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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6566 20140101AFI20250508BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250508BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250508BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20250508BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
H01M10/6566
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
B60K11/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020085756
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021180141
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】平岩 義雄
(72)【発明者】
【氏名】北村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 哲
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-153150(JP,A)
【文献】特開2018-163732(JP,A)
【文献】特表2010-529636(JP,A)
【文献】特開2015-032429(JP,A)
【文献】特表2019-530191(JP,A)
【文献】特開2010-092723(JP,A)
【文献】特開2008-282548(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044717(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-667
H01M 50/20
B60K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向が車両幅方向に沿うように配設されるバッテリートレーと、
前記バッテリートレーの上面から離隔した状態で前記バッテリートレーに設置されるバッテリーと、
前記バッテリートレーに設置された前記バッテリーを覆うバッテリーカバーと、
を備え、
前記バッテリートレーの上面と前記バッテリーとの間は空気が流通する流路となり、
前記バッテリートレーは、前記バッテリーの設置領域に前記バッテリーに向けて突出し、前記バッテリートレーと前記バッテリーとの間隔を狭める突出部を有し、
前記バッテリーの設置領域の前記空気が流入する流入口側の領域と前記突出部との間に設けられた段差、及び前記バッテリーの設置領域の前記空気が流出する流出口側の領域と前記突出部との間に設けられた段差は、傾斜面によって接続される、
電池パック。
【請求項2】
長手方向が車両幅方向に沿うように配設されるバッテリートレーと、
前記バッテリートレーの上面から離隔した状態で前記バッテリートレーに設置されるバッテリーと、
前記バッテリートレーに設置された前記バッテリーを覆うバッテリーカバーと、
を備え、
前記バッテリートレーの上面と前記バッテリーとの間は空気が流通する流路となり、
前記バッテリートレーは、前記バッテリーの設置領域に前記バッテリーに向けて突出し、前記バッテリートレーと前記バッテリーとの間隔を狭める突出部を有するとともに、前記バッテリーの設置領域の車両前後方向後方にバッテリーの非設置領域を有し、
前記バッテリーの非設置領域は、前記突出部の高さ以上の高さを有する、
電池パック。
【請求項3】
前記突出部は、上面が平坦な台状に形成される、
請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記バッテリーの設置領域の流入口側の領域と流出口側の領域とにそれぞれ車両前後方向に沿って設けられた一対の支持フレームを備え、
前記バッテリーは、前記一対の支持フレームによって前記バッテリートレーの上面から離隔した状態で前記バッテリートレーに設置される、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記バッテリートレーに向けて突出する横断面を有する、
請求項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記支持フレームは、前記横断面の少なくとも空気の流れる方向上流側に空気の流れる方向に漸次前記バッテリートレーに近づく傾斜面を有する、
請求項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記突出部は、前記一対の支持フレームの間に形成される、
請求項からのいずれか一項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池パックが開示されている。かかる電池パックは、複数の単位電池を内部空間に収容するケースと、内部空間に設置される駆動用のモーター及び内部空間に設置されモーターによって駆動される内部ファンを備える送風機と、を含んでいる。かかる電池パックでは、送風機によって内部空間の空気を循環させて各単位電池を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-229560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する電池パックでは、内部空間を循環する空気が単位電池(バッテリー)に沿って規則正しく流れるので、バッテリーを効率的に冷却することができない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、バッテリーを効率的に冷却できる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも一実施形態に係る電池パックは、長手方向が車両幅方向に沿うように配設されるバッテリートレーと、前記バッテリートレーの上面から離隔した状態で前記バッテリートレーに設置されるバッテリーと、前記バッテリートレーに設置された前記バッテリーを覆うバッテリーカバーと、を備え、前記バッテリートレーは、前記バッテリーの設置領域に前記バッテリーに向けて突出し前記バッテリーとの間隔を狭める突出部を有する。
【0007】
上記の構成によれば、バッテリートレーとバッテリーとの間を空気が流れる。そして、バッテリートレーとバッテリーとの間を流れる空気は突出部によって流れが乱されてバッテリーに近づけられる。これにより、バッテリーを効率的に冷却できる。
【0008】
一実施形態では、上記の構成において、前記突出部は、上面が平坦な台状に形成される。
【0009】
上記の構成によれば、バッテリートレーとバッテリーとの間を流れる空気は平坦な上面でバッテリーに近づけられた状態が維持され、平坦な上面全域でバッテリーを効率的に冷却できる。
【0010】
一実施形態では、上記の構成において、バッテリー冷却用の空気を取り入れるための流入口と、前記流入口から取り入れた空気を排出するための流出口と、を有し、前記バッテリーの設置領域の流入口側の領域と前記突出部との間に設けられた段差、及び、前記突出部と前記バッテリーの設置領域の流出口側の領域との間に設けられた段差は、傾斜面によって接続される。
【0011】
上記の構成によれば、流入口から取り入られたバッテリー冷却用の空気は、バッテリーの設置領域の流入口側の領域と突出部との間に設けられた段差、及び、突出部とバッテリーの設置領域の流出口側の領域との間に設けられた段差は、傾斜面によって接続されるので、バッテリートレーとバッテリーとの間を流れる空気の圧力損失を低減できる。
【0012】
一実施形態では、上記の構成において、前記バッテリーの設置領域の流入口側の領域と流出口側の領域とにそれぞれ設けられた一対の支持フレームを備え、前記バッテリーは、前記一対の支持フレームによって前記バッテリートレーの上面から離隔した状態で前記バッテリートレーに設置される。
【0013】
上記の構成によれば、バッテリートレーの上面からバッテリーを離隔させる構成をバッテリートレーに設ける必要がなく、バッテリートレーの形状を簡略化できる。
【0014】
一実施形態では、上記の構成において、前記支持フレームは、前記バッテリートレーに向けて突出する横断面を有する。
【0015】
上記の構成によれば、支持フレームの車両前後方向の剛性を高めることができ、支持フレームの厚みを薄くできる。
【0016】
一実施形態では、上記の構成において、前記支持フレームは、前記横断面の少なくとも空気の流れる方向上流側に空気の流れる方向に漸次前記バッテリートレーに近づく傾斜面を有する。
【0017】
上記の構成によれば、空気の流れが支持フレームの傾斜面に沿って漸次バッテリートレーに近づき、その後、バッテリーの設置領域の流入口側の領域とバッテリーに向けて突出する領域との間の傾斜面によって空気の流れが乱されてバッテリーに近づけられる。これにより、バッテリーを更に効率的に冷却できる。
【0018】
一実施形態では、上記の構成において、前記突出部は、前記一対の支持フレームの間に形成される。
【0019】
上記の構成によれば、バッテリーの設置領域の流出口側の領域においてバッテリートレーとバッテリーとの間隔が広げられ、突出部とバッテリーとの間を流れる空気が通り抜け易くなり、突出部とバッテリーとの間においてバッテリーを効率的に冷却できる。
【0020】
一実施形態では、上記の構成において、前記バッテリートレーは、前記バッテリーの設置領域の車両前後方向後方にバッテリーの非設置領域を有し、前記バッテリーの非設置領域は、前記突出部の高さ以上の高さを有する。
【0021】
上記の構成によれば、バッテリーの非設置領域は、突出部の高さ以上の高さを有するので、バッテリーの非設置領域への空気の流れを規制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、バッテリートレーとバッテリーとの間を流れる空気は突出部によって流れが乱されてバッテリーに近づけられるので、バッテリーを効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る電池パックを概略的に示す斜視図である。
図2図1に示した電池パックの分解斜視図である。
図3図1に示した電池パックの内部構造を示す断面図である。
図4図3に示したバッテリートレーとバッテリーを示す断面図である。
図5図4に示したバッテリートレーとバッテリーとの間を流れる空気の流れを説明するための図である。
図6】バッテリートレーとバッテリートレーに設置されたバッテリーとを示す平面図である。
図7図6に示したバッテリートレーを示す平面図である。
図8図7に示したバッテリートレーのVIII-VIII線断面図である。
図9図7に示したバッテリートレーのIX-IX線断面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る電池パックのバッテリートレーとバッテリートレーに設置されたバッテリーを示す図である。
図11図10に示したバッテリートレーとバッテリートレーとの間を流れる空気の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る電池パック1を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1は、車室内に設置される電池パックであって、三列シートの下方域、又は荷室の下方域に車両幅方向に沿って設置される。
【0026】
本発明の実施形態に係る電池パック1には、バッテリー冷却用の空気を取り入れるための流入口(図示せず)と、流入口から取り入れた空気を排出するための流出口(図示せず)とが設けられている。電池パック1に設けられた流入口にはインレットダクト13が接続される。インレットダクト13は、バッテリー冷却用の空気を車室内から電池パック1に導入するためのダクトであり、電池パック1に設けられた流入口に接続された端部と反対側の端部は車室内、例えば、三列シートに着座する乗員の腰の位置に開口する。電池パック1に設けられた流出口には、アウトレットダクト14(図2参照)が接続される。アウトレットダクト14は、電池パック1から排出された空気を車室内に循環させるためのダクトであり、電池パック1に設けられた流出口に接続された端部と反対側の端部は車室内、例えば、三列シートに着座する乗員の足元の位置に開口する。
【0027】
また、本発明の実施形態に係る電池パック1には、電池パック内部で発生したガスを排出するための排気口(図示せず)が設けられている。電池パック1に設けられた排気口には排気管15が接続される。排気管15は、電池パック内部で発生したガスを車室外に排出するための管であり、電池パック1に設けられた排気口に接続された端部と反対側の端部は車室外、例えば、フロアパネル(図示せず)の下方域に延びて、車室外において開口する。
【0028】
図2は、図1に示した電池パック1の分解斜視図である。図2に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1は、バッテリートレー11とバッテリーカバー12とを備えている。バッテリートレー11は、バッテリー16を収納するための収納容器であり、本発明の実施形態に係る電池パック1では、車両幅方向に沿って延びる上面が開口した車両上方から視て矩形の底が浅い容器で構成される。バッテリーカバー12は、バッテリートレー11に収納されたバッテリー16を覆うためのカバーであり、本発明の実施形態に係る電池パック1では、バッテリートレー11とほぼ同じ大きさであって、車両幅方向に沿って延びる下面が開口した車両上方から視て矩形の容器で構成される。
【0029】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1は、バッテリー16、DCDCコンバーター18及びファン19を備えている。
【0030】
バッテリー16は、例えば、車両の減速エネルギーの回生によって得られる電気を充電する一方、車両の加速時にエンジンの負担を軽減すべくモーターに電気を供給するものである。バッテリー16は、例えば、12Vのシステム電圧よりも高い48Vの電圧の電気が充電可能であって、例えば、複数のリチウムイオン電池が直列に接続された電池モジュールによって構成される。バッテリー16は、電池パック1の流入口側に設置され、電池パック1に取り入れられたバッテリー冷却用の空気がバッテリー16のまわりを流れることでバッテリー16が冷却される。バッテリー16は、排煙カバー17を備えている。排煙カバー17は、ガスが車室内に漏出するのを防止するためのものであり、バッテリー16の損傷等によりバッテリー16の内部でガスが発生した場合でもガスが車室内に漏出することはない。
【0031】
DCDCコンバーター18は、例えば、バッテリー16から電装品に電気を供給する際に電圧を変換するためのものである。DCDCコンバーター18は、例えば、48Vの充電電圧を12Vのシステム電圧に変換可能である。DCDCコンバーター18は、電池パック1においてバッテリー16よりも下流側に設置され、バッテリー16を冷却した空気がDCDCコンバーター18のまわりを流れることでDCDCコンバーター18が冷却される。
【0032】
ファン19は、電池パック1の内部にバッテリー冷却用の空気を取り入れるためのものである。ファン19は、例えば、DCDCコンバーター18の下流側、例えば、電池パック1の流出口側に設置される。本発明の実施形態に係る電池パック1では、DCDCコンバーター18の上に設置され、電池パック1の流入口からバッテリー冷却用の空気を取り入れる一方、バッテリー16及びDCDCコンバーター18のまわりを通り温められた空気を電池パック1の流出口から排出する。
【0033】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1は、フロントフレーム33、リアフレーム4、補強メンバー6及び一対の支持フレーム5を備える。
【0034】
フロントフレーム33は、電池パック1をフロントフレーム33の車両前後方向前方において車両幅方向に沿って設けられるクロスメンバー(図示せず)に取り付けるための部材である。例えば、フロントフレーム33は、車両幅方向に沿って設けられ、車両前後方向に横断する横断面は、クロスメンバーの車両前後方向に横断する横断面に沿って階段状に形成される。そして、フロントフレーム33の上段部33aがクロスメンバーの上面に固定され、フロントフレーム33の上段部33aと下段部(図示せず)とを繋ぐ段差部(図示せず)がクロスメンバーの側面に沿って配置される。
【0035】
リアフレーム4は、電池パック1を車両に搭載するための部材である。リアフレーム4は、車両幅方向に沿って設けられ、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って延びる一対のサイドメンバー(図示せず)に架け渡される。リアフレーム4は、上面が開口した溝形であって、車両幅方向両端部よりも内側において一対のサイドメンバーよりも高くなり、車両幅方向端部において車両前後方向に幅広となる。そして、リアフレーム4は、車両幅方向両端部に設けられた穴を貫通するボルト41によって一対のサイドメンバーに固定される。
【0036】
リアフレーム4にはフレームカバー42が取り付けられる。フレームカバー42は、リアフレーム4においてバッテリー16の設置領域と対応する領域を補強するものである。フレームカバー42は、車両幅方向に沿って設けられ、バッテリー16の設置領域と対応する車両左側約3分の2となる部分に渡って設けられる。フレームカバー42は、下面が開口した溝形であって、リアフレーム4の上面開口に嵌め込まれている。
【0037】
補強メンバー6は、クロスメンバーとリアフレーム4との間の間隔を保持するためのものであり、クロスメンバーとリアフレーム4との間に設けられる。補強メンバー6は、バッテリー16が設置される領域を避けて車両幅方向中央よりもやや右側に設置される。補強メンバー6は、横断面が矩形の角筒状の部材であって、一端がフロントフレーム33に接続され、他端がリアフレーム4に接続される。
【0038】
一対の支持フレーム5は、クロスメンバーとリアフレーム4との間に設けられ、クロスメンバーとリアフレーム4との間に設置されるバッテリー16を支持する。一対の支持フレーム5は、車両前後方向に沿って、バッテリートレー11の内壁面に沿って設けられる。一対の支持フレーム5は、それぞれバッテリー設置部5aとリアフレーム接続部5bとを有する。バッテリー設置部5aは、バッテリー16を支持する支持フレーム5において車両前後方向に沿って延びる部分であり、バッテリー16の設置領域を含む。バッテリー設置部5aは、バッテリー16の設置領域のほか、リアフレーム接続部5bが折れ曲がれるための領域を含む。これにより、バッテリー設置部5aに設置されたバッテリー16とリアフレーム接続部5bとの間には所定の間隔が設けられ、バッテリー設置部5aに設置されたバッテリー16とリアフレーム接続部5bとは所定の間隔で離隔する。リアフレーム接続部5bは、リアフレーム4に向けて延びる部分であり、バッテリー設置部5aに一端が接続され、リアフレーム4に他端が接続される。そして、リアフレーム接続部5bの他端は、リアフレーム4の下面に接続される。
【0039】
図3は、図1に示した電池パック1の内部構造を示す断面図である。図4は、図3に示したバッテリートレー11とバッテリー16を示す断面図であり、図5図4に示したバッテリートレー11とバッテリー16との間を流れる空気の流れを説明するための図である。
【0040】
図3に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1は、バッテリー16がバッテリートレー11の上面から離隔した状態でバッテリートレー11に設置される。バッテリー16は、上述したように、支持フレーム5のバッテリー設置部5aに設置され、バッテリートレー11の上面から離隔した状態でバッテリートレー11に設置される。これにより、バッテリートレー11の上面とバッテリー16との間は空気が流通する流路となり、電池パック1の流入口から取り入れられた空気はバッテリートレー11の上面とバッテリー16との間を通り、DCDCコンバーター18に供給される。
【0041】
図4に示すように、バッテリートレー11は、バッテリー16の設置領域11aの一部にバッテリー16に向けて突出し、バッテリー16との間隔を狭める突出部11a2を有する。突出部11a2は、バッテリー16の設置領域11aにおいて電池パック1の流入口側と流出口側との間に設けられる。突出部11a2は、バッテリー16の設置領域11aの約3分の1であり、バッテリー16の設置領域11aの約3分の1は突出部11a2よりも電池パック1の流入口側に設けられ、バッテリー16の設置領域11aの約3分の1は突出部11a2よりも電池パック1の流出口側に設けられる。
【0042】
図4に示すように、突出部11a2は、上面が平坦な台状である。そして、バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1と突出部11a2との間に設けられた段差、及び、突出部11a2とバッテリー16の設置領域11aの流出口側の領域11a3との間に設けられた段差は、傾斜面11c,11dによって接続されている。バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1と突出部11a2との間を接続する傾斜面11cは突出部11a2に対して約45度の角度を有し、突出部11a2とバッテリー16の設置領域11aの流出口側の領域11a3との間を接続する傾斜面11dは突出部11a2に対して約45度の角度を有する。
【0043】
図4に示すように、上述した一対の支持フレーム5は、バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1と流出口側の領域11a3とに設置される。そして、バッテリー16は、この一対の支持フレーム5によってバッテリートレー11の上面から離隔した状態でバッテリートレー11に設置される。
【0044】
図4に示すように、上述した一対の支持フレーム5は、バッテリートレー11に向けて突出する横断面を有する。バッテリートレー11に向けて突出する横断面は、例えば、溝形の横断面であって、上述した支持フレーム5のバッテリー設置部5aにおいて車両前後方向全域に渡り設けられる。そして、この横断面によってバッテリートレー11の上面からバッテリー16が離隔した状態でバッテリートレー11にバッテリー16が設置される。
【0045】
図4に示すように、上述した一対の支持フレーム5は、バッテリートレー11に向けて突出する横断面の両側に傾斜面5c,5dが設けられる。バッテリートレー11に向けて突出する横断面の両側に設けられる傾斜面5c,5dのうち少なくとも空気が流れる方向上流側の傾斜面5cは空気の流れる方向に漸次バッテリートレー11に近づく傾斜面である。例えば、傾斜面5cの傾斜角度はバッテリー16の底面に対して60度以下、好ましくは、45度以下である。
【0046】
図4に示すように、上述した突出部11a2は、上述した一対の支持フレーム5の間に形成される。
【0047】
図5に示すように、上述した本発明の実施形態に係る電池パック1によれば、バッテリートレー11とバッテリー16との間を空気が流れる。そして、バッテリートレー11とバッテリー16との間を流れる空気は突出部11a2によって流れが乱されてバッテリー16に近づけられる。これによりバッテリー16を効率的に冷却できる。
【0048】
また、突出部11a2は、上面が平坦な台状に形成されるので、バッテリートレー11とバッテリー16との間を流れる空気は平坦な上面でバッテリー16に近づけられた状態が維持され、平坦な上面全域でバッテリー16を効率的に冷却できる。
【0049】
また、バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1と突出部11a2との間に設けられた段差、及び、突出部11a2とバッテリー16の設置領域11aの流出口側の領域11a3との間に設けられた段差は、傾斜面11c,11dによって接続されるので、バッテリートレー11とバッテリー16との間に流れる空気の圧力損失を低減できる。
【0050】
また、バッテリー16は、一対の支持フレーム5によってバッテリートレー11の上面から離隔した状態でバッテリートレー11に設置されるので、バッテリートレー11の上面からバッテリー16を離隔させる構成をバッテリートレー11に設ける必要がなく、バッテリートレー11の形状を簡略化できる。
【0051】
また、支持フレーム5は、バッテリートレー11に向けて突出する横断面を有するので、支持フレーム5の車両前後方向の剛性を高めることができ、支持フレーム5の厚みを薄くできる。
【0052】
また、支持フレーム5は、溝形の横断面の両側に設けられる傾斜面のうち少なくとも空気が流れる方向上流側の傾斜面5cは空気の流れる方向に漸次バッテリートレー11に近づく傾斜面を有するので、空気の流れが支持フレーム5の傾斜面に沿って漸次バッテリートレー11に近づく。その後、バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1と突出部11a2との間の傾斜面によって空気の流れが乱されてバッテリー16に近づけられる。これにより、バッテリー16を更に効率的に冷却できる。
【0053】
また、突出部11a2は、一対の支持フレーム5の間に形成されるので、バッテリー16の設置領域の流出口側の領域においてバッテリートレー11とバッテリー16との間隔が広げられ、突出部11a2とバッテリー16との間を流れる空気が通り抜け易くなり、突出部11a2とバッテリー16との間においてバッテリー16を効率的に冷却できる。
【0054】
図6は、バッテリートレー11とバッテリートレー11に設置されたバッテリー16とを示す平面図である。図6に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1では、バッテリー16はバッテリートレー11の車両前後方向前方に偏って設置され、バッテリー16の車両前後方向後方となる後面16dとバッテリートレー11の車両前後方向後方となる奥壁16eとは離隔し、バッテリー16の車両前後方向後方となる後面16dとバッテリートレー11の奥壁16eとの間には空間が設けられる。この空間は車両が追突されたときに支持フレーム5のリアフレーム接続部5bが折れ曲がるための空間となる。
【0055】
上述した本発明の実施形態に係る電池パック1によれば、バッテリー16の車両前後方向後方となる後面16dとバッテリートレー11の奥壁16eとの間に設けられた空間が車両が追突されたときに支持フレーム5のリアフレーム接続部5bが折れ曲がるための空間となるので、車両が追突された時に支持フレーム5のリアフレーム接続部5bが折れ曲がってバッテリー16が損傷する虞を抑制できる。
【0056】
図7は、図6に示したバッテリートレー11を示す平面図である。また、図8は、図7に示したバッテリートレー11のVIII-VIII線断面図であり、図9は、図7に示したバッテリートレー11のIX-IX線断面図である。図7に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1では、バッテリートレー11は、バッテリー16の設置領域11aと該バッテリー16の設置領域11aの車両前後方向後方に設けられたバッテリー16の非設置領域11bとを含む。バッテリー16の設置領域11aは、上述したように、車両幅方向に、流入口側の領域11a1、突出部11a2及び流出口側の領域11a3を含み、バッテリー16の非設置領域11bは、バッテリー16の設置領域11aの後方においてこれら流入口側の領域11a1、突出部11a2及び流出口側の領域11a3に隣り合うように設けられる。バッテリー16の非設置領域11bは、バッテリー16の車両前後方向後方となる後面とバッテリートレー11の奥壁11eとの間に設けられる空間の底面となる領域であり、バッテリー16の設置領域11aの突出部11a2の高さ以上の高さを有する。図7から図9に示すように、バッテリー16の非設置領域11bは、例えば、突出部11a2の高さと同じ高さを有し、例えば、車両上方から視た平面図(図7)においてバッテリー16の非設置領域11bと突出部11a2はT字形状である。これにより、バッテリー16の非設置領域11bは、バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1及び流出口側の領域11a3よりも一段高い高さを有している。
【0057】
図8に示すように、バッテリー16の設置領域11aは、流入口側の領域11a1よりも突出部11a2が高く、突出部11a2よりも流出口側の領域11a3が低い。これにより、バッテリー16の設置領域11aにおいて、流入口から流入した空気は、流入口側の領域11a1から突出部11a2に流れる際にバッテリー16の下面に近づけられる。
【0058】
図9に示すように、バッテリー16の非設置領域11bは、突出部11a2と同じ高さを有し、流入口側の領域11a1及び流出口側の領域11a3よりも高い。これにより、流入口から流入口側の領域11a1に流入した空気はバッテリー16の非設置領域11bに流れ難くなる。
【0059】
上述した本発明の実施形態に係る電池パック1によれば、バッテリートレー11において、バッテリー16の非設置領域11bは、バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1及び流出口側の領域11a3よりも一段高い高さを有しているので、電池パック1の流入口から取り込まれた空気は、バッテリー16の非設置領域11bに流れ難くなり、バッテリー16の設置領域11aの流入口側の領域11a1、バッテリー16に向かって突出する突出部11a2、及び流出口側の領域11a3を通り、DCDCコンバーター18に供給される。これにより、バッテリー16の冷却効率を高めることができる。
【0060】
図10は、本発明の他の実施形態に係る電池パック1’のバッテリートレー11とバッテリートレー11’に設置されたバッテリー16を示す図であり、図11は、図10に示したバッテリートレー11’とバッテリー16との間を流れる空気の流れを説明するための図である。
【0061】
図10に示すように、本発明の他の実施形態に係る電池パック1では、突出部11a2’は、バッテリー16の設置領域11a’の車両前後方向において一部が突出する。突出部11a2’は、電池パック1の流入口から取り入れられた空気が突出部11a2’で乱されるように設けられる。突出部11a2’は、例えば、車両上方から視た場合に三角形であるが、これに限られるものではない。
【0062】
図11に示すように、本発明の実施形態に係る電池パック1によれば、電池パック1の流入口から取り入れられた空気が突出部11a2’で乱されてバッテリー16を冷却する。これにより、本発明の実施形態に係る電池パック1’によれば、バッテリー16の冷却効率を高めることができる。
【0063】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0064】
1 電池パック
11 バッテリートレー
11a バッテリーの設置領域
11a1 流入口側の領域
11a2 突出部
11a3 流出口側の領域
11b バッテリーの非設置領域
11c,11d 傾斜面
11e 奥壁
12 バッテリーカバー
13 インレットダクト
14 アウトレットダクト
15 排気管
16 バッテリー
16d 後面
17 排煙カバー
18 DCDCコンバーター
19 ファン
33 フロントフレーム
33a 上段部
33b 下段部
33c 段差部
4 リアフレーム
42 フレームカバー
5 支持フレーム
5a バッテリー設置部
5b リアフレーム接続部
5c,5d 傾斜面
6 補強メンバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11