジャンクションボックス39の内部の接続状態を切り替えて、各バッテリ31、32に対してインバータ38、DC-DCコンバータ40、又は充電口41を接続したり切断したりする。ジャンクションボックス39と接続切替部31a、32aとは、各バッテリ31、32に対するインバータ38、DC-DCコンバータ40、及び充電口41の接続と切断とを切り替える接続切替装置である。
【0039】
また、各バッテリ31、32には、BMU(battery management unit;バッテリ監視装置)31b、32bが設けられている。
図1では、BMU31b、32bは対応するバッテリ31、32内に設けられているが、バッテリ31、32の外部に設けられているとしてもよい。
BMU31bは、対応するバッテリ31を監視及び制御する。BMU32bは、対応するバッテリ32を監視及び制御する。具体的には、BMU31b、32bは、バッテリ31、32の内部に備わるリレーの開閉を制御して、バッテリ31、32からジャンクションボックス39への電力供給の開始及び停止を制御する。また、BMU31b、32bは、バッテリ31、32の状態を監視する。例えば、BMU31b、32bは、バッテリ31、32の温度、電圧、電流、又は内部のセルの端子電圧等を検出する。
【0040】
さらに、BMU31b、32bは、例えばバッテリ31、32の内部のセルの端子電圧に基づいて、電圧測定方式によりバッテリ31、32の残容量を検出する。なお、バッテリ31、32の残容量の検出方法は、電圧測定方式に限定されず、クーロン・カウンタ方式、電池セル・モデリング方式、インピーダンス・トラック方式などのような他の方式であってもよい。また、バッテリ31、32の残容量を検出する容量検出装置34を、BMU31b、32bとは別に設けてもよい。
【0041】
なお、本実施形態では、電動作業機1は、2つのBMU31b、32bを備えているが、1つのBMU31bのみとしてもよい。この場合には、1つのBMU31bがバッテリ31、32の両方を監視及び制御する。
低圧バッテリ33は、バッテリユニット30よりも低電圧の蓄電池である。低圧バッテリ33は、DC-DCコンバータ40から供給される電力により充電される。低圧バッテリ33は、電動作業機1に備わる電装品に電力を供給する。容量検出装置34は、低圧バッテリ33の残容量を検出する電気回路から成る。
【0042】
ラジエータ35は、電動モータ9、インバータ38、DC-DCコンバータ40、及びバッテリユニット30等の高発熱型の電気機器を冷却するための冷却水を冷却する。高発熱型の電気機器とは、電力で動作することにより、電動作業機1に備わる他の電気機器よりも高い熱を発する電気機器のことである。冷却水は、単なる水ではなく、例えば寒冷地でも凍らないような液体から構成されている。
【0043】
ラジエータ35は、ファンモータ35aと、当該ファンモータ35aの動力により回転駆動するラジエータファン35f及び熱交換部35b(後述の
図5に図示)を有している。ファンモータ35aは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
冷却用ポンプ36は、ラジエータ35及び上記の高発熱型の電気機器と共に、機体2内に配設された冷却水路(図示省略)に設けられている。冷却用ポンプ36は、その冷却水路に対して冷却水を吐出及び循環させる。
【0044】
オイルクーラ37は、前述した走行モータ(左用走行モータML、右用走行モータMR)旋回モータMT、油圧アクチュエータC1~C5、後述する油圧ポンプP1、P2及びコントロールバルブV(
図4等に図示)といった油圧機器を通過した作動油を冷却する。オイルクーラ37は、ファンモータ37aと、当該ファンモータ37aの動力により回転駆動するオイルクーラファン37f及び熱交換部37b(後述の
図5に図示)を有している。ファンモータ37aは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
【0045】
電動暖房装置42は、低圧バッテリ33の電力により駆動して、保護機構6の内部の暖房を行う。電動暖房装置42は、電気ヒータから構成され、電熱線42aとファンモータ42bと暖房ファン(図示省略)を有している。電熱線42aは、通電されることにより高熱を発する。ファンモータ42bは、暖房ファンを回転駆動させる。暖房ファンは、電熱線42aにより暖められた周囲の空気を保護機構6の内部に向かって送風する。ファンモータ42bは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
【0046】
電動冷房装置46は、例えばエアコンから構成されている。電動冷房装置46は、低圧バッテリ33の電力により駆動して、保護機構6の内部の冷房を行う。電動暖房装置42と電動冷房装置46とは、保護機構6の内部の空調を行う空調装置である。
油温検出装置47は、作動油の温度(油温)を検出するセンサから成る。室温検出装置48は、保護機構6の内部の温度(室温)を検出するセンサから成る。水温検出装置49は、冷却水の温度(水温)を検出するセンサから成る。
【0047】
制御装置7は、ファン制御部7cを有する。ファン制御部7cは、ラジエータ35のファンモータ35aの駆動を制御する。例えば、ファン制御部7cは、水温検出装置49が検出した冷却水の温度と予め設定された制御マップとに基づいて、冷却水の温度が、設定された温度を超えないように、ラジエータ35のファンモータ35aの駆動を制御する。また、ファン制御部7cは、油温検出装置47が検出した作動油の温度が所定値未満である場合、オイルクーラ37のファンモータ37aの駆動を停止させ、油温検出装置47が検出した作動油の温度が所定値以上である場合、予め設定された制御マップに基づいて、作動油の温度が設定された温度を超えないよう制御する。
【0048】
図3Aに示すように、操作部5cは、通常時において電動モータ9のモータ回転数の設定に用いられる操作スイッチ5c1である。操作スイッチ5c1は、例えば、回転数操作具であり、作業者からの設定値として、電動モータ9のモータ回転数の範囲(例えば、1500~2600rpm)内の任意の値を受け付け可能である。例えば、操作スイッチ5c1がカメのマークの位置を示す場合には、モータ回転数が最小値(例えば、1500rpm)であり、操作スイッチ5c1がウサギのマークの位置を示す場合には、モータ回転数が最大値(例えば、2600rpm)である。
【0049】
制御装置7は、充電ケーブル201が充電口41から外された状態では、操作部5c(例えば操作スイッチ5c1)に対する操作を、電動モータ9のモータ回転数の設定の操作として受け付ける。制御装置7は、回転数制御部7dを有している。回転数制御部7dは、操作スイッチ5c1によって設定されたモータ回転数で電動モータ9を回転制御する。
また、操作スイッチ5c1は、通常時以外の充電時には、充電パラメータを設定するために用いることが可能である。具体的には、制御装置7は、充電ケーブル201が充電口41に接続された状態では、操作部5c(例えば操作スイッチ5c1)に対する操作を、充電パラメータの設定の操作として受け付ける。充電パラメータは、電流値、充電時間、充電量及び充電速度のうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
上記したように、操作スイッチ5c1は、通常時には電動モータ9のモータ回転数を設定することが可能であり、充電時には充電パラメータを設定することが可能である。
図3Aに示すように、操作部5cは、表示器5c2を有する。表示器5c2は、例えば、発光ダイオードなどであり、通常時(モータ回転数の設定時)に消灯し、充電時(充電パラメータの設定時)に点灯する。なお、表示器5c2は、通常時(モータ回転数の設定時)に点灯し、充電時(充電パラメータの設定時)に消灯するものであってもよい。また、表示器5c2は、「通常状態」又は「充電状態」などの動作状態を表示する文字表示器であってもよい。また、操作部5cは、インジケータ表示器5c3を有する。インジケータ表示器5c3は、操作スイッチ5c1の操作位置を示す表示器である。インジケータ表示器5c3は、例えば、最小値から最大値までの設定範囲を複数に区分した単位メモリ表示が設けられており、最小値から操作スイッチ5c1の操作位置までの単位メモリ表示が点灯させる。
【0051】
制御装置7は、操作部5c(例えば操作スイッチ5c1)にて設定された充電パラメータによって、急速充電器200からバッテリユニット30に供給される電流値を変更する。具体的には、制御装置7は、充電時に、操作スイッチ5c1において設定された充電パラメータを、充電ケーブル201を介して外部の急速充電器200に出力する充電パラメータ指令部7eを有する。外部の急速充電器200は、充電パラメータ指令部7eから送信された充電パラメータに基づいて、電動作業機1のバッテリユニット30に供給する電流値(直流電流出力)を変更する。
BMU31b及びBMU32bは同じ構成であるため、BMU31bについて説明し、BMU32bの説明を省略する。つまり、以下に説明するBMU31bと制御装置7とバッテリ31とによる構成は、BMU32bと制御装置7とバッテリ32とによる構成と等価である。
【0052】
BMU31bは、バッテリ31の状態(例えば、バッテリ31の温度)に基づいて充電パラメータの許容範囲を決定することができる。例えば、充電パラメータが電流値の場合には、BMU31bは、バッテリ31の温度が、バッテリ31の使用制限温度(バッテリ31の温度上昇を抑制するために充電電流値及び/又は出力電流値の抑制が必要な温度として予め設定される温度)よりも十分に低い第1温度(例えば低温)である場合には、充電パラメータを第1値(例えば50アンペアの電流値)とし、第1値を上限とする第1許容範囲とし、バッテリ31の温度が、バッテリ31の使用制限温度よりも低く且つ第1温度よりも高い第2温度(例えば中温)である場合には、充電パラメータを第2値(例えば30アンペアの電流値)とし、第2値を上限とする第2許容範囲とする。なお、充電パラメータの許容範囲は2つに限らず、3つ以上としてもよい。第1値 及び第2値は上記の値に限定されず、例えば第1値が120アンペア程度、第2値が80アンペア程度であってもよく、第1許容範囲の第1値>第2許容範囲の第2値の関係を満たす値であればよい(以下同様)。このように、BMU31bは、バッテリ31の状態(例えば、バッテリ1の温度)に基づいて、充電パラメータの許容範囲を決定することができる。つまり、BMU31bは、急速充電器200の最大電流(例えば125アンペア)による充電を一律に実行させるのではなく、急速充電器200の出力電流値を適宜に調整した値とすることができる。
【0053】
また、充電パラメータが充電時間の場合には、BMU31bは、バッテリ31の温度が第1温度である場合には、充電パラメータを第1値(例えば60分)とし、第1値を上限とする第1許容範囲とし、バッテリ31の温度が第2温度である場合には、充電パラメータを第2値(例えば30分)とし、第2値を上限とする第2許容範囲とする。また、充電パラメータが充電量の場合には、BMU31bは、バッテリ31の温度が第1温度である場合には、充電パラメータを第1値(例えば、単位時間当たりの充電量を80%)とし、第1値を上限とする第1許容範囲とし、バッテリ31の温度が第2温度である場合には、充電パラメータを第2値(例えば、単位時間当たりの充電量を40%)とし、第2値を上限とする第2許容範囲とする。また、充電パラメータが充電速度の場合には、BMU31bは、バッテリ31の温度が第1温度である場合には、充電パラメータを第1値(例えば高速度)とし、第1値を上限とする第1許容範囲とし、バッテリ31の温度が第2温度である場合には、充電パラメータを第2値(例えば中速度)とし、第2値を上限とする第2許容範囲とする。
【0054】
制御装置7は、BMU31bにて決定された許容範囲を表示装置123に表示させ、 操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータが、許容範囲に含まれる場合には当該充電パラメータを急速充電器200に出力し、許容範囲に含まれない場合には当該充電パラメータを出力せず、再設定を促す表示を表示装置123に表示させることができる。
【0055】
制御装置7は、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータと、BMU31bが検出したバッテリ31の温度とを、表示装置123に表示させる。操作スイッチ5c1は、変更後の充電パラメータの設定が可能である。制御装置7(例えば充電パラメータ指令部7e)は、操作スイッチ5c1にて変更後の充電パラメータの設定があった場合に、変更後の充電パラメータを、充電ケーブル201を介して急速充電器200に出力する。
【0056】
制御装置7は、BMU31bが検出したバッテリ31の温度値が、バッテリ31の使用制限温度よりも低い設定温度以上になると、操作スイッチ5c1に設定された充電パラメータを、バッテリ31の温度を設定温度未満にするための変更後の充電パラメータに変更する。充電パラメータ指令部7eは、変更後の充電パラメータを、充電ケーブル201を介して急速充電器200に出力する。
【0057】
BMU31bは、バッテリ31の目標充電量と、バッテリ31の残容量と、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータと、単位時間当たりの充電容量とを用いて、充電予測時間を算出する。充電予測時間は、バッテリを前記目標充電量まで充電するのに要する時間である。制御装置7は、充電予測時間を表示装置123に表示させる。
BMU31bは、バッテリ31の温度、電流、電圧、残容量及び充電時間のうちの少なくとも1つ以上に基づいて、バッテリ31の充電停止要否を判定する。制御装置7(例えば充電パラメータ指令部7e)は、BMU31bによる充電停止要の判定があった場合に、急速充電器200に充電停止要求を出力する。
【0058】
次に、電動作業機1に備わる油圧回路について説明する。
図4は、電動作業機1に備わる油圧回路Kを示した図である。
油圧回路Kには、油圧アクチュエータC1~C5、走行モータ(左用走行モータML、右用走行モータMR)、旋回モータMT、コントロールバルブV、油圧ポンプP1、P2、作動油タンクT、オイルクーラ37、操作弁PV1~PV6、アンロード弁58、及び油路50等の油圧機器が設けられている。
油圧ポンプP1は作動用油圧ポンプであり、油圧ポンプP2はコントロール用油圧ポンプである。これらの油圧ポンプP1、P2は、電動モータ9の動力により駆動する。
【0059】
油圧ポンプP1(作動用油圧ポンプ)は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後、コントロールバルブVに向かって作動油を吐出する。
図4では、便宜上、油圧ポンプP1(作動用油圧ポンプ)を1つ図示しているが、これに限らず、各油圧アクチュエータC1~C5、走行モータ(左用走行モータML、右用走行モータMR)、旋回モータMTに作動油を供給可能に、油圧ポンプP1(作動用油圧ポンプ)を適宜数設ければよい。
油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後吐出することにより、信号用又は制御用等の油圧を出力する。即ち、油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)はパイロット油を供給(吐出)する。油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)も適宜数設ければよい。
コントロールバルブVは、複数の制御弁V1~V8を有している。各制御弁V1~V8は、油圧ポンプP1、P2から各油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTに出力する作動油の流量を制御(調整)する。
【0060】
具体的には、制御弁V1(スイング制御弁)は、油圧アクチュエータC1(スイングシリンダ)に供給する作動油の流量を制御する。制御弁V2(ブーム制御弁)は、油圧アクチュエータC2(ブームシリンダ)に供給する作動油の流量を制御する。制御弁V3(アーム制御弁)は、油圧アクチュエータC3(アームシリンダ)に供給する作動油の流量を制御する。制御弁V4(バケット制御弁)は、油圧アクチュエータC4(バケットシリンダ)に供給する作動油の流量を制御する。制御弁V5(ドーザ制御弁)は、油圧アクチュエータC5(ドーザシリンダ)に供給する作動油の流量を制御する。制御弁V6(左用走行制御弁)は、左用走行モータMLに供給する作動油の流量を制御する。制御弁V7(右用走行制御弁)は、右用走行モータMRに供給する作動油の流量を制御する。制御弁V8(旋回制御弁)は、旋回モータMTに供給する作動油の流量を制御する。
【0061】
操作弁PV1~PV6は、操作装置5に備わる各種の操作レバー5a(
図1)の操作に応じて作動する。各操作弁PV1~PV6の作動量(操作量)に比例して、パイロット油が各制御弁V1~V8に作用することで、各制御弁V1~V8のスプールが動かされる。そして、各制御弁V1~V8のスプールの動かされた量に比例する量の作動油が、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTに供給される。さらに、各油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTが、各制御弁V1~V8からの作動油の供給量に応じて駆動する。
【0062】
言い換えれば、操作レバー5aが操作されることで、制御弁V1~V8に作用する作動油(パイロット油)が調整されて、制御弁V1~V8が制御される。そして、制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTに供給される作動油の量が調整されて、油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTの駆動と停止とが制御される。
油路50は、例えばホース又は金属等の材料で形成された管から構成されている。油路50は、油圧回路Kに設けられた各部(油圧機器)を接続し、各部に対して作動油又はパイロット油を流す流路である。油路50には、第1油路51、第2油路52、第1吸引油路54、第2吸引油路55、及び制限油路57が含まれている。
【0063】
第1吸引油路54は、油圧ポンプP1(作動用油圧ポンプ)が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。第2吸引油路55は、油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。
第1油路51は、油圧ポンプP1(作動用油圧ポンプ)が吐出した作動油をコントロールバルブVの制御弁V1~V8に向かって流す流路である。第1油路51は、コントロールバルブV内で複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。
第2油路52は、制御弁V1~V8を通過した作動油を作動油タンクTに向かって流す流路である。作動油タンクTは作動油を貯留する。第2油路52には、往復油路52aと排出油路52bとが含まれている。
【0064】
往復油路52aは、各制御弁V1~V8と制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTとを2本1対で接続するように複数設けられている。往復油路52aは、接続された制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTに作動油を供給したり、油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTから制御弁V1~V8に作動油を戻したりする流路である。排出油路52bの一端側は複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。排出油路52bの他端部は、作動油タンクTに接続されている。
【0065】
第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の一部は、当該制御弁V1~V8を通過して往復油路52aの一方を通り、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTに供給される。そして、その油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTから排出された作動油は、往復油路52aの他方を通って接続された制御弁V1~V8に戻り、当該制御弁V1~V8を通過して、排出油路52bに流れる。
【0066】
また、第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の他部は、油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTへ供給されることなく、当該制御弁V1~V8を通過して排出油路52bに流れる。排出油路52bには、オイルクーラ37が設けられている。オイルクーラ37は、いずれかの制御弁V1~V8から排出油路52bを通って流れて来た作動油を冷却する。
オイルクーラ37で冷却された作動油は、排出油路52bを通って作動油タンクTに戻る。上述したように、油路54、51、52は、作動油を作動油タンクTと油圧ポンプP1とコントロールバルブVの制御弁V1~V8と(一部の作動油は油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTも)に対して循環させるように配設されている。
【0067】
制限油路57は、油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)が吐出した作動油を操作弁PV1~PV6に流す流路である。制限油路57の一端部は、油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)に接続され、他端側は複数に分岐して、各操作弁PV1~PV6の一次側のポート(一次ポート)に接続されている。
制限油路57には、アンロード弁58が設けられている。アンロード弁58は、油圧ポンプP1(作動用油圧ポンプ)から油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTに対する作動油の供給を遮断することにより、油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTの駆動、即ち作業装置20の駆動を禁止又は制限する。
【0068】
詳しくは、アンロード弁58は、作業者がアンロードレバー5bを操作することにより、供給位置と遮断位置とに切り換えられる。アンロード弁58が供給位置に切り替わることで、油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)から制限油路57に吐出された作動油が操作弁PV1~PV6に供給されて、制御弁V1~V8の操作が可能になる。またこれにより、油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMT、作業装置20、及び走行装置10の操作も可能となる。操作弁PV1~PV6から排出された作動油は、別の排出油路(図示省略)を通って作動油タンクTに戻る。
【0069】
対して、アンロード弁58が遮断位置に切り替わることで、油圧ポンプP2(コントロール用油圧ポンプ)から制限油路57に吐出された作動油が作動油タンクTに排出されて、操作弁PV1~PV6に供給されなくなり(供給停止)、制御弁V1~V8の操作が禁止又は制限される。またこれにより、油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMT、作業装置20、及び走行装置10の操作も禁止又は制限される。
【0070】
次に、電動作業機1の機体2内の配置を説明する。
図5は、電動作業機1の機体2内の配置例を示した図である。
図5では、機体2の内部を上方から見た状態を示している。機体2内において、コントロールバルブVは、旋回ベアリング3の前側(A1方向側)に配置されている。作動油タンクTは、旋回ベアリング3の右側で且つ油圧アクチュエータC1(スイングシリンダ)の上方に配置されている。旋回ベアリング3の後方A2には、仕切り板80が機体2の幅方向と平行に設けられている。仕切り板80は、機体2の内部空間を前後に仕切っている。
【0071】
仕切り板80の後ろ側(A2方向側)には、後部ルームRが設けられている。後部ルームR内には、バッテリユニット30、インバータ38、ジャンクションボックス39、DC-DCコンバータ40、油圧ポンプP1、P2、電動モータ9、ラジエータ35、オイルクーラ37等が設けられている。
バッテリユニット30が有するバッテリ31、32は、機体2の幅方向に並べて配置されている。インバータ38、ジャンクションボックス39、及びDC-DCコンバータ40は、バッテリ31、32の上方に配置されている。
【0072】
油圧ポンプP1、P2、電動モータ9、ラジエータ35、及びオイルクーラ37は、バッテリユニット30の右側に配置されている。電動モータ9は、油圧ポンプP1、P2の後ろ側に配置されている。ラジエータ35は、電動モータ9の上方に配置されている。ラジエータ35の熱交換部35bは、ラジエータファン35fよりバッテリユニット30側に配置されている。オイルクーラ37は、油圧ポンプP1、P2の上方に配置されている。オイルクーラ37の熱交換部37bは、オイルクーラファン37fよりバッテリユニット30側に配置されている。
【0073】
仕切り板80には、複数の貫通孔81、82、83が形成されている。貫通孔81、82、83には、例えば、油路50を構成するホース(図示省略)、電気配線等が挿通される。また、貫通孔81、82、83を通気口として使用してもよい。機体2の上方には、保護機構6(運転室4R)が搭載されている。
次に、外部の急速充電器200を用いた電動作業機1の充電手順などについて説明する。ここでは、BMU31bは、バッテリ31の残容量の検出値が規定値以下になったと判定し、バッテリ31の残容量が少ないことを示す低容量信号を制御装置7に出力したとする。また、バッテリ32の残容量の検出値が規定値を超えており、BMU32bは制御装置7に低容量信号を出力していないとする。制御装置7は、BMU31bからの低容量信号に基づいて、
図6Aに示すように、電動作業機1の表示装置123に、充電を示唆するメッセージM1を表示させる。メッセージM1は、例えば、充電してくださいというメッセージである。
【0074】
表示装置123は、
図6Aに示すように、冷却水温度表示部123aを有する。冷却水温度表示部123aは、水温検出装置49にて検出された冷却水の温度を表示する。
また、表示装置123は、
図6Aに示すように、バッテリ残容量表示部123bを有する。バッテリ残容量表示部123bは、BMU31bにて検出されたバッテリユニット30(例えばバッテリ31、32)の残容量を表示する。例えば、バッテリ残容量表示部123bは、バッテリ31、32のうちで残容量が少ないバッテリの残容量を表示する。ここでは、バッテリ31の残容量が少ないため、バッテリ31の残容量が表示されている。なお、バッテリ残容量表示部123bには、操作装置5の選択操作に従って、バッテリ31、32の残容量を切り替えるとしてもよい。また、バッテリ残容量表示部123bは、バッテリ31、32の合計についての残容量が表示されるとしてもよい。
【0075】
制御装置7は、BMU31bからの低容量信号を受信すると、
図7A示す充電開始処理を実行する。
図7Aは、外部の急速充電器200を用いた電動作業機1の充電開始処理の一例を示すフローチャートである。具体的には、
図1の制御装置7のCPU7aが、記憶部7bに予め記憶された制御プログラムを実行することにより、制御装置7による
図7A示す充電開始処理が開始される。
制御装置7は、充電ケーブルの接続の有無を判定する(S1)。作業者は、
図2に示すように、外部の急速充電器200と電動作業機1とを充電ケーブル201で接続された状態にする。具体的には、作業者は、外部の急速充電器200に接続された充電ケーブル201のコネクタ202を、電動作業機1の充電口41に接続する。
【0076】
接続検出装置41aは、充電口41に充電ケーブル201が接続された状態では、接続検出信号を制御装置7に出力し、充電口41に充電ケーブル201が接続されていない場合には、接続検出信号を制御装置7に出力しない。制御装置7は、充電口41に充電ケーブル201が接続された場合(S1でYes)、充電モードに設定する(S2)。制御装置7は、例えば、
図6Bに示す充電モード画面を表示装置123に表示させる。制御装置7は、充電モードを設定すると、
図6Aに示す冷却水温度表示部123aに替えて、
図6Bに示すバッテリ温度表示部123cを表示装置123に表示させる。バッテリ温度表示部123cは、BMU31bにて検出されたバッテリユニット30(例えばバッテリ31)の温度を表示する。ここでは、バッテリ31の残容量が少ないため、バッテリ31の残容量が表示されている。
一方、制御装置7は、充電口41に充電ケーブル201が接続されていない場合(S1でNo)、S1に戻り、充電ケーブル201の接続があるまで待機する。
S2のあと、制御装置7は、外部の急速充電器200に対してCAN(Controller Area Network)通信を行う(S3)。
【0077】
具体的には、急速充電器200は、充電開始信号を、充電ケーブル201のアナログ線201cを通じて電動作業機1に送信する。電動作業機1の制御装置7は、急速充電器200からの充電開始信号を受信すると、CAN信号線201bを通じてCAN通信を開始し、バッテリ31の情報(例えば、バッテリ31の最大電圧、残容量、最大充電時間など)を、CAN信号線201bを通じて急速充電器200に送信する。急速充電器200は、充電器情報(例えば、最大電圧、最大電流(例えば125アンペア)、異常判定値など)を、CAN信号線201bを通じて電動作業機1に送信する。電動作業機1の制御装置7は、充電器情報に基づいて、急速充電器200の適合性(急速充電器200がバッテリ31の充電に適合するか否か)を判定する。制御装置7は、適合すると判定すると、準備完了信号を、アナログ線201cを介して急速充電器200に送信する。急速充電器200は、準備完了信号を受信すると、絶縁診断を実施し、絶縁診断が良好の場合に、充電許可信号を、アナログ線201cを介して電動作業機1に送信する。
【0078】
S3のあと、制御装置7は、充電パラメータの許容範囲を表示装置123に表示する(S4)。具体的には、BMU31bは、バッテリ31の状態(バッテリ31の温度など)に基づいて充電パラメータの許容範囲を決定する。例えば、充電パラメータが電流値の場合には、BMU31bは、バッテリ31の温度が、バッテリ31の使用制限温度よりも十分に低い第1温度(例えば低温)である場合には、充電パラメータの許容範囲を、第1値(例えば50アンペアの電流値)を上限とする第1許容範囲とし、バッテリ31の温度が、バッテリ31の使用制限温度よりも低く且つ第1温度よりも高い第2温度(例えば中温)である場合には、充電パラメータの許容範囲を、第2値(例えば30アンペアの電流値)を上限とする第2許容範囲とする。制御装置7は、BMU31bにて決定された充電パラメータの許容範囲を取得する。ここでは、充電パラメータの許容範囲として、上限が第1値(例えば50アンペアの電流値)である第1許容範囲が決定されたとする。そして、制御装置7は、BMU31bが決定した充電パラメータの許容範囲を取得し、表示装置123に表示させる。制御装置7は、
図6Bに示すように、充電パラメータの許容範囲を示すメッセージM2(「許容範囲:50アンペア以下」のメッセージ)を、表示装置123に表示させる。
【0079】
S4のあと、制御装置7は、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータが、許容範囲に含まれるか否かを判定する(S5)。制御装置7は、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータ(例えば電流値)を表示装置123の表示欄F1に表示させ、表示欄F1に表示された充電パラメータ(例えば電流値)が、許容範囲に含まれる場合(S5でYes)、充電パラメータの設定を受け付け(S6)、当該充電パラメータを急速充電器200に出力する。ここでは、上限が第1値(例えば50アンペアの電流値)である第1許容範囲が決定されているので、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータが、50アンペア以下の電流値を示す充電パラメータであれば、制御装置7は、充電パラメータを設定する。ここでは、操作スイッチ5c1の操作により、充電パラメータとして、50アンペアの電流値が設定されたとし、表示装置123の表示欄F1に表示されている。
【0080】
一方、制御装置7は、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータが、許容範囲に含まれない場合(S5でNo)、当該充電パラメータを出力せず、再設定を促す表示を表示装置123に表示させて、S5に戻る。例えば、50アンペアを超える電流値(例えば100アンペア)が操作スイッチ5c1にて設定された場合には、制御装置7は、表示装置123に、「50アンペア以下の電流値を設定してください」という注意メッセージを表示させ、100アンペアの電流値を示す充電パラメータを急速充電器200に出力しない。
【0081】
S6のあと、制御装置7は、充電制御を実行する(S7)。充電制御(S7)について、
図7Bを用いて説明する。
図7Bは、電動作業機の充電制御の一例を示すフローチャートである。
制御装置7は、S6において、操作スイッチ5c1の操作によって設定された充電パラメータとして、50アンペアの電流値を、CAN信号線201bを通じて急速充電器200に送信する(S71)。
【0082】
制御装置7は、BMU31bが検出したバッテリ31の温度値が、バッテリ31の使用制限温度よりも低い設定温度以上であるか否かを判定する(S72)。制御装置7は、バッテリ31の温度値が設定温度未満である場合(S72でNo)、送信タイミングであるか否かを判定する(S73)。送信タイミングは、前回の充電パラメータ(ここでは、50アンペアの電流値)の送信時点から、予め定められた期間(例えば100ms)が経過したタイミングであり、周期的に繰り返し到来するタイミングである。制御装置7が有するカウンタ機能により、送信タイミングの到来を毎回検出することができる。制御装置7は、送信タイミングであれば(S73でYes)、充電パラメータ(ここでも50アンペアの電流値)を、CAN信号線201bを通じて急速充電器200に送信する(S74)。
【0083】
一方、制御装置7は、送信タイミングでなければ(S73でNo)、BMU31bが検出したバッテリ31の状態が異常であるか否かを判定する(S77)。バッテリ31の状態の異常としては、バッテリ31の温度異常、電流異常、電圧異常などがある。制御装置7は、BMU31bが検出したバッテリ31の状態が異常でない場合(S77でNo)、S73に戻る。
制御装置7は、バッテリ31の状態が異常である場合(S77でYes)、充電停止要求を、CAN信号線201bを通じて急速充電器200に送信し、急速充電器200による直流電流出力を停止させ、充電停止させる(S82)。S82において、制御装置7は、充電停止させたメッセージを、表示装置123に表示させてもよい。S82のあと、制御装置7は、本処理を終了させる。
【0084】
ところで、S74のあと、制御装置7は、BMU31bが算出した予測充電時間を表示装置123に表示させる(S75)。ここでは、バッテリ31の目標充電量(例えば、80%)が予め設定されているとする。具体的には、BMU31bは、バッテリ31の目標充電量と、バッテリ31の残容量と、操作部5cにて設定された充電パラメータと、単位時間当たりの充電容量とを用いて、予測充電時間を算出する。例えば、BMU31bは、目標充電量(例えば80%)と残容量(例えば20%)との差分(例えば60%)を算出する。そして、BMU31bは、充電パラメータ(50アンペアの電流値)を用いて単位時間当たりの充電容量を算出する。ここでは、単位時間(例えば、分)当たりの充電容量が「1%」であったとする。そして、BMU31bは、差分(例えば60%)を単位時間当たりの充電容量(1%)で割ることで、60分と算出する。制御装置7は、BMU31bが算出した予測充電時間(例えば60分)を取得する。制御装置7は、BMU31bから取得した予測充電時間を、表示装置123に表示させる。制御装置7は、
図6Bに示すように、予測充電時間を示すメッセージM3(「80%まで残り60分」のメッセージ)を、表示装置123に表示させる。
【0085】
制御装置7は、BMU31bが検出したバッテリ31の状態に基づいて、充電完了するか否かを判定する(S76)。前述したようにバッテリ31の目標充電量(例えば、80%)が予め設定されており、制御装置7は、バッテリ31の充電量が目標充電量(例えば、80%)に到達した場合(言い換えれば、バッテリ31の残容量が80%に到達した場合)には、充電完了と判定し(S76でYes)、本処理を終了させる。なお、バッテリ31の目標充電時間(例えば、60分)が予め設定されている場合には、制御装置7は、バッテリ31の充電時間が目標充電時間(例えば、60分)に到達した場合には、充電完了と判定し(S76でYes)、本処理を終了させる。
【0086】
なお、バッテリ31の目標充電量が例えば100%に設定されている場合、つまり、満充電の設定とされている場合、制御装置7は、BMU31bがバッテリ31の満充電(残容量が「100%」)を検出すると、充電完了と判定し(S76でYes)、本処理を終了させる。
一方、制御装置7は、BMU31bがバッテリ31の充電量が目標充電量(例えば、80%)に到達していない場合には、充電完了でないと判定し(S76でNo)、S72に戻る。なお、バッテリ31の目標充電量(例えば、100%)が予め設定されている場合、つまり、満充電が設定されている場合、制御装置7は、BMU31bがバッテリ31の満充電(残容量が「100%」)を検出していない場合には、充電完了でないと判定し(S76でNo)、S72に戻る。
【0087】
ところで、充電開始から例えば30分程度経過し、急速充電器200による充電により、バッテリ31の温度が上昇したとする。
図6Cに示すように、バッテリ温度表示部123cは、バッテリ31の温度が高温に近づいた表示となっている。S72において、制御装置7は、バッテリ31の温度値が設定温度以上である場合(S72でYes)、変更後の充電パラメータを設定する(S78)。具体的には、制御装置7は、バッテリ31の温度値が設定温度以上である場合(S72でYes)、
図6Cに示すように、変更後の充電パラメータの設定を促すメッセージM4を表示させる。メッセージM4は、例えば「電流値を変更して下さい」というメッセージである。
【0088】
BMU31bは、バッテリ31の温度が、バッテリ31の使用制限温度よりも低く且つ第1温度よりも高い第2温度(例えば中温)である場合には、充電パラメータを第2値(例えば30アンペアの電流値)とし、第2値を上限とする第2許容範囲とする。制御装置7は、BMU31bにて決定された充電パラメータの許容範囲を取得する。ここでは、充電パラメータの許容範囲として、上限が第2値(例えば30アンペアの電流値)である第2許容範囲が決定されたとする。そして、制御装置7は、BMU31bが決定した充電パラメータの許容範囲を取得し、表示装置123に表示させる。制御装置7は、
図6Cに示すように、充電パラメータの許容範囲を示すメッセージM5(「許容範囲:30アンペア以下」のメッセージ)を、表示装置123に表示させる。
【0089】
制御装置7は、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータが、許容範囲に含まれるか否かを判定する。制御装置7は、操作スイッチ5c1にて設定された充電パラメータが、許容範囲に含まれる場合、変更後の充電パラメータの設定を受け付ける(S78)。ここでは、上限が第2値(例えば30アンペアの電流値)である第2許容範囲が決定されているので、操作スイッチ5c1にて設定された変更後の充電パラメータが、30アンペア以下の電流値であれば、制御装置7は、変更後の充電パラメータを設定する。ここでは、操作スイッチ5c1の操作により、変更後の充電パラメータとして、30アンペアの電流値が設定されたとする。制御装置7は、
図6Dに示すように、変更後の充電パラメータとして30アンペアの電流値を、表示装置123の表示欄F1に表示させる。
【0090】
なお、制御装置7は、操作スイッチ5c1にて設定された変更後の充電パラメータが、許容範囲に含まれない場合(つまり、30アンペアを超える電流値が指定されている場合)、許容範囲に含まれる変更後の充電パラメータ(例えば30アンペア以下の電流値)が設定されるまで、S78が維持される。
S78では、制御装置7は、作業者による操作スイッチ5c1の操作によって、変更後の充電パラメータの設定を行っているが、これに限定されない。例えば、制御装置7は、作業者による操作スイッチ5c1の操作によらず、第2許容範囲の上限の第2値(例えば30アンペアの電流値)に強制的に設定するようにしてもよい。この場合には、作業者による設定操作の手間を省くことができ、利便性に優れる。
【0091】
制御装置7は、送信タイミングであるか否かを判定する(S79)。制御装置7は、送信タイミングであれば(S79でYes)、変更後の充電パラメータ(30アンペアの電流値)を、CAN信号線201bを通じて急速充電器200に送信する(S80)。
S80のあと、制御装置7は、BMU31bが算出した予測充電時間を表示装置123に表示させる(S75)。ここでは、予測充電時間が「45分」であると算出されたとする。制御装置7は、BMU31bが算出した予測充電時間(例えば45分)を取得する。制御装置7は、BMU31bから取得した予測充電時間を、表示装置123に表示させる。制御装置7は、
図6Dに示すように、予測充電時間を示すメッセージM6(「80%まで残り40分」のメッセージ)を、表示装置123に表示させる。
【0092】
一方、制御装置7は、送信タイミングでなければ(S79でNo)、BMU31bが検出したバッテリ31の状態が異常であるか否かを判定する(S81)。バッテリ31の状態の異常としては、バッテリ31の温度異常、電流異常、電圧異常などがある。制御装置7は、BMU31bが検出したバッテリ31の状態が異常でない場合(S81でNo)、S79に戻る。
制御装置7は、バッテリ31の状態が異常である場合(S81でYes)、充電停止要求を、CAN信号線201bを通じて急速充電器200に送信し、急速充電器200による直流電流出力を停止させ、充電停止させる(S82)。S82のあと、制御装置7は、本処理を終了させる。
本実施形態の電動作業機1は、以下の効果を奏する。
【0093】
本実施形態の電動作業機1は、電動モータ9(電動アクチュエータ)と、電動モータ9に電力を供給するバッテリ31を有するバッテリユニット30と、電動モータ9の駆動力を用いて動作する作業装置20と、外部の急速充電器200に充電ケーブル201を介して接続される充電口41(接続部)と、充電パラメータを設定する操作部5cと、操作部5cにて設定された充電パラメータによって、急速充電器200からバッテリユニット30に供給される電流値を変更する制御装置7と、を備えている。この構成によれば、操作部5cにて設定された充電パラメータによって変更された急速充電器200の電流値でバッテリユニット30のバッテリ31への充電を行うことができる。すなわち、外部の急速充電器200による急速充電が固定的に実施されるのではなく、作業者が指示した充電パラメータによる充電を実施することができる。このため、充電後の作業に支障をきたすことがない充電パラメータの設定を行うことができる。よって、作業者が電動作業機1の状態や使用形態等に応じて充電パラメータを適宜設定できるので、電動作業機1において充電後の作業に支障をきたすことを低減することができる。
【0094】
また、操作部5cは、急速充電器200に指示するための充電パラメータを設定し、制御装置7は、操作部5cにて設定された充電パラメータを急速充電器200に出力する。この構成によれば、電動作業機1から外部の急速充電器200に指示した充電パラメータで急速充電器200によるバッテリユニット30のバッテリ31への充電を行うことができる。
【0095】
また、表示装置123を備え、バッテリユニット30は、バッテリ31の状態を監視するバッテリ監視装置31bを備え、バッテリ監視装置31bは、バッテリ31の状態に基づいて充電パラメータの許容範囲を決定し、制御装置7は、バッテリ監視装置31bにて決定された許容範囲を表示装置123に表示させ、操作部5cは、充電パラメータを許容範囲内で設定可能である。この構成によれば、充電パラメータの許容範囲が表示装置123に表示されるので、作業者は、許容範囲に含まれる充電パラメータの設定を行うことができる。また、操作部5cにて設定された充電パラメータが、許容範囲に含まれる場合には当該充電パラメータを急速充電器200に出力し、許容範囲に含まれない場合には当該充電パラメータを出力せず、再設定を促す表示を表示装置123に表示させるので、許容範囲に含まれない充電パラメータは出力されず、充電パラメータの再設定を促す表示がされるので、不適切な充電パラメータの設定を排除することができる。
【0096】
また、表示装置123を備え、バッテリユニット30は、バッテリ31の状態を監視するバッテリ監視装置31bを備え、バッテリ監視装置31bは、バッテリ31の状態として少なくともバッテリ31の温度を検出し、制御装置7は、操作部5cにて設定された充電パラメータと、バッテリ監視装置31bが検出したバッテリ31の温度とを、表示装置123に表示させ、操作部5cは、充電パラメータの設定変更が可能である。
この構成によれば、作業者は、表示装置123に表示されたバッテリ31の温度を見て、充電パラメータを変更することができる。充電パラメータが変更された場合には、急速充電器200が変更後の充電パラメータに従ってバッテリユニット30のバッテリ31を充電するので、バッテリ31の温度が高い場合には、充電パラメータの値を小さくすることで、バッテリ31の温度の上昇を抑制することができる。一方、バッテリ31の温度が低い場合には、充電パラメータの値を大きくすることで、充電時間を短縮することができる。つまり、バッテリ31の温度との関係で充電パラメータを適宜に変更することができる。
【0097】
また、制御装置7は、バッテリ監視装置31bが検出したバッテリ31の温度値が、バッテリ31の使用制限温度よりも低い温度に設定される設定温度以上になると、操作部5cに設定された充電パラメータを、バッテリ31の温度を設定温度未満にするための変更後の充電パラメータに変更する。この構成によれば、バッテリ31の温度が設定温度未満になるようにバッテリ31を充電するので、バッテリ31の充電完了時に、バッテリ31が使用制限温度以上になっていることを防止できる。このため、充電完了直後に電動作業機1による作業を行う場合に、高温による出力調整を起こり難くすることができる。つまり、バッテリ31の充電完了直後から、電動作業機1を十分に使用することができる。例えば、一般的な電動作業機では、バッテリ31の急速充電により、バッテリ31の充電完了直後に、バッテリ31が高温(使用制限温度)になっていることがある。バッテリ31の充電完了直後に、バッテリ31が高温である場合には、電動モータ9の出力調整がかかり、電動作業機の動作が制限或いは停止されることになるため、充電後の作業に支障をきたしてしまうという問題がある。これに対して、本実施形態の電動作業機1では、このような問題の発生を未然に防止することができる。
【0098】
また、バッテリ監視装置31bは、バッテリ31の目標充電量と、バッテリ31の残容量と、操作部5cにて設定された充電パラメータと、単位時間当たりの充電容量とを用いて、バッテリ31を目標充電量まで充電するのに要する時間である充電予測時間を算出し、制御装置7は、充電予測時間を表示装置123に表示させる。この構成によれば、作業者は表示装置123の充電予測時間を確認することができる。
【0099】
また、バッテリ監視装置31bは、バッテリ31の温度、電流、電圧、残容量及び充電時間のうちの少なくとも1つ以上に基づいて、バッテリ31の充電停止要否を判定し、制御装置7は、バッテリ監視装置31bによる充電停止要の判定があった場合に、急速充電器200に充電停止要求を出力する。この構成によれば、バッテリ監視装置31bによるバッテリ31の状態の監視結果に基づいて、急速充電器200による充電を停 止させることができる。
【0100】
また、電動アクチュエータは電動モータ9であり、電動モータ9に駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプP1と、油圧ポンプP1からの作動油によって駆動される油圧機器Mと、油圧機器Mにより動作する作業装置20とを備え、操作部5cは、通常時には電動モータ9のモータ回転数の設定に用いられるものであり、通常時以外の充電時には充電パラメータを設定するために用いられるものである。この構成によれば、モータ回転数を設定する操作部5cを充電パラメータの設定に兼用することができ、追加部品が不要であり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0101】
また、制御装置7は、充電ケーブル201が充電口41に接続された状態では、操作部5cに対する操作を、充電パラメータの設定の操作として受け付け、充電ケーブル201が充電口41から外された状態では、操作部5cに対する操作を、電動モータ9のモータ回転数の設定の操作として受け付ける。この構成によれば、充電ケーブル201が充電口41に接続されると、操作部5cにおいて充電パラメータの設定が可能になるので、操作部5cを手間なく充電パラメータの設定機能に切り替えることができる。一方、充電ケーブル201が充電口41から外されると、操作部5cにおいて電動モータ9のモータ回転数の設定が可能になるので、操作部5cを簡単に元の機能(電動モータ9のモータ回転数の設定機能)に戻すことができる。
【0102】
また、操作部5cは、通常時には電動モータ9のモータ回転数を設定する操作スイッ チ5c1であり、通常時以外の充電時には操作スイッチ5c1が充電パラメータを設定するために用いられる。この構成によれば、モータ回転数を設定する操作スイッチ5c1を充電パラメータの設定に兼用することができ、追加部品が不要であり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0103】
なお本実施形態では、操作部5cにて設定された充電パラメータが電流値であることを例に挙げて説明しているが、これに限定されない。例えば、操作部5cにて設定された充電パラメータとしては、電流値、充電時間、充電量及び充電速度のうちの少なくとも1つを含むとしてもよい。この場合には、充電パラメータとして、電流値、充電時間充電量及び充電速度(例えば高速度、中速度、低速度など)のうちの少なくとも1つを設定することができ、作業者のニーズに応じた充電パラメータの内容(つまり、電流値、充電時間、充電量及び充電速度のうちの少なくとも1つ)を選択することができ、操作性の自由度を向上させることができる。
【0104】
<変形例1>
変形例1の電動作業機1では、制御装置7は、アンロード弁58が遮断位置にされる と、操作部5cに対する操作を、充電パラメータの設定の操作として受け付け、アンロード弁58が供給位置にされると、操作部5cに対する操作を、電動モータ9のモータ回転数の設定の操作として受け付ける構成としてもよい。つまり、制御装置7は、アンロード弁58が供給位置にある場合には急速充電器200からバッテリユニット30への電流供給を行わないとしてもよい。
【0105】
変形例1の構成によれば、アンロード弁58が遮断位置にあるときに限り、急速充電器200からバッテリユニット30への電流供給を行うことができる。具体的には、アンロード弁58が遮断位置にされると、操作部5cにおいて充電パラメータの設定が可能になるので、操作部5cを手間なく充電パラメータの設定機能に切り替えることができる。一方、アンロード弁58が供給位置にされると、操作部5cにおいて電動モータ9のモータ回転数の設定が可能になるので、操作部5cを簡単に元の機能(電動モータ9のモータ回転数の設定機能)に戻すことができる。
【0106】
<変形例2>
変形例2の電動作業機1は、充電パラメータの設定が可能になる直前の操作スイッチ 5c1が示すモータ回転数を直前設定値として記憶する記憶部7bを備え、制御装置7 は、操作スイッチ5c1において電動モータ9のモータ回転数の設定が可能になると、記憶部7bに記憶された直前設定値を表示装置123に表示させる構成としてもよい。
図3Bに示すように、制御装置7は、記憶部7bに記憶された直前設定値を示すレベル 表示LV1を表示装置123に表示させる。つまり、電動モータ9のモータ回転数の設定時の操作スイッチ5c1の設定がレベル表示LV1の位置であったことが、表示される。
【0107】
変形例2の構成によれば、操作スイッチ5c1が充電パラメータの設定機能から電動モータ9のモータ回転数の設定機能(つまり、元の機能)に戻ったときに、元のモータ回転数の設定値(直前設定値)を作業者に報知することができ、操作スイッチ5c1を元の機能で使用する際に作業者をサポートすることができる。
【0108】
<変形例3>
変形例3の電動作業機1を
図8に示す。
図8は、変形例3の電動作業機1の電気ブロ ック図である。変形例3の電動作業機1では、操作部5cは、表示パネル124aと、表示パネル124aの前面に位置するタッチパネル124bとを有する表示装置124であり、通常時には電動モータ9のモータ回転数の設定が可能であり、通常時以外の充電時には充電パラメータの設定が可能としている。例えば、表示装置124は、
図6A~
図6Dに示した表示装置123にタッチパネル機能を持たせて、操作スイッチ5c1に対応する画像表示を表示させる構成としてもよい。
変形例3の電動作業機1によれば、タッチパネル機能を有する表示装置124を、モータ回転数の設定以外に、充電パラメータの設定にも活用することができ、操作性に優れる。
【0109】
<変形例4>
変形例4の電動作業機1では、制御装置7は、急速充電器200からバッテリユニット30への電流供給中はバッテリ31から電動モータ9(電動アクチュエータ)への電力供給を停止させる。例えば、制御装置7は、充電ケーブル201が充電口41に接続されると、充電モードを選択するための選択画面を表示装置123に表示させ、充電モードが選択されると、電動モータ9を停止させ、充電モードが終了するまで電動モータ9の停止を維持する。
【0110】
変形例4の電動作業機1によれば、バッテリ充電時の安全性を確保することができる。例えば、制御装置7は、充電ケーブル201が充電口41に接続されると、充電モードを選択するための選択画面を表示装置123に表示させ、充電モードが選択されると、電動モータ9を停止させ、充電モードが終了するまで電動モータ9の停止を維持する。この場合には、電動モータ9を停止させた後に、バッテリユニット30のバッテリ31への充電が開始され、充電モードでは電動モータ9の停止が維持されるので、充電時に電動作業機1が動作することを防止でき、バッテリ充電時の安全性を確保することができる。
【0111】
さらに、以上の実施形態及び変形例では、バッテリ31、32からの電力で電動モータ9を駆動させ、電動モータ9の動力で油圧ポンプP1、P2を駆動させ、油圧ポンプP1、P2から吐出される作動油により油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTを駆動させ、油圧アクチュエータC1~C5、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTの動力で作業装置20、走行装置10を駆動させる構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、作業装置20、走行装置10に備えるアクチュエータのうち一部又は全部を電動アクチュエータで構成し、当該電動アクチュエータをバッテリ31、32の電力で駆動させて、当該電動アクチュエータの動力で作業装置20、走行装置10を駆動させる構成にしてもよい。例えば、全アクチュエータを電動アクチュエータにする構成の他、油圧ポンプ駆動用の電動モータ及び旋回電動モータの少なくとも1つを有する構成であってもよい。
【0112】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態及び変形例では、本発明をバックホー等の電動作業機1に適用する場合の例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限らず、例えば、ホイールローダ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等の他の建設機械に適用してもよく、トラクター、コンバイン、田植機、芝刈機等の農業機械に適用してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 電動作業機
5b アンロードレバー
5c 操作部
5c1 操作スイッチ
7 制御装置
7b 記憶部
9 電動モータ(電動アクチュエータ)
10 走行装置(作業装置)
20 作業装置
30 バッテリユニット
31 バッテリ
31b BMU(バッテリ監視装置)
32 バッテリ
32b BMU(バッテリ監視装置)
41 充電口
58 アンロード弁
123 表示装置
124 表示装置
124a 表示パネル
124b タッチパネル
200 急速充電器
201 充電ケーブル
P1 油圧ポンプ
M 油圧機器