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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/06 20060101AFI20250508BHJP
【FI】
G08C15/06 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022025872
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2023122268
(43)【公開日】2023-09-01
【審査請求日】2024-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂元 花菜子
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-18269(JP,A)
【文献】特表2018-512664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0046773(US,A1)
【文献】国際公開第2018/008628(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御装置であって、
第1のトリガ生成部及び第2のトリガ生成部(30、70)と、第1の通信部及び第2の通信部(24)と、イベント生成部(26)と、タイミング制御部(22)と、を備え、
前記第1のトリガ生成部は、SENT通信による測定データの送信を要求するSENTトリガとして第1のSENTトリガを生成して第1のセンサ(2)に送信するように構成されており、
前記第2のトリガ生成部は、前記SENTトリガとして第2のSENTトリガを生成して第2のセンサ(4)に送信するように構成されており、
前記第1の通信部は、前記第1のトリガ生成部が生成する前記第1のSENTトリガに応じて前記第1のセンサが前記SENT通信により送信する前記測定データを受信するように構成されており、
前記第2の通信部は、前記第2のトリガ生成部が生成する前記第2のSENTトリガに応じて前記第2のセンサが前記SENT通信により送信する前記測定データを受信するように構成されており、
前記イベント生成部は、前記第1の通信部及び前記第2の通信部が受信する前記測定データを使用して周期的にイベントが実行されるイベントタイミングを生成するように構成されており、
前記タイミング制御部は、前記イベント生成部が生成する前記イベントタイミングに基づいて、前記第1のトリガ生成部及び前記第2のトリガ生成部が前記第1のSENTトリガ及び前記第2のSENTトリガを送信するトリガタイミングを前記イベントタイミングに同期させるように構成されており、
前記第1のトリガ生成部が前記第1のセンサに送信する前記第1のSENTトリガの時間の長さと、前記第2のトリガ生成部が前記第2のセンサに送信する前記第2のSENTトリガの時間の長さとは、異なっており、
前記タイミング制御部は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが前記測定データを送信するタイミングが一致するように、前記第1のトリガ生成部及び前記第2のトリガ生成部が前記第1のSENTトリガ及び前記第2のSENTトリガを送信する前記トリガタイミングを同期させるように構成されている、
電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置であって、
前記タイミング制御部は、前記第1のトリガ生成部及び前記第2のトリガ生成部が前記第1のSENTトリガ及び前記第2のSENTトリガの送信を開始してから、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが送信する前記測定データの受信を前記第1の通信部及び前記第2の通信部が終了するまでの時間を考慮して、前記トリガタイミングを前記イベントタイミングに同期させるように構成されている、
電子制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子制御装置であって、
前記第1のトリガ生成部及び前記第2のトリガ生成部のうちの少なくとも1つは、複数のパルスの前記SENTトリガを生成するように構成されている、
電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、SENT通信によりセンサから測定データを受信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御装置がSENT通信によりセンサから測定データを受信する技術が知られている。
例えば、下記特許文献1には、測定対象が同一である複数のセンサのそれぞれから、対応するマイクロコンピュータがSENT通信で測定データを受信する技術が記載されている。センサは、対応するマイクロコンピュータからSENTトリガを受信すると、マイクロコンピュータにSENT通信により測定データを送信する。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、所定のマイクロコンピュータが送信するSENTトリガの送信タイミングを他のマイクロコンピュータが監視することにより、互いのSENTトリガの送信タイミングを一致させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-106513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、マイクロコンピュータが測定データに基づいてイベントを行う場合、イベントが実行されるイベントタイミングを考慮せずにSENTトリガを送信している。その結果、イベントタイミングに対して、センサが測定データを送信するタイミングが早くなったり遅くなったりして、測定データの受信タイミングがばらつくという課題が見出された。
【0006】
測定データの送信タイミングが遅くなると、イベントタイミングで測定データの受信が完了しないことがある。これに対し、測定データの送信タイミングが早くなると、イベントタイミングに極力近い測定データを受信できない。
【0007】
本開示の1つの局面は、イベントを実行するイベントタイミングに対して適切なタイミングでセンサにSENTトリガを送信する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの態様による電子制御装置は、トリガ生成部(30、70)と、通信部(24)と、イベント生成部(26)と、タイミング制御部(22)と、を備える。
トリガ生成部は、SENT通信による測定データの送信を要求するSENTトリガを生成してセンサに送信する。通信部は、トリガ生成部が生成するSENTトリガに応じてセンサがSENT通信により送信する測定データを受信する。イベント生成部は、通信部が受信する測定データを使用して周期的にイベントが実行されるイベントタイミングを生成する。
【0009】
タイミング制御部は、イベント生成部が生成するイベントタイミングに基づいて、トリガ生成部がSENTトリガを送信するトリガタイミングをイベントタイミングに同期させる。
【0010】
このような構成によれば、周期的にイベントが実行されるイベントタイミングにSENTトリガを送信するトリガタイミングを同期させるので、測定データを受信する毎に測定データの受信タイミングがばらつくことを抑制できる。
【0011】
そして、イベントタイミングに対してSENTトリガの送信タイミングを適切に同期させることにより、今回のイベントタイミングに間に合うように、極力新しい測定データを受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の電子制御装置の構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態のトリガ生成部の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態の通信処理を示すタイムチャート。
図4】第1実施形態のSENTトリガの生成を示す説明図。
図5】第2実施形態のトリガ生成部の構成を示すブロック図。
図6】第2実施形態のSENTトリガの生成を示す説明図。
図7】第3実施形態の電子制御装置の構成を示すブロック図。
図8】第3実施形態の通信処理を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す電子制御装置10は、車両に搭載されており、SENT通信により車載のセンサ2から通信線200を介して測定データを受信する。SENTは、Single Edge Nibble Transmissionの略である。以下、電子制御装置をECUとも言う。
【0014】
ECU10は、スイッチ12と、MCU20と、を備えている。MCUは、Micro Control Unitの略である。
スイッチ12はトランジスタで構成されている。スイッチ12がMCU20によりオン、オフされることにより、SENT通信による測定データの送信を要求するSENTトリガがセンサ2に送信される。センサ2は、SENTトリガを受信すると、SENT通信によりECU10に測定データを送信する。
【0015】
MCU20は、タイミング制御部22と、通信部24と、イベント生成部26と、イベント実行部28と、トリガ生成部30と、を備えている。
タイミング制御部22は、イベント実行部28が車両制御等の周期的に実行される周期イベントを実行するイベントタイミングを所定の周期でイベント生成部26に指示する。また、タイミング制御部22は、センサ2にSENTトリガの送信を開始するトリガタイミングと、SENTトリガのパルス数およびパルス幅等を指定するトリガIDと、をトリガ生成部30に指示する。タイミング制御部22は、イベントタイミングに同期してトリガタイミングを生成する。
【0016】
トリガIDは、例えば数字である。トリガ生成部30は、タイミング制御部22から指示されたトリガIDに基づいて、例えばメモリに設定されたテーブルから、SENTトリガのパルス数と、パルス幅と、パルスが複数の場合はパルス間の間隔、もしくは、それらに相当するデータをパルスデータとして取得する。パルスデータが設定されるテーブルは、1つでもよいし、パルスデータの種類に応じて異なっていてもよい。
【0017】
SENTトリガのパルスデータは、センサの種類とセンサに送信を要求する測定データの種類とによって規定されている。
なお、トリガ生成部30は、パルスデータを、トリガIDに基づいて演算して取得してもよい。
【0018】
通信部24は、センサ2からSENT通信により送信される測定データを受信する。
イベント生成部26は、タイミング制御部22から所定の周期で指示されるイベントタイミングで周期イベントを生成する。そして、イベント生成部26は、生成した周期イベントをイベントタイミングで実行するようにイベント実行部28に指示する。
【0019】
イベント実行部28は、イベント生成部26に指示されたイベントタイミングで、通信部24が受信した測定データを使用して周期イベントを実行する。
トリガ生成部30は、パルスデータに基づいてスイッチ12をオン、オフすることにより、センサ2にSENTトリガを送信する。
【0020】
MCU20のトリガ生成部30は、図2に示すように、トリガ制御部32と、タイマ34と、DMA36と、メモリ38と、シリアル通信部40と、を備えている。
トリガ制御部32は、タイミング制御部22から指示されたトリガタイミングでDMA36が起動するように、タイマ34のカウント時間を設定する。
【0021】
さらに、トリガ制御部32は、タイミング制御部22から指示されたトリガIDに基づいて、シリアル通信部40に設定するデータの転送元アドレスと転送先アドレスと転送回数とを図示しないテーブルから取得し、DMA36に設定する。
【0022】
転送元アドレスはメモリ38のアドレスである。転送先アドレスは、シリアル通信部40のバッファ42と、ボーレートを設定する図示しないビットレートレジスタと、を指定するアドレスである。SENTトリガのパルス数は転送回数で指定される。
【0023】
DMA36は、設定されたカウント時間をタイマ34がカウントすると起動される。DMA36は、起動されると、トリガ制御部32から指示されたメモリ38の転送元アドレスに記憶されているパルスデータを、シリアル通信部40のバッファ42とビットレートレジスタとに転送する。
【0024】
シリアル通信部40は、バッファ42とビットレートレジスタとに設定されたパルスデータに基づいて、スイッチ12をスイッチングする。シリアル通信部40は、バッファ42の複数のエントリにデータが設定される場合、バッファ42の先頭から順番にシリアル通信によりデータを出力し、スイッチ12をオン、オフする。
【0025】
図3では、センサ2に送信したSENTトリガにより、センサ2からSENT通信により送信されたデータBとデータCとが、それぞれ周期イベント#2と周期イベント#3とが実行される前に通信部24により受信されている。データBは周期イベント#2で使用され、データCは周期イベント#3で使用される。
【0026】
[1-2.処理]
次に、ECU10が実行する通信処理について、図3および図4のタイムチャートを用いて説明する。
【0027】
図3に示すように、タイミング制御部22は、周期イベントを実行するイベントトリガをイベント生成部26に指示するとともに、センサ2にSENTトリガを送信するトリガタイミングをトリガ生成部30に指示する。
【0028】
トリガタイミングは、イベントタイミングに同期して、トリガ生成部30がセンサ2にSENTトリガの送信を開始してから、通信部24がセンサ2から測定データの受信を終了するまでの時間を考慮して、測定データの受信完了が次の周期イベントの直前となるように、極力遅いタイミングに設定される。
【0029】
トリガ生成部30のトリガ制御部32は、タイミング制御部22から指示されたトリガタイミングとなるようにタイマ34のカウント時間を設定する。図4に示すように、設定されたカウント時間をタイマ34がカウントしてトリガタイミングになると、DMA36が起動される。
【0030】
DMA36は、起動されると、タイミング制御部22から指示されたメモリ38の転送元アドレスに記憶されているパルスデータを、シリアル通信部40のバッファ42とビットレートレジスタとに転送する。
【0031】
図4では、メモリ#0、メモリ#1にそれぞれ記憶されている0xC0、0xE0のパルスデータがバッファ42の先頭からバッファ#0、バッファ#1に、この順番で転送される。パルスデータの「1」はオンを表し、「0」はオフを表す。
【0032】
そして、パルスデータとして、0xC0、0xE0にそれぞれ対応して設定されるボーレートにより、0xC0、0xE0の「1」および「0」の数に応じたパルス幅の時間とパルス間の時間間隔とが決定される。
【0033】
シリアル通信部40は、バッファ#0に設定された0xC0のデータを送信すると、次にバッファ#1に設定された0xE0のデータを送信し、スイッチ12をオン、オフする。
通信線200のレベルは通常、「High」に設定されている。シリアル通信部40がスイッチ12に「1」を送信するとスイッチ12はオンになり、通信線200はアースに短絡する。その結果、通信線200のレベルは「Low」になる。シリアル通信部40がスイッチ12に「0」を送信するとスイッチ12はオフになるので、通信線200のレベルは「High」になる。
【0034】
したがって、図4に示すように、0xC0、0xE0のパルスデータがバッファ42に設定されると、図4に示すSENTトリガがセンサ2に送信される。
[1-3.効果]
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0035】
(1a)イベントタイミングに同期して、トリガ生成部30がセンサ2にSENTトリガの送信を開始してから、センサ2が送信する測定データの受信を通信部24が終了するまでに要する時間を考慮して、トリガタイミングは極力遅いタイミングに設定される。
【0036】
これにより、ECU10がセンサ2から測定データを受信する毎に測定データの受信タイミングがばらつくことを抑制できる。また、イベントタイミングに対してSENTトリガの送信タイミングを適切に同期させることにより、今回のイベントタイミングに間に合うように、極力新しい測定データを受信できる。
【0037】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0038】
前述した第1実施形態では、シリアル通信部40を使用してスイッチ12をオン、オフした。これに対し、第2実施形態では、図5に示すように、トリガ生成部70が備えるPWMタイマ80を使用してスイッチ12をオン、オフする点で、第1実施形態と相違する。
【0039】
トリガ生成部70は、トリガ制御部72と、DMA74と、メモリ76と、PWMタイマ80と、を備えている。PWMタイマ80が送信するPWM信号が、スイッチ12をオン、オフするスイッチング信号である。
【0040】
[2-2.処理]
トリガ生成部70が実行するトリガ生成処理を、図6のSENTトリガを例にして説明する。
【0041】
トリガ生成部70のトリガ制御部72は、タイミング制御部22から指示されたトリガタイミングとトリガIDとに基づき、今回のSENTトリガのパルス数を2、周期イベントから第1パルスの立ち下がりまでの時間をa、第1パルスの立ち下がりから第2パルスの立ち下がりまでの時間をb、第1パルスのパルス幅をc、第2パルスの立ち下がりから次の周期イベントまでの時間よりも長い時間をd、第2パルスのパルス幅をeとする。
【0042】
トリガ制御部72は、イベントタイミングにおいて、時間データとして0をパルス幅用の出力設定部82に設定し、時間cをパルス幅用の出力設定バッファ84に設定し、時間eをパルス幅用のメモリ76に設定する。
【0043】
また、トリガ制御部72は、イベントタイミングにおいて、時間aを周期用の出力設定部82に設定し、時間bを周期用の出力設定バッファ84に設定し、時間dを周期用のメモリ76に設定する。
【0044】
前述したデータがパルス幅用と周期用とのそれぞれの出力設定部82、出力設定バッファ84、メモリ76に設定されることにより、スイッチ12は以下のようにスイッチングされる。
【0045】
(1)イベントタイミング時
パルス幅用の出力設定部82に0が設定されているので、イベントタイミングでのPWM信号はオフであり、スイッチ12もオフである。したがって、SENTトリガは「High」である。周期用の出力設定部82には時間aが設定されている。
【0046】
(2)時間aの経過時
周期イベントのイベントタイミングから周期用の出力設定部82に設定された時間aが経過すると、マッチフラグ86はマッチ信号を出力する。
【0047】
すると、パルス幅用の出力設定バッファ84に設定された時間cがパルス幅用の出力設定部82に転送され、周期用の出力設定バッファ84に設定されていた時間bが周期用の出力設定部82に転送される。
【0048】
さらに、DMA74により、パルス幅用のメモリ76に設定されていた時間eがパルス幅用の出力設定バッファ84に転送され、周期用のメモリ76に設定されていた時間dが周期用の出力設定バッファ84に転送される。
【0049】
なお、DMA74は、時間aの経過時に1回起動されると、次の時間bが経過後にマッチフラグ86がマッチ信号を出力しても起動されない。
このように、時間aの経過時に、時間cがパルス幅用の出力設定部82に転送されて設定されるので、時間cの間、PWMタイマ80が出力するPWM信号はオンになり、スイッチ12もオンになる。したがって、SENTトリガは「Low」になる。時間cが経過すると、PWMタイマ80が出力するPWM信号はオフになり、スイッチ12もオフになる。したがって、SENTトリガは「High」になる。
【0050】
(3)時間bの経過時
周期用の出力設定部82に設定された時間bが経過すると、マッチフラグ86はマッチ信号を出力する。
【0051】
すると、パルス幅用の出力設定バッファ84に設定されていた時間eがパルス幅用の出力設定部82に転送され、周期用の出力設定バッファ84に設定されていた時間dが周期用の出力設定部82に転送される。
【0052】
このように、時間bの経過時に、時間eがパルス幅用の出力設定部82に転送されて設定されるので、時間eの間、PWMタイマ80が出力するPWM信号はオンになり、スイッチ12もオンになる。したがって、SENTトリガは「Low」になる。時間eが経過すると、PWMタイマ80が出力するPWM信号はオフになり、スイッチ12もオフになる。したがって、SENTトリガは「High」になる。
【0053】
なお、周期用の出力設定部82に設定された時間dは、次の周期イベントが開始されるイベントタイミングよりも遅くなるように設定されるので、時間dが経過する前に、トリガ制御部72により、周期用の出力設定部82に次のデータが設定される。
【0054】
このように、図6に示すPWM信号がスイッチ12に送信されることにより、図6に示すSENTトリガがセンサ2に送信される。
以上説明したように、トリガ制御部72が周期イベントのイベントタイミングで、出力設定部82、出力設定バッファ84、メモリ76に、ソフトウェアでデータを1回設定することにより、それ以後のハードウェア処理でSENTトリガがセンサ2に送信される。
【0055】
[2-3.効果]
以上説明した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
[3.第3実施形態]
[3-1.第1実施形態との相違点]
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0057】
前述した第1実施形態では、MCU20は1個のセンサ2から測定データを受信した。これに対し、第3実施形態では、図7に示すように、ECU90のMCU100が2個のセンサ2、4から測定データを受信する点で、第1実施形態と相違する。
【0058】
[3-2.構成]
MCU100は、1個のタイミング制御部22と、2個の通信部24と、1個のイベント生成部26と、1個のイベント実行部28と、2個のトリガ生成部30と、を備えている。
【0059】
図8に示すように、センサ2に測定データを要求するSENTトリガは第1実施形態と同様に2個のパルスであり、センサ4に測定データを要求するSENTトリガは1個のパルスである。
【0060】
イベント実行部28には、センサ2、4から同じタイミングで送信される測定データを受信して周期イベントを実行したいという要求がある。
そこで、タイミング制御部22は、SENTトリガのパルス数と、パルス幅と、パルスが複数の場合はパルス間の間隔と、SENTトリガをシリアル通信で送信するボーレートと、を考慮して、センサ2、4が測定データを送信するタイミングが一致するように、2個のトリガ生成部30のトリガ制御部32に、異なるトリガタイミングを指示する。
【0061】
これにより、図8に示すように、センサ2、4に異なるタイミングでSENTトリガが送信される。つまり、パルス数が2個のSENTトリガの方が、パルス数が1個のSENTトリガよりも早いタイミングで送信される。
【0062】
[3-3.効果]
以上説明した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0063】
(3a)SENTトリガのパルス数が異なる複数のセンサ2、4が測定データを送信するタイミングが一致するように、周期イベントのイベントタイミングに同期して、センサ2、4にSENTトリガを送信するトリガタイミングが設定される。
【0064】
これにより、複数のセンサ2、4から測定データが送信されるタイミングがずれることを抑制できるので、ECU90は、複数のセンサ2、4から同じタイミングで検出された測定データを受信できる。
【0065】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0066】
(4a)前述した実施形態では、SENTトリガのパルス数は1または2であったが、これに限定されるものではない。SENTトリガのパルス数は、3以上であってもよい。
(4b)前述した第3実施形態では、SENTトリガのパルス数が異なるセンサ2、4から測定データを受信する例について説明した。これに対し、SENTトリガのパルス数が同じ複数のセンサから測定データを受信してもよい。
【0067】
この場合も、SENTトリガのパルス数が同じ複数のセンサから同じタイミングで測定データが送信されるように、周期イベントのイベントタイミングに同期して、それぞれのセンサにSENTトリガを送信するトリガタイミングが設定される。
【0068】
(4c)前述した第3実施形態では、第1実施形態と同じトリガ生成部30を使用したが、第2実施形態と同じトリガ生成部70を使用してもよい。
(4d)前述した実施形態では、車載のECU10、90について説明したが、センサ2、4からSENT通信により測定データを受信するECUであれば、車載に限る必要はない。
【0069】
(4e)本開示に記載のECU10、90およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つまたは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載のECU10、90およびその手法は、1つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載のECU10、90およびその手法は、1つまたは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと1つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。ECU10、90およびに含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、1つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0070】
(4f)前述した実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、前述した実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、前述した実施形態の構成の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0071】
(4g)前述したECU10、90の他、当該ECU10、90を構成要素とするシステム、当該ECU10、90としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、電子制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0072】
2、4:センサ、10、90:ECU(電子制御装置)、22:タイミング制御部、24:通信部、26:イベント生成部、30、70:トリガ生成部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8