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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250508BHJP
【FI】
G03G21/00 538
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021086865
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022180002
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】川谷 哲也
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-015802(JP,A)
【文献】特開2021-076773(JP,A)
【文献】特開2019-184699(JP,A)
【文献】特開2015-114618(JP,A)
【文献】特開2015-114617(JP,A)
【文献】特開2016-114734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部と、前記流路空間内に排気の気流を発生させる気流発生手段を有する排気装置と、
前記吸気口、排気口および流路部の少なくとも1つを含む箇所に空気の流れる方向に並べて設けられ、前記吸い込まれる空気中の微粒子を捕集する複数の網部材と、
を備え、
前記複数の網部材は、前記吸気口、排気口および流路部の群から選択される2つの箇所にそれぞれ設けられているか又は前記群の3つの箇所にそれぞれ設けられており、
前記流路空間が空気の流れる方向において断面積が互いに異なる部分を有し、前記複数の網部材が当該流路空間の断面積が互いに異なる部分にそれぞれ設けられる場合、
前記流路空間のうち断面積が相対的に小さい部分に設ける網部材は、当該断面積が相対的に大きい部分に設ける網部材よりも網目が大きい関係にある画像形成装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部と、前記流路空間内に排気の気流を発生させる気流発生手段を有する排気装置と、
前記吸気口、排気口および流路部の少なくとも1つを含む箇所に空気の流れる方向に並べて設けられ、前記吸い込まれる空気中の微粒子を捕集する複数の網部材と、
を備え、
前記複数の網部材は、前記吸気口、排気口および流路部の群から選択される2つの箇所にそれぞれ設けられているか又は前記群の3つの箇所にそれぞれ設けられており、
前記流路空間が空気の流れる方向において断面積が互いに異なる部分を有し、前記複数の網部材が当該流路空間の断面積が互いに異なる部分にそれぞれ設けられる場合、
前記流路空間のうち断面積が相対的に大きい部分に設ける網部材は、当該断面積が相対的に小さい部分に設ける網部材よりも網目が小さい関係にある画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の網部材は、100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記流路空間が曲がっている部分を有する場合、
前記複数の網部材は、前記曲がっている部分を境にして空気の流れる方向の上流側の箇所と下流側の箇所にそれぞれ設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナー像を形成した記録シートを目標温度まで加熱した定着部材に圧接させてトナー像を熱定着させる定着装置と、取込口と出口とを有するダクトと、定着装置の駆動中に発生する超微粒子を含む空気を取込口から取り込み、その空気を取込口から出口へ通過させて機外へ排気する排気手段と、ダクト内の流路方向における異なる位置に配置され、何れか1つのみが超微粒子を捕集可能な状態とすべてのフィルタが超微粒子を捕集可能な状態とに切り換え可能な複数のフィルタと、その複数のフィルタを上記2つの捕集可能な状態に切り換える切替手段等を備える画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-85407号公報(請求項1、図1図3など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、微粒子を捕集する部材として不織布、スポンジ等のフィルタを配置する場合に比べて、圧力損失を抑制しつつ、粒径が100nm以下の超微粒子を捕集して低減させることができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(1)は、
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部と、前記流路空間内に排気の気流を発生させる気流発生手段を有する排気装置と、
前記吸気口、排気口および流路部の少なくとも1つを含む箇所に空気の流れる方向に並べて設けられ、前記吸い込まれる空気中の微粒子を捕集する複数の網部材と、
を備え、
前記複数の網部材は、前記吸気口、排気口および流路部の群から選択される2つの箇所にそれぞれ設けられているか又は前記群の3つの箇所にそれぞれ設けられており、
前記流路空間が空気の流れる方向において断面積が互いに異なる部分を有し、前記複数の網部材が当該流路空間の断面積が互いに異なる部分にそれぞれ設けられる場合、
前記流路空間のうち断面積が相対的に小さい部分に設ける網部材は、当該断面積が相対的に大きい部分に設ける網部材よりも網目が大きい関係にある画像形成装置である。
【0006】
この発明(2)は、
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部と、前記流路空間内に排気の気流を発生させる気流発生手段を有する排気装置と、
前記吸気口、排気口および流路部の少なくとも1つを含む箇所に空気の流れる方向に並べて設けられ、前記吸い込まれる空気中の微粒子を捕集する複数の網部材と、
を備え、
前記複数の網部材は、前記吸気口、排気口および流路部の群から選択される2つの箇所にそれぞれ設けられているか又は前記群の3つの箇所にそれぞれ設けられており、
前記流路空間が空気の流れる方向において断面積が互いに異なる部分を有し、前記複数の網部材が当該流路空間の断面積が互いに異なる部分にそれぞれ設けられる場合、
前記流路空間のうち断面積が相対的に大きい部分に設ける網部材は、当該断面積が相対的に小さい部分に設ける網部材よりも網目が小さい関係にある画像形成装置である
【0007】
この発明()は、上記発明(1)又は(2)の画像形成装置において、前記複数の網部材は、100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材である画像形成装置である
【0008】
この発明()は、上記発明(1)から()のいずれかの画像形成装置において、前記流路空間が曲がっている部分を有する場合、前記複数の網部材は、前記曲がっている部分を境にして空気の流れる方向の上流側の箇所と下流側の箇所にそれぞれ設けられている画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
上記発明(1)によれば、微粒子を捕集する部材として不織布、スポンジ等のフィルタを1つ配置する場合や複数の網部材を空気の流れる方向に並べて配置する場合に比べて、圧力損失を抑制しつつ、粒径が100nm以下の超微粒子を捕集して低減させることができる。
また、上記発明(1)によれば、複数の網部材を吸気口、排気口および流路部の群から選択される複数の箇所に設けない場合に比べて、超微粒子を効率よく低減させることができる。
さらに、上記発明(1)によれば、流路空間のうち断面積が相対的に小さい部分に設ける網部材は、当該断面積が相対的に大きい部分に設ける網部材よりも網目が大きい関係にない場合に比べて、流路空間のうち断面積が相対的に小さい部分での圧力損失を抑制して、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を捕集しやすくなる
【0010】
上記発明(2)によれば、微粒子を捕集する部材として不織布、スポンジ等のフィルタを1つ配置する場合や複数の網部材を空気の流れる方向に並べて配置する場合に比べて、圧力損失を抑制しつつ、粒径が100nm以下の超微粒子を捕集して低減させることができる。
また、上記発明(2)によれば、複数の網部材を吸気口、排気口および流路部の群から選択される複数の箇所に設けない場合に比べて、超微粒子を効率よく低減させることができる。
さらに、上記発明(2)によれば、流路空間のうち断面積が相対的に大きい部分に設ける網部材は、当該断面積が相対的に小さい部分に設ける網部材も網目が小さい関係にない場合に比べて、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を、流路空間のうち断面積が相対的に大きい部分で捕集しやすくなる。
【0011】
上記発明()によれば、複数の網部材が100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材でない場合に比べて、超微粒子を長期にわたり捕集して低減させることができる。
【0012】
上記発明()によれば、複数の網部材が、流路空間の曲がっている部分を境にして空気の流れる方向の上流側の箇所と下流側の箇所にそれぞれ設けられていない場合に比べて、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を捕集しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の全体を示す概要図である。
図2図1画像形成装置における定着装置および排気装置等を示す概要図である。
図3図2の定着装置および排気装置等を上方から見た状態で示す概要図である。
図4】(A)は図2の排気装置の排気口に設けた複数の網部材の状態を示す概要図、(B)は(A)の網部材の構成例を示す概要図である。
図5】試験T1等で使用した試験内容を示す断面概要図である。
図6】試験T1の結果を示すグラフ図である。
図7】試験T1の結果と試験T2,T3の結果を示す図表である。
図8】実施の形態2に係る画像形成装置における定着装置および排気装置等を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
[実施の形態1]
図1から図3は、この発明の実施の形態1に係る画像形成装置1Aを示す概要図である。図1にはその画像形成装置1Aの全体の構成が示され、図2および図3にはその画像形成装置1Aの一部(主に定着装置5と排気装置6A)の構成を示している。
図1等の各図面中に符号X,Y,Zで示す矢印は、図1等において想定した3次元空間の幅、高さおよび奥行の各方向を示す。また、符号X,Yの方向の矢印が交わる部分の丸印は、Zの方向が図面(紙面)の鉛直下方に向いていることを示している。
【0016】
<画像形成装置>
画像形成装置1Aは、電子写真方式により画像を記録媒体の一例である記録用紙9に形成する装置である。実施の形態1に係る画像形成装置1Aは、例えば、情報端末機等の外部接続機器から入力される画像情報に対応した画像の形成を行うプリンタとして構成されている。
【0017】
この画像形成装置1Aは、図1に示されるように、所要の外観形状からなる筐体10を有しており、その筐体10の内部空間に、画像情報に基づいて現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して記録用紙9に転写する像形成装置2と、像形成装置2の転写を行う位置に供給すべき記録用紙9を収容して供給する給紙装置4と、像形成装置2で転写されたトナー像を少なくとも加熱して記録用紙9に定着させる定着手段の一例である定着装置5、定着装置5等において加熱された空気を筐体10の外部に排気する排気装置6A等を備えている。
【0018】
ここで、画像情報は、例えば、文字、図形、写真、模様等の画像に関係する情報である。また筐体10は、各種の支持部材、外装材等で所要の形状に形成された構造物である。筐体10の上面部には、画像が形成されて排出される記録用紙9を収容する傾斜面を含む排出収容部12が設けられている。図1等における一点鎖線は、筐体10内で記録用紙9が搬送されるときの主な搬送経路を示している。
【0019】
像形成装置2は、矢印Aで示す方向に回転する像保持手段の一例である感光ドラム21を有し、その感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、転写装置25、清掃装置26等の機器を配置して構成されている。
【0020】
このうち、帯電装置22は、感光ドラム21の外周面(像形成可能面)を所要の表面電位に帯電させる装置である。この帯電装置22は、例えば感光ドラム21の外周面の像形成域に接触させるとともに帯電電流が供給されるロール等の帯電部材を備えて構成されている。露光装置23は、感光ドラム21の帯電後の外周面に画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する装置である。この露光装置23は、外部から入力される画像情報が図示しない画像処理手段等で所要の処理が施されて生成される画像信号を受けて作動する。
【0021】
また、現像装置24は、感光ドラム21の外周面に形成された静電潜像を対応する所定の色(例えばブラック)の現像剤(トナー)により現像して単色のトナー像として顕像化する装置である。転写装置25は、感光ドラム21の外周面に形成されたトナー像を記録用紙9に静電的に転写させる装置である。この転写装置25は、感光ドラム21の外周面に接触するとともに転写電流が供給されるロール等の転写部材を備えて構成されている。清掃装置26は、感光ドラム21の外周面に付着する不要なトナー、紙粉等の不要物をかき取るように除去して感光ドラム21の外周面を清掃する装置である。
像形成装置2では、感光ドラム21と転写装置25が対向する各部位がトナー像の転写を行う転写位置TPになる。
【0022】
給紙装置4は、像形成装置2の下方側の位置に配置されている。給紙装置4は、記録用紙9を収容する収容体41と、記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置43等の機器を配置して構成されている。
記録用紙9は、筐体10内での搬送が可能であってトナー像の転写および定着が可能な普通紙、コート紙、厚紙等の記録媒体であればよく、その材質、形態等については特に制約されるものでない。
【0023】
定着装置5は、像形成装置2の転写位置TPの上方側の位置に配置されている。定着装置5は、筐体50の内部空間に、加熱用回転体51、加圧用回転体52等の機器を配置して構成されている。
【0024】
筐体50は、その上面部に定着対象の記録用紙9が導入される導入口50aが、その下面部に定着後の記録用紙9が排出される排出口50bがそれぞれ設けられている。
加熱用回転体51は、画像形成装置1Aの奥行方向Zに沿って延びる回転軸線の周りを矢印で示す方向に回転するロール形態、ベルト-パット形態等からなる回転体であり、図示しない加熱手段により外表面が所要の温度に保たれるよう加熱される。
加圧用回転体52は、加熱用回転体51にその回転軸線にほぼ沿って所要の加圧下で接触して追従するよう回転するロール形態、ベルト-パット形態等からなる回転体である。加圧用回転体52は、加熱手段により加熱されるものを適用してもよい。
【0025】
この定着装置5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が互いにほぼ水平の状態で接触するよう配置されている。また、この定着装置5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触する部位が、未定着像のトナー像を記録用紙9に定着するための加熱、加圧等の処理をする定着処理部(ニップ部)FNとして構成されている。
【0026】
筐体10内における記録用紙9の主な搬送経路は、記録用紙9を挟持して搬送する複数の搬送ロール45a,45b,45cや、記録用紙9の搬送空間を確保して記録用紙9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。
【0027】
そして、画像形成装置1Aでは、画像を形成する動作の指令を図示しない制御手段が受けると、像形成装置2において帯電動作、露光動作、現像動作および転写動作が実行され、その一方で、給紙装置4から転写位置TPへの記録用紙9の給紙動作が実行される。
これにより、感光ドラム21上にトナー像が形成された後、そのトナー像が給紙装置4から転写位置TPに供給された記録用紙9に転写される。
【0028】
続いて、画像形成装置1Aでは、定着装置5において、トナー像が転写された記録用紙9がニップ部FNに導入されて定着動作が実行される。
これにより、未定着のトナー像が記録用紙9に定着される。
この定着が終了した後の記録用紙9は、例えば搬送ロール45b,45cにより筐体10の上部に設けられた排出収容部12に排出されて収容される。
以上により、画像形成装置1による1枚の記録用紙9片面への画像形成動作が完了する。
【0029】
<排気装置の構成>
画像形成装置1Aにおける排気装置6Aは、図1図2等に示されるように、定着装置5で加熱された空気を吸い込んで筐体10の外部に排気するまで通過させる流路空間Cを有する排気通路61と、流路空間Cに排気の気流を発生させる気流発生手段65を備えている。この排気装置6Aは、例えば、筐体10の内部空間のうち定着装置5における加熱用回転体51が存在する側の横隣りの位置に配置されている。
【0030】
上記排気通路61は、定着装置5で加熱された空気を吸い込む吸気口62と、吸気口62で吸い込んだ空気を筐体10の外に排出する排気口63と、吸気口62から排気口63に至る空気が流れる流路空間Cを形成する流路部64を有する管状の構造物である。
【0031】
ここで、画像形成装置1Aは、図1から図3に示されるように、筐体10の内部に、定着装置5と排気通路61における吸気口62とを隔てる隔壁16が配置されている。
【0032】
実施の形態1における隔壁16は、定着装置5の筐体50のうち加熱用回転体51が存在する側の側面部と間隔をあけて向き合う状態で配置されている。また隔壁16は、その奥側の端部が、筐体10の内部の一部を縦方向に仕切る仕切り板15に固定されている。このような隔壁16は、例えば、遮熱板、仕切り板、板状の骨格フレーム等のいずれかの部材として設けられる。
【0033】
また、隔壁16には、定着装置5と近い位置にあって吸気口62と向き合う貫通した開口部17が設けられている。開口部17は、隔壁16の下部であって定着装置5の筐体50の下端部付近と向き合う位置に設けられている。
さらに、開口部17は、定着装置5の記録用紙9が通過するときの幅方向に沿って延びる長方形状の開口として設けられている。記録用紙9の幅方向は、画像形成装置1Aの奥行方向Zに沿う方向である。
【0034】
排気通路61における吸気口62は、隔壁16の開口部17と向き合う位置に配置される。また、吸気口62は、図2に示されるように、開口部17と同様に、定着装置5の記録用紙9が通過するときの幅方向に沿って延びる長方形状の開口になっている。
この吸気口62は、定着装置5で加熱された空気のうち隔壁16の開口部17を通過したものを吸い込むことになる。
【0035】
排気通路61における流路部64は、図1から図3に示されるように、吸気口62を含む流路であって定着装置5に近い側に配置される第1流路部64aと、排気口63を含む流路であって第1流路部64aから排気口63に至るように配置される第2流路部64bとで構成されている。
【0036】
第1流路部64aは、吸気口62とほぼ同じ幅で定着装置5および隔壁16から遠ざかる方向に延びた管状の流路部分として形成されている。
第2流路部64bは、第1流路部64aの奥側の端部から仕切り板15が存在する側に延びた後にほぼ鉛直の方向に立ち上がるように曲げられて延びる第1曲げ部64c1と、第1曲げ部64c1から立ち上がった後に上端部で筐体10の背面部10eにむけてほぼ直角に曲げられて延びる第2曲げ部64c2を有する形状になっている。
また、流路部64は、全体が筐体10とは別の部材により独立して構成されているものに限らず、その一部が筐体10の一部を兼用して流路空間Cを形成するよう構成されているものであってもよい。
【0037】
排気通路61における排気口63は、筐体10の背面部10eの上部に設ける横長の矩形の開口部18と接続されている。背面部10eの開口部18には、図2に示されるように、通気性を確保して開口を塞ぐため、例えばルーバー19が取り付けられている。
【0038】
上記気流発生手段65は、排気通路61の流路部64における流路空間C内で排気用の気流を発生させる手段である。
実施の形態1では、気流発生手段65として軸流ファンを適用しており、その軸流ファンを排気通路61の流路空間Cのうち排気口63に近い下流側の位置に配置されている。
気流発生手段65で発生させる気流の強さ(風量又は風速)については、例えば、画像形成装置1の筐体10内(本例では特に定着装置5の筐体50内)における温度の上昇や結露の発生を防止する等の観点から、0.1~1m3/分の範囲に設定することが好ましい。
【0039】
また、画像形成装置1Aでは、図1から図3等に示されるように、定着装置5で加熱された空気のうち排気装置6Aにより吸気口62から排気通路61に吸い込まれる直前又は吸い込まれた空気の中に含まれる微粒子、特に粒径が100nm(0.1μm)以下のいわゆる超微粒子(UFP:Ultra Fine Particle)を捕集する網部材7を、複数設けている。
【0040】
網部材7により捕集する超微粒子は、例えば、現像剤のトナーに含まれるワックス等の成分が定着処理(定着動作)時の加熱により揮発した後に冷却されて生成される微粒子(粉じん)に含まれる超微粒子が対象である。以下の説明では、超微粒子を単にUFPと記載することもある。
【0041】
網部材7は、ほぼ同じ開口形状の網目(開き目)がほぼ均等に散在するよう複数設けられている網状の部材である。より具体的には、縦用の線材と横用の線材を平織等の織り方で織って複数の網目(開き目)を形成してなる網状の部材である。
【0042】
このような網部材7としては、例えば、100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材が適用される。また、この網部材7は、圧力損失を有効に低減する等の観点からすると、100メッシュ以上250メッシュ以下の網目を有する部材がより好ましい。メッシュは、1インチ(2.54cm)の間にある網目の数を示す。
【0043】
また、この網部材7は、別の観点からすると、開口の大きさが0.005mm以上かつ0.1mm以下の複数の網目(開き目)を有する網であることが好ましい。この場合、網目の開口の大きさ(目開きともいう)とは、すべての網目における天地幅および左右幅を平均した値となる。また、網部材7を構成する線材は、上記開口の大きさを所要の範囲内におさめる等の観点からすると、その線径が0.01~0.1mmの範囲内のものを適用することが好ましい。
【0044】
そして、この網部材7は、ステンレス、アルミニウム等の金属からなる線材を用いて製作される。また網部材7は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる線材を用いて製作されたものであってもよい。
【0045】
実施の形態1では、図1から図4等に示されるように、複数の網部材7として2枚の網部材7A,7Bを使用し、その2枚の網部材7A,7Bを排気通路61における排気口63の箇所に設けている。
2枚の網部材7A,7Bは、排気通路61の排気口63において空気の流れる方向Dに並べて設けている。また、この網部材7A,7Bは、図4に拡大して示されるように、互いに接近又は密着させるよう重ね合わせた状態で配置されている。
【0046】
この網部材7A,7Bはいずれも、その網部材単体(網部材単独で枠材等を含まないもの)71を設置する箇所に接着テープ等の手段により固定して直接取り付けてもよいが、図4(B)に示されるように、その網部材単体71を枠材72に取り付け、その枠材72を介して配置する箇所に取り付けられる。枠材72は、その枠内に1つ又は複数の補強材73が設けられたものであってもよい。
【0047】
そして、この排気装置6Aは、例えば、定着装置5が作動している時期やその停止後の所定期間に少なくとも作動する。
【0048】
すなわち、排気装置6Aは、作動時期になると、気流発生手段65が始動して、図2図3に示されるように、排気通路61の流路部64における流路空間C内に矢印Dで示す方向に流れる排気用の気流が発生する。
【0049】
これにより、定着装置5において定着動作で主に発生する微粒子が含まれる加熱された空気のうち隔壁16の開口部17を通過した空気が、吸気口62から吸い込まれて排気通路61の流路部64における流路空間C内に流れ込む。このとき隔壁16の開口部17を通過する空気は、開口部17が定着装置5の筐体50の下部に近い位置に配置されているため(図1参照)、その筐体50の下面部に設けられた導入口50aから漏れ出る空気が多めになる。
【0050】
続いて、排気通路61に吸い込まれた空気は、排気通路61の流路部64における流路空間C内を排気の気流にのって流れて気流発生手段65を通過し、最後に、排気通路61の排気口63から画像形成装置1の筐体10の外部に排出される。
【0051】
この際、排気通路61の排気口63を通過するときの空気は、捕集前の空気Eaとして排気口63の箇所に設けられている網部材7A,7Bに順次ほぼ衝突するとともに、その網部材7A,7Bの各網目を通過して捕集後の空気Ebとして移動する。つまり、捕集前の空気Eaは、2枚の網部材7A,7B(の各単体71)に順にそれぞれ衝突しながら通過する。
【0052】
これにより、その捕集前の空気Eaに含まれる超微粒子も網部材7A,7Bに衝突した際に網部材7A,7Bを構成する各線材部分にそれぞれ付着しやすくなり、この結果、網部材7A,7Bを通過する空気Ebに含まれる微粒子のうち超微粒子が網部材7A,7Bによりそれぞれ捕集される。この網部材7A,7Bを通過した捕集後の空気Ebは、最後に排気口63から筐体10の外部にむけて最終排気の空気Ecとして送り出される。
【0053】
この捕集後の空気Ebは、捕集前の空気Eaに比べて、超微粒子の総量が低減された空気になる。超微粒子の総量の低減とは、網部材7A,7Bを設けた場合における空気中の超微粒子の総量が、その網部材7A,7Bを設けない場合における空気(捕集前の空気Eaにも相当する)中の超微粒子の総量に比べて、少なくなっていることをいう。
【0054】
<捕集効果に関する試験T1>
次に、この排気装置6Aと網部材7A,7Bによる超微粒子の捕集効果に関して行った試験T1について説明する。
【0055】
このときの捕集効果に関する試験T1は、ドイツの環境ラベルであるブルーエンジェルマークの試験規格(RAL-UZ205)に準拠して行った試験である。
試験T1は、図5に示されるように、試験環境室である密閉性の高く所定の室内環境(温度:23℃、湿度:50%RH)に設定された試験チャンバー100の空間110内における載置台120上に測定対象となる画像形成装置1Aを設置して平衡化した後、その画像形成装置1Aを起動させて所定の画像形成動作を10分間(600s:秒)行い、その画像形成動作中と動作停止後の所定時間内における室内の空気に含まれる超微粒子(UFP)の量などについて測定装置(TSI社製:凝縮粒子計数器CPC Model3775)150により測定することで行った。
【0056】
試験チャンバー100は、その容積が例えば5.1m3からなる室内を有し、給気口103から清浄された空気132が室内に供給されるとともに、排気口104から室内の空気133が排気されるようになっている。また、試験チャンバー100から排気された室内の空気133は、測定装置150に接続されて送られるようになっている。
【0057】
測定対象の画像形成装置1Aとしては、下記構成からなる網部材7A,7Bを排気通路61における排気口63の箇所に設けたもの(実施例1)を適用した。
網部材7A,7Bとしてはいずれも、ステンレス(SUS)からなる線材を平織したものであって250メッシュの網目からなるもの(実施例1)を使用した。
また、実施例2の画像形成装置1Aとして、上記同じ構成からなる網部材7を3枚使用し、その3枚の網部材7A,7B等を排気口63の箇所に空気の流れる方向Dに並べて設けたものを用意した。
【0058】
また、比較基準とする画像形成装置として、網部材7を設けないもの(参考例)も用意した。さらに、比較するための画像形成装置として、1枚の網部材7(250メッシュ)を排気通路61の排気口63に設けたもの(比較例1)と、1枚の網部材7を(500メッシュ)を排気通路61の排気口63に設けたもの(比較例2)を用意した。
【0059】
試験T1では、排気装置6Aにおける気流発生手段65である軸流ファンを作動させて風量が0.33m3/分になるような排気用の気流を発生させた。排気装置6Aは、試験T1における画像形成動作の開始から停止までの期間、作動させた。
画像形成動作は、画像面積率が5%からなるBA(ブルーエンジェル)指定のチャートを700枚プリントすることで行った。現像剤としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を用いた。定着装置5における定着温度は、約175~180℃の温度範囲とした。
また、参考例、実施例1~3および比較例1,2に関する各試験T1は、120分間のインターバル時間をおいてそれぞれ行った。
【0060】
そして、この試験T1では、超微粒子(UFP)の総量の変化について調べた。そのときの結果を図6図7の一部に示す。
UFP値は、上記試験規格(RAL-UZ205)に記載の方法に基づいて求めた。UFPの低減率は、網部材7を設けない参考例におけるUFPの総量を基準にしたときの総量の差から求めた。
【0061】
図6図7の一部に示される結果から、参考例におけるUFPの総量を基準にすると、実施例1,2ではUFPをそれぞれのレベルで低減することができ、UFPの捕集効果が得られることがわかる。
また、比較例1と実施例1,2の各結果を比べると、網部材7の配置する枚数が多くなる程、UFPの低減率が増加してUFPの捕集効果が高まることがわかる。
【0062】
<圧力損失に関する試験T2>
さらに、実施例1,2、比較例1,2および後述する比較例3における圧力損失について調べる試験T3を行った。この試験T3の結果について図7に併せて示す。
【0063】
試験T2は、実施例1,2および比較例1,2における網部材7を排気口63に配置して気流発生手段65による一定の風量(0.33m3/分)の気流を発生させたときに、その各網部材7よりも上流側の位置での空気圧(Pa)と各網部材7よりも下流側の位置での空気圧(Pa)とを測定した後にその差分を求めることで圧力損失(Pa)を調べた。空気圧は、差圧計(TESTO社製:Model5122)を用いて測定した。
具体的には、いずれの場合も、単数又は複数の網部材7が配置される排気通路61の排気口63よりも内側の流路空間Cの位置における空気圧と、排気口63よりも外側の位置における空気圧とを測定した。
【0064】
また試験T2では、圧力損失に関する効果を対比確認するため比較例3の画像形成装置として、網部材7に代えて不織布からなるフィルタを排気通路61の排気口63に設けたものを用意した。フィルタの不織布としては、ポリプロピレンからなる不織布をプリーツ形状(山折り部どうしの離間距離に相当する厚さ:約2mm)にしたものを用いた。
この比較例3における空気圧の測定は、実施例1,2等と同様の2箇所で行った。
【0065】
図7に示される圧力損失の結果から、実施例1,2のように超微粒子を捕集する部材として複数の網部材7を適用した場合は、比較例3のように不織布からなるフィルタを適用した場合に比べて、圧力損失が低くなることがわかる。
また、実施例1,2では、比較例に比べると、圧力損失では劣るが、UFPの低減率が勝り捕集効果が有効に得られることがわかる。さらに、実施例1,2では、比較例3のフィルタに比べると、圧力損失が抑制されることがわかる。
【0066】
ちなみに、超微粒子を捕集する部材として不織布、スポンジ(弾性発泡体)等からなるフィルタを適応した場合は、圧力損失の影響で排気装置6Aの排気通路61において空気が流れにくくなるため、定着装置5等で加熱された空気の排気が十分にできず筐体10内の温度が上昇してしまう可能性があった。この場合、例えば排気装置6Aの排気通路61における空気の流量を確保するために気流発生手段65の回転数を上げたときは、騒音や消費電力の悪化を招くことが懸念される。
この点、複数(2枚又は3枚)の網部材7を適用した場合は、圧力損失が抑制されるので、フィルタを適用した場合のような上記不具合の発生が回避される。
【0067】
また、画像形成装置1Aの使用可能な寿命が1200k枚であるのに対して、網部材7の寿命が約1200k枚であったので、交換が不要であった。
このことから、網部材7は、フィルタに比べて、超微粒子を捕集する部材として長期にわたり使用することが可能である。またこれにより、網部材7は、フィルタに比べると、交換する回数がゼロとなり、交換コストを皆無にさせることが可能になる。
【0068】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2に係る画像形成装置1Bの一部(主に定着装置5と排気装置6B)を示す概要図である。
【0069】
この画像形成装置1Bは、複数の網部材7の配置位置を変更した排気装置6Bを適用したこと以外は実施の形態1に係る画像形成装置1Aと同じ構成からなるものである。
このため、以下の説明では、実施の形態1に係る画像形成装置1Aと共通する構成部分については同じ符号を付し、その説明を必要な場合を除いて省略している。
【0070】
画像形成装置1Bにおける排気装置6Bは、複数の網部材7の使用枚数と配置位置を変更したことを除いて、実施の形態1における排気装置6Aと同じ構成からなるものである。
排気装置6Bは、3枚の網部材7A,7B,7Cを使用し、そのうちの網部材7A,7Bを排気通路61の第2流路部64bの流路空間C内のうち空気が流れる方向Dにおける異なる位置に配分して設け、また残りの網部材7Cを排気通路61における排気口63に設けている。
【0071】
網部材7A,7B,7Cについて更に説明すると、網部材7Aは第2流路部64bの立ち上げ部の流路空間C内に配置され、網部材7Bは第2流路部64bの立ち上げ後の水平部の流路空間C内に配置されている。また網部材7Cは、実施の形態1における網部材7Bの場合と同様に、排気口63に配置されている。
実施の形態2では、3枚の網部材7A,7B,7Cとして同じメッシュ(例えば250メッシュ)のものを適用している。
【0072】
そして、この排気装置6Bは、実施の形態1における排気装置6Aの場合と同様に、定着装置5が作動している時期やその停止後の所定期間に少なくとも作動する。
【0073】
特に排気装置6Bにおいては、図8に示されるように、定着装置5の定着動作で主に発生する微粒子が含まれる加熱された空気のうち隔壁16の開口部17を通過した空気が、吸気口62から吸い込まれて排気通路61の流路部64における流路空間C内に流れ込み、しかる後、その流れ込んだ空気が排気用の気流にのって流れて最後に排気通路61の排気口63から排出されるまでの間に3枚の網部材7A,7B,7Cを順に通過して移動する。
【0074】
具体的には、吸気口62から排気通路61に吸い込まれた捕集前の空気Eaは、第2流路部64bの立ち上げ部で網部材7Aに衝突しながら通過して捕集後の第1空気Eb1として流れ進む。続いて、網部材7Aを通過した第1空気Eb1は、第2流路部64bの立ち上がった後の水平部で網部材7Bに衝突しながら通過して捕集後の第2空気Eb2として流れ進む。続いて、網部材7Bを通過した第2空気Eb2は、排気口63を通過するときに網部材7Cに衝突しながら通過して捕集後の第3空気Eb3として流れる。
つまり、捕集前の空気Eaは、3枚の網部材7A,7B,7C(の各単体71)に順次それぞれ衝突しながら通過する。
【0075】
これにより、その捕集前の空気Eaに含まれる超微粒子も網部材7A,7B,7Cに衝突した際に網部材7A,7B,7Cを構成する各線材部分にそれぞれ付着しやすくなり、この結果、網部材7A,7B,7Cを通過する各空気に含まれる微粒子のうち超微粒子が網部材7A,7B,7Cによりそれぞれ捕集される。この網部材7A,7B,7Cをすべて通過した最後の第3空気Eb3は、排気口63から筐体10の外部にむけて最終排気の空気Ecとして排出される。
【0076】
この捕集後の最後の第3空気Eb3(又は最終排気の空気Ec)は、実施の形態1における排気装置6Aおよび網部材7A,7Bによる作用効果の場合とほぼ同様に、捕集前の空気Eaに比べて、超微粒子の総量が低減された空気になる。
【0077】
変形例.
この発明は、実施の形態1、2で例示した内容に何ら限定されるものではなく種々の変更が可能であり、例えば、以下に挙げるような変形例の構成も含むものである。
【0078】
実施の形態1に係る画像形成装置1Aでは、複数の網部材7を排気装置6Aにおける排気通路61の排気口63の箇所に設ける場合を例示したが、その排気口63の箇所に代えて、次のような箇所に設けてもよい。
すなわち、複数の網部材7を排気通路61の吸気口62の箇所にまとめて設けるか、あるいは複数の網部材7を排気通路61の流路部44の箇所にまとめて設けてもよい。
なお、画像形成装置1Aは、開口部17を有する隔壁16が存在する場合を例示していたが、この隔壁16が存在しないものであってもよい。
【0079】
実施の形態2に係る画像形成装置1Bでは、複数の網部材7を排気装置6Bにおける排気通路61の流路部64および排気口63の2箇所に配分して設ける場合を例示したが、その2箇所に代えて、次のような箇所に配分して設けてもよい。
すなわち、複数の網部材7を排気通路61の吸気口62および流路部64の2箇所に配分して設けることや、複数の網部材7を排気通路61の吸気口62および排気口63の2箇所に配分して設けることや、複数の網部材7を排気通路61の吸気口62、流路部64および排気口63の3箇所に配分して設ける流路部64の箇所に設けることも可能である。つまり、複数の網部材7は、吸気口62、排気口63および流路部64の群から選択される少なくとも2つの箇所に設けられている
このように複数の網部材7を少なくとも2つの箇所に設けた場合は、複数の網部材を1つの箇所に設ける場合に比べると、超微粒子が効率よく捕集されて低減される。
【0080】
また、複数の網部材7については、実施の形態2に係る画像形成装置1Bで例示しているように、排気通路61の流路部64の流路空間C内の空気の流れる方向Dにおける異なる位置に設けてもよい。すなわち、実施の形態2では、第2流路部64bにおける流路空間C内に2枚の網部材7A,7Bを異なる位置に間隔をあけて設けている。
このように複数の網部材7を流路空間C内の異なる位置に設けた場合は、複数の網部材7を流路部64の流路空間C内の1箇所に重ね合わせるようにまとめて設ける場合に比べると、超微粒子が効率よく捕集されて低減される。
【0081】
さらに、実施の形態2に係る画像形成装置1Bでは、3つの網部材7A,7B,7Cとして同じメッシュのものを使用したが、その一部又は全部を異なるメッシュのものを組み合わせて使用してもよい。
【0082】
例えば、実施の形態2における排気装置6Bにおける排気通路61の第2流路部64bは、図8に示されるように、その流路空間Cの断面積Sが、空気の流れる方向Dの上流側の部分(立ち上げ前の水平部)の断面積S1、中間の部分(立上げ部)の断面積S2、下流側の部分(立ち上げ後の水平部)の断面積S3が次第に大きくなるように異なっている(S1<S2<S3)。
【0083】
このような流路空間Cの断面積Sが異なる部分を有する流路部64である場合には、流路空間のうち断面積Sが相対的に小さい部分に設ける網部材7は、その断面積Sが相対的に大きい部分に設ける網部材7よりも網目が大きい関係にあるものを使用して設けるとよい。これは、換言すれば、流路空間のうち断面積Sが相対的に大きい部分に設ける網部材7は、その断面積Sが相対的に小さい部分に設ける網部材7よりも網目が小さい関係にあるものを使用して設けることにもなる。
【0084】
具体的には、第2流路部64bのうち上記下流側の部分(立ち上げ後の水平部)に設ける網部材7Bは、上記中間の部分(立上げ部)に設ける網部材7Aよりも網目が大きい関係にあるものを設けるとよい。また観点を変えれば、第2流路部64bのうち上記中間の部分(立上げ部)に設ける網部材7Aは、上記下流側の部分(立ち上げ後の水平部)に設ける網部材7Bよりも網目が小さい関係にあるものを設けるとよい。
【0085】
このように複数の網部材7として流路空間Cの大小に対応して網目が異なるものを配分して設ける場合は、流路空間Cのうち断面積Sが相対的に小さい部分に設ける網部材7としてその断面積Sが相対的に大きい部分に設ける網部材7よりも網目が大きい関係にないものを設ける場合に比べると、流路空間Cのうち断面積Sが相対的に小さい部分での圧力損失を抑制して、流路空間Cの全体としては定着装置5で加熱された空気に含まれる超微粒子を捕集しやすくなる。
また換言すると、流路空間のうち断面積Sが相対的に大きい部分に設ける網部材7としてその断面積Sが相対的に小さい部分に設ける網部材7よりも網目が小さい関係にないものを設け得る場合に比べると、定着装置5で加熱された空気に含まれる超微粒子を流路空間のうち断面積が相対的に大きい部分で捕集しやすくなる。
【0086】
さらに、実施の形態2における排気装置6Bは、例えば排気通路61における第2流路部64bの流路空間Cが曲がっている部分64c1、64c2を有しているが、この場合、複数の網部材7としての網部材7A,7Bは、例えば2番目に曲がっている部分64c2を境にして空気の流れる方向Dの上流側の箇所(立上げ部)と下流側の箇所(立ち上げ後の水平部)にそれぞれ配分して設けている。
このように複数の網部材7を流路空間Cの曲がっている部分を境にしてその上流側の箇所と下流側の箇所にそれぞれ設ける場合は、流路空間C内を移動する空気の流れが曲がった部分でより変動して次の網部材に衝突するようになり、このため、複数の網材が流路空間の曲がっている部分を境にして空気の流れる方向の上流側の箇所と下流側の箇所にそれぞれ設けられていない場合に比べて、定着装置5で加熱された空気に含まれる超微粒子を捕集しやすくなる。図8における符号Eb1は捕集前の空気Eaが網部材7Aを通過した後の空気(第1捕集後の空気)を示し、符号Eb2は第1捕集後の空気Eb1が網部材7Bを通過した後の空気(第2捕集後の空気)を示す。
【0087】
この他、排気装置6と網部材7を備える画像形成装置は、実施の形態1、2で例示した形式の画像形成装置1A,1Bに限定されず、定着装置5を備えるものであれば他の形式からなる画像形成装置であってもよい。他の形式とは、例えば、像形成装置2として中間転写方式を採用した形式、多色画像を形成する形式等が挙げられる。
【0088】
定着装置5についても、記録用紙9等の記録媒体に現像剤からなる未定着像を少なくとも加熱して定着するものであれば、他の加熱方式の定着装置を適用しても構わない。
排気装置6についても、定着装置5で加熱された空気を排気通路の流路空間Cを通して筐体10の外部に排気できるものであれば、他の形式や構造のものを適用することができる。気流発生手段65としては、軸流ファンに限らず、他のものを適用してもよい。他の気流発生手段65としては、例えば、シロッコファン等の装置である。
【符号の説明】
【0089】
1A,1B…画像形成装置
5 …定着装置
6A,6B…排気装置
7 …網部材
7A,7B,7C…複数の網部材
9 …記録用紙(記録媒体の一例)
62…吸気口
63…排気口
64…流路部
64b1,64b2…曲がっている部分(の一例)
65…気流発生手段
C …流路空間
D …空気の流れる方向(排気の気流)
S …流路空間の断面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8