(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-02
(45)【発行日】2025-05-14
(54)【発明の名称】電池モジュール、電池及び電池モジュールの組立方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20250507BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20250507BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/103
(21)【出願番号】P 2023532278
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 CN2021131553
(87)【国際公開番号】W WO2022111378
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】202011356339.7
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】胡世超
(72)【発明者】
【氏名】蒋一苗
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-127368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付空間を画定するケースと、
前記取付空間内に設置された少なくとも1つの電極体群と、
前記電極体群に接続され、かつ、前記取付空間内に位置する接着剤貯蔵構造であって、前記接着剤貯蔵構造は一端が開放された第1の接着剤貯蔵槽を含み、前記第1の接着剤貯蔵槽の開放端は、前記ケースの頂壁又は底壁から離間されている、接着剤貯蔵構造と、を含み、
前記接着剤貯蔵構造の外面に、第2の接着剤貯蔵槽が設置され、前記第2の接着剤貯蔵槽は、接着剤を貯蔵することにより前記接着剤貯蔵構造を前記電極体群に接続する、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記電極体群は、複数であり、複数の前記電極体群は、前記電極体群の長さ方向において順に配列され、
少なくとも2つの隣接する前記電極体群の間、及び/又は前記電極体群と前記ケースとの間に、前記接着剤貯蔵構造が設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記接着剤貯蔵構造は、少なくとも1つの前記電極体群の高さ方向に延在する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記接着剤貯蔵構造は、前記電池モジュールの幅方向において、互いに反対側に位置する第1表面及び第2表面を有し、前記第1表面、及び/又は、前記第2表面に、前記第2の接着剤貯蔵槽が設置される、ことを特徴とする請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
電池モジュールであって、
取付空間を画定するケースと、
前記取付空間内に設置された少なくとも1つの電極体群と、
前記電極体群に接続され、かつ、前記取付空間内に位置する接着剤貯蔵構造であって、前記接着剤貯蔵構造は一端が開放された第1の接着剤貯蔵槽を含み、前記第1の接着剤貯蔵槽の開放端は、前記ケースの頂壁又は底壁から離間されている、接着剤貯蔵構造と、を含み、
前記電池モジュールの長さ方向において取付空間の長さがLであり、前記電池モジュールの幅方向において取付空間の幅がAであり、前記電池モジュールの高さ方向において前記電極体群と前記ケースとの間の間隔距離がBであり、前記接着剤貯蔵構造の接着剤総貯蔵量がQとしたとき、関係式、
Q=L×A×B
を満たす、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項6】
前記接着剤貯蔵構造は、前記ケース内に均一に配置され、数量がNであり、それぞれの接着剤貯蔵量がQ
1であるとしたとき、関係式、
Q
1=(L×A×B)/N
を満たす、ことを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
Bは、関係式の0.5mm≦B≦5mmを満たす、ことを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項8】
Bは、関係式:1mm≦B≦3mmを満たす、ことを特徴とする請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記電極体群は、少なくとも1つの電極体を含み、前記電池モジュールの幅方向は、前記電極体の厚さ方向と同じである、ことを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項10】
少なくとも1つの前記電極体は、前記電池モジュールの幅方向において順に配列されて前記電極体群を形成し、前記電極体の厚さ方向に任意の2つの隣接して設置された前記電極体の対向する側壁は、互いに当接する、ことを特徴とする請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
各前記電極体群に同じ個数及び同じ厚さの前記電極体が設置される、ことを特徴とする請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記接着剤貯蔵構造は、角柱状又は円柱状である、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記接着剤貯蔵構造は、複数であり、複数の前記接着剤貯蔵構造は、前記電極体群の長さ方向において順に間隔を置いて設置され、任意の隣接する2つの前記電極体群の間、及び/又は、前記電極体群と前記ケースとの間に前記接着剤貯蔵構造が設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電池モジュールを含む、ことを特徴とする電池。
【請求項15】
電池モジュールの組立方法であって、
前記電池モジュールは、取付空間を画定するケースと、一端が開放された接着剤貯蔵槽を含む接着剤貯蔵構造と、少なくとも1つの電極体群とを含み、前記組立方法は、
前記接着剤貯蔵構造を前記電極体群に接続し、前記接着剤貯蔵槽の開放端を上方向に向かって置くステップと、
前記接着剤貯蔵構造の接着剤貯蔵槽内に接着剤を注入するステップと、
前記接着剤貯蔵構造及び前記電極体群全体を前記取付空間内に入れ、前記接着剤貯蔵槽の開放端を前記ケースの頂壁から離間させ、前記ケースを封止するステップと、
前記ケースを挟持して前記電池モジュールを180°回転させるステップとを含む、ことを特徴とする組立方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、「ビーワイディーカンパニーリミテッド」が2020年11月26日に提出した、名称が「電池モジュール及び電池」の中国特許出願第「202011356339.7」号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、電池モジュール、電池及び電池モジュールの組立方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、従来の電池モジュールの組立過程において、電極体群のケース内での固定方式は、一般的に接着剤による固定であり、ケースの底部に接着剤を注入し、電極体群を接着剤によりケース内に固定接続することである。従来の電池モジュールのケースの長さが長く、かつ電極体群がケースに組み立てられた後、任意の2つの隣接する電極体群又は電極体群とケースとの間の間隔が小さく、接着剤を注入しにくく、注入するとしても、接着剤がアルミニウムケースの底部に不均一に充填されるため、電池モジュールの使用過程において電極体群がケース内でぐらつくことを引き起こし、電池モジュールの電極と電極体群との間の接触不良をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
本願は、従来技術における技術的課題の1つを少なくとも解決することを目的とする。このために、本願の1つの目的は、電池モジュールに接着剤貯蔵構造を設置することにより、電池モジュールの動作安定性を向上させることができる電池モジュールを提供することである。
【0005】
本願は、電池をさらに提供する。
【0006】
本願は、電池モジュールの組立方法をさらに提供する。
【0007】
本願に係る電池モジュールは、取付空間を画定するケースと、前記取付空間内に設置された少なくとも1つの電極体群と、前記電極体群に接続され、かつ前記取付空間内に位置し、一端が開放された接着剤貯蔵槽を画定し、前記接着剤貯蔵槽の開放端が前記ケースの頂壁又は底壁から離間される接着剤貯蔵構造と、を含む。
【0008】
本願の電池モジュールによれば、電池モジュールに接着剤貯蔵構造を設置することにより、電池モジュールの組立過程において、接着剤貯蔵構造によって接着剤をケース内に注入すると、接着剤貯蔵構造内の接着剤は、取付空間の底部に均一に充填することができ、電極体群をケース内に強固に接着固定することができるため、電池モジュールの動作安定性を向上させることができ、接着剤貯蔵構造は、ケース内の接着剤を必要としない位置を清潔に維持することができるため、電池モジュールの放熱能力を向上させ、さらに電池の耐用年数を延長することができる。
【0009】
本願のいくつかの例において、前記電極体群は、複数であり、複数の前記電極体群は、前記電極体群の長さ方向において順に配列され、複数の前記電極体群のうちの少なくとも2つの隣接する前記電極体群の間及び/又は前記電極体群と前記ケースとの間に前記接着剤貯蔵構造が設置される。
【0010】
本願のいくつかの例において、前記接着剤貯蔵構造は、前記電極体群の高さ方向に延在する。
【0011】
本願のいくつかの例において、前記接着剤貯蔵構造の外面に、接着剤を貯蔵することにより前記接着剤貯蔵構造を前記電極体群に接続する接着剤流路が設置される。
【0012】
本願のいくつかの例において、前記接着剤貯蔵構造は、前記電池モジュールの幅方向において、互いに反対側に位置する第1表面及び第2表面を有し、前記第1表面及び/又は前記第2表面に前記接着剤流路が設置される。
【0013】
本願のいくつかの例において、前記電池モジュールの長さ方向において前記取付空間の長さがLであり、前記電池モジュールの幅方向において前記取付空間の幅がAであり、前記電池モジュールの高さ方向において前記電極体群と前記ケースとの間の間隔距離がBであり、前記接着剤貯蔵構造の接着剤総貯蔵量がQであり、関係式のQ=L×A×Bを満たす。
【0014】
本願のいくつかの例において、前記接着剤貯蔵構造は、数量がNであり、それぞれの接着剤貯蔵量がQ1であり、関係式のQ1=(L×A×B)/Nを満たす。
【0015】
本願のいくつかの例において、Bは、関係式の0.5mm≦B≦5mmを満たす。
【0016】
本願のいくつかの例において、Bは、関係式の1mm≦B≦3mmを満たす。
【0017】
本願のいくつかの例において、前記電極体群は、少なくとも1つの電極体を含み、前記電池モジュールの幅方向は、前記電極体の厚さ方向と同じである。
【0018】
本願のいくつかの例において、少なくとも1つの前記電極体は、前記電池モジュールの幅方向において順に配列されて前記電極体群を形成し、前記電極体の厚さ方向に任意の2つの隣接して設置された前記電極体の対向する側壁は、互いに当接する。
【0019】
本願のいくつかの例において、各前記電極体群に同じ個数及び同じ厚さの前記電極体が設置される。
【0020】
本願のいくつかの例において、前記接着剤貯蔵構造は、角柱状又は円柱状である。
【0021】
本願のいくつかの例において、前記接着剤貯蔵構造は、複数であり、複数の前記接着剤貯蔵構造は、前記電極体群の長さ方向において順に間隔を置いて設置され、任意の隣接する2つの前記電極体群の間及び/又は前記電極体群と前記ケースとの間に前記接着剤貯蔵構造が設置される。
【0022】
本願に係る電池は、前記電池モジュールを含む。
【0023】
本願に係る電池モジュールの組立方法であって、前記電池モジュールは、取付空間を画定するケースと、一端が開放された接着剤貯蔵槽を画定する接着剤貯蔵構造と、少なくとも1つの電極体群とを含み、前記組立方法は、前記接着剤貯蔵構造を前記電極体群に接続し、前記接着剤貯蔵槽の開放端を上方向に向かって置くステップと、前記接着剤貯蔵構造の接着剤貯蔵槽内に接着剤を注入するステップと、前記接着剤貯蔵構造及び前記電極体群全体を前記取付空間内に入れ、前記接着剤貯蔵槽の開放端を前記ケースの頂壁又は底壁から離間させ、前記ケースを封止するステップと、前記ケースを挟持して前記電池モジュールを180°回転させるステップとを含む。
【0024】
本願の電池モジュールの組立方法によれば、組立方法を利用して電池モジュールを組み立て、接着剤貯蔵構造によって接着剤をケース内に注入すると、接着剤貯蔵構造内の接着剤は、取付空間の底部に均一に充填することができ、電極体群をケース内に強固に接着固定することができるため、電池モジュールの動作安定性を向上させることができ、かつ組立方法を利用してケース内の接着剤を必要としない位置を清潔に維持することができるため、電池モジュールの放熱能力を向上させ、さらに電池の耐用年数を延長することができる。
【0025】
本願の追加の態様及び利点については、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本願の実施例に係る電池モジュールの概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る電池モジュールの電極体群を接着剤貯蔵構造に接続する場合の概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る電池モジュールの電極体群を接着剤貯蔵構造に接続する場合の別の角度から見た概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る電池モジュールの接着剤貯蔵構造の概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る複数の電極体群が直列接続された後の正面図である。
【
図6】本願の実施例に係る複数の電極体群が直列接続された後の平面図である。
【
図7】本願の実施例に係る組立方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0028】
以下、
図1~
図6を参照して、本願の実施例に係る電池モジュール1を説明する。ここで、電池モジュール1は、電池内に設置される。
【0029】
図1~
図6に示すように、本願の実施例に係る電池モジュール1は、取付空間を画定するケース2と、接着剤貯蔵構造4と、取付空間内に設置された少なくとも1つの電極体群3とを含み、接着剤貯蔵構造4は、電極体群3に接続され、かつ取付空間内に位置し、一端が開放された接着剤貯蔵槽41を画定し、接着剤貯蔵槽41の開放端は、ケース2の頂壁又は底壁と間隔を置いて設置される。
【0030】
電池モジュール1の組立過程において、まず、接着剤貯蔵構造4を電極体群3に接続し、接着剤貯蔵構造4の開放端を
図2における上方向に向かって置き、次に、接着剤を接着剤貯蔵構造4に注入し、接着剤貯蔵構造4及び電極体群3全体を取付空間内に入れ、ケース2を封止した後、電池モジュール1を挟持してケース2の長さ方向に沿って電池モジュール1を180°回転させ、この時に取付空間内に、接着剤貯蔵構造4の開放端が
図1における下方向に向かい、接着剤貯蔵槽41の開放端がケース2の頂壁又は底壁と間隔を置いて設置されるため、接着剤貯蔵構造4内の接着剤は、重力の作用で接着剤貯蔵槽41から流出し、電極体群3とケース2の頂壁との間又は電極体群3とケース2の底壁との間の隙間に均一に充填され、接着剤液面は、平らで均一であり、電極体群3と接着剤との接触面積が大きいため、電極体群3は、ケース2内に強固に接着することができ、電極体群3がケース2内にぐらつくことがないことにより、電池モジュール1の動作安定性が向上することができ、また、電池モジュール1を反転する過程において、接着剤は、電極体群3とケース2の側壁との間に落下せず、電極体群3が電池モジュール1の使用過程において膨張するときに、接着剤は、電極体群3とケース2との間の熱伝達に影響を与えず、電池モジュール1の放熱性能を保証することができるため、電池モジュール1の耐用年数を延長することができる。なお、接着剤貯蔵槽41の開放端がケース2の頂壁と間隔を置いて設置された場合、接着剤貯蔵構造4内の接着剤は、接着剤貯蔵槽41から流出し、電極体群3とケース2の頂壁との間の隙間に均一に充填され、接着剤貯蔵槽41の開放端がケース2の底壁と間隔を置いて設置された場合、接着剤貯蔵構造4内の接着剤は、接着剤貯蔵槽41から流出し、電極体群3とケース2の底壁との間の隙間に均一に充填される。
【0031】
それにより、電池モジュール1に接着剤貯蔵構造4を設置することにより、電池モジュール1の組立過程において、接着剤貯蔵構造によって接着剤をケース内に注入すると、接着剤貯蔵構造4内の接着剤は、電極体群3とケース2との間の、接着剤を設置する必要がある位置に均一に充填することができ、電極体群3をケース2内に強固に接着固定することができるため、電池モジュール1の動作安定性を向上させることができ、また、接着剤貯蔵構造4は、ケース2内の接着剤を必要としない位置を清潔に維持することができるため、電池モジュール1の放熱能力を向上させ、さらに電池の耐用年数を延長することができる。
【0032】
本願のいくつかの実施例において、
図2及び
図3に示すように、電極体群3は、複数であってもよく、複数の電極体群3は、電極体群3の長さ方向において順に配列され、複数の電極体群3のうちの少なくとも2つの隣接する電極体群3及び/又は電極体群3とケース2との間に接着剤貯蔵構造4が設置されてもよい。複数の電極体群3のうちの少なくとも2つの隣接する電極体群3に接着剤貯蔵構造4が設置されてもよいため、接着剤貯蔵構造4によって接着剤をケース2内注入するときに、接着剤貯蔵構造4からケース2に注入された接着剤は、ケース2の径方向に向かって拡散することができ、ケース2の長さ方向において任意の2つの隣接する接着剤貯蔵構造4の間にいずれも接着剤が分布するため、電極体群3とケース2との間の、接着剤を設置する必要がある位置に接着剤を均一に充填することを保証することができ、このように設置して接着剤貯蔵構造4の数を適切に減少させることにより、電池モジュール1の製造コストを低減し、電池モジュール1のエネルギー密度を増加させることもできる。なお、電極体群3とケース2との間に接着剤貯蔵構造4が設置されることは、ケース2の電池モジュール1の長さ方向において間隔を置いて設置された2つの側壁の内面と電極体群3との間に接着剤貯蔵構造4を設置することができることを指し、電池モジュール1の長さ方向は、
図1における前後方向を指し、ケース2の内面は、ケース2の取付空間に向かう表面を指し、このように設置することにより電極体群3とケース2との密着を保証することができる。
【0033】
さらに、接着剤貯蔵構造4は、複数設置されてもよく、複数の接着剤貯蔵構造4は、電極体群3の長さ方向において順に間隔を置いて設置されてもよく、任意の隣接する2つの電極体群3の間及び/又は電極体群3とケース2との間に接着剤貯蔵構造4が設置されてもよく、好ましくは、任意の隣接する2つの電極体群3の間及び電極体群3とケース2との間にいずれも接着剤貯蔵構造4が設置されてもよい。任意の隣接する2つの電極体群3の間及び電極体群3とケース2との間に接着剤貯蔵構造4が設置されるため、ケース2内の接着剤貯蔵構造4をより緻密にし、ケース2内の接着剤の均一性をさらに向上させることができることにより、電極体群3とケース2とがより確実に接着することができる。
【0034】
本願のいくつかの実施例において、
図2に示すように、接着剤貯蔵構造4は、電極体群3の高さ方向に延在する。なお、接着剤貯蔵構造4は、角柱状に設置されてもよいが、本願がこれに限定されず、接着剤貯蔵構造4は、他の形状に設置されてもよく、例えば、円柱状に設置されてもよく、接着剤貯蔵構造4内に接着剤貯蔵槽41が設置されてもよく、接着剤貯蔵槽41の一端が開放され、接着剤貯蔵槽41の側壁と底壁が密封される。電極体群3の高さ方向は、
図2に示す上下方向を指し、このように設置することにより、接着剤貯蔵構造4が任意の2つの隣接する電極体群3又は電極体群3とケース2との間の配置空間を占用することを減少させることができることにより、電極体群3の体積が増加し、さらに電池モジュール1の蓄電容量が増加することができる。接着剤貯蔵構造4は、電極体群3の高さ方向に延在して接着剤貯蔵槽41の体積を増加させることができることにより、接着剤貯蔵槽41における接着剤貯蔵量を増加させることができる。
【0035】
加えて、関連技術において、接着剤は、ケースの端部の開口に注入される。ケースの長さサイズが長い場合、ケースにおける接着剤注入量の増加に伴い、接着剤をケース内に注入するのに必要な接着剤注入圧力が増加するため、接着剤がケースと電極体群との間及び電極体群と電極体群との間の隙間から電極体群の接着剤を必要としない位置に流れて、接着剤貯蔵構造4によって電極体群3の高さ方向に延在することを引き起こし、接着剤貯蔵構造4及び電極体群3をケース2に入れた後に電池モジュール1を反転する過程において、接着剤貯蔵槽41内の接着剤がこぼれにくく、このように設置することにより、ケース2内の接着剤を必要としない位置を清潔に維持することができるため、電池モジュール1の放熱能力を向上させ、さらに電池の耐用年数を延長することができる。
【0036】
本願のいくつかの実施例において、
図3及び
図4に示すように、接着剤貯蔵構造4の外面に、接着剤を貯蔵することにより接着剤貯蔵構造4を電極体群3に接続する接着剤流路42が設置される。接着剤貯蔵構造4を電極体群3に接続する過程において、電極体群3を接着剤貯蔵構造4と共に低圧射出成形金型に入れ、低圧射出成形によってホットメルト接着剤を接着剤流路42内に注入し、ホットメルト接着剤は、接着剤流路42を満たすことができ、また、接着剤流路42の接着剤貯蔵構造4の側壁に開放された一端から接着剤貯蔵構造4と電極体群3とを接着し、このように設置することにより接着剤貯蔵構造4が電極体群3に強固に接続することができる。
【0037】
本願のいくつかの実施例において、
図2及び
図3に示すように、接着剤貯蔵構造4は、電池モジュール1の幅方向において、互いに反対側に位置する第1表面及び第2表面を有し、第1表面及び/又は第2表面に接着剤流路42が設置されてもよい。なお、電池モジュール1の幅方向は、
図1における左右方向を指し、接着剤貯蔵構造4の第1表面及び第2表面にそれぞれ接着剤流路42が設置されてもよく、このように設置することにより接着剤貯蔵構造4と電極体群3との接続をより強固にすることができ、かつ接着剤貯蔵構造4は、接着剤を取付空間内に注入するだけでなく、電池モジュール1の長さ方向に電極体群3を支持する作用を果たすことができ、具体的には、電池モジュール1の長さ方向において、隣接する2つの電極体群3の間にタブが接続され、電池モジュール1の幅方向において、隣接する2つのタブは、間隔を置いて設置されて隙間を形成し、接着剤貯蔵構造4は、該隙間に設置されてもよく、隙間に充填されてもよい。なお、電池モジュール1の長さ方向は、
図1における前後方向を指し、電極体群3のタブは、材質が柔らかく、接着剤貯蔵構造4によって電極体群3に接続され、接着剤貯蔵構造4は、タブを支持することができるため、電池モジュール1の動作安定性が向上する。接着剤貯蔵構造4の第1表面又は第2表面に接着剤流路42が設置されてもよく、このように設置することにより接着剤貯蔵構造4の加工工程が減少することができる。
【0038】
本願のいくつかの実施例において、
図2に示すように、電池モジュール1の長さ方向において取付空間の長さがLであり、電池モジュール1の幅方向において取付空間の幅がAであり、電池モジュール1の高さ方向において電極体群3とケース2との間の間隔距離がBであり、接着剤貯蔵構造4の接着剤総貯蔵量がQであり、関係式のQ=L×A×Bを満たす。電池モジュール1の組立過程において、電極体群3と接着剤貯蔵構造4とを接続した後にケース2内に入れ、この時に電極体群3とケース2との間の間隔距離は、電極体群3の上端面からケース2内部の上面までの距離を指す。なお、電極体群3と接着剤貯蔵構造4とを接続した後にケース2内に入れる時に、電極体群3は、ケース2内の下面に当接し、接着剤貯蔵構造4と電極体群3をケース2に入れた後に、電池モジュール1の幅方向における2つの側壁を挟持することにより、電極体群3がケース2内に変位しないように維持することができ、また、電池モジュール1の高さ方向に電極体群3とケース2との間に隙間があるため、接着剤貯蔵構造4が重力の作用で接着剤を流出させることを保証することができる。したがって、ケース2内の全ての接着剤貯蔵構造4に貯蔵された接着剤は、電池モジュール1の高さ方向における電極体群3とケース2との間の隙間に完全に充填されるべきであり、それにより電極体群3の上端面は、接着剤によりケース2内部の上面に接続されることにより、取付空間内で電極体群3とケース2との相対位置を固定し、さらに電池モジュール1の動作安定性を向上させることができる。また、Q=L×A×Bにより、接着剤の設置容量を適切にすることができ、電極体群3とケース2との間の、接着剤を設置する必要がある位置に接着剤が均一に充填されることを保証することができることにより、電極体群3のぐらつきを回避することができる。
【0039】
本願のいくつかの実施例において、
図2及び
図3に示すように、接着剤貯蔵構造4は、ケース2内に均一に配置され、数がNであり、それぞれの接着剤貯蔵量がQ
1であり、関係式のQ
1=(L×A×B)/Nを満たす。理解できるように、各接着剤貯蔵構造4内の接着剤貯蔵槽41の接着剤貯蔵量は、同じであり、接着剤貯蔵槽41内の接着剤は、重力の作用で電池モジュール1の高さ方向における電極体群3とケース2との間の隙間に均一に敷き詰めることができ、このように設置することにより取付空間内に流入した接着剤の液面を平らにすることができることにより、接着剤と電極体群3の上端面との接触面積が増加することができ、接着剤により電極体群3がケース2内に強固に接着固定することができる。
【0040】
本願のいくつかの実施例において、Bは、関係式の0.5mm≦B≦5mmを満たす。好ましくは、電池モジュール1の高さ方向に電極体群3とケース2との間の間隔距離Bを1mm~3mmに設定することができ、このように設定することにより、接着剤貯蔵構造4の接着剤貯蔵量が減少することができ、ケース2のサイズが減少することもでき、さらに電池モジュール1のエネルギー密度が増加することができ、電池モジュール1の製造コストが低減することもできる。
【0041】
本願のいくつかの実施例において、
図2及び
図3に示すように、電極体群3は、少なくとも1つの電極体31を含み、電池モジュール1の幅方向は、電極体31の厚さ方向と同じであり、電池モジュール1の幅方向及び電極体31の厚さ方向は、
図1及び
図2における左右方向を指し、少なくとも1つの電極体31は、電池モジュール1の幅方向において順に配列されて電極体群3を形成し、電極体31の厚さ方向に任意の2つの隣接して設置された電極体31の対向する側壁は、互いに当接する。複数の電極体31を組み合わせて電極体群3を形成することにより、設計者は、各電極体群3における電極体31の数を変更することにより電池モジュール1の幅サイズを調整することができるため、電池モジュール1の汎用化設計に有利であり、電池モジュール1の設計コストを低減することができる。
【0042】
さらに、複数の電極体群3は、電池モジュール1の長さ方向において順に配列され、各電極体群3に同じ個数及び同じ厚さの電極体31が設置されてもよく、複数の電極体群3が直列接続された後、このように設置することにより直列接続された複数の電極体群3の幅を均一にすることができ、電池モジュール1の長さ方向において、
図5及び
図6に示すように、任意の2つの隣接する電極体31の間に直列溶接部32が形成され、電池モジュール1の幅方向において、任意の2つの隣接する直列溶接部32の間に電極体31と共に取付キャビティ33が画定され、接着剤貯蔵構造4は、取付キャビティ33内に設置されてもよく、かつ直列溶接部32に接着されてもよく、それにより接着剤貯蔵構造4がホットメルト接着剤により電極体群3に固定接続されることを実現することができる。
【0043】
図1~
図7に示すように、上記実施例における電池モジュール1によれば、電池モジュール1の組立フローを説明する。
【0044】
本願の実施例に係る組立方法であって、電池モジュールは、取付空間を画定するケースと、一端が開放された接着剤貯蔵槽を画定する接着剤貯蔵構造と、少なくとも1つの電極体群とを含み、本願の電池モジュールの組立方法によれば、上記実施例における電池モジュールを組み立てることができ、組立方法は、以下のステップS1~S4を含む。
【0045】
S1では、接着剤貯蔵構造を電極体群に接続し、接着剤貯蔵槽の開放端を上方向に向かって置く。具体的には、組立者又はロボットアームは、接着剤貯蔵構造を任意の2つの隣接する電極体群の直列溶接部に置き、次に電極体群を接着剤貯蔵構造と共に低圧射出成形金型に入れることができ、かつ低圧射出成形によって電極体群と接着剤貯蔵構造とをホットメルト接着剤により固定接続することにより、接着剤貯蔵構造を取付キャビティ内に固定することができ、その後に電極体群と接着剤貯蔵構造とをケースに嵌着する前に、接着剤貯蔵槽の開放端を上向きに保持する。
【0046】
S2では、接着剤貯蔵構造の接着剤貯蔵槽内に接着剤を注入する。
【0047】
S3では、接着剤貯蔵構造及び電極体群全体を取付空間内に入れ、接着剤貯蔵槽の開放端をケースの頂壁又は底壁から離間させ、ケースを封止し、封止されたケース内に密閉空間を形成する。
【0048】
S4では、ケースを挟持して電池モジュールを180°回転させる。ケースの電池モジュールの幅方向における2つの側壁を挟持することにより電池モジュールをクランプし、かつ電池モジュールを電池モジュールの長さ方向に沿って180°回転させ、接着剤貯蔵槽内の接着剤は、重力の作用で接着剤貯蔵槽から流出し、ケースの底面に平らになるため、電極体群とケースとの接着固定を実現する。
【0049】
本願の実施例に係る電池は、上記実施例における電池モジュール1を含み、電池モジュール1に接着剤貯蔵構造4を設置することにより、電池モジュール1の組立過程において、接着剤貯蔵構造4によって接着剤をケース2内に注入すると、接着剤貯蔵構造4内の接着剤は、取付空間の底部に均一に充填することができ、電極体群3をケース2内に強固に接着固定することができるため、電池モジュール1の動作安定性を向上させることができ、接着剤貯蔵構造4は、ケース2内の接着剤を必要としない位置を清潔に維持することができるため、電池モジュール1の放熱能力を向上させ、さらに電池の耐用年数を延長することができる。
【0050】
本願の説明において、用語「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有すると共に、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解すべきではない。
【0051】
本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0052】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などの参照を表す語句は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記語句に対する例示的な言及は、必ず同じ実施例又は例に限定されるわけではないということを意味する。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0053】
本願の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本願の原理及び目的を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。