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特許7677679トレーニング装置及びそのための摺動ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】トレーニング装置及びそのための摺動ユニット
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/062 20060101AFI20250508BHJP
   A63B 23/00 20060101ALI20250508BHJP
   A63B 23/12 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
A63B21/062
A63B23/00 F
A63B23/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024118847
(22)【出願日】2024-07-24
【審査請求日】2024-07-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524279928
【氏名又は名称】有限会社坂下リライフ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊山 高司
(72)【発明者】
【氏名】操 心一
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-218194(JP,A)
【文献】特開2001-000580(JP,A)
【文献】特開2018-192231(JP,A)
【文献】特開2022-104452(JP,A)
【文献】特開2022-104690(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0157711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を摺動自在に前記レールに取り付けられ、ユーザのトレーニングに伴い前記レール上を摺動する筐体と、
前記筐体に回転自在に取り付けられ、トレーニング中の前記ユーザの身体から力を受ける回転部と、
前記回転部の回転軸に取り付けられた第1の傘歯車と、
前記第1の傘歯車と噛み合う第2の傘歯車と、
前記第2の傘歯車の回転に伴い回転するクランクと
前記クランクに一端が連結され、他端が負荷伝達部材に連結された有端のローラーチェーンまたは有端のドライブベルトと、
前記ローラーチェーンまたは前記ドライブベルトと噛み合い、前記ローラーチェーンまたは前記ドライブベルトの移動方向を変更するピニオンと
を備え、
前記クランクは、基準位置からの時計回り及び反時計回りの回転に伴い、付勢されている前記負荷伝達部材を付勢に逆らう方向に移動させる
トレーニング装置用の摺動ユニット。
【請求項2】
前記回転部が基準位置から時計回り及び反時計回りに所定角度だけ回転した場合の前記負荷伝達部材の移動量を変化させる変速機を備える
請求項1に記載の摺動ユニット。
【請求項3】
負荷を生成する負荷生成部と、
レールと、
前記レール上を摺動自在に前記レールに取り付けられた請求項1又は2に記載の摺動ユニットと、
一端が前記負荷生成部に連結され、他端が前記摺動ユニットに連結され、前記負荷生成部により生成される負荷を前記摺動ユニットに伝達する負荷伝達部材と
を備える
トレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニング装置及びそのための摺動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
レール上を摺動するユニット(以下、「摺動ユニット」という)を備え、摺動ユニットにウェイト等により負荷を付与し、ユーザが摺動ユニットに対し負荷に抗う方向に力を加えることにより、ユーザの身体を強化するトレーニング装置がある。
【0003】
摺動ユニットを備えるトレーニング装置のあるものは、摺動ユニットのユーザの身体が触れる部分を軸周りに自在に回転可能とし、その回転する部分(以下、「回転部」という)が基準位置から時計回り、もしくは、反時計回りに回転すると、基準位置に戻す方向に回転部に負荷がかかるように構成されている。
【0004】
上記のような構成を備えるトレーニング装置を記載している特許文献として、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-187317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のトレーニング器具においては、昇降動揺部材(摺動ユニットに相当)が備える負荷伝達部により、昇降動揺部材の摺動に伴い昇降動揺部材にかけられる負荷が、把持部(回転部に相当)に伝達される。
【0007】
特許文献1に記載のトレーニング器具が備える負荷伝達部は、把持部の回転に伴い回転する第1のピニオン、第1のピニオンの回転に伴い回転する第2のピニオン、第1のピニオンと第2のピニオンとに掛け渡された無端のローラーチェーン、第2のピニオンとシャフトで連結された第1の傘歯車、第1の傘歯車の噛み合わされた第2の傘歯車、第2の傘歯車とシャフトで連結されたクランク、クランクに連結された2関節のリンク部材を備える。このリンク部材に、引張部材を介してウェイトが連結されることにより、把持部の回転に対しウェイトによる負荷が与えられる。
【0008】
上述のように、特許文献1に記載のトレーニング器具が備える負荷伝達部は、部品点数が多く、コスト高となる。
【0009】
上記の事情に鑑み、本発明は、従来技術と比較し、部品点数が少ない、もしくは、コスト安な摺動ユニット、及び、当該摺動ユニットを備えるトレーニング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一態様として、レール上を摺動自在に前記レールに取り付けられ、ユーザのトレーニングに伴い前記レール上を摺動する筐体と、前記筐体に回転自在に取り付けられ、トレーニング中の前記ユーザの身体から力を受ける回転部と、前記回転部の回転軸に取り付けられた第1の傘歯車と、前記第1の傘歯車と噛み合う第2の傘歯車と、前記第2の傘歯車の回転に伴い回転するクランクと、前記クランクに一端が連結され、他端が負荷伝達部材に連結された有端のローラーチェーンまたは有端のドライブベルトと、前記ローラーチェーンまたは前記ドライブベルトと噛み合い、前記ローラーチェーンまたは前記ドライブベルトの移動方向を変更するピニオンとを備え、前記クランクは、基準位置からの時計回り及び反時計回りの回転に伴い、付勢されている前記負荷伝達部材を付勢に逆らう方向に移動させるトレーニング装置用の摺動ユニットを提供する。
【0013】
本発明は、他の一態様として、負荷を生成する負荷生成部と、レールと、前記レール上を摺動自在に前記レールに取り付けられた上述の摺動ユニットと、一端が前記負荷生成部に連結され、他端が前記摺動ユニットに連結され、前記負荷生成部により生成される負荷を前記摺動ユニットに伝達する負荷伝達部材とを備えるトレーニング装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来技術と比較し、従来技術と比較し、部品点数が少ない、もしくは、コスト安な摺動ユニット、及び、当該摺動ユニットを備えるトレーニング装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るトレーニング装置の外観を示した図。
図2】第1実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図3】第1実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図4】第1実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図5】第2実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図6】第2実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図7】第2実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図8】第3実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図9】第3実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図10】第3実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図11】第4実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図12】第4実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図13】第4実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図14】第5実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図15】第5実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図16】第5実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図17】第6実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図18】第6実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図19】第6実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図20】第7実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図21】第7実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図22】第7実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図23】第8実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図24】第8実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図25】第8実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図26】第9実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図27】第9実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図28】第9実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図29】第10実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図30】第10実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図31】第10実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図32】第11実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図33】第11実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図34】第11実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図35】第12実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図36】第12実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図37】第12実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図38】第13実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図39】第13実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図40】第13実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図41】第14実施例に係る摺動ユニットの構成を示した図。
図42】第14実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図。
図43】第14実施例に係る摺動ユニットの回転部がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図。
図44】一変形例に係る摺動ユニットが備える変速機の構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態に係るトレーニング装置1を説明する。図1は、トレーニング装置1の外観を示した図である。トレーニング装置1は、自重により負荷を生成するウェイト11(負荷生成部の一例)と、レール12と、レール12上を摺動自在にレール12に取り付けられた摺動ユニット13と、一端がウェイト11に連結され、他端が摺動ユニット13に連結され、ウェイト11により生成される負荷を摺動ユニット13に伝達する負荷伝達部材14と、トレーニング装置1を使用するユーザの臀部と背中を支えるシート15を備える。
【0017】
なお、本願において「レール」とは、直線又は曲線を描く所定の移動経路上を対象物(本願における摺動ユニット)が移動するようにガイドする部材を意味する。
【0018】
ユーザは、シート15に座り、右脚(または左脚)を曲げた状態で、右足裏(または左足裏)を摺動ユニット13の回転部1301に押し当て、負荷伝達部材14を介してウェイト11により図1の右下方向に付勢されている摺動ユニット13を図1の左上方向に押し上げるように、右脚(または左脚)を伸ばす。その際、右脚(または左脚)に負荷がかかる。
【0019】
ユーザは、右脚(または左脚)の屈伸を繰り返すことにより、右脚(または左脚)の筋力の強化等を行うことができる。
【0020】
ユーザによる右脚(または左脚)の屈伸に伴い、右足(または左足)が右脚(または左脚)の屈伸の方向に沿った軸の軸周りに回転する。その右足(または左足)の回転を制限しないように、回転部1301は摺動ユニット13の筐体に対し回転自在に取り付けられている。
【0021】
回転部1301には、回転部1301の基準位置からの時計回り、または、反時計回りの回転に伴い、負荷伝達部材14と、摺動ユニット13が備える負荷伝達機構(後述)とを介して、基準位置に戻す回転方向に、ウェイト11の負荷がかかるように構成されている。
【0022】
そのため、ユーザによる右脚(または左脚)の屈伸に伴う右足(または左足)の回転に対しても、負荷がかかる。この負荷は、右脚(または左脚)のトレーニングの効果を向上させる。
【0023】
以下に、摺動ユニット13が備える負荷伝達機構について説明する。
【0024】
(第1実施例)
図2は、摺動ユニット13の第1実施例の構成を示した図である。以下、第1実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(1)という。
【0025】
摺動ユニット13(1)は、レール12上を摺動自在にレール12に取り付けられ、ユーザのトレーニングに伴いレール12上を摺動する筐体1300と、筐体1300に回転自在に取り付けられ、トレーニング中のユーザの身体から力を受ける回転部1301と、回転部1301の回転軸に取り付けられた傘歯車1302(第1の傘歯車の一例)と、傘歯車1302と噛み合う傘歯車1303(第2の傘歯車の一例)と、傘歯車1303の回転軸に取り付けられ傘歯車1303の回転に伴い回転するクランク1304と、クランク1304と負荷伝達部材14を連結する連結部材1305とを備える。
【0026】
なお、摺動ユニット(1)のクランク1304には、Y方向に見て弧を描くようにY方向に貫通するスリットが設けられており、そのスリットを貫通するピンによってクランク1304と連結部材1305が連結されている。そのため、クランク1304のY方向の軸周りの回転に伴い、ピンがスリット内を自在に移動することにより、クランク1304が連結部材1305を介して負荷伝達部材14をZ方向に移動させる。
【0027】
図2は、回転部1301が基準位置にある状態を示している。この状態において、回転部1301には負荷がかからない。
【0028】
図3は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。この状態において、クランク1304が連結部材1305を介して負荷伝達部材14を付勢に抗する方向に引いているため、回転部1301に対し、反時計回り、すなわち、回転部1301を基準位置に戻す回転方向に、負荷がかかっている。
【0029】
図4は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。この状態においても、クランク1304が連結部材1305を介して負荷伝達部材14を付勢に抗する方向に引いているため、回転部1301に対し、時計回り、すなわち、回転部1301を基準位置に戻す回転方向に、負荷がかかっている。
【0030】
(第2実施例)
図5は、摺動ユニット13の第2実施例の構成を示した図である。以下、第2実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(2)という。
【0031】
図5において、摺動ユニット13(2)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(1)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(1)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0032】
摺動ユニット13(2)は摺動ユニット13(1)と比較し、クランク1304と連結部材1305の形状が異なっている。
【0033】
摺動ユニット13(2)の連結部材1035には、Y方向に見て弧を描くようにY方向に貫通するスリットが設けられた部材(以下、「スリット部材」という)が連結されており、クランク1304が有するY方向に延伸するピンがスリット部材のスリット内を貫通するように、スリット部材にクランク1304が連結されている。そのため、クランク1304のY方向の軸周りの回転に伴い、ピンがスリット内を自在に移動することにより、クランク1304がスリット部材と連結部材1305を介して負荷伝達部材14をZ方向に移動させる。
【0034】
図6は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図7は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0035】
(第3実施例)
図8は、摺動ユニット13の第3実施例の構成を示した図である。以下、第3実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(3)という。
【0036】
図8において、摺動ユニット13(3)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(1)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(1)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0037】
摺動ユニット13(3)もまた、摺動ユニット13(2)と同様に、摺動ユニット13(1)と比較し、クランク1304と連結部材1305の形状が異なっている。
【0038】
摺動ユニット13(3)においては、クランク1304と連結部材1305が部材(以下、「中間部材」という)を介して連結されている。クランク1304と中間部材はY方向の軸周りに回転可能に連結されている。また、連結部材1305と中間部材もまた、Y方向の軸周りに回転可能に連結されている。
【0039】
図9は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図10は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0040】
(第4実施例)
図11は、摺動ユニット13の第4実施例の構成を示した図である。以下、第4実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(4)という。
【0041】
図11において、摺動ユニット13(4)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(1)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(1)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0042】
また、摺動ユニット13(4)は、クランク1304に一端が連結され、他端が連結部材1305を介して負荷伝達部材14に連結された有端のローラーチェーン1306と、ローラーチェーン1306と噛み合い、ローラーチェーン1306の移動方向を変更するピニオン1307を備える。
【0043】
ローラーチェーン1306に代えて、ドライブベルトが用いられてもよい。
【0044】
摺動ユニット13(4)の傘歯車1303と、クランク1304と、ピニオン1307の回転軸は、XY平面に平行であるが、Y方向とX方向のいずれとも平行ではない。すなわち、傘歯車1303と、クランク1304と、ピニオン1307の回転軸は、Z方向に見た場合、X方向及びY方向のいずれに対しても傾いている。このように、Z方向に見た場合のクランク1304等の回転軸をY方向及びX方向に対し傾かせることによって、基準位置にある回転部1301のZ方向に見た長手方向がY方向となり、かつ、回転部1301が基準位置から時計回り、又は、反時計回りに回転したときに、基準位置からの回転角度に応じた負荷が回転部1301にかかるようになる。
【0045】
図12は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図13は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0046】
(第5実施例)
図14は、摺動ユニット13の第5実施例の構成を示した図である。以下、第5実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(5)という。
【0047】
図14において、摺動ユニット13(5)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(1)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(1)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0048】
摺動ユニット13(5)は、傘歯車1303とシャフトで連結されたピニオン1308(第1のピニオンの一例)と、クランク1304と連結されたピニオン1309(第2のピニオンの一例)と、ピニオン1308とピニオン1309とに掛け渡された無端のドライブベルト1310を備える。
【0049】
ドライブベルト1310に代えて、ローラーチェーンが用いられてもよい。
【0050】
摺動ユニット13(1)のクランク1304はY方向の軸周りに回転するのに対し、摺動ユニット13(5)のクランク1304はX方向の軸周りに回転する。
【0051】
摺動ユニット13(5)は連結部材1305を備えず、クランク1304に直接、負荷伝達部材14が連結されている。なお、この実施例に限らず、本発明に係る摺動ユニット13の動力伝達機構は、負荷伝達部材14と、連結部材1305を介して連結されてもよいし、連結部材1305を介さずに連結されてもよい。
【0052】
摺動ユニット(5)においては、X方向の軸周りに回転するクランク1304からX方向に突起するピンに対し、負荷伝達部材14の先端の輪形状に成形された部分が引っ掛けられている。
【0053】
図15は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図16は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0054】
(第6実施例)
図17は、摺動ユニット13の第6実施例の構成を示した図である。以下、第6実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(6)という。
【0055】
図17において、摺動ユニット13(6)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(5)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(5)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0056】
摺動ユニット13(6)は、摺動ユニット13(5)と比較し、クランク1304の形状が異なっている。
【0057】
摺動ユニット(6)においては、X方向の軸周りに回転するクランク1304に設けられたスリット内に、負荷伝達部材14の先端の輪形状に成形された部分が挿入され、その輪形状に成形された部分を貫通するピンによって、クランク1304と負荷伝達部材14が連結されている。
【0058】
図18は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図19は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0059】
(第7実施例)
図20は、摺動ユニット13の第7実施例の構成を示した図である。以下、第7実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(7)という。
【0060】
図20において、摺動ユニット13(7)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(6)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(6)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0061】
摺動ユニット13(7)は、摺動ユニット13(6)と比較し、連結部材1305を備え、クランク1304と負荷伝達部材14が連結部材1305及び中間部材を介して連結されている点が異なっている。
【0062】
図21は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図22は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0063】
(第8実施例)
図23は、摺動ユニット13の第8実施例の構成を示した図である。以下、第8実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(8)という。
【0064】
図23において、摺動ユニット13(8)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(1)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(1)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0065】
摺動ユニット13(8)は、回転部1301の回転に伴い回転するカム1311と、カム1311に接し、カム1311の回転に伴い移動する従動節部材1312と、従動節部材1312を回転自在に保持する軸部材1313を備える。
【0066】
従動節部材1312の一方の端部はカム1311に接し、他方の端部には連結部材1305を介して負荷伝達部材14が連結されている。
【0067】
従動節部材1312は、カム1311に接する点を力点とし、軸部材1313により保持される点を支点とし、連結部材1305を介して負荷伝達部材14が連結されている点を作用点とする梃子を構成する。
【0068】
図24は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図25は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0069】
(第9実施例)
図26は、摺動ユニット13の第9実施例の構成を示した図である。以下、第9実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(9)という。
【0070】
図26において、摺動ユニット13(9)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(8)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(8)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0071】
摺動ユニット13(9)は、回転部1301の回転軸に取り付けられたピニオン1314(第1のピニオンの一例)と、カム1311に取り付けられたピニオン1315(第2のピニオンの一例)と、ピニオン1314とピニオン1315とに掛け渡された無端のドライブベルト1316を備える。
【0072】
ドライブベルト1316に代えて、ローラーチェーンが用いられてもよい。
【0073】
図27は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図28は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0074】
(第10実施例)
図29は、摺動ユニット13の第10実施例の構成を示した図である。以下、第10実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(10)という。
【0075】
図29において、摺動ユニット13(10)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(9)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(9)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0076】
摺動ユニット13(10)は、摺動ユニット13(9)と比較し、カム1311と従動節部材1312の形状が異なっている。
【0077】
図30は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図31は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0078】
(第11実施例)
図32は、摺動ユニット13の第11実施例の構成を示した図である。以下、第11実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(11)という。
【0079】
図32において、摺動ユニット13(11)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(9)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(9)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0080】
摺動ユニット13(11)は、摺動ユニット13(10)と同様に、摺動ユニット13(9)と比較し、カム1311と従動節部材1312の形状が異なっている。
【0081】
図33は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図34は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0082】
(第12実施例)
図35は、摺動ユニット13の第12実施例の構成を示した図である。以下、第12実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(12)という。
【0083】
図35において、摺動ユニット13(12)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(1)または摺動ユニット13(8)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(1)または摺動ユニット13(8)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0084】
摺動ユニット13(12)は、摺動ユニット13(1)と比較し、クランク1304に代えて、カム1311と従動節部材1312を備えている。
【0085】
従動節部材1312は、カム1311に接する点を力点とし、軸部材1313により保持される点を支点とし、連結部材1305を介して負荷伝達部材14が連結されている点を作用点とする梃子を構成する。
【0086】
図36は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図37は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0087】
(第13実施例)
図38は、摺動ユニット13の第13実施例の構成を示した図である。以下、第13実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(13)という。
【0088】
図38において、摺動ユニット13(13)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(12)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(12)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0089】
摺動ユニット13(13)の従動節部材1312はY方向に見て矩形を描く形状をしており、その矩形の内側に、Y方向の軸周りに回転するカム1311が配置されている。摺動ユニット13(13)は、従動節部材1312をZ方向に摺動可能に保持するレール1317を備える。従って、摺動ユニット13(13)の従動節部材1312は、カム1311の回転に伴い、レール1317にガイドされ、Z方向に移動する。
【0090】
図39は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図40は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0091】
(第14実施例)
図41は、摺動ユニット13の第14実施例の構成を示した図である。以下、第14実施例の摺動ユニット13を摺動ユニット13(14)という。
【0092】
図41において、摺動ユニット13(14)が備える構成部のうち、摺動ユニット13(5)が備える構成部と共通又は対応する構成部に関しては、摺動ユニット13(5)において用いられた符号と同じ符号が用いられている。
【0093】
摺動ユニット13(14)は、摺動ユニット13(5)と比較し、クランク1304に代えて、ピニオン1309の回転に伴い回転するピニオン1318と、ピニオン1318を挟み込むように配置されたラック1319(第1のラックの一例)及びラック1320(第2のラックの一例)と、付勢されている負荷伝達部材14に連結された軸部材1321と、ラック1319に連結され、軸部材1321に引っ掛けられたフック1322(第1のフックの一例)と、ラック1320に連結され、軸部材1321に引っ掛けられたフック1323(第2のフックの一例)を備える。
【0094】
回転部1301の時計回りの回転に伴い、ピニオン1318が+X方向に見て基準位置から時計回りに回転すると、ラック1319が+Z方向に移動し、フック1322が軸部材1321を+Z方向、すなわち、負荷伝達部材14の付勢に逆らう方向に引く。その際、ラック1320は-Z方向に移動し、フック1323は軸部材1321からリリースされる。
【0095】
回転部1301の反時計回りの回転に伴い、ピニオン1318が+X方向に見て基準位置から反時計回りに回転すると、ラック1320が+Z方向に移動し、フック1323が軸部材1321を+Z方向、すなわち、負荷伝達部材14の付勢に逆らう方向に引く。その際、ラック1319は-Z方向に移動し、フック1322は軸部材1321からリリースされる。
【0096】
図42は、回転部1301がユーザから見て時計回りに回転した状態を示した図である。また、図43は、回転部1301がユーザから見て反時計回りに回転した状態を示した図である。
【0097】
[変形例]
上述した第1実施形態は本発明の一実施形態であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形され得る。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0098】
(1)本発明に係るトレーニング装置の種類は、図1に示したものに限られない。すなわち、本発明に係るトレーニング装置は、負荷を生成する負荷生成部と、レールと、当該レール上を摺動自在に当該レールに取り付けられた摺動ユニットと、一端が当該負荷生成部に連結され、他端が当該摺動ユニットに連結され、当該負荷生成部により生成される負荷を当該摺動ユニットに伝達する負荷伝達部材とを備えるトレーニング装置である限り、いずれの種類のトレーニング装置であってもよい。
【0099】
それらのトレーニング装置には、例えば、ユーザが左腕または右腕を屈伸等する際に左腕または右腕に負荷を与えるトレーニング装置、ユーザが左腕および右腕の両方を同時に屈伸等する際に左腕および右腕の各々に負荷を与えるトレーニング装置、ユーザが左脚または右脚を屈伸等する際に左脚または右脚に負荷を与えるトレーニング装置、ユーザが左脚および右脚の両方を同時に屈伸等する際に左脚および右脚の各々に負荷を与えるトレーニング装置、などが含まれる。
【0100】
(2)図に示したトレーニング装置1または摺動ユニット13を構成する部材の形状、大きさ、配置等は一例であって、様々に変更されてよい。
【0101】
(3)回転部1301が基準位置から時計回り及び反時計回りに所定角度だけ回転した場合の負荷伝達部材14の移動量を変化させる変速機を備えてもよい。その場合、摺動ユニット13が備える変速機の種類はいずれの種類であってもよい。例えば、摺動ユニット13が備える変速機は、有段変速機、無段変速機のいずれであってもよい。また、摺動ユニット13が備える変速機は、機械式、流体式、電気式等のいずれであってもよい。
【0102】
図44は、この変形例に係る変速機の一例を示した図である。図44に示す変速機131は、例えば、図14図17図20に示した摺動ユニット13(5)、摺動ユニット13(6)、摺動ユニット13(7)が備えるピニオン1309に代えて採用される。
【0103】
変速機131は、歯数が異なる3枚のピニオン、すなわち、ピニオン1309(1)、ピニオン1309(2)、ピニオン1309(3)と、それら3枚のピニオンのうち、ドライブベルト1310が噛み合うピニオンを変更するディレイラ1324を備える。なお、変速機131が備えるピニオンの数は3枚に限られない。
【0104】
ディレイラ1324は、ユーザの操作に応じて図の左右方向に伸縮する本体13241と、本体13241の伸縮に伴いドライブベルト1310を図44の左右方向に移動させるガイドプレート13242を備える。
【0105】
図44(A)はドライブベルト1310がピニオン1309(1)と噛み合っている状態を示し、図44(B)はドライブベルト1310がピニオン1309(3)と噛み合っている状態を示している。
【0106】
回転部1301が基準位置から時計回り、または、反時計回りに、所定角度だけ回転し、その回転に伴いドライブベルト1310が所定距離だけ移動した場合に、ドライブベルト1310に駆動されてピニオン1309(1)~1309(3)の各々が回転する場合の回転数は、それらのピニオンの歯数に反比例する。すなわち、ドライブベルト1310が所定距離だけ移動した際に、歯数が最も少ないピニオン1309(1)の回転数が最も多く、歯数が最も多いピニオン1309(3)の回転数が最も少なくなる。従って、回転部1301を基準位置から所定角度だけ回転させた場合に、回転部1301にかかる負荷は、ドライブベルト1310がピニオン1309(1)と噛み合っている状態(図44(A))において最大となり、ドライブベルト1310がピニオン1309(3)と噛み合っている状態(図44(B))において最小となる。
【符号の説明】
【0107】
1…トレーニング装置、11…ウェイト、12…レール、13…摺動ユニット、14…負荷伝達部材、15…シート、131…変速機、1300…筐体、1301…回転部、1302…傘歯車、1303…傘歯車、1304…クランク、1305…連結部材、1306…ローラーチェーン、1307…ピニオン、1308…ピニオン、1309…ピニオン、1310…ドライブベルト、1311…カム、1312…従動節部材、1313…軸部材、1314…ピニオン、1315…ピニオン、1316…ドライブベルト、1317…レール、1318…ピニオン、1319…ラック、1320…ラック、1321…軸部材、1322…フック、1323…フック、1324…ディレイラ、13241…本体、13242…ガイドプレート。
【要約】
【課題】従来技術と比較し、部品点数が少ない摺動ユニット、もしくは、コストの安価な摺動ユニット、及び、当該摺動ユニットを備えるトレーニング装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る摺動ユニット13は、トレーニング装置のレール上に摺動自在に取り付けられ、ユーザのトレーニングに伴いレール上を摺動する筐体1300と、筐体1300に回転自在に取り付けられ、トレーニング中のユーザの身体から力を受ける回転部1301と、回転部1301の回転軸に取り付けられた傘歯車1302と、傘歯車1302と噛み合う傘歯車1303と、傘歯車1303の回転軸に取り付けられ傘歯車1303の回転に伴い回転するクランク1304と、クランク1304と負荷伝達部材14を連結する連結部材1305とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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