(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】統合された多点固定ねじ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20250508BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
(21)【出願番号】P 2022548944
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2021052709
(87)【国際公開番号】W WO2021160518
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-12-21
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】リー・ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン・ジョセフ
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-512320(JP,A)
【文献】国際公開第2019/180595(WO,A1)
【文献】特表2013-509952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - A61B 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカー組立体であって、
トロイド本体部分と、補助骨アンカーを受け入れるように構成された少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を含む半径方向に延びる部分と、を有する基部と、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる管腔と、ロッド受け凹部と、を有するレシーバー部材と、
前記トロイド本体
部分内に保持されたヘッド部分と、前記基部から遠位方向に延びる骨係合部分と、を有するシャンクと、を含み、
前記基部が前記レシーバー部材に対して回転するように構成されるように、前記基部が前記レシーバー部材に結合されて
おり、
前記基部が、前記トロイド本体部分から近位方向に延びる延出部を更に備え、
前記延出部は、前記レシーバー部材の前記管腔内に受け入れられている、骨アンカー組立体。
【請求項2】
前記基部の前記トロイド本体
部分は、前記レシーバー部材から遠位方向に延びている、請求項1に記載の骨アンカー
組立体。
【請求項3】
前記基部の前記延出部が第1の接続特徴部を有し、前記レシーバー部材が第2の接続特徴部を有し、
前記第1の接続特徴部は、前記基部が前記レシーバー部材内に回転可能に受け入れられるように、前記第2の接続特徴部と係合するように構成されている、請求項
1に記載の骨アンカー
組立体。
【請求項4】
前記第1の接続特徴部及び前記第2の接続特徴部は、前記第1の接続特徴部が前記第2の接続特徴部と係合するときに、前記基部と前記レシーバー部材との間の相対的な軸方向移動が制限されるように構成されている、請求項
3に記載の骨アンカー
組立体。
【請求項5】
前記第1の接続特徴部は前記延出部の近位端のリップであり、前記第2の接続特徴部は前記レシーバー部材の内面の溝である、請求項
3に記載の骨アンカー
組立体。
【請求項6】
前記レシーバー部材の前記溝が、前記ロッド受け凹部の遠位にある、請求項
5に記載の骨アンカー
組立体。
【請求項7】
前記レシーバー部材内に配置されているサドルを更に備え、前記サドルは、前記レシーバー部材内に配置された前記延出部の近位に面した表面と接触するように構成された遠位に面した表面を有する、請求項
1に記載の骨アンカー
組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
整形外科用インプラント及び関連する方法が本明細書で開示される。例えば、複数の骨係合点を有する骨アンカー組立体が開示される。
【背景技術】
【0002】
骨アンカー組立体は、治癒、癒合、又は他の手順中に骨を固定するために整形外科手術で用いることができる。例えば、脊椎手術において、骨アンカー組立体は、1つ以上の脊椎骨に脊椎固定要素を取り付けて、脊椎を硬直的に又は動的に安定化させるために用いることができる。骨アンカー組立体は、骨を整える(例えば、ある椎骨を他の椎骨に対して逸らす、圧縮する、又は回転させる、長骨における骨折を減少させる等)ための係合点として使用することもできる。
【0003】
骨アンカー組立体が骨に係合する完全性は、補正生体力学的力の伝達に影響を与え得る。骨アンカー組立体を配置する際には細心の注意が払われるが、一般的には、骨アンカー組立体は、妥協された状態で挿入される。例えば、組立体が配置される骨開口部は剥がれていることもあり(例えば、骨アンカー組立体をその最適な保持位置を越えて打ち込むことにより)、骨アンカー組立体が不正確に配置されることもあり(例えば、必要以上に大きなパイロット孔などの不正確な器具操作を用いることにより)、骨アンカー組立体が意図した軌道の外側に配置されることもあり(例えば、小関節面被膜(facet capsule)内に、又は椎弓根壁(pedicle wall)を貫通突破して)、又は骨アンカーが妥協された骨に挿入されることもある(例えば、骨折した骨、骨粗鬆症の骨、罹患した骨、又はその他の構造的完全性に欠ける骨)。
【0004】
骨アンカー組立体が妥協された状態にある場合、骨アンカー組立体と骨との間には、最適な食い付きがあるとは言えない。骨アンカー組立体は、外科医に不安定感を抱かせる場合があり、骨アンカー組立体は時間が経つにつれて外れたり(back out)、緩んだりする可能性がある。このようなタイプの状況に直面した場合には、外科医には限られた選択肢しかない。例えば、脊椎手術において、外科医は、骨アンカー組立体を取り出し、その椎骨レベルをスキップすることができるが、これは、更なる椎骨レベルへと手術部位を広げることを所望していないのに必要とする場合がある。外科医は、骨アンカーを取り出し、より大きなアンカーを再挿入することができるが、これは、骨にアンカーを取り付ける空間が限られている場合には選択肢ではなくなる。外科医は、妥協された骨アンカー組立体を適所に残してもよく、これは、骨アンカー組立体が安全な位置にあり、かつプレート、ロッド、又は他のインプラント構築物への取り付けが確固たるものである場合には、取り外すよりも、更なる妥協された固定のほうがよい場合があるので、最も安全な代替策であり得る。
【0005】
骨アンカー組立体が妥協されていない状態で配置されている場合でさえも、従来の骨アンカー組立体の幾何学形状により、骨アンカー組立体に結合されたプレート、ロッド、又は他のインプラント構築物に対して骨取付点を配置することができる柔軟性は制限され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改善された骨アンカー組立体及び関連する方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の骨アンカー組立体と比較して改善された固定を提供することができる骨アンカー組立体が本明細書に開示される。組立体の実施形態は、骨アンカー基部の一部である多点アイレット構成要素を含むことができる。アイレット構成要素は、レシーバー部材の外周部の周りの任意の所望の位置にアイレットを位置決めすることを可能にするように、レシーバー部材組立体に統合され得る。アイレット構成要素は、組立体の主骨アンカーの固定を補強する1つ以上の補助骨アンカーを収容することができる。本明細書に記載の骨アンカー組立体を使用する外科的方法も開示される。
【0008】
一態様では、骨アンカー組立体は、基部と、レシーバー部材と、シャンクとを含むことができる。基部は、トロイド本体部分と、トロイドから半径方向に延びる半径方向突出部(例えば、アイレット又は翼)とを含むことができ、半径方向突出部は、補助骨アンカーを受け入れるように構成された少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を有する。レシーバー部材は、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端まで延びる管腔と、ロッド受け凹部と、を有することができる。シャンクは、基部のトロイド本体内に保持されたヘッド部分と、基部から遠位方向に延びる骨係合部分と、を有することができる。基部がレシーバー部材に対して回転するように構成されるように、基部は、レシーバー部材に結合され得る。
【0009】
本明細書で説明する装置及び方法は、多くの追加の特徴部及び/又は変形例を有することが可能であり、それらのすべては、本開示の範囲に含まれる。いくつかの実施形態では、例えば、基部のトロイド本体は、レシーバー部材から遠位方向に延びることができる。基部は、トロイド本体から近位方向に延びることができる延出部を含むことができる。延出部は、レシーバー部材の管腔内に受け入れられ得る。いくつかのこうした実施形態では、延出部は、第1の接続特徴部を有することができ、レシーバー部材は、第2の接続特徴部を有することができる。第1の接続特徴部は、基部がレシーバー部材内に回転可能に受け入れられ得るように、第2の接続特徴部と係合するように構成され得る。更に、いくつかの実施形態では、第1の接続特徴部及び第2の接続特徴部は、第1の接続特徴部が第2の接続特徴部と係合するときに、基部とレシーバー部材との間の相対的な軸方向移動が制限され得るように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の接続特徴部は延出部の近位端のリップであり得、第2の接続特徴部はレシーバー部材の内面の溝であり得る。レシーバー部材の溝は、ロッド受け凹部の遠位にあり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、骨アンカー組立体は、レシーバー部材内に配置されたサドルを含むことができる。サドルは、基部がレシーバー部材内に配置されているときに、基部の延出部の近位に面した表面と接触し得る遠位に面した表面を有することができる。いくつかの実施形態では、基部の少なくとも1つの補助骨アンカー開口部は、複数の補助骨アンカー開口部を含むことができる。少なくとも1つの補助骨アンカー開口部の中央管腔は、レシーバー部材の中心軸に対して横断する角度で延びることができる。少なくとも1つの補助骨アンカー開口部の中央管腔は、尾方向及び頭方向のうちの1つで角度付けされ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの補助骨アンカー開口部の中央管腔は、内側方向及び外側方向のうちの1つで角度付けされ得る。
【0011】
別の態様では、外科的方法は、骨アンカーのシャンク部分を患者の骨に打ち込むことと、骨アンカー組立体のレシーバー部材に対して骨アンカー組立体の基部を回転させることであって、基部が、内部を通って延びる少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を有する半径方向に突出する部分を有し、レシーバー部材が、脊椎固定要素を受け入れるように構成されている、回転させることとを含み得る。この方法は、骨アンカーの半径方向に突出する部分をシャンク部分に対して所望の位置に位置決めすることと、少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を通して患者の骨に少なくとも1つの補助骨アンカーを打ち込むことと、を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を通して患者の骨に少なくとも1つの補助骨アンカーを打ち込むことは、補助骨アンカーを、レシーバー部材の中心軸及びシャンクのうち少なくとも1つに対して偏っていてもよい挿入軌道で補助骨アンカー開口部を通して打ち込んで、骨内における骨アンカーの固定を補助することを含み得る。骨アンカー組立体の基部を回転させることは、レシーバー部材の中央長手方向軸を中心に基部を回転させることを含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの補助骨アンカーを骨に打ち込む前に、レシーバー部材内に脊椎ロッドを配置し、脊椎ロッドをレシーバー部材内で固定することを含み得る。他の実施形態では、レシーバー部材内に脊椎ロッドを配置し、脊椎ロッドをレシーバー部材内で固定することは、少なくとも1つの補助骨アンカーを骨に打ち込んだ後で行われてもよい。
【0014】
方法は、骨アンカーを、基部がレシーバー部材の中央長手方向軸に対して回転可能であるように、基部をレシーバー部材に結合することと、シャンクの遠位骨係合部分が基部から遠位方向に延び、シャンクのヘッド部分が基部内に受け入れられるように、レシーバー部材及び基部を通してシャンクを挿入することと、によって組み立てることを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、シャンクは、基部に対して多軸方向に回転可能であり得る。
【0015】
上述した特徴又は変形例のいずれも、いくつかの異なる組み合わせで、本開示の任意の特定の態様又は実施形態に適用することができる。任意の特定の組み合わせの明確な記述はないが、それは単に本概要での重複を回避するためである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
上述の本開示の態様及び実施形態は、添付の図面と共になされる以下の詳細な説明によって、更に十分に理解されよう。
【
図1】本開示の骨アンカー組立体の一実施形態の分解斜視図である。
【
図2】本開示の骨アンカー組立体の別の実施形態の分解斜視図である。
【
図4】
図2の骨アンカー組立体のレシーバーに対して第1の位置にある
図2の骨アンカー組立体の基部を概略的に示す図である。
【
図5】
図2の骨アンカー組立体のレシーバーに対して第2の位置まで回転した
図2の骨アンカー組立体の基部を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、ある特定の例示的な実施形態について、これから説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上が添付の図面に例示される。本明細書に具体的に記載され、添付の図面に例示される装置、システム、及び方法は、非限定的な実施形態である。一実施形態に関連して示される又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。そのような修正及び変形例は、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0018】
従来の骨アンカー組立体と比較して改善された固定を提供することができる骨アンカー組立体が本明細書に開示される。本開示の骨アンカー組立体は、骨と係合するための主ねじシャンクと、補助骨アンカーを受け入れるための少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を備える半径方向に延びる突出部(例えば突出するアイレット、翼など)を有する基部と、脊椎固定要素を受け入れるためのレシーバー部材と、を含み得る。基部は、レシーバー部材及び主シャンクに対して、かつこれらとは独立して、基部が回転することができるように、レシーバー部材と結合することができる。このようにして、主ねじシャンクが患者の骨、例えば椎骨と係合すると、レシーバー部材及び骨アンカーに対する1つ以上の補助骨アンカー開口部の位置決めを調整するために基部を回転することができる。
【0019】
骨アンカー組立体は、ねじシャンクの遠位骨係合部分が基部から遠位方向に延びた状態でねじシャンクの近位ヘッドが基部内に着座又は別様に保持され得るように、ねじシャンクを基部に挿入することによって組み立てることができる。基部がレシーバーに対して回転することができるように、基部がレシーバー部材に挿入されて、これと結合され得る。ねじシャンクは、患者の解剖学的構造、例えば椎骨に打ち込まれてもよく、基部は、主ねじシャンクに加えて所望の補助的固定を提供するために、基部の突出部(例えばアイレット、翼など)上に1つ以上の補助骨アンカー開口部を位置決めするように、レシーバー部材の長手方向軸を中心に自由に回転されてもよい。続いて、本明細書で補助的固定ねじとも呼ばれる1つ以上の補助骨アンカーを、補助的固定を提供するために補助骨アンカー開口部に挿入することができる。補助的固定ねじの配置前又は配置後のいずれかで、脊椎固定ロッドをレシーバー部材内に配置及び/又は固定することができる。したがって、本開示の骨アンカー組立体は、骨アンカー組立体を超える追加の構成要素を必要とすることなく、戦略的かつ患者固有の様式で主ねじに補助的固定を提供することができる。
【0020】
図1は、本開示による骨アンカー組立体100の一実施形態の分解図を示す。上述のように、骨アンカーは、しばしば妥協した状態で挿入され得る。これは、特に、追加の骨アンカーを設置するための骨面積が制限されている場合に望ましくない場合がある。図示される骨アンカー組立体100は、主骨アンカーの除去又は再挿入を必ずしも必要とすることなく、小さな設置面積内で主骨アンカーの補助的固定を可能とする。示されるように、骨アンカー100は、主ねじシャンクとも称される主骨アンカー102と、基部104と、骨アンカーに結合するための脊椎ロッドなどの、脊椎固定要素(図示せず)を受け入れるためのレシーバー部材106と、1つ以上の補助骨アンカー108と、を含むことができる。止めねじなどの閉鎖機構(図示せず)は、レシーバー部材106内で脊椎固定要素を捕捉し、レシーバー部材に対して脊椎固定要素を固定することができる。脊椎固定要素、例えば脊椎ロッドは、レシーバー部材106(又は基部104及び/若しくは骨アンカー102などの他の構成要素)に直接接触することもでき、あるいは例えば、
図2及び
図3に示されるように、中間要素、例えば、サドル105と接触することもできる。使用中、基部104は、レシーバー部材106に結合されてよく、その結果、基部はレシーバー部材の中央長手方向軸A1を中心にレシーバー部材に対して回転することができ、一方で、長手方向軸A1に沿った相対的な移動は制限又は限定され得る。1つ以上の補助的固定ねじ108は、基部104の対応する1つ以上の補助骨アンカー開口部124を通して骨に打ち込まれることができ、患者の解剖学的構造内で骨アンカー102の固定を補助し得る。
【0021】
主ねじシャンク102は、骨及び近位ヘッド112に係合するように構成された遠位ねじ付きシャフト110を含むことができる。近位ヘッド112は、概して、平面状の近位面とほぼ球状形の遠位面とを有する切頭球体の形状を有し得る。ねじシャンク102の近位ヘッド112は、基部104の遠位端に、例えば、近位ヘッド112が基部104に対して枢動することができるボールソケット様の構成で係合することができる。シャンク102の近位ヘッド112の遠位面及び基部104の遠位端内の合わせ面は、この構成を容易にし得る任意の形状を有することができ、これとしては、例えば、球状、トロイダル状、円錐状、円錐台状、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0022】
シャンク102の遠位シャフト110は、骨と係合するように構成され得、図示した実施形態では、骨と係合する雄ねじを含み得る。ねじ山の数、ピッチ、外径及び内径、並びにねじ山の形状を含む遠位シャフト110のねじ山形態は、骨との接続を容易にするように選択することができる。例示的なねじ山形態は、2011年5月18日出願の米国特許出願公開第2011/0288599号、及び2012年8月22日出願の米国特許出願公開第2013/0053901号に開示されており、開示内容はいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
基部104は、そこから半径方向に延びる半径方向に突出する部分(例えば、アイレット又は翼)116を有するトロイド本体部分114を有することができる。延出部118は、トロイド本体114から近位方向に延び得る。近位延出部118は、レシーバー106の相補的接続特徴部と係合するための、リップ120、又は例えば1つ以上の突起、溝などの他の接続機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、延出部118及びリップ120は変形可能であり得る。例えば、リップ120がレシーバー部材106の管腔136内に受け入れられるときは、リップ120は半径方向内向きに圧縮することができ、リップ120がレシーバー部材の溝142と整列するときは、圧縮位置から半径方向外向きに拡張することができる。このようにして、基部104のリップ120は、レシーバー部材106の溝142と係合して、基部104をレシーバー部材106内に保持することができる。いくつかの実施形態では、リップ120及び延出部118は、変形可能なモノリシック構造であり得る。他の実施形態では、接続特徴部、例えばリップ120は、トロイド本体114自体に形成されるか又はそこから延びてもよく、近位延出部118は省略され得る。
【0024】
中央長手方向軸A1を備える管腔122は、基部104を通って延びることができ、より具体的には、トロイド本体114及び近位延出部118を通って延びることができる。ねじシャンク102は、遠位ねじ部110がトロイド本体114から遠位方向に延びるように管腔122を通して挿入されることができ、一方でねじシャンク102のヘッド部分112はトロイド本体114内に受け入れられ得る。いくつかの実施形態では、ねじシャンクがトロイド本体114内に保持されることができ、いくつかの実施形態では、トロイド本体に対して多軸方向に移動することができるように、トロイド本体114の内面はねじシャンク102の近位ヘッド112に相補的な特徴部を含むことができる。上記では、近位ヘッド112が基部のトロイド本体114内に受け入れられるまでねじシャンク102が基部104を通して遠位方向に通される「トップダウン」組立体が説明されているが、他の実施形態では、組立体は、近位ヘッド112をトロイド本体114内に着座させるためにねじシャンク102が基部104を通して近位方向に通される「下部装填」のために構成され得る。これは、例えば、トロイド本体114及び/又は近位ヘッド112を形成して、トロイド本体の凹部内に近位ヘッドが通過することを可能にするように変形できるようにすることで、達成することができる。こうした結合を可能にする特徴部の例としては、弾性変形可能材料、コレットを形成する弾性フィンガ、又は他の把持構造体などの使用が挙げられ得る。
【0025】
突出する部分又は翼116は、トロイド本体114から延びることができ、基部104の一部を形成することができる。突出する部分116は、トロイド本体114から半径方向外向きに、すなわち、管腔122の中央長手方向軸A1から遠ざかるように延びることができる。補助骨アンカー開口部124は、翼116内に形成することができる。
図1の翼116上には単一の開口部124が示されているが、いくつかの実施形態では、翼116は、複数の補助骨アンカー開口部124を含むことができる。補助骨アンカー開口部124は、補助固定要素108を受け入れるように構成することができる。
図1に示すように、開口部124の中央長手方向軸A2は、管腔122の中央長手方向軸A1に実質的に平行に延びることができる。他の実施形態では、開口部124は、管腔122の中心軸A1に対して偏った又は角度の付いた軌道を有して延びることができる。例えば、開口部124の中心軸A2は、管腔122の中央長手方向軸A1に対して斜めの角度で延びることができる。このようにして、補助骨アンカー108は、補助骨アンカー開口部124を通して受け入れることができ、患者の解剖学的構造に対する突出する部分116の配置に応じて、尾方軌道又は頭方軌道を有して患者の解剖学的構造内に配置することができる。追加的又は代替的に、開口部126の中心軸A2は、開口部122の中心軸A1に向かって半径方向内向きに延びることもでき、又は開口部122の中心軸A1から半径方向外向きに延びることもできる。突出する部分116内に複数の補助骨アンカー開口部124を有する実施形態では、各開口部124は、同じ又は異なる軌道のいずれかを有するように角度付けられる又は偏らせることができる。補助骨アンカー開口部の更なる特徴及び実施形態は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、「Multipoint Angled Fixation Implants for Multiple Screws and Related Methods」と題する2019年9月25日出願の米国特許出願第16/583,233号に見出すことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、各補助骨アンカー開口部124は、例えば、円錐状、球状、又は放物線状のねじ山などの、様々な角度で補助骨アンカー108を受け入れるための多くの特徴部のうちのいずれかを含むことができる。例えば、米国特許出願第16/583,233号で、例えば
図2A~
図2Mに関して論じられるように、開口部124は、ねじ付き近位ヘッド132を有する可変角度係止ねじ108を受け入れるように、少なくとも部分的にねじ山付きであり得る。
図1に示されるように、開口部124は、複数の非ねじ山付き凹部130を画定するように離間して配置される複数列のねじ山128を有することができる。このようにして、開口部124のねじ山は、インターロックインターフェースを形成し、補助的固定ねじ108のねじ山125と噛合して、ねじ108をその中で係止することができる。一実施形態では、開口部124のねじ山は、円錐状ねじ山であり得る。ねじ山128の列は、係止及び/又は可変角度補助骨ねじ108のヘッド上にねじ山132を係合させるために、開口部124の内面の周りに設けられ得る。こうして、補助的固定ねじ108は、基部104の中心軸A1と同軸的に、又は基部の中心軸に対して選択可能な角度範囲内にある1つの選択された角度で、突出する部分116内、具体的には開口部124内で係止され得る。例えば、ねじ108は、開口部の中心軸A2に対して横断する角度で延びることができる軌道A3に沿って開口部124に挿入することができる。開口部124は、補助的固定ねじ108との可変角度係止を容易にするために、任意の数のねじ山128の列(例えば、2つ、3つ、4つなど)を有することができる。追加的又は代替的に、開口部124は、カムなどの1つ以上の追加の係止構成要素を含むことができ、かつ/又は材料の変形、例えば、補助骨アンカー開口部を外側に広げることにより、ねじ108との係止を容易にすることができる。
【0027】
補助骨アンカー108は、この可変角度係止を容易にするための特徴部を含むことができ、この特徴部としては、例えば、ヘッドの球形部分の弧状の曲率半径に従うプロファイルのねじ山を有する、少なくとも部分的に球形である近位ヘッドが挙げられる。インターロックインターフェース(すなわち、ねじ/開口部のインターフェース)の可変角度能力によって、ユーザは、角度付け限度内で定義される任意の角度で骨に係止補助骨アンカーを配置して、配置の融通性を改善させ、所望の挿入角度を達成するために翼116を骨表面に一致させる必要性をなくすか、減少させることができる。したがって、補助骨アンカー108は、主骨アンカー102に対して発散又は収束する長手方向軸で骨に打ち込まれ得る。複数の骨アンカー108がそれぞれ突出する部分116の開口部を通して打ち込まれ得る場合、骨アンカー108は、互いに対してかつ/又は主骨アンカー102に対して、発散又は収束する長手方向軸を用いて骨に打ち込まれ得る。補助骨アンカー108の偏った又は角度の付いた軌道は、引き抜きに対する改善された抵抗を提供することができる。補助骨アンカー開口部と補助骨アンカーとの間の係止インターフェースは、安定性を増加させ、かつ補助骨アンカーが開口部から抜けて外れるのを防ぐことができる。
【0028】
上述のように、補助骨アンカー開口部124は、開口部124内で補助骨アンカーのヘッドを係止するための1つ以上の係止特徴部を有する係止インターフェースを含むことができる。他の実施形態では、開口部124は、補助骨アンカーのヘッドが開口部124に対して独立して係止しない、補助骨アンカーとのラギングインターフェースを有することができる。一部のこうした実施形態では、開口部124の内面は、ねじ山又は係止特徴部を伴わずに、平滑又は球状であり得る。
【0029】
レシーバー部材106は、近位端106p、遠位端106d、及びそれらの間に延びる管腔136を有することができる。近位端106pは、脊椎固定要素、例えば、脊椎ロッドを受け入れるためのU字形のロッド受け凹部140をその間に画定する、一対の離間したアーム138A、138Bを有し得る。アーム138A、138Bの各々は、レシーバー部材106の遠位端106dから自由端まで延びることができる。アーム138A、138Bのそれぞれの外面は、器具に対するレシーバー部材106の接続を容易にするために、例えば、凹部、くぼみ、ノッチ、突出部などの特徴部を含むことができる。例えば、各アーム138A、138Bの外面は、アームのそれぞれの自由端に弓形溝を含むことができる。こうした溝は、2007年2月20日発行の米国特許第7,179,261号により詳細に説明され、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。止めねじ(図示せず)などの閉鎖機構は、アーム138A、138Bの間に位置決め可能であり、アーム138A、138Bに係合して、レシーバー部材106内に脊椎固定要素、例えば脊椎ロッド(図示せず)を捕捉し、レシーバー部材に対して脊椎固定要素を固定することができる。例えば、アーム138A、138Bは、閉鎖機構の雄ねじと係合することができる雌ねじ141を有することができる。
【0030】
レシーバー部材106の遠位端106dは、基部104及びシャンク102の少なくとも一部分が内部を通って延びることのできる開口部を画定する略環状形の遠位端面を有し得る。例えば、基部104の延出部118は、延出部のリップ120がレシーバー部材の溝142と係合することができ、基部のトロイド本体114がレシーバー部材から遠位方向に延びることができるように、レシーバー部材106の遠位開口部を通して挿入することができる。
図2~
図4を参照して詳細に説明されるように、基部104は、レシーバー部材106と結合することができ、その結果、基部はレシーバー部材の中央長手方向軸を中心にレシーバー部材に対して回転され得る。
【0031】
骨アンカー組立体100の組み立てられた構成では、レシーバー部材106の管腔136の中央長手方向軸は、基部の管腔122の中央長手方向軸A1と同軸であり得る。基部104は、基部104がレシーバー部材に対して中心軸A1を中心に回転することができるように、レシーバー部材106と結合することができる。いくつかの実施形態では、基部104は、時計回り又は反時計回りの方向の両方でレシーバー部材に対して中心軸A1を中心に360度回転することができる。しかしながら、基部104とレシーバー部材106との間の中心軸A1に沿った相対的な軸方向移動は、限定又は制限され得る。レシーバー部材106は、脊椎固定要素が長手方向軸A1に対して横方向に延びることができるように、脊椎ロッド(図示せず)などの脊椎固定要素をロッド受け凹部140内に受け入れることができる。
【0032】
ここで、本開示の骨アンカー組立体の構造、組立体、及び使用を、
図2及び
図3に示される骨アンカー組立体100’の代替的実施形態を参照してより詳細に説明する。
図2は、骨アンカー組立体100’の分解斜視図を示し、
図3は、
図2の組み立てられた骨アンカーの断面図を示す。使用中、トロイド本体114’がレシーバー部材から遠位方向に延び得、基部がレシーバーに対して回転することができるように、基部104’がレシーバー部材106’内に受け入れられ得る。任意選択的に、サドル105を、レシーバー部材106’内に受け入れられた基部104’と脊椎固定要素(図示せず)との間に挿入することができる。シャンク102のヘッド112は、基部104’内に受け入れられ得るが、シャンクの遠位シャフト110は、基部から、したがってレシーバー部材106’から遠位方向に延びて、骨と係合することができる。突出する部分114’は、レシーバー106’に対して回転させることができ、1つ以上の補助骨アンカー開口部124’がシャンク102及び患者の解剖学的構造に対して戦略的に位置して所望の補助的固定を提供するように位置決めすることができる。1つ以上の補助骨アンカーは、骨と係合し、主骨アンカーの骨に対する補助的固定支持を提供するために、基部の突出する部分の1つ以上の補助骨アンカー開口部を通して打ち込まれ得る。
【0033】
基部104’のリップ120’は、基部104’が軸A1を中心にレシーバー部材106’に対して回転することができるように、レシーバー部材106’の溝142’内に受け入れられ得る。しかしながら、相対的な軸方向移動、すなわち軸A1に沿った移動は、例えば、リップ120’に対する溝142の許容寸法、及び/又は軸A1の方向に沿った基部104’の延出部118’の長さによって、制限され得る。いくつかの実施形態では、延出部118’及びリップ120’は、間に間隙123を有する1つ以上の変形可能なフィンガ121を含むことができる。フィンガ121は、レシーバー部材106’の管腔136’内に受け入れられたときに半径方向内向きに圧縮することができ、リップ120’がレシーバー部材の溝142’と整列するときに外向きに拡張することができる。
図1~
図3に示される実施形態は、リップ120、120’としての基部104、104’の接続特徴部、及び溝142、142’としてのレシーバー部材106、106’の相補的接続特徴部を示しているが、代替的な相補的接続特徴部が、基部とレシーバー部材との間の接続がそれらの間の相対的回転を可能にする限りは使用されてもよく、かつ本開示の範囲内にある。非限定的な例として、溝又は1つ以上の突起が、レシーバー部材106の内部遠位面上に形成されてもよく、また延出部118の外面上に形成された溝と係合してもよい。
【0034】
図3は、レシーバー部材106’内に受け入れられた基部104’及びサドル105を示す。基部104’の延出部118’の少なくとも一部分は、基部のトロイド本体114’がレシーバー部材の遠位面から遠位方向に延びるように、レシーバー部材106’の管腔136’の遠位部分内に受け入れられ得る。上述のように、延出部118’のリップ120’は、変形可能であってよく、また、レシーバー部材106’内への延出部の挿入中に半径方向内向きに圧縮できる。続いて、リップ120’は、
図3に示すように、リップがレシーバー部材106’の溝142’と整列するときにその初期状態へと拡張することができ、また、基部104’をレシーバー部材内に保持することができる。トロイド本体114’の近位に面した表面は、レシーバー部材106’の遠位に面した表面に接触することができる。他の実施形態では、延出部118’の一部分は、トロイド本体114’がレシーバー部材106’と接触しないように、レシーバー部材106’から遠位方向に延びることができる。上述のように、翼116’は、中心軸A1から半径方向外向きに、すなわち基部104’の管腔122に対して半径方向外向きに、トロイド本体114’から延びることができる。組み立てられた構成では、少なくとも1つの補助骨アンカー開口部124を有する翼116’は、レシーバー部材106’に対して基部104’と共に回転することができる。
【0035】
サドル105は、サドルの少なくとも一部分が基部104’と接触した状態で、レシーバー部材106’の管腔136’内に受け入れられ得る。サドル105は、近位部分105p、遠位部分105d、及びそれらの間に延びる管腔107を有することができる。サドル105は、脊椎固定要素を受け入れることができるU字形座部111を画定する一対の離間したアーム109A、109B、並びに、基部104’の近位に面した表面及び/又はねじシャンク102の近位ヘッド112の一部と当接することができる近位部分105pの遠位に面した表面113を含むことができる。サドル105の遠位部分105dは、サドルの遠位部分が基部の管腔122内に延びることができるように、基部104’の延出部118’内に受け入れられ得る。サドル105は、レシーバー部材106’内に位置決めされ、基部104とロッド受け凹部140内の脊椎固定要素との間に挿入され得る。例えば、サドル105は、アーム109A、109Bが半径方向内向きに偏向するように、レシーバー部材106の管腔136に挿入され得る。サドル105が、アーム109A、109Bの遠位部分がレシーバー部材106に形成された溝143と整列する位置まで前進すると、アームは半径方向外向きに拡張して、その一部を溝143内に着座させ、それによってサドルをレシーバー部材に保持することができる。溝143、及びその中に受け入れられるように構成されたアーム109A、109Bの部分の寸法は、例えば、サドルによってシャンク102上に変化する力が加えられているときに、レシーバー部材106に対するサドル105の所望の軸方向移動を可能にするように設定され得る。より具体的には、シャンク102の近位ヘッド112が基部104’内に受け入れられると、サドル105は、シャンク102のヘッドの遠位外面を圧縮して、基部104’の遠位内面119と直接固定係合させることができる。シャンク102のヘッド112は、基部104’内、すなわち管腔122’内に受け入れて保持することができ、一方でシャンクの遠位シャフト110は、基部104’のトロイド本体114’から遠位方向に延びることができる。シャンク102は、基部104’をレシーバー部材106’に挿入する前又は後で基部104’に挿入されてもよい。
【0036】
組み立てられた構成では、基部104’は、レシーバー106’に対して360度回転することができる。例えば、
図4は、レシーバー部材106’に対する基部104’の第1の位置の上面図を示し、ここでは
図4の例示された図に関して、レシーバーアーム138A’の実質的に中線において、翼116’がレシーバーの左側に延びることができる。基部104’は、それぞれ矢印202及び204によって示される時計回り又は反時計回りの方向のいずれかで、レシーバー106’に対して回転され得る。例えば、ユーザは、翼116’又はトロイド本体114’を把持し、基部104’を時計回りに回転させて、翼116’を第2の位置、例えば第1の位置とは異なる
図5に示される位置に配置することができる。
【0037】
骨アンカー組立体100の使用法の一実施形態をここで説明する。骨アンカー組立体100は、患者に移植する前に組み立てることができる。ねじシャンク102は、基部104内に上部装填することができる。より具体的には、ねじシャンク102は、ねじシャンクのシャフト110が基部のトロイド本体114から遠位方向に延びることができ、一方でねじシャンクの近位ヘッド112が基部104の管腔122内に受け入れられ得るように、基部104の管腔122を通って遠位方向に通ることができる。代替的に、いくつかの実施形態では、ねじシャンク102は、基部104内に下部装填され得る。
【0038】
シャンク102がその中に受け入れられた基部104は、基部がレシーバーに対して回転することができるように、レシーバー106に挿入され得る。より具体的には、延出部118は、レシーバー106の遠位開口部を通して挿入されることができ、基部104のリップ120が、例えばレシーバー106の溝142内に捕捉され得るまでレシーバーの管腔136内で近位方向に移動され得る。代替的に、基部104は、シャンク102を基部104を通して挿入する前に、レシーバー106に結合され得る。こうした例では、シャンク102は、レシーバー106の管腔136及び基部104の管腔122を通って遠位方向に移動され得る。いくつかの実施形態では、基部104及びレシーバー部材106は、本明細書に記載されるように、基部がレシーバー部材106に対して回転可能な単一の構成要素として製造することができる。上で論じたように、基部104がレシーバー106に接続されている状態では、トロイド本体114及び翼116を含む基部は、中心軸A1を中心にレシーバー104に対して、かつそれとは独立して回転することができる。
【0039】
レシーバー部材106、基部104、及びねじシャンク102、すなわち主骨アンカーが組み立てられた状態で、シャンクは標準的な外科手術技法に従って骨に打ち込まれ得る。例えば、骨アンカー組立体100は、椎骨の椎弓根又は外側塊に後方移植するために設計された多軸の骨ねじであり得る。シャンク102が骨に移植された状態で、基部104の翼116は、シャンク102及びレシーバー106に対して回転されて、1つ以上の補助骨アンカー開口部124を所望の位置に位置決めすることができる。翼116及び補助骨アンカー開口部124を位置決めするときに、例えば、シャンク102の配置、患者の解剖学的構造、その他の器具、及び外科処置の要件、例えばシャンク102が係合する骨が1つ以上の隣接する椎骨に融合されるべきであるかどうかなどを含む、様々な要因を考慮に入れることができる。
【0040】
続いて、1つ以上の補助骨アンカー108を、翼116の1つ以上の対応する補助骨アンカー開口部124を通して骨に打ち込んで、骨アンカー100の固定を補助することができる。上記で詳細に論じたように、補助骨アンカー108のうちの1つ以上は、骨アンカー、シャンク102、及び/又は1つ以上の他の補助骨アンカーの中心軸A1に対して角度を付けられた又は偏った軌道を用いて打ち込まれ得る。脊椎ロッドは、レシーバー部材106のロッド受け凹部140内に配置することができ、閉鎖具、例えば止めねじを用いてレシーバー部材内に固定することができる。1つ以上の補助骨アンカー108は、レシーバー部材内における脊椎ロッドの配置及び/又は固定の前又は後のいずれかで配置することができる。
【0041】
上記の実施形態又は方法のいずれにおいても、主骨アンカーは省略してもよく、ユーザは、骨アンカーを固定するために1つ以上の補助固定特徴部にのみ依存してもよい。これにより、例えば、初めに配置された骨アンカーが、不正確な位置決め又は不十分な食い付きに起因して、取り除かれる必要がある場合、あるいはレシーバー部材が、骨アンカーが挿入不可能な位置にわたって位置決めされる必要がある場合などに、有利にも、固定位置をレシーバー部材から完全にオフセットすることができる。
【0042】
本明細書で図示及び説明される方法は、椎骨の椎弓根又は外側塊に配置された骨アンカーを包含するが、本明細書のシステム及び方法は、任意の骨、非骨組織、又は非生物若しくは非組織対象においても用いることができることが理解されよう。
【0043】
本明細書で開示される補助固定部材は、骨アンカー、レシーバー部材、及び脊椎ロッドと同じ外科手術手順にて、あるいは、再置換手術の場合、外科手術後の手順中に、移植され得る。
【0044】
上記の説明又は添付図面において表現された又は示唆された方法ステップの任意の順序は、開示された方法を、その順序でステップを実施することに限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。むしろ、本明細書で開示される方法の各々の様々なステップは、様々な順序のうちのいずれかで行うことができる。更に、記載した方法は、例示的実施形態に過ぎず、追加のステップを含む、又はより少ないステップを含む、様々な他の方法も本開示の範囲内である。
【0045】
上記から明確であるように、少なくとも一部の実施形態では、本明細書で開示されるシステム及び方法は、所与の手術部位について強化された固定を提供して、更なる椎骨へ固定を移動させる、又は関連する椎骨レベルをスキップ/増加させる必要なしに、所与の位置でより大きな骨固定強度を提供することができる。
【0046】
本明細書で開示される骨アンカー組立体及びそれらの様々な構成要素は、様々な既知の材料のいずれかから構成することができる。例示的な材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、又はそれらの合金のような金属、PEEK、セラミックス、炭素繊維などのポリマーを含む、外科用途で使用するのに好適である材料を含む。本明細書で開示された装置の様々な構成要素は、剛性であっても又は可撓性であってもよい。装置の1つ以上の構成要素又は部分は、蛍光透視法及び他の画像処理技法の下での可視化を容易にするために、放射線不透過性材料から形成することができ、又は他の構造物の可視化を干渉しないように放射線透過性材料から形成することができる。例示的な放射線透過性の材料としては、炭素繊維及び高強度のポリマーが挙げられる。
【0047】
上記の方法及び装置は、脊椎外科手術用途に関する。これは1つの企図される用途ではあるが、本開示の方法及び装置は、患者の身体のその他の領域における使用にも同様に適合させることができ、また、ヒト若しくは動物移植と共に、ヒト若しくは動物に対して実施される様々な外科手術のいずれにおいても、かつ/又は移植若しくは外科手術に関連しない分野においても、使用することができる。したがって、本明細書に記載の装置は、患者の身体の様々な領域での使用に適した様々な寸法及び材料で形成することができる。本明細書で開示されたシステム及び方法は、低侵襲性手術及び/又は切開手術で用いることができる。
【0048】
以上、特定の実施形態を記載したが、記載された概念の趣旨及び範囲内で多くの変更がなされ得る点を理解されたい。したがって、本開示は記載された実施形態に限定されるものではなく、以下の「特許請求の範囲」の文言によって定義される完全な範囲を有するものであることが意図される。本明細書で引用されるすべての刊行物及び参考文献は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 骨アンカー組立体であって、
トロイド本体部分と、補助骨アンカーを受け入れるように構成された少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を含む半径方向に延びる部分と、を有する基部と、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる管腔と、ロッド受け凹部と、を有するレシーバー部材と、
前記トロイド本体内に保持されたヘッド部分と、前記基部から遠位方向に延びる骨係合部分と、を有するシャンクと、を含み、
前記基部が前記レシーバー部材に対して回転するように構成されるように、前記基部が前記レシーバー部材に結合されている、骨アンカー組立体。
(2) 前記基部の前記トロイド本体は、前記レシーバー部材から遠位方向に延びている、実施態様1に記載の骨アンカー。
(3) 前記基部が、前記トロイド本体から近位方向に延びる延出部を更に備え、
前記延出部は、前記レシーバー部材の前記管腔内に受け入れられている、実施態様1に記載の骨アンカー。
(4) 前記基部の前記延出部が第1の接続特徴部を有し、前記レシーバー部材が第2の接続特徴部を有し、
前記第1の接続特徴部は、前記基部が前記レシーバー部材内に回転可能に受け入れられるように、前記第2の接続特徴部と係合するように構成されている、実施態様3に記載の骨アンカー。
(5) 前記第1の接続特徴部及び前記第2の接続特徴部は、前記第1の接続特徴部が前記第2の接続特徴部と係合するときに、前記基部と前記レシーバー部材との間の相対的な軸方向移動が制限されるように構成されている、実施態様4に記載の骨アンカー。
【0050】
(6) 前記第1の接続特徴部は前記延出部の近位端のリップであり、前記第2の接続特徴部は前記レシーバー部材の内面の溝である、実施態様4に記載の骨アンカー。
(7) 前記レシーバー部材の前記溝が、前記ロッド受け凹部の遠位にある、実施態様6に記載の骨アンカー。
(8) 前記レシーバー部材内に配置されているサドルを更に備え、前記サドルは、前記レシーバー部材内に配置された前記延出部の近位に面した表面と接触するように構成された遠位に面した表面を有する、実施態様3に記載の骨アンカー。
(9) 外科的方法であって、
骨アンカーのシャンクを患者の骨に打ち込むことと、
前記骨アンカーのレシーバー部材に対して前記骨アンカーの基部を回転させることであって、前記基部は、内部を通って延びる少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を有する半径方向に延びる部分を有し、前記レシーバー部材は脊椎固定要素を受け入れるように構成されている、回転させることと、
前記基部の前記半径方向に延びる部分を前記シャンクに対して所望の位置に位置決めすることと、
前記半径方向に延びる部分の前記少なくとも1つの補助骨アンカー開口部を通して前記患者の骨に少なくとも1つの補助骨アンカーを打ち込むことと、を含む、方法。
(10) 前記骨アンカーの前記基部を回転させることが、前記レシーバー部材の中央長手方向軸を中心に前記基部を回転させることを更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0051】
(11) 前記少なくとも1つの補助骨アンカーを骨に打ち込む前に、前記レシーバー部材内に脊椎ロッドを配置し、前記脊椎ロッドを前記レシーバー部材内で固定することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記少なくとも1つの補助骨アンカーを骨に打ち込んだ後で、前記レシーバー部材内に脊椎ロッドを配置し、前記脊椎ロッドを前記レシーバー部材内で固定することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記骨アンカーを、
前記基部が前記レシーバー部材の中央長手方向軸を中心に回転可能であるように、前記基部を前記レシーバー部材に結合することと、
前記シャンクの遠位骨係合部分が前記基部から遠位方向に延び、前記シャンクのヘッド部分が前記基部内に受け入れられるように、前記レシーバー部材及び前記基部を通して前記シャンクを挿入することと、
によって組み立てることを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記シャンクが、前記基部に対して多軸方向に回転可能である、実施態様13に記載の方法。