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特許7677450情報処理端末装置の制御プログラム、及び、移動体管理装置
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  • 特許-情報処理端末装置の制御プログラム、及び、移動体管理装置 図1
  • 特許-情報処理端末装置の制御プログラム、及び、移動体管理装置 図2
  • 特許-情報処理端末装置の制御プログラム、及び、移動体管理装置 図3
  • 特許-情報処理端末装置の制御プログラム、及び、移動体管理装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】情報処理端末装置の制御プログラム、及び、移動体管理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20250101AFI20250508BHJP
【FI】
G08G5/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023564353
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2021044215
(87)【国際公開番号】W WO2023100306
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 優美
(72)【発明者】
【氏名】大場 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 光幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】石田 厳
(72)【発明者】
【氏名】石井 寛之
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0312159(US,A1)
【文献】特開2020-071724(JP,A)
【文献】特開2019-197525(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111985662(CN,A)
【文献】特開2021-170324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体から送信された、前記移動体を識別可能であって前記移動体の状態を表す移動体識別情報を受信する識別情報受信処理と、
受信した前記移動体識別情報を、前記移動体を管理する移動体管理装置に送信する識別情報送信処理と、
を情報処理端末装置に実行させ
前記識別情報送信処理では、前記移動体識別情報をSNS(Social Networking Service)に掲載する、
情報処理端末装置の制御プログラム。
【請求項2】
前記移動体識別情報は、前記移動体の位置及び時間を表す情報を含む、
請求項1に記載の情報処理端末装置の制御プログラム。
【請求項3】
前記識別情報送信処理は、前記情報処理端末装置が具備する撮像手段によって前記移動体が撮像された撮像画像を、前記移動体管理装置に送信する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理端末装置の制御プログラム。
【請求項4】
前記移動体はドローンであり、
前記移動体識別情報はリモートIDである、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の情報処理端末装置の制御プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の情報処理端末装置の制御プログラムを実行する前記情報処理端末装置からSNSに掲載された、前記移動体識別情報を受信する前記移動体管理装置であって、
複数の前記移動体に関する前記移動体識別情報と、前記移動体識別情報と複数の前記移動体の動きを好適に制御するための制御情報との関係を表す移動体制御基準と、に基づいて、個々の前記移動体に関する前記制御情報を生成する制御情報生成手段と、
生成された前記制御情報を、前記移動体の動きを制御する移動体制御装置に送信する制御情報送信手段と、
を備える移動体管理装置。
【請求項6】
前記移動体識別情報と前記制御情報との関係を学習することによって、前記移動体制御基準を生成あるいは更新する学習手段をさらに備える、
請求項5に記載の移動体管理装置。
【請求項7】
前記情報処理端末装置から前記移動体識別情報とともに受信した、前記情報処理端末装置の利用者を識別可能な利用者識別情報が表す前記利用者に対して報酬を付与する報酬付与手段をさらに備える、
請求項5または請求項6に記載の移動体管理装置。
【請求項8】
前記移動体識別情報が示す前記移動体の状態を表示装置に表示する表示制御手段をさらに備える、
請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の移動体管理装置。
【請求項9】
前記移動体識別情報の時間推移から、前記移動体の動きの軌跡を生成する軌跡生成手段をさらに備える、
請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の移動体管理装置。
【請求項10】
前記軌跡生成手段は、行方不明の状態にある前記移動体に関して、前記情報処理端末装置が最後に受信した前記移動体識別情報が表す位置を、前記移動体の存在場所の候補として特定する、
請求項9に記載の移動体管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末装置の制御プログラムが格納された記録媒体、及び、移動体管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンあるいはロボット等の自動であるいは人による操縦により移動可能な機器(本願では以降、移動体と称する)が、様々な場面において利用されている。そして、このような移動体の運用を管理するための様々な技術が進展している。
【0003】
このような技術に関連する技術として、特許文献1には、外部装置から取得した指示情報に基づいて飛行する無人飛行装置が開示されている。この装置は、自装置を識別するための装置ID(Identification)を記憶する。この装置は、取得した指示情報と記録媒体に記憶された登録操作者IDに基づいて、当該指示情報が適正であることを認証する。そしてこの装置は、当該指示情報が適正であると判定されたことを条件として、登録操作者IDと装置IDとの関係により定められる動作可能範囲内で、当該指示情報に基づいて飛行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/170332号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、ドローン等の移動体の価格が低下したことに伴い、誰でも容易にドローンを入手してドローンを飛ばすことができるようになり、様々な場所で多数のドローンが飛ばされている。このような多数のドローンの飛行状況を的確に管理できるようにするための仕組みの1つとして、例えばリモートIDがある。リモートIDは、ドローンから機体を識別可能な情報(登録記号、製造番号、位置情報、時刻等を含む)を発信するようにして、ドローンから発信された識別情報を遠隔で収集する仕組みである。このリモートIDは、通常、例えば、警察官、警備員、重要施設の管理者などの特定の人が所持する、リモートIDを収集可能な特定の機器(本願では以降、遠隔識別端末と称する場合がある)によって収集される。
【0006】
しかしながら、上述した通り、特定の人が所有する遠隔識別端末のような特定の機器によって、リモートIDのような識別情報を収集したのでは、様々な場所において使用されている膨大な数のドローン等の移動体の運用状況を網羅的に把握することが困難であり、それら移動体の運用管理を的確におこなうことは困難である。特許文献1は、この問題について特に言及していない。
【0007】
本発明の主たる目的は、移動体の運用管理を的確に行えるように、様々な場所における多数の移動体の運用状況を網羅的に把握することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理端末の制御プログラムは、移動体から送信された、前記移動体を識別可能であって前記移動体の状態を表す移動体識別情報を受信する識別情報受信処理と、受信した前記移動体識別情報を、前記移動体を管理する移動体管理装置に送信する識別情報送信処理と、を情報処理端末装置に実行させる。
【0009】
更に、本発明は、係る情報処理端末の制御プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動体の運用管理を的確に行うために、様々な場所における多数の移動体の運用状況を網羅的に把握することを可能とする情報処理端末装置の制御プログラムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るドローン管理システム1の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るドローン管理システム1の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施形態に係る情報処理端末装置の制御プログラム61の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の各実施形態に係るスマートフォン10、ドローン管理装置20、情報処理端末装置60を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るドローン管理システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るドローン管理システム1は、管理対象である1以上のドローン50(移動体の一例)の運用状況を管理するシステムである。
【0014】
ドローン50は、リモートID500を発信(送信)することとする。リモートID500は、上述した通りドローン50を識別可能な情報であり、例えば、登録記号、製造番号、位置情報、時刻等を含んでいる。尚、リモートID500に含まれる情報は、前述した情報に限定されず、例えば、ドローン50の状態を表す情報を含んでもよい。
【0015】
ドローン管理システムは、大別して、スマートフォン10、ドローン管理装置20、ドローン制御装置30、表示装置40を含む。スマートフォン10、ドローン管理装置20、ドローン制御装置30は、順に、情報処理端末装置、移動体管理装置、移動体制御装置の一例である。スマートフォン10、ドローン制御装置30、表示装置40は、ドローン管理装置20と、例えば無線あるいは有線の通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0016】
スマートフォン10は、汎用の情報処理端末装置であり、取得部11、識別情報受信部12、識別情報送信部13、撮像部14を備えている。識別情報受信部12、識別情報送信部13、撮像部14は、順に、識別情報受信処理、識別情報送信処理、撮像手段の一例である。撮像部14は、例えば、ドローン50などを撮像可能なカメラである。
【0017】
取得部11は、例えば、ドローン管理装置20からアプリケーションプログラム281を取得する。取得部11は、アプリケーションプログラム281を、ドローン管理装置20とは異なる装置から取得してもよい。
【0018】
アプリケーションプログラム281は、スマートフォン10が、リモートID500を収集可能な機器である遠隔識別端末として動作することを実現するソフトウェアである。アプリケーションプログラム281は、情報処理端末装置の制御プログラムの一例である。即ち、スマートフォン10は、取得部11によって取得されたアプリケーションプログラム281を実行することによって、遠隔識別端末として動作する。
【0019】
識別情報受信部12は、アプリケーションプログラム281を実行することによって、ドローン50から送信されたリモートID500を受信する。但し、ドローン50は、スマートフォン10が受信可能な通信方式(例えばBluetooth(登録商標)等)を用いて、リモートID500を発信することとする。
【0020】
識別情報送信部13は、アプリケーションプログラム281を実行することによって、識別情報受信部12によって受信されたリモートID500を、ドローン50を管理するドローン管理装置20に送信する。識別情報送信部13は、撮像部14によってドローン50が撮像された撮像画像を、リモートID500に添付してドローン管理装置20に送信してもよい。識別情報送信部13は、また、リモートID500及びドローン50が撮像された撮像画像を、例えばSNS(Social Networking Service)に掲載することを通して、ドローン管理装置20に送信してもよい。
【0021】
ドローン管理装置20は、サーバ等の情報処理装置であり、受信部21、制御情報生成部22、制御情報送信部23、学習部24、報酬部25、軌跡生成部26、表示制御部27、記憶部28を備える。制御情報生成部22、制御情報送信部23、学習部24、報酬部25、軌跡生成部26、表示制御部27は、順に、制御情報生成手段、制御情報送信手段、学習手段、報酬手段、軌跡生成手段、表示制御手段の一例である。
【0022】
記憶部28は、例えば、図4を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部28は、前述したアプリケーションプログラム281の他、後述する制御情報282及び移動体制御基準283を記憶している。
【0023】
受信部21は、スマートフォン10の識別情報送信部13によって上述の通りに送信されたリモートID500及びドローン50が撮像された撮像画像を受信する。受信部21は、リモートID500及びドローン50が撮像された撮像画像を、スマートフォン10から直接受信してもよいし、スマートフォン10からSNSに掲載されたリモートID500及びドローン50が撮像された撮像画像を、取得するようにしてもよい。受信部21は、また、リモートID500及びドローン50が撮像された撮像画像を、記憶部28に格納してもよい。
【0024】
制御情報生成部22は、複数のドローン50に関するリモートID500と、移動体制御基準283とに基づいて、個々のドローン50の動きを制御する制御情報282を生成する。移動体制御基準283は、リモートID500と複数のドローン50の動きを好適に制御するための制御情報282との関係を表す基準(情報)である。移動体制御基準283は、例えば、ある複数のドローン50に関するリモートID500が、互いの位置関係が近い(即ち、衝突の可能性がある)ことを表している場合、互いに衝突しないように個々のドローン50の動く方向を決定することを表す。
【0025】
移動体制御基準283は、例えば、ドローン管理装置20の管理者によって与えられた基準でもよい。移動体制御基準283は、あるいは、学習部24が、リモートID500と制御情報282との関係を学習することによって、生成あるいは更新される学習モデルであってもよい。
【0026】
制御情報送信部23は、制御情報生成部22によって上述の通りに生成された制御情報282を、ドローン50の動きを制御するドローン制御装置30に送信する。ドローン制御装置30は、自動でドローン50の飛行制御を行う装置でもよいし、ドローン50を操縦する操縦者による入力操作を受け付けるコントローラでもよい。但し、ドローン制御装置30が当該コントローラである場合、ドローン制御装置30は、操縦対象であるドローン50のリモートID500を、ドローン管理装置20に送信することとする。
【0027】
ドローン制御装置30が、自動でドローン50の飛行制御を行う装置である場合、制御情報生成部22は、ドローン制御装置30がドローン50の飛行制御を行うことができるようなデータ形式により、制御情報282を生成する。この場合、ドローン制御装置30は、ドローン管理装置20に含まれてもよい。
【0028】
ドローン制御装置30が、ドローン50を操縦する操縦者による入力操作を受け付けるコントローラである場合、制御情報生成部22は、当該入力操作を指示する制御情報282を生成する。この場合、ドローン制御装置30は、ドローン管理装置20から受信した制御情報282を、具備する表示画面(不図示)に表示してもよい。
【0029】
報酬部25は、スマートフォン10からリモートID500とともに受信した、スマートフォン10の利用者を識別可能な利用者識別情報が表す利用者に対して、例えばボーナスポイントなどの報酬を付与する。但し、スマートフォン10の利用者ごとのボーナスポイントなどの報酬を管理する機能が、ドローン管理装置20、あるいはドローン管理装置20と通信可能な他の装置に備えられていることとする。
【0030】
軌跡生成部26は、例えばある時間間隔で受信したリモートID500の時間推移から、リモートID500によって表されるドローン50の位置の時間推移を求めることによって、ドローン50の動きの軌跡を生成する。軌跡生成部26は、また、行方不明の状態にあるドローン50に関して、スマートフォン10が最後に受信したリモートIDが表すドローン50の位置を、そのドローン50の存在場所の候補として特定してもよい。
【0031】
表示制御部27は、受信したリモートID500が示すドローン50に関する位置や動きなどの状態を、ドローン50の運用状況を管理する管理者が視認可能な表示装置40に表示する。表示制御部27は、リモートID500とともに受信したドローン50が撮像された撮像画像を表示装置40に表示してもよい。表示制御部27は、また、軌跡生成部26によって生成されたドローン50の動きの軌跡を表示装置40に表示してもよい。
【0032】
次に図2のフローチャートを参照して、本実施形態に係るドローン管理システム1の動作(処理)について詳細に説明する。
【0033】
スマートフォン10の取得部11は、ドローン管理装置20の記憶部28に記憶されているアプリケーションプログラム281を取得する(ステップS101)。スマートフォン10は、取得部11によって取得されたアプリケーションプログラム281の実行を開始する(ステップS102)。
【0034】
スマートフォン10の識別情報受信部12は、ドローン50からリモートID500を受信し、撮像部14は、ドローン50を撮像する(ステップS103)。スマートフォン10の識別情報送信部13は、識別情報受信部12によって受信したリモートID500、及び撮像部14によってドローン50を撮像した撮像画像を、ドローン管理装置20へ送信する(ステップS104)。
【0035】
ドローン管理装置20の表示制御部27は、受信部21によって受信したリモートID500が表すドローン50の状態、及びドローン50を撮像した撮像画像を、表示装置40に表示する(ステップS105)。ドローン管理装置20の制御情報生成部22は、受信したリモートID500と記憶部28に格納されている移動体制御基準283とに基づいて、制御情報282を生成する(ステップS106)。
【0036】
ドローン管理装置20の制御情報送信部23は、制御情報生成部22によって生成された制御情報282を、ドローン制御装置30へ送信する(ステップS107)。ドローン制御装置30は、ドローン管理装置20から受信した制御情報282に基づいてドローン50の動きを制御する(ステップS108)。ドローン管理装置20の報酬部25は、リモートID500をドローン管理装置20に送信したスマートフォン10の利用者にボーナスポイントなどの報酬を付与し(ステップS109)、全体の処理は終了する。
【0037】
本実施形態に係るスマートフォン10によって実行されるアプリケーションプログラム281(情報処理端末装置の制御プログラム)は、ドローン50(移動体)の運用管理を的確に行うために、様々な場所における多数のドローン50の運用状況を網羅的に把握することを実現できる。その理由は、汎用の情報処理端末装置であるスマートフォン10が、アプリケーションプログラム281を実行することによって、ドローン50からリモートID500(移動体識別情報)を受信して、そのリモートID500をドローン管理装置20(移動体管理装置)に送信するからである。
【0038】
以下に、本実施形態に係るスマートフォン10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0039】
昨今、ドローン等の移動体の価格が低下したことに伴い、誰でも容易にドローンを入手してドローンを飛ばすことができるようになり、様々な場所で多くのドローンが飛ばされている。このような多数のドローンの飛行状況を的確に管理できるようにするための仕組みの1つとして、例えばリモートIDがある。リモートIDは、通常、例えば、警察官、警備員、重要施設の管理者などの特定の人が所持する、リモートIDを収集可能な特定の機器によって収集される。しかしながら、特定の人が所有する遠隔識別端末のような特定の機器によって、リモートIDのような識別情報を収集したのでは、様々な場所において使用されている膨大な数のドローン等の移動体の運用状況を網羅的に把握することが困難であり、それら移動体の運用管理を的確に行うことが困難であるという問題がある。
【0040】
このような問題に対して、本実施形態に係るアプリケーションプログラム281は、識別情報受信部12と、識別情報送信部13と、をスマートフォン10に実現させ、例えば、図1及び図2を参照して上述した通り動作する。即ち、識別情報受信部12は、ドローン50から送信された、ドローン50を識別可能であってドローン50の状態を表すリモートID500を受信する。そして、識別情報送信部13は、受信したリモートID500を、ドローン50を管理するドローン管理装置20に送信する。
【0041】
即ち、本実施形態に係るアプリケーションプログラム281は、スマートフォン10を、リモートID500を収集可能な機器である遠隔識別端末として動作させる。これにより、警察官、警備員、重要施設の管理者などの特定の人が所持する専用の遠隔識別端末のみでなく、一般の人が所持するスマートフォン10を介してドローン50からリモートID500を収集することができるので、アプリケーションプログラム281は、様々な場所における多数のドローン50の運用状況を網羅的に把握することを実現できる。
【0042】
また、本実施形態に係るドローン管理装置20は、多数のスマートフォン10によって網羅的に収集されたリモートID500と移動体制御基準283とに基づいて、制御情報282を生成し、生成した制御情報282を、ドローン50の動きを制御するドローン制御装置30に送信する。したがって、本実施形態に係るドローン管理システム1は、ドローン50の動きを的確に制御することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るドローン管理装置20は、リモートID500と制御情報282との関係を学習することによって、移動体制御基準283を生成あるいは更新する。これにより、ドローン管理システム1は、ドローン50を的確に制御する精度を次第に高めることができる。
【0044】
また、本実施形態に係るドローン管理装置20は、スマートフォン10からリモートID500とともに受信したスマートフォン10の利用者を識別可能な利用者識別情報が表す利用者に対してボーナスポイントなどの報酬を付与する。即ち、ドローン管理システム1は、スマートフォン10の利用者に対して、ドローン50からリモートID500を収集するためのスマートフォン10の操作を行うことの動機付けを行うので、多数のドローン50の運用状況をより網羅的に把握することを実現できる。
【0045】
また、本実施形態に係るドローン管理装置20は、リモートID500の時間推移から、ドローン50の動きの軌跡を生成する。そして、ドローン管理装置20は、行方不明の状態にあるドローン50に関して、スマートフォン10が最後に受信したリモートID500が表す位置を、ドローン50の存在場所の候補として特定する。これによりドローン管理システム1は、ドローン50の動きをより的確に管理し、また、行方不明となったドローン50の捜索を効率的に行うことを実現できる。
【0046】
また、スマートフォン10が収集するドローン50を識別可能な情報は、リモートID500に限定されない。スマートフォン10は、リモートID500とは異なる仕様のドローン50を識別可能な情報を収集してもよい。
【0047】
また、ドローン管理システム1は、スマートフォン10の代わりに、タブレット端末あるいはパーソナルコンピュータ等の汎用の情報処理端末装置を用いてもよい。
【0048】
また、ドローン管理システム1(移動体管理システム)は、ドローン50以外の移動体を管理してもよい。ドローン管理システム1は、例えば、移動可能なロボット、識別情報を発信する機能を備えた自転車や電動スクーター、識別情報を発信する発振器が取り付けられた動物などを管理対象としてもよい。
【0049】
<第2の実施形態>
図3は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理端末装置の制御プログラム61の構成を示すブロック図である。情報処理端末装置の制御プログラム61は、識別情報受信処理62、識別情報送信処理63を情報処理端末装置60に実行させる。
【0050】
識別情報受信処理62は、移動体80から送信された、移動体80を識別可能であって移動体80の状態を表す移動体識別情報800を受信する。移動体80は、例えば、第1の実施形態に係るドローン50のような移動する機器である。移動体識別情報800は、例えば、第1の実施形態に係るリモートID500と同様な情報である。識別情報受信処理62は、例えば、第1の実施形態に係るスマートフォン10の識別情報受信部12と同様に動作する。
【0051】
識別情報送信処理63は、受信した移動体識別情報800を、移動体80を管理する移動体管理装置70に送信する。移動体管理装置70は、例えば、第1の実施形態に係るドローン管理装置20と同様な装置である。識別情報送信処理63は、例えば、第1の実施形態に係るスマートフォン10の識別情報送信部13と同様に動作する。
【0052】
本実施形態に係る情報処理端末装置の制御プログラム61は、移動体80の運用管理を的確に行うために、様々な場所における多数の移動体80の運用状況を網羅的に把握することを実現できる。その理由は、情報処理端末装置60が、情報処理端末装置の制御プログラム61を実行することによって、移動体80から移動体識別情報800を受信して、移動体識別情報800を移動体管理装置70に送信するからである。
【0053】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1に示したスマートフォン10、ドローン管理装置20、あるいは、図3に示した情報処理端末装置60における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1及び図3において、少なくとも、下記構成は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11、
・識別情報受信部12、
・識別情報送信部13、
・撮像部14における撮像制御機能、
・受信部21、
・制御情報生成部22、
・制御情報送信部23、
・学習部24、
・報酬部25、
・軌跡生成部26、
・表示制御部27、
・記憶部28における記憶制御機能。
【0054】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図4を参照して説明する。
【0055】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るスマートフォン10、ドローン管理装置20、あるいは第2の実施形態に係る情報処理端末装置60を実現可能な情報処理装置900(コンピュータシステム)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図4は、図1及び図3に示した上述した各装置を実現可能な少なくとも1つのコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0056】
図4に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えているが、下記のうちの一部の構成要素を備えない場合もある。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・外部装置との通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0057】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、CPU901に加えてGPU(Graphical_Processing_Unit)(不図示)を備えてもよい。
【0058】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図4に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図3)における上述した構成、或いはフローチャート(図2)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0059】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0060】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ドローン管理システム
10 スマートフォン
11 取得部
12 識別情報受信部
13 識別情報送信部
14 撮像部
20 ドローン管理装置
21 受信部
22 制御情報生成部
23 制御情報送信部
24 学習部
25 報酬部
26 軌跡生成部
27 表示制御部
28 記憶部
281 アプリケーションプログラム
282 制御情報
283 移動体制御基準
30 ドローン制御装置
40 表示装置
50 ドローン
500 リモートID
60 情報処理端末装置
61 情報処理端末装置の制御プログラム
62 識別情報受信処理
63 識別情報送信処理
70 移動体管理装置
80 移動体
800 移動体識別情報
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4