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特許7677685工事写真台帳作成支援システムおよび工事写真台帳作成支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】工事写真台帳作成支援システムおよび工事写真台帳作成支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20250508BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024155345
(22)【出願日】2024-09-09
(65)【公開番号】P2025051624
(43)【公開日】2025-04-04
【審査請求日】2024-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2023159293
(32)【優先日】2023-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523019538
【氏名又は名称】verbal and dialogue株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】森川 善基
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012201(JP,A)
【文献】特開2022-170154(JP,A)
【文献】特開2017-215850(JP,A)
【文献】特開2007-325292(JP,A)
【文献】特開2021-140322(JP,A)
【文献】特開2017-054324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳をフレームIDデータと工事現場で撮影される予定の写真画像データに付与しておく写真IDデータとを関連付けて作成するブランク台帳作成部を備え、工事写真台帳の作成を支援する工事写真台帳作成支援システムであって、
工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の工事設備に対して工事設備IDデータと当該工事設備に関する情報を関連付けて管理する工事設備管理部と、
前記工事現場を撮影した前記写真画像データに写り込んだ、前記工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用されている現実の工事設備を画像認識して前記工事設備IDデータを取得する画像認識部を備え、
前記画像認識部が、前記写真画像データに写り込んだ現実に使用されている前記工事設備の画像認識により前記工事設備IDデータを取得し、
前記フレームに対して、前記フレームIDデータに対応付けられている前記写真IDデータをもとに前記写真画像データの所定箇所への貼付処理とともに、前記画像認識部により取得された前記工事設備IDデータと当該工事設備に関する情報も前記フレームに対して併せて記録処理を行って前記工事写真台帳を作成する工事写真台帳作成部を備えた工事写真台帳作成支援システム。
【請求項2】
前記画像認識部が、建設工事に関連する多種多様な工事設備の画像を学習させた工事設備画像学習済み画像認識AIシステムを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の工事写真台帳作成支援システム。
【請求項3】
前記工事写真台帳作成部による前記記録処理において、前記工事設備に割り付けたアイコンまたはリンク情報を、前記工事写真台帳の各々の前記フレームの所定位置に表示する、または、前記写画像データ中の前記工事設備の画像領域部分に表示し、前記アイコンや前記リンク情報への表示操作により前記工事設備に関する情報が表示される表示処理部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の工事写真台帳作成支援システム。
【請求項4】
前記工事写真台帳の作成に直接必要とされ前記工事現場で収集される前記写真画像データとは別に、必要とされ得る可能性がある前記工事現場周辺の天候情報、地震情報、イベント情報、物流情報、決済情報を含む諸情報を収集する情報収集機能拡張部を備え、
前記工事写真台帳作成部が前記工事写真台帳の作成にあたり、前記情報収集機能拡張部から得た前記諸情報を用いて前記工事写真台帳を作成する請求項1から3のいずれかに記載の工事写真台帳作成支援システム。
【請求項5】
前記工事写真台帳作成部がコンピューターネットワーク上のクラウドシステムに設けられており、
前記工事写真台帳作成部が、前記コンピューターネットワークを介した前記クラウドシステムへのアップロードにより前記写真画像データを受け取る通信機能を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の工事写真台帳作成支援システム。
【請求項6】
建設工事の開始前に当該工事にかかる施工図データおよび工程表データの入力を受ける工事データ入力部と、工事写真台帳の内容の設定担当者によって前記施工図データをもとに工事現場の撮影ポイントおよび撮影対象物の設定入力と、前記工程表データをもとに撮影日時の設定入力を受ける撮影内容指定部と、前記撮影内容指定部の入力にしたがって前記工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳を作成するブランク台帳作成部を備えた工事写真台帳計画構築部と、
前記工事中に写真撮影担当者が携帯している撮影装置または撮影機能付きの通信機器の表示部に、所定の前記撮影日時、所定の前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物の写真撮影の指示内容を表示して前記写真撮影を支援する写真撮影支援部と、
前記工事写真台帳作成部が、前記写真画像データを前記ブランク台帳の中の該当する前記埋設フレームに埋設するとともに、前記写真画像データから取得された情報を併せて記録した前記工事写真台帳を作成することを特徴とする請求項5に記載の工事写真台帳作成支援システム。
【請求項7】
前記工事写真台帳計画構築部の前記ブランク台帳作成部が作成した前記ブランク台帳の各々の前記埋設フレームにはそれぞれユニークな前記フレームIDデータが設けられており、
前記写真撮影支援部が撮影日時情報、前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物に対してユニークな写真IDデータを割り当て、
前記写真撮影支援部により支援されて撮影された各々の前記写真画像データには前記写真IDデータが紐づけられ、
前記工事写真台帳作成部が、前記フレームIDデータに対応する前記写真IDデータとの対応関係データを保持しており、
前記工事写真台帳作成部が、アップロードされた前記写真画像データを受け、前記写真IDデータに基づいて前記ブランク台帳のうち対応する前記フレームIDデータをもつ前記埋設フレームに埋設してゆくことを特徴とする請求項6に記載の工事写真台帳作成支援システム。
【請求項8】
前記ブランク台帳作成部が、複数の標準化された前記工事に関する前記工事写真台帳の前記ブランク台帳を格納した標準ブランク台帳データベースと、権限者または前記設定担当者が、前記標準ブランク台帳データベースから適切な前記標準ブランク台帳を選択する標準ブランク台帳選択部を備え、
前記選択にかかる前記標準ブランク台帳に対して、特定の前記工事にかかる前記施工図データおよび前記工程表データに基づいて、前記設定担当者が必要なチューニングを前記ブランク台帳作成部を介して行い、当該特定の前記工事にかかる前記ブランク台帳を作成することを特徴とする請求項7に記載の工事写真台帳作成支援システム。
【請求項9】
コンピュータに、
工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳について、各々の前記埋設フレームに割り当てたフレームIDデータと、工事現場で写真撮影される予定の写真データに割り当てた写真IDデータとを関連付けて作成するブランク台帳作成処理ステップと、
工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の工事設備に対して工事設備IDデータと当該工事設備に関する情報を関連付けて管理する工事設備管理処理ステップと、
前記工事現場を撮影した前記写真画像データに写り込んだ、前記工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用されている現実の工事設備を画像認識して前記工事設備IDデータを取得する画像認識処理ステップを備え、
前記フレームに対して、前記フレームIDデータに対応付けられている前記写真IDデータをもとに前記写真画像データの所定箇所への貼付処理とともに、前記画像認識処理ステップにおいて取得された前記工事設備の前記工事設備IDデータも前記フレームに対して併せて記録処理を行って前記工事写真台帳の作成を支援する工事写真台帳作成処理ステップを実行させる工事写真台帳作成支援プログラム。
【請求項10】
前記ブランク台帳作成処理ステップが、建設工事の開始前に当該工事にかかる施工図データおよび工程表データの入力を受ける工事データ入力ステップと、工事写真台帳の内容の設定担当者によって前記施工図データをもとに工事現場の撮影ポイントおよび撮影対象物の設定入力ステップと、前記工程表データをもとに撮影日時の設定入力を受ける撮影内容指定ステップと、前記撮影内容指定ステップの入力にしたがって前記工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳を作成するブランク台帳作成ステップを備えた工事写真台帳計画構築処理ステップにより前記ブランク台帳を作成処理することを実行させるものである請求項9に記載の工事写真台帳作成支援プログラム。
【請求項11】
前記工事中に写真撮影担当者が携帯している撮影装置または撮影機能付きの通信機器の表示部に、所定の前記撮影日時、所定の前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物の写真撮影の指示内容を表示して前記写真撮影を支援する写真撮影支援処理ステップを備え、
前記ブランク台帳作成処理ステップにおいて、前記写真IDデータとして、撮影日時情報、前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物に対してユニークな写真IDデータが割り当てられ、
前記写真撮影支援処理ステップにおいて支援されて撮影された各々の前記写真画像データには前記写真IDデータが紐づけられ、
前記工事写真台帳作成処理ステップにおいて、前記フレームIDデータに対応する前記写真IDデータとの対応関係データを保持しており、
前記工事写真台帳作成処理ステップにおいて、アップロードされた前記写真画像データを受け、前記対応関係データに基づいて前記ブランク台帳のうち対応する前記フレームID対応関係データをもつ前記埋設フレームに埋設してゆくことをを実行させること特徴とする請求項10に記載の工事写真台帳作成支援プログラム。
【請求項12】
前記工事写真台帳作成処理ステップによる前記記録処理において、前記工事設備に割り付けたアイコンまたはリンク情報を、前記工事写真台帳の各々の前記フレームの所定位置に表示する、または、前記写画像データ中の前記工事設備の画像領域部分に表示し、前記アイコンへの表示操作により前記工事設備に関する情報が表示される情報表示処理を実行することを特徴とする請求項9に記載の工事写真台帳作成支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション、オフィスビル、トンネル、橋梁、道路、港湾、駅などの構造物に関する建設工事や土木工事、船舶やタービン等の大規模機械装置の製作などにおいて報告書に含まれる工事写真台帳の作成を支援するための工事写真台帳作成支援システムおよび工事写真台帳作成支援プログラムに関する。
本発明の工事写真台帳作成支援システムが適用され得る工事とは、建設工事に限らず、大規模機械装置の組み立てや設置など、事前に工程が計画的に立案され得るものであれば広く適用することができる。
【背景技術】
【0002】
建設工事や土木工事や道路工事や大規模機械装置の組み立てや設置などにおいて、工事の途中の各段階で現場の工事状況の写真を撮影し、その各々の写真画像データを日時などのデータと関連付けて記録しておき、報告書を作成するときは、進捗日時、現場の撮影箇所などのデータを入力すると共に、その各写真の説明文を入力することにより、写真付きの工事管理台帳を作成し、これらを纏めて報告書を提出することが求められている。
【0003】
従来の工事現場などでは、工事名、工種、測点略図、工事の進行状況などを黒板に記述し、現場のシーンに黒板を含ませるように撮影を行い、撮影を行うことにより得られた画像によりどの工事現場のどの撮影写真であるかを確認していることが多かった。つまり、工事現場は類似するシーンが多く、かつ、工事現場では仕分けできないため、何の手掛かりもなく漫然と現場での写真画像を撮影してしまうと後日に写真画像に写り込んだものが何時のどのシーンか分かりづらく不明確になるおそれがあるので、写真画像中に一緒に写り込ませた黒板に記述された内容を手掛かりに確認することにより、撮影画像の日時や内容を特定していた。
このように写真画像中に一緒に写り込ませた黒板に記述された内容を手掛かりに撮影画像の日時や内容を特定し、それらの写真を現像して手作業にて貼り付けることにより工事写真台帳を作成し、報告書としてまとめていた。
【0004】
このように工事写真台帳の作成作業はいわゆる後作業となり、工事現場から事務所に戻った現場監督や担当者が、現場で撮影してカメラ内に保存されている写真画像から該当する写真画像を探し当て、その写真画像に対して種々の情報を付随させて編集を行って工事写真台帳(工事写真アルバム)を作成し、作成された工事写真台帳に基づいて工事内容の報告などを行っていた。
従来技術において、工事現場における施工状況の写真撮影を支援し、撮り忘れの防止などを通知するシステムはあるが、最終的に作成すべき工事写真台帳の作成作業を当初から意図して工事現場において撮影すべき施工状況を計画的にスケジュールすることについて明に示したものはない。特に、施主の希望や、設計に携わった者の設計思想や、設計図を基に、設計段階から最終的に作成すべき工事写真台帳の作成作業を当初から見込んで撮影すべき施工状況を計画的にスケジュールするものはなかった。
【0005】
【文献】特開2000-165786号公報
【文献】特開2013-125535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般に建設工事現場における工程は数百工程に及び施工図も多数に及ぶため、現場作業者が各工程における施工現場で撮影すべき写真画像を漏れなく撮影することは困難である。建設工事現場において複数の工程が同日に同時進行することも多く、新たな鉄筋の敷設、新たな型枠の搬入、新たなコンクリートやセメント資材の打設、新たな装備品の設置などがあり得るので作業中および作業後の写真を漫然と撮影するだけでは、画像データが乱雑になり、撮り忘れ、二重撮影などのミスが起こりやすい。
また、工事現場毎に工程あるいは工種が種々変化し得ることを考えると、現場作業者が全ての工事現場において全ての工程における工事現場画像を漏れなく撮影することは極めて困難である。
【0007】
また、工事写真台帳の作成作業は工事現場から事務所に戻った現場監督や担当者によるいわゆる後作業であり、画像中に写り込んでいる黒板の内容を手掛かりとして、カメラ内に保存されている現場で撮影された写真画像から該当する写真画像を探し当て、その写真画像に対して種々の情報を付随させて編集を行って工事写真台帳を作成することは時間がかかり、負荷が大きいものであった。つまり、写真画像データを工事段階に応じて適切に仕分けする作業に膨大な人的労力が必要になってしまう。
また、これら作業を現場監督や担当者に任せるとしても、工事現場の各工程や施工図を把握できる能力を有するとともに、コンピュータおよびデジタルカメラの写真画像データの加工作業にも精通する人材を確保することは難しい。このように現場監督や担当者の力量に依存した状況を放置すれば、一定の品質を保った工事写真台帳の作成、報告書の作成が担保できない。
【0008】
現在は工事現場において、作業に従事する工事作業者の人員確保が大変となっており、今後ますます人材不足に陥ることが危惧されている。少ない人員で作業をこなすため現場監督、工事作業者、撮影担当者が過重労働となっている現実がある。
そこで、少しでも現場監督、工事作業者、担当者の負荷を軽減することが要求されている。この後作業となる工事写真台帳の作成作業の負荷が軽減されることは重要である。
【0009】
次に、施主の希望や、設計に携わった者の設計思想や、設計図を基に各々の施工図を作成して各工程の工程表を展開した工程管理者の管理思想に基づいて必要となる写真画像データ群と、工事の施工現場での施工工事を担当する現場監督や撮影担当者が撮影する写真画像データ群とが合致しておらず、報告された工事写真台帳や報告書が、施主や設計者や工事管理者が求めている内容とは一部乖離してしまうこともあった。つまり、工事請負会社の現場監督や撮影担当者が撮影目的や撮影の意図が十分に理解できていないと、施主や工事設計者や工程管理者が要求している工事写真台帳とならない可能性もある。
【0010】
また、ある施工現場のある個所の写真を撮影するのを忘れてしまうと、現場の工事が日々進行してしまうので、必要な写真を撮り直すことができないという問題が発生する。
さらに、撮影された写真画像を後作業で編集する際には、実際に写真を撮影した撮影者がその場で感じた注意事項や申し送り事項を付したい場合があり、その場でそれら注意事項や申し送り事項を付すことが出来なければ、後編集を行う際に、実際に撮影を行った者に確認しないと報告書上の重要事項が分からないという事態も生じ得るため、工事写真台帳を外注にて編集させる行うことが困難となる場合もあり得る。
【0011】
本発明者である森川善基は、工事写真台帳の作成負荷を軽減する技術を開発する中で、撮影現場における撮影時に併せて撮影される黒板に注目した。黒板の記載内容は必要な最低限の情報が書かれているのでこの黒板の情報を工事写真台帳の作成に反映させることが有益である。
【0012】
しかし、一般の文字認識ソフトを場合には改善すべき点がある。それは、一般の文字認識ソフトでは一般に必要となる多様な単語データやその文字パターンを多数搭載されているが、一般の文字認識ソフトを用いると、多様な単語データやその文字パターンも照合処理に用いてしまうため、かえって誤認識が生じる事実に気付いた。つまり、黒板に書かれている文字は、すべて建設工事現場で用いられる単語である。専門用語や省略語も多いがその語彙は限られている。そこで、一般の文字認識ソフトを用いるのではなく、建設工事現場で用いられる単語、専門用語、省略語を強化し、建設工事にはおよそ用いられない他の単語については搭載しないか、または、正解候補から外すという工夫をした方が誤認識を減少できる可能性に気付いた。
【0013】
また、本発明者である森川善基は、工事写真台帳において、工事現場に所定日時の所定場所に搬入され、撮影画像に写り込んでいる工事資材や工事設備について画像認識することによる大きなメリットにも気付いた。工事写真台帳にはそれら工事資材や工事設備に関する情報も記載されておれば価値が向上するが、その入力が現場での手作業の入力や、作業終了後の手作業の後作業で入力されており、誤入力も生じやすく、作業員の負荷も大きかった。撮影画像を画像認識することにより、この工事資材や工事設備の入力作業を省力できる可能性に気付いた。
【0014】
また、本発明者である森川善基は、工事写真台帳の作成において、日々の建設工事作業の当日には収集していない情報で、後から工事発注者から求められる情報があり得ることに気付いた。つまり、工事写真台帳の作成のために必須情報として収集する情報に加え、後日役立ちそうな情報を併せて収集させておくことに価値があることに気付いた。あらゆる情報を先回りして収集することは困難であると考えられるが、生成AIシステムなどにより併せて収集させておくという工夫に価値を見出した。例えば、雨や雪や湿度・温度などの天候情報は現行の工事台帳の必須の情報ではないが、コンクリートの乾きなどを分析するため後日、求められる場合がある。それら情報も先回りして収集するよう機能拡張することも考えた。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑み、施主や設計者や工程管理者が求めている内容の工事写真台帳を作成するため、設計図や施工図の作成時に工事写真台帳に求める内容を明確化するとともに、また、工事現場で指定された写真を撮影するだけで工事写真台帳が自動的に生成され、現場監督、工事作業者の負荷を軽減できる工事写真台帳作成支援システムおよび工事写真台帳作成支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の工事写真台帳の作成を支援する工事写真台帳作成支援システムは、工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳をフレームIDデータと工事現場で撮影される予定の写真画像データに付与しておく写真IDデータとを関連付けて作成するブランク台帳作成部を備え、工事写真台帳の作成を支援する工事写真台帳作成支援システムであって、工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の工事設備に対して工事設備IDデータと当該工事設備に関する情報を付与しておく工事設備管理部と、前記工事現場を撮影した前記写真画像データに写り込んだ、前記工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用されている現実の工事設備を画像認識して前記工事設備IDを取得する画像認識部を備え、前記画像認識部が、前記写真画像データに写り込んだ現実に使用されている前記工事設備の画像認識により前記工事設備IDデータを取得し、前記フレームに対して、前記フレームIDデータに対応付けられている前記写真IDデータをもとに前記写真画像データの所定箇所への貼付処理とともに、前記画像認識部により取得された前記工事設備IDデータと当該工事設備に関する情報も前記フレームに対して併せて記録処理を行って前記工事写真台帳を作成する工事写真台帳作成部を備えた工事写真台帳作成支援システムである。
上記構成により、工事名、工種、測点略図、工事の進行状況などに加え、工事現場に搬入されている工事設備について写真撮影時に一緒に撮影し、写真画像中に含ませ、その工事設備を画像認識部により認識することにより、工事写真台帳に工事設備の認識結果の記載を書き込むことができ、写真画像データとともに工事設備の内容が端的に理解できるよう記載される有益な工事写真台帳が得られる。
【0017】
なお、前記画像認識部が、建設工事に関連する多種多様な工事設備の画像を学習させた工事設備画像学習済み画像認識AIシステムを用いて画像認識を行うことも可能である。
一般の画像認識ソフトは、一般に必要となる多様な画像データや画像パターンを多数搭載されており、一般の画像認識ソフトを用いると、建設工事とは関連がない多様な物体の画像データや画像パターンを照合処理に用いてしまうため、かえって誤認識が生じ得るところ、建設工事に使用される工事設備は、建設工事現場で用いられる特定の対象物に限られており、建設工事現場で用いられる工事設備の画像データや画像パターンを強化した建設工事設備画像学習済み画像認識AIシステムを用いれば好適である。当該画像認識AIシステムでは建設工事にはおよそ用いられない他の対象物の画像データや画像パターンについては搭載しないか、または、正解候補から外すという工夫をすれば誤認識を減少できる。
【0018】
次に、さらに、上記工事写真台帳作成支援システムにおいて、工事写真台帳作成部による前記記録処理において、前記工事設備に割り付けたアイコンまたはリンク情報を、前記工事写真台帳の各々の前記フレームの所定位置に表示する、または、前記写画像データ中の前記工事設備の画像領域部分に表示し、前記アイコンへの表示操作により前記工事設備に関する情報が表示される表示処理部を備えた構成であることができる。
上記構成により、作成された工事写真台帳について閲覧するとき、閲覧者が写真に写り込んでいる工事設備がどのような設備であるかを確認したい場合、表示処理部によりフレームの所定位置や写画像データ中の工事設備の画像領域部分に表示されているアイコンまたはリンク情報が表示されており、当該アイコンまたはリンク情報に対する表示操作を行うことにより、工事設備に関する情報が表示されて工事設備の内容を確認することができる。
なお、ここで、工事設備に関する情報は、限定されないが、例えば、工事設備の名称、工事設備の型番、工事設備の仕様やマニュアル、工事設備の製造元や供給元、工事設備のリース情報、工事設備を稼働するための資格、工事設備の重量やサイズのいずれかまたはそれらの組み合わせを含むものである。なお、表示はプルダウンメニューとして整理されていることも好ましい。
【0019】
次に、上記構成の工事写真台帳作成支援システムにおいて、さらに、建設現場にある工事設備だけではなく、建設現場に持ち込まれた資材について行うこともできる。
上記構成において、前記工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の資材に対して資材IDを付与する工事資材管理部と、前記写真画像データに写り込んだ、前記工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される資材を画像認識して前記資材IDを取得する画像認識部を備え、前記工事写真台帳作成部が、前記写真画像データの所定箇所への前記貼付処理、前記黒板の前記記載情報の記録処理、前記資材の前記画像認識の前記資材IDの記録処理を行って前記工事写真台帳を作成することも可能である。
上記構成により、工事写真台帳において記録が求められる資材に関する情報、つまり、工事現場に所定日時の所定場所に搬入され、撮影画像に写り込んでいる工事資材や工事設備について画像認識することにより、工事写真台帳の効率的な作成が可能となる。
【0020】
なお、工事設備の場合と同様、前記画像認識部による前記資材に対する前記資材IDの画像認識処理を、前記建設工事に関連する前記資材の画像を学習させた画像認識AIシステムを用いて行うことができる。
一般の画像認識ソフトは、一般に必要となる多様な画像データや画像パターンを多数搭載されており、一般の画像認識ソフトを用いると、建設工事とは関連がない多様な物体の画像データや画像パターンを照合処理に用いてしまうため、かえって誤認識が生じ得るところ、建設工事に使用される資材は、建設工事現場で用いられる特定の対象物に限られており、建設工事現場で用いられる資材の画像データや画像パターンを強化した建設工事画像学習済み画像認識AIシステムを用いる。当該画像認識AIシステムでは建設工事にはおよそ用いられない他の対象物の画像データや画像パターンについては搭載しないか、または、正解候補から外すという工夫をすれば誤認識を減少できる。
【0021】
次に、前記工事現場において音声入力機能付きの撮影装置または通信機器により入力された音声入力データを受け、前記音声入力データを音声認識して音声入力情報を取得する音声認識部を備え、前記工事写真台帳作成部が、前記画像認識部により取得された前記黒板の前記記載情報とともに、前記音声認識部により取得された音声入力情報を記録した前記工事写真台帳を作成することも好ましい。
上記構成により、撮影に際して付したい注意事項や申し送り事項などのコメントも撮影現場でテキスト入力または音声入力でき、工事写真台帳の作成の負荷を低減できる。
【0022】
なお、前記音声認識部による前記音声認識処理を、前記建設工事に関する用語を学習させた建設工事用語学習済み音声認識AIシステムを用いて行うことが好ましい。
一般の音声認識ソフトであれば、認識対象となる一般用語が多すぎてかえって誤認識が多くなるおそれがあるところ、音声入力される用語は建設工事に関する用語を中心としたものに限定されるので、建設工事に関する用語を学習した建設工事用語学習済み音声認識AIシステムであれば、音声認識正解率が向上する。
【0023】
次に、上記構成において、構築した前記ブランク台帳の作成に直接必要とされ収集される前記工事に関する前記写真画像データとは別に、必要とされ得る可能性がある前記工事現場周辺の天候情報、地震情報、イベント情報、物流情報、決済情報を含む諸情報を収集する情報収集機能拡張部を備え、前記工事写真台帳作成部が前記情報収集機能拡張部から得た前記諸情報を用いて前記工事写真台帳を作成することが好ましい。
上記構成により、工事写真台帳の作成において、日々の建設工事作業の当日には収集していない情報で、後から工事発注者から求められる情報を収集して利用することができる。あらゆる情報を先回りして収集することは困難であると考えられるが、建設工事に関する情報に絞って、過去に役に立った情報などを生成AIシステムなどにより学習して併せて収集させておくことが好ましい。例えば、雨や雪や湿度・温度などの天候情報は現行の工事台帳の必須の情報ではないが、コンクリートの乾きなどを分析するため後日、求められる場合がある。それら情報も先回りして収集するよう機能を拡張できる。
【0024】
また、前記工事写真台帳作成部がコンピューターネットワーク上のクラウドシステムに設けられており、前記工事写真台帳作成部が、前記コンピューターネットワークを介した前記クラウドシステムへのアップロードにより前記写真画像データを受け取る通信機能を備えていることが好ましい。
【0025】
上記構成の工事写真台帳作成支援システムにおいて、さらなら工夫として、以下の構成とすることもできる。
それは、建設工事の開始前に当該工事にかかる施工図データおよび工程表データの入力を受ける工事データ入力部と、工事写真台帳の内容の設定担当者によって前記施工図データをもとに工事現場の撮影ポイントおよび撮影対象物の設定入力と、前記工程表データをもとに撮影日時の設定入力を受ける撮影内容指定部と、前記撮影内容指定部の入力にしたがって前記工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳を作成するブランク台帳作成部を備えた工事写真台帳計画構築部と、前記工事中に写真撮影担当者が携帯している撮影装置または撮影機能付きの通信機器の表示部に、所定の前記撮影日時、所定の前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物の写真撮影の指示内容を表示して前記写真撮影を支援する写真撮影支援部と、前記工事写真台帳作成部が、前記写真画像データを前記ブランク台帳の中の該当する前記埋設フレームに埋設するとともに、前記写真画像データから取得された情報を併せて記録した前記工事写真台帳を作成する工事写真台帳作成部を備えた構成である。
【0026】
上記構成により、工事開始前にすでに作成すべき工事写真台帳としての写真画像データの埋設フレームが集まったブランク台帳が得られることとなり、工事現場では、日々の施工において指定されている撮影を行うだけで写真画像データがブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設されてゆき、工事写真台帳が自動的に作成されてゆく。現場の現場監督や撮影担当者の負荷が大きく低減され、さらに、あらかじめ撮影ポイント、撮影日時、撮影対象が計画されており、それらが現場の現場監督や撮影担当者がそれら計画内容を的確に確認しながら撮影するため、いわゆる撮り忘れや撮り漏れなどがなくなる。
【0027】
ここで、上記のブランク台帳を用いる工夫の構成において、撮影した写真画像データを効率的で正確にブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設する処理に資するものとして、工事写真台帳計画構築部が作成した前記ブランク台帳の各々の前記埋設フレームにはそれぞれユニークなフレームIDが設けられており、さらに、工事写真台帳計画構築部が撮影日時情報、撮影ポイントおよび撮影対象物ごとにユニークに割り当てられている写真IDをあらかじめ設定し、写真撮影支援部に対してこの写真IDを通知しておくことが好ましい。
上記構成により、工事現場において、写真撮影支援部により支援されて撮影された各々の写真画像データにはユニークな写真IDが紐づけられることとなる。工事写真台帳作成部がフレームIDに対応する写真IDとの対応関係データを保持しておれば、工事写真台帳作成部は、工事の進捗に伴ってアップロードされてくる写真画像データを受け、写真IDに基づいてブランク台帳のうち対応するフレームIDをもつ埋設フレームに埋設してゆくことができる。工事写真台帳作成部が保持している対応関係データをもとに、埋設フレームのフレームIDと写真画像データの写真IDを手掛かりに両者を合致させれば、あらかじめ計画されたとおりに撮影した写真画像データを効率的で正確にブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設できる。
【0028】
ここで、工事写真台帳作成支援システムの上記構成において、前記工事写真台帳作成部がコンピューターネットワーク上のクラウドサーバーに設けられており、前記写真撮影支援部が前記撮影にかかる前記写真画像データを前記コンピューターネットワーク上の前記クラウドサーバーにアップロードする通信機能を備えている構成が可能である。
上記構成により、現場監督、撮影担当者、工事作業者は、所定の撮影ポイントで写真を撮影するだけで良く、写真画像データがネットワーク上のクラウドサーバーにアップロードされ、逐次、自動的に写真画像データがブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設されてゆく。つまり、後作業というものがなくなる。
さらに、前記ブランク台帳作成部が、複数の標準化された前記工事に関する前記工事写真台帳の前記ブランク台帳を格納した標準ブランク台帳データベースと、前記権限者または前記担当者が、前記標準ブランク台帳データベースから適切な前記標準ブランク台帳を選択する標準ブランク台帳選択部を備え、前記選択にかかる前記標準ブランク台帳に対して、特定の前記工事にかかる前記施工図データおよび前記工程表データに基づいて、前記設定担当者が必要なチューニングを前記ブランク台帳作成部にて行い、当該特定の前記工事にかかる前記ブランク台帳を作成することが好ましい。
上記構成により、ブランク台帳作成部におけるブランク台帳の作成が効率的に行うことができ、かつ、過去の作成において評価が高く実績がある標準ブランク台帳を使用することができ、設定担当者はチューニングを行うことで特定工事に適したブランク台帳の作成が効率的に行える。
【0029】
本発明にかかる工事写真台帳作成支援システムは、下記のようにコンピュータにインストール可能な工事写真台帳作成支援プログラムとして提供することができる。
工事写真台帳作成支援プログラムは、コンピュータに、工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳について、各々の前記埋設フレームに割り当てたフレームIDデータと、工事現場で写真撮影される予定の写真データに割り当てた写真IDデータとを関連付けて作成するブランク台帳作成処理ステップと、工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の工事設備に対して工事設備IDデータを付与する工事設備管理処理ステップと、前記工事現場を撮影した前記写真画像データに写り込んだ、前記工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用されている現実の工事設備を画像認識して前記工事設備IDデータを取得する画像認識処理ステップを備え、前記フレームに対して、前記フレームIDデータに対応付けられている前記写真IDデータをもとに前記写真画像データの所定箇所への貼付処理とともに、前記画像認識処理ステップにおいて取得された前記工事設備の前記工事設備IDデータも前記フレームに対して併せて記録処理を行って前記工事写真台帳の作成を支援する工事写真台帳作成処理ステップを実行させる工事写真台帳作成支援プログラムである。
【0030】
上記構成のプログラムにおいて、前記ブランク台帳作成処理ステップが、建設工事の開始前に当該工事にかかる施工図データおよび工程表データの入力を受ける工事データ入力ステップと、工事写真台帳の内容の設定担当者によって前記施工図データをもとに工事現場の撮影ポイントおよび撮影対象物の設定入力ステップと、前記工程表データをもとに撮影日時の設定入力を受ける撮影内容指定ステップと、前記撮影内容指定ステップの入力にしたがって前記工事写真台帳において所定の写真画像データが埋設される埋設フレームが集まったブランク台帳を作成するブランク台帳作成ステップを備えた工事写真台帳計画構築処理ステップにより前記ブランク台帳を作成処理することを実行させるものである。
さらに、上記構成のプログラムにおいて、前記工事中に写真撮影担当者が携帯している撮影装置または撮影機能付きの通信機器の表示部に、所定の前記撮影日時、所定の前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物の写真撮影の指示内容を表示して前記写真撮影を支援する写真撮影支援処理ステップを備え、前記ブランク台帳作成処理ステップにおいて、前記写真IDデータとして、前記撮影日時情報、前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物に対してユニークな写真IDデータが割り当てられ、前記写真撮影支援処理ステップにおいて支援されて撮影された各々の前記写真画像データには前記写真IDデータが紐づけられ、前記工事写真台帳作成処理ステップにおいて、前記フレームIDデータに対応する前記写真IDデータとの対応関係データを保持しており、前記工事写真台帳作成処理ステップにおいて、アップロードされた前記写真画像データを受け、前記対応関係データに基づいて前記ブランク台帳のうち対応する前記フレームID対応関係データをもつ前記埋設フレームに埋設してゆくことを実行させることが好ましい。
次に、上記構成のプログラムにおいて、前記工事写真台帳作成処理ステップによる前記記録処理において、前記工事設備に割り付けたアイコンまたはリンク情報を、前記工事写真台帳の各々の前記フレームの所定位置に表示する、または、前記写画像データ中の前記工事設備の画像領域部分に表示し、前記アイコンへの表示操作により前記工事設備に関する情報が表示される情報表示処理を実行することが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の工事写真台帳作成支援システムによれば、写真画像中に含まれている工事資材画像を画像認識部による画像認識を行うことができ、工事写真台帳に画像認識結果による工事設備に関する情報を記載でき、埋設フレームに埋設された写真画像データとともにその内容が端的に理解できる工事写真台帳が自動的に作成できる。また、作成された工事写真台帳について閲覧するとき、閲覧者が写真に写り込んでいる工事設備がどのような設備であるかを確認したい場合、表示処理部によりフレームの所定位置や写画像データ中の工事設備の画像領域部分に表示されているアイコンまたはリンク情報が表示されており、当該アイコンまたはリンク情報に対する表示操作を行うことにより、工事設備に関する情報が表示されて工事設備の内容を確認することができる。
工事開始前にすでに作成すべき工事写真台帳としての写真画像データの埋設フレームが集まったブランク台帳が得られることとなり、工事現場では、日々の施工において指定されている撮影を行うだけで写真画像データがブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設されてゆき、工事写真台帳が自動的に作成されてゆく。現場の現場監督や撮影担当者の負荷が大きく低減され、さらに、あらかじめ撮影ポイント、撮影日時、撮影対象が計画されており、それらが現場の現場監督や撮影担当者がそれら計画内容を的確に確認しながら撮影するため、いわゆる撮り忘れや撮り漏れなどがなくなる。
現場監督や工事作業員や撮影担当者の負荷を低減し、一定の品質を保った工事写真台帳の作成、報告書の作成を担保できる。
施主や設計者や工程管理者が要求している工事写真台帳を作成し、報告書を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の工事写真台帳作成支援システム1の構成例を示す図である。
図2】工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れの大枠を示した図である。
図3】工事データ入力部111を介して入力された今回の工事にかかる施工図データや工程表データのごく簡単な例を示す図である。
図4図3の施工図データや工程表データをベースとして、撮影内容指定部113を介して、撮影内容の指定処理を行った様子を示す図である。
図5】ある標準ブランク台帳データ300の写真一覧モードの参考図である。
図6】ある標準ブランク台帳データ300の帳票イメージの目次の参考図である。
図7】ある標準ブランク台帳データ300の帳票イメージの写真台帳ページの参考図である。
図8】ブランク台帳データ400の写真一覧モードの参考図である。
図9】ブランク台帳データ400の帳票イメージの目次の参考図である。
図10】ブランク台帳データ400の帳票イメージの写真台帳ページの参考図である。
図11】クライアント200の撮影内容指示表示部220に表示された撮影内容の支援表示例を示す図である。
図12】工事写真台帳作成部140が黒板文字認識部141、画像認識部142、音声認識部143の3つの認識処理モジュールを備えている様子を簡単に示した図である。
図13】工事写真台帳作成部140により作成された工事写真台帳データ500の例についてごく一部のみ示したものである。
図14】工事設備に関する情報がポップアップやプルダウンメニューにより表示される様子を示す図である。
図15】工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れ1を示す図である。
図16】工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れ2を示す図である。
図17】工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れ3を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の工事写真台帳作成支援システムの実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途などには限定されないことは言うまでもない。
なお、本発明の工事写真台帳作成支援システムが適用される工事は、建設工事に限らず、道路工事、大規模機械装置の現地組み立て設置など、事前に工程が計画的に立案され得るものであれば広く適用することができるものであるが、説明の便宜上、主に建設工事への適用について実施例を記載するが、大規模機械装置の現地組み立て設置など、事前に工程が計画的に立案され得るものであれば同様に適用できることは理解されよう。
【実施例1】
【0034】
以下、本発明の工事写真台帳作成支援システム1の構成例を説明する。
図1は、本発明の工事写真台帳作成支援システム1の構成例を示す図である。
図2は、工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れの大枠を示した図である。
図1に示すように、この実施例1にかかる図1に示す工事写真台帳作成支援システム1は、ネットワークを介して接続されているサーバー100とクライアント200を備えたクライアントサーバーシステムにて構築されている。クラウドシステムでも良い。ここではクラウド上のクラウドサーバーと現場に持ち込むスマートフォンをクライアント端末とする構成とする。
【0035】
図1に示すように、サーバー100は、工事写真台帳計画構築部110、写真撮影支援部120、情報収集機能拡張部130、工事写真台帳作成部140、工事写真台帳データベース150、表示処理部160、通信I/F170を備えた構成となっている。
なお、この構成例では、工事写真台帳計画構築部110は、工事データ入力部111、工事設備管理部112、撮影内容指定部113、ブランク台帳作成部114、標準ブランク台帳データベース115を備えて構成となっている。
また、この構成例では、工事写真台帳作成部140は、黒板文字認識部141、画像認識部142、音声認識部143の3つの認識処理モジュールと表示処理部160を備えている。
また、図示はしていないが、サーバー100が一般的に備えている制御装置やメモリや入出力装置などは省略している。
サーバー100の運営主体は、特に限定されないが、ここでは、工事写真台帳作成支援システムの管理者とする。
【0036】
次に、図1に示すように、クライアント200は、写真撮影部210、撮影内容指示表示部220、通信I/F230を備えた構成となっている。
クライアント200の構成はハード的には汎用的なパソコンでも良く、スマートフォンのような携帯型通信機器でも良く、デジタルカメラ機器でも良い。ネットワーク経由で撮影内容指示表示部220の機能を提供するアプリケーションをダウンロードすることにより、それら機器上で構成することでも良い。写真撮影部210を必要とするので、デジタルカメラ機器やスマートフォンなどが想定される。
クライアント200の使用主体は、特に限定されないが、ここでは、工事現場の現場監督や撮影担当者として説明する。
なお、クライアント200はネットワーク上に複数台存在していることが想定され、各々のクライアント200からの写真画像データを受け取ってクラウドサーバー100上で工事写真台帳を作成する。
【0037】
以下、先にサーバー100の各構成について説明し、クライアント200の各構成について説明する。なお、図2を用いた工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れの大枠については後述する。
まず、サーバー100の各構成要素を説明する。
サーバー100は、上記したように、工事写真台帳計画構築部110、写真撮影支援部120、情報収集機能拡張部130、工事写真台帳作成部140、工事写真台帳データベース150、表示処理部160、通信I/F170を備えた構成となっている。
【0038】
工事写真台帳計画構築部110は、工事の開始前に、工事にかかる入力された工事データ、例えば、施工図データおよび工程表データから、工事に関して作成すべき工事写真台帳の写真画像データの埋設フレームが集まったブランク台帳データ400を構築する部分である。
【0039】
ブランク台帳データ400とは、今回の特定工事の報告に求められるであろう工事写真台帳データ500の完成予定物に合わせ、あらかじめ、具体的な写真画像が貼付されていない状態の写真画像が無いブランクの工事写真台帳データであり、本発明では、これをブランク台帳データ400と呼ぶ。
本実施例1にかかる工事写真台帳作成支援システム1では、このブランク台帳データ400の作成が重要であると捉え、このブランク台帳データ400の作成が間違っていたり不正確であったりすると、工事が始まった後や工事終了箇所について、写真撮影のやり直しや変更作業が多くなり工事写真台帳作成の効率を低下させてしまうおそれがある。そこで、工事写真台帳計画構築部110は、正確かつ好ましいブランク台帳データ400を効率的かつ簡易に作成する諸機能を持っている。
【0040】
工事写真台帳計画構築部110は、工事データ入力部111、工事設備管理部112、撮影内容指定部113、ブランク台帳作成部114、標準ブランク台帳データベース115を備えている。
【0041】
工事データ入力部111は、工事開始前の段階で先に今回の工事にかかる施工図データや工程表データの入力を受ける部分である。工事データ入力部111を介して、実際に工事を担当する工事施工会社や下請会社に対して、施主、設計会社、一次請負会社などから工事にかかる施工図データや工程表データを受け取る。
【0042】
工事に関する「施工図」は、設計図(実施設計図、構造図、設備図など)から作成されたもので、一般的には、平面詳細図、躯体図、総合図(電気図、空調図、給排水衛生図、ガス衛生図)などが含まれている。ここでいう施工図データは、それら施工図をデータとしてコンピュータ処理が可能としたものである。建設工事以外の工事、例えば、大規模機械装置の現地組み立て設置などの他の工事では施工図データは上記のものに限らず様々なものがあり得る。
【0043】
工事に関する「工程表」は、工事の各工程とその完成時期(納期)までの期間をまとめた表であり、例えば、全体工程表、細部工程表、月間工程表、週間工程表などがあり得る。ここでいう工程表データは、それら工程表をデータとしてコンピュータ処理が可能としたものである。工事の各工程を具体的に把握することができるため、現場監督など施工管理者にとって人員の配置や作業時間進捗状況の把握が容易となる。
工程表データには、バーチャート工程表データ、ガンチャート工程表データ、ネットワーク式工程表データなど多様なものがある。
【0044】
図3は、工事データ入力部111を介して入力された今回の特定工事にかかる施工図データや工程表データのごく簡単な例を示す図である。図3は、施工図として1つの平面詳細図しか図示しておらず、工程表として1つのバーチャート工程表しか図示していない。実際の工事では大規模な工事になると、施工図だけでも数百枚から数千枚におよぶものもあり得るし、工程表も工事区間や工事単位が多岐にわたり、数百枚から数千枚におよぶものもあり得る。ここでは、発明の説明のためごく一部のもののみを示している。
【0045】
工事設備管理部112は、工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の資材に対して資材IDを付与するものである。
工事開始前の段階で先に入手した施工図データや工程表データをもとに、工事データ入力部111を介して収集した情報を分析すると、今回の工事に搬入される工事資材、使用に供される工事設備の内容に関する情報が得られるが、工事設備管理部112はこれらの情報をもとに工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の資材を管理し、これらの資材に資材IDを付与する。
【0046】
なお、管理にあたっては、例えば、すべての資材について個別に資材IDを付与しても良いが、工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される予定の資材群に対して資材IDを付与しても良い。例えば、資材群として所定日時の所定場所に搬入されたボルトが100本あるとして、それぞれのボルトに100通りの資材IDを与えても良いが、資材群として1つの資材IDを付与しても良い。
この資材IDを付与することにより、後述する工事写真台帳の作成において、使用予定の資材が資材IDとのマッチングにより所定日時の所定場所に搬入され使用されたことの記録を盛り込むことができる。
【0047】
また、工事設備管理部112が、資材IDに加えて、工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される工事設備に対する工事設備IDを付与することも好ましい。
工事写真台帳の作成において、使用に供された工事設備についての記録も求められることが多い。そこで、この工事設備IDを付与することにより、後述する工事写真台帳の作成において、使用予定の工事設備が工事設備IDとのマッチングにより所定日時の所定場所に搬入され使用されたことの記録を盛り込むことができる。
また、工事設備管理部112は工事設備IDと当該工事設備に関する情報を関連付けて管理する。つまり、工事設備IDが分かれば、当該工事設備に関する諸情報が得られることとなる。工事設備に関する情報としては、限定されないが、例えば、工事設備の名称、工事設備の型番、工事設備の仕様やマニュアル、工事設備の重量やサイズ、工事設備の担当責任者、電話番号などの連絡先、工事設備の製造元や供給元、工事設備のリース情報、工事設備を稼働するための資格情報のいずれかまたはそれらの組み合わせなどがあり得る。
【0048】
撮影内容指定部113は、建設工事の開始前に当該工事にかかる施工図データおよび工程表データの入力を受ける工事データ入力部と、工事写真台帳の内容の設定担当者によって、前記施工図データをもとに工事現場の撮影ポイントおよび撮影対象物の設定入力と、前記工程表データをもとに撮影日時の設定入力を受ける部分である。
施工図データは、平面詳細図、躯体図、総合図などを示す画像データ等であるが、従来技術においては、今回の特定工事において、最終的に工事写真台帳を作成するにあたり「一体どの位置から撮影を行えば適切な工事写真台帳となるのか」という観点の情報が含まれていない。そこで、本発明の工事写真台帳作成支援システム1では、工事施工前の段階で工事写真台帳の内容の設定担当者によって、先に撮影ポイントを指定し、所定の日時や所定工事の段階において、どのような内容の撮影を行うのかを計画し、撮影内容指定部113を介して設定を可能とする。
【0049】
撮影内容指定部113を介した撮影内容の指定は、表示されている施工図データや工程表データを参照しつつ工事写真台帳の内容を決める権限者または権限者から指示を受けた担当者など人手で行っても良い。指定を行うため利便性のあるGUIが用意されていることが好ましく、例えば、マウスによる指定とプルダウンメニューによる選択やキーボードを介した数値の入力など多様な入力方法を組み合わせた指定方法がある。また、近年普及してきた人工知能による支援を介して撮影内容指定部113が自動的に初期設定し、必要に応じて権限者や担当者によるチューニングを受ける方法もあり得る。
なお、将来的にはこの設定担当者の人手による指定についても、人工知能AIにより生成できるものと考えられる。
【0050】
撮影内容指定部113による指定は、撮影ポイントの設定入力として撮影場所、撮影方向および撮影角度の設定入力、撮影対象物の設定入力として撮影対象物、その撮影姿勢、撮影対象物の蓋や部品の展開状態の設定入力などが可能であるものとする。
【0051】
図4は、図3の施工図データや工程表データをベースとして、撮影内容指定部113を介して、撮影内容の指定処理を行った様子を示す図である。
図4に示すように、施工図データに対して、撮影ポイントの設定入力として撮影場所、撮影方向および撮影角度の設定入力、撮影対象物の設定入力として撮影対象物、その撮影姿勢、撮影対象物の蓋や部品の展開状態の指定コメントなどが設定されている。図4では、カメラ撮影位置と撮影方向が記号で示されている。三角の頂点方向が撮影方向である。この例では撮影角度は床面からの角度として数値が記入されている。また、撮影対象物、その撮影姿勢や撮影対象物の展開状態などが引き出し線の先に指定コメントして記入されている例となっている。
つまり、従来から用いられ、今回の工事でも用意されている施工図データにおいて、撮影内容データが付与されているものとなっている。
【0052】
また、撮影日時の指定については、工程表データに対して、それぞれの工程における撮影ポイントとその日時が指定されており、現場監督や撮影担当者にいつ、どこで、何を撮影して写真画像データを取得するかという計画が明確に分かりやすいようになっている。
つまり、従来から用いられ、今回の工事でも用意されている工程表データにおいて、撮影内容データが付与されているものとなっている。
【0053】
ブランク台帳作成部114は、撮影内容指定部113を介して設定担当者から入力、指定された撮影内容による作成すべき工事写真台帳となるベースのブランク台帳、つまり、作成すべき工事写真台帳として写真画像データが埋め込まれる埋設フレームが集まったブランク台帳を構築する部分である。
ブランク台帳作成部114は、ブランク台帳を効率的に構成するため、工事内容のカテゴリーごとの標準的なブランク台帳のデータベース(標準ブランク台帳データベース115)を用意しておき、その標準的なブランク台帳をチューニングすることで、特定の工事向けのブランク台帳を作成する機能を備えている。
【0054】
なお、ブランク台帳作成部114によるブランク台帳の作成は、図4に示したように、撮影内容指定部113により作成された撮影内容指定結果、施工図データ、工程表データを参照しつつ、工事写真台帳の内容を決める権限者または権限者から指示を受けた担当者など人手でチューニングを行っても良い。また、近年普及してきた人工知能AIによる支援を介して撮影内容指定部113が自動的に初期設定し、必要に応じて権限者や担当者によるチューニングを受ける方法もあり得る。
【0055】
標準ブランク台帳データベース115は、工事写真台帳作成支援システム1が、最終的に作成する工事写真が貼付整理された工事写真台帳データ500のベースとなる標準的なデータを蓄積しているデータベースである。ここでは、このベースとなる標準的なデータを「標準ブランク台帳データ300」と呼ぶ。つまり、施工図および工程表に沿って進む工事の各々の撮影ポイントの写真画像を貼付する箇所がブランクとなっているもので、あらかじめ施工図、工程表に沿って撮影が予定される撮影ポイントでの写真画像とその貼付箇所が計画された「計画化写真画像台紙」のようなものとも言える。
【0056】
現実の工事としては1つ1つの工事内容にはバリエーションがあり多種多様なものではあるが、工事対象によって、ある程度はカテゴリー化、パターン化できるものと考えられる。標準ブランク台帳データ300は、カテゴリー化され、パターン化された工事対象の「標準的」な工程表に従って作成される「標準的」な工事写真台帳で、写真画像をまだ貼付整理していないブランク状態の「標準的」なデータを「標準ブランク台帳データ300」とし、標準ブランク台帳データベース115は、それらを多種多様なものを収集蓄積している。
標準ブランク台帳選択部116は、標準ブランク台帳データベース115に格納されている各種の標準ブランク台帳データ300から、今回の特定工事に適した標準ブランク台帳データを選択するものである。なお、設定担当者が人手で標準ブランク台帳選択部116を介して標準ブランク台帳データ300を選択しても良いし、なお、将来的にはこの設定担当者の人手による指定についても、人工知能AIにより生成できるものと考えられる。
【0057】
図5から図7は、標準ブランク台帳データベース115内に蓄積されている「標準ブランク台帳データ300」のごく一部を示した図である。実際の工事では多数の撮影ポイントの何日にもわたる期間の進捗を記録してゆくので、図5から図7に示したものはそのうちのごく一部に過ぎないものであることは理解されよう。
図5は、ある標準ブランク台帳データ300の写真一覧モードの参考例である。
図6は、ある標準ブランク台帳データ300の帳票イメージの目次の参考例である。
図7は、ある標準ブランク台帳データ300の帳票イメージの写真台帳ページの参考例である。
図5から図7の標準ブランク台帳データ300においては、ごく一部を示しているに過ぎないものであり、実際の工事にかかる工事写真台帳は撮影ポイントも多く、撮影延べ日数も多く、写真画像も多いものと想定される。図5から図7は、工事前の計画段階であるので写真画像はまだ貼付整理されておらず、すべてブランクとなっている。
【0058】
ブランク台帳作成部114は、今回の特定の工事の施工図、工程表から工事のカテゴリーに合わせて、標準ブランク台帳データベース115から標準的な標準ブランク台帳データを取り出し、その標準的なブランク台帳をチューニングすることで、特定の工事向けのブランク台帳を作成する。
ブランク台帳作成部114は、取り出した標準的なブランク台帳から、図4で指定されたそれぞれの工事と撮影ポイントから作成すべき必要な数の写真画像データが埋め込まれる埋設フレームを展開するものとする。ここでは、図4のように指定された一連の撮影内容データが与えられれば、図5から図7に示した標準ブランク台帳データ300が展開され、写真一覧モードデータ、帳票イメージの目次データ、帳票イメージの写真台帳ページデータが得られるが、各々に埋設される写真画像がフレームのみでブランクとなっている。
【0059】
ブランク台帳作成部114を操作する工事写真台帳の内容を決める権限者または担当者は、図5から図7の標準ブランク台帳データ300をもとに今回の特定の工事の内容に沿ってチューニングを行ってゆき、ブランク台帳データ400を完成させる。ここで、将来的に人工知能技術が発展してゆけば、ブランク台帳作成部114が人工知能を用いて、自動的にブランク台帳データ400を完成させても良い。
【0060】
図8から図10は、チューニングされたブランク台帳データ400のごく一部を示した図である。実際の工事では多数の撮影ポイントの何日にもわたる期間の進捗を記録してゆくので、図8から図10に示したものはそのうちのごく一部に過ぎないものであることは理解されよう。
図8は、ブランク台帳データ400の写真一覧モードの参考例である。
図9は、ブランク台帳データ400の帳票イメージの目次の参考例である。
図10は、ブランク台帳データ400の帳票イメージの写真台帳ページの参考例である。
図8から図10においては、ごく一部を示しているに過ぎないものであり、実際の工事にかかる工事写真台帳は撮影ポイントも多く、撮影延べ日数も多く、写真画像も多いものと想定される。図8から図10は、工事前の着手前であるので写真画像はまだ貼付整理されておらず、すべてブランクとなっている。
【0061】
写真撮影支援部120は、工事中に、現場監督または写真撮影担当者が携帯している撮影装置または撮影機能付きの通信機器の表示部に、所定の前記撮影日時、所定の前記撮影ポイントおよび前記撮影対象物の写真撮影の指示内容を表示して前記写真撮影を支援するものである。
つまり、撮影内容(所定日時に工事現場の所定の撮影ポイント)に従った写真撮影を支援する部分であり、この例では、クライアント200がスマートフォンのような後述する通信機能(通信I/F230)と表示部(撮影内容指示表示部220)とカメラ部(写真撮影部210、カメラ部211)を備えた装置であり、写真撮影支援部120は、クライアント200の撮影内容指示表示部220に対して撮影内容の表示することにより写真撮影を支援する。また、後述するように、クライアント200の写真撮影部210が写真IDデータ付与部213を備えており、撮影した写真に対して付与すべき写真IDを通知する機能も備えていることが好ましい。
【0062】
図11は、クライアント200の撮影内容指示表示部220に表示された撮影内容の支援表示例を示す図である。
図11の例は一例であり、様々な撮影内容の支援表示例が可能であり、図11に示す表示例に限定されないことは言うまでもない。
図11に示す例では、スマートフォンを前提とした通信端末の表示部への表示となっている。つまり、サーバー100はクラウド上にあり、スマートフォンであるクライアント200との間でデータがやり取りされる例となっている。
【0063】
図11左側図に示すように、現場監督や写真撮影担当者が日付カラムに日付を入力、またはスマートフォンの時計機能から日付が自動的に入力されると、当該日付に予定されている各工程がスマートフォンの画面にリストアップされる(ここでは令和4年12月15日の例となっている)。いわゆるToDoリストのように表示され、この表示画面では、予定されている各工程がタップにより指定可能なボタン形式で表示されている。現場監督や写真撮影担当者が担当の工程についてタップした例となっている。
【0064】
次に、図11中央図に示すように、タップされた工程において予定されている撮影内容が表示される。ここでは、選択した工程において2つの撮影ポイント(撮影ポイント4と撮影ポイント5)が撮影予定であることが表示されている。この撮影予定についてもタップにより指定可能なボタン形式で表示されている。この例では、現場監督や写真撮影担当者がこの2つの撮影ポイントのうち撮影ポイント5が選択されてタップされた例となっている。
【0065】
次に、図11右側図に示すように、タップされた撮影ポイント5において予定されている撮影内容が表示される。ここでは、施工図と施工図上に撮影ポイント5がどこにあるかが表示され、指定コメントなどがあれば、併せて表示される。
なお、撮影内容の支援としては他にも様々な工夫があり得る。たとえば、ここでは図示しないが、直近撮影画像の表示ボタンがあり、直近撮影画像の表示ボタンをタップすると、直近の撮影画像が表示される機能も可能である(ここでは前日の令和4年12月14日に撮影された写真画像を表示させるなどが可能となる)。
【0066】
現場監督や写真撮影担当者は、撮影内容の支援表示に従って各々の撮影ポイントにおいて所定の写真撮影を行う。つまり、写真撮影支援部120の支援に従って撮影すれば、計画段階でスケジューリングされたとおりの所望の写真撮影データが確実に得られ、撮影漏れなどの事態が防止できる。なお、予定通りに撮影された写真画像データのクラウド上のサーバー100への送信は、工事現場にてオンライン送信しても良く、もちろん後でまとめて一括してバッチ処理で送信しても良い。
なお、従来から良く用いられているような、工事名、工種、測点略図、工事の進行状況などを書いた黒板などを写真撮影時に一緒に撮影し、写真画像中に含ませても良い。そのようなアナログデータも写真画像の確認において役立つことも想定される。
後述するように、クライアント200で得られる写真撮影データには撮影時にそれぞれ写真撮影支援部120から通知されている写真ID情報が紐づけられ、クラウド上のサーバー100の工事写真台帳作成部140に送信される。
なお、スマートフォンの画面にリストアップされている当該日付に予定されている写真撮影が実行されていない場合、作業員のスマートフォンにリマインダー(備忘連絡、注意喚起)が表示される機能があれば、撮影忘れや撮影漏れが防止できる。
【0067】
工事写真台帳作成部140は、クライアント200の撮影装置で撮影された写真画像データを受け、ブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設して工事写真台帳データ500を作成してゆく部分である。ここで、工事写真台帳作成部140は、フレームIDに対応する写真IDとの対応関係データを保持している。
つまり、工事写真台帳計画構築部110が作成したブランク台帳400の各々の埋設フレームにはそれぞれフレームIDが設けられているところ、写真撮影支援部120により支援されて撮影された各々の写真画像データには写真IDが設けられてアップロードされてくる。工事写真台帳作成部140は、アップロードされた写真画像データを受け、フレームID-写真IDの対応関係データに基づいて、写真IDに合致するフレームIDの埋設フレームに埋設してゆけば工事写真台帳データ500を作成することができる。
【0068】
この構成例では、工事写真台帳作成部140は、黒板文字認識部141、画像認識部142、音声認識部143の3つの認識処理モジュールを備えている。
黒板文字認識部141は、工事現場に置かれ、工事に関する情報が記載された黒板を含むように写真撮影された写真画像データの入力を受け、写真画像データに写り込んだ黒板を文字認識して黒板の記載情報を自動的に取得するものである。
工事写真台帳作成部140は、フレームIDと写真IDとのマッチングにより、クライアント200から入力された写真画像データのブランク台帳400の所定箇所への貼付処理とともに、黒板文字認識部141が文字認識の結果、取得した黒板の記載情報も併せて記録処理を行なう。
【0069】
黒板文字認識部141としては、建設工事に関連する用語と、過去の黒板の記録内容を学習させた建設用語学習済み文字認識AIシステムを用いることができる。
図12は、工事写真台帳作成部140が黒板文字認識部141、画像認識部142、音声認識部143の3つの認識処理モジュールを備えている様子を簡単に示した図である。
図12(a)は、建設用語学習済み文字認識AIシステムを採用した黒板文字認識部141のプログラムモジュールの概略を示した図である。
図12(a)に示すように、黒板文字認識部141の建設用語学習済み文字認識AIシステムは、建設工事に関連する用語、物理単位、業者間で用いられている業界用語、省略語、俗称などの単語・語彙で、建設工事現場で黒板に書かれる可能性の高い文字を学習した建設用語学習データベース1412と、文字パターンをテキスト化する文字認識エンジン1411と、文字認識処理部1413を備えている。
【0070】
建設工事に関連する単語、語彙は限られており、黒板文字認識部141として一般の文字認識ソフトを用いるのではなく、建設用語学習データベース1412において建設工事現場で用いられる単語、専門用語、省略語を強化し、文字認識処理部1413の認識処理において、建設工事にはおよそ用いられない他の単語については搭載しないか、または、正解候補から外すという工夫をすることも好ましい。
【0071】
次に、画像認識部142は、写真画像データに写り込んだ工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される建設資材を画像認識して資材IDを自動的に取得するものである。
また、画像認識部142が、写真画像データに写り込んだ写真画像データに写り込んだ工事現場に所定日時の所定場所に搬入され使用される工事設備を画像認識して工事設備IDを取得することも好ましい。
工事写真台帳作成部140は、フレームIDと写真IDとのマッチングにより、クライアント200から入力された写真画像データのブランク台帳400の所定箇所への貼付処理とともに、画像認識部142の画像認識の結果、取得した工事資材ID、工事設備IDも併せて記録処理を行なう。
【0072】
画像認識部142としては、建設工事に関連する工事資材、工事設備の画像を学習させた建設工事画像学習済み画像認識AIシステムを用いることができる。
図12(b)は、建設工事画像学習済み画像認識AIシステムを採用した画像認識部142のプログラムモジュールの概略を示した図である。
図12(b)に示すように、画像認識部142の建設工事画像学習済み画像認識AIシステムは、建設工事に関連する様々な工事資材の画像パターンや工事設備の画像パターンを学習した工事資材・工事設備画像データベース1422と、写真画像データ中に写り込んだ工事資材の画像パターンや工事設備の画像パターンをパターンマッチングして工事資材IDや工事設備IDを特定する画像認識エンジン1421と、画像認識処理部1423を備えている。
【0073】
建設工事に関連する工事資材や工事設備は、限られており、画像認識部142として一般の画像認識ソフトを用いるのではなく、工事資材・工事設備画像データベース1422において建設工事現場で用いられる様々な工事資材や工事設備の外形パターン、包装、商品名、機械の種類や名称、サプライヤー名、省略語を強化し、画像認識処理部1423の認識処理において、建設工事にはおよそ用いられない他のオブジェクトの画像パターンについては搭載しないか、または、正解候補から外すという工夫をすることも好ましい。
【0074】
次に、音声認識部143は、工事現場において音声入力機能付きの撮影装置または通信機器により入力された音声入力データを受け、音声入力データを音声認識して音声入力情報を自動的に取得するものである。
工事写真台帳作成部140は、フレームIDと写真IDとのマッチングにより、クライアント200から入力された写真画像データのブランク台帳400の所定箇所への貼付処理とともに、工事写真台帳の作成にあたり、音声認識部143により取得された音声入力情報も併せて記録した工事写真台帳を作成する。
音声認識部143としては、建設工事に関する用語を学習させた建設工事用語学習済み音声認識AIシステムを用いて音声認識処理を行うことができる。
図12(c)は、建設工事用語学習済み音声認識AIシステムを採用した音声認識部143のプログラムモジュールの概略を示した図である。
図12(c)に示すように、音声認識部143の建設工事用語学習済み音声認識AIシステムは、建設工事に関連する様々な単語、専門用語、省略語、文法を強化し、建設工事用語の音声パターンを学習した建設工事用語データベース1432と、音声データ中に記録されている建設工事に関連する音声パターンをパターンマッチングして工事関連の音声入力内容を特定する音声認識エンジン1431と、音声認識処理部1433を備えている。
【0075】
次に、表示処理部160を説明する。
表示処理部160は、工事写真台帳作成部140による記録処理において、アイコンまたはリンク情報を工事設備に割り付け、工事写真台帳の各々のフレームの所定位置に表示処理する、または、写画像データ中の工事設備の画像領域部分に表示するものである。そして表示処理部160を経て作成された工事写真台帳は閲覧時に工事写真台帳の各々のフレームの所定位置や工事設備の画像領域部分にアイコンまたはリンク情報が表示される。さらに、工事写真台帳の閲覧時にフレーム中に表示されているアイコンやリンク情報への表示操作により工事設備に関する情報が表示処理部160により表示される。
このように、作成された工事写真台帳について閲覧するときに、表示処理部160によりフレームの所定位置や写画像データ中の工事設備の画像領域部分に表示されているアイコンまたはリンク情報が表示されており、閲覧者が当該写真に写り込んでいる工事設備がどのような設備であるかを確認したい場合、当該アイコンまたはリンク情報に対する表示操作を行うことによって工事設備に関する情報が表示されて工事設備の内容を確認することができる構成となっている。
表示され得る工事設備に関する情報としては、限定されないが、例えば、工事設備の名称、工事設備の型番、工事設備の仕様やマニュアル、工事設備の重量やサイズ、工事設備の担当責任者、電話番号などの連絡先、工事設備の製造元や供給元、工事設備のリース情報、工事設備を稼働するための資格情報のいずれかまたはそれらの組み合わせなどがあり得る。
表示処理部160はそれら表示にあたりプルダウンメニューとして項目ごとに整理した状態で表示処理することも可能である。
【0076】
次に、情報収集機能拡張部130を説明する。
情報収集機能拡張部130は、工事写真台帳の作成に直接必要とされ工事現場において収集される写真画像データとは別に、必要とされ得る可能性がある外部の諸情報、例えば、工事現場周辺の天候情報、地震情報、イベント情報、物流情報、決済情報などを含む諸情報を収集するものである。
工事写真台帳作成部140は工事写真台帳の作成にあたり、後から求められた外部情報を、情報収集機能拡張部130に問い合わせて、情報収集機能拡張部130が収集していた諸情報を追加して工事写真台帳を作成できる。
例えば、雨や雪や湿度・温度などの天候情報は現行の工事台帳の必須の情報ではないが、コンクリートの乾きなどを分析するため後日、求められる場合がある。それら情報も先回りして収集するよう機能拡張することも考えた。
【0077】
図13は、工事写真台帳作成部140により作成された工事写真台帳データ500の例についてごく一部のみ示したものである。この図13の例は参考例に過ぎずこの例に限定されない。多様な形式の工事写真台帳データ500が可能である。
このように、工事写真台帳作成部140が保持している対応関係データをもとに、埋設フレームのフレームIDと写真画像データの写真IDに従って両者を合致させてゆけば、撮影した写真画像データを効率的で正確にブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設でき、日々刻々とスケジュール通りに進捗する工事内容をあらかじめ計画された工事写真台帳データ500を作成することができる。
工事写真台帳作成部140は、黒板文字認識部141,画像認識部142,音声認識部143を活用して、写真画像データ中に含まれる黒板の文字認識の結果得られた情報、画像中に含まれる画像から画像認識した工事資材や工事設備に関する情報、現場の作業員から入力された音声データの音声認識の結果得られた情報などを盛り込んで、きめ細かな品質の高い工事写真台帳を作成することができる。
図13には、表示部160により工事設備情報というアイコンやリンク情報が表示されている。
図14に示すように、この工事設備情報というアイコンやリンク情報を、ポインティングデバイスによりクリックしたり、指でタップすれば、画像認識部142が認識した工事設備に関連した情報が紐づけられて工事設備に関する情報がポップアップやプルダウンメニューにより表示される。
なお、図13図14において、工事設備情報というアイコンやリンク情報が1つだけしか描かれていないが、工事写真台帳フレームの中に複数種類の工事設備がふくまれていれば、それらに対応して複数個アイコンやリンク情報が表示されていても良い。
【0078】
工事写真台帳データベース150は、工事写真台帳作成部140により日々刻々と作成されてゆく工事写真台帳データ500を保存してゆく記録装置である。なお、日々刻々と作成されてゆく経時的な途中データも蓄積保存しても良し、上書きしてゆく保存形式でも良い。
工事写真台帳データベース150には建設工事に関する様々な情報が格納されており、日々刻々とスケジュール通りに進捗する工事内容のみならず、多種多様な建設に関する情報、例えば、工事設備に関する情報、多種多様な工事資材に関する情報、工事従事者に関する情報、工事現場周辺の外部の諸情報(天候情報、地震情報、イベント情報、物流情報、決済情報などを含む諸情報)など多様な情報が格納されていることが好ましい。また、日々更新されたり、AIの学習結果が反映されたりすることが好ましい。
【0079】
通信I/F170は、一般的にサーバーシステムに装備されていることが多く、ここでの説明は省略する。また、制御部、入出力部、モニタを装備していても良く、ここでの説明は省略する。なお、後述するデータの流れを示す図において、制御部、入出力部、モニタ、通信I/F170が稼働していないように図示されていても技術常識の範囲で稼働しデータ処理を実行しているものとする。
【0080】
次に、現場監督や写真撮影担当者が操作するクライアント200を説明する。
クライアント200は、上記したように、写真撮影部210、撮影内容指示表示部220、通信I/F230を備えた構成となっている。この例ではスマートフォンを前提とし、スマートフォンにアプリケーションをダウンロードすることで構成された例となっている。
【0081】
写真撮影部210は、この構成例では、カメラ部211、音声入力部212、写真IDデータ付与部213を備えた構成となっている。
カメラ部211は写真画像を行う撮影装置である。ここでは、スマートフォンに搭載されているカメラ装置を適用するものとする。
【0082】
音声入力部212は、撮影者による付加情報をテキスト入力または音声入力できる部分である。工事現場において工事の進捗において気付きがあれば、その内容を付加情報として残しておいたり、次の写真撮影時に参照すべき申し送り事項として入力したりできれば至便である。この音声入力部212を介して撮影した写真画像データに対して付加情報を入力する。ここでは、入力自体はスマートフォンに搭載されているテキスト入力手段や音声入力手段を用いることもできる。写真撮影部210はこれらの入力されたデータを撮影した写真画像データに付与する。
【0083】
写真IDデータ付与部213は、所定の撮影ポイントでの写真撮影時に、写真撮影にかかる写真画像データに対して、写真ID情報を付与する部分である。写真ID情報は工事写真台帳計画構築部110においてあらかじめ計画されていた撮影日時情報、撮影ポイントおよび撮影対象物にユニークに割り付けられたものであり、写真IDデータ付与部213はサーバー100の写真撮影支援部120を介してこの写真ID情報が通知され、写真撮影時に写真画像データに対してこの写真ID情報を紐づけてサーバー100に送信する。
【0084】
撮影内容指示表示部220は、写真撮影支援部120から、施工図の表示とともに、撮影内容情報(撮影場所、撮影方向、撮影角度、撮影対象物の撮影姿勢、撮影対象物の蓋や部品の展開状態などに関する情報)を表示する部分である。つまり、写真撮影支援部120から工事現場で撮影すべき撮影内容に関する情報を得て表示し、現場監督や撮影担当者に表示して撮影を支援する。この例ではスマートフォンを前提とし、スマートフォンの画面に表示すれば良い。
【0085】
通信I/F230は、一般的にクライアント200に装備されていることが多く、ここでの説明は省略する。ここでは、クライアント200としてスマートフォンを前提としているので、通信I/F230を持つ機器である。
【0086】
以下、本発明の工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れの一例を図15図17を参照しつつまとめておく。以下の処理の流れは一例であり、処理の順番が入れ替わっても良い。
以下の流れにおいて、クラウド上のサーバー100の操作者としては、工事写真台帳計画構築部110は主に工事発注会社や設計事務所などの工事を計画・管理する者が操作することを前提としている。写真撮影支援部120はおよび工事写真台帳作成部140は、工事現場にいる現場監督や撮影担当者などとのやりとりを通じて操作入力される。また、クライアント200は、工事現場にいる現場監督や撮影担当者などが携帯しているスマートフォンなどの携帯型端末またはクライアント200の機能を搭載したデジタルカメラ装置を前提とし、操作者は工事現場にいる現場監督や撮影担当者自身を前提としている。
【0087】
[工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れ1:工事開始前の流れ]
工事発注会社や設計事務所の端末(図示せず)から、特定の工事に関する施工図データ、工程表データを含む工事データが、工事写真台帳計画構築部110の工事データ入力部111に入力される(図15ステップS1)。
ここでは、例えば、図3に示した施工図データ、工程表データを含む工事データが入力される。
【0088】
次に、入力された施工図データ、工程表データを含む工事データは、撮影内容指定部113に渡され(図15ステップS2)、工事発注会社や設計事務所の端末(図示せず)に表示された施工図データ、工程表データを含む工事データに対して、撮影ポイントの設定入力(撮影場所、撮影方向、撮影角度の設定入力)、撮影対象物の設定入力(撮影対象物、その撮影姿勢、撮影対象物の蓋や部品の展開状態の設定入力)などの撮影内容が、工事発注会社や設計事務所のスタッフによって設定される(図15ステップS3)。
ここでは、例えば、図4に示したように、施工図データに対して、撮影ポイントの設定入力(撮影場所、撮影方向、撮影角度の設定入力)、撮影対象物の設定入力(撮影対象物、その撮影姿勢、撮影対象物の蓋や部品の展開状態の指定コメントの設定入力)などが実行される。
【0089】
次に、撮影内容指定部113を介した撮影内容の指定を受け、撮影内容が指定された施工図データ、工程表データを含む工事データがブランク台帳作成部114に渡され(図15ステップS4)、ブランク台帳作成部114は、標準ブランク台帳データベース115から今回の特定工事のカテゴリーについて適切な標準ブランク台帳データ300を選択する(図15ステップS5)。なお、この選択は、ブランク台帳作成部114を操作する工事発注会社や設計事務所のスタッフの選択操作によって行っても良し、ブランク台帳作成部114が自動的に抽出する形で行っても良い。
ここでは、例えば、図5から図7に示したように、標準ブランク台帳データ300が選択されたものとする。
【0090】
次に、ブランク台帳作成部114を操作する工事発注会社や設計事務所のスタッフの操作によって、今回の特定の工事に適合するように、標準ブランク台帳データ300をチューニングし、標準ブランク台帳データ300において不足している必要な情報を書き込んだり、不足している撮影予定の写真画像の貼付ページを増設したり、不要な撮影予定の写真画像の貼付ページを削除したりする(図15ステップS6)。
【0091】
次に、ブランク台帳作成部114は、工事発注会社や設計事務所のスタッフによってチューニングされた標準ブランク台帳データ300をブランク台帳データ400として決定し、貼付されるべき写真画像の埋設箇所にフレームIDも確定させ、その確定したブランク台帳データ400を写真撮影支援部120に渡す(図15ステップS7)。
ここでは、例えば、図8から図10に示したようなブランク台帳データ400が決定されたものとする。
ここまでの流れの中で、工事写真台帳計画構築部110を中心とした工事写真台帳計画が構築され、その結果として、ブランク台帳データ400が得られる。
なお、特定工事が進展する中、計画の一部が見直されたり、変更されたりする事態は実際にあり得るが、それら部分的な見直しや変更があれば、上記の図15ステップS1からS7までが随時、適宜繰り返されることにより、部分的な見直しや変更が反映されたブランク台帳データ400が得られる。
【0092】
[工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れ2:工事中の流れ]
次に、工事が開始された後の、工事現場での処理の流れの説明に移る。
クラウドサーバー100の写真撮影支援部120とクライアント200の撮影内容表示部220はネットワークを介してデータをやりとりして連携し合い、写真撮影が支援される。例えば、現場監督や写真撮影担当者のスマートフォンから工事日に予定されている各工程、各工事において、どのような撮影内容が設定されているかを問い合わせると、写真撮影支援部120が設定されている撮影内容に関する指示データを送信してクライアント200の撮影内容表示部220に表示する(図16ステップS8)。なお、ここでは、撮影した写真画像に付与すべき写真IDデータが写真IDデータ付与部213に渡される(図16ステップS9)。
この例は、例えば、令和4年12月15日に予定されている写真撮影が問い合わされ、図11に示したような撮影内容の指示が表示されたものとする。写真撮影の撮影内容が正しく伝わるように分かりやすい表示が好ましい。ここでは、施工図上において撮影ポイントが指示され、どのような角度で何を撮影するかが表示される。さらに、従来と同様、アナログ的な工事黒板とともに撮影するよう指示を出しても良い。
なお、直近の工事写真台帳に貼付記録された写真画像を閲覧できることも好ましい。自分が今から行おうとする写真撮影が間違っていないかビジュアルで視認できるからである。
【0093】
現場監督や写真撮影担当者はクライアント200であるスマートフォンを操作して、写真撮影部210を操作し、カメラ部211を介した写真撮影(図16ステップS10)、音声入力部212を介したコメントや申し送り事項の入力を行い、つまり、マイク機能を用いて工事現場で入力すべき内容を、音声にて入力できる(図16ステップS11)。
写真IDデータ付与部213は、撮影画像データに写真IDデータを紐づける(図16ステップS12)。
撮影されたそれぞれの写真データはそれぞれの写真IDデータとともに、クライアント200の写真撮影部210からクラウドサーバー100の工事写真台帳作成部140に送信される(図16ステップS13)。
【0094】
[工事写真台帳作成支援システム1の処理の流れ3:工事中の流れ]
工事写真台帳作成部140は、受け取ったそれぞれの写真画像データについて、それぞれの写真IDデータと対応付けられているフレームIDの箇所に埋設・貼付してゆき、工事写真台帳データ500を作成してゆく(図17ステップS14)。ここでは、この工事写真台帳データ500の作成はクライアント200から写真データが送られてくるたびにその都度行なうものとする。バッチ処理である程度まとめて行うこともあり得る。
【0095】
工事写真台帳作成部140は、それぞれの写真画像データ中に写り込んでいる黒板の文字認識処理を黒板文字認識部141により実行し、写真画像データ中に写り込んでいる工事資材や工事設備の画像パターンの画像認識を画像認識部142により実行し、音声入力部212から受け取った音声データについて、音声認識処理を音声認識部143により実行し(図17ステップS15)、工事写真台帳作成部140はそれら結果を盛り込んだ工事写真台帳を作成する(図17ステップS16)。
工事写真台帳作成部140は、写真画像データを埋設・貼付した結果をクライアント200の撮影内容指示表示部220に表示し、現場監督や写真撮影担当者にその結果を確認させる(図17ステップS17)。なお、確認処理は、クラウドサーバー100を操作する権限をもつ工事発注会社や設計事務所のスタッフが行っても良い。
【0096】
工事写真台帳作成部140は、確認処理が終了した工事写真台帳データ500を工事写真台帳データベース150に格納・記録する(図17ステップS18)。なお、この格納は上書きによって格納・記録しても良いし、経時的な履歴を残すために上書き保存せずに日付データとともに工事写真台帳データベース150内に追加しても良い。
工事写真台帳データ500を利用者や管理者が閲覧する場合は、表示処理部160に表示リクエストを出せば、表示処理部160により工事写真台帳データベース150から該当する工事写真台帳データ500を取り出して利用者や管理者のスマートフォンなどの表示部に図13図14のように工事写真台帳データ500の内容を表示処理を行う(図17ステップS19)。
【0097】
以上、本発明の工事写真台帳作成支援システム1を用いることにより、工事開始前にすでに作成すべき工事写真台帳としての写真画像データの埋設フレームが集まったブランク台帳が得られることとなり、工事現場では、日々の施工において指定されている撮影を行うだけで写真画像データがブランク台帳の中の該当する埋設フレームに埋設されてゆき、工事写真台帳が自動的に作成されてゆく。現場の現場監督や撮影担当者の負荷が大きく低減され、さらに、あらかじめ撮影ポイント、撮影日時、撮影対象が計画されており、それらが現場の現場監督や撮影担当者がそれら計画内容を的確に確認しながら撮影するため、いわゆる撮り忘れや撮り漏れなどがなくなる。
【0098】
以上、本発明の工事写真台帳作成支援システムの構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の工事写真台帳作成支援システムは、施主や工事発注会社や工事設計者や工程管理者が求めている内容の工事写真台帳の作成を支援し、工事現場で指定された写真を撮影するだけで工事写真台帳が自動的に生成される工事写真台帳作成支援システムおよび工事写真台帳作成支援プログラムとして広く適用することができる。
なお、本発明の工事写真台帳作成支援システムが適用される工事は、建設工事に限らず、土木工事、道路工事、大規模機械装置の現地組み立て設置など、事前に工程が計画的に立案され得るものであれば広く適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 工事写真台帳作成支援システム
100 クラウドサーバー
110 工事写真台帳計画構築部
111 工事データ入力部
112 工事資材管理部
113 撮影内容指定部
114 ブランク台帳作成部
115 標準ブランク台帳データベース
120 写真撮影支援部
130 情報収集機能拡張部
140 工事写真台帳作成部
141 黒板文字認識部
142 画像認識部
143 音声認識部
150 工事写真台帳データベース
160 表示処理部
170 通信I/F
200 クライアント
210 写真撮影部
220 撮影内容指示表示部
230 通信I/F
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17