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特許7676629ミラーフライス加工と測定制御工法およびそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-02
(45)【発行日】2025-05-14
(54)【発明の名称】ミラーフライス加工と測定制御工法およびそのシステム
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/00 20060101AFI20250507BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20250507BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20250507BHJP
【FI】
B23C3/00
B23C9/00 Z
B23Q17/20 A
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088486
(22)【出願日】2024-05-31
【審査請求日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】202410495726.0
(32)【優先日】2024-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524207493
【氏名又は名称】シャンハイ・トップ・ニューメリカル・コントロール・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ユハン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ、ビン
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-127610(JP,A)
【文献】特開2020-097097(JP,A)
【文献】特開2017-162448(JP,A)
【文献】特開2017-136929(JP,A)
【文献】特表2010-537184(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110560758(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110480419(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107617853(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107344251(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104400086(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104259774(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104001974(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101670462(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1898061(CN,A)
【文献】中国実用新案第211360786(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107247444(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108803479(CN,A)
【文献】米国特許第06003812(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/00-9/00
B23Q 15/00-15/28
B23Q 17/00-23/00
G05B 19/18-19/416
B23Q 3/02
B64F 5/00
B64C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスと、薄い壁部品の測定とポイントクラウドの獲得プロセスと、薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスと、薄い壁部品の加工パスの後処理プロセスと、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスと薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスを含むことを特徴とするフライス加工と測定制御工法;
上記薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスにおいて、
薄い壁部品のスキャンから得られたポイントクラウドデータの実際の位置取り穴と、設計曲面に基づいて生成された理論的三角形メッシュ曲面上の理論的位置取り穴に基づき、ポイントクラウドデータに対応する実際の三角形メッシュ曲面と理論的三角形メッシュ曲面を一致させ;
刀具ファイル内の複数の刀具位置ポイントに対して、それぞれの刀具位置ポイントと上記理論的位置取り穴との間の測地線情報を計算し;
上記測地線情報を使用して上記刀具位置ポイントを上記実際の三角形メッシュ曲面に移殖して、移殖加工パスを形成することを含む
工法。
【請求項2】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスでは、
クランプ取りプロセス装置を使用して上記薄い壁部品を固定し、上記クランプ取りプロセス装置は口字形のプロセス装置フレームで構成され、その中に複数の移動支柱が配布されており;
上記プロセス装置フレームと上記移動支柱には、薄い壁部品をクランプ取って固定するクランプが取り付けられており、
上記プロセス装置フレーム内には、複数の、上記薄い壁部品の背面から前面へ移動して上記薄い壁部品の支えを行うジャッキ装置が配布されている
工法。
【請求項3】
請求項2に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスには、
上記薄い壁部品を上記プロセス装置フレームに吊り上げ、上記プロセス装置フレームにレーザー投影を行い、
上記薄い壁部品は上記レーザー投影の範囲内に位置させられ、
上記レーザー投影とプロセス装置プログラムに基づいて上記ジャッキ装置と上記クランプを調整し、薄い壁部品を予定の加工状態に調整し、
上記薄い壁部品を順番にクランプ取りし、次にスキャンを行い、ポイントクラウドデータを獲得するというステップが含まれる
工法。
【請求項4】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の測定とポイントクラウド獲得プロセスでは、マシンツールによって線レーザーを駆動させて薄い壁部品をスキャンし、ポイントクラウドデータを構築する
工法。
【請求項5】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記刀具ファイルの計算に基づく刀具位置ポイントの抽出プロセスには、
上記理論的三角形メッシュ曲面上で上記理論的位置取り穴の中心座標をそれぞれ抽出し、また、上記各刀具位置ポイントの情報を上記刀具ファイルから抽出し、
上記刀具位置ポイント情報には、刀具位置ポイントの座標が含まれており、
それぞれの上記刀具位置ポイントを上記理論的三角形メッシュ曲面の理論的グリッド面上に投影して、第一投影点と、第一投影点と上記刀具位置ポイントとの間の投影距離を生成し、
上記第投影点が位置する投影点グリッドに対する上記第投影点の面積座標をそれぞれ計算し、上記理論的位置取り穴の中心座標の各々に対して、上記面積座標に対する測地線長をそれぞれ算出して、上記測地線情報とするプロセスが含まれる
工法。
【請求項6】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記移殖加工パスの形成プロセスには、
上記ポイントクラウドデータから上記実際位置取り穴の中心座標を抽出し、上記刀具位置ポイントを上記ポイントクラウドデータに対応する実際のグリッド面上に投影して、第二投影点を得て、
第二投影点に対して、上記実際の位置取り穴の中心座標に対する予測投影測地線長を計算し、次に、その測地線情報と予測投影測地線長に基づいて、測地線偏差値を求め、
上記測地線偏差値と事前に設定された測地線偏差範囲に基づいて、第二投影点を反復処理し、測地線偏差範囲を満たすまで繰り続け、その後、実際の移殖ポイントとして使用し、
上記実際の移殖ポイントに基づいて、移殖加工パスを生成するプロセスが含まれる
工法。
【請求項7】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工パスの後処理プロセスでは、上記移殖加工パスに基づいて新しい移殖刀具位置ファイルを作成し、シミュレーション検査を行プロセスが含まれ、
上記薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、上記移殖された刀具位置ファイルを使用して上記薄い壁部品を加工する
工法。
【請求項8】
請求項2に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、薄い壁部品の沈下区域を支えるジャッキ装置が使用される
工法。
【請求項9】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、超音波探知ヘッドを使用して上記薄い壁部品の厚さをリアルタイムに測定し、リアルタイムの厚さは薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスに使用される
工法。
【請求項10】
請求項9に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記超音波探知ヘッドは周囲に複数の渦電流センサーを配布されており、これらのセンサーは上記超音波探知ヘッドの測定プロセスで渦電流を生じ起こして、超音波探知ヘッドが薄い壁部品に対しての渦電流間隔を測定し、
薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、上記渦電流間隔に基づいて超音波探知ヘッドが薄い壁部品との距離を制御する
工法。
【請求項11】
請求項10に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記超音波探知ヘッドの測定プロセスでは、渦電流法線保持プロセスを通じて、超音波探知ヘッドが薄い壁部品の背面法線を向くように制御し、
上記渦電流法線保持プロセスには、
複数の渦電流センサーが薄い壁部品の背面からの距離を取得し、
上記渦電流センサーが生じる渦電流分布に基づいてマシンツール座標系を構築し、上記背面の距離をその座標系に移殖し、
上記渦電流分布の中心がその座標系の原点と一致し、
その座標系内で背面距離に基づく渦電流法線ベクトルを計算し、
その渦電流法線ベクトルに基づいて上記超音波探知ヘッドの向きを調整し、渦電流法線ベクトルと薄い壁部品の背面法線ベクトルが一致するようにするプロセスが含まれる
工法。
【請求項12】
請求項9に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記超音波探知ヘッドは水浸超音波探知ヘッドであり、その超音波探知ヘッドのカップリング部の外側にスプレーノズルが設置されており、そのノズルは上記超音波探知ヘッドの測定プロセスで上記カップリング部と上記薄い壁部品の間の領域に充填される水流を排出し、
上記ノズルの前には水圧センサーがあり、リアルタイムの水圧値を測定し、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスではリアルタイムの水圧値と水圧基準値を比較して水流の圧力を調整し、水圧を通じて薄い壁部品を支える
工法。
【請求項13】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスでは、加工後の薄い壁部品をスキャンして加工後のポイントクラウドデータを取得し、加工後のポイントクラウドデータに基づいて加工後のスキャン曲面を生成し、
上記設計曲面の特徴エリアを認識して特徴エリアの境界を取得し、
その境界を加工後のスキャン曲面に投影し、特徴エリア境界の第1特徴点と加工後のスキャン曲面の第2特徴点の間で測地線を検証する
工法。
【請求項14】
請求項1に記載するフライス加工と測定制御工法を実施するための加工システム。
【請求項15】
請求項14に記載する加工システムにおいて、上記加工システムには、クランプ取りプロセス装置が含まれており、クランプ取りプロセス装置は薄い壁部品をクランプ取り、
上記クランプ取りプロセス装置にはジャッキ装置が設置されており、ジャッキ装置は薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでフライス刀具と同時運動して薄い壁部品を支える
システム。
【請求項16】
請求項15に記載する加工システムにおいて、上記ジャッキ装置の頂部には、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスで薄い壁部品の背面からの厚さを測定する超音波探知ヘッドが設置される
システム。
【請求項17】
請求項14に記載する加工システムにおいて、上記加工システムには、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスで薄い壁部品の厚さを測定する超音波探知ヘッドが含まれる
システム。
【請求項18】
請求項17に記載する加工システムにおいて、上記超音波探知ヘッドの周囲には渦電流センサーが設置されており、加工システムはそれらのセンサーに基づいて超音波探知ヘッドが薄い壁部品に対して一定の法線と間隔を保つ
システム。
【請求項19】
請求項17に記載する加工システムにおいて、上記超音波探知ヘッドのカップリング部の外側にはスプレーノズルが設置されており、そのノズルは上記超音波探知ヘッドの測定プロセスでカップリング部と薄い壁部品の間の領域に充填される水流を排出し、
上記ノズルの前には水圧センサーがあり、リアルタイムの水圧値を測定し、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスではリアルタイムの水圧値と水圧基準値を比較して水流の圧力を調整する
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミラーフライス技術分野に関連し、特にミラーフライス加工と測定制御工法とそのシステムについて説明する。
【背景技術】
【0002】
ミラーフライスは、大型の薄い壁を持つ航空機のボディーシートを対象とした加工方法で、従来のフライス加工との違いは、加工過程でシートの背面に支持測定装置を適用し、フライス刀具と支持測定装置が双方からシートを狙い、同期して加工することにある。これは従来の化学腐食加工を使用するボディーシートの加工に比べて、より良い製品の一貫性を実現することができる。
【0003】
既存の技術では、航空機のボディーシートなどの薄い壁部品のフライス加工に関する技術方案が既に存在する。
【0004】
例えば、中国の特許CN201410532797.Xは、航空機ボディーシートのミラーフライス加工方法および装置について公開しており、その特徴は、装置が主に床主体フレームと、フライス装置と、立位変換装置と、イヤピングクランプ装置と、柔軟な吸着装置と、ジャッキ装置と、測定装置と厚さ測定装置などを含む。本発明では、立位変換装置を用いてボディーシートを立位クランプすることにより、ボディーシートのクランプ効率を高めることができる。さらに、バキューム吸着装置を組み合わせることで、ボディーシートの位置精度をさらに高め、重力による変形を避けることができる。レーザー位移センサーを基盤とする在機測定により、加工前にボディーパーツの実際の曲面を検出し、実際のクランプ状態に基づいてボディー加工刀具軌道を調整することができる。これにより、自己適応型の数値制御加工を実現できる。ジャッキ装置は、ボディーシートのフライス加工過程で背面からボディーパーツを支えることができる。これにより、加工時の振動を避け、加工の安定性を高めることができる。また、加工過程で厚さをリアルタイムで監視し、加工の厚さ補償を提供することができる。統合された制御システムは、フライスベッドの各ユニット間の協同動作を保証し、相互に干渉しないようにする。
【0005】
また、中国の特許CN201910811713.9は、ボディーシートのフライス加工欠陥の検出装置を公開しており、ボディーシート加工分野に関連し、リアルタイムにボディーシートのフライス加工欠陥を検出および位置付けすることを目的としている。その装置はフライスベッドに用いられており、その装置はPC端と、赤外線カメラと、TOF深さカメラと、磁場運動モジュールとを含む。その磁場運動モジュールとフライス刀具はフライスヘッドを介してフライスベッドの主シャフトに接続され、フライスベッドのトルクを伝えることができる。そのボディーシートのフライス加工過程で、フライスベッドの主シャフトはフライス刀具と磁場運動モジュールを回転させ、ボディーシートが磁場運動モジュールの磁力を切ることで、その内部で誘導インダクタンス電流を生成する。その赤外線カメラは、ボディーシートの表面温度分布を探知するために用いられる。TOF深さカメラは、ボディーシートの3次元形状を再構築するために用いられる。PC端は、温度分布と3次元形状に基づいて3次元温度分布図を取得し、分析し、ボディーシートの内部欠陥を検出するために用いられる。
【0006】
しかし、実際の実施過程で、発明者は薄い壁部品自体の物理的特性の制約から、加工過程で一定の変形を容易に起こし、例えば中央領域が隆起または沈下することがあると発見し、これにより薄い壁部品がフライス加工過程で、薄い壁部品の実際の曲面と設計された曲面、刀具パスが完全に一致しないことがあり、さらに加工精度に影響を与える。
【発明の概要】
【0007】
既存技術における上記の問題を解決するために、現在、ミラーフライス加工と測定制御工法を提供し、さらに、その加工方法を実施するための加工システムも提供する。
【0008】
具体的技術方案は以下の通りである。
【0009】
ミラーフライス加工と測定制御工法は、薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスと、薄い壁部品の測定とポイントクラウドの獲得プロセスと、薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスと、薄い壁部品の加工パスの後処理プロセスと、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスと薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスを含む。
【0010】
薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスには、
薄い壁部品のスキャンによって得られたポイントクラウドデータ内の実際の位置取り穴と、設計曲面に基づいて生成された理論的三角形メッシュ曲面上の理論的位置取り穴に基づき、ポイントクラウドデータに対応する実際の三角形メッシュ曲面と理論的三角形メッシュ曲面を一致させ、
刀具ファイル内の複数の刀具位置ポイントに対して、それぞれの刀具位置ポイントと理論的位置取り穴間の測地線情報を計算し、
測地線情報を基にして、刀具位置ポイントを実際の三角形メッシュ曲面上に移殖し、移殖加工パスを形成することが含まれる。
【0011】
また、薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスでは、クランプ取りプロセス装置を使用して薄い壁部品をクランプ取り、クランプ取りプロセス装置には、口字形のプロセス装置フレームがあり、その中に複数の移動支柱が配布されており、
プロセス装置フレームと移動支柱には、薄い壁部品をクランプ取って固定するクランプが取り付けられており、
プロセス装置フレーム内に、薄い壁部品の背面から前面へ移動して薄い壁部品を支える複数のジャッキ装置が配布されている。
【0012】
さらに、薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスには、
薄い壁部品をプロセス装置フレームに吊り上げ、フレームにレーザー投影を投影し、
薄い壁部品がレーザー投影の範囲内に位置し、
レーザー投影とプロセス装置プログラムに基づいてジャッキ装置とクランプを調整し、薄い壁部品を予定の加工状態に調整し、
薄い壁部品を順番クランプ取りし、スキャンを行い、ポイントクラウドデータを獲得する。
【0013】
さらに、薄い壁部品の測定とポイントクラウド獲得プロセスでは、マシンツールによって線レーザーを駆動させて薄い壁部品をスキャンし、ポイントクラウドデータを構築する。
【0014】
また、刀具ファイルの計算を行う刀具位置ポイントの抽出プロセスには、
理論的三角形メッシュ曲面上で理論的位置取り穴の中心座標を抽出し、また、各刀具位置ポイントの情報を刀具ファイルから抽出し、
その刀具位置ポイント情報には、刀具位置ポイントの座標が含まれ、
各刀具位置ポイントに対して、それぞれの刀具位置ポイントを理論的三角形メッシュ曲面の理論的グリッド面上に投影し、第一投影点と、第一投影点と上記の刀具位置ポイントとの間の投影長を生じ、
上記の第1の投影点が位置する投影点グリッドに対する上記の第1の投影点の面積座標をそれぞれ計算し、上記の理論的位置取り穴の中心座標の各々に対して、上記の面積座標に対する測地線長をそれぞれ算出して、上記の測地線情報とするプロセスが含まれる。
【0015】
また、移殖加工パスの形成プロセスには、
上記のポイントクラウドデータから上記の実際的位置取り穴の中心座標を抽出し、上記の刀具位置ポイントを上記のポイントクラウドデータに対応する実際のグリッド面上に投影して、第二投影点を得て、
第二投影点に対して、上記の実際の位置取り穴の中心座標に対する予測投影測地線長を計算し、次に、その測地線情報と予測投影測地線長に基づいて、測地線偏差値を求め、
上記の測地線偏差値と事前に設定された測地線偏差範囲に基づいて、第二投影点を反復処理し、測地線偏差範囲を満たすまで繰り続け、その後、実際の移殖ポイントとして使用し、
上記の実際の移殖ポイントに基づいて、移殖加工パスを生成するプロセスが含まれる。
【0016】
また、薄い壁部品の加工パスの後処理プロセスでは、上記の移殖加工パスに基づいて新しい移殖刀具位置ファイルを作成し、シミュレーション検査を行うプロセスが含まれ、
上記の薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、上記の移殖された刀具位置ファイルを使用して上記の薄い壁部品を加工する。
【0017】
また、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、薄い壁部品の沈下区域を支えるジャッキ装置が使用される。
【0018】
また、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、超音波探知ヘッドを使用して上記の薄い壁部品の厚さをリアルタイムに測定し、リアルタイムの厚さはミラーフライスプロセスに使用される。
【0019】
また、超音波探知ヘッドは周囲に複数の渦電流センサーを配布されており、これらのセンサーは上記の超音波探知ヘッドの測定プロセスで渦電流を生じ起こして、超音波探知ヘッドが薄い壁部品に対しての渦電流間隔を測定し、
ミラーフライスプロセスでは、上記の渦電流間隔に基づいて超音波探知ヘッドが薄い壁部品との距離を制御する。
【0020】
また、超音波探知ヘッドの測定プロセスでは、渦電流法線保持プロセスを通じて、超音波探知ヘッドが薄い壁部品の背面法線を向くように制御し、
上記の渦電流法線保持プロセスには、
複数の渦電流センサーが薄い壁部品の背面からの距離を取得し、
上記の渦電流センサーが生じる渦電流分布に基づいてマシンツール座標系を構築し、上記の背面の距離をその座標系に移殖し、
上記の渦電流分布の中心がその座標系の原点と一致し、
その座標系内で背面距離に基づく渦電流法線ベクトルを計算し、
その渦電流法線ベクトルに基づいて上記の超音波探知ヘッドの向きを調整し、渦電流法線ベクトルと薄い壁部品の背面法線ベクトルが一致するようにするプロセスが含まれる。
【0021】
また、上記の超音波探知ヘッドは水浸超音波探知ヘッドであり、その超音波探知ヘッドのカップリング部の外側にスプレーノズルが設置されており、そのノズルは上記の探知ヘッドの測定プロセスで上記のカップリング部と上記の薄い壁部品の間の領域に充填される水流を排出し、
上記のノズルの前には水圧センサーがあり、リアルタイムの水圧値を測定し、ミラーフライスプロセスではリアルタイムの水圧値と水圧基準値を比較して水流の圧力を調整し、水圧を通じて薄い壁部品を支える。
【0022】
また、薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスでは、加工後の薄い壁部品をスキャンして加工後のポイントクラウドデータを取得し、加工後のポイントクラウドデータに基づいて加工後のスキャン曲面を生成し、
上記の設計曲面の特徴エリアを認識して特徴エリアの境界を取得し、
その境界を加工後のスキャン曲面に投影し、特徴エリア境界の第1特徴点と加工後のスキャン曲面の第2特徴点の間で測地線を検証する。
【0023】
上記のミラーフライス加工と測定制御工法を実施するための加工システム。
【0024】
また、上記の加工システムには、クランプ取りプロセス装置が含まれており、クランプ取りプロセス装置は薄い壁部品をクランプ取り、
上記のクランプ取りプロセス装置にはジャッキ装置が設置されており、ジャッキ装置はミラーフライスプロセスでフライス刀具と同時運動して薄い壁部品を支え、
上記のジャッキ装置の頂部には、ミラーフライスプロセスで薄い壁部品の背面からの厚さを測定する超音波探知ヘッドが設置され、
上記の超音波探知ヘッドの周囲には渦電流センサーが設置されており、加工システムはそれらのセンサーに基づいて超音波探知ヘッドが薄い壁部品に対して一定の法線と間隔を保ち、
上記の超音波探知ヘッドのカップリング部の外側にはスプレーノズルが設置されており、そのノズルは上記の超音波探知ヘッドの測定プロセスでカップリング部と薄い壁部品の間の領域に充填される水流を排出し、
上記のノズルの前には水圧センサーがあり、リアルタイムの水圧値を測定し、ミラーフライスプロセスではリアルタイムの水圧値と水圧基準値を比較して水流の圧力を調整する。
【0025】
上記の技術方案は、以下のような利点または有益な効果を持っている。
【0026】
既存の技術におけるボディー加工方法が実際の加工過程でボディー自体の変形によって加工精度に影響を与える問題に対して、本方案では薄い壁部品をクランプ取り後、レーザースキャン測定を行い、ポイントクラウドデータを得る。また、薄い壁部品の予備加工および設計プロセスに位置取り穴を追加する。この基礎を基にして、刀具位置ポイントを設計曲面に投影することによって、刀具位置ポイントが設計曲面上の理論的位置取り穴との間の測地線情報を得ることができる。その後、測地線情報を基にして、対応する刀具位置ポイントを正確にポイントクラウドデータの実際の加工曲面にマッピングし、移殖加工パスを形成することができる。これにより、ボディー変形が刀具道への影響を低減し、加工の正確性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
附図を参照しながら、本発明の実施例をより十分に説明する。ただし、附図は説明のためのみに使用され、本発明の範囲に対する制限を構成しない。
【0028】
図1】本発明の実施例の全体概要図である。
図2】本発明の実施例の薄い壁部品加工パスプログラムの移殖プロセス図である。
図3】本発明の実施例のミラーフライスシステムの概要図である。
図4】本発明の実施例のクランプ取りプロセス装置の図である。
図5】本発明の実施例のポイントクラウド獲得プロセスの図である。
図6】本発明の実施例の刀具位置ポイント抽出プロセスの図である。
図7】本発明の実施例の測地線計算プロセスの図である。
図8】本発明の実施例のパス移殖プロセスの図である。
図9】本発明の実施例の渦電流法線保持プロセスの図である。
図10】本発明の実施例のスプレーノズルの図である。
図11】本発明の実施例の給水システムの図である。
図12】本発明の実施例の薄い壁部品加工輪郭の検出プロセスの図である。
図13】本発明の実施例の加工システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施例の図を組み合わせて、本発明の実施例の技術方案を明確かつ完全に説明する。明らかに、ここで説明する実施例は本発明の一部にすぎず、全てではない。本発明の実施例に基づき、この分野の一般の技術者は、創造的な労作を行わなかった場合に得られるすべての他の実施例も本発明の保護範囲に属すると認識すべきである。
【0030】
注意すべきは、冲突がなければ、本発明の実施例および実施例の特性は相互に組み合わせることができる。
【0031】
以下では、図と具体的な実施例を組み合わせて本発明をさらに詳しく説明するが、これは本発明の制限と見なされない。
【0032】
本発明は、
図1に示すように、ミラーフライス加工と測定制御工法は、順番に実施される薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスと、薄い壁部品の測定とポイントクラウド獲得プロセスと、薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスと、薄い壁部品の加工パスの後処理プロセスと、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスと薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスとを含み、
図2に示すように、薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスは、
薄い壁部品のスキャンから得られたポイントクラウドデータの実際の位置取り穴と、設計曲面に基づいて生成された理論的三角形メッシュ曲面上の理論的位置取り穴に基づき、実際の三角形メッシュ曲面と理論的三角形メッシュ曲面を一致させ;
刀具ファイル内の複数の刀具位置ポイントに対して、それぞれの刀具位置ポイントと上記の理論的位置取り穴との間の測地線情報を計算し;
上記の測地線情報を使用して上記の刀具位置ポイントを上記の実際の三角形メッシュ曲面に移殖して、移殖加工パスを形成することを含む。
【0033】
具体的には、既存技術におけるミラーフライス加工方法が実際の加工過程で薄い壁部品自体の変形によって加工精度に影響を与える問題に対して、本実施例では薄い壁部品の刀具の移殖プロセスを改善した。ここで、薄い壁部品には事前にパンチングまたは同等の工程を通じて複数の位置取り穴が設けられており、薄い壁部品の設計プロセスにおける設計曲面上にも対応する位置取り穴が存在し、ここでは区別するために、設計曲面上的位置取り穴を理論的位置取り穴、薄い壁部品上の実在する位置取り穴を実際的位置取り穴と呼ぶ。これらは一対一に対応している。通常は薄い壁部品の加工主体の周囲の4隅に位置取り穴が設けられており、数量は4つであるが、異なる薄い壁部品タイプによってその数量や位置が変更されることがある。
【0034】
刀具パスの移殖前に、刀具パスの設計後で得られる刀具ファイルに対して、複数の刀具位置ポイントが獲得され、その刀具位置ポイントは、加工過程で薄い壁の部品を設計曲面と一致するようにフライス加工する刀具位置に対応する。より正確な刀具位置の移殖プロセスを実現するために、事前に設計曲面上の位置取り穴を参照して、各刀具位置ポイントがその位置取り穴に対する測地線情報を計算する。その後、その測地線情報をもとに、測定されたポイントクラウドデータ上で実際の位置取り穴の位置を参照して刀具位置ポイントをマッピングすることができる。これにより、より正確な移殖プロセスを実現する。
【0035】
ここで、ポイントクラウドデータは薄い壁部品をクランプ取り後スキャンして得られたデータである。薄い壁部品は柔軟性があるため、事前にクランプ取られ、予定の加工状態にジャッキアップされる必要がある。次に、線レーザースキャナーなどの適切なスキャン装置を使用して薄い壁部品の曲面全体をスキャンし、反射されたレーザーのポイントクラウドを取得して使用する。このポイントクラウドデータには、薄い壁部品上の各ポイントの3次元空間内の位置情報が含まれており、さらに分析することで薄い壁部品の穴、例えば実際の位置取り穴も簡単に獲得することができる。
【0036】
上記の移殖プロセスに基づいて、刀具ファイル内の刀具位置ポイントを順番に薄い壁部品の実際の曲面に移殖し、さらに刀具情報、例えば刀具法線、順序、行数などの情報を組み合わせて処理して、対応する移殖加工パスを生成する。その移殖加工パスに基づいて、後のミラーフライスプロセスで、適切なミラーフライスプロセスによってフライス刀具の加工とジャッキ装置、測定装置の動作をコントロールして、より良い加工効果を実現する。
【0037】
実際の実施過程で、上記の加工方法は主に特定のミラーフライスシステムに依存して実現される。そのミラーフライスシステムには、対応する多軸加工センターおよびフライス刀具と一致し、同期に動作できるジャッキ装置および測定装置などが含まれる。図3は、薄い壁部品をフライスする主シャフト部A001と、薄い壁部品の曲面を取得するためのスキャン装置A002と、ジャッキ装置A003と、測定装置A004と、コンピュータ装置A005とを含む典型的なミラーフライスシステムを示している。ここで、コンピュータ装置A005はフライスベッドの制御システムまたは同等のデバイスであり、特定の機能を実現するための特定のコンピュータプログラムが設定されており、特に上記の加工方法に関するプログラム。
【0038】
より良い測定効果を実現するために、測定装置はジャッキ装置の先端に設置され、ジャッキ装置と同時に動作することができる。例えば、測定装置が超音波探知ヘッドの場合、それはジャッキ装置の先端に位置し、ジャッキ装置が薄い壁部品をジャッキアップするときに、背面から薄い壁部品のリアルタイムの厚さを測定する。これにより前面のフライス刀具と協力して現在の薄い壁部品がどの程度削られているか、および厚さが実際の加工要求に一致しているかを正確に判断するこことができる。
【0039】
実際の測定を開始する前に、薄い壁部品を中心に、適切な前処理プロセスが行われているべきである。これには、素材の熱処理、コールドロル、ストレッチング、粗削りまたは同等の加工プロセスが含まれている。これにより、薄い壁部品がフライス加工で形成可能になるようにする。
【0040】
また、実際の加工を開始する前には、薄い壁の部品に対しても対応する設計作業が行われているべきである。これには、3D設計ソフトウェアを使用して希望する薄い壁の部品の曲面、例えばスキン曲面、を設計することが含まれている。これにより、設計曲面を得て、その設計曲面は実際にはコンピュータプログラムモデルファイルとして表現され、特定の3D工業設計ソフトウェアによって読み取られ、表示され、さらに、必要に応じて対応する加工図面などを出力することができる。
【0041】
刀具ファイルは、薄い壁部品の加工前の原材料パラメーターと設計曲面を決定した後、ミラーフライスシステムの加工パラメーターに基づいて設計された実行可能な加工ソリューションである。これには、薄い壁部品を設計曲面と一致させるために加工する必要のある刀具位置ポイント、刀具位置ポイントで構成される軌道、および刀具情報、例えば刀具法線、行数、主軸回転速度などが含まれる。刀具ファイルは、CLS/APTファイルなど、特定のフォーマットのファイルであり、CNC装置によって読み取り、実行され、工件を加工することができる。だだし、本発明が対象とするシナリオでは、直接生成された刀具ファイルは通常、薄い壁部品のクランプ精度、素材変形などの要因によって、実際の加工の刀具位置ポイントと設計された期待される刀具位置ポイントが3次元空間で一定のオフセットを持つ。そのため、本発明では、刀具位置ポイントを実際の加工曲面に再マッピングするプロセスに関与している。このプロセスが完了した後、修正された刀具ファイルを生成し、その刀具ファイルを使用してより正確なフライスプロセスを実行することができる。
【0042】
注意すべきのは、刀具位置ポイントの移殖プロセスは、薄い壁部品が最初にクランプされ、スキャンされた後で行われ、移殖が完了した後にすぐ薄い壁部品をフライスする必要があることである。これにより、薄い壁部品が繰り返しクランプされる過程で新しいオフセットが導入されることを避けることができる。
【0043】
一つの実施例では、クランプ取り過程で、図4に示すようなクランプ取りプロセス装置を使用して薄い壁部品をクランプする。クランプ取りプロセス装置には、口字形のプロセス装置フレーム101があり、その中に複数の移動支柱102が配布されており、
プロセス装置フレーム101と移動支柱102には、薄い壁部品をクランプ取りして固定するクランプ103が取り付けられており、
プロセス装置フレーム101には、薄い壁部品の背面から前面へ移動して薄い壁部品を支える複数のジャッキ装置104が配布されている。
【0044】
具体的には、より良い固定効果を実現するために、本実施例では薄い壁部品をスキャンする前に上記のクランプ取りプロセス装置を使用して薄い壁部品を固定する。ここで、クランプ取りプロセス装置には口字形のプロセス装置フレーム101があり、そのプロセス装置フレーム101は空洞フレーム構造であり、表と裏がある。薄い壁部品をクランプする必要がある場合、プロセス装置フレーム101は表を上にして置かれ、移動支柱102とジャッキ装置104はフレーム101の裏側に近い位置に設定されている。プロセス装置フレーム101は周方向に複数のクランプ103が配布されており、薄い壁部品の周方向をクランプして固定する。
【0045】
一方で、薄い壁部品の自体が異形構造であり、3次元空間で持ち上がったエッジを持つ場合があるため、プロセス装置フレーム101には移動支柱102を介して追加のクランプ103が設定されている。プロセス装置フレーム101は背面側に複数のガイドレールが配列されており、移動支柱102はガイドレールを通じてプロセス装置フレーム101上に移動可能に設定され、必要に応じてその位置を調整することができ、クランプ103が曲がった部位のエッジを効果的にクランプすることが可能になる。
【0046】
また、薄い壁部品の形状を維持するために、プロセス装置フレーム101内に複数のジャッキ装置104が配列されており、そのジャッキ装置104は設定されたジャッキプログラムに従って薄い壁部品の背面を支え、これにより、薄い壁部品が特定の曲がった状態を維持して、後のスキャン、測定、フライス加工などの操作が可能になる。
【0047】
また、薄い壁部品の保形を実現するために、フレーム101には複数のジャッキ装置104が内部に配布されており、それらは設定されたジャッキプログラムに基づいて薄い壁部品の背面をジャッキアップし、特定の曲げ状態を維持し、後のスキャン、測定、フライスなどの操作を容易にする。
【0048】
良いジャッキ効果を実現するために、矩形のプロセス装置フレーム101に対して、その内部に矩形状に複数のジャッキ装置104を配列することができ、それぞれのジャッキ高さを個別に制御して、薄い壁部品の支えと形状維持を実現する。
【0049】
同様に、上記のクランプ103と移動支柱102の数も、実際の加工対象の薄い壁の部品の形状、規格、その他のパラメータに基づいて、対応する分解、取り付け、位置調整、および角度調整が可能である。
【0050】
一つの実施例において、図5に示すように、薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスには、
薄い壁部品をプロセス装置フレームに吊り上げ、プロセス装置フレームにレーザー投影を行い、
薄い壁部品は上記のレーザー投影の範囲内に位置させられ、
レーザー投影とプロセス装置プログラムに基づいて、薄い壁部品を予定の加工状態に調整するように、ジャッキ装置とクランプを調整し、
薄い壁部品を順番にクランプ取りし、次にスキャンを行い、ポイントクラウドデータを獲得するというステップが含まれる。
【0051】
具体的には、上記のクランププロセス装置を中心として、そのプロセスを用いてクランプし、スキャンを行い、より正確なポイントクラウドデータを得ることができる。
【0052】
具体的には、薄い壁部品を吊り上げて作業する前には、事前に設計曲面に合わせて対応するジャッキプログラムを編み込み、薄い壁の部品を予定の加工状態に持っていくために必要なジャッキパラメータを採用し、さらにプロセス装置フレームに実際に装備されているジャッキ装置の数を組み合わせて行列化処理を行い、行列ポイントピクセルを生成し、その後、ジャッキ装置を制御するための対応するプロセス装置プログラムを生成する。
【0053】
また、薄い壁の部品のクランププロセスには、レーザー投影補助も導入されており、より良いクランプ指示プロセスを実現している。このレーザー投影補助はレーザープロジェクターによって実現されており、物体表面にレーザーパターンを投影してクランププロセスの各位置を指示する。これには、薄い壁の部品のエッジがどこに位置すべきか、クランプが薄い壁の部品をクランプする位置などが含まれる。
【0054】
このプロセスを実現するために、事前にレーザー投影プログラミングプロセスを行う必要がある。これは、プロセス装置フレームの前面を計画し、レーザー投影が投射プロセスに依存する位置指定マーカー、例えば、プロセス装置フレームの位置指定マーカー、薄い壁の部品の実効的な位置取り穴の位置など、を決定する具体的な作業を含む。相対参照物を決定した上で、さらに計画を進め、対応するクランプラインを得る。そして、Projectorを使用してレーザー投影プログラミングを行い、後続の呼び出しに供する対応するレーザー投影プログラミングファイルを変換する。
【0055】
前期の準備プロセスが完了した後、薄い壁の部品のクレーン吊りが可能である。具体的には、プロセス装置フレームを水平方向に置いた後、薄い壁の部品をプロセス装置フレームの上にクレーンで吊り上げて落下させる。このプロセスでは、事前にプロセス装置プログラムを使用してジャッキ装置の高さを調整し、薄い壁の部品が落下した後、レーザー投影プログラミングファイルを基にレーザープロジェクターを制御して投影を行う。具体的には、まずレーザー投影の中心マークを薄い壁の部品表面またはプロセス装置フレーム表面のターゲットポイントと一致させ、次に薄い壁の部品の実効的な位置取り穴に投影して、投影位置に基づいて、実際の位置取り穴が投影された位置取り穴マークと一致するまで薄い壁の部品の方向とジャッキ装置の高さを微調整する。これは薄い壁の部品が予定された加工状態に達し、クランプが可能になることを示す。クランププロセスでは、対応する工事基準に従って順番にクランプを締めて、薄い壁の部品に対して余分なストレスを加えることを避けべきである。
【0056】
最後に、薄い壁の部品がクランプされた後、薄い壁の部品の測定とポイントクラウドの獲得プロセスに移行し、スキャンを行い、ポイントクラウドデータを獲得する。一つの実施例において、線レーザーをスキャン手段として採用した。具体的には、設計曲面を中心に、事前に設計曲面と同じ座標系の下で、設計曲面を完全にスキャンできる線レーザースキャンプログラムを構築した。その後、フライスベッドを介して線レーザーを駆動して薄い壁の部品の全面の前面曲面をスキャンし、反射信号を収集してスキャンデータとした。これらのスキャンデータに基づいて、フライスベッドの運動学アルゴリズムを組み合わせて再構築し、薄い壁の部品の表面に対応する曲面の空間のポイントクラウドデータを簡単に処理してにポイントクラウドデータとして出力することができる。
【0057】
一つの実施例において、薄い壁の部品の加工と厚さの測位制御プロセスで、ジャッキ装置を使用して薄い壁の部品の沈下区域を支えている。
【0058】
具体的には、上記のクランププロセス装置を選択してクランプを行った後、より良いフライス精度を実現するために、薄い壁の部品をスキャンした後、スキャン時のプロセス装置フレームを直接ひっくり返し、加工位置に移して後のフライスプロセスに使用する。この時、ジャッキ装置はミラーフライスシステムに接続され、加工プロセス中に制御され、前面のフライスと同時に動かれて、加工プロセス中に薄い壁の部品の沈下区域を支え、より良い加工効果を実現した。
【0059】
一つの実施例において、図6に示すように、刀具ファイルの計算刀具位置ポイントの抽出プロセスには、
上理論的三角形メッシュ曲面上で理論的位置取り穴の中心座標をそれぞれ抽出し、また、各刀具位置ポイントの情報を刀具位置ファイルから抽出し、
刀具位置ポイント情報には、刀具位置ポイントの座標が含まれており、
それぞれの刀具位置ポイントを理論的三角形メッシュ曲面の理論的グリッド面上に投影して、第一投影点と、第一投影点と刀具位置ポイントとの間の投影距離を生成し、
第1の投影点が位置する投影点グリッドに対する1の投影点の面積座標をそれぞれ計算し、理論的位置取り穴の中心座標の各々に対して、面積座標に対する測地線長をそれぞれ算出して、測地線情報とするプロセスが含まれる。
【0060】
具体的には、設計曲面と刀具ファイルを取得した後、上記のプロセスにより、各刀具位置ポイントが理論的な位置取り穴座標に対する測地線情報を得ることができる。これは後の刀具位置ポイントの移植の参照物として使用されている。
【0061】
ここで、設計曲面に対して、事前に等間隔の離散化処理を行い、設計曲面ポイントクラウドを形成し、それからポイントクラウドデータと同様のポイントクラウドデータを構築する。その中では、間隔の設定は線レーザーのスキャン間隔に基づいて選択できる。離散化処理のプロセスには、設計曲面のパラメーター範囲を取得し、曲面をパラメーター化し、U-V面上で間隔に従ってU-Vの値を変更し、多くの点を取得して設計曲面ポイントクラウドに追加する。その後、設計曲面内で予定された理論的な位置取り穴の位置を組み合わせて、設計曲面上での理論的な位置取り穴の中心座標を容易に抽出し、設計曲面ポイントクラウドを組み合わせて、ポイントクラウド化後の理論的な位置取り穴中心座標を抽出することができる。この処理を通じて、理論的な位置取り穴中心座標が調整され、ポイントクラウドデータと一致する座標に調整され、後続のポイントクラウドデータ内の実際の位置取り穴とのアライメントに便利です。
【0062】
また、刀具ファイルに対しても、ループで読み取りを行い、多くの刀具位置ポイントを取得し、刀具位置ポイントの情報は主に刀具位置ポイント座標、法線、および刀具位置ポイントのある行番号を含む。移植プロセスでは、主に薄い壁の部品の変形が空間上での投影された刀具位置ポイントの位置変化に影響を与えることに注目している。すなわち、刀具位置点座標の移動である。
【0063】
より良い処理効率を実現するために、本実施例では、設計曲面の設計曲面ポイントクラウドとスキャンによって得られたポイントクラウドデータ内のポイントクラウドデータに対して、それぞれメッシュ化処理を行った。一つの実施例において、Delaunay三角メッシュ化アルゴリズムを使用して、設計曲面とポイントクラウドデータをそれぞれメッシュ化し、設計曲面のメッシュ化後のメッシュ化曲面を理論的なグリッド面と呼び、ポイントクラウドデータのメッシュ化処理後のメッシュ化曲面を実際のグリッド面と呼ぶ。
【0064】
次に、理論的なグリッド面に対して、刀具位置ポイントを曲面法線に沿って理論的なグリッド面上に投影し、それは必ず理論的なグリッド面上の三角形グリッド内に落ちる。この時、投影点と刀具位置ポイント間の投影長、および投影点が存在する三角形グリッドを投影点グリッドとして記録する。投影点グリッド内で、投影点から投影グリッドの頂点に向かって接続し、投影点グリッド内で多くのグリッドサブユニットを取得する。三角形グリッドでは、グリッドサブユニットの数は3つであり、グリッドサブユニットの面積座標を計算し、投影点がそれぞれの理論的な位置取り穴に対する測地線長は、位置取り穴座標から3つの頂点への測地線長と面積座標を使用して補間して得ることができる。最後に、投影点が各理論的な位置取り穴に対する測地線長を合計し、完全な測地線情報を得ることができる。これは後の刀具位置ポイントの移植に使用される。
【0065】
具体的には、図7を参照し、3つの頂点A、B、Cを持つ三角形グリッド内で、3つのグリッドサブユニットが設定されており、その中心位置は投影点pで、グリッドサブユニットの面積座標はそれぞれS1、S2、S3であり、S1+S2+S3=1であるとする。すると、外部の理論的な位置取り穴posと投影点の間の測地線長dは、d=d1*S1+d2*S2+d3*S3です。
【0066】
一つの実施例において、図8に示すように、移植加工パスのパス移植プロセスには、
ポイントクラウドデータから上記の実際的位置取り穴の中心座標を抽出し、刀具位置ポイントを上記のポイントクラウドデータに対応する実際のグリッド面上に投影して、第二投影点を得て、
第二投影点に対して、実際の位置取り穴の中心座標に対する予測投影測地線長を計算し、次に、その測地線情報と予測投影測地線長に基づいて、測地線偏差値を求め、
測地線偏差値と事前に設定された測地線偏差範囲に基づいて、第二投影点を反復処理し、測地線偏差範囲を満たすまで繰り続け、その後、実際の移殖ポイントとして使用し、
実際の移殖ポイントに基づいて、移殖加工パスを生成するプロセスが含まれる。
【0067】
具体的には、上記の測地線情報を決定した後、測地線情報を基に刀具位置ポイントをポイントクラウドデータに移動できる。
【0068】
ここで、ポイントクラウドデータに対して、すでに線レーザーによってスキャンを行い、実際の位置取り穴に関連するポイントクラウドデータを抽出している。この時、境界認識アルゴリズムを使用してポイントクラウドを認識し、ポイントクラウドデータ内のエッジ部分を取得し、曲率認識に基づいてエッジ内のホール部分を認識し、その部分のポイントクラウドデータに基づいてフィッティングを行い、実際の位置取り穴の中心座標を得ることができる。
【0069】
同様に、前述のメッシュ化処理プロセスにより、事前に実際のグリッド面を取得した。実際のグリッド面に対して、刀具位置点を曲面の法線方向に投影し、それは必ず実際のグリッド面の三角形グリッド内に落ちる。
【0070】
この時点で、予測投影点と刀具位置点の間の投影長を記録し、予測投影点が存在する三角形グリッドを投影グリッドとして記録する。投影グリッド内部では、予測投影点から各頂点への接続を行い、グリッド内部で複数のサブユニットを形成する。三角形の投影グリッドでは、グリッドサブユニットの数は3つであり、それぞれのグリッドサブユニットの面積座標を計算する。これにより、刀具位置点から3つの頂点への測地線長と面積座標を用いて、予測投影点への測地線長を補間して求めることができる。そして、予測投影点グリッドの位置情報と実際の位置取り穴との相対位置関係を組み合わせることで、予測投影測地線長を算出する。
【0071】
この予測投影測地線長に基づいて、事前に収集された測地線情報を比較し、現在の予測投影点が実際の位置取り穴に対して期待される投影位置に合致しているかどうかを判断する。つまり、予測投影測地線長と測地線情報の差が許容範囲内にあるかどうかを判断する。範囲内にない場合は、最適化アルゴリズムを使用して予測投影点の位置を調整し、測地線偏差範囲内に入るまで繰り返し、実際の投影点として使用する。
【0072】
次に、実際のグリッド面上の実際の投影点に関連する周囲のグリッドポイントの法線方向に基づいて、補間フィッティング方法を使用して実際の投影点の法線方向を計算する。実際の投影点をその法線方向に沿って投影長分だけオフセットし、実際の投影後の位置を得ることができる。実際の投影点と調整された法線を使用して処理を行い、ミラーフライス加工プロセスに使用される投影加工軌跡を得ることができる。
【0073】
一つの実施例において、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、超音波探知ヘッドを使用して上記の薄い壁部品の厚さをリアルタイムに測定し、リアルタイムの厚さはミラーフライスプロセスに使用される。
具体に、より正確なフライス加工プロセスを実現するために、本実施例では、ミラーフライスを行っている間にも超音波探知ヘッドを用いて薄い壁の部品の厚さをリアルタイムに測定し、薄い壁の部品のリアルタイム厚さを得ている。これは、ミラーフライスシステムにフィードバック制御を提供するために使用される。具体的には、良い加工効果を実現するために、ミラーフライスシステムは加工過程で薄い壁の部品の背面にジャッキ装置を設置し、薄い壁の部品の支えと形状の維持を実現し、フライス刀の移動過程で、ジャッキ装置はフライス刀と共に同期して動く。このシステムでは、超音波探知ヘッドをジャッキ装置の先端に設置する選択肢があり、フライス刀の切削部分に対するより正確な厚測定プロセスを実現できる。測定過程で、測定の要件に基づいてカップリングエージェントを調整することができる。一つの実施例では、カップリングエージェントは、スプレーノズルを介して超音波探知ヘッドと薄い壁の部品の間に注入される水流である。
【0074】
一つの実施例において、超音波探知ヘッドは周囲に複数の渦電流センサーを配布されており、これらのセンサーは超音波探知ヘッドの測定プロセスで渦電流を生じ起こして、超音波探知ヘッドが薄い壁部品に対しての渦電流間隔を測定し、
ミラーフライスプロセスでは、渦電流間隔に基づいて超音波探知ヘッドが薄い壁部品との距離を制御する。
【0075】
この実施例では、超音波探知ヘッドを改良し、周向方向に複数の渦電流センサーを設置した。これにより、超音波探知ヘッドの指向方向に対して対応する渦電流を生成し、エコーシグナルを受信することができる。エコーシグナルの強度に基づいて、事前に標定された反射強度-距離対応関数を組み合わせることにより、超音波探知ヘッドが薄い壁の部品に対しての渦電流間隔を簡単に計算でき、ミラーフライスシステムの機械制御パラメーターとして、フライス刀の切削プロセスに対するフィードバック制御を実現できる。
【0076】
オプションの実装方法として、渦電流センサーは4つあり、超音波探知ヘッドの時計面上の12時の位置、3時の位置、6時の位置、9時の位置に均等に配布されている。
【0077】
また、上記の間隔制御プロセスを実現するために、処理前に渦電流の強度と間隔との関係を標定する必要がある。標定プロセスは、
事前に金属標定ブロックを導入し、渦電流センサーの法線を金属標定ブロックの表面に整列させ、一定の間隔を保つ。この間隔はゼロポイント間隔とする。この時、渦電流の値を読み取り、ゼロポイント位置に関連付けて保存する。この基礎を基に、特定のステップに基づいて法線方向に渦電流センサーを移動して間隔を広げ、渦電流の値を記録して保存する。上記で収集された各距離と渦電流の値を使用して線形適合を行い、反射強度-距離対応関数を得ることができることを含む。
【0078】
一つの実施例において、超音波探知ヘッドの測定プロセスでは、渦電流法線保持プロセスを通じて、超音波探知ヘッドが薄い壁部品の背面法線を向くように制御し、
図9に示すように、渦電流法線保持プロセスには、
複数の渦電流センサーが薄い壁部品の背面からの距離を取得し、
渦電流センサーが生じる渦電流分布に基づいてマシンツール座標系を構築し、背面の距離をその座標系に移殖し、
渦電流分布の中心がその座標系の原点と一致し、
その座標系内で背面距離に基づく渦電流法線ベクトルを計算し、
その渦電流法線ベクトルに基づいて上記の超音波探知ヘッドの向きを調整し、渦電流法線ベクトルと薄い壁部品の背面法線ベクトルが一致するようにするプロセスが含まれている。
【0079】
具体的に、より良い測定効果を実現するために、本実施例では、渦電流センサーからのフィードバック信号を介して超音波探知ヘッドが薄い壁の部品の背面の法線方向と一致するように維持できるようにしている。この実施例では、超音波探知ヘッドと渦電流センサーは球状関節上に取り付けられており、指向を自由に変更できる。
【0080】
ここで、渦電流を介してリアルタイムの厚さを測定した後、そのプロセスに従って、複数の渦電流センサーが薄い壁の部品の背面に対しての相対的距離を得ることができる。そして、そのうちの3つの渦電流センサーを選択し、それらが生み出す渦電流の分布面に基づいて機械座標系を構築する。この機械座標系は、3つの渦電流の分布センターを座標原点とし、3つの渦電流センサーの測定距離を機械座標系にマッピングしている。
【0081】
次に、3つの渦電流間の渦電流法線ベクトルを計算し、その値は n = n1 × n2 である。
【0082】
この式では、n1は第1渦電流と第2渦電流のベクトルを表し、第2渦電流から第1渦電流を指す方向である。n2は第1渦電流と第3渦電流のベクトルを表し、第3渦電流から第1渦電流を指す方向である。nは第1渦電流の渦電流法線ベクトルを表し、ベクトルn1とn2の外積の方向、つまり右手の法則に従って計算している。
【0083】
上記の過程に基づいて、渦電流法線ベクトルを得ることができる。薄い壁の部品の背面は、機械座標系内で予定された理論的法線ベクトル(0、0、1)を持っており、この2つのベクトルに対して、それら間のベクトル角を簡単に計算できる。これは超音波探知ヘッドの偏差角に対応する。次に、偏差角に基づいて球状関節の回転を制御し、これらの2つのベクトルを一致させ、超音波探知ヘッドの法線制御プロセスを完了している。
【0084】
一つの実施例において、超音波探知ヘッドは水浸超音波探知ヘッドであり、その超音波探知ヘッドのカップリング部の外側にスプレーノズルが設置されており、そのノズルは上記の探知ヘッドの測定プロセスで上記のカップリング部と上記の薄い壁部品の間の領域に充填される水流を排出し、
ノズルの前には水圧センサーがあり、リアルタイムの水圧値を測定し、ミラーフライスプロセスではリアルタイムの水圧値と水圧基準値を比較して水流の圧力を調整し、水圧を通じて薄い壁部品を支える。
【0085】
具体に、より良い測定効果を実現するために、本実施例では、超音波探知ヘッドを水浸型の超音波探知ヘッドに選定した。この超音波探知ヘッドの周りにはスプレーノズルが設置されており、超音波探知ヘッドによる測定過程でカップリング部と薄い壁の部品間の領域に充填する水流を排出するのに使われている。図10に示すように、スプレーノズル201は概してU字型の構造をしており、その中央下部には水浸型の超音波探知ヘッド202が設置されている。水浸型の超音波探知ヘッド202の周りには水口があり、カップリングエージェントは水口から流出してU字型の構造に充填されている。スプレーノズル201の外周には、距離測定用の渦電流センサー203が設置されており、スプレーノズル201は薄い壁の部品204に対して一定の間隔で設置されている。
【0086】
さらに、そのスプレーノズル201が生成する水圧は、薄い壁の部品を支えるためにも使われている。
【0087】
また、図11に示すように、そのスプレーノズルの前段には、一連の給水システムが含まれており、水源としてタンク301、水流を供給するポンプ302、ポンプ302からの水流の泡を除去する脱泡装置303、そしてスプレーノズル201に水流を供給する流体バルブ304が含まれている。
【0088】
厚さ測定過程で、ポンプ302は動作しタンク301からカップリングエージェントを引き出し、ポンプ302の出力を経て脱泡装置303にてポンプ302の加圧擾乱によってカップリングエージェント中に発生した泡を除去し、その後流体バルブ201が開いてカップリングエージェントがスプレーノズルから噴出している。スプレーノズル302自体の半閉じ構造により、水流が薄い壁の部品の背面に接触した後、ある程度スプレーノズル201に向かっての背圧を形成し、これは厚さ測定水圧と正比例している。
【0089】
測定過程で、測定プロセスの一貫性を維持するために、厚さ測定水圧を一定に保つ必要がある。このために、本実施例では流体バルブ304と脱泡装置303の間にて水圧センサー305を導入し、排水背圧を測定してリアルタイムの水圧値を出力している。そのスプレーノズル201に対して、事前に実験を通じて水圧の標準値を得ており、リアルタイム水圧値を水圧標準値と一致させることで良い厚さ測定効果を実現している。
【0090】
その中では、リアルタイム水圧値の制御プロセスでは、PIDアルゴリズムに基づいてリアルタイム水圧値と水圧標準値の間の差を処理し、ポンプ302の回転数を制御してこのプロセスを実現することができる。また、バイパス放水的方式にてこれを実現することも可能である。
具体的に言うと、流体バルブ304の前段にて三分割コネクタを設置し、これは電動バルブ306を介してタンク301の給水口に接続され、ポンプ302-電動バルブ306-タンク301のリフローパスを形成している。電動バルブ306の開閉度はリアルタイム水圧値と水圧標準値の間の差により異なる。具体的な例として、水圧差が正の値である場合、リアルタイム水圧値が水圧標準値を超過していることを示し、電動バルブ306の開度が大きくなりリアルタイム水圧値を下げる;水圧差が負の値である場合、リアルタイム水圧値が水圧標準値より低いことを示し、電動バルブ306の開度が小さくなりリアルタイム水圧値を増やす。
【0091】
一つの実施例において、図12に示すように、薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスでは、加工後の薄い壁部品をスキャンして加工後のポイントクラウドデータを取得し、加工後のポイントクラウドデータに基づいて加工後のスキャン曲面を生成し、
設計曲面の特徴エリアを認識して特徴エリアの境界を取得し、
その境界を加工後のスキャン曲面に投影し、特徴エリア境界の第1特徴点と加工後のスキャン曲面の第2特徴点の間で測地線を検証する。
【0092】
具体に、加工後の薄い壁の部品が設計曲面と一致しているかを確定するために、薄い壁の部品の加工と厚さ測定コントロールプロセスが完了した後、薄い壁の部品の加工輪郭を検査する。具体的には、設計曲面に対して、事前に比対を行うために使用できる特徴領域とその特徴領域内の特徴点を示すマーキングがある。加工が完了した後、同じ線レーザーを使用して加工後の薄い壁の部品をスキャンし、加工後のポイントクラウドデータを取得し、それからスキャン曲面を再構築する。それに応じて、設計曲面に対して、特徴境界認識アルゴリズムを採用して、事前に示しておいた特徴領域の境界を抽出する。設計曲面と薄い壁の部品を事前にアライメントしているため、この時、特徴領域の境界を加工後のスキャン曲面に投影することができる。その後、加工後のスキャン曲面上の特徴領域に対応する特徴点に対して測地線情報を計算し、その測地線情報と事前に設計曲面上で示しておいた特徴点の測地線情報を比対します。これにより、加工輪郭が予想どおりかどうかを判断できる。
【0093】
上記の加工方法を実施するための加工システム。
【0094】
図13に示すように、加工システムは、薄い壁の部品をクランプするために使われるクランププロセス装置B020を含む。
【0095】
クランププロセス装置B020には、ジャッキ装置B021が組み込まれており、それはミラーフライスプロセスでフライス刀と同時運動し、薄い壁の部品を支えるために使われる。
【0096】
上記の加工方法を実現するために、本実施例では対応する加工システムも提供されている。この加工システムは、少なくともミラーフライスシステムB010、クランププロセス装置B020、曲面スキャン装置B030、加工プロセス測定装置B040、制御装置B050を含まなければない。その中では、クランププロセス装置B020はジャッキ装置B021を含み、ジャッキ装置B021はミラーフライスプロセスでフライス刀と同時運動し、薄い壁の部品を支えるために使われる。加工プロセス測定装置B040は、ミラーフライスプロセスで制御装置B050にリアルタイムデータを提供し、フィードバック制御を実現する。制御装置B050は、事前に設定されたコンピュータプログラムに基づいて上記の各モジュールを制御する。
【0097】
以上は本発明の優れた実施例に過ぎませんが、それによって本発明の実施方法及び保護範囲が限定されるわけではない。当該分野の技術者が、本発明の説明書および図面の内容を利用して行う同等の置き換えおよび明白な変化によって得られる方案は、全て本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスと、薄い壁部品の測定とポイントクラウドの獲得プロセスと、薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスと、薄い壁部品の加工パスの後処理プロセスと、薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスと薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスを含むことを特徴とするミラーフライス加工と測定制御工法;
上記薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスにおいて、
薄い壁部品のスキャンから得られたポイントクラウドデータの実際の位置取り穴と、設計曲面に基づいて生成された理論的三角形メッシュ曲面上の理論的位置取り穴に基づき、実際の三角形メッシュ曲面と理論的三角形メッシュ曲面を一致させ;
刀具ファイル内の複数の刀具位置ポイントに対して、それぞれの刀具位置ポイントと上記理論的位置取り穴との間の測地線情報を計算し;
上記測地線情報を使用して上記刀具位置ポイントを上記実際の三角形メッシュ曲面に移殖して、移殖加工パスを形成することを含む
工法。
[2]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスでは、
クランプ取りプロセス装置を使用して上記薄い壁部品を固定し、上記クランプ取りプロセス装置は口字形のプロセス装置フレームで構成され、その中に複数の移動支柱が配布されており;
上記プロセス装置フレームと上記移動支柱には、薄い壁部品をクランプ取って固定するクランプが取り付けられており、
上記プロセス装置フレーム内には、複数の、上記薄い壁部品の背面から前面へ移動して上記薄い壁部品の支えを行うジャッキ装置が配布されている
工法。
[3]
[2]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品のクランプ取りと運搬プロセスには、
上記薄い壁部品を上記プロセス装置フレームに吊り上げ、上記プロセス装置フレームにレーザー投影を行い、
上記薄い壁部品は上記レーザー投影の範囲内に位置させられ、
上記レーザー投影とプロセス装置プログラムに基づいて上記ジャッキ装置と上記クランプを調整し、薄い壁部品を予定の加工状態に調整し、
上記薄い壁部品を順番にクランプ取りし、次にスキャンを行い、ポイントクラウドデータを獲得するというステップが含まれる
工法。
[4]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の測定とポイントクラウド獲得プロセスでは、マシンツールによって線レーザーを駆動させて薄い壁部品をスキャンし、ポイントクラウドデータを構築する
工法。
[5]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記刀具ファイルの計算に基づく刀具位置ポイントの抽出プロセスには、
上記理論的三角形メッシュ曲面上で上記理論的位置取り穴の中心座標をそれぞれ抽出し、また、上記各刀具位置ポイントの情報を上記刀具位置ファイルから抽出し、
上記刀具位置ポイント情報には、刀具位置ポイントの座標が含まれており、
それぞれの上記刀具位置ポイントを上記理論的三角形メッシュ曲面の理論的グリッド面上に投影して、第一投影点と、第一投影点と上記刀具位置ポイントとの間の投影距離を生成し、
上記第1の投影点が位置する投影点グリッドに対する上記第1の投影点の面積座標をそれぞれ計算し、上記理論的位置取り穴の中心座標の各々に対して、上記面積座標に対する測地線長をそれぞれ算出して、上記測地線情報とするプロセスが含まれる
工法。
[6]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記移殖加工パスの形成プロセスには、
上記ポイントクラウドデータから上記実際的位置取り穴の中心座標を抽出し、上記刀具位置ポイントを上記ポイントクラウドデータに対応する実際のグリッド面上に投影して、第二投影点を得て、
第二投影点に対して、上記実際の位置取り穴の中心座標に対する予測投影測地線長を計算し、次に、その測地線情報と予測投影測地線長に基づいて、測地線偏差値を求め、
上記測地線偏差値と事前に設定された測地線偏差範囲に基づいて、第二投影点を反復処理し、測地線偏差範囲を満たすまで繰り続け、その後、実際の移殖ポイントとして使用し、
上記実際の移殖ポイントに基づいて、移殖加工パスを生成するプロセスが含まれる
工法。
[7]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工パスの後処理プロセスでは、上記移殖加工パスに基づいて新しい移殖刀具位置ファイルを作成し、シミュレーション検査を行いプロセスが含まれ、
上記薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、上記移殖された刀具位置ファイルを使用して上記薄い壁部品を加工する
工法。
[8]
[2]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、薄い壁部品の沈下区域を支えるジャッキ装置が使用される
工法。
[9]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスでは、超音波探知ヘッドを使用して上記薄い壁部品の厚さをリアルタイムに測定し、リアルタイムの厚さはミラーフライスプロセスに使用される
工法。
[10]
[9]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記超音波探知ヘッドは周囲に複数の渦電流センサーを配布されており、これらのセンサーは上記超音波探知ヘッドの測定プロセスで渦電流を生じ起こして、超音波探知ヘッドが薄い壁部品に対しての渦電流間隔を測定し、
ミラーフライスプロセスでは、上記渦電流間隔に基づいて超音波探知ヘッドが薄い壁部品との距離を制御する
工法。
[11]
[10]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記超音波探知ヘッドの測定プロセスでは、渦電流法線保持プロセスを通じて、超音波探知ヘッドが薄い壁部品の背面法線を向くように制御し、
上記渦電流法線保持プロセスには、
複数の渦電流センサーが薄い壁部品の背面からの距離を取得し、
上記渦電流センサーが生じる渦電流分布に基づいてマシンツール座標系を構築し、上記背面の距離をその座標系に移殖し、
上記渦電流分布の中心がその座標系の原点と一致し、
その座標系内で背面距離に基づく渦電流法線ベクトルを計算し、
その渦電流法線ベクトルに基づいて上記超音波探知ヘッドの向きを調整し、渦電流法線ベクトルと薄い壁部品の背面法線ベクトルが一致するようにするプロセスが含まれる
工法。
[12]
[9]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記超音波探知ヘッドは水浸超音波探知ヘッドであり、その超音波探知ヘッドのカップリング部の外側にスプレーノズルが設置されており、そのノズルは上記探知ヘッドの測定プロセスで上記カップリング部と上記薄い壁部品の間の領域に充填される水流を排出し、
上記ノズルの前には水圧センサーがあり、リアルタイムの水圧値を測定し、ミラーフライスプロセスではリアルタイムの水圧値と水圧基準値を比較して水流の圧力を調整し、水圧を通じて薄い壁部品を支える
工法。
[13]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法において、上記薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスでは、加工後の薄い壁部品をスキャンして加工後のポイントクラウドデータを取得し、加工後のポイントクラウドデータに基づいて加工後のスキャン曲面を生成し、
上記設計曲面の特徴エリアを認識して特徴エリアの境界を取得し、
その境界を加工後のスキャン曲面に投影し、特徴エリア境界の第1特徴点と加工後のスキャン曲面の第2特徴点の間で測地線を検証する
工法。
[14]
[1]に記載するミラーフライス加工と測定制御工法を実施するための加工システム。
[15]
[14]に記載する加工システムにおいて、上記加工システムには、クランプ取りプロセス装置が含まれており、クランプ取りプロセス装置は薄い壁部品をクランプ取り、
上記クランプ取りプロセス装置にはジャッキ装置が設置されており、ジャッキ装置はミラーフライスプロセスでフライス刀具と同時運動して薄い壁部品を支える
システム。
[16]
[15]に記載する加工システムにおいて、上記ジャッキ装置の頂部には、ミラーフライスプロセスで薄い壁部品の背面からの厚さを測定する超音波探知ヘッドが設置される
システム。
[17]
[14]に記載する加工システムにおいて、上記加工システムには、ミラーフライスプロセスで薄い壁部品の厚さを測定する超音波探知ヘッドが含まれる
システム。
[18]
[17]に記載する加工システムにおいて、上記超音波探知ヘッドの周囲には渦電流センサーが設置されており、加工システムはそれらのセンサーに基づいて超音波探知ヘッドが薄い壁部品に対して一定の法線と間隔を保つ
システム。
[19]
[17]に記載する加工システムにおいて、上記超音波探知ヘッドのカップリング部の外側にはスプレーノズルが設置されており、そのノズルは上記超音波探知ヘッドの測定プロセスでカップリング部と薄い壁部品の間の領域に充填される水流を排出し、
上記ノズルの前には水圧センサーがあり、リアルタイムの水圧値を測定し、ミラーフライスプロセスではリアルタイムの水圧値と水圧基準値を比較して水流の圧力を調整する
システム。
【要約】      (修正有)
【課題】薄い壁部品の加工と厚さ測定制御プロセスと薄い壁部品の加工輪郭の検出プロセスを含むことを特徴とするミラーフライス加工と測定制御工法加工システムを提供する。
【解決手段】薄い壁部品の加工パスプログラムの移殖プロセスにおいて、薄い壁部品のスキャンから得られたポイントクラウドデータの実際の位置取り穴と、設計曲面に基づいて生成された理論的三角形メッシュ曲面上の理論的位置取り穴に基づき、実際の三角形メッシュ曲面と理論的三角形メッシュ曲面を一致させ、刀具ファイル内の複数の刀具位置ポイントに対して、それぞれの刀具位置ポイントと理論的位置取り穴との間の測地線情報を計算し、測地線情報を使用して刀具位置ポイントを実際の三角形メッシュ曲面に移殖して、移殖加工パスを形成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13