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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】送風装置および送風装置放熱方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20250508BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250508BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
F04D29/58 P
H05K7/20 H
F04D29/62 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022054412
(22)【出願日】2022-03-29
(65)【公開番号】P2023146949
(43)【公開日】2023-10-12
【審査請求日】2024-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】宮川 紗奈
【審査官】西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-030147(JP,A)
【文献】特開2004-245198(JP,A)
【文献】特開2018-031344(JP,A)
【文献】特開2018-113406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
H05K 7/20
F04D 29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機(2)と、
前記電動機の一端に連結されているファン(3)と、
前記電動機の他端に配置されており、前記電動機を制御する電気回路であって、前記電動機側の第1基板面(11a)、および、前記第1基板面とは反対の第2基板面(11b)を有する回路基板(11)、および、前記第1基板面に配置された複数の第1素子(12)を有する電気回路(9)と、
前記電動機、および、前記電気回路が放熱するダクト気流(DF)を流すダクト(7)と、
前記電気回路を収容するとともに、前記電動機、および、前記電気回路が放熱する容器気流(CF)を流す回路容器(8)と、
前記ダクトと前記回路容器との間に位置する境界としての壁に配置され、前記第1素子の熱が伝達される放熱部材(40)とを備え、
前記回路容器は、
前記第2基板面に対向する壁に配置されている容器入口(31、231、331、631)と、
前記第1基板面に対向する壁に配置されており、前記電動機の径方向に関して前記第1素子よりも内側に配置されている容器出口(32)と、
前記回路容器と前記電気回路との間に形成されている径方向の隙間(33)を含み、前記容器入口から、前記隙間を経由して、前記容器出口へ到達することにより、前記第2基板面から前記第1基板面に回り込むように前記容器気流を流す容器通路(30)とを備え、
前記放熱部材の第1放熱面(42a)は前記ダクト内に露出することにより前記ダクト気流と接触しており、
前記放熱部材の前記第1放熱面と反対の第2放熱面(41a、42b)は前記回路容器内に露出することにより前記容器気流と接触している送風装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、
前記ダクトと前記回路容器との間に位置する境界としての壁に配置されたヒートシンク(42、442、542)と、
複数の前記第1素子と前記ヒートシンクとの間を熱的に連結する複数の熱伝導部材(41)とを備え、
複数の前記熱伝導部材の間に前記容器気流が流れる隙間が形成されている請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記容器入口は、前記第2基板面に配置された第2素子(13)に対向して、または、前記第2基板面に対向して開口している請求項1または請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記回路容器は、前記容器気流を案内するガイド部材(331、334、335、435、535)を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の送風装置。
【請求項5】
前記回路容器は、
重力方向の下に位置する壁に設けられ、液体を捕捉するタンク(637)と、
前記タンクと前記容器入口(631)との間に配置された障壁(636)とを備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の送風装置。
【請求項6】
前記回路基板は、表面に保護層(11d)を有し、前記保護層に部分的に形成された開口(711h)において導体層(11d)が露出しており、
前記放熱部材は、前記開口を経由して前記導体層と接触している請求項1から請求項5のいずれかに記載の送風装置。
【請求項7】
ファン(3)と連結された電動機(2)、および、前記電動機の背部に配置された回路容器(8)に収容されている電気回路(9)を有する送風装置から放熱する送風装置放熱方法において、
前記電気回路(9)に含まれる回路基板(11)の前記電動機側の第1基板面(11a)に配置されている第1素子(12)の熱を、前記回路容器の一部を提供する放熱部材(40)に伝達する熱伝達工程と、
前記ファンの下流に位置するダクト入口(21)からダクト気流(DF)を取り入れ、前記ダクト気流が前記放熱部材の第1放熱面(42a)に接触しながら流れることにより、前記放熱部材から前記ダクト気流へ放熱する第1放熱工程と、
前記送風装置が設置されている設置室(5)から前記回路容器内へ容器気流(CF)を取り入れ、前記容器気流が前記放熱部材の第2放熱面(41a、42b)に接触しながら流れることにより、前記放熱部材から前記容器気流へ放熱する第2放熱工程と、
前記ダクト気流、および、前記容器気流が前記電動機に接触しながら流れることにより前記電動機から前記ダクト気流、および、前記容器気流へ放熱する第3放熱工程とを備え、
前記第2放熱工程における前記容器気流は、
前記第1基板面とは反対である第2基板面(11b)に向けて前記設置室から取り入れられ、
前記回路容器と前記電気回路の縁との間の隙間(33)を経由して、前記第2基板面から前記第1基板面に回り込むように流れ、さらに、
前記第1基板面に沿って前記放熱部材と接触しながら流れており、
前記第1放熱工程、および、前記第2放熱工程は同時に実行されることにより、前記放熱部材から前記ダクト気流と前記容器気流との両方へ放熱しており、
前記第1放熱工程、および、前記第2放熱工程の後に、前記第3放熱工程が実行される送風装置放熱方法。
【請求項8】
前記ダクト気流と前記容器気流とは、
第1放熱板(42c)に沿って流れた後に、第2放熱板(42d)に沿って流れ、
前記熱伝達工程は、前記第1素子の熱を、前記第2放熱板に伝達する請求項7に記載の送風装置放熱方法。
【請求項9】
前記第2放熱工程における前記容器気流は、
前記第2基板面に配置された第2素子(13)に向けて前記設置室から取り入れられた後に、前記第2素子に接触して流れる請求項7または請求項8に記載の送風装置放熱方法。
【請求項10】
前記第2放熱工程における前記容器気流は、
前記第2基板面に向けて前記設置室から取り入れられた後に、前記第2基板面に沿って流れる請求項7または請求項8に記載の送風装置放熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、送風装置および送風装置放熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヒートシンクを備えるモータが記載されている。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-30147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術文献に開示されるモータには、高い放熱性能が求められている。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、送風装置および送風装置放熱方法にはさらなる改良が求められている。
【0005】
開示されるひとつの目的は、電気回路の放熱に関して高い放熱性能を発揮する送風装置および送風装置放熱方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された送風装置は、電動機(2)と、電動機の一端に連結されているファン(3)と、電動機の他端に配置されており、電動機を制御する電気回路であって、電動機側の第1基板面(11a)、および、第1基板面とは反対の第2基板面(11b)を有する回路基板(11)、および、第1基板面に配置された複数の第1素子(12)を有する電気回路(9)と、電動機、および、電気回路が放熱するダクト気流(DF)を流すダクト(7)と、電気回路を収容するとともに、電動機、および、電気回路が放熱する容器気流(CF)を流す回路容器(8)と、ダクトと回路容器との間に位置する境界としての壁に配置され、第1素子の熱が伝達される放熱部材(40)とを備える。回路容器は、第2基板面に対向する壁に配置されている容器入口(31、231、331、631)と、第1基板面に対向する壁に配置されており、電動機の径方向に関して第1素子よりも内側に配置されている容器出口(32)と、回路容器と電気回路との間に形成されている径方向の隙間(33)を含み、容器入口から、隙間を経由して、容器出口へ到達することにより、第2基板面から第1基板面に回り込むように容器気流を流す容器通路(30)とを備える。放熱部材の第1放熱面(42a)はダクト内に露出することによりダクト気流と接触しており、放熱部材の第1放熱面と反対の第2放熱面(42b)は回路容器内に露出することにより容器気流と接触している。
【0007】
開示される送風装置によると、電気回路の第1素子の熱は、放熱部材を経由して、ダクト気流と容器気流との両方へ放熱される。この結果、電気回路の放熱に関して高い放熱性能を発揮する送風装置が提供される。
【0008】
ここに開示された送風装置放熱方法は、ファン(3)と連結された電動機(2)、および、電動機の背部に配置された回路容器(8)に収容されている電気回路(9)を有する送風装置から放熱する。送風装置放熱方法は、電気回路(9)に含まれる回路基板(11)の電動機側の第1基板面(11a)に配置されている第1素子(12)の熱を、回路容器の一部を提供する放熱部材(40)に伝達する熱伝達工程と、ファンの下流に位置するダクト入口(21)からダクト気流(DF)を取り入れ、ダクト気流が放熱部材の第1放熱面(42a)に接触しながら流れることにより、放熱部材からダクト気流へ放熱する第1放熱工程と、送風装置が設置されている設置室(5)から回路容器内へ容器気流(CF)を取り入れ、容器気流が放熱部材の第2放熱面(42b)に接触しながら流れることにより、放熱部材から容器気流へ放熱する第2放熱工程と、ダクト気流、および、容器気流が電動機に接触しながら流れることにより電動機からダクト気流、および、容器気流へ放熱する第3放熱工程とを備える。第2放熱工程における容器気流は、第1基板面とは反対である第2基板面(11b)に向けて設置室から取り入れられ、回路容器と電気回路の縁との間の隙間(33)を経由して、第2基板面から第1基板面に回り込むように流れ、さらに、第1基板面に沿って放熱部材と接触しながら流れており、第1放熱工程、および、第2放熱工程は同時に実行されることにより、放熱部材からダクト気流と容器気流との両方へ放熱しており、第1放熱工程、および、第2放熱工程の後に、第3放熱工程が実行される。
【0009】
開示される送風装置放熱方法によると、電気回路の第1素子の熱は、放熱部材を経由して、ダクト気流と容器気流との両方へ放熱される。この結果、電気回路の放熱に関して高い放熱性能を発揮する送風装置放熱方法が提供される。
【0010】
この明細書において開示された複数の形態は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る送風装置の断面図である。
図2】放熱部材を示す部分拡大断面図である。
図3図1のIII-III線における断面を示す部分断面図である。
図4】第2実施形態に係る送風装置の断面図である。
図5】第3実施形態に係る送風装置の断面図である。
図6】第4実施形態に係る送風装置の断面図である。
図7】第5実施形態に係る送風装置の断面図である。
図8】第6実施形態に係る送風装置の断面図である。
図9】第7実施形態に係る送風装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
複数の実施形態が、図面を参照しながら説明される。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に、対応する部分および/または関連付けられる部分には、同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0013】
第1実施形態
図1において、送風装置1は、乗り物の空調装置に利用される送風機である。ここで、乗り物の語は広義に解釈されるべきである。乗り物は、ヒトが運転するもの、および、コンピュータが全体的にまたは部分的に自律的に運転するものを含む。また、乗り物は、地上を移動する車両、水上を移動する船舶、空を移動する航空機を含む。この実施形態の送風装置1は、車両に設置されている。送風装置1は、車両に形成された室内に設置されている。送風装置1は、車両の乗員室、または、機械室に設置されている。空調装置の語もまた、広義に解釈されるべきである。空調装置は、室内の換気だけ、室内の暖房だけ、室内の冷房だけ、または、それらの少なくとも2つ以上の組み合わせを提供する装置を含む。さらに、空調装置は、室内における物品を冷凍、または、冷蔵する装置を含む。この実施形態の空調装置は、車両の室内の空気に対して、換気、暖房、および、冷房のいずれか、または、2つ以上の組み合わせを提供する装置である。
【0014】
図1において、理解を助けるために、送風装置1の細部形状は簡単化されて図示されている。図示においては、部材の厚さ、部材の広がりなどは、理解を助けるように図示されている。送風装置1は、電動機2を備える。電動機2は、固定子2aと回転子2bとを有する。固定子2aは、後述のケース4に固定されている。回転子2bは、回転軸としてのシャフト2cに固定されている。シャフト2cは、中心軸AXをもつ。シャフト2cは、後述のケース4に回転可能に支持されている。固定子2aと回転子2bとは、磁気的に対向配置されている。固定子2aと回転子2bとは、電力によって回転力を発生する。この実施形態では、回転力はシャフト2cを経由してファン3を回転させる。
【0015】
送風装置1は、ファン3を備える。ファン3は、電動機2と連結されている。ファン3は、電動機2の一端に連結されている。電動機2とファン3とは、シャフト2cを介して連結されている。ファン3は、円筒状に配置された複数のファンブレードを含む。ファン3は、シロッコファンと呼ばれる遠心送風機、または、ターボファンと呼ばれる遠心送風機を提供する。ファン3は、シャフト2cに固定的に連結されている。
【0016】
送風装置1は、ケース4を備える。ケース4は、樹脂製の樹脂部材を含む。ケース4は、一部に金属製の金属部材を含む。金属部材は、樹脂部材を補強する補強部材、または、樹脂部材より優れた放熱性を提供する放熱部材を提供する。ケース4は、電動機2を支持する支持部材を提供する。ケース4は、固定子2aを固定的に支持している。ケース4は、シャフト2cを回転可能に支持している。ケース4は、電動機2の背部において、電動機2を支持するサポートフレームを提供している。
【0017】
ケース4は、複数の部材を連結することによって形成されている。ケース4は、少なくともセンターピース4aと、カバーピース4bとを含む。センターピース4aは、電動機2を支持している。センターピース4aとカバーピース4bとは、互いに連結されている。センターピース4aとカバーピース4bとは、それらの間に後述の部品室6を区画形成している。
【0018】
ケース4は、ファン3のための送風経路を形成している。ケース4は、ファン3のための入口を提供するベルマウスを含む場合がある。ケース4は、ファン3のためのスクロールケーシングを含む場合がある。ケース4は、スクロールケーシング下流の、ディフーザケーシングを含む場合がある。さらに、ケース4は、空調装置の温度調節ユニットとの連結部分を含む場合がある。
【0019】
送風装置1は、設置室5に設置されている。設置室5は、車両のボディによって区画された空間である。設置室5は、車両において機器が設置されている機械室、または、乗員が存在する場合がある乗員室である。ケース4の少なくとも一部は、設置室5に位置している。ケース4は、部品室6を区画している。部品室6は、設置室5から仕切られている。部品室6は、設置室5からの液体の侵入を阻止する程度に仕切られている。液体としては、雨水を含む水滴を想定することができる。部品室6は、後述のダクト7によって区画された容積と、後述の回路容器8によって区画された容積とを含む。部品室6は、電動機2の背部に位置付けられている。この実施形態では、電動機2の背部は、電動機2のシャフト2cの軸方向に関して、ファン3とは反対側の領域である。部品室6は、電動機2を機能させるための機能的な要素を収容している。機能的な要素は、電動機2を冷却するための冷却風を案内する通路を含む。機能的な要素は、後述の電気回路9を含む。
【0020】
ケース4は、ダクト7を形成している。ダクト7は、部品室6の一部である。ダクト7は、シャフト2cの中心軸AXから径方向に離れた位置から、電動機2の背部に向けて、径方向に沿って延びている。ダクト7は、部分的に管部材によって提供される場合がある。ダクト7は、冷却風を案内する。ダクト7は、電動機2の放熱のための冷却風を案内している。ダクト7は、電気回路9の放熱のための冷却風を案内している。ダクト7は、電動機2、および、電気回路9が放熱するダクト気流DFを流す。ダクト7は、センターピース4aとカバーピース4bとの間に区画形成されている。ダクト7は、冷却風が流れるように少なくとも入口と出口との間を連通する連通路を区画している。出口は、電動機2に対向するケース4の壁に開口している。入口は、ファン3より下流側の送風経路に開口している。ファン3が送風することにより入口と出口との間に圧力差が生成される。この圧力差によって、ダクト7内に冷却風が生成される。
【0021】
ケース4は、回路容器8を形成している。回路容器8は、電気回路9を収容している。回路容器8は、部品室6の一部である。回路容器8は、センターピース4aとカバーピース4bとの間に区画形成されている。回路容器8は、電気回路9を収容するための空洞を区画している。回路容器8は、電動機2、および、電気回路9が放熱する容器気流CFを流す。シャフト2cの一端は、ファン3との連結を提供している。一方、シャフト2cの他端は、回路容器8の内部に位置付けられている。回路容器8は、シャフト2cの他端に配置されている。回路容器8は、シャフト2cの他端を内部に収容するように位置付けられている。
【0022】
ダクト7と、回路容器8とは、ダクト7内の通路から回路容器8内の空洞への直接的な液体の侵入を阻止する程度に仕切られている。ダクト7と、回路容器8とは、一部においてケース4が提供する1枚の壁を介して隣接している。この壁には、ダクト7内と、回路容器8内とを直接的に連通するような連通穴はない。なお、ダクト7内から電動機2を経由して回路容器8内へ間接的に液体が浸入する場合がある。
【0023】
送風装置1は、電気回路9を備える。電気回路9は、電動機2の他端に配置されている。電気回路9は、電動機2を制御する。電気回路9は、車両に搭載された電源から電動機2へ電力を供給する。さらに、電気回路9は、電動機2へ供給される電力を調節する。電気回路9は、制御回路とも呼ばれる。例えば、電気回路9は、送風量を、段階的に、または、連続的に調節するように電力を調節する。電気回路9は、電源から電動機2へ供給される電力をデューティ制御によって調節する。電気回路9は、デューティ制御を実行するための複数の素子を含む。複数の素子は、電流によって発熱する複数の発熱素子を含む。多くの発熱素子は、素子の機能を維持するために、放熱することが望ましい。
【0024】
複数の素子は、複数のスイッチング素子を含む。スイッチング素子は、発熱素子の一例である。複数の素子は、複数のコンデンサ素子を含む。コンデンサ素子は、発熱素子の一例である。複数の素子は、複数のインダクタンス素子を含む。インダクタンス素子は、発熱素子の一例である。複数の素子は、複数の抵抗素子を含む。抵抗素子は、発熱素子の一例である。複数の素子は、複数の電流経路部材を備える。電流経路部材は、電線、バスバ、回路基板の銅箔などによって提供されている。電流経路部材は、発熱素子の一例である。例えば、バスバは、電動機2と電気回路9とを電気的に接続している。
【0025】
複数の素子は、少なくともひとつのプロセッサを含む電気回路を含む。プロセッサは、例えば、ROM、RAMなどのメモリ、および、CPUを含むコンピュータ回路によって提供される場合がある。プロセッサは、例えば、複数の論理回路の組み合わせによって提供される場合がある。複数の論理回路は、例えば、ゲートアレイ(GA)、フィルドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などによって提供される場合がある。
【0026】
電気回路9は、回路基板11を備える。回路基板11は、第1基板面11aと第2基板面11bとを有するプリント基板である。回路基板11は、第1基板面11aと第2基板面11bとに配線をもつ両面プリント基板、または、内部にも多層の配線をもつ多層プリント基板である。第1基板面11aは、電動機2側に位置付けられている。第1基板面11aは、電動機2に対向するように位置付けられている。第2基板面11bは、第1基板面11aとは反対の基板面である。第2基板面11bは、送風装置1としての外側に、すなわち設置室5に対向して位置付けられている。回路基板11は、シャフト2cと交差するように配置されている。シャフト2cは、回路基板11を貫通して配置されている。回路基板11は、シャフト2cの径方向外側において平面状に拡がっている。回路基板11は、四辺形、C字状、または、環状など多様な形状によって提供することができる。
【0027】
電気回路9は、第1素子12を備える。第1素子12は、第1基板面11aに配置されている。第1基板面11aには、他の電気的な素子も配置されている。第1素子12は、表面実装素子、または、リード実装素子によって提供されている。この実施形態では、電気回路9は、複数の第1素子12を備える。複数の第1素子12は、少なくともスイッチング素子を含む。スイッチング素子は、MOS-FET、IGBTなどのパワー素子によって提供されている。第1素子12は、電動機2に供給される電力を断続するスイッチング素子である。第1素子12は、第1基板面11aにおける発熱素子のひとつである。
【0028】
電気回路9は、第2素子13を備える。第2素子13は、第2基板面11bに配置されている。第2基板面11bには、他の電気的な素子も配置されている。第2素子13は、表面実装素子、または、リード実装素子によって提供されている。この実施形態では、電気回路9は、複数の第2素子13を備える。複数の第2素子13は、少なくともコンデンサ素子を含む。コンデンサ素子は、電解コンデンサ素子によって提供されている。第2素子13は、スイッチング動作に伴う電圧変動の抑制、ノイズの抑制に利用されている。第2素子13は、第2基板面11bにおける発熱素子のひとつである。
【0029】
電気回路9は、電流経路部材14を備える。電流経路部材14は、電気回路9と電動機2とを電気的に接続している。電流経路部材14は、バスバとも呼ばれる。電流経路部材14は、金属板によって提供することができる。電流経路部材14は、一方の端部において、回路基板11に電気的に接続されている。電流経路部材14は、他方の端部において、電動機2の端子に接続されている。電流経路部材14は、ケース4を貫通して延びている。電流経路部材14は、ケース4に開口する穴を経由して延びている。電流経路部材14は、電気回路9から電動機2へ電力を供給するための経路を提供している。この実施形態では、電気回路9は、複数の電流経路部材14を備える。
【0030】
ケース4は、穴15を有する。穴15は、シャフト2cと同軸上に配置されている。穴15は、シャフト2cの端部を、電動機2の背部において露出させている。穴15は、送風装置1の製造方法において、シャフト2cの端部を治具によって支持するために利用される。穴15が形成する開口は、完成品としての送風装置1においては、蓋部材16によって閉塞されている。蓋部材16は、例えば、シール状のシートによって提供されている。送風装置1の製造方法の最終段階において、蓋部材16が穴15を閉塞するように付与される。よって、穴15は、回路容器8内を冷却する冷却風を提供しない。
【0031】
ダクト7は、ダクト通路20を区画している。ダクト7は、ダクト入口21と、ダクト出口22とを有する。ダクト入口21は、ファン3より下流において開口している。ダクト入口21は、例えば、送風装置1のスクロールケーシングの出口付近に配置することができる。一方、ダクト出口22は、電動機2に直接的に対向するケース4の壁面に開口している。送風装置1による送風経路におけるダクト入口21とダクト出口22との位置に起因して、ファン3が送風すると、ダクト入口21とダクト出口22との間には圧力差が発生する。この結果、ダクト通路20内には、ダクト入口21からダクト出口22へ向かう気流DFが生成される。気流DFは、ダクト通路20を流れる。この気流DFは、ダクト気流DFとも呼ばれる。
【0032】
回路容器8は、容器通路30を区画している。回路容器8は、容器入口31と、容器出口32とを有する。容器入口31は、容器通路30と設置室5とを連通している。容器入口31は、第2基板面11bに対向する壁に配置されている。容器入口31は、第1素子12が配置されている第1基板面11aの位置に対して、反対側における第2基板面11bの対応位置に対向している。容器入口31は、第1基板面11aのうち、第1素子12が配置されている位置の反対に位置する第2基板面11bの対応位置に向けて、容器気流CFを導入する。容器入口31は、第2素子13に直接的に対向している。容器入口31は、第2素子13に当たるように容器気流CFを導入する。
【0033】
一方、容器出口32は、第1基板面11aに対向する壁に配置されている。容器出口32は、電動機2の径方向に関して第1素子12よりも内側に配置されている。容器出口32は、電動機2に直接的、または、間接的に対向するケース4の壁面に開口している。この実施形態では、容器出口32は、ダクト出口22よりも、中心軸AXの近くに位置している。容器出口32の一部は、電流経路部材14を配置するための穴によって提供されている。
【0034】
容器入口31と容器出口32との位置に起因して、ファン3が送風すると、容器入口31と容器出口32との間には圧力差が発生する。この結果、容器通路30内には、容器入口31から容器出口32へ向かう気流CFが生成される。気流CFは、容器通路30を流れる。この気流CFは、容器気流CFとも呼ばれる。
【0035】
ケース4は、放熱部材40を有する。放熱部材40は、ダクト7と回路容器8との間に位置する境界としての壁に配置されている。放熱部材40は、電気回路9における発熱素子の熱をダクト気流DFに放熱する。この実施形態では、第1素子12の熱が放熱部材40に伝達される。第1素子12は、発熱量が相対的に多い素子である。第1素子12は、放熱部材40を経由してダクト気流DFに放熱する。第1素子12は、放熱部材40を経由して容器気流CFにも放熱する。
【0036】
放熱部材40は、熱伝導部材41と、ヒートシンク42とを含む。放熱部材40は、さらに、追加的な熱伝導要素を含む場合がある。
【0037】
熱伝導部材41は、第1素子12とヒートシンク42との間を熱的に結合している。熱伝導部材41は、第1素子12からヒートシンク42へ熱を伝えやすい材料によって提供されている。熱伝導部材41は、柔軟に変形可能な部材によって提供されている。熱伝導部材41は、配置される部位の寸法、形状に応じて変形することにより、第1素子12とヒートシンク42との両方に接触している。熱伝導部材41は、高熱伝導性のゲル材料によって提供することができる。熱伝導部材41は、カーボン、グラフェン、ナノカーボンなどの熱伝導材料をフィラーとして含む場合がある。
【0038】
ヒートシンク42は、ダクト気流DFとの熱交換によって放熱する。ヒートシンク42は、ダクト気流DFの流れに沿って広がっている。ヒートシンク42は、放熱を促進するためのフィンを備える場合がある。この実施形態では、ヒートシンク42は、熱伝導率が高い金属製である。ヒートシンク42は、例えば、アルミニウム製、アルミニウム合金製、銅製、および、銅合金製などである。なお、ヒートシンク42は、樹脂、または、セラミックスによって提供されてもよい。
【0039】
図2は、放熱部材40を示す拡大断面図である。熱伝導部材41は、第1素子12とヒートシンク42との間に配置されている。熱伝導部材41の表面41aは、容器気流CFと接触している。熱伝導部材41は、表面41aにおいて容器気流CFと熱交換している。熱伝導部材41は、表面41aにおいて容器気流CFへ放熱している。表面41aは、放熱部材40の放熱面の一部を提供している。表面41aは、ヒートシンク42の第2放熱面42bととも、放熱部材40の第2放熱面と呼ばれる場合がある。
【0040】
ヒートシンク42は、回路容器8の一部の壁を提供している。放熱部材40の第1放熱面42aはダクト7内に露出することによりダクト気流DFと接触している。放熱部材40の第1放熱面42aと反対の第2放熱面42bは回路容器8内に露出することにより容器気流CFと接触している。第1放熱面42aと第2放熱面42bとは、放熱部材40に含まれるヒートシンク42によって提供されている。さらに、熱伝導部材41の表面41aも第2放熱面を提供している。
【0041】
ヒートシンク42は、回路容器8の外面である第1放熱面42aを有する。ヒートシンク42は、第1放熱面42aにおいてダクト気流DFと接触している。ヒートシンク42は、第1放熱面42aにおいてダクト気流DFと熱交換している。ヒートシンク42は、第1放熱面42aにおいてダクト気流DFへ放熱している。
【0042】
ヒートシンク42は、回路容器8の内面である第2放熱面42bを有する。ヒートシンク42は、第2放熱面42bにおいて容器気流CFと接触している。ヒートシンク42は、第2放熱面42bにおいて容器気流CFと熱交換している。ヒートシンク42は、第2放熱面42bにおいて容器気流CFへ放熱している。
【0043】
ヒートシンク42は、シャフト2cに対して第1角度で交差する面に沿って広がる第1放熱板42cを有する。ヒートシンク42は、シャフト2cに対して第2角度で交差する面に沿って広がる第2放熱板42dを有する。第2角度は、第1角度よりも直角に近い角度である。図示の例では、第2角度は、直角である。第2放熱板42dは、シャフト2cに対して径方向に拡がる板によって提供されている。第1放熱板42cは、第2放熱板42dに対して直角以下の角度で傾斜する傾斜板によって提供されている。
【0044】
第2放熱板42dは、熱伝導部材41と接している部位である。第2放熱板42dは、第1放熱板42cよりも、第1素子12の近くに位置付けられている。第1放熱板42cと第2放熱板42dとは、ダクト気流DFの方向に沿って、この順序で配置されている。第1放熱板42cと第2放熱板42dとは、容器気流CFの方向に沿って、この順序で配置されている。第1放熱板42cと第2放熱板42dとは、連続する同一の材料によって形成されている。第1放熱板42cと第2放熱板42dとは、ダクト気流DFに対して高い放熱効果を発揮する。
【0045】
図1に戻り、電気回路9は、回路容器8の内部において容器気流CFへ放熱可能に配置されている。回路容器8の内面と電気回路9との間には、回路基板11の第1基板面11a側と、第2基板面11b側との両方において、シャフト2cの軸方向における隙間が区画されている。さらに、回路容器8の内面と、電気回路9の縁との間には、シャフト2cの径方向における隙間が区画されている。電気回路9の縁は、回路基板11の縁でもある。これらの隙間は、容器気流CFの流通を可能としている。
【0046】
図示されるように、ヒートシンク42の第2放熱面42bと、電気回路9の縁との間には、径方向の隙間33が区画されている。この結果、ヒートシンク42の第2放熱面42bには、容器気流CFが接触している。径方向の隙間33は、回路容器8と電気回路9との間に形成されている。径方向の隙間33は、容器通路30に含まれている。この結果、容器通路30は、容器入口31から、隙間33を経由して、容器出口32へ到達する。これにより、容器通路30は、第2基板面11bから1基板面11aに回り込むように容器気流CFを流す。
【0047】
図3は、図1におけるIII-III断面を示している。ケース4の一部である回路容器8は、容器通路30を区画している。容器通路30は、ヒートシンク42を含む回路容器8によって区画されている。回路基板11は、両面プリント基板が例示されている。回路基板11は、絶縁材料製のコア層11cを有する。回路基板11は、コア層11cの両面に、配線としての導体層11d、11eを有する。導体層11d、11eは、銅箔層によって提供されている。さらに、回路基板11は、両面の表層に保護層11f、11gを有する。保護層11f、11gは、レジスト層とも呼ばれる。回路基板11は、さらに、追加的な層を表層、または、内層に有する場合がある。
【0048】
第1基板面11aには、複数の第1素子12が配置されている。複数の第1素子12の間には、隙間が形成されている。第1素子12とダクト気流DFとの間には放熱部材40が配置されている。放熱部材40は、第1素子12とダクト気流DFとの間における熱経路を提供している。第1素子12とヒートシンク42との間には熱伝導部材41が配置されている。熱伝導部材41とダクト気流DFとの間にはヒートシンク42が配置されている。この実施形態では、単一のヒートシンク42が配置されている。ヒートシンク42は、複数の第1素子12に対して共通のヒートシンク42である。この実施形態では、複数の熱伝導部材41が配置されている。複数の熱伝導部材41のそれぞれは、熱伝導部材41の塊として提供されている。複数の熱伝導部材41は、複数の第1素子12のそれぞれに対応して設けられている。
【0049】
ファン3が送風すると、隙間には、容器気流CFが流れる。図中には、紙面の手前から奥に流れる容器気流CFが記号によって図示されている。第1素子12は、熱伝導部材41に放熱する。熱伝導部材41は、ヒートシンク42に放熱する。ヒートシンク42は、ダクト気流DFに対して放熱する。さらに、熱伝導部材41は、容器気流CFに対して放熱する。よって、第1素子12は、容器気流CFに対して間接的に放熱している。第1素子12は、回路基板11にも放熱する。第1素子12は、容器気流CFに部分的に露出している場合がある。この場合、第1素子12は、容器気流CFに対して直接的に放熱する。
【0050】
第2基板面11bには、複数の第2素子13が配置されている。複数の第2素子13とケース4(回路容器8)との間には、隙間が形成されている。
【0051】
ファン3が送風すると、隙間には、容器気流CFが流れる。図中には、紙面の奥から手前に流れる容器気流CFが記号によって図示されている。第2素子13は、容器気流CFに対して直接的に放熱する。第2素子13は、回路基板11に対して放熱する。
【0052】
第1素子12は、ダクト気流DFと容器気流CFとの両方へ放熱するための放熱経路を有している。第1の放熱経路は、第1素子12から熱伝導部材41とヒートシンク42とを順に経由し、ヒートシンク42からダクト気流DFへ放熱する経路である。この経路は、間接的な放熱経路である。第2の放熱経路は、第1素子12から熱伝導部材41、ヒートシンク42、および、回路基板11を経由して、いずれかの部材から容器気流CFへ放熱する経路である。この経路は、間接的な放熱経路である。追加的に、第1素子12から容器気流CFへ直接的に放熱する経路が存在する場合がある。第1の放熱経路と、第2の放熱経路との両方が形成されることにより、第1素子12の温度が抑制される。
【0053】
第2素子13は、容器気流CFへ放熱するための放熱経路を有している。放熱経路は、第2素子13から容器気流CFへ放熱する経路を含む。この経路は、直接的な放熱経路である。放熱経路は、第2素子13から回路基板11を経由して、回路基板11から容器気流CFへ放熱する経路である。この経路は、間接的な放熱経路である。第2素子13から容器気流CFへの放熱経路が形成されることにより、第2素子13の温度が抑制される。
【0054】
図1に戻り、送風装置1は、電力が供給され、上位の制御装置からの作動指令、または、利用者が操作可能なスイッチから作動指令が与えられると、ファン3による送風を開始する。電気回路9は、作動指令に応じて、電動機2に与える電力を調節する。これにより、電動機2が作動指令に応じた回転数で回転する。電動機2は、ファン3を回転させるから、作動指令に応じた風量で送風が実行される。
【0055】
送風装置から放熱する送風装置放熱方法は、熱伝達工程と、第1放熱工程と、第2放熱工程と、第3放熱工程とを備える。熱伝達工程は、電気回路9に含まれる回路基板11の電動機2側の第1基板面11aに配置されている第1素子12の熱を、回路容器8の一部を提供する放熱部材40に伝達する。第1放熱工程は、ファン3の下流に位置するダクト入口21からダクト気流DFを取り入れる段階を含む。第1放熱工程は、ダクト気流DFが放熱部材40の第1放熱面42aに接触しながら流れることにより、放熱部材40からダクト気流DFへ放熱する段階を含む。第2放熱工程は、送風装置1が設置されている設置室5から回路容器8内へ容器気流CFを取り入れる段階を含む。第2放熱工程は、容器気流CFが放熱部材40の第2放熱面41a、42bに接触しながら流れることにより、放熱部材40から容器気流CFへ放熱する段階を含む。第3放熱工程は、ダクト気流DF、および、容器気流CFが電動機2に接触しながら流れることにより電動機2からダクト気流DF、および、容器気流CFへ放熱する。
【0056】
第2放熱工程における容器気流CFは、第1基板面11aとは反対である第2基板面11bに向けて設置室5から取り入れられる。容器気流CFは、回路容器8と電気回路9の縁との間の隙間33を経由して、第2基板面11bから第1基板面11aに回り込むように流れる。さらに、容器気流CFは、第1基板面11bに沿って放熱部材40と接触しながら流れている。
【0057】
第1放熱工程、および、第2放熱工程は同時に実行されることにより、放熱部材40からダクト気流DFと容器気流CFとの両方へ放熱している。第1放熱工程、および、第2放熱工程の後に、第3放熱工程が実行される。
【0058】
送風装置放熱方法は、第1素子12の熱をダクト気流DFへ放熱する工程を含む。ダクト気流DFは、ダクト入口21から流入する。ダクト気流DFは、ダクト入口21から、ダクト通路20を通って、ダクト出口22に到達する。ダクト気流DFは、ダクト通路20を流れる過程において、ヒートシンク42の第1放熱面42aを流れる。この過程において、ダクト気流DFは、ヒートシンク42と熱交換する。ダクト気流DFがヒートシンク42より低温である場合、ダクト気流DFはヒートシンク42の熱を奪う。この結果、ダクト気流DFは、ヒートシンク42の放熱を可能とする。ダクト気流DFは、第1放熱板42cと接触しながら流れた後に、さらに、第2放熱板42dと接触しながら流れる。ダクト気流DFは、第2放熱板42dと接触しながら流れた後に、ダクト出口22へ到達する。
【0059】
ヒートシンク42の熱は、第1素子12の熱を含む。第1素子12の熱は、電気回路9が電力をスイッチング制御する際に発生する。第1素子12の熱は、熱伝導部材41を経由して、ヒートシンク42に伝えられる。
【0060】
ヒートシンク42の熱は、第2素子13の熱を含む場合がある。第2素子13の熱は、回路基板11、および、熱伝導部材41を経由して、ヒートシンク42に伝えられる場合がある。第2素子13の熱は、容器気流CFを経由して、ヒートシンク42に伝えられる場合がある。
【0061】
ダクト気流DFは、ダクト出口22から電動機2へ供給される。ダクト気流DFは、固定子2aの表面、および、回転子2bの表面を流れる。この過程において、ダクト気流DFは、固定子2a、および、回転子2bの熱を奪う。この結果、ダクト気流DFは、電動機2の放熱を可能とする。
【0062】
送風装置放熱方法は、第2素子13の熱を容器気流CFへ放熱する工程を含む。容器気流CFは、容器入口31から流入する。容器気流CFは、容器入口31から第2基板面11bに向けて流入する。容器気流CFは、第2素子13と対向するケース4(回路容器8)の対向部分から、第2素子13に向けて流入する。容器気流CFは、容器入口31から、容器通路30を通って、容器出口32に到達する。容器気流CFは、第2基板面11b側を流れた後に、隙間33において流れ方向を転向する。容器気流CFは、隙間33において流れ方向を転向した後に、第1基板面11a側を流れる。容器気流CFは、容器通路30を流れる過程において、ヒートシンク42の第2放熱面42bの表面を流れる。この過程において、容器気流CFは、ヒートシンク42と熱交換する。容器気流CFがヒートシンク42より低温である場合、容器気流CFはヒートシンク42から熱を奪う。この結果、容器気流CFは、ヒートシンク42の放熱を可能とする。容器気流CFは、第1放熱板42cと接触しながら流れた後に、さらに、第2放熱板42dと接触しながら流れる。容器気流CFは、第2放熱板42dと接触しながら流れた後に、容器出口32へ到達する。
【0063】
容器気流CFは、複数の熱伝導部材41の間の隙間を流れる。このとき、容器気流CFは、熱伝導部材41と熱交換する。容器気流CFが熱伝導部材41より低温である場合、容器気流CFは熱伝導部材41から熱を奪う。この結果、容器気流CFは、熱伝導部材41の放熱を可能とする。さらに、容器気流CFは、第1素子12の間に露出している回路基板11とも熱交換する。容器気流CFが回路基板11より低温である場合、容器気流CFは回路基板11から熱を奪う。この結果、容器気流CFは、回路基板11の放熱を可能とする。追加的に、第1素子12の少なくとも一部分が容器気流CFに露出している場合、容器気流CFは、第1素子12とも直接的に熱交換する。容器気流CFが第1素子12より低温である場合、容器気流CFは第1素子12から熱を奪う。この結果、容器気流CFは、第1素子12の放熱を可能とする。結果的に、容器気流CFは、第1素子12からの放熱を可能とする。
【0064】
容器気流CFは、容器出口32から電動機2へ供給される。容器気流CFは、固定子2aの表面、および、回転子2bの表面を流れる。この過程において、容器気流CFは、固定子2a、および、回転子2bの熱を奪う。この結果、容器気流CFは、電動機2の放熱を可能とする。
【0065】
送風装置放熱方法は、ヒートシンク42の両面にダクト気流DFと容器気流CFとが流れる工程を提供している。ダクト気流DFは、ヒートシンク42の第1放熱面42aに接触しながら流れる。これにより、ヒートシンク42からダクト気流DFへの放熱が提供される。同時に、容器気流CFは、ヒートシンク42の第2放熱面42bに接触しながら流れる。これにより、ヒートシンク42から容器気流CFへの放熱が提供される。ヒートシンク42を含む放熱部材40は、ダクト気流DFと容器気流CFとの両方と接触しながら、ダクト気流DFと容器気流CFとが流れることを許容している。この結果、放熱部材40は、ダクト気流DFと容器気流CFとの両方と熱交換する。この結果、放熱部材40からダクト気流DFと容器気流CFとの両方への放熱が可能である。
【0066】
ダクト気流DFと容器気流CFとは、第1放熱板42cに沿って流れた後に、第2放熱板42dに沿って流れる。熱伝達工程は、第1素子12の熱を、第2放熱板42dに伝達する。これにより、放熱部材40に温度差が生じても、気流DF、CFと放熱部材40との間の温度差が維持され、放熱部材40の全体において高い熱交換性能が発揮される。
【0067】
この実施形態では、第2放熱工程における容器気流CFは、第2基板面11bに配置された第2素子13に向けて設置室5から取り入れられた後に、第2素子13に接触して流れる。これにより、第2素子13から容器気流CFへの放熱が可能となる。
【0068】
以上に述べた実施形態によると、電気回路の放熱に関して高い放熱性能を発揮する送風装置および送風装置放熱方法が提供される。
【0069】
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、第2基板面11bは、第2素子13の搭載面を提供している。これに代えて、この実施形態では、第2素子13を備えない。
【0070】
図4に図示されるように、ケース4(回路容器8)は、容器入口231を備える。容器入口231は、容器通路30と設置室5とを連通している。容器入口231は、第2基板面11bに直接的に対向している。容器入口231は、第2基板面11bの対応位置に直接的に対向している。対応位置は、第1素子12が配置されている第1基板面11aの位置に対して、反対側に位置づけられている。容器入口231は、第2基板面11bの対応位置に向けて、容器気流CFを導入する。この実施形態では、第2放熱工程における容器気流CFは、第2基板面11bに向けて設置室5から取り入れられた後に、第2基板面11bに沿って流れる。これにより、第2基板面11bから容器気流CFへの放熱が可能となる。
【0071】
この実施形態でも先行する実施形態と同様の容器気流CFが得られる。しかも、容器気流CFは、第2素子13に代えて、回路基板11からの放熱を促進する。
【0072】
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態に加えて、送風装置1は、容器気流CFを望ましい方向へ向けて案内するガイド部材を備えていてもよい。
【0073】
図5に図示されるように、ケース4(回路容器8)は、容器入口331を備える。容器入口331は、ケース4の壁に対して斜めに傾斜する内壁によって区画されている。容器入口331の内壁は、設置室5から容器通路30に向けて、シャフト2cから径方向へ離れるように傾斜している傾斜面を有している。容器入口331は、容器気流CFの方向を、軸方向から、径方向外向きへ偏向するように案内する。容器入口331は、ガイド部材の一例である。
【0074】
さらに、送風装置1は、容器通路30における容器気流CFを案内するガイド部材を備えることができる。ガイド部材は、ケース4によって提供することができる。ガイド部材は、回路容器8の樹脂部材により提供することができる。また、代替的に、または、追加的に、ガイド部材は、回路容器8の放熱部材40、例えば、ヒートシンク42によって提供することができる。
【0075】
ケース4は、容器気流CFを案内するガイド部材を提供する。ガイド部材は、第1ガイド部材334と、第2ガイド部材335とを備える。ケース4は、容器入口331の縁のうち、隙間33とは反対側に位置する縁に、第1ガイド部材334を備える。第1ガイド部材334は、容器入口331から隙間33へ向けて容器気流CFを案内する。第1ガイド部材334は、容器入口331からシャフト2cの方向へ向かう容器気流CFを抑制する。ケース4は、容器入口331と隙間33との間に第2ガイド部材335を備える。第2ガイド部材335は、容器気流CFの流れ方向を、第2基板面11bに沿った径方向から、隙間33における軸方向へ偏向させる。第2ガイド部材335は、径方向に対して傾斜する傾斜面を提供する。傾斜面は、斜面、または、凹曲面によって提供される。図示の例では、凹曲面が容器気流CFを滑らかに案内している。
【0076】
この実施形態でも先行する実施形態と同様の容器気流CFが得られる。しかも、容器気流CFは、ガイド部材によって容器通路30の内部において案内される。ガイド部材は、容器気流CFの圧力損失の抑制に貢献する。この結果、電気回路9から容器気流CFへの直接的な放熱が促進される。さらに、ヒートシンク42から容器気流CFへの放熱も促進されるから、電気回路9から容器気流CFへの間接的な放熱も促進される。
【0077】
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態に加えて、ヒートシンク42は、多様な形状を採用することができる。
【0078】
図6に図示されるように、放熱部材40は、ヒートシンク442を備える。ヒートシンク442は、先行する実施形態のヒートシンク42と比べて、縮小部分442cだけ小さい。ケース4は、縮小部分442cを埋める第2ガイド部材435を備える。第2ガイド部材435は、先行する実施形態の第2ガイド部材335より大きい体積を有する。ヒートシンク442は、その両面において、ダクト気流DFと容器気流CFとの両方と熱交換している。
【0079】
この実施形態でも先行する実施形態と同様の容器気流CFが得られる。加えて、この実施形態では、先行する実施形態よりも小型のヒートシンク442を利用することができる。
【0080】
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態に代えて、ガイド部材の全部、または、一部は、ヒートシンクによって提供されてもよい。
【0081】
図7に図示されるように、放熱部材40は、ヒートシンク542を備える。ヒートシンク542は、第2ガイド部材535を備える。第2ガイド部材535は、ヒートシンク542の一部として連続する材料によって形成されている。ヒートシンク542は、その両面において、ダクト気流DFと容器気流CFとの両方と熱交換している。
【0082】
この実施形態でも先行する実施形態と同様の容器気流CFが得られる。加えて、この実施形態では、ヒートシンク542の表面積を先行する実施形態のヒートシンク42より大きくすることができる。この結果、ヒートシンク542からの放熱性能が向上する。
【0083】
第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態においては、容器出口32から容器通路30へ液体が逆流する場合がある。容器通路30へ逆流した液体は、容器入口31を通して設置室5へ漏れ出す場合がある。この実施形態では、回路容器8は、容器通路30内から設置室5への液体の漏れ出しを抑制する障壁を備える。回路容器8は、容器通路30内に液体を留め置くためのタンクを備える。
【0084】
図8に図示されるように、回路容器8は、容器通路30の中に、障壁636と、タンク637とを備える。障壁636は、容器入口631とタンク637との間に位置している。障壁636は、回路容器8の重力方向の下に位置する壁から、重力方向に沿って下から上へ向けて延びだしている。障壁636は、タンク637の内部から、容器入口631を覆い隠すように設けられている。障壁636は、タンク637から容器入口631への液体の流れを阻止する。障壁636は、想定される液体の液位よりも高い障壁であることが望ましい。図示される例では、障壁636の高さは、少なくとも容器入口631の重力方向における下端よりも高い。障壁636の高さは、容器入口631の重力方向における上端と同程度に達している。障壁636の高さは、容器入口631の重力方向における上端より高くてもよい。
【0085】
タンク637は、回路容器8の重力方向の下に位置する壁に、凹部として区画されている。タンク637は、回路容器8に侵入した液体を捕捉し、一時的に貯める。タンク637は、液体を一時的に留め置く。タンク637は、液体トラップとも呼ばれる。図中には、破線によって仮想の水WTが図示されている。
【0086】
この実施形態でも先行する実施形態と同様の容器気流CFが得られる。加えて、この実施形態では、容器出口32から液体が逆流することがあっても、液体が設置室5に漏れ出す事態が抑制される。
【0087】
第7実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態においては、回路基板11は、保護層11f、11gを備える。保護層11f、11gは、回路基板11を保護するために貢献するが、熱伝達を阻害する場合がある。この実施形態では、保護層11fは、熱伝導部材41に対応する位置に、窓状の開口を備える。
【0088】
図9に図示されるように、保護層11fは、開口711hを備える。保護層11fは、複数の開口711hを備える。開口711hは、窓状に開設されている。開口711hは、熱伝達部材41に対応する位置に開設されている。開口711hは、熱伝達部材41と導体層11dとの直接的な接触を可能とする。この結果、熱伝達部材41と導体層11dとの間において熱の移動が提供される。熱伝達部材41と導体層11dとの接触は、導体層11dとヒートシンク42との間における熱伝達部材41を経由した熱移動を促進する。第1素子12から、導体層11dへ放熱された熱は、ひとつの例では、開口711hを経由して熱伝達部材41へ伝達され、さらに、熱伝達部材41からヒートシンク42へ伝達され、ヒートシンク42からダクト気流DFへ放熱される。第1素子12から、導体層11dへ放熱された熱は、他の例では、開口711hを経由して熱伝達部材41へ伝達され、さらに、熱伝達部材41から回路気流CFへ放熱される。
【0089】
この実施形態でも先行する実施形態と同様の容器気流CFが得られる。加えて、この実施形態では、回路基板11と熱伝導部材41との間において良好な熱伝達が提供される。
【0090】
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形形態を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0091】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0092】
上記実施形態では、シンプルな板状のヒートシンク42を図示している。これに代えて、ヒートシンク42は、気流との熱交換を促進するためのフィンを有していてもよい。上記実施形態では、ヒートシンク42は、第1放熱板42cと第2放熱板42dとを有している。これに代えて、ヒートシンク42は、第1放熱板42cのみ、または、第2放熱板42dのみを有していてもよい。
【0093】
上記実施形態では、ケース4(回路容器8)は、穴15と、蓋部材16とを備えている。これに代えて、ケース4(回路容器8)は、蓋部材16を備えない場合がある。例えば、シャフト2cの端部とケース4(回路容器8)との間の隙間を気流を抑制するほどに小さく形成することにより、蓋部材16を除去することができる。例えば、図示されるように、穴15を筒状部材の中に形成し、筒状部材の中にシャフト2cの端部を受け入れることにより気流を抑制することができる。上記実施形態では、回路容器8は、シャフト2cの端部を収容するように位置付けられている。これに代えて、回路容器8は、シャフト2cの端部を収容しないように位置付けられてもよい。例えば、回路容器8は、シャフト2cから径方向外側に離れた位置に位置付けられてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 送風装置、 2 電動機、 3 ファン、 4 ケース、
5 設置室、 6 部品室、 7 ダクト、 8 回路容器、 9 制御回路、
11 回路基板、 11a 第1基板面、 11b 第2基板面、
12 第1素子(スイッチング素子)、 13 第2素子(コンデンサ)、
14 電流経路部材(バスバ)、 15 穴、 16 蓋部材、
20 ダクト通路、 21 ダクト入口、 22 ダクト出口、
30 容器通路、 31 容器入口、 32 容器出口、 33 隙間、
40 放熱部材、 41 熱伝導部材、 42 ヒートシンク、
AX 中心軸、 DF ダクト気流、 CF 容器気流、
231 容器入口、
331 容器入口、 334 第1ガイド部材、 335 第2ガイド部材、
435 第2ガイド部材、 442 ヒートシンク、
535 第2ガイド部材、 542 ヒートシンク、
631 容器入口、 636 障壁、 637 タンク、
771h 開口。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9