(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/16 20060101AFI20250508BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
H05K1/16 D
H01G4/30 541
H01G4/30 547
(21)【出願番号】P 2023561537
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2022041489
(87)【国際公開番号】W WO2023090197
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2021188035
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 智之
(72)【発明者】
【氏名】高田 健央
(72)【発明者】
【氏名】梅村 優樹
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-188401(JP,A)
【文献】特開2018-191003(JP,A)
【文献】特開2021-100007(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/16
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と、
以下の(1)から(5)の層を含む配線基板において、
(1)前記
ガラス基板上に配置される第1シード層
(2)前記第1シード層の上方に配置され
、少なくとも1の方向において前記第1シード層よりも幅の小さな領域を備える第1導電層
(3)前記第1導電層の上方に配置される第1絶縁層
(4)前記第1絶縁層の上方に配置される第2シード層
(5)前記第2シード層の上方に配置される第2導電層
前記ガラス基板の上方に前記第1シード層を形成する工程と、
前記第1シード層の上方に、
セミアディティブ法を用いて前記第1導電層を形成する工程と、
前記第1導電層の上方
及び側面側に前記第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層の上方
及び側面側に前記第2シード層を形成する工程と、
前記第2シード層の上方に
、少なくとも1の方向において前記第1導電層が形成された領域よりも内側に開口領域を有する第1のレジストパターンを形成する工程と、
セミアディティブ法を用いて前記第2導電層のパターンを形成する工程と、
前記第2導電層のパターンに、
少なくとも1の方向において前記第2導電層のパターンより外側、かつ前記第1導電層の内側の領域に第2のレジストパターンによるエッチングマスクを形成して、前記第2シード層
及び前記第1絶縁層をエッチングする工程と、
少なくとも1の方向において前記第1導電層よりも幅の大きな第3のレジストパターンを形成する工程と、
前記第3のレジストパターンをエッチングマスクとして前記第1シード層をエッチングする工程と、
を備える配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
前記第2導電層のパターンを形成する工程の後に、前記第2導電層のパターンをエッチングマスクとして前記第2シード層をエッチング除去する工程を備え、
その後、前記第2導電層のパターンに、少なくとも1の方向において前記第2導電層のパターンより外側、かつ前記第1導電層の内側の領域に第2のレジストパターンによるエッチングマスクを形成して、前記第1絶縁層をエッチングする工程と、
少なくとも1の方向において前記第1導電層よりも幅の大きな第3のレジストパターンを形成する工程と、
前記第3のレジストパターンをエッチングマスクとして前記第1シード層をエッチングする工程と、
を備える配線基板の製造方法。
【請求項3】
ガラス基板と、
以下の(1)から(5)の層を含む配線基板において、
(1)前記
ガラス基板上に配置される第1シード層
(2)前記第1シード層の上方に配置され
、少なくとも1の方向において前記第1シード層よりも幅の小さな領域を備える第1導電層
(3)前記第1導電層の上方に配置される第1絶縁層
(4)前記第1絶縁層の上方に配置される第2シード層
(5)前記第2シード層の上方に配置される第2導電層
前記ガラス基板の上方に前記第1シード層を形成する工程と、
前記第1シード層の上方に
、セミアディティブ法を用いて前記第1導電層を形成する工程と、
少なくとも1の方向において前記第1導電層が形成された領域よりも外側に開口領域を有する第4のレジストパターンを形成する工程と、
前記第4のレジストパターンをエッチングマスクとして第1シード層をエッチングする工程と、
前記第1導電層の上方
及び側面側に前記第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層の上方
及び側面側に前記第2シード層を形成する工程と、
前記第2シード層の上方に
、少なくとも1の方向において前記第1導電層が形成された領域よりも内側に開口領域を有する第5のレジストパターンを形成する工程と、
セミアディティブ法を用いて前記第2導電層のパターンを形成する工程と、
前記第2導電層のパターンに
、少なくとも1の方向において前記第2導電層のパターンより外側、かつ前記第1導電層の内側の領域に第6のレジストパターンによるエッチングマスクを形成して、前記第2シード層
及び前記第1絶縁層をエッチングする工程と、
を備える配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の配線基板の製造方法において、
前記第2導電層のパターンを形成する工程の後に、前記第2導電層のパターンをエッチングマスクとして前記第2シード層をエッチング除去する工程を備え、
その後、前記第2導電層のパターンに、少なくとも1の方向において前記第2導電層のパターンより外側、かつ前記第1導電層の内側の領域に第6のレジストパターンによるエッチングマスクを形成して、前記第1絶縁層をエッチングする工程と、
を備える配線基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の配線基板の製造方法において、
前記(1)から(5)の層はMIMキャパシタを構成しており、
前記第1シード層をエッチングする工程は、少なくとも1の方向において前記MIMキャパシタにおける前記第1導電層よりも幅の大きな前記MIMキャパシタにおける第1シード層の幅に相当するエッチングマスクを用いてエッチングが行われる
配線基板の製造方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の配線基板の製造方法において、
前記MIMキャパシタにおける第1導電層よりも幅の大きな前記MIMキャパシタにおける前記第1シード層の水平方向の幅をbとし、前記第1導電層の水平方向における幅をaとした場合に、
a及びbは、以下の式(2)を満たす
配線基板の製造方法。
[数2]
50nm≦(b-a)/2≦50μm・・・・・・・(2)
【請求項7】
請求項
6に記載の配線基板の製造方法において、
前記第1シード層の厚さ(前記第1シード層の下方に下部密着層を備える場合には、前記第1シード層及び前記下部密着層の合計の厚さ)をcとした場合に、a、b及びcは、以下の式(4)を満たす
配線基板の製造方法。
[数4]
0.01≦((b-a)/2)/c≦1000・・・(4)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス材料をコア基板として用いた多層配線基板(以下、「ガラス回路基板」等と称する。)がインターポーザとして多用されている。これらの多層配線基板においては、受動回路の一部として、基板内部に、誘電体を下部電極層と上部電極層で挟持するMIM構造(Metal Insulator Metal)を有する薄膜キャパシタが形成されていることがある。
【0003】
特許文献1においては、「絶縁表面を有する基板と、前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、を備える、配線基板」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絶縁基板上にMIMキャパシタを形成する際には、まず、第1シード層を設け、第1シード層を用いてめっき等により第1導電層を設けて、これをキャパシタの下部電極としている。そして、当該下部電極の上方に絶縁層を設け、更に、絶縁層の上方に第2シード層と第2シード層を用いてめっきにより第2導電層をさらに設けて上部電極としている。
このような第1導電層-絶縁層-第2導電層のキャパシタにおいては、一般に導電層と誘電体層では熱膨張係数に違いがあるため、キャパシタに応力ひずみが発生することがある。
このため、特許文献1では、MIMの第1導電層における応力を緩和するために、第1導電層と第1絶縁層との境界付近に段差を設けることを開示している。
【0006】
しかし、シード層を用いて下部電極や上部電極を形成するキャパシタにおいては、シード層の膜厚が薄いことから、サイドエッチングが発生しやすい。そして、サイドエッチングが発生した箇所に第2シード層をスパッタリングなどの手法を用いて形成すると第2シード層が不完全に形成される可能性が高い。
そこで、本発明では、シード層にサイドエッチングが発生しないような配線基板及びその製造技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の配線基板の製造方法の一つは、表面が絶縁性を有する基板と、前記基板上に配置される第1シード層と、前記シード層の上方に配置される第1導電層と、前記第1導電層の上方に配置される第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上方に配置される第2シード層と、前記第2シード層の上方に配置される第2導電層と、を有する配線基板において、
前記第1シード層をエッチングによってパターン化する工程が、少なくとも1の方向において前記第1導電層よりも幅の大きなエッチングマスクを用いてエッチングを行なうものである。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、代表的な本発明の配線基板の一つは、
表面が絶縁性を有する基板と、
以下の(1)から(5)の層を含む配線基板において、
(1)前記基板上に配置される第1シード層
(2)前記第1シード層の上方に配置される第1導電層
(3)前記第1導電層の上方に配置される第1絶縁層
(4)前記第1絶縁層の上方に配置される第2シード層
(5)前記第2シード層の上方に配置される第2導電層
前記(1)から(5)の層はMIMキャパシタを構成しており、
前記MIMキャパシタにおける第1導電層よりも幅の大きな前記MIMキャパシタにおける前記第1シード層の水平方向の幅をbとし、前記第1導電層の水平方向における幅をaとした場合に、
a及びbは、以下の式(2)を満たす。
50nm≦(b-a)/2≦50μm・・・・・・・(2)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シード層にサイドエッチングが発生しないような配線基板及びその製造方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施をするための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の対象とする基本構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1導電層の形成工程を説明する断面図である。
【
図3】
図3は、第1導電層の形成工程を説明する断面図である。
【
図4】
図4は、第1導電層の形成工程を説明する断面図である。
【
図5】
図5は、第1導電層の形成工程を説明する断面図である。
【
図6】
図6は、従来例におけるサイドエッチングを説明する断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態における第2導電層の形成工程を説明する断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態における第2導電層の形成工程を説明する断面図である。
【
図9】
図9は、MIM構造の形成工程を説明する断面図である。
【
図10】
図10は、第1シード層のエッチング工程を説明する断面図である。
【
図11】
図11は、MIMキャパシタを形成した配線基板を説明する断面図である。
【
図12】
図12は、配線基板を多層配線基板に形成した断面図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態の形成工程を説明する断面図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態の形成工程を説明する断面図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態の形成工程を説明する断面図である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態の形成工程を説明する断面図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態の形成工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の対象とする基本構造、従来例による製造方法、本発明の第1の実施形態、第2の実施形態等について説明する。なお、これらの開示により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0012】
なお、本開示において、「面」とは、板状部材の面のみならず、板状部材に含まれる層について、板状部材の面と略平行な層の界面も指すことがある。また、「上面」、「下面」とは、板状部材や板状部材に含まれる層を図示した場合の、図面上の上方又は下方に示される面を意味する。なお、「上面」、「下面」については、「第1面」、「第2面」と称することもある。
【0013】
また、「側面」とは、板状部材や板状部材に含まれる層における面や層の厚みの部分を意味する。さらに、面の一部及び側面を合わせて「端部」ということがある。
また、「上方」とは、板状部材又は層を水平に載置した場合の垂直上方の方向を意味する。さらに、「上方」及びこれと反対の「下方」については、これらを「Z軸プラス方向」、「Z軸マイナス方向」ということがあり、水平方向については、「X軸方向」、「Y軸方向」ということがある。
【0014】
また、「平面形状」、「平面視」とは、上方からつまりz軸の正方向から負方向に向かって面又は層を視認した場合の形状を意味する。さらに、「断面形状」、「断面視」とは、板状部材又は層を特定の方向で切断した場合の水平方向から視認した場合の形状を意味する。
さらに、「中心部」とは、面又は層の周辺部ではない中心部を意味する。そして、「中心方向」とは、面又は層の周辺部から面又は層の平面形状における中心に向かう方向を意味する。
【0015】
[基本構造]
まず、
図1を参照して、本発明の製造方法の前提とするMIMキャパシタを有する配線基板の基本構造について説明する。
図1は、表面が絶縁性を有する基板1と、前記基板1上に配置される第1シード層3と、前記第1シード層3の上方に配置される第1導電層4と、前記第1導電層4の上方に配置される第1絶縁層6と、前記第1絶縁層6の上方に配置される第2シード層8と、前記第2シード層8の上方に配置される第2導電層9とを有する配線基板の断面図である。
図1の配線基板において、第1導電層4は、MIMの下部電極となり、第1絶縁層6はMIMの誘電体層、第2導電層9は、MIMの上部電極となって、基板1上にMIMキャパシタを構成する。
【0016】
<各要素の説明>
以下では本発明の製造方法の前提とするMIMキャパシタの各要素の材質、形状等について詳細に説明する。
(基板)
基板1は、光透過性を有する透明のガラスを材料としたものが望ましい。ガラスの成分またはガラスに含有される各成分の配合比率、更にガラスの製造方法は特に限定されない。
例えば、ガラスとしては、無アルカリガラス、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、サファイアガラス、感光性ガラス等が挙げられるが、ケイ酸塩を主成分とするいずれのガラス材料を用いてもよい。
さらに、その他のいわゆるガラス材料を用いても良い。ただし、本開示の基板1に半導体を実装して用いる場合は、無アルカリガラスを用いるのが望ましい。
また、ガラス基板の厚さは1mm以下が好ましいが、ガラスの貫通孔形成プロセスの容易性や製造時のハンドリング性を考慮して、より好ましくは0.1mm以上、0.8mm以下である。
【0017】
ガラス基板の製造方法としては、フロート法、ダウンドロー法、フュージョン法、アップドロー法、ロールアウト法等が挙げられるが、いずれの方法によって作製されたガラス材料を用いてもよく、本実施形態のものに限定されない。ガラスの線膨張係数は-1ppm/K以上15.0ppm/K以下であることが望ましい。
その理由として、-1ppm/K以下である場合、ガラス材料自体を選定することが困難となり安価に作成できない。一方、15.0ppm/K以上である場合、他層との熱膨張係数の差異が大きく信頼性が低下する。また、基板1にシリコンチップを実装する場合は、シリコンチップとの接続信頼性が低下する。
なお、ガラスの線膨張係数は、より好ましくは0.5ppm/K以上、8.0ppm/K以下、更に好ましくは1.0ppm/K以上、4.0ppm/K以下であることが望ましい。
ガラス基板には予め反射防止膜またはIRカットフィルタ等の機能膜が形成されていてもよい。また、強度付与、帯電防止付与、着色、テクスチャー制御等の機能が付与されても良い。これら機能膜の例として、強度付与にはハードコート膜、帯電防止付与については、帯電防止膜、着色については、光学フィルタ膜、テクスチャー制御においては、アンチグレア、光散乱膜等が挙げられるが、この限りではない。これら機能膜の形成方法としては、蒸着、スパッタリング法、ウエット方式等の成膜技術が用いられる。
【0018】
(第1シード層)
第1シード層3を構成する金属層はセミアディティブ工法における配線形成用において、電解めっきの給電層として作用する。
基板1の直上及び基板1に形成された貫通孔内壁に設けられるシード金属層は、例えば、スパッタ法、またはCVD法によって形成され、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu3N4、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものが用いられている。
本開示の第1シード層3の上方に無電解めっき層(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等)が形成されてもよい。
【0019】
(密着層)
本開示の実施形態では、基板1や第1絶縁層6の上方にシード層を形成する前に、基板1や第1絶縁層6の上面に、電気特性、製造の容易性の観点及びコスト面を考慮して、スパッタリング法によって被着されたチタンを密着層2として形成することが望ましい。
キャパシタにおいて、下部密着層5は、下部電極である第1導電層と誘電体層との密着性を向上させる機能を有し、上部密着層7は、誘電体層とシード金属層との密着性を向上させる機能を有している。下部密着層及び上部密着層の材質は、例えばTiである。この他、例えばCu、Ni、Al、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものを用いてもよい。Tiは、密着性、電気伝導性、製造の容易性の観点及びコスト面から優れている。
【0020】
下部密着層及び上部密着層の厚さは例えば、10nm以上1μm以下であることが望ましい。10nm未満である場合、密着強度が不十分となる虞がある。1μmを超える場合、後述する製造工程において、成膜時間がかかりすぎて量産性に欠けるばかりでなく、不要部分を除去する工程でさらに時間がかかる虞がある。下部密着層及び上部密着層の厚さは、より好ましくは10nm以上、500nm以下であることが望ましい。
下部密着層及び上部密着層はそれぞれ厚さが異なってもよいが、構造上単純になるため同厚であることが望ましい。また、下部電極と誘電体層との密着が十分である場合は、下部密着層はなくてもかまわない。誘電体層とシード金属層との密着が十分である場合は、上部密着層はなくてもかまわない。
【0021】
(配線)
基板1上に形成される密着層2、第1シード層3及び第1導電層4は、MIMキャパシタが形成される以外の基板1上の領域では、回路形成のための配線として用いることができる。回路として用いるためには、チタンと銅層の合計の膜厚は、セミアディティブ法による微細な配線形成に有利なことから5μm以下とするのが望ましい。5μmより厚い場合ピッチ30μm以下の微細配線形成が困難である。
第1導電層の形成方法としては、回路としても用いることを考慮すれば、電解銅めっきであることが簡便かつ安価であり、電気伝導性が良好であることから望ましい。しかし、電解銅めっきの他、電解ニッケルめっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等であっても良い。
【0022】
(第1絶縁層)
第1絶縁層6である誘電体層は、絶縁性、比誘電率の観点からアルミナ、シリカ、シリコンナイトライド、タンタルオキサイド、酸化チタン、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムから選択することができる。
誘電体層の厚さは、10nm以上5μm以下であることが望ましい。誘電体層の厚さが、10nm以下である場合、絶縁性を保つことができずにキャパシタとしての機能が発現しない。誘電体層の厚さが、5μm以上の場合、成膜時間がかかりすぎて量産性に欠けるばかりでなく、不要部分を除去する工程でさらに時間がかかってしまう。より好ましくは50nm以上、1μm以下であることが望ましい。
【0023】
(第2シード層)
第2シード層8はキャパシタの第2導電層である上部電極をセミアディティブ法で形成するための給電層である。第2シード層8は例えばCu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものを適用することができる。後のエッチング除去が簡便となるためは、銅であることが望ましい。
シード金属層の厚さは、50nm以上、5μm以下であることが望ましい。シード金属層の厚さが、50nm未満である場合、続く電解めっき工程において通電不良が発生する可能性がある。シード金属層の厚さが、5μmを超えると、エッチング除去に時間がかかってしまう。シード金属層の厚さが、より好ましくは100nm以上500nm以下が望ましい。
【0024】
(第2導電層)
第2導電層9である上部電極は、電解めっき層である。電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましい。しかし、電解銅めっきの他、電解ニッケルめっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等であっても良い。
上部電極の厚さ(電解銅めっきの厚さ)は3μm以上、30μm以下であることが望ましい。3μm未満の場合、上部電極を形成した後のエッチング処理によっては回路が消失してしまう虞がある。さらに回路の接続信頼性、電気伝導性が低下する危険性がある。電解銅めっき厚が30μmを超えると、30μm厚以上のレジスト層を形成する必要があり、製造コストがかかる。さらにはレジスト解像性が低下することから、ピッチ30μm以下の微細な配線形成が困難となってしまう。より好ましくは5μm以上、25μm以下であることが望ましい。さらに望ましくは10μm以上、20μm以下であることが望ましい。
【0025】
[従来例における製造方法]
次に、
図2から6を参照して、
図1に示したような構造のMIMキャパシタを有する配線基板を製造する場合の従来例について説明する。
まず
図2に示すように、表面が絶縁性を有する基板1の上方に、密着層2及び第1シード層3を形成し、その上にレジスト11のパターンを形成する。
次に、
図3に示すように、第1シード層3を給電層として、電解めっきにより第1導電層4を形成する。
次に、
図4に示すように、レジスト11を除去し、
図5に示すように、第1導電層4をエッチングマスクとして、密着層2及び第1シード層3の不要な部分を除去する。
しかし、上述の製造方法を採用すると、
図6のXに示すように、第1導電層4の端部周辺の領域において、密着層2及び第1シード層3のサイドエッチングが発生することがある。密着層2及び第1シード層3は、膜厚が小さいため、x方向のエッチングの進行速度が速く、サイドエッチングを防止することは極めて難しい。
【0026】
MIM構造の製造工程において、下部電極である第1導電層4の作製後には、誘電体層となる第1絶縁層6を形成し、第1絶縁層6の上方に上部密着層7及び第2シード層8を形成した後に、第2シード層に給電して、上部電極となる第2導電層9を作成する。
この際、上部密着層7及び第2シード層8をスパッタリング法にて形成する場合には、下部電極層である第1導電層4の側壁へのスパッタ皮膜の付きまわりは第1導電層4の端部の形状に大きく依存する。
このため、
図6に示したように、密着層2及び第1シード層3のサイドエッチングが発生すると、スパッタリングによる皮膜の付きまわりが不十分となり、第2シード層8が不連続に形成されることとなる。この結果、電解めっきによる第2導電層9の形成時に給電がされず、めっき皮膜が形成されない不具合が発生する。
【0027】
さらに、
図6に示すような第1導電層4をエッチングマスクとして密着層2及び第1シード層3のエッチングを行うと、第1導電層4の上側表面の平滑性が損なわれることとなり、MIMキャパシタの精度や歩留まり等に悪影響を及ぼすこととなる。この点、本開示の実施態様によれば、下部電極と誘電体界面の平滑性を維持でき、表面荒れに起因するキャパシタのショートや、電極表面積のバラつきに起因する容量のバラつきを低減できる。このため、キャパシタの歩留まりを向上することが可能であり、安定的に作製することができる。
【0028】
[第1の実施形態]
上記のような従来の製造方法の課題を解決するため、本発明の第1の実施形態については、以下に記述する製造方法を採用する。
以下、
図2~
図4及び
図7~
図11を参照して第1の実施形態について説明する。
【0029】
(工程1)
第1の実施形態における工程1~工程6については、従来例と同一であるため、
図2~
図4を参照して説明する。
まず、基板1は、
図2~
図11、
図13~17は図示されていないが、基板1の上側表面から下側表面に貫通する貫通孔を有することができる。貫通孔の断面形状や径は、例えば貫通孔のトップ径とボトム径よりも中央部の径が狭くなるような形状でもよく、また、トップ径に対しボトム径が小さい形状等でもよい。更に、貫通孔のトップ径とボトム径よりも中央部の径が広くなるような形状でもよい。
【0030】
(工程2)
次に、
図2に示されているように、基板1の表面及び貫通孔が形成されている場合には、貫通孔内にも密着層2及び第1シード層3を形成する。これら密着層2及び第1シード層3は、セミアディティブ工法における配線形成工程において、電解めっきの給電層として作用する。
密着層2及び第1シード層3の形成工程は、基板1に密着層2としてチタンをスパッタリング法により形成し、その後に、第1シード層3として、銅層をスパッタリング法により形成し、更にその後に、無電解めっきにより、金属層を付加形成するのが望ましい。チタン、銅層をスパッタリング法のみで形成すると、貫通孔の内壁に金属皮膜が均一に形成することができない場合がある。このため、無電解めっき法によって金属層を増強することが望ましい。無電解めっき層は無電解銅めっき、無電解ニッケルめっきが挙げられるが、ガラスあるいはチタン、銅層との密着性がよいことから無電解ニッケルめっきが望ましい。
ニッケルめっき層が厚過ぎると、微細な配線形成が困難となる場合がある。また、膜応力増加によって、密着性が低下する場合もある。そのため、無電解ニッケルめっき厚は1μm以下が望ましい。また、より好ましくは、0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.3μm以下である。
また、無電解ニッケルめっき皮膜には還元剤に由来する共析物であるリンや、無電解ニッケルめっき液中に含まれる硫黄や鉛やビスマス等が含まれていてもよい。以上の工程を経て、貫通孔が形成されたガラス基板上にシード金属層が形成された基板が得られる。
【0031】
(工程3)
続いて、
図2に示されるように、第1シード層の上方にレジスト11によるパターンを形成する。レジスト11によるパターンの形成方法は、まず、第1シード層上の全面にレジスト11の層を形成する。採用するレジストは、ネガ型ドライフィルムレジスト、ネガ型液状レジスト、ポジ型液状レジストが挙げられるが、レジスト層の形成が簡便でかつ安価であるためネガ型フォトレジストであることが望ましい。
【0032】
(工程4)
続いて、フォトレジスト層に所望の導体回路層を形成するためのパターンを公知のフォトリソグラフィー法によって形成する。すなわち、レジスト11のパターンは後の導体回路層が形成される部分が露出するように位置あわせを行い、露光、現像処理することによってパターニングを実現する。レジスト層の厚みは、導体回路層の厚みにも依存するが、好ましくは5μm以上、25μm以下であることが望ましい。5μmより薄い場合、導体回路層となる電解めっき層を5μm以上に増膜できなくなり、回路の接続信頼性が低下する可能性がある。25μmより厚くなる場合、ピッチ30μm以下の微細配線を形成することが困難となる。これによって、フォトレジストパターンが形成された基板を得る。
【0033】
(工程5)
続いて、第1シード層に給電し、メッキ液に浸漬することによって、フォトレジストパターンが形成されていない第1シード層の上面に、後に導体回路層となる第1導電層である電解めっき層を形成する。
【0034】
(工程6)
続いて、不要となったフォトレジストパターンを除去し、
図4に示すように、第1導電層と第1シード層3を露出させる。なお、レジスト11の除去方法は、何ら特定の方法に限定されるものではないが、例えば、アルカリ水溶液によって剥離除去することができる。
【0035】
(工程7)
続いて、
図7に示すように、第1導電層4である下部電極上の全面に渡り、下部密着層5、第1絶縁層6、上部密着層7、及び、第2シード層8を順次堆積形成する。上記層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザブレーション法、CVD法が挙げられるが、本実施形態により限定されない。
第1絶縁層6の下層にある下部密着層5は、第1絶縁層6と第1導電層4の密着性を向上させる機能を有する。しかし、第1絶縁層6と第1導電層4の密着性が十分である場合は、下部密着層5は無くても構わない。
本実施形態においては、第1導電層形成後に、第1シード層をエッチングすることなく、第1絶縁層及び第2シード層などを形成している。このため、第2シード層を形成する際に、第2シード層の付きまわり性の異常を抑制することができる。その結果、第2導電層についても安定して形成することができる。
なお、第2シード層はキャパシタの上部電極をセミアディティブ法で形成するための給電層として機能する。
【0036】
(工程8)
続いて、
図8に示すように、第2シード層8の上面にレジスト11のパターンを第2導電層9を形成する以外の領域に形成する。レジスト11のパターンの形成は、前述したフォトレジストパターンと同じ方法で行うことができる。この場合、レジスト11のパターンの開口領域は第1導電層4(下部電極)より内側となるように形成し、積層方向における平面視においても、MIMキャパシタの外部への接続線の部分を除いては、第1導電層4(下部電極)内側になるように形成する。
【0037】
(工程9)
続いて、第2シード層に給電して電解めっき法によって第2導電層9(上部電極)を形成する。
【0038】
(工程10)
続いて、レジスト11のパターンを除去する。フォトレジストパターンの除去は公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。
【0039】
(工程11)
続いて、
図9に示すように、第2導電層9(上部電極)を囲むようにレジスト11のパターンを形成する。レジスト11のパターンの形成は、前述したフォトレジストパターンと同じ方法で行うことができる。この場合、フォトレジストパターンの非開口領域は上部電極より外側、かつ第1導体層(下部電極)の内側となるように形成し、積層方向における平面視においても、MIMキャパシタの外部への接続線の部分を除いては、第1導電層4(下部電極)内側になるように形成する。
これによって、第2シード層8、上部密着層7、第1絶縁層6、下部密着層5の端面がそれぞれ第2導電層の外側、かつ第1導電層の内側になるようにエッチングを行い、MIMキャパシタ構造を形成する。
【0040】
(工程12)
なお、第2シード層8および上部密着層7の不要部分の除去は本工程で実施することに限定されず、例えば工程11の前に上部電極をマスクとして、第2シード層8および上部密着層7の不要部分が除去されても良い。このようにすると、MIMキャパシタデバイスの外表面における第1絶縁層6の面積が大きくなり、上部電極および下部電極間の側面からの電流のリークなどを抑制することができる。
【0041】
(工程13)
続いて、レジスト11のパターンを除去する。フォトレジストパターンの除去は公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。
【0042】
(工程14)
続いて、
図10に示されるように、再度、レジスト11のパターンを第1導電層4も取り囲むように形成する。つまり、レジスト11のパターンが、少なくとも1の幅方向(z軸に直行するxy平面における方向)において、前記第1導電層よりも幅の大きなエッチングマスクとなるようにレジスト11のパターンを形成する。
すなわち、前記第1導電層よりも幅の大きなエッチングマスクの幅は、MIMキャパシタにおける第1シード層3の幅に相当する幅となる。この場合、フォトレジストパターンの非開口領域は下部電極より外側となるように形成し、積層方向における平面視においても、MIMキャパシタの外部への接続線の部分を除いては、第1導電層4(下部電極)の外側になるように形成される。
【0043】
より具体的には、少なくとも一方向におけるレジスト11のxy平面(水平方向)における幅bと、同方向における第1導電層(下部電極)のxy平面における幅aとの関係は、当然に以下の式(1)を満たすこととなる。
[数1]
a<b・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
さらに、a、bは以下の式(2)を満たすことが望ましい。
[数2]
50nm≦(b-a)/2≦50μm・・・・・・・(2)
なお、数式(2)において、「(b-a)/2」は、第1導電層(下部電極)4とレジスト11の片側における幅の差を示している。この片側における幅の差の上限を50μmとしているのは、これよりも大きいとパターンの設計に制約が生じるためである。
さらに、密着層2と第1シード層3のz軸方向の高さ(2層の厚さの合計)をcは、以下の式(3)を満たすことが望ましい。
[数3]
50nm≦c≦5μm・・・・・・・・・・・・・・(3)
なお、数式(3)においてcの下限を50nmとしているのは、密着層2及び第1シード層3が給電層として機能を果たす最低値として50nmが必要なためである。また、cの上限を5μmとしているのは、シード層エッチング時に、形成できる配線幅に制約を受けるためである。
さらに、a,b,cは以下の式(4)を満たすことが望ましい。
[数4]
0.01≦((b-a)/2)/c≦1000・・・(4)
式(4)を満たす形状であれば、第1導電層(下部電極)の下方にまでサイドエッチングが発生せず、その後の工程において、第2シード層を断線不良がない、十分に安定した状態で形成することが可能となる。
なお、レジストパターンの形成方法は、前述したフォトレジストパターンと同じ方法で行うことができる。
【0044】
(工程15)
続いて、第1シード層の露出した部分を除去する。
なお、無電解Ni層、銅層、チタン層は、順次化学エッチングにより除去する方法を用いることができる。エッチング液の種類は除去する金属種により適宜選択され、除去方法は、本開示に記載された方法に限定されない。
【0045】
(工程16)
続いて、レジスト11のパターンを除去すると。
図11に示すようにMIMキャパシタが形成された配線基板を形成することができる。フォトレジストパターンの除去は公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。以上の工程によりキャパシタが形成される。
【0046】
(工程17)
その後、
図12に示すように、配線基板上に絶縁樹脂層12、ビアホール13を形成する。その後、積層導体回路層と絶縁樹脂層を繰り返して形成することによって多層配線基板が形成される。
なお、配線基板上の導体回路や積層構造は公知のセミアディティブ法あるいはサブトラクティブ法を用いて形成することができる。
さらに多層配線基板を形成した後に外部接続端子を形成することも可能であるし、さらに、外部接続端子にはんだボールを形成することも可能である。
本開示による配線基板は片面に積層導体回路層、外部接続端子、はんだボールがあってもよく、変形例として両面にあっても良い。さらに半導体チップ、チップ部品を搭載してもよい。
【0047】
[第2の実施形態]
次に、以下では、
図2~
図4及び
図13~
図17を参照して第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態においては、工程1から工程6は第1の実施形態と同一であるため、工程1から工程6については、説明を省略する。
第2の実施形態においては、
図4に示した第1の実施形態の工程6の後に、以下に説明する工程20を継続する。
【0048】
(工程20)
第1の実施形態の工程6の後、
図13に示すように、第1導電層を取り囲むようにレジスト11のパターンを形成する。レジストパターンの形成は、前述したレジストパターンと同じ方法で行うことができる。この場合、レジストパターンの
開口領域は下部電極より外側となるように形成し、積層方向における平面視においても、MIMキャパシタの外部への接続線の部分を除いては、第1導電層4(下部電極)の外側になるように形成する。
【0049】
そして、この場合のレジスト11のxy平面における長さbと、同方向における第1導電層(下部電極)のxy平面における長さa、密着層2と第1シード層3のz軸方向の高さ(2層の厚さの合計)をcの望ましい関係は、第1の実施形態における工程14で記述したものと同様である。
【0050】
(工程21)
続いて、レジスト11のパターンをエッチングマスクとして第1シード層3、密着層2を除去する。
なお、第1シード層3、密着層2の除去は、無電解Ni層、銅層、チタン層を順次化学エッチングにより除去する方法を用いることができる。エッチング液の種類は除去する金属種により適宜選択され、何ら限定されるものではない。
【0051】
(工程22)
続いて、レジスト11のパターンを除去すると
図14に示す断面を得ることができる。
なお、レジスト11の除去は公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。
【0052】
(工程23)
続いて、
図15に示すように、第1の実施態様の工程7と同様に、第1導電層4である下部電極上の全面に渡り、下部密着層5、第1絶縁層6、上部密着層7、及び、第2シード層8を順次堆積形成する。上記層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザブレーション法、CVD法が挙げられるが、本実施形態により限定されない。
第1絶縁層6の下層にある下部密着層5は、第1絶縁層6と第1導電層4の密着性を向上させる機能を有する。しかし、第1絶縁層6と第1導電層4の密着性が十分である場合は、下部密着層5は無くても構わない。
なお、第2シード層はキャパシタの上部電極をセミアディティブ法で形成するための給電層として機能する。
【0053】
(工程24)
続いて、
図16に示すようにレジスト11のパターンを第2導電層9を形成する以外の領域に形成する。レジスト11のパターンの形成は、前述したフォトレジストパターンと同じ方法で行うことができる。この場合、レジスト11のパターンの開口領域は第1導電層4(下部電極)より内側となるように形成し、積層方向における平面視においても、MIMキャパシタの外部への接続線の部分を除いては、第1導電層4(下部電極)内側になるように形成する。
【0054】
(工程25)
続いて、第2シード層に給電して電解めっき法によって第2導電層9(上部電極)を形成する。
【0055】
(工程26)
続いて、レジスト11のパターンを除去する。フォトレジストパターンの除去は公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。
【0056】
(工程27)
続いて、
図17に示すように、第2導電層9(上部電極)を囲むようにレジスト11のパターンを形成する。レジスト11のパターンの形成は、前述したフォトレジストパターンと同じ方法で行うことができる。この場合、フォトレジストパターンの非開口領域は上部電極より外側、かつ第1導体層(下部電極)の内側となるように形成し、積層方向における平面視においても、MIMキャパシタの外部への接続線の部分を除いては、第1導電層4(下部電極)内側になるように形成する。それぞれ外側、かつ内側になるように形成するのが望ましい。
【0057】
(工程28)
続いて、工程12と同様に、レジスト11のパターンをマスクとして、第2シード層8、上部密着層7、第1絶縁層6、及び、下部密着層5の不要部分を除去する。第2シード層8、上部密着層7、第1絶縁層、及び、下部密着層5の除去は、化学エッチング法、ドライエッチング法、いずれも公知方法を用いることが実施できる。各層毎で異なった除去方法を採用してもよいし、また、全ての層で同じ方法除去を行ってもよい。
上述したように、レジスト11のパターンは第1導電層4(下部電極)の内側に形成にされているため、レジスト11のパターンをマスクとして不要部分を除去しても、第1絶縁層は第1導電層(下部電極)の内側にのみに残存して形成される。
【0058】
なお、第2シード層および上部密着層7の不要部分の除去は、工程28で除去しなくとも、例えば工程27の直後に、第2導電層9(上部電極)をマスクとして、エッチング除去しても良い。このようにすると、MIMキャパシタデバイスの外表面における第1絶縁層の面積が大きくなり、上部電極および下部電極間の側面からの電流のリークなどを抑制することができる。
【0059】
(工程29)
続いて、レジスト11のパターンを除去すると。第1の実施形態と同様に、
図11に示すようにMIMキャパシタが形成された配線基板を形成することができる。レジストパターンの除去は公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。以上の工程によりキャパシタが形成される。
【0060】
第2の実施形態における工程29以降の工程は、第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0061】
<効果>
従来例の製造方法によってMIMキャパシタを製造した場合には、第1導電層4(下部電極)の下方にサイドエッチングが発生し、第2導電層9(上部電極)が正常に形成されない割合が50%であったが、本開示の第1の実施形態及び第2の実施形態による製造方法を採用すれば、100%の割合で第2導電層9(上部電極)が正常に形成することができ。顕著な改善を見ることができた。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1:基板、2:密着層、3:第1シード層、4:第1導電層、5:下部密着層、6:第1絶縁層、7:上部密着層、8:第2シード層、9:第2導電層、11:レジスト、12:絶縁樹脂層、13:ビアホール