(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車の下部構造
(51)【国際特許分類】
B60K 1/00 20060101AFI20250508BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20250508BHJP
F01P 3/20 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
B60K1/00
B60K1/04 Z
F01P3/20 E
(21)【出願番号】P 2021121917
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2024-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】柴田 勉
(72)【発明者】
【氏名】澤田 庸介
(72)【発明者】
【氏名】下村 哲也
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-034251(JP,A)
【文献】特開2012-214161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0015257(US,A1)
【文献】特開2020-006730(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107662655(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 6/12,
7/00- 8/00,16/00
B62D 17/00-25/08,25/14-29/04
F01P 3/20
B60K 6/20- 6/547
B60W 10/00-10/30,20/00-20/50
B60L 1/00- 1/06, 3/00- 3/12
B60R 16/02-16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルの下面に高電圧バッテリユニットが配設された、ハイブリッド自動車の下部構造であって、
前記フロアパネルの下面の、前記高電圧バッテリユニットよりも前方、且つ車幅方向中央よりも車幅方向一方側に配設されたエンジン排気系部品と、
前記フロアパネルの下面の、前記高電圧バッテリユニットよりも前方、且つ車幅方向中央よりも車幅方向他方側に配設された高電圧装置と、を備え、
前記高電圧バッテリユニットと前記高電圧装置との間には、車載機器が配設されており、
前記車載機器は、該車載機器の上面が水平になった水平状態であるときよりも前後方向の寸法が短くなるように、前記上面が前後方向において傾斜した傾斜状態となっていることを特徴とするハイブリッド自動車の下部構造。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド自動車の下部構造において、
前記高電圧バッテリユニットは、前面下部が前面上部よりも車両後方側に位置するように後退しており、
前記車載機器は、前端よりも後端が低位置になるように前記上面が車両後方に向かって下降傾斜した傾斜状態になっており、
前記車載機器の前記上面の後端が、前記高電圧バッテリユニットの前記前面下部に臨んでいることを特徴とするハイブリッド自動車の下部構造。
【請求項3】
請求
項2に記載のハイブリッド自動車の下部構造において、
前記車載機器は、その上面が車両後方に向かって下降傾斜した取付プレートに固定され、該取付プレートを介して前記フロアパネルに支持されており、
前記取付プレートの上面後端が前記高電圧バッテリユニットの前記前面下部に臨んでいることを特徴とするハイブリッド自動車の下部構造。
【請求項4】
請求項3に記載のハイブリッド自動車の下部構造において、
前記高電圧バッテリユニットは、前記前面下部にハーネス接続部を備えていることを特徴とするハイブリッド自動車の下部構造。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド自動車の下部構造において、
前記車載機器は、前記ハーネス接続部からハーネスを介して電力供給される高電圧機器であることを特徴とするハイブリッド自動車の下部構造。
【請求項6】
請求項5に記載のハイブリッド自動車の下部構造において、
前記高電圧機器は、エンジン冷却水を電気加熱するためのPTCヒータであることを特徴とするハイブリッド自動車の下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド自動車の下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハイブリッド車両が開示されている。このハイブリッド車両のフロアパネルの下面には、高電圧バッテリ及び、高電圧装置としてのインバータやコンバータなどが配置されている。この高電圧バッテリは、48Vのバッテリであり、トンネル部の内部に配置されている。インバータ及びコンバータは、トンネル部の左側の領域に、前後方向に並べて配置されている。
【0003】
特許文献2には、ガソリンエンジン-電気ハイブリッド車両である乗用車の床下にバッテリパックを支持する車両用バッテリ支持構造が開示されている。このバッテリパックはフロアトンネルの左右両側にブラケットによって懸架されている。
【0004】
特許文献3には、電動車両が開示されている。この電動車両は、車両の右側に排気管が配置され、その反対の左側にフロント駆動モータや発電モータが配置されている。また、車両の左側に排気管が配置される場合には、その反対の右側にフロント駆動モータや発電モータが配置される。このため、フロント駆動モータや発電モータが、排気管から伝わる熱の影響を受けないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-172879号公報
【文献】特開2013-067334号公報
【文献】特開2016-002772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ハイブリッド車両のフロアパネルの下面には、インバータやコンバータ等の高電圧装置、車載機器、バッテリユニット、エンジン排気系部品が配設されている。このため、ハイブリッド車両では、高電圧装置や車載機器等を、エンジン排気系部品の熱害から保護する必要がある。さらに、ハイブリッド車両の電動走行距離を稼ぐために、大型のバッテリユニットを配設することがある。しかし、大型のバッテリユニットをフロアパネルの下面に配設すると、フロアパネルの下面に車載機器を配設するための空間を確保することが難しくなる。
【0007】
そこで、本発明は、フロアパネルの下面に大型のバッテリユニットを配設したハイブリッド車両でも、車載機器を配設できる構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するために、高電圧バッテリユニットの前方に高電圧装置を配置し、高電圧バッテリユニットと高電圧装置との間に、上面が前後方向において傾斜した傾斜状態となるように車載機器を配設した。
【0009】
具体的に、ここに開示するハイブリッド自動車の下部構造は、フロアパネルの下面に高電圧バッテリユニットが配設された、ハイブリッド自動車の下部構造であって、
前記フロアパネルの下面の、前記高電圧バッテリユニットよりも前方、且つ車幅方向中央よりも車幅方向一方側に配設されたエンジン排気系部品と、
前記フロアパネルの下面の、前記高電圧バッテリユニットよりも前方、且つ車幅方向中央よりも車幅方向他方側に配設された高電圧装置と、を備え、
前記高電圧バッテリユニットと前記高電圧装置との間には、車載機器が配設されており、
前記車載機器は、該車載機器の上面が水平になった水平状態であるときよりも前後方向の寸法が短くなるように、前記上面が前後方向において傾斜した傾斜状態となっていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、車載機器を傾斜状態とすることにより、高電圧バッテリユニットと高電圧装置との間の狭い空間に車載機器を配設することができる。このため、十分な電動走行距離を確保するために大型のバッテリユニットを配設したとしても、フロアパネルの下面に車載機器を配設することができる。さらに、エンジン排気系部品と高電圧装置及び車載機器とが、車幅方向中央を挟んで車幅方向の反対側に夫々配設されている。このため、高電圧装置及び車載機器をエンジン排気系部品の熱による熱害から保護することができる。
【0011】
一実施形態では、前記高電圧バッテリユニットは、前面下部が前面上部よりも車両後方側に位置するように後退しており、
前記車載機器は、前端よりも後端が低位置になるように前記上面が車両後方に向かって下降傾斜した傾斜状態になっており、
前記車載機器の前記上面の後端が、前記高電圧バッテリユニットの前記前面下部に臨んでいることを特徴とする。
【0012】
これによれば、高電圧バッテリユニットの前面下部を前面上部よりも後退させることによって前面下部の前方にスペースが生じる。このスペースを利用して、傾斜状態にある車載機器の上面の後端が、高電圧バッテリユニットの前面下部に臨んでいる。こうすることで、高電圧バッテリユニットと高電圧装置との間の狭い空間に車載機器をコンパクトに配設することができる。
【0013】
一実施形態では、前記車載機器は、その上面が車両後方に向かって下降傾斜した取付プレートに固定され、該取付プレートを介して前記フロアパネルに支持されており、
前記取付プレートの上面後端が前記高電圧バッテリユニットの前記前面下部に臨んでいることを特徴とする。
車両の前突により取付プレート及び車載機器が後側に移動させられた際には、まず、取付プレートの上面と高電圧バッテリユニットの前面上部とが接触するようになっている。このとき、高電圧バッテリユニットの前面上部が取付プレートの傾斜した上面を相対的に滑るように接触する。これにより、高電圧バッテリユニット及び車載機器が車両の前突によって受ける衝撃を緩和することができる。
【0014】
また、車両の前突に伴って車載機器が後方へ移動するとき、高電圧バッテリユニットの前面上部が取付プレートの傾斜した上面を相対的に滑るかたちになって取付プレート及び車載機器は車両後方に向かって下降するように案内される。これにより、取付プレート及び車載機器を、高電圧バッテリユニットの前面下部が後退することで生じたスペースに退避させることができる。
【0015】
一実施形態では、前記高電圧バッテリユニットは、前記前面下部にハーネス接続部を備えていることを特徴とする。
【0016】
このようにすれば、高電圧バッテリユニットの前面下部が後退することで生じたスペースを利用して高電圧バッテリユニットにハーネスを接続することができる。従って、高電圧バッテリユニットへの電気的な接続をコンパクトにすることができる。
【0017】
一実施形態では、前記車載機器は、前記ハーネス接続部からハーネスを介して電力供給される高電圧機器であることを特徴とする。
【0018】
これによれば、車載機器に電力供給するためのハーネスを短くすることができ、電気的な接続をコンパクトにすることができる。
【0019】
一実施形態では、前記高電圧機器は、エンジン冷却水を電気加熱するためのPTCヒータである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、エンジン排気系部品と車載機器及び高電圧装置とが、車幅方向中央を挟んで車幅方向の反対側に夫々配設されているから、車載機器及び高電圧装置をエンジン排気系部品の熱害から保護することができる。また、車載機器を傾斜状態として配設することにより、高電圧バッテリユニットと高電圧装置との間の狭い空間に車載機器を配設できる。このため、大型の高電圧バッテリユニットを配設することでフロアパネルの下面の空間が狭くなっても、車載機器を配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、ハイブリッド自動車の下部構造の下面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0023】
<ハイブリッド自動車の下部構造>
図1には、本発明の実施形態に係るハイブリッド自動車1の下部構造が示されている。
図1において、上下方向が車幅方向、左側が車両前方、右側が車両後方、紙面奥側が上方、紙面手前側が下方である。ハイブリッド自動車1の車幅方向両端には、車両前後方向に延びるサイドシル10が設けられている。これらのサイドシル10の車幅方向内側には、略水平なフロアパネル11が配置されている。フロアパネル11の車幅方向における中央部には、上側に向かって凹むトンネル部12が、車両前後方向に延びるように設けられている。フロアパネル11における各サイドシル10とトンネル部12との間には、前後方向に延びるフロアサイドフレーム13が夫々に設けられている。
【0024】
図1に示すように、ハイブリッド自動車1のフロアパネル11の下面におけるトンネル部12の車幅方向両側には、車両駆動用モータに電力を供給する高電圧バッテリユニット20が配設されている。高電圧バッテリユニット20は左右一対で構成され、車幅方向左側(図中で上側)には左側バッテリユニット21が、車幅方向右側(図中で下側)には右側バッテリユニット22が配設されている。これらの左側バッテリユニット21及び右側バッテリユニット22は、例えばリチウムイオンバッテリであり、高電圧の直流電源である。左側バッテリユニット21及び右側バッテリユニット22は、フロアサイドフレーム13とトンネル部12を形成するトンネルサイドフレーム14とに架設されている。
【0025】
図2に示すように、左側バッテリユニット21の前方部分(図中で左側)は、車幅方向内側(図中で下側)よりも車幅方向外側(図中で上側)の方が前方に突出している。この突出した部分には、車両前方を向いた前面部210が形成されている。前方に突出していない車幅方向内側の部分には、IV(インバータ)ハーネス接続部213が設けられている。
図3に示すように、左側バッテリユニット21の前面部210は、前面下部212が前面上部211よりも車両後方側に位置するように後退している。前面上部211は、車両前後方向に対して直交するように設けられている。また、前面下部212は、上端よりも下端が後方に位置するように車両前後方向に傾斜して設けられている。左側バッテリユニット21の前面下部212には、ハーネス接続部214が設けられている。このハーネス接続部214には、4本のハーネスを接続できるようになっている。
【0026】
<浄化装置>
図1に示すように、トンネル部12の車幅方向右側に拡がるフロアパネル11の下面には、右側バッテリユニット22の前方に車両駆動用エンジンの排気系部品としての浄化装置6が配設されている。この浄化装置6は、その内部を通過するエンジン排気を触媒によって浄化するためのものである。内部を通過する排気の浄化に伴って、この浄化装置6は発熱する。
【0027】
浄化装置6の前部には、車両前方に向けて延びる前側排気管61が接続されている。この前側排気管61の前端は、エンジンの排気マニホールドに接続されている。また、浄化装置6の後部には、車両後方に向けて延びる後側排気管62が接続されている。この後側排気管62は、車両後方に向かって車幅方向中央に傾斜するように延び、そして、トンネル部12を通って後方へ延びている。
【0028】
<インバータ及びコンバータ>
図1に示すように、左側バッテリユニット21の前方には、高電圧装置としてのインバータ30及びコンバータ31が配設されている。これらインバータ30及びコンバータ31は、トンネル部12を挟んで上述の浄化装置6とは車幅方向における反対側に設けられている。これにより、これらインバータ30及びコンバータ31を、浄化装置6の発する熱による熱害から保護することができる。
【0029】
これらインバータ30及びコンバータ31は、
図3に示すように、上下に重ねた状態で高電圧装置取付ブラケット5を介してフロアサイドフレーム13とトンネルサイドフレーム14に跨って取り付けられている。インバータ30及びコンバータ31の外形は、縦横の寸法が、厚みの寸法よりも長い矩形箱状である。インバータ30及びコンバータ31は、前後方向(縦)の寸法が、車幅方向(横)の寸法よりも長くなっている。これらインバータ30及びコンバータ31の車幅方向の寸法は略同一である。また、インバータ30の前後方向の寸法は、コンバータ31の前後方向の寸法よりも長くなっている。
【0030】
インバータ30には、図示はしないが、3つのスイッチング回路が横一列に並んだ状態で内蔵されている。これらのスイッチング回路でスイッチング処理を行うことにより、インバータ30は、制御された3相の交流をモータに出力する。インバータ30を制御することで、モータが所定の出力で車両を駆動するようになっている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、インバータ30は、その前端部及び後端部にIVハーネス40を接続するためのインバータ側接続部301を有している。前側のインバータ側接続部301は、IVハーネス40を介してモータ等に接続されている。また、後側のインバータ側接続部301は、IVハーネス40を介して、左側バッテリユニット21のIVハーネス接続部213に接続されている。
【0032】
コンバータ31は、高電圧バッテリユニット20の直流電圧を降圧するためのものである(いわゆるDC/DCコンバータ)。コンバータ31の内部には、図示はしないが、IGBT等、複数のスイッチング素子、コンデンサ、コイルを含む降圧回路が設けられている。コンバータ31は、スイッチング素子をオンオフ制御することによって、直流電流の電圧を降圧させることができる。
【0033】
図1及び
図2に示すように、コンバータ31は、その車幅方向(図中で上下方向)両側にCV(コンバータ)ハーネス41を接続するためのコンバータ側接続部311を有している。右側(図中で下側)のコンバータ側接続部311は、CVハーネス41を介して、左側バッテリユニット21のハーネス接続部214に接続されている。また、左側(図中で上側)のコンバータ側接続部311には、出力用のCVハーネス41が接続されている。
【0034】
<高電圧装置取付ブラケット>
上述のように、インバータ30及びコンバータ31は、高電圧装置取付ブラケット5を介して上下に重ねた状態でフロアサイドフレーム13とトンネルサイドフレーム14に跨って取り付けられている。
図5から
図8には、高電圧装置取付ブラケット5が示されている。高電圧装置取付ブラケット5は、金属板のプレス加工によって形成されている。
【0035】
高電圧装置取付ブラケット5は、上側ブラケット51と下側ブラケット52とで構成されている。下側ブラケット52は、
図5及び
図6に示すように、上下方向から見たとき、左右方向が前後方向よりも長い略長方形状の外形を有している。上側ブラケット51は、
図7及び
図8に示すように、上下方向から見たとき、略L形状の外形を有している。
【0036】
上側ブラケット51及び下側ブラケット52夫々には、所定の折曲構造及び所定の凹凸構造が形成されている。これら折曲構造及び凹凸構造により、上側ブラケット51及び下側ブラケット52夫々の剛性が強化されている。
【0037】
上側ブラケット51は、前後方向に延びる上内側取付部511と、上内側取付部511の前方側の端から車幅方向に延びる架設部512とを有している。架設部512の突端には、上外側取付部513が設けられている。上内側取付部511及び上外側取付部513には、取付ボルトを締結するための締結座が複数設けられている。
【0038】
下側ブラケット52は、略長方形板状の底板部521と、底板部521の長手方向における車幅方向外側の端部に設けられた下外側取付部522とを有している。下外側取付部522には、取付ボルトを締結するための締結座が複数設けられている。これら上側ブラケット51及び下側ブラケット52は、互いに上下方向に対向させた状態で、ボルトにより締結することで一体化されている。
【0039】
上内側取付部511は、締結座を介してトンネルサイドフレーム14に取付ボルトで取り付けられている。また上外側取付部513は、締結座を介してフロアサイドフレーム13に取付ボルトで取り付けられている。これにより、高電圧装置取付ブラケット5は、フロアパネル11の下面に取り付けられている。
【0040】
図3に示すように、上側ブラケット51と下側ブラケット52との間にインバータ30が配置されている。このインバータ30は、底板部521に載置されてボルトによって締結されている。また、下側ブラケット52の下面には、コンバータ31が取付ボルトにより締結されている。このようにして、インバータ30及びコンバータ31は、上下に重ねた状態でフロアサイドフレーム13とトンネルサイドフレーム14に跨って取り付けられている。
【0041】
<PTCヒータ>
図1及び
図2に示すように、左側バッテリユニット21とインバータ30及びコンバータ31との間には、車載機器としてのPTCヒータ7が配設されている。PTCヒータ7は、エンジン冷却水を電気加熱するためのものである。PTCヒータ7によって加熱されたエンジン冷却水は、ハイブリッド自動車1の空調のヒータ等に利用される。PTCヒータ7は、トンネル部12を挟んで、上述の浄化装置6とは車幅方向における反対側に設けられている。これにより、PTCヒータ7を、浄化装置6の発する熱による熱害から保護することができる。
【0042】
図3に示すように、PTCヒータ7は、PTCヒータ7の上面を水平にした水平状態において、縦横の寸法が厚みの寸法よりも長い矩形箱状のヒータ部71を有している。また、このヒータ部71の下部には、前後方向の寸法がヒータ部71よりも短く、且つ厚みの寸法がヒータ部71よりも長いタンク部72が設けられている。これにより、水平状態にあるPTCヒータ7は、前後方向の寸法が厚みの寸法よりも長くなっている。
【0043】
図3から
図5に示すように、PTCヒータ7のヒータ部71には、前方側の下部にヒータハーネス42を接続するためのヒータ側接続部711を有している。ヒータ側接続部711は、ヒータハーネス42を介して、左側バッテリユニット21のハーネス接続部214に接続されている。つまり、PTCヒータ7は、ヒータハーネス42を介して高電圧バッテリユニット20から給電されることで作動する高電圧機器である。
【0044】
図4及び
図5に示すように、PTCヒータ7のタンク部72の車幅方向外側(
図5で上側)には、2カ所に配水管接続部721、721が設けられている。これら配水管接続部721夫々には、エンジン冷却水を循環させるための配水管73、73が接続されている。これら配水管73の一方を介してタンク部72にはエンジン冷却水が供給され、他方を介してタンク部72からエンジン冷却水が排出される。
【0045】
図3に示すように、PTCヒータ7は、ヒータ部71の上面が前端(
図3で左側端)よりも後端(
図3で右側端)が低位置になるように車両前後方向に向かって下降傾斜した傾斜状態になるように配設されている。この傾斜姿勢でのPTCヒータ7の前後方向の寸法は、ヒータ部71の上面が水平である水平状態にあるPTCヒータ7の前後方向の寸法よりも短くなっている。この傾斜したヒータ部71の上面の後端は、左側バッテリユニット21の前面下部212に臨んでいる。
【0046】
このように、PTCヒータ7をその上面の後端が左側バッテリユニット21の前面下部212に臨むように傾斜させることで、左側バッテリユニット21とインバータ30及びコンバータ31との間の狭い空間に、PTCヒータ7をコンパクトに配設することができる。また、PTCヒータ7が臨んでいる左側バッテリユニット21の前面下部212には、ハーネス接続部214が設けられている。このため、PTCヒータ7とハーネス接続部214との間の距離が短く、PTCヒータ7と左側バッテリユニット21のハーネス接続部214とを接続するヒータハーネス42の長さを短くできる。これにより、PTCヒータ7と左側バッテリユニット21との電気的な接続をコンパクトにすることができる。
【0047】
<取付プレート>
図3、
図7及び
図8に示すように、PTCヒータ7の上部には、PTCヒータ7をフロアパネル11の下面に支持するための取付プレート8が固定されている。この取付プレート8は、PTCヒータ7の上部の傾斜を利用することで、取付プレート8の上面が車両後方に向けて下降傾斜するように設けられている。この取付プレートの上面後端は、左側バッテリユニット21の前面下部212に臨んでいる。
【0048】
図7から
図10に示すように、取付プレート8は矩形状である。取付プレート8の車幅方向両側には、取付プレート8の上面に対して直角に下方へ折り曲げられた折曲部81が形成されている。この折曲部81夫々の下端には、外側に向けて延びる固定部82が形成されている。この固定部82夫々には、PTCヒータ7が取付ボルトを介して取り付けられる。これにより、PTCヒータ7が取付プレート8に固定される。
【0049】
図9及び
図10に示すように、車幅方向内側に設けられた固定部82の車幅方向内側端部は下方に向けて折り曲げられており、内側端部83が形成されている。この内側端部83には、下方に向かって延び且つ上部が取付プレート8の傾斜に沿って傾斜している板状の内側取付板84が設けられている。
図9に示すように、内側取付板84の前方(
図9で左側)の端部には、車幅方向外側(
図9で上側)に曲げられた屈曲部841が設けられている。屈曲部841の前側端における下端には、前方に延びる内側取付板締結部842が設けられている。内側取付板締結部842は、高電圧装置取付ブラケット5の下側ブラケット52に取付ボルトで取り付けられている。
【0050】
また、
図3及び
図7に示すように、取付プレート8の上面の前方側には、プレート前側ブラケット85が設けられている。このプレート前側ブラケット85は、
図3に示すように、ヒータ部71の上面に固定された前側固定部851を有している。前側固定部851の前端には、後方下向きに開口した車幅方向から見て略U字状に折り曲げられたU字状部852が設けられている。また、U字状部852の下端には、前方に延びる前側ブラケット締結部853が設けられている。前側ブラケット締結部853は、高電圧装置取付ブラケット5の下側ブラケット52に取り付けボルトで取り付けられている。
【0051】
図7及び
図8に示すように、取付プレート8の車幅方向内側(
図8で上側)には、プレート内側ブラケット86が設けられている。プレート内側ブラケット86は、
図7に示すように、車幅方向から見て略L字状に折り曲げられたL字状部861を有している。L字状部861の車幅方向外側の端部には、取付プレート8の上面に固定された内側ブラケット固定部862が設けられている。L字状部861の車幅方向内側の端部は、高電圧装置取付ブラケット5の上内側取付部511の後端の下側まで延びており、上内側取付部511の後端に取付ボルトで取付られている。
【0052】
<取付プレートによるPTCヒータの保護>
取付プレート8によるPTCヒータ7の保護について、
図3を用いて説明する。本発明に係る取付プレート8は、車両衝突時(前突)における衝撃からPTCヒータ7を保護する。
【0053】
ハイブリッド自動車1が衝突した際には、その衝撃によって取付プレート8及びPTCヒータ7は後方側(
図3で右側)へ移動させられる。
図3に示すように、取付プレート8の上面の後端が左側バッテリユニット21の前面下部212に臨んでいるため、取付プレート8の上面は左側バッテリユニット21の前面上部211に対向している。このため、取付プレート8及びPTCヒータ7が後方側へ移動した際には、左側バッテリユニット21の前面上部211と取付プレート8の上面とが接触する。このとき、左側バッテリユニット21の前面上部211が取付プレート8の傾斜に沿って、取付プレート8の上面を相対的に滑るように接触する。滑るように接触するため、この接触により左側バッテリユニット21及びPTCヒータ7が受ける衝撃を緩和することができる。
【0054】
また、左側バッテリユニット21の前面上部211が取付プレート8の上面を相対的に滑ることで取付プレート8及びPTCヒータ7は車両後方に向かって下降するように案内される。これにより、車両衝突によって後方に移動させられた取付プレート8及びPTCヒータ7を、左側バッテリユニット21の前面下部212が後退することで生じたスペースに退避させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ハイブリッド自動車
5 高電圧装置取付ブラケット
6 浄化装置
7 PTCヒータ
8 取付プレート
11 フロアパネル
12 トンネル部
20 高電圧バッテリユニット
21 左側バッテリユニット
22 右側バッテリユニット
210 前面部
211 前面上部
212 前面下部
213 IVハーネス接続部
214 ハーネス接続部
30 インバータ
31 コンバータ